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JP2005531511A - グルカン結合タンパク質の免疫原性 - Google Patents

グルカン結合タンパク質の免疫原性 Download PDF

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JP2005531511A JP2003574121A JP2003574121A JP2005531511A JP 2005531511 A JP2005531511 A JP 2005531511A JP 2003574121 A JP2003574121 A JP 2003574121A JP 2003574121 A JP2003574121 A JP 2003574121A JP 2005531511 A JP2005531511 A JP 2005531511A
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ダニエル ジェイ. スミス
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Abstract

グルカン結合タンパク質-Bのペプチドサブユニット、およびグルコシルトランスフェラーゼのペプチドサブユニットと共にグルカン結合タンパク質-Bのペプチドサブユニットを含む、虫歯に関する免疫原性組成物およびサブユニットワクチンを記述する。ミュータンス連鎖球菌グルカン結合タンパク質-Bまたはグルコシルトランスフェラーゼに対する免疫応答を誘発する方法を記述する。グルカン結合タンパク質-Bまたはグルコシルトランスフェラーゼの特定のエピトープに結合する抗体と共に、虫歯に対して哺乳類を免疫する方法についても記述する。

Description

発明の背景
ミュータンス連鎖球菌(Mutans streptococci)は、ヒトにおける虫歯の開始に関係している。ミュータンス連鎖球菌は、細菌を歯の生物膜内に蓄積させて虫歯を引き起こす酸を産生してこれに耐えるいくつかのビルレンス因子を有する。齲食原性のミュータンス連鎖球菌が歯の生物膜において蓄積できることは、グルコシルトランスフェラーゼによってグルカンが合成された後に、細菌が細胞関連グルカン結合タンパク質(Gbps)を通してこれらのポリマーに結合した結果であると考えられている。生体膜の発達は異なる二つの相で起こる。第一の相において、細菌表面のタンパク質は、宿主または歯の表面に吸着された細菌産物と相互作用する。第二の相において、同じまたは他の種との凝集によって細菌が蓄積すると、生体膜が形成され、細胞外多糖類マトリクスを産生する。
これらの機能に関連したエピトープは、関連する配列が抗体上で近づくことができる分子領域に存在する限り、免疫原性攻撃に対する一次標的であると考えられている。グルカン結合活性を有するいくつかのミュータンス連鎖球菌タンパク質が記述されている(Rusell, R.R.、J. Gen. Microbiol. 112:197〜201(1979);Smith, D.J.ら、Infect. Immun. 62:2545〜2552(1994);Sato, Y.ら、Infect. Immun. 65:668〜675(1997))。これらの成分の一つであるグルカン結合タンパク質-B(Gbp-B)は、全身性または粘膜免疫後の実験的虫歯に対する保護的免疫応答を誘導することが示されている(Smith, D.J.ら、Infect. Immun. 64:3069〜3073(1996)およびSmith,D.J.ら、Oral Microbiol. Immunol. 13:278〜285(1998))。さらに、GbpBの発現が生体膜の形成に直接関連するという証拠がある(Mattos-Graner, R.O.ら、Infect. and Immun. 69(11)6931〜6941(2001))。しかし、ワクチンに無傷のGbpBタンパク質を用いると、無関係なまたは望ましくないエピトープに対する免疫を誘導する可能性がある。
発明の概要
本発明は、連鎖球菌抗原に対する抗体産生を誘導するための改善された免疫原およびワクチン組成物を提供する。したがって、本発明は、主要組織適合性抗原複合体(MHC)クラスIIタンパク質、例えば、DRA、DRB1、DRB2、DQA1、DQB1、DPA1、DPB1、DMA、DMB、DOA、およびDOBからなる群より選択されるHLAタンパク質に結合するグルカン結合タンパク質-B(GbpB)の断片を含む組成物を特徴とする。GbpBタンパク質は好ましくはミュータンス連鎖球菌株に由来する。例えば、連鎖球菌のGbpBは、配列番号:29、30、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。好ましくはGbpBタンパク質は、配列番号:29のアミノ酸配列(ミュータンス連鎖球菌SJ32株)を含む。
断片は長さが6残基より大きく、431残基より小さい。例えば、断片は長さが400残基未満であり、長さが100残基未満であり、または長さが50残基未満である。好ましくは、断片は長さが10〜25残基である。断片は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、および22からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、断片は、配列番号:1および3からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
二つまたはそれ以上の連鎖球菌タンパク質の断片を含むキメラポリペプチドも本発明に含まれる。例えば、組成物は、GbpBポリペプチドとグルコシルトランスフェラーゼ(GTF)ポリペプチドとを含む。ポリペプチドは共有結合している。キメラポリペプチドは、二つより多いエピトープを含み(二エピトープポリペプチド)、3、4、5個またはそれより多いエピトープを含んでもよい(多エピトープポリペプチド)。選択的に、ポリペプチドは、単一のエピトープの二つまたはそれ以上のコピーを含む。BgpBポリペプチドは、好ましくは配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、および22からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、グルコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号:34、35、36、37、38、39、または40の触媒ドメインを含む。好ましくは、触媒ドメインは、配列番号:24または25のアミノ酸配列を含む。または(もしくはさらに)、グルコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号:34、35、36、37、38、39、または40のグルカン結合ドメインを含む。好ましくはグルカン結合ドメインは、配列番号:23のアミノ酸配列を含み、グルコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号:23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。例えば、二エピトープポリペプチド構築物には、配列番号:1を含むGbpBポリペプチドと配列番号:23を含むグルコシルトランスフェラーゼポリペプチド、または配列番号:1を含むGbpBポリペプチドと配列番号:25を含むグルコシルトランスフェラーゼポリペプチドが含まれる。二または多エピトープ構築物は、選択的にペプチジルコアマトリクスを含む。マトリクスは、一つまたは複数のリジン残基を含む。
組成物は、哺乳類における抗体の産生を誘発するために用いられる。方法は、GbpBのMHCクラスII結合断片を含む組成物、またはGbpBポリペプチドとグルコシルトランスフェラーゼポリペプチドの双方を含む組成物を哺乳類に投与することによって行われる。後者の場合、哺乳類によって産生される抗GbpB抗体の量は、GTFペプチドの非存在下でGbpBペプチドを含む組成物によって免疫した哺乳類によって産生される量より少なくとも10%多い。二または多エピトープペプチド構築物によって免疫した動物における抗GbpB力価は、好ましくは単エピトープペプチドによって免疫した動物において得られた力価より少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、および少なくとも100%高い。同様に、二または多エピトープペプチド構築物によって免疫した動物における抗GTF力価は、好ましくは単エピトープペプチドによって免疫した動物において得られた力価より少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、および少なくとも100%高い。免疫によって全身性免疫(例えば、IgGアイソタイプ)と共に粘膜免疫(IgAアイソタイプ)が産生される。同様に、本発明には、上記の任意の方法によって産生された実質的に純粋な抗体が含まれる。
