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JP2006089321A - 流し込み耐火材 - Google Patents

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JP2006089321A JP2004275864A JP2004275864A JP2006089321A JP 2006089321 A JP2006089321 A JP 2006089321A JP 2004275864 A JP2004275864 A JP 2004275864A JP 2004275864 A JP2004275864 A JP 2004275864A JP 2006089321 A JP2006089321 A JP 2006089321A
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Eizo Maeda
榮造 前田
Koji Asakawa
幸治 浅川
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Abstract

【課題】流し込み耐火材において、金属ファイバーを配合して、亀裂進展を抑制することが可能な流し込み耐火材、特に、溶融金属処理ランス用の耐火材として好適な流し込み耐火材を提供する。
【解決手段】流し込み耐火材(母材)に、断面が略円形で、表面が滑らかな直線状の金属ファイバーに0.1〜10μmの有機物被覆を施した被覆金属ファイバーを添加することにより、亀裂の進展を抑制して耐用性を向上させる。
有機物被覆を施す前の金属ファイバーとして、直径が0.1〜0.6mm、長さが20〜80mmの金属ファイバーを用いる。
また、有機物被覆を施した金属ファイバーを、5〜20重量%の割合で添加する。
また、溶融金属処理ランス用の耐火材として用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は流し込み耐火材に関し、詳しくは、溶融金属処理ランス用キャスタブルなどの用途に適した、金属ファイバーを添加することにより靭性を高めた流し込み耐火材に関する。
溶融金属処理ランスは、ガス吹き、撹拌、処理剤を吹き込むために溶融金属に浸漬して使用される。この溶融金属処理ランスは、通常、金属製芯金パイプの表面に、芯金保護のための耐火物を施工することにより形成されている。
そして、耐火物の施工方法としては、一般に、流し込み施工法が適用されている。
しかし、溶融金属処理ランスは、熱サイクルにさらされるとともに、激しい振動、振れ、ねじれなどの外力が加わるため、従来の構成のものでは寿命が短いという問題点がある。
このため、耐火物としては、耐スポーリング性に優れるアルミナ・シリカ系の流し込み材をベースとして、金属ファイバーを数%添加することが一般的に行われてきた。
流し込み耐火材に金属ファイバーを添加する、いわゆる金属ファイバー強化流し込み耐火材については、従来から様々な検討がなされてきた。金属ファイバーを添加することにより強化される機械的特性には、大きく分けて2種類ある。すなわち、(a)強度および弾性率の強化と、もう一つは、(b)高靭性化(すなわち、破壊エネルギーの向上)である。
これらの特性の差を亀裂の観点からみると、前者は亀裂の発生防止効果を意図するものであり、一方後者は、亀裂の進展抑制を意図するものである。
そして、例えば、機械的強度の向上を目的として、太さ10μm〜3mm、長さ5〜100mmの耐熱性の金属ファイバーを0.01〜30重量%添加する方法が示されている(特許文献1参照)。
金属ファイバーを添加することにより達成される機械的特性の向上の種類には、上述のように、大きく分けて(a)強度・弾性率の向上と、(b)高靭性化の2種類があるが、上述の特許文献1は、金属ファイバーの添加効果を上記2点に分けて考えたものではなく、強度向上の観点から金属ファイバーの添加を行っており、金属ファイバーの形状については全く記述されていない。
なお、溶融金属処理ランス用流し込み材においては、熱衝撃による亀裂の発生を抑えることは困難であることから、耐用性を向上させようとすると、発生した亀裂の進展を抑制することが必要であり、また、亀裂の進展を抑制することは、耐用性の向上に有効でもある。
また、亀裂の進展を抑制する、すなわち靭性を向上させることを目的として金属ファイバーを添加するようにした耐火材に関する従来技術には、以下のようなものがある。
