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JP2005504561A - 蛍光寿命分光計(fls)および病変組織の検出方法 - Google Patents

蛍光寿命分光計(fls)および病変組織の検出方法 Download PDF

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JP2005504561A JP2002568972A JP2002568972A JP2005504561A JP 2005504561 A JP2005504561 A JP 2005504561A JP 2002568972 A JP2002568972 A JP 2002568972A JP 2002568972 A JP2002568972 A JP 2002568972A JP 2005504561 A JP2005504561 A JP 2005504561A
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メアリー−アン マイセク,
イーサン ドミトロフスキー,
ジョナサン ピッツ,
Original Assignee
トラスティーズ・オブ・ダートマウス・カレッジ
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Abstract

本発明は、選択されたスペクトルバンドに対する完全蛍光発光スペクトルおよび一時的減衰を、1秒より短いデータ取得時間内に同時に収集する方法と装置に関する。本発明は、生体内でのヒト組織および細胞の研究に有用である。

Description

【0001】
緒言
本発明の研究は、その一部が米国国立科学財団(グラントNo.BES−9977982)からの助成金により支援されており、米国政府は本発明に一定の権利を有する可能性がある。
【技術分野】
【0002】
本発明は、1秒以内のデータ取得時に同時に、完全蛍光発光スペクトルおよび、選択されたスペクトルバンドの一時的減衰(transient decay)を収集するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
レーザー誘起蛍光分光計測は、細胞や組織などの複雑な生体系において、疾病の初期の証拠に付随する生化学的、形態学的変化を精査するために用いられており、これにより生体内の非侵襲的診断が導かれる可能性がある。一旦診断がつけばそのような組織は疾病の初期の段階で治療することができ、癌などの、往々にして関連する罹患率または死亡率を有する臨床的に明白な疾病の発症リスクを、減少させる、または防ぐことができる。
【0004】
定常状態蛍光分光計測は、癌および前異常増殖(pre-neoplasia)(前癌)を生体内にて検出するための非侵襲的手段として研究されてきた。組織の蛍光分光計測においては、コラーゲン、エラスチン、NADPH、およびトリプトファンなどの内因性の生体蛍光団(蛍光分子、フルオロフォア)を精査するために光線が用いられる。組織は不均一な媒体であるため、生体内で計測される蛍光信号は組織の形態、光学的吸収もしくは散乱特性、および局所的生化学を反映する。これらの信号は、組織のミクロな環境および病気についての詳細な情報を、非侵襲的な方法で提供する。蛍光分光計測は光ファイバープローブを用いて行うため、この技術は最小限の侵襲的方法と互換性があり、内視鏡やカテーテルにてアクセスできる身体内部の部位の光学的検出を可能にしている。米国特許6,062,591は、レーザーにより蛍光を励起しつつ、内視鏡を通して組織を照明するための白色光源としてストロボスコープを用いた、蛍光観察による悪性組織の診断のための形態および方法を開示している。米国特許5,377,676は、蛍光分光計測を用いて物質の生体分布を決定する方法を開示している。米国特許5,208,651は、複数波長において蛍光強度を測定する装置および方法を開示している。
【0005】
しかしながら、上述のスペクトル分解蛍光計測は、臨床に導入するのは比較的簡単で診断に有用な情報を提供するように見える一方で、定常状態スペクトル技術に固有の一定の限界が存在する。さらに、スペクトル分解計測は本質的に強度に依存するため、実験システムの光学的ロスまたは複合媒体の光学的吸収による強度の変化は、定常状態発光スペクトル線の形(lineshape)に予測不可能で定量不可能な影響を及ぼす可能性がある。組織でのヘモグロビン吸収に起因する強度のロスは生体内で定常的に観察されるため、これは蛍光分光計測を生体内に応用する際に考慮すべき、重要な限界である。
【0006】
スペクトル分解蛍光計測に関する限界は、これら定常状態計測は発光蛍光信号を時間について積分するという事実から生じており、そのため蛍光減衰のダイナミクス(動力学)を無視し、もう一つの情報の次元を失っている。時間分解技術は、時間における蛍光強度の一時的減衰をとらえ、それは、発光に寄与する内因性の蛍光団強度の相対濃度および寿命を反映する。分子振動および非放射性緩和(non-radiant relaxation)によるバンドの広がりのため、生体分子の蛍光発光スペクトルはやや特徴に乏しく、そのため、局所的な生化学的変化に対して比較的感度が低い可能性がある。放射性および非放射性の減衰機構の両方に依存する蛍光団の寿命は、局所的な生化学的環境に対して非常に感度が高く、pHおよび酸素添加(oxygenation)によって変化することが知られており、それらの変化は共に、病変細胞と正常細胞とで異なっている。これはNADHについて明示的に示されており、水溶液中におけるミトコンドリアNADHとNADHの平均寿命には、約6倍のファクターの違いが見出された。さらに、蛍光団の寿命は励起強度の変化またはヘモグロビン吸収による光学的ロスの変化によっては変化しないため、時間分解計測は強度に非依存的である。
【0007】
最近まで、時間分解蛍光分光計測は、動脈硬化性プラークや悪性腫瘍等、組織検体の生体外診断にのみ用いられてきた。これら初期の計測は、ピコ秒単位の持続時間の非常に短いレーザーパルスを励起に用い、そのため、レーザー研究室内の定常的な環境の外においては操作が困難となるであろう、大型のレーザーシステムに依存していた。比較的弱い蛍光発光特性のため、計測は非常に感度の高い光電子倍増管および時間相関単一光子計測法を用いて行われたため、非常に時間がかかり、そのため計測には安定な試料が必要である。このような理由により、技術的な限界が蛍光寿命分光計測を研究室から臨床の場へ移行することを妨げていた。時間分解自己蛍光分光計測を、結腸ポリープタイプを生体内で決定するための光学的診断技術として用いることの実施可能性、および前記技術の診断精度が研究された(Mycek, M.A.ら、「胃腸内視鏡」1998、48:4、390−394)。
【0008】
本発明は、研究室および臨床両方での生体系(細胞および組織)の研究に互換性を持つよう設計され、生体内において、癌または前癌の組織または細胞を、正常組織または細胞から成功裏に区別できる、携帯用蛍光寿命分光計(FLS)に関する。本発明はまた、FLSを、生体内で前癌および癌細胞または組織を正常細胞または組織から判別するために用いる、関連の方法を提供する。
【0009】
発明の概要
本発明の一つの目的は、生体内での前癌および癌組織の検出のために、組織または細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性を同時に計測する装置を提供することである。
本発明の他の目的は、組織または細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性を生体内で同時に計測する方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、組織または細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性を生体内で同時に計測することを含む、前癌および癌組織または細胞の、生体内検出方法を提供することである。
【0010】
発明の詳細な説明
