JP2005333868A - マラリア原虫測定方法及び測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マラリア原虫を簡便に検出する。
【解決手段】 血液中の赤血球を溶血してマラリア原虫を遊離させた測定用試料を調製し、前記調製した測定用試料に光を照射し、前記光を照射された測定用試料から、第一の散乱光、及び第一の散乱光と散乱の角度が異なる第二の散乱光を検出し、前記検出した第一の散乱光及び第二の散乱光に基づき、測定用試料中のマラリア原虫を検出する。
【選択図】図4
【解決手段】 血液中の赤血球を溶血してマラリア原虫を遊離させた測定用試料を調製し、前記調製した測定用試料に光を照射し、前記光を照射された測定用試料から、第一の散乱光、及び第一の散乱光と散乱の角度が異なる第二の散乱光を検出し、前記検出した第一の散乱光及び第二の散乱光に基づき、測定用試料中のマラリア原虫を検出する。
【選択図】図4
Description
この発明は、マラリア原虫の測定方法と測定装置に関し、特にマラリア原虫の検出を簡易に行うための測定方法と測定装置に関する。
マラリアは熱帯、亜熱帯に広く分布する寄生虫感染症であり、ハマダラカと呼ばれる蚊によって媒介される。マラリア原虫を持つハマダラカに吸血されると、ハマダラカの唾液とともにマラリア原虫が人の血液中に注入される。マラリア原虫は肝細胞内に進入し、そこで増殖し、再び血液中に放出される。このときのマラリア原虫の形態をメロゾイト(分裂小体:merozoite)とよぶ。メロゾイトは血液中に放出されると直ちに赤血球内に侵入し、その形態を変化させながら発育していく。この形態変化を生活環と呼び、生活環の各段階(ステージ)はリングフォーム(輪状体:ring form)、トロポゾイト(栄養体:trophozoite)、シゾント(分裂体:schizont)と呼ばれる。シゾントまで発育したマラリア原虫は赤血球を破壊し、再びメロゾイトとなって血液中に放出される。放出されたメロゾイトは赤血球に侵入し、再び生活環を繰り返して増殖を繰り返す。マラリア原虫はこのサイクルを繰り返すことによって増殖し、血液中の赤血球を破壊し続ける。
従来からマラリア診断のために最も多用されている検査法は、目視による顕微鏡検査である。血液塗抹標本をギムザ染色し、顕微鏡で目視観察することによりマラリア原虫に感染している赤血球を検出して計数する。しかしこの方法は、塗抹標本の作成のために、血液検体の塗抹、固定、染色など煩雑な工程を要する。また正確な検査結果を得るためには、長時間かけて多数の赤血球を顕微鏡観察する必要があり、多数の検体を迅速に処理することが困難である。
一方、マラリア感染の有無を迅速に検査するための方法として、フローサイトメトリー法を応用して血液中のマラリア原虫を検出する方法が研究されている。例えば、溶血剤を含む試薬により血液試料中の赤血球を溶血させて赤血球中のマラリア原虫を遊離させ、核酸染色性色素によりマラリア原虫を蛍光染色することで測定用試料を調製し、測定用試料をフローサイトメータに導入し、シースフロー中を流れる細胞に励起光を照射し、細胞が発する散乱光と蛍光を測定し、散乱光強度と蛍光強度によりマラリア原虫と他の細胞成分を弁別する方法が、特許文献1に開示されている。
また、第一の蛍光色素としてオーラミンO類似体、第二の蛍光色素として特定の縮合ベンゼン誘導体を用い、マラリア感染赤血球を染色して測定用試料を調製し、測定用試料をフローサイトメータに導入し、シースフロー中を流れる細胞に励起光を照射し、細胞が発する前方散乱光と蛍光の強度によりマラリア感染赤血球の検出を行う方法が特許文献2に記載されている。
本発明は、上記特許文献1や特許文献2に開示された方法とは異なる光学的情報の組合せを用いた新規な方法により、マラリア原虫の検出を簡易に行うことを課題とする。
本発明は、血液中の赤血球を溶血してマラリア原虫を遊離させた測定用試料を調製し、前記調製した測定用試料に光を照射し、前記光を照射された測定用試料から、第一の散乱光、及び第一の散乱光と散乱の角度が異なる第二の散乱光を検出し、前記検出した第一の散乱光及び第二の散乱光に基づき、測定用試料中のマラリア原虫を検出する、マラリア原虫測定方法を提供するものである。
また本発明は、血液中の赤血球を溶血してマラリア原虫を遊離させた測定用試料を調製する測定用試料調製部、前記調製された測定用試料を流すためのフローセル、フローセル中を流れる測定用試料に光を照射するための光源、前記光を照射されたフローセル中の測定用試料から、第一の散乱光を検出する第一の検出器、前記第一の散乱光とは散乱の角度が異なる第二の散乱光を検出する第二の検出器、前記第一の検出器が検出した第一の散乱光、及び前記第二の検出器が検出した第二の散乱光に基づき、測定用試料中のマラリア原虫を検出する制御部、を有するマラリア原虫測定装置を提供するものである。
本発明によれば、従来技術とは異なる光学的情報の組合せを用いることにより、マラリア原虫の検出を簡易に行うことが可能となる。
以下、本発明の一実施形態にかかるマラリア原虫測定装置による血液検体の測定について説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
