[go: up one dir, main page]

JP2005511017A - ホーミングペプチド - Google Patents

ホーミングペプチド Download PDF

Info

Publication number
JP2005511017A
JP2005511017A JP2003525021A JP2003525021A JP2005511017A JP 2005511017 A JP2005511017 A JP 2005511017A JP 2003525021 A JP2003525021 A JP 2003525021A JP 2003525021 A JP2003525021 A JP 2003525021A JP 2005511017 A JP2005511017 A JP 2005511017A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
phage
synovial
tissue
species
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003525021A
Other languages
English (en)
Inventor
ピザリス,コンスタンティーノ
スタブロス パナイ,ガブリエル
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kings College London
Original Assignee
Kings College London
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from GB0121499A external-priority patent/GB0121499D0/en
Priority claimed from GB0217894A external-priority patent/GB0217894D0/en
Application filed by Kings College London filed Critical Kings College London
Publication of JP2005511017A publication Critical patent/JP2005511017A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K5/00Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K5/04Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof containing only normal peptide links
    • C07K5/10Tetrapeptides
    • C07K5/1024Tetrapeptides with the first amino acid being heterocyclic
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • A61P17/06Antipsoriatics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/02Drugs for skeletal disorders for joint disorders, e.g. arthritis, arthrosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/06Immunosuppressants, e.g. drugs for graft rejection
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/04General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length on carriers
    • C07K1/047Simultaneous synthesis of different peptide species; Peptide libraries
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K5/00Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K5/04Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof containing only normal peptide links
    • C07K5/08Tripeptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

滑膜組織結合ペプチドは、RLP、SPS、HSS、LSS、TWS、YSS、NQR、DRLまたはDHRを含むアミノ酸配列モチーフを含む。好ましいモチーフは、HPRLPFA、APNWRLP、SPSPFRA、SPSRFDQ、VSPSRTT、PLSSAQR、TWSATST、THSSATQ、HTHSSNL、PNHSSPH、ADHSSRH、SDYSSRS、QTHNQRY、TNQRLAI、KSTHDRL、PFHDRHS、HPSDRLSまたはDRLNHQFを含む。また、第1の哺乳類種に由来する組織に結合することが可能なペプチドの同定方法が提供され、この方法は、上記第1の哺乳類種に由来する組織を、免疫学的応答が減衰した第2の哺乳類種の被験体に移植するステップ、複数のペプチドを上記第2の種に導入するステップ、および上記第2の種内でのペプチドの局在化を確定するステップを含む。

