JP2005502290A - 力制御システム - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
この出願は、米国特許出願第09/088,922号(現在、米国特許第6,091,2157号)の継続出願である米国特許出願第09/513,906号(現在、米国特許第6,225,767号)の一部継続出願である。これらの両方の出願は、これらの全体を参照することにより、本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新規な磁束制御システムに係わり、特に、動作制御の用途で使用できる磁束制御システムに関する。更に特別には、本発明は、摩擦溶接機で使用できる新規な動作制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
殆どの電磁システムにおいて、システムの1つの構成要素から他の構成要素へのエネルギの移動は、システムの適切な動作にとって重要である。多くの電磁システムにおいて、このようなエネルギの移動は、システムの1つの構成要素を適切に励磁して、システムの他の構成要素と相互に作用する磁束を形成し、励磁された構成要素から他の構成要素へとエネルギを移動することにより成される。エネルギ移動が磁束によって成されるにもかかわらず、周知の電磁システムにおいて、システムの磁束は、直接に制御されない。その代わり、電流、電圧、磁束の間の想定された関係に基づいて、励磁される部材に加えられる電流および/または電圧が制御され、想定された関係に基づく電流および/または電圧の制御によって、適切な磁束が形成されると考えられる。このような電流および/または電圧の制御は、一般に、現在まで実施されているため、従来技術にあっては、電磁システムの磁束を直接に制御できる有効で且つ低コストな簡単に実施できるシステムを提供できなかった。
【0004】
前述した電流および/または電圧制御システムの1つの欠点は、電流、電圧、磁束の間の関係が数学的に簡単に示されず且つ様々な変数に基づいて非線形的な態様で変化するという点である。例えば、システムにおける磁性体の各片の特定の特徴により、電圧、電流、磁束の関係がシステム間で異なり、また、これらの関係は、所定のシステム内であっても、システムの部分間で異なる。電圧、電流、磁束の関係がこのように異なるため、電流および/または電圧を正確且つ適切に制御して、所望の磁束を形成すること、したがって、所望のエネルギ移動を行なうことは難しい。そのため、従来技術は、その能力において、磁束を直接に制御する電磁システムを提供することに限界がある。
【0005】
従来技術における適切な磁束制御システムの不足は、システムの一方の構成要素によりシステムの他方の構成要素に作用する力が最終的に制御されることが望ましい電磁システムにおいて特に顕著である。そのようなシステムにおいて、システムによって形成される実際の力は、システムの励磁された構成要素によって形成される磁束に関連している。しかしながら、前述したように、従来技術は、磁束を直接的に且つ細かく制御することができないため、そのようなシステムによって形成された力を細かく制御することができない。
【0006】
電磁システムで形成された力を細かく制御できないという従来技術の欠点は、システムの少なくとも1つの構成要素の動きを正確に制御しなければならない用途において特に深刻である。そのような用途の一例は、摩擦または振動溶接機である。この溶接機は、直線、軌道、回転または任意の振動動作を用いて、溶接される熱可塑性部品と他の熱可塑性部品とを、これらの2つの部品をその溶接される面に沿って接触させた状態で相対的に移動させるものであり、この部品同士の相対的な移動により、摩擦が生じ、その交わり領域に沿って部品が加熱されるとともに、移動の停止時に、部品同士が冷却されて溶接される。
【0007】
摩擦溶接機は、部品内に摩擦熱を引き起こす直線、回転、または軌道振動力によって熱可塑性部品を溶接する場合に特に適している。溶接される界面に生じるこの摩擦熱により、部品同士は、その界面で溶解し、冷却時に互いに接合する。摩擦熱を発生させる振動力は機械的な連結手段によって形成することができるため、電磁システムを使用して必要な制御動作を形成することは一般的である。
【0008】
電磁的に或は液圧的に駆動される多数の摩擦溶接機は、市販されており、直線的な振動形態で動作することができる。しかしながら、これらの摩擦溶接機の動きは理想的ではない。溶接部品の直線移動または側方移動により、溶接材料の界面での摩擦力は、並進的であり、溶接部品が逆方向に反転する毎に速度を0まで降下させる。溶接部品の速度が0になると、熱が発生されず、摩擦溶接が抵抗プロセスとなると、溶接部品の界面での平均二乗相対速度および抵抗力の積に応じて熱が生じる。
【0009】
また、多くの直線移動溶接システムは、電磁システム、または、周知の「スコット・ティー」磁気回路を使用して三相電力を単相機械動作に変換するドライバを使用する。そのようなシステムにおいては、システムのドライバ部品の電磁的に結合された特徴により、可動部材の動きを全ての方向で正確に制御することが難しく、また、可動部材におけるゼロ速度間隔を制限することが難しい。したがって、ゼロ速度成分を減らし或は最小限に抑えるとともに制御回路の簡略化を図るべく、部品を摩擦溶接するための他の動作およびコントローラが開発されてきた。
【0010】
回転溶接機は、溶接部品が1つの軸を中心に回転され、直線運動ではない回転力が界面で摩擦熱を生じさせるそのような1つの選択肢である。しかしながら、回転力は、回転中心からの径方向距離に比例するため、溶接部品の速度も、それによって生じる熱も、径方向で均一ではない。また、回転溶接機は、一般に、溶接される部品が円形の幾何学的形状を有する用途に制限される。
【0011】
第2の選択肢は、溶接部品の軌道運動を電磁的に形成することである。軌道運動中、部品同士が擦り合わされているため、溶接部品の速度は一定に保たれ、これにより、直線移動によって形成されるのと同じ大きさの摩擦熱が発生されるが、必要とされる力が小さく、また、溶接部品の相対的な移動量が少ない。
【0012】
軌道溶接の有利な加熱にもかかわらず、軌道運動を用いた溶接に従わず直線運動または回転運度による溶接に従う部品がある。したがって、電磁的に駆動され且つ直線運動または軌道運動を形成することができる摩擦溶接機が開発されてきた。そのような摩擦溶接機の1つが、スナイダーの米国特許第5,378,951号に開示されている。これらの摩擦溶接機の電磁駆動システムは、幾つかの点で、電磁モータにおけるそれと類似している。
【0013】
そのようなシステムにおいては、連結された3つの磁気コイルが、移動面と平行な面内で、溶接機の周囲に等距離で配置されている。これらの連結された磁気コイルは、デルタ接続または「Y」接続状態で電気的に接続されており、これにより、基本的に、軌道モータステータ部品が形成される。磁性体の1つの本体として別個に形成される三角形のアーマチュアまたはロータ部品は、ステータ部品に対して中心に配置されており、これにより、三角形のアーマチュアの各面が磁気コイルに隣接される。アーマチュアは、大規模な固定フレームに接続された曲げスプリング支持機構により、水平な軌道面内に保持されている。アーマチュアの軌道運動は、制御された三相AC電流を連結された磁気コイルに加え、形成される磁束に比例する力をアーマチュアに生じさせることによって起きる。このようなアーマチュアの動作は、AC電源ラインの周波数の2倍のサインおよびコサインに振幅が比例する変位ベクトル、速度ベクトル、加速度ベクトルに分解することができる。アーマチュアの直線運動は、第2の軌道モータを加えることにより、あるいは、1つの軌道モータの連結された各磁気コイルを2つの領域に分割するとともに、並列または直列接続状態の様々な領域に選択的に電流を加えることにより形成される。
【0014】
連結された磁気コイルを使用して軌道運動を形成すると、幾つかの欠点が生じる。まず第1に、連結された磁気コイルを使用すると、磁気回路の磁束経路の連結に起因して、一方向に形成される力が常に反対方向の反力成分を形成するため、システム全体の性能が低下する。第2に、システムは、軌道でも直線でもない動き、すなわち、全く自由な動きを形成することができない。システムがアーマチュアの不均一な質量分布を補償する必要がある場合、あるいは、ランダムな軌道が望ましい場合には、溶接部品の自由な動きを形成することが望ましい。
【0015】
最後に、アーマチュアの軌道運動または直線運動を形成するための制御システムは複雑になる。連結された磁気コイルが軌道モータで使用されると、システム内の磁束は、総計で0になるように制約される。これに加えて、AC位相電流も総計で0になるように制約されると、自由な動きを生じるための任意の力を形成することができる十分な自由度が磁気システム中に無くなる。しかしながら、位相電流は、総計で0になるように制約されないため、磁気システム中に十分な自由度が存在し、これにより、任意の力を形成することができるが、これらの任意の力を形成するためには連続的な磁束演算が必要である。
【0016】
磁気コイル間、および、そのようなシステムにおけるアーマチュアの隣り合う面同士の間の各空隙を横切る磁束は、3つの全ての位相電流および非線形磁気の関数である。そこには、使用されない或は励磁されない磁気コイルが全くない。このことは、そのようなシステムにおいて任意の形式の細かい磁束制御を使用する能力を制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、従来技術におけるこれらの限界および他の限界に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様においては、電磁アクチュエータのための力制御システムが提供される。前記アクチュエータは、1つのコアを有する固定部材と、1つの可動部材と、少なくとも1つの位相コイルとを有し、前記位相コイルは、位相コイルが励磁される時に前記コア内に磁束を形成して前記可動部材に力を作用させるように配置されている。力制御システムは、前記可動部材の瞬間の位置および速度を示す信号を出力するオブザーバと、前記オブザーバからの出力と、所望の位置および所望の速度を示す信号とを受ける位置コントローラとを有している。前記位置コントローラは、前記オブザーバからの出力と前記所望位置・速度信号とを比較して位置・速度エラー信号を形成する。また、前記位置コントローラは、前記位置・速度エラー信号に基づき所望の速度をもって前記可動部材を所望の位置に位置決めするために必要な力コマンド信号を形成する。磁束コントローラは、前記力コマンド信号を受けて、この力コマンド信号を磁束コマンド信号に変換するとともに、磁束コマンド信号に基づいて位相励磁信号を形成する。本発明の特定の実施形態においては、位置成分を力コマンド信号から除去することにより、可動部材の速度だけが制御される。
【0019】
本発明の他の態様において、電磁アクチュエータのための力制御システムは、入力部と出力部とを有し、前記入力部が前記位相コイルに接続される磁束オブザーバを有している。この磁束低域通過フィルタは、前記位相コイルに印加される電圧を低域通過フィルタに通して、前記位相コイルの磁束を推定するとともに、推定された磁束を示す信号を前記出力部で供給する。例えば、前記磁束オブザーバは、Vn−In*Rnを低域通過フィルタに通しても良い。ここで、Vnは前記位相コイルの電圧であり、Inは前記位相コイルの電流であり、Rnは前記位相コイルの抵抗である。磁束コントローラは、磁束コマンド信号および前記磁束オブザーバからの出力を受けるとともに、位相励磁信号を供給することにより、前記磁束コマンド信号が少なくとも所定の大きさだけ前記推定された磁束信号よりも大きい時に、前記位相コイルの磁束を増大させるように前記位相コイルを励磁するとともに、磁束フィードバック信号が少なくとも所定の大きさだけ前記磁束コマンド信号よりも大きい時に、前記位相コイルの磁束を減少させるように前記位相コイルを励磁する。
【0020】
更にまた、孔を画定するとともに、1つのコアを有する外側の固定アセンブリを備えた電磁アクチュエータが開示される。位相コイルは、それ自身が励磁される時に前記コア内に磁束を形成するように配置される。可動部材は、前記コア内に形成される磁束により力を受けるように、前記固定アセンブリによって画定される前記孔内に配置される。磁束オブザーバは、位相コイルに接続される入力部を有している。磁束オブザーバは、位相コイルに印加される電圧を低域通過フィルタに通して、前記位相コイルの磁束を推定するとともに、推定された磁束を示す信号を前記出力部で供給する。磁束コントローラは、磁束コマンド信号および前記磁束オブザーバからの出力を受ける。これらの信号に基づいて、磁束コントローラは、位相励磁信号を供給することにより、前記磁束コマンド信号が少なくとも所定の大きさだけ前記推定された磁束信号よりも大きい時に、前記位相コイルの磁束を増大させるように前記位相コイルを励磁するとともに、磁束フィードバック信号が少なくとも所定の大きさだけ前記磁束コマンド信号よりも大きい時に、前記位相コイルの磁束を減少させるように前記位相コイルを励磁する。
【0021】
特定の典型的な実施形態において、外側の前記固定アセンブリは、磁気的に分離された実質的に同一の複数のE−コアを備え、各E−コアは、中央アームと、2つの二次アームとを形成している。各E−コアの中央アームは位相コイルによって取り巻かれ、これにより、所定の位相コイルに電気的なエネルギが加えられると、対応するE−コアに磁束が形成される。そのようなシステムは、例えば2位相システムまたは4位相システムを備えている。
【0022】
本発明の他の目的および利点は、図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば明らかになる。
【0023】
本発明は、様々な変更および他の形態が可能であるが、その特定の実施形態は、図面に一例として示されており、ここで詳細に説明する。しかしながら、ここで説明する特定の実施形態は、本発明を開示された特定の形態に限定しようとするものではないことは言うまでもなく、逆に、意図することは、添付の請求の範囲によって規定される本発明の思想および範囲内に入る全ての変更、等価物、変形例を網羅するものである。
【0024】