一般に、光が生体組織などの複雑で不均一な媒体に入ると、該光線の物理的性質および前記組織の特定形態や組成に依存して、多数の散乱、吸収、および発光事象が起こる。複雑ではあるが、この光学的応答は様々な分光学的技術により計測可能で,それにより正常組織から病変組織を判別するための診断情報を得ることができる。
【0011】
組織における蛍光分光計測研究の多くは、発光のスペクトル線の形を分解し(発光光の波長による蛍光強度の変化)、正常組織と病変組織の間の違いを検討している。分子振動および非放射性緩和のため、内因性蛍光団からの蛍光発光スペクトルは広いバンドから構成されている。組織から記録された蛍光スペクトルは、したがって、複数の蛍光団成分からのバンドの重なりにより複雑化される。診断的価値を高めるため、これらの複雑なスペクトルはシステム応答に関して補正され、次に重回帰分析、モンテカルロシミュレーション、および部分的最小二乗判別分析などのテクニックを用いて解析またはモデル化される。前癌組織および腫瘍組織からの蛍光発光の強度は、一般に正常組織に比べて低い。
【0012】
さらに、生物媒体においては、蛍光信号は典型的にはナノ秒(10−9秒)からサブナノ秒の時間スケールで減衰する。非放射性減衰の増加は、量子収量(発光光子数の吸収光子数に対する比)の減少および寿命の低下につながる。生体内で通常用いられるスペクトルの読み取りは、蛍光減衰のダイナミクスの効果を考慮していない。さらに、スペクトル分解計測は本質的に強度に依存する。したがって、前癌(前異常増殖)組織および細胞を生体内で効果的に診断できる、新しいスクリーニング法と装置が必要とされる。
【0013】
本発明は、蛍光寿命分光計測を用いる蛍光寿命分光計(FLS)と呼ばれる装置に関する。FLSは、選択されたスペクトルバンドの完全な蛍光発光スペクトルおよび減衰を、1秒以内のデータ取得時に同時に収集することができる。この素早い取得が、本技術を臨床に応用可能にしている。FLSは、数百ピコ秒から数十ナノ秒の持続時間で、究極的には360ピコ秒の時間分解能で、蛍光寿命を正確に分解することができる。FLSの分解能、感度、レンジおよびスピードは生体系における内因性の蛍光団の検出に適している。
【0014】
FLSは、小型で携帯可能な装置であり、3段カートシステム上において、一つの段にFLSの検出パラメータおよびデータ取得を制御するコンピュータを収納して用いることができる。2段目には光学系および検出器を格納する。振動はスプリング付き構造(spring platform)によりカートから除去される。電源および周辺電子装置は別の段に収納可能である。臨床用には、2つの下段棚を組み込むこともできる。
【0015】
本発明は、組織または細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性の両方を計測する。もっとも単純な形態では、本発明の装置は次を含む:一次励起光源;光を遠隔の組織または細胞試料へと送達し、その結果得られる前記組織または細胞からの蛍光発光を収集する光ファイバープローブ;前記試料から返ってくる蛍光発光をスペクトルおよび時間的検出機構へと導く手段;前記組織または細胞試料からの蛍光発光を検出し、そこから前記組織または細胞試料の蛍光特性を導出する、分光計を結合した強化電荷結合素子(ICCD)(spectrometer coupled intensified charge coupled device (ICCD));前記試料からの時間的蛍光発光出力を検出する光検出器;および、前記光検出器に結合され、光検出器からの信号を一時的にデジタル化し、該信号から前記組織または細胞試料の時間蛍光特性を導出する手段。組織または細胞試料から読み込まれたデータは、既知の組織型、好ましくは既知の正常な組織もしくは細胞試料および/または既知の癌もしくは前癌の組織もしくは細胞試料の読み込みデータと比較され、前記試料中の前癌もしくは癌組織もしくは細胞の存在を検出する。
【0016】
好ましい様態においては、図1に示すように、一次励起光源2は、337.1nmの基本励起光源として用いる小型パルス窒素ポンプレーザーを含む。しかし、本願を読む当該業者に理解されるように、固相レーザーを用いることも可能である。この窒素ポンプレーザーは、4nsのパルス幅と、0.1nmのスペクトルバンド幅を有する。しかしながら、パルス幅が≦5nmでバンド幅が≦3nmの他のレーザーを用いることも可能である。前記窒素ポンプレーザーは1から20Hzの間で運転可能であるのが好ましく、一般には10Hzで、総ポンプエネルギーが144μJ/パルスにて運転される。一次励起光源2の出力は、光ファイバープローブ8を通して試料に光を送達することにより、試料の励起に用いる。図に示されるように、一次励起光源2はまた、360〜950nmの範囲でレーザー光パルスを生成することができる別のダイレーザーモジュール(パルス幅が4nsでバンド幅が3〜10nm、試料励起のための単位パルスあたり平均エネルギーが500nmにおいて40μJ)を含む、二次励起光源6をポンピングするためにも用いてもよい。前記二次励起光源6は、光ファイバープローブ8を通して試料に光を送達し、試料を励起するために用いる。
【0017】
選択された励起光2,6は、波長固有の二色性ミラー12およびレンズ10により光ファイバープローブ8に送達される。二色性ミラー12は励起光の経路に位置し、該励起光を、横に位置するレンズ10を通して光ファイバープローブ8へと導く。該光ファイバープローブ8は、好ましくは、クォーツ製の光ファイバープローブであって、長さ約2.5m、直径600μmである。しかしながら、前記プローブも繊維束を含むことがある。さらに、前記プローブの長さおよびサイズは、内視鏡との互換性のため変更することができる。レーザー光が337.1nmの場合、レンズ10はクォーツ製が好ましい。しかしながら、400nm以上の波長に対しては、ガラスレンズを用いることもできる。さらに、本願を読む当業者に理解されるように、当該技術分野においてよく知られているところの、組織または細胞試料から戻ってくる蛍光発光をスペクトル的かつ時間的検出方式へと導くための他の手段もまた、用いることが可能である。
【0018】
図1の態様においては、レンズ10および光ファイバープローブ8は、好ましくは適合する開口数値0.22を有する。このファイバーは、励起光を試料に送達するため、および、結果として発生する該試料からの蛍光発光を収集するために用いられる。レンズ10は戻ってくる発光およびいかなる分散励起光も、平行にする。図1に示す二色性ミラー12および隣に位置するロングパスフィルター14は、残留励起光を取り除くために用いてもよく、蛍光発光のみがロングパスフィルター14を通り抜けることを可能にしている。ロングパスフィルター14を通り抜けた蛍光発光は次に、隣に位置するガラスレンズ16によって焦点を合わせられ、ビームスプリッタ20に送達される。該ビームスプリッタを通り抜けた蛍光発光の一部は、前記レンズの傍に配置され、組織または細胞試料からの蛍光発光出力を検出する、分光計結合ICCDに連結(link)されている検知ファイバー18に送信される。検知ファイバーおよびビームスプリッタ20は、クォーツ製が好ましい。
【0019】
しかしながら、400nmより長いレーザー波長の場合、反射コーティングを施したガラスを用いることもできる。さらに、本願を読む当業者に理解されるように、蛍光発光を分光計結合ICCDに送信するため、当該技術分野においてよく知られている他の手段を用いることも可能である。図1の態様においては、蛍光の一部はビームスプリッタ20により分離され、組織または細胞試料からの蛍光発光出力を受け取って解析を実施する、レンズ10の隣に位置する高速アバランシェ・フォトダイオードモジュール(high-speed avalanche photodiode module)22に向けて導かれる。時間の関数としての蛍光強度は、アバランシェ・フォトダイオードモジュール22により検知され、結合されているオシロスコープ36によりデジタル化される。該オシロスコープは、光検知器からの信号を解析し、前記試料の時間的な蛍光特性を導出する。
【0020】
