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JP2006013354A - 多層回路基板の製造方法 - Google Patents

多層回路基板の製造方法 Download PDF

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JP2006013354A
JP2006013354A JP2004191729A JP2004191729A JP2006013354A JP 2006013354 A JP2006013354 A JP 2006013354A JP 2004191729 A JP2004191729 A JP 2004191729A JP 2004191729 A JP2004191729 A JP 2004191729A JP 2006013354 A JP2006013354 A JP 2006013354A
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紀男 中野
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Abstract

【課題】面方向の収縮を抑制することにより、変形や層間剥離の発生を抑え、寸法精度を高くめる多層回路基板の製造方法の提供。
【解決手段】第1絶縁層1a、1bと、第1絶縁層よりも高温で収縮を開始する第2絶縁層1c〜1eと、第2絶縁層よりも高温で収縮を開始する第3絶縁層1f、1gとを、第1絶縁層と第3絶縁層との間に第2絶縁層を介在させて積層して得た積層体1を、第2絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第1絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより第1絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させる。以下同様に積層体1を、第3絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第2絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱して前記第2絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させ、つぎに、積層体1を、第3絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより第3絶縁層を厚み方向に大きく収縮させて焼結を完了する。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置や複合電子部品等に用いられる多層配線基板の製造方法に関するものである。
従来より、半導体装置や複合電子部品等に多層回路基板が用いられている。
かかる従来の多層回路基板としては、例えば、無機組成物から成る複数の絶縁層を積層した積層体の内部に配線導体やビアホール導体を設けてこれらを相互に接続し、更に前記積層体の一主面に電子部品素子を接続するための搭載部を設けた構造のものが知られている。近年、多層回路基板の寸法精度の向上が要求されており、収縮開始温度の異なる2種類の絶縁層として第1絶縁層と、第1絶縁層よりも高温で収縮を開始する第2絶縁層とを用いて積層体を形成することにより、焼成の収縮による寸法変化を抑制するようにした多層回路基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上述した多層回路基板を製造する場合は、まず図3に示すように複数の絶縁層51a〜51eを用意し、それぞれの絶縁層に配線導体52やビアホール導体53を設ける。しかる後、絶縁層51a〜51eを積層してこれを一体焼成することにより、多層回路基板が製作される。このとき、絶縁層51a、51b、51cを形成する無機組成物と、絶縁層51d、51eを形成する無機組成物とでは、焼成に伴い収縮を開始する温度が相互に異なっている。
このような多層回路基板の製造方法によれば、収縮開始温度の低い絶縁層が収縮を開始した際は、未焼結状態にある収縮開始温度の高い絶縁層により面方向における収縮が抑制される。一方、収縮開始温度の高い絶縁層が収縮を開始した際は、収縮開始温度の低い絶縁層により面方向における収縮が抑制される。以上のようなメカニズムにより、積層体の面方向への収縮を抑制し、厚み方向に大きく収縮させることで、多層回路基板の寸法精度を高くなす試みがなされている。
特開2001−15875号公報
