しかしながら、上述した前者の態様でカードを作成する場合、予め専用の金型を成型する必要があるため、製作過程における初期製作費用が高くなるとともに、このような金型を用いて小ロットのプラスチック製カードを作成した場合には、各カードの単価が割高になりがちである。加えて、金型を用いてプラスチック製カードを作成するという態様は専ら大量生産を目的として工場等で採用されるものであり、家や中小規模のオフィス等ではコスト面から到底採用することのできないものであり、簡単にカードを作成することができないという問題も発生する。また、合成樹脂材に所定の印刷情報を印刷するためには、専用の印刷装置が必要であり、手軽に印刷することができず、このこともコストが高くなる一要因となっている。このように、上述したプラスチック製カードの作成態様は、小ロットの生産には不向きであり、様々なニーズに柔軟に対応することができないものである。
また、後者の態様でカードを作成する場合、カード本体及び印刷紙の周囲に存在し対面するラミネート片同士を熱圧着するために、専用のシーラが必要となり、やはり手軽にカードを作成することができないという不具合が発生することに加え、例えばシーラに設けたローラ等を用いて対面する一対のラミネート片同士を熱圧着する態様であれば、製作過程においてこれらラミネート片の間に介在させた記憶媒体がローラの圧力によって破損する虞があり、カードの信頼性において問題が生じる可能性がある。さらに、それぞれ別体のカード本体、印刷紙及びラミネートシートの計3部材から一のカードを作成するため、部品点数の増加を招来する。なお、前記特許文献2には、印刷紙をカード本体を挟み得る一対の印刷片を有するものとし、この印刷紙を折り曲げて一対の印刷片の間にカード本体を介在させる態様も記載されているが、このようなカード本体及び印刷紙を前記ラミネートシートによって挟んでなるカードを作成する場合、やはり上記と同様の不具合が生じる。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、製作コストを安価に抑えて小ロットの製造にも適するとともに、製作過程において記憶媒体を破損することなく信頼性に優れた記憶媒体一体型カードを提供することにある。
すなわち、本発明の記憶媒体一体型カードは、非接触で情報通信可能なシート状の記憶媒体と、所定の内容が印刷又は筆記され得るカード本体とを一体的に備えてなるものである。そして、前記カード本体が、一方の面に第一粘着剤層を形成し透光性を有するフィルムと、一方の面を前記所定の内容が印刷又は筆記可能な記入面とするラベル紙とを重層してなるラミネート用紙から形成されるものであり、このラミネート用紙が、前記第一粘着剤層を介して前記フィルムと前記ラベル紙とを剥離可能に接着してなるものであり、前記フィルムに形成される抜き加工用の第一輪郭線により包囲されるフィルム上の領域に互いに略等しい平面視寸法を有する第一フィルム区分及び第二フィルム区分を設定し、前記ラベル紙に形成される抜き加工用の第二輪郭線により包囲されるラベル紙上の領域に前記第一フィルム区分及び第二フィルム区分よりも小さく且つ互いに略等しい平面視寸法を有する第一ラベル区分及び第二ラベル区分を設定し、少なくとも前記第一フィルム区分と重合する範囲内に前記第一ラベル区分を位置付けてある。そして、前記記入面に印刷又は筆記した前記ラベル区分を、前記第二輪郭線に沿って前記ラミネート用紙から一旦離脱させ、且つこの離脱後の前記第二輪郭線によりラベル紙に形成される開口部に前記各ラベル区分の何れか一方又は両方の記入面が前記フィルム区分と対面する裏返し姿勢で嵌め込み、前記記入面を前記各フィルム区分のうち一方又は両方のフィルム区分の前記第一粘着剤層に貼着させた状態で、重層状態にある前記ラベル区分及び前記フィルム区分を前記第一輪郭線に沿って前記ラミネート用紙から分離することにより何れか一方又は両方のラベル区分に、何れか一方又は両方のフィルム区分によってラミネート処理を施した前記カード本体を形成する。しかして、本願に係る記憶媒体一体型カードは、このカード本体における前記第一ラベル区分と前記第二ラベル区分とを、それら各ラベル区分の間に前記記憶媒体を挟持させ且つ互いの記入面をそれぞれ外側に向けた状態で重ね合わせるとともに、前記各ラベル区分を外側から挟み込んだ状態で対面する前記第一フィルム区分と前記第二フィルム区分の前記第一粘着剤層同士を貼り合わせた構成を有していることを特徴とする。
ここで、「記憶媒体」としては、所定のメモリ部、通信部等を有し、無線通信により非接触で外部機器と情報通信可能なRFID(Radio Frequency Identification)方式のICチップを適用することができる。このような記憶媒体に対して、所定のリーダ、又はリーダライタ等を利用してアクセスすることによって、記憶媒体に記録されている情報を読み取り、又は記憶媒体に所定の情報を書き込むことができるように設定している。また、「シート状」とは、一定の厚みを有するいわゆる薄板状を意味し、部位により若干の凹凸がある形状も含む概念である。また、第一及び第二ラベル区分、第一及び第二フィルム区分がそれぞれ略等しい平面視寸法を有していることを除いて、これらの具体的な大きさや形状は特に制限されるものではない。また、第一輪郭線、第二輪郭線は、それらの一部がフィルム、ラベル紙の外形線と共通するものであってもよい。
このように本願に係る記憶媒体一体型カードは、記憶媒体とカード本体とから構成されるものである。このカード本体をラミネート用紙を用いて作成する場合、まずラベル紙に形成された第一ラベル区分及び第二ラベル区分の記入面に、一般的な業務用又は家庭用のプリンタを用いて所要事項を印刷するか、或いは手書きによって所要事項を記入する。なお、必要によっては、第一ラベル区分又は第二ラベル区分の何れか一方を白紙のままとしておいてもよいし、両面が白紙のIDカードを作成する場合には記入面への印刷又は筆記は不要である。次に、これら各ラベル区分を第二輪郭線に沿ってラベル紙から剥がす。そして、少なくとも一方のラベル区分(ここでは第一ラベル区分)を記入面がフィルムと対面するように裏返して、ラベル区分を離脱させた後に形成された開口部に嵌め込む。このように第一ラベル区分を裏返しにして嵌め込む対象となる開口部は、当該第一ラベル区分を剥がすことによって形成された開口部を選択してもよいし、第二ラベル区分を剥がすことによって形成された開口部を選択してもよい。いずれにしても、開口部にはフィルムの一方の面に形成した第一粘着剤層が表出しているので、第一ラベル区分の記入面は開口部内において第一粘着剤層を介してフィルムに貼着されることになる。この状態で、第二ラベル区分も同様の手順により、他方の開口部へ裏返しにして嵌め込んでもよい。またその代わりに、第二ラベル区分を裏返すことなく、第一ラベル区分に重ね合わせても構わないが、その場合、当該重ね合わせ工程は、次のフィルム区分を離脱させる工程の後に行うことも可能である。次いで、第一フィルム区分及び第二フィルム区分を、少なくとも第一ラベル区分と共にラミネート用紙から離脱させる。これにより、少なくとも第一ラベル区分が何れか一方のフィルム区分によってラミネート処理されたカード本体を形成する。しかして、カード本体における何れか一方のラベル区分(ここでは第一ラベル区分)に記憶媒体を載置し、この記憶媒体を第一ラベル区分と第二ラベル区分との間に挟持させた状態で、各ラベル区分よりも大きい平面視寸法を有する各フィルム区分の第一粘着剤同士を接着して第一フィルム区分と第二フィルム区分とを部分的に貼り合わせることにより、第一ラベル区分と第二ラベル区分の両方の記入面を対応するフィルム区分でラミネートし且つ第一ラベル区分と第二ラベル区分との間に記憶媒体を保持してなる記憶媒体一体型カードが完成する。なお、記憶媒体を何れか一方のラベル区分に載置する作業は、ラベル区分をフィルム区分と共にラミネート用紙から分離した後又は分離する前何れの段階で行っても構わない。
このようなものであれば、ラミネート用紙1枚から両面に表示をなし得るカード本体を簡易に作成することができ、このカード本体の各ラベル区分の間に記憶媒体を挟持させ、各フィルム区分の第一粘着剤層同士を貼り合わせるという極めて簡単な作業により一の記憶媒体一体型カードを形成することができる。さらに、各ラベル区分及び各ラベル区分をそれぞれラミネートする各フィルム区分によってシート状の記憶媒体を好適に保護することはできることは勿論のこと、これら各ラベル区分をラミネートする各フィルム区分の第一粘着剤層同士を貼り合わせるように構成しているため、専用のシーラを用いてフィルム同士を熱圧着する態様と比較して、専用のシーラを用いる必要がなく、シーラが備えるローラの圧力によって記憶媒体が破損するという不具合を防止することができる。また、業務用又は家庭用のプリンタを用いて、或いは手書きによる筆記によって各ラベル区分の記入面に可視情報を表示することができるとともに、各記入面をそれぞれ外側を向けた状態で重ね合わせているため、形成された記憶媒体一体型カードのオモテ面及びウラ面に可視情報を表示することが可能となり、実用性に優れたものとなる。しかも本願に係るカードを作成するに際して、予め専用の金型を成型する必要がないため、初期製作費用を抑えることができ、小ロット製作も可能であり、家庭内や比較的小規模なオフィスにおいて簡単かつ手軽に記憶媒体一体型カードを作成することができる。また、一の記憶媒体一体型カードを記憶媒体とカード本体の2部材から製作することができるため、部品点数を必要最小限に抑えることができ、コストの削減にも資する。
