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JP2006082472A - 熱可塑性樹脂発泡シートの真空成形方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡シートの真空成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
発泡倍率が高く、かつ厚みの厚い熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法を提供する。
【解決手段】
成形型の成形面より真空吸引可能な成形型Aと、少なくとも成形面外縁部にシート固定部材を有する成形型Bを用いた、以下の工程を含む熱可塑性樹脂発泡シートの真空成形方法。
(1)熱可塑性樹脂発泡シートを加熱軟化させる工程
(2)成形型Aと成形型Bとの間に、工程(1)で得られる熱可塑性樹脂発泡シートを供給する工程
(3)加熱軟化された熱可塑性樹脂発泡シートを成形型間で挟持しつつ、成形面外縁部における両成形型間のクリアランスが、該シートの厚み以下となるまで両成形型を閉じ、成形型Bの成形面全面と前記発泡シート表面とを接触させる工程
(4)工程(3)で成形型Bの成形面全面と前記発泡シート表面とが接触した後に、成形型Aの成形面より真空吸引を開始する工程
(5)真空吸引を継続しつつ、成形面間の前記シートが所望の成形品厚みになるまで型開きして賦形する工程
(6)真空吸引を停止して成形型を開き、成形品を取り出す工程
【選択図】 図1

Description

本発明は熱可塑性樹脂発泡シートの真空成形方法に関する。
熱可塑性樹脂発泡成形体は、軽量性、リサイクル性、断熱性などに優れることから、自動車部品材料、建築材料、包装材料等、種々の用途に用いられている。
熱可塑性樹脂発泡成形体を上記のような用途として用いる場合には、熱可塑性樹脂発泡シートを製造した後、該熱可塑性樹脂発泡シートを真空成形などの二次成形方法により所望の形状に賦形し熱可塑性樹脂発泡成形体として使用することが多い。熱可塑性樹脂発泡シートの真空成形方法としては、型締めしたときに所定の空隙を有する一対の雌雄金型の間に熱可塑性樹脂発泡シートを供給して型締めし、型締めしたまま両金型面より真空減圧して発泡シートを空隙の形状に賦形し、熱可塑性樹脂発泡成形体を得る方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開昭54−148863号公報
発泡シートとしては、発泡倍率が高く、厚みの厚いものが望まれる。前記方法によれば、真空成形に用いる原反発泡シートと比較すると、発泡倍率が高く、厚みの厚いシートを得ることができる。しかしながら前記の方法では、一対の成形型を型締めした時に形成される空隙分しか原反発泡シートを膨張させられないため、得られる熱可塑性樹脂発泡シートの厚みは原反シート厚みの2倍程度でしかなく、発泡倍率も未だ満足できるものではなかった。
前記の方法で原反発泡シートよりも十分に発泡倍率が高く厚みの厚い熱可塑性樹脂発泡シートを得るためには、空隙部が大きい成形型を用いる必要があるが、その場合には真空吸引を行っても原反発泡シートによって該空隙部を満たすことができないことがあり、やはり原反発泡シートよりも発泡倍率が高く、厚みの厚い熱可塑性樹脂発泡シートを得ることは困難であった。
本発明は、発泡倍率が高く、かつ厚みの厚い熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法を提供するものである。
すなわち本発明は、成形型の成形面より真空吸引可能な成形型Aと、少なくとも成形面外縁部にシート固定部材を有する成形型Bを用いた、以下の工程を含む熱可塑性樹脂発泡シートの真空成形方法である。
(1)熱可塑性樹脂発泡シートを加熱軟化させる工程
(2)成形型Aと成形型Bとの間に、工程(1)で得られる熱可塑性樹脂発泡シートを供給する工程
(3)加熱軟化された熱可塑性樹脂発泡シートを成形型間で挟持しつつ、成形面外縁部における両成形型間のクリアランスが、該シートの厚み以下となるまで両成形型を閉じ、成形型Bの成形面全面と前記発泡シート表面とを接触させる工程
(4)工程(3)で成形型Bの成形面全面と前記発泡シート表面とが接触した後に、成形型Aの成形面より真空吸引を開始する工程
