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JP2005526809A - 細胞活性を調節する方法 - Google Patents

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JP2005526809A JP2003579859A JP2003579859A JP2005526809A JP 2005526809 A JP2005526809 A JP 2005526809A JP 2003579859 A JP2003579859 A JP 2003579859A JP 2003579859 A JP2003579859 A JP 2003579859A JP 2005526809 A JP2005526809 A JP 2005526809A
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ピウ シァ
ポール エイ. モレッティー
ジュリア アール. バーウェイ
マシュー エイ. バダス
ブライアン ダブリュ. ウォッテンバーグ
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メドベット サイエンス ピーティーワイ. リミティッド
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Abstract

本発明は一般的に、細胞活性を調節する方法およびその中での使用のための薬剤に関する。より詳細には、本発明は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化、およびそれによってその活性を調節することによって細胞活性を調節する方法を提供する。関連する局面において、本発明は、そのリン酸化およびその中での使用のための薬剤の調節を介してスフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供する。本発明はさらに、減少および/または除去されたリン酸化を行う能力を示すスフィンゴシンキナーゼ改変体およびその機能的誘導体、ホモログまたはアナログ、化学的等価物および類似物まで拡張される。本発明の方法および分子は、とりわけ、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な、細胞および/もしくはスフィンゴシンキナーゼの機能活性によって特徴付けられる状態の治療および/または予防において有用である。本発明はさらに、スフィンゴシンキナーゼリン酸化を調節し得る薬剤を同定および/または設計するための方法に関する。

Description

発明の分野
本発明は一般的に、細胞活性を調節する方法およびその中での使用のための薬剤に関する。より詳細には、本発明は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化、およびそれによってその活性を調節することによって細胞活性を調節する方法を提供する。関連する局面において、本発明は、そのリン酸化およびその中での使用のための薬剤の調節を介してスフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供する。本発明はなおさらに、減少および/または除去されたリン酸化を行う能力を示すスフィンゴシンキナーゼ改変体およびその機能的誘導体、ホモログおよびアナログまで拡張される。本発明の方法および分子は、とりわけ、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な、細胞および/またはスフィンゴシンキナーゼの機能活性によって特徴付けられる状態の治療および/または予防において有用である。本発明はさらに、スフィンゴシンキナーゼリン酸化を調節し得る薬剤を同定および/または設計するための方法に関する。
発明の背景
本明細書中で著者によって参照される刊行物の文献目録の詳細は本明細書の最後に集められている。
本明細書におけるいかなる先行技術に対する言及も、先行技術がオーストラリア国における共通の一般的知識の一部を形成するという知見または何らかの形かでの示唆ではないし、そのように取られるべきではない。
スフィンゴシンキナーゼは、広範な種々の哺乳動物細胞プロセスにおいて重要な役割を果たしている脂質メッセンジャーである、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)の形成を触媒する(Pyneら、2000;Spiegel 1999)。S1Pは種々の細胞型において分裂促進的であり、異なる範囲の重要な調節経路(イノシトール三リン酸非依存的経路による細胞内カルシウム動員(Mattieら、1994)、ホスホリパーゼDの活性化(Desaiら、1992)、c-Jun N末端キナーゼ(JNK)の阻害(Cuvilliverら、1998)、カスパーゼの阻害(Cuvilliverら、1998)、接着分子発現(Xiaら、1998)、ならびにNF-κBのDNA結合活性(Xiaら、2002)および転写因子活性化タンパク質-1(AP-1)(Suら、1994)の刺激を含む)を誘発する。
細胞の増殖および生存におけるその役割に加えて、S1Pは、細胞における他の機能を有するようである。例えば、最近の研究は、S1Pが血管内皮細胞の接着分子発現における必須のシグナル伝達中間体であることを示しており(Xiaら、1998)、このことは、炎症およびアテローム性動脈硬化症における役割の可能性を示唆する。
細胞レベルのS1Pはスフィンゴシンキナーゼの活性によって大部分媒介され、より少ない程度ではS1Pリアーゼ活性(Van Veldhovenら、2000)およびS1Pホスファターゼ活性(Mandala、2000)によるその分解によって媒介される。細胞中のS1Pのベースレベルは一般的に低いが(Spiegelら、1998)、細胞が種々の分裂促進剤にさらされる場合に急速にかつ一過性に増加し得る。この応答は、細胞質ゾルにおけるスフィンゴシンキナーゼ活性の増加の直接的な結果であり、スフィンゴシンキナーゼインヒビターの付加によって妨害され得る。これはスフィンゴシンキナーゼキナーゼに置き換わり、そして、観察された効果を媒介する際の中心的かつ必須の役割において、その活性化は、細胞中のS1Pに起因した。しかし、現在のところ、スフィンゴシンキナーゼ活性化をもたらすメカニズムはほとんど何も知られていない。
スフィンゴシンキナーゼは、広範な種々の細胞アゴニストによって非常に迅速に活性化され得る。応答は細胞型の間で異なるが、これらの刺激には以下が含まれる:TNFα(Xiaら、1998;Pitsonら、2000)(図1)、血小板由来増殖因子(Oliveraら、1993)、上皮増殖因子(Meyer zu Heringdorfら、1999)、神経成長因子(Riusら、1997)、ビタミンD3(Kleuserら、1998)、ホルボールエステル(Pitsonら、2000;Buehrerら、1996)、アセチルコリン(ムスカリン受容体)(Meyer zu Heringdorfら、1998)、ならびに免疫グロブリン受容体FcεR1(Choiら、1996)およびFcγR1(Melendezら、1998)の架橋。すべての場合において、このスフィンゴシンキナーゼ活性化は、反応のVmaxを増加させ、一方基質親和性(Km)は変化しないままである。
これらのアゴニストをスフィンゴシンキナーゼ活性の活性化に連係させる分子メカニズムは大部分未知のままに残っている。従って、これらのメカニズムを解明し、かつスフィンゴシンキナーゼシグナル伝達経路の調節を経由した細胞活性を調節する方法を開発する必要性が存在する。
本発明に導かれた研究において、本発明者らは、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化はその活性化に必須であることを決定した。さらに、本発明者らは、スフィンゴシンキナーゼ分子上のリン酸化部位を同定した。さらに、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化がプロリン指向性プロテインキナーゼ、より詳細にはERK2によって行われることを決定した。
発明の概要
本明細書および特許請求の範囲を通して、文脈で別途記載しない限り、用語「含む(comprise)」およびそのバリエーション(例えば、「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」)は、言及した整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を含むことを意味するが、他のいかなる整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を排除することを意味しないことが理解される。
本明細書は、文献目録の後に本明細書中に提示される、プログラムPatentInバージョン3.1を使用して作成されたヌクレオチド配列情報を含む。各ヌクレオチド配列は数字識別子<201>、それに続く配列識別子(例えば、<210>1、<210>2など)によって配列表中で同定される。配列の長さ、型(DNAなど)および各ヌクレオチド配列についての起源生物は、それぞれ、数字識別子フィールド<211>、<212>、および<213>において提供される情報によって同定される。本明細書中で言及されるヌクレオチド配列は識別子配列番号、それに続く配列識別子(例えば、配列番号:1、配列番号:2など)によって同定される。本明細書において言及される配列識別子は、配列表の数字識別子フィールド<400>において提供される情報と相関し、この数字識別子フィールドには配列識別子が続く(例えば、<400>1、<400>2など)。すなわち、本明細書において詳述される配列番号:1は、配列表で、<400>1と示される配列と相関する。
アミノ酸配列における特定の変異は本明細書中では「Xaa1nXaa2」と表され、ここでXaa1は変異の前のもともとのアミノ酸残基であり、nは残基番号、およびXaa2は変異アミノ酸である。略号「Xaa」は3文字または1文字のアミノ酸コードであり得る。1文字コードの変異は、例えば、X1nX2によって表され、ここで、X1およびX2はそれぞれXaa1およびXaa2と同じである。変異と一般的なヒトスフィンゴシンキナーゼタンパク質配列の両方の観点から、ヒトスフィンゴシンキナーゼについてのアミノ酸残基は、モチーフKTPASPVVVQ配列番号:1におけるセリン残基(S)で番号付けされる(225と番号付けされる)。
本発明の1つの局面は、スフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供し、上記方法は、上記スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
本発明の別の局面は、ヒトスフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供し、上記方法は、上記ヒトスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記ヒトスフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記ヒトスフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記ヒトスフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
本発明のさらに別の局面は、スフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供し、上記方法は、上記スフィンゴシンキナーゼのS225におけるリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
本発明のさらに別の局面は、スフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を指向し、上記方法は、プロリン指向性プロリンキナーゼによって触媒される上記スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
関連する局面において、本発明はスフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供し、上記方法は、上記スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、上記薬剤はセリン225に結合、連結、または他の様式で付随し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
本発明のなお別の局面は、細胞活性を調節する方法に関し、上記方法は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記細胞を接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記細胞活性をダウンレギュレートする。
本発明のさらなる局面は、細胞活性を調節する方法に関し、上記方法は、ヒトスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記細胞を接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記細胞活性をダウンレギュレートする。
別の局面において、本発明はヒト細胞活性を調節する方法に関し、上記方法は、上記スフィンゴシンキナーゼのS225におけるリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記細胞を接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記ヒト細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記ヒト細胞活性をダウンレギュレートする。
本発明のさらに別の局面は、哺乳動物における状態を治療および/または予防するための方法に関し、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な細胞活性によって特徴付けられ、上記方法は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を上記哺乳動物に投与する段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記細胞活性をダウンレギュレートする。