例えば、耐火物の破壊エネルギーを増大させる目的で、ステンレススチールファイバーを外掛けで2〜4重量%添加した不定形耐火物が開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上限4重量%のステンレススチールファイバー添加量では、耐火物の破壊エネルギーが十分向上せず、亀裂の進展抑制効果が十分でないため、期待した高寿命は達成できないという問題点がある。また、ステンレススチールファイバーの添加量が4重量%を超えると、混練時の作業性に支障をきたすとともに、ステンレススチールファイバーを均一に分散できないなどの問題点がある。
また、上記の問題点を解決するために、断面最大径が0.2〜1.5mmで、長さ20〜50mmの金属ファイバーを1〜5重量%添加し、併せて長さが1〜15mmの短い金属ファイバーを加え、金属ファイバーの総量が外掛けで35重量%以下となるような条件で金属ファイバーを添加する方法が開示されている(特許文献3参照)。
しかし、特許文献3の方法では、必ずしも靭性を効率よく向上させることができず、高寿命を十分に達成することができないのが事情である。
さらに、同様の問題を解決するために、長さが20〜35mmと10〜20mmの2種類の金属ファイバーを添加する方法も開示されている(特許文献4参照)。しかし、この方法は、破壊エネルギーの向上に関し、短い方の金属ファイバーの添加は必ずしも効果的でなく、高寿命を十分に達成することができないという問題点がある。さらに、長い金属ファイバーを5体積%以上添加すると金属ファイバーが互いに絡み合い、金属ファイバーを均一に分散することができず、施工性も低下するという問題点を含んでいる。
さらに、施工特性とファイバーの形状について、例えば、前述の特許文献2の方法では、ステンレススチールファイバー添加量の限界を4重量%としているが、これは、4重量%を超えて添加するとステンレススチールファイバーどうしが絡み合い、混練が困難になったり、流し込み材の流動性が低下したりするためである。また、前述の特許文献3、および特許文献4では、長さの異なる2種類の金属ファイバーを添加する方法が開示されているが、長さの異なる2種類の金属ファイバーを添加する理由も、長いファイバーを多量添加すると施工性が低下することにあるとしている。
また、金属ファイバーに有機物の被覆を施した例として、10〜1000μmのペイントなどの被覆を形成し、金属ファイバーの酸化による膨張代を設けて、組繊の脆弱化を狙ったものがある(特許文献5参照)。特許文献5では、10μm未満では膨張代の効果がなく、1000μmを超えると強度劣化を引き起こすとしている。しかし、特許文献5の場合、有機物の被覆厚みが厚過ぎるため、十分な靭性向上の効果が得られないという問題点がある。
そのため、金属ファイバーの添加による靭性の向上をさらに効率的に図ることが可能で、亀裂の進展しにくい、耐用性の良好な耐火物が求められているに至っているのが実情である。
特開昭49−120907号公報 特開昭62−143880号公報 特開平8−268767号公報 特開平11−157948号公報 特開平2−59477号公報
本発明は、上記問題点を解決するものであり、流し込み耐火材において、金属ファイバーを配合して、亀裂進展を抑制することが可能な流し込み耐火材、特に、溶融金属処理ランス用の耐火材として好適な流し込み耐火材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、発明者らは、まず溶融金属処理ランスの損傷状況を観察し、その原因を考察した。その結果、以下の知見を得た。
(1)溶融金属処理ランスでは、芯金付近は吹き込みガスの影響で冷却されるが、表面は溶融金属に接触するために加熱される。そして、ランス耐火物の内外の温度差により、芯金側で引っ張り応力がかかり亀裂が発生することになる。しかし、この亀裂の発生を抑えることは、耐火物の弾性率、熱膨張特性、強度特性から考えて極めて困難である。
(2)また、溶鋼中にガスを吹き込む際に、ランスへは激しく振れ、ねじれ、振動などの機械的な外力がかかる。この外力により、芯金側で入った亀裂が拡大する。亀裂が拡大、進展して外部まで達すると、外側では圧縮応力ががかるために、亀裂を基点にして剥離、割れ、亀裂が拡大する。そして、拡大した亀裂に溶融金属が浸入し、芯金を溶かし、ついにはランスの折損、寿命に至る。
(3)したがって、溶融金属処理ランスの寿命を向上させるためには、低温側の芯金近傍で発生した亀裂の進展を抑制することが効果的である。ランス芯金表面温度は400〜800℃であり、通常耐火物が取り扱う温度と比較すると、著しく低い温度領域にある。このため、従来の耐火物技術で議論してきた熱スポーリングや構造スポーリング抑制技術とは異なる新しい考え方の導入が必要であり、効果的である。
