[go: up one dir, main page]

JP2006096023A - セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006096023A
JP2006096023A JP2005060414A JP2005060414A JP2006096023A JP 2006096023 A JP2006096023 A JP 2006096023A JP 2005060414 A JP2005060414 A JP 2005060414A JP 2005060414 A JP2005060414 A JP 2005060414A JP 2006096023 A JP2006096023 A JP 2006096023A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose acylate
film
group
acylate film
additive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005060414A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobutaka Fukagawa
伸隆 深川
Takeshi Chiga
武志 千賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2005060414A priority Critical patent/JP2006096023A/ja
Priority to CN 200510054717 priority patent/CN1670594B/zh
Publication of JP2006096023A publication Critical patent/JP2006096023A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

【課題】レターデーション値が高くかつフィルム面内での光学的な均一性に優れ、かつカールが小さく加工適性に優れたセルロースアシレートフィルム及びその製造方法、上記特性に優れたセルロースアシレートフィルムを支持体とする光学補償フィルム及び偏光板、並びに上記偏光板を用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有するセルロースアシレートフィルムであって、各々の添加剤について、該セルロースアシレートフィルムのバンドまたはドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、存在量の比が下記式を満たすセルロースアシレートフィルムを使用する。
0.25<エア面表面の添加剤存在量/支持体面表面の添加剤存在量<4
【選択図】 なし

Description

本発明は、セルロースアシレートフィルム及びその製造方法、該フィルムを支持体に用いた光学補償フィルム及び偏光板、さらには該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置において、視野角の拡大、画像着色の改良、及びコントラストの向上のため光学補償フィルムを使用することは広く知られた技術である。なかでも、セルロースアシレート中に平面性の高い分子構造を有する低分子化合物を添加したフィルムは広い範囲でのレターデーション調節が可能で特に有用であり、例えば、特許文献1(特開2000−111914号公報)、特許文献2(特開2000−166144号公報)などに具体例が開示されている。しかし、これらの化合物は、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する際の乾燥工程で、フィルム表面にブリードアウトしてフィルムが光学的に不均一化し、このフィルムからなる光学補償フィルムを使用した液晶表示装置は表示品位が著しく劣るという問題を有していた。
本発明の目的は、レターデーション値が高くかつフィルム面内での光学的な均一性に優れ、カールが小さく加工適性に優れたセルロースアシレートフィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記特性に優れたセルロースアシレートフィルムを支持体とする光学補償フィルム及び偏光板を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、上記偏光板を用いた表示品質の良好な液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する際の乾燥工程での添加剤のブリードアウトは、溶剤が急速に揮散した結果、取り残された添加剤が析出し、セルロースアシレートフィルム内への再拡散が十分おこなわれないことが原因との結論に至り、乾燥時の溶剤揮散性速度を十分遅くすることにより解決できることを見出し本発明に到った。
さらに、上記方法によりフィルムのバンドあるいはドラム面に接していた支持体面(以下、単に「支持体面」と称する)側表面の添加剤存在量と空気側のエア面(以下、単に「エア面」と称する)側表面の添加剤存在量の均衡を保つことが可能となり、カール等のフィルム物性が著しく改良され、加工適性に優れたセルロールアシレートフィルムが得られることを見出した。
即ち、本発明によれば、下記構成のセルロースアシレートフィルムの製造方法、セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置が提供され、上記本発明の目的が達成される。
1.少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有するセルロースアシレートフィルムであって、
各々の添加剤について、該セルロースアシレートフィルムのバンドまたはドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
0.25<エア面表面の添加剤存在量/支持体面表面の添加剤存在量<4
2.少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有するセルロースアシレートフィルムであって、
該セルロースアシレートフィルムのバンドまたはドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、全ての添加剤の存在量を合計した全添加剤存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
0.5<エア面表面の全添加剤存在量/支持体面表面の全添加剤存在量<1.75
3.添加剤の少なくとも1つがレターデーション上昇材である上記1または2に記載のセルロースアシレートフィルム。
4.添加剤の少なくとも1つが可塑剤である上記1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
5.添加剤の少なくとも1つが紫外線吸収剤である上記1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
6.添加剤の少なくとも1つが疎水化剤である上記1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
7.添加剤の少なくとも1つがレターデーション低下剤である上記1〜6のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
8.添加剤の少なくとも1つが染料である上記1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
9.ソルベントキャスト法によりバンド上に流延するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
セルロースアシレート100質量部に対して、分子量が300以上であるレターデーション上昇剤として安息香酸フェニルエステルを0.01質量部以上20質量部以下含むセルロースアシレート溶液を流延する工程、及び
剥ぎ取り前乾燥の前半において10秒以上90秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
10.ソルベントキャスト法によりドラム上に流延するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
セルロースアシレート100質量部に対して、分子量が300以上である添加剤を0.1質量部以上30質量部以下含むセルロースアシレート溶液を流延する工程、及び
剥ぎ取り前乾燥の前半において1秒以上10秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
11.ソルベントキャスト法によりバンド上に流延するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
セルロースアシレート100質量部に対して、分子量が300以上である添加剤を0.1質量部以上30質量部以下含むセルロースアシレート溶液を流延する工程、及び
剥ぎ取り前乾燥の前半において10秒以上90秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
12.上記9〜11のいずれかの方法により製造されたことを特徴とする上記1または2に記載のセルロースアシレートフィルム。
13.添加剤が下記一般式(II)で表される上記1〜8及び12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(II)
Figure 2006096023
(式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。)
14.上記一般式(II)の電子供与性基がアルコキシ基であることを特徴とする上記13に記載のセルロースアシレートフィルム。
15.上記一般式(II)で表される化合物が下記一般式(II−D)で表される化合物であることを特徴とする上記13記載のセルロースアシレートフィルム
一般式(II−D)
Figure 2006096023
(式中、R、RおよびRは水素原子または置換基を表す。R21、R22はそれぞれ独立に炭素数炭素数1〜4のアルキル基である。Xは炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。)
16.添加剤が1,3,5−トリアジン化合物であることを特徴とする1〜8及び12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
17.厚み方向のレターデーション値Rthが70乃至400nmの範囲であることを特徴とする上記1〜8及び12〜16のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
18.面内方向のレターデーション値Reが20nm以上200nm以下であり、1.05以上2.00以下の延伸倍率で延伸されていることを特徴とする上記1〜8及び12〜17のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
19.Rthレターデーション値が−20nm以上20nm以下であり、Reレターデーション値が5nm以下の、上記1〜8及び12〜16のセルロースアシレートフィルム
20.上記1〜8及び12〜19のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの上に、液晶性分子から形成された光学異方性層が設けられていることを特徴とする光学補償フィルム。
21.透明保護膜、偏光膜、透明支持体、及び液晶性分子から形成された光学的異方性層がこの順に積層されている偏光板であって、
透明支持体が上記1〜8及び12〜19のいずれかのセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
22.液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる偏光板であって、
該2枚の偏光板の内少なくとも1枚の偏光板が上記21に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
23.液晶セルが、TNモード、ベンド配向モードまたは垂直配向モードの液晶セルであることを特徴とする上記22に記載の液晶表示装置。
本発明の製造方法で得られたセルロースアシレートフィルムは、レターデーション値が高くかつフィルム面内での光学的な均一性に優れている。さらに、本発明のセルロースアシレートフィルムはカールが小さく加工適性に優れる。これらセルロースアシレートフィルムを支持体とする光学補償フィルム及び偏光板を用いた液晶表示装置は表示品質に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」及び「(数値1)乃至(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、「(メタ)アクリロイル」との記載は、「アクリロイル及びメタクリロイルの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
まず、本発明のセルロースアシレートに使用する添加剤について説明する。本発明の添加剤は分子量300以上の化合物が好ましく、分子量300以上2000以下の低分子化合物がより好ましく、350以上1500以下がさらに好ましい。
この範囲の分子量の化合物を用いることにより、乾燥工程における添加剤の拡散を適度に調節でき、エア面表面及び支持対面表面の添加剤存在量比を小さくすることができる。
また、本発明の添加剤は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.1乃至30質量部、好ましくは1乃至25質量部用いられる。この範囲で添加剤を用いることにより、その機能(レターデーション制御、可塑化、疎水化、紫外線吸収等)を有効に発揮させることができる。0.1質量部未満の使用では、効果が不足であり、30質量部を超えての使用は、添加剤がセルロースアシレートと相溶せず、フィルム中で結晶化あるいは相分離してしまう。
一般式(II)で表される化合物など安息香酸フェニルエステルのレターデーション上昇剤は、セルロースエステル100質量部に対して、0.01乃至20質量部、好ましくは0.5乃至10質量部用いられる。この範囲でレターデーション上昇剤を用いることにより、フィルムのレターデーションを適宜に制御することができる。0.01質量部未満の使用では、レターデーションの上昇が少なくレターデーションを抑制することができない。20質量部を超えての使用は、レターデーション上昇剤がセルロースエステルと相溶せず、フィルム中で結晶化してしまう。
また、本発明の添加剤のフィルム表面の存在量はエア面側と支持体面側でできるだけ釣り合いが取れていることが好ましい。バンドまたはドラム上での乾燥が均一に進むことによりブリードアウト等の問題がおきにくくなる、かつフィルムのカールも小さくなる。フィルム表面での存在量は飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により測定することができる。この方法によれば、気固界面からの1nm以下の最表面の添加剤存在量を定量することが可能である。さらに、添加剤起因のイオン強度とセルロースアシレート起因のイオン強度の相対比を取ることにより、イオン化効率等測定間のばらつきを補正して評価することが可能である。
本発明のセルロースアシレートフィルムのエア面表面と支持体面表面の各々の添加剤の存在比は、0.25<エア面存在量/支持体面存在量<4.0が好ましく、0.3<エア面存在量/支持体面存在量<3.0がさらに好ましく、0.5<エア面存在量/支持体面存在量<2.0が最も好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムのエア面表面と支持体面表面の全ての添加剤の存在量を合計したトータル存在量(全添加剤存在量)の比は、0.5<エア面トータル存在量/支持体面トータル存在量<1.75が好ましく、0.75<エア面トータル存在量/支持体面トータル存在量<1.5がさらに好ましい。
エア面表面の添加剤存在量/支持体面表面の添加剤存在量比のコントロールは可塑剤、紫外線吸収剤、疎水化剤等さまざまな機能の添加剤に対して有効であるが、分子の異方性が大きく相対的にセルロースアシレートと相溶しにくいレターデーション上昇剤に対して特に有効である。
次に本発明で用いられるレターデーション上昇剤について説明する。
[レターデーション上昇剤]
本発明では、下記一般式(II)で表される化合物など安息香酸フェニルエステルをレターデーション上昇剤として用いることが好ましい。一般式(II)で表される化合物は、棒状構造で分極率異方性が大きいためレターデーション発現性が高く、かつ安価に製造可能であり、好ましい。後述するセルロースアシレート溶液を流延する工程において、該溶液にセルロースアシレート100質量部に対して、レターデーション上昇剤として安息香酸フェニルエステルが0.01乃至20質量部含まれることが好ましい。
一般式(II)
Figure 2006096023
(式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。)
一般式(II)中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表し、置換基は後述の置換基Tが適用できる。
、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。好ましくはR、RまたはRのうちの1つが電子供与性基であり、Rが電子供与性基であることがより好ましい。
電子供与性基とはHammetのσ値が0以下のものを表し、Chem.Rev.,91,165(1991).記載のHammetのσ値が0以下のものが好ましく適用でき、より好ましくは−0.85〜0のものが用いられる。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基などが挙げられる。
電子供与性基として好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、より好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4である。)である。
として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、最も好ましくはメトキシ基である。
として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。最も好ましくはn−プロポキシ基、エトキシ基、メトキシ基である。
として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
、R、RおよびR10として好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子である。
は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
として好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アリールオキシ基であり、より好ましくは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4である。)であり、特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基である。
一般式(II)のうちより好ましくは下記一般式(II−A)である。
一般式(II−A)
Figure 2006096023
(式中、R11はアルキル基を表す。R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。)
一般式(II−A)中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ一般式(II)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(II−A)中、R11は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R11で表されるアルキル基は直鎖でも分岐があってもよく、また更に置換基を有してもよいが、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8アルキル基、更に好ましくは炭素数1〜6アルキル基、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる)を表す。
一般式(II)のうちより好ましくは下記一般式(II−B)である。
一般式(II−B)
Figure 2006096023
(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表す。R11は炭素数1〜12のアルキル基を表す。Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。)
一般式(II−B)中、R、R、R、R、R、R、R、R10は一般式(II)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(II−B)中、R11は一般式(II−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(II−B)中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。