(5)真空吸引を継続しつつ、成形面間の前記シートが所望の成形品厚みになるまで型開きして賦形する工程
(6)真空吸引を停止して成形型を開き、成形品を取り出す工程
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法によれば、発泡倍率が高く、厚みの厚い熱可塑性樹脂発泡シートを製造することができる。
以下、本発明の一例を図1に基づいて詳細に説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
本発明は、図1に示すように成形型の成形面より真空吸引可能な成形型A(4)と、少なくとも成形面外縁部にシート固定部材(6)を有する成形型B(5)を用いて、クリップ部材(2)で固定し赤外ヒーター(3)で加熱軟化させた状態の熱可塑性樹脂発泡シート(1)の成形を行う。成形型Bは、成形面より真空吸引可能であってもよい。使用する成形型としては、一方が雄型、他方が雌型の成形型や、雌型同士の成形型、一対の板状の成形型などが例示でき、成形面外縁部における両成形型間のクリアランスが発泡シートの厚み以下となるまで両成形型を閉じた際に、成形型Bの成形面全面と発泡シート表面とが接触するような型であればよい。
成形型の成形面より真空吸引可能な成形型としては、その成形面の少なくとも一部が焼結合金から構成される型や、成形面の少なくとも一部に孔が設けられた型などが例示される。成形型に設けられる前記孔の数や位置、孔径は特に限定されるものではなく、該孔を通じて真空吸引することにより、成形型間に供給された熱可塑性樹脂発泡シートを成形型成形面状に賦形することができるものであればよい。
成形型の材質は特に限定されるものではないが、通常寸法安定性、耐久性、熱伝導性などの観点から金属製であり、コストや軽量性などの面からアルミ製であることが好ましい。
また成形型は、ヒーターや熱媒などにより温度調整可能な構造であることが好ましい。発泡シートとの滑り性を高める観点や、成形完了前に発泡シートが冷却されてしまうことを防止する観点から、成形型の成形面を30〜80℃とすることが好ましく、50〜60℃とすることがさらに好ましい。
一方または両方の成形型として、気密性保持部を有する成形型を用いることが好ましい。このような成形型を用いた場合、真空吸引した際にキャビティ内の真空度を維持しやすくなり、きわめてひけの小さい成形品を得ることができる。
気密性保持部を有する成形型としては、例えば少なくとも一方の成形型の成形面外縁部が、対向する成形型方向に可動である成形型が挙げられる。このような成形型の場合、型閉め時は該可動部が成形面外縁部と同じ平面上となるよう、可動部が成形型に収納可能である構造が好ましい。このような成形型は、型を開くに従い可動部が突出するため、後述する型開き工程においてキャビティ内の真空度が維持しやすくなる。
気密性保持部を有する成形型の他の例としては、少なくとも一方の成形型の成形面外縁部に緩衝材を有する成形型が挙げられる。通常発泡シートは、表面に微小な凹凸を有している。緩衝材を有する成形型の場合には、型閉めにより緩衝材が微小な凹凸のある発泡シート表面と密着するため、真空吸引した場合にキャビティ内の真空度を維持しやすい。緩衝材としては、ゴムや発泡体等が挙げられる。
型閉めしたときに一方の成形型の外周に設けられた気密性保持部によって、他方の成形型が覆われるような構成の一対の成形型を用いることもできる。
図1−(2)に示すように、成形型Bは少なくとも成形面外縁部にシート固定部材(6)を有する。シート固定部材は、成形面の少なくとも一部にも設けられていてもよい。シート固定部材は、後述する本発明の真空成形方法の工程(5)において、成形型Aの成形面より真空吸引を行いながら型開きする場合に、発泡シートが成形型Bに固定されるように設けられていればよく、例えば成形面外縁部に粘着材を設けたり、ピン、フック、クリップ、スリットなどを設けてもよい。このような成形型を用いることにより、発泡シートを成形面状に賦形することが容易となる。また成形型Aも、少なくとも成形面外縁部にシート固定部材を有していてもよい。