概要
本例のマラリア原虫測定装置は、フローサイトメトリー法を応用したものである。検体としては、ヒトの血液を用いる。マラリア原虫測定装置において、まず所定量の検体と試薬(希釈液及び溶血剤)を混合することにより、測定用試料を調製する。測定用試料の調製においては、溶血剤の作用によって検体中の赤血球が溶血し、赤血球内に寄生しているマラリア原虫が液中に遊離する。次に、測定用試料をフローセルに流し、そのフローセル中を流れる測定用試料にレーザー光を照射する。そして、レーザー光を照射された測定用試料から発せられる散乱光を受光素子により受光・光電変換して電気信号として検出し、検出した電気信号を解析することにより検体中のマラリア原虫を検出、計数する。
本例のマラリア原虫測定装置は、フローサイトメトリー法を応用したものである。検体としては、ヒトの血液を用いる。マラリア原虫測定装置において、まず所定量の検体と試薬(希釈液及び溶血剤)を混合することにより、測定用試料を調製する。測定用試料の調製においては、溶血剤の作用によって検体中の赤血球が溶血し、赤血球内に寄生しているマラリア原虫が液中に遊離する。次に、測定用試料をフローセルに流し、そのフローセル中を流れる測定用試料にレーザー光を照射する。そして、レーザー光を照射された測定用試料から発せられる散乱光を受光素子により受光・光電変換して電気信号として検出し、検出した電気信号を解析することにより検体中のマラリア原虫を検出、計数する。
試薬
本例のマラリア原虫測定装置において測定用試料を調製するために用いる試薬(溶血剤及び希釈液)は以下のものを用いた。
本例のマラリア原虫測定装置において測定用試料を調製するために用いる試薬(溶血剤及び希釈液)は以下のものを用いた。
溶血剤としては、自動血球分析装置用溶血剤として市販されているシスメックス株式会社製ストマトライザ-FB(II)を用いた。この溶血剤には、カチオン系界面活性剤の一種である第四級アンモニウム塩が含まれている。この第四級アンモニウム塩の作用により血液中の赤血球を溶血する。
また、希釈液としては、自動血球計数装置用希釈液として市販されているシスメックス株式会社製セルパックを用いた。
マラリア原虫測定装置
図1は、マラリア原虫測定装置100の外観を示したものである。装置の前面には、各種設定入力を行ったり、また測定結果を表示出力するための液晶タッチパネル101、後述する試料調製部200を覆うカバー102、スタートスイッチ103を備えている。図2はマラリア原虫測定装置100の内部構成を示したものである。装置の右側のスペースには、装置の動作や解析処理を司る制御部400が備えられている。装置の左下のスペースには、試料液から信号を検出するための検出部300が備えられている。また残りのスペースに、試料液を調製するための試料調製部200が備えられている。
図1は、マラリア原虫測定装置100の外観を示したものである。装置の前面には、各種設定入力を行ったり、また測定結果を表示出力するための液晶タッチパネル101、後述する試料調製部200を覆うカバー102、スタートスイッチ103を備えている。図2はマラリア原虫測定装置100の内部構成を示したものである。装置の右側のスペースには、装置の動作や解析処理を司る制御部400が備えられている。装置の左下のスペースには、試料液から信号を検出するための検出部300が備えられている。また残りのスペースに、試料液を調製するための試料調製部200が備えられている。
以下、試料調製部200、検出部300、制御部400の各部について説明する。
試料調製部200の構成
図3は試料調製部200を示す説明図である。試料調製部200は、手前右側に検体セット部221、手前左側に試薬セット部222、奥側にインキュベータ223を備えている。また分注装置224を備えている。操作者が前記図1のカバー102を開けることにより、図3に示した試料調製部200が現れる。試料調製部200において、検体セット部221には、検体の入った検体容器225をセットするよう構成されている。インキュベータ223には、反応容器226をセットするよう構成されている。また試薬セット部222には、溶血剤の入った試薬容器227、希釈液が入った試薬容器231をセットするよう構成されている。インキュベータ223は、セットされた反応容器226の中の液体を、所定の温度に保ちながら振盪撹拌するよう構成されている。分注装置224は、その先端から所定量の液体を吸引・吐出するようになっており、また図示しない駆動装置によって前後・上下・左右に移動可能に構成されている。試料容器233は、後述する検出部300のフローセル301と接続されている。
図3は試料調製部200を示す説明図である。試料調製部200は、手前右側に検体セット部221、手前左側に試薬セット部222、奥側にインキュベータ223を備えている。また分注装置224を備えている。操作者が前記図1のカバー102を開けることにより、図3に示した試料調製部200が現れる。試料調製部200において、検体セット部221には、検体の入った検体容器225をセットするよう構成されている。インキュベータ223には、反応容器226をセットするよう構成されている。また試薬セット部222には、溶血剤の入った試薬容器227、希釈液が入った試薬容器231をセットするよう構成されている。インキュベータ223は、セットされた反応容器226の中の液体を、所定の温度に保ちながら振盪撹拌するよう構成されている。分注装置224は、その先端から所定量の液体を吸引・吐出するようになっており、また図示しない駆動装置によって前後・上下・左右に移動可能に構成されている。試料容器233は、後述する検出部300のフローセル301と接続されている。
