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JP2006019691A - 収差計測方法及び装置、露光方法及び装置、並びにマスク - Google Patents

収差計測方法及び装置、露光方法及び装置、並びにマスク Download PDF

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JP2006019691A
JP2006019691A JP2004372329A JP2004372329A JP2006019691A JP 2006019691 A JP2006019691 A JP 2006019691A JP 2004372329 A JP2004372329 A JP 2004372329A JP 2004372329 A JP2004372329 A JP 2004372329A JP 2006019691 A JP2006019691 A JP 2006019691A
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Tsuneyuki Hagiwara
恒幸 萩原
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Nikon Corp
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Abstract

【課題】 投影光学系の9次を超える所定の高次のツェルニケ多項式で表される収差を短時間に求める。
【解決手段】 所定の計測用パターンの像を投影光学系を介して投影し、その投影光学系の瞳面上で光軸AXを中心とした互いに異なる少なくとも4個の方向D1,D3,D4,D6に沿って配置された複数の計測点SPにおける、その計測用パターンからの回折光の位相情報を求める第1工程と、その第1工程で求められた位相情報からその投影光学系の収差を求める第2工程とを有する。
【選択図】 図14




Description

本発明は、投影光学系の収差を計測するための収差計測技術、この収差計測技術を用いる露光技術、及びその収差計測技術を適用する際に使用できるマスクに関し、例えば半導体素子及び液晶表示素子等のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程中で、マスクのパターンを基板上に転写するために使用される投影露光装置の投影光学系の収差を計測する際に使用して好適なものである。
従来より、半導体素子等を製造するためのリソグラフィ工程中で、マスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)のパターンを、投影光学系を介して基板としての感光材料が塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写する一括露光型の投影露光装置(ステッパー等)、及び走査露光型の投影露光装置(スキャニングステッパー等)が使用されている。半導体素子等の集積度及び微細度が益々向上するのに応じて、投影露光装置の投影光学系に要求される諸収差等の結像特性の精度も高くなってきている。
また、露光を継続することによって投影光学系に蓄積される露光光の熱エネルギー、並びに投影光学系の周囲の気圧及び温度等の環境条件の変化によって、投影光学系の結像特性は次第に変動する。そこで、投影露光装置には、投影光学系を構成する一部のレンズエレメントの姿勢を制御したり、又は所定のレンズエレメント間の空間(レンズ室)内の気圧を制御したりすることによって、歪曲収差や球面収差等の所定の結像特性を所定の状態に制御できる結像特性制御機構が備えられている。この結像特性制御機構を用いて投影光学系の結像特性を制御するためには、投影光学系が投影露光装置に搭載された状態(オンボディ)で、その結像特性を高精度に計測する必要がある。更に、例えば、投影露光装置の組立調整時又はメンテナンス時等にも、オンボディで投影光学系の結像特性を高精度に計測する必要がある。
従来の結像特性の計測方法としては、所定のパターンが形成されたテストレチクルを用いて、ウエハをパターンの投影像で露光し、そのウエハを現像することによって得られるレジスト像を計測した結果に基づいて結像特性を算出する方法(以下、「焼き付け法」と呼ぶ)が、主に用いられていた。しかしながら、この焼き付け法は計測に長い時間を要する。
そこで、実際にウエハを露光することなく、露光光に照明されたテストレチクルの計測マークの空間像を投影光学系を介して投影し、その空間像(投影像)を計測し、この計測結果に基づいてその投影光学系の結像特性を算出する方法(以下、「空間像計測法」と呼ぶ)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、この空間像計測法の別の例として、複数の回折格子を照明し、投影光学系を介して得られる各回折格子の像強度を、投影光学系の複数のフォーカス位置にて計測し、その結果に基づいてその投影光学系の波面収差を求める方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−170399号公報(段落0011〜段落0107、第1図〜第20図) 特開2001−57337号公報(段落0005〜段落0042、第1図〜第8図)
上記の如く、オンボディで投影光学系の収差を計測する場合、従来の計測対象は低次の
収差であった。一般に、投影光学系の射出瞳(又は瞳面)上の波面収差を示す収差関数をW(ρ,θ)とすると、収差関数W(ρ,θ)は極座標形式で表されており、ρは投影光学系の射出瞳(又は瞳面)の半径方向の規格化された位置(動径)であり、θは角度である。その収差関数W(ρ,θ)は、その動径ρと角度θとが分離した形で表される完全直交系の多項式、例えば次式で示されるツェルニケ多項式(Zernike's Polynomial)を用いて級数展開することが可能である。
Figure 2006019691
ここで、Zi は、投影光学系の諸収差のうちで、i次のツェルニケ多項式fi(ρ,θ)によって表される収差の大きさを表す係数である。なお、以下では説明の便宜上、係数Zi(iは1以上の整数)をi次のツェルニケ多項式によって表される収差(又は収差量)ともみなす。
この場合、その低次の収差とは、一般的に9次までのツェルニケ多項式で表される収差、即ちZ9 までの収差を指す。このような低次の収差は、投影光学系内のレンズエレメントの相対的な間隔や角度の変化、又はレンズエレメントの温度変化による曲率の変化等によって変化しうる。従って、低次の収差量は時間や温度に依存して変化する可能性がある。また、このような低次の収差の一部は、上記の結像特性制御機構によって補正することが可能である。
一方、高次の収差は、投影光学系内のレンズエレメントの形状の誤差によって殆ど決定されており、従来は高次の収差は、一般に温度や時間によって変化する可能性は低いと考えられていた。しかしながら、本発明者が投影光学系の温度変化に依存した収差変動を解析した結果、例えば軸対称の収差に関しては、Z9 ,Z16,Z25までの収差が変化することが分かった。従って、これらの9次のツェルニケ多項式を超える高次の収差を分離して正確に計測できることが望ましい。このように高次の収差が正確に計測できれば、例えば上記の結像特性制御機構を用いてその収差を補正できる可能性もある。
本発明は、斯かる点に鑑み、投影光学系の収差を短時間に正確に計測できる収差計測技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、投影光学系の例えば9次を超える所定の高次のツェルニケ多項式で表される収差を短時間に求めることができる収差計測技術を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、投影光学系が投影露光装置(露光装置)に搭載された状態で、その投影光学系の収差を短時間に正確に計測できる露光技術を提供することを第3の目的とする。
また、本発明は、その収差計測技術を適用する際に用いることができるマスクを提供することを第4の目的とする。
本発明による第1の収差計測方法は、投影光学系(PL)の収差を計測する収差計測方法であって、所定パターンの像をその投影光学系を介して投影し、その投影光学系の瞳面上でその投影光学系の光軸を中心とした互いに異なる少なくとも2個の方向に沿って配置された複数の位置におけるその所定パターンからの光束の位相情報を求める第1工程と、その第1工程で求められた位相情報からその投影光学系の収差を求める第2工程とを有するものである。
斯かる本発明によれば、その瞳面上での光束の位相情報は、例えば空間像計測法によって短時間に正確に求めることができる。また、その瞳面上で光軸を中心とした少なくとも2方向に沿って配置された位置での位相情報を用いることで、所定の高次のツェルニケ多項式で表される収差を求めることが可能となる。
本発明において、その第2工程で、その投影光学系の実質的にN次(Nは16以上の整数)までのツェルニケ多項式によって表わされる波面収差を求めるために、N1/2 を超えない最大の整数をMとしたとき、その第1工程は、その投影光学系の瞳面上でその光軸を中心とした互いに異なる少なくともM個の方向に沿ってそれぞれ配置された少なくともM個の点におけるその光束の位相情報を求める工程を含んでもよい。そのMの値を6,7,9,11とすると、それぞれ36次、49次、81次、及び121次までのツェルニケ多項式によって表される波面収差を求めることができる。
また、その2個の方向に沿って配置された複数の位置を、その投影光学系の光軸から離れるにしたがって間隔が狭くなるように設定してもよい。このような配置によって、より高次のツェルニケ多項式で表される収差を求めることができる場合がある。
本発明において、一例として、その少なくとも2個の方向に沿って配置された複数の位置の間隔の中に、その投影光学系の瞳面の半径の5%以下の部分が存在している。このように複数の位置を配置することで、ツェルニケ多項式によって表される波面収差を求める際のツェルニケ感度関数行列の条件数が小さくなり、波面収差の計測誤差(ツェルニケ係数に対する誤差伝播率)が小さくなることがある。
この場合、その投影光学系の瞳面の半径の5%以下の間隔となる2つの位置は、その投影光学系の光軸を通る同一の直線上に配置されていてもよい。この配置は容易に実現できる。
また、本発明において、他の例として、その少なくとも2個の方向に沿って配置された複数の位置のうちの任意の位置が、その投影光学系の瞳面の半径の50〜100%の部分に存在する。このような配置でも、ツェルニケ感度関数行列の条件数が小さくなり、波面収差の計測誤差(誤差伝播率)が小さくなることがある。
また、上記のその第2工程で、その投影光学系の実質的にN次(Nは16以上の整数)までのツェルニケ多項式によって表わされる波面収差を求めるとともに、そのツェルニケ多項式を求める際のツェルニケ感度関数行列の条件数が10以下となるように、その投影光学系の瞳面上でその光軸を中心とした互いに異なる少なくとも2個の方向に沿って配置される位置の配列を定めてもよい。ツェルニケ係数に対する誤差伝播率(正確にはその最大値)はその条件数のほぼ2次関数となるため、その条件数を10以下とすることで、その誤差伝播率がほぼ5以下となり、波面収差の計測誤差が十分に小さくなる。
また、その第1工程は、その投影光学系の瞳面上でその光軸を中心とした互いに異なる少なくとも4個の方向(D1,D3,D4,D6)に沿って配置された複数の点におけるその光束の位相情報を求める工程を含むことができる。このように、その瞳面上で光軸を中心とした少なくとも4方向に沿って配置された位置での位相情報を用いることで、9次を超える所定の高次のツェルニケ多項式で表される収差を求めることが可能となる。
さらに、その第1工程は、その投影光学系の瞳面上でその光軸を中心とした互いに異なる少なくとも6個の方向(D1〜D6)に沿って配置された複数の点におけるその光束の位相情報を求める工程を含んでもよい。このとき、一例として、各方向においてそれぞれ7個の位置で位相情報を求めることで、37次までのツェルニケ多項式によって表される位相情報を求めることができる。
次に、本発明による第2の収差計測方法は、投影光学系(PL)の収差を計測する収差計測方法であって、計測用パターンの像をその投影光学系を介して投影し、その計測用パターンの像を互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも4個の開口パターン(9A,9C,9D,9F)を介して受光して、その計測用パターンの像の光強度分布情報を求める第1工程と、その第1工程で求められた光強度分布情報に基づいてその投影光学系の収差を求める第2工程とを有するものである。
本発明によれば、その光強度分布情報は空間像計測法によって短時間に正確に求めることができる。そして、一例としてその光強度分布情報(例えば振幅及び位相)からその投影光学系の瞳面で少なくとも4方向における位相情報を求めることができ、この位相情報を用いて、9次を超える所定次数のツェルニケ多項式によって表される収差を求めることが可能となる。
本発明において、その第2工程で、その投影光学系のN次以下(Nは16以上の整数)のツェルニケ多項式で表される波面収差を求めるために、N1/2 を超えない最大の整数をMとして、その第1工程は、その計測用パターンの像を互いに異なる方向に沿って配置された少なくともM個の開口パターンを介して受光する工程を含んでもよい。このとき、例えば各開口パターンを介して、それぞれM個の互いにピッチの異なる周期的マークの像を検出することで、ほぼN次までのツェルニケ多項式で表される波面収差を求めることができる。
また、その第1工程は、その計測用パターンの像を互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも6個の開口パターン(9A〜9F)を介して受光する工程を含んでもよい。このとき、各開口パターンで、それぞれ7個の互いにピッチの異なる周期的マークの像を
検出することで、37次までのツェルニケ多項式によって表される収差を求めることが可能となる。
また、一例として、その少なくとも4個の開口パターンは、それぞれ互いに異なる方向を長手方向とするスリット状の開口パターンであり、その第1工程は、その計測用パターンの像とその開口パターンとをこの開口パターンの長手方向に直交する方向に相対走査して、その開口パターンを通過する光を受光する工程を含むものである。これによって、高いSN比で、かつ高い分解能でその計測用パターンの像の光強度分布情報を求めることができる。
また、一例として、その計測用パターンは、その少なくとも4個の開口パターンのそれぞれに対応する方向に沿って配置された複数の周期的マーク(1A,1C,1D,1F)を含むものである。この場合、各周期的マークの像と対応する開口パターンとを当該マークの周期方向に相対走査して、その開口パターンを通過した光を受光することで、当該マークの像の光強度分布情報をそれぞれ高精度に検出できる。
また、一例として、その複数の周期的マークは、それぞれ所定ピッチの第1マーク(2A)と、その所定ピッチの奇数分の1のピッチの第2マーク(2B〜2E)とを含むものである。この場合、その第2マークのピッチがその第1マークのピッチの1/M(Mは奇数)であるとして、例えば、その第1マークの空間像の基本波とM次の高調波との位相差を、その第1マークの像に対するその第2マークの像の位相差を計測するときの基準とすることができる。特に、その第1マークのデューティ比が1:1である場合には、その第1マークの像には偶数次数の高調波成分が含まれないため、奇数次数の高調波を用いることで計測精度を向上できる。
また、その第1マークとその第2マークとはほぼ同じ大きさであってもよい。これによって、マークの大きさに起因する計測誤差を小さくできる。
また、その複数の周期的マークが、それぞれ互いに異なるピッチの第1マークと第2マークとを含む場合、その第1マークの所定の投影光学系による像の基本波成分とこの像の所定の高調波成分との位相差と、その第1マークのその所定の投影光学系による像の基本波成分とその第2マークのその所定の投影光学系による像の基本波成分との位相差との差分を、その計測用パターンの位相オフセットとして記憶する工程を更に有してもよい。これによって、その計測用パターンの製造誤差等に起因する計測誤差を低減できる。
また、その投影光学系において、その計測用パターンからの2次以上の回折光を遮断するようにしてもよい。このように2次以上の回折光を遮断することで、計測用パターンの製造誤差に起因する計測誤差を低減できる。
次に、本発明による第3の収差計測方法は、投影光学系(PL)の収差を計測する収差計測方法であって、計測用パターン(1A,1C,1D,1F)からの2次以上の回折光を遮断した状態で、その計測用パターンの像をその投影光学系を介して投影し、その計測用パターンの像と開口パターン(9A)とを相対走査しながら、その開口パターンを通過する光を受光して、その計測用パターンの像の光強度分布情報を求める第1工程と、その第1工程で求められた光強度分布情報に基づいてその投影光学系の収差を求める第2工程とを有するものである。
本発明によれば、空間像計測法によって短時間に正確に投影光学系の収差を求めることができる。更に、その計測用パターンからの2次以上の回折光を遮断することで、その計測用パターンの製造誤差に起因する計測誤差を低減することができる。
次に、本発明による第4の収差計測方法は、投影光学系(PL)の収差を計測する収差計測方法であって、その投影光学系の所定の高次の収差を計測し、この計測された収差を
オフセットとして記憶する第1工程と、計測用パターンの像をその投影光学系を介して投影し、その計測用パターンの像と開口パターンとを相対走査しながら、その開口パターンを通過する光を受光して、その計測用パターンの像の光強度分布情報を求める第2工程と、その第2工程で求められた光強度分布情報及びその第1工程で記憶されたオフセットに基づいてその投影光学系のその高次の収差以外の所定の低次の収差を求める第3工程とを有するものである。
本発明によれば、空間像計測法によって短時間に投影光学系の収差を求めることができる。更に、その所定の高次の収差、例えば17次以上のツェルニケ多項式によって表される収差は経時変化が殆どない。そこで、予めその所定の高次の収差をオフセットとして求めておくことで、計測時間を短くして、かつ計測精度を向上できる。
本発明の第3又は第4の収差計測方法において、一例として、その開口パターンは、互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも4個の開口パターン(9A,9C,9D,9F)を含み、その第2工程は、その計測用パターンの像とその少なくとも4個の開口パターンとを互いに異なる方向に相対走査する工程を含むものである。これによって、9次を超えるとともに、その所定の高次の収差よりも小さい次数のツェルニケ多項式によって表される収差を正確に計測できる。
次に、本発明による収差計測装置は、投影光学系(PL)の収差を計測する収差計測装置であって、その投影光学系の物体面側に配置された計測用パターン(1A,1C,1D,1F)と、その計測用パターンを照明する照明系(12)と、その投影光学系の像面側で互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも4個の開口パターン(9A,9C,9D,9F)と、その計測用パターンのその投影光学系による像とその開口パターンとを相対走査する走査機構(RST,WST)と、その開口パターンを通過した光を受光して、その計測用パターンの像の光強度分布情報を検出する光電センサ(94)と、その光電センサで検出される光強度分布情報に基づいてその投影光学系の収差を求める演算装置(50)とを有するものである。
本発明によれば、その走査機構を介してその計測用パターンの像とその開口パターンとを相対走査して、その光電センサでその開口パターンを通過した光を受光することで、空間像計測法によってその計測用パターンの像の光強度分布情報を短時間に正確に求めることができる。そして、一例としてその光強度分布情報(例えば振幅及び位相)からその投影光学系の瞳面で少なくとも4方向における位相情報を求めることができ、この位相情報を用いて9次を超える所定の高次のツェルニケ多項式で表される収差を求めることが可能となる。
本発明において、その演算装置が、その投影光学系のN次以下(Nは16以上の整数)のツェルニケ多項式で表される波面収差を求めるために、N1/2 を超えない最大の整数をMとして、その開口パターンは、互いに異なる方向に沿って配置された少なくともM個の開口パターンを含んでもよい。
また、その開口パターンは、互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも6個の開口パターンを含んでもよい。
また、一例として、その少なくとも4個の開口パターンは、それぞれ互いに異なる方向を長手方向とするスリット状の開口パターンであり、その走査機構は、その計測用パターンの像とその開口パターンとをこの開口パターンの長手方向に直交する方向に相対走査するものである。
また、一例として、その計測用パターンは、その少なくとも4個の開口パターンのそれぞれに対応する方向に沿って配置された複数の周期的マークを含むものである。
また、その複数の周期的マークは、それぞれ所定ピッチの第1マーク(2A)と、その所定ピッチの奇数分の1のピッチの第2マーク(2B〜2E)とを含んでもよい。
また、その第1マークとその第2マークとはほぼ同じ大きさであってもよい。
また、一例として、その複数の周期的マークは、それぞれ互いに異なるピッチの第1マーク(2A)と第2マーク(2B)とを含み、その第1マークの所定の投影光学系による像の基本波成分とこの像の所定の高調波成分との位相差と、その第1マークのその所定の投影光学系による像の基本波成分とその第2マークのその所定の投影光学系による像の基本波成分との位相差との差分を、その計測用パターンの位相オフセットとして記憶する記憶装置(51)を更に有することができる。
また、その投影光学系は、その計測用パターンからの2次以上の回折光を遮断するための可変開口絞り(AS)を有してもよい。
このように位相オフセットを用いるか、又は2次以上の回折光を遮断することで、計測用パターンの製造誤差に起因する計測誤差を低減できる。
次に、本発明による露光方法は、露光ビームで第1物体(R)を照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光方法において、その投影光学系の収差を本発明のいずれかの収差計測方法で計測するものである。
また、本発明による露光装置は、露光ビームで第1物体(R)を照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光装置において、その投影光学系の収差を計測するために、本発明のいずれかの収差計測装置を備えたものである。
本発明の露光方法及び装置によれば、その投影光学系を露光装置に搭載した状態で、その投影光学系の収差を短時間に正確に計測できる。
本発明の露光装置において、その露光ビームでその第1物体を照明する照明光学系(12)をその収差計測装置の照明系として使用し、その第2物体を保持して駆動するステージ装置(WST)をその走査機構として使用し、その開口パターンをそのステージ装置に装着してもよい。これによって、その露光装置そのものを実質的にその収差計測装置として使用することができる。
次に、本発明によるマスクは、パターンが形成されたマスク(REM)であって、互いに異なる少なくとも4個の方向に沿って複数の周期的マーク(1A,1C,1D,1F)が形成されたものである。このマスクの周期的マークを計測用パターンとして用いることによって、投影光学系の収差を計測できる。
