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JP2006095601A - 加工機用レーザーガイド及びその製造方法 - Google Patents

加工機用レーザーガイド及びその製造方法 Download PDF

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JP2006095601A
JP2006095601A JP2005244767A JP2005244767A JP2006095601A JP 2006095601 A JP2006095601 A JP 2006095601A JP 2005244767 A JP2005244767 A JP 2005244767A JP 2005244767 A JP2005244767 A JP 2005244767A JP 2006095601 A JP2006095601 A JP 2006095601A
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Tomohiko Ishida
智彦 石田
Toshiyuki Baba
俊之 馬場
Kunio Yoshida
國雄 吉田
Motohiko Yamazaki
元彦 山崎
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

【課題】 過酷な使用環境下でも剥離が抑制されると共に特性が安定した反射防止膜が設けられた加工機用レーザーガイドを提供する。
【解決手段】 レーザー発生源からのレーザー光を伝送するための加工機用レーザーガイド10は、レーザー光の光路にガイド構成部材11a,14が設けられ、そのガイド構成部材11a,14の光入射面及び光出射面が高屈折率層と低屈折率層との交互積層体で構成された反射防止膜15,16で被覆されている。反射防止膜15,16を構成する交互積層体の高屈折率層及び低屈折率層のいずれもがイオンアシスト蒸着法により形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、YAGレーザー等のレーザー発信源からのレーザー光を伝送するための加工機用レーザーガイド及びその製造方法に関する。
光学部品の光透過率を高めるために光入射面或いは光出射面を被覆するように反射防止膜を設けることが行われている。
特許文献1には、透明なガラスの基板の表面に、真空蒸着膜からなる下地膜、斜め蒸着法により複屈折性が付与された五酸化タンタル(Ta25)等の金属酸化膜からなる斜め蒸着膜、および反射防止膜がこの順に形成された複屈折板であって、反射防止膜は、真空蒸着法により形成された五酸化タンタル(Ta25)等の第1の反射防止膜、真空蒸着法により形成された二酸化チタン(TiO2)等の第2の反射防止膜、およびイオンアシスト蒸着法により形成された二酸化珪素(SiO2)またはフッ化マグネシウム(MgF2)等からなる第3の反射防止膜を備えたものが開示されている。そして、これによれば、 反射防止膜の最表層の剥離を確実に防止することのできる、と記載されている。
特許文献2には、透明基板上に反射防止膜が形成された反射防止膜付き基板の製造方法であって、前記反射防止膜は、透明基板側から珪素、錫、酸素を含む材料からなる中屈折率層と、チタン、ニオブ、タンタル、ハフニウムから選ばれる1種の元素と酸素を含む材料からなる高屈折率層と、珪素、酸素を含む材料からなる低屈折率層とを有する積層膜であり、該反射防止膜は、インライン型スパッタリング装置にて連続的に成膜することが開示されている。そして、これによれば、厳しい環境下においても膜剥れのない膜付着力が良好な反射防止膜付き基板を得ることができる、と記載されている。
特開2001−228330号公報 特開2004−126530号公報
ところで、YAGレーザーは、イットリウム(Y)・アルミニウム(Al)・ガーネット(G)結晶の中に混入したネオジム(Nd)を発光体とする基本波長1064nmの固体レーザーであり、溶接、切断、マーキングなどといった非常に広い応用加工範囲を有している。そのため、YAGレーザーは、今や産業用の重要な技術手段となっており、自動車の生産加工工場等、あらゆる産業界での生産加工に用いられている。