以下、本発明の図示の実施形態について説明する。明瞭にするため、この明細書では、実際の実施の全ての特徴について説明しない。無論、そのような任意の実際の実施形態の開発においては、実施毎に異なるシステムに関連する制約およびビジネスに関連する制約の遵守といった、開発者の特定の目的を達成するために、多数の実施固有の決定をしなければならないことは言うまでもない。また、そのような開発努力は、面倒であり、時間を要するものであるが、それにもかかわらず、この開示内容の利益を受ける当業者にとっては、決まりきった仕事である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図面の特に図1を参照すると、本発明の特定の態様にしたがって構成された新規な磁束制御システム10が示されている。一般に、この新規なシステム10は、入力部で磁束コマンド13を受け且つ出力として位相コイル励磁信号14を供給する磁束コントローラ12を有している。位相コイル励磁信号14は、適当な手段により、電磁システム15に供給される。磁束オブザーバ16は、電磁システム15の磁束に対応するフィードバック信号を磁束コントローラ12に供給する。一般に、磁束コントローラ12は、電磁システム15の磁束が磁束コマンド13に従うように電磁システム15を励磁する位相コイル励磁信号14を供給する。
【0026】
電磁システム15は、少なくとも1つの位相コイルおよびコアを有する電磁システムであっても良い。この場合、電力を加えることによって(例えば、制御電圧および/または制御電流を加えることによって)位相コイルを励磁してコア内に磁束を形成することができる。例えば、電磁システム15は、コアの周囲に位相コイルが巻回された鉄芯誘導子、または、一次巻線および二次巻線がそれぞれコアの周囲に巻回された変圧器と同じ程度に単純であっても良い。
【0027】
本発明の磁束制御システム10は、電磁システム15が励磁されることによって可動部材を移動させる電磁アクチュエータを構成する電磁システム15に対して特定の用途を有すると考えられる。例えば、図1の磁束制御システムは、1または複数の位相コイルが周囲に巻回される1つの主コア(または、磁気的に分離された複数のコア)を有する電磁システム15に対して特定の用途を有すると考えられる。そのような実施形態においては、一般に、コアが励磁される時にコアと相互に作用する可動部材が設けられ、コアの励磁によって可動部材が移動される。前記可動部材は、リラクタンスマシンのロータとステータとの間の相互作用と同様な形態で励磁されたコアと相互に作用するスチール等の常磁性体片、または、そのような常磁性体片の積層体であっても良い。また、前記可動部材は、永久磁石マシンのロータとステータとの間の相互作用と同様な形態で励磁されたコアと相互に作用する1または複数の永久磁石(または電磁石、または誘導コイル)を有していても良い。以下の説明は、1または複数の特定の電磁システム15に関するものであるが、当業者であれば分かるように、多くの電磁システム15と共に前述した磁束制御システム10が使用されても良く、また、ここでの説明が本発明を図解して明らかにするためのものであって本願の請求の範囲を限定するものではないことは言うまでもない。
【0028】
図1には、位相コイルを1つだけ有する電磁システム15が示されている。電磁システム15が複数の位相コイルを有する用途において、励磁信号14は、個々の位相コイル毎に別個の励磁信号を有する励磁ベクトルの形態を成していても良い。そのような用途において、磁束コマンド13は、様々な位相コイル毎に別個の磁束コマンド信号を有する磁束コマンドベクトルの形態を成していても良い。そのような用途において、各位相コイルに関連する磁束は、独立に制御されても良い。明確にするため、以下においては、最初に、位相コイルを1つしか持たない電磁システム15を含むシステムに関し、磁束コントローラ12の構成および作用を中心に説明する。当業者であれば分かるように、ここで説明する単相磁束コントローラを単に複合することにより、多相磁束コントローラ12を構成することができる。
【0029】
図2Aおよび図2Bは、磁束制御システム10の一実施形態を詳細に示している。図2Bは、電磁システム15を励磁するための電気駆動回路を示しており、図2Aは、図2Bの電気駆動回路に制御信号を供給する制御回路を示している。図2Bの電気駆動回路について最初に説明する。
【0030】
図示の実施形態においては、コアの周囲に1つの位相コイルが巻回された電磁システム15が示されている。位相コイルは2つの端部を形成している。位相コイルの2つの端部は、上側切換装置17と下側切換装置18と下側フライバックダイオード19と上側フライバックダイオード20とから成る切換ブリッジによって、高電圧DCバス(VHDC)間に接続されている。切換装置17、18は、制御信号を加えることによって制御できるパワーMOSFET、BJT、BIFET、IGBT、MCT、標準FET等の任意の適当な制御可能な切換装置、または、他の適当な切換装置であっても良い。図示の実施形態において、上側切換部材17は、制御信号SUによって制御され、下側切換装置18は、制御信号SLによって制御される。フライバックダイオード19、20は、ダイオードのような(例えば一方向)電流特性を呈する任意の装置であっても良い。
【0031】
一般に、切換信号SU、SLは、3つの切換状態、すなわち、(i)上側切換部材17および下側切換部材18の両方が通電状態にされる第1の状態と、(ii)切換部材の一方だけが通電状態にされる第2の状態と、(iii)いずれの切換部材も通電状態にされない第3の状態とを形成するように発せられても良い。切換信号SU、SLが第1の状態となり、上側切換部材17および下側切換部材18の両方が通電状態にされると、位相コイル18がVHDCバス間に接続され、これにより、VHDCバス(+VHDC)の+レールから電磁システム15の位相コイルを介してVHDCバスのグランドへと電流が流れる。この電流は、VHDCバスから電磁システム15へと伝えられるエネルギを引き起こし、これにより、システム15の磁束が増大する。
【0032】
切換信号SU、SLが第2の状態となり、切換部材17、18の一方だけが通電状態にされ、他方の切換部材が非通電状態にされると、システム15の位相コイル間に印加される電圧が実質的に0になる。この第2の切換状態において、位相コイル中の任意の電流は、通電状態の切換装置および一方のフライバックダイオードを通じて、「自由に流れる(freewheel)」。例えば、位相コイル15中に電流が存在し、信号SU、SLによって上側切換部材17が通電状態となり且つ下側切換部材18が非通電状態になると、位相コイル中の電流は、VHDCバスの+レールから位相コイルを通じて「自由に流れる(freewheel)」とともに、上側フライバックダイオード20を介してVHDCバスの+レールへと戻る。そのような状況において、位相コイル間に印加される電圧は、フライバックダイオード20の両端での電圧降下+切換装置17の両端での電圧降下、すなわち、ほぼ0電圧となる。同様の実質的な0電圧状態は、下側切換部材18が通電状態にされ且つ上側切換部材17が非通電状態にされる時に得られる。そのような状況下で、電流は、下側切換部材18および下側フライバックダイオード19を通じて自由に流れる。このように位相コイル中の電流が自由に流れるフリーホイール状態になると、位相コイルによって形成される磁束は、実質的に一定に維持され、あるいは、僅かに減少する。そのため、電磁マシンのエネルギすなわち磁束は、ほぼ一定に維持され、あるいは、僅かに減少する。
【0033】
切換信号SU、SLが第3の状態になり、上側および下側の両方の切換部材17、18が開かれると、この切換状態の初期においては、位相コイル中の任意の電流が流れ続ける。これは、位相コイルが誘導部材であり、電流が瞬間的に0まで降下できないためである。しかしながら、上側および下側の切換部材17、18は非通電状態であるため、この電流のための経路は、VHDCバスのグランドレールから、下側フライバックダイオード19とシステム15の位相コイルと上側フライバックダイオード20とを介して、VHDCバスの+レールへと至る。したがって、この第3の状態において、システム15の位相コイル15は、マイナスの態様でVHDCバス間に接続され、これにより、VHDCバスのマイナス電圧が位相巻線の両端に印加される。このようにVHDCバスのマイナス電圧を位相巻線に印加すると、任意の磁束が急速に引き起こされるようになり、これにより、位相巻線の電流が0まで減少する。したがって、SU、SL信号が第3の状態にあると、電磁システム15に蓄えられるエネルギが散逸し、すなわち、VHDCバスに戻され、システム中のエネルギすなわち磁束が減少する。
【0034】
当業者であれば分かるように、図2Aおよび図2Bに示される特定の切換え方法は、位相コイルの励磁を制御するために使用できる手法のうちの1つでしかない。他の切換方法、例えば4つの切換装置を有する完全H−ブリッジを利用する切換方法を使用しても良い。一般に、システム15内の磁束が増大されるか、実質的に一定に維持されるか、あるいは、減少されるように位相コイルの励磁を制御できるここで説明したシステムを実施するために、任意の切換装置を使用しても良い。
【0035】
図2Aおよび図2Bの実施形態において、切換信号SU、SLは、磁束コントローラ12によって供給される。典型的な磁束コントローラ12の概略的な図が図2Aに示されている。
【0036】
図2Aを参照すると、図示の磁束コントローラ12は加算接合器25を備えている。この加算接合器25は、所望の磁束レベルに対応する磁束コマンド信号13をプラス入力部で受けるとともに、電磁システム15内の磁束に対応する磁束オブザーバ16からの磁束フィードバック信号をマイナス入力部で受ける。加算接合器25は、磁束フィードバック信号を磁束コマンド13から差し引き、実際の磁束と所望の磁束との間の差に伴って変化するエラー信号を形成する。磁束エラー信号がプラスである場合、磁束コマンドは磁束フィードバックよりも大きく、そのため、システム15内の磁束を増大させて、磁束を磁束コマンドに一致させる必要がある。エラー信号がマイナスである場合、フィードバック磁束は磁束コマンドよりも大きく、そのため、システム15内の磁束を減少させて、システム内の磁束を磁束コマンドに一致させる必要がある。加算接合器25からのエラー信号は、最初に、増幅器26によって増幅され、その後、励磁制御回路21に供給される。
【0037】
励磁制御回路21は、エラー信号の大きさに応じて、電磁システム15内の磁束を増大させ、または減少させ、または安定化させるための切換信号SU、SLを形成する。
【0038】
励磁制御回路21は多くの形式を取り得る。例えば、コントローラは、従来の形式のパルス幅変調またはパルス周波数変調を利用して、位相コイルの励磁を制御しても良い。また、励磁制御回路21は、エラー信号がプラスの時に両方の切換装置17、18を閉じ且つエラー信号がマイナスの時に両方の切換装置を開くと共にエラー信号が0の時に一方の切換装置を開いて他方の切換装置を閉じるコントローラの形式を取っても良い。位相コントローラ21の一実施形態においては、エラー信号が0になりエラー信号が制御されたヒステリシス帯域から外れるまでフリーホイールし得るように、切換信号SU、SLが制御される。そのようなタイムヒステリシスコントローラを、ここでは、「ゼロ復帰エラー」コントローラすなわちRZEコントローラと称する。前記RZEコントローラは、所望の磁束コマンドが急速に変化しておらず且つ利用可能な電力が十分大きいためにトラッキングを比較的迅速に行なわせることができる用途において、磁束基準トラッキングの「遅れ」が制御システムの1つのサンプリング時間よりも短くなるように磁束コマンド信号を迅速にトラッキングすることができるという点で有益である。
【0039】
ここで説明したRZE制御回路の一実施形態を示す詳細な回路図が図2Cに示されている。一般に、図2CのRZEコントローラ21は、ゼロエラーに中心付けられた2つの隣り合う非対称なヒステリシス帯域を協働して形成する上側コンパレータ22Aおよび下側コンパレータ22Bを有している。各コンパレータは、エラーの1つの極性だけを扱う。2つのコンパレータからの出力はインバータ23a、23bに供給され、2つのインバータの出力はSU、SL信号に対応している。
【0040】
一般に、増幅器26からのエラー信号の大きさが大きく且つプラスである場合(電磁システム内の磁束を増大する必要があることを示している)、コンパレータ22a、22bの出力は共に低い。これらの装置の制御ゲートにプラスの電圧が印加される場合に、上側および下側の切換装置17、18が通電状態にされるタイプであるとすると、コンパレータ22a、22bの低い出力がインバータ23a、23bによって反転され、これにより、高レベルなSU、SL信号が形成される。そのため、切換装置が第1の切換通電状態におかれ、電磁システム15の磁束が増大する傾向となる。
【0041】
増幅器26からのエラー信号の大きさが大きく且つマイナスである場合、両方のコンパレータ22a、22bの出力は高い。これらの高い信号はインバータ23a、23bによって反転され、これにより、低電圧SU、SL信号が生じ、この低電圧SU、SL信号によって、上側および下側の切換装置17、18の両方が非通電状態にされる。そのため、電磁システムの電流(したがって、磁束)が減少する。
【0042】
増幅器26からのエラー信号が大きいプラス値と大きいマイナス値との間である場合、切換信号SU、SLの状態は、ヒステリシス電圧+VH、−VHと比較すると、エラー信号の大きさによって決まる。図示の実施形態において、ヒステリシス電圧+VH、−VHの印加はトリガ信号Tによって制御され、これにより、T(24a)がロジック・ハイ(logic high)である場合、コンパレータ22aのプラス入力部にヒステリシス電圧+VHが印加され且つ下側コンパレータ22bにヒステリシス電圧が印加されない。また、T(24b)がロジック・ロー(logic low)である場合、下側コンパレータ22bにヒステリシス電圧−VHが印加され且つ上側コンパレータ22aにヒステリシス電圧が印加されない。後述するように、トリガ信号Tは、状態を変更して、コンパレータ22a、22bに対するヒステリシス電圧+VH/−VHの印加を制御する。
【0043】