このマスクにおいて、その複数の周期的マークは、それぞれ所定ピッチの第1マーク(2A)と、その所定ピッチの奇数分の1のピッチの第2マーク(2B)とを含んでいてもよい。これによって、例えばその第1マークの投影像の基本波と所定の奇数次の高調波との位相差を、その第1マークとその第2マークとの位相差の基準とすることができる。
また、その第1マークとその第2マークとはほぼ同じ大きさであってもよい。これによって、マークの大きさに起因する収差の計測誤差を低減できる。
また、一例として、その複数の周期的マークは、それぞれ互いに異なるピッチの第1マーク(2A)と第2マーク(2B)とを含み、その第1マークの所定の投影光学系による像の基本波成分とこの像の所定の高調波成分との位相差と、その第1マークのその所定の投影光学系による像の基本波成分とその第2マークのその所定の投影光学系による像の基本波成分との位相差との差分が、そのマスクの位相オフセットとして記憶される。そのマスクを用いて別の投影光学系の収差を計測する際に、その位相オフセットの補正を行うことで、マスクの製造誤差の影響を低減できる。
なお、投影光学系の射出瞳(又は瞳面)の半径方向の規格化された位置(動径)をρ、角度をθとすると、i次(iは1以上の整数)のツェルニケ多項式は、動径(ρ)の関数である動径関数と角度(θ)の関数とが分離した形で表現される。このとき、動径関数が奇関数となるツェルニケ多項式で表される収差を奇関数収差と呼び、動径関数が偶関数となるツェルニケ多項式で表される収差を偶関数収差と呼ぶ。
一般的に、物面上のパターンの空間像を像面上に投影する投影光学系において、その投影光学系に奇関数収差が存在する場合には、そのパターンからの各次数の回折光の結像位置はそれぞれ横シフトする。また、その投影光学系に偶関数収差が存在する場合、その各次数の回折光の結像位置は、投影光学系の光軸方向にそれぞれずれる。言い換えると、例えば計測用パターンの像を投影光学系を介して結像すると、その投影光学系の奇関数収差(横収差)によってその像が横方向にシフトして、その投影光学系の偶関数収差(縦収差)によってその像のコントラストが低下する。
そこで、例えば互いにピッチの異なる複数のマークを含む周期的マークの像をその投影光学系を介して結像し、空間像計測によってその光強度分布を計測する。そして、例えば所定のマーク像の位置を基準として他のマーク像の位相差を計測することによって、所定の奇関数収差を求めることができる。また、例えば、投影光学系の光軸方向の位置を次第に変えながらそれらの空間像の光強度分布の振幅を計測し、マーク像毎のベストフォーカス位置の差(フォーカス差)を計測することによって、所定の偶関数収差を求めることができる。
また、上記の本発明の投影光学系の収差を求める工程に続いて、その投影光学系の結像特性を調整する工程と、その調整後の投影光学系を介してパターンを感光体上に転写する工程とを実行してもよい。この場合、その求められた収差に基づいて、投影光学系の結像特性を調整することができるため、結像特性が適切な状態に調整された投影光学系を介してそのパターンを感光体に精度良く転写することが可能となる。
本発明によれば、空間像計測法を用いて投影光学系の収差を短時間に正確に計測することができる。
また、本発明において、投影光学系の瞳面上で所定の少なくとも4方向に沿って配置された複数の位置における位相情報を求めるか、又は計測用パターンの像を所定の少なくとも4個の開口パターンを介して受光する場合には、9次を超えるツェルニケ多項式で表される所定の高次の収差を計測することができる。
また、本発明の露光方法及び装置によれば、投影光学系が露光装置に搭載された状態で、その投影光学系の収差を短時間に正確に計測することができる。
また、本発明のマスクを用いることによて、本発明の収差計測方法を実施することができる。
[第1の実施形態]
以下、本発明の好ましい第1の実施形態につき図1〜図20を参照して説明する。
図1は、本例の投影露光装置10の概略構成を示す。本発明の露光装置に対応する投影露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置、即ちスキャニングステッパーである。
図1において、投影露光装置10は、レーザビームLBを発生する光源14(露光光源
)、照明光学系12(照明ユニット)、マスクとしてのレチクルRを保持して移動するレチクルステージRST、投影光学系PL、基板(又は感光体)としてのウエハWを保持して移動するウエハステージWST、及びこれらを制御する制御系等を備えている。そして、光源14及び制御系以外の部分は、実際には、内部の温度等の環境条件が高精度に制御され一定に維持されている不図示の環境チャンバ内に収容されている。
本例では、光源14として、ArFエキシマレーザ光源(発振波長193nm)が用いられている。光源14は、装置全体の動作を統轄制御するコンピュータよりなる主制御装置50によってそのレーザ発光のオン・オフや、中心波長、スペクトル半値幅、繰り返し周波数などが制御される。なお、露光光源として、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、F2 レーザ(波長157nm)、YAGレーザの高調波発生装置、固体レーザ(半導体レーザ等)の高調波発生装置、又は水銀ランプ(i線等)等も使用できる。
照明光学系12は、光源14から供給されるレーザビームLBの断面形状を整形するビーム整形光学系18、オプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ又はホモジナイザ)としてのフライアイレンズ22、照明系開口絞り板24、第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bから成るリレー光学系、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30B、ミラーM、並びにコンデンサレンズ32等を備えている。なお、オプティカル・インテグレータとして、内面反射型インテグレータ(例えばロッドインテグレータ)又は回折光学素子等を用いてもよい。フライアイレンズ22を構成する多数の微小レンズは、それぞれビーム整形光学系18からのレーザビームLBを射出側の焦点面に集光し、その焦点面に2次光源(面光源)が形成される。以下では、フライアイレンズ22によって形成される2次光源から射出されるレーザビームLBを、露光ビーム(露光光)としての「照明光IL」と呼ぶ。
光源14及び照明光学系12は、後述の空間像計測時の照明系としても使用される。照明光学系12において、フライアイレンズ22の射出側焦点面の近傍には、円板状部材から成る照明系開口絞り板24が配置されている。この照明系開口絞り板24には、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(例えば2極照明又は4極照明用の開口絞り)等が配置されている。この照明系開口絞り板24は、主制御装置50により制御されるモータ等の駆動装置40により回転されるようになっており、この回転動作により、いずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的に設定される。
照明系開口絞り板24から出た照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ26が配置され、更にこの後方の光路上に、レチクルブラインド30A、30Bを介在させてリレー光学系(28A,28B)が配置されている。
固定レチクルブラインド30Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置されており、その固定レチクルブラインド30Aには、レチクルR上での照明領域IARを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド30Aの近傍には、走査露光時の走査方向、及びこれに直交する非走査方向に光学的にそれぞれ対応して位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置されている。走査露光の開始時及び終了時において、主制御装置50からの指示により、固定レチクルブラインド30Aによって規定されている照明領域IARが、可動レチクルブラインド30Bによって更に制限されることによって、不要な部分(レチクルR上の回路パターン等の転写すべき部分以外の部分)の露光が防止されるようになっている。また、本例では、可動レチクルブラインド30Bは、必要に応じて後述する空間像計測の際の照明領域の設定にも用いられる。
一方、照明光学系12内のビームスプリッタ26で反射された照明光ILの光路上には、集光レンズ44、受光素子から成るインテグレータセンサ46が配置されている。
そして、露光時に光源14から射出されたレーザビームLBは、照明光学系12内で照明光ILとなり、照明光ILは、ミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルRのパターン面(下面)の非走査方向に細長いスリット状の照明領域IARを均一な照度分布で照明する。
一方、ビームスプリッタ26で反射された照明光ILの一部は、集光レンズ44を介してインテグレータセンサ46で受光され、インテグレータセンサ46の光電変換信号が、ピークホールド回路及びA/D変換器を有する信号処理装置80を介して主制御装置50に供給される。本例では、インテグレータセンサ46の計測値は、ウエハWに対する露光量制御に用いられる他、投影光学系PLに対する照射量の計算に用いられる。この照射量は、ウエハ反射率(これは、インテグレータセンサ46の出力と不図示の反射率モニタの出力とに基づいて求めることもできる)とともに、投影光学系PLの照明光吸収による結像特性の変化量の算出にも用いられる。
本例では、主制御装置50によって、その照明光ILの照射量がインテグレータセンサ46の出力に基づいて所定の時間間隔で計測され、その計測結果が照射履歴として、メモリ51(記憶装置)内に記憶されるようになっている。
その照明光ILのもとで、レチクルRの照明領域IAR内のパターンの、両側(又はウエハ側に片側)テレセントリックの投影光学系PLによって形成された像は、感光材料としてのフォトレジストが塗布されたウエハWの一つのショット領域上の露光領域IAに投影される。露光領域IAは照明領域IARと共役であり、投影光学系PLは、レチクルR(第1物体)のパターン面(第1面)のパターンの像をウエハW(第2物体)の上面(第2面)に形成している。投影光学系PLの投影倍率は、例えば1/4又は1/5等の縮小倍率であるが、以下の説明では、投影光学系PLの投影倍率は1/4であるとする。本例の投影光学系PLは、屈折系であるが、投影光学系PLとしては、反射屈折系なども使用できる。また、図3に示すように、投影光学系PLの瞳面PPの近傍には、投影光学系PLの開口数NAを制御するための可変開口絞りASが配置されている。
以下、投影光学系PLの光軸AXに平行な方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1の紙面に垂直な方向にX軸を、図1の紙面に平行な方向にY軸を取って説明する。本例では、走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向は、Y軸に平行な方向(Y方向)であり、レチクルR上の照明領域IAR、及びウエハW上の露光領域IAはそれぞれ非走査方向(X方向)に細長い領域である。
本例の投影光学系PLには、その所定の結像特性を制御(補正)するための結像特性制御機構が備えられている。
図2は、図1中の投影光学系PLの結像特性制御機構を示す一部を断面とした図であり、この図2において、説明の便宜上、投影光学系PLを構成するように光軸AXに沿って配置された多数のレンズエレメントのうちの8枚のレンズエレメント131、132、…、138 のみを図示している。この場合、レンズエレメント131、132、…、138 のうち、その一部、例えばレンズエレメント131、132は、それぞれ複数の駆動素子(例えばピエゾ素子など)20によって光軸AX方向及びXY平面に対する傾斜方向に微小駆動可能に構成されている。また、各レンズエレメントの間には、不図示のガス供給機構から圧力調整機構41を介してクリーンな気体、例えば窒素が供給されるようになっている。
本例では、各駆動素子20に与えられる駆動電圧(駆動素子の駆動量)が、図1の主制御装置50からの指令に応じて結像特性補正コントローラ78により制御される。このよ
うに、駆動素子20、及び結像特性補正コントローラ78を含んで結像特性制御機構が構成されている。これによって、投影光学系PLの結像特性、例えば、像面湾曲、ディストーション、倍率、コマ収差、非点収差、球面収差等が補正される。なお、その可動レンズエレメントの数は任意で良い。但し、この場合、可動レンズエレメントの数が、フォーカスを除く、投影光学系PLの結像特性の補正可能な種類に対応するので、補正が必要な結像特性の種類に応じて可動レンズエレメントの数を定めれば良い。
図1に戻り、レチクルステージRST上には、レチクルRが例えば真空吸着(又は静電吸着)により固定されている。レチクルステージRSTは、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系56Rにより、レチクルベースRBS上のXY平面内で2次元的に(X方向、Y方向、及びZ軸回りの回転方向(回転角θz)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルベースRBS上をY方向に指定された走査速度で移動可能となっている。
また、レチクルステージRST上には、レーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)54Rからのレーザビームを反射する移動鏡52Rが固定されており、レチクルステージRSTのXY平面内の位置はレチクル干渉計54Rによって、例えば0.1〜1nm程度の分解能で常時検出される。即ち、実際には、移動鏡52Rは、Y方向の位置を2箇所で計測するための2つのY軸の移動鏡と、X軸の移動鏡とから構成され、レーザ干渉計54Rもそれに対応して3軸のレーザ干渉計から構成されている。
レチクル干渉計54RからのレチクルステージRSTの位置情報は、ステージ制御装置70、及びこれを介して主制御装置50に送られる。ステージ制御装置70は、主制御装置50の指示により、レチクルステージ駆動系56Rを介してレチクルステージRSTの移動を制御する。なお、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して前述の移動鏡52Rの反射面を形成しても良い。
また、レチクルステージRSTの−Y方向の端部近傍には、空間像計測用基準マーク(計測用パターン)が形成されたマーク形成部材としてのレチクルフィデューシャルマーク板(以下、「レチクルマーク板」と略述する)RFMが、レチクルRと並ぶように配置されている。このレチクルマーク板RFM(詳細後述)は、レチクルRと同材質のガラス素材、例えば合成石英や蛍石、フッ化リチウムその他のフッ化物結晶などから構成されており、レチクルステージRSTに固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルRの全面とレチクルマーク板RFMの全面とが少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切ることができる程度のY方向の移動ストロークを有している。また、レチクルステージRSTには、レチクルR及びレチクルマーク板RFMの下方に、照明光ILを通すための開口がそれぞれ形成されている。また、レチクルベースRBSの投影光学系PLのほぼ真上の部分(光軸AXを中心とする部分)にも、照明光ILの通路となる、少なくとも照明領域IARより大きな長方形状の開口が形成されている。
また、レチクルRの上方には、投影光学系PLを介してレチクルR上又はレチクルマーク板RFM上のマークと、ウエハステージWST上の後述する基準マーク板(不図示)上の基準マークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)方式の一対のレチクルアライメント顕微鏡(以下、便宜上「RA検出系」と呼ぶ)(不図示)が設けられている。これらのRA検出系の検出信号は、不図示のアライメント制御装置を介して、主制御装置50に供給される。なお、そのRA検出系と同等の構成は、例えば特開平7−176468号公報等に開示されている。
図1において、ウエハステージWSTは、XYステージ42と、このXYステージ42上に搭載されたZチルトステージ38とを含んで構成されている。XYステージ42は、ウエハベース16の上面の上方に不図示のエアベアリングによって例えば数μm程度のク
リアランスを介して浮上支持されている。更に、XYステージ42は、ウエハステージ駆動系56Wを構成する不図示のリニアモータ等によって走査方向であるY方向及びこれに直交するX方向に2次元駆動可能に構成されている。このXYステージ42上にZチルトステージ38が搭載され、Zチルトステージ38上にウエハホルダ25が固定されている。このウエハホルダ25によって、ウエハWが真空吸着等により保持されている。
Zチルトステージ38は、図2に示すように、3つのZ位置駆動部27A、27B、27C(但し、図2の紙面奥側のZ位置駆動部27Cは不図示)によってXYステージ42上に3点で支持されている。これらのZ位置駆動部27A〜27Cは、Zチルトステージ38下面のそれぞれの支持点を投影光学系PLの光軸方向(Z方向)に独立して駆動する3つのアクチュエータ(例えばボイスコイルモータなど)21A、21B、21C(但し、図2の紙面奥側のアクチュエータ21Cは不図示)と、Zチルトステージ38のZ位置駆動部27A、27B、27Cによる各支持点のアクチュエータ21A、21B、21CによるZ方向の駆動量(基準位置からの変位)を検出するエンコーダ23A〜23C(但し、図2の紙面奥側のエンコーダ23Cは不図示)とを含んで構成されている。
本例では、アクチュエータ21A、21B、21Cによって、Zチルトステージ38(ウエハW)の光軸AX方向(Z方向)の位置、X軸回りの回転角θx、及びY軸回りの回転角θyを制御する。図1のステージ制御装置70は、露光中にはウエハWの上面が投影光学系PLの像面に合焦されるように、Zチルトステージ38のZ軸方向の位置及びレベリング量(回転角θx、θy)を算出し、この算出結果を用いてアクチュエータ21A〜21Cを駆動する。なお、図1では、XYステージ42を駆動するリニアモータ等、及び図2のZ位置駆動部27A〜27Cがまとめてウエハステージ駆動系56Wとして示されている。
図1において、Zチルトステージ38上には、レーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)54Wからのレーザビームを反射する移動鏡52Wが固定されている。ウエハ干渉計54Wによって、Zチルトステージ38(ウエハステージWST)のXY平面内の位置が、例えば0.1〜1nm程度の分解能で常時検出されるようになっている。実際には、Zチルトステージ38上には、走査方向(Y方向)に直交する反射面を有する移動鏡と非走査方向(X方向)に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、これに対応してウエハ干渉計もX方向、Y方向にそれぞれ複数軸設けられ、Zチルトステージ38の5自由度方向の位置(X方向、Y方向の位置、及び回転角θx、θy、θz)が計測可能となっている。ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は、ステージ制御装置70、及びこれを介して主制御装置50に供給される。ステージ制御装置70は、主制御装置50の指示に応じてウエハステージ駆動系56Wを介してウエハステージWSTのXY平面内の位置を制御する。なお、Zチルトステージ38の端面を鏡面加工して前述の移動鏡52Wの反射面を形成するようにしてもよい。
また、本例の投影露光装置には、投影光学系PLの結像特性(光学特性)の計測に用いられる空間像計測装置59(空間像計測系)が備えられている。その空間像計測装置59を構成する光学系の一部がZチルトステージ38の内部に配置されている。
図3は、空間像計測装置59を示す一部を切り欠いた図であり、この図3において、空間像計測装置59は、Zチルトステージ38に設けられたステージ側構成部分、即ちパターン形成部材としてのスリット板90、レンズ84,86から成るリレー光学系、光路折り曲げ用のミラー88、送光レンズ87と、ウエハステージWST外部に設けられたステージ外構成部分、即ちミラー96、受光レンズ89、光電変換素子から成る光センサ94(光電センサ)等とを備えている。
これを更に詳述すると、スリット板90は、ウエハステージWSTのZチルトステージ
38の端部上面に設けられて上部に開口が形成された突設部58に対し、その開口を覆う状態で上方から嵌め込まれている。このスリット板90は、XY平面に平行な長方形の平板状のガラス基板82の上面に遮光膜を兼ねる反射膜83を形成して構成され、その反射膜83の一部に所定幅2Dのスリット状の開口パターン(以下、「スリット」と呼ぶ)122が形成されている。なお、図3のスリット122は、スリット板90に設けられた複数のスリット(図5参照)のうちの一つを代表的に示している。ガラス基板82の素材としては、ここでは、ArFエキシマレーザ光の透過性の良い、合成石英又は蛍石などが用いられる。
また、図3の状態では、照明光ILの照明領域に、レチクルマーク板RFMに形成された計測用マークPM(計測用パターン)が位置しており、そのマークの像が投影光学系PLによってスリット板90上に投影されている。そして、その照明光ILよりなる結像光束の一部がスリット122を通過している。スリット122下方のZチルトステージ38内部には、スリット122を介して鉛直下向きに入射した照明光IL(結像光束)の光路を水平に折り曲げるミラー88を介在させてレンズ84及び86から成るリレー光学系(84、86)が配置されている。また、このリレー光学系(84、86)の光路後方のZチルトステージ38の+Y方向側の側壁には、リレー光学系(84、86)によってリレーされた照明光をウエハステージWSTの外部のほぼ+Y方向に送光する送光レンズ87が固定されている。
送光レンズ87によってウエハステージWSTの外部に送り出された照明光ILの光路は、X方向に所定長さを有し傾斜角45°で斜設されたミラー96によって、鉛直上方に向けて90°折り曲げられる。この折り曲げられた光路上に、送光レンズ87に比べて大きい受光レンズ89が配置され、この上方に光センサ94が配置されている。これら受光レンズ89及び光センサ94は、所定の位置関係を保ってケース92内に収納され、ミラー96も不図示の支持部材を介してケース92に固定されている。そして、ミラー96で上方に反射された照明光ILは、受光レンズ89によって光センサ94の受光面に集光される。ケース92は、取付け部材93を介してウエハベース16の上面に植設された支柱97の上端部近傍に固定されている。
光センサ94としては、微弱な光を精度良く検出することが可能な光電変換素子(光電センサ)、例えばフォト・マルチプライヤ・チューブ(PMT、光電子増倍管)などが用いられる。光センサ94からの光電変換信号PSは、図1の信号処理装置80を介して主制御装置50に送られるようになっている。信号処理装置80は、例えば増幅器、サンプルホールド回路、A/Dコンバータなどを含んで構成することができる。また、スリット122で代表している実際の複数のスリットの配置及び形状については後述する。
