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JP2006027453A - 電磁制御弁制御装置およびブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

電磁制御弁制御装置およびブレーキ液圧制御装置 Download PDF

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JP2006027453A
JP2006027453A JP2004209906A JP2004209906A JP2006027453A JP 2006027453 A JP2006027453 A JP 2006027453A JP 2004209906 A JP2004209906 A JP 2004209906A JP 2004209906 A JP2004209906 A JP 2004209906A JP 2006027453 A JP2006027453 A JP 2006027453A
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valve
power
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pressure reducing
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JP2004209906A
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Masaaki Komazawa
雅明 駒沢
Tetsuya Miyazaki
徹也 宮崎
Yoshito Tanaka
義人 田中
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】 電磁制御弁制御装置の制御により電磁制御弁を全開状態とする際の衝突音を低減させる。
【解決手段】 左右前輪の各ホイールシリンダの液圧を常閉の増圧弁,減圧弁により電気的に制御し、左右後輪の各ホイールシリンダの液圧を常閉の増圧弁,常開の減圧弁により電気的に制御する。制動終了時に減圧弁を全開状態とし、ホイールシリンダをリザーバに開放して残圧を0にするにあたり、前輪の常閉の減圧弁については、最初に供給する電流を決定し(S18)、その第一初期電流から全開状態電流まで設定値ずつ供給電流を増加させて減圧弁を徐々に開き(S23)、衝突音少なく全開状態とする。後輪の常開の減圧弁については、最初に供給する電流を決定し(S19)、その第二初期電流から全開状態電流まで設定値ずつ供給電流を減少させて減圧弁を徐々に開く(S24)。
【選択図】 図7

Description

本発明は、電磁制御弁制御装置と、電磁制御弁制御装置を備えたブレーキ液圧制御装置とに関するものであり、特に、電磁制御弁を全開させる際の制御に関するものである。
電磁制御弁制御装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、電磁制御弁と共に車両用ブレーキシステムのブレーキ液圧制御装置を構成する。このブレーキ液圧制御装置は、増圧用電磁制御弁および減圧用電磁制御弁を備えている。これら増圧用および減圧用の各電磁制御弁はいずれも、その上流側と下流側との液圧差が供給電流に対してリニアに制御され、ホイールシリンダの液圧であるホイールシリンダ圧を任意の高さに制御可能なリニア弁であり、供給電流を変化させて供給電力を変化させることにより、ホイールシリンダ圧を連続的に変化させ得るものである。
増圧用電磁制御弁は、マスタシリンダの加圧室とホイールシリンダとの間に設けられ、加圧室を経て供給される動力液圧源の液圧を制御してホイールシリンダに供給し、ホイールシリンダ圧を上昇させる。減圧用電磁制御弁はリザーバとホイールシリンダとの間に設けられ、ホイールシリンダからリザーバへのブレーキ液の排出を制御し、ホイールシリンダ圧を低下させる。電磁制御弁制御装置は、増圧用電磁制御弁および減圧用電磁制御弁への電流供給を制御する。例えば、ブレーキペダルが踏み込まれ、ブレーキが作動させられて車輪の回転が抑制される制動時には、その踏込みにより発生させられるマスタシリンダ圧に基づいてホイールシリンダの目標液圧が設定され、その目標液圧が得られるように増圧用電磁制御弁への供給電流が決定され、増圧用電磁制御弁が開かれてホイールシリンダ圧が増大させられる。あるいは減圧用電磁制御弁への供給電流が決定され、減圧用電磁制御弁が開かれてホイールシリンダ圧が低下させられる。そして、ブレーキペダルの踏込みが解除され、目標液圧が設定液圧未満になれば、増圧用電磁制御弁が設定時間、全開させられ、ホイールシリンダが加圧室を経てリザーバに連通させられ、ホイールシリンダ内のブレーキ液がリザーバに排出され、残圧が0になるようにされている。
特許第3458652号公報
しかしながら、このように増圧用電磁制御弁を全開させる際、衝突音が発生する問題がある。この増圧用電磁制御弁は常閉のシート弁であり、電流が供給されない状態では、弁子がスプリングの付勢により弁座に着座させられて閉じられ、電流の供給により弁子がスプリングの付勢力に抗して弁座から離間させられて開かれるのであるが、増圧用電磁制御弁を全開状態にするために、供給可能な最大電圧が初めから増圧用電磁制御弁に印加されるため、弁子の移動速度が大きく、弁子が全開位置においてストッパに当接し、停止させられる際の当接速度が大きく、大きい衝突音が発生するのである。
この問題は、特許文献1に記載の増圧用電磁制御弁においてのみならず、他の電磁制御弁が全開させられる際にも同様に発生する問題である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、電磁制御弁を全開状態とする際の衝突音を低減させることを課題として為されたものである。
本発明は、上記の課題を解決するために、少なくとも全開状態とその全開状態より開度の小さい作用状態とをとり得る電磁制御弁の制御装置を、その電磁制御弁を全開させる必要が生じた際、その電磁制御弁に対する供給電力を、作用状態に対応する供給電力である作用状態電力から全開状態に対応する供給電力である全開状態電力まで変化させる間の少なくとも一時期に、電力の変化を抑制する電力変化抑制部を含むものとしたことを特徴とする。
電磁制御弁は その上流側と下流側との連通を許容し、遮断する作用のみを成す開閉弁でもよく、作動液の流れを切り換える方向切換弁でもよく、リニア弁でもよい。また、電磁制御弁は、常開弁でもよく、常閉弁でもよく、減圧弁でもよく、増圧弁でもよい。
供給電力は、電圧と電流との少なくとも一方を制御することにより制御される。電圧が一定の場合、電流によって電力が決まり、供給電流の制御により電磁制御弁の開度が制御される。
電力の変化は、供給電力を作用状態電力から全開状態電力まで変化させる間のすべての時期において抑制されてもよく、一時期において抑制されてもよい。電力変化の抑制の一例は変化勾配を抑制することであるが、変化と不変化とを繰り返して段階的に変化させること、一時的に変化の向きを逆にすることも変化の抑制の特殊なものと考えることとする。例えば、特に変化勾配を抑制することなく電力を急激に変化させ、それに伴う弁子の全開位置への移動中の一時期に電力の変化の向きを逆にすれば、弁子の移動速度を減少させることができ、衝撃音および衝撃力を低減させることができる。また、変化勾配を抑制する場合に、変化勾配は一定でもよく、変化させてもよい。前者の場合、供給電力は、直線的に変化させられ、後者の場合、曲線的に変化させられる。例えば、供給電力が二次関数的あるいは指数関数的に変化するように変化勾配が変化させられるのである。
本発明はまた、車両用ブレーキシステムのホイールシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を、(A)ホイールシリンダとブレーキ液を大気圧で蓄えるリザーバとの間に配設された常閉弁から成る減圧弁と、(B)その減圧弁を電磁制御弁として制御する請求項1に記載の電磁制御弁制御装置とを含み、かつ、電力変化抑制部を、ホイールシリンダの液圧が0の状態において常閉弁が丁度開き始める際の電力以上である第一初期電力から、常閉弁が全開状態となる全開状態電力まで電力を漸増させる電力漸増部を含むものとしたことを特徴とする。