検出部300の構成
図4は検出部300の構成を示す説明図である。検出部300は、試料液を流すためのフローセル301を有する。フローセル301は、レーザー光が照射される部分であり内部流路が細く絞られているオリフィス部302、試料液をオリフィス部に向かって上方へ噴射するノズル303、シース液供給口304、排液口305を有する。また検出部300は、レーザー光を照射するためのレーザー光源306を有する。レーザー光源306は、波長633nmのレーザー光を出射する赤色半導体レーザー光源である。検出部300はさらに、レーザー光源から照射されたレーザー光をフローセル301へ集光するコンデンサレンズ307、レーザー光を照射された試料液から発せられた前方散乱光を受光して電気信号に変換するフォトダイオード308、フォトダイオード308へ前方散乱光を集光するためのコレクタレンズ309とピンホール310、レーザー光を照射された試料液から発せられた側方散乱光を受光して電気信号に変換するフォトマルチプライヤチューブ311、フォトマルチプライヤチューブ311へ側方散乱光を集光するためのコレクタレンズ312、フィルタ313、ピンホール314、フォトダイオード308やフォトマルチプライヤチューブ311から出力された電気信号を増幅し、前方散乱光信号及び側方散乱光信号として制御部400へ出力するアンプ315、316を有する。
図4は検出部300の構成を示す説明図である。検出部300は、試料液を流すためのフローセル301を有する。フローセル301は、レーザー光が照射される部分であり内部流路が細く絞られているオリフィス部302、試料液をオリフィス部に向かって上方へ噴射するノズル303、シース液供給口304、排液口305を有する。また検出部300は、レーザー光を照射するためのレーザー光源306を有する。レーザー光源306は、波長633nmのレーザー光を出射する赤色半導体レーザー光源である。検出部300はさらに、レーザー光源から照射されたレーザー光をフローセル301へ集光するコンデンサレンズ307、レーザー光を照射された試料液から発せられた前方散乱光を受光して電気信号に変換するフォトダイオード308、フォトダイオード308へ前方散乱光を集光するためのコレクタレンズ309とピンホール310、レーザー光を照射された試料液から発せられた側方散乱光を受光して電気信号に変換するフォトマルチプライヤチューブ311、フォトマルチプライヤチューブ311へ側方散乱光を集光するためのコレクタレンズ312、フィルタ313、ピンホール314、フォトダイオード308やフォトマルチプライヤチューブ311から出力された電気信号を増幅し、前方散乱光信号及び側方散乱光信号として制御部400へ出力するアンプ315、316を有する。
本例において、前記フォトダイオード308は前方散乱光を検出するため、レーザー光源306からフローセル301に入射するレーザー光の光軸の延長線方向に散乱した散乱光を検出できる位置に配置されている。一方、前記フォトマルチプライヤチューブ311は側方散乱光を検出するため、レーザー光源306からフローセル301に入射するレーザー光の光軸と略直角に交わる方向に散乱した散乱光を検出できる位置に配置されている。前方散乱光は、試料液中に含まれるマラリア原虫や血球といった被検粒子の大きさを反映する。側方散乱光は、被検粒子内部における密度や特定の物質の有無といった内部情報、或いは被検粒子の表面状態を反映する。
制御部400の構成
図5は制御部400の構成、及び制御部400と装置各部との関係を示すブロック図である。制御部400は、メモリ401、中央演算処理装置(CPU)402、検出部300から送られた信号を処理する信号処理回路403、マラリア原虫測定装置100の装置各部の動作を制御するための動作制御回路404を有する。メモリ401は、試料中に含まれるマラリア原虫や血球等の粒子から得た信号の解析に関する解析プログラムや、装置各部の動作を制御する制御プログラムを記憶している。また、信号処理回路403により処理されたデータや、解析プログラムによる処理結果を記憶する。CPU402は、メモリ401から読み出された解析プログラムや制御プログラムを実行し、検出部300において試料液から検出された信号を処理・解析したり、装置各部の動作を制御するための信号を動作制御回路404に送ったりする。解析プログラムによる解析結果は、液晶タッチパネル101に出力される。
