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JP2006046399A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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JP2006046399A
JP2006046399A JP2004225478A JP2004225478A JP2006046399A JP 2006046399 A JP2006046399 A JP 2006046399A JP 2004225478 A JP2004225478 A JP 2004225478A JP 2004225478 A JP2004225478 A JP 2004225478A JP 2006046399 A JP2006046399 A JP 2006046399A
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Kunihiko Suzuki
邦彦 鈴木
Toshibumi Sakai
俊文 酒井
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Toyoda Koki KK
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Toyoda Koki KK
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Abstract


【課題】 第1カム、第2カム部材のインナシャフトへの同心精度を向上して振動防止するとともに、駆動力の伝達特性の良好な構成を提供する。
【解決手段】 第1カム部材26とインナシャフト18の間に樹脂層28(低摩擦部材)を介在させ、インロー部を微小隙間tと樹脂層28とで構成した。この結果、第1カム部材26と第2カム部材25が相対回転して捩れが生じ、樹脂層28がインナシャフト18に接触しても第1カム部材26とインナシャフト18が直接接触した場合と比較し、摩擦抵抗が小さいため、第1カム部材26とインナシャフトの間の相対回転を良好にすることができる。また、樹脂層28とインナシャフト18との間が微小隙間tに設定されていることから、同心精度を向上することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、パイロットクラッチの伝達トルクを第1カム部材と第2カム部材の動作により増幅し、メインクラッチを圧接して駆動力を伝達する駆動力伝達装置に関する。
従来、四輪駆動車の駆動力伝達装置の一形態として、特許文献1に記載されたものが知られている。この駆動力伝達装置では、回転可能に支承されたハウジングのクラッチ収納室内にインナシャフトを回転可能に軸承し、メインクラッチのメインアウタクラッチプレート及び該アウタクラッチプレートと交互に配置されたメインインナクラッチプレートを収納室内でハウジングの円筒部内周面に及びインナシャフトの外周面に夫々回転を規制して回転軸線と平行な方向に移動可能に係合し、パイロットクラッチのパイロットアウタクラッチプレート及びパイロットインナクラッチプレートをハウジングの円筒部内周面及び第1カム部材に夫々回転を規制して回転軸線と平行な方向に移動可能に係合し、パイロットクラッチの伝達トルクに基づく第2カム部材と第1カム部材との相対回転によるカム機構の作動により第2カム部材を回転軸線と平行方向に移動させてメインクラッチを圧接し、パイロットクラッチの伝達トルクを増幅してハウジングとインナシャフトとの間でトルク伝達している。
当該形式の駆動力伝達装置においては、図4に示すように、パイロットクラッチ100のパイロットインナクラッチプレート101が第1カム部材102とスプライン係合し、第2カム部材104がインナシャフト103にスプライン溝Rによってスプライン係合している。これにより、図略の電磁石の磁力がアーマチャア105に作用すると、パイロットクラッチ100を介して第1カム部材102にハウジング106からのトルクが伝達され、インナシャフト103にスプライン係合した第2カム部材104と第1カム部材102との間に相対回転が発生し、この第2カム部材104と第1カム部材102との間に発生した相対回転の回転数に応じてメインクラッチに摩擦係合力が付与されるようになっている。
特開2002−188656号公報(第4頁段落番号0025から段落番号0028、図1)
当該形式の駆動力伝達装置では、第1カム部材102の内周面とインナシャフト103の外周面との間に所定の隙間(例えば、0.1mm)をもって係合するインロー部を備え、このインロー部によって第1カム部材102とインナシャフト103の回転軸線を一致させ、この第1カム部材102を基準として第2カム部材104をインナシャフト103に組付けるように設計されている。