本発明はさらに、車両用ブレーキシステムのホイールシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を、(a)ホイールシリンダとブレーキ液を大気圧で蓄えるリザーバとの間に配設された常開弁から成る減圧弁と、(b)その減圧弁を電磁制御弁として制御する請求項1に記載の電磁制御弁制御装置とを含み、かつ、電力変化抑制部が、ホイールシリンダの液圧が0の状態において常開弁が丁度開き始める際の電力以下である第二初期電力から、常開弁が全開状態となる全開状態電力まで電力を漸減させる電力漸減部を含むものとしたことを特徴とする。
本発明に係る電磁制御弁制御装置においては、電力供給により、電磁制御弁に電磁駆動力が発生させられるが、この電磁駆動力は、電磁制御弁の構造により、電磁制御弁を開状態とする方向に作用し、あるいは閉状態とする方向に作用する。全開状態は、電磁制御弁の開度が最大となる開状態であり、電磁制御弁を全開させる際、電磁駆動力が電磁制御弁を開く方向に作用するのであれば、全開状態電力は作用状態電力より大きく、供給電力が増加させられ、閉じる方向に作用するのであれば、全開状態電力は作用状態電力より小さく、供給電力が減少させられることとなる。いずれにしても、電力の変化が抑制されることにより、供給電力が一挙に全開状態に対応する大きい電力にされたり、あるいは全開状態に対応する小さい電力にされることはなく、徐々に増大または減少させられ、あるいは一時的に逆向きに変化させられて、電磁制御弁の開速度が抑制され、全開状態となる際の衝突音が低減させられる。また、衝撃力も低減させられる。
本発明に係るブレーキ液圧制御装置においては、減圧弁が開かれることによりホイールシリンダ内のブレーキ液がリザーバに排出され、ホイールシリンダの液圧であるホイールシリンダ圧が減少させられる。減圧弁は、例えば、ブレーキの作動による制動が終了した状態で減圧弁が全開状態とされ、ホイールシリンダの残圧を0にする残圧抜きが行われる。減圧弁は常閉弁であり、電力供給により開かれ、供給電力を大きくするほど開度が大きくなるが、全開状態とされる際には、供給電力が漸増させられて増加勾配が抑制され、徐々に開かれることにより衝突音や衝撃力が低減させられる。
ホイールシリンダの液圧が0の状態においては、ホイールシリンダの液圧とリザーバの液圧とが等しく、それらの液圧差は0であって減圧弁を開くために利用することができず、減圧弁は電磁駆動力の作用のみによって開かれることとなる。したがって、減圧弁を開く際の供給電力は、ホイールシリンダの液圧が0の状態において最大であり、この状態において常閉弁がちょうど開き始める際の電力を第一初期電力とすれば、全開制御開始時のホイールシリンダの液圧がいかなる大きさであっても、制御開始と同時に減圧弁を開くことができる。
また、第一初期電力が、ホイールシリンダの液圧が0の状態において常閉弁がちょうど開き始める際の電力より大きいのであれば、制御開始と同時に減圧弁がより確実に開かれるとともに、大きい分、供給電力が早く全開状態電力となり、電力の増加勾配の抑制により衝突音等を低減させつつ、減圧弁を迅速に全開状態とすることができる。あるいは増加勾配を抑制する際、その勾配をより小さくすることができる。
車両用ブレーキシステムにおける常閉の減圧弁は、電力が供給されない状態でホイールシリンダ圧に対抗して閉状態を維持するものとされることが多く、その場合には、閉状態を維持するための付勢手段(例えば弾性部材)の付勢力が相当大きくされる。したがって、その付勢力に打ち勝って常閉の減圧弁を開くために必要な電力も相当大きくなり、その上、付勢手段の付勢力のばらつきを考慮して、全開状態電力はさらに大きく設定される。そのため、従来は、車両用ブレーキシステムにおける常閉の減圧弁が全開にされる際の衝撃音は相当に大きかったのであるが、本発明によれば、この大きな衝撃音が低減される。
本発明に係る別のブレーキ液圧制御装置においては、減圧弁が開かれることにより、ホイールシリンダ圧が減少させられ、例えば、制動終了時に減圧弁を全開状態とすることにより残圧抜きが行われる。本ブレーキ液圧制御装置の減圧弁は常開弁であり、電力供給により閉じられ、供給電力が小さいほど開度が大きくなるが、全開状態とされる際には、供給電力が漸減させられて減少勾配が抑制され、衝突音や衝撃力が低減させられる。
ホイールシリンダの液圧が0の状態においては、ホイールシリンダの液圧とリザーバの液圧との液圧差が0であって減圧弁を閉じることを妨げず、減圧弁を閉状態に保つために要する供給電力は最小であり、それより小さければ減圧弁が開かれる。したがって、第二初期電力を、ホイールシリンダの液圧が0の状態において減圧弁がちょうど開き始める際の電力とすれば、全開制御開始時のホイールシリンダの液圧がいかなる大きさであっても、制御開始と同時に減圧弁を開くことができる。
また、第二初期電力が、ホイールシリンダの液圧が0の状態において常開弁がちょうど開き始める際の電力より小さいのであれば、制御開始と同時に減圧弁がより確実に開かれるとともに、小さい分、供給電力が早く全開状態電力(通常0)となり、電力の減少勾配の抑制により衝突音等を低減させつつ、減圧弁を迅速に全開状態とすることができる。あるいは減少勾配を抑制する際、その勾配をより小さくすることができる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(15)項および(16)項を合わせた項が請求項2に、(15)項および(17)項を合わせた項が請求項3にそれぞれ相当する。
(1)少なくとも全開状態とその全開状態より開度の小さい作用状態とをとり得る電磁制御弁の制御装置であって、その電磁制御弁を全開させる必要が生じた際、その電磁制御弁に対する供給電力を、前記作用状態に対応する供給電力である作用状態電力から前記全開状態に対応する供給電力である全開状態電力まで変化させる間の少なくとも一時期に、電力の変化を抑制する電力変化抑制部を含む電磁制御弁制御装置。
(2)前記電力変化抑制部が、前記作用状態電力の供給を指令する作用状態指令値から前記全開状態電力の供給を指令する全開状態指令値まで変化させる間の少なくとも一時期に、指令値の変化を抑制する指令値変化抑制部を含む(1)項に記載の電磁制御弁制御装置。
供給電力の指令値の変化により供給電力が変化させられ、指令値の変化の抑制により供給電力の変化が抑制されて、電磁制御弁が全開状態となる際の衝突音や衝撃が低減させられる。
(3)前記電力変化抑制部が、前記作用状態電力から前記全開状態電力まで変化させる間の一時期に、電力の変化勾配をその一時期以外の時期に比較して小さく抑制する一時的変化勾配抑制部を含む(1)項または(2)項に記載の電磁制御弁制御装置。
一時期における変化勾配の抑制は、供給電力が作用状態電力から全開状態電力まで変化させられる間に、1回行われてもよく、複数回、行われてもよい。
供給電力の変化勾配が抑制されれば、抑制されない場合に比較して、供給電力を作用状態電力から全開状態電力まで変化させるのに要する時間が長くなるが、変化勾配の抑制時期が一時期であれば、時間の延びが少なくて済み、衝突音等を低減させつつ、迅速に全開状態を得ることができる。
(4)前記一時期が、前記全開状態となる時期である全開時期とその直前の時期とを含む(3)項に記載の電磁制御弁制御装置。
電磁制御弁は、全開時期の直前の時期において徐々に開き、全開状態となるとき、衝突音等が低減させられる。
(5)前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に着座・離間可能な弁子と、その弁子を着座方向と離間方向とのいずれか一方に付勢する付勢手段とを含むシート弁を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の電磁制御弁制御装置。
シート弁においては、弁子あるいは弁子および弁子と一体的に移動する部材が全開位置規定部材により規定される全開位置へ移動させられ、シート弁が全開状態とされるのであるが、弁子等が全開位置規定部材に当接する際に衝突音が発生する。本項の電磁制御弁制御装置によれば、供給電力の変化の抑制により、弁子等が全開位置規定部材に当接する際の当接速度が小さくされて衝突音が低減させられ、衝撃が減少させられる。また、弁子等や全開位置規定部材の摩耗等が減少し、電磁制御弁の耐久性が向上する。