オシロスコープ36は1GHz(5GS/s)オシロスコープが好ましい。より高いバンド幅を有するオシロスコープを用いることもできる。さらに、本願を読んだ当業者に理解されるように、オシロスコープ以外の手段を光検出器に結合することにより、光検出器からの信号を一時的にデジタル化し、該信号から組織または細胞試料の時間的な蛍光特性を導出することも可能である。図1の態様においては、高速アバランシェ・フォトダイオードモジュール22の時間応答は、約300psの立ち上がり時間で約500psのFWHMを有する、400〜1000nm検出用に最適化されるのが好ましい。ロングパスフィルターおよび隣接のガラスレンズを通過した後検知ファイバーにより分離されなかった蛍光の一部は、該検知ファイバーを通り分光計結合ICCD(spectrograph coupled ICCD)28の入り口スリット24に送達される。
【0021】
前記分光計結合ICCDは、連結された検知ファイバーからの信号を解析し、組織または細胞試料のスペクトル蛍光特性を導出する。組織または細胞試料の読み出しデータは、既知の組織タイプの読み出しデータと比較され、前癌または癌組織の存在が決定される。図1にも示されるように、中間密度フィルター(neutral density filter)30および32は、高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールの前、励起ビームパスの中に配置され、それぞれ試料およびフォトダイオード22に到達する蛍光レベルを制御する。
【0022】
分光計結合ICCD(spectrograph)28は、迅速なデータ取得のため単一ショットでスキャンなしに蛍光発光を収集する。例えば、1/8メーター(F/3.7)分光器には、好ましくは、350nm毎に印を付した1200ライン/mmの格子および200μmの固定入り口スリット24が装備される。ICCDカメラヘッドは好ましくは−5° Cに熱電的に冷却され、CCDチップに付随する暗騒音を減少させるのを助ける。前記カメラのCCDチップは、1024×128μmのピクセル配列で、26μmの単位ピクセル面積が好ましい。しかし、配列サイズの範囲が1024×1またはそれより大きな配列で、ピクセル面積が52μm以下の、上述のような適切なデータ取得スピードを有する他のCCDチップもまた、用いることができる。該チップは、前記分光器との組み合わせにおいて、3nmの分光計波長分解能を生成する。バックグラウンドの照明から蛍光信号を識別することは重要である。この識別を実現するため、強化ゲート幅を100nsに設定する。ICCDゲート幅は可変であり、3nsから無限の持続時間(連続操作)までの範囲に設定することができるので、蛍光発光強度を減少させることなくバックグラウンドの光を取り除くには、約100nsのゲート幅が最も効果的である。光の送達時間および増強ゲート(開閉)を補償するための適切な遅延時間が、遅延発生器により生成され、バックグラウンド放射による蛍光スペクトル取得に対する妨害を効果的にブロックする。
【0023】
窒素ポンプレーザーの設計は、時間および強度計測の両方においてパルス間ジッターを考慮したものでなくてはならない。ポンプレーザーの場合、パルス間エネルギー安定特性は好ましくは≦4%、時間ジッター特性は≦40nsである。定常状態スペクトル検出に対しては、ICCDカメラが収集した信号およびジッターはスペクトルの形状には影響しないはずである。窒素レーザーの出力パルスにおけるタイミングジッターは、レーザーそれ自体からICCDを始動させることによって考慮される。時間的な検出においては、高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールの出力によりオシロスコープが始動されるが、この出力は、蛍光が該高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールに到達した際に始動事象を発生させることにのみ用いられる。これにより、誤ったパルスまたはレーザーのタイミング変動による誤動作を排除する。高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールの平均信号に対する、パルス強度の変動の影響を最小化するために、オシロスコープの始動レベルは蛍光信号の高いほうから20%以上という比較的高い限界値に設定されている。これにより、20%を超える窒素レーザー強度変動が時間減衰の記録値に平均化されることを排除している。
【0024】
一つの側面においては、図2に示すように、FLSの電気的構成の設計は、ICCDゲートを外部から始動させること、および蛍光の到達に対してゲートタイミングを最適化することを可能にする。ICCDの始動誘因として、レーザーの内部主制御盤へのほぼ一致した電気的パルスを用いる。しかしながら、この電気的誘因パルスは、ICCDのマルチ入力/出力ボックス48(図2のICCDのI/Oボックス)が必要とするだけの十分な大きさ、すなわちトランジスタ−トランジスタ論理(TTL)+5Vではない可能性がある。さらに、レーザーの火花ギャップ放電により導入された電気信号(electrical ringing)に非常に影響されやすい。したがって、この同期出力(sync-out)は、高速で単安定、再誘起不可能な、マルチ振動器を通して調節される。このマルチ振動器は、定格電気パルスを制御可能な幅の安定TTLパルスに調節する。図2では、この回路をパルス調節回路52とする。
【0025】
ポンプレーザーは、光学検出器類に干渉するかなりの電磁気干渉ノイズおよび高周波放出(EMI/RF)ノイズを発生する。このノイズは、レーザーの内部高電圧電源の放電による生じる。EMI/RFノイズを減少させるために、他のシステムから電気的に絶縁され、また相互にも電気的に絶縁された2つのファラデー箱にレーザーを格納してもよい。内側の箱は銅製のメッシュで、外側の箱は2mmの厚さのアルミニウム製であり、ケーブル用および光の出口用の穴はすべて最大直径が15mmとしてある。さらに、全ての信号および電気ケーブルは最低でも2層の編み組みEMIシールドを有するべきである。
【0026】
減衰なしでレーザーから放出されたEMI/RFノイズは、高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールの出力信号に強く干渉する可能性がある。ケーブルやDC電源に沿ったEMIノイズの流入の可能性から高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールをさらに絶縁するために、パルス調節回路52は、電気的フィルターとして働き、2つの目的に役立つように設計されている。
【0027】
一つの側面では、前記パルス調節回路は、上述のように窒素レーザーの同期出力を調節する。マルチ振動器は、その本質的に再誘起不可能な動作のため、同期出力に付随するノイズをフィルタリングするという付加機能を有する。この単純な回路は、誘起パルスに対して定格の時間遅延を付加する。重要なことは、付加されたEMIフィルタリングは、ワイヤを巻きつけた3つのフェライトコイルを前記回路に導入し、バイオネット結合(BNC)ケーブルの中心に沿って送信されるいかなるEMIノイズもフィルタリングすることにより実現されていることである。周波数の増加に従い、ノイズのピーク間強度は30倍以上減少する。窒素レーザーから放出されるEMI/RFノイズは、前記回路による減衰が最大となる100MHzを超える範囲で計測される。このように、本回路設計を用いることにより、高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールに伝播されるノイズは大きく減衰される。
【0028】
他の側面では、前記パルス調節回路は高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールに定常DC電圧(12.0±0.1V)の電源を供給する。これは、回路の残り部分に対しても必要な電源を供給する、小さな壁付けタイプの電源供給装置を用いることにより達成される。このパルス調節回路の出力は同時またはお互い独立に操作される。ICCDは放射される電気ノイズには影響されない。