また、使用後の記憶媒体一体型カードに付帯させてなる記憶媒体を積極的に再利用できるようにする態様も考えられる。具体的には、前記カード本体が、前記第一粘着剤層と前記ラベル紙との間にさらに剥離紙を介在させてなるラミネート用紙から形成されるものであり、このラミネート用紙が、前記第一粘着剤層を介して前記フィルムと前記剥離紙とを剥離可能に接着するとともに、前記ラベル紙の他方の面に形成した第二粘着剤層を介してラベル紙と剥離紙とを剥離可能に接着し、前記剥離紙を前記第二粘着剤層よりも前記第一粘着剤層に対して優先的に剥離し得るように設定したものであり、前記剥離紙に前記ラベル紙と共通の前記第二輪郭線を形成し、当該第二輪郭線により包囲される剥離紙上の領域に前記第一ラベル区分及び第二ラベル区分と略同一の平面視寸法を有する第一剥離区分及び第二剥離区分を設定するとともに、前記第一ラベル区分と前記第一剥離区分、及び前記第二ラベル区分と前記第二剥離区分とをそれぞれ同一箇所に重合させてあり、前記記入面に印刷又は筆記した前記各ラベル区分を前記各剥離区分と共に前記第二輪郭線に沿って前記ラミネート用紙から一旦離脱させ、且つ重層状態にある前記各ラベル区分及び前記各剥離区分を、当該離脱後の前記第二輪郭線によりラベル紙及び剥離紙に形成される開口部に前記各ラベル区分の何れか一方又は両方の記入面が前記フィルム区分と対面する裏返し姿勢で嵌め込み、前記記入面を前記各フィルム区分のうち一方又は両方のフィルム区分の前記第一粘着剤層に貼着させた状態で、重層状態にある前記剥離区分、前記ラベル区分及び前記フィルム区分を前記第一輪郭線に沿って前記ラミネート用紙から分離することにより何れか一方又は両方のラベル区分に、何れか一方又は両方のフィルム区分によってラミネート処理を施した前記カード本体を形成する。しかして、本願に係る記憶媒体一体型カードは、このカード本体における前記第一剥離区分と前記第二剥離区分とを、これら各剥離区分の間に前記記憶媒体を挟持させ且つ各剥離区分にそれぞれ重層してなる前記各ラベル区分の記入面をそれぞれ外側に向けた状態で重ね合わせるとともに、前記各ラベル区分を外側から挟み込んだ状態で対面する前記第一フィルム区分と前記第一フィルム区分の前記第一粘着剤層同士を貼り合わせた構成を有している。
なお、剥離紙をラベル紙の第二粘着剤層よりもフィルムの第一粘着剤層に対して優先的に剥離し得るものとするには、フィルム側を向く面に第二粘着剤層との貼着状態よりも弱く前記第一粘着剤層と接する剥離処理層を形成しておくとよい。斯かる剥離処理層は、剥離紙を構成する紙の一方の面に対する一般的な剥離処理として、シリコン樹脂被覆、フッ素樹脂被覆、アミンベースの剥離剤被覆等の被覆加工を施した態様や、表面のエンボス加工、ブラフト加工、被覆剤への微粒子添加加工等の態様を採用することができる。また、第一及び第二剥離区分がそれぞれ略等しい平面視寸法を有しており、ラベル区分と剥離区分の平面視寸法が略等しいことを除いて、これらの具体的な大きさや形状は特に制限されるものではない。また、第二輪郭線は、その一部が剥離紙の外形線と共通するものであってもよい。
このようにラミネート用紙がフィルム、剥離紙及びラベル紙をこの順で積層してなる三層状をなすものである場合、このラミネート用紙からカード本体を作成するには、以下のような手順を経る。つまり、第一ラベル区分及び第二ラベル区分の記入面に所要事項を記入した後、これら各ラベル区分を各剥離区分と共に第二輪郭線に沿ってラベル紙及び剥離紙から剥がす。そして、少なくとも一方のラベル区分(ここでは第一ラベル区分)を記入面がフィルムと対面するように剥離区分(同、第一剥離区分)と共に裏返して、ラベル区分及び剥離区分を離脱させた後に形成された開口部に嵌め込み、第一ラベル区分の記入面を開口部に表出しているフィルムの一方の面に形成した第一粘着剤層を介してフィルムに貼着されることになる。この状態で、第二ラベル区分及び第二剥離区分も同様の手順により、他方の開口部へ裏返しにして嵌め込んでもよい。またその代わりに、第二ラベル区分を裏返すことなく、第一ラベル区分に重ね合わせても構わないが、その場合、第一剥離区分及び第二剥離区分をそれぞれ第一ラベル区分及び第二ラベル区分から剥がして、両ラベル区分の第二粘着剤層同士を貼り合わせてもよいし、両剥離区分を剥がすことなくそれらの剥離処理層同士が対面するように、第二ラベル区分及び第二剥離区分を第一ラベル区分及び第一剥離区分に重ね合わせることもできるが、これらの場合の当該重ね合わせ工程又は貼り合わせ工程は、次のフィルム区分をラミネート用紙から離脱させる工程の後に行うことも可能である。そして次に、第一フィルム区分及び第二フィルム区分を、少なくとも第一ラベル区分と共にラミネート用紙から離脱させる。これにより、少なくとも第一ラベル区分が何れか一方のフィルム区分によってラミネート処理されたカード本体を形成する。しかして、ラミネート用紙から分離した又は分離する前の第一剥離区分と第二剥離区分との間に記憶媒体を挟持させた状態で、各フィルム区分の第一粘着剤同士を接着して第一フィルム区分と第二フィルム区分とを部分的に貼り合わせることにより、第一ラベル区分と第二ラベル区分の両方の記入面を対応するフィルム区分でラミネートし且つ第一剥離区分と第二剥離区分との間に記憶媒体を保持してなる記憶媒体一体型カードが完成する。なお、記憶媒体を何れか一方の剥離区分に載置する段階は、剥離区分をラベル区分及びフィルム区分と共にラミネート用紙から分離した後又は分離する前何れの段階であっても構わない。
このようなものであれば、記憶媒体は、これら各剥離区分の何れにも貼り付けていない状態で第一剥離区分と第二剥離区分との間に挟持されているため、カードの使用後又は廃棄時に、鋏やカッターナイフ等を用いて第一及び第二剥離区分において記憶媒体が位置しない部位を切断することにより、記憶媒体をカード本体から取り出すことが可能となり、当該記憶媒体を異なるカード本体に付帯させることにより新たな記憶媒体一体型カードを作成することができる。加えて、記憶媒体が各剥離区分、各ラベル区分及び各フィルム区分の間に挟持されているため、記憶媒体の保護機能を有効に向上させることができる。
また、前記と同様に剥離紙をフィルムとラベル紙との間に介在させてなるラミネート用紙からカード本体を作成する場合において、カード使用後における記憶媒体の再利用を考慮せず、各剥離区分をそれぞれ各ラベル区分から剥がして、両ラベル区分の第二粘着剤層同士を貼り合わせた構成を有する記憶媒体一体型カードを採用してもよい。具体的には、上述したラミネート用紙と同一の構成を有するラミネート用紙からカード本体を形成し、当該カード本体における前記第一剥離区分及び前記第二剥離区分を剥離することにより前記第二粘着剤層を表出させてなる前記第一ラベル区分と前記第二ラベル区分とを、これら各ラベル区分の間に前記記憶媒体を挟持させ且つ互いの記入面をそれぞれ外側に向けた状態で重ね合わせるとともに、対面する前記第一ラベル区分と前記第二ラベル区分の前記第二粘着剤層同士を貼り合わせ且つこれら各ラベル区分を外側から挟み込んだ状態で対面する前記第一フィルム区分と前記第二フィルム区分の前記第一粘着剤層同士を貼り合わせた構成を有している記憶媒体一体型カードが挙げられる。なお、各剥離区分を各ラベル区分から剥がす作業は、第一ラベル区分の記入面を開口部に表出しているフィルムの一方の面に形成した第一粘着剤層を介してフィルムに貼着した時点から記憶媒体を一方のラベル区分に載置する直前の間であればどのタイミングで行っても構わない。このようなものであれば、各フィルム区分の第一粘着剤層同士を貼り合わせるのみならず、各ラベル区分の第二粘着剤層同士をも貼り合わせる態様であるため、カード全体の貼り付け強度を有効に高めることができる。
前記ラミネート用紙において、フィルムに第一フィルム区分及び第二フィルム区分をスペース効率よく配置し、両フィルム区分を一体に取り扱い得るようにするには、第一フィルム区分と第二フィルム区分とを単一の第一輪郭線により包囲される領域に、これら第一フィルム区分と第二フィルム区分とを区分けし得る第一折り曲げ線を挟んで一体に形成することが好ましい。
この場合、第一ラベル区分と第二ラベル区分、及び第一剥離区分と第二剥離区分とを単一の第二輪郭線により包囲される領域に、これら第一ラベル区分と第二ラベル区分とを区分けし得る第二折り曲げ線を挟んでそれぞれ一体に形成すれば、ラベル紙における第一ラベル区分及び第二ラベル区分、剥離紙における第一剥離区分及び第二剥離区分をもスペース効率よく配置できることになる。
さらにこの場合には、第一折り曲げ線と第二折り曲げ線とを、重層方向において同一直線状に位置付けて、離脱前の状態における第二ラベル区分を、第二フィルム区分の領域内に設定することで、一動作で第二ラベル区分を第一ラベル区分に重ねるとともに第二フィルム区分を第一フィルム区分に重ね合わせることが可能となる。このようにして作成したカードでは、少なくとも一縁部において第一折り曲げ線と第二折り曲げ線とが重なり合った状態となる。
これに対して、第一折り曲げ線と第二折り曲げ線とを、面方向に偏位させて平面視平行をなすように位置付けて、離脱前の状態における第二ラベル区分を、第一フィルム区分と第二フィルム区分に跨るように配置することも可能である。このようにして作成されたカードでは、重ね合わせた第一ラベル区分及び第二ラベル区分の周囲における全域に、第一フィルム区分及び第二フィルム区分による余剰部分を形成することができる。なお、この態様のラミネート用紙においては、第一ラベル区分(及び第一剥離区分)と第二ラベル区分(及び第二剥離区分)を一体にして一旦剥がし裏返しにした状態で、連続する二つの開口部(明瞭に区画されているとは限らない)の一方へ一方のラベル区分を嵌め込み、他方のラベル区分を第二折り曲げ線に沿って折り曲げて両ラベル区分同士を重ね合わせ、これらを第一フィルム区分及び第二フィルム区分と一体にラミネート用紙から離脱させることができるので、カード本体の作成工程をさらに簡易なものとすることができる。
また、ラミネート用紙において、第一フィルム区分と第二フィルム区分とを単一の第一輪郭線により包囲される領域に、境界線となる第一折り曲げ線を挟んで一体に形成するという条件の下では、第一ラベル区分と第二ラベル区分とを、それぞれ個別の第二輪郭線により包囲される領域に所定距離離間させて形成し、離脱前の状態にある第二ラベル区分を、第二フィルム区分の領域内に設定することも可能である。
