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JP2005331341A - 口腔内健康維持能力の評価方法および評価装置 - Google Patents

口腔内健康維持能力の評価方法および評価装置 Download PDF

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JP2005331341A JP2004149321A JP2004149321A JP2005331341A JP 2005331341 A JP2005331341 A JP 2005331341A JP 2004149321 A JP2004149321 A JP 2004149321A JP 2004149321 A JP2004149321 A JP 2004149321A JP 2005331341 A JP2005331341 A JP 2005331341A
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Shuji Takamatsu
修司 高松
Takeshi Nakanishi
剛 中西
Satoshi Nomura
聡 野村
Mikito Yamanuki
幹人 山貫
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Abstract

【課題】 被検者の口腔内における検体を測定し、この検体中の各種イオンの濃度に基づいて虫歯または歯周病の罹患リスクを評価することができ、これによって口腔内の健康状態を診断することができるようにした口腔内健康状態維持能力の評価方法および評価装置を提供すること。
【解決手段】 被検者の口腔内の検体2に含まれる複数の異なるイオンのイオン濃度を測定し、これらのイオン濃度から検体の酸緩衝能および/または再石灰化能を求め、この酸緩衝能および/または再石灰化能をパラメータとして用いて口腔内の健康維持能力を評価する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、口腔内健康維持能力の評価方法および評価装置に関する。
従来より、被検者の口腔内の健康状態を診断するために、口腔内を歯科医が直接視診することが行われている。また、虫歯にかかり易い状態にあるかどうかを判断するために、被検者の口腔内から採取した唾液などの検体を用いて歯のう蝕罹患リスク(一般的に、Caries Activity Testと呼ばれている)の評価が行われている。
つまり、口腔内の健康維持を促進するために、特に歯牙のう蝕予防の指標として唾液の性状を測定することがあり、例えば、歯牙のう蝕予防の指標として有効な酸緩衝能を測定することがある。特許文献1には、唾液の酸緩衝能を簡易的に測定する手法として、唾液に所定量の酸を含む酸緩衝能指示薬を接触させてその色の変化から唾液の酸緩衝能を検出する方法が考えられている。
一方、特許文献2,3は、唾液や歯垢などの検体の酸緩衝能の測定をpHの測定値によって求める方法を示している。すなわち、検体に乳酸や塩酸水溶液などの規定量の酸を滴下した後に、特許文献2の図3に示すように、横軸を酸滴下量、縦軸をpH値としたグラフを作成していた。この二次元グラフに基づいて酸液の滴下を行うことにより、より正確に酸緩衝能を測定することが行われている。また、簡易的には、ある一定量の酸を滴下した場合のpHの変化から、前記二次元グラフの知見に基づいてカリエスリスクを推定している。
特開2003−83961号公報 特開2003−302398号公報 特開2003−202317号公報
ところが、特許文献1のように色の変化から唾液の酸緩衝能を測定する場合には、この酸緩衝能を数値的な測定結果を出すのが難しく、測定結果の正確さに問題があった。一方、特許文献2,3のように検体に対して酸を滴下した後にpHの変化を測定する方法は数値的な測定結果が得られる。
しかしながら、特許文献1〜3のものはいずれも酸緩衝能を示す正確なグラフを作成するためには、酸の滴下の回数分だけ測定に時間がかかり、検体と酸との混合が十分に行われるまで待つ必要があるので、測定に時間がかかるという共通の問題があった。また、従来の方法は何れも検体の酸緩衝能を適当な酸と接触させたときのpHの変化から、検体の酸緩衝能を測定するものであるから、口腔内と同じ条件で検体の酸緩衝能を発揮させることができる適当な酸を選択するのが難しいという問題もある。