上述のようにして構成された空間像計測装置59によると、レチクルマーク板RFM(又はレチクルR)に形成された計測用マークPM(又はレチクルRに形成されたマーク)の投影光学系PLを介して得られる投影像(空間像)の計測の際に、投影光学系PLを透過してきた照明光IL(結像光束)によってスリット板90が照明される。そして、そのスリット板90のスリット122を通過した照明光ILが、レンズ84、ミラー88、レンズ86、及び送光レンズ87を介してウエハステージWSTの外部に導き出される。そして、そのウエハステージWSTの外部に導き出された光は、ミラー96及び受光レンズ89を介して光センサ94によって受光され、光センサ94からその受光量に応じた光電変換信号(光量信号)PSが図1の信号処理装置80を介して主制御装置50に出力される。
本例では、計測マークの投影像(空間像)の計測がスリットスキャン方式によって実行されるので、その際には、送光レンズ87が、受光レンズ89及び光センサ94に対して
X方向及びY方向に移動することになる。そこで、空間像計測装置59では、所定範囲内で移動する送光レンズ87を介した光がすべて受光レンズ89に入射するように、受光レンズ89の直径は送光レンズ87の直径よりも大きく設定されている。本例の空間像計測装置59においては、Zチルトステージ38に設けられたスリット板90を含む移動部と、ケース92に設けられた光センサ94を含む固定部とは、機械的に分離されている。そして、空間像計測に際してのみ、その移動部とその固定部とは、ミラー96を介して光学的に接続される。これによって、光センサ94の発熱による計測精度の低下が抑制される。
なお、空間像計測装置59において、送光レンズ87と受光レンズ89との間の光路を可撓な光ファイバケーブルで接続するようにしてもよい。また、例えば光センサ94の発熱が少ない場合、又は冷却機構によってその発熱の影響を軽減できる場合等には、光センサ94及び受光レンズ89を、例えば投影光学系PLの+Y方向の側面に固定することも可能である。更に、光センサ94をウエハステージWST(Zチルトステージ38)の内部に設けることも可能である。なお、空間像計測装置59を用いて行われる空間像計測及び収差計測方法などについては、後に詳述する。
図1に戻り、投影光学系PLの側面には、ウエハW上のアライメントマーク又は所定の基準マークを検出するマーク検出系としてのオフアクシス方式のアライメント系ALGが設けられている。本例では、このアライメント系ALGとして、画像処理方式のアライメント系、いわゆるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このアライメ
ント系ALGからの撮像信号が、不図示のアライメント制御装置に供給される。アライメント制御装置は、その撮像信号とそのときのウエハ干渉計54Wの出力であるウエハステージWSTの位置情報とに基づいて、ウエハ干渉計54Wの計測値で規定されるステージ座標系におけるアライメン卜マーク又は基準マークの座標位置を算出し、算出結果を主制御装置50に供給する。その座標位置に基づいて、主制御装置50は、レチクルRのパターンの投影像の中心とアライメント系ALGの検出中心との間隔(ベースライン)の算出、及びウエハW上の各ショット領域の配列座標の算出等を行う。
更に、本例の投影露光装置10では、図1に示すように、照射系60a及び受光系60bから成る斜入射方式の多点焦点位置検出系(60a,60b)が設けられている。照射系60aは、ウエハWの表面又はスリット板90の表面である被検面に複数のスリット像を光軸AXに対して斜めに投影し、受光系60bは、被検面からの反射光を受光してそれらのスリット像を再結像する。そして、受光系60bは、それらの再結像された複数のスリット像の横ずれ量に対応する検出信号をステージ制御装置70に供給する。ステージ制御装置70では、一例としてそれらの検出信号をデフォーカス量に換算し、複数のデフォーカス量から、その被検面の投影光学系PLの像面に対するZ方向へのデフォーカス量と、X軸及びY軸の回りの傾斜角とを求める。なお、この多点焦点位置検出系(60a,60b)と、同様の多点焦点位置検出系の詳細な構成は、例えば特開平6−283403号公報等に開示されているため、その構成についての詳細な説明を省略する。
通常の露光時には、ステージ制御装置70は、多点焦点位置検出系(60a,60b)の検出結果を用いて、ウエハWの表面が投影光学系PLの像面に合焦されるように、オートフォーカス方式及びオートレベリング方式でウエハステージ駆動系56Wを介してZチルトステージ38のZ方向の位置及び傾斜角を制御する。また、露光中又は空間像計測中に主制御装置50からの指令に基づいて、ステージ制御装置70は、ウエハステージ駆動系56Wを介してウエハWの表面又はスリット板90の表面を投影光学系PLの像面に対してZ方向に指示された量だけデフォーカスさせることもできる。
また、図1の投影光学系PL近傍には、大気圧変動や温度変動を検知する環境センサ8
1が設けられている。この環境センサ81による計測結果は主制御装置50に供給されている。また、主制御装置50に接続されたメモリ51内には、例えば予め投影光学系PLの組立調整時等に計測されていた所定の高次の収差の情報、及び後述の収差計測方法によって求められる投影光学系PLの収差の情報などが記憶される。
次に、本例の投影露光装置10における走査露光動作について簡単に説明する。先ず、主制御装置50は、レチクルRを用いた露光に最適な照明条件をオペレータの指示に基づいて設定する。次に、上記のレチクルアライメント顕微鏡、及びウエハ側のアライメント系ALGを用いて、レチクルRのアライメント及びウエハWのアライメントが行われる。その後、ウエハステージWSTのステッピングによって、ウエハW上で次に露光されるショット領域が光軸AXの手前側に位置決めされる。そして、照明光ILの照射が開始されて、レチクルステージRSTを介して照明領域に対してレチクルRをY方向に速度Vrで移動するのに同期して、ウエハステージWSTを介して露光領域に対してウエハW上の一つのショット領域がY方向に速度β・Vr(βは投影光学系PLの投影倍率)で移動する。このようにして、ショット間のステッピング動作とショット毎の同期走査動作とが繰り返されて、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の全てのショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。
ところで、上述した走査露光動作において、レチクルRのパターンを投影光学系PLを介して高い解像度で高精度にウエハW上に転写するためには、投影光学系PLの結像特性が所定の状態に調整されている必要がある。そのためには、その結像特性を高精度に計測する必要がある。以下では、計測及び調整対象の投影光学系PLの結像特性を所定の収差であるとする。
また、その収差を分類するために、波面収差を用いるものとして、投影光学系PLの射出瞳(又は瞳面)上の波面収差を示す収差関数をW(ρ,θ)とする。このとき、ρは投影光学系PLの射出瞳の半径方向の規格化された位置(動径)であり、θは角度であるとすると、その収差関数W(ρ,θ)は、上述の(1)式のようにi次(i=1,2,…)のツェルニケ多項式(Zernike's Polynomial)fi(ρ,θ)及びその係数Zi を用いて級
数展開することが可能である。なお、ツェルニケ多項式は、フリンジツェルニケ多項式又はツェルニケの円多項式(circle polynomials)とも呼ばれることがある。
なお、一例として1次〜37次までのツェルニケ多項式fiを対応する係数Zi とともに例示すると、次の表1のようになる。
Figure 2006019691
上記表1に示されるように、各次数のツェルニケ多項式fi(ρ,θ)は、動径(ρ)
の関数である動径関数と、角度(θ)の関数とが分離した形で表現される。また、ツェルニケ多項式は、その動径関数が奇関数であるものと、偶関数であるものとに分類することができる。例えば、表1に示されるf7及びf8については、その動径関数がともに3ρ3−2ρ で、奇関数であり、f5及びf6は、その動径関数がともにρ2 で、偶関数となっている。各次数のツェルニケ多項式中の角度θの関数は、sin(mθ)(mは1以上の整数)、又はcos(mθ)(mは0以上の整数)である。そして、その角度mθを規定する整数mが奇数である場合には、対応する動径関数が奇関数となり、整数mが0又は偶数である場合には、対応する動径関数が偶関数となる。このように、動径関数が奇関数で表されるツェルニケ多項式に対応する収差を奇関数収差と呼び、動径関数が偶関数で表されるツェルニケ多項式に対応する収差を偶関数収差と呼ぶ。
投影光学系PLの収差は像の横シフトである横収差と、像のコントラストの変化である縦収差とに分類でき、前者の横収差が奇関数収差であり、後者の縦収差が偶関数収差である。従って、投影光学系PLの収差のうちの球面収差やデフォーカス等は、偶関数収差であり、コマ収差は奇関数収差である。また、i次のツェルニケ多項式の係数Zi で、そのi次のツェルニケ多項式で表される収差を表わすものとする。本例では、図2の結像特性補正コントローラ78を含む投影光学系PLの結像特性制御機構によって、球面収差(偶関数収差)である収差Z9,Z16、コマ収差(奇関数収差)である収差Z7,Z8,Z14,Z15、及びディストーション(奇関数収差)である収差Z2,Z3 を含む複数の収差を補正できるように構成されている。本例では、これらの奇関数収差及び偶関数収差の計測に、前述した空間像計測装置59が用いられる。以下、この空間像計測装置59による空間像計測、及び投影光学系PLの収差の計測等について詳述する。
図3には、空間像計測装置59を用いて、レチクルマーク板RFMに形成された計測用マークPMの空間像が計測されている状態が示されている。なお、レチクルマーク板RFMに代えて、空間像計測専用のテストレチクル、あるいはデバイスの製造に用いられるレチクルRに専用の計測用パターンを形成したものなどを用いることも可能である。ここで、レチクルマーク板RFMには、所定の箇所にY方向に周期性を有しライン部の幅とスペース部の幅との比(デューティ比)が1:1のラインアンドスペースパターン(以下、「L&Sパターン」と呼ぶ)から成る計測用マークPMが形成されているものとする。なお、このような計測用マークPMは、実際にはレチクルマーク板RFM上に複数個設けられているマークのうちの一つである。
ここで、空間像計測装置59を用いた空間像計測の方法について簡単に説明する。なお、スリット板90には、例えば図4(A)に示されるように、X方向に延びる所定幅2Dのスリット122(開口パターン)が形成されているものとする。空間像の計測にあたり、図1の主制御装置50によって、可動レチクルブラインド30Bが不図示のブラインド駆動装置を介して駆動され、図3に示されるように、レチクルRの照明光ILの照明領域が計測用マークPMを含む所定領域のみに制限される。
この状態で、照明光ILがレチクルマーク板RFMに照射されると、図4(A)に示されるように、計測用マークPMによって回折、散乱した光(照明光IL)は、投影光学系PLにより屈折され、投影光学系PLの像面に計測用マークPMの空間像(投影像)PM’が形成される。このとき、ウエハステージWSTは、空間像計測装置59のスリット板90上のスリット122の+Y方向側(−Y方向側でもよい)にその空間像PM’が形成される位置に設定されているものとする。このときのスリット板90を投影光学系PL側から見たときの平面図が図4(A)に示されている。なお、投影光学系PLの投影倍率が1/4であるとすると、この空間像PM’のピッチ(周期)は、計測用マークPMのL&Sパターンのピッチの1/4となる。なお、以下の説明では、各計測マーク等の線幅及びピッチは、それぞれその空間像の線幅及びピッチを指しているものとする。
そして、主制御装置50によって、ウエハステージ駆動系56Wを介してウエハステージWST(走査機構)が図4(A)中に矢印Fで示されるように+Y方向に駆動されると、スリット122が空間像PM’に対してY方向に走査される。この走査中に、スリット122を通過する光(照明光IL)がウエハステージWST内の光学系、ミラー96、受光レンズ89を介して光センサ94で受光され、その光電変換信号PSが信号処理装置80を介して主制御装置50に供給される。主制御装置50は、その光電変換信号に基づいて空間像PM’に対応する光強度分布情報を取得する。なお、空間像PM’とスリット122とは、スリット122に垂直な方向に相対走査すればよい。そのため、スリット122を静止させておいて、図1のレチクルステージRST(走査機構)を介してレチクルマーク板RFMを移動させることによって、空間像PM’側を移動してもよい。
図4(B)には、上記の空間像計測の際に得られる光電変換信号(光強度信号)PSの一例が示されている。この場合、空間像PM’は、スリット122の走査方向(Y方向)の幅(2D)の影響で像が平均化する。従って、スリット122の走査方向(ここではY方向)の透過率分布をp(y)とし、空間像の光強度分布をi(y)とし、観測される光強度信号をm(y)とすると、空間像の強度分布i(y)と観測される強度信号m(y)との関係は、以下の(2)式で表される。なお、この(2)式において、強度分布i(y)、強度信号m(y)の単位は、単位長さ当たりの強度であり、u軸は、y軸と同一の座標軸であるとする。
Figure 2006019691
但し、スリット122の透過率分布の関数p(y)は、以下の(3)式で表される。
Figure 2006019691
即ち、観測される強度信号m(y)は、スリッ卜122の関数p(y)と空間像の光強度分布i(y)とのコンボリューションになる。
従って、計測精度の面からは、スリット122の走査方向(ここではY方向)の幅(以下、単に「スリット幅」と呼ぶ)2Dは小さい程良い。本例のように、フォト・マルチプライヤ・チューブ(PMT)を光センサ94として用いる場合には、スリット幅が非常に小さくなっても走査速度を遅くして計測に時間をかければ光量(光強度)の検出は可能である。しかしながら、現実には、スループットの面から空間像計測時の走査速度に一定の制約があるため、スリット幅2Dがあまりにも小さいと、スリット122を透過する光量が小さくなり過ぎて、計測が困難となってしまう。本例では、スリット幅2Dは、200nm程度以下で、例えば100〜150nm程度に設定される。なお、スリット122の代わりに、ピンホールを用いて空間像PM’を走査してもよい。ピンホールの場合には方向性はないが、光量が少なくなる。そこで、特に空間像PM’のピッチが大きいような場合に、ピンホールを使用することができる。また、ピンホールを用いる場合には、受光量を多くするために、その直径はスリット幅2Dの2倍程度、即ち400nm程度以下で例えば200〜300nm程度に設定される。
このように空間像計測装置59を用いた空間像計測動作によって、計測用マークPMの空間像(投影像)PM’における光強度分布を計測することができる(第1工程)。その計測された光強度分布の情報は図1の主制御装置50に供給される。その光強度分布の情報には、空間像PM’の横方向の結像位置(横シフト)及び振幅(コントラスト)の情報が含まれているため、主制御装置50(演算装置)は、その情報を用いて奇関数収差及び偶関数収差を求めることができる(第2工程)。更に、その光強度分布情報を用いて、投影光学系PLに対するベストフォーカス位置のキャリブレーションを行うことができるとともに、所定のマーク像のX方向、Y方向の位置も求めることができる。
また、本例では、9次を超える所定次数までのツェルニケ多項式によって表される収差を計測するものとする。このためには、空間像PM’として、後述のように方向及びピッチの異なる種々の周期マークの空間像を計測する必要がある。そのためには、スリット板90にも複数の方向に配列されたスリット(開口パターン)を形成しておく必要がある。
図5は、本例のスリット板90に形成された開口パターンとしての複数のスリットの実際の配置を示し、この図5において、スリット板90上には、Y方向に伸びるスリット幅2Dで長さLのスリット122bと、このスリット122bを90°回転した形状のX方向に伸びるスリット122aとが形成されている。更に、スリット板90上には、それぞれ幅2Dで長さL1の4個のスリット9B,9C,9E,9Fが形成されている。4個のスリット9B〜9Fはほぼ正方形の4個の頂点の位置にあり、2本のスリット122a及び122bはほぼその正方形の隣り合う2辺を構成している。これらのスリット122a,122b,9B〜9Fを通過した照明光は、図3の光センサ94で受光される。この場合、スリット122a,122b,9B〜9Fを通過した照明光を個別に検出するために、例えばスリット板90の底面にスリット選択部材としての液晶パネルを設けて、選択された一つのスリットを通過した照明光のみが光センサ94に入射するようにしてもよい。
一例として、各スリット像のスリット幅2Dは100〜150nm程度、スリット122a,122bの長さLは18μm、スリット9B,9C,9E,9Fの長さL1は3μmである。この場合、スリット122a及び122bは、ともにベストフォーカス位置のキャリブレーション及びマーク像の位置計測を行うために使用される。具体的に、例えば図3のレチクルマーク板RFMのパターン面には、ベストフォーカス位置計測用のX軸及びY軸のマーク(フォーカス用マーク)と、位置計測用のX軸及びY軸のマーク(像位置用マーク)とが形成されており、これらの投影像はそれぞれ図5の像62XP,62YPと像63XP,63YPとなる。この場合、X軸のフォーカス用マークの像62XPは、線幅が110nmのY方向に伸びた複数のラインパターン(明部)をデューティ比が1:1でX方向に配列した像である。また、Y軸のフォーカス用マークの像62YPは、X軸の像62XPを90°回転したものである。また、X軸の像位置用マークの像63XPは、線幅が1μmのY方向に伸びた複数のラインパターン(明部)をデューティ比が1:1でX方向に配列した像である。また、Y軸の像位置用マークの像63YPは、X軸の像63XPを90°回転したものである。この場合、像62XP,63XPのY方向の幅、及び像62YP,63YPのX方向の幅はそれぞれスリット122a,122bの長さLよりも長く設定されている。
そして、投影光学系PLのベストフォーカス位置を求める場合には、図3のウエハステージWSTを順次X方向及びY方向に駆動して、それぞれ図5のスリット122b及び122aでフォーカス用マークの像62XP及び62YPを走査して、光強度分布を検出する動作を、図3のZチルトステージ38のZ方向の位置、即ち投影光学系PLの光軸AXに沿った方向の位置(以下、「フォーカス位置」と言う)を次第に変えながら複数回実行する。このとき、得られる光強度分布のコントラスト(振幅)が最も大きくなるときのフォーカス位置からベストフォーカス位置を求めることができる。これによって、例えば図1の多点焦点位置検出系(60a,60b)のベストフォーカス位置のキャリブレーションを行うことができる。この後は、多点焦点位置検出系(60a,60b)で検出されるデフォーカス量が、正確に投影光学系PLの像面からのずれ量を示すことになる。
また、像位置用マークの像63XP及び63YPの位置を求める場合には、図3のウエハステージWSTを順次X方向及びY方向に駆動して、それぞれスリット122b及び122aで像63XP及び63YPを走査して光強度分布を検出し、この光強度分布のX方向及びY方向の中心を求めればよい。その像位置用マークを例えばレチクルR上に形成しておくことによって、レチクルRのアライメントを行うこともできる。
また、スリット9B,9C,9E,9Fは、それぞれ収差計測を行うために使用される。本例では、スリット122a及び122bはそれぞれ収差計測用のスリット9D及び9Aを兼用している。このとき、スリット9A(122b)、スリット9B、スリット9C、スリット9D(122a)、スリット9E、及びスリット9Fの長手方向(配列方向)は、それぞれX軸に対して反時計回りに90°、120°、135°、0°、30°、及び45°で交差する方向であり、これらの配列方向は互いに異なっている。この場合、各スリット9A〜9Fは、対応する空間像に対してその長手方向に直交する方向(計測方向)に相対的に走査される。言い換えると、6個のスリット9A,9B,9C,9D,9E,及び9Fの計測方向は、それぞれX軸に対して反時計回りに0°、30°、45°、90°、120°、及び135°で交差している。
このように本例の6個のスリット9A〜9E(開口パターン)を順次対応する計測方向に相対走査することによって、周期方向がそれぞれX軸に対して0°、30°、45°、90°、120°、及び135°で交差する6方向のL&Sパターンの空間像の光強度分布情報を計測することができる。その6方向のL&Sパターンの具体的な構成例については後述する。なお、計測対象の収差が、9次を超えて16次までのツェルニケ多項式で表される収差である場合には、後述のように図5のスリット板90上の4個のスリット9A,9C,9D,及び9F、即ち計測方向がX軸に対して0°、45°、90°、及び135°で交差する4個のスリット(開口パターン)を使用するのみでもよい。
次に、奇関数収差及び偶関数収差を理論的に定量的に表わすために、以下の計算を行う。この場合の計測対象の空間像を、図3の計測用マークPMの空間像PM’とする。ここで、計測用マークPMの空間像PM’における図4(A)のY方向の複素振幅分布をo(y)とし、その空間周波数スペクトルをO(s)とする(sは、空間周波数軸上の座標である)。計測用マークPMの空間像PM’の周期パターンに含まれる空間周波数成分のうち、2つの空間周波数成分をそれぞれf’、f”とすると、そのスペクトルO(f’)、O(f”)のビートによって生じる干渉縞に、ある重みを掛けたものを全体の空間周波数で積分したものが計測用マークPMの空間像PM’の強度分布i(y)となる。この重みをクロスモジュレーション係数(The Cross modulation coefficient)T(f’,f”)というが、このクロスモジュレーション係数T(f’,f”)は、以下の(4)式によって定義される。
Figure 2006019691
この式において、Fは投影光学系PLの射出瞳(又は瞳面)における瞳関数であり(* は複素共役を示す)、σ(ξ,η)は有効光源である。なお、ξ,ηは、投影光学系PLの射出瞳上における直交座標軸である。従って、部分コヒーレント照明による計測用マークPMの結像式は、以下の(5)式によって表される。
Figure 2006019691
[奇関数収差(横収差)の計測]
先ず、奇関数収差について、7次及び8次のツェルニケ多項式で表される収差を、それらの多項式の係数(収差)Z7 及びZ8 で表すものとする。図22には7次の収差Z7 が、図23には8次の収差Z8 がそれぞれ示されている。図22及び図23において、投影光学系の像面QBの直交座標系(X,Y)に対して、投影光学系の瞳QAの直交座標系(瞳座標)(X444,Y444)は平行であるが、X444軸の方向がX軸に対して逆向きになっている。また、瞳座標上の点は通常は上記の極座標(ρ,θ)で示される。
収差は瞳面の位相の進み又は遅れであり、図22の7次の収差Z7 は、Y444方向の1θ成分である。図22において、Y444>0の領域の点(ρ0,φ0)で収差Hは位相の遅れ−H0 であり、Y444<0の領域の点(ρ1,φ1)では収差Hは位相の進み+H0 であり、像QCのシフトは+Y方向にH0 である(単位は位相)。なお、空間像はピッチP0 のライン・アンド・スペースパターンで表している。