さらに別の局面において、本発明は、ヒトにおける状態を治療および/または予防するための方法を指向し、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な細胞活性によって特徴付けられ、上記方法は、スフィンゴシンキナーゼのS225におけるリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を上記ヒトに投与する段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記細胞活性をダウンレギュレートする。
本発明の別の局面は、哺乳動物における状態の治療のための薬学的製剤の製造における、本明細書上記に規定されるような薬剤の使用であって、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な細胞活性によって特徴付けられ、ここで上記薬剤はスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節し、そして上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記細胞活性をダウンレギュレートする。
別のさらなる局面において、本発明は1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とともに本明細書上記に規定されるような調節薬剤を含有する薬学的組成物を意図する。これらの薬剤は活性成分といわれる。
本発明のさらに別の局面は、本発明の方法に従って使用される場合の本明細書上記に規定されるような薬剤に関する。
本発明のさらなる局面は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節し得る薬剤またはその機能的等価物またはその誘導体を検出するための方法を提供し、上記方法は、上記スフィンゴシンキナーゼおよびリン酸化触媒またはその機能的等価物もしくは誘導体を含む細胞またはその抽出物を推定の薬剤と接触させる段階、ならびに上記リン酸化と関連する変化した発現表現型を検出する段階を包含する。
本発明のさらに別の局面は、本明細書中に規定されるスクリーニング方法に従って同定される薬剤、および本発明の方法における使用のための上記薬剤に関する。上記薬剤はスフィンゴシンキナーゼのリン酸部位、特にアミノ酸S225に結合するモノクローナル抗体に拡張されることが理解されるべきである。
本発明のさらなる局面は、上記スフィンゴシンキナーゼの領域における変異を含むスフィンゴシンキナーゼ改変体に関し、この領域はリン酸化部位を含み、ここで上記改変体は、野生型スフィンゴシンキナーゼまたは上記スフィンゴシンキナーゼ改変体の誘導体、ホモログ、アナログ、化学的等価物もしくはpneumaticと比較して、除去されたかまたは減少されたリン酸化能を示す。
別の局面において、アミノ酸S148、S181、Y184、S225、および/またはT250の単一または複数のアミノ酸置換および/または欠失を有するアミノ酸配列を含むヒトスフィンゴシンキナーゼ改変体が提供され、ここで、上記改変体は、野生型スフィンゴシンキナーゼまたは上記スフィンゴシンキナーゼ改変体の誘導体、ホモログ、アナログ、化学的等価物もしくは模倣物と比較して、除去されたかまたは減少されたリン酸化能を示す。
さらに別の局面において、本発明は、遺伝子が改変された動物に拡張され、この動物は、本明細書上記に規定されるようなスフィンゴシンキナーゼ改変体を発現するように改変されている。
本明細書中を通して使用される1文字および3文字の略号は表1に定義される。
(表1) 1文字および3文字のアミノ酸略号
Figure 2005526809
発明の詳細な説明
本発明は、部分的には、スフィンゴシンキナーゼ活性化がリン酸化事象によって媒介されるという決定、および、さらにスフィンゴシンキナーゼリン酸化部位それ自体の同定を記載する。本発明者らは、なおさらに、スフィンゴシンキナーゼリン酸化がプロリン指向性プロテインキナーゼファミリーのメンバー、最も好ましくはERK2によって媒介され得ることを決定した。これらの決定は、現在、異常なまたは所望されない細胞活性および/またはスフィンゴシンキナーゼ機能活性によって特徴付けられるような症状を処置するための治療的方法および/または予防的方法の合理的設計を可能にする。さらに、スフィンゴシンキナーゼリン酸化を特異的に調節する薬剤の同定および/または設計が容易にされる。
従って、本発明の1つの局面はスフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供し、上記方法は、上記スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
「スフィンゴシンキナーゼ機能活性」という用語は、スフィンゴシンキナーゼが、例えば、スフィンゴシンキナーゼシグナル伝達経路の機能化における鍵となる調節酵素としてその活性を発揮し得る、任意の1つまたは複数の活性に対する言及として理解されるべきである。この点に関して、スフィンゴシンキナーゼはこの経路の活性化の間のスフィンゴシン1-リン酸の生成に対して中心的であると考えられる。スフィンゴシンキナーゼ機能活性の調節は、スフィンゴシンキナーゼに帰する機能活性(例えば、所定の活性の誘導もしくは停止、または任意の所定の活性のレベルもしくは程度に対する変化)の任意の1つまたは複数のアップレギュレーションとダウンレギュレーションの両方を含むことが理解されるべきである。本発明がいかなる1つの理論または作用の様式にも限定されることなく、スフィンゴシンキナーゼは2つのレベルの触媒活性を示すと考えられる。第1のレベルでは、スフィンゴシンキナーゼはベースラインの触媒活性を示す。第2のレベルでは、ベースライン活性を示すスフィンゴシンキナーゼは酵素のVmaxが増加するように活性化され得る。本発明の好ましい態様の文脈において、スフィンゴシンキナーゼ触媒活性の除去または減少は、ベースライン活性、および/またはベースライン活性のそれを超えるスフィンゴシンキナーゼの活性化が除去または減少される場合に達成される。好ましくは、活性化は除去または減少され、さらにより好ましくは活性化は除去される。
好ましい態様において、上記リン酸化に拮抗することはスフィンゴシンキナーゼの活性化を妨害し、上記リン酸化に作用することは上記スフィンゴシンキナーゼの活性化を生じる。
「スフィンゴシンキナーゼ」という用語は、スフィンゴシンキナーゼタンパク質またはその誘導体、変異体、ホモログもしくはアナログのすべての型に対する言及を含むと理解されるべきである。この点に関して、「スフィンゴシンキナーゼ」は、とりわけ、スフィンゴシンキナーゼシグナル伝達経路の活性化の間のスフィンゴシン-1-リン酸の生成に関与する分子であると理解されるべきである。これは、例えば、スフィンゴシンキナーゼまたはその誘導体、変異体、ホモログもしくはアナログのすべてのタンパク質の型を含み、これには、例えば、スフィンゴシンキナーゼmRNAの選択的スプライシングまたはスフィンゴシンキナーゼの対立遺伝子改変体もしくは多型性改変体から生じる任意のアイソフォームが含まれる。その「機能的」誘導体、変異体、ホモログもしくはアナログとの言及は、スフィンゴシンキナーゼの機能活性の任意の1つまたはそれ以上を示す分子に対する言及として理解されるべきである。好ましくは、上記スフィンゴシンキナーゼはヒトスフィンゴシンキナーゼである。
従って、本発明は、ヒトスフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供し、上記方法は、上記ヒトスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記ヒトスフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記ヒトスフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記ヒトスフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
「リン酸化」という用語は、タンパク質上のヒドロキシル基、特にアミノ酸セリン、スレオニン、またはチロシンの側鎖へのリン酸基の付加に関する言及として理解されるべきである。本発明がいかなる1つの理論または作用の様式にも限定されることなく、タンパク質をリン酸化するこのプロセスは、通常、プロテインキナーゼ(このような分子は本明細書中で「リン酸化触媒」といわれる)、しばしば特異的プロテインキナーゼによって、リン酸供与体として作用するATPを用いて、触媒される。タンパク質のリン酸化は、対象のタンパク質の活性を調節するために一般的に見い出される。
本明細書中上記に詳述されるように、タンパク質のリン酸化は、対象のタンパク質の特異的アミノ酸残基の文脈において起こる事象である。この点に関して、本発明者らは、一般的に、スフィンゴシンキナーゼ分子のリン酸化に関連するアミノ酸残基としてS148、S181、Y184、S225、およびT250を同定した。しかし、ヒトスフィンゴシンキナーゼ分子に関して、本発明者らは、なおさらに、この分子の主要な生理学的リン酸化部位としてS225を同定した。
従って、好ましい態様において、本発明は、スフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供し、上記方法は、上記スフィンゴシンキナーゼのリン酸化をS148、S181、Y184、S225、またはT250の1つまたはそれ以上において調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
最も好ましい態様において、上記スフィンゴシンキナーゼはヒトスフィンゴシンキナーゼであり、上記リン酸化調節はアミノ酸残基S225において起こる。
スフィンゴシンキナーゼ機能活性またはリン酸化事象のいずれかを「調節する」という用語は、対象の機能活性またはリン酸化事象をアップレギュレートすることまたはダウンレギュレートすることへの言及として理解されるべきである。この点に関するアップレギュレートすることおよびダウンレギュレートすることへの言及は、対象の機能活性またはリン酸化事象を誘導することまたは除去することに対する言及を含むのに加えて、機能活性またはリン酸化事象が起こるレベル、程度、または速度を増加することまたは減少することの両方を含むと理解されるべきである。従って、本発明の方法に従って利用される薬剤は、活性/事象を誘導するか、すでに開始した活性もしくは事象に作用するか、すでに存在する活性もしくは事象に拮抗するか、またはそのような活性もしくは事象を完全に除去する薬剤であり得る。
従って、リン酸化を「誘導することまたは他の様式で作用させること」という用語は、以下に対する言及として理解されるべきである:
(i)スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を誘導すること、例えば、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化をもたらすERK2のようなプロリン指向性プロテインキナーゼとのスフィンゴシンキナーゼの相互作用を誘導すること;または
(ii)存在するリン酸化事象をアップレギュレートし、増強し、もしくはさもなくば作用させること、例えば、リン酸化する分子とのスフィンゴシンキナーゼのアフィニティーを増大させること、もしくはさもなくばリン酸化する分子とのスフィンゴシンキナーゼの相互作用を確立すること。
逆に、リン酸化を「阻害することまたは他の様式で拮抗すること」とは、以下に対する言及として理解されるべきである:
(i)リン酸化する分子とのスフィンゴシンキナーゼの相互作用を妨害すること;または
(ii)スフィンゴシンキナーゼのリン酸化が効果なしとされるかもしくはより低い効果をされるように、スフィンゴシンキナーゼとリン酸化する分子との間に存在する相互作用に拮抗すること。
スフィンゴシンキナーゼのリン酸化の調節(アップレギュレーションまたはダウンレギュレーションのいずれかの意味において)は部分的または完全であり得ることが理解されるべきである。
部分的調節は、通常所定の細胞または所定の分子で起こるスフィンゴシンキナーゼリン酸化事象のいくつかのみが本発明の方法によって影響される場合に起こるのに対して、完全調節は、すべてのスフィンゴシンキナーゼリン酸事象が調節される場合に起こる。
スフィンゴシンキナーゼのリン酸化の調節は、以下を含むがこれらに限定されない多数の技術のいずれか1つによって達成され得る:
(i)スフィンゴシンキナーゼとリン酸化触媒との間の相互作用に拮抗するタンパク質性または非タンパク質性の薬剤を細胞に導入すること;
(ii)スフィンゴシンキナーゼとリン酸化触媒との間の相互作用を作用させるタンパク質性または非タンパク質性の薬剤を細胞に導入すること;
(iii)リン酸化触媒として作用するタンパク質性または非タンパク質性の薬剤を細胞に導入すること;
(iv)リン酸化触媒として作用する薬剤をコードする核酸分子を細胞に導入すること。
好ましくは、上記リン酸化はスフィンゴシンキナーゼのSer225で起こり、なおより好ましくは、ヒトスフィンゴシンキナーゼのSer225で起こる。
「薬剤」という用語は、リン酸化触媒とのスフィンゴシンキナーゼの相互作用を調節する(すなわち、アップレギュレートするかまたはダウンレギュレートする)任意のタンパク質性または非タンパク質性の分子(例えば、上記の点(i)〜(ii)において詳述される分子)についての言及として理解されるべきである。「薬剤」はまた、それ自体がリン酸化触媒として機能する分子(例えば、上記の(iii)〜(iv)において詳述される分子)に拡張されるとして理解されるべきである。対象の薬剤は、任意のタンパク質性または非タンパク質性の分子に連結、結合、または他の様式で付随され得る。例えば、これは、局在化された領域に標的化することを可能にする分子に付随され得る。
上記のタンパク質性分子は、天然の、組換えの、または合成の起源に由来し得、融合タンパク質または例えば、天然産物のスクリーニング後のものを含む。上記の非タンパク質性分子は、例えば、天然産物のスクリーニングのような天然起源に由来し得るか、または化学合成され得る。例えば、本発明は、スフィンゴシンキナーゼリン酸化のアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用し得る、スフィンゴシンキナーゼの化学的アナログまたはキナーゼ分子(例えば、ERK2のようなプロリン指向性プロテインキナーゼ)のようなリン酸触媒を意図する。化学的アゴニストはスフィンゴシンキナーゼまたはリン酸化触媒に由来する必要がないかもしれないが、しかし、特定のコンホメーション的な類似性を共有し得る。代替的には、化学的アゴニストはスフィンゴシンキナーゼまたはリン酸化触媒の特定の生理化学的特性を模倣するように特異的に設計され得る。アンタゴニストは、スフィンゴシンキナーゼリン酸化をブロック、阻害、または他の様式で妨害することができる任意の化合物であり得る。アンタゴニストは、スフィンゴシンキナーゼもしくはリン酸化触媒、または上記スフィンゴシンキナーゼの一部に特異的な抗体(例えば、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体)、および対象の細胞において遺伝子もしくはmRNAの転写もしくは翻訳を妨害するアンチセンス核酸を含む。発現の調節はまた、抗原、RNA、リボソーム、DNAザイム、RNAアプタマー、抗体、または同時発現における使用のために適切な分子を利用して達成され得る。このような分子を同定する際の使用のために適切なスクリーニング方法は、本明細書中以下により詳細に記載される。