本発明におけるポリペプチド(抗体分子を含む)は、実質的に純粋である。ポリペプチドは、その天然の状態でそれが伴うその混入物(タンパク質および他の天然に存在する有機分子)から分離されている場合に実質的に純粋である。抗体調製の場合、抗体は、細胞または他の血液タンパク質のような他の血液成分から精製される。典型的に、ポリペプチドは、調製物においてタンパク質の重量で少なくとも60%を占める場合に実質的に純粋である。好ましくは、調製物中のタンパク質は、所望のタンパク質の重量の少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも99%である。純度は、適当な方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析によって測定される。したがって、実質的に純粋なポリペプチドには、合成ポリペプチド、真核細胞に由来するが大腸菌もしくは他の原核細胞、またはポリペプチドが本来由来する細胞以外の真核細胞において産生された組み換え型ポリペプチドが含まれる。
ペプチドは、合成によって、または組み換えDNA技術によって調製される。ペプチドという用語は、隣接するアミノ酸のα-アミノ基とα-カルボキシル基とのあいだのペプチド結合によって互いに連結した一連のアミノ酸を指すために、本明細書においてポリペプチドと互換的に用いられる。選択的に、一つまたはそれ以上のペプチド結合は、ペプチド結合と比較してペプチダーゼによる切断を受けにくい別のタイプの共有結合(「ペプチド模倣体」)によって置換される。被験者に注入後のペプチドのタンパク質溶解による分解が問題である場合、特に感受性の高いペプチド結合を非切断性のペプチド模倣体に置換すると、ペプチド模倣体が得られ、これはより安定で、このように治療物質としてより有用である。そのような模倣体、およびそれらをペプチドに組み入れる方法は当技術分野で周知である。同様に、L-アミノ酸残基の置換は、タンパク質溶解に対するペプチドの感受性をより低くする標準的な方法である。同様に、t-ブチルオキシカルボニル、アセチル、テイル(theyl)、スクシニル、メトキシスクシニル、スベリル、アジピル、アゼライル、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル、メトキシアジピル、メトキシスベリル、および2,4-ジニトロフェニルのようなアミノ末端のブロッキング基も有用である。ポリペプチドまたはペプチドは、改変がポリペプチドの免疫刺激活性を破壊しない条件であれば、その天然型(未変化型)、もしくは塩である型、およびグリコシル化、側鎖の酸化、もしくは燐酸化のような改変を含まない、またはこれらの改変を含む型であってもよい。
誘導体ペプチドのエピトープは、天然に存在する受容体ペプチドのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する。そのような誘導体ペプチドは、参照アミノ酸配列、例えば天然に存在するグルタメート受容体ペプチドと比較して少なくとも50%の同一性を有する。好ましくは、誘導体は、天然に存在するタンパク質配列と90、95、98、または99%同一である。誘導体は、保存的アミノ酸置換を含む。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基を、生物学的および/または化学的に類似であるもう一つのアミノ酸に置換すること、例えば一つの疎水性残基をもう一つの残基に、または一つの極性残基をもう一つの残基に置換することを意味する。置換には、グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシンのような組み合わせが含まれる。本明細書に記述のヌクレオチドおよびアミノ酸比較は、Lasergeneソフトウェアパッケージ(DNAスターインク(DNASTAR)、マジソン、ウィスコンシン州)を用いて行う。用いたMegAlignモジュールは、Clustal V法(Higginsら、1989、CABIOS 5(2):151〜153)である。用いたパラメータは、ギャップペナルティ10、ギャップ長ペナルティ10である。
連鎖球菌免疫原によって哺乳類を免疫することによって能動免疫を誘発することの他に、方法は、受動免疫を付与する方法を含む。例えば、インビトロまたはインビボで産生された抗体を精製して、哺乳類に投与する。抗体調製物は、GbpBおよび/またはGTFのような連鎖球菌抗原に対して特異的に結合する抗体を含む。例えば、受動免疫レジメにおいて用いられる抗体は、GbpBのMHCクラスII結合断片または上記の一つもしくはそれ以上の多エピトープ構築物に対して特異的に結合する精製抗体を含む組成物によって第一の哺乳類を免疫することによって作製された。第一の動物からの抗体の精製後、抗体を第二の動物に投与する。または、抗体は培養において産生し、精製して、受動免疫を付与するために哺乳類に投与する。免疫によって誘発されたまたは受動的に投与された抗体は、一つまたはそれ以上の活性、例えば口腔連鎖球菌のコロニー形成を阻害する。
本発明の他の特徴および長所は、以下の詳細な説明および請求の範囲から明らかとなるであろう。
発明の詳細な説明
ミュータンス連鎖球菌は、感染性の疾患である虫歯の主要な病原体である。この口腔病原体は、幼児期のあいだに口腔に感染し、通常一生のあいだ宿主の歯列に関連して留まる。歯の生体膜内での細菌の蓄積は、いくつかのビルレンス因子の影響による起こりうる。ミュータンス連鎖球菌の蓄積相に関連した細菌成分には、グルコシルトランスフェラーゼ、そのグルカン産物、およびグルカン結合タンパク質が含まれる。少なくとも三つのミュータンス連鎖球菌グルカン結合タンパク質、GbpA、GbpB、およびGbpCが同定されている。GbpAは、グルコシルトランスフェラーゼの推定のグルカン結合ドメインと相同性を有し、gbpA遺伝子は、構成的に発現された分泌タンパク質をコードすることが判明した。細胞表面に会合したGbpCは、連鎖球菌タンパク質のSpaファミリーに関連し、ストレス条件の場合に限って発現される。GbpBは、ミュータンス連鎖球菌およびスレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)によって発現された他のグルカン結合タンパク質とは免疫原性が異なり、同様に大きさおよび精製特性も異なる。
グルカン結合タンパク質-Bは、単一のポリペプチド鎖であり、これは長さが431〜432残基である。一次配列の分析から、ロイシンジッパードメインが判明した。しかし、GbpBは、グルコシルトランスフェラーゼまたはミュータンス連鎖球菌グルカン結合タンパク質Aのグルカン結合ドメインと配列相同性を有しなかった。これによって、その全文が参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,686,075号および米国特許出願第09/290,049号に記述されるように、合成ペプチドまたはGTFグルカン結合ドメインに由来する組み換え型構築物について用いられ、成功を収めていたサブユニットワクチンアプローチを用いて、推定のグルカン結合機能を有するGbpBドメインの特異的ターゲティングが防止された。
GbpB配列は、他のグラム陽性微生物からのペプチドグリカンヒドロラーゼと有意な相同性を有し、gbpB領域の比較可能なゲノム分析によって、細胞形状および細胞壁の維持に関係する遺伝子において機能的関係が示唆された。gbpB遺伝子をノックアウトする試みから、GbpBの発現が生物にとって必須であることが示された。GbpB機能による免疫原性の妨害は、口腔における齲食原性のミュータンス連鎖球菌の増殖に関連した有害な作用を減少させる。
表5〜9には、様々な株のミュータンス連鎖球菌からのGbpBのアミノ酸配列が含まれる。