また、上述の条件の下では、第一ラベル区分と第二ラベル区分とを単一の第二輪郭線により包囲される領域に、これら第一ラベル区分と第二ラベル区分とを区分けし得る第二折り曲げ線を挟んでそれぞれ一体に形成し、第一折り曲げ線と第二折り曲げ線とを、面方向に略直交するように位置付けることも可能である。このようにした場合は、第一折り曲げ線に沿った第二フィルム区分の折り曲げ方向と、第二折り曲げ線に沿った第二ラベル区分及び第二剥離区分の折り曲げ方向とを略直交させることになる。
これに対して同条件の下では、それぞれ単一の第一輪郭線に包囲された一体をなす第一フィルム区分及び第二フィルム区分の組を一対にして並列させて形成し、この並列方向と直交する方向に、それぞれ単一の第二輪郭線により包囲された一体をなす第一ラベル区分及び第二ラベル区分の組を一対にして並列させて形成し、各第一ラベル区分を対応する各第一フィルム区分の領域内に配置することも可能である。このようにカード本体の構成要素を一対に構成し、ラミネート用紙上のフィルム側の構成要素とラベル側の構成要素とをL字型をなすように配置することで、ラミネート用紙における当該構成要素の配置効率をさらに向上することができる。
この場合、離脱前の状態における各第二ラベル区分を、それらと一体をなす第一ラベル区分が配置された第一フィルム区分と並列する他方の第二フィルム区分とに跨って配置することで、ラベル紙(及び剥離紙)における各ラベル区分(及び剥離区分)の配置効率を向上することができる。
そしてこの場合には、並列配置された一対の前記第一フィルム区分及び第二フィルム区分の組同士を、所定距離離間させてもよいし、並列配置された一対の前記第一フィルム区分及び第二フィルム区分の組同士を、対応する各第一輪郭線が隣接位置において共通部分を有するように配置してもよい。
また、各フィルム区分の平面視寸法を、第一ラベル区分の平面視寸法よりも大きいものとした条件の下では、第一フィルム区分と前記第二フィルム区分とを、それぞれ個別の第一輪郭線により包囲される領域に所定距離離間させて形成することも可能である。
この場合、第一ラベル区分と第二ラベル区分とを、それぞれ個別の第二輪郭線により包囲される領域に所定距離離間させて形成し、第一ラベル区分及び第一剥離区分を第一フィルム区分の領域内に設定するとともに、第二ラベル区分及び第二剥離区分を第二フィルム区分の領域内に設定すれば、裏返した第一ラベル区分及び第一剥離区分と、第二ラベル区分及び第二剥離区分を、それぞれ個別に開口部に嵌め込んだ状態で、フィルム区分と一体にラミネート用紙から離脱させることができる。この場合は、各ラベル区分への印刷又は筆記の後、第一ラベル区分と第二ラベル区分とをそれぞれ別個に取り扱うこととなる。
これに対して、第一ラベル区分と第二ラベル区分とを単一の第二輪郭線により包囲される領域に、これら第一ラベル区分と第二ラベル区分とを区分けし得る第二折り曲げ線を挟んでそれぞれ一体に形成し、第一ラベル区分と前記第二折り曲げ線とを前記第一フィルム区分の領域内に設定するとともに、離脱前の状態にある第二ラベル区分を、第一フィルム区分と第二フィルム区分とに跨って配置すれば、第一ラベル区分及び第一剥離区分と第二ラベル区分及び第二剥離区分とを一体に取り扱うことができる。
また、前記と同様に剥離紙をフィルムとラベル紙との間に介在させてなる三層状のラミネート用紙において、ラミネート用紙における第一フィルム区分の平面視寸法を、第一ラベル区分及び第一剥離区分の平面視寸法と略同一に設定し、且つ第一フィルム区分と第一ラベル区分と第一剥離区分、及び第二フィルム区分と第二ラベル区分と第二剥離区分を、それぞれ同一箇所に重合するように設定している場合、このようなラミネート用紙からカード本体を形成し、当該カード本体に記憶媒体を付帯させてなる記憶媒体一体型カードを構成することもできる。具体的には、非接触で情報通信可能なシート状の記憶媒体と、所定の内容が印刷又は筆記され得るカード本体とを一体的に備えてなる記憶媒体一体型カードであって、カード本体が、一方の面に第一粘着剤層を形成し透光性を有するフィルムと、一方の面を前記所定の内容が印刷又は筆記可能な記入面とし且つ他方の面に第二粘着剤層を形成したラベル紙と、これらフィルムとラベル紙との間に介在する剥離紙とを重層してなるラミネート用紙から形成されるものであり、当該ラミネート用紙が、前記第一粘着剤層を介して前記フィルムと前記剥離紙とを剥離可能に接着するとともに、前記第二粘着剤層を介して前記ラベル紙と前記剥離紙とを剥離可能に接着し、前記剥離紙を前記第二粘着剤層よりも前記第一粘着剤層に対して優先的に剥離し得るように設定したものであり、前記フィルムに形成された抜き加工用の第一輪郭線により包囲されるフィルム上の領域に互いに略等しい平面視寸法を有する第一フィルム区分及び第二フィルム区分を設定するとともに、前記ラベル紙と前記剥離紙とに形成される共通の抜き加工用の第二輪郭線により包囲されるラベル紙上及び剥離紙上の領域に前記第一フィルム区分及び第二フィルム区分と略同一の平面視寸法を有する第一ラベル区分及び第二ラベル区分並びに第一剥離区分及び第二剥離区分を設定し、前記第一フィルム区分と前記第一ラベル区分と前記第一剥離区分とを同一箇所に重合させるとともに、前記第二フィルム区分と前記第二ラベル区分と前記第二剥離区分とを同一箇所に重合させてあり、前記記入面に印刷又は筆記した前記各ラベル区分を前記各剥離区分と共に前記第二輪郭線に沿って前記ラミネート用紙から一旦離脱させ、且つ重層状態にある前記各ラベル区分及び前記各剥離区分を、当該離脱後の第二輪郭線によりラベル紙及び剥離紙に形成される開口部に前記各ラベル区分の何れか一方又は両方の記入面が前記フィルム区分と対面する裏返し姿勢で嵌め込み、前記記入面を前記各フィルム区分のうち一方又は両方のフィルム区分の前記第一粘着剤層に貼着させた状態で、重層状態にある前記剥離区分、前記ラベル区分及び前記フィルム区分を前記第一輪郭線に沿って前記ラミネート用紙から分離することにより何れか一方又は両方のラベル区分に、何れか一方又は両方のフィルム区分によってラミネート処理を施した前記カード本体を形成する。そして、本願に係る記憶媒体一体型カードは、当該カード本体における前記第一剥離区分及び前記第二剥離区分を剥離することにより前記第二粘着剤層を表出させてなる前記第一ラベル区分と前記第二ラベル区分とを、これら各ラベル区分の間に前記記憶媒体を挟持させ且つ互いの記入面をそれぞれ外側に向けた状態で重ね合わせるとともに、対面する前記第一ラベル区分と前記第二ラベル区分の前記第二粘着剤層同士を貼り合わせた構成を有していることを特徴とするものである。
このような場合においても、剥離紙をラベル紙の第二粘着剤層よりもフィルムの第一粘着剤層に対して優先的に剥離し得るものとするには、フィルム側を向く面に第二粘着剤層との貼着状態よりも弱く前記第一粘着剤層と接する剥離処理層を形成しておくとよい。斯かる剥離処理層の態様としては、上述した種々のものを採用することができる。また、第一及び第二ラベル区分、第一及び第二フィルム区分がそれぞれ略等しい平面視寸法を有していることを除いて、ラベル区分と剥離区分の平面視寸法が略等しいことを除いて、これらの具体的な大きさや形状は特に制限されるものではない。また、第一輪郭線、第二輪郭線は、それらの一部がフィルム、ラベル紙、剥離紙の外形線と共通するものであってもよい。
この場合には、各ラベル区分、各剥離区分、各フィルム区分が全て略同一寸法に設定されているため、記憶媒体一体型カードを作成する際には必ず各剥離区分を剥がし、第二粘着剤層同士の接着によりラベル区分同士を貼り合わせる必要がある。このようなものであっても、簡単な作業により一の記憶媒体一体型カードを形成することができ、各ラベル区分及び各ラベル区分をそれぞれラミネートする各フィルム区分によって記憶媒体を好適に保護することはできる等、上述した効果と略同様の効果を得ることができる。
この場合、前記ラミネート用紙において、第一フィルム区分、第一ラベル区分及び第一剥離区分の組と、第二フィルム区分、第二ラベル区分及び第二剥離区分の組とを、所定距離離間させて配置してもよいし、第一フィルム区分、第一ラベル区分及び第一剥離区分の組と、第二フィルム区分、第二ラベル区分及び第二剥離区分の組とを相互に接触させて隣接配置してもよい。
さらに後者の場合には、第一フィルム区分と第二フィルム区分とを単一の第一輪郭線により包囲される領域に、これら第一フィルム区分と第二フィルム区分とを区分けし得る第一折り曲げ線を挟んで一体に形成するとともに、第一ラベル区分と第二ラベル区分、及び第一剥離区分と第二剥離区分とを単一の第二輪郭線により包囲される領域に、第一フィルム区分と第二フィルム区分、及び第一剥離区分と第二剥離区分とを区分けし得る第二折り曲げ線を挟んでそれぞれ一体に形成することが可能である。
以上説明したように、本発明によれば、カード作成時にフィルム区分同士を熱圧着するシーラーが不要であるのは勿論のこと、フィルムとラベル紙とからなる二層構造のラミネート用紙、又はフィルムとラベル紙と剥離紙とからなる三層構造の一枚のラミネート用紙におけるラベル紙に印刷又は筆記をすることで両面にユーザが任意の記載を施すことができる記憶媒体一体型カードを簡易に作成することが可能である。さらに、各ラベル区分及び各ラベル区分をそれぞれラミネートする各フィルム区分によって記憶媒体を好適に保護することはできることは勿論のこと、特にラベル紙への印刷は、業務用又は家庭用の簡易なプリンタで可能であることに加えて、作成するに際して予め専用の金型を成型する必要がなく、初期製作費用を抑えることができ、小ロット製作も可能であるので、斯かる記憶媒体一体型カードを極めて安価に作成することができる。以上により、本発明は、中小規模のオフィスや事業所、店舗、個人の家庭等において、両面に任意の記載を施したIDカードやタグカードを始めとする種々の記憶媒体一体型カードを簡単且つ手軽に作成することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る記憶媒体C1一体型カードたるIDカードCaは、図1(同図(a)は一方の面から見たIDカードCaであり、同図(b)は他方の面から見たIDカードCaである。)に示すように、記憶媒体C1とカード本体Ca2とからなるものである。