【0029】
本発明のソフトウェア制御プログラムは、データ収集の簡単化と装置のパラメータのフレキシビリティを提供するグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)として設計される。該GUIは2つの主要な機能を持つ。第一に、ソフトウェアはICCDの熱電冷却を制御する。この機能は、ユーザーが指定した温度に達するまでデータ取得を制限すること、データ収集の間この指定温度を監視し維持すること、および、使用の後に、ICCDの制御された運転停止を許可することを含む。このソフトウェアの機能は、画像増強装置の出力光ファイバーへの熱的ストレスを防ぐために必要である。この制御がなければ、これら光ファイバーがCCDのシリコン面板から離脱する可能性がある。
【0030】
前記ソフトウェアは、FLSのパラメータ調整およびデータ取得のためのユーザーインターフェイスを提供する。前記ソフトウェアは、計測された蛍光発光スペクトルおよび減衰を連続的かつ同時にスクリーン上に表示するという、ICCDのリアルタイムモードの作動を可能にする。この連続モードでの作動は前記ソフトウェアの初期設定(デフォルト)モードであるが、ユーザーに対して信号レベルおよび変化についての素早い判断基準を提供する。FLSを用いたデータ取得では、ユーザーはグラフィックパネルボタンをクリックし、ICCDおよびオシロスコープをそれぞれ累積および平均モードに変更する。すると、ユーザー設定のレーザーパルス数からのデータが、ICCDおよびオシロスコープより同時に収集される。この情報は次に、インデックス付きASCIIファイルとしてコンピュータのハードディスクに保存される。データ取得の完了後、ICCDおよびオシロスコープは連続作動モードに戻り、装置は即座に次の計測に対して準備される。
【0031】
FLSのフレキシビリティを高めるため、累積発光スペクトルの数、暴露時間、チップ温度を含むICCDパラメータはGUIを介してアクセス可能である。オシロスコープまたは他の一時的デジタイザー(transient degitizer)のパラメータは、各装置上で手動により変更してもよい。これらのパラメータはソフトウェア設計に容易に組み込めるが、その多くは、ユーザーインターフェイスを不必要に複雑にしないために取り除くことができる。ユーザーが見る全てのグラフィックデータ出力は自動スケーリングされるが、これは、別の計測において、FLSに関する物理的な調節の必要性を排除するためである。ソフトウェアパッケージは、FLSに対し、装置の感度およびフレキシビリティを損なうことなくユーザーに優しいインターフェイスを提供するよう設計される。
【0032】
組織のスペクトルおよび時間蛍光特性を同時に計測する方法もまた提供される。本方法によれば、励起光源は組織または細胞試料と接触(contact)するよう設定され、該組織または細胞試料は該励起光源により励起されて該組織から蛍光を発生する。該試料から発光された蛍光は収集され、同時のスペクトルおよび時間分解によりさらに検出される。
【0033】
本発明の方法は、組織または細胞のスペクトルおよび時間特性を計測し、その結果を健康な組織もしくは細胞および/または病変組織もしくは細胞の計測結果と比較して、前記組織の現状を決定するのに有用である。例えば、一つの態様においては、本発明の方法は、生体内での組織または細胞の前癌変化および癌変化を検出するのに用いることができる。ここに示されるように、NADPHおよびフラボ蛋白含量などの内因性蛍光における変化は、スペクトルおよび時間に関して検出され、前癌変化または癌変化の指標となる。したがって、組織または細胞試料のスペクトルおよび時間蛍光特性は、本発明の方法によって決定することが可能であり、正常で健康な組織もしくは細胞、および/または癌組織もしくは細胞と比較して、前癌もしくは癌変化の指標となる該組織または細胞の内因性蛍光のいかなる変化についても、同定することが可能である。
【0034】
さらに、本装置は内因性および外因性の蛍光の両方を計測する機能を持ち、光力学療法における外因性蛍光のモニタリングに有用である。したがって、本装置は、外因性蛍光の検出を通して薬の取り込みをモニタリングすること、内因性および外因性蛍光の検出を通して光力学療法による治療介入を監視すること、および、内因性蛍光の検出を通して化学予防的薬剤による治療介入の監視をすること、などに用いることができる。
【0035】
本発明の装置を用いて、肺における非侵襲的な前異常増殖(前腫瘍)の検出方法として、組織の自己蛍光を試験した。これらの研究において、不死化された(immortalized)明確なタバコ発癌物質により形質変換された(transformed)(悪性の)SV40ヒト気管支上皮細胞からの固有の細胞自己蛍光を試験した。これらの細胞株は、ヒト気管支上皮細胞の正常細胞と前異常増殖とを判別するための研究の有用なモデルである。前記細胞は、蛍光分光計測および共焦点蛍光顕微鏡計測により特徴付けられた。
【0036】
蛍光分光計測による特徴付けにおいては、細胞計数(cell count)は1ml当たり約300,000の細胞数が維持された。これは、蛍光計測における散乱および再吸収に起因するアーチファクトを最小化した結果である。例5に記述された蛍光分光計測は、BEAS−2BおよびBEAS−2BNNK細胞検査液(cell suspension)の励起/発光行列(EEMs)を記録するのに用いられた。励起波長は約20nm毎に選択され、220から675nmの範囲であった。発光波長は励起波長を10nm超えた値から800nmまでの範囲であった。格子同調(grating harmonics)およびゴーストは記録データから取り除いた。比較のためにEEMsの最高強度を正規化し、表示をわかりやすくするために波長を限定した。BEAS−2B細胞およびBEAS−2BNNK細胞それぞれにおいて2つの優勢なピークが観察された。これらの2つのピークは、220/330および287/330nm(励起/発光波長)に出現した。これらのピークは、純トリプトファン(220/350および287/350nm)のEEMにおいて観察されたピークと非常によく対応していた。長い励起波長によるピークは、インドール成分のおよびという、2つの密接したレベルの結果であると報告されており、一方、短い波長のピークは、高い電子的遷移の結果である。
【0037】
励起および発光スペクトルを、PBS内の純トリプトファンならびに、PBS内のBEAS−2B細胞およびBEAS−2BNNK細胞に対して決定した。スペクトルは、対応するEEMで決定されているように、発光または励起の最大時に記録した。両者の気管支上皮細胞株から記録した自己蛍光スペクトルは、アミノ酸トリプトファンの固有蛍光と非常によく似ていた。
【0038】
BEAS−2B細胞検査液およびBEAS−2BNNK細胞検査液の両者において観察されたマイナーな自己蛍光特性は最大発光655nmで、460nmでの励起において観察された。特性の無いこの広い発光(半値全幅150nm)は、330nmでの発光バンドに比べて約40倍弱かった。この発光の起源を調べるために、325から600nmの範囲において励起スペクトル(610nm発光)を記録した。この範囲は、観察される発光にほぼ対応する2つの内因性蛍光団であるポルフィリンとリポフスチンに対して期待される値に基づいて選択した。この範囲においては、記録された内因性蛍光団に対応する特徴的な励起特性は観察されなかった。
【0039】
トリプトファンおよび655nmバンドのどちらに関しても、BEAS−2BおよびBEAS−2BNNKヒト気管支上皮細胞の間に蛍光発光強度の大きな違いは観察されなかった。さらに、蛍光分光計測では、NADHおよびフラビンなどの他の共通の内因性蛍光団からの発光は見られなかった。これは、LS−50蛍光分光計の感度が低いためと考えられた。ヒト頚部上皮細胞検査液に関する最近の研究では、トリプトファンの発光は、NADPHまたはFADからの蛍光発光と比較して少なくとも2桁高いことがわかっている(Richards-Kortumら、「Optical Society of America Technical Digest」 2000:209−211)。他の内因性細胞蛍光団のより弱い発光を計測するには、感度の高い共焦点蛍光イメージング(画像化)法が用いられた。