加えて、口腔内の健康維持能力は酸緩衝能だけで定まるものではなく、例えばカルシウムとリン酸による再石灰化能も重要な要素となるが、従来はこの検体の再石灰化能を測定することができなかった。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、被検者の口腔内における検体を測定し、この検体中の各種イオンの濃度に基づいて虫歯または歯周病の罹患リスクを評価することができ、これによって口腔内の健康状態を診断することができるようにした口腔内健康状態維持能力の評価方法および評価装置を提供することである。
上記目的を達成するために、第1発明の口腔内健康維持能力の評価方法は、被検者の口腔内の検体に含まれる複数の異なるイオンのイオン濃度を測定し、これらのイオン濃度から検体の酸緩衝能および/または再石灰化能を求め、この酸緩衝能および/または再石灰化能をパラメータとして用いて口腔内の健康維持能力を評価することを特徴としている(請求項1)。
パラメータが検体の酸緩衝能であり、この酸緩衝能を、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度とから求めるようにしてもよい(請求項2)。
パラメータが再石灰化能であり、この再石灰化能を、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とから求めるようにしてもよい(請求項3)。
検体に含まれるフッ化物イオンのイオン濃度を測定し、その測定値を再石灰化能の演算に加味してもよい(請求項4)。
第2発明の口腔内健康状態維持能力の評価方法は、被検者の口腔内の検体に含まれるリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とを測定し、これらのイオン濃度から口腔内の健康維持能力を評価するパラメータを求めることを特徴としている(請求項5)。
検体のpHを測定し、この測定値によって、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンのイオン濃度を補正してもよい(請求項6)。
第3発明の口腔内健康維持能力の評価装置は、検体に接触させることによってこれに含まれる複数の異なるイオンのイオン濃度をそれぞれ測定する測定部と、測定部によって測定された各イオン濃度の測定値から検体の酸緩衝能および/または再石灰化能を求め、この酸緩衝能および/または再石灰化能をパラメータとして用いて口腔内の健康維持能力を評価するための演算処理を行う演算処理部とを有することを特徴としている(請求項7)。
第4発明の口腔内健康状態維持能力の評価装置は、検体に接触させることによってこれに含まれるリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度、カルシウムイオンのイオン濃度をそれぞれ測定する測定部と、測定部によって測定された各イオン濃度の測定値から口腔内の健康維持能力を評価するパラメータを求める演算処理部とを有することを特徴としている(請求項8)。
前記測定部はイオンセンサによって構成されてもよい。そして、イオンセンサを口腔内健康維持能力の評価装置の本体に対して着脱自在として、イオンセンサを使い捨て可能としてもよい。
なお、イオンセンサはイオン選択性の電極を有するものであり、例えばガラス電極に代表される固体膜式電極であってもよいし、ポリビニルクロライド(PVC膜)、シリコンゴム(RTV膜)、ポリウレタン(PU膜)、あるいはこれらを組み合わせたイオン選択性膜の中に固定化したイオノフォアに代表される液膜式電極を適宜組み合わせた電極であってもよい。つまり、イオンセンサとしてゲート部を上記イオン選択性膜で修飾したイオン感応性電界効果トランジスタ(ISFET:Ion Sensitive Feild Effect Transister) や、イオン選択性電極(ISE:Ion Selective Electrode)などを用いてもよい。
また、イオンセンサとして各成分に対応するイオン感応膜(イオノフォアを担持させた膜)を異なる位置に形成してなる光アドレス電位センサ(LAPS:Light-Addressable Potentiometric Sensor 。特開平8−213580号参照) を応用したものなどを用いてもよい。
測定部が、検体に含まれるリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン、炭酸イオンまたは炭酸水素イオン、カルシウムイオンのそれぞれに反応して各イオンのイオン濃度に応じて光学的特性が変化する指示薬を検体と接触させる指示薬接触領域と、この指示薬接触領域における光学的特性の変化を検出する光検出器と、この光検出器によって検出した指示薬接触領域における光学的特性の変化からイオン濃度を求める濃度演算部を備えていてもよい(請求項9)。