しかしながら、上述した従来の製造方法においては、収縮開始温度の異なる2種類の絶縁層のみを用いて積層体を形成しているため、2種類の絶縁層間で収縮挙動の重なる領域が存在する場合、すなわち第1絶縁層の収縮が完了する前に第2絶縁層の収縮が開始してしまう場合には、第1絶縁層と第2絶縁層がともに収縮をしてしまうこととなり、多層回路基板の寸法精度が低下してしまうという欠点を有していた。そこで、第1絶縁層の収縮を完了させた後、第2絶縁層の収縮を開始させるようにして積層体を焼結させることにより各々の絶縁層の収縮を抑制する方法も考えられるが、この場合は、第1絶縁層と第2絶縁層との境界面において、第1絶縁層と第2絶縁層との接着強度が低く、層間剥離や積層体の変形が発生しやすくなる。このような層間剥離や変形が発生すると、積層体の絶縁性や強度の劣化を招くという欠点が誘発される。
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、面方向の収縮を抑制させることにより、寸法精度が高く、且つ変形や層間剥離の発生を有効に抑えることが可能な多層回路基板の製造方法を提供することにある。
本発明の多層回路基板の製造方法は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層よりも高温で収縮を開始する第2絶縁層と、前記第2絶縁層よりも高温で収縮を開始する第3絶縁層とを、前記第1絶縁層と前記第3絶縁層との間に前記第2絶縁層を介在させて積層することにより積層体を形成する工程Aと、前記積層体を、第2絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第1絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより前記第1絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させる工程Bと、前記第1絶縁層の収縮が継続している状態で、前記積層体を、第3絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第2絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより前記第2絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させる工程Cと、前記第1絶縁層の収縮が完了した後、前記第2絶縁層の収縮が継続している状態で、前記積層体を、前記第3の絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより前記第3絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させる工程Dと、を含むものである。
また、本発明の多層配線基板の製造方法は、前記工程Cにおいて、前記第2絶縁層が収縮を開始するまでの間に、前記第1絶縁層はその全収縮量に対し90%に相当する体積収縮が完了していることを特徴とするものである。
更に、本発明の多層配線基板の製造方法は、前記工程Dにおいて、前記第3絶縁層が収縮を開始するまでの間に、前記第2絶縁層はその全収縮量に対し90%に相当する体積収縮が完了していることを特徴とするものである。
本発明の多層回路基板の製造方法によれば、積層体を、第2絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第1絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより、前記第1絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させ、しかる後、前記積層体を、第3絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第2絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより、前記第2絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させ、最後に、第3絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより、第1、第2及び第3の絶縁層を焼結させている。ここで重要なことは、前記積層体を、第1絶縁層と第3絶縁層との間に第2絶縁層を介在させて形成した上、第2絶縁層の収縮開始時に第1絶縁層の収縮が継続している状態にしておくようにし、また、第3絶縁層の収縮開始時に第1絶縁層の収縮が完了し、且つ第2絶縁層の収縮が継続している状態にしておくことである。