上記タンパク質性または非タンパク質性の分子はリン酸化する分子(例えば、リン酸化するキナーゼ)とのスフィンゴシンキナーゼの相互作用を直接的または間接的のいずれかで調節するように作用し得る。上記分子は、それがスフィンゴシンキナーゼまたはリン酸化触媒に付随する場合に直接的に作用する。上記分子は、それがスフィンゴシンキナーゼまたはリン酸化触媒以外の分子に付随する場合に間接的に作用し、この他の分子はリン酸化触媒とのスフィンゴシンキナーゼの相互作用を直接的または間接的のいずれかで調節する。従って、本発明の方法は、調節段階のカスケードの誘導を介するスフィンゴシンキナーゼリン酸化の調節を包含する。
「リン酸化触媒」という用語は、ATPのような分子からスフィンゴシンキナーゼへのリン酸の移動を触媒する両方の分子を含むことが意図されることが理解されるべきである。しかし、別のやり方でスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を達成する分子、例えば、ATP以外の分子からリン酸基を移動させることが可能な分子、またはリン酸化触媒それ自体からスフィンゴシンキナーゼ分子にリン酸基を直接移動させ得る分子についての言及を含むこともまた理解されるべきである。
「誘導体」には、天然、合成、または組換えの起源(融合タンパク質を含む)からのフラグメント、部分、ポーション、および改変体が含まれる。部分またはフラグメントには、例えば、スフィンゴシンキナーゼまたはリン酸化触媒の活性領域が含まれる。誘導体は、アミノ酸の挿入、欠失、または置換に由来し得る。アミノ酸挿入誘導体には、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の融合物、ならびに単数または複数のアミノ酸の配列内挿入が含まれる。挿入アミノ酸配列改変体は、1つまたは複数のアミノ酸残基がタンパク質中のあらかじめ決定された部位に導入されるが、ランダムな挿入もまた、得られる生成物の適切なスクリーニングを用いて可能であるものである。欠失改変体は、配列からの1つまたは複数のアミノ酸の除去によって特徴付けられる。置換アミノ酸改変体は、配列中の少なくとも1つの残基が除去され、異なる残基がその場所に挿入されたものである。置換アミノ酸改変体の例は、保存性アミノ酸置換である。保存性アミノ酸置換は、代表的には、以下のグループ内での置換を含む:グリシンおよびアラニン;バリン、イソロイシン、およびロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリンおよびスレオニン;リジンおよびアルギニン;ならびに、フェニルアラニンおよびチロシン。アミノ酸配列への付加は、他のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質との融合物を含む。
「改変体」または「変異体」とは、この文脈において、スフィンゴシンキナーゼの少なくともある程度の機能活性を示すスフィンゴシンキナーゼの改変体型または変異体型を意味すると理解されるべきである。このバリエーションまたは変異は任意の形態を取り得、天然に存在し得るかまたは天然に存在しなくてもよい。
「ホモログ」という用語は、代替的な種に由来する核酸分子またはタンパク質に対する言及として理解されるべきである。
核酸分子またはタンパク質分子の等価物は、これらの分子の任意の1つまたは複数の機能活性を示す分子として理解されるべきであり、化学合成されるかまたは天然の産物スクリーニングのようなスクリーニングプロセスを介して同定されるような任意の供給源に由来し得る。
誘導体には、ペプチド、ポリペプチド、または他のタンパク質性もしくは非タンパク質性の分子に融合された完全なタンパク質の特定のエピトープまたはその一部を有するフラグメントが含まれる。
本明細書中に意図されるアナログには、側鎖への修飾、非天然アミノ酸および/またはそれらの誘導体の、ペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質の合成の間の取り込み、ならびに架橋試薬の使用ならびにタンパク質性分子またはそれらのアナログに対してコンホメーション的な制約を課す他の方法が含まれるがこれらに限定されない。
核酸配列の誘導体は、単一または複数のヌクレオチドの置換、欠失、および/または付加(他の核酸分子との融合を含む)に同様に由来し得る。本発明の核酸分子の誘導体には、オリゴヌクレオチド、PCRプライマー、アンチセンス分子、コサプレッションにおける使用のために適切な分子、および核酸分子の融合物が含まれる。核酸配列の誘導体はまた縮重改変体を含む。
本発明によって意図される側鎖修飾の例には、アミノ基の修飾(例えば、アルデヒドを用いる反応による還元的アルキル化、続いてNaBH4を用いる還元による);メチルアセトイミデートを用いるアミド化;無水酢酸を用いるアシル化;シアン酸を用いるアミノ基のカルバモイル化;2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いるアミノ基のトリニトロベンジル化;無水コハク酸および無水テトラヒドロフタル酸を用いるアミノ基のアシル化;ならびに、ピリドキサール-5-リン酸を用いるリジンのピリドキシル化、続いてNaBH4を用いる還元が含まれる。
アルギニン残基のグアニジン基は、2,3-ブタンジオン、フェニルグリオキサール、およびグリオキサールのような試薬を用いる複素環式縮合生成物の形成によって修飾され得る。
カルボキシル基は、O-アシリソウレア形成、続いてその後の誘導体化(例えば、対応するアミドまで)を介するカルボジイミド活性化によって修飾され得る。
スルフヒドリル基は、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドを用いるカルボキシメチル化;過ギ酸のシステイン酸への酸化;他のチオール化合物を用いる混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸、もしくは他の置換マレイミドを用いる反応;4-クロロ水銀安息香酸塩、4-クロロ水銀フェニルスルホン酸、フェニル水銀クロライド、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノールおよび他の水銀剤を使用する水銀誘導体の形成;シアン酸塩をアルカリpHで用いるカルバモイル化のような方法によって修飾され得る。
トリプトファン残基は、例えば、N-ブロモスクシニミドを用いる酸化、または2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジルブロミドもしくはスルフェニルハライドを用いるインドール環のアルキル化によって修飾され得る。他方、チロシン残基は、テトラニトロメタンを用いるニトロ化によって改変されて、3-ニトロチロシン誘導体を形成し得る。
ヒスチジン残基のイミダゾール環の修飾は、ヨード酢酸誘導体を用いるアルキル化またはジエチルピロカーボネートを用いるN-カルボエトキシ化によって達成され得る。
タンパク質合成の間に取り込む非天然アミノ酸および誘導体の例には、ノルロイシン、4-アミノ酪酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、t-ブチルグリシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン酸、2-チエニルアラニン、および/またはアミノ酸のD-異性体の使用が含まれるがこれらに限定されない。本明細書中で意図される非天然アミノ酸のリストを表2に示す。
(表2)
Figure 2005526809
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架橋試薬は、例えば、ホモ二官能性架橋試薬(例えば、n=1〜n=6の(CH2)nスペーサー基を有する二官能性イミドエステル、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシニミドエステル)および、通常アミノ反応性部分(例えば、N-ヒドロキシスクシニミドおよび別の基特異的な反応部分)を含むヘテロ二官能性試薬を使用して、三次元コンホメーションを安定化するために使用され得る。
本発明がいかなる1つの理論または作用の様式にも限定されることなく、本発明者らは、セリン225がヒトスフィンゴシンキナーゼ1上での主要な生理学的リン酸化部位であることを決定するためにアラニン変異誘発を利用した。さらに、プロリン指向性プロテインキナーゼファミリーのキナーゼがヒトスフィンゴシンキナーゼをリン酸化することができることが決定された。詳細には、ERK1、ERK2、およびCDK2がヒトスフィンゴシンキナーゼを種々の効率までリン酸化する。しかし、ERK2は、ヒトスフィンゴシンキナーゼリン酸化において最も高い効率を示すことが決定された。
従って、最も好ましい態様において、本発明はスフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法に関し、上記方法は、プロリン指向性プロテインキナーゼによって触媒されるスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
最も好ましくは、上記プロリン指向性プロテインキナーゼはERK1、ERK2、またはCDK2であり、さらにより詳細にはERK2である。
最も好ましくは、上記リン酸化はS225において調節される。
プロリン指向性プロテインキナーゼ分子(例えば、ERK1、ERK2、およびCDK2)および任意の他のリン酸化触媒に対する言及は、これらの分子の機能的な誘導体、変異体、ホモログ、アナログ、等価物、および模倣物に対する言及を含むと理解されるべきである。
関連する局面において、本発明は、スフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法を提供し、上記方法は、薬剤がセリン225に結合、連結、または他の様式で付随する上記スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
最も好ましい態様において、上記スフィンゴシンキナーゼ活性の調節はダウンレギュレーションである。
スフィンゴシンキナーゼは細胞内シグナル伝達経路の機能化に対して中心となる分子であるので、本発明の方法は、スフィンゴシンキナーゼシグナル伝達によって調節または制御される細胞活性を調節する手段を提供する。例えば、スフィンゴシンキナーゼシグナル伝達経路は、炎症、細胞形質転換、アポトーシス、細胞増殖、炎症メディエーター(例えば、サイトカイン、ケモカイン、eNOS)の産生のアップレギュレーション、および接着分子発現のアップレギュレーションをもたらすような細胞活性を調節することが知られている。上記のアップレギュレーションは多数の刺激(例えば、腫瘍壊死因子αおよびインターロイキン1のような炎症性サイトカイン、エンドトキシン、酸化もしくは修飾された脂質、放射または組織損傷)によって誘導され得る。この点に関して、「細胞活性を調節する」との言及は、細胞が、例えば、1種またはそれ以上のケモカイン産生、サイトカイン産生、一酸化窒素合成、接着分子発現および他の炎症性メディエーターの産生であるがこれらに限定されない、スフィンゴシンキナーゼシグナル伝達に従う実行が可能である任意の1種またはそれ以上の活性をアップレギュレートすること、ダウンレギュレートすること、または他の様式で変化させることに対する言及である。好ましい方法はスフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートし、それによって所望でない細胞活性をダウンレギュレートすることであるが、本発明は、それにも関わらず、特定の状況において所望であり得る細胞活性をアップレギュレートすることを包含すると理解されるべきである。
従って、本発明のなお別の局面は、細胞活性を調節する方法に関し、上記方法は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記細胞を接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記細胞活性をダウンレギュレートする。
好ましくは、本発明は、細胞活性を調節する方法に関し、上記方法は、ヒトスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記細胞を接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記細胞活性をダウンレギュレートする。
最も好ましい態様において、本発明は、ヒト細胞活性を調節する方法に関し、上記方法は、スフィンゴシンキナーゼのS225におけるリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と上記細胞を接触させる段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記ヒト細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記ヒト細胞活性をダウンレギュレートする。
最も好ましくは、上記調節はダウンレギュレーションである。
本発明のさらなる局面は、疾患状態の治療および/または予防に関する本発明の使用に関する。本発明がいかなる1つの理論または作用の様式にも限定されることなく、スフィンゴシンキナーゼシグナル伝達経路を介して調節される広範な細胞機能活性は健常状態および疾患状態の両方の生理学的プロセスのあらゆる局面の組み込まれた成分を機能させるスフィンゴシンキナーゼの調節を与える。従って、本発明の方法は、スフィンゴシンキナーゼシグナル伝達経路を介して調節される、異常なまたは他の様式で所望されない細胞機能活性を調節するための価値あるツールを提供する。
従って、本発明のなお別の局面は、哺乳動物における状態を治療および/または予防するための方法に関し、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な細胞活性によって特徴付けられ、上記方法は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を上記哺乳動物に投与する段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることは上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することは上記細胞活性をダウンレギュレートする。