パラメータが検体の酸緩衝能であり、前記演算処理部が、酸緩衝能を、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度とから求めるものであってもよい(請求項10)。
パラメータが再石灰化能であり、前記演算処理部が、再石灰化能を、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とから求めるものであってもよい(請求項11)。
前記測定部は検体に含まれるフッ化物イオンのイオン濃度を測定することができると共に、前記演算処理部が、フッ化物イオンのイオン濃度の測定値を再石灰化能の演算に加味して求めるものであってもよい(請求項12)。
前記測定部に検体のpHを求めるpH測定部が形成されてなり、演算処理部が、pHの測定値によって、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンのイオン濃度を補正するものであってもよい(請求項13)。
請求項1に記載の口腔内健康維持能力の評価方法は、従来のように検体に適当な酸を接触させた後に、その結果生じるpHの変化を測定するのではなく、検体の酸緩衝能および/または再石灰化能を求めるために必要な成分として、検体に含まれる複数の異なるイオンのイオン濃度を測定し、これらのイオン濃度から検体の酸緩衝能および/または再石灰化能を求め、この酸緩衝能および/または再石灰化能をパラメータとして用いて口腔内の健康維持能力を評価するものである。
つまり、前記パラメータの値はこれに関係する検体の各成分の濃度から直接的に評価したものであるから、検体が持つ性状を正しくに評価することができる。また、従来のように酸緩衝能を正しく測定するために適当な濃度および種類の酸を選択する必要もない。
また、本発明の口腔内健康維持能力の評価方法は、従来のように、酸を滴下して振盪器で反応促進させ、反応後のpH値と酸のpHの差を計算してカリエスリスクを出すような測定を行うものではないから、検体による酸緩衝能を試して、その結果を測定するための十分な時間を待つ必要がない。つまり、それだけ高速に測定することができる。加えて、検体と反応させるための酸を別途用意する必要がないので、それだけランニングコストを引き下げることができる。そして、検体による口腔内健康維持能力の評価は酸緩衝能だけにとらわれることなく、検体の性状を適切なパラメータによって表わすことができる。
なお、前記パラメータは、酸緩衝能や再石灰化能などの複数の要因を多次元で示すものであってもよいが、口腔内健康維持能力の総合的な評価値を示すものであってもよい。また、検体の酸緩衝能および/または再石灰化能を求めるために必要な成分として、検体に含まれる複数の異なるイオンとしては、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、カルシウムイオンのイオン濃度が考えられるが、これらに加えて、う蝕原因菌の代謝によって発生する他の物質の濃度を測定することによって、前記パラメータを口腔内健康状態維持能力の評価としてさらに適切な量としてもよい。
パラメータが検体の酸緩衝能であり、この酸緩衝能を、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度とから求めるようにした場合(請求項2)には、検体の酸緩衝能を求めるために必要な炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、リン酸イオンまたはリン酸水素イオンまたはリン酸二水素イオンのイオン濃度を用いて、その酸緩衝能を迅速かつ正確に求めることにより、これを口腔内健康維持能力の適切な評価値とすることができる。この方法は、従来のような検体に適宜の酸を接触させてその酸緩衝能をいわば試して測定する方法に比べて、検体そのものが持つ性状をその他の条件に影響されることなく正確かつ迅速に測定しうる点において優れている。
パラメータが再石灰化能であり、この再石灰化能を、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とから求めるようにした場合(請求項3)には、検体の再石灰化能を求めるために必要なリン酸イオンまたはリン酸水素イオンまたはリン酸二水素イオンのイオン濃度を用いて、その再石灰化能を迅速かつ正確に求めることができる。つまり、虫歯原因菌によって歯牙から溶出したカルシウムやリン酸を再び歯質(エナメル質)中に取り込むことができれば、歯のう蝕を抑制することができるが、検体中に含まれるリン酸イオンまたはリン酸水素イオンまたはリン酸二水素イオンのイオン濃度とカルシウムイオンのイオン濃度を用いて検体の再石灰化能を求めることにより、これを口腔内健康維持能力の適切な評価値とすることができる。