成形型は、型閉めしたときに形成されるキャビティの高さが、工程(1)で得られる発泡シート厚みの0.8〜2倍程度の成形型を用いることが好ましい。キャビティの高さとは、成形型間に供給した発泡シートの厚み方向に対応する成形型成形面間の距離である。キャビティ高さは一定である必要はなく、所望の成形品の形状に対応したキャビティであればよい。キャビティの高さが低すぎると型閉め時に発泡シートの気泡をつぶしてしまうことがあり、高すぎると後述するように真空吸引しても成形型の成形面と発泡シート表面とを接触させて賦形することが困難となり、接触させた場合でも破泡が生じやすくなる。
図1−(1)は、熱可塑性樹脂発泡シートを加熱軟化させる工程(1)を示している。工程(1)では、通常クランプ枠で発泡シートを挟み、遠赤外ヒーター、近赤外ヒーター、接触式熱板などの公知の加熱装置で発泡シートを加熱する。短時間で効率的に加熱できることから、遠赤外ヒーターを用いることが好ましい。加熱処理は、発泡シートの表面温度が、発泡シートを構成する樹脂が結晶性樹脂であれば該樹脂の融点付近、非晶性樹脂であればガラス転移温度付近となるように加熱することが好ましい。
図1−(2)は、成形型の成形面より真空吸引可能な成形型Aと、少なくとも成形面外縁部にシート固定部材を有する成形型Bとの間に、工程(1)で得られる熱可塑性樹脂発泡シートを供給した状態を示している。
図1−(3)は、加熱軟化された熱可塑性樹脂発泡シートを成形型間で挟持しつつ、成形面外縁部における両成形型間のクリアランスが、該シートの厚み以下となるまで両成形型を閉じ、成形型Bの成形面全面と前記発泡シート表面とを接触させた状態を示している。成形面外縁部における両成形型間のクリアランスが発泡シートの厚み以下となるまで両成形型を閉じることにより、成形型Bの成形面外縁部に設けられたシート固定部材によって発泡シートと成形型Bの成形面外縁部が固定され、かつ成形型Bの成形面全面と前記発泡シート表面とが接触し、成形型Bの成形面状に発泡シートが賦形される。型閉めは一方の成形型のみを他方の成形型方向に移動させてもよいし、両方の成形型を接近させてもよい。
図1−(4)は、成形型Aの成形面より真空吸引を行った状態を示している。真空吸引は、成形型Bの成形面全面と発泡シート表面とが接触した後に開始する。ここで成形型Bの成形面全面と発泡シート表面とが接触した後とは、成形型Bの成形面全面と発泡シート表面とが接触すると同時であってもよい。成形型Bの成形面全面と発泡シート表面とが接触した後に真空吸引を行う場合には、発泡シートが冷却される前、成形型Bの成形面全面と発泡シート表面とが接触した時点から通常3秒以内に真空吸引を行うことが好ましい。
成形型Bとして成形面より真空吸引可能な成形型を用いる場合、成形型Bから真空吸引を開始するタイミングは、工程(1)から工程(4)のいずれの時点であってもよい。通常工程(3)の両成形型間のクリアランスが、発泡シート厚み以下となるまで両成形型を閉じた時点から真空吸引を開始する。成形型Bからも真空吸引することにより、短時間で成形型Bの成形面状に発泡シートを賦形することができる。
真空吸引の程度は特に限定されるものではないが、キャビティの真空度が−0.05〜−0.1MPaになるように真空吸引することが好ましい。真空度とは、大気圧に対するキャビティ内の圧である。すなわち「真空度が−0.05MPa」とは、キャビティ内の圧力が0.95MPaであることを示す。真空度が高いほど成形型に発泡シートが強く押し付けられるため、発泡シートをキャビティ形状どおりに賦形することが可能になる。キャビティの真空度とは、真空吸引する孔のキャビティ側口で測定される値である。
図1−(5)は、成形面間の前記シ−トが所望の成形品厚みになるまで型開きして賦形した状態である。型開きは真空吸引を継続しながら行う。型開きの速度や真空度は、発泡シ−トが各成形型の成形面に接触した状態を維持しつつ、最終的に所望の成形品形状に賦形されるように調整すればよい。
所定厚みまで型開きした状態で、発泡シートを十分冷却したのち、真空吸引を停止して成形型を開き、成形品を取り出す。図1−(6)は、成形品を取り出すため成形型(図示せず)を開いた状態を示している。