本発明のさらに別の局面は、哺乳動物における状態を治療および/または予防するための方法に関し、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切なスフィンゴシンキナーゼの機能活性によって特徴付けられ、上記方法は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を上記哺乳動物に投与する段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする。
好ましくは、上記リン酸化事象はS225におけるスフィンゴシンキナーゼのリン酸化である。
最も好ましい態様において、本発明は、ヒトにおける状態の治療および/または予防のための方法に関し、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な細胞活性によって特徴付けられ、上記方法は、S225におけるスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を上記ヒトに投与する段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記細胞活性をダウンレギュレートする。
別の最も好ましい態様において、本発明は、ヒトにおける状態の治療および/または予防のための方法に関し、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切なスフィンゴシンキナーゼの機能活性によって特徴付けられ、上記方法は、S225におけるスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を上記ヒトに投与する段階を包含し、ここで、上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記スフィンゴシンキナーゼ機能活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記スフィンゴシンキナーゼ機能活性をダウンレギュレートする。
最も好ましくは、上記調節はダウンレギュレーションである。
「異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な」細胞活性という句は、過度の細胞活性、それが望ましくないという意味で不適切である生理学的に正常な細胞活性、または不十分な細胞活性に対する言及として理解されるべきである。この定義は、「異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な」スフィンゴシンキナーゼ活性に関して類似の様式で適用される。例えば、腫瘍細胞増殖の間のTNF産生は細胞増殖を支持すること、および新生物細胞に抗アポトーシス特性を供給することが示されてきた。従って、細胞が新生物性である点では、細胞増殖および抗アポトーシス性特性の促進がダウンレギュレートされることが所望される。同様に、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、喘息、自己免疫疾患、および炎症性腸疾患のような炎症によって特徴付けられる疾患は、TNFのようなサイトカインによって細胞活性化に関与し、これは、接着分子のような炎症メディエーターの合成および分泌をもたらすことが知られている。このような状況において、このような活性をダウンレギュレートすることもまた、所望される。他の状況において、細胞増殖を刺激するためにスフィンゴシンキナーゼリン酸化を作用させるかまたは他の様式で誘導することが所望され得る。
好ましくは、上記状態は炎症状態であり、そして上記細胞活性は炎症メディエーター産生、特に接着分子発現のダウンレギュレーションである。最も好ましくは、上記状態は、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、喘息、自己免疫疾患、または炎症性腸疾患である。
別の好ましい態様において、上記状態は新生物であり、および上記細胞活性は細胞増殖および/または抗アポトーシス特性のダウンレギュレーションである。
本発明の先の局面に従って、対象の薬剤は好ましくはPD98059またはU0126またはその機能的誘導体、変異体、アナログ、等価物、または模倣物である。
用語「哺乳動物」は、本明細書中で使用される場合、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ)、実験用動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、および捕獲した野生動物(例えば、キツネ、カンガルー、シカ)を含む。好ましくは、本発明の哺乳動物はヒトまたは実験用動物である。なおより好ましくは、本発明の哺乳動物はヒトである。
「有効量」とは、少なくとも所望の応答を部分的に得るため、または発症を遅らせるか、もしくは進行を阻害するか、もしくは全体で停止させるために必要な量を意味し、特定の状態の発症または進行が処置される。その量は、処置される個体の健康および身体的な状態、処置される個体の分類学的な群、所望される防御の程度、組成物の処方、医学的状況の評価および他の関連する因子に依存して変化する。その量は、日常的な治験を通して決定され得る比較的広い範囲に合致することが予測される。
「治療」および「予防」という本明細書における用語は、その最も広い文脈において考慮されるべきである。用語「治療」は、被験体が全体の回復まで治療されることを必ずしも意味するものではない。同様に、「予防」は、被験体が最終的に疾患状態にかからないことを必ずしも意味するものではない。従って、治療および予防は、特定の状態の症候の寛解、または特定の状態の発症のリスクを妨害するかもしくはさもなくば減少させることを含む。用語「予防」は、特定の状態の重篤度または発症を減少させるものとして考慮され得る。「治療」もまた、存在する状態の重篤度を減少させ得る。
本発明はさらに、治療剤の組み合わせ、例えば、薬剤を他の薬剤、薬物、または治療に哺乳動物を供すること(これらは、癌の治療における細胞毒性薬剤または放射線治療のような被験体の状態の処置に関連して有用であり得る)とともに投与することを意図する。
薬学的組成物の形態での調節剤の投与は、任意の便利な手段によって実行され得る。薬学的組成物の調節剤は、特定の場合に依存する量で投与される場合に治療活性を示すことが意図される。そのバリエーションは、例えば、ヒトまたは動物に、および選択された調節剤に依存する。広範な範囲の用量が適用可能であり得る。患者を考慮して、例えば、1日あたり体重キログラムあたり約0.1mg〜約1mgの調節剤が投与され得る。投薬レジメは最適な治療応答を提供するように調整され得る。例えば、いくつかに分割された用量が日、週、月、もしくは他の適切な時間の間隔で投与され得るか、またはその用量は状況の緊急性によって示されるように比例的に減少され得る。
調節剤は、経口、静脈内(水溶性である場合)、腹腔内、筋肉内、皮下、皮内、もしくは坐剤の経路、または移植(例えば、徐放性分子を使用する)によるような好都合な様式で投与され得る。調節剤は、酸付加塩または金属錯体(例えば、亜鉛、鉄など)(これは本願の目的のために塩と見なされる)のような薬学的に許容される非毒性塩の形態で投与され得る。このような酸付加塩の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩などである。活性成分が錠剤型で投与される場合、その錠剤はトラガカント、コーンスターチ、またはゼラチンのような結合剤;アルギン酸のような崩壊剤;およびステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤を含み得る。
投与の経路には、呼吸的、気管内、鼻咽頭的、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼内、クモ膜下腔内、脳内、鼻腔内、注入、経口的、直腸的、静脈内ドリップパッチを介して、および移植が含まれるがこれらに限定されない。
これらの方法に従って、本発明に従って規定される薬剤が1種またはそれ以上の他の化合物または分子とともに同時投与され得る。「同時投与される」によって、同じ経路もしくは異なる経路を介するか、または同じ経路または異なる経路による連続的な投与を介する、同じ処方物中で、または2つの異なる処方物中での同時投与が意味される。例えば、対象の薬剤は、その効果を増強するためにアゴニスト性の薬剤とともに投与され得る。「連続的」投与によって、2つの型の分子の投与の間の秒、分、時間、または日の時間差が意味される。これらの分子は任意の順番で投与され得る。
本発明の別の局面は、本明細書中上記に規定したように、哺乳動物における状態の治療のための薬学的製剤の製造における薬剤の使用を意図し、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な細胞活性によって特徴付けられ、ここで上記薬剤はスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節し、そして上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記細胞活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記細胞活性をダウンレギュレートする。
本発明のさらに別の局面は、本明細書中上記に規定したように、哺乳動物における状態の治療のための薬学的製剤の製造における薬剤の使用を意図し、この状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切なスフィンゴシンキナーゼ機能活性によって特徴付けられ、ここで上記薬剤はスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節し、そして上記リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが上記スフィンゴシンキナーゼ機能活性をアップレギュレートし、そして上記リン酸化を阻害することまたは他の様式でこれに拮抗することが上記スフィンゴシンキナーゼ機能活性をダウンレギュレートする。
好ましくは、上記リン酸化はS225におけるスフィンゴシンキナーゼのリン酸化である。
さらにより好ましくは、上記哺乳動物はヒトであり、上記調節はダウンレギュレーションである。
本明細書中上記に詳述されたように、および本発明がいかなる1つの理論または作用の様式にも限定されることなく、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化は、この酵素のVmaxが増加するように、ベースライン活性を示すスフィンゴシンキナーゼを活性化することが考えられる。従って、スフィンゴシンキナーゼリン酸化の存在、非存在、または程度について個体をスクリーニングすることは、異常に活性化されたスフィンゴシンキナーゼ活性および/または細胞活性によって特徴付けられる状態について患者を診断、モニタリング、またはスクリーニングするための手段を提供する。それゆえに、本発明はこのような診断アッセイに拡張されることが理解されるべきである。
別のさらなる局面において、本発明は、1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とともに本明細書中上記に規定したような調節剤を含む薬学的組成物を意図する。これらの薬剤は活性成分といわれる。
注射可能な使用のために適切な薬学的形態には、滅菌水溶液(水溶性である場合)または分散液、および滅菌注射水溶液または分散液の用時調製のための滅菌粉末が含まれ、あるいは、これはクリームの形態または局所適用のために適切な他の形態であり得る。これは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の夾雑作用に対して保護されなければならない。担体は、溶媒または分散媒体であり得、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、その適切な混合物、および植物性油脂を含む。適切な流動性は、例えば、レシチンのような被覆剤の使用によって、分散剤の場合の必要とされる粒子サイズの維持によって、および表面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の阻止は種々の抗微生物剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。多くの場合において、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の組成物中における使用によってもたらされ得る。
滅菌注射溶液は、必要とされる量の活性化合物を、上記に列挙された種々の他の成分とともに適切な溶媒中に取り込むことによって調製され、必要な場合、続いて濾過滅菌を行う。一般的に、分散剤は、種々の滅菌活性成分を、基本的な分散媒体および上記に列挙したものとは異なる必要とされる成分を含む、滅菌ビヒクルに取り込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合において、好ましい調製の方法は、真空乾燥および凍結乾燥の技術であり、これらは、そのあらかじめ滅菌濾過した溶液から活性成分および任意の付加的な所望の成分の粉末を産生する。
活性成分が適切に保護される場合、それらは例えば、不活性な希釈剤もしくは吸収でき食用に適する担体とともに、経口的に投与され得、またはそれはハードもしくはソフトなシェルのゼラチンカプセル中に封入され得るか、または錠剤に圧縮され得るか、または食事の食品とともに直接的に取り込まれ得る。経口的な治療的投与のために、活性化合物は賦形剤とともに取り込まれ得、そして摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハースなどの形態で使用され得る。このような組成物および調製物は、重量で活性化合物の少なくとも1%を含むべきである。組成物および調製物のパーセンテージは、当然、変化され得、そして重量の単位の約5〜約80%の間で首尾よくあり得る。このような適切な投薬におけるこのような治療的に有用な組成物における活性化合物の量が得られる。本発明に従う好ましい組成物または調製物は、経口投薬単位形態が約0.1μgと2000mgの間の活性化合物を含むように調製される。
錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどもまた、本明細書下記に列挙されるような成分を含み得る:アラビアガム、コーンスターチ、またはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;およびスクロース、ラクトース、またはサッカリンのような甘味料が添加され得、あるいはペパーミント、ウィンターグリーンのオイル、またはチェリー香料のような香料が添加され得る。投薬単位形態がカプセルである場合、これは、上記の型の物質に加えて、液体担体を含み得る。種々の他の物質が、被覆剤として、または他の様式で投薬単位の物理形態を修飾するために存在し得る。例えば、錠剤、丸薬、またはカプセルは、シェラック、糖、またはその両方で被覆され得る。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、甘味料としてのスクロース、保存料としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素、ならびにチェリー香料またはオレンジ香料のような香料を含み得る。当然、任意の投薬単位形態を調製する際に使用される任意の物質は薬学的に純粋であり、かつ使用される量において実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物および処方物に取り込まれ得る。
薬学的組成物はまた、ベクターが調節剤をコードする核酸分子を有する場合に、標的細胞に形質移入し得るベクターのような遺伝的分子を含み得る。このベクターは、例えば、ウイルスベクターであり得る。
さらに別の本発明の局面は、本発明の方法において使用される場合に、本明細書中上記に規定したような薬剤に関する。
本発明はまた、特にS225における、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節する薬剤をスクリーニングするための方法を包含することが理解されるべきである。この薬剤は、例えば、リン酸化触媒(例えばERK2)とのスフィンゴシンキナーゼの相互作用を作用させるかまたは拮抗する薬剤、または、例えば、リン酸化触媒として機能することによってそれ自体スフィンゴシンキナーゼをリン酸化する薬剤である。
本明細書中上記に規定した調節剤のスクリーニングは、スフィンゴシンキナーゼを含む細胞およびリン酸化触媒(例えばERK2)を薬剤と接触させる段階、ならびにスフィンゴシンキナーゼリン酸化の調節または下流のスフィンゴシンキナーゼ細胞標的(例えば、NF-κB)の活性もしくは発現の調節をスクリーニングする段階を含むが、いかなる方法によってもこれらに限定されない、いくつかの適切な方法のいずれか1つによって達成され得る。このような調節の検出は、ウェスタンブロッティング、電気泳動移動度シフトアッセイ、および/またはスフィンゴシンキナーゼ活性のレポーター(例えば、ルシフェラーゼ、CATなど)の読み出しのような技術を利用して達成され得る。
スフィンゴシンキナーゼまたはリン酸化触媒が試験の対象物である細胞内に天然に存在し得ること、あるいはそれらをコードする遺伝子が試験の目的のために宿主細胞に形質移入されたかもしれないことが理解されるべきである。さらに、天然に存在するか、または形質移入された遺伝子は構成的に発現され得、それによって、とりわけ、スフィンゴシンキナーゼリン酸化をダウンレギュレートする薬剤をスクリーニングするために有用なモデルを提供し、あるいは、その遺伝子は活性化を必要とし得、それによって、とりわけ、特定の刺激条件下でスフィンゴシンキナーゼリン酸化を調節する薬剤をスクリーニングするために有用なモデルを提供する。さらに、スフィンゴシンキナーゼ核酸分子が細胞に形質移入されるという点で、その分子は全体のスフィンゴシンキナーゼ遺伝子を含み得るか、またはそれは遺伝子の一部(例えば、Ser225を含む部分)のみを含み得る。
別の例において、検出の対象は、スフィンゴシンキナーゼそれ自体よりはむしろ、下流のスフィンゴシンキナーゼ調節標的(例えば、NF-κB)であり得る。さらに別の例は、最小のレポーターに連結されたスフィンゴシンキナーゼ結合部位を含む。例えば、スフィンゴシンキナーゼリン酸化の調節は、TNF刺激された細胞の下流のシグナル伝達成分の調節をスクリーニングすることによって検出され得る。スクリーニング系の対象物である細胞が新生物細胞である場合、例えば、スフィンゴシンキナーゼリン酸化の調節はその細胞のアポトーシスの誘導をスクリーニングすることによって検出され得る。
適切な薬剤はまた、例えば、コンビナトリアルケミストリーまたは組換えライブラリーの高スループットスクリーニングまたは下記の天然産物スクリーニングのような周知の方法を利用して同定および/または設計され得る。
例えば、小さな有機分子を含むライブラリーがスクリーニングされ得、ここで多数の特異的な親の基の置換を有する有機分子が使用される。一般的合成スキームは公開された方法に従い得る(例えば、Bunin BAら(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 4708-4712;DeWitt SHら(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6909-6913)。手短に述べると、各連続的合成段階において、複数の異なる選択された置換基の1つがアレイ中のチューブの選択されたサブセットの各々に加えられる。これは、例えば、ライブラリーを産生する際に利用された異なる置換基のすべての可能な順列を生成するために存在するチューブサブセットの選択を伴う。1つの適切な順列ストラテジーは米国特許第5,763,263号に概説される。
現在、生物学的に活性な化合物の探索のためにランダムな有機分子のコンビナトリアルライブラリーを使用することに広範な関心が存在する(例えば、米国特許第5,763,263号を参照されたい)。この型のライブラリーをスクリーニングすることによって発見されたリガンドは、天然のリガンドを模倣もしくはブロックする際に、または生物学的標的の天然に存在するリガンドを妨害する際に有用であり得る。本発明の文脈において、例えば、これらは、より強力な薬理学的効果のような特性を示すスフィンゴシンキナーゼリン酸化のアゴニストまたはアンタゴニストを開発するための開始点として使用され得る。スフィンゴシンキナーゼもしくはその機能的部分および/またはリン酸化触媒は、本発明に従って、種々の固相または液相の合成方法によって形成されたコンビネーションライブラリー(例えば、米国特許第5,763,263号およびそこに引用される参考文献を参照されたい)において使用され得る。米国特許第5,753,187号において開示されるような技術の使用によって、何百万もの新規な化学的および/または生物学的化合物が、数週間より短い期間で日常的にスクリーニングされ得る。同定された大量の化合物の内で、適切な生物学的活性を示すもののみがさらに分析される。
高スループットライブラリー法に関して、選択された生物学的剤(例えば、生体分子、高分子複合体、または細胞)と特異的に相互作用することができるオリゴマー性または低分子のライブラリー化合物が、上記に記載されたような周知の方法の範囲から当業者によって容易に選択されるコンビナトリアルライブラリーデバイスを利用してスクリーニングされる。このような方法において、ライブラリーの各メンバーは、選択された剤と特異的に相互作用するその能力についてスクリーニングされる。本発明の方法の実施において、生物学的剤が化合物含有チューブに引き出され、各チューブ中の個々のライブラリー化合物と相互作用することが可能になる。この相互作用は、所望の相互作用の存在をモニタリングするために使用され得る検出可能なシグナルを産生するように設計される。好ましくは、生物学的剤は、水溶液中に存在し、さらに状態が所望の相互作用に依存して適合される。検出は、例えば、物質の検出のための任意の周知の機能的または機能的でない基礎となる方法によって実行され得る。
従って、本発明の別の局面は、スフィンゴシンキナーゼまたはその機能的等価物もしくは誘導体のリン酸化を調節し得る薬剤を検出するための方法を提供し、上記方法は、上記スフィンゴシンキナーゼおよびリン酸化触媒またはその機能的等価物もしくは誘導体を含有する細胞またはその抽出物を、推定の薬剤と接触させる段階、ならびに上記リン酸化に付随する変化した発現表現型を検出する段階を包含する。
「スフィンゴシンキナーゼ」および「リン酸触媒」という用語は、スフィンゴシンキナーゼもしくはリン酸触媒の発現産物のいずれかへの言及、またはスフィンゴシンキナーゼもしくはリン酸化触媒の一部もしくはフラグメント(例えば、Ser225スフィンゴシンキナーゼリン酸化部位)への言及として理解されるべきである。この点に関して、スフィンゴシンキナーゼまたはリン酸化触媒の発現産物は細胞において発現される。細胞は、スフィンゴシンキナーゼもしくはリン酸化触媒核酸分子で形質移入された宿主細胞であり得るか、またはそれはスフィンゴシンキナーゼ遺伝子を天然に含む細胞であり得る。「その抽出物」との言及は、無細胞転写系への言及として理解されるべきである。
「上記リン酸化に付随する変化した発現表現型」を検出するという用語は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化の調節に付随した細胞の変化の検出として理解されるべきである。これらは、例えば、細胞内変化または細胞外で観察可能な変化として検出可能であり得る。例えば、これは、下流の産物レベルまたは活性の変化(例えば、NF-κB)を検出することを含むがこれに限定されない。
本発明のさらに別の局面は、本明細書中に規定されるスクリーニング方法に従って同定された薬剤、および本発明の方法における使用のための上記薬剤に関する。上記薬剤は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化部位、特にアミノ酸S225に結合するモノクローナル抗体に拡張されると理解されるべきである。
本発明のさらなる局面は、その領域がリン酸化部位を含む上記スフィンゴシンキナーゼの領域中に変異を含むスフィンゴシンキナーゼ改変体に関し、ここで、上記改変体は、野生型スフィンゴシンキナーゼまたは上記スフィンゴシンキナーゼ改変体の機能的誘導体、ホモログ、もしくはアナログと比較して、除去されたか、または減少したリン酸化能を示す。
本発明はまた、存在するリン酸化部位の変異またはさらなるリン酸化部位の組み込みの性質に起因して、増強されたかまたはアップレギュレートされた活性を示す改変体に拡張される。
「変異」という用語は、天然に存在するかまたは天然に存在しないかに関わらず、上記スフィンゴシンキナーゼがリン酸化を行う能力を調節する、任意の変化、変更、または他の修飾に対する言及として理解されるべきである。上記調節は、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーションであり得る。本発明は、好ましくは、活性化能力の除去を示す改変体に関するが、本発明は、さらなるリン酸化部位または存在する部位の改善されたレベルのリン酸化能力を示す改変体の生成に拡張されることが理解されるべきである。この文脈における「機能的」誘導体、ホモログ、またはアナログへの言及は、規定された調節されたリン酸化能力を示す対象の分子への言及として理解されるべきである。
この変化、変更、または他の修飾は、構造的修飾(例えば、スフィンゴシンキナーゼ分子の二次構造、三次構造、または四次構造の変化)、分子的修飾(例えば、スフィンゴシンキナーゼタンパク質からの1つまたは複数のアミノ酸の付加、置換、または欠失)、または化学的修飾を含むがこれらに限定されない、任意の形態を取り得る。対象の修飾はまた、スフィンゴシンキナーゼタンパク質またはスフィンゴシンキナーゼタンパク質をコードする核酸分子に対する、タンパク質性または非タンパク質性分子の融合、連結、または結合に拡張されることが理解されるべきである。対象の変異はスフィンゴシンキナーゼ発現産物によって発現されることが必要であるが、変異の作製は、任意の適切な手段(上記変異した核酸分子の発現産物がスフィンゴシンキナーゼタンパク質改変体であるように、野生型スフィンゴシンキナーゼタンパク質を変異させること、スフィンゴシンキナーゼ改変体を合成すること、または野生型スフィンゴシンキナーゼタンパク質をコードする核酸分子を修飾することを含む)によって達成され得ることもまた理解されるべきである。好ましくは、上記変異は単一または複数のアミノ酸配列の置換、付加、および/または欠失である。
この好ましい態様に従って、アミノ酸S148、S181、Y184、S225、および/またはT250の単一または複数のアミノ酸置換および/または欠失を有するアミノ酸配列を含むヒトスフィンゴシンキナーゼ改変体が提供され、ここで、上記改変体は、野生型スフィンゴシンキナーゼまたは上記スフィンゴシンキナーゼ改変体の機能的な誘導体、ホモログ、またはアナログと比較して、除去されたかまたは減少されたリン酸化能を示す。
好ましくは、アミノ酸はアミノ酸S225であり、さらにより好ましくは上記置換はS225Ala置換である。
本発明に関して、「野生型」スフィンゴシンキナーゼという用語は、所定の集団における大部分の個体によって発現されるスフィンゴシンキナーゼの形態に対する言及である。スフィンゴシンキナーゼの1種よりも多くの野生型形態が存在し得(例えば、対立遺伝子またはアイソフォームのバリエーションに起因して)、および上記野生型スフィンゴシンキナーゼ分子によって示されるリン酸化のレベルは一定の範囲内にあり得る。しかし、「野生型」は、リン酸化されることができないスフィンゴシンキナーゼの天然に存在する形態に対する言及を含まないことが理解されるべきである。このような改変体型のスフィンゴシンキナーゼは、実際に、本発明の文脈内にあるスフィンゴシンキナーゼの天然に存在する変異体を構成し得る。
「薬剤」という用語は、本明細書中上記に規定するように、本明細書中で規定するスフィンゴシンキナーゼ改変体への言及を含むことが理解されるべきである。
さらに別の局面において、本発明は、遺伝的に修飾した動物に拡張され、この動物は、本明細書中上記に規定したようなスフィンゴシンキナーゼ改変体を発現するように修飾されている。
本発明は、以下の非限定的な記載を参照することによってさらに記載される。
実施例1
方法
ホスホ−hSK1特異的ポリクローナル抗体の生成
ポリクローナル抗体を、Ser225周辺のhSK1配列から設計したホスホペプチド
Figure 2005526809
に対してウサギにおいて惹起させた。ウサギへの注射の前に、このホスホペプチドを、そのN末端システインを介して、マレイミド活性化キーホールリンペットヘモシアニン(Pierce)に結合体化した。リン酸化されていないペプチドに対して活性な抗体を、SulfoLink(商標)ビーズ(Pierce)を使用して抗血清から取り出し、そこにリン酸化されていないペプチド
Figure 2005526809
を製造業者の指示書を使用して結合体化した。
hSK変異体の構築および発現