、R、R、Rがすべて水素原子の場合には、Xとして好ましくはアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましくは、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4である。)であり、特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基である。
、R、R、Rのうち少なくとも1つが置換基の場合にはXとして好ましくはアルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、であり、より好ましくはアリール基(好ましくは炭素数6〜12)、シアノ基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜12)であり、更に好ましくはアリール基(好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、より好ましくはフェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニルである。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素2〜12、より好ましくは炭素数2〜6、更に好ましくは炭素数2〜4、特に好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルである。)、シアノ基であり、特に好ましくは、フェニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(II)のうち更に好ましくは下記一般式(1−C)である。
一般式(II−C)
Figure 2006096023
(式中、R、R、R、R、R11およびXは、一般式(II−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
一般式(II)で表される化合物の中で好ましいのは下記一般式(II−D)で表される化合物である。
一般式(II−D)
Figure 2006096023
(式中、R、RおよびRは一般式(II−C)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R21、R22はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基である。Xは炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、又はシアノ基である。)
21、は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基である。
22は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
は炭素数6〜12のアリール基、炭素2〜12アルコキシカルボニル基、又はシアノ基であり、好ましくは炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜6アルコキシカルボニル基、シアノ基であり、より好ましくはフェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、シアノ基であり、更に好ましくは、フェニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(II)のうち最も好ましくは下記一般式(II−E)である。
一般式(II−E)
Figure 2006096023
(式中、R、RおよびRは一般式(II−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様だが、いずれか1つは−OR13で表される基である(R13は炭素数1〜4のアルキル基である。)。R21、R22、Xは一般式(II−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
一般式(II−E)中、R、RおよびRは一般式(1−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様だが、いずれか1つは−OR13で表される基であり(R13は炭素数1〜4のアルキル基である。)、好ましくはR、Rが−OR13で表される基であり、より好ましくはRが−OR13で表される基である。
13は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(II)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
本発明の一般式(II)で表される化合物は置換安息香酸とフェノール誘導体の一般的なエステル反応によって合成でき、エステル結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体を脱水縮合する方法などがあげられる。
製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法が好ましい。
反応溶媒として炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、反応溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
本反応には塩基を用いないのが好ましく、塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
以下に本発明の化合物の合成法に関して具体的に記載するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
[合成例1:例示化合物A−1の合成]
3,4,5−トリメトキシ安息香酸24.6g(0.116モル)、トルエン100mL、N−N−ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル15.2g(0.127モル)をゆっくりと滴下し、2時間60℃で加熱した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール15.1g(0.127モル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、60℃で3時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物に、アセトニトリル100mLを加え、再結晶操作を行った。アセトニトリル溶液を室温まで冷却し、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を11.0g(収率11%)得た。なお、化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
H−NMR(CDCl)δ3.50(br,9H),7.37(d,2H),7.45(s,2H),7.77(s,2H)
マススペクトル:m/z 314(M+H)
得られた化合物の融点は172〜173℃であった。
[合成例2:例示化合物A−2の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸106.1g(0.5モル)、トルエン340mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル65.4g(0.55モル)をゆっくりと滴下し、2時間65〜70℃で加熱した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール71.5g(0.6モル)をアセトニトリル150mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で2時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル(1L)、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸マグネシウムで水分を除去した後、約500mLの溶媒を減圧留去し、メタノール1Lを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を125.4g(収率80%)得た。なお、化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
H−NMR(CDCl)δ3.91(s,3H),3.93(s,3H),3.98(s,3H),6.59(s,1H),7.35(d,2H),7.58(s,1H),7.74(d,2H)
マススペクトル:m/z 314(M+H)
得られた化合物の融点は116℃であった。
[合成例3:例示化合物A−3の合成]
2,3,4−トリメトキシ安息香酸10.1g(47.5ミリモル)、トルエン40mL、ジメチルホルムアミド0.5mLを80℃に加熱した後、塩化チオニル6.22g(52.3ミリモル)をゆっくりと滴下し、80℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール6.2g(52.3ミリモル)をアセトニトリル20mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で2時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、メタノール50mLを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を11.9g(収率80%)得た。なお、化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
H−NMR(CDCl):δ3.50(br,9H),7.37(d,2H),7.45(s,2H),7.77(s,2H)
マススペクトル:m/z 314(M+H)
得られた化合物の融点は102〜103℃であった。
[合成例4:例示化合物A−4の合成]
2,4,6−トリメトキシ安息香酸25.0g(118ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル15.4g(129ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール15.4g(129ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で4.5時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、メタノール500mL、アセトニトリル100mLを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を10.0g(収率27%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 314(M+H)
得られた化合物の融点は172〜173℃であった。
[合成例5:例示化合物A−5の合成]
2,3−ジメトキシ安息香酸15.0g(82.3ミリモル)、トルエン60mL、ジメチルホルムアミド0.5mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル10.7(90.5ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール10.8g(90.5ミリモル)をアセトニトリル30mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、70〜80℃で7時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、イソプロピルアルコール90mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を12.3g(収率53%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)
得られた化合物の融点は104℃であった。
[合成例6:例示化合物A−6の合成]
A−5における2,3−ジメトキシ安息香酸を2,4−ジメトキシ安息香酸に変更する以外は同様の方法で合成した。また化合物の同定はマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)
得られた化合物の融点は134〜136℃であった。
[合成例7:例示化合物A−7の合成]
2,5−ジメトキシ安息香酸25.0g(137ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1.0mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル18.0(151ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール18.0g(151ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、70〜80℃で7.5時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、飽和食塩水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(9/1、V/V))で精製操作を行い、白色の結晶として目的化合物を18.8g(収率48%)得た。また化合物の同定はマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)
得られた化合物の融点は79〜80℃であった。
[合成例8:例示化合物A−8の合成]
A−5における2,3−ジメトキシ安息香酸を2,6−ジメトキシ安息香酸に変更する以外は同様の方法で合成した。また化合物の同定はマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)
得られた化合物の融点は130〜131℃であった。
[合成例9:例示化合物A−11の合成]
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−クロロフェノール76.9gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。また化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
H−NMR(CDCl)δ3.90(s,3H),3.94(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),7.15(d,2H),7.37(d,2H),7.56(s,1H)
マススペクトル:m/z 323(M+H)
得られた化合物の融点は127〜129℃であった。
[合成例10:例示化合物A−12の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸45.0g(212ミリモル)、トルエン180mL、ジメチルホルムアミド1.8mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル27.8g(233ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2.5時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−ヒドロキシ安息香酸メチル35.4g(233ミリモル)をジメチルホルムアミド27mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール270mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を64.5g(収率88%)得た。また化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
H−NMR(CDCl)δ3.95(m,9H),3.99(s,3H),6.57(s,1H),7.28(d,2H),7.57(s,1H)8.11(d,2H)
マススペクトル:m/z 347(M+H)
得られた化合物の融点は121〜123℃であった。
[合成例11:例示化合物A−13の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸20.0g(94.3ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル12.3g(104ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール17.7g(104ミリモル)をトルエン150mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール250mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を21.2g(収率62%)得た。また化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
H−NMR(CDCl)δ3.93(s,3H),3.96(s,3H),3.99(s,3H),6.59(s,1H),7.26−7.75(m,10H)
マススペクトル:m/z 365(M+H)
得られた化合物の融点は131−132℃であった。
[合成例12:例示化合物A−14の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸12.9g(61ミリモル)、トルエン50mL、ジメチルホルムアミド0.6mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル8.0g(67ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール17.7g(104ミリモル)をアセトニトリル25mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を21.6g(収率93%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 381(M+H)
得られた化合物の融点は91〜92℃であった。
[合成例13:例示化合物A−15の合成]
A−2における4−シアノフェノール71.5gをフェノール56.4gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。なお、化合物の同定はH−NMRおよびマススペクトルにより行った。
H−NMR(CDCl)δ3.91(s,3H),3.93(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),7.19−7.27(m,3H),7.42(m,2H),7.58(s,1H)
得られた化合物の融点は105〜108℃であった。
マススペクトル:m/z 289(M+H)
[合成例14:例示化合物A−16の合成]
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−メトキシフェノール74.4gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得ることができる。なお、化合物の同定はH−NMRおよびマススペクトルにより行った。
H−NMR(CDCl)δ3.84(s,3H),3.92(s,3H),3.93(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),6.92(d,2H),7.12(d,2H),7.42(m,2H),7.58(s,1H)
マススペクトル:m/z 319(M+H)
得られた化合物の融点は102〜103℃であった。
[合成例15:例示化合物A−17の合成]
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−エチルフェノール73.3gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 317(M+H)
得られた化合物の融点は70〜71℃であった。
[合成例16:例示化合物A−24の合成]
4−エトキシ安息香酸27.3g(164ミリモル)、トルエン108mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル21.5g(181ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−エトキシフェノール25.0g(181ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で4時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を30.6g(収率65%)得た。なお、化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
H−NMR(CDCl)δ1.48−1.59(m,6H),4.05(q,2H),4.10(q,2H),6.89−7.00(m,4H),7.10(d,2H),8.12(d,2H)
マススペクトル:m/z 287(M+H)
得られた化合物の融点は113〜114℃であった。
[合成例17:例示化合物A−25の合成]