Description

本発明は、ヒト組織を標的とする送達系、より詳細には、部位特異的送達において使用するためのペプチド、およびそれらの同定方法に関する。
疾患プロセスが主として特定の器官に局在化する多くの症状を治療するために、非特異的全身療法を使用しても不充分である。かかる症状としては、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、および変性または炎症性病理学を含む他の症状が挙げられる。これらの症状を治療するために有効な一般的治療法は知られていない。さらに、該治療の副作用によって苦しめられる場合が多い。疾患部位へこれらの薬剤を直接送達することができれば、現在の治療法はかなり改善されるであろう。
微小血管内皮(MVE)は、関節リウマチ(RA)の病因において主要な役割を果たすので、MVEは重要な治療上の標的である。RAは、進行性関節破壊を引き起こす軟骨および骨の損傷の原因となる増殖性滑膜炎により特徴付けられる症状である(1、2)。新たな血管の鮮紅色の出芽(血管新生)は通常、RA滑膜炎の初期に見られ、それがこの病理学的状況において重要な要素であることを示唆する(3)。疾患が確立された慢性期では、MVEはまた、血流から関節への炎症細胞の連続的な流入のためのルートとして機能するため重要である(4、5)。管外遊出プロセスは、表面細胞接着分子(CAM)とケモカイン(CK)の相互作用を含む、一連の統合された細胞接着およびシグナル伝達事象により調節される複雑な現象である(6、7)。すべての白血球型に適用可能な一般的なメカニズムのほかに、それぞれ遊走リンパ球の表面上および種々の器官のMVE上で発現される、「ホーミング受容体」および「血管アドレシン」の特異的対形成が、様々な組織に対する種々の白血球集団の選択的漸増に寄与するという証拠が存在する(8、9)。十分に特徴づけされた例としては、L−セレクチンとGlyCAMとの優先的相互作用、およびαβとMAdCAM−1との優先的相互作用が挙げられ、これらの相互作用は、それぞれ末梢リンパ節および腸部位へのリンパ球遊走を促進する(10〜13)。さらに、CKとCK受容体(TARC−CCR4およびTECK−CCR9)の対は、それぞれ皮膚および腸組織へのリンパ球遊走を促進する際に、「ホーミング」CAM(CLAおよびαβ)を協調させるようである(14、15)。現段階では、リンパ系組織のほかに、優先的循環経路は、腸、肺、皮膚および関節に関して主張されている(16、17)。
しかしながら、関節の特異的MVE「アドレシン」は同定しにくいことが証明されている。この理由は、滑膜内皮細胞の純粋な集団を単離することが困難であることに幾分関連する。さらに、より重要なことに、in vitroで単離MVE細胞を培養すると、脳MVE中での接着結合のような重要な組織特異的特性を損失したり、または腸MVEによるMAdCAM−1発現を損失したりする脱分化が引き起こされることが知られている(18〜21)。したがって、それ自身の微小環境においてMVEを標的とすることは、器官特異的リガンドを同定する必要がある可能性が高い。ランダムペプチド(22〜24)および抗体断片ライブラリー(25〜27)のファージディスプレイの開発は、動物におけるin vivoでの様々な組織のMVEの正確なターゲッティングを可能にしてきた。特に、Ruoslahtiとその共同研究者等は、マウスにおいてプロービングされた7つの異なる器官それぞれについて、ならびに腫瘍血管系について、少なくとも1つの特異的ホーミングペプチド配列を生成することに成功している(28、29)。さらに、特異的ホーミングペプチドは、in vivoモデルにおいて様々な組織に薬剤を集中させるためのターゲッティングデバイスとして使用することができる(29〜31)。同様のアプローチが、in vivoでマウス胸腺内皮に特異的なファージディスプレイ由来の単鎖可変
部(sFv)抗体(sFv−PDL)を単離するのに使用されている(32)。最後に、αvβ3およびαvβ5に結合する拘束性環状RGDペプチド(14−アミノ酸であるアポトーシス促進性ペプチドに共有結合されている)を表示するファージは、炎症性滑膜にホーミングし、かつコラーゲン誘導性関節炎を抑制することがわかった(33)。
かかる技術のヒトへの応用は、in vivoでスクリーニング研究を実施する技術的困難性および倫理的考慮のために行われてこなかった。しかしながら、ヒト組織を重篤複合免疫不全(SCID)マウスに移植することは可能である。本発明者等は、ヒトの滑膜、皮膚、リンパ系および胎児腸組織を移植させるためにこのモデルを首尾よく適合させた(34〜36)。移植片は、生存状態にあり、移植片ヒト血管系と吻合するマウス皮下血管により血管新生されようになる。吻合は、マウス全身循環により抗体およびヒト細胞を移植片へ送達する能力により示されるように、明白(patent)かつ機能的である(34)。最も重要なことは、移植片MVEは、吻合に近接して、互いに隣り合ってヒトおよびマウスCAMを発現する移行性領域を形成するヒト接着分子の発現を維持し、サイトカインの移植内注入(intra-graft injection)後にアップレギュレートされ得ることである(34)。最終的に、移植片のMVEはその正常な微小環境内にとどまり、これが組織特異的血管特性の維持を促進する可能性が高いという事実である。
上記した従来技術はいずれも、ヒト組織を標的とすることが可能であるペプチドを同定するのに適したペプチドスクリーニング方法を意図していない。本発明の目的の1つは、かかる方法およびそれらの生成物を提供することである。
したがって、本発明の一態様は、RLP、SPS、HSS、LSS、TWS、YSS、NQR、DRLまたはDRHを有するアミノ酸配列モチーフを含む滑膜組織結合ペプチドを提供する。
「滑膜組織結合ペプチド」という用語は、本明細書中で使用される場合、全身投与後に滑膜組織への特異的結合および優先的局在化が可能であるペプチドを指す。「モチーフ」という用語は、本明細書中で使用する場合、当該ペプチドに機能的特性、特に結合特異性特性を付与することが可能な一連のアミノ酸を定義することができるペプチドの一部を指す。本明細書全体にわたって、アミノ酸に関する標準的な一文字系の表示法を使用する。
モチーフはSPSRFを含んでもよい。あるいは、モチーフは、(TまたはD)HSS(AまたはR)(TまたはH)を含んでもよい。さらなる代替物として、モチーフはHDRLを含んでもよい。好ましくは、モチーフは、HPRLPFA、APNWRLP、SPSPFRA、SPSRFDQ、VSPSRTT、PLSSAQR、TWSATST、THSSATQ、HTHSSNL、PNHSSPH、ADHSSRH、SDYSSRS、QTHNQRY、TNQPLAI、KSTHDRL、PFHDRHS、HPSDRLSまたはDRLNHQFを含む。
本発明によるペプチドは、好ましくは3〜1000アミノ酸長である。より好ましくは、ペプチドは3〜100アミノ酸長である。最も好ましくは、ペプチドは3〜20アミノ酸長である。ペプチドのモチーフおよび/またはペプチドの残部は、モチーフに対する任意の修飾がその機能特性に影響を及ぼさない限り、化学修飾したアミノ酸を含んでもよい。ペプチドの機能的相同体もまた、本発明の範囲内であるとみなされる。「機能的相同体」という用語は、相同体を基礎付けているペプチドの滑膜組織結合活性を保持し、かつ相同体を基礎付けているペプチドのモチーフと比較した場合に、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは95%の配列相同性を有するモチーフを有するペプチドを指す。機能的相同体間のアミノ酸変化は、好ましくは保存的であり、すなわち1のアミノ酸を、その側鎖において関
連しているアミノ酸ファミリーからの1つで置換することを含む。
ペプチドは、線状でも、あるいは環状でもよい。ペプチドが線状である場合、ペプチドは、モチーフの一端または両端に、1つまたは複数の硫黄含有アミノ酸を有してもよい。硫黄含有アミノ酸は、CまたはMであり得る。
ペプチドは好ましくは環状である。
ある特定の実施形態では、ペプチドは、ペプチドの分子内環化を促進することが可能なアミノ酸対を含む。対の成員は、好ましくはモチーフの反対の末端側に位置され、より好ましくはモチーフの反対の末端に位置する。アミノ酸対により促進されるペプチドの環化は、ペプチドの一部のみの環化を包含してもよく、あるいはペプチド全体の環化を包含してもよい。好ましくは、モチーフ全体、およびより好ましくはペプチド全体が環化する。対は、好ましくはCとC、CとMまたはMとMである。好ましい実施形態では、モチーフは、C−HPRLPFA−C、C−APNWRLP−C、C−SPSPFRA−C、C−SPSRFDQ−C、C−VSPSRTT−C、C−PLSSAQR−C、C−TWSATST−C、C−THSSATQ−C、C−HTHSSNL−C、C−PNHSSPH−C、C−ADHSSRH−C、C−SDYSSRS−C、C−QTHNQRY−C、C−TNQRLAI−C、C−KSTHDRL−C、C−PFHDRHS−C、C−HPSDRLS−CまたはC−DRLNHQF−Cであり、ここでC−および−Cは独立して、それぞれ隣接(flanking)システイン内のアミノ酸の前または後の任意の型または数のアミノ酸を表す。好ましくは、前または後のアミノ酸数は、それぞれ12個未満である。より好ましくは、ゼロである。特に好ましい実施形態では、モチーフはC−KSTHDRL−Cである。
滑膜組織結合ペプチドは、上記に列挙したアミノ酸配列モチーフのいずれか1つから構成され得る。
ペプチドは、薬剤または診断剤に連結され得る。薬剤は好ましくは、抗炎症性、細胞増殖抑制性、細胞障害性または免疫抑制性化合物である。あるいは、薬剤は、抗炎症性、細胞増殖抑制性、細胞障害性または免疫抑制性特性を有するペプチドをコードする遺伝子であってもよい。診断剤は好ましくは、診断用撮像で使用するのに適している。かかる診断剤の例としては、放射線不透過性色素、蛍光色素および放射性核種が挙げられる。
薬剤または診断剤は、リンカー基を用いてペプチドに連結され得る。このリンカー基は、好ましくは当業者に理解されるように柔軟な基であり、好ましくはアミノ酸のさらなる伸張物(stretch)から構成される。リンカー基は、好ましくは適切な条件下で加水分解可能であり、その結果、薬剤または診断剤は、滑膜標的の領域においてペプチドから開放され得る。
本発明のペプチドは、滑膜組織へ優先的に局在化することが可能である。これらのペプチドは、一般的な滑膜関節症状を伴う疾患、例えばリウマチ疾患の治療のための部位特異的送達系を創出するのに使用され得る。ペプチドは、標準的な液相または固相ペプチド合成技法を用いて調製され得て、他の剤(例えば薬剤または診断剤)を部位特異的に送達させる目的で、他の剤に連結させることができる。かかる戦略により、滑膜以外の組織に対する薬剤または診断剤の作用に起因する副作用を許容可能なレベルに維持しながら、より高い全身用量の薬剤または診断剤を使用することが可能となる。
滑膜MVEへ局在化する能力の結果として、ペプチドはまた、滑膜の領域における炎症性細胞の蓄積を阻害することにより固有の治療的潜在性を有し得る。有効用量範囲のペプ
チドは、標準的な技法を用いて当業者により容易に決定され得る。好ましくは、有効用量範囲は、およそ0.005mg/kg〜およそ5mg/kg(体重)、より好ましくはおよそ0.5mg/kg〜およそ5mg/kg(体重)の範囲で変化し得る。好ましくは、本発明のペプチドは、静脈内投与により送達される。
したがって、別の態様では、本発明は、治療において使用するための上述のペプチドを提供する。
さらなる態様では、本発明は、炎症性関節症および/または変性関節症の治療または予防用の薬物の調製における上述のペプチドの使用を提供する。
本発明はまた、別の態様では、炎症性関節症および/または変性関節症の診断用の組成物の調製における上述のペプチドの使用を提供する。
本発明のペプチドはまた、標準的なスクリーニング技法を用いて特異的滑膜リガンドを同定するのに使用され得る。いったん滑膜リガンドが同定されれば、治療標的として滑膜リガンドを使用することが可能であり得る。
さらに別の実施形態では、本発明は、上述のペプチドを含む薬学的または診断用組成物を提供する。本発明の薬学的または診断用組成物は、任意の薬学的に許容可能なキャリア、アジュバントまたは賦形剤と共に本発明の1つまたは複数のペプチドを含む。本発明の薬学的組成物で使用され得る薬学的に許容可能なキャリア、アジュバントおよび賦形剤としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の薬学的または診断用組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、あるいは植え込みリザーバを介して投与され得る。好ましくは、薬学的または診断用組成物は、注射により非経口的に投与される。本発明の薬学的または診断用組成物は、任意の従来の無毒性の薬学的に許容可能なキャリア、アジュバントまたは賦形剤を含んでもよい。非経口という用語は、本明細書中で使用する場合、皮下、皮内、静脈内、筋内、関節内、滑膜内、胸骨内、鞘内、病変内および頭蓋内注射または注入技法を包含する。