かかるYAGレーザーでは、レーザーガイド光ファイバ心線を備えたYAGレーザー用レーザーガイドがYAGレーザーからのレーザー光の伝送に用いられるが、レーザー光の伝送効率を高めるために、レーザーガイド光ファイバ心線の両ファイバ端面をそれぞれ反射防止膜(AR膜)で被覆している。
ところが、上記したようにYAGレーザーは、あらゆる産業界で用いられており、近年、屋内外を問わずその使用環境は多様化し、非常に過酷な環境条件下で使用されることもあり、そのような場合、レーザーガイド光ファイバ心線と反射防止膜との熱膨張差によって反射防止膜が剥離するということがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、過酷な使用環境下でも剥離が抑制されると共に特性の安定した反射防止膜が設けられた加工機用レーザーガイド及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、イオンアシスト蒸着法で反射防止膜を形成するようにしたものである。
具体的には、本発明は、レーザー発信源からのレーザー光を伝送するための加工機用レーザーガイドであって、
レーザー光の光路にガイド構成部材が設けられ、該ガイド構成部材の光入射面及び/又は光出射面が高屈折率層と低屈折率層との交互積層体で構成された反射防止膜で被覆されており、
上記反射防止膜を構成する交互積層体の高屈折率層及び低屈折率層のいずれもがイオンアシスト蒸着法により形成されている、
ことを特徴とする。
上記の構成によれば、レーザー光の光路に設けられるガイド構成部材の光入射面及び/又は光出射面を被覆するように高屈折率層と低屈折率層との交互積層体で構成された反射防止膜を形成するのに際し、反射防止膜を構成する交互積層体の高屈折率層及び低屈折率層のいずれもをイオンアシスト蒸着法により形成しているので、被膜材料が高い運動エネルギーを有してガイド構成部材に衝突して高密度充填状態で蒸着していることから反射防止膜とガイド構成部材との間の密着性が非常に高く、そのためにそれらの間に熱膨張差が生じたとしても反射防止膜の剥離が抑制される。また、高屈折率層及び低屈折率層のいずれもをイオンアシスト蒸着法により形成しているので、高屈折率層と低屈折率層との間の密着性も非常に高く、そのために反射防止膜の層間剥離が抑制される。さらに、反射防止膜が高密度充填状態でガイド構成部材に蒸着しているので、膜内への水などの異物の侵入が規制され、そのため反射防止膜の劣化が抑制される。そして、このように、反射防止膜のガイド構成部材からの剥離、及び、反射防止膜の層間剥離が抑制され、さらに反射防止膜の劣化が抑制されるので、従って、屋内外を問わず種々の環境下で安定して使用することができる。
本発明によれば、反射防止膜を構成する交互積層体の高屈折率層及び低屈折率層のいずれもがイオンアシスト蒸着法により形成されているので、反射防止膜の剥離が抑制されると共に、反射防止膜の層間剥離が抑制され、さらに、反射防止膜の劣化が抑制され、従って、屋内外を問わず種々の環境下で安定して使用することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る加工機用レーザーガイドとしてのYAGレーザー用レーザーガイド10の入射端側部分を示す。このYAGレーザー用レーザーガイド10は、レーザー発信源であるYAGレーザーからのレーザー光を伝送するためにレーザー溶接などの加工機で用いられるものである。
このYAGレーザー用レーザーガイド10は、レーザーガイド光ファイバ心線11aをチューブ11bに挿通したものでガイド本体部11が構成され、そのガイド本体部11の一方の端部である入射端側部分に入射側コネクタ12が、他方の端部である出射端側部分に出射側コネクタがそれぞれ取り付けられている。このYAGレーザー用レーザーガイド10は、例えば、長さが0.1〜300mである。
レーザーガイド光ファイバ心線11aは、例えば、直径が0.01〜3mmのコアと直径が0.06〜4mmのクラッド又はサポートとからなるSiO2製の光ファイバを樹脂製及び/又は金属製の被服層で単層又は複層で被覆したファイバ径が0.1〜5mmの光ファイバ心線である。