4−エトキシ安息香酸24.7g(149ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル19.5g(164ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−プロポキシフェノール25.0g(165ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で4時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、得られた固体にメタノール100mLを加え再結晶操作を行い、得られた結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を33.9g(収率76%)得た。なお、化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
H−NMR(CDCl)δ1.04(t,3H),1.45(t,3H),1.82(q,2H),3.93(q,2H),4.04(q,2H),6.89−7.00(m,4H),7.10(d,2H),8.12(d,2H)
マススペクトル:m/z 301(M+H)
得られた化合物の融点は107℃であった。
[合成例18:例示化合物A−27の合成]
A−24の合成法における4−エトキシ安息香酸27.3gを4−プロポキシ安息香酸29.5gに変更する以外は同様の方法で合成した。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 301(M+H)
得られた化合物の融点は88〜89℃であった。
[合成例19:例示化合物A−28の合成]
A−25の合成法における4−エトキシ安息香酸24.7gを4−プロポキシ安息香酸26.8gに変更する以外は同様の方法で合成した。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 315(M+H)
得られた化合物の融点は92℃であった。
[合成例20:例示化合物A−40の合成]
2,4−ジメトキシ安息香酸20.0g(109ミリモル)、トルエン80mL、ジメチルホルムアミド0.8mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル14.4g(121ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール20.5g(121ミリモル)をジメチルホルムアミド50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で6時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を31.7g(収率86%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 335(M+H)
得られた化合物の融点は161〜162℃であった。
[合成例21:例示化合物A−42の合成]
2,4−ジメトキシ安息香酸30.0g(165ミリモル)、トルエン120mL、ジメチルホルムアミド1.2mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル21.6g(181ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−フヒドロキシ安息香酸メチル27.6g(181ミリモル)をジメチルホルムアミド40mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で6時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール140mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を24.4g(収率47%)得た。なお、化合物の同定はH−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
H−NMR(CDCl)δ3.92(m,9H),6.56(m,2H),7.27(m,2H),8.09(m,3H)
マススペクトル:m/z 317(M+H)
得られた化合物の融点は122〜123℃であった。
また、一般式(II)で表される化合物など安息香酸フェニルエステルのレターデーション上昇剤と共にUV吸収剤を併用してもよい。UV吸収剤の使用量はレターデーション上昇剤に対して質量比で10%以下が好ましく、3%以下がさらに好ましい。
上記一般式(II)で表される化合物などの安息香酸フェニルエステルの他、レターデーション上昇剤として下記の一般式(I)で表されるトリアジン化合物を用いることもできる。レターデーション上昇剤として一般式(I)で表されるトリアジン化合物を用いる場合、該化合物の使用量は、上記一般式(II)で表される化合物などの安息香酸フェニルエステルの場合と同様であってよい。
上記一定のレターデーション上昇剤の存在比のセルロースアシレートフィルムに、レターデーション上昇剤として用いることができるトリアジン化合物は、下記一般式(I)で表される化合物である。この化合物は、平面性の高い分子構造を有しているためレターデーション発現性が高く、かつ安価に製造可能である。
一般式(I)
Figure 2006096023
上記一般式(I)中:
12は、各々独立に、オルト位、メタ位およびパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環または複素環を表す。
11は、各々独立に、単結合または−NR13−を表す。ここで、R13は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
12が表す芳香族環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R12が表す芳香族環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有してもよい。前記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。
12が表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
11が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
Figure 2006096023
一般式(I)中、X11は単結合または−NR13−を表す。R13は独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
13が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
13が表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
13が表す芳香族環基および複素環基は、R12が表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR12の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
一般式(I)で表されるレターデーション上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。
また、一般式(I)で表されるレターデーション上昇剤と共にUV吸収剤を併用してもよい。UV吸収剤の使用量は一般式(I)で表されるレターデーション上昇剤に対して質量比で10%以下が好ましく、3%以下がさらに好ましい。
以下に本発明で使用される一般式(I)で表されるレターデーション上昇剤の具体例を示す。各例に示す複数のRは、同一の基を意味する。Rの定義は具体例番号と共に式の後に示す。
Figure 2006096023
(1)フェニル
(2)3−エトキシカルボニルフェニル
(3)3−ブトキシフェニル
(4)m−ビフェニリル
(5)3−フェニルチオフェニル
(6)3−クロロフェニル
(7)3−ベンゾイルフェニル
(8)3−アセトキシフェニル
(9)3−ベンゾイルオキシフェニル
(10)3−フェノキシカルボニルフェニル
(11)3−メトキシフェニル
(12)3−アニリノフェニル
(13)3−イソブチリルアミノフェニル
(14)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(15)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(16)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(17)3−メチルフェニル
(18)3−フェノキシフェニル
(19)3−ヒドロキシフェニル
(20)4−エトキシカルボニルフェニル
(21)4−ブトキシフェニル
(22)p−ビフェニリル
(23)4−フェニルチオフェニル
(24)4−クロロフェニル
(25)4−ベンゾイルフェニル
(26)4−アセトキシフェニル
(27)4−ベンゾイルオキシフェニル
(28)4−フェノキシカルボニルフェニル
(29)4−メトキシフェニル
(30)4−アニリノフェニル
(31)4−イソブチリルアミノフェニル
(32)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(33)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(34)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(35)4−メチルフェニル
(36)4−フェノキシフェニル
(37)4−ヒドロキシフェニル
(38)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(39)3,4−ジブトキシフェニル
(40)3,4−ジフェニルフェニル
(41)3,4−ジフェニルチオフェニル
(42)3,4−ジクロロフェニル
(43)3,4−ジベンゾイルフェニル
(44)3,4−ジアセトキシフェニル
(45)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(46)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(47)3,4−ジメトキシフェニル
(48)3,4−ジアニリノフェニル
(49)3,4−ジメチルフェニル
(50)3,4−ジフェノキシフェニル
(51)3,4−ジヒドロキシフェニル
(52)2−ナフチル
(53)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(54)3,4,5−トリブトキシフェニル
(55)3,4,5−トリフェニルフェニル
(56)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(57)3,4,5−トリクロロフェニル
(58)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(59)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(60)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(61)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(62)3,4,5−トリメトキシフェニル
(63)3,4,5−トリアニリノフェニル
(64)3,4,5−トリメチルフェニル
(65)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(66)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
Figure 2006096023
(67)フェニル
(68)3−エトキシカルボニルフェニル
(69)3−ブトキシフェニル
(70)m−ビフェニリル
(71)3−フェニルチオフェニル
(72)3−クロロフェニル
(73)3−ベンゾイルフェニル
(74)3−アセトキシフェニル
(75)3−ベンゾイルオキシフェニル
(76)3−フェノキシカルボニルフェニル
(77)3−メトキシフェニル
(78)3−アニリノフェニル
(79)3−イソブチリルアミノフェニル
(80)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(81)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(82)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(83)3−メチルフェニル
(84)3−フェノキシフェニル
(85)3−ヒドロキシフェニル
(86)4−エトキシカルボニルフェニル
(87)4−ブトキシフェニル
(88)p−ビフェニリル
(89)4−フェニルチオフェニル
(90)4−クロロフェニル
(91)4−ベンゾイルフェニル
(92)4−アセトキシフェニル
(93)4−ベンゾイルオキシフェニル
(94)4−フェノキシカルボニルフェニル
(95)4−メトキシフェニル
(96)4−アニリノフェニル
(97)4−イソブチリルアミノフェニル
(98)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(99)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(100)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(101)4−メチルフェニル
(102)4−フェノキシフェニル
(103)4−ヒドロキシフェニル
(104)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(105)3,4−ジブトキシフェニル
(106)3,4−ジフェニルフェニル
(107)3,4−ジフェニルチオフェニル
(108)3,4−ジクロロフェニル
(109)3,4−ジベンゾイルフェニル
(110)3,4−ジアセトキシフェニル
(111)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(112)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(113)3,4−ジメトキシフェニル
(114)3,4−ジアニリノフェニル
(115)3,4−ジメチルフェニル
(116)3,4−ジフェノキシフェニル
(117)3,4−ジヒドロキシフェニル
(118)2−ナフチル
(119)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(120)3,4,5−トリブトキシフェニル
(121)3,4,5−トリフェニルフェニル
(122)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(123)3,4,5−トリクロロフェニル
(124)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(125)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(126)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(127)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(128)3,4,5−トリメトキシフェニル
(129)3,4,5−トリアニリノフェニル
(130)3,4,5−トリメチルフェニル
(131)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(132)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
Figure 2006096023
(133)フェニル
(134)4−ブチルフェニル
(135)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(136)4−(5−ノネニル)フェニル
(137)p−ビフェニリル
(138)4−エトキシカルボニルフェニル
(139)4−ブトキシフェニル
(140)4−メチルフェニル
(141)4−クロロフェニル
(142)4−フェニルチオフェニル
(143)4−ベンゾイルフェニル
(144)4−アセトキシフェニル
(145)4−ベンゾイルオキシフェニル
(146)4−フェノキシカルボニルフェニル
(147)4−メトキシフェニル
(148)4−アニリノフェニル
(149)4−イソブチリルアミノフェニル
(150)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(151)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(152)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(153)4−フェノキシフェニル
(154)4−ヒドロキシフェニル
(155)3−ブチルフェニル
(156)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(157)3−(5−ノネニル)フェニル
(158)m−ビフェニリル
(159)3−エトキシカルボニルフェニル
(160)3−ブトキシフェニル
(161)3−メチルフェニル
(162)3−クロロフェニル
(163)3−フェニルチオフェニル
(164)3−ベンゾイルフェニル
(165)3−アセトキシフェニル
(166)3−ベンゾイルオキシフェニル
(167)3−フェノキシカルボニルフェニル
(168)3−メトキシフェニル
(169)3−アニリノフェニル
(170)3−イソブチリルアミノフェニル
(171)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(172)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(173)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(174)3−フェノキシフェニル
(175)3−ヒドロキシフェニル
(176)2−ブチルフェニル
(177)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(178)2−(5−ノネニル)フェニル
(179)o−ビフェニリル
(180)2−エトキシカルボニルフェニル
(181)2−ブトキシフェニル
(182)2−メチルフェニル
(183)2−クロロフェニル
(184)2−フェニルチオフェニル
(185)2−ベンゾイルフェニル
(186)2−アセトキシフェニル
(187)2−ベンゾイルオキシフェニル
(188)2−フェノキシカルボニルフェニル
(189)2−メトキシフェニル
(190)2−アニリノフェニル
(191)2−イソブチリルアミノフェニル
(192)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(193)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(194)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(195)2−フェノキシフェニル
(196)2−ヒドロキシフェニル
(197)3,4−ジブチルフェニル
(198)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(199)3,4−ジフェニルフェニル
(200)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(201)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(202)3,4−ジメチルフェニル
(203)3,4−ジクロロフェニル
(204)3,4−ジベンゾイルフェニル
(205)3,4−ジアセトキシフェニル
(206)3,4−ジメトキシフェニル
(207)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(208)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(209)3,4−ジフェノキシフェニル
(210)3,4−ジヒドロキシフェニル
(211)3,5−ジブチルフェニル
(212)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(213)3,5−ジフェニルフェニル
(214)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(215)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(216)3,5−ジメチルフェニル
(217)3,5−ジクロロフェニル
(218)3,5−ジベンゾイルフェニル
(219)3,5−ジアセトキシフェニル
(220)3,5−ジメトキシフェニル
(221)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(222)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(223)3,5−ジフェノキシフェニル
(224)3,5−ジヒドロキシフェニル
(225)2,4−ジブチルフェニル
(226)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(227)2,4−ジフェニルフェニル