【0040】
共焦点蛍光顕微鏡計測においては、個々のBEAS−2BおよびBEAS−2BNNK細胞の自己蛍光の計測に、ライカ共焦点顕微鏡が用いられた。この感度の高い、分光光度計が連結された装置は、調整可能な波長の識別を通して、特定の蛍光種の検出および空間的局在部位の限定を可能にし、感知可能ないかなる他の種の寄与をも排除した。BEAS−2B細胞の2つの微分干渉コントラスト(DIC)画像が、擬似カラー共焦点蛍光画像の対応するオーバーレイにより決定された。これらの画像は、351nmの励起波長および426から454nmの範囲での発光強度積分(emission intensity integration)を用いて収集された。前記画像は、既知のNADH値にほぼ対応した励起/発光特性を有する、粒子化された細胞質自己蛍光構造を示した。これらの画像を、488nmで励起され、その結果による発光が530から555nmの範囲で積分された、同一細胞の画像と比較した。この波長範囲での発光は、細胞内でのフラビンの存在に一致している。前記装置が、ヒト気管支上皮細胞に存在するこれら弱い発蛍光性の内因性種からの発光を検出できることは、これらの画像より明らかである。
【0041】
BEAS−2B細胞とBEAS−2BNNK細胞の共焦点自己蛍光画像を比較しれた。発光は、BEAS−2B細胞およびBEAS−2BNNK細胞に関して、NADH(351nmでの励起、426−454nmの範囲で発光を積分)およびフラビン(488nmでの励起、530−555nmの範囲で発光を積分)の両者で一致していた。対応するフィールドのDIC画像を対照として用いた。顕微鏡およびレーザーに関する全てのパラメータは、対応する画像間で一定に保ち、両画像は数分以内の時間差で取得した。フォトブリーチング(光漂白、photobleaching)を避けるために各試料上の新しい部位が画像化され、核小体(nucleoli)に焦点を合わせることにより光学的セクションが等しくなるよう選択された。これらの画像は、不死化されたBEAS−2Bヒト気管支上皮細胞に比べて、タバコ発癌物質形質変換BEAS−2BNNK細胞は低いNADHおよびフラビン発光を示すことを示唆している。さらに、不死化された細胞に存在する点状の細胞質蛍光粒子(the punctuate cytoplasmic fluorescent granules)は、親細胞であるBEAS−2B細胞と比べて、発癌物質形質変換細胞ではより分散しているように見られた。
【0042】
不死化されたヒト気管支上皮細胞と発癌物質形質変換ヒト気管支上皮細胞の間における、細胞の自己蛍光の変化は、本発明の装置および方法が、蛍光分光計測および画像化を用いた肺組織の前異常増殖の非侵襲的診断に有効であることの証拠を提供する。
【0043】
FLSの生体内におけるの臨床的な実施可能性もまた、気管支鏡および肺腫瘍切除の際に実証された。生体内FLS計測プロトコルは、337.1nmおよび450nmでの2波長励起を実現し、それと共に、390nmから620nmの範囲で収集された定常状態発光および、APDバンドパスフィルターに基づき430nm±50nmまたは550nm±50nm(fwhm)に限定された蛍光寿命発光も実現した。レーザー出力はクォーツ中間密度フィルターを通して制限し、強度の正規化のため各実験の前に測定した。同様に、APDに到達する蛍光光のフルエンスは、ガラス中間密度フィルターを用いて500mVより低いレベルに制限した。定常状態および時間的自己蛍光の補正のため、定常状態のバックグラウンドおよび装置応答を収集した。異常増殖が生じている組織は、同時に定常状態および時間分解自己蛍光を収集しながら、最低3回計測した。ファイバーは組織表面から取りはずし、各計測毎に交換された。正常に見える組織も同様の様式で計測した。各計測のセットに引き続いて、当該組織(異常および正常組織)は組織病理解析のために生体組織検査を行った。全てのファイバーは、臨床使用の前に30分間蒸気消毒した。
【0044】
生体内FLS計測は、ルーチンの硬質な(rigid)気管支鏡検査時に実施した。異常病変部の位置は白色光ビデオ気管支鏡検査を通して同定された。次にFLSの直径600μmのファイバーを気管支鏡の装置チャネルを通して挿入し、組織に静かに接触させた。上述のように、計測結果は2つの励起波長にて収集した。前記組織からの出血は認められなかった。その後前記ファイバーを前記装置チャネルから取り外し、ファイバーによって精査した部位の生検試料(biopsy)を収集した。気管支鏡の全体を約2インチ引き抜き、ファイバーを再度、硬質な気管支鏡に挿入した。正常らしい気管の壁にファイバーを静かに接触させ、同一の計測プロトコルを繰り返した。この正常らしい部位の生検試料も取得した。全計測および生検の方式は5分以内に完了した。図4は組織の自己蛍光曲線の一例であり、337.1nmで励起された定常状態(図4a)および時間分解(図4b)の、これら生体内計測により発生せられ、ピーク値によって正規化された自己蛍光曲線を示す。
【0045】
図4aの正常組織についての定常状態蛍光発光スペクトルは、NADPHと同様、440nm付近を中心としたピークを示している。最も青色の波長範囲の曲線部分は、コラーゲンによる発光の結果と考えられている。病変部からの定常状態自己蛍光は、一般に正常組織と比較してその強度が低いことが見出された。さらに、コラーゲンと比較して、NADPH構造の寄与は、正常組織に比べて病変組織では低い。図4bは、正常組織の平均蛍光寿命が病変組織に比べてわずかに低く、3.6±0.1ナノ秒対4.4±0.1ナノ秒であることを示す。これは、正常および病変組織で観察されたスペクトルの違いと一致しているが、スペクトルによれば、コラーゲンと比較して正常細胞からは病変部よりNADPH発光が多く、NADPHはコラーゲンより寿命が非常に短いため、正常細胞は病変部より短い平均寿命を持つことが期待されるからである。
【0046】
正常および病変部の間に比較的大きなスペクトルの違いが認められた一方、両者の寿命の差はそれほどではなかった、という事実は、当該病変部が組織病理学により良性の乳頭腫と診断され、悪性腫瘍ではない、という事実に合致するようである。このように、病変部の形態が明らかに正常組織と異なっており、その結果スペクトルの歪みが例えば光学的な散乱アーチファクトによって生じていても、このケースにおいては、病変部の生化学特性は正常組織に近く、そのため組織寿命が比較的似ていた。蛍光団寿命は、一般に、蛍光強度に大きな影響を及ぼす吸収や散乱などの要因には影響を受けにくい。
【0047】
以下の非限定的な例は、例示目的のみであり、本発明の範囲の制限を意図するものではない。
【0048】

例1:較正およびデータ解析
FLSは、波長および絶対蛍光強度の両者に関してスペクトル較正された。波長較正は、水銀(アルゴン)ランプ(6035型、オリエルインスツルメント(Oriel Instruments)、ストラトフォード、コネチカット、米国)を用いて、既知の発光ラインを参照することにより実施した。FLS波長の較正は、分光器(分光写真器、スペクトログラフ)の格子から決定されているように、3つの重なり合う波長範囲(250〜450nm、400〜600nm、450〜650nm)について実施した。FLSスペクトル装置の応答の補正は、測定スペクトルを波長に依存する感度係数(sensitivity factor)S(λ)で割算して行った。S(λ)は、NIST追跡可能タングステンハロゲンランプ(#63355 S.N. 7−1329、オリエルインスツルメント(Oriel Instruments)、ストラトフォード、コネチカット、米国)からの放射照度MLamp(λ)を測定し、このスペクトルを製造者から提供される既知の理論スペクトルTLamp(λ)で割り算して求めた。
S(λ)=(MLamp(λ))/(TLamp(λ))
【0049】