チューブ11bは、例えば、外径が1〜20mm、内径が0.5〜20mmの樹脂製又は金属製のコルゲートチューブである。
ガイド本体部11の入射端部分では、チューブ11bからレーザーガイド光ファイバ心線11aが0〜200mm程度突出しており、その先端部分では被覆層が0〜200mm程度剥がされている。
入射側コネクタ12は、例えば、長さが10〜300mm、外径が2〜40mmの円柱状に形成されており、コネクタ本体12aとその接続端側部分に被せるように設けられたキャップ部材12bとで構成されている。
コネクタ本体12aは、例えば、長さが10〜300mmで金属製(アルミニウム、銅、SUS、或いは、これらの合金又はめっき品)の筒状に形成されており、基端側から順に3段階に孔の内径が小さく形成され、最小内径部分に続く接続端側部分で孔が内径最大に形成されている。また、最小内径部分には、筒状のサファイアチップ13が嵌め込められている。そして、コネクタ本体12aの基端側から接続端側に向かってガイド本体部11の入射端部分が挿入され、コネクタ本体12aの最も基端側部分にチューブ11bの端部が収容され、その次に内径の大きい部分にチューブ11bから突出したレーザーガイド光ファイバ心線11aが収容されていると共にそのうちの接続端側の部分が樹脂で埋設固定され、最小内径部分のサファイアチップ13にレーザーガイド光ファイバ心線11aの被覆層が剥がされた部分が内嵌保持され、先端部分が接続端側部分に突出している。
キャップ部材12bは、例えば、長さが5〜100mmで、底が石英製又はサファイア製の保護ガラス14で構成され且つその他の部分が金属製又はセラミック製である有底円筒状に形成されており、保護ガラス14を介してレーザーガイド光ファイバ心線11aのコアにレーザー光が入射するようになっている。
保護ガラス14の両面、つまり、光入射面及び光出射面、並びに、レーザーガイド光ファイバ心線11aの光入射面(ファイバ端面)には、各表面を被覆するように反射防止膜15,16が設けられている。反射防止膜15,16は、図2に示すように、高屈折率層18と低屈折率層19との交互積層体で構成されている。反射防止膜15,16を構成する交互積層体の高屈折率層18及び低屈折率層19のいずれもがイオンアシスト蒸着法により形成されている。高屈折率層18は、例えば、厚さが35〜55nmで、好ましくは40〜50nmであり、YAGレーザーがレーザー発信源であれば45nmであるのが好適であり、Ta25、HfO2、TiO2、Al23、Nb25、Y23等で形成されている。これらのうち、耐レーザー性及び蒸着性に優れることからTa25が好ましい。低屈折率層19は、例えば、厚さが220〜260nmで、好ましくは230〜250nmであり、YAGレーザーがレーザー発信源であれば240nmであるのが好適であり、レーザーガイド光ファイバ心線11aのコアの屈折率にほぼ等しいもの(例えばSiO2)で形成されている。SiO2は耐レーザー性及びレーザーガイド光ファイバ心線11aとの馴染みがよく好ましい。ここで、レーザーガイド光ファイバ心線11aに接触する直近の層は高屈折率層18である。なお、高屈折率層18が、レーザーガイド光ファイバ心線11aのコアの屈折率にほぼ等しいもの(例えばSiO2)で形成され、低屈折率層19が、例えばMgF2で形成されている場合には、レーザーガイド光ファイバ心線11aに接触する直近の層は低屈折率層19である。反射防止膜15,16は、総数が特に限定されるものではなく、2層構造のものであっても、4層構造のものであってもよい。例えば、SiO2とTa25との2層構造、或いは、4層構造のものは、1064nm用反射防止膜15,16として使用できる。
サファイアチップ13の接続端側の面には、その表面を被覆するように高反射膜17が設けられている。高反射膜17は、例えば、厚さが1670〜2260nmであり、HfO2やSiO2で形成されている。
出射端側部分の構成もほぼ同様である。