野生型ヒトSK1(hSKWT)cDNA(Pitsonら、2000)(Genbankアクセッション番号AF200328)を、3'末端でFLAGエピトープでタグ化し、そして以前に記載されたように(Pitsonら、2000)、pALTER(Promega Inc., Madison, WT)部位特異的変異誘発ベクターにサブクローニングした。一本鎖DNAを調製し、製造業者のプロトコールに詳述されるようにオリゴヌクレオチド指向性変異誘発のためのテンプレートとして使用した。表1に示した変異誘発オリゴヌクレオチドを、必要とされる変異体を生成するために設計し、次にこれを所望の修飾の取り込みを確証するために配列決定した。次いで、変異体cDNAを、大腸菌におけるグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)-融合タンパク質としての発現のための、pGEX-4T2のHEK293T細胞への一過性の形質移入のためにpcDNA3(Invitrogen Corp., San Diego, CA)にサブクローニングした。hSKTB2を以前に記載されたように生成した(Xiaら、2002)。
細胞培養、形質移入、および細胞分画
ヒト胚腎臓細胞(HEK293T, ATCC CRL-1573)を、10%ウシ胎仔血清、2mM グルタミン、0.2%(w/v)炭酸水素ナトリウム、ペニシリン(1.2mg/ml)、およびゲンタマイシン(1.6mg/ml)を含むダルベッコ改変イーグル培地(CSL Biosciences, Parkville, Australia)で培養した。形質移入をカルシウムリン酸沈殿法を使用して実行した。細胞を形質移入の24時間後に収集し、50 mM Tris/HCl (pH 7.4)、10% (w/v) グリセロール、0.05% (w/v) Triton X-100、150mM NaCl、1mM ジチオスレイトール、2mM Na3VO4、10mM NaF、1mM EDTA、およびプロテアーゼインヒビター(Complete(商標);Boehriger Mannheim)を含む溶解バッファーA中での超音波処理(2ワット、30秒間、4℃にて)によって溶菌した。hSK1の活性化を、ホルボール12-ミリスチン酸13-酢酸(PMA;Sigma)で30分間、または腫瘍壊死因子-α(TNFα;R&D Systems Inc., Minneapolis, MN)で10分間のいずれかを用いる細胞の処理によって評価した。細胞分画のために、HEK293T細胞を、Triton X-100を欠く溶解バッファー中にかき取り、超音波処理し、そして1,000×gで10分間遠心分離した。次いで、上清を100,000×gで60分間、4℃で遠心分離し、膜および細胞質の画分を得た。次いで、膜画分を、0.8% Triton X-100を含む溶解バッファー中に再懸濁し、超音波処理し、氷上に30分間放置し、そして10,000×gで10分間、4℃にて遠心分離して、Triton不溶性物質を除去した。細胞ホモジネート中のタンパク質濃度を、Coomassie Brilliant Blue(Sigma)試薬を用いて、BSAを標準として使用して決定した。
大腸菌における組換えタンパク質の生成
組換えタンパク質を、以前に記載されたように(Pitsonら、2000)、大腸菌において生成しかつ精製した。
32Pを用いる細胞の代謝的標識
HEK293T細胞を、上記のように培養および形質移入した。10cmディッシュにおける培養を、無リン酸、無血清ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用いて、30分間インキュベートした。次いで、この培地を、500μCi[32P]オルトリン酸を含む、新鮮な無リン酸、無血清DMEMで置換し、この培養物を3時間インキュベートした。次いで、培養物を1ng/ml TNFまたは100ng/ml PMAで30分間刺激した。次いで、細胞を冷PBSで3回洗浄し、50 mM Tris/HCl (pH 7.4)、1% (w/v) Triton X-100、1% (w/v) デオキシコール酸、0.1% SDS、150mM NaCl、50mM NaF、10mM オルトバナジン酸ナトリウム、1mM EDTA、1mM DTT、およびプロテアーゼインヒビター(Complete(商標))を含む1.2mlの溶解バッファーB中にかき取った。細胞を、完全な破壊を確実にするために3回の凍結融解のサイクルに供した。次いで、細胞細片を遠心分離(13,000×g、20分間、4℃にて)によって除去し、そして上清を12μgのM2抗FLAG抗体(Sigma)とともに一晩、4℃で混合しながらインキュベートした。次いで、免疫複合体をプロテインA-セファロースを用いて収集し、溶解バッファーBを用いて4回洗浄した。次いで、免疫沈殿物を12%アクリルアミドゲルのSDS-PAGEに供し、そのゲルを乾燥し、そしてPhosphorimager(Molecular Dynamics)によってリン酸化されたhSKを定量した。
hSK1のインビトロリン酸化
精製した組換えhSK1(1.5μg)を、20mM MgCl2、25mM β-グリセロリン酸、5mM EGTA、1mM オルトバナジン酸ナトリウム、および1mM DTTを含む20mM MOPS(pH 7.2)中の組換えERK2(0.1μg;Upstate Biotechnology)、125μM ATP、および5μCi[γ32P]ATPとともにインキュベートした。37℃で20分間の後、反応をSDS-PAGE試料バッファーの添加により停止し、混合液を5分間沸騰させ、12%アクリルアミドゲルのSDS-PAGEに供し、ゲルを乾燥させ、そしてPhosphorimagerによってリン酸化されたhSK1を定量した。
スフィンゴシンキナーゼアッセイ
SK活性をD-エリスロ-スフィンゴシン(Biomol, Plymouth Meeting, PA)および[γ32P]ATP(Geneworks, Adelaide, South Australia)を基質として使用して、以前に記載されたように(Pitsonら、2000)、慣用的に決定した。SK活性の単位(U)を、1pmol S1P/分を産生するために必要とされる酵素の量として定義した。
S1Pレベル
細胞内および細胞外の両方のSP1レベルを決定するために、HEK293細胞を、上記のように[32P]オルトリン酸で代謝的に標識した。次いで、細胞を、新鮮な無リン酸DMEMに移し、1ng ml-1 TNFαまたは100ng ml-1 PMAで30分間処理した。刺激後の細胞外S1P放出を決定するために、次いで培地を取り出し、1,000×gで遠心分離し、そして2.5mlの上清に2.5mlのクロロホルム、2.5mlのメタノール、および20μlの濃塩酸を加えた。次いで、有機相を吸引下で乾燥させ、クロロホルム中に再懸濁し、そしてS1Pを、1-ブタノール/エタノール/酢酸/水(8:2:1:2、v/v)を用いるシリカゲル60上のTLCによって分画した。細胞内S1Pレベルを、25μl濃塩酸を含む400μlメタノールに細胞を収集することによって決定した。次いで、脂質を、アルカリ条件下で、400μlクロロホルム、400μl KCl、および40μl 3M NaClの添加により抽出した。次いで、これらの条件下でS1Pを含む水相を、50μl濃塩酸の添加を通して酸性化し、400μlクロロホルムで再抽出した。次いで、有機相を吸引下で乾燥させ、クロロホルム中に再懸濁し、そしてS1Pを上記のようにTLCによって分画した。
共焦点顕微鏡法
蛍光顕微鏡法のために、野生型hSK1およびhSK1S225AをGFPを用いてN末端にタグ化した。手短に言えば、EGFPを、以下のプライマー
Figure 2005526809
および
Figure 2005526809
を用いてpEGFP-1(Clontech)からPCR増幅し、得られる産物をHindIIIおよびBamHIで消化し、pcDNA3-hSK1-FLAG10およびpcDNA3-hSK1S225A-FLAGにクローニングした。HEK293T細胞を、上記のようにこれらのプラスミドを用いて形質移入し、24時間培養し、次いで8ウェルのガラスチャンバースライド(Nalge Nunc international)に1×104細胞/ウェルでプレーティングした。24時間後、細胞を30分間、1μg/ml PMAまたはDMSOの対照で処理し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、そして60×油浸対物レンズを使用して、488nmでの励起後、BioRad Radiance 2100共焦点顕微鏡に連結されたOlympusIX70倒立顕微鏡で観察した。
実施例2
結果
hSK1は細胞アゴニストに応答してHEK293細胞中でリン酸化される
リン酸化は多くの真核生物の触媒活性を調節する共通のメカニズムであるので、TNFαおよびホルボールエステル(PMA)に応答するHEK293細胞中でのhSK1のインビボリン酸化を試験した。hSK1を1000倍安定に過剰発現するHEK293細胞の[32P]オルトリン酸を用いる代謝的標識は、確かに、hSK1がリン酸化されること、ならびにこのリン酸化は、TNFα(図1)およびPMAに対する細胞の曝露に応答して急速に増加することを示した。さらに、hSK1リン酸化のこの増加は、TNFα(図1)およびPMAに応答したこれらの細胞中でのスフィンゴシンキナーゼアッセイにおける観察された増加と高度に相関する。これらの観察は、リン酸化がhSK1活性化において役割を果たすことを示唆した。これについてのさらなる証拠はまた、TRAF2を結合するその能力が欠損しているhSK1変異体を使用して得られた。このhSK1変異体は、TNFαに応答して活性化も(Xiaら、2002)リン酸化もされなかった(図2)。しかし、PMAは、この変異体の活性化(Xia、2002)およびリン酸化の両方を誘導する(図2)。
hSK1はSer225においてリン酸化される
NetPhosリン酸化部位予測プログラム(Blomら、1999)を用いるhSK1配列の分析は、マウスおよびサルのSK1アイソフォームにおいてもまた保存されたhSK1中のいくつかの可能なリン酸部位の同定を可能にした(図3)。これらの可能な部位のアラニン変異誘発は、Ser225→Ala変異を含むhSK1変異体がリン酸化されないことを示唆した(図4)。このことは、Ser225がhSK1における唯一の生理学的なリン酸化部位と示唆した。Ser225周辺の領域における2つの潜在的にリン酸化可能なアミノ酸であるSer220およびThr222のアラニンへのさらなる変異誘発は、hSK1リン酸化に効果を有さなかった(図5)。これは、Ser225→Ala変異が隣接する部位(すなわち、Ser220およびThr222)におけるリン酸化への二次的な効果を有するのではなく、Ser225におけるリン酸化を直接的にブロックすることを示した。
hSK1の活性化はSer225のリン酸化を必要とする
hSKS225A変異体は、HEK293細胞において発現された場合に、TNFαおよびPMAを用いる細胞処理によって活性化されることができない(図6)。これは、Ser225のリン酸化がhSK1活性化に必須であることの強力な証拠を提供する。
ERK1、ERK2、およびCDK2はインビトロでSer225においてhSK1を特異的にリン酸化する
Ser225の周辺のアミノ酸配列はSKTPAS225PVVVQ(配列番号:3)である。Ser225に対して直後のC末端のプロリンの存在は、プロリン指向性プロテインキナーゼファミリーのメンバーがhSK1リン酸化の原因であることを示唆する。特に、この領域のPASP配列は、ERK1/2基質認識モチーフ、PxS/TPを連想させる。ここで、xは小さな中性のアミノ酸(Chenら、2001)を表す。ERK1、ERK2、およびサイクリン依存性キナーゼ2(CDK2)を用いる、精製した組換えhSK1のインビトロリン酸化を試験する実験は、3種すべてのキナーゼがhSK1をリン酸化し得ることを示した(図7)。しかし、これらのキナーゼの内で、ERK2はhSK1リン酸化の最も高い効率を示した。さらに、精製した組換えhSKS225A変異体を用いるインビトロリン酸化分析は、ERK2がこのタンパク質をリン酸化できなかったことを示した(図8)。しかし、ERK2は、hSK1における他の潜在的なプロリン依存性キナーゼリン酸化部位(Ser148およびThr222)のみのアラニン変異を含む組換えhSK1変異体をなおリン酸化することができた。これは、ERK2がSer225においてhSK1を特異的にリン酸化することを示した。
細胞におけるhSK1リン酸化の増加はERK1/2経路インヒビターによってブロックされるがCDKインヒビターによってはブロックされない
ERK2がhSK1をインビトロで効率的にリン酸化し、かつ正確な部位でそれを行うという事実は、この酵素がインビボでhSK1をリン酸化する生理学的に関連するプロテインキナーゼであり得ることを示唆した。インタクトな細胞におけるERK1/2の関与を試験するために、十分に特徴付けられているERK1/2経路インヒビターであるPD98059およびU0126の、hSK1リン酸化および活性化に対する効果を調べた。これらの両方は、MEK1/2に特異的に作用して、ERK1/2活性化をブロックする(Daviesら、2000)。両方の化学インヒビターは、hSK1を過剰発現する細胞において、TNFαおよびPMA誘導性のhSK1リン酸化および触媒活性の増加を強力にブロックした(図9a)。これと一致して、U0126インヒビターはまた、非過剰発現細胞における内因性酵素のリン酸化(図9b)および触媒活性の増加をブロックした。これは、hSK1の活性化におけるERK1/2のインビボでの役割についての強力な証拠である。インビトロの実験によって示唆されたように、インビボでのERK1/2およびhSK1の間の直接的な相互作用が存在することを確立するために、細胞抽出物からの2種のタンパク質の同時免疫沈殿を調べた(図9c)。免疫沈殿についてのいずれかの成分に対する抗体を使用して、hSK1とERK1/2の間の相互作用を検出した。重要なことに、内因性ERK1/2と内因性hSK1の間の相互作用が検出され、これが過剰発現によって強制された相互作用でなかったことを確証した。ERK1/2がhSK1について直接的に活性化するキナーゼであるならば、これらのキナーゼの活性化のタイムコースは、スフィンゴシンキナーゼ活性の活性化と並行するはずである。このことは、TNFαまたはPMAの両方の活性化についての場合であることが見い出された(図9d)。明白に、TNFαによるhSK1の活性化は、hSK1を過剰発現する細胞において維持される。このことは、細胞中のERK1/2のより維持された活性化によって部分的にのみ説明され、これは以前の研究と一致し(Lacanaら、2002)、これはまた、hSK1の過剰発現がhSK1脱リン酸化メカニズムを飽和させることを示し得る。インビトロおよびインビボの実験の組み合わせた結果は、ERK1/2を用いるhSK1の活性化および関連を実証し、hSK1がERK1/2の真正の直接的エフェクターであることを強力に示す。