また、図23の8次の収差Z8 は、X444方向の1θ成分である。図23において、X444>0の領域の点(ρ3,φ3)で収差Hは位相の遅れ−H1 であり、X444<0の領域の点(ρ4,φ4)では収差Hは位相の進み+H1 であり、像QDのシフトは−X方向にH1 である(単位は位相)。なお、空間像はピッチP1 のライン・アンド・スペースパターンで表している。
瞳内の計測点での収差量と像シフト量とは単位を位相とすれば絶対値が一致する。長さの単位から位相の単位への換算は次式で表される。
像シフト量(位相)=(像シフト量(長さ)/マークピッチ)×360°…(K1)
なお、瞳内の計測点の収差量は有効照明サイズ(照明光学系の瞳面における2次光源の大きさ)で決まり、その2次光源の一例は小輪帯状である。
また、瞳内の計測点を極座標(ρ,θ)で示すと、θは計測マークの配列方向(繰り返し方向及びその反対方向)と一致し、動径ρは、マークピッチP、投影光学系の開口数NA、及び露光波長λを用いて次のようになる。
ρ=λ/(P・NA) …(K2)
ここでは、奇関数収差があるときの(5)式の結像式を具体的に計算する。一例として、その奇関数収差は、7次のツェルニケ多項式f7(ρ,θ)で表されるコマ収差Z7 であるとする。また、ツェルニケ多項式f7(ρ,θ)は、次のように射出瞳上での位相遅れを示す。
f7(ρ,θ)=(3ρ3 −2ρ)cosθ …(A1)
この場合、説明の便宜上、(5)式の位置yをx’で置き換える。そして、図4(A)に示すように、計測用マークPMの空間像PM’のピッチPhが1/fhであり(Ph=1
/fh)、50%デューティ(ライン幅とスペース幅とが同じ)であるとする。空間像P
M’のピッチPh に対応する空間周波数成分を基本波成分とした場合のN次の高調波成分(Nは奇数)の強度IhN(x’)は、以下の式で示される。なお、この場合、fh は空間像PM’の基本空間周波数である。
Figure 2006019691
この式において、c0 及びcN はそれぞれ0次及びN次のフーリエスペクトルの振幅を表す。そして、角度φhNはN次の高調波の収差(横シフト)であり、次式で表される。
Figure 2006019691
ここで、基本波の位相をコヒーレント照明(コヒーレンスファクタ(σ値)が0)の例で考える。計測用マークPMが、先に述べたように50%デューティでピッチPh が1/fh のL&Sパターンの場合、その複素振幅分布o(x’)は次式にて表される。但し、フーリエ係数であるc0,1,3,5 ,…の値はそれぞれ1/2,1/4,−1/12,1/20,…である。
Figure 2006019691
ここで、計測用マークPMを0.5μmのL&Sパターン(空間像の線幅が0.5μm)として、図3の投影光学系PLの開口数NAを0.78として、コヒーレント照明の場合を考えると、結像に寄与する高調波は3次までになる。更に、コヒーレント照明では射出瞳上の収差量は各回折光に対して高々1つの位相差を与えるだけである。更に、コマ収差Z7 を表わす7次のツェルニケ多項式f7は、(A1)式から分かるように奇関数であるため、空間周波数fh における収差量をexp(iφ1)、空間周波数3fh における収差量をexp(iφ3)として、(8)式は次の(9)式で表わすことが可能である。
Figure 2006019691
(9)式の各フーリエ成分から1次(基本波)成分を構成する場合を考えると、その1次成分は、0次成分と1次成分とのビートのみで構成されることが明らかである。0次成分と1次成分とのビートを考えると、1次成分の強度分布は(10)式で示され、1次成分の位相φh1は(11)式で示される。
Figure 2006019691
Figure 2006019691
また、コヒーレント照明では、1次成分の強度分布は次のようになる。
Figure 2006019691
この式は、収差Z7 によって、空間像の位相がφ1 だけ変化して、像シフトが発生することを示している。具体的に収差の変化に対する位相の変化量である感度(ツェルニケ感度)を調べる。この場合、露光波長λが193nm及び開口数NAが0.78のもとで、0.5μmのL&Sパターン(ピッチは1μm)の空間像を考えると、1次回折光の回折角の正弦は0.193となるため、その1次成分の射出瞳上での動径ρ=0.247である。そこで、(A1)式より、7次のツェルニケ多項式f7(ρ,θ)のその1次成分に
対する値(ツェルニケ感度)は次のようになる。
f7(ρ=0.247,θ=0)=−0.449 …(A2)
例えば20mλの収差が発生すると、収差Z7 =20(mλ)であるため、位相φ1 は次のようになる。なお、λを360°としている。
φ1 =f7 ×Z7 =−0.449×20(mλ)=−3.23° …(A3)
この位相変化は、空間像の横ずれ量(像シフト量)としては、1ピッチが1μmであるため次のようになる。
像シフト量=1(μm)×(−3.23/360)=−8.97(nm)
従って、図4(A)の空間像PM’の像シフト量を計測し、この計測値と予め計算(光学シミュレーション)によって求めることができるツェルニケ感度とを用いて、7次のツェルニケ多項式によって表されるコマ収差Z7 (横収差量)を計測できる。この場合、何次のツェルニケ多項式までの収差をフィッティングするかによって、測定する計測用マークのピッチ(線幅)又は周期方向を複数用意する必要がある。
具体的に、図3の計測用マークPMが所定方向に配列された次第にピッチが小さくなる複数のL&Sパターンを含むものとして、主制御装置50は、前述の第1工程を実行して空間像の光強度分布を計測する。更に、主制御装置50は、その光強度分布をフーリエ解析することによって、各L&Sパターンの像に対応する基本波成分の情報、及び回折光が投影光学系PLを通過できる範囲の2次以上の高調波成分の情報を抽出する。基本波成分及び高調波成分の情報は、それぞれ振幅(コントラスト)及び位相を含んでいる。
そして、主制御装置50は、例えば、最も長いピッチを有するL&Sパターンの基本波成分の位相を基準とし、他の例えば4個のピッチの小さいL&Sパターンの基本波成分の相対的な位相差をそれぞれ第1位相差Φ1、第2位相差Φ2、第3位相差Φ3、第4位相差
Φ4として求める。これらの位相差と、低次コマ収差Z7 、高次コマ収差Z14等の複数の
奇関数収差(Z7、Z14、Z23、Z34)との関係は以下の(13)式のように表される。
主制御装置50は、この(13)式を解いて、各奇関数収差(Z7、Z14、Z23、Z34
を求める。
Figure 2006019691
ここで、係数α1〜α4、β1〜β4、γ1〜γ4、δ1〜δ4は、各奇関数収差(コマ収差)の成分に対する位相差変化の感度(ツェルニケ感度)である。例えば、係数α1は、低次
コマ収差Z7に対する第1位相差Φ1の変化の感度を示す。これらの感度は、投影光学系PLの数学モデルを用いた空間像シミュレーションにより前もって計算されたものを用いることができる。
なお、本例では、n個の奇関数収差を計測しようとする場合には、n個以上の位相差を計測すればよい。例えば、6個の奇関数収差を計測しようとする場合には、6個以上の位相差を計測する必要がある。このとき、図3のレチクルマーク板RFMには、必ずしも6個のL&Sパターンを用意する必要はなく、L&Sパターンは少なくとも4個配設されていればよい。なぜならば、前述のように各位相差の基準を1つのL&Sパターンに限定する必要はなく、ピッチが異なるL&Sパターンを4つ配設しておけば、1組のL&Sパターンの組合せとして6つの組合せを作成することができ、6つの位相差を計測可能となるからである。
以上述べたように、n個の奇関数収差を計測しようとして、n個の位相差が計測されている場合には、上述のようにn個の連立方程式を解くことによって、各奇関数収差の収差量が得られる。ところで、n個より多いm個の位相差が計測されている場合には、以下の(14)式に表されるm個の位相差に対応するm個の1次方程式から成る連立方程式を作成し、最小二乗法を用いて未知数、即ち各奇関数収差を求めればよい。
Figure 2006019691
ここで、Sj(j=1〜n)は、未知数、即ち計測対象となる各奇関数収差のいずれかを示し、aij(i=1〜m、j=1〜n)は、各奇関数収差の収差量Sj に対する位相差Φi(i=1〜m)の変化の感度を示す。
[偶関数収差(縦収差)の計測]
ここでは、偶関数収差があるときの(5)式の結像式を具体的に計算する。一例として、その偶関数収差は、表1の9次、16次、及び25次のツェルニケ多項式f9,f16,f25で表される収差Z9 ,Z16,Z25であるとする。なお、本例で重要な9次のツェルニケ多項式f9(ρ,θ)を以下に示す。
f9(ρ,θ)=(6ρ4−6ρ2+1) …(A4)
図4(A)に示されるように、計測用マークPMの投影像である空間像PM’のピッチPh が1/fh であり、50%デューティ(ライン幅とスペース幅とが同じ)であるとする。空間像PM’のピッチPh に対応する空間周波数成分を基本波成分とした場合のN次の高調波成分(Nは奇数)の強度分布IhN_even(y)は、以下の(15)式で示される。なお、この場合、fh は空間像PM’の基本空間周波数である。
Figure 2006019691
従って、投影光学系PLの偶関数収差の周波数Nfh における収差量を、0次光を基準としてexp(iφN_even)とすると、コヒーレント照明での前述の強度分布IhN_even_coh(y)は、上述の(15)式から、以下の(16)式で示される。
Figure 2006019691
上記の(16)式から明らかなように、偶関数収差によって、基本波成分のN次の高調波成分の位相差は変化せず、その成分の振幅が変化する。従って、本例の収差計測方法では、所定次数(N次)の空間周波数成分の振幅に基づいて、投影光学系PLの偶関数収差の量を算出する。なお、本例では、偶数次、例えば2次の高調波成分の振幅に基づいて、偶関数収差を求めるようにしてもよい。しかしながら、デューティ50%のL&Sパターンである計測用マークPMの空間像PM’の空間周波数成分には、2次の高調波成分が原理的には存在しないため、他の次数の高調波成分同士の所定のビート成分をその2次の高調波成分として用いる必要がある。
次に、本例における投影光学系PLの偶関数収差の第1の計測方法について具体的に説明する。先ず、上記の空間像計測動作で述べたように、主制御装置50の指示により、ウエハステージ駆動系がウエハステージWSTを所定の計測方向(ここでは+Y方向とする)に駆動して図4(A)のスリット122が空間像PM’に対して相対的にY方向に走査されると、空間像計測装置59によってその光電変換信号PSが得られる。この光電変換信号PSは、最終的に主制御装置50に供給される。主制御装置50は、その光電変換信号PSに基づいて空間像PM’に対応する光強度分布を取得する(第1工程)。なお、このとき、L&Sパターンを含む計測用マークPMは、図3に示すように、常に投影光学系PLの有効視野内に位置された状態となっている。また、投影光学系PLの光軸AXの方向に関するスリット122(スリット板90の上面)の位置は、空間像PM’が結像する像面の近傍の位置であれば良いものとする。
図6には、計測された空間像PM’の光強度分布が示されている。図6では、横軸はスリット122のY方向(Y軸方向)の位置を示し、縦軸はそのY方向の位置にあるときに得られた光強度を示す。図6に示すように、この空間像PM’の光強度分布は、一例としてY方向に9つのピークを有している。このピークのピッチは、空間像PM’のピッチに対応している。なお、投影光学系PLのコマ収差等の要因により、空間像PM’のピッチに対応する1次の空間周波数成分と、その3次の高調波成分との間にはY方向に位相差が生じているため、各ピークがそれぞれ有する2つのピークは非対称となっている。
主制御装置50は、この光強度分布をi(y)とすると、この光強度分布i(y)をフーリエ解析することによって、計測用マークPMのウエハW上でのピッチを基準とする所定次数の空間周波数成分(ここでは1次の基本波成分)の振幅a1(コントラスト情報)を求めた後、その空間周波数成分のコントラスト(その空間周波数成分の振幅を直流成分で除したもの)を算出する。この場合、主制御装置50は、前述の(16)式に示される例えば1次の基本波成分の振幅と偶関数収差との関係に基づいて、振幅a1に対応する偶関数収差の大きさを算出することもできる(第2工程)。
このとき、一例として、予め図4(A)の空間像PM’に対してスリット122を計測方向(ここではY方向)に走査して図6に示す光強度分布(光電変換信号PS)を得るという動作を、スリット122のフォーカス位置(Z方向の位置)を所定量ずつ変化させながら繰り返して実行しておく。この動作によって、主制御装置50は、図7に示すような、その投影光学系PLに対するスリット122のフォーカス位置と、光電変換信号PSに基づく光強度分布に含まれるその所定次数の空間周波数成分のコントラストとの関係を示す曲線、即ちコントラストカーブを求め、そのコントラストカーブの情報をメモリ51に記憶しておく。図7において、横軸は開口パターンとしてのスリット122(スリット板90の上面)の投影光学系PLに対するフォーカス位置を示し、縦軸はそのフォーカス位置での所定次数の空間周波数成分のコントラストを示す。ここでは、所定次数の空間周波数成分が、1次の基本波成分であるとする。なお、図7においては、光強度分布計測時の条件として、照明光ILの波長を193nm、コヒーレンスファクタ(以下、単に「σ」とも言う)を0.15、投影光学系PLの開口数(以下、単に「NA」とも言う)を0.78、空間像PM’のピッチを200nmとした。なお、図7に示すコントラストカーブは、投影光学系PLの数学モデルを用いたシミュレーションによって理論的に計算されたものであってもよい。
そのコントラストカーブにおいて、その空間周波数成分のコントラストが最大になるフォーカス位置(=0)がベストフォーカス位置である。そして、主制御装置50はステージ制御装置70及びウエハステージ駆動系56W等を介して、そのコントラストカーブにおいて、その空間周波数成分のコントラストがほぼ0となるフォーカス位置(例えば図7における約0.3μmの位置、即ちベストフォーカス位置から所定のオフセットを有する位置)に、図4(A)のスリット板90(スリット122)を位置させる。そして、主制御装置50は、この状態で、前述の第1工程及び第2工程を実行して、得られた光強度分布をフーリエ解析することによって空間像PM’に対応する1次の基本波成分の振幅a1を求める。そして、主制御装置50は、前述の(16)式に示されるN次の基本波成分の振幅と偶関数収差との関係に基づいて、振幅a1に対応する偶関数収差の大きさを算出することができる。
主制御装置50は、上述のようにして、求められたオフセット位置における偶関数収差と1次の基本波成分の大きさ(ここではコントラスト)との関係を求め、その関係に基づ
いて偶関数収差を決定する。次に、その決定された偶関数収差のうちで、図2の投影光学系PLの結像特性制御機構によって補正できる収差は、補正を行う。その補正(調整)後の投影光学系PLを用いて露光を行うことによって、レチクルRのパターンを投影光学系PLを介して高精度にウエハW上に転写することができる。
次に、本例における投影光学系PLの偶関数収差の第2の計測方法について具体的に説明する。先ず、主制御装置50は、空間像計測動作を実行する。上記の第1の計測方法では、スリット板90を走査させる際の投影光学系PLの光軸方向の位置であるフォーカス位置を、1箇所に固定して空間像計測を行ったが、この第2の計測方法では、そのフォーカス位置を複数の位置に設定してそれぞれ空間像計測を行う(第1工程)。なお、各フォーカス位置における空間像計測動作は、上記の第1の計測方法での動作と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
その複数のフォーカス位置における空間像計測動作により、各フォーカス位置で計測された図4(B)の光電変換信号PSは、主制御装置50に供給される。そして、主制御装置50は、各フォーカス位置における光電変換信号PSに基づく光強度分布から、それぞれのフォーカス位置で計測された光強度分布に含まれる1次の基本波成分、その3次の高調波成分、その5次の高調波成分などの大きさ(ここでは、コントラストとする)を抽出する。そして、主制御装置50は、複数のフォーカス位置におけるそれぞれの周波数成分のコントラストに基づいて、図8に示されるような各次数の空間周波数成分のコントラストカーブを算出する。なお、図8では、1次の基本波成分のコントラストカーブ(実線)と、3次の高調波成分のコントラストカーブ(点線)だけが示されている。
図8では、横軸はフォーカス位置を示し、縦軸は空間周波数成分のコントラストを示す。図8に示されるように、投影光学系PLに偶関数収差がある場合には、1次の基本波成分のコントラストカーブが最大となるフォーカス位置(図8のグラフでは、このフォーカス位置を原点としている)と、3次の高調波成分のコントラストカーブが最大となるフォーカス位置との間には位置ずれ、いわゆるフォーカス差が生じる。
図9には、フォーカス差と偶関数収差の収差量との関係が示されている。図9では、横軸は偶関数収差の収差量を示し、縦軸はその収差量によって発生する1次の基本波成分のベストフォーカス位置と3次の高調波成分のベストフォーカス位置とのフォーカス差を示す。図9に示すように、偶関数収差の収差量とそれらのベストフォーカス位置同士のフォーカス差とは、比例関係にあり、このフォーカス差を計測すれば、そのときの偶関数収差の収差量を求めることが可能となる。なお、このようなフォーカス差と偶関数収差の収差量との関係は、投影光学系PLの数学モデルを用いた空間像シミュレーションによって求められており、メモリ51に記憶されているものとする。
従って、演算装置としての主制御装置50は、図8に示すような1次の基本波成分のコントラストカーブと、3次の高調波成分のコントラストカーブとを求め、それぞれのベストフォーカス位置を求め、ベストフォーカス位置のフォーカス差(図8では、R1で示される)を求めた後、そのフォーカス差R1に対応する偶関数収差の収差量をメモリ51に記憶された図9に示されるフォーカス差と偶関数収差の収差量との特性を参照して算出する(第2工程)。
主制御装置50は、算出された偶関数収差の収差量に基づいて、結像特性補正コントローラ78を駆動して投影光学系PLの偶関数収差の収差量を調整する。そして、転写装置としての主制御装置50が、投影光学系PLの結像特性が調整された後に、上述の走査露光動作を実行すれば、レチクルR上に形成された回路パターンを精度良くウエハW上に転写することができるようになる。
以上詳細に述べたように、この第2の収差計測方法によれば、空間像に含まれる1次の基本波成分のコントラストが最大となるフォーカス位置と、その3次の高調波成分のコントラストが最大となるフォーカス位置との位置ずれ、即ちフォーカス差を算出すれば、偶関数収差の収差量を算出することができる。なお、このフォーカス差は、符号付きで求められるので、この方法では、収差量の大きさとともにその極性も同時に求めることができる。
一方、計測された偶関数収差の収差量からZ9 までの低次の球面収差(Z9)とそれよりも高次の球面収差(Z16、Z25、Z36)とを分離するためには、ピッチの異なる複数のL&Sパターンを計測マークとして用意する必要がある。例えば、レチクルマーク板RFM上の計測マークとして、異なるピッチを有する複数の周期パターン(例えばそれぞれの空間像のピッチが0.5μm、0.7μm、及び1.0μmになるような3つのL&Sパターン)を有する計測マークを用意して、各L&Sパターン毎に前述の第1工程及び第2工程を実行して、それぞれの空間像を計測する。
L&Sパターンのピッチによって、低次の球面収差と高次の球面収差とのフォーカス差に関する寄与度、即ちフォーカス差に対するツェルニケ感度(以下、「フォーカス差感度」とも言う)がそれぞれ異なる。そのため、低次の球面収差と高次の球面収差との分離が可能となる。
上述したフォーカス差感度は、投影光学系PLの数学モデルを用いた空間像シミュレーションによって求めることができる。以下の表2に、σ=0.15、NA=0.78、波長193nmの場合に空間像シミュレーションによって求められたフォーカス差感度を示す。この表2では、3種類のL&Sパターンについての、フォーカス差の変化に対する偶関数収差である各球面収差Z9、Z16、Z25、Z36の感度が表示されている。4つの球面
収差Z9、Z16、Z25、Z36を分離するためには、L&Sパターンのピッチ及び高調波の
次数の組合せであって、少なくとも4種類の組合せについての基本波成分とその所定次数(3次又は5次)の高調波成分とのフォーカス差δFを算出し、そのフォーカス差δFと、下の表2に示されるその組合せでのツェルニケ感度を用いて連立方程式を作成し、それを解けばよい。
Figure 2006019691
例えば、ピッチ0.5μmのL&Sパターンについての1次の基本波成分と3次の高調波成分とのフォーカス差に対するZ9、Z16、Z25、Z36のツェルニケ感度をそれぞれα1、β1、γ1、δ1とし、ピッチ0.7μmのL&Sパターンについての1次の基本波成分
と3次の高調波成分とのフォーカス差に対するZ9、Z16、Z25、Z36のツェルニケ感度
をそれぞれα2、β2、γ2、δ2とし、ピッチ1.0μmのL&Sパターンについての1次の基本波成分と3次の高調波成分とのフォーカス差に対するZ9、Z16、Z25、Z36のツ
ェルニケ感度をそれぞれα3、β3、γ3、δ3とする。また、ピッチ1.0μmのL&Sパターンについての1次の基本波成分と5次の高調波成分とのフォーカス差に対するZ9
16、Z25、Z36のツェルニケ感度をそれぞれα4、β4、γ4、δ4とすると、以下の(A5)〜(A8)式が得られ、これらの式からZ9、Z16、Z25、Z36の分離が可能となる

δF(L/S=0.5)=α19+β116+γ125+δ136 …(A5)
δF(L/S=0.7)=α29+β216+γ225+δ236 …(A6)
δF(L/S=1.0、3次)=α39+β316+γ325+δ336 …(A7)
δF(L/S=1.0、5次)=α49+β416+γ425+δ436 …(A8)
なお、本例では、求められたフォーカス差の数が、求める球面収差の数よりも多い場合などには、最小二乗法を用いて、各偶関数収差の各々の収差量を求めるようにしてもよい。また、上記第1、第2の収差計測方法では、デューティ50%のL&Sパターンには、基本的に偶数次の空間周波数成分が存在しないため、所定次数の空間周波数成分として、奇数次の空間周波数成分を用いるのが望ましい。
次に、本例の投影光学系PLの偶関数収差の第3の計測方法につき詳細に説明する。この計測方法では、投影光学系PLの実際の収差、例えば所定の偶関数収差の量を変化させながら、他の偶関数収差を計測する。一例として、ここでは低次偶関数収差Z9 を変化させ、各周波数成分の振幅のピークを与えるときのZ9 の値を評価量として他の収差、例えばZ16等の高次の偶関数収差の量を計測するものとする。その収差Z9 は、上述のように、図2の結像特性補正コントローラ78を含む投影光学系PLの結像特性制御機構によって制御することができる。