ところが、実際のインロー部の隙間には寸法公差が存在し、0.2mmから0.05mmの間にある。このため、隙間が0.05mm付近の極小に形成された場合には、第2カム部材104と第1カム部材102が相対回転し、第1カム部材102と第2カム部材104と間に捩れが発生したとき、第1カム部材102に径方向の力が作用してインナシャフト103と接触する恐れがあった。第1カム部材102とインナシャフト103は金属製であって、接触した場合に摩擦抵抗が大きいことから、両者の相対回転を妨げて駆動力の伝達特性に悪影響を与える問題があった。また、インロー部の隙間が0.2mm付近の極大に形成された場合には、第1カム部材103が径方向に振れて振動が発生する恐れがあった。
本発明は、係る従来の問題点を改善するためになされたもので、第1カム、第2カム部材のインナシャフトへの同心精度を向上して振動防止するとともに、駆動力の伝達特性の良好な駆動力伝達装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための請求項1に係わる発明の構成上の特徴は、円筒状のフロントハウジングと該フロントハウジングに包囲されるインナシャフトとを同一回転軸線上で相対回転可能に軸承し、前記フロントハウジング内周と前記インナシャフト外周の間にクラッチ収納室を形成し、前記クラッチ収納室内の一側方にメインアウタクラッチプレートとメインインナクラッチプレートとが交互に配置されたメインクラッチを収納し、前記メインアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室の内周面に形成された係合部に相対回転を規制して前記回転軸線と平行な方向に移動可能に係合し、前記メインインナクラッチプレートを前記インナシャフトの外周面に形成されたスプライン溝に相対回転を規制して前記回転軸線と平行な方向に移動可能に係合し、前記クラッチ収納室内の他側方にパイロットアウタクラッチプレートとパイロットインナクラッチプレートとが交互に配置されたパイロットクラッチを収納し、前記パイロットアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室の内周面に形成された係合部に相対回転を規制して回転軸線と平行な方向に移動可能に係合し、前記パイロットクラッチの摩擦係合力を制御するパイロットクラッチ制御手段を設け、前記メインクラッチと前記パイロットクラッチの間に前記インナシャフトの外周に相対回転可能にかつ回転軸線方向に移動可能に係合する第1および第2カム部材を収納し、前記第1カム部材に相対回転を規制して前記回転軸線と平行な方向に移動可能に前記パイロットインナクラッチプレートを係合し、前記第2カム部材に前記インナシャフトの外周面に形成されたスプライン溝に係合するスプライン係合部を形成し、前記パイロットクラッチの摩擦係合力に基づく前記第1カム部材と前記第2カム部材との相対回転によって前記第2カム部材が前記メインクラッチを圧接することにより前記フロントハウジングと前記インナシャフトとの間で駆動力を伝達する駆動力伝達装置において、前記第1、第2カム部材の少なくとも一方と前記インナシャフトの間に低摩擦部材を介在して嵌合するインロー部を備えたことである。
上記の課題を解決するため、請求項2に係わる発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記インロー部は、前記低摩擦部材が前記インナシャフト外周面または前記カム部材の内周面に固着され、前記低摩擦部材が固着されていない前記インナシャフト外周面または前記一方と前記低摩擦部材との間に微小隙間を形成したことである。
上記の課題を解決するため、請求項3に係わる発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記インロー部を構成する微小隙間を0.1mmから0.03mmとしたことである。
上記の課題を解決するため、請求項4に係わる発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、前記低摩擦部材がフッ素系樹脂であることである。
請求項1のように構成したことにより、第1、第2カム部材の少なくとも一方が、インナシャフトに対してインロー部によって嵌合されるので、第1、第2カム部材とインナシャフトとの同心精度が向上し、振動の発生を防止できる。すなわち、第1カム部材とインナシャフトの間にインロー部がある場合には、インロー部を構成する低摩擦部材により、インナシャフトと第1カム部材との間の摩擦抵抗が小さくなることから、インナシャフトと第1カム部材の相対回転が阻害されない。また、第2カム部材とインナシャフトの間にインロー部がある場合には、インロー部を構成する低摩擦部材により、インナシャフトと第2カム部材との間の摩擦抵抗が小さくなることから、インナシャフトに対する第2カム部材の軸線方向の移動が阻害されることがない。従って、第1カム部材と第2カム部材の何れにインロー部がある場合においても、第1、第2カム部材とインナシャフトとの同心精度が向上し、振動の発生を防止できるとともに、駆動力の伝達特性を良好にすることができる。