(228)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(229)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(230)2,4−ジメチルフェニル
(231)2,4−ジクロロフェニル
(232)2,4−ジベンゾイルフェニル
(233)2,4−ジアセトキシフェニル
(234)2,4−ジメトキシフェニル
(235)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(236)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(237)2,4−ジフェノキシフェニル
(238)2,4−ジヒドロキシフェニル
(239)2,3−ジブチルフェニル
(240)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(241)2,3−ジフェニルフェニル
(242)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(243)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(244)2,3−ジメチルフェニル
(245)2,3−ジクロロフェニル
(246)2,3−ジベンゾイルフェニル
(247)2,3−ジアセトキシフェニル
(248)2,3−ジメトキシフェニル
(249)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(250)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(251)2,3−ジフェノキシフェニル
(252)2,3−ジヒドロキシフェニル
(253)2,6−ジブチルフェニル
(254)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(255)2,6−ジフェニルフェニル
(256)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(257)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(258)2,6−ジメチルフェニル
(259)2,6−ジクロロフェニル
(260)2,6−ジベンゾイルフェニル
(261)2,6−ジアセトキシフェニル
(262)2,6−ジメトキシフェニル
(263)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(264)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(265)2,6−ジフェノキシフェニル
(266)2,6−ジヒドロキシフェニル
(267)3,4,5−トリブチルフェニル
(268)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(269)3,4,5−トリフェニルフェニル
(270)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(271)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(272)3,4,5−トリメチルフェニル
(273)3,4,5−トリクロロフェニル
(274)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(275)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(276)3,4,5−トリメトキシフェニル
(277)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(278)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(279)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(280)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(281)2,4,6−トリブチルフェニル
(282)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(283)2,4,6−トリフェニルフェニル
(284)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(285)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(286)2,4,6−トリメチルフェニル
(287)2,4,6−トリクロロフェニル
(288)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(289)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(290)2,4,6−トリメトキシフェニル
(291)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(292)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(293)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(294)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(295)ペンタフルオロフェニル
(296)ペンタクロロフェニル
(297)ペンタメトキシフェニル
(298)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(299)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(300)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(301)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(302)3−メトキシ−2−ナフチル
(303)1−エトキシ−2−ナフチル
(304)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(305)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(306)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(307)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(308)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(309)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(310)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(311)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(312)2−メトキシ−1−ナフチル
(313)4−フェノキシ−1−ナフチル
(314)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(315)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(316)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(317)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(318)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(319)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(320)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(321)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(322)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(323)メチル
(324)エチル
(325)ブチル
(326)オクチル
(327)ドデシル
(328)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(329)ベンジル
(330)4−メトキシベンジル
Figure 2006096023
(331)メチル
(332)フェニル
(333)ブチル
Figure 2006096023
本発明のレターデーション上昇剤としては、下記一般式(IV)で表される化合物も好ましく用いることができる。
レターデーション上昇剤として、一般式(IV)で表される化合物を用いる場合、該化合物の使用量は上記一般式(II)で表される化合物などの安息香酸フェニルエステルの場合と同様であってよい。
Figure 2006096023
式中、Ar1、Ar2、Ar3はアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L1、L2は単なる結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていても良い。
前記一般式(IV)で表される化合物が下記一般式(V)で表される化合物はさらに好ましい。
Figure 2006096023
式中、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R51、R52、R53およびR54は水素原子または置換基を表す。Ar2はアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L2、L3は単なる結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていても良い。
まず、本発明一般式(IV)で表される化合物に関して詳細に説明する。
一般式(IV)中、Ar1、Ar2、Ar3はアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L1、L2は単なる結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていても良い。
Ar1、Ar2、Ar3はアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、Ar1、Ar2、Ar3で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(IV)中、Ar1、Ar2、Ar3で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。
一般式(IV)中、Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族ヘテロ環としては酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であればいずれのヘテロ環でもよいが、好ましくは5ないし6員環の酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(IV)中、Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
一般式(1)中、L1、L2は単なる結合、または2価の連結基を表し、2価の連結基の例として好ましくは、−NR47−(R47は水素原子、置換基を有していても良いアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、−SO−、−CO−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−SO−およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−CO−、−SONR47−、−NR47SO−、−CONR47−、−NR47CO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基であり、最も好ましくは−CONR47−、−NR47CO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基である。
本発明の一般式(IV)で表される化合物において、Ar2はL1およびL2と結合するがAr2がフェニレン基である場合、L1-Ar2-L2、およびL2-Ar2-L2は互いにパラ位(1,4-位)の関係にあることが最も好ましい。
nは3以上の整数を表し、好ましくは3ないし7であり、より好ましくは3ないし5である。
一般式(IV)のうち好ましくは一般式(V)であり、ここで一般式(V)について詳しく説明する。
R41、R42、R43、R44、R45、R46、R51、R52、R53およびR54はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Ar2はアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L2、L3は単なる結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていても良い。
Ar2、L2、およびnは一般式(1)の例と同一であり、L3は単なる結合、または2価の連結基を表し、2価の連結基の例として好ましくは、−NR47−(R47は水素原子、置換基を有していても良いアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−、およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR47−、−NR47SO−、および−NR47CO−である。
R41、R42、R43、R44、R45およびR46はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基など)、炭素数6〜12のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
R51、R52、R53およびR54はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基)である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2-エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、
アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、
アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイルベンゾイル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(1)および一般式(2)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
Figure 2006096023
エア面表面の添加剤存在量/支持体表面の添加剤存在量比のコントロールのもうひとつの有効な例は、下記一般式(III)で表されるレターデーション低下剤である。
Figure 2006096023
上記一般式(III)において、R31はアルキル基またはアリール基を表し、R32およびR33は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R31、R32およびR33の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t-オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。また、本発明において、一般式(III)で表される化合物の添加量は、セルロースアシレートに対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがさらに好ましく、2〜20質量%であることが特に好ましい。一般式(II)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006096023
次に本発明の製造の対象であり、かつ光学補償フィルム、偏光板で使用するセルロースアシレートフィルムについて詳しく説明する。
[セルロースアシレート]
本発明に用いるセルロースアシレートとしては、セルロースの低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)、4(セルロースブチレート)であることが好ましい。
なかでも、セルロースアセテートが特に好ましい。また、セルロースアセテートプロピオネートとセルロースアセテートブチレートとが混在するような混合脂肪酸のセルロースアシレートを用いてもよい。更には、セルロースベンゾエートのようなセルロース芳香族酸エステルや、セルロースアセテートベンゾエートとセルロースプロピオネートベンゾエートとが混在するような脂肪族酸と芳香族酸との混合酸のセルロースアシレートを用いてもよい。
このうち酢化度が59.0乃至61.5%の範囲にあるセルロースアセテートを使用することが特に好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)で示される分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値は、1.0乃至1.7の範囲にあることが好ましく、1.3乃至1.65の範囲にあることがさらに好ましく、1.4乃至1.6の範囲にあることが最も好ましい。
[セルロースアセテートフィルムの製造]
本発明のセルロースアセテートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上記した好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で、セルロースアセテート溶液を調製することができる。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保持する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造する。ドープには前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
本発明では、ドープ(セルロースアシレート溶液)をバンド上に流延する場合、剥ぎ取り前乾燥の前半において10秒以上90秒以下、好ましくは15秒以上90秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を行う。また、ドラム上に流延する場合、剥ぎ取り前乾燥の前半において1秒以上10秒以下、好ましくは2秒以上5秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を行う。
本発明において、「剥ぎ取り前乾燥」とはバンドもしくはドラム上にドープが塗布されてからフィルムとして剥ぎ取られるまでの乾燥を指すものとする。また、「前半」とはドープ塗布から剥ぎ取りまでに要する全時間の半分より前の工程を指すものとする。「実質的に無風」であるとは、バンド表面もしくはドラム表面から200mm以内の距離において0.5m/s以上の風速が検出されない(風速が0.5m/s未満である)ことである。
剥ぎ取り前乾燥の前半は、バンド上の場合通常30〜300秒程度の時間であるが、その内の10秒以上90秒以下、好ましくは15秒以上90秒以下の時間、無風で乾燥する。ドラム上の場合は通常5〜30秒程度の時間であるが、その内の1秒以上10秒以下、好ましくは2秒以上5秒以下の時間、無風で乾燥する。雰囲気温度温度は0℃〜180℃が好ましく、40℃〜150℃がさらに好ましい。無風で乾燥する操作は剥ぎ取り前乾燥の前半の任意の段階で行うことができるが、好ましくは流延直後から行うことが好ましい。無風で乾燥する時間が、バンド上の場合に10秒未満(ドラム上の場合に1秒未満)であると、添加剤がフィルム内に均一に分布することが難しく、90秒を超えると(ドラム上の場合10秒を超えると)乾燥不十分で剥ぎ取られことになり、フィルムの面状が悪化する。
剥ぎ取り前乾燥における無風で乾燥する以外の時間は、は不活性ガスを送風することにより乾燥を行なうことができる。このときの風温は0℃〜180℃が好ましく、40℃〜150℃がさらに好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調整したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて二層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10乃至40%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