ここで、収差Z16の計測方法について説明する。図10は、投影光学系PLの射出瞳(又は瞳面)上での規格化された位置における偶関数収差の各収差(Z4,Z9,Z16,Z25)による位相遅れを、対応する表1のツェルニケ多項式f4,f9,f16,f25の値をもって位相遅れレベルとして示している。また、図11は、図10に対して収差Z16の量は同じで、収差Z9 の量を変化させた場合の位相遅れレベルを示している。図10に示すように、実線で表されるZ16についての位相遅れレベルは、瞳位置の座標値が±0.525のところで極値を有しており、その値は0.447となっている。その瞳位置の座標値0.525に位置する1次回折光を発生するパターンとしては、光学系の条件を、NA=0.78,σ=0(コヒーレント照明),λ=193nmとした場合に、ピッチ=λ/(NA×0.525)=471nmとなるので、線幅235nmのL&Sパターンを用いることができる。このパターンの空間像の振幅は、投影光学系PLの収差がZ16のみであるとすると、Z16が0のときに最大となる。このことは、(16)式から明らかである。また、収差Z16についての位相遅れレベルは、光軸(瞳位置=0)上では−1となっているため、図10における収差Z16に起因する±0.525の極値での位相遅れレベル(±1次回折光の位相)と、光軸上での位相遅れレベル(0次光の位相)との位相差は、1.447となる。
このとき、図11において、16次のツェルニケ多項式に乗じる係数(ツェルニケ係数)で表した場合のZ16の収差量がC(今のところ未知数のため「C」と規定している)だけ存在するとした場合、図10の位相差(1.447)を用いると、Z16に起因する瞳座標0.525に位置する1次回折光と光軸上の0次光との位相差Bは、次のようにC×1.447となる。
B=C×1.447 …(A9)
次に、図10において、Z9 に起因する瞳座標0.525に位置する1次回折光と光軸上の0次光との位相差はほぼ−1.2である。従って、図11において、ツェルニケ係数で表した場合のZ9 の収差量をVだけ発生させるものとした場合、Z9 に起因する瞳座標0.525に位置する1次回折光と光軸上の0次光との位相差Aは、次のようになる。
A=−V×1.2 …(A10)
そして、その位相差Aによって(A9)式のZ16に起因する位相差Bを相殺して(A=−B)、1次回折光と0次光との位相差が0となるときに、線幅235nmのL&Sパターンの空間像の振幅は最大となる。また、位相差Aは、Z9 の収差量Vを変化させることによって任意に設定可能である。そのように、位相差Aによって位相差Bを相殺するための、Z9 の収差量Vは次のようにほぼ1.2Cとなる。
V=−B/(−1.2)=C×1.447/1.2≒1.2C …(A11)
この場合、線幅235nmのL&Sパターンの空間像の振幅が最大となるように、Z9 の収差量Vを設定すると、その収差量VにZ16の収差量Cの情報が含まれている。言い換えれば、Z16の値をZ9の値から換算可能ということになる。なお、この際には、計測精
度を高める観点からすれば、Z9を順次変更した際の空間像の基本波成分の振幅が最大と
なるZ9の値から、Z16の値を換算するのが望ましい。
図12は、Z9を変化させたときの、空間像強度の基本波成分の振幅をシミュレーショ
ンで計算したときの計算結果を示す。このシミュレーションでは、光学系の条件を、NA=0.78、σ=0.1、λ=193nmとし、計測マークを線幅235nmのL&Sパターンとした。また、図12においては、Z16の収差量が0、20、40、60、100(mλ)の場合の基本波成分の振幅の変化が示されている。なお、ここで、Z9を変化さ
せながら基本波成分の振幅の値を順次計測しているのは、振幅のピーク位置を高精度に決定するためである。その振幅のピーク位置はZ9の収差量(以下、「Z9換算値」と言う)で求められる。また、その振幅のピーク位置はZ16の量に比例して変化する。
図13は、図12のZ16の収差量と振幅のピーク位置(Z9換算値)との相関関係を示
す。図13に示すように、Z16の収差量とZ9換算値でのピーク位置とは、ほぼ完全に比
例関係にあり、相関係数R2=1となっている。Z16の変化に対するピーク位置(Z9換算値)の変化の割合は、いわゆるツェルニケ感度で0.9157と計算される。なお、この感度はNA、σ、波長、計測マークによって変化する。
以上述べたように、空間像計測を、投影光学系PLの第1の収差としてのZ9を複数の
量に設定して実行し、計測された空間像、即ち光強度信号に含まれる基本波成分の大きさが最大となる位置と、その所定次数の高調波成分の大きさが最大となる位置とをZ9換算
で求め、これらの位置の差を評価量として第2の収差としてのZ16を算出することができる。
なお、その他の偶関数成分の収差Z25,Z36も計測する場合、計測マークを3種類以上とし、これらの計測マークにおけるツェルニケ感度をZ16,Z25,Z36に関して求めておき、3種類以上のマークでZ9 換算での振幅のピーク位置δm(m=1,2,3,…)を測定し、以下の(17)式で表される連立方程式を解くことによって、Z16,Z25,Z36それぞれの収差量を求めることができる。
Figure 2006019691
ここで、この式における係数a11,a12,…,am2,am3は、各偶関数収差Z16,Z25,Z36の量に対するZ9 換算値での振幅のピーク位置の変化の割合、即ちツェルニケ感度を示す。ツェルニケ感度a11,a12,…,am2,am3は、空間像シミュレーションにより、前もって計算しておくのが一般的である。しかしながら、場合によっては図2の投影光学系PLの結像特性制御機構(駆動素子20等)を駆動させて収差を変化させて、それらのツェルニケ感度を実測しても良い。例えばツェルニケ感度a11は、偶関数収差Z16に対するZ9換算の振幅ピーク位置の変化の割合を示し、空間像シミュレーションによって、
偶関数収差Z16を変化させたときのZ9換算の振幅ピーク位置の変化の割合から、ツェル
ニケ感度a11を求めることができる。
m個のL&Sパターンの位相差を計測すると、m個の1次式を作成することができる。また、収差Z16,Z25,Z36が3つの未知数であるとする。一般に未知数をnとすると、m=nの場合、上述の(17)式の連立1次方程式を解けば、すべての未知数の値を求めることができる。即ち、3個のL&Sパターンの位相差を計測すると、収差量Z16,Z25,Z36の値を求めることができる。なお、m≧nの場合には、最小2乗法を用いて未知数の値を求めるようにすれば良い。
なお、複数のマークを用いる代わりに、同一マークでσ、NAなど他の条件を変えてZ16,Z25,Z36に対するツェルニケ感度を変化させ、連立方程式を解くことも可能である。また、収差Z9 の代わりに他の偶関数収差、例えば収差Z4 を変化させて計測を行っても良い。収差Z4 はデフォーカスと等価な収差であるが、投影光学系PLと像面との距離を変化させずにZ4 を投影光学系PL内の収差変動として与えることが可能である。
[射出瞳(又は瞳面)での位相分布を用いる収差計測方法]
以上の収差計測方法では、奇関数収差と偶関数収差とを個別に検出した。以下では、収差を投影光学系PLの射出瞳(又は瞳面)での位相分布と見なすことによって、奇関数収差と偶関数収差とを統一して計算する方法につき説明する。先ず、その射出瞳上の規格化された動径ρ及び角度θを用いて、位置(ρ,θ)での偶関数収差をH_even(ρ,θ)とする。このとき、一例として、上記の9次のツェルニケ多項式f9(ρ,θ)(=6ρ4
6ρ2+1)によって表される収差Z9 に換算して偶関数収差を計測する方法を用いると
、偶数次数のツェルニケ多項式feven(ρ,θ)によって表される偶関数収差H_even(ρ,θ)は次のように表わすことができる。この場合、その収差(位相)を計測する位置は、所定ピッチPmesの周期的マークからの回折光が通過する位置(ρ=ρp ,θ=Ψp)であるとする。偶関数収差量はρ=0の瞳面中心からの相対的収差量である。収差Z 以外にも制御可能な偶関数収差、例えばデフォーカスなどによって瞳中心と計測点の収差を計測することができる。
H_even(ρp,Ψp)=[feven(ρp,Ψp)−1]λeven-mes
=[f9(ρp,Ψp)−1]λmes=(6ρp 4−6ρp 2)λmes …(18)
ここで、ツェルニケ多項式feven(ρ,θ)は、例えばf16、f25等であり、λeven-mesは、その偶数次数のツェルニケ多項式feven(ρ,θ)によって表される収差の量(係数)である。また、λevenは、そのピッチPの周期的マークの空間像をフーリエ変換した1次成分の振幅またはコントラスト(=1次成分の振幅/0次振幅)が最大になるときの収差Z9 の量である。
(18)式は照明光学系の有効光源が十分に小さくコヒーレント照明と見なせる場合の収差であるが、有効光源の大きさが或る程度大きい場合には、ツェルニケ多項式によって決まる収差(例えばfeven(ρp,Ψp))はその有効光源の面積内の平均値を用いること
になる。
一方、射出瞳上の位置(ρ,θ)での奇関数収差をH_odd(ρ,θ)とすると、この奇関数収差は、上記の奇関数収差の計測方法で述べたように、例えば複数のピッチの異なるL&Sパターンの空間像の基本波成分の相対的な位相差Φを計測することによって求めることができる。また、奇関数収差は、基本波成分のパターン設計位置からの位相差Φを計測することによって求めることもできる。この計測を行うにあたって、レチクルのパターン描画誤差が問題になる場合は、製造誤差よりパターン設計位置を補正することが望ましい。また、その位相差Φに対応する空間像の横シフト量をΔとする。このとき、その位相差Φ(横シフト量Δ)及び照明光の波長λを用いると、所定ピッチPmesの周期的マークからの回折光が通過する位置(ρ=ρp ,θ=Ψp)での奇関数収差H_odd(ρp,Ψp)は、次式で表わすことができる。奇関数収差量は、H_odd(ρp,Ψp)=−H_odd(ρp,Ψp+180°)の関係がある。位相差Φは空間像をフーリエ変換して得られる一次成分の設計値からの位相ズレとして求めてもよい。
H_odd(ρp,Ψp)=(Δ/Pmes)λ=[Φ/(2π)]λ …(19)
そして、投影光学系PLの射出瞳上の位置(ρp ,Ψp)での位相分布である波面収差H(ρp,Ψp)は、次のように(18)式の偶関数収差、(19)式の奇関数収差、及びオンボディでは計測しない高次収差よりなるオフセットH_off(ρp,Ψp)の総和である。なお、オフセットH_off(ρp,Ψp)は、例えば予め計算によって求められており、その情報は図1のメモリ51内に記憶されている。
H(ρp,Ψp)=H_even(ρp,Ψp)+H_odd(ρp,Ψp
+H_off(ρp,Ψp) …(20)
次に、(20)式の投影光学系PLの射出瞳(又は瞳面)上の波面収差H(ρp,Ψp)を、(1)式のようにn次(nは9より大きい整数)までのツェルニケ多項式fj(ρp
,Ψp)(j=1〜n)とその係数Zj との積の和で表わすものとする。即ち、ツェルニ
ケ多項式を用いて、波面収差H(ρp,Ψp)の関数フィッティングを行う。投影光学系PLの波面収差の関数フィッティングは、通常は37次までのツェルニケ多項式を用いて行われる。しかしながら、本例は投影光学系PLの収差をオンボディで計測することを想定しているため、経時変化の大きい範囲である比較的低次のツェルニケ多項式まで、例えば16次(n=16)のツェルニケ多項式までの関数フィッティングが行えればよい。実際の投影光学系PLの波面収差は、16次以上のツェルニケ多項式で表される高次の収差成分を含むが、17次以上の成分は実質的に経時変化が生じないので、投影光学系PLの17次以上のツェルニケ多項式で表される収差に依る位相分布は予め計算で求めておき、本例の投影露光装置の固有のオフセットH_off(ρp,Ψp)として記憶しておけばよい。
また、波面収差H(ρp,Ψp)を、n次までのツェルニケ多項式fj(ρp,Ψp)(j=1〜n)を用いて関数フィッティングを行う場合、投影光学系PLの射出瞳(又は瞳面)上のm箇所(mはほぼn又はそれよりも大きい整数)の位置(ρk,Ψk)(k=1〜m)上の計測点で(18)式の偶関数収差及び(19)式の奇関数収差を計測し、その計測値と上記のように予め記憶してあるオフセットH_off(ρk,Ψk)とを加算した結果を波面収差H(ρk,Ψk)とすればよい。このm個の波面収差H(ρk,Ψk)が、本発明の投影光学系の瞳面上での位相情報に対応する。なお、以下では位置(ρk,Ψk)上の計測点を計測点(ρk,Ψk)と呼ぶ。このとき、例えば参考文献("Adaptive optics and optical structures", SPIE, Vol. 1271, p. 80-86 (1990))より、計測点(ρk,Ψk)でのj次のツェルニケ多項式の値fj(ρk,Ψk)(j=1〜n)と、その係数aj (係数Zj に対応する未知数)と、計測誤差εk とを用いると、波面収差H(ρk,Ψk)は次のように表わすことができる。計測誤差εk は、例えば図3の計測用マークPMの描画誤差、ウエハステージWSTのX座標、Y座標の計測誤差、及びスリット板90のフォーカス位置の計測誤差等に基づいて予め求められている位相誤差である。
Figure 2006019691
ここで、計測値である波面収差H(ρk,Ψk)(k=1〜m)を元とするm次元ベクトルをH、表1から計算できるj次のツェルニケ多項式の値fj(ρk,Ψk)(j=1〜n;k=1〜m)を元とするm行×n列の行列をD、未知数である係数aj を元とする未知のn次元ベクトルをA、計測誤差εk を元とするm次元ベクトルをεとすると、(21)式は次の(22)式となる。
H=DA+ε …(22)
図1の主制御装置50は、(22)式を解いてベクトルAのn個の元(係数aj)を求める。これらの係数aj が、投影光学系PLの波面収差をn次までのツェルニケ多項式で表した場合のj次(j=1〜n)のツェルニケ多項式fjの係数となる。これによって、投影光学系PLの波面収差が求められたことになる。
実際に(22)式を解くには、行列Dの転置行列をDT 、ベクトル(H−ε)をGとおくことによって、(22)式を次のように変形する。
(DTD)A=DTG …(23)
そして、この式の両辺にn行×n列の行列(DTD)の逆行列(DTD)-1を乗じることによって、ベクトルAは次のように求めることができる。
A=(DTD)-1TG …(24)
従って、ベクトルAが解けるための条件は、逆行列(DTD)-1が存在することである
。原則として、m=nであれば、ベクトルAは(24)式から一意的に求めることができる。一方、m>nのときは、(22)式は過剰決定体系(overdetermined sysytem)となり、ベクトルAは最小二乗法によって解くことが出来る。(22)式に最小二乗法を適用するためには、ベクトル(H−DA−ε)と、この転置ベクトルとの内積が最小になるようにベクトルAの各元を定めればよい。
なお、収差量の計測再現性を良くするためには条件数(condition number)が小さいほど良い。条件数の最小値は1である。条件数は、次のように行列Dの最大の特異値を最小の特異値で割った結果の平方根であり、その条件数は「Cond(D)」 と表される場合もある。
条件数=(行列Dの最大の特異値/行列Dの最小の特異値)1/2 …(24D)
更に、誤差伝播率行列Edを行列Dを用いて次のように定義する。
Ed=D+(D+T …(24E)
なお、D+ =(DTD)-1T である。誤差伝播率行列Edの各対角成分の平方根はそれぞれツェルニケ係数への誤差伝播率を示しており、その誤差伝播率が小さいほど、そのツェルニケ係数に対応する波面収差の計測誤差が小さくなる。
その後、求められたn次までのツェルニケ多項式で表される収差を相殺するように、主制御装置50は、図2の結像特性補正コントローラ78を含む結像特性制御機構を介して投影光学系PLの収差を補正する(結像特性の補正工程)。その後、補正後の投影光学系PLを介してレチクルRのパターンをウエハW上に露光する(露光工程)ことによって、レチクルRのパターンを高精度に転写できる。
以上の説明は、照明光学系の有効光源が十分に小さくコヒーレント照明と見なせる場合に適用できるが、有効光源の大きさが或る程度大きい場合は、(21)式中のツェルニケ多項式によって決まる値fj(ρk,Ψk)は、その有効光源の面積内の平均値を用いればよい。
[16次までのツェルニケ多項式で表される収差の計測]
次に、(21)式又は(23)式に実際に解が存在して、図1の投影光学系PLの波面収差をn次までのツェルニケ多項式で表される収差に分けて求めることができる場合について説明する。この場合、(21)式において、投影光学系PLの射出瞳(又は瞳面)上で位相情報を計測する計測点(ρk,Ψk)(k=1〜m)の個数mは、n以上にする必要がある。以下では、説明の便宜上、その計測点(ρk,Ψk)は、投影光学系PLの瞳面上の規格化された座標(以下、「規格化瞳座標」と言う)上に設定されているものとする。本発明者は、その規格化瞳座標上で光軸AXを中心とする所定の複数の方向に沿って配置されたm個(m≧n)の位置(ρk,Ψk)に計測点(サンプリングポイント)を設定し、コンピュータのシミュレーションによって(21)式が解けるかどうかを確かめた。即ち、その各計測点(ρk,Ψk)におけるj次のツェルニケ多項式の値fj(ρk,Ψk)(j=1〜n;k=1〜m)を元とするm行×n列の行列をDとして、その転置行列をDT とした場合、n行×n列の行列(DTD)の逆行列(DTD)-1が存在するかどうかを確かめた。その逆行列が存在して(21)式が解ける場合には、(21)式の波面収差H(ρk,Ψk)(k=1〜m)として実際の計測値を代入することによって、n次までのツェルニケ多項式で表される収差の係数aj を求めることができる。
具体的に、n=16の場合、即ち投影光学系PLの波面収差を16次までのツェルニケ多項式で表される収差に分けて求める場合には、(21)式が解を持つための規格化瞳座標上のm個の計測点の配列の一例は、図14(A)〜(F)に示すように、光軸AXを中心として互いに異なる少なくとも6個の方向に沿って配列されるとともに、各方向でそれぞれ動径方向に沿って少なくとも4箇所に配列された計測点SPの配列である。このとき、計測点SPの個数は24個以上であるため、m>nとなっている。
図14(A)は、n=16の場合に(21)式が係数aj の解を持つための、投影光学系PLの規格化瞳座標上での位相情報の計測点SPの配列の一例を示し、この図14(A)において、横軸(X軸)及び縦軸(Y軸)はそれぞれ図3(図5)中のX軸及びY軸に平行であり、座標原点は図1の投影光学系PLの光軸AXに合致している。これは、図14(B)〜(F)、及び後述の図15、図16、図17において共通である。図14(A)において、計測点SPは、光軸AXを中心としてX軸に対してそれぞれ反時計回りに0°、角度φ1、角度φ2、90°、角度φ3、及び角度φ4で交差する6個の方向D1、D2、D3、D4、D5、及びD6に沿って配列されている。ここでは、φ1=30°、φ2=45°、φ3=120°、φ4=135°である。
また、6個の方向D1〜D6において、計測点SPは光軸AXを中心として対称に最外周(ρ=1)まで8個(片側に4個ずつ)配列されているため、全部の計測点SPの個数は48個である。それらの計測点SPでの位相情報を計測するためには、その6個の方向D1〜D6に沿って所定ピッチで形成されるとともに、それぞれ光軸AXに関して対称に±1次回折光等を発生する複数のL&Sパターンを含む計測用パターンを用いる必要がある(詳細後述)。
また、図14(B)の計測点SPは、X軸に対して反時計回りにそれぞれ0°、45°、90°、120°、135°、及び150°で交差する6個の方向の各方向に沿ってそれぞれ8個配列されている。図14(C)の計測点SPは、X軸に対して反時計回りにそれぞれ0°、30°、45°、90°、135°、及び150°で交差する6個の方向の各方向に沿ってそれぞれ8個配列されている。図14(D)の計測点SPは、X軸に対して反時計回りにそれぞれ0°、45°、90°、135°で交差する4個の方向の各方向に沿ってそれぞれ8個配列されるとともに、X軸に対して30°及び150°で交差する2つの方向に沿ってそれぞれ4個配列されている。図14(E)の計測点SPは、X軸に対して反時計回りにそれぞれ0°、45°、90°、135°で交差する4個の方向の各方向に沿ってそれぞれ8個配列されるとともに、X軸に対して30°及び−30°で交差する2つの方向に沿ってそれぞれ4個配列されている。図14(F)の計測点SPは、X軸に対して反時計回りにそれぞれ0°、30°、60°、90°、120°、及び150°で交差する6個の方向D1、D2、D3A、D4、D5、及びD6Aの各方向に沿ってそれぞれ8個配列されている。
図14(A),(B),(C),(D),(E)及び(F)の条件数は、それぞれ3.298、7.522×107、3.498、56.73、46.673及び2.301であり、計測再現性の最も良好なものは、図14(F)の配列である。しかしながら、実際の投影露光装置では、X軸に対して0°又は90°で交差する方向を周期方向とするパターンの他に、X軸に対して45°で交差する方向を周期方向とするパターンも頻繁に転写対象となる。そこで、本例では、計測点SPの配列として、X軸に対して45°で交差する方向に沿って配列された計測点を含む配列の中で、逆行列の安定性が最も高い図14(A)の配列を採用する。
次に、図14(A)の投影光学系PLの規格化瞳座標上の全部の計測点SPの位相情報を計測するためには、図3のレチクルマーク板RFM又はテストレチクル(不図示)上に、それらの全部の計測点SPを通過するような回折光を発生する計測用パターンを形成しておけばよい。図18は、図14(A)の6個の方向D1〜D6に沿って配列された計測点SPを通過する回折光を発生するための計測用パターンの一例を示している。図18の計測用パターンは、図3のレチクルマーク板RFMのパターン面に形成されたものであるが、その計測用パターンをレチクルRの代わりにレチクルステージRST上にロードされるテストレチクルに形成しておいてもよい。そのテストレチクルが本発明のマスクに対応する。
図18において、レチクルマーク板RFMの付属マーク領域61には、ベストフォーカス位置計測用のX軸のマーク62X及びY軸のマーク62Y(フォーカス用マーク)と、投影像の位置計測用のX軸のマーク63X及びY軸のマーク63Y(像位置用マーク)とが形成されている。付属マーク領域61の大きさは、投影光学系PLによる投影像で表わすとほぼ60μm角であり、マーク62X,62Y,63X,63Yの配置は投影像の状態での配置を表している。また、前者のマーク62X及び62Yの投影像が図5の像62XP及び62YPであり、後者のマーク63X及び63Yの投影像が図5の像63XP及び63YPである。図5において、X軸のマークの像62XP及び63XPに対してスリット122bをX方向に走査し、Y軸のマークの像62YP及び63YPに対してスリット122aをY方向に走査して、それらの空間像の光強度分布を計測することによって、上述のように、レチクルマーク板RFMの投影像のデフォーカス量、及びその付属マーク領域61の像のX方向、Y方向の位置を計測することができる。
また、レチクルマーク板RFMの付属マーク領域61に近接した領域に、X方向に次第に小さくなるピッチで形成されてデューティ比が1:1の5個のL&Sパターン(ラインアンドスペースパターン)2A,2B,2C,2D,2Eを含む第1の周期マーク1Aが形成され、この周期マーク1Aの−X方向側にX方向に次第に小さくなるピッチで形成さ
れてデューティ比が1:1の6個のL&Sパターン6A,6B,6C,6D,6E,6Fを含む第1の周期マーク5Aが形成されている。即ち、周期マーク1A及び5A(周期的マーク)の周期方向はX方向であり、周期マーク1A及び5Aは、X軸に平行に配列されている。
図19(A)は、周期マーク1A中の5個のL&Sパターン2A〜2Eを示す拡大図であり、図19(A)において、3番目以降のL&Sパターン2C〜2Eの一部は更に拡大図A1〜A3で表されている。この場合、L&Sパターン2A〜2Eはそれぞれ遮光膜中に複数本のラインパターン(線状の開口パターン)を形成したものである。そして、1番目のL&Sパターン2AのピッチをP1とすると、2番目以降のL&Sパターン2B,2C,2D,2EのピッチはそれぞれP1/3,P1/5,P1/7,P1/9に設定されている。即ち、2番目以降のL&Sパターン2B〜2Eのピッチは、1番目のL&Sパターン2AのピッチP1の奇数分の1に設定されており、L&Sパターン2Aが第1パターンに対応し、L&Sパターン2B〜2Eが第2パターンに対応している。