以上のようにして積層体を焼結させることにより、まず第1絶縁層が収縮する際、第1絶縁層の面方向への収縮が未焼結状態の第2絶縁層及び第3絶縁層の剛性により抑制される。次に第2絶縁層の収縮開始時には、第1絶縁層、第2絶縁層がともに収縮をするが、第1絶縁層及び第2絶縁層の面方向への収縮は未焼結状態の第3絶縁層の剛性により抑制される。この間に、第1絶縁層と第2絶縁層との境界面で第1絶縁層を構成する無機組成物と第2絶縁層を構成する無機組成物との拡散が起こり、第1絶縁層と第2絶縁層との密着性が良好に維持される。そして第3絶縁層の収縮開始時には、第2絶縁層、第3絶縁層がともに収縮を行うが、第2絶縁層及び第3絶縁層の面方向への収縮は、既に焼結している第1絶縁層の剛性により抑制される。この間に、第2絶縁層と第3絶縁層との境界面で第2絶縁層を構成する無機組成物と第3絶縁層を構成する無機組成物との拡散が起こり第2絶縁層と第3絶縁層との密着性が良好に維持される。結果として、積層体の面方向の収縮を抑制させることとなり、多層回路基板の反りの発生を抑え、寸法精度を高くするとともに、絶縁層間の層間剥離を有効に防止することができる。
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の製造方法によって製作した多層回路基板の断面図であり、図中の1a、1bは第1絶縁層、1c〜1eは第2絶縁層、1f、1gは第3絶縁層、2は配線導体、3はビアホール導体である。
同図に示す多層回路基板10は、第1絶縁層1a、1b、第2絶縁層1c〜1e、第3絶縁層1f、1gを積層した構造を有している。多層回路基板10の内部及び表層には、配線導体2が形成されており、表層の配線導体は、主に電子部品素子の搭載部となる接続パッドとして機能し、内部の配線導体及びビアホール導体は、主に各回路素子を電気的に接続する配線や、インダクタやキャパシタ等の回路素子として機能する。
第1絶縁層1a、1b、第2絶縁層1c〜1e及び第3絶縁層1f、1gは、それぞれ焼成時の収縮開始温度が異なる無機組成物から成り、これら無機組成物の材料としては、例えば800℃〜1200℃の比較的低い温度で焼成が可能なガラス−セラミック材料が好適に用いられる。ガラス−セラミック材料にはガラス粉末及びセラミック粉末が含まれ、ガラス粉末は、例えば30〜100重量部含まれており、ガラス粉末を除く材料がセラミック粉末となる。本実施形態においては、例えば、第1絶縁層はガラス粉末を87重量部、第2絶縁層はガラス粉末を67重量部、第3絶縁層はガラス粉末を55重量部の組成から成る材料により製作した。
ガラス粉末の具体的な組成としては、例えば、必須成分として、SiO2を20〜70重量部、Al23を0.5〜30重量部、MgOを3〜60重量部、また任意成分として、CaOを0〜35重量部、BaOを0〜35重量部、SrOを0〜35重量部、B23を0〜20重量部、ZnOを0〜30重量部、TiO2を0〜10重量部、Na2Oを0〜3重量部、Li2Oを0〜5重量部含むものが挙げられる。
セラミック粉末としては、Al23、SiO2、MgTiO3、CaZrO3、CaTiO3、Mg2SiO4、BaTi49、ZrTiO4、SrTiO3、BaTiO3、TiO2から選ばれる1種以上が挙げられる。
上記組成のガラス粉末とセラミック粉末との組み合わせによれば、1000℃以下での低温焼結が可能となるとともに、配線導体として、銀(融点960℃)、銅(融点1083℃)、金(融点1063℃)などの低抵抗導体を用いて形成することが可能となり、低損失な回路を作成できる。また、誘電率の制御も可能であり、高誘電率化による回路の小型化、低損失化、あるいは、低誘電率化による高速伝送化に適している。しかも、上記の範囲で種々組成を制御することによって、焼成収縮挙動を容易に制御、変更することができる。
尚、配線導体2やビアホール導体3は銀、銅、金のいずれか一種を含む導電材料からから成り、その厚みは例えば5〜25μmに設定される。
また、ビアホール導体3の直径は任意に設定することができ、ビアホール導体3が埋設される絶縁層の厚みが10〜300μmの場合、ビアホール導体3の直径は例えば50〜300μmに設定される。
次に上述した多層回路基板の製造方法について、図を用いて説明する。
(工程A)
図2に示す1a、1bは第1絶縁層であり、1c〜1eは第2絶縁層であり、1f、1gは第3絶縁層である。これらの絶縁層は、例えば上述したガラス粉末とセラミック粉末とを組み合わせた粉末に、有機バインダーと有機溶剤及び必要に応じて可塑剤とを混合してスラリー化し、このスラリーを用いてドクターブレード法などによりテープ成形を行い、所定寸法に切断することによって得られるセラミックグリーンシートである。このとき、第1絶縁層1a、1bは第2絶縁層1c〜1eに比して厚みが薄く、第2絶縁層1c〜1eは第3絶縁層1f、1gに比して厚みが薄く形成されており、第1絶縁層1a、1bの各々の厚みは、例えば2〜80μmに設定され、第2絶縁層1c〜1eの各々の厚みは、例えば5〜150μmに設定され、第3絶縁層1f、1gの各々の厚みは、例えば10〜300μmに設定される。