トリガ信号がロジック・ハイとなる最初の状態が存在すると仮定すると、電磁システム15の磁束はコマンド磁束を下回り、これにより、増幅器26からのエラー信号は大きいプラスとなり、コンパレータ22a、22bの出力は共にロー(low)となる(その結果、ロジック・ハイSU、SL信号が生じる)。そのような状況下で、システム15の磁束は増大し始め、これにより、増幅器26からのエラー信号の大きさは減少し始める。ある時点で、エラー信号の大きさは、大きいプラスの値から0へと減少し始める。エラー信号が0に達して0を通り過ぎた時点で、下側コンパレータ22bの出力(ヒステリシスフィードバックを有さない)は状態が変化し、そのため、SL信号がハイからローに移行する。これにより、切換装置が第2の切換状態におかれ、その結果、電磁システム15の電流がフリーホイール状態となり、磁束が一定に維持され或いは僅かに減少する。また、SU、SL信号のこのような状態変化により、トリガ信号Tの状態も変化し、その結果、下側コンパレータに対して−VHフィードバック電圧が印加される。増幅器26からのエラー信号が低下してヒステリシス値を下回る点まで磁束が減少すると、下側コンパレータ22bの出力が再び状態を変化させ、これにより、SL信号がローからハイへと変化する。その結果、電磁システム15に再び電力が加えられ、システム15の磁束が増大し、エラー信号が−VHと0との間で絶えず変化する。
【0044】
トリガ信号がロジック・ローとなる最初の状態の第2のセットが存在すると仮定すると、励磁システム15の磁束はコマンド磁束を上回り、これにより、増幅器26からのエラー信号が大きいマイナスとなり、コンパレータ22a、22bの出力が共にハイ(high)となる(その結果、ロジック・ローSU、SL信号が生じる)。そのような状況下で、システム15の磁束は減少し始め、これにより、増幅器26からのエラー信号の大きさは増大し始める。ある時点で、エラー信号の大きさは、大きいマイナスの値から0へと増大する。エラー信号が0に達して0を通り過ぎた時点で、上側および下側コンパレータ22a、22bの両方の出力は状態が変化し、そのため、SU信号およびSL信号の両方がロジック・ローからロジック・ハイに移行する。これにより、切換装置が第1の切換状態におかれ、その結果、励磁システム15の電流が増大し、磁束が増大する。また、SU、SL信号のこのような状態変化により、トリガ信号Tの状態も変化し、その結果、上側コンパレータ22bに対して+VHフィードバック電圧が印加される。増幅器26からのエラー信号がヒステリシス値を超える点まで磁束が増大すると、上側コンパレータ22bの出力が再び状態を変化させ、これにより、SU信号がロジック・ハイからロジック・ローへと変化する。SL信号はロジック・ハイのままであるため、切換装置はフリーホイール状態に置かれ、システム15の磁束が一定に維持され或いは僅かに減少する。そして、エラー信号が0と+VHとの間で絶えず変化する。
【0045】
したがって、前述したように、図2Cのヒステリシスコントローラは、(i)磁束がマイナスのヒステリシス量だけ所望のレベルを下回った場合には、磁束が増大されるように、(ii)磁束がプラスのヒステリシス量だけ所望の磁束レベルを上回った場合には、磁束が減少されるように、(iii)磁束がプラスのヒステリシス値とマイナスのヒステリシス値との間にある場合には、磁束を実質的に一定に維持でき或いは僅かに減少できるように、電気機械システム15の磁束を制御することができる。図2Cに関して説明したタイプのヒステリシスコントローラの構造および動作に関する更なる詳細は、1996年6月25日に発行された「誘導負荷の制御」と題されるMichael J. Turnerによる米国特許第5,530,333号明細書において見出すことができる。米国特許第5,530,333号明細書の全体は、これを参照することにより、本願に組み込まれる。
【0046】
この開示内容から利益を得る当業者であれば分かるように、図2Cの磁束コントローラ21は、図1の磁束制御システムを実施するために使用できる多くの様々な磁束コントローラのうちの1つでしかない。
【0047】
なお、図1に戻ると、図示の磁束制御システム10において、磁束オブザーバ16からの磁束フィードバック信号は、電磁システム15の磁束レベルの表示を与える。磁束オブザーバ16は、磁束センサ(例えば、ガウスメータ)、薄膜ホール装置等のホール効果プローブ、SQUID(超伝導量子干渉素子)、または、例えば所定のコイルの磁束が湾曲した隙間を測定する磁束計算機の形態を成していても良い。
【0048】
各位相コイルが0磁束状態となる一定の時間が存在するように(すなわち、0ではない時間の間、各コイルの磁束が0となるように)電磁システム10の位相コイルが励磁されるシステムの場合、オープンループ磁束オブザーバにより、各コイルにおける磁束は、その位相コイルにおける周知の0磁束期間中に0にリセットされると評価されても良い。そのようなオープンループ磁束オブザーバは、1つのコイルにおける磁束とそのコイルの電流および印加電圧との間の周知の関係を付け加えた磁束の表示を与えても良い。このような周知の関係は、以下の方程式1で表わされる。
【数1】
【0049】
ここで、V_phase_n(t)は、時間の関数としての位相コイル電圧に対応する信号であり、i_phase_n(t)は、時間の関数としての位相コイル電流に対応する信号であり、Rは、位相コイル抵抗に対応する値であり、Ntは、位相コイルの巻数である。
【0050】
従来のオープンループ積分器は、各位相コイルにおけるおおよその磁束を測定するために使用されても良い。ドリフトの問題を避けるため、周知の0磁束状態中にオープンループ磁束積分器を0にリセットして、経時的な積分器での不確定性の増大を最小限に抑えるようにしても良い。積分器のリセットは、時間に基づいて行われても良く(0磁束状態が周知の期間で生じる場合)、あるいは、積分器が単純なクランプ積分器であっても良い。電磁システム15が励磁されて、単極磁束だけがシステム中に形成される場合には、0にクランプされるクランプ積分器を使用しても良い。
【0051】
図3Aは、図1に示される制御システム10で使用できるオープンループ磁束オブザーバ30の典型的な実施形態を概略的に示している。図3Aに示されるように、この典型的なオープンループ磁束オブザーバは、その入力として4つの電圧入力信号の合計に等しい信号を受けるクランプ積分回路31を備えている。積分回路31への入力を決定する4つの電圧入力信号は、図3の上から下に記載されている。すなわち、(i)電力切換装置17、18の動作に関連付けられた一定の電圧降下に対応する+V INTCP電圧、(ii)位相電流iの大きさに対応する電圧信号、(iii)インバータ31の入力部に対して切換可能に接続される+VDC信号、(iv)インバータ31の入力部に対して切換可能に接続される−VDC信号である。+VDC、−VDC信号は、システム15の位相コイルに印加される高電圧VHDCに関連付けられたプラスレベルおよびマイナスレベルと周知の態様で関係するDC電圧レベルに対応している。一般に、+VDC、−VDC信号は、高電圧DCバスに関連付けられた+VHDCおよび−VHDC信号よりも比例的に小さい。
【0052】
図3Aの実施形態において、+VDC信号は、SU、SL信号の両方がロジック・ローの時(すなわち、位相コイルに接続される切換装置が作動し、+VHDCバスが位相コイルに加えられる時)に通電状態にされる制御スイッチ32aを介して、積分器31の入力部に接続されている。同様の態様で、−VDC信号は、SU、SL信号の両方がロジック・ハイの時(すなわち、位相コイルに接続される切換装置が作動し、−VHDCバスが位相コイルに加えられる時)に通電状態にされる制御スイッチ32bを介して、積分器31の入力部に接続されている。クランプ積分器31の出力は、−1*磁束(信号が反転される)となる。磁束推定値を見るため、クランプ積分器の出力部で、amp with gain=−1を使用することができる。この磁束推定値の反転は、磁束コントローラエラー増幅器でうまく利用される。エラー増幅器は、入力として磁束基準(flux ref)および磁束推定値を伴い且つ結果として出力部でK増幅率(磁束基準−磁束推定値)が生じる加算増幅器である。
【0053】
+VDCおよび−VDC信号とVHDCバスとの間の周知の関係により、積分器31の入力部で現われる電圧は、位相コイルに印加される電圧に直接に対応する。そのため、積分器に加えられる入力電圧の積分により、電磁システム15の磁束に直接に対応する信号が生じる。図示の回路は、0よりも大きいクランプされた磁束推定値出力を有する。
【0054】
位相コイルに印加される実際の電圧を示す信号を供給するために切換装置32a、32bおよび+VDC、−VDC信号を使用することは有益であると考えられる。これは、実際のDCバス値の大きさが一般に比較的高い(数百ボルト以上程度)ためである。そのため、位相コイルに印加される比較的高い電圧を直接に積分するべく、大きくて高価な構成要素を必要とする。図3Aの方法を使用することにより、安価で低電圧の装置を使用して、システム15の磁束の正確な表示を与えることができる。この開示内容によって利益を受ける当業者であれば分かるように、位相コイルに印加される実際の電圧を使用して、積分器31のための入力電圧を形成することができる。また、位相電圧の比率を使用するサーチコイルを使用でき、このコイルから直接に積分できる。
【0055】
図3Aの典型的な回路においては、コイル抵抗のために積分器31への入力を補正するようになっている電圧信号を供給するため、位相電流が抵抗33に加えられる。前述した補正演算のために使用される抵抗33の値は、多くの様々な方法で選択されても良い。比較的簡単な補正因子の場合、抵抗33の値は、対応する電磁システム15の予期される動作状態にわたる位相コイル抵抗の推定値を示す不変値として選択されても良い。Rは、温度および他の作動係数に伴って変化するため、選択されたR値は、各位相巻線における実際のR値の単なるおおよその推定値である。DC電圧注入等、実際の抵抗を推定するために現在使用される熱的なモデルおよび電気的な測定または技術を使用することにより、R値が測定され/推定され/計算される場合には、電流補償を向上させることができる。
【0056】
なお、図3Aに示されるように、ドライブ切換信号SU、SLを使用して、位相コイルに実際に加えられる高電圧信号に対応する低電圧信号を形成したとしても、電流補正因子を得るために使用される電流は、切換電流ではなく、実際の位相電流iである。実際の位相電流は、より正確な電流補正因子を与えるために使用されなければならない。これは、切換電流が位相電流と必ずしも一致していないからである。ドライブ切換信号および低電圧バスを使用することにより、位相コイルに印加される実際の電圧を推定する実施形態において、電流補正因子は、位相コイルに印加される電圧に対応する電圧から電流補正因子を差し引く前に、適切にスケーリングされなければならない。
【0057】
図3Aに関して前述したように、正確な積分器を使用してシステム15の磁束の推定値を得ても良いが、多くの用途においては、より単純化された手法を使用しても良い。特に、システム15の磁束がバイポーラゼロ平均(不連続または連続)である場合、システムの磁束は、位相コイルに印加される電圧を単に低域通過フィルタに通す(V−iR)ことにより(あるいは、図3Aの積分器31に印加される電圧が位相コイル電圧と一致するように電圧を低域通過フィルタに通すことにより)、ほぼ推定することができる。低域通過フィルタを使用することによってシステム15の磁束をこのように推定することは、特定の用途において有益である。これは、特定の積分器に関連するドリフトおよびランダムウォーク問題を最小限に抑えることができるためである。図3Bは、位相コイル電圧に対応する信号(コイル抵抗に関して補正されても良い)を低域通過フィルタ34に加えて、位相コイルにおける磁束に対応する信号を形成する方法を概略的に示している。また、形成された信号は、常に駆動電圧に対抗する装置の電圧降下を反映するとともに、バイポーラ励磁電流を含む用途における表示を変更する。
【0058】
積分器の代わりに低域通過フィルタを使用して、所定の位相コイルの磁束を推定する場合、フィルタの時定数は、そのコイルのための磁束励磁の基本周波数に関連付けられた時間よりも高くなければならない。例えば、100Hzの基本周波数で位相コイルが励磁される(10msecの時間)場合、その位相コイルのための低域通過フィルタにおける時定数は、約50msec以上でなければならない。各コイル電圧のゼロ平均電圧および電圧基本周波数に対するフィルタ時定数の比が約5:1(または、それより大きい)とすると、低域通過フィルタは、コイル電圧をほぼ積算して、コイル磁束の有用な推定値を与える。
【0059】
図1から図3Bに関して前述した新規な磁束制御システム10およびその様々な構成要素は、多くの様々な用途で有利に使用することができる。例えば、磁束制御システム10は、従来の誘導電動機、ユニバーサルモータ、切換式リラクタンスモータ、または、永久磁石モータ、ハイブリッドモータ(例えば、PMおよびSR)等の回転電気機械の磁束を制御するために使用されても良い。また、ここで説明した新規な磁束制御システムは、コアを通過する磁束を所定の所望レベルに制御しなければならない様々な較正装置で使用されても良い。更に、ここで説明した磁束制御システムは、電磁作動装置を制御するために使用されても良い。この場合、可動部材の移動は、1または複数の常磁性体コアを通過する磁束を制御することによって制御される。
【0060】
図4は、前述した新規な磁束制御システム10と共に使用できる電磁アクチュエータ40を概略的に示している。一般に、電磁アクチュエータ40は、外側の固定アセンブリ41と、固定アセンブリ41によって形成された孔内に配置された可動部材とを備えている。図示の実施形態において、外側の固定アセンブリ41は、磁気的に分離され且つE−コア43A、43B、43Cを備える略同一の3つの磁束発生器を備えている。各E−コアは、中央アームと2つの二次アームとを有するE形状のコアを形成する実質的に同一の常磁性体(例えばスチール)の積層体から成る。この場合、二次アームは、中央アームの両側に位置されている。ヨーク部は、中央アームを二次アームに接続する。図示の実施形態では、各E−コアにおいて、中央アームの幅は、二次アームの幅よりも大きい。一実施形態では、各E−コアにおいて、2つの二次アームの幅は、実質的に同一であり、中央アームの幅の約1/2または1/2よりも僅かに小さい。一般に、E−コア43A、43B、43Cを構成するために、切換式リラクタンスマシンのステータコアを構成するために使用される同じ構成技術を使用しても良い。
【0061】
各E−コア43A、43B、43Cの中央アームの周囲に位相コイルが配置されている。図示の実施形態において、各位相コイルA、B、Cは、同じ巻数であり、同じ方法で形成されており、これにより、3つの位相コイルA、B、Cは「対称」となっている。
【0062】
各位相コイルは、そのそれぞれのE−コアの中央アームの周囲に配置されており、これにより、位相コイルに電気エネルギが加えられると、位相コイルに電流が流れ、E−コアを貫く磁束が形成されるようになっている。E−コア43A、43B、43Cの位相コイルA、B、Cに電流が流れる時に形成されるおおよその磁束経路が図4に曲線で示されている。図示のように、3つのE−コアにおける磁束経路は実質的に同一であり、各E−コアの磁束経路は、中央アームを貫く中央磁束経路と、二次アームを貫く2つの二次磁束経路とを形成する。