二層以上の複数のセルロースアセテート液を流延する場合、複数のセルロースアセテート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および、特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによってもフィルム化することもできる。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押し出すセルロースアセテートフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、二個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアセテート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアセテート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアセテート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアセテート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアセテートフィルムには機械的物性を改良するために、以下の可塑剤を用いることができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレートの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアセテートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、効果の発現及びフィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)の抑制の観点から、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
[二軸延伸]
セルロースアセテートフィルムは、仮想歪みを低減させるために、延伸処理しても構わない。延伸することにより、延伸方向の仮想歪みが低減できるので、面内すべての方向で歪みを低減するために二軸延伸をおこなってもよい。
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、5乃至50%の範囲にあることが好ましく、10乃至40%の範囲にあることがさらに好ましく、15乃至35%の範囲にあることが最も好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明に用いるセルロースアセテートフィルムの製造に用いる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
[セルロースアセテートフィルムの表面処理]
セルロースアセテートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましい。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光子との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましい。
以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
セルロースアセテートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオン濃度は0.1乃至3.0モル/リットルの範囲にあることが好ましく、0.5乃至2.0モル/リットルの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲にあることが好ましく、40乃至70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアセテートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアセテートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
[フィルムのレターデーション]
本明細書において、Re、Rthは各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
本発明のセルロースアシレートフィルムは偏光板の保護フィルムとして用いられ、特に、様々な液晶モードに対応した位相差フィルムとしても好ましく用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムを位相差フィルムとして用いる場合、セルロースアシレートフィルムの好ましい光学特性は液晶モードによって異なる。
OCBモード用としては、Reは10〜100のものが好ましく、20〜70のものがさらに好ましい。Rthは50〜300のものが好ましく100〜250のものがさらに好ましい。
VAモード用としてはReは20〜150のものが好ましく、30〜120のものがさらに好ましい。Rthは50〜300のものが好ましく120〜250のものがさらに好ましい。
また、TN用としてはReは0〜50のものが好ましく、2〜30のものがさらに好ましい。Rthは10〜200のものが好ましく30〜150のものがさらに好ましい。
また、IPS用としてはReは0〜5のものが好ましく、0〜2のものがさらに好ましい。Rthは−20〜20のものが好ましく−10〜10のものがさらに好ましい。
OCB用モード及びTN用モードでは前記レターデーション値を有するセルロースアシレートフィルム上に光学異方性層を塗布して光学補償フィルムとして使用できる。
なお、セルロースアシレートフィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00乃至〜0.002μmの範囲にあることが好ましい。また、支持体フィルムおよび対向フィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.00乃至〜0.04の範囲にあることが好ましい。
[光弾性]
本発明のセルロースアシレートの光弾性係数は60×10−8cm/N以下が好ましく、20×10−8cm/N以下がさらに好ましい。光弾性係数はエリプソメーターにより求めることができる。
[ガラス転移温度]
本発明のセルロースアシレートのガラス転移温度は120℃以上が好ましく、更に140℃以上が好ましい。ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めたものである。
次に本発明の偏光板について詳しく説明する。
(偏光板の構成)
まず、本発明の偏光板を構成する保護フィルム、偏光子について説明する。
本発明の偏光板は、偏光子や保護フィルム以外にも、粘着剤層、セパレートフィルム、保護フィルムを構成要素として有していても構わない。
(1)保護フィルム
本発明の偏光板は偏光子の両側に1ずつ合計2枚の保護フィルムを有し、少なくとも1枚は本発明のセルロースアシレートフィルムである。また、2枚の保護フィルムのうち、少なくとも一枚は位相差フィルムとしての機能を合わせてもつことが好ましい。液晶表示装置に本発明の偏光板を用いる場合、液晶セルの両側に配置される二枚の偏光板の少なくとも一方が、本発明の偏光板であることが好ましい。
本発明において用いられる保護フィルムはノルボルネン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルフォン、セルロースアシレートなどから製造されたポリマーフィルムであることが好ましく、セルロースアシレートフィルムであることが最も好ましい。
(2)偏光子
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
PVAは、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許2978219号に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号公報に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号、特開平09−328593号、特開2001−302817号、特開2002−144401号を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号公報に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの複屈折(Δn)は小さいことが好ましく、特許第3342516号公報に記載されている複屈折が1.0×10−3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号公報に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよいし、特開2002−060505号公報に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003以上0.01以下としてもよい。PVAフィルムのレターデーション(面内)は0nm以上100nm以下が好ましく、0nm以上50nm以下がさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(膜厚方向)は0nm以上500nm以下が好ましく、0nm以上300nm以下がさらに好ましい。
この他、本発明の偏光板には、特許3021494号公報に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号公報に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度範囲が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部したり、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開2002−236212号公報に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子は、I やI などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているように、ヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液およびホウ酸水溶液の少なくともいずれかの液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、 C.I.Direct Blue 90、 C.I.Direct Blue 22、 C.I.Direct Blue 1、 C.I.Direct Blue 151、 C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、 C.I.Direct Red 23、 C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red 31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、 C.I.Direct Violet 9、 C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、偏光度及び単板透過率を高く維持する観点から、通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%から5質量%の範囲に調整される。
偏光子の好ましい膜厚としては、5μm乃至〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm乃至〜30μmである。偏光子の厚さと後述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号公報に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16の範囲とすることも好ましい。
保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸の交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
(偏光板の製造工程)
次に、本発明の偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃以上60℃以下、5秒以上2000秒以下が好ましい。
染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストな偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/l、ヨウ化カリウムは3〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/l、ヨウ化カリウムは30〜120g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号公報に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加しても良い。
硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号公報に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/l、ヨウ化カリウムは1〜120g/l、塩化亜鉛は0.01〜10g/l、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/l、ヨウ化カリウムは5〜100g/l、塩化亜鉛は0.02〜8g/l、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
延伸工程は、米国特許2、454、515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍以上12倍以下であり、さらに好ましくは3倍以上10倍以下である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号公報に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
保護フィルム貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護フィルムで貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護フィルムを重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426号公報及び特開2002−86554号公報に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
偏光子と保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01乃至〜5μmが好ましく、0.05乃至〜3μmが特に好ましい。
また、偏光子と保護フィルムの接着力を向上させるために、保護フィルムを表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、アルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けても良い。特開2002−267839号に記載されているように保護フィルム表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号公報に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m、ホウ素0.1〜5.0g/m、カリウム0.1〜2.00g/m、亜鉛0〜2.00g/mであることが好ましい。また、カリウム含有量は特開2001−166143号に記載されているように0.2質量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開2000−035512号公報に記載されている0.04質量%〜0.5質量%としてもよい。
特許第3323255号公報に記載されているように、偏光板の寸法安定性をあげるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加しても良い。
(偏光板の特性)
(1)透過率および偏光度
本発明の偏光板の好ましい単板透過率は42.5%以上49.5%以下であるが、さらに好ましくは42.8%以上49.0%以下である。式1で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%以上99.999%以下であり、さらに好ましくは99.940%以上99.995%以下である。平行透過率の好ましい範囲は36%以上42%以下であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%以上0.05%以下である。式2で定義される二色性比の好ましい範囲は48以上1215以下であるが、さらに好ましくは53以上525以下である。
Figure 2006096023
Figure 2006096023
上述の透過率はJISZ8701に基づいて、下記数式3で定義される。
Figure 2006096023
ここで、K、S(λ)、y(λ)、τ(λ)は以下の通りである。
Figure 2006096023
S(λ):色の表示に用いる標準光の分光分布
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
ヨウ素濃度と単板透過率は特開2002−258051号公報に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開2001−083328号公報や特開2002−022950号公報に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号公報に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率の関係は、特開2002−174728号公報に記載されている範囲内であってもよい。
特開2002−221618号公報に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002−258042号公報や特開2002−258043号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(2)色相
本発明の偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL表色系における明度指数Lおよびクロマティクネス指数aとbを用いて好ましく評価される。
、a、bは、上述のX、Y、Zを用い使って式5で定義される。
Figure 2006096023
ここでX、Y、Zは、照明光源の三刺激値を表し、標準光Cの場合、X=98.072、Y=100、Z=118.225であり、標準光D65の場合、X=95.045、Y=100、Z=108.892である。
偏光板単枚の好ましいaの範囲は−2.5以上0.2以下であり、さらに好ましくは−2.0以上0以下である。偏光板単枚の好ましいbの範囲は1.5以上5以下であり、さらに好ましくは2以上4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のaの好ましい範囲は−4.0以上0以下であり、さらに好ましくは−3.5以上−0.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のbの好ましい範囲は2.0以上8以下であり、さらに好ましくは2.5以上7以下である。2枚の偏光板の直交透過光のaの好ましい範囲は−0.5以上1.0以下であり、さらに好ましくは0以上2以下である。2枚の偏光板の直交透過光のbの好ましい範囲は−2.0以上2以下であり、さらに好ましくは−1.5以上0.5以下である。
色相は、前述のX、Y、Zから算出される色度座標(x,y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(x、y)と直交透過光の色度(x、y)は、特開2002−214436号公報、特開2001−166136号公報や特開2002−169024号公報に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度の関係を特開2001−311827号公報に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
(3)視野角特性
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40度の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号公報や特開2001−166137号公報に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号公報に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T)を10000以下としたり、特開2002−139625号公報に記載されているように、偏光板に法線から仰角80度までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号公報に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(4)耐久性
(4−1)湿熱耐久性