請求項2のように構成することにより、インロー部を形成した第1カム部材または第2カム部材の少なくとも一方とインナシャフトとが、カム部材間のトルク伝達に基づく半径方向変位により、接触したとしても、摩擦抵抗が低摩擦部材によって低減される。従って、第1カム部材または第2カム部材の少なくとも一方とインナシャフトのうちで低摩擦部材を固着した部材と、低摩擦部材を固着していない部材の間を微小隙間に設定することができる。また、微小隙間があることにより、低摩擦部材は、カム部材間のトルク伝達に基づく半径方向変位が発生するときにのみ接触し、常時接触しないようにすることができる。
請求項3のように構成することにより、同心精度を向上して振動防止するとともに、駆動力の伝達特性を良好にするうえで好適なものとすることができる。
請求項4のように構成することにより、安価に低摩擦部材を形成することができる。
以下、本発明の実施形態に係る駆動力伝達装置を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態としての電磁式駆動力伝達装置10の断面図である。この電磁式駆動力伝達装置10は、例えば前輪駆動車ベースの四輪駆動車において、主動輪である前輪側と従動輪である後輪側との間でエンジンの駆動力を分配制御するために、プロペラシャフトの途中に介在されている。11は有底円筒状のフロントハウジングであり、図略のクラッチケースによって回転軸線O回りに回転可能に支承されている。フロントハウジング11の開口端部には、リヤハウジング12が螺着され、フロントハウジング11内に潤滑油が密封されたクラッチ収納室13を画成している。フロントハウジング11の底部外壁にはネジ穴部14が螺設され、前方プロペラシャフトに連結されるようになっている。リヤハウジング12には内周穴15が形成され、この内周穴15とフロントハウジング11の底部に形成された凹部には、軸受16,17によって回転軸線O回りに回転可能にインナシャフト18の両端部が軸承されている。インナシャフト18の後端にはスプライン穴19が形成され、後方プロペラシャフトがスプライン係合される。
クラッチ収納室13内には、複数のメインアウタクラッチプレート20およびメインインナクラッチプレート21から構成されるメインクラッチ22が配設されている。メインアウタクラッチプレート20は鉄製であり、クラッチ収納室13の内周面に形成された係合部にスプライン係合し、フロントハウジング11に対して相対回転を規制して回転軸線Oと平行な方向に移動可能にされている。メインインナクラッチプレート21は、鉄製のコアの表面に紙製の摩擦材を貼着して構成され、インナシャフト18の外周面中央部に形成されたスプライン溝18aにスプライン係合し、インナシャフト18に対して相対回転を規制して回転軸線Oと平行な方向に移動可能にされている。メインアウタクラッチプレート20とメインインナクラッチプレート21は交互に配置され、係合時は互いに当接して摩擦係合し、離脱時は互いに離間して非係合状態となる。
クラッチ収納室13内のメインクラッチ22とリヤハウジング12の間には、カム機構23およびパイロットクラッチ24が配置されている。カム機構23は、第1カム部材26、第2カム部材25およびボール状のカムフロア27を備えている。第2カム部材25は、メインインナクラッチプレート21に当接する大径円板状の押圧部25aと小径円板状のカム部25bにより構成されている。カム部25bはインナシャフト18に対して内周穴25cにより相対回転可能にかつ軸線Oと平行に移動可能に遊嵌されている。
押圧部25aの外周、カム部25bとのつなぎ目には、インナシャフト18のスプライン溝18aにスプライン係合するスプライン溝25dが形成されている。第1カム部材26は、円板状を成しており、第2カム部材25の側面とカムフロア27を挟んで対向して配置されている。第1カム部材26には、インナシャフト18に対して相対回転可能なように内周穴26aが形成され、この内周穴26aの内周面には、図2に示すように低摩擦部材としての樹脂層28が形成されている。この樹脂層28は、フッ素系樹脂を第1カム部材26の内周穴26aの表面にスプレーによって付着させた後、加熱して焼き付けコーティングされて形成される。このように焼き付けコーティングにより樹脂層28を形成した場合、第1カム部材26の内周穴26aの形状に沿って均一な厚みに樹脂層28が形成されるため、樹脂層28に後加工を施す必要がない。従って、フッ素系樹脂を焼き付けコーティングするようにすれば、安価にかつ簡単に樹脂層28を形成することができる。