【0063】
図4を再び参照すると分かるように、3つのE−コア43A、43B、43Cから成る装置は、E−コアによって略三角形の孔が形成されるようになっている。この孔内には、実質的に三角形状の可動部材42が配置されている。図示の実施形態において、可動部材42は、実質的に同一の常磁性体(例えばスチール)の積層体から成るが、他の実施形態においては、可動部材が永久磁石(誘導コイル)または電磁石を有していても良い。
【0064】
この開示内容から利益を得る当業者であれば分かるように、図4の電磁アクチュエータ40において、1つのE−コアの1つの位相コイルが励磁されると、可動部材に力が生じ、励磁されたE−コアに向って可動部材が移動するようになる。これは、位相コイルが励磁される時は、常に、励磁された位相コイルのリラクタンスが最小となる位置へと可動部材が移動する傾向があるためである。したがって、E−コア43Aに対応する位相コイルAが励磁される場合には、可動部材42は、E−コア43Aに向って下方に移動して、励磁されたコイルAのリラクタンスを最小にする。
【0065】
図4に示される実施形態において、3つのE−コア43A、43B、43Cは、可動部材の移動を2つの自由度に沿って制御できるように配置されている。例えば、図4のX、Y基準表示を使用して、プラス・マイナスX方向(第1の自由度)およびプラス・マイナスY方向(第2の自由度)の両方向で且つX、Y点によって規定される任意の経路に沿って可動部材が移動するように、可動部材を制御しても良い。このように、3つのE−コアを使用すると、2つの自由度に沿って可動部材を制御することができる。
【0066】
図4の特定のアクチュエータによれば、2つの自由度に沿って可動部材を制御できるが、当業者であれば分かるように、様々な数および配置のE−コアを使用して、3つ以上の自由度または1つの自由度に沿って可動部材の移動を制御しても良い。例えば、たった1つの自由度に沿って(例えば、プラス・マイナスX軸だけに沿って)移動させることができるアクチュエータが望ましい場合には、2つだけのE−コアと共に実質的に矩形状の可動部材を使用することができる。一般に、励磁されたコイルのリラクタンスを最小にする位置へと可動部材が移動しようとする傾向によって可動部材の移動が引き起こされる場合、N個の自由度を制御するためには、N+1個の位相コイルが必要である。
【0067】
永久磁石または電磁石が可動部材上に配置される(したがって、プラスまたはマイナスの電流を用いた1つのコイルの励磁によって、1つの自由度に沿うプラスおよびマイナスの両方の力を生じさせることができる)他の実施形態においては、N個の自由度を制御するために必要なコイルがN個だけである。
【0068】
図4のアクチュエータ40を再び参照すれば分かるように、3つのE−コア43A、43B、43Cにおける磁束経路は、互いに独立している。すなわち、図示された3つのE−コアは、「磁気的に連結されていない」。このような特徴の1つの利点は、各E−コアの磁束を他のE−コアの磁束とは無関係に制御できるという点である。更に、図4の実施形態において、3つのE−コアにおける位相コイルA、B、Cは個別に励磁可能である。すなわち、これらの位相コイルは、「電気的に接続されていない」。そのため、各位相コイルの位相電流を、他の位相コイルの電流とは無関係に制御することができる。以下に詳細に説明するように、各E−コアの磁束および電流を他のE−コアの磁束および電流とは無関係に単独で制御できるというこのような性能は、多くの点で有益である。
【0069】
図4を再び参照すると分かるように、各E−コアにおいて、可動部材に作用して可動部材を励磁されたE−コアに向けて移動させようとする力は、E−コアの中央アームを貫く磁束の平方に比例し、以下の方程式2とほぼ一致する。
【数2】
【0070】
ここで、μ0は、空気の透磁率を示す定数、Sは、可動部材42の面と平行なE−コアの中央アームの断面積に対応する値、fluxは、対象となるE−コアの磁束に対応する信号である。磁束の値は、磁束オブザーバ16の説明に関連して前述したタイプの磁束オブザーバによって与えられても良い。
【0071】
行列表示を使用すると、3つのE−コア43A、43B、43Cにおける磁束と、可動部材に作用して可動部材をE−コア43A、43B、43Cに向けて移動させようとする力との間の関係は、以下の行列方程式1によって表わすことができる。
【数3】
【0072】
ここで、FA、FB、FCは、E−コア43A、43B、43Cのそれぞれの中央アームに向けて可動部材42を移動させようとする力を示しており、また、flux A、flux B、flux Cは、対応するE−コアの実際の磁束または推定された磁束を示している。
【0073】
単純な幾何学的計算により、以下の行列方程式2を使用して、可動部材に作用する力を、FA、FB、FC座標から、X、Y座標の力に変換することができる。
【数4】
【0074】
行列方程式1、2から分かるように、適切な基準座標系(例えば、FX、FY)による所定の任意の望ましい力の場合、その望ましい力を生じることができる十分な数、実際には可能であれば無数のflux A、flux B、flux Cの解が存在する。また、図4のアクチュエータ40のE−コアおよび位相コイルの連結されていない特徴のため、これらの無数の解を不法にする制約は無い。そのため、図示のアクチュエータの特徴により、最適なflux_A、flux_B、flux_Cの解を選択することができる。所望の磁束の解が選択されると、図1から図3Aに関して前述したタイプの磁束制御システム10を使用することにより、それを実施することができる。一般に、3つの各E−コア43A、43B、43Cの磁束を制御するためには、別個の磁束制御システム10が必要である。
【0075】
一般に、1つの最適な「力−磁束」解、すなわち、所望の任意のX、Y力を、その力を生じるために必要なflux_A、flux_B、flux_C値に変えるための変換は、最終的なシステムの磁束を最小にする解、したがって、その磁束を形成するために必要なエネルギの量を最小にする解である。そのような解は、一般に、所望の力を形成するのに最もエネルギ効率が良い手法を与える。また、多くの電磁アクチュエータにおいては、不連続な単極磁束がアクチュエータの1または複数のコア中に形成されるようなアクチェータの作動を必要とする適切な力−磁束変換が存在する。そのような不連続な磁束作用により、前述した有益なオープンループ磁束オブザーバを使用することができる。図4に示される新規な電磁アクチュエータの1つの利点は、アクチュエータの作動中に不連続な単極磁束が3つのE−コア43A、43B、43Cに形成されるようにアクチュエータを作動させることにより、最適な力−磁束変換が行なわれるという点である。
【0076】
所定のシステムにおける最適な力−磁束変換は、(i)様々なアクチュエータ部材(例えばE−コア)に関連する力とそれらのアクチュエータ部材に関連する磁束との間の関係を定めることにより(例えば、行列方程式1によって示される関係を定めることにより)、(ii)所定の基準座標系(例えばX、Y)における所望の力と様々なアクチュエータ部材に関連する力との間の関係を定めることにより(例えば、行列方程式2によって示される関係を定めることにより)、(iii)所定の基準座標系における所望の力に置き換えてアクチュエータ部材の磁束について解き、最小ノルム解となる解を選択することにより、得ることができる。任意の最小ノルム解を使用することができるが、最小ユークリッド・ノルム解である力−磁束解または変換を選択することが有益であることが分かった。最小ユークリッド・ノルム解の概念は、当業者であれば理解しており、William L. Brogenによる現代制御理論(Modern Control Theory)(第3版)の166頁に概ね記載されている。
【0077】
所定のシステムにおける所望の力−磁束変換が定められると、力制御システムにより実際にそれを実施することができる。そのような力制御システムの一実施形態が図5に示されている。
【0078】
図5には、図4に示されたタイプの電磁アクチュエータ40を有する力制御システム50が示されている。電磁アクチュエータ40は磁束コントローラ12’によって励磁され、磁束コントローラ12’は、入力として、所望の磁束コマンドflux_A_cmd、flux_B_cmd、flux_C_cmdおよび磁束フィードバック信号flux_A_est、flux_B_est、flux_C_estを受ける。磁束推定値コマンドは磁束推定器16’によって供給される。磁束推定器16’は、基本的に位相コマンド毎に、図1の磁束オブザーバ16に関して前述した任意の磁束オブザーバの形態をとっても良い。磁束コントローラ12’は、基本的に位相毎に、コンパレータ19’において磁束コマンドを磁束推定値と比較するとともに、増幅器26’でエラー信号を増幅し、励磁制御回路21’を使用することにより適切な位相コイル励磁信号を形成する。コントローラ12’の構成は、基本的に位相毎に、図1の磁束コントローラ12に関して前述した構成に準じていても良い。位相コイルA、B、Cを励磁するために必要な駆動回路は、図5に示されていないが、この開示内容によって利益を得る当業者にとっては自明のことである。
【0079】
磁束コントローラ12’には、力−磁束コントローラ51が接続されている。力−磁束コントローラ51は、所定の基準座標系(図5のX、Y基準座標系)における所望の力コマンドをその入力部で受けるとともに、flux_A_cmd、flux_B_cmd、flux_C_cmdという形の適切な磁束コマンドをその出力部で供給する。磁束コマンドは、図1の磁束コントローラ12に関して前述したと同様な方法で、磁束コントローラ12’により受けられて処理される。
【0080】
力−磁束コントローラ51は単なるアナログ回路によって構成されても良いが、図5に示される実施形態において、力−磁束コントローラ51は、所望の力−磁束変換を行なうように適切にプログラムされるマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラなどのデジタル回路を有している。力−磁束コントローラを構成するためにデジタル回路を使用することは、デジタル回路で簡単に実行される数学的な関係により力−磁束変換を簡単に行なうことができるという点で、また、デジタル回路を使用することにより力−磁束変換を簡単に変更することができるという点で、有益となり得る。また、デジタル回路を使用して力−磁束コントローラ51を実施する場合、入力される力コマンドはデジタルであってもアナログであっても良い。アナログの場合、力コマンドを適切なデジタル値に変換するために、何らかの形式のアナログ・デジタル変換器が必要となる。同様に、デジタルの力−磁束コントローラ51を使用すると、アナログの磁束コントローラが使用される場合、所望の磁束コマンドがデジタルであるとすると、これをアナログ信号に変換する必要がある。デジタルの力−磁束コントローラ51の構成およびプログラミングは、この開示内容によって利益を受ける当業者の能力の範囲内である。
【0081】
図6Aから図6Dは、擬似コードブロックを用いた、プログラム化されたマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用して実施できる力−磁束コントローラ51の1つの典型的な形態を示している。図6Aから図6Dによって例示されたコントローラによって行なわれる力−磁束変換は、図4のアクチュエータにおける最小ユークリッド・ノルム解に対応している。この開示内容によって利益を受ける当業者であれば分かるように、コントローラ51についての説明は、離散的擬似コード機能ブロックに関するものであるが、コントローラは、1または複数のプログラム化されたプロセッサ、アナログ回路、または、これら2つの組み合わせによって実現されても良い。
【0082】
図6Aに示されるように、力−磁束コントローラ51の一般的な動作は、3つの高レベル機能ブロック60、61、62に分割される。一般に、FXY_TO_FABCという符号が付されている機能ブロック60は、所定の基準座標系(ここでは、XY基準座標系)により所望の力コマンドを受けるとともに、この力コマンドを、アクチュエータ40の物理的な配置(ここでは、E−コア43A、43B、43Cの配置)に対応する力コマンドに変換する。機能ブロック61は、アクチュエータ40の配置における前記力コマンドを受けるとともに、これらの力コマンドを、アクチュエータ40の位相コイルに対応する磁束コマンドに変換する。機能ブロック62は、コントローラ51の全体の実施においては必要ない選択的な機能ブロックであり、ブロック61から磁束コマンドを受けるとともに、この磁束コマンドを修正して、限られた時間の間だけ各磁束コマンドが0になるようにする。「flux_zeroing」ブロック62を使用することにより、アクチュエータ40の磁束が不連続になるため、磁束オブザーバ16に関して前述した磁束オブザーバの有利な形態の幾つかを使用することができる。以下、各機能ブロックについて詳細に説明する。
【0083】
図6Bは、機能ブロック60の構造および演算を示している。この機能ブロック60は、FXおよびFYという形で入力された力コマンドを、アクチュエータ40によって直接に形成することができるFA力、FB力、FC力という形の力コマンドに変換する。図示の実施形態において、機能ブロック60は、まず最初に、FX、FYコマンドを使用して、6つの中間制御信号F_a1、F_a2、F_b1、F_b2、F_c1、F_c2を機能ブロック63a、63b、63cで得る。機能ブロック63aから63cはそれぞれ、基本的に、FX、FYコマンドに2×2行列を乗じる。この2×2行列は、基本的に位相コイル毎に、行列方程式2の考えられる各区分のプラスまたはマイナスの反転を行なう。その後、考えられる解から、適切な解が選択される。機能ブロック63aから63cによって使用される2×2行列は図6Bに示されている。各機能ブロック63a、63b、63cは、2つの力値を出力する。これは、行列方程式2の反転を行なうことにより、FA、FB、FCのそれぞれにおいて2つの解が得られるためである。システムにおける適切な解は、機能ブロック64a、64b、64cによって選択される。
【0084】