全ての計測値および理論スペクトルはエネルギーの単位から絶対光子数(quanta)へ変換し、単位のないS(λ)を作成した。このようにしてS(λ)を決定することにより、下記のように、光子数の単位で計測された歪みのない発光強度スペクトルの収集が可能となった。前記FLSの時間領域装置応答は、レーザー励起パルス持続時間および電子機器の応答により誘発された歪みを含んでいた。それ(前記応答)は、脱イオン水内の10−6Mローズベンガルから560nmにおいて蛍光発光を誘起するよう、337.1nmの励起光を用いて計測した。脱イオン水内のローズベンガルは、2つの理由からFLS装置応答を決定するのに適している。第一に、FLS装置の時間分解能を超える、約90psの寿命を有する、素早く発光する蛍光団であること。第二に、その発光波長が生体システムに見出される代表的な内因性蛍光団の発光波長と一致していること。このようにして決定された装置応答関数は、4.5nsのFWHMを有していた。
【0050】
測定された蛍光スペクトルデータは、予め記録されていた溶媒発光スペクトルをバックグラウンドとして差し引くことにより、溶媒の寄与に関して補正され、波長に依存する感度係数S(λ)で割り算することにより、装置応答の不均一性に関して補正された。すなわち、
【数1】
Figure 2005504561
式中、M(λ)は測定された試料の発光であり、B(λ)はバックグラウンドの発光である。M(λ)およびB(λ)はナノメータ毎のCCDカウントの単位、すなわち検出器に到着する光子数の尺度、で測定され、S(λ)は無単位である。収集されたスペクトルは、10以上の個々のレーザーパルスによる蛍光発光の累積結果であり、良好な信号対ノイズ比(SNR)を保証する。スペクトル較正は蛍光標準である硫酸キニーネからの発光を記録することにより試験した。そのデータを次の表に示す。
【0051】
【表1】
Figure 2005504561
スペクトルは実線の丸印で示される既知の文献の値とよく一致している。
【0052】
装置応答を説明し寿命および振幅を抽出するため、マルクワルトのアルゴリズム(ライトアナリシス、クァンタムノースウェスト(Quantum Northwest, Inc.))を用いて、最小二乗繰り返し再畳み込みにより、蛍光減衰を解析した。解析プログラムは、時間相関単一光子計測法を通して得られたデータと共に用いるために作成した。したがって、プログラムは、FLSのアナログ信号統計に適するよう、剰余の均一な重み付けを含むように修正した。FLSで計測される減衰、M(t)は、真または固有の蛍光減衰F(t)と上記の装置応答関数I(t)の畳み込みとして解釈される。
M(t)=F(t)*I(t)
【0053】
固有減衰は多指数関数の減衰としてモデル化する。
【数2】
Figure 2005504561
式中、τは寿命、αは振幅である。このように、要素I(または、全体の蛍光強度に対する要素Iのパーセント寄与率)に起因する固有減衰曲線の下の正規化領域面積は次の式で与えられる。
【数3】
Figure 2005504561
【0054】
例2:スペクトル分解検出のための装置の特徴付け
水銀(アルゴン)ランプの507.3nm線のFWHMを計測することにより決定されるFLSスペクトル分解能は、3nmであることが見出されたが、これは、内因性の生体蛍光団に付随する比較的広いスペクトルバンドを分解するには十分である。FLSのスペクトル感度は、エタノール中の異なる濃度の蛍光色素染料分子による蛍光発光のSNRを計測することにより決定される。研究に使用した試料は、濃度範囲が10−4〜10−7Mであった。各試料において、40回のレーザーパルス(337.1nm;0.35μJ/パルス)により誘起された総蛍光発光は、増強装置ゲイン(intensifier gain)を2の値に設定したICCDによって累積した。これらの結果を要約して次の表に示す。
【0055】
スペクトル分解した蛍光強度の、信号対ノイズ比(SNR)対エタノール中蛍光色素染料濃度
【表2】
Figure 2005504561
【0056】
SNRは、染料濃度が最高の場合1.9×10であり、最低濃度の場合7であった。FLSを用いた研究における合理的な最小のSNR値は、5×10−7Mより低い検出可能濃度レベルに対応して、理想的には25以上である。このように、ここでの設計のFLSは、非分散媒体中のわずかな蛍光団濃度をも検出できる、非常に感度の高い装置である。この感度は、下に述べるように、濁った(turbid)生体系中の内因性の蛍光団濃度を検出するのに十分であった。
【0057】
FLSのスペクトルのダイナミック・レンジ(DR)は次の式により計算される。
【数4】
Figure 2005504561
式中、SmaxはICCDの飽和なしに達成できる最大信号レベル、Nは増強装置ゲインを代表値の2に設定した場合に記録されるノイズレベルである。FLSのスペクトルダイナミック・レンジはこの方法にて30(3decades)と決定された。FLSのスペクトルレンジはロングパスフィルタ(図1)および分光器格子により制限され、350〜800nmであった。
【0058】
溶液中の標準蛍光団について計測された蛍光寿命(337.1nmでの励起)を、時間相関単一光子計測実験に関する文献による値とともに、次の表に示す。(報告された誤差は、繰り返し計測の標準偏差である。)
【表3】
Figure 2005504561
(a)特に記載がなければ、エタノール中で< 5×10−6
(b)アルゴンにて20分間脱ガスされた
(c)J.R.Lakowicz、蛍光分光計測の原理、1999.
【0059】
上述の議論のように、寿命が数百ピコ秒の範囲であるローズベンガルなどの早く発光する蛍光団は、高い信頼性で計測可能であった。ローダミン610についての計測(イクサイトン、デイトン(Dayton)、オハイオ、米国)は、FLSがナノ秒およびサブナノ秒の蛍光寿命を正確に計測する性能を有することを示した。生物学的に関連のある蛍光団がこれらの時間スケールにて発光することが知られているため、この時間レジームは、FLSの応用に重要である。FLSの有する、長い蛍光寿命を計測する場合の性能を試験するため、エタノール中の、寿命14.76nsの9−シアノアントラセン(15,276−5、オルドリッチ、ミルウォーキー、ワイオミング、米国)の計測が実施された。FLSが計測した寿命である14.4±0.44nsは、上の表内の先に報告されたデータとよく一致していた。報告された全ての誤差は、繰り返し計測の標準偏差である。
【0060】
最後に、FLSを、9−シアノアントラセンとローダミン610の混合物の蛍光団寿命を予測するのに用いた。予想されたように、前記混合物からの減衰には、寿命が12.7±0.40および2.25±0.39nsの2指数減衰関数が最もよく適合した。これらの値は、個々の蛍光団の寿命値である11.7±0.42および3.01±0.22nsと合理的な一致を示した。
【0061】
全ての化合物および溶媒は、製造者から入手したものをさらに純度を高めることなく、そのまま用いた。さらに、ここで用いられたpHおよび温度条件は、文献に報告されたものとしばしば異なっていた。これらの要因は、時間が長くかかりデータの多いTCSPC法に比較してFLSでは素早く取得されるデータ点数が有限数であることと組み合わさって、文献による値に対する寿命誤差および偏差として影響した。全体として、感度のよいFLSは、1秒のデータ取得時間にて高い信頼性と再現性を持つ蛍光寿命計測値を提供し、このため、生体系における内因性の蛍光寿命の計測に適していることが示された。
【0062】
例3:研究システムへの応用
上述のように設計され、較正され特徴付けられたFLS装置を、生物学および医学における当該システムの研究に応用した。ここに記述された全ての研究において、励起レーザー波長は337.1nmとし、励起レーザーエネルギーは20μJ/パルスより低く維持した。この窒素レーザーエネルギーの値は、生体系の研究においてフォトブリーチング作用によるアーチファクトがそれより低い値で最小化される閾値として、最近決定されたものである。実際、下記の計測においては、フォトブリーチング作用による影響は全く観察されなかった。このように、これらの実験条件は、将来装置を生物医学的応用に用いるための、FLSシステムのパラメータを反映するものである。