図5は制御部400の構成、及び制御部400と装置各部との関係を示すブロック図である。制御部400は、メモリ401、中央演算処理装置(CPU)402、検出部300から送られた信号を処理する信号処理回路403、マラリア原虫測定装置100の装置各部の動作を制御するための動作制御回路404を有する。メモリ401は、試料中に含まれるマラリア原虫や血球等の粒子から得た信号の解析に関する解析プログラムや、装置各部の動作を制御する制御プログラムを記憶している。また、信号処理回路403により処理されたデータや、解析プログラムによる処理結果を記憶する。CPU402は、メモリ401から読み出された解析プログラムや制御プログラムを実行し、検出部300において試料液から検出された信号を処理・解析したり、装置各部の動作を制御するための信号を動作制御回路404に送ったりする。解析プログラムによる解析結果は、液晶タッチパネル101に出力される。
以下、マラリア原虫測定装置100の動作の詳細につき説明する。図6は、制御プログラムによるマラリア原虫測定装置1の全体制御を示すフローチャートである。操作者がスタートスイッチ103を押すと、制御プログラムが起動し、ステップS1(測定用試料液の調製)、ステップS2(粒子信号の検出)、ステップS3(粒子信号の解析)が順次実行される。これにより、試料調製部200、検出部300、制御部400の各部が制御され、マラリア原虫測定装置100の一連の動作が自動的に実行される。上記ステップS1、S2、S3による装置各部の動作を以下に説明する。
ステップS1(測定用試料液の調製)
ステップS1では、試料調製部200が制御され、測定用試料の調製が実行される。ステップS1における試料調製部200の動作を、図3を用いて説明する。まず分注装置224は、試薬セット部222の試薬容器227から55μLの溶血剤を吸引し、反応容器226に分注する。次に、分注装置224が、試薬セット部222の試薬容器231から希釈液を945μL吸引し、溶血剤の入った反応容器226に分注する。次に検体セット部221にセットされている検体容器225から検体を20μL吸引し、インキュベータ223にセットされている反応容器226に分注する。この後インキュベータ223が、検体・希釈液・溶血剤が入った反応容器226内の液温を40℃に保ったまま14秒間撹拌し、検体に溶血処理を施す。このようにして調製した測定用試料液を分注装置224が吸引し、試料容器233に供給する。試料容器233に供給された測定用試料液は、検出部300のフローセル301に流される。
ステップS1では、試料調製部200が制御され、測定用試料の調製が実行される。ステップS1における試料調製部200の動作を、図3を用いて説明する。まず分注装置224は、試薬セット部222の試薬容器227から55μLの溶血剤を吸引し、反応容器226に分注する。次に、分注装置224が、試薬セット部222の試薬容器231から希釈液を945μL吸引し、溶血剤の入った反応容器226に分注する。次に検体セット部221にセットされている検体容器225から検体を20μL吸引し、インキュベータ223にセットされている反応容器226に分注する。この後インキュベータ223が、検体・希釈液・溶血剤が入った反応容器226内の液温を40℃に保ったまま14秒間撹拌し、検体に溶血処理を施す。このようにして調製した測定用試料液を分注装置224が吸引し、試料容器233に供給する。試料容器233に供給された測定用試料液は、検出部300のフローセル301に流される。
ステップS2(粒子信号の検出)
ステップS2では、検出部300が制御され、測定用試料液中の粒子から、各粒子の特徴を反映する信号が検出される。ステップS2における検出部300の動作を、図4を用いて説明する。前記の通り試料容器233に試料液が供給されると、図示しないポンプやバルブの動作により試料液がノズル303へ導かれる。そして試料液がノズル303からフローセル301に吐出される。それと同時にシース液が、図示しないシース液容器からシース液供給口304を介してフローセル301に供給される。これによって試料液は、フローセル301内でシース液に包まれ、更にオリフィス部302で細く絞られて流れる。試料液の流れを細く絞り込むことにより、試料液に含まれるマラリア原虫や血球等の粒子を一列に整列させてオリフィス部302に流すことができる。オリフィス部302を流れる試料液に対し、レーザー光源306から出射されたレーザー光がコンデンサレンズ307で絞られて照射される。レーザー光を受けた試料液中の粒子から発せられた前方散乱光はコレクタレンズ309により集光される。そしてピンホール310を通過した前方散乱光は、フォトダイオード308で受光、光電変換されてパルス状の前方散乱光信号となる。レーザー光を受けた試料液中の粒子から発せられた側方散乱光は、コレクタレンズ312により集光される。そしてフィルタ313、ピンホール314を通過した側方散乱光は、フォトマルチプライヤチューブ311で受光、光電変換されてパルス状の側方散乱光信号となる。前方散乱光信号及び側方散乱光信号は、各粒子の特徴を反映する粒子信号として、それぞれアンプ315・316で増幅され、制御部400へ送られる。