(表5)GenBankアクセッション番号AY046410のミュータンス連鎖球菌株SJ32 GbpBの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表6)GenBankアクセッション番号AY046411のミュータンス連鎖球菌株3VF4 GbpBの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表7)GenBankアクセッション番号AY046412のミュータンス連鎖球菌株15JP2 GbpBの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表8)GenBankアクセッション番号AY046413のミュータンス連鎖球菌株3SN1 GbpBの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表9)GenBankアクセッション番号AY046414のミュータンス連鎖球菌株5SM3 GbpBの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
本明細書に記述の組成物、例えばサブユニットワクチン組成物および免疫原性組成物は、投与される哺乳類において免疫応答を生じるために十分な長さであるGbpBのアミノ酸配列サブユニットを含む。本明細書において用いられるように、「サブユニット」または「断片」という用語は、天然に存在するタンパク質全体より小さいGbpBタンパク質の一部を指す。例えば、断片は、天然に存在する完全長のタンパク質の少なくとも5連続アミノ酸を含む。本明細書に記述のペプチド構築物を含むワクチンは、GbpBおよび/またはGTFの機能的ドメインに対して特異的に結合する抗体を誘発し、そのようなワクチンが無関係なまたは望ましくないエピトープに対して免疫を誘導しないというさらなる長所を有する。有用なペプチドは、投与される哺乳類において免疫応答を生じるために十分な長さであるが、無傷のGbpBの完全なアミノ酸配列より短いであろう。典型的に、ペプチドは、長さがアミノ酸少なくとも5〜7個である。好ましくはペプチドは長さがアミノ酸少なくとも12個である;より好ましくはペプチドは長さがアミノ酸少なくとも23個である。GbpBポリペプチドはミュータンス連鎖球菌に由来する。しかし、有意な相同性および/または機能を有するミュータンス連鎖球菌の他の株に由来するグルカン結合タンパク質も同様に利用することができる。例えば、本発明の免疫原性組成物およびサブユニットワクチン中のペプチドは、典型的に、MHCクラスII結合モチーフに対してマッチ少なくとも4個を有するアミノ酸少なくとも6個を含む。好ましくは、ペプチドは、MHCクラスII結合モチーフに対してアミノ酸のマッチが5個より多く、最も好ましくはペプチドはアミノ酸のマッチが6個より多い。マッチは、例えば当技術分野で既知のエピトープ予測に関する行列に基づくアルゴリズムを用いて決定される。
MHCクラスIIモチーフからのDBRI対立遺伝子の組に対するGbpB一次配列の比較に起因する有意なピークを有する、図1に示されるペプチドも企図される。例えば、図1に従って、長さが右側にアミノ酸少なくとも6残基から残基16個、62、90、121、322、および369個伸長したペプチドは、DBRI対立遺伝子に対して少なくとも4個のマッチ残基を有するペプチドであり、本出願の組成物において用いることが企図される。適したペプチドはまた、表記のピークの左側にアミノ酸残基を含んでもよい。
GbpBのHLA結合ペプチド
GbpBペプチドを合成して、免疫原性、親タンパク質との反応性、および虫歯保護免疫の誘導に関して評価した。例としてのペプチドには、グルカン結合タンパク質-Bの以下の断片が含まれる:
Figure 2005531511
アミノ酸残基の座標は、完全長のGbpB(配列番号:29)を指す。同等のペプチドには、他のミュータンス連鎖球菌グルカン結合タンパク質における同等の部位(例えば、位置または残基)が含まれると意図される。例えば、他のグルカン結合ペプチドは、S.ソブリナスまたは他のミュータンス連鎖球菌株において認めることができる。同等物は、当業者によって日常的に行われているように、例えば他のミュータンス連鎖球菌GbpBのアミノ酸配列を並列化することによって同定することができる。
本明細書において用いられるように、ワクチン組成物は、投与される哺乳類において免疫応答を誘発する組成物である。GbpB-特異的抗体が誘発されると、免疫物質または免疫原性交叉反応物質によるその後のチャレンジに対して、免疫した哺乳類を保護する。例えば、GbpBに対して特異的な粘膜の抗体が産生されると、免疫した哺乳類におけるミュータンス連鎖球菌の量が減少する。保護は、非ワクチン接種哺乳類と比較した症状または感染の減少または消失のような、完全または部分的となりうる。免疫原性交叉反応物質は、例えば免疫原として用いられるサブユニットペプチドが由来する全タンパク質(GbpB)となりうる。または、免疫原性交叉反応物質は、免疫物質によって誘発された抗体によって全体または部分的に認識される異なるタンパク質となりうる。
本明細書において用いられるように、免疫原性組成物は、投与される哺乳類において免疫応答を誘発し、免疫物質または免疫原性交叉反応物質によるその後のチャレンジに対して、免疫した哺乳類を保護してもしなくてもよい組成物を含む。
産生された免疫応答は、B細胞反応、T細胞反応、またはB細胞とT細胞反応の双方を特徴とする。B細胞反応は、主にIgAである粘膜抗体、および主にIgGである全身抗体の出現に関連している。免疫によって誘発された抗体は、好ましくは免疫物質と免疫原性交叉反応物質の双方を認識する(例えば、免疫ペプチドおよび無傷のGbpBタンパク質)。抗体反応は、免疫物質または免疫原性交叉反応物質によるその後のチャレンジまたは感染に対して、免疫した哺乳類を保護する。
表1に記載したペプチドの他に、GbpBの他の免疫原性ドメインと共に、アジュバント性を増強する、または他の感染物質に対する免疫原性反応を生じる非GbpB起源のドメインは、選択的に本発明の組成物に含まれる。例えば、ワクチンまたは免疫原性組成物は、ジフテリア、百日咳、破傷風、麻疹、インフルエンザ、ポリオウイルス、およびレトロウイルスを含むがこれらに限定されない病原体の免疫原性部分であるさらなる免疫原性成分を含み、これによって一つより大きい感染性疾患または物質に対して免疫応答を生じる多価組成物が得られる。多価ワクチンには、幼児期初期の感染症を標的とする免疫原性エピトープおよび適当なアジュバント配列が含まれる。
GbpB-GTFキメラペプチド
GTFの一つまたはそれ以上のドメインと組み合わせたGbpBの一つまたはそれ以上のドメインを含む免疫原性組成物を作製して、それらの抗体産生誘発能を評価した。この戦略によって、二つまたはそれ以上のエピトープを利用するミュータンス連鎖球菌の分子的病原性に対して複合的に取り組むことができる。ミュータンス連鎖球菌のグルコシルトランスフェラーゼの一つまたはそれ以上の機能的ドメインのアミノ酸配列を含む合成ペプチドは、免疫応答を誘導し、これは細菌のコロニー形成を減少させる。GTF配列とGbpB配列とを含むキメラペプチドは、免疫応答の酵素阻害能を増加させることによって、無関係なエピトープに対する反応を消失させることによって、およびグルカン結合能を減少させることによって、細菌のコロニー形成に対してより全体的な攻撃を提供する。
表10〜16には、様々な連鎖球菌のGTFアイソザイムのアミノ酸配列が含まれる。
(表10)ミュータンス連鎖球菌GTF-Bの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表11)ミュータンス連鎖球菌GTF-Cの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表12)ミュータンス連鎖球菌GTF-Dの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表13)S. ソブリナスGTF-Iの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表14)S. ソブリナスGTF-Uの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表15)S. ドウネイ(S. downei)GTF-Sの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
(表16)S. サリバリウス(S. salivarius)GTF-Iの推定アミノ酸配列
Figure 2005531511