請求可能発明は、スプール弁を制御する電磁制御弁制御装置にも適用可能である。電磁制御弁がスプール弁であっても、スプールあるいはスプールおよびスプールと一体的に移動する部材が全開位置規定部材に当接し、スプール弁が全開状態とされるため、スプール弁を制御する電磁制御弁制御装置に請求可能発明を適用することにより、衝突音の低減効果等を得ることができる。
請求可能発明は更に、弁子等の全開位置が全開位置規定部材により規定される電磁制御弁に限らず、電磁制御弁の開閉に伴って移動する可動部材を備え、全開状態となる際に、その移動が移動規制部材により規制される電磁制御弁を制御する装置であれば、適用することができる。
(6)前記電磁制御弁への供給電力を、その電磁制御弁の上流側と下流側との液圧差をリニアに制御すべく制御するリニア制御部を含む(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の電磁制御弁制御装置。
本項の電磁制御弁においては、液圧差が供給電流の変化に対してリニアに変化させられ、電磁制御弁の制御対象である液圧を液圧差の変化に伴って連続的に変化させることができる。
(7)前記電磁制御弁が常閉弁を含み、前記電力変化抑制部が、その常閉弁への供給電力の増加を抑制する電力増加抑制部を含む(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の電磁制御弁制御装置。
常閉弁は電力供給により開かれるが、供給電力の増加が抑制され、供給電力が徐々に大きくされることにより電磁制御弁は低速で開き、全開状態になる際の衝突音等が低減させられる。
本項が(5)項に従属する態様においては、弁子が付勢手段により弁座に着座する方向に付勢され、電力供給により、弁子を付勢手段の付勢力に抗して弁座から離間させる方向の電磁駆動力が生じさせられる。弁子の弁座からの離間距離が大きいほど付勢手段の付勢力が大きくなり、大きい電磁駆動力を必要とするが、供給電力の増加が抑制されるため、供給電力は徐々に増加させられ、弁子あるいは弁子と一体的に移動する部材が全開位置規定部材に当接する際の速度が小さく、衝突音等が良好に低減させられる。
(8)前記電力増加抑制部が、第一初期電力から、前記常閉弁が全開状態となる全開状態電力まで電力を漸増させる電力漸増部を含む(7)項に記載の電磁制御弁制御装置。
第一初期電力は、電磁制御弁を全開状態とする最初に供給される電力であり、全開開始電力である。
電力を漸増させる際、直線的に増大させてもよく、曲線的、例えば、二次関数的あるいは指数関数的に増大させてもよい。いずれにしても電力の漸増により増加勾配が抑制される。
電力を段階的に増大させてもよいが、漸増させれば滑らかに増大し、電磁制御弁がスムーズに開かれる。
(9)前記第一初期電力が、前記常閉弁の上流側と下流側との液圧差が0の状態においてその常閉弁が丁度開き始める際の電力より予め定められた設定量大きい電力である(8)項に記載の電磁制御弁制御装置。
常閉弁の上流側と下流側との液圧差が0の状態においては、その液圧差は常閉弁を開く方向に作用せず、常閉弁を開くとき、電磁駆動力のみによって開くこととなる。したがって、第一初期電力が、この状態で常閉弁がちょうど開き始める際の電力より設定量大きい電力であれば、制御開始時に常閉弁が確実に開かれる。
また、予め定められた設定量分は、電力の増加が抑制されず、その分、供給電力が全開状態電力に達するのに要する時間が短くて済む。全開状態電力のうち、第一初期電力を除く部分については増加が抑制され、供給電力が作用状態電力から全開状態電力まで増加させられる間の一時期において増加が抑制されるのであり、衝突音等を低減させつつ、全開状態を得るために要する時間を短くすることができる。
(10)前記第一初期電力が、前記常閉弁を全開させる必要が生じた時点に現に供給されている電力である(8)項に記載の電磁制御弁制御装置。
本項の電磁制御弁制御装置によれば、供給電力が作用状態電力から全開状態電力に達するまでの間の全部の時期において増加が抑制される。それにより、供給電力が急増することがなく、全部の時期において電磁制御弁が低速で開かれる。
(11)前記電磁制御弁が常開弁を含み、前記電力変化抑制部が、その常開弁への供給電力の減少を抑制する電力減少抑制部を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の電磁制御弁制御装置。
常開弁は、電力供給により閉じられる。そのため、常開弁を作用状態から全開状態にするためには、供給電力が減少させられ、電磁制御弁を閉じた状態に保つための電磁駆動力が減少させられるのであるが、供給電力の減少が抑制されることにより電磁制御弁が低速で開き、全開状態になる際の衝突音等が低減させられる。
本項が(5)項に従属する態様においては、電磁制御弁は、付勢手段の付勢により弁座から離間させられ、電力供給により付勢手段の付勢力に抗して弁子を弁座に着座させる電磁駆動力が発生させられる。電磁制御弁が全開状態とされる際、電力が供給されず、電磁駆動力が発生させられないのであれば、弁子に作用するのは付勢手段の付勢力のみであり、弁子等の移動速度は付勢力の大きさによって決まり、全開位置規定部材に当接して全開状態が得られる際に最大となり、大きい衝突音や衝撃力が生ずる。それに対し、電力が供給されれば、付勢手段の付勢力とは逆向きの電磁駆動力が弁子に作用させられ、供給電力の減少が抑制されることにより、弁子は徐々に全開位置へ移動し、全開位置において停止する際の衝突音や衝撃力が低減される。
(12)前記電力減少抑制部が、第二初期電力から、前記常開弁が全開状態となる全開状態電力まで電力を漸減させる電力漸減部を含む(11)項に記載の電磁制御弁制御装置。
第二初期電力は、常開弁を全開状態とする最初に供給される電力であり、全開開始電力である。
電力は、漸減させる際、直線的に減少させてもよく、曲線的、例えば、二次関数的あるいは指数関数的に減少させてもよい。いずれにしても電力の漸減により減少勾配が抑制される。なお、電力を段階的に減少させてもよい。
(13)前記第二初期電力が、前記常開弁の上流側と下流側との液圧差が0の状態においてその常開弁が丁度開き始める際の電力より予め定められた設定量小さい電力である(12)項に記載の電磁制御弁制御装置。
本項の電磁制御弁制御装置によれば、上記液圧差が0の状態においては、その液圧差によって減圧弁を閉じることが妨げられることがなく、減圧弁を閉状態に保つために要する供給電力は最小であり、供給電力がそれより小さければ、減圧弁が開かれる。したがって、第二初期電力を、液圧差が0の状態において減圧弁がちょうど開き始める際の電力より設定量小さい電力とすれば、全開制御開始時の液圧差がいかなる大きさであっても、制御開始と同時に減圧弁を確実に開くことができる。
また、第二初期電力が、液圧差が0の状態において常開弁がちょうど開き始める際の電力より小さいのであれば、制御開始と同時に減圧弁がより確実に開かれるとともに、小さい分、供給電力が早く全開状態電力となり、電力の減少の抑制により衝突音等を低減させつつ、減圧弁を迅速に全開状態とすることができる。あるいは減少勾配を抑制する際、その勾配をより小さくすることができる。
(14)前記第二初期電力が、前記常開弁を全開させる必要が生じた時点に現に供給されている電力である(12)項に記載の電磁制御弁制御装置。
本項の電磁制御弁制御装置によれば、供給電力が作用状態電力から全開状態電力に達するまでの間の全部の時期において減少が抑制される。それにより、供給電力が急減することがなく、全部の時期において電磁制御弁が低速で開かれる。
(15)車両用ブレーキシステムのホイールシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置であって、
前記ホイールシリンダとブレーキ液を大気圧で蓄えるリザーバとの間に配設された減圧弁と、
その減圧弁を前記電磁制御弁として制御する(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の電磁制御弁制御装置と
を含むブレーキ液圧制御装置。
減圧弁が開かれることによりホイールシリンダがリザーバに連通させられ、ブレーキ液がリザーバに排出され、減圧弁が電磁制御弁として制御されることにより、減圧時におけるホイールシリンダ圧が制御される。車両用ブレーキシステムにおいてブレーキ液圧制御装置は、ホイールシリンダ圧を電気的に制御することができ、例えば、ブレーキ操作部材の操作量に基づいてホイールシリンダ圧を制御し、車輪の回転を抑制する制動を行う電気制動制御,アンチロック制御,トラクション制御,ビークルスタビリティ制御等を行うために使用されるが、例えば、それら制御の終了時に減圧弁を全開状態とすることにより、ホイールシリンダの残圧が0になるようにされる。