薬学的または診断用組成物は、滅菌注射可能調製物の形態で、例えば滅菌注射可能水性または油性懸濁液として存在し得る。この懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween80のような)および沈殿防止剤を用いて、当該技術分野で既知の技法に従って配合され得る。滅菌注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であってもよい。使用され得る許容可能な賦形剤および溶媒には、マンニトール、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油は、溶媒または懸濁用媒質として従来通り使用され得る。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激不揮発性油が使用され得る。オレイン酸のような脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、薬学的に許容可能な天然油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油)、特にそれらのポリオキシエチル化誘導体である場合に、注射可能物質の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば
、Ph.Helvまたは類似のアルコール)を含んでもよい。
本発明の薬学的または診断用組成物は、カプセル、錠剤ならびに水性懸濁液および溶液を含む(これらに限定されない)任意の経口的に許容可能な投薬形態で経口投与され得る。経口用途用の錠剤の場合では、一般に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤もまた通常添加される。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口投与される場合、有効成分を乳化剤および沈殿防止剤と組み合わせる。望ましい場合、ある特定の甘味剤および/または風味剤および/または着色剤を添加してもよい。
本発明の薬学的または診断用組成物は、鼻エーロゾルまたは吸入により投与され得る。かかる組成物は、薬学的配合の技術分野で既知の技法に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または当該技術分野で既知の他の可溶化剤または分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
組成物は、特に非経口投与に関する場合、好ましくはリポソームとして配合される。リポソームは好ましくは、1つまたは複数の天然物、好ましくは天然のリン脂質(例えば、レシチンに見出されるもの)から構成される。ペプチドは好ましくは、リポソームの外部表面に存在し、滑膜組織特異性を付与するように使用される。
本発明はまた、別の態様では、上述のペプチドをコードする核酸配列を提供する。関連する態様では、本発明はまた、かかる核酸配列を含むベクター、およびかかるベクターで形質転換された細胞を提供する。また、関連する態様では、本発明のペプチドに結合することが可能な抗体またはその断片が提供される。
さらに別の態様では、本発明は、第1の動物種に由来する組織に結合することが可能なペプチドを同定する方法であって、
i)第1の動物種に由来する組織を、免疫学的応答が減衰した第2の動物種の被験体に移植するステップ、
ii)複数のペプチドを第2の種に導入するステップ、および
iii)第2の種内でのペプチドの局在化を確定するステップ
を含む方法を提供する。
本方法により使用される第1の種および第2の種は、互いに異なる。
本方法の好ましい実施形態では、ペプチドは、バクテリオファージのコートタンパク質との融合タンパク質の形態で第2の種に導入される。バクテリオファージは、好ましくはM13ファージである。コートタンパク質は、好ましくはpIIIである。かかる融合タンパク質は、参照文献22〜24に記載される方法論を適用することにより得られ得る。
本発明の方法で使用するためのペプチドは、ペプチドの分子内環化を促進することが可能なアミノ酸対を包含してもよい。対の成員は、好ましくはペプチドの反対の末端側に位置し、より好ましくはペプチドの反対の末端に位置する。ペプチドの環化は、ペプチドの一部またはペプチド全体の環化を包含する。好ましくは、ペプチド全体が環化する。対は、好ましくはCとC、CとMまたはMとMである。ペプチドは、ランダムin vitro合成により生成され得る。
ペプチドがバクテリオファージのコートタンパク質との融合タンパク質の形態で導入さ
れる方法の実施形態では、ペプチドは好ましくは、バクテリオファージの複製により生成され、ペプチドをコードする核酸配列は、バクテリオファージゲノムにあらかじめ挿入されている。この様式でのペプチドの生成に適した方法論は、参照文献22〜24に見出すことができる。
動物種は、哺乳類、鳥類および爬虫類を含む、循環流動を有する任意の動物であり得る。好ましくは、動物種は哺乳類である。好ましくは、第1の動物種はヒトである。組織は、腸、皮膚、関節またはリンパ系組織であり得る。組織は好ましくは、滑膜組織を含む。第2の種は好ましくはげっ歯類であり、最も好ましくはマウスである。好ましくは、第2の種の被験体は、重篤複合免疫不全疾患を有する。
本発明の方法は、特異的な組織型にターゲッティングすることが可能なペプチドを迅速に同定することを可能にする。したがって、上記方法は、疾患プロセスが主として特定の器官に局在化する各種症状を治療するため、あるいは該各種症状のための薬剤または診断剤を局在化させるのに有用なペプチドを同定するのに使用され得る。かかる症状の例としては、乾癬、炎症性腸疾患または悪性疾患が挙げられる。これらの症状それぞれにおいて、組織特異的血管決定因子(vascular determinant)の発現を支持する強力な証拠がすでに存在する。上記方法の新規な点は、ある1の種(例えば、ヒト)の標的が、第2の種に移植された生存組織において同定されるという事実にある。このことは、単にマウスへペプチドを注射し、さらに器官を分析するという従来技術の方法による標的の同定とは異なる。
本発明はここで、実施例を用いて、および添付の図面を参照してより詳細に記載される。
これらの実施例において、本発明者等は、ヒト/SCIDマウス移植モデルにおけるin vivoでの数サイクルの濃縮後にジスルフィドで拘束された7アミノ酸ペプチドファージディスプレイライブラリー(pep−PDL)から単離された新規滑膜ホーミングペプチドの同定を報告する。ヒト滑膜MVEに特異的なホーミング特性を有するペプチドが報告されたのははじめてである。治療薬/診断薬物質を滑膜へ濃縮することが可能なターゲッティングデバイスを構築するためのこれらのペプチドの使用は、関節疾患の治療において相当な影響を与え得る。
材料および方法
in vitroでのペプチドファージディスプレイライブラリー(pep−PDL)の検証
ストレプトアビジン特異的ペプチドファージのバイオパニングおよびシーケンシング。ジスルフィドで拘束された(ペプチドの各末端に隣接システインを有する7アミノ酸)環状M13ファージディスプレイライブラリー(Ph.D.C7C(登録商標)システム、New England Biolabs, Hitchin, UK)をこの研究全体にわたって使用した。ライブラリーは、供給される標準的な試薬を用いて、製造業者のストレプトアビジン/ビオチンパニング技法によりまず検証された。第3ラウンドのパニング後、10個のランダムに選択されたファージクローンからのDNAを、プライマー−96gIII(New England Biolabs)を用いたBigDye(登録商標)Terminator Cycleシーケンシングキット(Applied Biosystems, Warrington, UK)によりPCRした後に、ABI 377 DNAシーケンサーを用いてシーケンシングした。
ヒト/SCIDマウス移植モデルにおけるin vivoでの滑膜ホーミングペプチドの選択
SCID動物へのヒト組織移植。滑膜試料および皮膚試料は、倫理委員会(LREC
98年11月27日)により認可されたインフォームドコンセント後に、RAおよび変形性関節症(OA)患者から関節置換手術により得られた。Beige SCID C.B−17マウスを、これまでに記載されたように(34)、滑膜および皮膚組織を皮下的に一重移植または二重移植した。
滑膜特異的ファージのin vivo選択。滑膜ホーミングファージは、4〜6週齢でヒト組織を移植したSCIDマウスにおける3〜4サイクルの濃縮により単離された。移植の4週後に、pep−PDLライブラリー(生理食塩水最終容積200μL中に1×1011pfu)を、麻酔した動物の尾静脈に注射した。15分(in vivoでのファージ循環時間)後、深い/末期的な麻酔(Sagatal、5μg/マウス、Rhone Merieux, France)下で、生理食塩水およそ50〜100mLを用いて左心室を介してマウスを灌流させて、血液プールからファージを確実に取り除いた。次に、移植片および様々なマウス器官を摘出し、2つのアリコートに分割し、重量を測定し、必要に応じてファージ回収用および組織学的分析用に加工処理した。免疫組織学分析用に割り当てられたアリコートをOptimal Cutting Temperature化合物(OCT、Miles, CA)中に包埋し、液体窒素で冷却したイソペンタン(BDH)中で簡易凍結(snap frozen)して、分析するまで−70℃で保存した。ファージ回収用に使用されるアリコートはTBS(150mM NaCl、50nM トリス、pH7.4、Sigma, Poole, UK)中で3回洗浄された後、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を含有するTBS1ml中にホモジナイズさせた。しかしながら、図1bに示される試料のホモジネートはTBS中で5回以上洗浄されるためファージの回収が低下する。ファージは、0.1Mグリシン(pH 2.0)1.6mLで組織から溶出され、10分間インキュベートした後に、2M
トリス塩基36μLで中和した。溶出物中のファージ数を確定するために、各ラウンドの選択において、溶出物のタイトレーションした(tittered)三重試料を大腸菌宿主ER2737(New England Biolabs)とともに溶融LB寒天上層(7g/Lのアガロース、MgCl・6HO 1g、Sigma)に添加して、続いてIPTG/Xgal LB寒天プレート(50mg/L イソプロピルβ−D−チオガラクトシド、40mg/L 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、Kramel Biotech, Cramlington, UK)上に添加した。37℃で一晩インキュベートした後、青色プラークとして出現するペプチドファージを計数し、各組織に局在化しているファージの収率を確定した。滑膜移植片に関してのみ、溶出物の残りを、タイトレーションに関して上述するように、IPTG/Xgal LB寒天プレート上で個々のプラークとしてファージを培養することにより増幅した。LB培地中の寒天上層をホモジナイズして、遠心分離し、続いて上清をPEG/NaCl(3.3%ポリエチレングリコール8000/0.4M NaCl、Sigma)により沈殿させることにより、プラーク中の増幅ファージを寒天から回収した。ファージの得られたプールをTBS中に再懸濁させて、続くラウンドのin vivo選択における再注射用に、上述のようにタイトレーションした。さらに2または3サイクルのin vivo選択を実施して、滑膜特異性を強化させた。
ペプチドコードDNA挿入断片のシーケンシング。滑膜移植片に特異的にホーミングするファージにより表示されるペプチドをコードするDNA挿入断片の配列を、pep−PDLの検証に関して上述するようにして確定した。最終ラウンドのin vivo選択の後に30個のファージクローンの試料をランダムに採取し、シーケンシングした。配列の手動比較(manual comparison)によるアラインメントを行い、コンセンサスモチーフを同定した。
コンセンサスモチーフを表示する単一ファージクローンにおける滑膜ホーミング特異性の確認。コンセンサスモチーフを表示する1×1011pfu(生理食塩水最終容積200μL)の3つの単一ファージクローン(1.23、2.10および3.1)、またはstrep−クローン−1ファージ対照を、「滑膜特異的ファージのin vivo選択」
に記載するように、ヒト滑膜を移植した別個の動物に静脈内注射した。滑膜移植片に局在化する研究および対照クローンファージの数を、同セクションに記載したようにして確定した。
滑膜ホーミングペプチドのin vitro合成。上述のようにして同定されたコンセンサスモチーフを有するペプチドの幾つかは、ビオチン標識の組込みも可能である自動ペプチド合成機によってfMOC化学を用いて、Alta Biosciences (Birmingham University, UK)によりin vitroで合成された(37)。ペプチドは、逆相クロマトグラフィにより95%を上回る純度に調製され、2mg/バイアルのアリコートで凍結乾燥された。使用前に、ペプチドをDMSO(BDH)10μlLに可溶化し、0.1M酢酸アンモニウム(pH6.0、Sigma)中で4mg/mLの最終濃度に再構成した。