例としてのGTFペプチドを表17〜19に示す。
(表17)GTFの触媒ドメインペプチド
Figure 2005531511
(表18)GTFのグルカン結合ドメインペプチド
Figure 2005531511
(表19)GTFの表面ドメインペプチド
Figure 2005531511
ミュータンスGbpBおよびミュータンス連鎖球菌のGTFの双方に対する保護抗体を誘導する二エピトープペプチド構築物は、既知の方法を用いて作製する。一つのペプチドをGbpB配列から得て、もう一つのペプチドをGTF配列から得る。有用なGTF配列は、米国特許第5,686,075号および米国特許出願第09/290,049号に記述される。多エピトープ配列は、多数の抗原性ペプチド(MAP)骨格上に存在し、組み換えによって、もしくは弱毒化発現ベクターにおいて、または当技術分野で既知の他の方法によって発現される。例えば、二エピトープ免疫原性およびワクチン組成物には、S.ソブリナスGTF-B残基1303〜1324位;
Figure 2005531511
またはミュータンス連鎖球菌GTF-B残基442〜462位;
Figure 2005531511
と組み合わせたミュータンスGbpBペプチド
Figure 2005531511
が含まれる。
ペプチドは、互いに直接結合しているか、または介在する残基(例えば、一つまたはそれ以上のリジン)によって分離されている。組成物は選択的に、細菌由来アジュバントのような免疫原性増強物質を含む。例えば、GbpBまたはGTFペプチドを、既知のタンパク質(破傷風トキソイドのような)または担体(合成ポリマー担体のような)に結合させると、組成物に高分子構造を与え、免疫原性を増強する。組成物は少なくとも二つの異なるペプチドを含み、ペプチドを合成して、ペプチジルコアマトリクスに共有結合させると、単一の構造において高密度のペプチドを有する高分子が得られる。そのような構造におけるそれぞれのペプチドは、GbpBペプチドを含み、これは投与される哺乳類において免疫応答を誘導するために十分な長さである。組成物は選択的に、複数のコピーのGbpBまたはGTFペプチドを含む。合成ペプチドワクチンデザインは、既知の方法、例えばTamら、PNAS USA 85:5409〜5413(1988)を用いてMAP構築物を用いて行った。
ペプチジルコアマトリクスは、リジン、アルギニンおよびヒスチジンのようなアミノ酸を含む。特に、少なくとも二つのペプチドを少なくとも一つのリジンのコアマトリクスにおいて合成すると、高分子ワクチン組成物が得られる。特に、少なくとも二つのペプチドは、リジン3個のコアマトリクスにおいて合成される。もう一つの例において、ワクチン組成物は、ペプチド4個をリジン3個のコアマトリクスに共有結合させて、4本の樹状の腕を有する放射状に分岐したペプチドを生じることによって作製される。存在する四つのペプチドは同じまたは異なりうる。そのような多エピトープペプチド構築物は免疫応答の増強を誘導した。その上、いくつかの株からの配列を合成または組み換え型多エピトープ構築物に組み合わせると、虫歯のサブユニットワクチンの保護能が増加する。
ワクチン製剤
適したペプチド(複数)を、輸送および免疫応答を改善するために、微粒子、例えばPGLA微粒子に組み入れる。そのような生体接着性の微粒子は、一次および二次粘膜抗体産生を促進することができる。さらに、粘膜に適用したペプチド(抗原)に対する免疫応答を増強する他の方法には、コレラ毒素または大腸菌熱不安定毒素の解毒版のような粘膜アジュバントを用いることが含まれる(Smithら、Infect. Immunity 69(8):4767〜4773)。
ペプチドは、生理的に許容される培地によって調製される。生理的な培地には、水、緩衝生理食塩液、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびデキストロース溶液が含まれるがこれらに限定されない。選択された培地における活性成分(複数)の至適濃度は、当業者に周知の技法に従って経験的に決定することができ、所望の最終的な薬学的製剤に依存するであろう。外因性ペプチドを治療部位に導入する方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、口腔、舌下、眼内、直腸内、および鼻腔内が含まれるがこれらに限定されない。他の適した導入法にはまた、充填可能または生体分解性の装置および徐放性ポリマー材料が含まれうる。本発明の組成物はまた、他の物質との併用治療の一部として投与することができる。
ペプチドは、ポリペプチド約1〜100 μmol/kg体重/日の静脈内用量で投与される。投与は典型的に非経口である。例えば、ペプチドは、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、口腔、または鼻腔内に投与される。
抗体産生
本発明のペプチドは、抗体を産生するため、または免疫応答を誘発するために用いられる。本明細書において用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫原性活性部分、すなわち抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。本発明のペプチドに特異的に結合する分子は、そのペプチドまたはその断片に結合するが、本来ペプチドを含む試料中、例えば生体試料中の他の分子には実質的に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫原性活性部分の例には、F(ab)およびF(ab')2断片が含まれ、これらはペプシンのような酵素によって抗体を処理することによって作製することができる。本発明は、本発明のペプチドに結合するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびトランスジェニック抗体を提供する。本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本発明のペプチドの特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位の一つのみの種を含む抗体分子の集団を指す。このように、モノクローナル抗体組成物は、典型的にそれが免疫反応する本発明の特定のペプチドに対して単一の結合親和性を示す。
ポリクローナル抗体は、適した被験者を所望の免疫原、例えば全グルカン結合タンパク質-B、本発明のペプチドまたはその断片によって免疫することによって上記のように調製される。免疫した被験者における抗体力価は、固定したペプチドまたはタンパク質を用いる酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)のような標準的な技術によって経時的にモニターすることができる。望ましければ、ペプチドに対する抗体分子を哺乳類(例えば、血液から)から単離して、プロテインAクロマトグラフィーのような周知の技術によってさらに精製してIgG分画を得る。同様に、抗体は、免疫した鶏卵の 卵黄(IgY)(Svendsenら、Lab. Anim. Sci. 45:89〜93(1995))から単離することができる、またはトランスジェニック抗体を植物もしくは他の宿主において調製して、ヒトでの使用のために抽出することができる(Maら、Eur. J. Immol. 24:131〜138(1994))。免疫後の適当な磁気に、例えば抗体力価が最高である時期に、抗体産生細胞を被験者から得て、これを用いて、Kohler and Milstein、Nature 256:495〜497(1975)によって初めて記述されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、Immunol. Today 4:72(1983))、EBV-ハイブリドーマ技術(Coleら、「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」、アランR.リスインク(Alan R. Liss, Inc)、77〜96頁(1985))、またはトリオーマ技術のような標準的な技術によってモノクローナル抗体を調製することができる。ハイブリドーマを作製する技術は周知である(例えば、一般的にAusubelら(編)「Current Protocols in Immunology」、ジョンウィリー&サンズインク、ニューヨーク、ニューヨーク州(2001)を参照されたい)。簡単に説明すると、不死化細胞株(典型的に骨髄腫)を、上記の免疫原によって免疫した哺乳類からのリンパ球(典型的に脾細胞)に融合させて、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、本発明のペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