樹脂層28とインナシャフト18の間には、樹脂層28とともにインロー部を構成する微小隙間tが形成されている。この微小隙間tは、インナシャフト18への第1カム部材26の組付けおよび、組付け後のインナシャフト18と第1カム部材26の同心性を考慮し、寸法公差を含めて0.1mmから0.03mmとなるように調整されている。
一方、図1に示すように、第2カム部材25のカム部29および第1カム部材26の互い対向する面には、それぞれカム溝30が周方向に所定間隔をあけて複数形成され、各カム溝30には、カムフロア27が配置されている。第1カム部材26の側面は、ニードルベアリング31を介してリヤハウジング12に回転可能に支承されている。第1カム部材26の外周には、パイロットクラッチ24が配置されている。パイロットクラッチ24は、パイロットアウタクラッチプレート32およびパイロットインナクラッチプレート33とから構成される。パイロットアウタクラッチプレート32は、クラッチ収納室13の内周面に形成された係合部にスプライン係合し、フロントハウジング11に対して相対回転を規制され回転軸線Oに平行な方向に移動可能にされている。パイロットインナクラッチプレート33は、パイロットアウタクラッチプレート32と交互に配置され、第1カム部材26の外周面にスプライン係合し、第1カム部材26に対して相対回転を規制され、回転軸線Oに平行な方向に移動可能にされている。
第2カム部材25の押圧部28とパイロットクラッチ24の間には、環状を成すアーマチャア34が配置されている。このアーマチャア34は、外周がクラッチ収納室13の内周面に形成された係合部にスプライン係合されて相対回転を規制されるとともに、回転軸線Oに平行な方向に移動可能にされる。また、リヤハウジング12の外側にはパイロットクラッチ制御手段である電磁石35が配置され、この電磁石35を基点として形成される磁束により、アーマチャア34は、吸引されて、パイロットアウタクラッチプレート32およびパイロットインナクラッチプレート33を圧接するようになっている。パイロットクラッチの摩擦係合力は電磁石35に流れる電流によって制御可能である。
リヤハウジング12は、パイロットアウタクラッチプレート32の後方(図面右側)でフロントハウジング11の開口端部に取り付けられている。リヤハウジング12は、磁性金属製の大径リヤハウジング部36、同じく磁性金属製の小径リヤハウジング部37および非磁性金属製の中間部材38とによって構成されている。大径リヤハウジング部36は円筒状を成し、フロントハウジング11の開口端部内周面に螺着されている。リヤハウジング12の組付け時には、締め付けトルクを管理して締め付けが行われる。この締め付けトルクは第2カム部材25とメインインナクラッチプレート21との接触部に最適な押付け力を発生し得る値に予め設定されている。リヤハウジング12の締め付け後には、フロントハウジング11との接触部を溶接することによって回り止め処理がなされる。
小径リヤハウジング部37は、内周穴15が形成された段付き円筒形状であって、インナシャフト18が軸受17により回転可能に支承され、第1カム部材26の側面が第1カム部材26と小径リヤハウジング部37との間に配設されたニードルベアリング31を介して回転可能に支承されている。大径リヤハウジング部36の内周面と小径リヤハウジング部37の外周面との間には、環状の中間部材38が介在され、溶接等によって大径リヤハウジング部36および小径リヤハウジング部37と固着されている。リヤハウジング12は、フロントハウジング11へねじ込まれることにより、ニードルベアリング31をカム機構23に押し付け、カム機構23の第2カム部材25をメインインナクラッチプレート21に押し付けることで、メインククラッチ22に押圧接力(プリロード)を付与する。このとき、第1カム部材26の内周穴26aにコーティングされた樹脂層28とインナシャフト18との間に微小隙間tが形成されているため、第1カム部材26は軸線方向に容易に摺動でき、組付け時におけるメインククラッチ22に押圧接力(プリロード)を付与する作業を容易にしている。
再び図1を参照し、電磁石35は環状を成し、端子を介して通電される。電磁石35は、大径及び小径リヤハウジング部36,37および中間部材38に囲まれた位置でヨーク39に固着されている。ヨーク39は、大径及び小径リヤハウジング部36,37と微小隙間を保って小径リヤハウジング部37に軸受40によって回転可能に支承され、クラッチケース(図略)の後端面に突設されたピンに係合して回り止めされている。このように、磁性金属製の大径及び小径リヤハウジング部36,37が前端部で非磁性金属製の環状体である中間部材38によって一体に結合されて磁路形成部材であるリヤハウジング12が形成されている。