TRAF2とのhSK1の相互作用は、TNFα誘導hSK1活性化のために必須である(Xiaら、2002)。これと一致して、TNFα誘導hSK1リン酸化はまた、TRAF2とのhSK1の相互作用に依存することが見い出された。データは、TRAF2があらかじめ形成されたhSK1-ERK1/2複合体と相互作用することを示す。これは、TNFαの関与の後で、MAPキナーゼ経路の上流の成分の、この複合体への補充を容易にし得、これはEK1/2の局在化された活性化および引き続く関連するhSK1のリン酸化を可能にする。TRAF2についてのこのようなアダプター分子の役割は、hSK1活性化の増強を可能にし、そしていかにしてTNFα(比較的弱いERK1/2アクチベーター)がPMAと同様のhSK1活性化を生じるかを説明する。
hSK1活性化のメカニズムにおけるリン酸化の役割
ERK2を用いてインビトロでSer225において組換えhSK1を特異的にリン酸化する能力は、hSK1の触媒活性に対するこのリン酸化の直接的効果を調べる機会を与えた。hSK1のリン酸化はそのスフィンゴシンキナーゼ活性の劇的な増加を生じることが見い出された。このインビトロリン酸化後の組換えhSK1への32P取り込みの定量は、hSK1タンパク質の42%がリン酸化されることを示し、Ser225におけるhSK1のリン酸がその触媒活性の約14倍の増加を生じること意味する(図10A)。基質反応速度論分析は、リン酸化がhSK1の代謝回転数(kcat)を実質的に増加させることを実証した(表4)。対照的に、リン酸化されたhSK1は、リン酸化されていない酵素と比較して、単にATPに関してわずかに低いKM値、およびスフィンゴシンに関して変化しないKM値を有した(図10B、10C、および表4)。このように、以前にはhSK1は翻訳後修飾の非存在下では考慮すべき固有の触媒活性を有することが示されてきたが、Ser225におけるこの酵素のリン酸化は、その触媒効率において顕著な、14倍の増加を直接的に生じる。
Ser225→Gluの変異誘発は構成的に活性化されたhSK1を作製しない
それらの負電荷によって、酸性アミノ酸グルタミン酸およびアスパラギン酸は、時折、リン酸化アミノ酸を模倣し得、活性化状態に類似するタンパク質コンホメーションを作製し得る。しかし、Ser225→Glu変異を含むhSK1変異体は、野生型hSK1と同様の活性を有した(図11)。それゆえに、いくつかの他の酵素の場合と異なり、この変異は構成的に活性化されたhSK1を作製しない。
ホスホ−hSK1−特異的ポリクローナル抗体
hSK1のSer225周辺を中心とするホスホペプチドに対してウサギにおいて惹起された粗ポリクローナル抗血清は、ホスホペプチドに対するELISAにおいて高度に反応性であったが、非リン酸化ペプチドに対して同様の反応性もまた示した(図13)。しかし、このペプチドに対する反応性を除去するための非リン酸化ペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーの後で、この抗血清は、ホスホペプチドに対するELISAにおいて高い特異性を示した(図13)。さらに、高い特異性はまた、ウェスタンブロットにおいてリン酸化されたhSK1タンパク質について示された(図14)。これらのウェスタンブロットにおいて、抗血清はERK2でリン酸化されたhSK1に対して反応性を示したが、リン酸化されていない野生型hSK1(図14)またはhSKS225A変異体(図15)に対してはほとんど反応性を示さなかった。このように、本発明者らは、この精製した抗血清を使用して、TNFαおよびPMA依存性がhSK1リン酸化を増加させることを示した(図15)。
hSK1のリン酸化/活性化は増殖および形質転換へのその効果の原因である
野生型hSK1の過剰発現が有意に細胞増殖を増強し、細胞形質転換を生じることが以前に示されていた(Xiaら、2000)。これらの効果は、hSK1の触媒活性に依存することが示された。しかし、この酵素は考慮すべき固有の触媒活性を有しているので(Pitsonら、2000a)、これらの研究からは、hSK1活性化がこれらの効果において役割を果たすか否かは明らかでなかった。確かに、hSK1の活性化はRas媒介性形質転換において重要であり得るようであった(Xiaら、2000)。これは、活性型のhSK1がまた、hSK1過剰発現から生じる形質転換において鍵となる因子であり得ることを仮定することに導いた。hSK1の活性化メカニズムの解明は、活性化されないhSK1のSer225→Ala変異体の使用を通してさらにこれを試験する能力を与えた。以前の知見(Xiaら、2000)と一致して、野生型hSK1を過剰発現するHEK293T細胞は増強された増殖および血清非依存性の増殖を示した(図16)。対照的に、リン酸化可能でないhSK1変異体、hSK1S225Aを過剰発現する細胞は、空のベクターで形質移入した対照細胞に対して、増殖速度または血清依存性の違いを示さなかった(図16)。野生型hSK1およびhSK1S225Aの観察された増殖効果のこれらの顕著な違いは、細胞スフィンゴシンキナーゼ活性と同様に、両方のタンパク質の発現レベルがこれらの細胞中で同様であった場合でさえ観察された。
同様の結果はまた、軟寒天中でのコロニー形成によって実行される細胞形質転換アッセイにおいて観察された。以前に報告されたように、野生型hSK1で形質移入されたNIH3T3細胞は、対照細胞において見られるものを超えて、考慮すべき形質転換活性を示した(Xiaら、2000)。しかし、対照的に、hSK1S225Aで形質移入した細胞は、顕著に低い形質転換活性を有した(図17)。これは、細胞が同様のレベルの形質移入されたタンパク質を発現すること、および同様の全体のスフィンゴシンキナーゼ活性を有するにも関わらずであった。このデータは、この酵素の形質転換能力の原因であるのはリン酸化された、活性型のhSK1であるという強力な証拠を提供する。興味深いことに、hSK1S225AがRas誘導された細胞形質転換をブロックすることもまた見い出され(図17)、このプロセスにおけるhSK1活性化の関与についてのさらなる証拠を提供した。hSK1形質移入細胞はすでに高レベルのスフィンゴシンキナーゼ活性を有しているので、細胞形質転換に対する活性化の効果は、この酵素の触媒活性の得られる増加の結果のみではないかもしれない。その代わりに、これはまた、活性化されたhSK1の細胞下局在の、活性化によって誘導された変化に関連し得る。
hSK1の膜への移行、ならびに細胞内および細胞外のスフィンゴシン1-リン酸レベルの増加はhSK1リン酸化に依存する
最近の報告は、PMAまたはPDGFによるhSK1の活性化が細胞質ゾル画分から膜画分への酵素の移行と付随して起こることを示唆している。この移行がhSK1のアゴニスト依存的リン酸化に依存するか否かを試験するために、細胞質ゾル画分および膜画分において、全体のhSK1およびリン酸化されたhSK1の両方のレベルを、野生型hSK1またはリン酸化欠損hSK1S225A変異体のいずれかを過剰発現させたHEK293T細胞の、TNFαまたはPMAによる刺激ありおよび刺激なしの場合で、測定した(図18a)。PMAまたはTNFαを用いる刺激は、一貫して、膜結合野生型hSK1の増加を誘導した。対照的に、Ser225→Ala変異は、膜結合hSK1のいかなる増加も完全にブロックし、この部位におけるリン酸化が移行事象に必要であることを確証した。さらに、hSK1-グリーン蛍光タンパク質(GFP)融合タンパク質を発現するHEK293T細胞の共焦点顕微鏡法もまた、hSK1のリン酸依存性移行を確証した。なぜなら、PMAは野生型hSK1の細胞質から原形質膜への移行を誘導したが、リン酸化欠損hSK1S225A変異体はその移行を誘導しなかったからである(図18b)。
リン酸化は、酵素活性のアゴニスト刺激性の増加のために必要であるのみならず、上記に実証したように、hSK1によって産生される第2メッセンジャーであるS1Pの、活性化依存性の上昇のためにもまた必要である(図18b)。野生型hSK1の過剰発現は、刺激の非存在下においてでさえ、ベクターで形質移入した細胞のそれを超えて、細胞内および細胞外の両方のS1Pの非常な増加を生じた。しかし、TNFαまたはPMAのいずれかを用いるこれらの細胞の刺激は、細胞内および細胞外の両方のS1Pのさらなる増加を生じた。これは、空のベクターで形質移入した細胞において、より低い全体のレベルでのS1Pの変化を十分に反映する。対照的に、Ser225リン酸化部位の変異は、細胞内または細胞外のいずれかのS1Pにおけるいかなるアゴニスト依存性変化をも完全に除去した。さらに、野生型hSK1形質移入細胞と比較して、減少したベースのS1PレベルはhSK1S225A変異体を過剰発現する細胞において観察された。これは、細胞外S1Pについて最も顕著であり、野生型hSK1およびhSK1S225A過剰発現細胞が同様のベースのスフィンゴシンキナーゼ活性を有するにも関わらずそうであった。ERK1/2が内因性ならびに過剰発現されたhSK1のアクチベーターであることと一致して、ERK1/2経路インヒビターU1026を用いる阻害は、TNFαおよびPMAによって誘導される細胞内および細胞外のS1Pの増加を、ベクターで形質移入した細胞および野生型hSK1で形質移入した細胞の両方でブロックした。このインヒビターがS1PレベルをhSK1S225A変異体のレベルまで減少することができないことは、ベースのhSK1リン酸化の不完全なブロックによって説明される。
当業者は、本明細書中に記載した本発明が具体的に記載されたもの以外のバリエーションおよび改変が可能であることを理解する。本発明は、すべてのこのようなバリエーションおよび改変を包含することが理解されるべきである。本発明はまた、本明細書中に言及されるか、または示されるすべての段階、特徴、組成物、および化合物を個別にまたは集合的に包含し、ならびに、任意の2つまたはそれ以上の上記段階または特徴のいずれかおよびすべての組み合わせを包含する。
(表3) hSK1の部位特異的変異誘発のために使用される変異誘発プライマー
Figure 2005526809
(表4) インビトロリン酸化されたhSK1の基質反応速度論
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参考文献一覧
Figure 2005526809
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hSK1の活性化と対応するhSK1のリン酸化のグラフによる表現である。hSK1-形質移入されたHEK293T細胞のTNFα刺激は、これらの細胞におけるスフィンゴシンキナーゼ活性の増加に対応するhSK1のインビボリン酸化を生じた。 TRAF2を結合することができない変異体の、TNFαに応答した不活性化およびリン酸化の欠如の画像である。野生型hSK1とは異なり、hSKTB2、TRAF2に結合するその能力を欠損しているhSK1変異体(Xiaら、2002)はHEK293T細胞のTNFα処理に応答して活性化もリン酸化もされない。対照的に、これらの細胞のPMA処理は、野生型hSK1およびhSKTB2のリン酸化と活性化の両方を生じる。 NetPhosを使用してhSK1におけるリン酸化されるアミノ酸の予測の模式図である。丸で囲った残基はNetProsプログラムによってhSK1(およびそのマウスおよびサルのホモログ)においてリン酸化されると予測されるアミノ酸を表す。 Ser225→Ala変異を発現するhSK1のリン酸化の除去の画像である。野生型hSK1、hSKS148A、hSkS181A、hSKY184A、hSKS225A、hSKT250A、または空のベクターで形質移入し、およびPMAで処理したかまたは処理していないかのいずれかのHEK293T細胞の代謝的標識は、Ser225→Ala変異のみがhSK1のリン酸化を除去することを示した。 Ser225→Ala変異を発現するhSK1の隣接する部位におけるリン酸化の画像である。野生型hSK1、hSKS220A、hSKS225A、またはhSKT222Aで形質移入し、およびPMAで処理したかまたは処理していないかのいずれかのHEK293T細胞の代謝的標識は、再度Ser225→Ala変異のみがhSK1のリン酸化を除去することを示した。このことは、隣接する部位(すなわち、Ser220およびThy222)において間接的にリン酸化をもたらすのではなく、Ser225→Ala変異がSer225において直接的にhSK1のリン酸化をもたらすことを示す。 TNFαまたはPMAによるhSKS255Aの不活性化のグラフによる表現である。野生型hSK1形質移入されたHEK293T細胞とは異なり、hSKS255A形質移入されたHEK293T細胞は、TNFαまたはPMA処理後のスフィンゴシンキナーゼ活性の増加を示さない。 hSK1のインビトロリン酸化の画像である。精製した組換えhSK1のインビトロリン酸化は、ERK1、ERK2、およびCDK2を用いて試験した。リン酸化の比活性の定量は、ERK2によってリン酸化された精製された組換えhSK1が最も高い効率を有することを示した。 Ser225においてのみで起こったERK2によるhSK1のインビトロリン酸化の画像である。精製した組換え野生型hSK1、hSKS225A、hSKS148AおよびhSKT222Aのインビトロリン酸化が、ERK2を用いて試験された。HSKS225AのみがERK2によってリン酸化されなかった。このことは、ERK2がhSK1をSer225において特異的にリン酸化することを示す。 インビボでのhSK1のERK1/2リン酸化および活性化の画像である。aおよびb、HEK292T細胞におけるhSK1のアゴニスト誘導性リン酸化および活性化は、ERK1/2経路インヒビターによってブロックされる。一過性に形質移入されたHEK293T細胞におけるhSK1のリン酸化および活性(a)に続いて、ホスホ−hSK1特異的ポリクローナル抗体(ホスホ−hSK1)を使用するウェスタンブロットおよびスフィンゴシンキナーゼアッセイを行った。全hSK1レベルはFLAGエピトープを介して決定されたのに対して、ERK1/2活性化はホスホERK1/2およびERK1/2抗体に従って行った。形質移入していないHEK293T細胞におけるhSK1のリン酸化(b)は類似の結果を示した。c、ERK1/2およびhSK1の免疫沈降。野生型hSK1またはhSK1TB2のいずれかを過剰発現するHEK293T細胞は、TNFαまたはPMAとともに30分間処理した。清澄化した細胞溶解物からのhSK1(それらのFLAGエピトープを介する)またはERK1/2は免疫沈降され、SDS-PAGEに供され、そしてERK1/2、FLAGについてウェスタンブロットによって、またはhSK1について直接的にタンパク質複合体が探索された。d、TNFα(●)およびPMA(○)によるスフィンゴシンキナーゼおよびERK1/2活性化のタイムコースは空のベクターおよびhSK1−形質移入細胞の両方において相関する。 図10Aは、hSK1がERK2を用いるSer225のインビトロリン酸化によって直接リン酸化されることを示すグラフによる表現である。データは、ERK2によるSer225におけるインビトロリン酸化の前および後でのhSK1のスフィンゴシンキナーゼ活性(kcat)を示す。値はアッセイ混液中におけるリン酸化されるhSK1の割合について補正される。図10Bは、インビトロリン酸化されたhSK1のATPとの基質反応速度論のグラフによる表現である。