リンパ球と不死化細胞株を融合させるために用いられる多くの周知の任意のプロトコールを、本発明のペプチドに対するモノクローナル抗体を作製する目的で応用することができる(例えば、上記の「Current Protocols in Immunology」;Galfreら、Nature 266:55052(1977);R.H. Kenneth、「Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses」、プレナム出版、ニューヨーク、ニューヨーク州(1980);およびLerner、Yale J. Biol. Med. 54:387〜402(1981))。その上、当業者は、同様に有用であるそのような方法の多くの変法が存在することを認識するであろう。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、組み換え型組み合わせ免疫グロブリンライブラリ(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリ)をペプチドによってスクリーニングして、それによってペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリメンバーを単離することによって、本発明のペプチドに対するモノクローナル抗体を同定して単離することができる。ファージディスプレイライブラリを作製およびスクリーニングするためのキットは市販されている(例えば、ファルマシア、Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27-9400-01;およびストラタジーン(Stratagene)、SurfZAP(商標)ファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリを作製およびスクリーニングするために用いられるために特に用いやすい方法および試薬の例は、例えば米国特許第5,223,409号;PCT出願国際公開公報第92/18619号;PCT出願国際公開公報第91/17271号;PCT出願国際公開公報第92/20791号;PCT出願国際公開公報第92/15679号;PCT出願国際公開公報第93/01288号;PCT出願国際公開公報第92/01047号;PCT出願国際公開公報第92/09690号;PCT出願国際公開公報第90/02809号;Fuchsら、BIo/Technology 9:1370〜1372(1991);Hayら、Hum. Antibod. Hybridomas 3:81〜85(1992);Huseら、Science 246:1275〜1281(1989);Griffithsら、EMBO J. 12:725〜734(1993)に認められうる。
さらに、ヒトおよび非ヒト部分の双方を含み、標準的な組み換えDNA技術によって作製することができるキメラおよびヒト化モノクローナル抗体のような組み換え型抗体は、本発明の範囲内である。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野で既知の組み換えDNA技術によって産生することができる。本発明はまたヒト抗体も含むと意図される。産生、単離、精製および使用法は、標準的な方法論を用いる当業者に既知である。
ミュータンス連鎖球菌によって能動的免疫を行うと、実験的虫歯に対する保護を誘導することが示されている。同様に、Smithら、Infect. and Immun. 69(5):3135〜3142(2001)によって記述される方法を用いて、本発明のペプチドに対する抗体を投与することによって、哺乳類に受動免疫を付与するために本明細書に記述のペプチドを用いることも、本出願によって企図される。受動免疫およびミュータンス連鎖球菌からの保護は、本明細書に記述のGbp-Bペプチド(例えば、配列番号:1〜22)に対して特異的な抗体の投与によって得ることができる。投与経路には、静脈内、鼻腔内、局所、およびマウスウォッシュ、歯磨き、またはチューインガムに抗体を含めることを含む食事となりうる。Gbp-Bペプチド抗体の投与は、生体膜におけるミュータンス連鎖球菌の蓄積および虫歯を引き起こすその後の事象を阻害することによって、虫歯に対して免疫治療的有効性を有しうる。
本発明はさらに、本発明の免疫原性またはワクチン組成物を投与することによって、哺乳類におけるグルカン結合タンパク質またはグルコシルトランスフェラーゼに対する免疫応答を誘発する方法に関する。好ましくは、免疫応答によって、ワクチン組成物の投与後の哺乳類において生体膜におけるグルカン結合の妨害が起こる。または、免疫応答によって哺乳類におけるグルコシルトランスフェラーゼの酵素活性の妨害が起こる。本発明の組成物および方法によって誘発された免疫応答は液性または全身性となりうる;例えば、免疫応答は、粘膜反応となりうる。本発明の方法によって誘発された免疫応答によって、ワクチンまたは免疫原性組成物を投与される哺乳類におけるミュータンス連鎖球菌株のコロニー形成または蓄積の減少が起こる。
本発明の組成物は、虫歯の予防および/または減少が望ましい任意の哺乳類に投与される。適した哺乳類には、虫歯の阻害が望ましい霊長類、ヒト、ネコ、イヌ、マウス、ラット、および他の哺乳類が含まれる。本発明は、ワクチンが投与される哺乳類において虫歯の進行を予防、停止、または減少するために有用であるワクチンを提供する。
GbpBに対する免疫応答を誘発する本発明の方法において、GbpBに対する免疫応答が望ましい哺乳類に、本明細書に記述のワクチンまたは免疫原性組成物を投与する。組成物を製剤に含めることができ、これを治療すべき個体に投与する;そのような製剤にはまた、生理的に適合される担体(例えば、生理的緩衝液)、安定化剤、着香料、アジュバントおよび他の成分が含まれうる。ワクチンは多様な経路(例えば、非経口、粘膜、鼻腔内、眼内、静脈内、直腸内、経口)によって投与することができ、製剤の成分はそれに従って選択されるであろう。投与量および投与回数は、経験的に、そして治療すべき哺乳類の年齢および体格、ならびに虫歯疾患の進行期(例えば、ミュータンス連鎖球菌のコロニー形成前、ミュータンス連鎖球菌のコロニー形成直後、またはコロニー形成の後期)を考慮に入れるであろう。
実施例1:免疫原性領域の同定
クラスII MHC分子と共に示されるペプチドは、抗原処理細胞のファゴソームにおいて処理されているGbpBに由来した。ペプチドはこれらの細胞の表面上で比例的にMHC分子に結合する。結合は、MHC分子における結合ポケットとペプチドのアミノ酸側鎖との相互作用によって決定した。所定のMHCに対して結合する可能性があるペプチドの特徴を、MHC対立遺伝子のプールしたシークエンシングデータから直接推定して、推定結合確率を得た。このように、サブユニットワクチンをデザインするために用いることができるGbpB配列における可能性があるB細胞エピトープを同定するために、エピトープ予測に関する行列に基づくアルゴリズム(EpiMatrix;エピバックス(EpiVax)インク、プロビデンス、ロードアイランド州)を用いて、既知のMHCクラスII結合モチーフに関してGbpBの一次アミノ酸配列を検索した。
モチーフマッチアルゴリズムは、それぞれのMHCクラスII対立遺伝子に対してGbpB配列を分析して、結合モチーフのクラスタを含む配列の領域を示した。十分に高い推定結合確率(EBP)を有するそれらの配列を用いて、MHCリガンドを予測した。図1は、所定の配列に関連したモチーフマッチ数として予想エピトープの領域を示す。発現されたタンパク質配列のN-末端領域内に少なくとも6個のマッチを有する、発現されたタンパク質配列内の領域4個が同定された。残基16位から始まるこれらの領域の一つは、27残基のシグナルペプチド内に存在した。分子のN末端3分の1に存在する他の三つの領域は、残基62位、残基90位、および残基121位で始まった。残基369位で始まるC末端領域における一つのペプチドは、マッチ5個を有した。既知の対立遺伝子の他の組の独立した分析によってもまた、これらはより高い推定結合確率を有する領域であると同定された。これらの後者の分析はまた、残基322位以降の10量体領域が図1に示す結果から予測された場合より大きい結合確率を有することを示した。表1は、この方法によって同定されたペプチド配列を示す。