次に、上記のように構成した電磁式駆動力伝達装置10の作動について説明する。エンジンを始動すると、エンジンの駆動力が、主動輪である前輪に伝えられるとともに、前方プロペラシャフトを介してフロントハウジング11に伝達される。電磁石35が非通電状態であるとき、磁束は形成されず、パイロットアウタクラッチプレート32およびパイロットインナクラッチプレートクラッチ33は非係合状態にある。このため、第1カム部材26にはパイロットインナクラッチプレートクラッチ33を介して駆動力は伝達されず、第1カム部材26は非拘束状態であることから、第1カム部材26には、カムフロア23を介して第2カム部材25の回転力が伝達され、第1カム部材26は第2カム部材25とともに回転する。従って、インナシャフト18と第1カム部材26の間に相対回転は発生していない。なお、このとき第1カム部材26は非拘束状態であるが、インナシャフト18と内周面26aの間では、樹脂層28と微小隙間tによってインロー部が構成されていることにより、インナシャフト18と第1カム部材26の同心性は維持されており、第1カム部材26が径方向に振れて振動を発生することもない。また、インナシャフト18と第1カム部材26の間に相対回転が発生していない状態では、第2カム部材25と第1カム部材26が最も接近した状態にあり、第2カム部材25の押圧部25aは、リヤハウジング12のフロントハウジング11へのねじ込みによって得られるプリロードによってメインインナクラッチプレート21と接触しているものの、メインアウタクラッチプレート20とメインインナクラッチプレート21は摩擦係合させるほどの押圧力を発生しておらず、フロントハウジング11からインナシャフト18に駆動力は伝達されない。このため、従動輪である後輪側には駆動力は伝達されず、実質的に車両は主動輪である前輪のみでの走行となる。
一方、電磁石35への通電がなされると、電磁石35の周辺に回転磁束が形成され、アーマチャア34がリヤハウジング12側に吸引され、パイロットアウタクラッチプレート32とパイロットインナクラッチプレート33が摩擦係合する。この結果、電磁石35によって制御された回転力がフロントハウジング11から第1カム部材26に伝達され、メインインナクラッチプレート21と摩擦係合して回転する第2カム部材25と第1カム部材26の間に相対回転が発生し、カムフロア27がカム溝30に乗りあげる。このカムフロア27のカム溝30への乗りあげにより、第2カム部材25と第1カム部材26の間隔が広げられ、第2カム部材25がメインクラッチ22側に移動する。このとき、第1カム部材26と第2カム部材25のカム溝30の径方向のずれが、微小隙間tの範囲を越えた場合、樹脂層28とインナシャフト18が接触するが、この樹脂層28とインナシャフト18の間の摩擦抵抗は、金属接触と比較して非常に小さいことからインナシャフト18と第1カム部材26の相対回転に影響を与えるほどではない。従って、電磁石35による磁束に応じた相対回転を第1カム部材26と第2カム部材25に発生させることができ、相対回転に応じた伝達トルクを得ることができる。この伝達トルクはインナシャフト18から後方プロペラシャフトに伝達され、デファレンシャル装置を介して従動輪である後輪側へ配分される。
上記実施の形態では、樹脂層28とインナシャフト18の間に微小隙間tを形成することにより、第1カム部材26と第2カム部材25が相対回転して捩れが生じたときのみ樹脂層28とインナシャフト18が接触する。このため、樹脂層28とインナシャフト18が常時接触しないので、樹脂層28が必要以上に磨耗することを防止して耐久年数を向上することができる。また、樹脂層28は、第1カム部材26の内周穴26aでなくインナシャフト18の表面に形成してもよい。さらに、樹脂層28は第2カム部材とインナシャフト18の間に形成してもよい。この場合、樹脂層28は第2カム部材25がインナシャフト18の回転軸線O方向へ移動する際のインナシャフト18との摩擦抵抗を低減させることになる。さらに、第1カム部材26と第2カム部材の内周穴26a、25cとインナシャフト18の間にそれぞれインロー部を形成するようにしてもよい。
また、微小隙間tを形成することなく樹脂層28とインナシャフトが常時接触するように構成してもよい。
また、樹脂層28に代えて潤滑性を有するメッキ層を形成するようにしてもよい。このメッキ層としては、例えば、無電解Niメッキ中にPolyTetra-Fluoro Ethylene(P.T.F.E:四フッ化エチレン樹脂)を分散共析させた複合メッキ皮膜を第1カム部材26、第2カム部材25またはカムシャフト18の少なくとも1つの部材に形成するようにすればよい。
さらに、低摩擦部材を樹脂層28に代えて転がり軸受としてもよい。この転がり軸受を用いる場合は、例えば、図3に示すようなニードルベアリング29が用いられ、ニードルベアリング29の外輪29aを第1カム部材26の内周穴26aに圧入することにより、第1カム部材26の内周穴26aにニードルベアリング29が装着され、ニードルベアリング29とインナシャフト18の間に微小隙間tが形成される。従って、ニードルベアリング29のニードル29bは、第1カム部材26と第2カム部材25が相対回転して捩れたときのみ、インナシャフト18と接触して転がり、第1カム部材26とインナシャフト18間では低摩擦状態が維持される。このため、第1カム部材26とインナシャフト18の間の相対回転に影響を与えることがない。