本実施形態においては、記憶媒体C1として、所定のメモリ部、通信部等を有し、RFID(Radio Frequency IDentification)方式の非接触情報通信可能なICチップを適用している。各記憶媒体C1は、それぞれ異なる固有の識別子(シリアルナンバー)を記憶しており、この識別子をIDカードCaに付帯させることにより、各IDカードCaには、全て異なる識別子が付与されることになる。なお、RFID方式としては、電磁誘導方式(電磁誘導作用を利用してICチップに電力を供給しながらICチップと交信する方式)、マイクロ波方式(マイクロ波帯を用いてICチップと交信する方式)や光方式(赤外線等の光波を用いてICチップと交信する方式)等、種々の方式を採用することができる。また、記憶媒体C1は、シート状をなし、後述するラベル区分の平面視寸法より小さい平面視寸法を有するものである。なお、記憶媒体C1は、これらの条件を満たすものであればよく、具体的な形状や大きさ、具備する種々の機能等は、特に制限されるものではない。
一方、カード本体Ca2は、ラミネート用紙Paから形成したものである。
ラミネート用紙Paは、図2(同図(a)はラミネート用紙Paをラベル紙La側から見た平面図、同図(b)は(a)のA−A線端面図)に示すように、光透過性を有するフィルムFaと、一方の面を前記所定の内容が直接印刷又は筆記される記入面Lazとするラベル紙Laと、これらフィルムFaとラベル紙Laとの間に介在する剥離紙Haとを三層状に重層したものである。なお、剥離紙Ha及びフィルムFaは、ラベル紙Laと略同じ平面視寸法を有するものであり、同図(a)においては、ラベル紙Laによって視認することができない。そこで、説明の便宜上、同図において、ラベル紙Laの符号に続いて括弧書きで剥離紙Ha及びフィルムFaの符号を付している。このように、各図面において括弧書きで付されている符号は、当該括弧の直前又は直上に付す符号が示す部位又は領域と略同じ平面視寸法を有し、図面上では視認できない部材又は領域を指し示すものである。
フィルムFaは、透視可能な保護フィルムである。フィルムFaとして、例えば、透明フィルム、半透明フィルム、色つきフィルム、模様つきフィルム等を採用することができ、材質もオレフィン系、エステル系の樹脂素材からなるものを採用することができるが、本実施形態では、寸法安定性及び透明性に優れたPET(ポリエチレンテフタレート)製の透明フィルムを採用している。このフィルムFaの一方の面であって且つ剥離紙Haに接する面に第一粘着剤層Faxを形成している。第一粘着剤層Faxは、周知の粘着剤を用いてなるものであり、本実施形態においては、第一粘着剤層Faxをソルベント型アクリル系粘着剤を用いて構成し、この第一粘着剤層FaxをフィルムFaの一方の面全域に形成している。
ラベル紙Laは、手書きで記入可能であり且つプリンタによって所定の印刷内容が印刷可能な素材からなるものである。ラベル紙Laとして、例えば、コート紙、上質紙、クラフト紙、サーマル紙等種々の紙類を採用することができ、特に本実施形態ではインクジェットプリンタ用マット紙を適用している。そして、ラベル紙Laの一方の面を前記記入面Lazとするとともに他方の面であって且つ剥離紙Haに接する面に第二粘着剤層Laxを形成している。第二粘着剤層Laxは、周知の接着剤を用いてなるものであり、本実施形態においては、第二粘着剤層Laxをエマルジョン型アクリル系粘着剤を用いて構成し、この第二粘着剤層Laxをラベル紙Laの他方の面全域に形成している。
剥離紙Haは、フィルムFaの第一粘着剤層Fax側を向く面に第一剥離処理層Hauを形成するとともに、ラベル紙Laの第二粘着剤層Lax側を向く面に第二剥離処理層Havを形成してある。これら各剥離処理層Hau、Havは、フィルムFaの第一粘着剤層Fax側を向く面及びラベル紙Laの第二粘着剤層Lax側を向く面にそれぞれ剥離処理剤として例えばシリコン樹脂溶液を塗布することによって形成したものであり、このシリコン塗布量を適宜調節することにより、ラベル紙Laの第二粘着剤層LaxよりもフィルムFaの第一粘着剤層Faxに対して優先的に剥離するように設定している。なお、各剥離処理層Hau、Havの剥離力に差異を設けるための他の態様として、異種の剥離処理剤を使用する、又は剥離処理剤の塗布面積を異ならせる等の態様を採用してもよい。
そして、前記フィルムFaに抜き加工用の第一輪郭線Faoを形成し、単一の第一輪郭線Faoにより包囲されるフィルムFa上の領域に、互いに略等しい平面視寸法を有する第一フィルム区分Fa1及び第二フィルム区分Fa2を、これら第一フィルム区分Fa1と第二フィルム区分Fa2とを区分けする第一折り曲げ線Fa3を挟んで一体に形成している。本実施形態では、第一フィルム区分Fa1及び第二フィルム区分Fa2をそれぞれコーナー部が丸みを帯びた略方形状に設定し、これら各フィルム区分Fa1、Fa2の一方の長辺同士を隣接させている。このようにして一体に形成してなる第一フィルム区分Fa1及び第二フィルム区分Fa2は、第一輪郭線Faoに沿ってラミネート用紙Pa(具体的にはフィルムFa)から分離可能に設定されている。抜き加工用の第一輪郭線Faoは、フィルムFaの肉厚方向に貫通する切断部とフィルムFaの肉厚方向に貫通していない非切断部とを互い違いに連続させてなるものであり、本実施形態においては、第一フィルム区分Fa1及び第二フィルム区分Fa2を、ラミネート用紙Paから容易に切り離せるように、各フィルム区分Fa1、Fa2のコーナー部に位置する第一輪郭線Faoを切断部のみで形成し、各フィルム区分Fa1、Fa2の直線部に位置する第一輪郭線Faoを前記切断部と前記非切断部とを交互に配することによって形成している。特に、第一輪郭線Faoを構成する各非切断部の長さを0.2mmに設定することが好ましいが、非切断部の長さがこれに限らないことはいうまでもない。第一折り曲げ線Fa3は、前記切断部と前記非切断部とを互い違いに連続させてなるものである。
また、前記ラベル紙Laと前記剥離紙Haには、共通の抜き加工用の第二輪郭線Laoを形成し、単一の第二輪郭線Laoにより包囲されるラベル紙La及び剥離紙Ha上の領域に互いに略等しい平面寸法を有する第一ラベル区分La1及び第二ラベル区分La2、並びに第一剥離区分Ha1及び第二剥離区分Ha2を、第一ラベル区分La1と第二ラベル区分La2とを区分けし且つ第一剥離区分Ha1と第二剥離区分Ha2とを区分けする第二折り曲げ線La3を挟んで一体に形成している。本実施形態では、各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2の平面視寸法を、各フィルム区分Fa1、Fa2の平面視寸法よりも小さい略方形状に設定し、これら各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2のそれぞれ一方の長辺同士を隣接させている。このようにして一体に形成してなる第一ラベル区分La1及び第二ラベル区分La2、並びに第一剥離区分Ha1及び第二剥離区分Ha2は、第二輪郭線Laoに沿ってラミネート用紙Pa(具体的にはラベル紙La及び剥離紙Ha)から分離可能に設定されている。前記抜き加工用の第二輪郭線Laoは、ラベル紙La及び剥離紙Haの肉厚方向に貫通する切断部のみからなり、他方、第二折り曲げ線La3は、ラベル紙La及び剥離紙Haの肉厚方向に貫通する切断部と、ラベル紙La及び剥離紙Haの肉厚方向に貫通していない非切断部とを互い違いに連続させてなるものである。なお、各ラベル区分La1、La2同士又は各剥離区分Ha1、Ha2同士が前記切断部を一部に有する第二折り曲げ線La3によって相互に分裂することを防止するために、第二折り曲げ線La3の両端をそれぞれ第二輪郭線Laoから所定距離離間した位置に設定してある。このような構成を有するラミネート用紙Paにおいて、各フィルム区分Fa1、Fa2は所定の力が付与されない限りフィルムFaから分離することはなく、各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2は第二輪郭線Laoによって切断されているものの、第一粘着剤層Fax及び第二粘着剤層Laxを介してフィルムFaに保持され、全体としてラミネート用紙Paの形態を保っている。
さらに、本実施形態においては、前記第一折り曲げ線Fa3と前記第二折り曲げ線La3とを面方向に偏位させて平面視平行をなすように位置付け、離脱前の状態にある第一ラベル区分La1及び第一剥離区分Ha1を、第一フィルム区分Fa1の領域内に配置するとともに、離脱前の状態にある第二ラベル区分La2及び第二剥離区分Ha2を、第一フィルム区分Fa1と第二フィルム区分Fa2とに跨るように配置している。また、第一ラベル区分La1及び第一剥離区分Ha1の周囲に第一フィルム区分Fa1による余剰部分が存在するとともに、第二ラベル区分La2及び第二剥離区分Ha2の周囲に第二フィルム区分Fa2による余剰部分が存在するように各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2を配置している。そして、本実施形態では、第一輪郭線Faoにより包囲される第一フィルム区分Fa1及び第二フィルム区分Fa2と、第二輪郭線Laoにより包囲される第一ラベル区分La1及び第二ラベル区分La2並びに第一剥離区分Ha1及び第二剥離区分Ha2とをA4サイズのラミネート用紙Paにそれぞれ4箇所設けている。
次に、このような構成を有するラミネート用紙Paからカード本体Ca2を作成する方法、及び当該カード本体Ca2と記憶媒体C1とを用いてIDカードCaを作成する方法を図3を参照して説明する。