本発明において、一方あるいは両方の成形型の成形面に、予め表皮材を載置しておいてもよい。表皮材としては、該表皮材を通して真空吸引を行うことにより発泡シートを成形面状に賦形可能なものであればその材料や厚みは特に限定されるものではなく、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマーなどの樹脂、ゴム、麻などの天然繊維、けい酸カルシウムなどの鉱物などがあり、その形態はフィルム、シート、不織布、織布などが例としてあげられる。その他にも紙、プロピレン系樹脂やスチレン系樹脂などからなる合成紙、アルミニウムや鉄等の金属薄板や金属箔などを使用することができる。表皮材は単層でも多層でもよく、シボなどの凹凸模様や印刷や染色などが施されたものでもよい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂発泡シートとしては特に限定されるものではなく、公知の発泡シートを用いることができる。
熱可塑性樹脂発泡シートを構成する樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等の炭素数が6以下のオレフィンホモポリマー、あるいは炭素数が2〜10のオレフィンから選択される2種類以上のモノマーを共重合させたオレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エステル系樹脂、アミド系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、アイオノマー樹脂などがあげられる。これらの樹脂は単独で使用してもよいし複数の樹脂のブレンド物として用いることもできる。これらの樹脂の中でも、成形性、耐油性、コストなどの観点からオレフィン系樹脂が好ましく用いられ、得られる成形品の剛性、耐熱性などの観点からプロピレン系樹脂が特に好ましく用いられる。
プロピレン系樹脂製の発泡シートを使用する場合、発泡層を構成するプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマーや、プロピレン由来のモノマー単位を50モル%以上含むプロピレン系共重合体をあげることができる。共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。好ましく用いられるプロピレン系共重合体の例としては、エチレンまたは炭素数4〜10のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体を挙げることができる。炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられる。プロピレン系共重合体中のプロピレン以外のモノマー単位の含有量は、エチレンについては15モル%以下、炭素数4〜10のα−オレフィンについては30モル%以下であることが好ましい。プロピレン系樹脂は1種類でもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
またプロピレン系樹脂の中でも、長鎖分岐プロピレン系樹脂や重量平均分子量が1×105以上の高分子量プロピレン系樹脂を、発泡層を構成する熱可塑性樹脂の50重量%以上用いることにより、より微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡シートを得ることができる。さらにこのようなプロピレン系樹脂の中でも、シートリサイクル時にゲルを生じにくいことから非架橋のプロピレン系樹脂が好ましく使用される。
ここで長鎖分岐プロピレン系樹脂とは、分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を満たすプロピレン系樹脂を指す。
分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を満たす長鎖分岐プロピレン系樹脂の例としては、バゼル社製のプロピレンPF−814が挙げられる。
分岐度指数とは、重合体における長鎖分岐の程度を示すものであり、下記の式において定義される数値である。
分岐度指数 [A] =〔η〕Br/〔η〕Lin
ここで〔η〕Brは、長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂の固有粘度であり、〔η〕Linは、該長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂と同じモノマー単位および同じ重量平均分子量を有する、直鎖プロピレン系樹脂の固有粘度である。