このYAGレーザー用レーザーガイド10は、入射側コネクタ12がYAGレーザーに接続され、出射側コネクタが加工ヘッドに接続される。そして、YAGレーザーからのレーザー光が入射端側の保護ガラス14を介してレーザーガイド光ファイバ心線11aの入射端面に入射され、それをレーザーガイド光ファイバ心線11aが伝送して出射端面を経由して出射端側の保護ガラスを介して出射し、それが加工ヘッドから出力される。なお、保護ガラス14及びレーザーガイド光ファイバ心線11aはレーザー光の光路に設けられたガイド構成部材となっている。
ここで、YAGレーザーは、イットリウム(Y)・アルミニウム(Al)・ガーネット(G)結晶の中に混入したネオジム(Nd)を発光体とする基本波長1064nmの連続レーザー光を発する固体レーザーであり、例えば出力が6kWのものである。
次に、このYAGレーザー用レーザーガイド10の製造方法のうち保護ガラス14、或いは、レーザーガイド光ファイバ心線11aへの反射防止膜15,16の形成方法について説明する。
図3は、反射防止膜蒸着装置20を示す。
この反射防止膜蒸着装置20は、真空ポンプが繋がれたチャンバー21を有している。チャンバー21の下部中央には、電子銃22及び蒸着源23が設けられており、電子銃22からの電子が蒸着源23に衝突し、それによって蒸着源23から蒸着材料が上方に向かって発せられるようになっている。また、電子銃22及び蒸着源23の側方には、イオン銃24が設けられており、飛んでいる蒸着材料に衝突するようにイオンが上方に向かって発せられるようになっている。
電子銃22及び蒸着源23の上方には、ボウル状のドーム25が下方に開口するように回転可能に設けられている。ドーム25には、多数の加工品保持孔26が形成されており、その加工品保持孔26に、反射防止膜15,16を形成したい面がドーム25の内側に露出するように保護ガラス14やレーザーガイド光ファイバ心線11aをセットできるようになっている。ドーム25の頂部には、水晶モニタ27が設けられており、それによって蒸着量及び蒸着速度をモニタできるようになっている。水晶モニタ27に並んでモニタガラス28が設けられ、さらにチャンバー21の外部に光源29及び光検出器31が設けられており、光源29からの光をミラー30を介してモニタガラス28に反射させ、それをミラー30を介して光検出器31で検し、それによって蒸着により形成された被膜の膜厚をモニタできるようになっている。
市販の反射防止膜蒸着装置20としては、例えば株式会社昭和真空社製SGC−12SACを挙げることができる。
反射防止膜15,16の形成に際しては、まず、反射防止膜15,16を蒸着させる対象となる保護ガラス14、或いは、レーザーガイド光ファイバ心線11aをドーム25にセットする。このとき、保護ガラス14であれば一方の面が、レーザーガイド光ファイバ心線11aであれば両方のファイバ端面が加工品保持孔26からドーム25の内側を向くようにする。なお、レーザーガイド光ファイバ心線11aの中間部分はドーム25に巻き付けるなどする。
次いで、蒸着源23として高屈折率の蒸着材料である例えばTa25をセットした後、チャンバを密閉して内部を真空にする(5×10-3Pa以下)。
次いで、ドーム25を回転させる(20〜60rpm)と共にイオン銃24からイオンを発する。このとき、反射防止膜15,16を形成する面に付着したごみやほこりがイオンによって飛散する(クリーニング)。クリーニング条件は、例えば、クリーニング時間:1〜10分(例えば5分)、立上アノード電圧:90%,約160V、立上カソード電流:30%、立上放電安定時間:3秒、クリーニングアノード電圧:50〜80%,80〜133V(例えば70%約110V)、クリーニングカソード電流:30%、クリーニング放電安定時間:0秒、ニュートラライザディレイタイム:2秒、立上MFC−O2流量:指定なし、立上MFC−Ar流量:指定なし、クリーニングMFC−O2流量:7.2×10-4〜9.0×10-43/時(例えば9.0×10-43/時)、クリーニングMFC−Ar流量:0〜7.2×10-43/時(例えば0m3/時)、及び、APC圧力制御:指定なし、である。