本項のブレーキ液圧制御装置によれば、例えば、(1)項ないし(6)項に記載の作用および効果が得られ、衝突音等の低減等により、例えば、乗員に違和感や不快感を与えることを回避しつつ、電磁制御弁を全開状態とすることができる。
(16)前記減圧弁が常閉弁を含み、前記電力変化抑制部が、前記ホイールシリンダの液圧が0の状態において前記常閉弁が丁度開き始める際の電力以上である第一初期電力から、前記常閉弁が全開状態となる全開状態電力まで電力を漸増させる電力漸増部を含む(15)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
(17)前記減圧弁が常開弁を含み、前記変化勾配抑制部が、前記ホイールシリンダの液圧が0の状態において前記常開弁が丁度開き始める際の電力以下である第二初期電力から、前記常開弁が全開状態となる全開状態電力まで電力を漸減させる電力漸減部を含む(15)項または(16)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に本請求可能発明の一実施例であるブレーキ液圧制御装置を備えた車両ブレーキシステムである液圧ブレーキシステムを概念的に示す。本液圧ブレーキシステムは、ブレーキ操作部材たるブレーキペダル10と、マスタシリンダ装置12と、ブレーキアクチュエータ14とを備えている。
マスタシリンダ装置12は、マスタシリンダ18を備えている。マスタシリンダ18は、本実施例では2つの加圧室20,22を備え、ブレーキペダル10の踏込みに基づいて加圧室20,22にそれぞれ発生させられた液圧は、液通路24,26によって左前輪28,右前輪30の各ブレーキのホイールシリンダ32,34に供給される。また、マスタシリンダ18と共にリザーバ36が設けられ、加圧室20,22との連通を許容,遮断される。リザーバ36には、ブレーキ液が大気圧で蓄えられる。さらに、マスタシリンダ18の一方の加圧室20には、電磁開閉弁40を介してストロークシミュレータ42が接続されている。
ブレーキアクチュエータ14を説明する。ブレーキアクチュエータ14は、上記ホイールシリンダ32,34および左後輪46および右後輪48の各ブレーキのホイールシリンダ50,52の各液圧を制御する。図1においてFLは左前輪、FRは右前輪、RLは左後輪、RRは右後輪をそれぞれ表す。
ブレーキアクチュエータ14は、図1に示すように、2つのマスタカット弁56,58,液圧源たる動力液圧源60,液圧制御弁装置62,2つのマスタシリンダ圧センサ64および4つのホイールシリンダ圧センサ66を備えている。これらブレーキアクチュエータ14の構成要素は図示を省略するボックス状の本体部材に互いに一体的に組み付けられている。
動力液圧源60は、リザーバ36からブレーキ液を汲み上げるポンプ70と、ポンプ70を駆動する電動モータ72と、ポンプ70から吐出されたブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータ74と、ポンプ70の吐出圧を設定値以下に規制するリリーフ弁76とを含んでいる。
動力液圧源60には、液圧制御弁装置62を介して前記4つのホイールシリンダ32,34,50,52が接続されている。液圧制御弁装置62は、ポンプ70あるいはアキュムレータ74から各ホイールシリンダ32,34,50,52へのブレーキ液の流入を制御する増圧用電磁制御弁(以後、増圧弁と略称する)80,82,84,86と、各ホイールシリンダ32,34,50,52からリザーバ36へのブレーキ液の流出を制御する減圧用電磁制御弁(以後、減圧弁と略称する)90,92,94,96とを含んでおり、ポンプ70およびアキュムレータ74と増圧弁80〜86とは増圧通路98により接続され、減圧弁90〜96とリザーバ36とは減圧通路100により接続されている。4つのホイールシリンダ32,34,50,52のそれぞれについて増圧弁と減圧弁とが1つずつ設けられ、それぞれ液圧が互いに独立して制御されるのであり、4組の増圧弁および減圧弁はそれぞれ、ホイールシリンダ通路102,104,106,108によってホイールシリンダ32,34,50,52に接続されている。
ポンプ70と増圧弁80〜86との間に液圧源液圧センサ110が設けられて動力液圧源60の液圧が検出され、ホイールシリンダ32,34,50,52の各液圧がホイールシリンダ圧センサ66により検出される。また、マスタシリンダ18の2つの加圧室20,22とホイールシリンダ32,34との間にそれぞれ前記マスタカット弁56,58が設けられ、マスタカット弁56,58と加圧室20,22との間にそれぞれ前記マスタシリンダ圧センサ64が設けられ、加圧室20,22にそれぞれ発生させられる液圧が検出される。
増圧弁80〜86および減圧弁90〜96は、例えば、特開平11−147466号公報,特許第3422264号公報および特許第3458652号公報に記載の電磁制御弁と同様に構成されており、簡単に説明する。
左右前輪28,30の各ホイールシリンダ32,34について設けられた減圧弁90,92を説明する。これら減圧弁90,92の構成は同じであり、減圧弁90を図2に基づいて代表的に説明する。減圧弁90は、本実施例では、シート弁120および電磁駆動力発生装置122を含む。シート弁120は、弁座124と、その弁座124に着座・離間可能な弁子126と、弁子126と一体的に設けられた被電磁付勢体128と、弁子126を弁座124に着座する着座方向に付勢する付勢手段の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング130とを含んでいる。また、電磁駆動力発生装置122は、ソレノイド132,第一磁路形成体134および第二磁路形成体136を含んでいる。
ソレノイド132に電流が供給されれば、被電磁付勢体128をスプリング130の付勢力に抗して移動させる向きの力であって、弁子126を弁座124から離間させる向きの力が発生させられる。以後、この力を電磁駆動力と称する。本減圧弁90においては、電磁駆動力は、供給電流が制御されることにより制御される。減圧弁90には、電磁駆動力とスプリング130の付勢力との他に、減圧弁90の上流側、すなわちホイールシリンダ32側の液圧と、下流側、すなわちリザーバ36側の液圧との差に応じた差圧作用力が、弁子126を弁座124から離間させる方向に作用する。電磁駆動力と差圧作用力との和が、スプリング130の付勢力より大きい状態においては、弁子126が弁座124から離間させられた開状態に保たれる。逆に、電磁駆動力と差圧作用力との和が、スプリング130の付勢力より小さい状態においては、弁子126が弁座124に着座させられる閉状態に保たれる。スプリング130の付勢力は、電磁駆動力が0の場合に、ホイールシリンダ32に予定されている最大の液圧に抗して減圧弁90を閉状態に保ち得る大きさに設定されている。減圧弁90,92は常閉弁なのである。
減圧弁90は、被電磁付勢体128に設けられ、その移動方向に直角な当接面137が第二磁路形成体136に当接する状態において全開状態、すなわちブレーキ液がホイールシリンダ側ポート138からリザーバ側ポート140へ最大の流量で流れることを許容する状態となる。本実施例では、第二磁路形成体136が移動限度規定部材ないし全開位置規定部材たるストッパを構成しているのであり、ソレノイド132への供給電流は減圧弁90の全開状態において最大となる。
減圧弁90におけるホイールシリンダ32側とリザーバ36側との液圧差は、ホイールシリンダ32の液圧とリザーバ36の液圧との差圧に対応するが、リザーバ36の液圧は大気圧であるとみなすことができるため、液圧差はホイールシリンダ圧と同じ大きさとなる。したがって、ソレノイド132への供給電流が制御され、電磁駆動力が制御されることにより差圧作用力が制御され、ホイールシリンダ圧が制御されるのであるが、電磁駆動力が大きくされれば、減圧弁90が開状態から閉状態へ、あるいは閉状態から開状態へ移行するときの差圧作用力が小さくなり、液圧差が小さくなってホイールシリンダ圧が減少させられる。液圧差は供給電流に対してリニアに変化し、ソレノイド132への供給電流は、液圧差(ホイールシリンダ圧)が目標液圧となる大きさに制御される。ホイールシリンダ圧を減少させるとき、ソレノイド132への供給電流が開弁電流、すなわち弁子126が弁座124から離間し始める電流から更に目標液圧が得られる大きさまで増大させられるのに伴って、その増大量に応じた開度で減圧弁90が開き、減圧弁90は、供給電流の大きさに応じて全開状態より開度の小さい作用状態を連続的に取ることができる。この作用状態に対応する供給電流が作用状態電流である。