上記知見を得て、発明者らは、400〜800℃における流し込み耐火材の靭性を効率的に向上させるべく、さらに種々の実験、検討を行った。
まず、従来の金属ファイバー強化不定形耐火物の考え方を整理し、強化される特性がどのような特性であり、そのためには何が必要なのかを検討、整理した。前述のように、金属ファイバーを添加することにより達成される機械的特性の向上の種類には、大きく分けて(a)強度・弾性率の向上と、(b)高靭性化の2種類がある。
本発明においては、高めようとする特性を(b)の靭性に絞り込むことで、効果的な方法が見つかるものと考えた。
また、(a)強度・弾性率の強化と、(b)高靭性化とは、金属ファイバーとマトリックスである耐火物との結合の観点から見れば、以下のように異なる。
すなわち、前者(強度・弾性率の強化)に関しては、添加した金属ファイバーで応力を支えることにより強度や弾性率を向上させることが可能になり、そのためには、ファイバーとマトリックスである耐火物とは強固に結合することが求められる。
一方、後者(高靭性化)に関しては、耐火材中で金属ファイバーの引き抜けが起こり、これが亀裂の進展を抑制するようなシールディング機構として働くことから靭性が向上することになるが、金属ファイバーの引き抜けを起こすためには、ファイバーとマトリックスの結合がある程度緩やかであることが必要である。このため、強度・弾性率の強化と、高靭性化のどちらに重点を置くかによって、効果的な金属ファイバーの添加方法や用いるべき金属ファイバーの態様は異なることになる。
このようにして、発明者らは、金属ファイバーの添加の目的を亀裂の進展の抑制、つまり高靭性化に絞ることで、より効果的な金属ファイバーの添加方法があるものと考え、高靭性化の効果を向上させるために、試行錯誤的に種々の断面形状、長さサイズ、金属ファイバーの形状(山形、波形、ドッグボーン形など)について、添加効果を調査した。
さらに、施工特性と金属ファイバーの形状についても検討を行った。
実験的に確認してみると、従来から一般的に使用され強度向上のために添加される山形や波形の形状のものや、表面にギザギザがある金属ファイバーを用いた場合、金属ファイバーどうしが非常に絡みやすく、混練が困難になったり、流し込み材の流動性が低下したりするという欠点があることが解った。
そこで、多量に添加しても絡み合いにくい形状の金属ファイバーについて検討を行い、さらに実験、検討を行って本発明に至った。
すなわち、本発明(請求項1)の流し込み耐火材は、断面が略円形で、表面が滑らかな直線状の金属ファイバーに0.1〜10μmの有機物被覆を施した被覆金属ファイバーを添加したことを特徴としている。
また、請求項2の流し込み耐火材は、請求項1記載の発明の構成において、有機物被覆を施す前の前記金属ファイバーとして、直径が0.1〜0.6mm、長さが20〜80mmの金属ファイバーを用いることを特徴としている。
また、請求項3の流し込み耐火材は、請求項1または2記載の発明の構成において、有機物被覆を施した前記被覆金属ファイバーを、5〜20重量%の割合で添加したことを特徴としている。
また、請求項4の流し込み耐火材は、溶融金属処理ランス用の耐火材として用いられるものであることを特徴としている。
本発明(請求項1)の流し込み耐火材は、断面が略円形で、表面が滑らかな直線状の金属製ファバーに0.1〜10μmの有機物被覆を施した被覆金属ファイバーを添加するようにしているので、金属ファイバー添加による靭性の向上を効率的に図ることが可能になり、亀裂の進展しにくい、耐用性に優れた耐火物を得ることが可能になる。
また、請求項2の流し込み耐火材のように、有機物被覆を施す前の金属ファイバー(被覆前の金属ファイバー)として、直径が0.1〜0.6mm、長さが20〜80mmの金属ファイバーを用いることにより、作業性を低下させることなく、靭性向上の効果を確保して、亀裂の進展しにくい、耐用性に優れた耐火物を提供することが可能になる。
また、請求項3の流し込み耐火材のように、有機物被覆を施した被覆金属ファイバーを、5〜20重量%の割合で添加するようにした場合、靭性向上の効果を確保して、亀裂の進展しにくい、耐用性に優れた耐火物を提供することが可能になる。
また、請求項4のように、本発明を溶融金属処理ランス用の耐火材に適用することにより、熱サイクルにさらされるとともに、激しい振動、振れ、ねじれなどの外力が加わり、従来では寿命の短い溶融金属処理ランス耐火物の高寿命化を図ることが可能になる。
なお、本発明は、溶銑予備処理用ランス用の耐火材の高寿命化に有効なだけではなく、各種の不定形耐火物の高靭性化にも有効である。
以下に発明を実施するための最良の形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