ステップS2では、検出部300が制御され、測定用試料液中の粒子から、各粒子の特徴を反映する信号が検出される。ステップS2における検出部300の動作を、図4を用いて説明する。前記の通り試料容器233に試料液が供給されると、図示しないポンプやバルブの動作により試料液がノズル303へ導かれる。そして試料液がノズル303からフローセル301に吐出される。それと同時にシース液が、図示しないシース液容器からシース液供給口304を介してフローセル301に供給される。これによって試料液は、フローセル301内でシース液に包まれ、更にオリフィス部302で細く絞られて流れる。試料液の流れを細く絞り込むことにより、試料液に含まれるマラリア原虫や血球等の粒子を一列に整列させてオリフィス部302に流すことができる。オリフィス部302を流れる試料液に対し、レーザー光源306から出射されたレーザー光がコンデンサレンズ307で絞られて照射される。レーザー光を受けた試料液中の粒子から発せられた前方散乱光はコレクタレンズ309により集光される。そしてピンホール310を通過した前方散乱光は、フォトダイオード308で受光、光電変換されてパルス状の前方散乱光信号となる。レーザー光を受けた試料液中の粒子から発せられた側方散乱光は、コレクタレンズ312により集光される。そしてフィルタ313、ピンホール314を通過した側方散乱光は、フォトマルチプライヤチューブ311で受光、光電変換されてパルス状の側方散乱光信号となる。前方散乱光信号及び側方散乱光信号は、各粒子の特徴を反映する粒子信号として、それぞれアンプ315・316で増幅され、制御部400へ送られる。
ステップS3(粒子信号の解析)
ステップS2で検出され制御部400に送られた粒子信号(前方散乱光信号及び側方散乱光信号)は、制御部400が有する信号処理回路403に入力される。この信号処理回路403は、それぞれの粒子信号につき、所定の信号強度を超える部分を粒子検出信号とみなし、信号波形における粒子毎の信号強度のピーク値を算出する。これにより、試料中の各粒子につき、前方散乱光強度と側方散乱光強度が算出される。前方散乱光強度と側方散乱光強度は、粒子毎のデータとしてメモリ401に記憶される。
ステップS2で検出され制御部400に送られた粒子信号(前方散乱光信号及び側方散乱光信号)は、制御部400が有する信号処理回路403に入力される。この信号処理回路403は、それぞれの粒子信号につき、所定の信号強度を超える部分を粒子検出信号とみなし、信号波形における粒子毎の信号強度のピーク値を算出する。これにより、試料中の各粒子につき、前方散乱光強度と側方散乱光強度が算出される。前方散乱光強度と側方散乱光強度は、粒子毎のデータとしてメモリ401に記憶される。
メモリ401に記憶された粒子毎の前方散乱光強度及び側方散乱光強度のデータは、メモリ401に予め記憶されている解析プログラムにより解析される。CPU402に読み出されて実行される解析プログラムの各ステップにつき、図7のフローチャートを用いて説明する。
ステップS31:メモリ401から、測定用試料中の各粒子に対応した前方散乱光強度及び側方散乱光強度のデータを取得する。
ステップS32:前方散乱光強度及び側方散乱光強度のデータを二次元座標空間に展開し、前方散乱光強度及び側方散乱光強度をパラメータとした二次元スキャッタグラムを作成する。
ステップS33:ステップS32で作成した二次元スキャッタグラム上に、マラリア原虫に対応するドットが出現する領域Mを設定する。領域Mの座標データはメモリ401に予め記憶されており、本ステップにおいて解析プログラムによって読み出され、二次元スキャッタグラム上に適用される。なお領域Mの位置は、マラリア原虫を含有していることが予め顕微鏡検査等により確認された検体から得た前方散乱光強度及び側方散乱光強度に基づき定めたものである。
上記ステップS33で作成された二次元スキャッタグラムの一例を、図8に示す。この二次元スキャッタグラムは、縦軸に前方散乱光強度を、横軸に側方散乱光強度をとっている。マラリア原虫に対応するドットが出現する領域Mが設定されている。前方散乱光強度は、被検粒子の大きさを反映する。また側方散乱光強度は、被検粒子内部における密度や特定の物質の有無といった内部情報、或いは被検粒子の表面状態を反映する。本発明者らは鋭意検討の結果、検体中のマラリア原虫と、それ以外の粒子(例えば溶血していない白血球、溶血した赤血球の残骸など)との間に、検出される前方散乱光強度及び側方散乱光強度に関して差が生じ、蛍光染色を用いずともマラリア原虫の検出が可能であることを見出した。図8において、領域Mの左側に出現しているドットの集団は、溶血した赤血球の残骸に対応するドットの集団である。また領域Mの上側に出現しているドットの集団は、白血球に対応するドットの集団である。
ステップS34:領域Mにつき、領域内に出現しているドット数を計数する。領域M内に出現したドットの数は、試料液中のマラリア原虫の数を反映している。
ステップS35:前記作成した二次元スキャッタグラム、算出したマラリア原虫数を、解析結果として液晶タッチパネル101に出力するためのデータを作成し、そのデータを液晶タッチパネル101に出力する。図9に、前記データが液晶タッチパネル101に出力された様子を示す。液晶タッチパネル101に、二次元スキャッタグラム、マラリア原虫数が、解析結果として表示されている。
測定結果の例