検体に含まれるフッ化物イオンのイオン濃度を測定し、その測定値を再石灰化能の演算に加味する場合(請求項4)には、フッ化物イオンのイオン濃度によって前記再石灰化能を判断する上で大いに参考になる。フッ素は前記エナメル質を変質させて酸に強くするものである。したがって、例えば検体中に含まれるフッ化物イオンの濃度が大きい場合には、それだけ再石灰化能も大きいと判断することができる。
請求項5に記載の口腔内健康状態維持能力の評価方法は、口腔内の健康状態を維持するために必要な成分として、検体に含まれるリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とを測定し、検体が持っている性状を口腔内健康維持能力のパラメータによって表わす方法である。
検体のpHを測定し、この測定値によって、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンのイオン濃度を補正する場合(請求項6)には、前記各イオンのうち比較的容易に測定できるイオン(例えばリン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸水素イオン)の濃度を用いて、検体に含まれるリン酸イオン、炭酸イオンなどのイオン濃度や検体に溶け込んでいる全てのリン酸と炭酸の濃度を正確に求めることができる。
つまり、pHの緩衝能を持つリン酸(H3 PO4 )は電離によって、リン酸イオン(PO4 3-)、リン酸水素イオン(HPO4 2-)、リン酸二水素イオン(H2 PO4 - )などに変化するが、これらのリン酸を含むイオンのうち、測定しやすい少なくとも一つのイオン(HPO4 2-やH2 PO4 - 等)の濃度を測定し、そのときのpH値を用いて補正演算することにより、検体に含まれるリン酸イオンのイオン濃度やリン酸の総量を正確に求めることができる。同様に、pHの緩衝能を持つ炭酸(H2 CO3 )は電離によって、炭酸イオン(CO3 2-)、炭酸水素イオン(HCO3 - )などに変化するが、これらの炭酸を含むイオンのうち、比較的測定しやすい炭酸水素イオン(HCO3 - )の濃度を測定することにより、検体に含まれる炭酸イオンのイオン濃度や炭酸の総量を正確に求めることができる。
なお、pHの測定値を用いた濃度の補正演算は、下記式(1)に示すようなHenderson-Hasselbalch の式を用いて行うことができる。また、リン酸イオンを測定するイオンセンサを形成する場合には、リン酸イオンの濃度およびpHを用いてリン酸の濃度を求めることもできる。
pH=pKa+log([A- ]/[HA]) … (1)
但し、Ka:酸解離定数、A- :電離したイオンAのイオン濃度、HA:物質HAの濃度
請求項7に記載の口腔内健康維持能力の評価装置は、測定部において検体に含まれる複数の異なるイオンのイオン濃度を測定するので、これらのイオン濃度を用いて、検体が持っている性状に関係する検体の各成分の量から口腔内健康維持能力のパラメータを正しく求めることができる。
請求項8に記載の口腔内健康状態維持能力の評価装置は、測定部において検体に含まれるリン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度、カルシウムイオンのイオン濃度をそれぞれ測定するので、口腔内の健康状態を維持するために必要なリン酸水素イオン、炭酸水素イオン、カルシウムイオンのイオン濃度を用いて、検体が持っている性状に関係する検体の各成分の量から口腔内健康維持能力のパラメータを正しく求めることができる。
なお、測定部が、検体に含まれるリン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度、カルシウムイオンのイオン濃度のみならず、う蝕原因菌の代謝によって発生する物質の濃度をそれぞれ測定するものである場合には、前記パラメータを口腔内健康状態維持能力の評価により適切な量とすることもできる。
また、従来のように検体と反応させるための酸を別途用意したり、検体に酸を適量添加する工程を行う必要もないので、それだけ、ランニングコストを引き下げることができると共に、装置構成や測定に係わる制御部の構成を簡略化することができる。なお、前記パラメータは、従来のように検体の酸緩衝能だけにとらわれることがなく、検体の性状を表わす適切な量を用いることができる。また、前記パラメータは酸緩衝能などを含む複数の要因を多次元で示すものであってもよいが、口腔内健康維持能力の総合的な評価値を示すものであってもよい。