図6Bに示されるように、各機能ブロック64a、64b、64cは、その入力として、その対応する機能ブロック63a、63b、63cから2つの力解を受ける。機能ブロック63a、63b、63cの特徴により、力解の少なくとも一方はプラスである。機能ブロック64a、64b、64cは、まず最初に、対応する中間力コマンドを0に調整することにより、マイナスの全ての力解を除去するとともに、その後、調整された2つの力コマンドのうちの大きい方を選択する。図6Bの特定の実施形態において、機能ブロック64a、64b、64cからの選択された力解は、機能ブロック65によってピーク値に制限され、これにより、位相コイル毎に制限された力コマンドFa、Fb、Fcが形成される。これらの実施形態においては、ブロック65によって実行される制限機能を省くことも考えられ、あるいは、幾つかの他のシステムパラメータに応じて前記制限機能を実行することも考えられる。
【0085】
図6Aに示されるように、機能ブロック60によってFa、Fb、Fcコマンドが形成されると、これらのコマンドは機能ブロック61によって処理され、これにより、磁束コマンドflux_A_volts、flux_B_volts、flux_C_voltsが形成される。図6Cには、機能ブロック61が詳細に示されている。機能ブロック61の演算は、基本的に位相コイル毎に成される行列方程式1の有界(>0)反転の単純な実施を示している。具体的には、任意のマイナスのFa、Fb、Fcコマンドが0に調整される。これは、アクチュエータ40がマイナスの力を形成することができないためである。調整された力コマンドFA、FB、FCから、必要な位相コイル毎の磁束が決定される。これは、以下の式のごとく、所定の位相における前記調整された力コマンドに定数値を乗じて平方根をとることにより決定される。
【数5】
【0086】
上記式については、前述した方程式2を参照のこと。機能ブロック61の出力は、磁束コマンド信号flux_A_volts、flux_B_volts、flux_C_voltsである。
【0087】
図6Aの特定の実施形態において、機能ブロック61からの磁束コマンドは、入力として、限られた時間の間だけ磁束コマンドを0にする磁束ゼロ化機能ブロック62に加えられる。そのような磁束ゼロ化ブロックは、殆どの用途においては使用する必要がなく、直線的なX方向の動作においてのみ不可欠となる。機能ブロック62の厳密な形態は、デジタル力−磁束コントローラ51がサンプリング方式で動作するか或は連続方式で動作するかどうかに応じて僅かに変化する。図6Dは、様々な制御パラメータ値を定期的にサンプリングするデジタルコントローラにおける機能ブロック62の典型的な構成を示している。さらに図6Dは、連続的に動作するコントローラ51における同様の機能ブロック62’を示している。
【0088】
図6Dの両方に示されるように、機能ブロック62、62’は、磁束コマンドflux_A_volts、flux_B_volts、flux_C_voltsを受けた後、機能ブロック66a、66b、66cにおいて、または機能ブロック66a’、66b’、66c’において、所定の時間にわたる磁束コマンド信号の移動平均に対応する平均磁束コマンド信号を形成する。これらの平均磁束コマンド値を決定する異なる方法は、図6Dに示されるサンプリングコントローラと連続コントローラとの間の最も重要な差を構成する。適切なライム定数を用いて平均化する任意の形態のデジタルまたはアナログ平均化フィルタを使用することができる。
【0089】
実際の磁束コマンドおよび平均化された磁束コマンドの両方は、機能ブロック67に与えられる。機能ブロック67は、実際の磁束コマンドと、平均化された磁束コマンドの一部とを比較し、所定の位相における実際の磁束コマンドが平均化された磁束コマンドの一部よりも小さい場合には、磁束コマンドを最小磁束値に調整する。実際の磁束コマンドが平均化された磁束コマンドの一部よりも大きい場合には、実際の磁束コマンドは調整されない。したがって、機能ブロック67からの出力は、力−磁束コントローラ51からの磁束コマンド出力flux_A_volts、flux_B_volts、flux_C_voltsを構成する。これらの出力は、図5に示されるように、その後、アクチュエータ40の磁束を制御するために、磁束コントローラ12’によって処理される。
【0090】
この開示内容から利益を得る当業者であれば分かるように、図6Aから図6Dに示される特定の力−磁束変換は、この開示内容の特定の技術にしたがって構成される力−磁束コントローラによって実施できる力−磁束変換の単なる一例である。例えば、他の1つの力−磁束変換は、FX、FY力コマンドによって表わされる角度およびアクチュエータ40を構成するE−コアの物理的な配置に基づいていても良い。
【0091】
前述したように、システムにおける磁束の推定値は、例えば正確な積分器を使用した場合よりも簡単な低域通過フィルタリングによって推定される。再び図5を参照すると、本発明の特定の実施形態において、力−磁束コントローラ51によって出力される各磁束コマンドは、ACゼロ平均である。すなわち、他の全ての磁束コマンド「パルス」は反転される。そのようなシステムにおいては、その後、コイル電圧−コイル電流×コイル抵抗(Vn−In*Rn)の低域通過フィルタリングが、推定された位相磁束鎖交として使用される。
【0092】
図7Aは、X、Yにより(in terms of X and Y)所望の力ベクトルにおける力を形成するため、アクチュエータ40の位相コイルのうちのどれを励磁しなければならないかについて概略的に示している。基本的に、図7Aは、FX成分およびFY成分から成るベクトルで表わされた所望の力の方向に応じてどのコイルがONされるかについての「ウインドウ」である。前述したと同様に、この力−磁束変換においては、任意の所定の時間に、2つの位相コイルだけが励磁される。なお、図7Aに示されるように、ゼロFA力を用いてFB力とFC力とを組み合わせることにより、30°から150°の角度に対応する任意のコマンド力が形成されても良い。同様に、ゼロFB力を用いて、FA力およびFC力から、150°から−90°の方向を有する任意の所望の力を形成することができ、また、ゼロFC力と、FA力およびFB力を用いて、−90°から30°のベクトル方向を有する任意の所望の力を形成することができる。
【0093】
図7Bは、図7Aによって示される力−磁束変換を実行するための適切な磁束コマンドを形成する機能ブロックを概略的に示している。まず最初に、図示の機能ブロックは、FX、FYコマンドに応じて適切な力角度を計算する。その後、その角度を使用して、機能ブロックは、その角度が図7Aのどのカテゴリーに入るかを決定し、その決定に基づいて、そのカテゴリーにおいて励磁される2つの位相コイルに適した磁束コマンドを決定する。形成されたこれらの磁束コマンドは、その後、磁束コントローラ12’に加えられ、前述したようにシステムが動作する。
【0094】
更に他の力−磁束変換が考えられる。例えば、2つの自由度に沿う可動部材42の移動を制御するように設計された連結されていない3つのE−コアを有するアクチュエータ40において行なわれる前述した特定の力−磁束変換がそれである。可動部材が直線移動するように配置されたE−コアを2つだけアクチュエータが備える他の実施形態も考えられる。そのような用途において、入力された力コマンドだけがFX(またはFYコマンド)となる。更にまた、4つのE−コアを使用して、FX、FYコマンドを与えることもできる。図8Aから図8Cは、2E−コアリニアシステムで使用できる、すなわち、4つのコイルと共に使用できる力−磁束コントローラ80における機能ブロックを概略的に示している。この場合、2つのコイルから成るセットのそれぞれが1つの軸(自由度)を制御する。
【0095】
図8Aに示されるように、図示のコントローラ80は、FX力コマンドを受けるとともに、A、Bで示される2つの位相コイルのための磁束コマンドを出力として形成する。一般に、機能ブロック81は、最初に、FXコマンドを、リニアアクチュエータに対応するFA、FB力コマンドに変換する。また、機能ブロック82は、これらの力コマンドを適切な磁束コマンドflux_A_volts、flux_B_voltsに変換する。
【0096】
機能ブロック81の詳細が図8Bに示されている。一般に、機能ブロック81は、FXコマンドを受けるとともに、FXコマンドがマイナスの場合、ゼロの値をFAに割り当て、FXの大きさと等しい値をFBに割り当てる。逆に、FXコマンドがプラスの場合、機能ブロックは、ゼロの値をFBに割り当て、FXの絶対値をFAに割り当てる。FA、FBコマンドは、その後、ピーク値に制限される。制限されたFA、FBコマンドは、機能ブロック81により、適切な磁束コマンドflux_A_volts、flux_B_voltsを決定する機能ブロック82に供給される。
【0097】
図8Cには、機能ブロック82が詳細に示されている。図8Cに示されるように、機能ブロック82は、基本的に、力コマンドがゼロ以下の場合、対応する磁束コマンドを設定し、あるいは、方程式1の逆を使用して適切な磁束コマンドを計算する。磁束コマンドflux_A_volts、flux_B_voltsは、その後、システムを励磁するために、適切な磁束コントローラに加えられる。
【0098】
図5から図8Cに関して前述した力制御システムは、電磁アクチュエータを制御して所望の力を形成する周知のシステムから一般に得られない幾つかの利点を有している。例えば、周知の制御システムにおいて、所望の力を得るために使用される制御変数は、位相コイルに加えられる電圧または電流のいずれかである。これらのシステムは、本質的に制限される。なぜなら、電圧制御が使用される場合、形成される力は、制御される電圧の非線形関数であるからである。そのような非線形制御の問題は、実際には、実施することが困難でありコストがかかるとともに、動作条件および/または製造公差の変化に対応することができない。電流制御が使用される場合、システムは、オープンループ不安定となり、許容できる妥当な性能の場合、アクチュエータコアの非線形特性を扱わなければならない。これにより、電圧制御システムにおける問題と同じ非線形問題が生じる。
【0099】
ここで説明するような磁束制御システムを使用すると、電圧制御システムまたは電流制御システムに関連する多くの問題を著しく低減し或は排除することができる。これは、磁束制御を使用すると、各アクチュエータ部材の各空隙にわたって形成される力が空隙内の磁束の平方と比例するためである。そのため、許容可能な制御を行なうために、磁性体の非線形性および電気力学における非線形性を考慮する必要がない。したがって、ここで説明する力・磁束制御システムを使用して、設計および実施が簡単で且つ安価な制御スキームを簡単且つより効率的に行なうことができる。また、前述した単純なオープンループ磁束オブザーバの使用と組み合わせると、磁束制御は、極めて効率的で且つ洗練されたシステムと成り得る。
【0100】
図5の力制御システムによれば、アクチュエータ40の可動部材42に作用する力を効果的に制御できるが、多くの用途において、制御は、可動部材の動作(例えば、可動部材の位置/速度または軌道)であって、制御されることが望ましい可動部材に作用する力ではない。そのような用途の場合、可動部材の動きが所望の方法で制御されるように所望の力コマンドFX、FYを形成する位置/速度制御ループを加えることにより、図5のシステムを向上させることができる。前述したタイプの位置/速度制御システムの用途は非常に多い。例えば、そのような位置/速度制御システムを使用して、電磁ベアリングおよび振動・ふるい分け装置を形成することができる。そのような位置/速度制御システムの1つの特定の用途は、軌道溶接機の分野にある。そのような溶接機は、一般に、溶接される第2の部品に対する軌道運動を用いて、溶接される第1の部品(例えば、熱可塑性部品)を駆動することにより機能し、その結果、第1および第2の部品の相対移動により摩擦が生じ、部品同士が交わる部分に沿って部品が加熱され、相対移動の停止時に、部品が冷えて互いに溶接される。
【0101】
そのような溶接機において、一般に、第1の部品はホルダ内に配置される。第2の部品も同様にホルダ内に配置される。その後、これらの部品は、部品間の境界面に沿って互いに強制的に係合されて保持される。そして、駆動力が与えられ、所定の反復経路に沿って第2の部品が第1の部品に対して駆動され、境界面に沿って部品が摩擦的に加熱される。このようにして、反復運動の終了時、部品同士が溶接される。
【0102】
従来の公転溶接機は、部品間の相対移動が直線的な移動または軌道移動に制限されるように、溶接される第1の部品を移動させることができる。移動におけるこれらの規制は、多くの用途において、溶接される部品の相対移動が部品の形状と厳密に一致し得るように、様々な任意の相対移動が行なわれることが望ましいという点を考えると、制限的なものである。そのような「形状一致」は、結果として成された溶接の強度を著しく高めることができる。ここで説明した位置/速度制御システムを使用することにより、溶接される部品の直線移動、軌道移動、回転移動、または、任意の不定移動を含む任意の相対移動を溶接される部品間で行なうことができる溶接装置を構成することができる。当業者であれば分かるように、ここで説明した位置/速度制御システムは、ここに含まれる教示内容にしたがって構成することができる制御システムの単なる一例であり、他の特徴および特徴の組み合わせ(例えば、加速度、速度、位置、または、これらの任意の組み合わせ)を制御しても良い。
【0103】
図9は、前述した溶接装置を構成するために使用できる典型的な位置/速度制御システム90の高レベルブロック図を示している。以下の説明は溶接装置に関するものであるが、この開示内容から利益を得る当業者であれば分かるように、開示された位置制御システムを使用して、他の用途における可動部材の位置/速度を制御することもできる。
【0104】
図9に示されるように、位置/速度制御システム90は、多くの点が、図5の力制御システムと同じである。具体的には、破線のボックス50内において、位置/速度制御システム90は、図5の力制御システム50の全ての構成要素を含んでおり、その構成要素の全ては、図5に関して前述したように動作する。システムのアクチュエータ40は、大きな振動溶接機の一部であり、アクチェータの可動部材は、適当な溶接ホーンまたは他の適当な溶接具(図示せず)に接続されていても良い。
【0105】