(表1)
Figure 2005531511
ペプチド構築物
残基62位、121位、および322位以降に予測結合エピトープが含まれる三つの20量体ペプチド(SYI、QGQ、SAS)のMAP構築物を、以下のペプチドを用いて合成した:
Figure 2005531511
上記のマトリクスに基づくアプローチにおいて同定された推定の高いMHCクラスII結合確率に基づいて、構築物(SYI、QGQ、およびSAS;配列番号:1、3および9)を、合成およびさらなる分析のために選択した。Merrifield R.B.、J. Amer. Chem. Soc. 85:2149〜2154(1963)の段階的固相合成法を用いて、リジンのコアマトリクス上でペプチドを合成して(アプライドディアグノスティクス、フォスターシティ、カリフォルニア州)、Tamら、PNAS USA 85:5409〜5413(1988)の方法に従って1分子あたりペプチド4個を有する高分子を生成した。合成は、三つのペプチドの二つ(SYIおよびQGQ)について成功した。HPLC、アミノ酸分析、および質量分析による分子量測定を用いて純度(>90%)を評価した。
グルカン結合タンパク質(GbpB)
GbpBは、尿素の存在下でMONO-Q HR 5/5(ファルマシア(Pharmacia))上でのイオン交換クロマトグラフィーによってミュータンス連鎖球菌株SJrから精製した。細菌を、Navarre and Schneewind、Mol. Microbiol.14:115〜121(1994)に既に記述されるように蔗糖不含合成培地において培養した。このようにして調製したGbpBは、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動において単一のタンパク質バンドとして移動する。
ELISA
血清IgGおよび唾液IgA抗体を、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)によって調べた。ポリスチレンマイクロタイタープレート(フローラボラトリーズ(Flow Laboratories))を2.5 mg/mlのSYIもしくはQGQ、または0.5 mg/mlミュータンス連鎖球菌GbpBによってコーティングした。抗体活性を、400倍および4000倍希釈した血清、または4倍希釈した唾液と共にインキュベートすることによって測定した。次に、プレートを、ウサギ抗IgGによってIgG抗体に関して展開させた後、アルカリホスファターゼヤギ抗ウサギIgG(バイオソースインク(Biosource Inc.))およびp-ニトロフェニルホスフェート(シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)、セントルイス、ミズーリ州)によって連続的に展開させた。ラットα鎖に対するマウスモノクローナル試薬(ザイムド(Zymed)、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州)を、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG(ザイムド)と共に用いた後、アビジン-アルカリホスファターゼ(ICNバイオメディカルズインク(ICN Biomedicals, Inc)、オーロア、オハイオ州)の後にp-ニトロフェニルホスフェートを用いて、ペプチドに対する唾液IgA抗体レベルを測定した。反応性は、マイクロプレートリーダー(バイオテックインストルメンツ(Biotek Instruments)、ウィヌースキ、バーモント州)における吸光度(A405 nm)として記録した。データは、ELISA単位(EU)として報告し、これはそれぞれのペプチド構築物によって2回免疫したSprague Dawley系ラットからの適当な参照血清または唾液レベルと比較して計算した。A405 nmで約1.0を生じる血清の希釈液は、血清IgG抗体測定に関して100 EUであると見なした。A405 nmで約0.8を生じる唾液の希釈液は、唾液のIgA抗体に関して100 EUであると見なした。
ペプチドの免疫原性
Sprague Dawley CD系の45日齢雌性ラット(チャールスリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories)、ウィルミントン、マサチューセッツ州)を注射のために用いた。1群6匹のラット4群の唾液腺の近傍の皮下に各SYIまたはQGQペプチド構築物50 μg、もしくはGbpB 10 μgを注射するか、または緩衝液単独で偽免疫した。初回注射には、フロイントの完全アジュバント(CFA;ディフコラボラトリーズ(Difco Laboratories)、デトロイト、ミシガン州)が含まれ、21日後のその後の注射にはフロイントの不完全アジュバントが含まれた。動物を注射前に採血して、第二の注射の14日後に採取した。この実験において、ラットは50%二酸化炭素および50%酸素の混合ガスによって一時的に麻酔した後、ケタミン(ケタセット、100 mg/ml、フォートドッジラブ(Fort Dodge Lab)、フォートドッジ、アイオワ州)3に対してキシラジン(ロンプン、20 mg/ml、バイエル(Bayer)社、シャウニーマディソン、カンサス州)7の混合物(0.65 ml/kg)の腹腔内注射によって麻酔した。唾液分泌は、0.6 ml/kgラット体重のカルバコール(0.1 mg/mlを生理食塩液中に含む;シグマケミカル社、セントルイス、ミズーリ州)の皮下注射によって刺激した。唾液の収集後、ラットにまず0.1 ml/kg硫酸アトロピン(0.4 mg/ml;アメリカンファーマシューティカルパートナーズインク(American Phaemaceutical Partners Inc.)、ロサンゼルス、カリフォルニア州)を皮下注射した後、ヨヒンビン(ヨビン、2.0 mg/ml;ロイドラボラトリーズ(Lloyd Laboratories)、シェナンド、アイオワ州)を、麻酔に用いる1.4倍に等しい容量で皮下注射した。凝固して遠心した血液からの血清を-20℃で凍結保存した。最初の注射の35日後に採取した血清を、それぞれのペプチド構築物およびGbpBに対する血清IgG抗体レベルに関してELISAにおいて分析した(図2)。
QGQペプチドを注射したラットは全て、QGQペプチドに対する高い血清抗体レベルで反応したが、偽免疫ラットまたはSYIを注射したラットではQGQエピトープに対して有意な反応を認めなかった。興味深いことに、GbpBタンパク質を注射したラット4匹中2匹からの血清はQGQにも反応した。
SYIペプチドを注射したラットもまた全て、偽またはQGQ注射ラットとは対照的に、刺激性のSYI MAPペプチド構築物に対する血清IgG抗体レベルの上昇を示した。この場合も、親GbpBタンパク質を注射したラット4匹中1匹からの血清IgGが同様に、SYIペプチドに対して有意な反応を示した。
血清は全て、GbpBをコーティングしたプレートを用いてELISAにおいても評価した。SYI(6/6)またはQGQ(4/6)ペプチド注射群からのラットは、親GbpBタンパク質と反応した。GbpBと反応したペプチド注射ラットからの血清IgG抗体レベルは、タンパク質注射ラットのレベルに達しなかったが、SYI注射ラットにおける天然のGbpBエピトープに対する全体的な反応は、有意であった。併せて考慮すると、これらの結果は、情報科学アプローチを用いて予測されたこれらのペプチドの免疫原性を支持した。さらに、それらはまた、特にSYIペプチド構築物について認められた直線状のエピトープ(複数)が無傷の親GbpBタンパク質上で認められたエピトープと共有されたことも示唆した。
保護免疫
ペプチドおよび多エピトープペプチド構築物を、ヒトの虫歯に関する当技術分野で認識されたラットモデルにおいて調べた。SYIペプチドはQGQペプチドよりGbpBに反応性のより一貫した免疫応答を誘導したことから、この仮定を調べるためにこのペプチドを選択した。