また、この結果から、金属ファイバーの形状は、ねじれやバリがなく表面が滑らかな直線状の形状であることが好ましいことがわかる。
すなわち、金属ファイバーを添加することによって流し込み材の靭性を向上させるためには、金属ファイバーが進展する亀裂の背面側で引き抜けることが必要であり、そのためには、金属ファイバーと母材耐火物とが強固に結合することは好ましくない。したがって、金属ファイバーにねじれやバリがあると、その部分で耐火物と強固に結合するため好ましくない。
さらに、金属ファイバーの表面が滑らかでないと金属ファイバーと耐火物が強固に結合しやすくなることから、金属ファイバーの表面は滑らかであることが必要である。
また、金属ファイバーは直線形状であることが好ましい。市販の金属ファイバーには、非直線的な形状(山形、波形、ドッグボーン形などの曲線形状)のものがあるが、これらは耐火物と強固に結合する原因となるので好ましくない。
ただし、金属ファイバーのねじれやバリ、表面の滑らかさについて、製造上不可避的に入るバリや、表面のきずや、保管中に入る不可避的な曲がりについては許容される。例えば、線材を所定長さに切断した際に生じる多少のバリは許容される。しかし、板材を短冊状ないし直線状に切断した材料では、バリが多く出るため許容されない。
さらに、金属ファイバーにねじれやバリがなく、表面が滑らかな直線形状である場合には、流し込み材への多量配合が可能となる。これは、このようなねじれやバリがなく、表面が滑らかな直線形状とすることにより、金属ファイバーの絡み合いが著しく低下することによる。換言すれば、ねじれがあったり、バリが出ていたり、曲線形状であったりすると、金属ファイバーが絡み合いやすくなる。また、表面が滑らかでないとそれだけでも金属ファイバーどうしが滑りあわず、絡みが発生しやすくなる。
前述の特許文献3および特許文献4において、従来、金属ファイバーを多量添加できなかったのは、金属ファイバーが互いに絡み合いやすく、金属ファイバーの多量添加を困難にしていたことによる。絡み合いが少なくなる本発明に示したような特定の形状の金属ファイバーを利用することにより、多量添加が可能になる。
また、金属ファイバーの断面は、略円形であることが好ましい。ねじれやバリがなく、直線状の形状の金属ファイバーをより安価に入手しようとすると、線引きダイスで引いた線を利用することが好ましい。したがって、金属ファイバーとしては断面形状が略円形のものを用いることが好ましい。また、断面形状が略円形のものを用いることにより、多少のねじれがある場合にも、引き抜き抵抗の増大や、金属ファイバーの絡み合いが発生しにくいという効果が得られる。
なお、本発明において断面形状が略円形であるとは、断面形状が必ずしも真円である場合に限らず、楕円またはそれに類似する形状、長円またはそれに類似する形状などを含む概念である。
また、本発明における金属ファイバーの直径は、最大部分の径(例えば、長円の場合の長径)を意味する概念である。
そして、本発明においては、金属ファイバーに適度な厚さの有機物被覆を施すようにしている。有機物被覆を施した場合、有機物が約400℃以上の高温で分解・消失し、流し込み材と金属ファイバーの結合を弱める働きをする。そして、流し込み材と金属ファイバーの結合が弱められる結果、金属ファイバーの亀裂背面での引き抜きが容易になり、靭性が向上する。
また、該有機物被覆の厚さは、0.1〜10μmが好ましい。有機物被覆の厚さが0.1μm未満の場合、流し込み材と金属ファイバーの結合を弱める効果が不十分になる。有機物被覆の厚さが10μmを超えると、逆に結合が弱くなりすぎて靭性が低下するので好ましくない。有機物被覆の厚さのより好ましい範囲は、0.2μmから5μmである。
金属ファイバーに有機物を被覆する方法は特には限定されない。たとえば、被覆材を有機溶媒などで希釈し、その希釈液の中にファイバーを浸漬させ、引き上げた後、乾燥させる方法などを用いることが用可能である。
また、金属ファイバーの長さは20〜80mmが好ましい。長さが20mmより短ければ、引き抜け長さが小さくなるとともに、亀裂背面での金属ファイバーの架橋効果が小さくなるため、靭性向上の効果が少ない。一方、長さが80mmより長くなると、混練時にファイバーが変形し、絡み合いやすくなるとともに、流し込み材の流動性が低下するなど、作業性が悪くなる。より好ましい金属ファイバーの長さは25〜60mmである。
また、金属ファイバーの直径は、0.1〜0.6mmが好ましい。直径が0.1mmより小さければ、混練中の変形が大きくなり、絡み合いやすくなるとともに、流し込み材の流動性が低下するなど、作業性が悪くなる。また、金属ファイバーの直径が0.6mmより大きくなると、靭性向上効果が小さくなる。より好ましい金属ファイバーの直径は、0.2〜0.55mmである。