左右後輪46,48の各ホイールシリンダ50,52について設けられた減圧弁94,96は、図3に減圧弁94を代表的に示すように、シート弁150と電磁駆動力発生装置152とを含む。シート弁150は、弁座154と、その弁座154に着座・離間可能な弁子156と、弁子156を弁座154から離間する方向である離間方向に付勢する付勢手段の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング158と、弁子156を駆動する駆動部材160と、被電磁付勢体162とを含む。弁子156,駆動部材160および被電磁付勢体162は一体的に設けられている。駆動力発生装置152は、ソレノイド164,第一磁路形成体166および第二磁路形成体168を含む。ソレノイド164の励磁により電磁駆動力が発生させられ、被電磁付勢体162が移動させられて弁子156が弁座154に接近させられる。電磁駆動力が0にされれば、スプリング158の付勢により弁子156が弁座154から離間させられ、減圧弁94が開状態に保たれる。減圧弁94,96は常開弁なのである。
この減圧弁94においては、電磁駆動力が差圧作用力とスプリング158の付勢力との和より小さい場合に開状態に保たれる。逆に、電磁駆動力が差圧作用力とスプリング158の付勢力との和より大きい場合に閉状態に保たれる。減圧弁94においても、減圧弁90と同様に、ホイールシリンダ50とリザーバ36との液圧差はホイールシリンダ圧に対応する大きさとなる。したがって、ソレノイド164への供給電流が制御されることにより、ホイールシリンダ圧が制御されるのであるが、電磁駆動力が小さくされれば、減圧弁94が開状態から閉状態へ、あるいは閉状態から開状態へ移行するときの差圧作用力が小さくなり、ホイールシリンダ50とリザーバ36との液圧差が小さくなってホイールシリンダ圧が減少させられる。減圧弁94においても液圧差は供給電流に対してリニアに変化し、ソレノイド164への供給電流は、液圧差(ホイールシリンダ圧)が目標液圧に近づくように制御される。減圧弁94の全開状態は、弁子156と駆動部材160との間に設けられた大径の当接部170が、第二磁路形成体168の弁子移動方向に直角な当接面171に当接することにより規定され、上流側のポートであるホイールシリンダ側ポート172から下流側のポートであるリザーバ側ポート174へ、ブレーキ液が最大の流量で流れることが許容される状態とされる。減圧弁94は、供給電流の開弁電流に対する減少量に応じて開き、供給電流の大きさに応じて全開状態より開度の小さい作用状態を連続的に取ることができる。本実施例では、第二磁路形成体168が移動限度規定部材ないし全開位置規定部材たるストッパを構成している。
増圧弁80〜86は、図4に増圧弁80を代表的に示すように、減圧弁90と同様に構成されている。増圧弁80は常閉弁なのであり、減圧弁90の構成要素と同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。但し、増圧弁80の上流側には動力液圧源60の液圧が作用し、下流側にはホイールシリンダ32の液圧が作用し、動力液圧源60側の液圧とホイールシリンダ32側の液圧との差に応じた差圧作用力が、弁子126を弁座124から離間させる方向に作用する。そのため、電磁駆動力が大きくされれば、差圧作用力が小さくなり、液圧差が小さくなってホイールシリンダ圧が大きくなる。ソレノイド132への供給電流は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となる大きさの液圧差が得られる大きさに制御される。
本液圧ブレーキシステムは、図5に示すECU(電子制御ユニット)200の指令に基づいて制御される。ECU200は,コンピュータを主体とする制御部202と複数の駆動回路204とを含んでおり、制御部202は、CPU206,ROM208,RAM210,入出力部212等を備えている。入出力部212には、前記マスタシリンダ圧センサ64,ホイールシリンダ圧センサ66,液圧源液圧センサ110,ブレーキペダル10の操作ストロークを検出するペダルストロークセンサ220,ブレーキペダル10に加えられる踏力を検出する踏力センサ222,各車輪28,30,46,48の回転速度を検出する車輪速センサ224,加速度センサ226,操舵角センサ228,ヨーレイトセンサ230等が入力側に接続されるとともに、電磁開閉弁40,マスタカット弁56,58,増圧弁80〜86,減圧弁90〜96の各ソレノイド132,164,電動モータ72等が駆動回路204を介して出力側に接続されている。操作ストロークおよび踏力はブレーキ操作部材の操作量の一種であり、ペダルストロークセンサ220および踏力センサ222はブレーキ操作部材の操作量検出装置の例である。
ROM208には、図示を省略するメインルーチン,図6および図7にそれぞれフローチャートで示す供給電流決定ルーチンおよび電磁制御弁制御ルーチン等、種々のプログラムが格納されており、各種センサの検出結果に基づいて車両状態を取得し、電気制動制御,アンチロック制御,トラクション制御,ビークルスタビリティ制御,アダプティブクルーズ制御等を行う。アダプティブクルーズ制御は、前方を走行する車両との車間距離を設定距離に保つ等、車両が適切に走行するように行われる制御である。制御部202においては、上記ルーチンが予め定められた設定時間毎に実行される。
次に、作動を説明する。
本液圧ブレーキシステムにおいては、動力液圧源60およびECU200等が正常であり、ホイールシリンダ圧を液圧制御弁装置62によって電気的に制御することができる場合には、電気制動制御等、種々の制御が行われる。いずれの制御が行われる際にも、ECU200は、4つのホイールシリンダ32,34,50,52のそれぞれについて目標液圧を決定し、その目標液圧が得られるように増圧弁80〜86および減圧弁90〜96の各ソレノイド132,164に供給される電流を決定し、供給を制御する。この決定された電流の供給により液圧制御弁装置62が作動させられ、ホイールシリンダ32,34,50,52の各液圧が目標液圧に制御されつつ、ブレーキが作動させられる。これら制御時にはマスタカット弁56,58が閉じられる。ブレーキペダル10の踏込みに基づいてホイールシリンダ圧が電気的に制御される場合には更に、電磁開閉弁40が開かれ、加圧室20からストロークシミュレータ42にブレーキ液が排出され、踏力に応じた操作感が運転者に付与される。
図6に示す供給電流決定ルーチンに基づいて供給電流の決定を説明する。
本ルーチンのステップ1(以後、S1と略称する。他のステップについても同じ)においては、前記ペダルストロークセンサ220等、各種センサからの信号の読込みが行われる。次いでS2が実行され、ブレーキペダル10の踏込ストロークおよびマスタシリンダ圧に基づいて運転者が要求する制動力である要求制動力が演算される。続いてS3が実行され、車両の加速度,操舵角および車輪速度等に基づいて車両状態が演算される。車両状態は、例えば、車輪の前後のスリップ状態,横滑り状態等を含む。
S4においては、S2,S3においてそれぞれ演算された要求制動力および車両状態に基づいて、ホイールシリンダ32,34,50,52のそれぞれについて目標液圧が演算される。この際、車両状態に基づいて、アンチロック制御,ビークルスタビリティ制御,トラクション制御,アダプティブクルーズ制御等の要求があれば、それらを加味して目標液圧が設定される。そして、S5において増圧弁80〜86および減圧弁90〜96の各ソレノイド132,164への供給電流が演算される。S4において演算した目標液圧が得られるように、ソレノイド132,164に供給する電流であって、弁を、目標液圧が得られる開度であって、全開状態より小さい開度で開く作用状態電流の指令値が演算されるのであり、演算後、ルーチンの実行は終了する。
このように演算された供給電流に基づいて増圧弁80〜86および減圧弁90〜96の制御が行われる。これら増圧弁80〜86および減圧弁90〜96の制御を図7に示す電磁制御弁制御ルーチンに基づいて説明する。本ルーチンは、4輪の各々について実行される。同じ電磁制御弁制御ルーチンが4つ設けられ、4輪の各々について予め設定された順序で実行される。4つのホイールシリンダ32,34,50,52の各液圧が互いに独立して制御され、電気制動制御,トラクション制御等、制御の態様によっては、4輪全部のブレーキが作動させられるとは限らず、また、ホイールシリンダ圧制御の開始時期,終了時期,制御内容は車輪によって異なる場合があるからである。