前記図8及び図10はそれぞれ、上記に説明してきたマラリア原虫測定装置100を用いて検体1・検体2を測定した結果得られた二次元スキャッタグラムである。検体1はマラリア感染患者から採取した血液である。また検体2は健常者から採取した血液である。検体1を測定した結果得られた図8の二次元スキャッタグラムにおいて、領域M内にはマラリア原虫に対応するドットの集団が出現している。一方、検体2を測定した結果得られた図10の二次元スキャッタグラムにおいて、領域M内にはドットがほとんど出現していない。このことから、マラリア原虫測定装置100により検体中のマラリア原虫が確実に検出されていることがわかる。なお各二次元スキャッタグラムにおいて、領域Mの左側にドットの集団が出現している。これらのドットは、溶血処理により溶血した赤血球の残骸に対応するものである。また領域Mの上側に出現しているドットの集団は、白血球に対応するドットの集団である。
前記図8及び図10はそれぞれ、上記に説明してきたマラリア原虫測定装置100を用いて検体1・検体2を測定した結果得られた二次元スキャッタグラムである。検体1はマラリア感染患者から採取した血液である。また検体2は健常者から採取した血液である。検体1を測定した結果得られた図8の二次元スキャッタグラムにおいて、領域M内にはマラリア原虫に対応するドットの集団が出現している。一方、検体2を測定した結果得られた図10の二次元スキャッタグラムにおいて、領域M内にはドットがほとんど出現していない。このことから、マラリア原虫測定装置100により検体中のマラリア原虫が確実に検出されていることがわかる。なお各二次元スキャッタグラムにおいて、領域Mの左側にドットの集団が出現している。これらのドットは、溶血処理により溶血した赤血球の残骸に対応するものである。また領域Mの上側に出現しているドットの集団は、白血球に対応するドットの集団である。
マラリア原虫の成育段階の判別
[背景技術]の欄にも説明したように、マラリア原虫は末梢血中でリングフォーム(輪状体:ring form)、トロポゾイト(栄養体:trophozoite)、シゾント(分裂体:schizont)と呼ばれる各成育段階を繰り返しながら増殖していく。以下、測定用試料中に含まれているマラリア原虫の成育段階を判別できるようにしたマラリア原虫測定装置110につき説明する。マラリア原虫測定装置110のハードウェア的な構成及び動作、使用する試薬の種類や量、測定用試料の調製から粒子信号の検出に至る装置の制御は、マラリア原虫測定装置100と同様である。よって、以下マラリア原虫測定装置110について、粒子信号の解析から解析結果の出力に至る解析プログラムのフローにつき説明する。そのフローチャートを図11に示す。マラリア原虫測定装置110において、マラリア原虫測定装置100と共通する箇所については、同じ符号を用いて説明する。
[背景技術]の欄にも説明したように、マラリア原虫は末梢血中でリングフォーム(輪状体:ring form)、トロポゾイト(栄養体:trophozoite)、シゾント(分裂体:schizont)と呼ばれる各成育段階を繰り返しながら増殖していく。以下、測定用試料中に含まれているマラリア原虫の成育段階を判別できるようにしたマラリア原虫測定装置110につき説明する。マラリア原虫測定装置110のハードウェア的な構成及び動作、使用する試薬の種類や量、測定用試料の調製から粒子信号の検出に至る装置の制御は、マラリア原虫測定装置100と同様である。よって、以下マラリア原虫測定装置110について、粒子信号の解析から解析結果の出力に至る解析プログラムのフローにつき説明する。そのフローチャートを図11に示す。マラリア原虫測定装置110において、マラリア原虫測定装置100と共通する箇所については、同じ符号を用いて説明する。
ステップS41:メモリ401から、測定用試料中の各粒子に対応した前方散乱光強度及び側方散乱光強度のデータを取得する。
ステップS42:前方散乱光強度及び側方散乱光強度のデータを二次元座標空間に展開し、前方散乱光強度及び側方散乱光強度をパラメータとした二次元スキャッタグラムを作成する。
ステップS43:ステップS42で作成した二次元スキャッタグラム上に、マラリア原虫のうちリングフォームに対応するドットが出現する領域R、トロポゾイトに対応するドットが出現する領域T、シゾントに対応するドットが出現する領域Sを設定する。領域R、T、Sの各座標データはメモリ401に予め記憶されており、本ステップにおいて解析プログラムによって読み出され、二次元スキャッタグラム上に適用される。なお領域R、T、Sの位置は、それぞれリングフォームを含有している検体、トロポゾイトを含有している検体、トロポゾイトを含有している検体から得た前方散乱光強度及び側方散乱光強度に基づき定めたものである。
上記ステップS43で作成された二次元スキャッタグラムの一例を、図12に示す。この二次元スキャッタグラムは、縦軸に前方散乱光強度を、横軸に側方散乱光強度をとっている。マラリア原虫の各成育段階に対応するドットが出現する領域R、T、Sが設定されている。前記の通り、前方散乱光強度は、被検粒子の大きさを反映する。また側方散乱光強度は、被検粒子内部における密度や特定の物質の有無といった内部情報、或いは被検粒子の表面状態を反映する。本発明者らは鋭意検討の結果、マラリア原虫における各成育ステージ毎に、検出される前方散乱光強度及び側方散乱光強度に関して差が生じ、蛍光染色を用いずにマラリア原虫の成育段階の判断が可能であることを見出した。