また、図19(B)は、周期マーク5A中の6個のL&Sパターン6A〜6Fを示す拡大図であり、図19(B)において、3番目以降のL&Sパターン6C〜6Fの一部は更に拡大図B1〜B4で表されている。この場合、L&Sパターン6A〜6Fは、それぞれ遮光膜中に複数本のラインパターン(線状の開口パターン)を形成したものである。そして、1番目のL&Sパターン6AのピッチをP3とすると、2番目以降のL&Sパターン6B,6C,6D,6E,6FのピッチはそれぞれP3/3,P3/5,P3/7,P3/9,P3/11に設定されている。即ち、2番目以降のL&Sパターン6B〜6Fのピッチは、1番目のL&Sパターン6AのピッチP3の奇数分の1に設定されており、L&Sパターン6Aが第1パターンに対応し、L&Sパターン6B〜6Fが第2パターンに対応している。本例では、ピッチP1=2160nm、ピッチP3=2640nmに設定されている。その結果、L&Sパターン2A〜2E及びL&Sパターン6A〜6Fの線幅及びラインパターンの本数は、それぞれ次の表3(A)の上段及び下段に示す値となる(1nm以下の端数は四捨五入されている)。また、L&Sパターン2A〜2E及び6A〜6Fの周期方向に直交する方向の長さは4μmに、即ち図5のスリット9B,9C,9E,9Fの長さ(3μm)よりも30%程度長く設定されている。なお、本例で使用されるパターンの長さ、線幅、及びピッチは、全て投影光学系PLによる空間像における値で表されている。
Figure 2006019691
表3(A)より、L&Sパターン2A〜2Eの線幅は、最大の1080nmから次第に120nm(ピッチで240nm)まで小さくなり、L&Sパターン6A〜6Fの線幅は、最大の1320nmから次第に120nm(ピッチで240nm)まで小さくなっている。そして、L&Sパターン2A〜2E中で最も小さいピッチP1/9と、L&Sパターン6A〜6F中で最も小さいピッチP3/11とは等しく240nmに設定されている。また、L&Sパターン2A〜2Eのそれぞれのラインパターンの本数は、L&Sパターン2A〜2Eの周期方向(計測方向)の長さ(ひいては面積)が互いにほぼ等しくなるように設定されている。即ち、L&Sパターン2A〜2Eの周期方向(計測方向)の長さは共通にほぼ10μmに設定されている。
L&Sパターン2A〜2Eから発生する回折光の投影光学系PLの瞳面上での大きさは、それらのL&Sパターン2A〜2Eによる回折パターンと、照明光学系中の2次光源の大きさとのコンボリューションで決まる大きさである。本例のL&Sパターン2A〜2Eは互いにほぼ同じ大きさであるため、L&Sパターン2A〜2Eからの回折光の強度が互いにほぼ同じとなり、回折光の強度の相違による計測誤差を低減できる。なお、仮に図19(B)のL&Sパターン6A〜6Fの大きさが異なって、L&Sパターン6A〜6Fからの回折光の強度が所定の許容範囲を超えて異なる場合に、投影光学系PLの収差の計測誤差を最小限にするためには、一例として(21)式中のツェルニケ多項式の値fj(ρk,Ψk)(j=1〜n)として、そのツェルニケ多項式の値を対応する回折光の強度分布で重み付けして平均化した値を用いればよい。
図18に戻り、周期マーク1Aの上方に、それぞれ周期マーク1A及び5Aを反時計回りに角度φ1だけ回転した形状の第2の周期マーク1B及び5Bが平行に形成され、周期マーク1Aの下方に、それぞれ周期マーク1A及び5Aを反時計回りに角度φ2だけ回転した形状の第3の周期マーク1C及び5Cが平行に形成されている。また、周期マーク1A及び5Aの間に、Y軸に平行にそれぞれ周期マーク1A及び5Aを時計回りに90°だけ回転した形状の第4の周期マーク1D及び5Dが平行に形成されている。更に、周期マーク5Aの上方に、それぞれ周期マーク1A及び5Aを反時計回りに角度φ3だけ回転した形状の第5の周期マーク1E及び5Eが平行に形成され、周期マーク5Aの下方に、それぞれ周期マーク1A及び5Aを反時計回りに角度φ4だけ回転した形状の第6の周期マーク1F及び5Fが平行に形成されている。本例の角度φ1、φ2、φ3、及びφ4は、それぞれ図14(A)中の対応する角度と同じく30°、45°、120°、及び135°である。
図18のレチクルマーク板RFMにおいて、周期マーク1A,1B,1C,1D,1E,1Fを+Y方向に平行移動した位置にそれぞれ周期マーク3A,3B,3C,3D,3E,3Fが形成され、周期マーク5A,5B,5C,5D,5E,5Fを+Y方向に平行移動した位置にそれぞれ周期マーク7A,7B,7C,7D,7E,7Fが形成されている。そして、周期マーク3A〜3Fの周期方向は周期マーク1A〜1Fの周期方向と平行であり、周期マーク3A〜3F内には周期方向に対して次第に小さくなるピッチでデューティ比が1:1の5個のL&Sパターン4A,4B,4C,4D,4Eが形成されている。また、周期マーク7A〜7Fの周期方向は周期マーク5A〜5Fの周期方向と平行であり、周期マーク7A〜7F内には周期方向に対して次第に小さくなるピッチでデューティ比が1:1の6個のL&Sパターン8A,8B,8C,8D,8E,8Fが形成されている。
図19(A)に示すように、周期マーク3A内の1番目のL&Sパターン4AのピッチをP2とすると、2番目以降のL&Sパターン4B,4C,4D,4EのピッチはそれぞれP2/3,P2/5,P2/7,P2/9に設定されている。即ち、2番目以降のL&
Sパターン4B〜4Eのピッチは、1番目のL&Sパターン4AのピッチP2の奇数分の1に設定されており、L&Sパターン4Aが第1パターンに対応し、L&Sパターン4B〜4Eが第2パターンに対応している。また、図19(B)に示すように、周期マーク7A内の1番目のL&Sパターン8AのピッチをP4とすると、2番目以降のL&Sパターン8B,8C,8D,8E,8FのピッチはそれぞれP4/3,P4/5,P4/7,P4/9,P4/11に設定されている。即ち、2番目以降のL&Sパターン8B〜8Fのピッチは、1番目のL&Sパターン8AのピッチP4の奇数分の1に設定されており、L&Sパターン8Aが第1パターンに対応し、L&Sパターン8B〜8Fが第2パターンに対応している。本例では、L&Sパターン4AのピッチP2は、L&Sパターン2AのピッチP1よりも大きく設定され、L&Sパターン8AのピッチP4は、L&Sパターン6AのピッチP3よりも大きく設定されている。一例として、ピッチP2=3240nm、ピッチP4=3960nmに設定されている。その結果、L&Sパターン4A〜4E及びL&Sパターン8A〜8Fの線幅及びラインパターンの本数は、それぞれ表3(B)の上段及び下段に示す値となっている(1nm以下の端数は四捨五入されている)。
表3(B)より、L&Sパターン4A〜4Eの線幅は、最大の1620nmから次第に180nm(ピッチで360nm)まで小さくなり、L&Sパターン8A〜8Fの線幅は、最大の1980nmから次第に180nm(ピッチで360nm)まで小さくなっている。そして、L&Sパターン4A〜4E中で最も小さいピッチP2/9と、L&Sパターン8A〜8F中で最も小さいピッチP4/11とは等しく360nmに設定されている。
図18中のそれぞれ6個の周期マーク1A〜1F、5A〜5F、3A〜3F、及び7A〜7Fの周期方向は、それぞれ図14(A)の投影光学系PLの規格化瞳座標上の計測点SPが配列された方向D1〜D6に平行である。また、周期マーク1A〜1F及び3A〜3Fはそれぞれ5個のL&Sパターン2A〜2E及び4A〜4Eを含んでいる、従って、図3の照明光ILで図18の計測用パターンを照明すると、周期マーク1A,1B,1C,1D,1E,1F、及び周期マーク3A,3B,3C,3D,3E,3Fからの±1次回折光は、それぞれ図14(A)の規格化瞳座標上の6個の方向D1,D2,D3,D4,D5,D6に沿って配列された10個(片側で5個)の位置を通過する。そのため、それらの±1次回折光が通過する位置が計測点SPとなる。この際に、周期マーク1A〜1F(3A〜3F)中の第1のL&Sパターン2A(4A)からの±1次回折光を位相の基準にすると、各方向D1〜D6において実質的に位相情報の計測ができる計測点SPの個数は、それぞれ図14(A)と同じく8個(片側で4個)になる。
一方、図18の周期マーク5A〜5F及び7A〜7Fはそれぞれ6個のL&Sパターン6A〜6F及び8A〜8Fを含んでいるため、周期マーク5A〜5F及び7A〜7Fからの±1次回折光は、それぞれ図14(A)の規格化瞳座標上の方向D1〜D6に沿って配列された12個(片側で6個)の位置を通過する。そして、それらの±1次回折光が通過する位置が計測点SPとなる。この際に、例えば周期マーク5A〜5F(7A〜7F)中の第1のL&Sパターン6A(8A)からの±1次回折光を位相の基準にすると、各方向D1〜D6において実質的に位相情報の計測ができる計測点SPの個数は、それぞれ図14(A)よりも多い10個(片側で5個)となる。従って、周期マーク5A〜5F又は7A〜7Fを用いて位相情報を計測する場合には、より高次のツェルニケ多項式によって表される収差の情報を求めることができる。
また、図18において、−Y方向側の周期マーク1A〜1F内のL&Sパターン2A〜2E及び周期マーク5A〜5F内のL&Sパターン6A〜6Fの最小ピッチは、+Y方向側の周期マーク3A〜3F内のL&Sパターン4A〜4E及び周期マーク7A〜7F内のL&Sパターン8A〜8Fの最小ピッチよりも小さく設定されている。この場合、よりピッチの小さい周期マークからの回折光ほど投影光学系PLの瞳面において外側の領域を通過するため、投影光学系PLの収差計測時には、−Y方向側の周期マーク1A〜1F及び5A〜5Fと、+Y方向側の周期マーク3A〜3F及び7A〜7Fとのうちで、その最小ピッチが転写対象のレチクルのパターンの最小ピッチにより近い方の周期マークを用いるようにしてもよい。これによって、実際の露光対象のレチクルのパターンを投影光学系PLを介して転写する際の収差に近い収差を計測できる。なお、6個の周期マークを全て使って、各々の設計位置からの位相ズレ量を計測する場合には、周期マークの描画誤差が問題になる可能性がある。この場合には、レチクル寸法測定装置で位相ズレ量を計測しておき、設計位置を補正することが望ましい。
次に、図18のレチクルマーク板RFM上の周期マーク1A〜1F及び5A〜5F(又は周期マーク3A〜3F及び7A〜7F)から発生して、図14(A)の投影光学系PLの規格化瞳座標上で6個の方向D1〜D6に沿って配列された複数の計測点SPを通過した回折光の位相情報を計測するためには、周期マーク1A〜1F及び5A〜5F(又は周期マーク3A〜3F及び7A〜7F)の空間像と図3のスリット板90上の所定のスリット(開口パターン)とをそれぞれ周期方向に走査して、図3の空間像計測装置59によってそれらの空間像の光強度分布情報を求めればよい。そして、その光強度分布情報から上記の(18)式の偶関数収差及び(19)式の奇関数収差を求めることで、(20)式の波面収差H(ρp,Ψp)を求めることができる。この波面収差H(ρp,Ψp)(p=k)を(21)式に代入することで、n次までのツェルニケ多項式によって表される収差を求めることができる。
そのための図3のスリット板90上のスリットとしては、上述の図5の6個の収差計測用のスリット9A(スリット122b)、スリット9B、スリット9C、スリット9D(スリット122a)、スリット9E、及びスリット9Fを使用できる。この場合、6個のスリット9A,9B,9C,9D,9E及び9Fの計測方向(空間像に対する相対走査方向)は、それぞれX軸に対して反時計回りに0°、30°、45°、90°、120°及び135°で交差しているため、これらのスリット9A〜9Fを用いて図14(A)の6個の方向D1〜D6に沿って配列された計測点SPを通過する回折光を検出することができる。
具体的に、例えば図18の周期マーク1A〜1F中のL&Sパターン2A〜2Eから発生して、図14(A)の対応する計測点SPを通過した回折光を検出する場合につき説明する。この場合、図18の周期マーク1A〜1Fをその投影像とみなすと、先ず周期マーク1Aの投影像の周期方向(ここではX方向)の端部に、点線で示すように図5のスリット9Aを移動した後、図3のウエハステージWSTを駆動してスリット9Aで周期マーク1A中のL&Sパターン2A〜2Eの像をその周期方向に平行な計測方向に走査して光強度分布を計測する。次に、図18の周期マーク1Bの投影像の周期方向(ここではX軸に対して角度φ1で交差する方向)の端部にスリット9Bを移動した後、スリット9Bで周期マーク1B中のL&Sパターン2A〜2Eの像をその周期方向に平行な計測方向に走査して光強度分布を計測する。同様に、図18の周期マーク1C〜1Fの投影像の周期方向の端部にスリット9C〜9Fを順次移動した後、それぞれスリット9C〜9Fで周期マーク1C〜1F中のL&Sパターン2A〜2Eの像をその周期方向に平行な計測方向に走査して光強度分布を計測する。これらの6回の走査によって得られる光強度分布の情報は、図14(A)の6個の方向D1〜D6に沿って配列された全部の計測点SPを通過する回折光の位相情報を含んでいる。
同様に、図18の周期マーク5A〜5F、周期マーク3A〜3F、及び周期マーク7A〜7Fの投影像に対してそれぞれスリット9A〜9Fを周期方向である計測方向に走査することで、対応する図14(A)の計測点SPを通過する回折光による光強度分布を計測できる。
次に、図19(A)に示すように、周期マーク1Aにおいては、2番目以降の周期マーク2B〜2Eのピッチは、それぞれ第1のL&Sパターン2Aの3次、5次、7次、9次の奇数次の高調波に相当するピッチである。これは他の周期マーク3A,5A,7Aも同様である。この場合、L&Sパターン2A〜2Eはデューティ比が1:1であるため、L&Sパターン2Aの投影像の光強度分布には、偶数次の高調波成分は含まれていないが、上記の奇数次の高調波成分は全て含まれている。そこで、本例ではこの関係を用いて、予め次のようにして図18の計測用パターンの製造誤差を求めておく。即ち、例えば波面収差が計測済みの基準となる投影光学系(所定の投影光学系)を用いて、周期マーク1A中のL&Sパターン2A〜2Eのその基準となる投影光学系による空間像の光強度分布を求めておく。なお、計測用パターンの製造誤差は、一つの周期マークの高調波の位相と、高調波と同じピッチのマークの位相差とを計測して求めてもよい。また、計測用パターンの製造誤差は、各周期マークごとの基本波成分の絶対位相を計測して求めてもよい。
図20(A)は、L&Sパターン2A〜2Eの一部のパターンに対してスリット9Aを周期方向であるX方向に走査する状態を示し、図20(B)は、そのスリット9Aの走査によって得られる光電変換信号S1(光強度分布)を示す。本例ではその光電変換信号S1をフーリエ解析することによって、図20(C)に示すフーリエ成分S2を求める。図20(B)及び(C)において、横軸は周期方向(計測方向で、ここではX方向)の位置である。
この場合、第1のL&Sパターン2Aに関しては、フーリエ成分S2として、ピッチP1の基本波成分SA1と、3次、5次、7次、9次、11次の奇数次の高調波成分SA3,SA5,SA7,SA9,SA11(図11(C)では3次の高調波成分SA3のみが現れている)とを求める。また、2番目以降のL&Sパターン2B〜2Eに対しては、フーリエ成分S2としてそれぞれピッチP1/3〜P1/9の基本波成分SB1〜SE1(図11(C)ではSB1のみが現れている)のみを求める。この際に、その基準となる投影光学系の既知の波面収差を用いて、それらのフーリエ成分S2のX方向の位置ずれ量を補正することが望ましい。
次に、第1のL&Sパターン2Aを基準パターン(レファレンス)とみなして、その第1のL&Sパターン2Aの基本波成分SA1に対する、その奇数次の高調波成分SA3,SA5,SA7,SA9,SA11の位相差ΔA3,ΔA5,ΔA7,ΔA9,ΔA11を求め、これらの位相差を真の位相差(第1の位相差)として記憶する。また、第1のL&Sパターン2Aの基本波成分SA1に対する、第2以降のL&Sパターン2B〜2Eの基本波成分SB1〜SE1の位相差ΔB1,ΔC1,ΔD1,ΔE1を求め、これを測定位相差(第2の位相差)として記憶する。更に、その測定位相差からその真の位相差を差し引いて得られる位相差をマーク依存位相誤差(計測用パターンの位相オフセット)ΔB2,ΔC2,ΔD2,ΔE2として求め、そのマーク依存位相誤差を図1の記憶装置としてのメモリ51に記憶する。従って、次式が成立する。
ΔB2=ΔB1−ΔA3,…,ΔE2=ΔE1−ΔA9 …(31)
なお、図18の計測用パターンがテストレチクル又は実露光用のレチクルの一部に形成されている場合には、そのマーク依存位相誤差は、レチクル依存位相誤差として対応するレチクルの識別コードとともに記憶される。これらのマーク依存位相誤差(又はレチクル依存位相誤差)を用いることで、計測用パターンの描画誤差(又はレチクルの製造誤差)に起因する収差の測定誤差を補正できる。
図20(A)及び図20(C)において、例えば第2のL&Sパターン2Bの像2BP(基本波成分SB1)の位置は、本来の位置である第1のL&Sパターン2Aの像2APの点線で示す3次高調波SA3の位置に対してδBXだけ横ずれしているものとする。こ
の際に、(31)式によって計算されるマーク依存位相誤差ΔB2は、その横ずれ量δBXとなる。
そして、実際に本例の投影光学系PLの収差をオンボディで計測する際には、第1の方法として、図20(B)と同様にL&Sパターン2A〜2Eの投影光学系PLによる像の光電変換信号S1を求める。そして、図1の主制御装置50(演算装置)は、その光電変換信号S1をフーリエ解析することによって、図20(C)に対応するフーリエ成分として、第1のL&Sパターン2Aに関しては、基本波成分SA1’と、3次〜9次、11次の奇数次の高調波成分SA3’〜SA9’,SA11’とを求める。また、2番目以降のL&Sパターン2B〜2Eに対しては、基本波成分SB1’〜SE1’のみを求める。
次に、主制御装置50は、第1のL&Sパターン2Aの基本波成分SA1’に対する、その奇数次の高調波成分SA3’〜SA11’の位相差ΔA3’〜ΔA11’(真の位相差)と、第1のL&Sパターン2Aの基本波成分SA1’に対する、第2以降のL&Sパターン2B〜2Eの基本波成分SB1’〜SE1’の位相差ΔB1’〜ΔE1’(測定位相差)とを求める。更に主制御装置50は、その測定位相差からその真の位相差を差し引いて得られる位相差から、メモリ51に記憶してあるマーク依存位相誤差ΔB2〜ΔE2を差し引くことによって、L&Sパターン2Aの像に対するL&Sパターン2B〜2Eの像の位相差を求める。この際に、マーク依存位相誤差の補正を行っているため、より高精度に投影光学系PLの収差を求めることができる。なお、マーク依存位相誤差は、別途専用の計測装置でマーク位置を計測しておいても良い。また、各パターンの設計位置からの位相ズレを計測してもよい。
また、実際に本例の投影光学系PLの収差をオンボディで計測するための第2の方法として、図1の主制御装置50は、上記の光電変換信号S1をフーリエ解析することによって、全部のL&Sパターン2A〜2Eの基本波成分SA1’〜SE1’のみを求めてもよい。この際に基本波成分は振幅が大きいため、光電変換信号のSN比が高い状態で高精度に求めることができる。続いて、主制御装置50は、第1のL&Sパターン2Aの基本波成分SA1’に対する、第2以降のL&Sパターン2B〜2Eの基本波成分SB1’〜SE1’の位相差ΔB1’〜ΔE1’(測定位相差)を求め、この測定位相差からメモリ51に記憶してあるマーク依存位相誤差ΔB2〜ΔE2を差し引くことによって、高精度にL&Sパターン2Aの像に対するL&Sパターン2B〜2Eの像の位相差を求めることができる。
なお、本例の投影光学系PLの計測対象の収差が、9次を超えて16次より小さい次数までのツェルニケ多項式で表される収差である場合には、図14(A)の投影光学系PLの規格化瞳座標上で、例えば方向D1、D3、D4、D6よりなる4つの方向に沿ってそれぞれ8個ずつ配列された計測点における位相情報を求めるだけでもよい。このためには、図18の計測用パターン中の例えば4つの周期マーク1A,1C,1D,1Fからの回折光を、図5のスリット板90上の4個のスリット9A,9C,9D,9F、即ち計測方向がX軸に対して0°、45°、90°、及び135°で交差する4個のスリット(開口パターン)を介して検出すればよい。
[より高次のツェルニケ多項式で表される収差の計測]
更に、本発明者は、投影光学系PLの波面収差を16次を超えるツェルニケ多項式で表すために、そのツェルニケ多項式の最高次数であるnが16よりも大きい場合に、(21)式(又は(23)式)で実際に係数aj の解が存在するための、投影光学系PLの規格化瞳座標上での位相情報の計測点の配列をコンピュータのシミュレーションによって求めた。上述のように、(21)式に解が存在する条件は、その規格化瞳座標上に配置されたm個(m≧n)の計測点(ρk,Ψk)におけるj次のツェルニケ多項式の値fj(ρk,Ψk)(j=1〜n;k=1〜m)を元とするm行×n列の行列をDとして、その転置行列をDT とした場合、n行×n列の行列(DTD)の逆行列(DTD)-1が存在することである。
先ず、n=36の場合、即ち投影光学系PLの波面収差を36次までのツェルニケ多項式で表す場合には、(21)式が解を持つための規格化瞳座標上のm個の計測点の配列の一例は、図15(A),(B),(C)に示すように、光軸(0,0)を中心として互いに異なる6個の方向に沿って配列されるとともに、各方向でそれぞれ光軸を中心として対称に12箇所(片側で6箇所)に配列された計測点SPである。このとき、計測点SPの個数は72(=6×12)個である。
また、これらの計測点SPに回折光を生ずるための計測用パターンの一例は、互いに周期方向の異なる6個の周期的マークを含み、更に各周期的マークが互いピッチの異なる6個のマークを含むものである。また、それらの計測点SPを通過した回折光を検出するための図3のスリット板90のスリット(開口パターン)としては、図5の6方向のスリット9A〜9Fを使用することができる。また、スリットの代わりにピンホールを使用してもよい。ピンホールであれば一つでも全ての方向からの回折光を検出することができる。
具体的に、図15(A)の計測点SPは、光軸の回りに等角度間隔で配置された6方向に沿って配置され、図15(B)の計測点SPは、横軸に対してそれぞれ0°、30°、45°、90°、135°、及び150°で交差する6方向に沿って配置され、図15(C)の計測点SPは、横軸に対してそれぞれ0°、30°、45°、90°、120°、及び135°で交差する6方向に沿って配置されている。また、図14の例と同様に、上記の逆行列(DTD)-1の安定性を表わす条件数は、図15(A),(B),及び(C)の配列においてそれぞれ3.65、3.684、及び3.753である。その条件数が小さい程、計測再現性が良好である。図15(A),(B),(C)の例の計測再現性はほぼ同じである。
次に、n=37の場合、即ち投影光学系PLの波面収差を37次までのツェルニケ多項式で表す場合には、(21)式が解を持つための規格化瞳座標上のm個の計測点の配列の一例は、図16(A),(B),(C)に示すように、光軸(0,0)を中心として互いに異なる6個の方向に沿って配列されるとともに、各方向でそれぞれ光軸を中心として対称に14箇所(片側で7箇所)に配列された計測点SPである。このとき、計測点SPの個数は84(=6×14)個である。