また、本発明の流し込み耐火材において、金属ファイバーの添加量は、5〜20重量%が好ましい。添加量が5重量%未満になると高靭性化の効果が少なくなる。また、添加量が20重量%より多くなると、流し込み材の作業性が悪くなるため好ましくない。
なお、前述のように、特定の形状の金属ファイバー、すなわち、ねじれやバリがなく、表面が滑らかで円形の断面をもつ直線状の金属ファイバーを使用することにより、多量添加が可能となる。しかし、添加量が多くなりすぎると直線上の形状が互いに干渉しあうため、流動性確保が困難になる。該形状の金属ファイバーのより望ましい添加量は7〜15重量%である。
母材となる流し込み耐火材としては、予備処理ランスの溶銑浸漬部向けには、一般的にはアルミナ・シリカ系の流し込み耐火材が使用される。靭性を向上させる効果は、母材の種類に特には限定されないが、以下の1種または2種以上の材料が好ましく使用される。
すなわち、本発明の流し込み耐火材において母材として好適に用いることが可能な耐火材としては、アルミナ、シリカおよびアルミナ・シリカ系鉱物、マグネシア、スピネル、クロミア、クロム鉱石、焼成ドロマイト、マグ・ライム、ジルコン、シャモット、ムライト、炭化珪素、炭素、ピッチなどが例示される。どの系を選定するかは、靭性とともに併せ持つことが要求される特性によって決定される。
例えば、耐熱スポーリング性が靭性とともに要求される際には、アルミナ、シリカ、炭化珪素、炭素、ピッチなどから材料を選定することが望ましい。
一方、耐食性が靭性とともに要求される際には、アルミナ、マグネシア、スピネル、クロミア、クロム鉱石、焼成ドロマイト、マグ・ライムなどが利用される。
金属ファイバーの添加方法についても、特には限定されないが、例えば以下の方法などが利用できる。
(a)原料配合時に原料骨材や粉末と同時に金属ファイバーを混ぜ込む方法。
(b)金属ファイバー未添加の配合のものをまず作製し、水を添加して流し込み材を混練する際に金属ファイバーを添加する方法。
(c)前者の中間の方法で、金属ファイバーの一部を原料骨材や粉末と混ぜ込んでおき、流し込み材の混練時に残りの金属ファイバーを添加する方法。
なお、金属ファイバーの添加方法は上記の方法に限らずその他の方法を用いることも可能である。
本発明の流し込み耐火材の混練方法にも特別の制約はない。平ミキサーやボルテックスミキサーに原料を投入し、水を添加して混練する。前述のように、金属ファイバーの一部または全部をこの際に投入する方法も採用可能である。
混練水量も特には限定されず、一般的な値が利用可能である。金属ファイバーの添加量が増加すれば必要な添加水量も増加する傾向があるが、例えば、5〜15重量%などが適用される。
本発明の流し込み耐火材の施工方法にも特別の制約はない。金属ファイバーを添加しており、一般の材料と比較して流動性が劣るという特徴があるため、加振して流動性を増した方が、均一な施工体を得やすい。加振方法としては、中子振動方法や棒状バイブレータ、アイロンバイブレータなどの可搬型のバイブレータを使用する方法などが例示される。
また、本発明になる特定の形状、サイズの金属ファイバーを添加することによって、靭性を向上させることは、本発明の実施例のような流し込み材に限らず、不定形材料一般にも適用可能である。たとえば、吹き付け材、湿式吹き付け材、プラスチック耐火物、バッチング材、鏝塗り耐火物、投げ込み補修材などにも適用可能である。
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに具体的に説明する。
表1にこの実施例で用いた各金属ファイバー(A〜E)の、断面形状、直径、長さおよび有機物被覆の厚みを示す。なお、表1において、金属ファイバーC,D,Eは、比較用の従来の金属ファイバーである。
本発明の要件を満たす金属ファイバー(被覆金属ファイバー)A,Bは、いずれも円形の断面をもつ表面が円滑なストレートの普通鋼ファイバーであって、端部の一部には切断時に発生した微少のバリがある金属ファイバーである。いずれも、厚さ2μmのフッ素樹脂コーティングを施したものを使用した。
一方、比較用の金属ファイバーC,D,Eは、従来から使用されているステンレスファイバーであり、0.5mmの円形の断面形状をし、長さが25mmの金属ファイバーCと、0.5mmの円形の断面形状をし、長さが40mmの金属ファイバーDと、0.5mm×1mmの矩形の断面形状をし、長さが25mm、両端に波形の曲がり部が付属する材料である金属ファイバーEを用いている。