固有粘度は極限粘度数とも呼ばれ、重合体の溶液粘度を増強する能力の尺度である。固有粘度は特にポリマー分子の分子量と、分岐度に依存する。したがって、長鎖分岐を有するポリマーの固有粘度と、該長鎖分岐を有するポリマーと同じ重量平均分子量の直鎖ポリマーの固有粘度とを比較することにより、該長鎖分岐を有するポリマーの分岐度の尺度とすることができる。プロピレン系樹脂の固有粘度の測定方法は、エリオット等[J.Appl.Polym.Sci.,14,2947−2963(1970)]により開示されているような従来知られている方法により測定することができ、例えば、プロピレン系樹脂をテトラリン又はオルトジクロロベンゼンに溶解し、135℃で固有粘度を測定することが可能である。
プロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常用いられる種々の方法で測定できるが、M.L.McConnelによって、American Laboratory,May,63−75(1978)に発表されている方法、即ち、低角度レーザー光散乱強度測定法が特に好ましく用いられる。
重量平均分子量が1×105以上の高分子量プロピレン系樹脂を重合する方法の例としては、特開平11−228629号公報に記載されたように、まず高分子量成分を重合した後に続いて低分子量成分を重合する方法などがあげられる。
長鎖分岐プロピレン系樹脂または高分子量プロピレン系樹脂の中でも、融点+30℃付近において下記の条件で測定した一軸溶融伸張粘度比η5/η0.1が5以上であるプロピレン系樹脂が好ましく、より好ましくは10以上の樹脂である。一軸溶融伸張粘度比とは、伸張ひずみ速度1sec-1で、一軸伸張粘度測定装置(例としてレオメトリックス社製一軸伸張粘度測定装置などがあげられる)などの装置を用いて測定される値であり、歪み開始から0.1秒後の一軸溶融伸長粘度をη0.1とし、5秒後の一軸溶融伸張粘度をη5とする。このような一軸伸張粘度特性を有するプロピレン系樹脂を使用することによって、より微細な気泡を有する発泡シートを製造することができる。
発泡シートを形成するために使用される発泡剤は、いわゆる化学発泡剤および物理発泡剤のいずれでもよく、これらを併用してもよい。上記化学発泡剤としては、例えば分解されて窒素ガスを発生する熱分解型発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)など)、分解されて炭酸ガスを発生する熱分解型無機発泡剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなど)など公知の熱分解型発泡性化合物が挙げられる。物理発泡剤としては、具体的にはプロパン、ブタン、水、炭酸ガス等があげられる。上記例示の発泡剤のうち、シートが真空成形時の加熱において2次発泡による変形を生じにくいことや、高温条件や、火に対して不活性な物質であることから、水や炭酸ガス等が好適に用いられる。発泡剤の使用量は所望の発泡倍率が得られるように、用いる発泡剤や樹脂の種類に応じて適宜選択されるものであり、通常熱可塑性樹脂100重量に対して発泡剤0.5〜20重量部である。
本発明で用いる熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法は特に限定するものではないが、フラットダイ(Tダイ)やサーキュラーダイを用いた押出成形により得られたシートが好ましく、サーキュラーダイから溶融した樹脂を発泡させながら押出し、マンドレル等に沿わせて延伸、冷却を行なう方法が特に好ましく用いられる。発泡シートを押出成形により製造する場合には、溶融した樹脂をダイから押出し冷却固化させた後に延伸を行なうこともできる。発泡シートは単層であっても多層であってもよいが、シート製造時の破泡を防止する観点から、非発泡層を両外層に有する多層構成の発泡シートが好ましい。非発泡層を構成する樹脂は、発泡層を構成する樹脂の例として前記したものを使用することができるが、発泡層を構成する樹脂と同種類のものであるものが好ましく、例えば発泡層がプロピレン系樹脂である場合、非発泡層もプロピレン系樹脂で構成されることが好ましい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂発泡シートは、単層または多層の発泡シートとその他の材料とを貼合した複合シートであってもよい。このような複合シートは、発泡シートと他の材料とをドライラミネーション、サンドラミネーション、熱ロール貼合、熱風貼合などにより貼り合わせることにより得られる。