60℃、95%RHの雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号公報に記載されているように80℃、90%RH、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
(4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06−167611号公報に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値及びy値が特開平10−068818号公報に記載されている範囲内としたり、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm−1及び157cm−1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号公報や特開平09−197127号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(5)配向度
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2乃至〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号公報に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と染料分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号公報に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数が0.65〜0.85としたり、I やI5 の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8乃至〜1.0と1.0とすることも好ましく行うことができる。
(6)その他の特性
特開2002−006133号公報に記載されているように、80℃30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力が4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号公報に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率及び偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号公報に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号公報に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さが中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号公報に記載されているように透過軸方向の屈折率nを1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(偏光板の機能化)
本発明の偏光板は、LCDの視野角拡大フィルム、反射型LCDに適用するためのλ/4板等の位相差フィルム、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
本発明の偏光板と上述の機能性光学フィルムを複合した構成例を図1に示した。偏光板5の片側の保護フィルムとして機能性光学フィルム3と偏光子2を粘着層を介して接着しても良いし(図1(A))、偏光子2の両面に保護フィルム1a、1bを設けた偏光板5に粘着層4を介して機能性光学フィルム3を接着しても良い(図1(B))。前者の場合、もう一方の保護フィルム1には任意の透明保護フィルムを使用してもよい。また、本発明の偏光板においては、保護フィルムに光学機能層を粘着層を介して貼り合わせ、機能性光学フィルム3として、図1(A)の構成とすることも好ましい。機能層や保護フィルム等の各層間の剥離強度は特開2002−311238号公報に記載されている4.0N/25mm以上とすることも好ましい。機能性光学フィルムは、目的とする機能に応じて液晶モジュール側に配置したり、液晶モジュールとは反対側、すなわち表示側もしくはバックライト側に配置することが好ましい。
以下に本発明の偏光板と複合して使用される機能性光学フィルムについて説明する。
(1)視野角拡大フィルム
本発明の偏光板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに提案されている視野角拡大フィルムと組み合わせて使用することができる。
TNモード用の視野角拡大フィルムとしては、日本印刷学会誌第36巻第3号(1999)p.40〜44、月刊ディスプレイ8月号(2002)p.20〜24、特開平4−229828、特開平6−75115、特開平6−214116号、特開平8−50206等に記載されたWVフィルム(富士写真フィルム(株)製)を好ましく組み合わせて使用される。
TNモード用の視野角拡大フィルムの好ましい構成は、前述の透明なポリマーフィルム上に配向層と光学異方性層をこの順に有したものである。視野角拡大フィルムは粘着剤を介して偏光板と貼合され、用いられてよいが、SID’00 Dig.、p.551(2000)に記載されているように、前記偏光子の保護フィルムの一方も兼ねて使用されることが薄手化の観点から特に好ましい。
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向層も知られているが、ポリマーのラビング処理により形成する配向層が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより好ましく実施される。偏光子の吸収軸方向とラビング方向は実質的に平行であることが好ましい。配向層に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー等を好ましく使用することができる。配向層の厚さは0.01乃至〜5μmであることが好ましく、0.05乃至〜2μmであることがさらに好ましい。
光学異方性層は液晶性化合物を含有していることが好ましい。本発明に使用される液晶性化合物はディスコティック化合物(ディスコティック液晶)を有していることが特に好ましい。ディスコティック液晶分子は、D−1のトリフェニレン誘導体のように円盤状のコア部を有し、そこから放射状に側鎖が伸びた構造を有している。また、経時安定性を付与するため、熱、光等で反応する基をさらに導入することも好ましく行われる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載されている。
Figure 2006096023
ディスコティック液晶分子は、配向層付近ではラビング方向にプレチルト角を持ってほぼフィルム平面に平行に配向しており、反対の空気面側ではディスコティック液晶分子が面に垂直に近い形で立って配向している。ディスコティック液晶層全体としては、ハイブリッド配向を取っており、この層構造によってTNモードのTFT−LCDの視野角拡大を実現することができる。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向層上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、UV光の照射等により重合させ、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
また、上記光学異方性層に添加するディスコティック化合物以外の化合物としては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に好ましい傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)、含フッ素トリアジン化合物等の空気界面側の配向制御用添加剤が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレート等のポリマーを挙げることができる。これらの化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%の添加量にて使用される。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至〜10μmであることが好ましく、0.5乃至〜5μmであることがさらに好ましい
視野角拡大フィルムの好ましい態様は、透明基材フィルムとしてのセルロースアシレートフィルム、その上に設けられた配向層、および該配向層上に形成されたディスコティック液晶からなる光学異方性層から構成され、かつ光学異方性層がUV光照射により架橋されている。
また、上記以外にも視野角拡大フィルムと本発明の偏光板を組み合わせる場合、例えば、特開平07−198942号公報に記載されているように板面に対し交差する方向に光軸を有して複屈折に異方性を示す位相差板と積層したり、特開2002−258052号公報に記載されているように保護フィルムと光学異方性層の寸法変化率が実質的に同等とすることも好ましく行うことができる。また、特開平12−258632号公報に記載されているように視野角拡大フィルムと貼合される偏光板の水分率を2.4%以下としたり、特開2002−267839号公報に記載されているように視野角拡大フィルム表面の水との接触角を70°以下とすることも好ましく行うことができる。
IPSモード液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界無印状態の黒表示時において、基板面に平行配向した液晶分子の光学補償および偏光板の直交透過率の視野角特性向上に用いる。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。しかし斜めから観察した場合は、透過軸の交差角が90°ではなくなり、漏れ光が生じてコントラストが低下する。本発明の偏光板をIPSモード液晶セルに用いる場合は、漏れ光を低下するため特開平10−54982号公報に記載されているような面内の位相差が0に近く、かつ厚さ方向に位相差を有する視野角拡大フィルムと好ましく組み合わせて用いられる。
OCBモードの液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界印加により液晶層中央部で垂直配向し、基板界面付近で傾斜配向した液晶層の光学補償を行い、黒表示の視野角特性を改善するために使用される。本発明の偏光板をOCBモード液晶セルに用いる場合は、米国特許5805253号明細書に記載されたような円盤状の液晶性化合物をハイブリット配向させた視野角拡大フィルムと好ましく組み合わせて用いられる。
VAモードの液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界無印加状態で液晶分子が基板面に対して垂直配向した状態の黒表示の視野角特性を改善する。このような視野角拡大フィルムしては特許番号第2866372号公報に記載されているような面内の位相差が0に近く、かつ厚さ方向に位相差を有するフィルムや、円盤状の化合物が基板に平行に配列したフィルムや、同じ面内レターデーション値を有する延伸フィルムを遅相軸が直交になるように積層配置したフィルムや、偏光板の斜め方向の直交透過率悪化防止のために液晶分子のような棒状化合物からなるフィルムを積層したものと好ましく組み合わせて用いられる。
(2)位相差フィルム
本発明の偏光板は、位相差層を有することが好ましい。本発明における位相差層としてはλ/4板が好ましく、本発明の偏光板とλ/4板とを積層させることで、円偏光板として使用することができる。円偏光板は入射した光を円偏光に変換する機能を有しており、反射型液晶表示装置やECBモードなどの半透過型液晶表示装置、あるいは有機EL素子等に好ましく利用されている。
本発明に用いるλ/4板は、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲において概ね波長の1/4のレターデーション(Re)を有する位相差フィルムであることが好ましい。「可視光の波長の範囲において概ね1/4のレターデーション」とは、波長400から700nmにおいて長波長ほどレターデーションが大きく、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が80乃至〜125nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が120乃至〜160nmである関係を満足する範囲を示す。Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが特に好ましい。
本発明で用いるλ/4板は上記の条件を満たしていれば特に制限はないが、例えば、特開平5−27118号公報、特開平10−68816号公報、特開平10−90521号公報に記載された複数のポリマーフィルムを積層したλ/4板、WO00/65384号公報、WO00/26705号公報に記載された1枚のポリマーフィルムを延伸したλ/4板、特開2000−284126号公報、特開2002−31717号公報に記載されたポリマーフィルム上に少なくとも1層以上の光学異方性層を設けたλ/4板など公知のλ/4板を用いることができる。また、ポリマーフィルムの遅相軸の方向や光学異方性層の配向方向は液晶セルに合わせて任意の方向に配置することができる。
円偏光板において、λ/4板の遅相軸と上記偏光子の透過軸は、任意の角度で交差できるが、45゜±20°の範囲で交差されることが好ましい。但し、λ/4板の遅相軸と上記偏光子の透過軸は上記以外の範囲で交差されても構わない。
λ/4板をλ/4板およびλ/2板を積層して構成する場合は、特許番号第3236304号公報や特開平10−68816号公報に記載されているように、λ/4板およびλ/2板の面内の遅相軸と偏光板の透過軸とがなす角度が実質的に75°および15゜となるように貼り合わせることが好ましい。
(3)反射防止フィルム
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報, vol.38, No.1,may,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であり、好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基や、フッ素の含有する素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤併用する(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(4)輝度向上フィルム
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明の偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(WO95/17691号、WO95/17692号、WO95/17699号の各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF−E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報,vol.38,No.1,may,2000,19頁〜21頁などを参考にすることができる。
また、本発明ではWO97/32223号、WO97/32224号、WO97/32225号、WO97/32226号の各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムとを組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
本発明の偏光板と輝度向上フィルムは、粘着剤を介して貼合された形態、もしくは偏光板の保護フィルムの一方を輝度向上フィルムとした一体型として使用することが好ましい。
(5)他の機能性光学フィルム
本発明の偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは視野角補償フィルムにおける光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面の設けて使用できる。
(5−1)ハードコート層
本発明の偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び熱の少なくともいずれかの手段による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO00/46617号公報等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明のハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒径は、1nmないし20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
(5−2)前方散乱層
前方散乱層は、本発明の偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明の偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
(5−3)アンチグレア層
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
5.(偏光板を使用する液晶表示装置)
次に本発明の偏光板が使用される液晶表示装置について説明する。
図2は、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例である。
図2に示す液晶表示装置は、液晶セル(10〜13)、および液晶セル(10〜13)を挟持して配置された上側偏光板6と下側偏光板17とを有する。偏光板は偏光子および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図2中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。液晶セルは、上側基板10および下側基板13と、これらに挟持される液晶分子12から形成される液晶層からなる。液晶セルは、ON・OFF表示を行う液晶分子の配向状態の違いで、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに分類されるが、本発明の偏光板は透過および反射型によらず、いずれの表示モードにも使用できる。
基板10および13の液晶分子12に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電界無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子12の配向が制御されている。また、基板10および13の内面には、液晶分子12からなる液晶層に電界を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
TNモードのラビング方向は上下基板で互いに直交する方向に施し、その強さとラビング回数などでチルト角の大きさが制御できる。配向膜はポリイミド膜を塗布後焼成して形成する。液晶層のねじれ角(ツイスト角)の大きさは、上下基板のラビング方向の交差角と液晶材料に添加するカイラル剤により決まる。ここではツイスト角が90°になるようにするためピッチ60μm程度のカイラル剤を添加する。
なお、ツイスト角は、ノートパソコンやパソコンモニタ、テレビ用の液晶表示装置の場合は90°近傍(85から95°)に、携帯電話などの反射型表示装置として使用する場合は0から70°に設定する。またIPSモードやECBモードでは、ツイスト角が0°となる。IPSモードでは電極が下側基板8のみに配置され、基板面に平行な電界が印加される。また、OCBモードでは、ツイスト角がなく、チルト角を大きくされ、VAモードでは液晶分子12が上下基板に垂直に配向する。
ここで液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさは白表示時の明るさを変化させる。このため最大の明るさを得るために表示モード毎にその範囲を設定する。
上側偏光板6の吸収軸7と下側偏光板17の板17の吸収軸18の交差角は一般に概略直交に積層することで高コントラストが得られる。液晶セルの上側偏光板6の吸収軸7と上側基板10のラビング方向の交差角は液晶表示モードによってことなるが、TN、IPSモードでは一般に平行か垂直に設定する。OCB、ECBモードでは45°に設定することが多い。ただし、表示色の色調や視野角の調整のために各表示モードで最適値が異なり、この範囲に限定されるわけではない。
本発明の偏光板が使用される液晶表示装置は、図2の構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光子との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、液晶セルと偏光板との間に、別途、前述した視野角拡大フィルム8、15を配置することもできる。偏光板6、17と視野角拡大フィルム8、15は粘着剤で貼合した積層形態で配置されてもよいし、液晶セル側保護フィルムの一方を視野角拡大に使用した、いわゆる一体型楕円偏光板として配置されてもよい。
また、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置できる。また、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明は実施例に限定されることはない。
<レターデーションの測定>