ステップS44:領域R、T、Sにつき、各領域内に出現しているドット数を計数し、各成育段階のマラリア原虫を計数する。また領域R、T、S内に出現したドット数の合計を算出し、総マラリア原虫数を算出する。
ステップS45:前記作成した二次元スキャッタグラム、算出した各成育段階のマラリア原虫数、及び総マラリア原虫数を解析結果として液晶タッチパネル101に出力するためのデータを作成し、そのデータを液晶タッチパネル101に出力する。図13に、前記データが液晶タッチパネル101に出力された様子を示す。液晶タッチパネル101に、二次元スキャッタグラム、各成育段階(リングフォーム、トロポゾイト、シゾント)のマラリア原虫数、及び総マラリア原虫数が、解析結果として表示されている。
測定結果の例
前記図12、図14及び図15はそれぞれ、上記に説明してきたマラリア原虫測定装置110を用いて検体3、検体4、検体5を測定した結果得られた二次元スキャッタグラムである。検体3は健常者から採取した血液に、培養したマラリア原虫を添加したものである。検体4は、健常者から採取した血液に、培養したマラリア原虫(但しリングフォームのみ)を添加したものである。検体5は、健常者から採取した血液である。検体3を測定した結果得られた図12の二次元スキャッタグラムにおいて、領域R、T、Sのそれぞれにドットが出現している。検体4を測定した結果得られた図14の二次元スキャッタグラムにおいては、領域R内にはリングフォームに対応するドットの集団が出現している。しかし領域T、領域S内にはほとんどドットが出現していない。検体5を測定した結果得られた図15の二次元スキャッタグラムにおいて、領域R、T、S内にはほとんどドットが出現していない。このことから、上記に説明したマラリア原虫測定装置110は、検体中のマラリア原虫を確実に検出するとともに、特定の成育段階のマラリア原虫(上記例の場合はリングフォーム)を確実に検出していることがわかる。
前記図12、図14及び図15はそれぞれ、上記に説明してきたマラリア原虫測定装置110を用いて検体3、検体4、検体5を測定した結果得られた二次元スキャッタグラムである。検体3は健常者から採取した血液に、培養したマラリア原虫を添加したものである。検体4は、健常者から採取した血液に、培養したマラリア原虫(但しリングフォームのみ)を添加したものである。検体5は、健常者から採取した血液である。検体3を測定した結果得られた図12の二次元スキャッタグラムにおいて、領域R、T、Sのそれぞれにドットが出現している。検体4を測定した結果得られた図14の二次元スキャッタグラムにおいては、領域R内にはリングフォームに対応するドットの集団が出現している。しかし領域T、領域S内にはほとんどドットが出現していない。検体5を測定した結果得られた図15の二次元スキャッタグラムにおいて、領域R、T、S内にはほとんどドットが出現していない。このことから、上記に説明したマラリア原虫測定装置110は、検体中のマラリア原虫を確実に検出するとともに、特定の成育段階のマラリア原虫(上記例の場合はリングフォーム)を確実に検出していることがわかる。
上記各例のマラリア原虫測定装置では、前方散乱光及び側方散乱光の二種類の散乱光に基づき測定用試料中のマラリア原虫の検出を行っており、蛍光の検出は行っていない。そのため上記で用いた測定用試薬は、赤血球を溶血するための溶血剤を含んでいるが、検体中の物質を蛍光染色するための蛍光色素は含んでいない。すなわち上記各例では蛍光色素を含む染色液が不要なので、測定に必要な試薬の種類の低減、測定用試料の調製にかかる手間や時間の低減が可能になる。また従来、蛍光を検出する際は微弱な光を検出するための高感度な検出器が必要であったが、上記各例のマラリア原虫測定装置においてはそのような検出器が必要なくなる。また従来、自動測定装置において、測定に用いた蛍光色素が装置内の流体系に残存すると、次回の測定の結果に影響を及ぼす場合あるため、流体系の洗浄を充分に行う必要があったが、上記各例のマラリア原虫測定装置においては蛍光色素の使用を必須としないため、装置内の洗浄作業をより簡易なものとすることができ、ランニングコストの削減、装置構成の簡素化を図ることができる。なお、マラリア原虫と併せて別の測定対象物質を検出したり、或いはマラリア原虫の検出の精度を高める目的で、散乱光とは別の情報を併せて測定用試料から検出し、解析に用いてもよい。この場合には、蛍光色素を含む染色液により検体に蛍光染色処理を施し、測定用試料液から二種類の散乱光と併せて蛍光を検出するようにしてもよい。
上記各例のマラリア原虫測定装置では、カチオン系界面活性剤である第四級アンモニウム塩を含有する溶血剤を用いた。しかし使用可能な溶血剤は必ずしもこれに限られない。赤血球を溶血させる作用のある物質として溶血剤に含まれるものとしては、上記各例で用いた第四級アンモニウム塩以外でも、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、或いはアニオン系界面活性剤といった各種の界面活性剤から選択して用いることができる。これらの物質は、溶血処理時の濃度において、血液検体中の赤血球を充分に溶血させるものであり、且つ遊離したマラリア原虫に過度のダメージを与えないものであればよい。また上記各例のマラリア原虫測定装置においては、マラリア原虫測定用の試薬として溶血剤と希釈液を別々の液として用意し、測定用試料を調製する段階でそれらを混合している。このように、マラリア原虫測定用試薬を、複数の液からなる試薬キットとして構成してもよい。しかし本発明の装置や方法に用いる試薬の構成は必ずしもこれに限られず、溶血剤と希釈液を予め混合しておき、一液からなるマラリア原虫測定用試薬としてもよい。