親3.1ファージクローンに対する、合成ビオチン化ペプチドCKSTHDRLCのヒト滑膜移植片への競合的局在化。SCIDマウスにヒト滑膜組織を移植して、漸増濃度のビオチン化CKSTHRDLC合成ペプチド(200μL用量容積中50、250および500μg/マウス)またはビオチン化CGTWSHPQC合成ペプチド対照の存在下あるいは非存在下で、1×1011pfuの3.1ファージクローンを、in vivo選択実験に関して記載したように静脈内注射した。対照は、1×1011pfuのstrep−クローン−1またはビオチンのみを注射した動物とした。15分の循環後、上述のように、マウスを灌流させて、移植片中のファージ数を確定した。組織学的分析を以下のように実施した。
免疫組織学的分析
M13−ファージの組織局在化の評価。M13コートファージタンパク質は、これまでに記載されたように(38)、標準的な二重免疫組織化学/蛍光により、全pep−PDL、プールされたファージクローンまたは単一ファージクローンのいずれかを予め注射した動物から摘出した移植片上で検出された。簡潔に述べると、アセトンで固定化した連続凍結切片(10μm)をまず抗M13 Mab(Pharmacia, Uppsala. Sweden)とともにインキュベートし、続いて蛍光顕微鏡下でベクターレッド基質(Novacastra Labs Ltd, Newcastle upon Tyne, UK)により可視化される間接的免疫アルカリホスファターゼ免疫組織化学(LSAB、Dako, Ely, UK)を行った。次に、切片をFITC結合ヒツジ抗ヒトフォンウィルブラント因子(vWf)(Serotec, Kidlington, UK)またはラット抗マウスCD31(クローン MEC13.3、Pharmingen, San Diego, CA)のいずれかで二重染色して、移植片内のヒト血管およびマウス血管を染色した。マウス抗アスペルギルス・ニガー(Aspergillus Niger)グルコースオキシダーゼ[IgG2a](Dako, UK)をアイソタイプが適合した未関連抗体として使用した。Olympus製のBX−60蛍光顕微鏡を用いて切片を検査した。
移植片内のヒト血管系およびマウス血管系の評価ならびに定量化。移植片の血管新生の程度を評価するために、ヒトおよびマウス内皮表面を、上述の種特異的抗ヒトvWfおよび抗マウスCD31抗体を用いた免疫組織化学により確定した。免疫染色したヒト血管およびマウス血管の容積分率(Vv)を、これまでに記載されたように(39)、顕微鏡によるポイントカウンティング法を用いて確定した。簡潔に述べると、移植片1つ当たり2個の免疫染色切片を、a×25対物レンズおよび長方形5×5接眼レンズの目盛り付きレンズを用いて徹底的に検査した。免疫染色した血管上に横たわる交差の分率を各顕微鏡野に関して確定し、移植片内の血管の平均Vvを、マウス血管分布、ヒト血管分布および合わせた血管分布に関して算出した。
ビオチン化ペプチドの移植片局在化の評価。ビオチン化CKSTHRDLC合成ペプチドの移植片局在化を、アルカリホスファターゼアビジンビオチン複合体(ABC−AP)
検出系(Dako, UK)を用いて評価し、ベクターレッド基質(Novacastra, UK)により可視化した。
統計学的解析。別記しない限り、結果は平均値+95%信頼区間として表される。非パラメトリック統計学的解析は、PC解析パッケージSigmaStat 2.0(Jandel Scientific)を用いて行った。最初に、非パラメトリックANOVAであるKruskal Wallis、または分散(variance)の一方向解析を使用した。Post−hoc有意性試験は、非パラメトリックデータに関してはDunnの多重比較検定を用いて、あるいはパラメトリックデータに関してはDunnett検定を用いて実施した。
結果
in vitroでのファージディスプレイの検証
ヒト/SCIDマウス移植モデルを用いたin vivo選択をする前に、製造業者の推奨に従ってストレプトアビジンに対するin vitroバイオパニングによりpep−PDLを検証した。10個のランダムに選択したクローン中のペプチドコードDNA挿入断片のシーケンシングにより、クローンはすべて、この分子に関して予測される予測配列である、G−X−F/Y/W−S/N−H−P−Q(ここで、Xは任意のアミノ酸を示す)を有するコンセンサスを示すことが解った(データは示していない)。特異的C−G−T−W−S−H−P−Q−Cペプチドを表示するこれらの実験に由来するクローン(strep−クローン−1ファージ)を研究全体にわたって対照として使用した。
ヒト/SCIDマウス移植モデルを用いた滑膜特異的ホーミングファージのin vivo選択
ヒト滑膜に対してホーミング特性を有するファージを、ヒト/SCIDマウス移植モデルにおいて多重サイクルのin vivo選択を実施して単離した。第1組の実験では、動物にヒトRA滑膜、および対照としての皮膚を二重移植して(2+2移植片/動物)、(1×1011pfuの)全ライブラリーまたはstrep−クローン−1対照ファージを注射した。15分の循環後、動物を屠殺して、滑膜移植片および皮膚移植片に、ならびにマウス腎臓(対照マウス組織)に局在化したファージ数を、上記材料および方法に記載したようにして確定した。さらに、滑膜移植片から回収されたファージを1×1011pfuに増幅させて、第2および第3の二重移植動物に再注射した。したがって、各ラウンドの選択では、pep−PDLは、ヒト滑膜組織または皮膚組織のいずれかに局在化することができる。図1bに示す結果は、特に第3ラウンドにおいて滑膜移植片から回収されたファージ数が有意に増加していることを示す。対比して、かかる濃縮は、皮膚移植片またはマウス腎臓では見られなかった。さらに、strep−クローン−1対照ファージは、3つの組織すべてにおいて局在化は同様に低レベルであった。ヒト滑膜のみを移植した(2移植片/動物)動物を用いて、濃縮サイクルを4ラウンドにした場合、同様の濃縮レベル(しかし、より大きな規模で)が観察された。この第2組の実験の結果を図1cに示す。ここでも、移植片から回収されたファージの漸進的濃縮は、第1ラウンドと比較して第4ラウンドにおいて600倍に顕著に増加することで認識することができる。
特異的ホーミングファージは滑膜微小血管内皮(MVE)へ特徴的に局在化する
滑膜移植片内のファージの解剖学的局在化を確定するために、M13コートタンパク質に関する免疫染色を、各ラウンドのin vivo選択後に屠殺させた動物から回収した移植片で実施した。第1および第2ラウンドからの移植片に関しては、穏やかなM13免疫反応性が見られた(データは示さず)のに対して、第3および第4ラウンドの選択からの移植片に関しては、血管中および血管周辺において強力な染色が示された。血管局在化は、抗体認識種特異的血管マーカーを用いた二重免疫蛍光で確認された。第4ラウンドの選択(図1cに示す同じ実験の組織アリコート)からの代表的な顕微鏡野を図2に示す。(a)では、特徴的なM13染色がはっきりと観察されるのに対し、アイソタイプが適合
した未関連抗体(c)は染色を示さない。最も重要なことは、M13染色は通常、抗ヒトvWf−FITCポリクローナル抗体で可視化されるヒト血管系と同時局在化することである(bおよびd)。対比して、抗マウスCD31−FITC二次抗体で検出される、移植片内の侵入(invading)マウス血管系とM13免疫反応性(e)との同時局在化は見られない(f)。さらに、滑膜ホーミングファージは、マウスCD31に関して明らかに陽性である糸球体毛細血管(h)において陰性M13染色により示されるように、マウス組織血管系に結合しない(g)。したがって、数サイクルのin vivoヒト滑膜移植片のターゲッティング後に、本発明者等は、ヒト滑膜に優先的に結合するが、マウスMVEまたはヒト皮膚には結合しない組織および種特異的ファージを単離した。
滑膜ホーミングファージは滑膜移植片のオリジナルの病理学(RA対OA)に関係なく、in vivoでのそれらの組織特異性を維持する
滑膜ホーミング特性が、滑膜の固有の特性に起因するか、あるいは疾患状態(例えば、RA対OA)に関連するかどうかを評価するために、最終ラウンドのin vivo選択(上述の第3および第4ラウンドの実験)から回収したプールクローンを、OAを有する患者から得た皮膚およびヒト滑膜で二重移植したSCID動物を用いたin vivoでの再循環研究で試験した。上述のように、等量のstrep−クローン−1ファージを対照動物に静脈内注射した。図3aおよび図3bに示すように、滑膜移植片から回収されたファージ数は、皮膚移植片から回収された数よりも有意に多かった。対比して、strep−クローン−1ファージを注射した動物では、皮膚および滑膜組織におけるファージ数が事実上同じであり、滑膜へのプールファージホーミングの数は非常に少なかった。優先的に滑膜移植片に局在化しているさらなる証拠が、免疫組織化学を用いて得られた。滑膜移植片では有意なM13ファージ染色が見られる(図3c)が、皮膚移植片では最小限の免疫反応性が見られるにすぎず(図3e)、陰性対照では染色は見られない(図3dおよび図3f)ことがわかった。したがって、これらの実験により、滑膜ホーミングファージは、種々の患者の滑膜の病理学的特徴に関係なく、それらの組織特異性を維持することが確認された。
滑膜ホーミング特性は、移植片のヒトまたはマウス血管新生の程度に無関係である
滑膜移植片への優先的局在化が、移植片をフィードする血管床が増加した結果であるという可能性を排除するために、ヒトおよびマウス血管系の総内皮表面積を、滑膜移植片および皮膚移植片の両方で確定した。図4aおよび図4bに見られるように、皮膚移植片は、滑膜と比較して内皮表面がわずかに増大していることがわかる。これは、移植片血管新生の程度が、滑膜移植片への滑膜ホーミングペプチドファージの優先的局在化の原因ではないことを示す。これらの移植片の組織アリコートからの代表的な免疫組織学的野を図4c〜図4fに示す。いずれの組織片においても、赤みがかった血管新生の相当の証拠が見られる(データは示さず)。
滑膜特異的ファージのペプチドコードDNA挿入断片の配列分析は、ホーミング特性の原因である特異的コンセンサスモチーフの濃縮を明らかにする
特異的コンセンサス配列が滑膜移植片に優先的にホーミングするファージにより示されるペプチドを濃縮しているかどうかを研究するために、30個のクローン(最終ラウンドの選択の3つの別個の実験からランダムに選択した)からのペプチドコードDNA挿入断片をシーケンシングした。挿入断片配列のアラインメントにより、幾つか別個の三重および四重ペプチドコンセンサスモチーフを同定する(図5a、図5bおよび図5c)。幾つかのクローンでは、幾つかの共有または重複三重ペプチドモチーフが見られた。例えば、クローン1.23では、HSSモチーフ(クローン1.30および2.6により共有される)が、それぞれ2.16および1.29に見られるSSAおよびSATモチーフと重複する。さらに、DRL(2.10、2.12および3.1)、およびTHSS(1.23および3.13)モチーフが、第3および第4ラウンドの選択の両方からの種々の実験か
ら回収されたクローンで同定された。
SCIDマウスに移植したヒト滑膜組織におけるin vivo選択から回収されたペプチド配列は以下の通りであった。
Figure 2005511017
Figure 2005511017
本発明者等は次に、これらのコンセンサスモチーフの幾つかを含有する別個のクローンが、プールクローンを用いた場合に見られる同じ滑膜特異性を維持するかどうかを検査した。3つのクローン(1.23、2.10および3.1)(各組の実験から1つ)を、ヒト滑膜を移植したSCIDマウスに静脈内注射した。図5dに示す結果は、対照strep−クローン−1ファージと比較して、滑膜移植片への試験クローンの局在化が有意に大きいことを示す。特に、強力に表されるDRLモチーフを含有するファージクローン3.1は、対照をおよそ10倍上回る増加を示した。したがって、この表示ペプチド(CKSTHRDLC)を有するファージクローンを以下の研究に用いることとした。
合成ペプチドCKSTHDRLCは、in vivoで滑膜ホーミング特異性を保持し、同じペプチドを表示する親ファージと、同族滑膜MVEリガンドに関して競合する
上述の候補ペプチドの幾つかが、オリジナルのファージに関係なく、滑膜移植片に特異的に局在化し、かつ親ファージの局在化を阻害する機能的能力を保持するかどうかを調べ
るために、ファージクローン3.1により発現される配列のビオチン化合成ペプチド(CKSTHRDLC)を作製した。未関連対照として、strep−クローン−1ファージ配列により表示されるペプチド(CGTWSHPQC)も合成した。(28)に基づいて、滑膜移植マウスに、用量範囲(50〜500μg/動物)のCKSTHDRLC合成ペプチドでプレインキュベートした1×1011pfuの3.1ファージクローンを注射した。対照として、上述と同じ用量範囲のCGTWSHPQC合成ペプチドを用いて実験を繰り返した。移植片ならびにマウス組織へ局在化するファージ数を上記方法で記載するようにして確定した。さらなる対照としては、1×1011pfuのstrep−クローン−1のみを注射した動物とした。結果を図6に示す。CKSTHDRLC合成ペプチド(a)は、用量依存的様式で、親3.1ファージクローンの移植片局在化を劇的に阻害する(最大用量では80%を上回る)ことが観察される。対比して、対照ペプチドは、3.1ファージクローンの移植片ホーミングの程度に対して有意な影響を与えない(b)。さらに、3.1ファージクローンは、strep−クローン−1対照よりも約9倍より多く移植片に局在化し、図5dに示すこれまでの実験結果を確認する。最後に、(c)および(d)では、マウス腎臓へのファージ3.1の局在化レベルを示す。このマウス器官への最小限の局在化(バックグラウンド)が見られるに過ぎず、これは研究ペプチドまたは対照ペプチドにより影響を受けないことが観察される。