そして、測定部がイオンセンサによって構成される場合には、従来のように検体に何らかの試薬を接触させることがなく、それぞれ対応するイオンセンサを用いて各イオン濃度を測定するだけのワンステップの動作によって迅速に測定が完了する。加えて、検出部を容易に小型化することができ、この検出部を直接口腔内に挿入して検体と接触させるような測定を行うこともできる。そして、イオンセンサを口腔内健康維持能力の評価装置の本体に対して着脱自在として、イオンセンサを使い捨て可能とすることにより、衛生的に口腔内健康維持能力の評価を行うことができる。さらに、イオンセンサとしてISFETやISEなどを用いることにより、測定部を容易に小型化することができる。
測定部が、検体に含まれるリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン、炭酸イオンまたは炭酸水素イオン、カルシウムイオンのそれぞれに反応して各イオンのイオン濃度に応じて光学的特性が変化する指示薬を検体と接触させる指示薬接触領域と、この指示薬接触領域における光学的特性の変化を検出する光検出器と、この光検出器によって検出した指示薬接触領域における光学的特性の変化からイオン濃度を求める濃度演算部とを備えている場合(請求項9)には、イオン濃度を指示薬接触領域の光学的特性の変化によって検出することにより、数値化されたイオン濃度を得ることができる。
前記指示薬を例えばテストストリップに含浸させた場合には、このテストストリップの指示薬を含浸させた部分が指示薬接触領域である。なお、テストストリップを用いることにより、一つのテストストリップにリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン、炭酸イオンまたは炭酸水素イオン、カルシウムイオン(加えて例えばpH、フッ化物イオンなどがあってもよい)のそれぞれに対応する指示薬を含浸させてなる指示薬接触領域を並べて形成することも可能であり、この場合、前記複数のイオン濃度を一度に測定することができる。
一方、前記指示薬が検体に滴下されるものである場合には、適宜の容器内に収容した検体に指示薬を滴下した状態で、この容器内が指示薬接触領域である。この検体を収容する容器を用いて指示薬接触領域を形成する場合は、テストストリップを用いる場合に比べて基本となる色がないので、指示薬接触領域における光学的特性の変化を透過光や反射光などを用いてより正確に測定できる利点がある。
前記光検出器は、指示薬接触領域における光学的特性を検出できるものであればよく、少なくとも、その光学的特性として、前記イオン濃度によって強度が変化する特定波長の光をそれぞれ検出できるものである。すなわち、光検出器は前記特定波長の光を透過可能とする光学フィルタを備えた焦電型検出器や、CCDセンサや,C−MOSイメージセンサなどであってもよい。さらに、光検出器は分光器を備えて各波長の光の強度を詳細に検出できるようにしたものであってもよい。なお、本明細書における光とは可視光に限られるものではなく、遠赤外線から紫外線に至るまで、種々の波長の光を指している。
パラメータが検体の酸緩衝能であり、前記演算処理部が、酸緩衝能を、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度とから求めるものである場合(請求項10)には、検体の酸緩衝能を求めるのに必要な炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、リン酸イオンまたはリン酸水素イオンまたはリン酸二水素イオンのイオン濃度を用いて、検体そのものが持つ酸緩衝能をその他の条件に影響されることなく正確かつ迅速に測定できる。
パラメータが再石灰化能であり、前記演算処理部が、再石灰化能を、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とから求めるものである場合(請求項11)には、検体の再石灰化能を求めるために必要なリン酸イオンまたはリン酸水素イオンまたはリン酸二水素イオンのイオン濃度とカルシウムイオンのイオン濃度を用いて、その再石灰化能を迅速かつ正確に求めることができる。
前記測定部は検体に含まれるフッ化物イオンのイオン濃度を測定することができると共に、前記演算処理部が、フッ化物イオンのイオン濃度の測定値を再石灰化能の演算に加味して求めるものである場合(請求項12)には、フッ化物イオンのイオン濃度によって前記再石灰化能のパラメータを調整することができ、フッ素を用いた何らかの処置を行う場合にどの程度の効果が得られているのかを判断することができる。