先ず、ラベル紙Laに設けた第一ラベル区分La1及び第二ラベル区分La2の各記入面Lazに、プリンタ(例えば、インクジェットプリンタ等の簡易タイプのプリンタ)を用いて所要事項を印刷し、又は手書きによって所要事項を記入し(同図(a))、次いで、第二輪郭線Laoに沿って第一ラベル区分La1及び第二ラベル区分La2並びに第一剥離区分Ha1及び第二剥離区分Ha2をラミネート用紙Paから剥がそうとすると、剥離紙HaとフィルムFaの第一粘着剤層Faxとの間における剥離動作が、剥離紙Haとラベル紙Laの第二粘着剤層Laxとの間における剥離動作よりも優先して行われるため、各ラベル区分La1、La2と各剥離区分Ha1、Ha2とが重層した状態でラミネート用紙Paから分離する(同図(b))。この状態において、ラベル紙La及び剥離紙Haには、各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2の離脱により前記第二輪郭線Laoに囲まれてなる開口部Lasが形成される。この開口部Lasには、前記フィルムFaの第一粘着剤層Faxが表出しており、前記重層状態にある各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2を、各ラベル区分La1、La2の記入面LazがフィルムFaの第一粘着剤層Faxに対面するように裏返し、この裏返し姿勢で前記開口部Lasに嵌め込み、第一ラベル区分La1の記入面Lazを第一フィルム区分Fa1の第一粘着剤層Faxに貼り付けるとともに、第一剥離区分Ha1と第二剥離区分Ha2とが対面するように第二ラベル区分La2及び第二剥離区分Ha2を第一ラベル区分La1及び第一剥離区分Ha1側へ第二折り曲げ線La3に沿って折り曲げる(同図(c))。この際、第二輪郭線Laoによって形成された開口部Lasは、重層状態にある第一ラベル区分La1及び第一剥離区分Ha1の第一フィルム区分Fa1に対する貼付位置を位置決めする位置決め手段として機能する。なお、開口部Lasにおける第一フィルム区分La1側には、第二ラベル区分La2及び第二剥離区分Ha2を貼り付けて、第一ラベル区分La1及び第一剥離区分Ha1を第二折り曲げ線La3に沿って第二ラベル区分La2及び第二剥離区分Ha2側へ折り曲げることも可能であるが、ここでは説明の簡略化のため、上述の通りの工程でIDカードCaの作成を行うものとする。引き続き、フィルムFaに設けた第一輪郭線Faoに沿って、第一フィルム区分Fa1及び第二フィルム区分Fa2を、重層状態にある各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2と共にラミネート用紙Paから剥がすことにより、第一ラベル区分La1を第一フィルム区分Fa1によってラミネート処理を施したカード本体Ca2が形成される(同図(d)、当該(d)に示すカード本体Ca2はフィルムFa側から見た図である)。なお、この状態において、ラミネート用紙Paにおける第二輪郭線Laoに囲まれた開口部Lasは中空となる。
しかして、カード本体Ca2における第一剥離区分Ha1と第二剥離区分Ha2との間に前記記憶媒体C1を挟持させ、第二フィルム区分Fa2によって第二ラベル区分La2をラミネートするように第二フィルム区分Fa2を第一折り曲げ線Fa3に沿って第一フィルム区分Fa1側へ折り曲げるとともに、各ラベル区分La1、La2を外側から挟み込んだ状態で対面し且つ各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2の全周に存在する各フィルム区分Fa1、Fa2の余剰部分同士を、第一粘着剤層Fax同士を接着することによって貼り合わせると、カード本体Ca2における各ラベル区分La1、La2の間に前記記憶媒体C1を挟持させ且つ互いの記入面Lazを対応する各フィルム区分Fa1、Fa2でラミネートした一のIDカードCaが形成される(図1(a)、(b))。なお、記憶媒体C1を第一剥離区分Ha1と第二剥離区分Ha2との間に挟み込む工程は、各フィルム区分Fa1、Fa2を各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2と共にラミネート用紙Paから離脱させる前、又は離脱させた後何れの時点で行ってもよい。
以上のような構成を有するIDカードCaは、ラミネート用紙Paから形成したカード本体Ca2の各ラベル区分La1、La2の間に記憶媒体C1を挟持させ、各フィルム区分Fa1、Fa2の第一粘着剤層Fax同士を貼り合わせるという簡単な作業により一のIDカードCaを形成することができる。さらに、シート状の記憶媒体C1を、各ラベル区分La1、La2、各剥離区分Ha1、Ha2、及び各ラベル区分La1、La2をそれぞれラミネートする各フィルム区分Fa1、Fa2によって好適に保護することはできることは勿論のこと、これら各ラベル区分La1、La2をラミネートする各フィルム区分Fa1、Fa2の第一粘着剤層Fax同士を貼り合わせるように構成しているため、専用のシーラを用いる必要がなく、シーラが有するローラの圧力によって記憶媒体C1が破損する虞を解消し、IDカードCaの信頼性を高めることができる。また、業務用又は家庭用のプリンタを用いて、或いは手書きによる筆記によって各ラベル区分La1、La2の記入面Lazに可視情報を表示することができるとともに、各記入面Lazをそれぞれ外側を向けた状態で重ね合わせているため、形成されたIDカードCaのオモテ面及びウラ面に可視情報を表示することが可能となり、実用性に優れたものとなる。しかも、IDカードCaを作成するに際して、予め専用の金型を成型する必要がないため、初期製作費用を抑えることができ、小ロット製作も可能であり、家庭内や比較的小規模なオフィスにおいて簡単かつ手軽にIDカードCaを作成することができる。また、一のIDカードCaを記憶媒体C1とカード本体Ca2の2部材から製作することができるため、部品点数を必要最小限に抑えることができ、コストの削減にも資する。
しかも、記憶媒体C1は、これら各剥離区分Ha1、Ha2の何れにも貼り付けていない状態で第一剥離区分Ha1と第二剥離区分Ha2との間に挟持されているため、カードの使用後又は廃棄時に、鋏やカッターナイフ等を用いて第一剥離区分Ha1及び第二剥離区分Ha2において記憶媒体C1が位置しない部位を切断することにより、記憶媒体C1をカード本体Ca2から取り出すことが可能となり、当該取り出した記憶媒体C1を異なるカード本体Ca2に付帯させることにより新たな記憶媒体C1一体型カードを作成することができる。加えて、記憶媒体C1が各剥離区分Ha1、Ha2、各ラベル区分La1、La2及び各フィルム区分Fa1、Fa2の間に挟持されているため、記憶媒体C1の保護機能をさらに向上させることができる。
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
例えば、フィルムFa、剥離紙Ha、及びラベル紙Laの三層状のラミネート用紙Paからカード本体Ca2を形成する過程において、第二輪郭線Laoに沿ってラベル紙La及び剥離紙Haから剥がし且つ重層状態にある各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2を、各ラベル区分La1、La2の記入面LazがフィルムFaの第一粘着剤層Faxに対面するように裏返し、この裏返し姿勢で前記開口部Lasに嵌め込んで第一ラベル区分La1の記入面Lazを第一フィルム区分Fa1の第一粘着剤層Faxに貼り付けた時点、或いは、フィルムFaに設けた第一輪郭線Faoに沿って第一フィルム区分Fa1及び第二フィルム区分Fa2を重層状態にある各ラベル区分La1、La2及び各剥離区分Ha1、Ha2と共にラミネート用紙Paから剥がした時点で、第一剥離区分Ha1及び第二剥離区分Ha2をそれぞれ第一ラベル区分La1及び第二ラベル区分La2から剥がし、これら第一ラベル区分La1と第二ラベル区分La2との間に記憶媒体C1を挟持させ、各剥離区分Ha1、Ha2を剥がすことにより表出してなる各ラベル区分La1、La2の第二粘着剤層Lax同士を接着することにより各ラベル区分La1、La2同士を貼り合わせるとともに、これら各ラベル区分La1、La2をそれぞれ外側から挟み込んだ状態で対面する第一フィルム区分Fa1と第二フィルム区分Fa2とを前記第一粘着剤層Fax同士の接着により貼り合わせてなるIDカードCaを形成してもよい。このような構成を有するIDカードCaは、各フィルム区分Fa1、Fa2の第一粘着剤層Fax同士を貼り合わせるのみならず、各ラベル区分La1、La2の第二粘着剤層Lax同士をも貼り合わせる態様であるため、カードCa全体の貼り付け強度を有効に高めることができる。
特に本実施形態では、単一の第一輪郭線Faoにより包囲される領域に第一フィルム区分Fa1と第二フィルム区分Fa2を形成しており、また単一の第二輪郭線Laoにより包囲される領域に第一ラベル区分La1と第二ラベル区分La2及び第一剥離区分Ha1と第二剥離区分Ha2を形成しているので、記入面Lazへの印刷又は筆記後に、第一ラベル区分La1と第二ラベル区分La2及び第一剥離区分Ha1と第二剥離区分Ha2を全て一体に剥がす作業や裏返す作業をおこなうことができ、最後にIDカードCaを作成する段階でもそれらと第一フィルム区分Fa1及び第二フィルム区分Fa2を一体に取り扱うことができる。さらにラミネート用紙Paにおいては、第一ラベル区分La1を第一フィルム区分La1の領域内に位置付けており、しかも第一ラベル区分La1の周囲全域に亘って第一フィルム区分Fa1による余剰部分を形成していることから、各ラベル区分La1、La2から各剥離区分Ha1、Ha2を剥がすか否かを問わず、当該余剰部分における両フィルム区分Fa1、Fa2の第一粘着剤層Faxを貼り合わせて、両ラベル区分La1、La2を両フィルム区分Fa1、Fa2で覆ったIDカードCaを作成することが可能である。また、一旦剥がした両ラベル区分La1、La2及び両剥離区分Ha1、Ha2を裏返し、その剥がした跡にできた開口部Lasにおける第一フィルム区分Fa1側へ第一ラベル区分La1及び第一剥離区分Ha1を嵌め込んだ際には、第二折り曲げ線La3が第一フィルム区分Fa1上にあり、しかも第一ラベル区分La1と第二ラベル区分La2及び第一剥離区分Ha1と第二剥離区分Ha2が全て同形同大であるので、各剥離区分Ha1、Ha2を剥がさない場合には第二折り曲げ線La3に沿って第二ラベル区分La1及び第二剥離区分Ha1を折り返すだけで、各剥離区分Ha1、Ha2を剥がす場合には第二折り曲げ線La3に沿って第二ラベル区分La2を折り返すだけで、最終的に記入面Lazが各フィルム区分Fa1、Fa2側を向くように簡単にラベル区分La1、La2同士を重ね合わせることが可能である。