また、これらの計測点SPに回折光を生ずるための計測用パターンの一例は、互いに周期方向の異なる6個の周期的マークを含み、更に各周期的マークが互いピッチの異なる7個のマークを含むものである。また、それらの計測点SPを通過した回折光を検出するための図3のスリット板90のスリット(開口パターン)としては、図5の6方向のスリット9A〜9F又はピンホールを使用することができる。
具体的に、図16(A)、図16(B)、及び図16(C)の計測点SPの配列された6個の方向は、それぞれ図15(A)、図15(B)、及び図15(C)の6個の方向と同じ方向である。また、上記の逆行列(DTD)-1の安定性を表わす条件数は、図16(A),(B),及び(C)の配列においてそれぞれ5.594、5.621、及び5.688である。図16(A),(B),(C)の例の安定性は互いにほぼ同じである。
さらに、投影光学系PLの波面収差を37次までのツェルニケ多項式で表す場合に、(21)式が解を持つための規格化瞳座標上の計測点の配列の別の例は、図14(G)に示すように、光軸(0,0)を中心として互いに異なる6個の方向に沿って配列されるとともに、方向によってピッチが変化するように配置された計測点SPである。図14(G)の配列の計測点SPは、0°、45°、90°、135°の方向にはほぼ等ピッチで配置され、30°、120°の方向では規格化瞳座標上の外側付近に集中して配置されている。なお、逆に、30°、120°の方向では計測点SPをほぼ等ピッチで配置して、0°、45°、90°、135°の方向では規格化瞳座標上の外側付近に集中して配置してもよい。このように所定の方向で計測点の配置を瞳座標上の外側付近に集中させることによって、上記の逆行列(DTD)-1の安定性を表わす条件数の値が小さくなって、計測再現性を向上させることができる。
この場合、図14(G)の配列のように、規格化瞳座標上で計測点を外側付近に集中させる方向を30°及び120°の方向とすることによって、ツェルニケ多項式の角度成分が1θの正弦及び余弦となる収差成分(1θ成分)等のように、投影光学系PLのレンズの変動をモニターする際に重要な収差成分の計測精度を高めることができる。
また、その収差計測時の照明方法としては、照明光の中心を光軸に対して傾斜させる照明(テレセントリック性を崩した照明)よりも輪帯照明の方が良い。更に、外側の照明サイズが同じであれば、通常の小σ照明よりも輪帯照明の方が上記の条件数が低くなるために、輪帯照明の方が良い。なお、照明σが大きさをもつとき、(21)式の計測値H(ρk,Ψk)及びfj(ρk,Ψk)は照明σの大きさの平均値を用いることになる。
次に、投影光学系PLの1θ成分よりなるコマ収差と、より高次のコマ収差とを含む所定の波面収差を計測する(ツェルニケ多項式で表す)場合に、(21)式が解を持つための規格化瞳座標上の計測点の配列の例は、図14(H)に示すように、光軸(0,0)を中心として0°及び90°の方向に沿って配列されるとともに、規格化瞳座標の外側でピッチが小さくなるように配置された計測点SPである。この場合の計測マークとしては、図16(A)〜(C)に示すように37次までのツェルニケ多項式で表される収差を求める場合の計測マークのうちの、0°及び90°の方向に配列された計測マークを使用できる。この場合の照明条件は、輪帯照明とした。この図14(H)の位相情報の計測点の配列によって、表1中のZ,Z,Z,Z,Z14,Z15,Z23,Z24,Z34,及びZ35のツェルニケ多項式で表われる収差を計測できる。
次に、n=49の場合、即ち投影光学系PLの波面収差を49次までのツェルニケ多項式で表す場合には、(21)式が解を持つための規格化瞳座標上のm個の計測点の配列の一例は、図17(A)に示すように、光軸(0,0)を中心として互いに異なる7個の方向に沿って配列されるとともに、各方向でそれぞれ光軸を中心として対称に14箇所(片側で7箇所)に配列された計測点SPである。このとき、計測点SPの個数は98(=7×14)個である。また、これらの計測点SPに回折光を生ずるための計測用パターンの一例は、互いに周期方向の異なる7個の周期的マークを含み、更に各周期的マークが互いピッチの異なる7個のマークを含むものである。
次に、n=81の場合、即ち投影光学系PLの波面収差を81次までのツェルニケ多項式で表す場合には、(21)式が解を持つための規格化瞳座標上のm個の計測点の配列の一例は、図17(B)に示すように、光軸(0,0)を中心として互いに異なる9個の方向に沿って配列されるとともに、各方向でそれぞれ光軸を中心として対称に18箇所(片側で9箇所)に配列された計測点SPである。このとき、計測点SPの個数は162(=9×18)個である。また、これらの計測点SPに回折光を生ずるための計測用パターンの一例は、互いに周期方向の異なる9個の周期的マークを含み、更に各周期的マークが互いピッチの異なる9個のマークを含むものである。
次に、n=121の場合、即ち投影光学系PLの波面収差を121次までのツェルニケ多項式で表す場合には、(21)式が解を持つための規格化瞳座標上のm個の計測点の配列の一例は、図17(C)に示すように、光軸(0,0)を中心として互いに異なる11個の方向に沿って配列されるとともに、各方向でそれぞれ光軸を中心として対称に22箇所(片側で11箇所)に配列された計測点SPである。このとき、計測点SPの個数は242(=11×22)個である。また、これらの計測点SPに回折光を生ずるための計測用パターンの一例は、互いに周期方向の異なる11個の周期的マークを含み、更に各周期的マークが互いピッチの異なる11個のマークを含むものである。なお、図17(A),(B),(C)の計測点SPは、それぞれ光軸を中心として等角度間隔で配列された複数の方向に沿って配置されている。
なお、図17(A),(B),及び(C)の計測点SPを通過した回折光を検出するためには、それぞれ7方向、9方向、及び11方向を走査方向とするスリット、又はピンホールを使用できる。また、上記の逆行列(DTD)-1の安定性を表わす条件数は、図17(A),(B),及び(C)の配列においてそれぞれ5.599、15.404、及び47.072である。
また、図14、図15、及び図17の計測点SPの配列を一般化すると、投影光学系PLの波面収差をN次(Nは16以上の整数)までのツェルニケ多項式によって表わす場合には、N1/2 を超えない最大の整数をMとしたとき、投影光学系PLの瞳面上での位相情報の計測点は、投影光学系PLの光軸を中心とした互いに異なる少なくともM個の方向に沿って配列されるとともに、各方向において少なくともM箇所に配列される。更に、その計測点は、各方向において、光軸を中心として対称に2×M箇所に配列されることが望ましい。このような計測点SPに回折光を生じる計測用パターンの一例は、互いに周期方向の異なるM個の周期的マークを含み、更に各周期的マークが互いピッチの異なるM個のマークを含むものである。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態につき図21を参照して説明する。本例の投影露光装置は、図1〜図3を参照して説明した第1の実施形態の投影露光装置と同様であり、計測用パターンとしても図18のパターンが使用されるが、本例の投影露光装置は、図3の空間像検出用のスリット板90上のスリット(開口パターン)の形状及び配置が異なっている。以下、図21において図5に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図21は、本例のスリット板90上に形成された開口パターンとしての複数のスリットの配置を示し、この図21において、スリット板90上には、Y方向に伸びるスリット幅2Dで長さL2のスリット122bと、このスリット122bを90°回転した形状のX方向に伸びるスリット122aとが形成されている。更に、スリット板90上には、それぞれ幅2Dで長さL1の6個の収差計測用のスリット9A,9B,9C,9D,9E,9Fが形成されている。この場合、スリット9A及び9Dはそれぞれスリット122b及び122aの延長上に配置され、残りの4個のスリット9B,9C,9F,9Eはほぼ正方形の4個の頂点の位置にあり、1組のスリット122b及び9Aと、別の1組のスリット122a及び9Dとはほぼその正方形の隣り合う2辺を構成している。また、その正方形のほぼ中心に直径がほぼ4Dのピンホール123が形成されている。これらのスリット122a,122b,9A〜9F、及びピンホール123を通過した照明光は、図3の光センサ94で受光される。この場合、スリット122a及び9D、スリット122b及び9A、スリット9B、スリット9C、スリット9E、スリット9F、並びにピンホール123を通過した照明光を個別に検出するために、例えばスリット板90の底面にスリット選択部材としての液晶パネルを設けて、選択された1組若しくは一つのスリット、又はピンホールを通過した照明光のみが光センサ94に入射するようにしてもよい。
本例では、各スリット像のスリット幅2Dは100nm程度、スリット122a,122bの長さL2は8μm程度、スリット9A〜9Fの長さL1は3μm程度である。これらのスリット幅及び長さは、投影像の段階での値である。また、スリット122aとスリット9Dとの間隔、及びスリット122bとスリット9Aとの間隔はそれぞれ1〜2μm程度である。この場合、スリット122a及び122bは、ともに第1の実施形態と同様にベストフォーカス位置のキャリブレーション及びマーク像の位置計測を行うために使用される。また、スリット122a及び122bを使用する際には、それぞれその延長上にある収差計測用のスリット9D及び9Aも同時に使用される。即ち、図18のベストフォーカス位置計測用及び像位置計測用のX軸のマーク62X,63Xの投影像を検出する際には、図21のスリット122b及び9Aによってその投影像が走査される。また、ベストフォーカス位置計測用及び像位置計測用のY軸のマーク62Y,63Yの投影像を検出する際には、スリット122a及び9Dによってその投影像が走査される。このようにスリット122a及び122bに対してそれぞれ収差計測用のスリット9D及び9Aを同時に使用することによって、ベストフォーカス位置及び像位置の計測時に十分な光量を確保することができ、計測再現性が向上する。
また、図21の収差計測用のスリット9A,9B,9C,9D,9E,及び9Fの長手方向(配列方向)は、それぞれX軸に対して反時計回りに90°、φ5、φ6、0°、φ7、及びφ8で交差する方向である。この場合、各スリット9A〜9Fは、対応する空間像に対してその長手方向に直交する方向(計測方向)に相対的に走査される。言い換えると、6個のスリット9A,9B,9C,9D,9E,及び9Fの計測方向は、それぞれX軸に対して反時計回りに0°、φ1(=φ5−90°)、φ2(=φ6−90°)、90°、φ3(=φ7+90°)、及びφ4(=φ8+90°)で交差している。一例として、角度φ1は30°、角度φ2は45°、角度φ3は120°、角度φ4は135°である。この結果、本例の6個のスリット9A,9B,9C,9D,9E,及び9Fの計測方向は、それぞれ図18の6個の周期マーク1A,1B,1C,1D,1E,及び1Fの周期方向に合致するため、図21のスリット9A〜9Fを用いて周期マーク1A〜1Fの空間像の光強度分布を計測することができる。同様に、図21のスリット9A〜9Fを用いて他の周期マーク5A〜5F,3A〜3F,7A〜7Fの空間像の光強度分布も計測できる。そして、それらの光強度分布の情報を用いて投影光学系PLの収差を所定次数までのツェルニケ多項式で表わすことができる。
また、ピンホール123を用いる場合には、その1つのピンホール123の走査方向を順次周期マーク1A〜1Fの周期方向に合わせて、それらの周期マーク1A〜1Fの空間像を走査することによって、周期マーク1A〜1Fの空間像の光強度分布を計測することができる。同様に、ピンホール123を用いて他の周期マーク5A〜5F,3A〜3F,7A〜7Fの空間像の光強度分布も計測できる。このように本例のスリット板90を使用しても、投影光学系PLの収差をオンボディで計測することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態につき主に図3を参照して説明する。本例の投影露光装置も、図1〜図3を参照して説明した第1の実施形態の投影露光装置と同様である。そして、投影光学系PLの収差計測時には、計測用パターンとして図18の周期マーク1A〜1F,5A〜5F,3A〜3F,7A〜7Fが使用され、図3の空間像検出用のスリット板90上のスリット(開口パターン)として図5のスリット9A〜9Fが使用される。但し、本例では、投影光学系PLの収差計測時に、図3の投影光学系PLの瞳面PPの近傍に設置されている可変開口絞りASを介して、投影光学系PLの開口数NAを制御する。
図18の周期マーク1A〜1F,5A〜5F,3A〜3F,7A〜7F中の周期マーク1Aを例に取ると、図19(A)に示すように、周期マーク1A中のL&Sパターン2A〜2Eはそれぞれデューティ比が1:1であるため、L&Sパターン2A〜2Eから発生する回折光は本来は奇数次数のみである。しかしながら、僅かな製造誤差により、L&Sパターン2A〜2Eのデューティ比が1:1からずれると、L&Sパターン2A〜2Eから偶数次数の回折光が発生する。そして、このように発生した偶数次数の回折光と、本来
の奇数次数の回折光との干渉により新たな奇数次数の回折光が生成される。この新たな奇数次数の回折光は、本来の計測対象とは異なる光強度分布、即ち収差計測上、望ましくないノイズ光のクロストークとなり、これによって収差の計測誤差が生ずる。投影光学系PLの開口数NAを実際の露光時の値に設定した状態で、そのような計測誤差を低減するためには、L&Sパターン2A〜2Eの線幅管理を厳密にして、そのデューティ比を正確に1:1にしておく必要がある。
これに対して、本例では、L&Sパターン2A〜2Eのデューティ比が1:1から僅かに外れていても計測誤差が生じないように、図3の投影光学系PLの瞳面PPの近傍に設置されている可変開口絞りASを介して、1次回折光より上の次数(2次以上)の回折光を遮断する。即ち、図19(A)において、L&Sパターン2Aの空間像を検出している際には、L&Sパターン2Aからの2次以上の回折光を遮断するように図3の可変開口絞りASを制御し、次にL&Sパターン2B〜2Eの空間像を検出する際には、可変開口絞りASを次第に開いてそれぞれL&Sパターン2B〜2Eからの2次以上の回折光を遮断する。これにより、計測用パターンの製造誤差に起因する収差の計測誤差を低減できる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態につき主に図3を参照して説明する。本例の投影露光装置も、図1〜図3を参照して説明した第1の実施形態の投影露光装置と同様である。そして、投影光学系PLの収差計測時には、計測用パターンとして図18の周期マーク1A〜1F,5A〜5F,3A〜3F,7A〜7Fが使用され、図3の空間像検出用のスリット板90上のスリット(開口パターン)として図5のスリット9A〜9Fが使用される。但し、本例では、投影光学系PLの収差計測時に、図3の投影光学系PLの瞳面PPの近傍に設置されている可変開口絞りASを介して、投影光学系PLの開口数NAを制御する。
次に、本発明の第4の実施形態につき主に図25〜図29を参照して説明する。本例の投影露光装置も、図1〜図3を参照して説明した第1の実施形態の投影露光装置と同様である。そして、投影光学系PLの収差計測時には、空間像検出用のスリット板としては、図5の6方向のスリット9A〜9Fを持つスリット板90を使用する。なお、図21のスリット板90も使用可能である。また、計測用パターンとしては、図18のレチクルマーク板RFMに形成されている周期マーク1A〜1F,5A〜5F,3A〜3F,7A〜7Fと同様のパターンが使用される。但し、例えば本例の周期マーク1A〜1F(3A〜3F)に対応するマークには、図19に示すピッチが次第に奇数分の1の関係で小さくなるL&Sパターン2A〜2E(4A〜4E)の代わりに、投影光学系PLの規格化瞳座標上での計測点に応じてピッチが互いに独立に設定される6個のL&Sパターンが形成される。同様に、本例の周期マーク5A〜5F(7A〜7F)に対応するマークにも、図19に示すピッチが次第に奇数分の1の関係で小さくなるL&Sパターン6A〜6F(8A〜8F)の代わりに、投影光学系PLの規格化瞳座標上での計測点に応じてピッチが互いに独立に設定される6個のL&Sパターンが形成される。
上述のように(24E)式で表される誤差伝播率行列Edの各対角成分の平方根はそれぞれツェルニケ係数への誤差伝播率を示しており、その誤差伝播率が小さいほど、そのツェルニケ係数に対応する波面収差の計測誤差が小さくなる。また、本発明者によれば、後述のようにその誤差伝播率は(24D)式の条件数であるCond(D) の2乗にほぼ比例して変化するため、その条件数を小さくすることによって誤差伝播率を小さくして、波面収差の計測精度を高めることができる。本例では、(24D)式の条件数Cond(D) が例えば10程度以下の十分に小さい値になるように、投影光学系PLの規格化瞳座標上での位相情報の計測点の配置を最適化する。以下では、本例の位相情報の計測点の配置について説明する。例えば瞳内の各点の位相の計測再現性の標準偏差が1σのとき、各ツェルニケ係数の計測再現性の標準偏差は、1σ×誤差伝播率となる。
図24は、本例の投影光学系PL(図1参照)の規格化瞳座標(X,Y)上での位相情報の計測点の配置の一例を示し、この図24において、規格化瞳座標(X,Y)の原点は投影光学系PLの光軸AXであるとする。また、図24の複数の計測点は、図14(A)の例と同様に、X軸に対して反時計周りに0°の方向D1、30°の方向D2、45°の方向D3、90°の方向D4、120°の方向D5、及び135°の方向D6よりなる6個の方向に沿って配置されている。この場合も、各方向D1〜D6において、複数の計測点はそれぞれ中心に関して対称に配置されている。また、方向D1、D3、D4、及びD6については、計測点の対称中心から半径方向のオフセットがrofで、間隔がrrとなるように計測点SP1が設定され、方向D2及びD5については、その対称中心から半径方向のオフセットがrof2で、間隔がrr2となるように計測点SP2が設定されている。さらに、全体の計測点の配置が光軸AXに対してX方向及びY方向にオフセットXof及びYofを持つ場合も想定されている。このようなオフセット(Xof,Yof)を与えるためには、計測マークを照明する際の照明光の主光線をX方向、Y方向に対応する角度だけ傾斜させればよい。
以下の説明では、原則として図24の全体の配置のオフセット(Xof,Yof)、方向別のオフセットrof,rof2、及び方向別の間隔rr,rr2を用いて、規格化瞳座標上での計測点の配置を示すものとする。
先ず、図25(A)及び(B)は具体的な計測点の配置を示し、図25(A)の配置では、(Xof,Yof)=(0,0)、rr=0.166、rof=0.1、rr2=0.036、rof2=0.75と設定されている。この場合、30°方向及び120°方向(図24の方向D2、D5)の計測点SP2が瞳の最外周付近に配置されている。言い換えると、30°方向及び120°方向の計測点は、投影光学系PLの瞳の外周から半径方向の50%以内に複数の計測点(計測位置)が配置されていると共に、その間隔rr2(=0.036)はその瞳の半径(1に規格化されている)の5%以下となっている。
この場合の計測マークに対する照明をコヒーレント照明(σ値の小さい照明)としたコンピュータによるシミュレーションの結果、(24D)式の条件数Cond(D) は5.727と10以下になった。また、(24E)式で表される誤差伝播率行列Edの各対角成分の平方根である誤差伝播率は、最大で1.7(収差Z25の場合)となり、極めて高精度に波面収差を計測することができる。
また、この際の照明を外側の半径が0.68(規格化瞳単位、以下同様)で内側の半径が0.48の輪帯照明とした場合の条件数Cond(D) は3.862に改善されると共に、誤差伝播率の最大値も1.2(収差Z23,Z24の場合)に改善されることが分かった。
実際に図25(A)のような配置の複数の計測点に垂直入射で回折光を生じる計測マークは、表4に示すように6方向にそれぞれ6種類のピッチを持つ複数のL&Sパターンである。表4において、(A)は0°、45°、90°、135°の方向の6個の計測点に1次回折光を発生する6個のL&Sパターン(ピッチが大きく変化するコースマーク)を示し、(B)は30°、120°方向の6個の計測点に1次回折光を発生する6個のL&Sパターン(全体としてピッチが近接して小さいファインマーク)を示している。また、表4において、最上段の数字0〜5は、中心から半径方向に向かう計測点の順序、ひいてはその計測点に1次回折光を生じるL&Sパターンの順序を示し、ρは対応する計測点の規格化瞳座標上での半径方向の位置を示し、NA_eqはその半径ρに投影光学系PLの開口数(ここでは0.92)を乗じた値を示し、L/Sは対応するL&Sパターンのピッチの1/2の値(nm)を示している。なお、露光波長を193nmとしている。
Figure 2006019691
次に、図25(B)の配置では、(Xof,Yof)=(0,0)、rr=0.155、rof=0.2、rr2=0.045、rof2=0.75と設定されている。この場合も、30°方向及び120°方向の計測点SP2は、投影光学系PLの瞳の外周から半径方向の50%以内に複数の計測点(計測位置)が配置されていると共に、その計測点の間隔rr2はその瞳の半径の5%以下となっている。この場合の計測マークに対する照明をコヒーレント照明としたコンピュータによるシミュレーションの結果、(24D)式の条件数Cond(D) は2.844と10以下になった。また、誤差伝播率は、最大で0.7(収差Z32の場合)となり、極めて高精度に波面収差を計測することができる。
次に、図26(A)の計測点の配置は、(Xof,Yof)=(0.053,0.053)、rr=0.05、rof=0.65、rr2=0.16、rof2=0.1と所定のシフトを持つように設定されている。この場合は、0°方向、45°方向、90°方向、及び135°方向の計測点SP1は、投影光学系PLの瞳の外周から半径方向の50%以内に複数の計測点(計測位置)が配置されていると共に、その計測点の間隔rrはその瞳の半径の5%以下となっている。
この配置の計測マークに対する照明をコヒーレント照明(照明サイズは規格化瞳上で0.05とした)としたコンピュータによるシミュレーションの結果、(24D)式の条件数Cond(D) は11.675とほぼ10程度になった。また、誤差伝播率は、最大で5.9(収差Z8 の場合)となり、高精度に波面収差を計測することができる。
また、図26(B)の配置では、(Xof,Yof)=(0,0)、rr=0.172、rof=0.086、rr2=0.115、rof2=0.4と設定されている。この場合の計測マークに対する照明をコヒーレント照明としたコンピュータによるシミュレーションの結果、(24D)式の条件数Cond(D) は4.752と10以下になった。また、誤差伝播率は、最大で1.3(収差Z29の場合)となり、極めて高精度に波面収差を計測することができる。
なお、ツェルニケ多項式で表される収差のうちの計測対象を角度成分が0θ、1θ、cosθとなる収差に限定する場合には、投影光学系PLの瞳面上での位相の計測点SP1,SP2は、図27に示すようにX方向(0°方向)及びY方向(90°方向)に配置するだけでもよい。図27の配置では、(Xof,Yof)=(0,0)、rr=0.166、rof=0.1、rr2=0.046、rof2=0.7と設定されている。なお、ここでは計測点SP2のパラメータをrr2及びrof2としている。この例では、0°方向、90°方向の計測点SP2は、投影光学系PLの瞳の外周から半径方向の50%以内に複数の計測点(計測位置)が配置されていると共に、その計測点の間隔rr2はその瞳の半径の5%以下となっている。このような計測点に回折光を発生する計測マークの一例は、表4(A)の0°及び90°方向のコースマークと、表4(B)の30°及び120°方向のファインマークをそれぞれ0°及び90°方向にしたマークとを合わせたマークである。