まず、左前輪28について実行される電磁制御弁制御を説明する。
電磁制御弁制御ルーチンのS11においては、制動中であるか否かの判定が行われる。この判定は、例えば、ブレーキペダル10が踏み込まれているか否かに限らず、ビークルスタビリティ制御等の実行要求があり、ブレーキを作動させることが要求されているか否かにより行われる。ECU200は、供給電流を決定する際にビークルスタビリティ制御等の要求を考慮しており、それら制御の実行要求が左前輪28についてあるか否かは自身でわかる。左前輪28について制動要求があれば、S11の判定結果がYESになってS12が実行され、制動実行フラグがONにセットされる。制動実行フラグは、RAM210に設けられ、ONにセットされることにより制動中であることを記憶する。次いでS13が実行され、S5において演算された供給電流の増圧弁80のソレノイド132あるいは減圧弁90のソレノイド132への供給が指令され、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように制御が行われる。
左前輪28が制動中でないのであれば、S11の判定結果がNOになってS14以下のステップが実行され、減圧弁90を全開させ、ホイールシリンダ32の残圧を0とする残圧抜き制御が行われる。S14においては、前回、当該ルーチンが実行されたとき、制動中であって、S11の判定結果がYESになったか否かが判定される。この判定は、制動実行フラグがセットされているか否かにより行われる。制動が終了し、S11の判定結果がYESである状態からNOになった場合、制動実行フラグはセットされており、S14の判定結果はYESになってS15が実行され、制動実行フラグがOFFにリセットされた後、S16が実行されてタイマのカウント値tend**が0にリセットされる。このタイマは、制動が行われていない非制動状態の継続時間を計測するものであり、制御部202において4輪の各々について設けられている。なお、**は車輪の種類を表し、ここでは左前輪28を表すFLとなる。他のステップについても同じである。
次いでS17が実行され、電磁制御弁制御ルーチンが実行されているのが前輪であるか否かの判定が行われる。ECU200においては、いずれの車輪について電磁制御弁制御ルーチンが実行されているか否かがわかっており、それによりS17の判定が行われる。ここでは左前輪28について電磁制御弁制御ルーチンが実行されており、S17の判定結果はYESになってS18が実行され、減圧弁90を全開するために、そのソレノイド132に供給する電流islr1**であって、最初の電流である第一初期電流islr1**が決定される。本実施例では、ホイールシリンダ圧が0MPaの状態で減圧弁90がちょうど開き始める際の電流である開弁電流であって、減圧弁90の上流側と下流側との液圧差が0の状態において減圧弁90が開き始める際の開弁電流i0**に設定値Δi0Frを加えた電流と、前回、ソレノイド132に供給した電流islr1**とのうち、大きい方が第一初期電流islr1**とされ、RAM210に記憶される。制動時におけるソレノイド132への供給電流値は、制御部202において決定され、記憶されており、制動時の最後の供給電流islr1**が前回の供給電流とされる。
左前輪28のホイールシリンダ32の液圧を制御する減圧弁90は常閉弁であり、弁子126がを弁座124から離間し、減圧弁90がちょうど開き始める際の電流である開弁電流は、図8に示すように、ホイールシリンダ圧が大きいほど小さく、ホイールシリンダ圧が0MPaの場合に最大となる。ホイールシリンダ圧が大きいほど差圧作用力が大きくなるからである。したがって、ホイールシリンダ圧が0MPaの場合の開弁電流に設定値を加えた電流を第一初期電流とすれば、開弁時のホイールシリンダ圧の大きさを問わず、電流供給開始時から確実に減圧弁90を開くことができ、確実に減圧が行われる。図10のグラフに示すように、S18の実行時における実際の減圧弁90への供給電流islr1が、ホイールシリンダ圧が0MPaでの開弁電流i0**より小さくても、それより大きい電流が減圧弁90に供給されて開かれるのである。
また、制動が終了すれば、目標液圧が0になってホイールシリンダ圧が0になるように増圧弁80および減圧弁90への各供給電流が決定されるが、前回の供給電流が既に、ホイールシリンダ圧が0MPaの場合の開弁電流より大きいことがないとは言えず、その場合には、開弁電流より大きい前回供給電流を第一初期電流として選択することにより、減圧弁90のソレノイド132への供給電流を、現にある大きさからそのまま大きくすることができる。したがって、供給電流が既に開弁電流より大きいにもかかわらず、一旦、開弁電流まで戻されてから増大させられることがなく、時間の無駄なく増大させられて減圧弁90が開かれる。S18では、供給電流が決定されるとともに、その供給が指令される。この電流の供給により、減圧弁90は、開度が全開状態より小さい作用状態を取る。S18では、作用状態指令値が決定されるとともに出力され、減圧弁90が供給電流に応じた開度、開くようにされる。
なお、減圧弁90は、構造上のばらつきにより作動特性、すなわち差圧と、その差圧が得られている状態において減圧弁90が開き始める開弁電流との関係が異なることがあり、減圧弁90によって、ホイールシリンダ圧が0MPaの状態における開弁電流が異なることがある。そのため、本液圧ブレーキシステムにおいては、例えば、特開平11−147466号公報に記載されているように、減圧弁90を車両に組み付ける前に作動特性を取得し、ホイールシリンダ圧が0MPaの状態における開弁電流i0**が検査され、固有値として制御部202のROM208に記憶され、使用される。
S18の実行後、S25が実行され、増圧弁80の供給電流が0にセットされてルーチンの実行が終了する。制動が終了すれば、ホイールシリンダ圧を増大させることはなく、常閉の増圧弁80は閉じたままでよいからである。これは、他の3輪についても同じである。
S15において制動実行フラグがOFFにリセットされるため、次にS14が実行されるとき、その判定結果はNOになってS20が実行され、タイマのカウント値tend**が増加させられる。タイマはS16において0にリセットされており、非制動状態の継続時間が計測される。ここでは、前回のカウント値tend**にΔtを加えることにより時間が増加させられる。Δtは、当該電磁制御弁制御ルーチンの実行サイクルタイムである。
次いでS21が実行され、非制動状態が設定時間T1以上続いたか否かが判定される。設定時間T1は残圧抜き制御実行時間であり、ホイールシリンダ32内にブレーキ液が残っていても、減圧弁90が全開させられ、全部のブレーキ液がリザーバ36に排出されるのに十分な時間に設定されている。S21の判定結果は当初はNOであり、S22が実行され、当該ルーチンが実行されている車輪が前輪であるか否かが判定される。ここでは、左前輪28について電磁制御弁制御が行われているため、S22の判定結果がYESになってS23が実行され、減圧弁90のソレノイド132への供給電流が求められる。本実施例では、前回の供給電流islr1**に設定値Δi1Frを加算した値と最大供給電流imaxとのうち、小さい方が今回の供給電流islr1**とされる。最大供給電流は、減圧弁90の全開状態に対応する供給電流であって、全開状態電力たる全開状態電流であり、本実施例では、スプリング130の付勢力にばらつきがあっても、その付勢力に打ち勝って常閉の減圧弁90を全開状態に保つことができる大きさに設定されている。設定値Δi1Frは、本実施例では、電流の増加勾配が、弁子126の移動速度(弁子126の弁座124からの離間速度)が小さく抑えられ、かつ、図10のグラフに示すように、制動状態から非制動状態になった後、残圧抜き制御実行時間T1の初期の段階で供給電流が最大供給電流imaxに達し、減圧弁90が全開状態となる大きさに設定される。前回の供給電流islr1**は、S23が1回目に行われるときには、S18において決定された第一初期電流islr1**であり、2回目以降は、前回のS23の実行により決定された供給電流islr1**である。S23では、供給電流islr1**が決定されるとともに、減圧弁90への供給が指令され、減圧弁90は供給電流指令値に応じた開度に開かれ、徐々に開かれる。なお、決定された供給電流islr1**は、前回の供給電流islr1**に替えてRAM210に記憶される。S23が1回目に実行されるときには、第一初期電流が前回の供給電流であり、第一初期電流に替えて、S23において決定された供給電流が記憶される。