二群(n=13/群)の25日齢のSprague Dawley系雌性ラットを個別に収容した。ラットの唾液腺の近傍にSYI MAPペプチド構築物50 μgまたは燐酸緩衝生理食塩液(対照動物)を皮下(sc)注射した。抗原にはフロイントの完全アジュバント(CFA)を組み入れた。9日後、ラットにPBSまたはSYIをフロイントの不完全アジュバントにおいて同じ用量で注射した。第二の注射の6日後、血液および唾液を上記の麻酔下で採取した。第二の注射の約15日後、ラットをタブに入れて(ラット6匹/タブ)、飼料2000を与えて、ミュータンス連鎖球菌約108個に3日間連続して経口感染させた。感染プロトコールが終了した後、ラットを再度個別に収容して、実験期間中飼料2000を与えた。血液および唾液は初回感染の78日後、および屠殺後に採取した。虫歯の採点のための準備のために、ラット頭蓋を皮膚用槌で肉を落とし、70%エタノールによってすすいだ。
78日の感染期間終了時に採取した血清を、双方のペプチド構築物(図3)およびGbpB(図4)に対するIgGおよびIgA抗体に関して分析した。予想通り、ペプチドによる免疫は、刺激性のSYIペプチドに対する双方のアイソタイプの血清抗体を誘導した。同様に、これまでの実験と一致して、SYI免疫はまた、全てのラットにおいて無傷のGbpBに対するIgG抗体を誘導したが、ラットの中には、少なくとも調べた希釈倍数では、GbpBに対する血清IgA抗体レベルを示さなかったものもあった。唾液は感染前および実験終了時に採取して、SYIおよびGbpBに対するIgA抗体に関してELISAにおいて分析した(表2)。いくつかの(5/13)SYI免疫ラットが、いずれかの時点で双方のペプチドおよび無傷のタンパク質に対して唾液IgA抗体の誘導を示したが、グループレベルでは測定条件において有意差を示さなかった。
(表2)
Figure 2005531511
SYI免疫の保護反応を、ミュータンス連鎖球菌感染に関して大臼歯の系統的綿球標本(図5)および大臼歯表面の虫歯の測定(図6)によって評価した。
細菌の回収
ミュータンス連鎖球菌の菌叢を感染の70日後に評価した。歯の系統的綿球標本を採取して、超音波処理を行って、ミチス・サリバリウス寒天(MS;全連鎖球菌)、および0.2 mg/ml硫酸ストレプトマイシンを含むMS寒天(MSS;ミュータンス連鎖球菌株SJr)上に適当な希釈液を播種した後、プレートを90%N2、10%CO2において37℃で48時間インキュベートした。MSS寒天上でのミュータンス連鎖球菌のコロニー形成単位(CFU)を顕微鏡によって計数した。
虫歯の評価
全てのラット大臼歯における虫歯病変の程度および深さ(虫歯スコア)を、標準的な方法によって顕微鏡下で評価した。虫歯スコアは、なめらかな表面および咬合歯表面について個別に決定した。このように、免疫の保護的影響の測定は、このモデルにおいて虫歯保護反応を誘導することができる少なくとも一つのエピトープがSYI上で保存されていることを支持する。SYI免疫群から回収した感染性ミュータンス連鎖球菌SJr(ストレプトマイシン耐性菌)の平均レベルは、感染開始の8日および65日後のいずれにおいても偽免疫群より低かったが、これらの差は、細菌回収の変動のために、p<0.05レベルでの統計学的有意水準に達しなかった。感染データの傾向は、虫歯の測定によって支持された。なめらかな表面(頬側)および咬合表面での虫歯スコアのみならず、SYIペプチド免疫ラットの全虫歯スコアは、偽免疫および感染ラットのスコアより有意に低かった(図6)。
実施例2:二エピトープ免疫実験
ミュータンス連鎖球菌からのGTFおよびグルカン結合タンパク質B(GbpB)はそれぞれ、これらの微生物によって引き起こされた虫歯の分子的発病に関係している。本来のGTFおよびGbpBと共にそれぞれのタンパク質に由来する合成ペプチドは、実験モデルにおいて齲食原性のミュータンス連鎖球菌による感染に対して保護的免疫応答を誘導することが示されている。
二つの二エピトープ合成ペプチド構築物をMAP形式で合成した。いずれのペプチドもSYIを含み、情報科学分析によって示されたGbpBからの20量体配列は、MHCクラスII結合ペプチドと配列が類似であった。一つの二エピトープペメインからのペプチド(SYI-CAT)も同様にGTFの触媒ドメインからの22量体配列を含んだ。他の二エピトープ構築物(SYI-GLU)は、GTFのグルカン結合ドメインからの22量体配列を含んだ。
二エピトープおよび単エピトープMAP構築物は、アナスペックインク(AnaSpec Inc.、サンノゼ、カリフォルニア州)が合成した。8群のSprague Dawley系ラット(n=4〜8/群)に対し、最初に以下の一つをフロイントの完全アジュバントと共に注射した:(1)緩衝液単独、(2)MAP-CAT、(3)MAP-GLU、(4)MAP-SYI、(5)MAP-CATGTF-SYIGbpB、(6)MAP-GLUGTF-SYIGbpB、(7)ミュータンス連鎖球菌GbpB、または(8)S.ソブリナスGTF。21日目に、2回目の注射ではフロイントの不完全アジュバントに置換したことを除き、8群に再度同じ構築物を注射した。42日および63日目に動物から血液および唾液を採取した。血清を、アルカリホスファターゼ酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて、ペプチドおよびタンパク質に対して抗体活性に関して調べた。一元および二元配置ANOVAを用いた後、ダンの多重比較検定を用いて抗体レベルを比較した。
2回目の注射の42日後に採取した血液からの血清を、ペプチドまたは天然のタンパク質に対するIgG抗体活性に関して調べた。GLUに対する血清IgG反応は、注射にSYI-GLUまたはGLU単独を用いたか否かによらず類似であった。対照的に、SYI-CATは、CAT単独の場合に誘導された反応より有意に高いCATに対するIgG反応を誘導した。二エピトープペプチド構築物はいずれも、GTFおよびGbpBの本来のタンパク質と反応するIgG抗体を誘導した。SYI-CAT免疫動物から血清は、SYI-GLUより有意に大きい程度GTFに反応した。これらの結果は、二エピトープ合成ペプチド、特にSYI-CATがサブユニット虫歯ワクチンにおいてより広い範囲の保護抗体エピトープを提供する免疫応答を誘導することを示している。さらに、これらの結果は、SYIとCATとを組み合わせると、この重要なGTF触媒ドメインに対する免疫応答を増強したことを示している。
二エピトープ免疫研究において用いた配列:
1.GTF-由来触媒(CAT)ペプチド:
Figure 2005531511
2.GTF由来グルカン結合(GLU)ペプチド:
Figure 2005531511
3.GbpB由来MHCクラスII(SYI)ペプチド:
Figure 2005531511
4.二エピトープSYI-CATペプチド、多抗原性ペプチド(MAP)フォーマットにおいてそれぞれ2コピー:
Figure 2005531511
5.二エピトープSYI-GLUペプチド、多抗原性ペプチド(MAP)フォーマットにおいてそれぞれ2コピー:
Figure 2005531511
二エピトープ免疫試験の結果
血清は、ラット4〜7匹の群において200倍希釈で試験した。
双方の二エピトープ構築物はGbp-Bに対して有意な抗体を誘導する(表3)。
(表3)GBP-B(グルカン結合タンパク質B)に対する血清IgG反応
Figure 2005531511
SYI-GLU二エピトープ構築物は、抗ペプチド(SYI)および抗グルカン結合タンパク質反応(図7)を増強する。いずれかの二エピトープ構築物によって免疫したラットは、親GbpBタンパク質に対する抗体を産生する(図8)。
SYI-CAT二エピトープ構築物は、単エピトープMAPに対して抗ペプチド(CATI)反応を有意に増強する(図10)。SYI-CAT二エピトープ構築物のみが全てのラットにおいて親GTFタンパク質に対して有意なIgG抗体を誘導し(図11)、このように、双方のビルレンス抗原に対する抗体にとって最も効率的な刺激であった。さらに、SYI-CAT二エピトープ構築物は、単独で全ての動物においてGTFに対する有意な血清IgG免疫応答を誘導した(表4)。
(表4)GTFに対する血清IgG反応
Figure 2005531511
SYI-CAT構築物は、ミュータンス連鎖球菌のGbpBおよびGTFビルレンス抗原の双方に対して血清IgG抗体の有意なレベルを誘導する。さらに、二エピトープ構築物は、単エピトープCAT構築物を用いた場合に認められた反応と比較してCATエピトープに対する免疫応答を増強した。このように、SYI-CAT構築物は、酵素活性(グルカン形成)を阻害することによって、およびグルカン結合タンパク質Bの活性を阻害することによって、ミュータンス連鎖球菌の病原性を減少させる。
本明細書において引用した参考文献は全て、その全文が参照として本明細書に組み入れられる。本発明は、その好ましい態様を参照して特に示し、説明してきたが、その形状および詳細に様々な変更を行ってもよく、それらも添付の請求の範囲に含まれる本発明の範囲に含まれることは、当業者によって理解されるであろう。