上記各例のマラリア原虫測定装置では、測定用試料液を照射するための光源として半導体レーザー光源を用いているが、本発明においてはこれに限らず、アルゴンイオンレーザー光源に代表される気体レーザー光源を用いることも可能である。
上記各例のマラリア原虫測定装置では、前方散乱光として、レーザー光源306からフローセル301に入射するレーザー光の光軸の延長線方向に散乱した散乱光を検出している。しかし前方散乱光としては、必ずしもフローセル301に入射するレーザー光の光軸の延長線方向に散乱した散乱光に限らず、被検粒子の大きさを反映するものであれば他の角度に散乱した散乱光でもよい。また上記各例のマラリア原虫測定装置では、側方散乱光として、レーザー光源306からフローセル301に入射するレーザー光の光軸と略直角に交わる方向に散乱した散乱光を検出している。しかし側方散乱光としては、必ずしもフローセル301に入射するレーザー光の光軸と略直角に交わる方向に散乱した散乱光に限らず、被検粒子の内部情報、或いは表面状態を反映するものであれば他の角度に散乱した散乱光でもよい。例えば、前記光軸から略直角に交わる方向でなくとも、前記前方散乱光より大きな角度で散乱する散乱光を用いることができる。
100 マラリア原虫測定装置
200 試料調製部
300 検出部
400 制御部
200 試料調製部
300 検出部
400 制御部
Claims (14)
- 血液中の赤血球を溶血してマラリア原虫を遊離させた測定用試料を調製し、
前記調製した測定用試料に光を照射し、
前記光を照射された測定用試料から、第一の散乱光、及び第一の散乱光と散乱の角度が異なる第二の散乱光を検出し、
前記検出した第一の散乱光及び第二の散乱光に基づき、測定用試料中のマラリア原虫を検出する、マラリア原虫測定方法。 - 前記第一の散乱光は前方散乱光であり、前記第二の散乱光は側方散乱光である、請求項1に記載のマラリア原虫測定方法。
- 前記測定用試料の調製において、赤血球を溶血するため血液に溶血剤を添加する、請求項1記載のマラリア原虫測定方法。
- 半導体レーザー光源を用いて前記測定用試料に光を照射する、請求項1記載のマラリア原虫測定方法。
- 前記半導体レーザー光源は、赤色半導体レーザー光源である、請求項4記載のマラリア原虫測定方法。
- 前記検出した第一の散乱光及び第二の散乱光に基づき、マラリア原虫の成育段階を判別する、請求項1記載のマラリア原虫測定方法。
- 血液中の赤血球を溶血してマラリア原虫を遊離させた測定用試料を調製する測定用試料調製部、
前記調製された測定用試料を流すためのフローセル、
フローセル中を流れる測定用試料に光を照射するための光源、
前記光を照射されたフローセル中の測定用試料から、第一の散乱光を検出する第一の検出器、
前記第一の散乱光とは散乱の角度が異なる第二の散乱光を検出する第二の検出器、
前記第一の検出器が検出した第一の散乱光、及び前記第二の検出器が検出した第二の散乱光に基づき、測定用試料中のマラリア原虫を検出する制御部、
を有するマラリア原虫測定装置。 - 前記第一の散乱光は前方散乱光であり、前記第二の散乱光は側方散乱光である、請求項7に記載のマラリア原虫測定装置。
- 前記第一の検出器は、フローセルに入射する光の光軸の延長線方向に散乱した散乱光を検出する、請求項7に記載のマラリア原虫測定装置。
- 前記第二の検出器は、フローセルに入射する光の光軸と略直角に交わる方向に散乱した散乱光を検出する、請求項7に記載のマラリア原虫測定装置。
- 前記測定用試料調製部は、血液に溶血剤を添加する溶血剤添加手段を有する、請求項7記載のマラリア原虫測定装置。
- 前記光源は、半導体レーザー光源である、請求項7記載のマラリア原虫測定装置。
- 前記半導体レーザー光源は、赤色半導体レーザー光源である、請求項7記載のマラリア原虫測定装置。
- 前記制御部は、第一の散乱光及び第二の散乱光に基づき、マラリア原虫の成育段階を判別する、請求項7記載のマラリア原虫測定装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009136573A1 (ja) * | 2008-05-09 | 2009-11-12 | シスメックス株式会社 | 血液分析装置、血液分析方法、溶血剤および染色剤 |
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-
2004
- 2004-05-26 JP JP2004156415A patent/JP2005333868A/ja active Pending
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