【0063】
ヒトの細胞および組織内に存在することが既知であるいくつかの生体分子の蛍光寿命および振幅を計測するため、FLS装置が用いられた。結果を次の表に示す。
試験管内(生体外)において内因性の生体蛍光団に関して計測された蛍光寿命および振幅(337.1nm励起)と、その文献による値との比較を次の表に示す。
【0064】
【表4】
Figure 2005504561
【0065】
【表5】
Figure 2005504561
【0066】
この研究においては、NADHおよびフラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FAD)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(21−040−CV、ロット21040039、セルグロ(Cellgro)、ハーンドン、バージニア、米国)に溶解し、5×10−6Mより低い濃度に調整した。トリプトファン(T−0254,ロット29H0710、シグマ(Sigma)、セントルイス、モンタナ)およびエラスチン(ウシ頚部靭帯より、E−1625、ロット35H710、シグマ(Sigma)、セントルイス、モンタナ、米国)は、PBSで湿潤した。次に試料をクォーツ製のキュベット(3型、NSCプレシジョンセル(NSC Precision Cells Inc.)、ファーミングデイル、ニューヨーク、米国)に入れ、FLSの光ファイバープローブを前記試料に接触させた。各計測には励起光10〜15パルスを用いており、各計測で1秒より短いデータ取得時間を可能にしている。上述のように、時間分解データはシステム応答について補正し、寿命および振幅を抽出するため多指数減衰関数に適合させた。
【0067】
各試料について最少10回の独立した計測を行い、平均値を取った。解析結果および文献による値との比較を表3に示す。複雑な生体分子においては、広い範囲の寿命の値が文献に報告されることはよくある。ここに示したFLSの結果は報告された値の範囲であり、したがって文献とよく一致している。
前記装置による同時のスペクトルおよび時間分解能を、NADHに関する代表的な計測によって示した。励起および発光条件は表3に報告されたものと等しく、生体蛍光団のサブナノ秒の寿命を正確に分解するFLSの性能を示している。
【0068】
FLS装置が、診療所で用いるのに要求される感度、スピード、および携帯性を有するように設計された。この性能を示すために、前記装置を用い、ヒト皮膚組織からの内因性蛍光を生体内にて計測した。計測を実施するため、まず光ファイバープローブを、前腕の内側の皮膚に静かに接触させた。337.1nmにて10パルス(4μJ/パルス)の励起光を光ファイバープローブを通して前記皮膚に送達し、それによる内因性蛍光を同プローブにより収集し、同時のスペクトルおよび時間分解により検出した。高速アバランシェ・フォトダイオードモジュールの前に、460±5nmを中心としたバンドパスフィルタを設置した。
【0069】
1秒より短いデータ取得時間において、10パルスに渡り蛍光スペクトルを累積し、蛍光減衰を平均した。計測結果を図3に示す。図3(a)は、構造蛋白の蛍光と一致する広いスペクトルを示し、図3(b)は、時間分解計測値(点線)ならびに、τ=0.938ns(A=0.40)およびτ=5.3nsの2指数減衰関数に適合させた値(黒の実線)を示す。これらの計測結果は、コラーゲン蛍光(ヘモグロビン吸収により修正されている)に起因するスペクトルバンドを示す。生体内蛍光計測は、組織での吸収および散乱による影響を受け、FLSは、皮膚における異なるメラニン含量による散乱および吸収の違いを十分検出できるほど感度が高かった(データ示されず)。FLSにより生体内で得られた時間分解の小さな値(time-resolved traces)は、比較的低い単位パルス当たりの励起エネルギー(既知のフォトブリーチング閾値よりはるかに低い値)および、高いスペクトル選択性のため、高速アバランシェ・フォトダイオードモジュール前に位置する狭いバンドパスフィルタによる、非常に優れた信号対ノイズ特性を明らかにした。
これらの特性は、本装置を臨床診断および治療目的に十分適用可能なものとしている。
【0070】
例4:ヒト気管支上皮細胞株
試験された細胞は前述のものであり、SV40 T抗体(Reddelら、癌研究、1988、48:1904−1090)の形質導入を通して不死化されたヒト正常気管支上皮細胞に由来する株(BEAS−2Bと表す)を含む。もう一つの株(BEAS−2BNNKと表す)は、N−ニトロソアミンー4(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)(Langenfeldら、オンコジーン 1996 13:1983−1999)の処理の後、タバコ発癌物質に誘導された、BEAS−2B細胞の形質変換に由来する。BEAS−2B細胞はヒト正常気管支上皮細胞の特徴を保有しているが、連続的に試験管内にて継代培養可能である。タバコ発癌物質形質変換BEAS−2BNNK株は、胸腺欠損マウスにおける造腫瘍性および強化された付着非依存性成長(enhanced anchorage independent growth)を含む、悪性気管支上皮細胞の特徴を取得している。これらの細胞株は、発癌性および非発癌性経路を同定するのに有用であることが証明された。これらの株は、不死化されたものと形質変換されたヒト気管支上皮細胞を判別する試みの研究に貴重なモデルを提供する。
【0071】
細胞浮遊研究(cell suspension studies)においては、化学的に定義された培養液であるLHC−9(バイオフルイズ(Biofluids)、ロックビル、メリーランド)内に37℃で5%COにて維持された単層培養を、4分間のトリプシン処理(0.05%)の後、培養液で希釈し、4分間遠心分離した。培養液を取り除き、細胞を洗浄してリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再浮遊し、1cmのクォーツ製キュベットに設置した。全ての計測は、細胞の生存率(viability)を維持するための再浮遊の後、1時間以内に実施した。生存率の限界は、時間に対する蛍光変化の発生を計測して決定した。これらの変化は、本実験における1時間の時間内では無視できることが見出された。
【0072】
画像実験では、画像化の24時間前に、非融合性の単層細胞を標準カバースリップ上に塗布して(plating)準備した。各細胞株に対し、3つの独立した細胞培養株を維持した。各培養株に対し、最少で2つのガラス製カバースリップを用いた。該カバースリップをインキュベータから直接顕微鏡に移動し、そこで複数の計測を実施した。全ての画像は培養液中にて撮影した。目視による検査は、培養液の存在が細胞の生存率を1時間以上に増加させることを示した。いずれの試料も45分を超えて画像化されることはなかった。
【0073】
例5:蛍光分光計測
自己蛍光特性を決定するため、上述のモデル系にて蛍光分光計測を実施した。電磁スペクトルの紫外線、可視光線、および近赤外線領域全体を通した蛍光計測には、パーキンエルマーLS−50デュアル単色発光分光計(Dual Monochromator Luminescence Spectrometer)を用いた。前記装置は、励起光源としてキセノンアーク放電ランプを、また発光検知器として200〜900nmの拡大範囲を有する赤色強調光電子倍増管(ハママツR928)を含んでいた。発光は励起光経路に関して90度の角度にて収集した。前記装置の波長の精度は±1.0nmで、再現性は±0.5nmであった。
【0074】
全スペクトルは、予め記録されていた溶媒の発光をバックグラウンドとして差し引くことにより、溶媒の寄与に関して補正され、また波長依存感度係数で割り算することにより、装置応答の不均一性に関して補正された。これらの感度係数は、本分光計に関し、硫酸キニーネ(0.1N)の蛍光発光を記録し、既知の標準スペクトルとの比を算出することによって前もって取得されていた。式1はスペクトル補正手順を示す。
補正発光=[M(λ)−B(λ)]/[S(λ)] (1)