次いで、電子銃22からの電子の放出とイオン銃24からのイオンの放出とを同時に行う。このとき、電子銃22からの電子が蒸着源23に衝突し、それによって蒸着源23から蒸着材料が上方に向かって発せられる。また、それと共に、イオン銃24からのイオンが飛んでいる蒸着材料に衝突し、飛んでいる蒸着材料の運動エネルギーが高められる。運動エネルギーが高められた蒸着材料は、ドーム25の加工品保持孔26から臨む保護ガラス14の面、或いは、レーザーガイド光ファイバ心線11aのファイバ端面に衝突して付着し、高屈折率層18の被膜が形成される。具体的には、例えば、Ta25の場合、最初の30秒間は立上カソード電流を280mAまで上昇させ、約2分間の電子照射による蒸着源23の溶かし込みを行う。溶かし込みは、全体が溶融するように8点式とし、各点2秒の照射とする。成膜のための電子照射は、蒸着源23の中央部分のみに行い、成膜カソード電流を約150mAとして目的の成膜速度に調整する。高屈折率層18成膜条件は、例えば、成膜速度:1Å/秒以下、立上アノード電圧:90%,約160V、立上カソード電流:30%、立上放電安定時間:3秒、成膜アノード電圧:50〜80%,80〜133V(例えば70%約110V)、成膜カソード電流:30%、成膜放電安定時間:0秒、ニュートラライザディレイタイム:2秒、立上MFC−O2流量:指定なし、立上MFC−Ar流量:指定なし、成膜MFC−O2流量:7.2×10-4〜9.0×10-43/時(例えば9.0×10-43/時)、成膜MFC−Ar流量:0〜7.2×10-43/時(例えば0m3/時)、及び、APC圧力制御:5×10-2Pa、である。
そして、蒸着源23を低屈折率の蒸着材料である例えばSiO2に変更し、同様の操作を繰り返す。これにより、高屈折率層18の上に低屈折率層19の被膜が形成される。具体的には、例えば、SiO2の場合、最初の30秒間は立上カソード電流を30mAまで上昇させ、約30秒間の電子照射による蒸着源23の溶かし込みを行う。溶かし込みは、全体が溶融するように8点式とし、各点2秒の照射とする。成膜のための電子照射は、蒸着源23の中央部分のみに行い、成膜カソード電流を約50mAとして目的の成膜速度に調整する。低屈折率層19成膜条件は、例えば、成膜速度:1Å/秒以下、立上アノード電圧:90%,約160V、立上カソード電流:30%、立上放電安定時間:3秒、成膜アノード電圧:50〜80%,80〜133V(例えば70%約110V)、成膜カソード電流:30%、成膜放電安定時間:0秒、ニュートラライザディレイタイム:2秒、立上MFC−O2流量:指定なし、立上MFC−Ar流量:指定なし、成膜MFC−O2流量:7.2×10-4〜9.0×10-43/時(例えば9.0×10-43/時)、成膜MFC−Ar流量:0〜7.2×10-43/時(例えば0m3/時)、及び、APC圧力制御:5×10-2Pa、である。
以上によって、2層構造の反射防止膜15,16が形成されるが、蒸着源23を交互に変更して被膜を形成することで、高屈折率層18と低屈折率層19との交互積層体を形成することにより、さらに多層構造の反射防止膜15,16を得ることができる。また、保護ガラス14について、他方の面に反射防止膜15を形成するには、保護ガラス14を、その他方の面が加工品保持孔26からドーム25の内側を向くようにセットして上記と同様の操作を繰り返せばよい。
以上に説明したような本発明のYAGレーザー用レーザーガイド10によれば、レーザー光の光路に設けられる保護ガラス14及びレーザーガイド光ファイバ心線11aのそれぞれの光入射面及び光出射面を被覆するように高屈折率層18と低屈折率層19との交互積層体で構成された反射防止膜15,16を形成するのに際し、反射防止膜15,16を構成する交互積層体の高屈折率層18及び低屈折率層19のいずれもをイオンアシスト蒸着法により形成している。そのため、蒸着材料が高い運動エネルギーを有して保護ガラス14、或いは、レーザーガイド光ファイバ心線11aに衝突して高密度充填状態で蒸着されるので、反射防止膜15,16とガイド構成部材との間の密着性が非常に高く、レーザー加工では急激な温度変化を伴うものの、そのためにそれらの間に熱膨張差が生じたとしても反射防止膜15,16の剥離が抑制される。