なお、上述の実施の形態では、電磁式駆動力伝達装置を四輪駆動車のプロペラシャフト上に配置したことを示したが、これに限られるものでなく、二輪駆動車の左右輪の差動回転を許容するデファレンシャル歯車機構と組み合わせ、デファレンシャル歯車機構から左右輪への駆動力の伝達経路の少なくとも一方に、本発明に係る駆動力伝達装置を配置する構成にも適用できる。
本発明の実施の形態に係る電磁式駆動力伝達装置の縦断面図。 本発明の実施の形態に係る電磁式駆動力伝達装置の要部拡大図。 他の実施の形態に係る電磁式駆動力伝達装置の要部拡大図。 従来の電磁式駆動力伝達装置の要部拡大図。
符号の説明
10…電磁式駆動力伝達装置、11…フロントハウジング、12…リヤハウジング、13…クラッチ収納室、14…ネジ穴部、15…内周孔、16,17…軸受、18…インナシャフト、19…スプライン穴、20…メインアウタクラッチプレート、21…メインインナクラッチプレート、22…メインクラッチ、23…カム機構、24…パイロットクラッチ、25…第2カム部材、26…第1カム部材、27…カムフロア、28…樹脂層、29…ニードルベアリング、30…カム溝、31…ニードルベアリング、32…パイロットアウタクラッチプレート、33…パイロットインナクラッチプレート、34…アーマチャア、35…電磁石(パイロットクラッチ制御手段)、36…大径リヤハウジング、37…小径リヤハウジング、38…中間部材、39…ヨーク、40…軸受。

Claims (4)

  1. 円筒状のフロントハウジングと該フロントハウジングに包囲されるインナシャフトとを同一回転軸線上で相対回転可能に軸承し、前記フロントハウジング内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、前記クラッチ収納室内の一側方にメインアウタクラッチプレートとメインインナクラッチプレートとが交互に配置されたメインクラッチを収納し、前記メインアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室の内周面に形成された係合部に相対回転を規制して前記回転軸線と平行な方向に移動可能に係合し、前記メインインナクラッチプレートを前記インナシャフトの外周面に形成されたスプライン溝に相対回転を規制して前記回転軸線と平行な方向に移動可能に係合し、前記クラッチ収納室内の他側方にパイロットアウタクラッチプレートとパイロットインナクラッチプレートとが交互に配置されたパイロットクラッチを収納し、前記パイロットアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室の内周面に形成された係合部に相対回転を規制して回転軸線と平行な方向に移動可能に係合し、前記パイロットクラッチの摩擦係合力を制御するパイロットクラッチ制御手段を設け、前記メインクラッチと前記パイロットクラッチの間に前記インナシャフトの外周に相対回転可能にかつ回転軸線方向に移動可能に係合する第1および第2カム部材を収納し、前記第1カム部材に相対回転を規制して前記回転軸線と平行な方向に移動可能に前記パイロットインナクラッチプレートを係合し、前記第2カム部材に前記インナシャフトの外周面に形成されたスプライン溝に係合するスプライン係合部を形成し、前記パイロットクラッチの摩擦係合力に基づく前記第1カム部材と前記第2カム部材との相対回転によって前記第2カム部材が前記メインクラッチを圧接することにより前記フロントハウジングと前記インナシャフトとの間で駆動力を伝達する駆動力伝達装置において、
    前記第1、第2カム部材の少なくとも一方と前記インナシャフトの間に低摩擦部材を介在して嵌合するインロー部を備えたことを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 請求項1において、前記インロー部は、前記低摩擦部材が前記インナシャフト外周面または前記カム部材の内周面に固着され、前記低摩擦部材が固着されていない前記インナシャフト外周面または前記一方のカム部材の内周面と前記低摩擦部材との間に微小隙間を形成して構成したことを特徴とする駆動力伝達装置。
  3. 請求項2において、前記インロー部を構成する微小隙間を0.1mmから0.03mmとしたことを特徴とする駆動力伝達装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、前記低摩擦部材がフッ素系樹脂であることを特徴とする駆動力伝達装置。
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