また、上述した構成とは異なるラミネート用紙からカード本体を形成しても構わない。以下、図4〜図9を参照しながら説明する各ラミネート用紙は、各フィルム区分の平面視寸法を、各ラベル区分の平面視寸法よりも大きいものとした条件の下、それぞれ各フィルム区分、各剥離区分、及び各ラベル区分の形態や、各フィルム区分と各剥離区分及び各ラベル区分との位置関係が前述したラミネート用紙と異なるものである。
例えば、図4に示すラミネート用紙Pbは、第一フィルム区分Fb1と第二フィルム区分Fb2とを単一の第一輪郭線Fboにより包囲される領域に、これら第一フィルム区分Fb1と第二フィルム区分Fb2とを区分けし得る第一折り曲げ線Fb3を挟んで一体に形成するとともに、第一ラベル区分Lb1と第二ラベル区分Lb2、及び第一剥離区分Hb1と第二剥離区分Hb2とを単一の第二輪郭線Lboにより包囲される領域に、これら第一ラベル区分Lb1と第二ラベル区分Lb2、及び第一剥離区分Hb1と第二剥離区分Hb2とを区分けし得る第二折り曲げ線Lb3を挟んでそれぞれ一体に形成したものである。そして、第一折り曲げ線Fb3と第二折り曲げ線Lb3とを重層方向において同一直線状に位置付けて、離脱前の状態における第一ラベル区分Lb1及び第一剥離区分Hb1を第一フィルム区分Fb1の領域内に設定するとともに、離脱前の状態における第二ラベル区分Lb2及び第二剥離区分Hb2を、第二フィルム区分Fb2の領域内に設定したものである。このようなラミネート用紙Pbからカード本体Cb2を形成する場合、上記と略同じ手順で重層状態にある各剥離区分Hb1、Hb2及び各ラベル区分Lb1、Lb2を前記裏返し姿勢で開口部(図示省略)に嵌め込み、第一ラベル区分Lb1の記入面Lbzを第一フィルム区分Fb1の第一粘着剤層Fbxに貼り付けるとともに、第二ラベル区分Lb2の記入面Lbzを第二フィルム区分Fb2の第一粘着剤層Fbxに貼り付けた後、フィルムFbに設けた第一輪郭線Fboに沿って、第一フィルム区分Fb1及び第二フィルム区分Fb2を、各ラベル区分Lb1、Lb2及び各剥離区分Hb1、Hb2と共にラミネート用紙Pbから剥がすことにより、第一ラベル区分Lb1及び第二ラベル区分Lb2を第一フィルム区分Fb1及び第二フィルム区分Fb2によってラミネート処理を施したカード本体Cb2が形成される。そして、各剥離区分Hb1、Hb2を各ラベル区分Lb1、Lb2から剥がさない場合は、第一折り曲げ線Fb3及び第二折り曲げ線Lb3に沿って、各フィルム区分Fb1、Fb2同士、各ラベル区分Lb1、Lb2同士及び各剥離区分Hb1、Hb2を相互に重ね合わせるように折り曲げ、或いは各剥離区分Hb1、Hb2を各ラベル区分Lb1、Lb2から剥がす場合は、各フィルム区分Fb1、Fb2同士、及び各剥離区分Hb1、Hb2を剥がした各ラベル区分Lb1、Lb2同士を相互に重ね合わせるように折り曲げる。そして、第一剥離区分Hb1と第二剥離区分Hb2との間、又は各剥離区分Hb1、Hb2を剥がした第一ラベル区分Lb1と第二ラベル区分Lb2との間に記憶媒体C1を挟持させ、第一折り曲げ線Fb3及び第二折り曲げ線Lb3に沿って、各フィルム区分Fb1、Fb2同士、各ラベル区分Lb1、Lb2同士及び各剥離区分Hb1、Hb2を相互に重ね合わせるように折り曲げる、或いは各フィルム区分Fb1、Fb2同士、及び各剥離区分Hb1、Hb2を剥がした各ラベル区分Lb1、Lb2同士を相互に重ね合わせるように折り曲げるとともに、各ラベル区分Lb1、Lb2を外側から挟み込んだ状態で対面し且つ各ラベル区分Lb1、Lb2の周囲に存在する各フィルム区分Fb1、Fb2の余剰部分同士を、第一粘着剤層(図示省略)同士を接着することによって貼り合わせる、或いは、これら第一粘着剤層同士の接着に加えて、各ラベル区分Lb1、Lb2を、各剥離区分Hb1、Hb2を剥離することにより表出してなる第二粘着剤層(図示省略)同士を接着することによって貼り合わせると、少なくとも一縁部において第一折り曲げ線Fb3と第二折り曲げ線Lb3とが重なり合ったIDカードCbが形成される(図5参照、同図(a)は一方の面から見たIDカードCbであり、同図(b)は他方の面から見たIDカードCbである)。このようなものであれば、ワンアクションで第二ラベル区分Lb2を第一ラベル区分Lb1に重ねるとともに第二フィルム区分Fb2を第一フィルム区分Fb1に重ねることが可能となり、カード本体Cb2ひいてはIDカードCbの作成工程をさらに簡易なものとすることができる。
また、図6に示すラミネート用紙Pcは、第一フィルム区分Fc1と第二フィルム区分Fc2とを単一の第一輪郭線Fcoにより包囲される領域に、これら第一フィルム区分Fc1と第二フィルム区分Fc2とを区分けし得る第一折り曲げ線Fc3を挟んで一体に形成するとともに、第一ラベル区分Lc1と第二ラベル区分Lc2とを、それぞれ個別の第二輪郭線Lcoにより包囲される領域に所定距離離間させて形成し、離脱前の状態にある第一ラベル区分Lc1及び第一剥離区分Hc1を、第一フィルム区分Fc1の領域内に設定するとともに、離脱前の状態にある第二ラベル区分Lc2及び第二剥離区分Hc2を、第二フィルム区分Fc2の領域内に設定したものであり、斯かるラミネート用紙Pcからカード本体(図示省略)を作成してもよい。
このようなラミネート用紙Pcからカード本体を形成するには、記入面Lczに印刷または筆記した第一ラベル区分Lc1及び第二ラベル区分Lc2をそれぞれ個別にラミネート用紙Pcから分離し且つ前記裏返し姿勢で、各第二輪郭線Lcoによって形成される各開口部(図示省略)に嵌め込んでフィルムFcの第一粘着剤層(図示省略)に貼り付け、フィルムFcに設けた第一輪郭線Fcoに沿って、第一フィルム区分Fc1及び第二フィルム区分Fc2を、重層状態にある各ラベル区分Lc1、Lc2及び各剥離区分Hc1、Hc2と共にラミネート用紙Pcから剥がすことになる。これにより、第一ラベル区分Lc1及び第二ラベル区分Lc2を第一フィルム区分Fc1及び第二フィルム区分Fc2によってラミネート処理を施したカード本体が形成される。なお、このカード本体に記憶媒体C1を付帯させる方法は上述した方法と略同様であるため、詳細な説明は割愛する。なお、図6に示すラミネート用紙Pcから形成したカード本体と記憶媒体C1とを一体的に備えたIDカード(図示省略)は、図1に示すIDカードCaにおけるカード本体Ca2(図示省略)の第一折り曲げ線Fa3及び第二折り曲げ線La3が存在しない点以外は、同図に示すIDカードCaと略同様の構成を有するものとなる。ただし、一方のラベル区分及び剥離区分を裏返しにして一方の開口部に嵌め込み、その状態で当該剥離区分をラベル区分から剥がしておいて、予め剥離区分を剥がした状態にした他方のラベル区分を裏返すことなく前記開口部に嵌め込んであるラベル区分に第二粘着剤層同士の接着で貼り合わせた後で、両フィルム区分Fc1、Fc2と両ラベル区分Lc1、Lc2を一体にラミネート用紙Pcから離脱させ、最後に一方のフィルム区分を他方のフィルム区分側へ折り返して貼り合わせることによっても、同様のIDカードCaを作成することができる。またこの工程で、剥離区分をラベル区分から剥がすことなく、一方のラベル区分及び剥離区分のみを裏返し一方の開口部に嵌め込んで位置決めしておき、両フィルム区分Fc1、Fc2ごとラミネート用紙Pcから離脱させた後で、他方のラベル区分及び剥離区分をフィルム区分に貼り付けられているラベル区分及び剥離区分に対して重ね合わせたうえで、一方のフィルム区分を他方のフィルム区分側へ折り返して貼り合わせることによっても、同様のIDカードCaを作成することができるのはいうまでもない。
また、図7に示すように、それぞれ単一の第一輪郭線Fdoに包囲された一体をなす第一ラベル区分Ld1及び第二ラベル区分Ld2の組を一対にして並列させて形成し、この並列方向と直交する方向に、それぞれ単一の第二輪郭線Ldoにより包囲された一体をなす第一ラベル区分Ld1及び第二ラベル区分Ld2と一体をなす第一剥離区分Hd1及び第二剥離区分Hd2の組を一対にして並列させて形成したラミネート用紙Pdを採用しても構わない。特に、にこのラミネート用紙Pdでは、各第一ラベル区分Ld1を対応する各第一フィルム区分Fd1の領域内に配置するとともに、離脱前の状態における各第二ラベル区分Ld2を、それらと一体をなす第一ラベル区分Ld1が配置された第一フィルム区分F1と並列する他方の第二フィルム区分Fd2とに跨って配置し、並列配置された一対の前記第一フィルム区分Fd1及び第二フィルム区分Fd2の組同士を、所定距離離間させている。このようにカード本体の構成要素を一対に構成し、ラミネート用紙Pd上のフィルムFd側の構成要素とラベルLd側の構成要素とをL字型をなすように配置することで、ラミネート用紙Pdにおける当該構成要素の配置効率をさらに向上することができる。そして、重層状態にある一方の組の各剥離区分Hd1、Hd2及び各ラベル区分Ld1、Ld2を前記裏返し姿勢で開口部(図示省略)に嵌め込み、当該第一ラベル区分Ld1の記入面Ldzを対応する一方の組の第一フィルム区分Fd1の第一粘着剤層((図示省略)に貼り付けるとともに、一方の組を構成する第一剥離区分Hd1と第二剥離区分Hd2とが対面するように第二ラベル区分Ld2及び第二剥離区分Hd2を第一ラベル区分Ld1及び第一剥離区分Hd1側へ第二折り曲げ線Ld3に沿って折り曲げ、フィルムFdに設けた一方の組の第一フィルム区分Fd1及び第二フィルム区分Fd2を包囲してなる第一輪郭線Fdoに沿って、一方の組の第一フィルム区分Fd1及び第二フィルム区分Fd2を、重層状態にある一方の組の各ラベル区分Ld1、Ld2及び各剥離区分Hd1、Hd2と共にラミネート用紙Pdから剥がすことにより、第一ラベル区分Ld1を第一フィルム区分Fd1によってラミネート処理を施したカード本体(図示省略)が形成される。なお、このカード本体を用いて作成したIDカードは、図3に示したものと略同様の形態となる。また、第一剥離区分Hd1及び第二剥離区分Hd2を剥がすことによって、第一ラベル区分Ld1と第二ラベル区分Ld2とを貼り合わせた形態のIDカードを作成することができるのは、上述した通りである。