ここで、M(λ)は計測された試料の発光、B(λ)およびS(λ)はバックグラウンドおよび感度係数である。各実験の完了時に幾つかのスペクトルを再スキャンして検討したが、細胞浮遊のフォトブリーチングは観察されなかった。全ての計測は最少でも3回実施され、毎回新しい細胞培養液が用いられた。
【0075】
重要なことには、高い細胞計数が、侵入的調和ピーク(intrusive harmonic peaks)および強度のふらつきを含む、スペクトルの感知可能なアーチファクトを導く可能性があることが見出された。これらのアーチファクトの由来は、励起光の散乱の増加および蛍光発光の再吸収の増加のためであろうとされている。したがって、蛍光スペクトルを記録するのに許容可能な細胞計数の範囲を決定するために、我々は、BEAS−2Bの(アミノ酸トリプトファンと整合性のあるバンドの)発光強度を、細胞数密度の関数として計測した。細胞計数が1ml当たり60,000から約500,000の範囲に対し、発光強度はほぼ線形に増加した。この範囲を超えると、曲線はこの傾向からはずれたが、これはおそらく再吸収および散乱効果のためであろう。1ml当たり60,000から500,000の細胞数において観察された線形性は完全ではないが、この範囲で記録されたスペクトルには、高い細胞計数において見られるアーチファクトが観察されなかった。線形性からのずれの原因は、上述の効果および細胞計数に付随する誤差のためである。ここに報告した実験においては、血球計算法によって決定されたように、細胞計数は約300,000細胞/mlのレベルに一定して維持されていた。
【0076】
例6:共焦点蛍光顕微鏡
ライカ直立研究顕微鏡ならびに、微分干渉コントラスト(DIC)および従来の上部照明(epi-illumination)に必要な光学機器を搭載したライカ共焦点分光光度計(TCS SPモデル)を用いて、蛍光画像化実験を実施した。本願に示される画像は、63倍、1.32N.A.平面アポクロマート(平面高度色消、planapochromatic)対物レンズおよび0.9N.A.コンデンサー(集光レンズ)を用いて収集した。共焦点システムは、ファイバー連結UV(fiber-coupled UV)、アルゴン、クリプトン‐アルゴン、およびヘリウム‐ネオンレーザーを用い、351、364、488、514、568および633nmの波長の励起源を提供している。画像化は、透過光および蛍光の検出を通して行われ、蛍光については、フィルターキューブの代わりに調節可能な分光光度計を用いた。
【0077】
連続可変な分光光度計により、ユーザーは与えられた蛍光信号の発光スペクトルを決定し、蛍光の収集を正確な発光範囲に限定することができる。この特徴は、生きている細胞からの自己蛍光を選択的にスキャンして寄与している波長を同定し、蛍光団に特異な正確な画像を得ることを保証する。ここに示される画像においては、細胞は同時にではなく順番に、2つの波長(351nmおよび488nm)にて励起され、そのため記録チャネル間での潜在的な信号の重複を排除している。検出された発光波長範囲は、励起波長が351nmの場合426〜454nmであり、励起波長が488nmの場合530〜555nmであった。顕微鏡、レーザー、分光光度計、画像捕獲、および解析はすべて、コンピュータによる制御のもとで実施された。
【0078】
PBSで洗浄された細胞の画像との比較からわかるように、培養液の存在のために自己蛍光画像に認知可能なバックグラウンドが付加されることはなかった。これはおそらく、用いられた励起および発光波長のもとでの培養液の低い量子生成と、共焦点セクショニングによりバックグラウンドが本質的に低下したためである。画像の比較に当たっては、放射暴露、スキャン速度、試料の調整、および試料温度などを含む実験条件が一定に維持された。試料直上のレーザー出力は計測できず、定量的な比較が困難であった。それにもかかわらず、これらの制限を最小化するため、また合理的な定性的比較を行うため、互いに可能な限りの短時間内に画像を取得し、どの試料も45分を超えて用いられることはなかった。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】FLS装置の図を示す。
【図2】FLSの電気システム設計の図を示す。図に示すように、窒素レーザーは、早い単安定多振動チップを含むパルス調節器によって調節される、開始パルスを提供する。このパルスは、遅延発生器を通して強化電荷結合素子((ICCD)のゲートタイミングを制御するのに用いられる。
【図3a】装置応答補正済み定常状態(図3a)および、時間分解(図3b)(点線)された、ヒト皮膚からの内因性蛍光発光を示す(337.1nmにて励起)。計測は前腕の内側に設置された光ファイバープローブを用いて行われ、データは1秒以内に取得された。
【0080】
【図3b】装置応答補正済み定常状態(図3a)および、時間分解(図3b)(点線)された、ヒト皮膚からの内因性蛍光発光を示す(337.1nmにて励起)。計測は前腕の内側に設置された光ファイバープローブを用いて行われ、データは1秒以内に取得された。
【図4a】正常および異常肺組織について、337.1nmでの励起の場合の、ピーク値による正規化が施された定常状態(図4a)および時間分解(図4b)自己蛍光曲線の例を示す。
【図4b】正常および異常肺組織について、337.1nmでの励起の場合の、ピーク値による正規化が施された定常状態(図4a)および時間分解(図4b)自己蛍光曲線の例を示す。

Claims (4)

  1. 生体内で組織および細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性を計測する装置であって、
    (a)組織または細胞試料に向けられる一次励起光源、
    (b)光を組織または細胞試料に送達し、当該組織または細胞試料から結果として生じる蛍光発光を収集する光ファイバープローブであって、一次励起光源がそれを通して前記組織または細胞試料へと導かれる、前記光ファイバープローブ、
    (c)組織または細胞試料から返ってくる蛍光発光をスペクトルおよび時間蛍光特性計測手法へと導く手段、
    (d)組織または細胞試料からの蛍光発光を検出し、それを用いて前記組織または細胞試料のスペクトル蛍光特性を導出する、分光計結合ICCD、
    (e)組織または細胞試料から出力される時間蛍光発光を検出する光検出器、および、
    (f)光検出器からの信号を一時的にデジタル化し、該信号から組織または細胞試料の時間蛍光特性を導出する、前記光検出器に結合された手段、
    を含む前記装置。
  2. 組織または細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性を計測する方法であって、
    (a)組織または細胞試料を励起光源と光により通じさせること、
    (b)組織または細胞試料を、蛍光が発光されるように励起光源により励起すること、
    (c)試料から発光された蛍光を収集すること、および
    (d)組織または細胞試料のスペクトルおよび時間蛍光特性を決定するために、同時のスペクトル分解および時間分解により、発光された蛍光の累積および蛍光減衰を検出すること、
    を同時に含む前記方法。
  3. 組織または細胞試料が生体内にある、請求項2に記載の方法。
  4. 生体内で組織または細胞の前癌および癌変化を検出する方法であって、
    生体内の組織または細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性を、請求項3に記載の方法に従って同時に計測すること、ならびに、計測された前記組織または細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性を、正常で健康な組織または細胞のスペクトルおよび時間蛍光特性と比較することを含み、
    健康な組織または細胞と比較した前記組織または細胞試料の内因性の蛍光における変化が前癌もしくは癌変化の指標となる、前記方法。
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