力制御システム50の構成要素を含んでいる以外に、位置/速度制御システム90は、2つの別個の主要な構成要素を有している。図9の実施形態においては、まず最初に、位置/速度コントローラ91により、力コマンド信号FX、FYが形成される。位置/速度コントローラ91は、(i)アクチュエータ40の可動部材の所望の位置/速度(軌道)を示す位置コマンド信号92と、(ii)アクチュエータ40の可動部材に関連付けられた現在の位置/速度または軌道の情報を示す位置/速度オブザーバ93からのフィードバック信号とを、その入力部で受ける。一般に、位置/速度コントローラ91は、位置/速度コマンドと位置/速度フィードバック情報とを比較して、位置/速度エラー信号を形成するとともに、これらの位置/速度エラー信号を使用して、可動部材の位置/速度を位置/速度コマンド92によって示される位置/速度にしようとする適切な力コマンドを形成し、あるいは、軌道コマンドが与えられる場合には、軌道コマンド92によって規定される軌道に沿って移動させようとする適切な力コマンドを形成する。
【0106】
位置/速度コントローラ91は、可動部材の所望の位置/速度および/または軌道が画定される態様に応じて、多くの形態をとることができる。一実施形態において、位置/速度コントローラ91は、アクチュエータ40の可動部材の位置および速度を、X、Y基準座標系内における可動部材の位置およびXY座標系内における可動部材の速度に置き換えて制御するように構成されていても良い。そのようなシステムにおいて、位置/速度コントローラ91に与えられる2つの入力位置コマンドは、X_cmd、X_dot_cmd(X velocity)、Y_cmd、Y_dot_cmd(Y velocity)という形をとり、位置/速度オブザーバ93(詳しくは以下に述べる)からの2つのフィードバックコマンドは、可動部材の実際の又は推定されたX、Y位置および速度(例えば、X_act、X_dot_act、Y_act、Y_dot_act)という形をとる。
【0107】
前述した力−磁束コントローラ51と同様に、位置/速度コントローラ91は、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ等のプログラム化されたデジタルプロセッサを使用することにより実現されても良い。特定の用途において、位置/速度コントローラ91は、力−磁束コントローラ51を実現するために使用されたものと同じプログラム化されたプロセッサを使用して実現されても良い。また、アナログ的な実施も考えられる。
【0108】
動作時、位置/速度コントローラ91は、位置/速度コマンド発生器からX、X_dot、Y、Y_dotコマンド信号を受けるとともに、可動部材の実際の又は推定された位置および速度を示すフィードバック信号(X_act、X_dot_act、Y_act、Y_dot_act)とコマンド信号とを比較する。瞬間の位置・速度コマンドとフィードバック信号とのこのような比較の結果として、コマンド信号とフィードバック信号との間の差に対応する4つのエラー信号(eX、eY、eX_dot、eY_dot)が形成される。4つのエラー信号は、その後、各用途に応じて最適化することができる適当な制御増幅率によって乗じられても良い。Xエラー信号(eX、eX_dot)は、その後、共に足され、Y信号(eY、eY_dot)も共に足され、これにより、可動部材を所望の位置に位置決めし且つ所望の速度にするために必要なFXコマンド信号およびFYコマンド信号が形成される。FX、FY力コマンドは、力制御システム50に供給される前に、バイアスおよびノイズ含有量を低減するために、帯域通過フィルタに通されても良い。フィルタにかけられた力コマンド信号FX、FYは、その後、力制御システム50の力−磁束コントローラ51に供給される。システムの寄生モードおよび他の因子により、フィルタおよびフィルタリング作用を必要としても良く、あるいは、不要としても良い。
【0109】
位置/速度コントローラ91の一実施形態において、アクチュエータ40の可動部材のX、Y位置および速度を示すフィードバック信号は、X、Y加速度情報をコントローラ91に対して供給できるようにアクチュエータ40に対して位置決めされる従来の加速度計を有する位置/速度オブザーバ93を使用することによって形成される。この実施形態において、X、Yで表わされる位置および速度は、全ての実用的な目的において周波数が170Hzを上回る積分器である低域通過フィルタを使用する位置速度コントローラ91によって得られる。正確な積分器の代わりに低域通過フィルタを使用すると、ドリフトおよびオープンループ積分器に関して生じる様々な累積した問題を除去することができる。そのような位置決めコントローラを実現するための典型的な機能ブロックが図10Aに示されている。
【0110】
図10Aに示されるように、位置/速度オブザーバ93の加速度計からの加速度信号X(d_2_x_dt_2)、Y(d_2_y_dt_2)は、100X、100Yで示される機能ブロックに対して入力として加えられる。デジタルコントローラ91が使用される場合には、任意のアナログ加速度信号をデジタル値に変換するとともに、デジタル値をコントローラ91に対して入力として加えなければならない。
【0111】
機能ブロック100X、100Yはそれぞれ、加速度信号を、X、Y(例えば、X_dot_estおよびY_dot_est)の形で表わされる可動部材の速度の推定値に変換する従来の数学的変換を含んでいる。X、Y速度推定値はそれぞれ、その後、速度推定値を位置/速度推定値に変換する機能ブロック101X、101Yに加えられる。変換の数学的な特徴が図10Aに示されている。X、Y速度位置推定値はそれぞれ、推定値信号を調整するゲインブロック102X、102Yおよびスケーリングブロック103X、103Yに対して入力として加えられる。推定された位置速度信号は、その後、機能ブロック104X、104Yにおいて、X、Y位置速度コマンド信号から差し引かれ、これにより、X、Y位置速度エラー信号が形成される。X、Yエラー信号は、機能ブロック105X、105Yによって組み合わされ、これにより、FX、FY信号が形成される。FX、FY信号は、低域通過フィルタ・ゲイン乗算器結合体106X、106Yによって修正されることにより、前述したシステムを制御するために使用されるFX、FYコマンドを形成する。
【0112】
他の実施形態においては、位置および速度ではなく、速度だけを制御することが必要であり或はその方が望ましいかもしれない。図10Aおよび図10Bに示されるように、そのような速度制御システムにおいて、ゲイン項Ksfbk_x、Ksfbk_yは、ブロック105X、105Yにおいて位置エラー信号eX、eYに加えられ、0に設定される。これにより、FX、FYコマンドから位置制御成分を除去することができる。
【0113】
図10Aの典型的な位置/速度コントローラは、位置/速度オブザーバ93からの加速度情報が連続的にサンプリングされ且つFX、FYコマンドが連続的に形成されるシステムで使用することができる。コントローラ91の動作が一定ではなくサンプリングされた情報に基づいて動作する他の実施形態も考えられる。そのようなサンプリングコントローラ91のための機能ブロックが図10Bに示されている。一般に、図10Bのコントローラ91は、フィルタおよび変換の数学的な特徴がコントローラのサンプリング特徴を反映するように調整される点を除き、図10Aのコントローラと同様である。
【0114】
図10Aおよび図10Bの実施例において、位置/速度オブザーバ93はX、Y加速度計を備えており、アクチュエータ40の可動部材における位置・速度推定値は、加速度計の出力部から得られる。従来の位置センサ(例えば近接センサ)を使用してX、Y位置方向を検知する他の実施形態も考えられる。そのような他の実施形態において、速度情報は、低オーダーオブザーバ、例えば標準的で且つ決定論的なオブザーバ、積分エラーオブザーバ、カルマンフィルタオブザーバ等を使用して得られても良い。一般に、アクチュエータ40の可動部材に関する位置・速度情報を供給することができる任意のタイプのフルオーダーまたは低オーダー位置/速度オブザーバを使用して、位置/速度オブザーバ93を構成することができる。他の実施形態においては、位置オブザーバと共に、ピックアップコイルを使用することができる。ピックアップコイルは速度を測定する。
【0115】
一実施形態においては、位置/速度オブザーバ93を省いても良く、アクチュエータ40それ自身の電気的な特性により、アクチュエータ40の可動部材に関する位置・速度情報が得られても良い。常に或は所定の時間において少なくとも1つの位相コイルが励磁されないようにアクチュエータ40の位相コイルが励磁される実施形態においては、励磁されないコイルを近接センサとして使用しても良い。そのような実施形態においては、励磁されない位相コイルを高周波磁束パルスを用いて励磁し、その結果生じる電流を検出しても良い。その電流の大きさは、磁束の空隙の大きさに対して直接的且つ代数的な関係を有している。その空隙の大きさは、決定時、X位置またはY位置に関して完全に決定論的である。
【0116】
残念ながら、+30°から+120°の方向を有する力ベクトル(図7A参照)を供給するために位相コイルが必要となる場合、励磁されていないコイルからは、X位置だけしか決定することができない。そのような場合、X位置は、推定された或は実際の磁束および電流の情報から決定されても良い。推定された磁束と電流との間の関係も直接的であり且つ代数的である。4つの位相コイルを有するシステムにおいて、可動部材の位置は、励磁されないコイルの電気的な特性を解析することにより、完全に決定することができる。
【0117】
図9の位置/速度制御システムで使用される力−磁束変換は、力形成機構において非線形性を排除するため、位置/速度コントローラ91によって形成されて使用されるエラー信号は線形力学を有し、制御システムの残りは線形方法を使用して設計されても良い。任意の従来のマルチ入力・マルチ出力線形制御設計方法を使用して、システムを調整することができ、したがって、極配置、LQG、ロバスト等のシステムの応答を設定することがでできる。可動部材の位置および速度を瞬時に制御できるというこの性能は、振動溶接の用途においては非常に有益である。
【0118】
一実施形態においては、極配置を使用して、制御システムを調整する。この場合、4つの制御ゲインによってシステムのクローズドループ極が配置され、これにより、比例的な制御システムとなる。この形式の極配置が使用される場合、XコマンドとYコマンドとの間には、有限な安定状態エラーおよび位相エラーが存在するが、可動部材の軌道の形状は影響されない。
【0119】
従来の振動溶接システムは、平均に基づく制御システムを使用する。この平均に基づく制御システムでは、システムの可動部材が円形状または楕円形状に移動するように制御され、円または楕円の平均半径が制御される。非対称な溶接工具が使用され、あるいは、可動部材の乱れが生じると、そのような平均制御システムは、システムを十分に安定化させるべく迅速に補償することができない。一方、ここに開示される新規な制御システムは、可動部材のX位置、Y位置、X速度、Y速度を瞬時に制御する。また、瞬間的な制御により、工具の非対称性および負荷の乱れに起因するX動作およびY動作の混在を排除できる。
【0120】
位置/速度コマンドが固定された基準座標系(例えば、X、Y)で与えられる場合には、ゼロ安定状態エラーを確保するため、瞬時制御ループの周囲に、より緩慢な平均半径制御ループが置かれても良い。過負荷状態下であっても可動部材を所望の軌道に従わせるためには、そのような外側の制御ループは特に有益である。一般に、平均半径制御ループは、PI制御法則コントローラに対して入力として与えられる平均半径エラーを形成する。その後、PI制御法則は、任意の安定状態エラーを除去するが、XコマンドとYコマンドとの間の位相エラーは存在する。平均半径はDC変数であるため、PI制御法則コントローラは、一定の負荷の乱れを排除する。その後、半径コマンド信号全体を比例瞬時コマンド信号まで高めるため、PI制御法則コントローラの出力はコマンド半径信号に加えられる。
【0121】
図9に示される特定の実施形態において、入力された位置/速度コマンドは、X、Y位置・速度で表わされるアクチュエータ40の可動部材の所望の位置および速度の形で与えられる。多くの振動溶接の用途において、可動部材の所望の動作は、任意のX、Yコマンドには対応していないが、その代わり、アクチュエータ40の可動部材の楕円移動を生じさせるX、Yコマンドに対応している。そのような用途の場合、X、Y位置/速度コマンドは、所望の楕円軌道を形成するために必要なX、Y位置・速度コマンドを形成する新規な位置/速度コマンド発生器によって形成されても良い。そのような位置/速度コマンド発生器は、その出力部が位置/速度コントローラ91の入力部に接続される。
【0122】
図11Aは、典型的な位置/速度コマンド発生器110を実現するために使用できる機能ブロックの1つの典型的なセットを概略的に示している。図示のように、位置/速度コマンド発生器110は、アクチュエータ40の可動部材のための所望の楕円軌道を形成するコマンド信号をその入力部で受ける。特に、位置/速度コマンド発生器110によって受けられるコマンド信号は、(i)X軸に沿う所望の楕円軌道の長軸に対応する長軸コマンド(r_command)、(ii)Y軸に沿う短軸に対するX軸に沿う長軸の比を規定する長軸−短軸比コマンドすなわち偏心コマンド(ecc_command)、(iii)X軸からの所望の軌道の長軸の角変位角度を規定する角度コマンド(angle_command)、(iv)可動部材が所望の楕円経路を横切る周波数を規定する作動周波数コマンド(fc)である。
【0123】
図11Aに示されるように、前述した様々な入力コマンドは、図示された適当なフィルタ111、112、113、114を使用してフィルタリングされる。前述したように外側の半径制御ループが使用される場合、フィルタに通された半径コマンド(r_filtered)は、加算接合器115において、半径エラー補正値を使用して修正されても良い。修正された半径コマンド(r_error_total)は、その後、制限ブロック116において、特定の範囲内に入るように制限され、制限されたrコマンドは、楕円変換ブロックに加えられる。入力された作動周波数コマンドは、その後、機能ブロック118、119a、119bにより、時間変化角度値に変換される。また、この角度値は、入力として、楕円変換ブロック117に加えられる。フィルタに通された他の入力信号(ecc_filtered、angle_filtered)は、楕円変換ブロック117に対して直接に加えられる。
【0124】
楕円変換ブロック117は、前述した信号を受けるとともに、図11Aに示された数学的関係を使用して、X、Y位置・速度コマンド(X_cmd、X_dot_cmd、Y_cmd、Y_dot_cmd)を形成する。
【0125】