マッチ対配列として表す、DBRI対立遺伝子の組に対するGbpB一次配列を比較するために用いられるMHCクラスモチーフマッチアルゴリズムの結果を示すチャートである。 GbpBペプチド構築物QGQおよびSYIに対する血清IgG抗体のボックスプロットを表す。血清IgG抗体活性をQGQ(左のパネル)およびSYI(中央のパネル)ペプチド構築物ならびにGbpBタンパク質(右のパネル)に対するELISAにおいて測定した。偽免疫およびSYI、QGQ、およびGbpB免疫群は、2回の皮下免疫の初回後35日目での1群あたりラット6匹の免疫経験を表す。吸光度は405 nmで測定した。 保護実験におけるSYIに対する血清IgGおよびIgA抗体のボックスプロットを表す。IgG(左のパネル)およびIgA(右のパネル)抗体活性は、保護実験の終了時に採取した血清中のSYIに対するELISAにおいて測定した。偽免疫およびSYI免疫群は、2回の皮下免疫の初回後3ヶ月目の1群あたりラット13匹の免疫経験を表す。吸光度は405 nmで測定した。 保護実験におけるGbpBに対する血清IgGおよびIgA抗体のボックスプロットを表す。IgG(左のパネル)およびIgA(右のパネル)抗体活性は、保護実験の終了時に採取した血清中のGbpBに対するELISAにおいて測定した。偽免疫およびSYI免疫群は、2回の皮下免疫の初回後3ヶ月目の1群あたりラット13匹の免疫経験を表す。吸光度は405 nmで測定した。 ミュータンス連鎖球菌をチャレンジ後の感染レベルを表す。それぞれのプロットは、ミュータンス連鎖球菌SJrによる最初の感染後8日および65日の大臼歯表面の系統的な綿球試料採取後に培養したミュータンス連鎖球菌の数を表す。バーは、偽またはSYI免疫群におけるミュータンス連鎖球菌SJrの平均コロニー形成単位を示す。白丸および黒丸は、個々のラットの感染レベルを示す。 ミュータンス連鎖球菌SJrによる感染の78日後の虫歯を示す。偽およびSYI-免疫群の頬側、舌側、咬合および全大臼歯の虫歯スコアをそれぞれのパネルに示す。 ELISAアッセイにおいて測定した405 nmでの吸光度として示されるSYIペプチドに対する血清IgG抗体結合を示すボックスプロットである。血清は63日目に採取した。 ELISAアッセイにおいて測定した405 nmでの吸光度として示されるミュータンス連鎖球菌GbpBに対する血清IgG抗体結合を示すボックスプロットである。血清は63日目に採取した。 ELISAアッセイにおいて測定した405 nmでの吸光度として示されるGLUペプチドに対する血清IgG抗体結合を示すボックスプロットである。血清は63日目に採取した。 ELISAアッセイにおいて測定した405 nmでの吸光度として示されるCATペプチドに対する血清IgG抗体結合を示すボックスプロットである。血清は63日目に採取した。 ELISAアッセイにおいて測定した405 nmでの吸光度として示されるS.ソブリナスGTFに対する血清IgG抗体結合を示すボックスプロットである。血清は63日目に採取した。 ELISA結合アッセイにおけるラットの免疫のために用いられるペプチドおよびタンパク質抗原の図示である(その結果を図7〜11に示す)。

Claims (32)

  1. グルカン結合タンパク質B(GbpB)の断片を含む組成物であって、断片が主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIIタンパク質に結合する組成物。
  2. 断片がHLAタンパク質に結合する、請求項1記載の組成物。
  3. HLAタンパク質が、DRA、DRB1、DRB2、DQA1、DQB1、DPA1、DPB1、DMA、DMB、DOA、およびDOBからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
  4. HLAタンパク質がDRB1である、請求項1記載の組成物。
  5. GbpBタンパク質が、配列番号:29、30、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物。
  6. GbpBタンパク質が配列番号:29のアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物。
  7. 断片の長さが6残基より大きく431残基未満である、請求項6記載の組成物。
  8. 断片の長さが400残基未満である、請求項1記載の組成物。
  9. 断片の長さが100残基未満である、請求項1記載の組成物。
  10. 断片の長さが10〜25残基である、請求項1記載の組成物。
  11. 断片が、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、および41からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物。
  12. 断片が配列番号:1および3からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物。
  13. GbpBポリペプチドおよびグルコシルトランスフェラーゼポリペプチドを含む組成物。
  14. GbpBポリペプチドが配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、および41からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項13記載の組成物。
  15. GbpBポリペプチドが配列番号:1または3のアミノ酸配列を含む、請求項13記載の組成物。
  16. グルコシルトランスフェラーゼポリペプチドが配列番号:34、35、36、37、38、39、または40の触媒ドメインを含む、請求項13記載の組成物。
  17. ドメインが配列番号:24または25のアミノ酸配列を含む、請求項16記載の組成物。
  18. グルコシルトランスフェラーゼポリペプチドが配列番号:34、35、36、37、38、39、または40のグルカン結合ドメインを含む、請求項13記載の組成物。
  19. ドメインが配列番号:23のアミノ酸配列を含む、請求項18記載の組成物。
  20. グルコシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号:23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項13記載の方法。
  21. GbpBポリペプチドが配列番号:1を含み、グルコシルトランスフェラーゼポリペプチドが配列番号:23を含む、請求項13記載の組成物。
  22. GbpBポリペプチドが配列番号:1を含み、グルコシルトランスフェラーゼポリペプチドが配列番号:25を含む、請求項13記載の組成物。
  23. ペプチジルコアマトリクスをさらに含む、請求項13記載の組成物。
  24. コアマトリクスが少なくとも一つのリジンを含む、請求項23記載の組成物。
  25. コアマトリクスが複数のリジン残基を含む、請求項23記載の組成物。
  26. 主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIIタンパク質に結合する、グルカン結合タンパク質-B(GbpB)の断片を含む組成物を哺乳類に投与する段階を含む、哺乳類における抗体産生を誘発する方法。
  27. GbpBポリペプチドおよびグルコシルトランスフェラーゼポリペプチドを含む組成物を哺乳類に投与する段階を含む、哺乳類における抗体産生を誘発する方法。
  28. 哺乳類によって産生された抗GbpB抗体の量が、GTFペプチドの非存在下でGbpBペプチドを含む組成物で免疫した哺乳類によって産生された量より少なくとも10%多い、請求項27記載の方法。
  29. 抗体がIgAアイソタイプを含む、請求項26または27記載の方法。
  30. 抗体がIgGアイソタイプを含む、請求項26または27記載の方法。
  31. 請求項26または17記載の方法によって産生された実質的に純粋な抗体。
  32. GbpBのMHCクラスII結合断片に特異的に結合する精製抗体を含む組成物を哺乳類に投与することを含む、口腔連鎖球菌に対する受動免疫を付与する方法。
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