Figure 2006089321
そして、アルミナ・シリカ系流し込み材をベース材料とし、金属ファイバーの種類と添加量を変えて、表2の実施例1〜3、比較例1〜9の各試料を作製し、破壊エネルギーの変化を調べた。
破壊エネルギーは、40mm×40mm×160mmの試験片を作成し、800℃×5時間焼成後、スパン120mmの3点曲げ試験により、応力・歪み曲線を得、曲線の囲む面積から求めたものである。
また、各試料について、施工時の施工特性(流動特性)を調べた。
それらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2006089321
なお、表2において、破壊エネルギーは、比較例1(金属ファイバー無添加品)を1とした相対値であり、金属ファイバーを含まない材料の破壊エネルギーをベースに、その何倍になったかを示している。
表2から、2μmの被覆厚を有する有機物被覆を施した、表1のA,Bの金属ファイバー(被覆金属ファイバー)を添加した本発明の実施例1〜3の試料(流し込み耐火材)については、いずれも施工特性が良好であるとともに、高い破壊エネルギー値が得られており、金属ファイバーを添加していない比較例1の試料(流し込み耐火材)、および有機物被覆を施していない金属ファイバーを添加した比較例2〜9の試料(流し込み耐火材)に比べて本発明の実施例1〜3の流し込み耐火材が優れていることは明らかである。
上記実施例1において作製した試料(表2の実施例1の試料、および表2の比較例3,8の試料)を、実機の溶銑予備処理ランスで使用、比較した。
溶銑予備処理ランスは全長約7m、太さ300mmの垂直型ランスで、先端(下端)から2.5mが溶銑浸漬部である。
先端(下端)から2.8mの部分を、表2の実施例1の試料、および表2の比較例3,8の試料(流し込み耐火材)で施工し、上部は別の系の材料を施工し、浸漬部での耐火物の寿命を比較した。
その結果、表2の比較例8の流し込み耐火材を用いた場合には、平均16ch(n=10)で寿命となった。すなわち、浸漬部に大きな亀裂が入り、振動によりそれがさらに拡大し、拡大した亀裂に溶銑が差し込んで芯金を溶かすことで寿命となった。
また、表2の比較例3の流し込み耐火材を用いた場合には、平均42ch(n=10)と寿命は延長した。亀裂はあるものの、比較例8の流し込み耐火材と比べて亀裂が軽減し、ある程度の改善効果が認められた。
これに対し、表2の実施例1の流し込み耐火材を用いた場合には、69chへと増加した。表2の実施例1の流し込み耐火材を用いた施工部分には、亀裂はあるものの、比較例と比べて亀裂が大幅に軽減し、著しい改善効果が認められた。以上の結果より、比較例3,8の流し込み耐火材に比べて本発明の実施例1の流し込み耐火材が優れていることが確認された。
本発明の流し込み耐火材は、断面が略円形で、表面が滑らかな直線状の金属ファイバーに0.1〜10μmの有機物被覆を施した被覆金属ファイバーを添加するようにしているので、金属ファイバー添加による靭性の向上を効率的に図ることができ、亀裂の進展しにくい耐火物を得ることが可能になる。したがって、ここで例示した溶銑予備処理用ランス材料だけでなく、各種の不定形耐火物の高靭性化についても広く適用することが可能である。

Claims (4)

  1. 断面が略円形で、表面が滑らかな直線状の金属ファイバーに0.1〜10μmの有機物被覆を施した被覆金属ファイバーを添加したことを特徴とする流し込み耐火材。
  2. 有機物被覆を施す前の前記金属ファイバーとして、直径が0.1〜0.6mm、長さが20〜80mmの金属ファイバーを用いることを特徴とする請求項1記載の流し込み耐火材。
  3. 有機物被覆を施した前記被覆金属ファイバーを、5〜20重量%の割合で添加したことを特徴とする請求項1または2記載の流し込み耐火材。
  4. 溶融金属処理ランス用の耐火材として用いられるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流し込み耐火材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20150073455A (ko) 2013-12-23 2015-07-01 주식회사 포스코 저취풍구 및 그 제작방법

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KR20150073455A (ko) 2013-12-23 2015-07-01 주식회사 포스코 저취풍구 및 그 제작방법

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