図11Aは、連続的な入力信号に応じて連続方式で動作する位置/速度コマンド発生器110を実現するために使用できる機能ブロックを示している。図11Bは、サンプリング方式で動作することによりサンプリングされた入力信号に応じて適切な位置/速度コマンドを形成する同様の位置/速度コマンド発生器110’を示している。この開示内容から利益を得る当業者であれば分かるように、位置/速度コマンド発生器110’のフィルタ111’、112’、113’、114’がフィルタ111、112、113、114と異なる点を除き、位置/速度コマンド発生器110と位置/速度コマンド発生器110’とは実質的に同一である。
【0126】
この開示内容から利益を得る当業者であれば分かるように、前述した位置/速度コマンドと異なる位置/速度コマンドを図9の位置/速度制御システムに加えることができる。一般に、その限界内で方形波として描かれても良い任意の周期的な波形を描くために、任意の適切な位置/速度コマンド信号がフーリエ級数へと展開されても良い。例えば、以下の関係に従う時間の関数として、入力X、Y位置・速度コマンドを形成することができる。すなわち、X_cmd(t)=r*cos(omega*t);X_dot_cmd(t)=−r*omega*sin(omega*t);Y_cmd(t)=r*ecc*sin(omega*t);Y_dot_cmd(t)=r*ecc*omega*cos(omega*t)。ここで、rは主軸(長軸)、eccは所望の偏心度、omegaは所望の作動周波数に対応し、tは時間である。
【0127】
また、前述した所望の楕円軌道は、((X/A)^n+(Y/B)^n=r)によって規定される「超楕円」と一致するように形成されても良い。ここで、nは2以上の整数である。そのような超楕円軌道は、コマンド基準信号のフーリエ級数により、角速度ωで横切られる。その後、位置/速度制御システムは、駆動性能および帯域幅の限界まで、位置/速度波形を辿ろうとする。
【0128】
図12Aから図12Dは、図9に関して前述したタイプの位置/速度コントローラの動作を示している。各図は、アクチュエータ40の可動部材のX、Y移動、FX、FYコマンド、磁束コマンド、3つの位相コイルA、B、Cにおける磁束値を示している。図12Aは、無負荷(no−load)状態でのX軸に沿う直線移動におけるシステムの動作を示しており、図12Bは、全負荷(full−load)状態下での同じタイプの移動におけるシステムの動作を示している。同様の態様で、図12Cおよび図12Dは、無負荷および全負荷のそれぞれの状態での円形移動におけるシステムの動作を示している。
【0129】
図12Aから図12Dを明確にするため、前述したように構成される磁束コントローラによってアクチュエータ40に形成される磁束は、無負荷および全負荷の両方の状態において、不連続であり、磁束コマンドを厳密に辿る。
【0130】
前述した位置/速度制御システムは全て、固定された基準座標系(例えば、X、Y)に基づいている。制御のために使用される基準座標系が回転座標に基づく他の実施形態も考えられる。そのような回転基準座標系を使用すると、所望の達成目標において、必要なサンプリングレートを減少させることができるとともに、位相・振幅トラッキングを向上させることができる。また、そのような回転基準座標系を使用すると、PI制御法則コントローラを使用することにより、ゼロ安定状態エラーを最小限に抑えおよび/または確保することができる。これは、そのような基準座標系において、そのような「回転」制御システムによって使用される制御変数がDC量であるためである。
【0131】
本発明の一実施形態において、回転位置/速度コントローラは、QD回転基準座標系に基づいて構成されても良い。QD回転基準座標系において、可動部材の移動は、X、Y位置・速度によって規定されるのではなく、その成分が安定状態でPC量である対応するベクトルをそれぞれ有する回転ベクトルQ、Dによって規定される。そのようなQD位置/速度制御システムは、後述する一般的な例外を伴って、XY制御システムに関して前述したのと同様の方法で機能する。
【0132】
回転位置/速度コントローラが使用される場合、位置/速度コントローラへの位置/速度コマンド、および、アクチュエータの可動部材の位置/速度を示す位置/速度オブザーバ93からのフィードバック信号は、QD基準座標系の形式で供給されても良い。また、位置/速度コマンドおよびフィードバック信号は、XY位置・速度の形式で供給されても良い。この場合、位置/速度コマンドおよびフィードバック信号は、XY基準座標系からQD基準座標系に変換しなければならない。これらの変換は、プログラム化されたデジタルプロセッサを使用して行なわれても良い。
【0133】
図13は、本発明の特定の態様にしたがって構成されるQD制御システム130を概略的に示している。一般に、QD制御システムはQDコントローラ132を有している。このQDコントローラ132は、その入力部で、位置コマンド信号を受けるとともに、アクチュエータ40の可動部材の所望の動作を所定のQD基準座標系で規定する。具体的には、図示の実施形態において、入力されるQD位置コマンドは、(i)Qベクトルの所望の瞬間の大きさ及び符号を規定するq_cmd、(ii)所望のDベクトルの所望の瞬間の大きさ及び符号を規定するd_cmd、(iii)Qベクトルの大きさの変化の所望の割合を規定するq_dot_cmd、(iv)Dベクトルの大きさの変化の所望の割合を規定するd_dot_ref、(v)システムの所望の作動周波数を規定するfcである。一般に、Q、Dは、>0または<0であっても良い準静的変数である。
【0134】
図13の典型的なコントローラ130は、軌道溶接装置で使用できるようになっており、そのため、特に、アクチュエータ40の可動部材の楕円移動を制御するようになっている。したがって、QD制御動作は、回転楕円QD基準座標系で行なわれる。適切な回転楕円基準座標系を規定するために、QDコントローラ130は、2つの別個の変数を必要とする。前述したecc_commandと同様な第1の変数(ecc_command)は、楕円におけるY軸に沿う短軸に対するX軸に沿う長軸の比を規定する。第2の変数(デルタ)は、固定されたX軸からオフセットする回転楕円基準座標系の長軸のオフセット角を規定する。
【0135】
QDコントローラ132への他の入力は、アクチュエータ40の可動部材の位置/速度に関する情報を与えるフィードバック信号を含んでいる。一般に、これらの信号は、位置/速度オブザーバ93によって与えられる。この位置/速度オブザーバ93は、前述した位置/速度オブザーバ93と同様に、X、Y加速度計を有している。位置/速度オブザーバ93からのX、Y位置/速度情報は、適切な回転楕円QD基準座標系における可動部材のQDパラメータに対応するq、d、q_dot、d_dot信号に変換される。この変換は、ブロック131によって示されるXY−QD間変換演算によって行なわれる。ブロック131からのQD位置/速度情報は、他の入力セットとして、QDコントローラ132に供給される。その後、QDコントローラは、可動部材におけるQD情報とコマンドQD情報とを比較して、所望のQ力コマンドFQおよびD力コマンドFDを形成するために使用されるQDエラー信号を形成する。これらの力コマンドは、その後、ブロック133で示されるQD−XY間変換演算により、FX、FY基準座標系の対応する力コマンドに変換される。FX、FY信号は、その後、図5の力制御システムに関して前述した方法でアクチュエータ40に加えられる力を制御する力制御システム50に加えられる。
【0136】
図13のQDコントローラ132およびブロック131、133は、プログラム化されたデジタルプロセッサを使用することにより実現される。図14Aから図14Dは、典型的なQDコントローラ132およびブロック131、133を実現するために使用できる機能ブロックを概略的に示している。図示のコントローラは、連続方式で動作するが、この開示内容によって利益を受ける当業者であれば分かるように、ここで与えられた技術によってサンプリングQDコントローラを構成することもできる。
【0137】
図14Aには、QDコントローラ132およびブロック131、133の概要が示されている。図示の実施形態において、図示のQDコントローラは、X、Y加速度計を備える位置/速度オブザーバ93から、X、Y加速度情報を受ける。X、Y加速度情報は、機能ブロック100X、100Y、101X、101Yによって処理され、これにより、図10Aに関して前述した方法により、X_est、X_dot_est、Y_est、Y_dot_est信号が形成される。XY推定位置・速度情報は、その後、変換機能ブロック140に対して入力として供給される。変換機能ブロック140は、機能ブロック101X、101YからのXY情報を適切な回転楕円QD基準座標系に変換する。図14Cは、機能ブロック140の演算を詳細に示している。
【0138】
X、X_dot、Y、Y_dotが直接に測定されて前述したように推定される或はX、X_dot、Y、Y_dotのいずれかから推定される他の実施形態も考えられる。また、aX、aYをaQ、aDに直接に変換することができ、また、Q、Q_dot、D、D_dotのためのオブザーバを回転基準座標系で使用することもできる。
【0139】
図14Cに示されるように、機能ブロック140は、3つのサブ機能ブロック141、142、143を備えている。これらの機能ブロックは、位置/速度オブザーバ93からのXY情報を、所望の回転楕円基準座標系におけるQD情報に変換する。初めに、X_est、X_dot_est、Y_est、Y_dot_est信号が機能ブロック141に供給される。機能ブロック141は、XY信号を、前述したデルタ変数の値に対応する量だけ標準的な固定基準座標系から回転されるXY基準座標系における対応する信号に変換する。したがって、機能ブロック141の出力は、入力されたデルタ変数によって規定される角度だけ固定XY基準座標系からオフセットされるXY基準座標系におけるXY位置・速度データを構成する。
【0140】
機能ブロック141からのデルタ調整されたX、Y情報は、機能ブロック142に対して入力として加えられる。機能ブロック142は、デルタ調整されたXY信号を受けるとともに、これらの信号を、所望の楕円基準座標系の偏心度を吸収するように調整されるXY基準座標系におけるXY信号に変換する。一般に、機能ブロック142は、楕円の主X軸と主Y軸との間の差に関して、デルタ調整されたXY信号を調整する。図14Cに示されるように、機能ブロック142に対する1つの出力は、ecc_commandである。
【0141】
機能ブロック142からのデルタ−ecc調整されたXY信号(X_c、X_dot_c、Y_c、Y_dot_c)は、機能ブロック143に対して入力として加えられる。一般に、機能ブロック143は、その入力(固定XY基準座標系で表わされる入力)を、回転円形基準座標系で表わされるQD信号に変換する。しかしながら、XY−円形QD機能ブロック143に対する入力は、デルタ−ecc調整されたXY信号であるため、機能ブロック143からのq_est、d_est、q_dot_est、d_dot_est信号は、回転楕円QD基準座標系における信号と等しい。図14Cに示されるように、fcコマンドは、「シータ」変数となるように、機能ブロック143で使用される。シータ変数は、2*pi*fc*tとして規定される。ここで、tは時間である。
【0142】
図14Cで変換が行なわれる特定の順序は、図示のコントローラの特定の実施において特に重要になると考えられる。これは、入力XYコマンドを適切な回転楕円基準座標系に対応するQDコマンドに正確に変換するために、適切な調整が行なわれるからである。
【0143】
再び図14Aを参照すると、機能ブロック143からのq_est、d_est、q_dot_est、d_dot_est信号は、符号144で全体的に示された一群の機能ブロックに加えられる。機能ブロック144は、アクチュエータ40の可動部材の位置/速度を示す推定QD信号と、コマンドQD信号とを比較して、QDエラー信号を形成する。また、機能ブロック144は、マルチ入力/マルチ出力PI制御法則等の任意の適切な制御法則を実行しても良い。機能ブロック144からのQDエラー信号は、行列加算ブロック145によって適切に加算され、これにより、力コマンド信号FQ、FDが形成される。加算行列145における典型的な変数が図14Bに示されている。
【0144】
図14Aの実施形態において、力コマンド信号FQ、FDは、低域通過フィルタ146a、146bに通される。低域通過フィルタに通されたFQ、FD信号は、その後、機能ブロック147により、対応するFX、FYコマンドに変換される。機能ブロック147を実現するために使用できるサブ機能ブロックの一般的な例示が図14Dに与えられている。
【0145】
図14Dに示されるように、フィルタに通されたFQ、FD信号は、最初に、対応するXY力コマンド信号FX_circ、FY_circに変換される。図示の実施形態において、機能ブロック148によって行なわれる変換は、コントローラによって使用されるQD基準座標系の楕円の特徴または固定XY基準座標系からの基準座標系のデルタオフセットを考慮しない簡単な円形QD−XY変換である。
【0146】
機能ブロック148からのFX_circ、FY_circコマンドは、その後、機能ブロック149に対して入力として加えられる。また、機能ブロック149は、ecc_commandを入力として受ける。一般に、機能ブロック149は、FX_circ、FY_circコマンドを、FX、FYコマンド(FX_elip、FY_elip)に変換する。これらのFX、FYコマンドは、図示のQDコントローラによって使用される回転楕円基準座標系の楕円の特徴を考慮するように調整される。しかしながら、機能ブロック149からのFX、FYコマンドは、QDコントローラによって使用される回転楕円基準座標系における固定XY基準座標系からのデルタオフセットを反映するように調整されない。そのような調整は、機能ブロック150によって行なわれる。機能ブロック150は、機能ブロック149からの信号およびデルタ変数に対応する信号を受けるとともに、これらの入力に応じて、FX、FYコマンド信号を形成する。図14Dに示される変換は、信号の適切な変換を確実とするために上述した特定の順序によって、図14Cに示される変換共に行なわれなければならない。
【0147】
図14Aに示されるように、機能ブロック150からのこれらのFX、FY信号は、その後、ゲイン増幅器によって増幅されるとともに、前述したようにアクチュエータ40の可動部材に加えられる力を制御するために力コントローラに供給される。
【0148】