次に、各絶縁層にパンチングなどによって貫通孔を形成し、その貫通孔内にビアホール導体3となる導体ペーストを充填し、各絶縁層の主面には配線導体2となる導体ペーストをスクリーン印刷法などによって被着させる。
本実施形態においては、例えば、第1絶縁層を構成する無機材料はガラス粉末が、SOを40重量部、Alを2重量部、MgOを15重量部、CaOを1重量部、BaOを15重量部、Bを20重量部、ZnOを1重量部、TiOを0.5重量部、NaOを0.5重量部、LiOを5重量部と、セラミック粉末が、MgTiOを15重量部の組成から成り、また第2絶縁層を構成する無機組成物はガラス粉末が、SOを40重量部、Alを2重量部、MgOを15重量部、CaOを1重量部、BaOを15重量部、BOを20重量部、ZnOを1重量部、TiOを0.5重量部、NaOを0.5重量部、LiOを5重量部、セラミック粉末が、Alを45重量部含む材料から成り、第3絶縁層を構成する無機材料はガラス粉末が、SOを40重量部、Alを2重量部、MgOを15重量部、CaOを1重量部、BaOを15重量部、Bを20重量部、ZnOを1重量部、TiOを0.5重量部、NaOを0.5重量部、LiOを5重量部と、セラミック粉末が、MgTiOを82重量部の組成から成っている。このように絶縁層を構成する無機組成物のガラス含有量を変えることにより各絶縁層ごとに収縮開始温度を異ならせることができる。これらの無機組成物に、有機バインダとしてアクリルバインダ、有機溶剤としてトルエンを添加してなるスラリーを調整し、それぞれ第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層となるセラミックグリーンシートを形成した。そして、配線導体2とビアホール導体3の材料は、例えば、銀粉末に、有機バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤として2−2−4−トリメチル−3−3−ペンタジオールモノイソブチレートを添加して成るペーストを用いた。
このようにして得られた絶縁層を、第1絶縁層と第3絶縁層との間に第2絶縁層が介在されるようにして所定の順に積層することにより積層体1を形成する。尚、本実施形態においては第1絶縁層をA、第2絶縁層をB、第3絶縁層をCとした場合、ABCBCBAの積層順になるようにして各絶縁層を積層した。
(工程B)
次に、得られた積層体1を、第2絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第1絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより、第1絶縁層1a、1bをその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させている。かかる工程Bにおいて、第1絶縁層1a、1bが収縮する際、第1絶縁層1a、1bの面方向への収縮が未焼結状態の第2絶縁層1c〜1e及び第3絶縁層1f、1gの剛性により抑制されることになる。
本実施形態においては、第1絶縁層は収縮開始温度が690℃、第2絶縁層は収縮開始温度が765℃になるように無機組成物の組成が調整されており、例えば、焼成温度を750℃に保った状態で所定時間、積層体の加熱を行う。
(工程C)
次に、第1絶縁層1a、1bの収縮が継続している状態で、積層体1を、第3絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第2絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより、第2絶縁層1c〜1eをその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させている。かかる工程Cにおいて、第1絶縁層1a、1bの収縮が継続している状態で第2絶縁層1c〜1eの収縮を開始させることにより、第1絶縁層と第2絶縁層との境界面、すなわち絶縁層1a−絶縁層1c間、絶縁層1b−絶縁層1e間の境界面で第1絶縁層を構成する無機組成物と第2絶縁層を構成する無機組成物との拡散が起こり第1絶縁層と第2絶縁層との密着性が向上する。また、第1絶縁層1a、1bの収縮が継続している状態で第2絶縁層1c〜1eをその収縮開始温度以上の温度で加熱するので、第1絶縁層及び第2絶縁層1c〜1eがともに収縮することになるが、この間は、未焼結状態の第3絶縁層1f、1gの剛性により第1絶縁層1a、1b及び第2絶縁層1c〜1eの面方向への収縮が抑制される。
また本実施形態においては、第3絶縁層の収縮開始温度が835℃になるように無機組成物の組成が調整されており、この工程Cでは、焼成温度を800℃に保った状態で所定時間、積層体の加熱を行う。
(工程D)