この配置の計測マークに対する照明をコヒーレント照明としたコンピュータによるシミュレーションの結果、(24D)式の条件数Cond(D) は5.649と10以下になった。また、輪帯照明としたときの条件数Cond(D) は4.072と更に改善された。このため、極めて高精度に波面収差を計測することができる。
次に、本発明者が図24の規格化瞳座標上で6方向の計測点を持つ場合について、種々の計測点の配置についてコンピュータのシミュレーションによって(24D)式の条件数と対応する誤差伝播率の最大値との関係を確かめた結果、図28の関係が得られた。
図28において、横軸は条件数(x)であり、縦軸はそれに対応する誤差伝播率の最大値(y)であり、最小自乗法(相関係数R2 =0.9833)によれば、誤差伝播率の最大値yはほぼ次のように条件数xの2次関数の曲線CEで表される。
y=0.038x2 −0.3555x+4.6059
図29は、図28の条件数が0〜20の部分を示す拡大図であり、この図29に示すように、その条件数が10程度以下の範囲では、誤差伝播率の最大値はほほぼ5以下となり、極めて高精度に波面収差計測を行うことができる。さらに、条件数が5以下となると、誤差伝播率(最大値)は収差Z1 〜Z37の範囲でほぼ1程度となり、より高精度に波面収差計測を行うことができる。
以上をまとめると、収差Z37までの波面収差を高精度に計測するための投影光学系PLの瞳上での位相情報の計測点、及び対応する計測マークの条件は次のようになる。
1)(24D)式の条件数を10以下とする。
2)そのために瞳面上での計測点の半径方向のピッチを瞳の半径の5%以下とする。
3)計測マークのピッチ方向(計測点の配列方向)を6方向以上とする。
4)計測マークのピッチを6種類以上とする。
次に、角度成分が0θ、1θ、及びcosθの波面収差を高精度に計測するための投影光学系PLの瞳上での位相情報の計測点、及び対応する計測マークの条件は次のようになる。
5)(24D)式の条件数を10以下とする。
6)そのために瞳面上での計測点の半径方向のピッチを瞳の半径の5%以下とする。
7)計測マークのピッチ方向(計測点の配列方向)を2方向以上とする。
8)計測マークのピッチを6種類以上とする。
なお、上記各実施形態の収差計測方法によって計測された収差量に基づいて、図1の投影光学系PLを調整し、理想的には投影光学系PLの収差を0にすることが望ましいが、実際には、投影光学系PLの調整後にも収差が若干残留する可能性もある。そのため、上記の実施形態の投影露光装置の運用に際しては、投影光学系PLの調整後に、上記実施形態の収差計測方法を用いて、投影光学系PLの残留収差を初期収差量として改めて計測しておいてもよい。この場合、上記実施形態の収差計測方法によって、投影光学系PLの収差変動量を定期的に計測し、経時変化等により収差に変化が生じた場合には、主制御装置50が、図2の結像特性補正コントローラ78を介してそれらの収差量が初期収差量に戻るように投影光学系PLの結像特性を調整すればよい。なお、定期的な収差の計測は、レチクルマーク板RFM等に形成された計測用パターンを用いて行うことが計測の安定性の観点から望ましい。
また、上記各実施形態では、投影光学系として縮小系を用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系として等倍あるいは拡大系を用いても良いし、投影光学系は屈折系、反射屈折系、又は反射系のいずれであっても良い。
また、例えば半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいてレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の投影露光装置(露光装置)によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
また、上記各実施形態では、本発明が走査露光型の投影露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、マスクとウエハとを静止した状態でマスクのパターンをウエハに転写するステッパー等の静止露光型(一括露光型)の投影露光装置にも本発明を適用することができる。また、本発明は、例えば国際公開第99/49504号パンフレットに開示されている液浸型露光装置で投影光学系の収差を計測する場合にも適用することができる。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子やプラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシーン、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置
、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
本発明の露光方法及び装置によれば、投影光学系が露光装置に搭載された状態で、その投影光学系の収差を短時間に正確に計測することができる。従って、例えばその計測結果に応じてその投影光学系の収差を補正することによって、マスクのパターンを基板上に高精度に転写することができる。
本発明の第1の実施形態の投影露光装置の概略構成を示す一部を切り欠いた図である。 図1の投影光学系PLの結像特性制御機構及びウエハステージWSTのZチルトステージを示す一部を切り欠いた図である。 図1の投影露光装置に備えられた空間像計測装置の内部構成を示す図である。 (A)は、図3のスリット板90上のスリットの一例を示す図、(B)は、空間像計測の際に得られる光電変換信号の一例を示す図である。 図3のスリット板90上の実際のスリットの配置を示す拡大平面図である。 計測される光強度分布の一例を示す図である。 投影光学系に対するフォーカス位置を変えた場合の、図6の光強度分布中の所定次数の空間周波数成分のコントラストの変化の一例を示す図である。 1次及び3次の空間周波数成分のコントラストが最大になるときのフォーカス位置の差(フォーカス差)の一例を示す図である。 フォーカス差と偶関数収差の収差量との関係の一例を示す図である。 規格化された瞳位置に対する複数の偶関数収差成分の位相遅れレベルを示す図である。 収差Z9 の調整によって他の収差Z16を計測する際の説明に供する図である。 空間像が異なる収差Z16を持つ場合に、それぞれ収差Z9 を変化させたときの各空間像に含まれる基本波成分の振幅の変化の計算結果を示す図である。 収差Z16とZ9 換算での基本波成分のピーク位置との相関関係を示す図である。 (A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、及び(G)は、それぞれ16次及び37次までのツェルニケ多項式で表される収差を計測する場合の、投影光学系PLの規格化瞳座標上での位相情報の計測点SPの配列の例を示す図であり、(H)は例えば所定のコマ収差を含む収差を計測する場合のその規格化瞳座標上での位相情報の計測点SPの配置の例を示す図である。 (A)、(B)、及び(C)は、それぞれ36次までのツェルニケ多項式で表される収差を計測する場合の、その規格化瞳座標上での位相情報の計測点SPの配列の例を示す図である。 (A)、(B)、及び(C)は、それぞれ37次までのツェルニケ多項式で表される収差を計測する場合の、その規格化瞳座標上での位相情報の計測点SPの配列の例を示す図である。 (A)、(B)、及び(C)は、それぞれ49次、81次、及び121次までのツェルニケ多項式で表される収差を計測する場合の、その規格化瞳座標上での位相情報の計測点SPの配列の例を示す図である。 図3のレチクルマーク板RFMのパターン面の計測用パターンの一例を示す拡大平面図である。 (A)は図18の周期マーク1A(又は3A)中のL&Sパターン2A〜2E(又は4A〜4E)の構造を示す拡大図、(B)は図18の周期マーク5A(又は7A)中のL&Sパターン6A〜6F(又は8A〜8F)の構造を示す拡大図である。 (A)は図19(A)のL&Sパターン2A,2Bの投影像をスリット9Aで走査する状態を示す拡大図、(B)は図20(A)の投影像の光電変換信号を示す図、(C)は図20(B)の光電変換信号の基本波成分及び所定の高調波成分を示す図である。 本発明の第2の実施形態の投影露光装置において、スリット板90上に形成された複数のスリットの配置を示す拡大平面図である。 7次のツェルニケ多項式で表される収差成分の一例を示す図である。 8次のツェルニケ多項式で表される収差成分の一例を示す図である。 本発明の第4の実施形態における位相情報の計測点の配置の一例を示す図である。 第4の実施形態における位相情報の計測点の配置の2つの例を示す図である。 第4の実施形態における位相情報の計測点の配置の他の2つの例を示す図である。 第4の実施形態における位相情報の計測点の配置の更に別の例を示す図である。 条件数と誤差伝播率との関係の一例を示す図である。 図28の一部の拡大図である。
符号の説明
9A〜9F…スリット、1A〜1F,3A〜3F,5A〜5F,7A〜7F…周期マーク、2A〜2E,4A〜4E,6A〜6F,8A〜8F…L&Sパターン、12…照明光学系、14…光源、50…主制御装置、51…メモリ、59…空間像計測装置、78…結像特性補正コントローラ、80…信号処理装置、90…スリット板、123…ピンホール、SP…計測点、PL…投影光学系、AS…可変開口絞り、R…レチクル、RST…レチクルステージ、RFM…レチクルマーク板、W…ウエハ、WST…ウエハステージ

Claims (38)

  1. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    所定パターンの像を前記投影光学系を介して投影し、前記投影光学系の瞳面上で前記投影光学系の光軸を中心とした互いに異なる少なくとも2個の方向に沿って配置された複数の位置における前記所定パターンからの光束の位相情報を求める第1工程と、
    前記第1工程で求められた位相情報から前記投影光学系の収差を求める第2工程とを有することを特徴とする収差計測方法。
  2. 前記第2工程で、前記投影光学系の実質的にN次(Nは16以上の整数)までのツェルニケ多項式によって表わされる波面収差を求めるために、N1/2 を超えない最大の整数をMとしたとき、
    前記第1工程は、前記投影光学系の瞳面上で前記光軸を中心とした互いに異なる少なくともM個の方向に沿ってそれぞれ配置された少なくともM個の点における前記光束の位相情報を求める工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の収差計測方法。
  3. 前記少なくとも2個の方向に沿って配置された複数の位置は、前記投影光学系の光軸から離れるにしたがって間隔が狭いことを特徴とする請求項1又は2に記載の収差計測方法。
  4. 前記少なくとも2個の方向に沿って配置された複数の位置の間隔の中に、前記投影光学系の瞳面の半径の5%以下の部分が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の収差計測方法。
  5. 前記投影光学系の瞳面の半径の5%以下の間隔となる2つの位置は、前記投影光学系の光軸を通る同一の直線上に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の収差計測方法。
  6. 前記少なくとも2個の方向に沿って配置された複数の位置のうちの任意の位置が、前記投影光学系の瞳面の半径の50〜100%の部分に存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の収差計測方法。
  7. 前記第2工程で、前記投影光学系の実質的にN次(Nは16以上の整数)までのツェルニケ多項式によって表わされる波面収差を求めるとともに、
    前記ツェルニケ多項式を求める際のツェルニケ感度関数行列の条件数が10以下となるように、前記投影光学系の瞳面上で前記光軸を中心とした互いに異なる少なくとも2個の方向に沿って配置される位置の配列を定めることを特徴とする請求項1に記載の収差計測方法。
  8. 前記第1工程は、前記投影光学系の瞳面上で前記光軸を中心とした互いに異なる少なくとも4個の方向に沿って配置された複数の点における前記光束の位相情報を求める工程を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の収差計測方法。
  9. 前記第1工程は、前記投影光学系の瞳面上で前記光軸を中心とした互いに異なる少なくとも6個の方向に沿って配置された複数の点における前記光束の位相情報を求める工程を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の収差計測方法。
  10. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    計測用パターンの像を前記投影光学系を介して投影し、前記計測用パターンの像を互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも4個の開口パターンを介して受光して、前記計測用パターンの像の光強度分布情報を求める第1工程と、
    前記第1工程で求められた光強度分布情報に基づいて前記投影光学系の収差を求める第2工程とを有することを特徴とする収差計測方法。
  11. 前記第2工程で、前記投影光学系のN次以下(Nは16以上の整数)のツェルニケ多項式で表される波面収差を求めるために、N1/2 を超えない最大の整数をMとして、
    前記第1工程は、前記計測用パターンの像を互いに異なる方向に沿って配置された少なくともM個の開口パターンを介して受光する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の収差計測方法。
  12. 前記第1工程は、前記計測用パターンの像を互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも6個の開口パターンを介して受光する工程を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の収差計測方法。
  13. 前記少なくとも4個の開口パターンは、それぞれ互いに異なる方向を長手方向とするスリット状の開口パターンであり、
    前記第1工程は、前記計測用パターンの像と前記開口パターンとを該開口パターンの長手方向に直交する方向に相対走査して、前記開口パターンを通過する光を受光する工程を含むことを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の収差計測方法。
  14. 前記計測用パターンは、前記少なくとも4個の開口パターンのそれぞれに対応する方向に沿って配置された複数の周期的マークを含むことを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の収差計測方法。
  15. 前記複数の周期的マークは、それぞれ所定ピッチの第1マークと、前記所定ピッチの奇数分の1のピッチの第2マークとを含むことを特徴とする請求項14に記載の収差計測方法。
  16. 前記第1マークと前記第2マークとはほぼ同じ大きさであることを特徴とする請求項15に記載の収差計測方法。
  17. 前記複数の周期的マークは、それぞれ互いに異なるピッチの第1マークと第2マークとを含み、
    前記第1マークの所定の投影光学系による像の基本波成分と該像の所定の高調波成分との位相差と、前記第1マークの前記所定の投影光学系による像の基本波成分と前記第2マークの前記所定の投影光学系による像の基本波成分との位相差との差分を、前記計測用パターンの位相オフセットとして記憶する工程を更に有することを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載の収差計測方法。
  18. 前記投影光学系において、前記計測用パターンからの2次以上の回折光を遮断することを特徴とする請求項10から17のいずれか一項に記載の収差計測方法。
  19. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    計測用パターンからの2次以上の回折光を遮断した状態で、前記計測用パターンの像を前記投影光学系を介して投影し、前記計測用パターンの像と開口パターンとを相対走査しながら、前記開口パターンを通過する光を受光して、前記計測用パターンの像の光強度分布情報を求める第1工程と、
    前記第1工程で求められた光強度分布情報に基づいて前記投影光学系の収差を求める第2工程とを有することを特徴とする収差計測方法。
  20. 前記開口パターンは、互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも4個の開口パターンを含み、
    前記第1工程は、前記計測用パターンの像と前記少なくとも4個の開口パターンとを互いに異なる方向に相対走査する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の収差計測方法。
  21. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    前記投影光学系の所定の高次の収差を計測し、該計測された収差をオフセットとして記憶する第1工程と、
    計測用パターンの像を前記投影光学系を介して投影し、前記計測用パターンの像と開口パターンとを相対走査しながら、前記開口パターンを通過する光を受光して、前記計測用パターンの像の光強度分布情報を求める第2工程と、
    前記第2工程で求められた光強度分布情報及び前記第1工程で記憶されたオフセットに基づいて前記投影光学系の前記高次の収差以外の所定の低次の収差を求める第3工程とを有することを特徴とする収差計測方法。
  22. 前記開口パターンは、互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも4個の開口パターンを含み、
    前記第2工程は、前記計測用パターンの像と前記少なくとも4個の開口パターンとを互いに異なる方向に相対走査する工程を含むことを特徴とする請求項21に記載の収差計測方法。
  23. 投影光学系の収差を計測する収差計測装置であって、
    前記投影光学系の物体面側に配置された計測用パターンと、
    前記計測用パターンを照明する照明系と、
    前記投影光学系の像面側で互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも4個の開口パターンと、
    前記計測用パターンの前記投影光学系による像と前記開口パターンとを相対走査する走査機構と、
    前記開口パターンを通過した光を受光して、前記計測用パターンの像の光強度分布情報を検出する光電センサと、
    前記光電センサで検出される光強度分布情報に基づいて前記投影光学系の収差を求める演算装置とを有することを特徴とする収差計測装置。
  24. 前記演算装置が、前記投影光学系のN次以下(Nは16以上の整数)のツェルニケ多項式で表される波面収差を求めるために、N1/2 を超えない最大の整数をMとして、
    前記開口パターンは、互いに異なる方向に沿って配置された少なくともM個の開口パターンを含むことを特徴とする請求項23に記載の収差計測装置。
  25. 前記開口パターンは、互いに異なる方向に沿って配置された少なくとも6個の開口パターンを含むことを特徴とする請求項23又は24に記載の収差計測装置。
  26. 前記少なくとも4個の開口パターンは、それぞれ互いに異なる方向を長手方向とするスリット状の開口パターンであり、
    前記走査機構は、前記計測用パターンの像と前記開口パターンとを該開口パターンの長手方向に直交する方向に相対走査することを特徴とする請求項23から25のいずれか一項に記載の収差計測装置。
  27. 前記計測用パターンは、前記少なくとも4個の開口パターンのそれぞれに対応する方向に沿って配置された複数の周期的マークを含むことを特徴とする請求項23から26のいずれか一項に記載の収差計測装置。
  28. 前記複数の周期的マークは、それぞれ所定ピッチの第1マークと、前記所定ピッチの奇数分の1のピッチの第2マークとを含むことを特徴とする請求項23から27のいずれか一項に記載の収差計測装置。
  29. 前記第1マークと前記第2マークとはほぼ同じ大きさであることを特徴とする請求項28に記載の収差計測装置。
  30. 前記複数の周期的マークは、それぞれ互いに異なるピッチの第1マークと第2マークとを含み、
    前記第1マークの所定の投影光学系による像の基本波成分と該像の所定の高調波成分との位相差と、前記第1マークの前記所定の投影光学系による像の基本波成分と前記第2マークの前記所定の投影光学系による像の基本波成分との位相差との差分を、前記計測用パターンの位相オフセットとして記憶する記憶装置を更に有することを特徴とする請求項23から29のいずれか一項に記載の収差計測装置。
  31. 前記投影光学系は、前記計測用パターンからの2次以上の回折光を遮断するための可変開口絞りを有することを特徴とする請求項23から30のいずれか一項に記載の収差計測装置。
  32. 露光ビームで第1物体を照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影光学系を介して第2物体を露光する露光方法において、
    前記投影光学系の収差を請求項1から22のいずれか一項に記載の収差計測方法で計測することを特徴とする露光方法。
  33. 露光ビームで第1物体を照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影光学系を介して第2物体を露光する露光装置において、
    前記投影光学系の収差を計測するために、請求項23から31のいずれか一項に記載の収差計測装置を備えたことを特徴とする露光装置。
  34. 前記露光ビームで前記第1物体を照明する照明光学系を前記収差計測装置の照明系として使用し、
    前記第2物体を保持して駆動するステージ装置を前記走査機構として使用し、
    前記開口パターンを前記ステージ装置に装着することを特徴とする請求項33に記載の露光装置。
  35. パターンが形成されたマスクであって、
    互いに異なる少なくとも4個の方向に沿って複数の周期的マークが形成されたことを特徴とするマスク。
  36. 前記複数の周期的マークは、それぞれ所定ピッチの第1マークと、前記所定ピッチの奇数分の1のピッチの第2マークとを含むことを特徴とする請求項35に記載のマスク。
  37. 前記第1マークと前記第2マークとはほぼ同じ大きさであることを特徴とする請求項36に記載のマスク。
  38. 前記複数の周期的マークは、それぞれ互いに異なるピッチの第1マークと第2マークとを含み、
    前記第1マークの所定の投影光学系による像の基本波成分と該像の所定の高調波成分との位相差と、前記第1マークの前記所定の投影光学系による像の基本波成分と前記第2マークの前記所定の投影光学系による像の基本波成分との位相差との差分が、前記マスクの位相オフセットとして記憶されることを特徴とする請求項35から37のいずれか一項に記載のマスク。
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