前記測定部に検体のpHを求めるpH測定部が形成されてなり、演算処理部が、pHの測定値によって、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンのイオン濃度を補正するものである場合(請求項13)には、前記各イオンのうち比較的容易に測定しうるイオン(例えばリン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸水素イオン)の濃度を用いて、検体に含まれるリン酸イオン、炭酸イオンなどのイオン濃度や検体に溶け込んでいる全てのリン酸と炭酸の濃度を正確に求めることができる。
図1は、本発明の口腔内健康維持能力の評価方法および評価装置の原理を説明するための概念図である。
図1において、1は口腔内健康維持能力の評価装置である。この口腔内健康維持能力の評価装置1は被検者の口腔内から採取した検体の一例としての唾液(歯垢などであってもよい)2を収容する容器3と、この容器3内の唾液2に接触させることにより複数の異なる電極(イオンセンサ)4a〜4eおよび比較電極4rを備えている測定部4と、この測定部4を用いて唾液2に含まれる複数のイオンのイオン濃度を求めて口腔内健康維持能力の評価値を求める演算処理部5と、各イオンのイオン濃度やこれによって求められる口腔内健康維持能力の評価値などを記憶する記憶装置6と、演算処理部5によって求められた口腔内健康維持能力の評価値などを表示する表示部7と、演算処理部5によって求められた口腔内健康維持能力の評価値などを外部の情報処理装置(図示していない)に送出する外部接続部8を備えている。
前記電極4a〜4eおよび4rは、例えばpH測定電極4aと、リン酸水素イオン,炭酸水素イオン,カルシウムイオン,フッ化物イオンのイオン濃度をそれぞれ測定する測定電極4b,4c,4d,4eおよび比較電極4rとからなり、これらの測定電極4a〜4eおよび比較電極4rを用いて異なるイオンのイオン濃度を一度に電気的に測定することができるように構成されている。なお、本実施例に示すように、フッ化物イオンの濃度を測定する測定電極4eを設けることにより再石灰化能に係わる評価値のパラメータを得ることができるが、これを省略することもできる。逆に、酸緩衝能や再石灰化能、その他の特性を示す評価値のパラメータを得ることができる、別の成分の濃度を測定する測定電極を別途設けるようにしてもよい。
また、口腔内健康状態維持能力を評価するパラメータとして酸緩衝能だけを求める場合には、測定部が、リン酸水素イオンのイオン濃度と、炭酸水素イオンのイオン濃度だけを測定してもよい。同様に、口腔内健康状態維持能力を評価するパラメータとして再石灰化能だけを求める場合には、測定部が、リン酸水素イオンのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度だけを測定してもよい。
測定電極4a〜4eの種類は種々考えられるが、ガラス電極に代表されるような固体膜式電極、イオノフォアを担持させた樹脂膜などの液膜式電極を適宜組み合わせたイオン電極、イオン感応膜によって修飾したイオン感応性電界効果トランジスタ、光アドレス電位センサなどが考えられる。何れにしても、リン酸および炭酸は、それぞれ、pHの値に応じてリン酸二水素イオンとリン酸水素イオンとリン酸イオンおよび炭酸水素イオンと炭酸イオンに電離するものであるから、演算処理部5は、リン酸や炭酸の電離によって生じる各種イオンのイオン濃度とpHの測定値を用いて検体2に含まれるリン酸,炭酸の総量を求めるための補正演算を行うことができる。
前記演算処理部5は、リン酸水素イオンや炭酸水素イオンのイオン濃度を測定するために、pH測定電極4aによって求められたpHの測定値を用いる。すなわち、リン酸水素イオン,炭酸水素イオンのイオン濃度をpHの測定値によって補正することにより、リン酸イオンやリン酸二水素イオンになっているものや、炭酸イオンになっているものを含めた正確なイオン濃度を得ることができる。
次いで、演算処理部5は、リン酸水素イオンと炭酸水素イオンのイオン濃度から唾液2の酸緩衝能を求め、リン酸水素イオンとカルシウムイオンのイオン濃度から唾液2の再石灰化能を求めることができる。これらの測定値や評価値を口腔内健康維持能力の評価を示すパラメータとして表示部7に表示する。また、各測定電極4a〜4eを用いて測定した各成分の濃度などの測定結果,評価値などを記憶装置6に記憶したり、必要により、外部接続部8を介して外部の情報処理装置に出力する。
なお、口腔内健康状態維持能力の評価装置1は必ずしも外部の情報処理装置と接続される必要はなく、スタンドアローン動作するものであってもよいことはいうまでもない。逆に測定部4、演算処理部5、記憶装置6、表示部7をネットワーク接続された複数の情報処理装置(コンピュータ)によって形成してもよいことはいうまでもない。
以下、前記測定部4の具体例を種々説明する。