次に、第1絶縁層1a、1bの収縮が完了した後、第2絶縁層1c〜1eの収縮が継続している状態で、積層体1を、第3絶縁層1f、1gの収縮開始温度以上の温度で加熱することにより第3絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させる。かかる工程Dにおいて、第2絶縁層1c〜1eの収縮が継続している状態で、第3絶縁層1f、1gの収縮を開始させることにより、第2絶縁層と第3絶縁層との境界面、すなわち絶縁層1c−絶縁層1f間、絶縁層1f−絶縁層1d、絶縁層1d−絶縁層1g、絶縁層1g−絶縁層1e間の境界面で第2絶縁層を構成する無機組成物と第3絶縁層を構成する無機組成物との拡散が起こり第2絶縁層と第3絶縁層との密着性が向上する。また、第2絶縁層1c〜1e及び第3絶縁層1f、1gがともに収縮している間は、第2絶縁層1c〜1e及び第3絶縁層1f、gの面方向への収縮は、収縮を完了した第1絶縁層1a、1bの剛性により抑制されることになる。
この工程Dでは、例えば焼成温度を860℃に保った状態で積層体の加熱を続けることにより第2絶縁層1c〜1e及び第3絶縁層1f、1gの収縮を行い、その状態で加熱を続けることにより、まず第2絶縁層1c〜1eが焼結し、つづいて第3絶縁層1f、1gが焼結され、これにより積層体全体が焼結されたことになる。
ここで収縮の開始とは、絶縁層を構成する無機組成物の焼結に伴う収縮が開始されることを意味している。絶縁層に含まれる有機バインダーは加熱により分解、除去され、この際、0〜1%程度の収縮が発生することがあるが、これはバインダの除去に伴うものであり、無機組成物の焼結による実質的な収縮とは別のものである。脱バインダ温度は使用するバインダにより異なるが、アクリルあるいはメタクリルバインダでは500℃、ブチラールバインダでは600℃程度までに終了する。焼成における収縮開始温度については、その温度の差が10℃以上であることが望ましく、更に望ましくは20℃以上である。
焼成における体積収縮については、工程Cにおいて第2絶縁層1c〜1eが収縮を開始するまでの間に、第1絶縁層1a、1bは、その全収縮量に対し90%に相当する体積収縮が完了するように加熱時間を設定している。これは第1絶縁層の収縮量が90%未満の場合、収縮の抑制効果のばらつきが大きくなり、その結果、面方向の寸法精度にばらつきが生じるためである。したがって、第2絶縁層1c〜1eが収縮を開始するまでの間に、第1絶縁層1a、1bは、その全収縮量に対し90%に相当する体積収縮が完了していることが望ましく、更には95%以上完了していることが望ましい。これと同様の理由により、工程Dにおいて第3絶縁層1f、1gが収縮を開始するまでの間に、第2絶縁層1c〜1eは、その全収縮量に対し90%に相当する体積収縮が完了していることが望ましく、更には95%以上完了していることが望ましい。
また本発明において、絶縁層の収縮完了とは、その絶縁層の全体積の収縮が99%以上進行した時点を意味する。
また各絶縁層の厚みに関し、熱の印加に伴い第1絶縁層1a、1bよりも高温で収縮を開始する第2絶縁層1c〜1eは、第1絶縁層1a、1bよりも厚みを厚くするとともに、熱の印加に伴い第2絶縁層1c〜1eよりも高温で収縮を開始する第3絶縁層1f、1gは、第2絶縁層1c〜1eよりも厚みを厚くしている。これにより、低い収縮開始温度の第1絶縁層1a、1bは、その収縮による応力が小さいので、高い収縮開始温度の第2絶縁層1c〜1eによって面方向への収縮がより効果的に抑制されることとなる。尚、第2絶縁層と第3絶縁層との厚みの関係に対しても同様のことがいえる。
尚、各絶縁層は、積層方向の中央に配される第2絶縁層1dを境に、第1、第2、第3絶縁層が上下対称になるように、すなわちABCBCBAの順に積層されている。
以上の工程A〜Dを経て積層体を焼結させることにより、多層回路基板の寸法精度を高くするとともに、絶縁層間の層間剥離を有効に防止することができる。
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更、改良等が可能である。
例えば上述の実施形態では、積層体1の製作にあたり、セラミックグリーンシートを用いて各絶縁層を形成し、これを積層するようにしたが、これに代えて、比較的厚みの薄い第1絶縁層1a、1bを構成する無機組成物をペースト状になし、これを第2絶縁層の形成に用いられるセラミックグリーンシートの主面に、印刷等で塗布して直接形成するようにしても良い。この場合、厚みの薄い第1絶縁層がペーストの塗布等によって比較的簡単に形成されるようになり、厚みの薄い第1絶縁層をセラミックグリーンシート等で構成する場合に比し第1絶縁層を形成する際の作業性が良好となり、多層回路基板の生産性を向上させることができる利点もある。
また、上述の実施形態において、積層体1を加熱する際、積層体上にその上面全体を覆うことができる大きさの重石を載せておくようにすれば、重石の加重によって多層回路基板の変形や層間剥離をより有効に防止することができる。