本発明者等は次に、滑膜移植片内のCKSTHDRLC合成ペプチドの組織局在化を検査した。研究ペプチドおよび対照ペプチドの両方がビオチン化されているという事実を利用して、ベクターレッド基質により可視化されるアルカリホスファターゼ−ABC検出系を用いた免疫組織化学によりそれらを正確に検出することが可能であった。図7に示される結果は、ペプチドが滑膜移植片にin vivoで強力に局在化すること(a)、およびペプチドがFITC結合抗ヒトvWfを用いた二重染色により可視化されるようにヒト微小血管内皮に主として結合すること(b)を明らかにする。対比して、対照ペプチドを注射したマウスからの移植片では特異的免疫反応性は検出されない(e)が、ヒト血管ははっきりと観察され得る(f)。ABC−AP複合体で処理しなかった連続切片(それぞれcおよびg)は、FITC−vWf陽性血管が存在するにも関わらず染色を示さなかった(dおよびh)。
これらの実験により、3.1ファージの精巧な組織特異性および種特異性がさらに確認された。最も重要なことは、これらの実験により、遊離ペプチド自体が滑膜への特異的ホーミングに機能的であり、親3.1ファージが移植片MVEリガンドに結合するのを競合的に阻害することが可能であることが確認されたことである。
さらなる実践として、図5で示すペプチド配列を、それらの構成成分アミノ酸の官能基の化学的性質(無極性/疎水性、非荷電極性、塩基性または酸性)に基づいてアラインさせ、次の結果を得た。
RLP三重モチーフ(triple motif)関連配列
CHPRLPFAC
CAPNWRLPC
すなわち、C−RLP−C。
SPS三重モチーフ関連配列
CSPSPFRAC
CSPSRFDQC
CVSPSRTTC
すなわち、C−SPSRF−C。
HSS三重モチーフ関連配列
CPLSSAQRC
CTWSATSTC
CTHSSATQC
CHTHSSNLC
CPNHSSPHC
CADHSSRHC
CSDYSSRSC
すなわち、C−(T/D)HSS(A/R)(T/H)−C。
NQR三重モチーフ関連配列
CQTHNQRYC
CTNQRLAIC
すなわち、C−NQR−C。
DRL三重モチーフ関連配列
CKSTHDRLC
CPFHDRHSC
CHPSDRLSC
CDRLNHQFC
すなわち、C−HDRL−C。
ここで、C−、−Cは、それぞれ隣接システイン内のモチーフ前または後の、任意の型または数のアミノ酸を表す。
考察
in vivoファージディスプレイ選択によるヒト滑膜に特異的なホーミングペプチドの単離について本明細書中に記載してきた。ホーミングペプチドは、SCIDマウスに移植したヒト滑膜組織に優先的に局在化するファージに含有される、ペプチドコードDNA挿入断片のシーケンシングにより同定された。
かかる滑膜ホーミングファージは、滑膜組織のみを移植、または滑膜組織および皮膚組織を移植した動物における、多重サイクルの濃縮により単離された。この後者の研究設計は、各ラウンドの選択で、pep−PDLを一方のヒト組織へ局在化させた。したがって、皮膚移植片は、共通のヒト血管決定因子を認識するファージを吸収するための「シンク」として、及び組織特異性に関する対照として作用し得る。3ラウンドの選択の後、本発明者等は、滑膜移植片へ局在化するが、皮膚対照移植片へは局在化しないファージの有意な濃縮を観察した。同様に、腎臓を通過する循環容積が相当であるにも関わらず、このマウス組織では濃縮は観察されなかった。マウス腎臓から回収されたファージ数が、皮膚移植片のファージ数と同様であることもまた注目すべきことであり、これは結合のバックグラウンドレベルを表す可能性が高いことを示唆する。さらに、strep−クローン−1対照ファージは、同じ濃度で、3つの器官すべてに対して同様に低レベルで局在化した。これらの観察は、ヒト滑膜のみを移植した動物を用いる異なる組の実験において確認され、かつ第4ラウンドのin vivo選択に拡大された。第4ラウンドでの濃縮は、第1ラウンドの場合よりも600倍より多かった。したがって、これらの実験により、他のヒト(皮膚)またはマウス(腎臓)組織よりも滑膜移植片に優先的に局在化するin vivoファージを選択するために、ヒト/SCIDマウス移植モデルを使用することができる可能性が確認された。これは、「純粋な」マウス系を用いて報告されたもの(28)と類似している。本明細書中に記載するモデルの大きな利点は、当然のことながら、このモデルが、移植片により提示されるヒト組織決定因子に対してホーミング特異性を示すファ
ージを選択することが可能になることである。
次に、選択ファージの滑膜ホーミング特異性を、RAではなくOAを患う患者から得られた皮膚および滑膜で再び二重移植したSCID動物を用いて、in vivoでの再循環研究により再検査した。第3および第4ラウンドのin vivo選択後にRA滑膜移植片から回収されたファージクローンは、OA滑膜移植片に優先的にホーミングバック(homed back)したのに対して、対照ファージは、対照皮膚組織のベースラインレベルと同程度の穏やかな滑膜局在化を示した。これらの実験により、幾つかの方法で、単離滑膜ホーミングファージの組織特異性を支持する強力な証拠を示された。まず、これらの実験は、ホーミング特異性がかかるファージの安定な特徴(経時的に、かつ種々の実験において)であることを証明した。第2に、これらの実験は、優先的滑膜局在化がオリジナルの移植組織の疾患状態(RA対OA)に無関係であることを確認し、また器官特異性が個体発生的に確定されることを示唆し得る。第3に、これらの実験は、滑膜ペプチドファージと比較してstrep−クローン−1対照ファージの挙動の一貫したパターンに基づいて、特異的ホーミング特性がファージ構成成分ではなくペプチド自体により媒介されることを強力に示唆した。
この側面をさらに研究するために、本発明者等は、滑膜移植片から回収されたファージプールからランダムに選択した90個のファージクローンのペプチドコードDNA挿入断片の配列分析を実施した。これにより、特異的配列の濃縮が明らかとなった。得られた配列のアラインメントにより、いくつかの三重および四重ペプチドコンセンサスモチーフが同定された。三重ペプチドモチーフのいくつかは、2つ以上のクローンにおいて共有されていたか、かつ/または重複されており、2つ以上のモチーフを保有するクローンもあった。さらに、モチーフのいくつかは、2つ以上の実験で循環されることもわかった。したがって、コンセンサスモチーフが、異なる実験からの滑膜移植片から回収された、異なるファージクローンで見出されるという事実は、それらの発生がリガンド(複数可)媒介性選択プロセスに起因する可能性が高いことを示唆する。さらにこのことは、かかるモチーフが、特異的滑膜決定因子を認識する上で重要である可能性が高いことも示唆する。このことは、頻繁に出現するモチーフの代表として3つの個々のクローン(1.23、2.10および3.1)のホーミング特性を検査することによりさらに検証された。3つのクローンはすべて、strep−クローン−1ファージ対照と比較して滑膜移植片に対して有意に大きな局在化を示した。特に、DRLコンセンサスモチーフを含有する配列CKSTHDRLCを表示するクローン3.1は、対照に対しておよそ10倍の増加を示した。そこでこの配列を選択し、表示ファージに関係なく、ペプチド自体が滑膜移植片へのホーミング特性を保持するかどうかという疑問を直接検証した。合成ペプチドCKSTHDRLCは、in vivoで滑膜ホーミング特異性を維持することを示すだけでなく、より重要なことに、同族滑膜MVEリガンド(複数可)への親ファージの結合を競合的に阻害することを示した。
本明細書中に提示された研究から、滑膜リガンド(複数可)は、M13ファージの極度の同時局在化およびCKSTHDRLCペプチドの免疫反応性および移植片内のヒトMVEにより示唆されるように、MVEにより提示されることが仮定され得る。MVEリガンド(複数可)は依然として説明しにくい(elusive)滑膜特異的「アドレシン」である(17)可能性があるが、考慮すべき興味深い側面は、古典的なCAMではない組織特異的ホーミングに関与する分子について記載されていることである。例えば、特に他の組織に比較して肺においてin vivoでアクセス可能な膜ジペプチダーゼは、in vivoファージディスプレイにより同定される肺ターゲッティングペプチドの受容体である(40)。
滑膜ホーミングペプチドが組織特異的である(滑膜移植片に結合するが、皮膚移植片に
は結合しない)だけでなく、種特異的でもある(ヒト組織には結合するが、マウス組織には結合しない)ことも本明細書中で実証されている。したがって、これらのペプチドが、内皮細胞により普遍的に発現される「共通の」細胞接着決定因子に結合している可能性は低い。同様に、本発明者等がこれまで実証してきた、移植の4週間後の移植片血管系における分子(ICAM−1 VCAM−1およびE−セレクチンなど)のダウンモジュレーション(34)のように、滑膜リガンド(複数可)が炎症依存性内皮CAMであるという可能性は低い。これにより、免疫監視プロセスの基底再循環部分に関与すると考えられる、構成的に発現される決定因子を取り扱うことができるという魅力的な可能性が引き起こされる。別の可能性として、移植片の維持がマウス−ヒト吻合を形成する新規血管に依存することを考慮して、滑膜リガンド(複数可)が血管新生エピトープを表すことが挙げられる。しかしながら、滑膜ホーミングファージは、滑膜移植片と比較して新生血管形成の程度が同様またはわずかに高いことが示される対照皮膚移植片には結合しない。したがって、この基本に関する上記見解を説明するためには、腫瘍関連血管について仮定されているように(29、31)、滑膜血管新生の現象における組織特異性の要素を援用する必要がある。
ヒト滑膜MVEに特異的なホーミング特性を有するペプチドが報告されたのは本発明が最初である。これは、直接in vivoファージディスプレイ選択により、SCIDマウスへ移植されたヒト組織を標的とする新規アプローチにより達成された。かかるペプチドの同定により、それらのリガンド(複数可)の性質に関係なく、他の系で示されているように(31、41、42)、この組織に特異的に、直接的にあるいはリポソームを介して、薬剤または遺伝子ベクターを濃縮することが可能な関節特異的送達ツールを構築するために、これらの配列を使用する可能性が広げられる。同じSCID動物におけるRAおよびOA滑膜を含む多重器官移植片を用いたさらなる実験もまた、滑膜特異性をさらに確認するために実施され得る。
ファージディスプレイ技法の使用に関する特定の文献を参照して、本発明の方法について記載してきたが、本発明の方法はかかる技法に限定されず、かつペプチドは、それ自体で、またはマーカー分子に結合してin vivoでスクリーニングされ得る。ファージディスプレイを使用する主な利点は、単にファージディスプレイが、ペプチド自体の回収と本質的に同じ工程でペプチドを発現する核酸の回収を可能にすることである。さらに、上記方法は、滑膜組織以外の組織に特異的に結合することが可能なペプチドを同定するのに容易に使用され得る。これらの組織の起源は、必ずしもヒトである必要はない。
滑膜または非滑膜組織のマウスへの移植に関する適切な方法論は、ヒト末梢リンパ節(huPLN)を用いて実施される以下の実施例により説明される。
組織収集、調製、保存および移植。
大動脈傍体または頸部huPLNは、血管手術を必要とする患者から得られた。HuPLNは、正常のサイズおよび肉眼的外観であった。各リンパ節の試料を、移植研究で使用する前に規定どおりにH&E組織学用に加工処理して、正常な組織学的外観を有することを確認した。病院倫理委員会(LREC n 99年3月19日)により承認されたインフォームドコンセント後に手順を実施した。試料を2つに分割した。一方は免疫組織学に使用し、もう一方は移植に使用した。免疫組織学用に割り当てられた方を、Optimal Cutting Temperature化合物(OCT、Miles, CA)中に包埋し、液体窒素で冷却したイソペンタン(BDH)中で簡易凍結して、分析するまで−70℃で保存した。移植用に割り当てられたもう一方は、0.5cm片に切り出し、熱不活性化ウシ胎児血清(PAA Labs GmbH, Linz, Austria)中の20%DMSO(Sigma)中で凍結させ、移植するまで液体窒素中に保存した(Wahid et al. (2000). Clin. Exp. Immunol. 122, 133-142に記載されるように)。huPLNの試料を、手術の直前に液体窒素保存か
ら解凍して、生理食塩水で洗浄して、移植するまで氷上の生理食塩水で湿らせた滅菌ガーゼ中に保持した。Kings Collegeの生物設備において無病菌条件下で維持したBeige