図2は口腔内健康維持能力の評価装置1の第1実施例を示す図である。図2において、10は口腔内健康維持能力の評価装置の本体を構成するパソコン、11はこのパソコン11に接続された通信ユニット、12はこの通信ユニット11を介してパソコン10と通信可能であるハンディタイプの測定器、13はこの測定器12の先端部に着脱自在に構成された測定部(電極ユニット)である。
つまり、第1実施例の口腔内健康維持能力の評価装置1は、唾液2に含まれるリン酸、炭酸、カルシウム、フッ素の濃度をそれぞれ測定する電極ユニット13を有する測定器12が、電極ユニット13によって測定された各成分の濃度の測定値から口腔内の健康維持能力を評価するパラメータを求める演算処理部5と、記憶装置6と、表示部7とを有するパソコン10に、通信ユニット11を介して無線通信(有線通信であってもよい)によって接続されたシステムとする例を示している。なお、パソコン10と測定器12との通信がLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network) を用いて行われてもよいことは言うまでもない。
本実施例の電極ユニット13に形成される電極14は、例えばISEを備えている複数の測定電極(イオンセンサ)14a〜14eと比較電極14rとからなり、例えば容器3などに収容された唾液2または被検者の口腔内にある唾液に測定電極14a〜14eと比較電極14rを接触させることにより、唾液2に含まれる各成分の濃度を測定するものである。より具体的には、測定電極14aはpH電極、14bはリン酸水素イオンの測定電極、14cは炭酸水素イオンの測定電極、14dはカルシウムイオンの測定電極、14eはフッ化物イオンの測定電極、14rは比較電極であり、各電極14a〜14eにはそれぞれの測定対象イオンに対応するイオン感応膜を形成してある。
本実施例のように、各測定電極14a〜14eをISEによって形成することにより電極ユニット13を小さく、安価に形成することができる。つまり、これによって電極ユニット13を直接被検者の口腔内に挿入しうるようにしたり、使い捨て(ディスポーサブル)とすることもできる。
前記測定器12は、例えば電極ユニット13を挿脱可能とする接続部12aと、測定ボタン12bと、測定状態を表示する表示部12cとを備えている。したがって、歯科医師などの診察者は接続部12aに電極ユニット13を接続して、この電極ユニット13の電極14を被検者の口腔内、または、被検者の口腔内から採取して容器3に移した状態で、唾液2に接触させて、測定ボタン12bを操作する。このとき、唾液2を被検者から採取する場合に、必要に応じて分泌促進ガムを使用することもできる。測定が正常に行われると、これを表示部12cに表示すると共に、測定値が通信ユニット11を介してパソコン10に送信される。
次いで、パソコン10内の演算処理部5は、測定器12から得られた各測定値を演算処理して口腔内健康維持能力の評価値を表示部7などに出力する。本実施例のように構成された口腔内健康維持能力の評価装置1は、極めて短時間に的確な口腔内健康維持能力の評価を行うことができると共に、電極ユニット13を使い捨てとすることにより、衛生的である。本実施例に最適な電極はISEであることが、小型化と生産コストの削減を両立できる点で好ましいが、イオン選択性電界効果トランジスタ(ISFET)であっても、ガラス電極に代表されるような固体膜式電極であっても、PVC膜あるいはRTV膜あるいはPU膜もしくはそれらの混合膜中に固定化したイオノフォアに代表される液膜式電極を適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
図3は、図2に示す測定器12の変形例を示す図である。図3において、16は診察者の手に装着する手袋、17はこの手袋の指先部(図示例では人指し指であるが、その他の指であってもよい)16aに取り付けられて図示を省略するが複数の測定電極14a〜14eを形成してなる測定部(電極ユニット)、18は電極ユニットに配線19によって着脱自在に接続される測定器である。また、測定器18の表示部18aは診察者の手首の回転に対して動きが少ない部分(具体的には上腕部に近い箇所)に設けられている。
このように構成された口腔内健康維持能力の評価装置1を用いることにより、診察者は測定部17が形成されている手袋16を手に装着して、その指先部16aを被検者の口腔内に差し入れて測定部17を指先の感覚で口腔内の唾液2に接触させることにより、その各成分を測定し、この測定器12が図2に示すパソコン10側に測定値を送信することにより、口腔内健康維持能力の評価値を得ることができる。この測定部17を設けた手袋16は使い捨てとすることもできるが、測定部17を洗浄して消毒することにより再利用できるようにしてもよい。