なお、このカード本体(図示省略)に記憶媒体C1を付帯させる方法は、第一折り曲げ線Fd3に沿った第二フィルム区分Fd2の折り曲げ方向と、第二折り曲げ線Ld3に沿った第二ラベル区分Ld2及び第二剥離区分Hd2の折り曲げ方向とを略直交させる点以外にについては上述した手順と略同様であるため、詳細な説明は割愛する。なお、図7に示すラミネート用紙Pdは、並列配置された一対の前記第一フィルム区分Fd1及び第二フィルム区分Fd2の組同士を、所定距離離間させているが、並列配置された一対の前記第一フィルム区分及び第二フィルム区分の組同士を、対応する各第一輪郭線が隣接位置において共通部分を有するように配置したラミネート用紙(図示省略)を採用しても構わない。さらには、第一フィルム区分と第二フィルム区分とを単一の第一輪郭線により包囲される領域に、これら第一フィルム区分と第二フィルム区分とを区分けし得る第一折り曲げ線を挟んで一体に形成するとともに、第一ラベル区分と第二ラベル区分とを単一の第二輪郭線により包囲される領域に、これら第一ラベル区分と第二ラベル区分とを区分けし得る第二折り曲げ線を挟んで一体に形成し、第一折り曲げ線と第二折り曲げ線とを、面方向に略直交するように位置付けることにより、第一輪郭線に囲まれてなる領域と、第二輪郭線に囲まれなる領域とを略L字型をなすように設定したラミネート用紙(図示省略)を用いてもよい。
また、図8に示すラミネート用紙Peは、第一フィルム区分Fe1と第二フィルム区分Fe2とを、それぞれ個別の第一輪郭線Feoにより包囲される領域に所定距離離間させて形成するとともに、第一ラベル区分Le1と第一剥離区分He1、及び第二ラベル区分Le2と第二剥離区分He2とを、それぞれ個別の第二輪郭線Leoにより包囲される領域に所定距離離間させて形成し、第一ラベル区分Le1及び第一剥離区分He1を第一フィルム区分Fe1の領域内に設定するとともに、第二ラベル区分Le2及び第二剥離区分He2を第二フィルム区分Fe2の領域内に設定したものである。
このようなラミネート用紙Peを採用した場合、各ラベル区分Le1、Le2の記入面Lezへの印刷又は筆記の後、第一ラベル区分Le1と第二ラベル区分Le2とをそれぞれ別個に取り扱うこととなり、裏返した第一ラベル区分Le1及び第一剥離区分He1と、第二ラベル区分Le2及び第二剥離区分He2を、それぞれ個別に前記第二輪郭線Leoによって形成される各開口部(図示省略)に嵌め込み、対応する各フィルム区分Fe1、Fe2と一体にラミネート用紙Peから離脱させることができる。そして、各剥離区分He1、He2同士又は各剥離区分He1、He2を剥がし第二粘着剤層(図示省略)を表出させた各ラベル区分Le1、Le2同士を対面させるとともに、これら各剥離区分He1、He2同士の間又は各ラベル区分Le1、Le2同士の間に記憶媒体C1を挟持させた状態で、対面する各フィルム区分Fe1、Fe2の第一粘着剤層Fx同士を接着することによりフィルム区分Fe1、Fe2同士を部分的に貼り合わせることで、或いは各剥離区分He1、He2を各ラベル区分Le1、Le2から剥がしている場合には各ラベル区分Le1、Le2の第二粘着剤層同士の接着によりラベル区分Le1、Le2同士をも貼り合わせることで一のIDカード(図示省略)を作成することができる。ただし、作成されたIDカードは、図3に示したものと略同様の形態となる。
なお、同図においては、ラミネート用紙Peにおける第一ラベル区分Le1及び第一剥離区分He1と第二ラベル区分Le2及び第二剥離区分He2との位置関係を、ラミネート用紙Peの短辺方向に隣り合うように設定しているが、これに限らず、例えばラミネート用紙Peの長辺方向に隣り合うように設定してもよく、あるいはこれら以外の位置関係に設定しても構わない。つまり、第一ラベル区分Le1及び第一剥離区分He1と対になる第二ラベル区分Le2及び第二剥離区分He2は、当該第一ラベル区分Le1及び第一剥離区分He1を包囲する第二輪郭線Leoとは異なる他の第二輪郭線Leoに包囲されてなる領域に形成したラベル区分及び剥離区分であればよく、第一ラベル区分Le1及び第一剥離区分He1と第二ラベル区分Le2及び第二剥離区分He2との位置関係は特に制限されない。また、図8に図示したラミネート用紙Peは、第一ラベル区分Le1と第二ラベル区分Le2とを、それぞれ個別の第二輪郭線Leoにより包囲される領域に所定距離離間させて形成したものであるが、第一フィルム区分と第二フィルム区分とを、それぞれ個別の第一輪郭線により包囲される領域に所定距離離間させて形成するとともに、第一ラベル区分と第二ラベル区分とを単一の第二輪郭線により包囲される領域に、これら第一ラベル区分及び第一剥離区分と第二ラベル区分及び第二剥離区分とを区分けし得る第二折り曲げ線を挟んでそれぞれ一体に形成し、第一ラベル区分と前記第二折り曲げ線とを第一フィルム区分の領域内に設定するとともに、離脱前の状態にある第二ラベル区分を、第一フィルム区分と第二フィルム区分とに跨って配置したラミネート用紙(図示省略)を採用しても構わない。このようなものであれば、第一ラベル区分及び第一剥離区分と第二ラベル区分及び第二剥離区分とを一体に取り扱うことができる。
また、図8に示したラミネート用紙Peの変形例として、図9に示すラミネート用紙Pe'を採用することもできる。なお、説明の都合上、図9において図8に対応する部位には、対応する符号に全て「'」を付している。このラミネート用紙Pe'では、各フィルム区分Fe1',Fe2'、各ラベル区分Le1',Le2'、各剥離区分He1',He2'、第二輪郭線Leo'の構成、サイズ、配置位置関係については前記ラミネート用紙Peと略同一としてある(同図(a)参照)。その一方、同図(b)に模式的な断面図で現すように、抜き加工用の第一輪郭線Feo'については、ラベル紙Le'及び剥離紙He'を貫通してフィルムFe'に至るように、ラベル紙Le'側からカッターの刃を入れている点で、ラミネート用紙Pe及び上記各ラミネート用紙Pa〜Pdと異なっている。ここで第一輪郭線Feo'は、切断部と非切断部とが交互に連続するミシン目を採用することができ、特に切断部と非切断部との繰り返しピッチを極めて小さくしたマイクロミシン目を採用することが望ましい。このように第一輪郭線Feo'にマイクロミシン目を適用した場合には、ラベル紙Le'及び剥離紙He'の材質が紙であるために第一輪郭線Feo'に沿って完全に切断されるが、フィルムFe'は樹脂素材であるために切断部と非切断部とが明確に残存し、各フィルム区分Fe1',Fe2'が非切断部においてフィルムFe'の他の領域と繋がっていることとなる。また、このラミネート用紙Pe'においては、隣接する第一フィルム区分Fe1',第一ラベル区分Le1',第一剥離区分He1'の組同士、及び隣接する第二フィルム区分Fe2',第二ラベル区分Le2',第二剥離区分He2'の組同士の間にも、例えばマイクロミシン目のようなミシン目からなる切取線Pem'を形成している。さらに、隣接する第一フィルム区分Fe1',第一ラベル区分Le1',第一剥離区分He1'の組と第二フィルム区分Fe2',第二ラベル区分Le2',第二剥離区分He2'の組との中間位置には、折り曲げ線Pen'を形成している。本例の場合、切取線Pem'はラミネート用紙Pe'の短辺と平行に設けられ、折り曲げ線Pen'は長辺と平行に設けられることとなる。
このようなラミネート用紙Pe'からIDカードを作成する手順は、次のようになる。まず、ラベル紙Le'の各ラベル区分Le1',Le2'に所要事項を印刷又は筆記した後、第一ラベル区分Le1'と第一剥離区分He1'、及び第二ラベル区分Le2'と第二剥離区分He2'をそれぞれラミネート用紙Pe'から剥がし、それらを裏返しにして先に剥がすことによって形成された開口部(図示省略)へ嵌め戻す。次に、ラベル紙Le'及び剥離紙He'において第一輪郭線Feo'と第二輪郭線Leo'とに囲まれた「ロ」字形の領域(同図で網掛けを付した領域)を剥がし取る。このようにすることで、当該「ロ」字形の領域におけるフィルムFe'の第一粘着剤層Fex'が露出することになる。そして、切取線Pem'に沿って、フィルムFe'、ラベル紙Le'及び剥離紙He'のうち各フィルム区分Fe1',Fe2'、各ラベル区分Le1',Le2'及び各剥離区分He1',He2'を含む領域を切り取り、その切り取って得られた長方形状の紙片を折り曲げ線Pen'に沿って谷折りにするとともに、第一剥離区分He1'と第二剥離区分He2'との間に記憶媒体C1を挟持させた状態で、前記「ロ」字形の領域において露出した第一粘着剤層Fex'同士を貼り合わせる。このようにすることで、各ラベル区分Le1',Le2'の記入面Lez'が対応する各フィルム区分Fe1',Fe2'に密着された状態で、各フィルム区分Fe1',Fe2'、各ラベル区分Le1',Le2'及び各剥離区分He1',He2'が重合され、且つ第一剥離区分He1'と第二剥離区分He2'との間に記憶媒体C1が介在する形態となる。最後に、この重合されたものを第一輪郭線Feo'に沿って、先に切り取った紙片から離脱させることで、図1に示したIDカードCaと略同様のものが得られる。