(i)XYフィードバック信号を回転楕円QD基準座標系に変換するため、(ii)回転楕円QD基準座標系で制御法則機能を実施してQD力コマンドを形成するため、(iii)回転QD基準座標系における力コマンドをXY力コマンドに変換するためには、前述した様々な変換演算は複雑のように思われるが、これらは幾つかの利点を与える。具体的には、前述した変換により、システムの制御法則を実施するために機能ブロック144で実際に使用される制御変数はDC量となる。そのため、マルチ入力、マルチ出力PI、他のゼロ安定状態エラー制御法則を使用することができる。そのような制御法則を使用すると、従来の制御手法から利用できるシステムの性能を更に良好にすることができる。これは、特に、前述した変換の使用が新規である軌道溶接機において言えることである。特に、前述した変換および制御法則を使用すると、外側の半径制御ループが不要となる。これは、そのようなループによって行なわれる制御機能が、機能ブロック144、145、146により実行される制御法則によって扱われるためである。
【0149】
前述した図示の実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば分かるように、本発明から逸脱することなく、多くの変形を成すことができる。例えば、ここでは、主に、磁束制御システムを使用するシステムにおいて新規なアクチュエータ40が記載されているが、このアクチュエータは、アクチュエータ40のE−コアの正弦磁束を形成する従来のインバータ等を含む多くの様々な装置によって励磁されても良いことは言うまでもない。新規のアクチュエータ40のそのような用途は、洗練されておらず、あるいは、ここで説明した新規な磁束コントローラを用いてアクチュエータが励磁される用途と同じ性能を有していないが、E−コアおよびE−コアにおける位相コイルの連結されていない特徴の結果として、多くの利点を与える。前述した様々なタイプを考慮すると、前述した説明は、単なる一例であり、限定する目的のものではないことは言うまでもない。したがって、ここで求められている保護は、請求の範囲に記載されているものである。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の特定の態様に係る新規な磁束制御システムを示している。
【図2A】図1に示された磁束制御システムのより詳細な一実施形態を示している。
【図2B】図1に示された磁束制御システムのより詳細な一実施形態を示している。
【図2C】ゼロ復帰エラー制御回路の典型的な実施形態を示している。
【図3A】図1の制御システムで使用できるオープンループ磁束オブザーバの典型的な実施形態を概略的に示している。
【図3B】電磁システムの磁束に対応する信号を供給する低域通過フィルタを使用する回路を概略的に示している。
【図4】図1の新規な磁束制御システムと共に使用できる電磁アクチュエータを概略的に示している。
【図5】本発明の特定の教示内容にしたがって構成された所望の力−磁束変換を実行する力制御システムの一実施例を概略的に示している。
【図6A】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図6B1】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図6B2】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図6B3】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図6B4】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図6B5】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図6C】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図6D1】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図6D2】プログラムマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを使用することにより実行できる力−磁束変換の典型的な形式を擬似コードブロックにより概略的に示している。
【図7A】X、Yで表わされる所望の力因子における力を形成するために励磁しなければならない図4のアクチュエータの様々な位相コイルの表示を概略的に示している。
【図7B】実施時に、図7Aに示された磁束−力変換を実行するために適切な磁束コマンドを形成する一群の機能ブロックを概略的に示している。
【図8A】可動部材の直線移動を生じさせるために使用できる力−磁束コントローラのための機能ブロックを概略的に示している。
【図8B】可動部材の直線移動を生じさせるために使用できる力−磁束コントローラのための機能ブロックを概略的に示している。
【図8C】可動部材の直線移動を生じさせるために使用できる力−磁束コントローラのための機能ブロックを概略的に示している。
【図9】本発明の特定の教示内容にしたがって構成される典型的な位置制御システムの高レベルブロック図である。この位置制御システムは、振動溶接装置を構成するために使用できる。
【図10A】図9の装置で使用できる位置コントローラを実現するために使用できる機能ブロックを概略的に示している。
【図10B】サンプリング方式で動作するコントローラを反映するように調整される図10Aと同様の機能ブロックを示している。
【図11A】本発明の特定の教示内容にしたがって位置コマンド発生器を実現するために使用できる典型的な機能ブロックのセットを概略的に示している。
【図11B】サンプリングされた入力信号に応じて位置コマンド信号を形成するためにサンプリング方式で動作する図10Aと同様の位置コマンド発生器を示している。
【図12A1】様々な動作形態において、図9に示されるタイプの位置コントローラの動作を概略的に示している。
【図12A2】様々な動作形態において、図9に示されるタイプの位置コントローラの動作を概略的に示している。
【図12B1】様々な動作形態において、図9に示されるタイプの位置コントローラの動作を概略的に示している。
【図12B2】様々な動作形態において、図9に示されるタイプの位置コントローラの動作を概略的に示している。
【図12C1】様々な動作形態において、図9に示されるタイプの位置コントローラの動作を概略的に示している。
【図12C2】様々な動作形態において、図9に示されるタイプの位置コントローラの動作を概略的に示している。
【図12D1】様々な動作形態において、図9に示されるタイプの位置コントローラの動作を概略的に示している。
【図12D2】様々な動作形態において、図9に示されるタイプの位置コントローラの動作を概略的に示している。
【図13】本発明の特定の教示内容にしたがって構成されるQD制御システムの一形態を概略的に示している。
【図14A】図13の典型的なQDコントローラを実現するために使用できる機能ブロックを概略的に示している。
【図14B】図13の典型的なQDコントローラを実現するために使用できる機能ブロックを概略的に示している。
【図14C】図13の典型的なQDコントローラを実現するために使用できる機能ブロックを概略的に示している。
【図14D】図13の典型的なQDコントローラを実現するために使用できる機能ブロックを概略的に示している。
Claims (20)
- 電磁アクチュエータのための力制御システムであって、前記アクチュエータは、1つのコアを有する固定部材と、1つの可動部材と、少なくとも1つの位相コイルとを有し、前記位相コイルは、位相コイルが励磁される時に前記コア内に磁束を形成して前記可動部材に力を作用させるように配置されている力制御システムにおいて、
前記可動部材の瞬間の位置および速度を示す信号を出力するオブザーバと、
前記オブザーバからの出力と、所望の位置および所望の速度を示す信号とを受ける位置コントローラであって、前記オブザーバからの出力と前記所望位置・速度信号とを比較して位置・速度エラー信号を形成するとともに、前記位置・速度エラー信号に基づき所望の速度をもって前記可動部材を所望の位置に位置決めするために必要な力コマンド信号を形成する位置コントローラと、
前記力コマンド信号を受けて、この力コマンド信号を磁束コマンド信号に変換するとともに、磁束コマンド信号に基づいて位相励磁信号を形成する磁束コントローラと、
を備えている力制御システム。 - 前記可動部材の位置は、X、Y基準座標系において制御される、請求項1に記載の力制御システム。
- 前記可動部材の速度は、X、Yによって制御される、請求項1に記載の力制御システム。
- 前記オブザーバが加速度計を有している、請求項1に記載の力制御システム。
- 前記オブザーバは、前記位置コントローラに接続される出力部を有する第1および第2の加速度計を備え、前記位置コントローラは、前記加速度計から受けた信号を、前記可動部材の位置および速度の推定値に変換する、請求項4に記載の力制御システム。
- 前記位置コントローラは、前記位置・速度エラー信号に対して位置ゲイン項および速度ゲイン項を加えて、力コマンド信号を形成する、請求項5に記載の力制御システム。
- 前記位置ゲイン項は、前記可動部材の速度だけが制御されるように、ゼロと等しく設定される、請求項6に記載の力制御システム。
- 前記位置コントローラは、オブザーバからの出力信号を連続的に受ける、請求項1に記載の力制御システム。
- 前記位置コントローラは、オブザーバからの出力信号を周期的にサンプリングする、請求項1に記載の力制御システム。
- 電磁アクチュエータのための力制御システムであって、前記アクチュエータは、1つのコアを有する固定部材と、1つの可動部材と、1つの位相コイルとを有し、前記位相コイルは、位相コイルが励磁される時に前記コア内に磁束を形成して前記可動部材に力を作用させるように配置され、前記可動部材に作用する力は、磁束の大きさに応じて変化する力制御システムにおいて、
入力部と出力部とを有し、前記入力部が前記位相コイルに接続される磁束オブザーバであって、前記位相コイルに印加される電圧を低域通過フィルタに通して、前記位相コイルの磁束を推定するとともに、推定された磁束を示す信号を前記出力部で供給する磁束オブザーバと、
磁束コマンド信号および前記磁束オブザーバからの出力を受ける磁束コントローラであって、位相励磁信号を供給することにより、前記磁束コマンド信号が少なくとも所定の大きさだけ前記推定された磁束信号よりも大きい時に、前記位相コイルの磁束を増大させるように前記位相コイルを励磁するとともに、磁束フィードバック信号が少なくとも所定の大きさだけ前記磁束コマンド信号よりも大きい時に、前記位相コイルの磁束を減少させるように前記位相コイルを励磁する磁束コントローラと、
を備えている力制御システム。 - 前記磁束コントローラに接続された出力部を有し、所定の基準座標系における所望の力コマンドを入力として受けるとともに、前記磁束コマンド信号を前記出力部で供給する力−磁束コントローラを更に備え、
前記力−磁束コントローラは、前記可動部材に関連付けられた力と前記コア内の磁束との間の関係に基づいて、前記所望の力コマンドを前記磁束コマンド信号に変換する、請求項10に記載の力制御システム。 - 前記磁束オブザーバは、Vn−In*Rnを低域通過フィルタに通し、Vnは前記位相コイルの電圧であり、Inは前記位相コイルの電流であり、Rnは前記位相コイルの抵抗である、請求項10に記載の力制御システム。
- 孔を画定するとともに、1つのコアを有する外側の固定アセンブリと、
それ自身が励磁される時に前記コア内に磁束を形成するように配置された位相コイルと、
前記コア内に形成される磁束により力を受けるように、前記固定アセンブリによって形成される前記孔内に配置された可動部材と、
入力部と出力部とを有し、前記入力部が前記位相コイルに接続される磁束オブザーバであって、前記位相コイルに印加される電圧を低域通過フィルタに通して、前記位相コイルの磁束を推定するとともに、推定された磁束を示す信号を前記出力部で供給する磁束オブザーバと、
磁束コマンド信号および前記磁束オブザーバからの出力を受ける磁束コントローラであって、位相励磁信号を供給することにより、前記磁束コマンド信号が少なくとも所定の大きさだけ前記推定された磁束信号よりも大きい時に、前記位相コイルの磁束を増大させるように前記位相コイルを励磁するとともに、磁束フィードバック信号が少なくとも所定の大きさだけ前記磁束コマンド信号よりも大きい時に、前記位相コイルの磁束を減少させるように前記位相コイルを励磁する磁束コントローラと、
を備えている電磁アクチュエータ。 - 前記外側の固定アセンブリは、磁気的に分離された実質的に同一の複数のE−コアを備え、各E−コアは、中央アームと、2つの二次アームとを形成している、請求項13に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記位相コイルが複数の位相コイルから成り、前記各位相コイルは、E−コアの前記中央アームを取り巻き、これにより、所定の位相コイルに電気的なエネルギが加えられると、対応するE−コアに磁束が形成される、請求項14に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記複数の位相コイルが2つの位相コイルから成る、請求項15に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記複数の位相コイルが4つの位相コイルから成る、請求項15に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記磁束コントローラに接続された出力部を有し、所定の基準座標系における所望の力コマンドを入力として受けるとともに、前記磁束コマンド信号を前記出力部で供給する力−磁束コントローラを更に備え、
前記力−磁束コントローラは、前記可動部材に関連付けられた力と前記コア内の磁束との間の関係に基づいて、前記所望の力コマンドを前記磁束コマンド信号に変換する、請求項13に記載の力制御システム。 - 前記磁束オブザーバは、Vn−In*Rnを低域通過フィルタに通し、Vnは前記位相コイルの電圧であり、Inは前記位相コイルの電流であり、Rnは前記位相コイルの抵抗である、請求項13に記載の力制御システム。
- 前記位相コイルが電気的に接続されておらず、これにより、任意の所定の位相コイルを流れる電流は、任意の他の位相コイルを流れる電流によって制約されない、請求項15に記載の電磁アクチュエータ。
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