SCID C.B−17(NOD/LtSz−scid/scid)マウスに、Dormitor(0.1mg/ml SKB)0.2mlおよびケタミン(0.1mg/ml
SKB)0.1mlをi.p.注射して麻酔をした。各SCIDマウス(4〜6週齢)の耳の後ろの背側の皮膚に小さな切開口を作製して、組織を皮下挿入した。傷を可溶性縫合材料(Ethicon)で閉じた。4〜5週後に、免疫組織学による遊走研究をする前に、組織移植が成功したかどうかを評価した。この特定のマウス株は、huPBLがマウスNK細胞の全身循環により死滅される可能性を最小限に抑えるために選択された。NOD/LtSz−scid/scidマウスは、特異的に繁殖して、TまたはB細胞を産生しないだけでなく、NK活性も有さない(しかし、これらの動物は非機能的NK細胞を保持する)。
移植片生存度の評価。
移植片生存度が、免疫組織化学分析または形態計測学的分析する前に、肉眼で、ならびにヘマトキシリンおよびエオシン染色したアセトン固定低温槽切片の顕微鏡法により評価された。壊死していると判断された移植片、または移植した組織以外の組織(例えば、マウス皮膚および筋肉)を含む移植片は研究から除外した。
移植片内のヒト血管系の評価。
ヒト血管系関連細胞接着分子(CAM)の保存を確認するために、また移植片のサイトカイン/ケモカイン刺激後のCAM発現の調整を評価するために、ヒトICAM1、VCAM1およびE−セレクチンの発現を、種特異的mAbおよび標準的な免疫組織化学技法を用いて、移植前および移植後に評価した。CAMの相対発現を、任意スケールの0〜4の染色強度を用いて定量化した。ここで、0は染色なしを示し、4は最大染色を示した。ヒト移植片血管系が依然として明白であり、移植片を浸潤するマウス血管系と接続したかどうかを確認するために、移植マウスにビオチン化抗ヒトICAM1またはビオチン化アイソタイプが適合した対照抗体(MOPC21)をi.v.注射した。10分後にマウスを屠殺し、移植片をOCT中に包埋させ、簡易凍結させた。次に、低温槽切片をアビジン−ビオチン−アルカリホスファターゼ複合体(ABC−AP)とともに30分間インキュベートし、続いて、ベクターレッド基質キットを用いて発色させた。続いて、ヒト血管を同定するために、したがって抗ICAM1および対照抗体の局在化部位を確定するために、切片をFITC結合抗ヒトVWFVIII(Serotec, UK)とともにインキュベートした。切片を水溶性注入液(aqueous mountant)(Immunofluor, ICN Ltd)中に封入し、UV蛍光顕微鏡で検査したた。
Figure 2005511017
Figure 2005511017
Figure 2005511017
Figure 2005511017
SCIDマウスへの移植の4週後の、ヒト滑膜移植片の肉眼的外観を示す。移植片は健常であるようであり、マウス血管が移植片をフィードしていることがわかる(矢印)。 ヒト滑膜に特異的なファージのin vivo選択。pep−PDL(1×1011pfu)を、ヒト滑膜および皮膚組織で二重移植した(2+2移植片/動物)SCIDマウスの尾静脈に注射した。注射の15分後に、心臓を通じてマウスを灌流させて、ファージを移植片およびマウス腎臓から回収した。滑膜移植片のみから回収したファージを増幅して、さらに2回の連続ラウンドの濃縮(enrichment)において再注射した。Strep−クローン−1ファージを陰性対照として使用した。二重(滑膜および皮膚)移植したSCIDマウスにおける3回の連続ラウンドのin vivo選択から回収されたファージ数(pfu/グラム(組織))を示す。マウス腎臓は、マウス対照組織として示される。エラーバーは、2回の別個の実験(n=2 動物/症状)からの三重プレートカウントからの平均標準偏差を示す。滑膜組織において濃縮ラウンド2および3で見られる差は、ラウンド1およびstrep−クローン−1ファージ対照と比較した場合に統計学的に有意である(ns P=0.48、**P=0.0004、***P<0.0001)。皮膚移植片、マウス腎臓における、およびstrep−クローン−1研究における連続ラウンドの濃縮では、有意な差が観察されない(P>0.05)(対のない両側t検定)。 ヒト滑膜に特異的なファージのin vivo選択。pep−PDL(1×1011pfu)を、ヒト滑膜のみで移植した(2移植片/動物)SCIDマウスの尾静脈に注射した。in vivo選択サイクルが4回にされた以外は、実験条件の残部は上記b)と同一とした。各連続ラウンドから回収されたファージ数(pfu/グラム(組織))を示す。エラーバーは、三重測定値(n=2 動物/症状)からの平均標準偏差を示す。濃縮ラウンド3および4で見られる差は、ラウンド1と比較した場合に統計学的に有意である(ns P=0.25、**P=0.0086、***P<0.0001)のに対して、strep−クローン−1対照では差が観察されない(P=0.055)(対のない両側t検定)。 特異的ホーミングファージが特徴的に滑膜移植片MVEへ局在化することを示す。各図において抗M13コートタンパク質抗体および種特異的血管マーカーを用いた免疫組織学により検出され、さらに蛍光顕微鏡により可視化された、滑膜移植片およびマウス腎臓内でのペプチドファージの組織学的局在化が示されている。第4ラウンドの選択(図1bに示す同じ試料の凍結組織アリコート)からの代表的な顕微鏡野を示す。(a)では別個のM13染色がはっきりと見られる一方で、アイソタイプが適合した未関連抗体は染色を示さなかった(c)。M13染色は通常、抗ヒトvWf−FITCポリクローナル抗体により可視化されるヒト血管系と同時局在化する(bおよびd)。しかしながら、M13免疫反応(e)は、抗マウスCD31−FITC二次抗体で検出される移植片内のマウス血管系と同時局在化を示さない(f)。同様に、同じ動物から採取されたマウス腎臓の切片は、マウスCD31に関しては明らかに陽性である糸球体毛細血管(h)において、M13免疫反応性を示さなかった(g)。スケールバー=50μm。 滑膜移植片から回収されたペプチドファージが、二重移植した動物におけるin vivoでの組織ホーミング特異性を維持することを示す。(a)では、第3ラウンドのin vivo選択からのプール滑膜ホーミングペプチドファージ(図1bに示すように単離された)を、変形性関節症(OA)を有する患者から得られたヒトの皮膚および滑膜で二重移植したSCIDマウスの尾静脈に注射した(1×1011pfu)。同濃度のstrep−クローン−1ファージを、未関連ファージ対照として使用した。15分の再循環後に滑膜移植片および皮膚移植片から回収されたファージ数(pfu/グラム(組織))を示す。エラーバーは、反復実験からの三重プレートカウントからの平均標準偏差を示す。滑膜ホーミングペプチドを注射した動物における皮膚移植片から回収されたファージ数と、滑膜移植片から回収されたファージ数とを比較すると非常に有意な統計学的差異が見られる(***P<0.0002)(対のない両側t検定)。これを滑膜移植片または皮膚移植片のいずれかから回収されたstrep−クローン−1ファージの数と比較した場合に、同様の差が見られた。strep−クローン−1ファージの数と皮膚片から回収された滑膜ホーミングファージの数には有意な差が見られない(P=0.21)(対のない両側t検定)。(b)では、第4ラウンドのin vivo選択からのプール滑膜ホーミングファージ(図1cに示すように単離された)を、上述のように二重移植したSCIDマウスの尾静脈に注射した(20×10pfu)。その他の実験条件も(a)と同様にした。再び、上記(a)に記載したような、滑膜に対するファージの特異的局在化が見られた(***P<0.0001)(対のない両側t検定)。 (b)で示した実験からの凍結移植片検体を免疫組織学により分析して、組織移植片に対するM13ファージの局在化のレベルを示した(c〜f)。滑膜移植片ではかなりのM13染色が見られる(c)が、移植皮膚では最小限のM13免疫反応性が見られるにすぎない(e)ことが観察され得る。対照は、バックグラウンド染色のみを示す(dおよびf)。スケールバー=50μm。 ヒトおよびマウス移植片血管分布像の程度を示す。図3aおよび図3bに記載する試料の凍結組織アリコートにおける血管新生の程度が、種特異的抗ヒトvWfおよび抗マウスCD31抗体を用いたヒトおよびマウス血管内皮の染色による免疫組織化学により確定された。免疫染色したヒトおよびマウス血管の容積分率(Vv)は、上記方法で記載したように、ポイントカウンティング法を用いて顕微鏡で確定された。エラーバーは、3回のカッティングレベルからの平均標準偏差を示す。両実験によって、皮膚移植片と比較して、滑膜においてわずかではあるが、内皮面積が有意に低い。これは、ヒト血管系(cでは**P=0.0043およびdでは**P=0.003)およびマウス(cでは**P=0.001およびdでは**P=0.046)血管の両方に当てはまる(対のない両側t検定)。 抗ヒトvWf(cおよびe)および抗マウスCD31(dおよびf)で染色した滑膜(cおよびd)および皮膚移植片(eおよびf)の代表野を示す。スケールバー=50μm。 滑膜ホーミングファージのペプチド挿入断片配列分析および候補ペプチドを表示するファージクローンのin vivoホーミング特性を示す。個々の3回の実験それぞれの最終ラウンドのin vivo選択から得られる、ランダムに選択した30個の滑膜ホーミングファージクローンからのペプチド挿入断片を、上記材料および方法に記載したようにシーケンシングした。得られた配列のアラインメントならびに実験内および実験間の多重比較により、コンセンサスモチーフを同定した。個々の実験に関して、コンセンサスモチーフを示すクローンの完全ペプチド配列を示す(a、bおよびc)。下線を付したアミノ酸は、多重重複モチーフ領域を含有する幾つかのクローンを有する候補モチーフを示した。括弧内には、異なるクローンにおける同じモチーフの出現を示す(本文も参照)。 高いコンセンサスモチーフの出現を伴う3つの個々のクローン(3.1、1.23および2.10)を増幅して、ヒト滑膜を移植した(2移植片/動物)SCIDマウスに再注射した(1×1011pfu)。同濃度のstrep−クローン−1ファージを未関連ファージ対照として使用した。15分の再循環後に、マウスを灌流させて、移植片中のファージ濃度を確定した。エラーバーは、三連プレート読み取り(n=2 動物/症状)からの平均標準偏差を示す。strep−クローン−1ファージを注射したマウスと、候補ファージクローンを注射したマウスの滑膜移植片から回収されたファージ数とを比較すると、非常に有意な統計学的差異が見られる(***P<0.0001)(対応のない両側t検定)。 合成ビオチン化ペプチドCKSTHDRLCが、in vivoで滑膜移片に特異的に局在化し、かつオリジナルのペプチドファージと同族組織リガンドに関して競合することを示す。ヒト滑膜組織を移植した(2移植片/動物)SCIDマウスに、3つの用量群(200μL用量容積中50、250および500μg/マウス)のビオチン化CKSTHRDLC合成ペプチド(a)、または同用量のビオチン化CGTWSHPQC合成ペプチド対照(b)と共に、あるいは単独で、1×1011pfuの3.1ファージクローンを静脈内注射した。同濃度のstrep−クローン−1ファージを未関連ファージ対照として使用した。15分の循環後に、動物を屠殺して、上記材料および方法で記載したように移植片ならびにマウス腎臓(cおよびd)中のファージ数を確定した。エラーバーは、三連プレート読み取り(n=3 動物/用量群)からの平均標準偏差を示す。CKSTHDRLC合成ペプチド(a)は、用量依存様式で親3.1ファージクローンの移植片局在化を劇的に阻害する(最大用量では80%を上回る)ことがわかる。対比して、対照ペプチドは、3.1ファージクローンの移植片ホーミングの程度に対して有意な影響を与えない(b)(***P<0.0001、P<0.05)(対のない両側t検定)。 マウス腎臓から回収されたファージ数における種々の群間では差が観察されなかった(P=0.05)(対応のない両側t検定)。 ビオチン化CKSTHDRLCペプチドの組織学的分布により、滑膜移植片におけるin vivoでのヒト血管への局在化を示す。図6に記載した試料の凍結組織アリコートを、ベクターレッドで可視化されるアルカリホスファターゼABC検出系を適用させた免疫組織学により分析した。次に、切片を、抗ヒトvWf−FITCで二重染色した。3.1ファージクローンおよびビオチン化CKSTHDRLC合成ペプチド(500μg/マウス)を注射したマウスからの移植片は明らかに、ヒト血管系と同時局在化する特異的免疫反応性を示す(aおよびb)。ABC−APを連続切片から除外した場合には、染色は検出されない(c)が、ヒトvWF−FITC陽性血管は存在する(d)。3.1ファージクローンおよびビオチン化CGTWSHPQC合成対照ペプチド500μgを注射したマウスからの移植片にABCを適用させると、特異的免疫反応性は示されず(e)、血管が存在するにもかかわらず、制御ペプチドは移植片に局在化しない(f)ことがわかる。また、連続切片の場合では染色は検出されない(g)が、ヒトvWf−FITC陽性血管が存在する(h)。スケールバー=50μm。