データは、Ser225におけるhSK1のリン酸化がKcatの13.6倍の増加(93S-1から1265S-1)を生じることを示す。ATPについてのKM値は、リン酸化されていないhSK1およびリン酸化されたhSK1について、それぞれ81±12μMおよび56±8μMであった。図10Cは、インビトロリン酸化されたhSK1のスフィンゴシンとの基質反応速度論のグラフによる表現である。データは、Ser225におけるhSK1のリン酸化がKcatの13.6倍の増加(93S-1から1265S-1)を生じることを示す。スフィンゴシンについてのKM値は、リン酸化されていないhSK1およびリン酸化されたhSK1について、それぞれ15±4μMおよび13±3μMであった。 hSK1におけるSer225→Glu変異が構成的に活性化されたhSK1を作製するわけではないことを実証するグラフによる表現である。hSKWTおよびhSKS225EはHEK293T細胞において発現され、細胞溶解物中における得られるスフィンゴシンキナーゼ活性はタンパク質発現レベルに関して定量された。 スフィンゴシンキナーゼアンタゴニストについての標的の模式図である。 ホスホ−hSK抗血清のELISAのグラフによる表現である。hSK1のSer225周辺に設計されたKLH結合体化ホスホペプチドを注射されたウサギからの粗抗血清(白色記号)およびアフィニティー精製された抗血清(黒色記号)が、ホスホペプチド(丸)および対応するリン酸化されていないペプチド(四角)を用いてELISAによって分析された。 ホスホ−hSK1抗血清がウェスタンブロット分析においてリン酸化されたhSK1と特異的に反応することを図示する画像である。アフィニティー精製されたホスホ−hSK1抗血清を用いるhSK1のウェスタンブロット分析。レーン1、組換えhSK1;レーン2、ERK2によってインビトロでリン酸化された組換えhSK1;レーン3、ERK2によってインビトロでリン酸化され、続いてアルカリホスファターゼによって脱リン酸化された組換えhSK1。 ホスホ−hSK1抗血清がインビボhSK1のリン酸化が続けられることを可能にすることを例証する画像である。HEK293細胞は、野生型hSK1またはhSKS225Aで形質移入され、ならびにTNFαまたはPMAで処理され、収集され、そしてホスホ−hSK1抗血清および抗FLAG抗体を用いるウェスタンブロットによって分析された。 野生型hSK1およびhSK1S225Aの過剰発現に応答したHEK293T細胞の増殖のグラフによる表現である。野生型hSK1(三角)、hSK1S225A(四角)、または空のベクター(丸)は、5%胎仔ウシ血清(FCS)、1%FCS、または血清なし(0.1%BSA)のいずれかを含むDMEM培地中で増殖された。細胞数はMITアッセイを使用して決定された。 野生型hSK1およびhSK1S225Aの過剰発現に応答したNIH3T3細胞の形質転換のグラフによる表現である。(A)左側のパネルは、空のベクター、野生型hSK1、またはhSK1S225Aのいずれかで形質移入したNIH3T3細胞の軟寒天中でのコロニー形成を示す。右側のパネルは、構成的に活性なV12-RAおよび空のベクター、野生型hSK1、またはhSK1S225Aのいずれかで同時形質移入したNIH3T3細胞の軟寒天中でのコロニー形成を示す。(B)形成されたコロニーの定量。 hSK1のリン酸化が膜へのその移行レベルならびに細胞内および細胞外のスフィンゴシン1-リン酸のレベルの増加をもたらすことを示す。aおよびb、細胞質ゾルから原形質膜へのhSK1の移行はそのリン酸化に依存する。細胞溶解物は、膜画分(a)へのリン酸化依存性移行を示すために、細胞質ゾルから膜に分画され、そして全hSK1(抗FLAGを用いる)およびホスホ−hSK1についてのウェスタンブロットを介して探索した。膜内在性タンパク質であるE-カドヘリンについてのイムノブロットは、等量の膜のローディングを示すために使用された。b、30分間の1μM PMAを伴うかまたは伴わない、野生型hSK1-GFPまたはhSK1S225A-GFPのいずれかで形質移入したHEK293細胞の共焦点顕微鏡法は、細胞質ゾルから原形質膜へのhSK1のリン酸依存性移行を示した。共焦点画像は3つの独立した実験において観察される細胞の>50%を表す。c、細胞内および細胞外のS1Pレベルは、TNFαおよびPMA処理後の空のベクター、または野生型hSK1およびhSK1S225Aをコードするプラスミドで一過性に形質移入したHEK293T細胞において、およびERK1/2経路インヒビターのU1026の存在下または非存在下で決定された。データは3回の実験からの平均(±SD)である。

Claims (49)

  1. スフィンゴシンキナーゼ機能活性を調節する方法であって、該スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するのに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と該スフィンゴシンキナーゼを接触させる段階を含み、該リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが該スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、該リン酸化を阻害することまたは他の様式で拮抗することが該スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする、方法。
  2. 細胞活性を調節する方法であって、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するのに十分な時間および条件下で有効量の薬剤と細胞を接触させる段階を含み、該リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが該細胞活性をアップレギュレートし、該リン酸化を阻害することまたは他の様式で拮抗することが該細胞活性をダウンレギュレートする、方法。
  3. スフィンゴシンキナーゼがヒトスフィンゴシンキナーゼである、請求項1または2記載の方法。
  4. リン酸化がS225において調節される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 薬剤が、S225に結合、連結、または他の様式で付随する、請求項4記載の方法。
  6. リン酸化の調節がプロリン指向性プロテインキナーゼによって触媒されるリン酸化の調節である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. プロリン指向性キナーゼがERK1、ERK2、またはCDK2である、請求項6記載の方法。
  8. プロリン指向性キナーゼがERK2である、請求項7記載の方法。
  9. 調節がダウンレギュレーションである、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. 薬剤がU0126である、請求項9記載の方法。
  11. 薬剤がPD98059である、請求項9記載の方法。
  12. 哺乳動物における状態を治療および/または予防するための方法であって、該状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な細胞活性によって特徴付けられ、該方法は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するのに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を該哺乳動物に投与する段階を含み、該リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが該細胞活性をアップレギュレートし、該リン酸化を阻害することまたは他の様式で拮抗することが該細胞活性をダウンレギュレートする、方法。
  13. 哺乳動物における状態を治療および/または予防するための方法であって、該状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切なスフィンゴシンキナーゼの機能活性によって特徴付けられ、該方法は、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節するのに十分な時間および条件下で有効量の薬剤を該哺乳動物に投与する段階を含み、該リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが該スフィンゴシンキナーゼの機能活性をアップレギュレートし、該リン酸化を阻害することまたは他の様式で拮抗することが該スフィンゴシンキナーゼの機能活性をダウンレギュレートする、方法。
  14. スフィンゴシンキナーゼがヒトスフィンゴシンキナーゼである、請求項12または13記載の方法。
  15. リン酸化がS225において調節される、請求項12〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. 薬剤が、S225に結合、連結、または他の様式で付随する、請求項15記載の方法。
  17. リン酸化の調節がプロリン指向性プロテインキナーゼによって触媒されるリン酸化の調節である、請求項12〜16のいずれか一項記載の方法。
  18. プロリン指向性キナーゼがERK1、ERK2、またはCDK2である、請求項17記載の方法。
  19. プロリン指向性キナーゼがERK2である、請求項18記載の方法。
  20. 調節がダウンレギュレーションである、請求項12〜19のいずれか一項記載の方法。
  21. 細胞活性がTNFによって誘導される、請求項20記載の方法。
  22. 状態が新生物状態でありかつ細胞活性がTNF誘導性細胞増殖および/または抗アポトーシス性特性である、請求項21記載の方法。
  23. 状態が炎症性状態でありかつ細胞活性が炎症メディエーターの産生である、請求項21記載の方法。
  24. 炎症メディエーターが接着分子発現である、請求項23記載の方法。
  25. 炎症状態が慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、喘息、自己免疫疾患、または炎症性腸疾患である、請求項23または24記載の方法。
  26. 薬剤がU0126である、請求項20〜25のいずれか一項記載の方法。
  27. 薬剤がPD98059である、請求項20〜25のいずれか一項記載の方法。
  28. 哺乳動物における状態の治療のための薬学的製剤の製造における薬剤の使用であって、該状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切な細胞活性によって特徴付けられ、該薬剤はスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節し、該リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが該細胞活性をアップレギュレートし、該リン酸化を阻害することまたは他の様式で拮抗することが該細胞活性をダウンレギュレートする、使用。
  29. 哺乳動物における状態の治療のための薬学的製剤の製造における薬剤の使用であって、該状態は、異常な、望ましくない、または他の様式で不適切なスフィンゴシンキナーゼの活性によって特徴付けられ、該薬剤はスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節し、該リン酸化を誘導することまたは他の様式で作用させることが該スフィンゴシンキナーゼ活性をアップレギュレートし、該リン酸化を阻害することまたは他の様式で拮抗することが該スフィンゴシンキナーゼ活性をダウンレギュレートする、使用。
  30. スフィンゴシンキナーゼがヒトスフィンゴシンキナーゼである、請求項28または29記載の使用。
  31. リン酸化がS225において調節される、請求項28〜30のいずれか一項記載の使用。
  32. 薬剤が、S225に結合、連結、または他の様式で付随する、請求項31記載の使用。
  33. リン酸化の調節がプロリン指向性プロテインキナーゼによって触媒されるリン酸化の調節である、請求項28〜32のいずれか一項記載の使用。
  34. プロリン指向性キナーゼがERK1、ERK2、またはCDK2である、請求項33記載の使用。
  35. プロリン指向性キナーゼがERK2である、請求項34記載の使用。
  36. 調節がダウンレギュレーションである、請求項28〜35のいずれか一項記載の使用。
  37. 細胞活性がTNFによって誘導される、請求項36記載の使用。
  38. 状態が新生物状態でありかつ細胞活性がTNF誘導性細胞増殖および/または抗アポトーシス性特性である、請求項37記載の使用。
  39. 状態が炎症性状態でありかつ細胞活性が炎症メディエーターの産生である、請求項37記載の使用。
  40. 炎症メディエーターが接着分子発現である、請求項39記載の使用。
  41. 炎症状態が慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、喘息、自己免疫疾患、または炎症性腸疾患である、請求項39または40記載の使用。
  42. 薬剤がU0126である、請求項36〜41のいずれか一項記載の方法。
  43. 薬剤がPD98059である、請求項36〜41のいずれか一項記載の方法。
  44. 請求項1〜27のいずれか一項記載の方法に従って使用された場合に1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とともに薬剤を含有する薬学的組成物であって、該薬剤はスフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節する、組成物。
  45. 請求項1〜27のいずれか一項記載の方法に従って使用された場合に、スフィンゴシンキナーゼのリン酸化を調節する薬剤。
  46. リン酸化部位を含むスフィンゴシンキナーゼの領域において変異を含有する単離されたスフィンゴシンキナーゼ改変体であって、野生型スフィンゴシンキナーゼ、またはその機能的誘導体、ホモログ、もしくはアナログと比較して除去されたかまたは減少されたリン酸化能を示す、改変体。
  47. リン酸化部位を含むスフィンゴシンキナーゼの領域において変異を含有する単離されたスフィンゴシンキナーゼ改変体であって、野生型スフィンゴシンキナーゼ、またはその機能的誘導体、ホモログ、もしくはアナログと比較して増強されたかまたはアップレギュレートされたリン酸化能を示す、改変体。
  48. 1つまたは複数のアミノ酸置換および/またはアミノ酸S225の欠失を有するアミノ酸配列を含む、請求項46記載の単離された改変体。
  49. 置換がSer225のAlaへの置換である、請求項48記載の単離された改変体。
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