なお、前記折り曲げ線Pen'に沿った折り曲げ工程の前に、各剥離区分He1',He2'を各ラベル区分Le1',Le2'から剥がし取り、各ラベル区分Le1',Le2'における第二粘着剤層Lex'を露出させておけば、フィルム区分Fe1',Le2'同士に加えて、ラベル区分Le1',Le2'同士をも貼り合わせることができる。なお、この場合は、第一ラベル区分Le1'と第二ラベル区分Le2'との間に記憶媒体C1を挟持させることになる。また、「ロ」字形の領域を剥がし取る工程と、切取線Pem'に沿って切り取る工程とは、順序を逆にすることもできる。さらにまた、一枚のラミネート用紙Pe'に設けられた全てのラベル区分Le1'…,Le2'…の記入面Lez'に印刷又は筆記を施しておき、一挙に複数のラミネートカードを作成する場合には、切取線Pem'に沿った切り取り工程を省略し、折り曲げ線Pen'に沿って折り曲げたラミネート用紙Pe'から複数のIDカードを離脱させてもよい。さらにこのラミネート用紙Pe'を用いた場合であっても、図8に示したラミネート用紙Peと同様の手順でIDカードを作成することができるのはいうまでもない。
以上、これまでに述べた各図に示すラミネート用紙は、何れも各フィルム区分の平面視寸法を、各ラベル区分の平面視寸法よりも大きく設定したものである。このような条件の下であれば、上述したように、第一粘着剤層同士の接着により第一フィルムと第二フィルムとを部分的に貼り合わせることが可能であるため、剥離紙が必須の構成要件とはならない。すなわち、各図に示すラミネート用紙を、フィルムとラベル紙とを重層した二層構造のラミネート用紙(図示省略)としても構わない。この場合、フィルムの一方の面であって且つラベル紙に接する面に第一粘着剤層を形成し、他方、ラベルの一方の面記入面とするとともにフィルムに接する面に剥離処理層を形成することにより、記入面に印刷又は筆記した後に第一ラベル区分及び第二ラベル区分をラミネート用紙(具体的にはラベル紙)から剥がすことが可能となり、当該第一ラベル区分及び第二ラベル区分を前記裏返し姿勢で開口部に嵌め込み、開口部内において表出しているファイルの第一粘着剤層を介してラベル区分の記入面をフィルムに貼着し、これらラベル区分とフィルム区分とを一体にしてラミネート用紙(具体的にはフィルム)から分離することにより、少なくとも一方のラベル区分をフィルム区分によってラミネートしてなるカード本体を形成することができる。しかして、カード本体における第一ラベル区分と第二ラベル区分とを、これら各ラベル区分の間に記憶媒体を挟持させ且つ互いの記入面をそれぞれ外側に向けた状態で重ね合わせるとともに、各ラベル区分を外側から挟み込んだ状態で対面する第一フィルム区分と第二フィルム区分の第一粘着剤層同士を貼り合わせた構成を有するIDカード(図示省略)となる。このような構成を有するIDカードであっても、記憶媒体を好適に保護することができるとともに、簡単に作成することができ、実用性に優れたものである。
一方、フィルム、剥離紙、及びラベル紙からなる三層状のラミネート用紙における第一フィルム区分の平面視寸法を、第一ラベル区分及び第一剥離区分の平面視寸法と略同一に設定し、且つ第一フィルム区分と第一ラベル区分と第一剥離区分、及び第二フィルム区分と第二ラベル区分と第二剥離区分を、それぞれ同一箇所に重合するように設定したラミネート用紙からカード本体を形成し、このカード本体と記憶媒体とを一体的に備えてなるIDカードとしてもよい。
その一例として、例えば図10(同図(a)はラミネート用紙Pgをラベル紙Lg側から見た平面図であり、同図(b)は(a)のB−B線端面図である。)に示すラミネート用紙Pgは、フィルムFgの一方の面に第一粘着剤層Fgxを形成している点、ラベル紙Lgの一方の面を記入面Lgzとし他方の面に第二粘着剤層Lgxを形成している点、剥離紙HgのフィルムFgの第一粘着剤層Fgx側を向く面に第一剥離処理層Hguを形成するとともに、ラベル紙Lgの第二粘着剤層Lgx側を向く面に第二剥離処理層Hgvを形成して点等、基本的な構成は前記図2等に示すラミネート用紙Paと略同様である。また、前記フィルムFgに抜き加工用の第一輪郭線Fgoを形成し、単一の第一輪郭線Fgoにより包囲されるフィルムFg上の領域に、互いに略等しい平面視寸法を有する第一フィルム区分Fg1及び第二フィルム区分Fg2を、これら第一フィルム区分Fg1と第二フィルム区分Fg2とを区分けする第一折り曲げ線Fg3を挟んで一体に形成している点、及び、前記ラベル紙Lgと前記剥離紙Hgには、共通の抜き加工用の第二輪郭線Lgoを形成し、単一の第二輪郭線Lgoにより包囲されるラベル紙Lg及び剥離紙Hg上の領域に互いに略等しい平面寸法を有する第一ラベル区分Lg1及び第二ラベル区分Lg2、並びに第一剥離区分Hg1及び第二剥離区分Hg2を、第一ラベル区分Lg1と第二ラベル区分Lg2とを区分けし且つ第一剥離区分Hg1と第二剥離区分Hg2とを区分けする第二折り曲げ線Lg3を挟んで一体に形成している点も前記図2に示すものと同様であるが、第一輪郭線Fgoと第二輪郭線Lgo、及び第一折り曲げ線Fg3と第二折り曲げ線Lg3とをそれぞれ重層方向において同一直線上に位置付けている点において異なる。
このようなラミネート用紙Pgからカード本体Cg2を形成する方法、及びこのカード本体Cg2に記憶媒体C1に付帯させて一のIDカードCgを作成する方法は、前述した方法と略同様であるが、決定的な違いは、各フィルム区分Fg1、Fg2が各ラベル区分Lg1、Lg2と略同じ平面視寸法を有するため、各フィルムFgの第一粘着剤層Fgx同士を接着させることができない点である。したがって、このようなラミネート用紙Pgから形成されるカード本体Cg2を用いて一のIDカードCgを作成するためには、第一剥離区分Hg1及び第二剥離区分Hg2をそれぞれ第一ラベル区分Lg1及び第二ラベル区分Lg2から剥がす必要がある。その結果、当該ラミネート用紙Pgから形成したカード本体Cg2を用いて作成したIDカードCgは、各剥離区分Hg1、Hg2を剥がすことによって第二粘着剤層Lgxを表出させてなる第一ラベル区分Lg1と第二ラベル区分Lg2とを、これら各ラベル区分Lg1、Lg2の間に記憶媒体Cg1を挟持させ且つ互いの記入面Lgzをそれぞれ外側に向けた状態で重ね合わせるとともに、対面する第一ラベル区分Lg1と第二ラベル区分Lg2の第二粘着剤層Lgx同士を貼り合わせた構成を有するものとなる(図11参照、同図(a)は一方の面から見たIDカードCgであり、同図(b)は他方の面から見たIDカードCgである)。このようなものであっても、簡単な作業により一のIDカードCgを形成することができ、各ラベル区分Lg1、Lg2及び各ラベル区分Lg1、Lg2をそれぞれラミネートする各フィルム区分Fg1、Fg2によって記憶媒体C1を好適に保護することはできる等、上述した効果と略同様の効果を得ることができる。
また、図12に示すように、第一フィルム区分Fi1の平面視寸法を、第一ラベル区分Li1及び第一剥離区分Hi1の平面視寸法と略同一に設定し、且つ第一フィルム区分Fi1と第一ラベル区分Li1と第一剥離区分Hi1、及び第二フィルム区分Fi2と第二ラベル区分Li2と第二剥離区分H2を、それぞれ同一箇所に重合するように設定する条件の下、第一フィルム区分Fi1、第一ラベル区分Li1及び第一剥離区分Hi1の組と、第二フィルム区分Fi2、第二ラベル区分Li2及び第二剥離区分Hi2の組とを、所定距離離間させて配置したラミネート用紙Piからカード本体(図示省略)を作成してもよい。
このようなラミネート用紙Piを採用した場合、各ラベル区分Li1、Li2への印刷又は筆記の後、第一ラベル区分Li1と第二ラベル区分Li2とをそれぞれ別個に取り扱うこととなり、裏返した第一ラベル区分Li1及び第一剥離区分Hi1と、第二ラベル区分Li2及び第二剥離区分Hi2を、それぞれ個別に前記第二輪郭線Lioによって形成される各開口部(図示省略)に嵌め込み、対応する各フィルム区分Fi1、Fi2と一体にラミネート用紙Piから離脱させることができる。このようなラミネート用紙Piからカード本体を作成する方法、及び当該カード本体に記憶媒体C1を付帯させる方法は、図8に示すラミネート用紙Peからカード本体を作成する方法、及び当該カード本体に記憶媒体C1を付帯させる方法と略同じであるが、前記図10に示すものと同様に、第一剥離区分Hi1及び第二剥離区分Hi2をそれぞれ第一ラベル区分Li1及び第二ラベル区分Li2から剥がす必要がある点で異なる。なお、同図においては、ラミネート用紙Piにおける第一ラベル区分Li1及び第一剥離区分Hi1と第二ラベル区分Li2及び第二剥離区分Hi2との位置関係を、ラミネート用紙Piの短辺方向に隣り合うように設定しているが、これに限らず、例えばラミネート用紙Piの長辺方向に隣り合うように設定してもよく、あるいはこれら以外の位置関係に設定しても構わない。つまり、第一ラベル区分Li1及び第一剥離区分Hi1と対になる第二ラベル区分Li2及び第二剥離区分Hi2は、当該第一ラベル区分Li1及び第一剥離区分Hi1を包囲する第二輪郭線Lioとは異なる他の第二輪郭線Lioに包囲されてなる領域に形成したラベル区分及び剥離区分であれば両者の位置関係は特に問わない。そして、作成されるIDカードは、図11に示したものと略同様の形態となる。
なお、本発明におけるラミネート用紙、及びそれから作成されるカード本体及びIDカードは、上述した各種のものに限定されるものではない。例えば、ラミネート用紙自体の大きさや形状、各フィルム区分、ラベル区分、剥離区分の大きさや形状等の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り任意である。
また、上記各実施形態において、記憶媒体一体型カードの一例として入退室管理用等に用いられるIDカードを挙げているが、その他にも、本発明に係る記憶媒体一体型カードを、例えば遊園地等における一定期間限りの入退場カード、或いはタグカードやインデックスカード等、種々のカードとして活用することができることはいうまでもない。
また、一枚のラミネート用紙から少なくとも一以上のカード本体を作成することができればよく、その個数は特に限定されるものではない。
また、第一ラベル区分と第一フィルム区分との間、若しくは第二ラベル区分と第二フィルム区分との間に他の物品を挟持させた状態でラベル区分とフィルム区分とを貼り合わせることで、記入面への印刷や筆記の代替とすることができる。この他の物品には薄手の物が適しており、例えば生花を適用すれば、押し花入りのIDカードを作成することができる。