Claims (44)

  1. RLP、SPS、HSS、LSS、TWS、YSS、NQR、DRLまたはDRHを含むアミノ酸配列モチーフを含む滑膜組織結合ペプチド。
  2. 前記モチーフはSPSRFを含む、請求項1に記載のペプチド。
  3. 前記モチーフは、(TまたはD)HSS(AまたはR)(TまたはH)を含む、請求項1に記載のペプチド。
  4. 前記モチーフはHDRLを含む、請求項1に記載のペプチド。
  5. 前記モチーフはHPRLPFAを含む、請求項1に記載のペプチド。
  6. 前記モチーフは、前記ペプチドの分子内環化を引き起こすことが可能なアミノ酸を包含する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチド。
  7. 前記対は、CとC、CとMまたはMとMである、請求項6に記載のペプチド。
  8. 前記モチーフはCHPRLPFACである、請求項7に記載のペプチド。
  9. 前記モチーフはCKSTHDRLCである、請求項7に記載のペプチド。
  10. 前記モチーフは環化される、請求項6〜9のいずれか一項に記載のペプチド。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のアミノ酸配列モチーフから構成されるペプチド。
  12. 薬剤または診断剤に連結される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のペプチド。
  13. 前記薬剤は、抗炎症性、細胞増殖抑制性、細胞障害性または免疫抑制性化合物である、請求項12に記載のペプチド。
  14. 前記薬剤は遺伝子である、請求項12に記載のペプチド。
  15. 前記診断剤は、診断用撮像で使用するのに適している、請求項12に記載のペプチド。
  16. 治療において使用するための、請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチド。
  17. 炎症性関節症および/または変性関節症の治療または予防用の薬物の調製における、請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチドの使用。
  18. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドを含む、薬学的または診断用組成物。
  19. リポソームとして調製される、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記ペプチドは、前記リポソームの少なくとも外部表面上に存在する、請求項19に記載の組成物。
  21. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸配列。
  22. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチドに結合することが可能な抗体またはその断片。
  23. 第1の哺乳類種に由来する組織に結合することが可能なペプチドを同定する方法であって、
    i)前記第1の哺乳類種に由来する前記組織を、免疫学的応答が減衰した第2の種の被験体に移植するステップ、
    ii)複数のペプチドを前記第2の種に導入するステップ、および
    iii)前記第2の種における前記ペプチドの局在化を確定するステップ
    を含む方法。
  24. 前記ペプチドは、バクテリオファージのコートタンパク質との融合タンパク質の形態で前記種に導入される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記バクテリオファージはM13ファージである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記コートタンパク質がp111である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記ペプチドは、該ペプチドの分子内環化を引き起こすことが可能なアミノ酸の対を両端側に配置している、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記対は、CとC、CとMまたはMとMである、請求項27に記載の方法。
  29. 前記ペプチドは、in vitro合成でランダムに生成される、請求項23に記載の方法。
  30. 前記ペプチドは、前記バクテリオファージの複製により生成され、前記ペプチドをコードする核酸配列は、前記バクテリオファージゲノムにあらかじめ挿入されている、請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記第1の哺乳類種はヒトである、請求項23〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記組織は滑膜組織を含む、請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記第2の種はマウスである、請求項23〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記第2の種の被験体は重症複合免疫不全疾患を有する、請求項23〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 上記に列挙した1つまたは複数のペプチド。
  36. PC3 2.10 CDRLNHQFC
    PC4 1.1 CKSTHDRLC
    PC3 1.23 CTHSSATQC
    のうちの1つを有するペプチド。
  37. 炎症性関節症および変性関節症の治療に使用するための上記に列挙した配列のうちの1つを有するペプチド。
  38. 細胞障害性薬剤または遺伝子に連結される、請求項35または36に記載のペプチド。
  39. リポソーム製剤中の、請求項35または36に記載のペプチド。
  40. 画像診断剤に結合される、請求項35または36に記載のペプチド。
  41. 請求項35または36に記載のペプチドを含有する、薬学的または診断用組成物。
  42. 静脈内投与するための、請求項41に記載の薬学的組成物。
  43. 静脈内投与による0.5〜5mg/Kg(体重)を含む、請求項42に記載の薬学的組成物。
  44. 炎症性関節炎(関節リウマチ、乾癬性関節炎、セロネガティブ関節症を含む)の治療方法であって、請求項35または36に記載の1つまたは複数のペプチドを投与することを含む方法。
JP2003525021A 2001-09-05 2002-09-04 ホーミングペプチド Pending JP2005511017A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB0121499A GB0121499D0 (en) 2001-09-05 2001-09-05 Homing peptides
GB0217894A GB0217894D0 (en) 2002-08-01 2002-08-01 Homing peptides
PCT/GB2002/004017 WO2003020751A2 (en) 2001-09-05 2002-09-04 Homing peptides