発泡シートと積層する他の材料の例としては、前記表皮材と同様なものが使用できるが、特に本発明の成形方法により自動車内装材を成形する場合には、熱可塑性樹脂製のシートや不織布、毛織物や麻などの天然繊維が広く使用され、食品容器を成形する場合には、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる層を有する単層または多層のガスバリア性フィルムやCPPフィルムなどが広く使用される。
多層の熱可塑性樹脂発泡シートとしては、発泡層と非発泡層とからなる多層発泡シートであってもよく、異なる発泡層が積層された多層発泡シートであってもよい。例えば異なる発泡層が積層された多層発泡シートとして、発泡倍率Xαが2〜20倍、厚みTαが2〜20mm、目付量Rαが600〜3000g/m2の発泡層αと、発泡倍率Xβが4〜40倍、厚みTβが2〜12mm、目付量Rβが100〜600g/m2であって、Rα/Rβ=2〜30である発泡層βを有する多層熱可塑性樹脂発泡シートを用いることができる。本発明の真空成形方法によって前記のような多層熱可塑性樹脂発泡シートを真空成形した場合には、発泡層αよりも発泡層βの方が大きく膨張するため、剛性と緩衝性に優れた成形品が得られる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂発泡シートは、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、剥離剤、流動性付与剤、滑剤などがあげられる。上記充填剤の例としては、具体的にはガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレー、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の無機粒子等があげられる。
本発明の真空成形方法により得られた成形品は、発泡倍率と厚みが大きく、軽量で断熱性に優れることから、食品容器などの包装材料や、自動車内装部品、建築材料、家電製品などに使用することができる。自動車内装部品の例としてはドアトリム、天井、トランクサイドなどが挙げることができ、このような部材として本発明で得られる成形品を用いた場合には、例えば車内の温度を調整した場合に、その温度を長時間保つことができるなどの効果が得られる。食品容器として使用する場合には、カップ、トレイ、ボウルなどの様々な形状に賦形し使用することができ、断熱性に優れることから、高温に加熱した汁物充填用や、電子レンジで調理する食品容器用として好ましく用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの真空成形方法の一態様の概略図
符号の説明
1 熱可塑性樹脂発泡シート
2 クリップ部材
3 赤外ヒーター
4 真空吸引可能な成形型A
5 シート固定部材を有する成形型B
6 シート固定部材

Claims (1)

  1. 成形型の成形面より真空吸引可能な成形型Aと、少なくとも成形面外縁部にシート固定部材を有する成形型Bを用いた、以下の工程を含む熱可塑性樹脂発泡シートの真空成形方法。
    (1)熱可塑性樹脂発泡シートを加熱軟化させる工程
    (2)成形型Aと成形型Bとの間に、工程(1)で得られる熱可塑性樹脂発泡シートを供給する工程
    (3)加熱軟化された熱可塑性樹脂発泡シートを成形型間で挟持しつつ、成形面外縁部における両成形型間のクリアランスが、該シートの厚み以下となるまで両成形型を閉じ、成形型Bの成形面全面と前記発泡シート表面とを接触させる工程
    (4)工程(3)で成形型Bの成形面全面と前記発泡シート表面とが接触した後に、成形型Aの成形面より真空吸引を開始する工程
    (5)真空吸引を継続しつつ、成形面間の前記シートが所望の成形品厚みになるまで型開きして賦形する工程
    (6)真空吸引を停止して成形型を開き、成形品を取り出す工程
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