従って、このYAGレーザー用レーザーガイド10は、レーザープロセスの中でも、温度の上昇及び下降が大きいために熱膨張差が著しい高温プロセス、例えば、切断加工や穴あけ加工などの除去加工、溶接加工やはんだ付けなどの接合加工、裏面焼入れや表面合金化や表面肉盛りなどの表面改質、直線曲げ加工や曲線曲げ加工などの熱歪変形を行う加工機に好適に用いることができる。もちろん、低温プロセス、例えば、熱援用加工の局部加熱、模様付けやマーキングなどの表面加飾を行う加工機に用いることができる。低温プロセスの場合でも長時間の使用で熱膨張差が生じることがあり、そのため上記反射防止膜15,16の剥離抑制効果は有用である。
また、高屈折率層18及び低屈折率層19のいずれもをイオンアシスト蒸着法により形成しているので、高屈折率層18と低屈折率層19との間の密着性も非常に高く、そのために反射防止膜15,16の層間剥離も抑制される。
さらに、反射防止膜15,16が高密度充填状態でガイド構成部材に蒸着しているので、膜内への水などの異物の侵入が規制され、そのため反射防止膜15,16の劣化が抑制される。
以上のようなYAGレーザー用レーザーガイド10であれば、反射防止膜15,16の保護ガラス14、或いは、レーザーガイド光ファイバ心線11aからの剥離、及び、反射防止膜15,16の層間剥離が抑制され、さらに反射防止膜15,16の劣化が抑制されるので、従って、屋内外を問わず種々の環境下で使用される加工機に取り付けて安定して使用することができる。
なお、上記実施形態では、連続レーザー光を発するYAGレーザーをレーザー発生源としたが、特にこれに限定されるものではなく、基本波長1064nmのパルスレーザー光を発するYAGレーザー(例えば平均出力600W)、基本波長1064nmのパルスレーザー光を発するYVO4レーザー(例えば平均出力40W)、アルミナ(Al23)の中に混入したチタン(Ti)を発光体とする基本波長800nmのパルスレーザー光を発するチタンサファイアレーザー(例えば出力1〜2W)、基本波長684.3nmのパルスレーザー光を発するルビーレーザー、ネオジム(Nd)を発光体とする基本波長1060nmのパルスレーザー光を発するガラスレーザー、ネオジム(Nd)がドープされた基本波長1060nmの連続光を発するファイバレーザー(例えば出力1kW)、エルビウム(Er)がドープされた基本波長1540nmの連続光を発するファイバレーザー(例えば出力数百W)、イッテルビウム(Yb)がドープされた基本波長1030〜2200nmの連続光を発するファイバレーザー(例えば1〜10kW)、AlGaAsPを発光体とする基本波長700〜900nmの連続光を発する半導体レーザー、InGaAsPを発光体とする基本波長1000〜1600nmの連続光を発する半導体レーザー、ZnSeを発光体とする基本波長490nmの連続光を発する半導体レーザー等であってもよい。
また、上記実施形態では、入射側及び出射側の保護ガラス14の両面、並びに、レーザーガイド光ファイバ心線11aの両ファイバ端面に反射防止膜15,16を形成したものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、いずれか一箇所に設けられているものであってもよい。
また、上記実施形態では、全ての反射防止膜15,16がイオンアシスト蒸着法で形成されたものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、いずれかの反射防止膜15,16がイオンアシスト蒸着法で形成されたものであればよく、過酷な環境条件下に置かれない箇所の反射防止膜15,16であれば他の方法で形成されていてもよい。
本発明のイオンアシスト蒸着法で形成された反射防止膜は、PPLNなどの光学素子、通信波長用光ファイバ、高出力レーザー用光ファイバ、バンドル及びレンズなどに設けられても剥離抑制という作用効果を得ることはできる。
イオンアシスト蒸着法で反射防止膜を一方のファイバ端面に形成したレーザーガイド光ファイバ心線(発明例1)と、電子ビーム加熱蒸着法で反射防止膜を一方のファイバ面に形成したレーザーガイド光ファイバ心線(比較例1)と、イオンアシスト蒸着法で反射防止膜を両方のファイバ端面に形成したレーザーガイド光ファイバ心線(発明例2)と、電子ビーム加熱蒸着法で反射防止膜を両方のファイバ端面に形成したレーザーガイド光ファイバ心線(比較例2)とについて、100℃に煮沸させた純水中に2時間及び4時間浸漬させる前後それぞれで分光特性を計測した。