非制動状態の継続時間が設定時間T1に達するまでの間、S11,S14,S20〜S23,S25が繰り返し実行される。供給電流は、S23が実行される毎に設定値Δi1Frずつ増大させられ、直線的に漸増させられ、最大供給電流imaxに達すれば、それ以上、大きくされず、最大供給電流imaxで一定となる。前回の供給電流islr1**に設定値Δi1Frを加えた値より、最大供給電流imaxの方が小さくなれば、S23では、最大供給電流imaxが供給電流islr1**として決定される。それ以後は、最大供給電流imaxが前回の供給電流islr1**となり、それに設定値Δi1Frを加えた値より最大供給電流imaxの方が小さく、最大供給電流imaxが供給電流islr1**とされる。供給電流islr1**は、設定時間T1が経過する前に最大供給電流imaxに達する。
最大供給電流imax は全開状態電流であり、以後、減圧弁90が全開状態を保った状態で設定時間T1の経過が待たれる。供給電流は第一初期電流から最大供給電流imaxまで漸増させられ、供給電流指令値は作用状態指令値から全開状態指令値まで設定値Δi1Frずつ、一定の勾配で漸増させられるのであり、それにより、弁子126の移動速度が小さく、供給電流が最大供給電流imaxに達して当接面137が第二磁路形成体136に当接し、減圧弁90が全開状態となるとき、衝突音および衝撃が小さくて済む。また、マスタシリンダ圧が0MPaの状態における開弁電流i0**より設定値設定値Δi0Fr、大きい電流が第一初期電流とされる場合、図10のグラフに示すように、全開制御開始時には、電流が第一初期電流まで一挙に増大させられ、供給電流の増加勾配が抑制されない。この場合、供給電流が作用状態電流から全開状態電流まで増加させられる間の一時期であって、全開制御開始時以外の時期に、全開制御開始時に比較して供給電流の増加勾配が小さく抑制されるのであり、その分、早く全開状態電流に到達することができる。また、供給電流は全開状態電流に達するまでの間、設定値ずつ増加させられ、増加勾配は、全開状態となる時期である全開時期とその直前の時期とを含む一時期において抑制される。そのため、確実に衝突音等を低減させつつ迅速に減圧弁90を全開状態とすることができるとともに、残圧抜き制御実行時間T1のうち、減圧弁90が全開状態となった後の時間が長く、ブレーキ液が確実にリザーバ36へ排出され、残圧が0とされる。S23の実行後、S25が実行されてルーチンの実行が終了する。
非制動状態が設定時間T1、継続すれば、S21の判定結果がYESになってS26が実行され、常閉の減圧弁90が閉じられる。この場合、減圧弁90のソレノイド132への供給電流が0にされるのであるが、直ちには0にされず、図10のグラフに示すように漸減させられ、弁子126が弁座124に着座する際の当接速度が、供給電流が直ちに0にされる場合に比較して小さくされ、着座時の衝突音や衝撃が小さくされる。この当接速度低減制御は、例えば、特許第3379397号公報に記載の制御と同様に行われるため、簡単に説明する。
減圧弁90は常閉弁であり、減圧弁90を閉じるために全開状態電流imaxを0まで減少させるのであるが、例えば、供給電流が指数関数的に漸減させられる。S26において供給電流が決定されるのであるが、その際、供給電流の今回値が、前回値に1より小さい設定値を乗じた大きさとされるのである。S26が1回目に行われるとき、全開状態電流imaxに設定値が掛けられて今回の供給電流値とされる。また、電流減少制御開始時からの時間が計測され、予め設定された時間に達したならば、供給電流が0にされる。S26の実行後、S25が実行される。
右前輪30については、左前輪28と同様に制御が行われるため、説明を省略する。
左後輪46のホイールシリンダ50について設けられた減圧弁94の制御を説明する。
電磁制御弁制御ルーチンのS11ないしS16は、左前輪28の場合と同様に行われる。左後輪46が制動中でないのであれば、S11の判定結果がNOになってS14以下のステップが実行され、減圧弁94を全開させ、ホイールシリンダ50の残圧を0とする残圧抜き制御が行われる。車輪が左後輪46であるため、S17の判定結果がNOになってS19が実行され、ソレノイド164に供給する電流islr2**が決定される。ここでは、減圧弁94を全開状態とするために、ソレノイド164に最初に供給する電流である第二初期電流islr2**が決定される。減圧弁94は常開弁であり、ホイールシリンダ圧が0MPaの状態であって、減圧弁94の上流側と下流側との液圧差が0の状態において減圧弁94がちょうど開き始める際の電流である開弁電流i0**から設定値Δi0Rrを減算した値と、前回、すなわち制動の最後にソレノイド164に供給された電流islr2**とのうち、小さい方が第二初期電流islr2**とされる。減圧弁94についても減圧弁90と同様に作動特性が取得され、ホイールシリンダ圧が0MPaの状態における開弁電流i0**が検査され、固有値としてROM208に記憶され、使用される。
常開弁である減圧弁94においては、電磁駆動力が小さくされるほど減圧弁94の開度が大きくなり、減圧弁94を開くためには、ソレノイド164への供給電流を減少させればよい。また、減圧弁94においては、差圧作用力が弁子156を弁座154から離間させる方向に作用する。したがって、ホイールシリンダ圧が大きいほど、減圧弁94を閉じた状態に保つのに要する電磁駆動力が大きく、図9に示すように、開弁電流が大きくなる。この開弁電流は、ホイールシリンダ圧が0MPaの状態において最小であり、それより設定値、小さい電流を第二初期電流とすれば、ホイールシリンダ圧がいかなる大きさであっても、確実に減圧弁94を開くことができる。また、供給電流が第二初期電流まで一挙に減少させられる。
制動終了時には目標液圧が0になり、ホイールシリンダ圧が0になるように増圧弁84および減圧弁94への各供給電流が制御されるが、前回の供給電流が既に、ホイールシリンダ圧が0MPaの場合の開弁電流i0**より小さいことがないとは言えず、その場合には、小さい方の電流を第二初期電流islr2**として選択することにより、減圧弁94のソレノイド164への供給電流を、現にある大きさからそのまま小さくすることができる。したがって、供給電流が既に開弁電流より小さいにもかかわらず、一旦、開弁電流まで戻されてから減少させられることがなく、迅速に減少させられ、減圧弁94が開かれる。S19の実行後、S25が実行されてルーチンの実行は終了する。
次にS14が実行されるとき、その判定結果はNOになり、S20〜S22が実行される。残圧抜き制御実行時間T1は左前輪28の減圧弁90の場合と同様に設定される。そして、S22の判定結果がNOになってS24が実行され、ソレノイド164への供給電流islr2**が決定されるとともに、その供給が指令される。本実施例では、前回のS24の実行により決定された供給電流islr2**から設定値Δi1Rrを減算した電流と0とのうち、大きい方が供給電流islr2**とされる。減圧弁94は常開弁であり、0の電流は全開状態電流である。S24が1回目に行われるとき、前回の供給電流islr2**はS19において決定された第二初期電流islr2**であり、2回目以降に行われるときは、前回のS24の実行において決定された供給電流islr2**である。