Re、及びRthは下記方法により25℃60%RHで測定した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用い、面内レターデーションRe(0)を測定した。また面内の遅相軸をあおり軸として40°および−40°あおってレターデーションRe(40)およびRe(−40)を測った。膜厚および遅相軸方向の屈折率nxをパラメータとし、これらの測定値Re(0)、Re(40)、Re(−40)にフィッティングするように進相軸方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算で求め、Rthレターデーション値を決定した。測定波長は590nmとした。
実施例1
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
<セルロースアセテート溶液A組成>
リンターセルロースから製造された酢化度60.9%のセルロースアセテート
80.0質量部
リンターセルロースから製造された酢化度61.2%のセルロースアセテート
20.0質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤溶液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
<マット剤溶液組成>
平均粒径16nmのシリカ粒子 2.0質量部
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 11.4質量部
セルロースアセテート溶液A 10.3質量部
なお、シリカ粒子の調液後の二次粒径は0.3μmであった。
(レターデーション上昇剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
<レターデーション上昇剤溶液組成>
レターデーション上昇剤(例示番号144) 19.8質量部
下記UV吸収剤(A) 0.07質量部
下記UV吸収剤(B) 0.13質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液A 12.8質量部
Figure 2006096023
(セルロースアセテートフィルムの作製)
上記セルロースアセテート溶液Aを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、レターデーション上昇剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて10m/minの速度で流延した。レターデーション上昇剤のセルロースアセテートに対する質量比は4.6%であった。露点−10℃の風で残留溶剤量30%まで乾燥した後フィルムをバンドから剥離した。さらに、130℃の条件で、残留溶剤量が13質量%のフィルムをテンターを用いて28%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま140℃で30秒間保持した。その後、クリップを外して140℃で40分間乾燥させセルロースアセテートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は92μmであった。
本発明において、支持体上形成されたフィルム中の残留溶剤量は次式で表される。
残留溶剤量=(残存揮発分質量/加熱処理後フィルム質量)×100%
尚、残存揮発分質量はフィルムを115℃で1時間加熱処理したとき、過熱処理前のフィルム質量から加熱処理後のフィルム質量を引いた値である。
流延直後から無風乾燥を行った時間及びレターデーション上昇剤を下記表1に変更した以外は同様にしてセルロースアセテートフィルム102〜122を作製した。
フィルム表面のレターデーション上昇剤存在量は飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により測定した。セルロースアシレートの分解物由来の正イオンピークm/Z=109(C )に対してMレターデーション上昇剤の分子+Hイオンのピークの強度比をとることにより、エア面、支持体面のそれぞれについてN=3で測定し、平均的なエア面存在量/支持体面存在量の比率を求めた。結果を表1に示す
Figure 2006096023
ブリードアウトはフィルム表面を目視で観察し、表面の異物の有無により評価した。また、カールをフィルムを20cm×20cmに切り出し、平坦な台の上に静置した場合の、フィルム端部の水平面からのずれにより評価した。
表1の結果から、本発明のセルロースアシレートフィルムはブリードアウトがなく、カールが小さく、好ましいことがわかる。
実施例2
(鹸化処理)
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム101上に下記組成の液を5.2ml/m塗布し、60℃で10秒間乾燥させた。フィルムの表面を流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルム表面を乾燥させた。
<鹸化液組成>
イソプロピルアルコール 818質量部
水 167質量部
プロピレングリコール 187質量部
水酸化カリウム 80質量部
(配向膜の形成)
ケン化処理したセルロースアシレートフィルム(101)のバンド面側に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥して配向膜を形成した。
次に、セルロースアシレートフィルム(101)の延伸方向(遅相軸と一致)と45゜の方向に形成した配向膜にラビング処理を実施した。
<配向膜塗布液組成>
下記構造の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
Figure 2006096023
(光学異方性層の形成及び光学補償フィルムの作製)
上記配向膜上に、下記ディスコティック化合物91質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を、214.2質量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーコーターで5.2ml/m塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成すると共に、ハイブリッド型光学補償フィルム(101)を作製した。
Figure 2006096023
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、作製した光学補償フィルム(101)の透明支持体側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。透明支持体の遅相軸および偏光膜の透過軸が平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を前記と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側(光学補償フィルムを貼り付けなかった側)に貼り付けた。
このようにして、楕円偏光板(101)を作製した。
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを5.7μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
(液晶表示装置の作製)
作製したベンド配向セルを挟むように、作製した楕円偏光板(101)を二枚貼り付けた。楕円偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する配向膜のラビング方向とが反平行となるように配置した。
セルロースアシレートフィルム(102)〜(116)についても同様にして、これを使用した光学補償フィルムつき楕円偏光板を貼り付けた液晶表示装置を作製し、黒表示での点欠陥、しみ等の表示故障を調べた。
本発明のセルロースアシレートフィルムを使用した液晶表示装置は表示上の欠陥が少なく、良好な画像が得られることがわかった。
実施例3
下記のセルロースアセテート溶液B組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Bを調製した。
<セルロースアセテート溶液B組成>
リンターセルロースから製造した酢化度60.7%のセルロースアセテート
50.0質量部
リンターセルロースから製造した酢化度61.3%のセルロースアセテート
50.0質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
別のミキシングタンクに、レターデーション上昇剤(144)16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液Dを調製した。
セルロースアセテート溶液B 474質量部にレターデーション上昇剤溶液Dを11質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、1.6質量部であった。
得られたドープを、流延速度45m/minでバンド流延機を用いて流延し、露点−20℃の風で残留溶剤量30%になるまで乾燥した後バンドからフィルムを剥ぎ取った。次いでフィルムを140℃の乾燥風で10分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%で厚みが58μmのセルロースアセテートフィルム201を作製した。
流延直後から無風乾燥を行った時間及びレターデーション上昇剤の種類を表2に示すものに変更した以外はセルロースアセテートフィルム201と同じ方法によりセルロースアセテートフィルム202〜211を作成した。
本発明のセルロースアセテートフィルム201〜204はブリードアウトがなく面状に優れていることがわかった。
また、比較例205〜208はブリードアウトが認められた。
Figure 2006096023
実施例4
(鹸化処理)
実施例3で作製したセルロースアセテートフィルム201〜206上に下記組成の液を5.2ml/m2塗布し、60℃で10秒間乾燥させた。フィルムの表面を流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルム表面を乾燥させた。
<鹸化液組成>
イソプロピルアルコール 818質量部
水 167質量部
水酸化カリウム 777質量部
(配向膜の形成)
鹸化処理したセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、セルロースアセテートフィルムの長手方向と平行な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
(配向膜塗布液組成)
実施例2で配向膜形成に用いたポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、実施例2で用いたディスコティック液晶性化合物41.01g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償フィルム(D−1)を作製した。
波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は43nmであった。また、円盤面と第1透明支持体面との間の角度(傾斜角)は支持体表面から段階的に増加しており、平均で42゜であった。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、本発明のセルロースアセテートフィルムが偏光膜側となるように偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の透過軸と光学異方性層の遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を前記と同様にケン化処理し、をポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。
(液晶表示装置の作製)
TN型液晶セルを使用した20インチの液晶表示装置(LC−20V1、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記で作製した偏光板を、光学補償フィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸とバックライト側の偏光板の透過軸が直交するように配置した。
本発明のセルロースアセテートフィルムを用いた液晶表示装置は表示上の欠陥が少なく良好な画像が得られることがわかった。
実施例5
(セルロースアシレートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Eを調製した。
(セルロースアシレート溶液E組成)
木材パルプから製造された酢化度60.0%のセルロースアセテート
10質量部
木材パルプから製造された酢化度61.1%のセルロースアセテート
90質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション上昇剤溶液Fを調製した。
<レターデーション上昇剤溶液F組成>
レターデーション上昇剤(161) 3質量部
メチレンクロライド 80質量部
メタノール 20質量部
セルロースアシレート溶液E 474質量部に、レターデーション上昇剤溶液Fを15質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、2質量部である。
ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。流延直後から3秒間無風で乾燥後、溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚みが75im、Rthが82nm、Reが8nmのセルロースアセテートフィルムを作製した。
レターデーション上昇剤(161)のエア面表面/支持体面表面の存在比は1.2であった。
このセルロースアセテートフィルムを用いて、実施例2と同様にして、鹸化処理、配向膜の形成、光学異方性層の形成、偏光板の作製を行い、TN型液晶表示装置を作製したところ、本発明の液晶表示装置は表示上の欠陥が少なく、良好な画像が得られることがわかった。
実施例6
(セルロースアシレートフィルムの作製)
実施例1のセルロースアシレートフィルム(103)において、レターデーション上昇剤の添加量を4%にした以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム(301)を作製した。
Reは34nm、Rthは140nmであった。
(鹸化処理)
作製したセルロースアシレートフィルム301を、1.4モル/リットルの水酸化カリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1モル/リットルの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに110℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
さらに市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を同条件で鹸化し、以下の試料作製に供した。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、鹸化処理したセルロースアシレートフィルム101を偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の透過軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに実施例2で鹸化処理したフジタックTD80UFをポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板(301)を作製した。
〔VA液晶表示装置の作成と評価1〕
ポリビニルアルコール3重量%水溶液に、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(カップリング剤)を1重量%添加した。これを、ITO電極付のガラス基板上にスピンコートし、160℃で熱処理した後、ラビング処理を施して、垂直配向膜を形成した。ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるようにした。セルギャップ(d)が5μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.08)を注入し、垂直配向液晶セルを作成した。Δnとdとの積は400nmであった。
実施例3で作製した偏光板(301)を25℃60%の温湿度条件で事前に調湿した後、防湿処理を施した袋に包装し、3日間放置した。袋はポリエチレンテレフタレート/アルミ/ポリエチレンの積層構造からなる包装材であり、透湿度は1×10−5g/m2・Day以下であった。
25℃60%の環境下で、偏光板202を取り出して、作成した垂直配向液晶セルの両面に、粘着シートを用いて貼り付けて、液晶表示装置を作製した。
本発明の偏光板を用いた液晶表示装置は点欠陥が少なく高い表示品位を有していることがわかった。
実施例7
(セルロースアシレートフィルムの作製)
実施例1のセルロースアシレートフィルム(105)においてセルロースアシレートをリンターパルプから製造した、トータルアセチル化度2.72、6位アセチル化度0.90、重合度320のセルロースアセテートに変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム(401)を作製した。
Reは78nm、Rthは210nmであった。
(偏光板の作製)
実施例6と同様にして、セルロースアシレートフィルム(401)を偏光子の片側に有する偏光板(401)を作製した。
〔VA液晶表示装置の作成と評価2〕
図3の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板30、VAモード液晶セル31(上基板、液晶層、下基板)、下側偏光板32を積層し、さらにバックライト光源を配置した。以下の例では、上側偏光板に市販品の偏光板(HLC2−5618)を用いて、下側偏光板に本発明の偏光板を使用している。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のリターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図3)の上側偏光板に、市販品のスーパーハイコントラスト品(株式会社サンリッツ社製HLC2−5618)を、下側偏光板に実施例3で作製した偏光板(401)を、本発明のセルロースアシレートフィルム(401)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
本発明の液晶表示装置は点欠陥がなく、かつ連続点灯しても光漏れが小さく、優れた表示品位を有していることがわかった。
実施例8
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Dを調製した。
<セルロースアセテート溶液D組成>
リンターセルロースから製造した酢化度62.0%のセルロースアセテート
100.0質量部
レターデーション低下剤(A-106) 11.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
別のミキシングタンクに、紫外線吸収剤(D)16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液Dを調製した。
セルロースアセテート溶液B 474質量部に紫外線吸収剤溶液Dを11質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、1.6質量部であった。
得られたドープを、流延速度45m/minでバンド流延機を用いて流延し、露点−20℃の風で残留溶剤量30%になるまで乾燥した後バンドからフィルムを剥ぎ取った。次いでフィルムを130℃の乾燥風で10分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%で厚みが80μmのセルロースアセテートフィルム501を作製した。
Figure 2006096023
Figure 2006096023
レターデーション低下剤(A)のエア面/支持体面の存在比は0.85、紫外線吸収剤(D)のエア面/支持体面の存在比は1.2であった。
また、Reは1nm、Rthは1nmであった。
本発明のセルロースアセテートフィルム501はブリードアウトがなく面状に優れていることがわかった。
さらに、実施例7と同様にして、偏光板(501)を作製した。
(IPS液晶表示装置への実装評価)
上記で作製した本発明の偏光板(501)に対して、ポリカーボネートを一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フィルムの面内レタデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは135nmのものを用いた。
本発明の偏光板(501)と光学補償フィルムの積層体、IPS型の液晶セル、本発明の偏光板(501)の順番に上から重ね合わせて組み込んだ液晶表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0im、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
以上のようにして作製した液晶表示装置は黒表示時での点欠陥が少なく好ましいことがわかった。
本発明の偏光板と機能性光学フィルムとを複合した構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の偏光板が使用されている液晶表示装置の一例を模式的に示す見取り図である。 実施例7で作製したVA液晶表示装置の概略断面図である。