図4〜7は、それぞれ発明例1、比較例1、発明例2及び比較例2の波長と反射率との関係を示す。
図4によれば、発明例1は、2時間浸漬した場合でも、4時間浸漬した場合でも、初期の分光特性から変化がないのが分かる。同様に、図6によれば、発明例2は、2時間浸漬した場合でも、4時間浸漬した場合でも、初期の分光特性から変化がないのが分かる。
これに対し、図5によれば、比較例1は、2時間浸漬した場合には、初期の分光特性からずれが生じており、4時間浸漬した場合には、初期とは全く別の分光特性になっているのが分かる。同様に、図7によれば、比較例2は、2時間浸漬した場合には、初期の分光特性からずれが生じており、4時間浸漬した場合には、初期とは全く別の分光特性になっているのが分かる。これらは、反射防止膜が剥離したことによるものであると考えられる。
従って、イオンアシスト蒸着法で形成した発明例1及び2の反射防止膜は、電子ビーム加熱蒸着法で形成した比較例1及び2の反射防止膜に比べて剥離しにくいものであるということができる。
本発明は、レーザー発信源からのレーザー光を伝送するための加工機用レーザーガイド及びその製造方法について有用である。
本発明の実施形態に係るYAGレーザー用レーザーガイドの構成を示す図である。 反射防止膜の模式的な断面図である。 反射防止膜蒸着装置の構成を示す図である。 発明例1の波長と反射率との関係を示すグラフである。 比較例1の波長と反射率との関係を示すグラフである。 発明例2の波長と反射率との関係を示すグラフである。 比較例2の波長と反射率との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 YAGレーザー用レーザーガイド(加工機用レーザーガイド)
11 ガイド本体部
11a レーザーガイド光ファイバ心線
11b チューブ
12 入射側コネクタ
12a コネクタ本体
12b キャップ部材
13 サファイアチップ
14 保護ガラス
15,16 反射防止膜
17 高反射膜
18 高屈折率層
19 低屈折率層
20 反射防止膜蒸着装置
21 チャンバー
22 電子銃
23 蒸着源
24 イオン銃
25 ドーム
26 加工品保持孔
27 水晶モニタ
28 モニタガラス
29 光源
30 ミラー
31 光検出器

Claims (5)

  1. レーザー発信源からのレーザー光を伝送するための加工機用レーザーガイドであって、
    レーザー光の光路にガイド構成部材が設けられ、該ガイド構成部材の光入射面及び/又は光出射面が高屈折率層と低屈折率層との交互積層体で構成された反射防止膜で被覆されており、
    上記反射防止膜を構成する交互積層体の高屈折率層及び低屈折率層のいずれもがイオンアシスト蒸着法により形成されている、
    ことを特徴とする加工機用レーザーガイド。
  2. 請求項1に記載された加工機用レーザーガイドにおいて、
    上記ガイド構成部材がレーザーガイド光ファイバ心線である、
    ことを特徴とする加工機用レーザーガイド。
  3. 請求項1に記載された加工機用レーザーガイドにおいて、
    上記レーザー発信源がYAGレーザーである、
    ことを特徴とする加工機用レーザーガイド。
  4. 請求項1に記載された加工機用レーザーガイドにおいて、
    高温プロセス用途である、
    ことを特徴とする加工機用レーザーガイド。
  5. レーザー発信源からのレーザー光を伝送するための加工機用レーザーガイドの製造方法であって、
    レーザー光の光路に設けられるガイド構成部材の光入射面及び/又は光出射面を被覆するように高屈折率層と低屈折率層との交互積層体で構成された反射防止膜を形成するステップを備え、
    上記反射防止膜を構成する交互積層体の高屈折率層及び低屈折率層のいずれもをイオンアシスト蒸着法により形成する、
    ことを特徴とする加工機用レーザーガイドの製造方法。
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