S24では、供給電流islr2**から設定値Δi1Rrが減算されることにより、供給電流が一定の勾配で直線的に漸減させられ、減圧弁94が徐々に開かれるのであり、設定値Δi1Rrは、本実施例では、前記減圧弁90についての設定値Δi1Frと同様に、図11のグラフに示すように、減圧弁94が開かれて、ホイールシリンダ50から確実にブレーキ液が排出される残圧抜き制御実行時間T1のうち、初期の段階において減圧弁94が全開状態とされるとともに、減少勾配が小さくされ、弁子156が低速で弁座154から離間する大きさに設定される。そのため、S24が繰り返し実行されることにより供給電流islr2**は漸減させられ、前回の供給電流islr2**から設定値Δi1Rrを引いた値より0の方が大きくなれば、供給電流islr2**は0となる。供給電流islr2**は0まで漸減させられるのであり、0になった後は、0の供給電流が前回の供給電流islr2**となり、それから設定値Δi1Rrを引いた値より0の方が大きく、供給電流islr2**は0に保たれ、減圧弁94が全開させられた状態で設定時間T1の経過が待たれるが、全開状態に達した後の時間が長く、ホイールシリンダ50内の全部のブレーキ液が確実にリザーバ36に排出される。また、第二初期電流islr2**が、ホイールシリンダ圧が0MPaでの開弁電流i0**より小さく決定される場合、供給電流islr2**の減少勾配の抑制は、図11に示すように、全開制御開始時を除く一時期であって、全開時期およびその直前の時期を含む時期に行われ、減圧弁94は全開制御開始時から確実にかつ早く開かれるとともに、弁子156の移動速度が抑えられつつ全開状態とされ、当接部170が第二磁路形成体168の当接面171に当接して弁子156が全開位置に停止させられる際の衝突音や衝撃が少なくて済む。
設定時間T1が経過するまでの間、S11,S14,S20〜S22,S24,S25が繰り返し実行される。S24が実行される毎にソレノイド164への供給電流islr2**が一定量Δi1Rrずつ減少させられて直線的に漸増させられ、供給電流islr2**が0になれば、そのまま設定時間T1の経過が待たれる。設定時間T1が経過すれば、S21の判定結果がYESになってS26が実行されるが、減圧弁94は常開弁であり、開いたままでよく、当接速度低減制御は行われず、供給電流は0のままとされる。
右後輪48については、左後輪46と同様に制御が行われるため、説明を省略する。
以上の説明から明らかなように、本実施例においては、ECU200のS18およびS23を実行する部分が一時的変化勾配抑制部たる一時的増加勾配抑制部を構成し、S23を実行する部分が増加勾配抑制部としての電力漸増部たる電流漸増部を構成している。これらは、指令値変化抑制部の一種である指令値変化勾配抑制部たる指令値増加勾配抑制部の一態様であり、変化抑制部の一種である変化勾配抑制部の一態様である。また、ECU200のS19およびS24を実行する部分が一時的変化勾配抑制部たる一時的減少勾配抑制部を構成し、S24を実行する部分が減少勾配抑制部としての電力漸減部たる電流漸減部を構成している。これらは、指令値変化抑制部の一種である指令値変化勾配抑制部たる指令値減少勾配抑制部の一態様であり、変化抑制部の一種である変化勾配抑制部の一態様である。さらに、S5を実行する部分がリニア制御部を構成し、上記電流漸増部等と共に電磁制御弁制御装置を構成している。さらにまた、ECU200のS18を実行する部分は、第一初期電力取得部としての第一初期電流取得部たる第一初期電流決定部であって、開弁電流上回り第一初期電流決定部を構成し、S19を実行する部分は、第二初期電力取得部としての第二初期電流取得部たる第二初期電流決定部であって、開弁電流下回り第二初期電流決定部を構成している。
なお、制動終了時の供給電力を第一,第二初期電力としてもよい。この場合、第一,第二初期電力は、常閉弁,常開弁を全開させる必要が生じた際における供給電力であることとなり、供給電力を、作用状態電力から全開状態電力まで増加あるいは減少させる間の全部の時期において電力の増加あるいは減少が抑制されることとなる。
また、制動終了時点に現に供給されている供給電力(制動終了時のホイールシリンダ圧が得られる供給電力)に設定値を加算した電力を第一初期電力とし、設定値を減算した電力を第二初期電力としてもよい。
さらに、アンチロック制御,ビークルスタビリティ制御,トラクション制御,アダプティブコントロール制御等はそれぞれ、専用の電子制御ユニットにより行ってもよい。この場合、複数の電子制御ユニットは通信等により互いにデータや情報等をやりとりするようにされる。
また、電磁制御弁制御用のプログラムは、前輪用と後輪用とについてそれぞれ専用に設けてもよい。例えば、前輪専用のプログラムは、上記実施例の電磁制御弁制御ルーチンのうち、S11〜S16,S18,S20,S21,S23,S25,S26を含むプログラムとされ、後輪専用のプログラムは、S11〜S16,S19〜S21,S24,S25を含むプログラムとされる。これらプログラムはそれぞれ、左車輪用および右車輪用として2つずつ設けられる。さらに、4輪のそれぞれについて専用の電磁制御弁制御プログラムを設けてもよい。
さらに、車両用ブレーキシステムは、例えば、マスタシリンダの2つの加圧室の一方が左右前輪の各ブレーキのホイールシリンダに接続され、他方が左右後輪の各ブレーキのホイールシリンダに接続されたシステムでもよく、2つの加圧室の一方が左前輪および右後輪の各ブレーキのホイールシリンダに接続され、他方が右前輪および左後輪の各ブレーキのホイールシリンダに接続されたシステムでもよい。
請求可能発明の一実施例であるブレーキ液圧制御装置を備えた車両用ブレーキシステムを示す回路図である。 上記ブレーキ液圧制御装置の常閉の減圧用電磁制御弁を概略的に示す図である。 上記ブレーキ液圧制御装置の常開の減圧用電磁制御弁を概略的に示す図である。 上記ブレーキ液圧制御装置の増圧用電磁制御弁を概略的に示す図である。 上記車両用ブレーキシステムを制御する電子制御ユニットの構成を概略的に示す図である。 上記電子制御ユニットの主体を成す制御部のROMに記憶された供給電流決定ルーチンを示すフローチャートである。 上記ROMに記憶された電磁制御弁制御ルーチンを示すフローチャートである。 上記常閉の減圧用電磁制御弁を開く開弁電流とホイールシリンダ圧との関係を示すグラフである。 上記常開の減圧用電磁制御弁を開く開弁電流とホイールシリンダ圧との関係を示すグラフである。 上記常閉の減圧用電磁制御弁について全開制御が行われる際の時間と供給電流との関係を示すグラフである。 上記常開の減圧用電磁制御弁について全開制御が行われる際の時間と供給電流との関係を示すグラフである。
符号の説明
32,34:ホイールシリンダ 36:リザーバ 50,52:ホイールシリンダ 80,82,84,86:増圧用電磁制御弁 90,92,94,96:減圧用電磁制御弁 120:シート弁 124:弁座 126:弁子 150:シート弁 154:弁座 156:弁子 200:電子制御ユニット

Claims (3)

  1. 少なくとも全開状態とその全開状態より開度の小さい作用状態とをとり得る電磁制御弁の制御装置であって、その電磁制御弁を全開させる必要が生じた際、その電磁制御弁に対する供給電力を、前記作用状態に対応する供給電力である作用状態電力から前記全開状態に対応する供給電力である全開状態電力まで変化させる間の少なくとも一時期に、電力の変化を抑制する電力変化抑制部を含むことを特徴とする電磁制御弁制御装置。
  2. 車両用ブレーキシステムのホイールシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置であって、
    前記ホイールシリンダとブレーキ液を大気圧で蓄えるリザーバとの間に配設された常閉弁から成る減圧弁と、
    その減圧弁を前記電磁制御弁として制御する請求項1に記載の電磁制御弁制御装置と
    を含み、かつ、前記電力変化抑制部が、前記ホイールシリンダの液圧が0の状態において前記常閉弁が丁度開き始める際の電力以上である第一初期電力から、前記常閉弁が全開状態となる全開状態電力まで電力を漸増させる電力漸増部を含むことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  3. 車両用ブレーキシステムのホイールシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置であって、
    前記ホイールシリンダとブレーキ液を大気圧で蓄えるリザーバとの間に配設された常開弁から成る減圧弁と、
    その減圧弁を前記電磁制御弁として制御する請求項1に記載の電磁制御弁制御装置と
    を含み、かつ、前記電力変化抑制部が、前記ホイールシリンダの液圧が0の状態において前記常開弁が丁度開き始める際の電力以下である第二初期電力から、前記常開弁が全開状態となる全開状態電力まで電力を漸減させる電力漸減部を含むことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
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