更に、上述の実施形態においては、第1、第2、第3絶縁層を、ABCBCBAの順に積層したが、積層順序はこれに限らず、配線導体等の分布にかかるバランスとの兼ね合いなどにより種々のパターンが可能であり、例えば、第1、第2、第3絶縁層が積層体の厚み方向にある程度不均一に分布するような積層順(ABBCCCCなど)でも構わない。
更にまた、本実施形態においては、配線導体等の形成に用いる導体ペーストとして、無機成分が全て銀粉末からなるものを使用するようにしたが、これにガラスフリット等の添加材を所定量添加して用いても良いことは言うまでもない。例えば、銀粉末の含有率が99.9%以上の場合、第1絶縁層が収縮を開始する温度よりも低い温度(650℃以下)から収縮を開始するため、先に収縮開始した配線導体は第1絶縁層及び第2絶縁層の収縮による圧縮効果により緻密性が高められ、回路の導体抵抗値を低くすることができる。このような導体ペーストは固形分率は、例えば、90%〜99.9%の範囲に設定しておくのが好ましく、これによって配線導体の緻密性を向上させることができる。
また更に、焼成収縮が終了した後、配線導体の表面にメッキ処理等の表面処理を行っても良く、本発明においては、低温の焼成でも緻密に焼結した多層回路基板が得られるので、メッキ液等が積層体に浸食することが少なく、表面処理の工程を効率化することができる。
更にまた、本発明の製造方法は、複数個の多層回路基板を切り出すことができる複数個取り用の母基板を製作する場合にも適用可能である。このような複数個取り用母基板は、多層回路基板と1対1に対応する複数個の基板領域を有し、隣合う基板領域間の境界に沿って切断し、複数個の多層回路基板に分割することによって複数個の多層回路基板を同時に得る複数個取りの手法に用いられるものであり、このような複数個取り用の母基板に本発明を適用した場合、ダイシングラインが積層体の焼成に伴う変形等によって設計上の位置よりずれたり、歪んでしまうといった不都合は殆どないことから、母基板を正確に切断することができ、寸法精度の高い多層回路基板を得ることができる利点もある。
本発明の一実施形態に係る多層回路基板の断面図である。 本発明の一実施形態に係る多層回路基板の製造工程を説明する図である。 従来の多層回路基板の製造工程を説明する図である。
符号の説明
1・・・・・・・積層体
1a、1b・・・第1絶縁層
1c〜1e・・・第2絶縁層
1f、1g・・・第3絶縁層
2・・・・・・・配線導体
3・・・・・・・ビアホール導体

Claims (3)

  1. 第1絶縁層と、前記第1絶縁層よりも高温で収縮を開始する第2絶縁層と、前記第2絶縁層よりも高温で収縮を開始する第3絶縁層とを、前記第1絶縁層と前記第3絶縁層との間に前記第2絶縁層を介在させて積層することにより積層体を形成する工程Aと、
    前記積層体を、第2絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第1絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより前記第1絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させる工程Bと、
    前記第1絶縁層の収縮が継続している状態で、前記積層体を、第3絶縁層の収縮開始温度よりも低く、且つ第2絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより前記第2絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させる工程Cと、
    前記第1絶縁層の収縮が完了した後、前記第2絶縁層の収縮が継続している状態で、前記積層体を、前記第3絶縁層の収縮開始温度以上の温度で加熱することにより前記第3絶縁層をその面方向に比して厚み方向に大きく収縮させる工程Dと、を含む多層回路基板の製造方法。
  2. 前記工程Cにおいて、前記第2絶縁層が収縮を開始するまでの間に、前記第1絶縁層はその全収縮量に対し90%に相当する体積収縮が完了していることを特徴とする請求項1に記載の多層回路基板の製造方法。
  3. 前記工程Dにおいて、前記第3絶縁層が収縮を開始するまでの間に、前記第2絶縁層はその全収縮量に対し90%に相当する体積収縮が完了していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層回路基板の製造方法。
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JP2008109053A (ja) * 2006-10-27 2008-05-08 Kyocera Corp ガラスセラミック多層回路基板

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