符号の説明
1、1a、1b 保護フィルム
2 偏光子
3 機能性光学フィルム
4 粘着層
5 偏光板
6 上偏光板
7 上偏光板吸収軸
8 上光学異方性層
9 上光学異方性層配向制御方向
10 液晶セル上電極基板
11 上基板配向制御方向
12 液晶分子
13 液晶セル下電極基板
14 下基板配向制御方向
15 下光学異方性層
16 下光学異方性層配向制御方向
17 下偏光板
18 下偏光板吸収軸
30 上側偏光板
31 VAモード液晶セル
32 下側偏光板
33 セルロースアシレートフィルム
34 偏光子

Claims (17)

  1. 少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有するセルロースアシレートフィルムであって、
    各々の添加剤について、該セルロースアシレートフィルムのバンドまたはドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.25<エア面表面の添加剤存在量/支持体面表面の添加剤存在量<4
  2. 少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有するセルロースアシレートフィルムであって、
    該セルロースアシレートフィルムのバンドまたはドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、全ての添加剤の存在量を合計した全添加剤存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.5<エア面表面の全添加剤存在量/支持体面表面の全添加剤存在量<1.75
  3. ソルベントキャスト法によりバンド上に流延するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
    セルロースアシレート100質量部に対して、分子量が300以上であるレターデーション上昇剤として安息香酸フェニルエステルを0.01質量部以上20質量部以下含むセルロースアシレート溶液を流延する工程、及び
    剥ぎ取り前乾燥の前半において10秒以上90秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルムであって、
    レターデーション上昇剤について、該セルロースアシレートフィルムのバンド面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.25<エア面表面のレターデーション上昇剤存在量/支持体面表面のレターデーション上昇剤存在量<4
  5. 請求項3に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルムであって、
    該セルロースアシレートフィルムが、少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有し、
    各々の添加剤について、該セルロースアシレートフィルムのバンド面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.25<エア面表面の添加剤存在量/支持体面表面の添加剤存在量<4
  6. 請求項3に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルムであって、
    該セルロースアシレートフィルムが、少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有し、
    該セルロースアシレートフィルムのバンド面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、全ての添加剤の存在量を合計した全添加剤存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.5<エア面表面の全添加剤存在量/支持体面表面の全添加剤存在量<1.75
  7. ソルベントキャスト法によりドラム上に流延するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
    セルロースアシレート100質量部に対して、分子量が300以上である添加剤を0.1質量部以上30質量部以下含むセルロースアシレート溶液を流延する工程、及び
    剥ぎ取り前乾燥の前半において1秒以上10秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルムであって、
    該セルロースアシレートフィルムが、少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有し、
    各々の添加剤について、該セルロースアシレートフィルムのドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.25<エア面表面の添加剤存在量/支持体面表面の添加剤存在量<4
  9. 請求項7に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルムであって、
    該セルロースアシレートフィルムが、少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有し、
    該セルロースアシレートフィルムのドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、全ての添加剤の存在量を合計した全添加剤存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.5<エア面表面の全添加剤存在量/支持体面表面の全添加剤存在量<1.75
  10. ソルベントキャスト法によりバンド上に流延するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
    セルロースアシレート100質量部に対して、分子量が300以上である添加剤を0.1質量部以上30質量部以下含むセルロースアシレート溶液を流延する工程、及び
    剥ぎ取り前乾燥の前半において10秒以上90秒以下の時間、実質的に無風で乾燥する工程を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルムであって、
    該セルロースアシレートフィルムが、少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有し、
    各々の添加剤について、該セルロースアシレートフィルムのドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.25<エア面表面の添加剤存在量/支持体面表面の添加剤存在量<4
  12. 請求項10に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルムであって、
    該セルロースアシレートフィルムが、少なくとも1種類の分子量が300以上である添加剤をセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有し、
    該セルロースアシレートフィルムのドラム面に接していた側の支持体面表面と、空気側であったエア面表面とで、全ての添加剤の存在量を合計した全添加剤存在量の比が下記式を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    0.5<エア面表面の全添加剤存在量/支持体面表面の全添加剤存在量<1.75
  13. 添加剤の少なくとも1つがレターデーション低下剤であることを特徴とする請求項1、2、8、9、11及び12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  14. 請求項1、2、4、5、6、8、9、11及び12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの上に、液晶性分子から形成された光学異方性層が設けられていることを特徴とする光学補償フィルム。
  15. 透明保護膜、偏光膜、透明支持体、及び液晶性分子から形成された光学異方性層が、この順に積層されている偏光板であって、
    該透明支持体が、請求項1、2、4、5、6、8、9、11及び12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
  16. 液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、
    該2枚の偏光板のうち少なくとも1枚の偏光板が請求項15に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  17. 液晶セルが、TNモード、ベンド配向モードまたは垂直配向モードの液晶セルであることを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
JP2005060414A 2004-03-11 2005-03-04 セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Pending JP2006096023A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005060414A JP2006096023A (ja) 2004-03-11 2005-03-04 セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
CN 200510054717 CN1670594B (zh) 2004-03-11 2005-03-11 酰化纤维素薄膜、其制造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004069632 2004-03-11
JP2004250467 2004-08-30
JP2005060414A JP2006096023A (ja) 2004-03-11 2005-03-04 セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006096023A true JP2006096023A (ja) 2006-04-13

Family

ID=35041908

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005060414A Pending JP2006096023A (ja) 2004-03-11 2005-03-04 セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2006096023A (ja)
CN (1) CN1670594B (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009063614A (ja) * 2007-09-04 2009-03-26 Keiwa Inc 液晶表示モジュール
JP2009222994A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Konica Minolta Opto Inc 位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2011002634A (ja) * 2009-06-18 2011-01-06 Konica Minolta Opto Inc 光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置
US8559105B2 (en) 2007-09-27 2013-10-15 Nitto Denko Corporation Polarizing plate, optical film and image display
WO2014133041A1 (ja) * 2013-02-26 2014-09-04 富士フイルム株式会社 セルロースアシレートフィルム、新規化合物、偏光板および液晶表示装置
WO2015019929A1 (ja) * 2013-08-08 2015-02-12 コニカミノルタ株式会社 偏光板、それを具備した液晶表示装置
JP2016053119A (ja) * 2014-09-03 2016-04-14 富士フイルム株式会社 セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
KR101653808B1 (ko) * 2016-05-02 2016-09-05 주식회사 유상 편광판 제조공정용 자기점착성 보호필름
WO2025057289A1 (ja) * 2023-09-12 2025-03-20 ロート製薬株式会社 新規トリアジン誘導体及びその塩、ならびに、それを用いた紫外線吸収剤、皮膚外用剤、及び、コーティング用組成物

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2634004A1 (en) * 2005-12-16 2007-06-21 Neuropharma, S.A. Dibenzene derivatives as calcium channel blockers
JP2009151015A (ja) * 2007-12-19 2009-07-09 Fujifilm Corp 液晶表示装置
JP5879157B2 (ja) * 2011-03-07 2016-03-08 富士フイルム株式会社 光学フィルム、積層体、位相差フィルム、偏光板及び光学フィルムの製造方法
WO2014068893A1 (ja) * 2012-10-29 2014-05-08 コニカミノルタ株式会社 位相差フィルム、円偏光板、及び画像表示装置
JP2019053169A (ja) * 2017-09-14 2019-04-04 日東電工株式会社 偏光子、偏光子の製造方法および該偏光子を含む光学積層体

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002192541A (ja) * 2000-10-16 2002-07-10 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフイルムの製造方法
JP3801890B2 (ja) * 2001-09-14 2006-07-26 富士通株式会社 液晶表示装置
JP2003315551A (ja) * 2002-04-26 2003-11-06 Fuji Photo Film Co Ltd 偏光板およびそれを用いた画像表示装置

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009063614A (ja) * 2007-09-04 2009-03-26 Keiwa Inc 液晶表示モジュール
US8559105B2 (en) 2007-09-27 2013-10-15 Nitto Denko Corporation Polarizing plate, optical film and image display
JP2009222994A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Konica Minolta Opto Inc 位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2011002634A (ja) * 2009-06-18 2011-01-06 Konica Minolta Opto Inc 光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置
WO2014133041A1 (ja) * 2013-02-26 2014-09-04 富士フイルム株式会社 セルロースアシレートフィルム、新規化合物、偏光板および液晶表示装置
WO2015019929A1 (ja) * 2013-08-08 2015-02-12 コニカミノルタ株式会社 偏光板、それを具備した液晶表示装置
JPWO2015019929A1 (ja) * 2013-08-08 2017-03-02 コニカミノルタ株式会社 偏光板、それを具備した液晶表示装置
KR101778477B1 (ko) * 2013-08-08 2017-09-13 코니카 미놀타 가부시키가이샤 편광판, 그것을 구비한 액정 표시 장치
JP2016053119A (ja) * 2014-09-03 2016-04-14 富士フイルム株式会社 セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
US9850356B2 (en) 2014-09-03 2017-12-26 Fujifilm Corporation Cellulose acylate film, polarizing plate and liquid crystal display device
KR101653808B1 (ko) * 2016-05-02 2016-09-05 주식회사 유상 편광판 제조공정용 자기점착성 보호필름
WO2025057289A1 (ja) * 2023-09-12 2025-03-20 ロート製薬株式会社 新規トリアジン誘導体及びその塩、ならびに、それを用いた紫外線吸収剤、皮膚外用剤、及び、コーティング用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
CN1670594A (zh) 2005-09-21
CN1670594B (zh) 2011-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101247843B1 (ko) 액정 표시장치
US7615264B2 (en) Cellulose acylate film, polarizing plate, and liquid crystal display device
US7667801B2 (en) Liquid crystal display device
US7462306B2 (en) Cellulose acylate film, process for producing cellulose acylate film, polarizing plate and liquid crystal display device
JP4856995B2 (ja) 光学樹脂フィルム、偏光板及び液晶表示装置
US8017199B2 (en) Cellulose acylate film, process for producing cellulose acylate film, polarizing plate and liquid crystal display device
JP2007017958A (ja) 液晶表示装置
JP2007264480A (ja) 液晶表示装置
JP4383435B2 (ja) 液晶表示装置
CN1670594B (zh) 酰化纤维素薄膜、其制造方法
JP4330410B2 (ja) セルロースフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP4759365B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置
JP5016788B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2005128520A (ja) 偏光板およびそれを用いた液晶表示装置
JP4686351B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
US20090066887A1 (en) Polymer Film, Polarizing Plate Protective Film, Polarizing Plate and Liquid Crystal Display Device
JP2007119737A (ja) セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP4530144B2 (ja) セルロースアセテートフィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2005307142A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2008233655A (ja) 光学フィルム、位相差板、偏光板およびそれを用いた液晶表示装置
JP2006235483A (ja) セルロースアシレートフィルム、その製造方法、それを用いた偏光板、並びにその偏光板を用いた液晶表示装置
JP2008116881A (ja) 液晶表示装置
JP2005274943A (ja) 偏光板保護フィルムの製造方法、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2006176638A (ja) セルロースアシレートフィルムの鹸化方法、偏光板保護フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2007262153A (ja) 高分子樹脂フィルム、光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060328

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061127