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005511017A true JP2005511017A (ja) 2005-04-28

Family

ID=26246515

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003525021A Pending JP2005511017A (ja) 2001-09-05 2002-09-04 ホーミングペプチド

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20050100555A1 (ja)
EP (1) EP1423412A2 (ja)
JP (1) JP2005511017A (ja)
CN (1) CN1575299A (ja)
CA (1) CA2459796A1 (ja)
WO (1) WO2003020751A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015076355A1 (ja) * 2013-11-22 2015-05-28 株式会社Molcure 標的分子に結合するポリペプチドの決定方法及び決定システム
KR20210077261A (ko) * 2019-12-17 2021-06-25 (주) 수파드엘릭사 아릴 탄화수소 수용체의 활성을 억제하는 폡타이드 및 이를 이용하는 화장료 조성물

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2270027B1 (en) * 2003-08-08 2012-10-03 ACTGen, Inc. Polypeptides having brain-localizing activity and uses thereof
WO2005120585A1 (en) 2004-06-04 2005-12-22 Case Western Reserve University Dual function polymer micelles
CN102558334B (zh) * 2004-09-07 2016-08-03 伯纳姆研究院 选择性锚定到心脏脉管系统上的肽和相关结合物和方法
ES2394035T3 (es) * 2008-04-07 2013-01-15 Auburn University Métodos para inmunocontracepción específica para ciertas especies de animales
US10130736B1 (en) 2010-05-14 2018-11-20 Musculoskeletal Transplant Foundation Tissue-derived tissuegenic implants, and methods of fabricating and using same
US9352003B1 (en) 2010-05-14 2016-05-31 Musculoskeletal Transplant Foundation Tissue-derived tissuegenic implants, and methods of fabricating and using same
US8883210B1 (en) 2010-05-14 2014-11-11 Musculoskeletal Transplant Foundation Tissue-derived tissuegenic implants, and methods of fabricating and using same
US8834928B1 (en) 2011-05-16 2014-09-16 Musculoskeletal Transplant Foundation Tissue-derived tissugenic implants, and methods of fabricating and using same
US8623377B2 (en) * 2011-06-29 2014-01-07 University Of Maryland, Baltimore Joint-homing peptides and uses thereof
BR112015002427A2 (pt) 2012-08-06 2017-07-04 Koninklijke Philips Nv aparelho de tratamento da pele para tratar a superfície da pele e método de tratamento da superfície da pele
US11559580B1 (en) 2013-09-17 2023-01-24 Blaze Bioscience, Inc. Tissue-homing peptide conjugates and methods of use thereof
CA3177726A1 (en) 2015-05-21 2016-11-24 Musculoskeletal Transplant Foundation Modified demineralized cortical bone fibers
CA2994865A1 (en) 2015-09-09 2017-03-16 Fred Hutchinson Cancer Research Center Cartilage-homing peptides
CN110475565A (zh) 2017-03-16 2019-11-19 光明之火生物科学公司 软骨归巢肽缀合物及其使用方法
KR20240029316A (ko) * 2022-08-26 2024-03-05 경희대학교 산학협력단 활막 표적화 화합물 및 이의 용도

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999063084A1 (fr) * 1998-05-29 1999-12-09 St. Marianna University School Of Medicine Sequences de recepteurs d'antigenes de lymphocytes t specifiques d'arthrosis deformans
US6303573B1 (en) * 1999-06-07 2001-10-16 The Burnham Institute Heart homing peptides and methods of using same

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015076355A1 (ja) * 2013-11-22 2015-05-28 株式会社Molcure 標的分子に結合するポリペプチドの決定方法及び決定システム
JPWO2015076355A1 (ja) * 2013-11-22 2017-03-16 株式会社Molcure 標的分子に結合するポリペプチドの決定方法及び決定システム
JP2019068837A (ja) * 2013-11-22 2019-05-09 株式会社Molcure 標的分子に結合するポリペプチドの決定方法及び決定システム
KR20210077261A (ko) * 2019-12-17 2021-06-25 (주) 수파드엘릭사 아릴 탄화수소 수용체의 활성을 억제하는 폡타이드 및 이를 이용하는 화장료 조성물
KR102351515B1 (ko) * 2019-12-17 2022-01-14 (주)수파드엘릭사 아릴 탄화수소 수용체의 활성을 억제하는 폡타이드 및 이를 이용하는 화장료 조성물
JP2023507728A (ja) * 2019-12-17 2023-02-27 スパドエリクサー インコーポレイテッド アリール炭化水素受容体の活性を抑制するペプチド及びこれを用いる化粧料組成物
JP7422431B2 (ja) 2019-12-17 2024-01-26 スパドエリクサー インコーポレイテッド アリール炭化水素受容体の活性を抑制するペプチド及びこれを用いる化粧料組成物

Also Published As

Publication number Publication date
CA2459796A1 (en) 2003-03-13
WO2003020751A2 (en) 2003-03-13
EP1423412A2 (en) 2004-06-02
US20050100555A1 (en) 2005-05-12
CN1575299A (zh) 2005-02-02
WO2003020751A3 (en) 2003-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005511017A (ja) ホーミングペプチド
Lee et al. Identification of synovium‐specific homing peptides by in vivo phage display selection
US5622699A (en) Method of identifying molecules that home to a selected organ in vivo
US6296832B1 (en) Molecules that home to a selected organ in vivo
JP6181375B2 (ja) IL−1raの凝集を低下させる方法
DE69838544T2 (de) Isolierung von gewebespezifischen peptidliganden und ihre verwendung zur ausrichtung von pharmazeutika auf zielorgane
ES2525669T3 (es) Inhibidores de la vascularización
RU2582247C2 (ru) Ингибиторы апоптоза и их применение
KR20010042364A (ko) 성숙 FLINT(mFLINT) 폴리펩타이드 또는 TNF수용체인 OPG3의 치료학적 용도
KR20140026399A (ko) 무증상 뇌 허혈 및 다른 기관의 허혈 치료용 인자 xii 억제제
CN113597304A (zh) 原发性中枢神经系统淋巴瘤的组合治疗
FI121959B (fi) Aivokasvaimiin hakeutuva peptidi
EP1572168B1 (en) Anti-infarction molecules
US7408028B2 (en) Peptides, antibodies thereto, and their use in treatment of central nervous system, damage
US20240226306A1 (en) Trem-2/dap-12 inhibitors for treating lung disease and injury and combinations thereof
EP1501535A1 (en) Antagonists of megalin or cubilin for use in preventing organ damage induced by therapeutic agents
US7345018B2 (en) Method of treating side effects induced by therapeutic agents
JP2006516024A (ja) α1β1インテグリンの誘導性リガンドおよび使用
US6743892B1 (en) Molecules that home to a selected organ in vivo
JP5924611B2 (ja) 造血細胞移植に伴う生着症候群の予防及び/又は治療のための医薬
AU2002321602A1 (en) Homing peptides
US5674493A (en) Compositions and methods for targeting cells with A2R and A2R monoclonal antibodies
DE19845434C1 (de) Gewebebindende Peptide, ihre Identifizierung, Herstellung und Verwendung
US20060149034A1 (en) Homing peptides to receptors of heart vasculature
HK1083202B (en) Anti-infarction molecules