図4は図3に示す測定部17の変形例を示す図である。図4において、20は前記手袋16の代わりに測定に使用される、指先だけを被冠装着可能とする薄膜部材(指サック)である。そして、21は使用時において指先からの抜け落ちを防止する脱落防止リングである。また、配線19の先端部19aには前記測定器18と着脱容易な端子19aを形成している。このように構成された指サック20を用いることにより、診察者の手に対して測定部17の着脱を容易に行うことができると共に、その製造コストも削減できるので、指サック20および測定部17を使い捨てとすることができる。
加えて、図3,4に示す例において、測定器18に無線による給電およびデータ送信を行う給電・送信アンテナを組み込むことにより、測定器18を小型化して手袋16または指サック20に一体的に取り付けるようにしてもよい。すなわち、いわゆるセンサ付きICタグ化するようにしてもよい。
図5は本発明の口腔内健康維持能力の評価装置1の第2実施例を示す図である。図5において、30は被験者の口腔内から採取した唾液2を収容可能に構成された凹部30aを形成してなるスティックタイプの評価装置、31は凹部30aに収容された唾液2に含まれる各成分の濃度を測定するLAPSを応用した測定部(イオンセンサ)である。
前記測定部31は、例えば、凹部30aの下面を形成するように配置しMIS(金属M−絶縁体I−半導体S)構造のセンシング部を形成してなる半導体基板32と、この半導体基板32の異なる位置に配置されて測定対象となっている各成分に感応するイオノフォアを担持させてなるイオン感応膜33a〜33eと、これらのイオン感応膜33a〜33eに相当する半導体基板32の裏面からプローブ用の光を照射するための光源34a〜34eと、これらの光源34a〜34eを択一的に点灯可能に構成された光源制御部35と、唾液2に浸漬される動作電極36および比較電極37と、両電極36,37に接続されるポテンショスタット38と、半導体基板32に形成されたオーミック電極32aから取り出される電流の大きさを電圧信号に変換する電流−電圧変換器39とを備えている。
このように構成されたスティックタイプの評価装置30を用いる場合には、診察者はスポイド2aのようなものを用いて被検者の口腔内から唾液2を採取して、これを凹部30aに収容し、図外の測定ボタンを操作する。
演算処理部5は、ポテンショスタット38を用いて半導体基板32にバイアス電圧を印加し、光源制御部35を用いて光源34a〜34eを一つずつ点灯させることにより、点灯させた光源に対応するイオン感応膜33a〜33eによって唾液2に含まれる一つの成分の濃度に応じた光キャリアの電流が発生し、これを電流−電圧変換器39を介して検出することができる。
すなわち、例えばイオン感応膜33a〜33eとして、それぞれ、水素イオン(プロトン)、リン酸水素イオン、炭酸水素イオン、カルシウムイオン、フッ化物イオンに選択的に感応するものを用いることにより、この測定部31を用いて、唾液2に含まれる上述の各成分のイオン濃度を順次測定することができる。なお、その他の点については、図1〜4を用いて既に説明したものとほぼ同じであるから、その詳細な説明を省略する。
図6は本発明の口腔内健康維持能力の評価装置1の第3実施例を示す図である。図6において、40は被験者の口腔内から採取した唾液2を注入可能に構成された漏斗部40aを形成してなるフロースルータイプの評価装置、41は漏斗部40aに収容された唾液2に含まれる各成分の濃度を測定するμTAS(Micro Total Analysis System:微小化学分析システム)技術を応用した測定部(イオンセンサ)である。
前記測定部41は、例えばマイクロマシニング技術を用いて形成され、唾液2を挿通できるように構成されたマイクロ流路42と、このマイクロ流路42の内面に面するように各種イオンの感応膜を形成したイオン選択性電極(ISE)43a〜43eと、比較電極43rとを設けてなる。44はマイクロ流路42内を唾液2が流すように設けたポンプ、45は廃液を回収する容器、46はスポイド46aを用いて供給される洗浄液である。
なお、各ISE43a〜43eは、例えば、pH、リン酸水素イオン、炭酸水素イオン、カルシウムイオン、フッ化物イオンの濃度をそれぞれ測定するものである。また、その他の構成については図1〜図5を用いて説明したものとほぼ同じであるから、その詳細な説明を省略する。
このように構成されたフロースルータイプの評価装置40を用いることにより、複数の被験者の口腔内から採取した唾液2を測定することができる。すなわち、検査者が唾液2を漏斗部40aに滴下した状態で測定を開始すると、演算処理部5がポンプ44を駆動することにより、漏斗部40aの唾液2がマイクロ流路42に引き込まれて各ISE43a〜43eおよび比較電極43rが唾液2に接触する。次いで、各ISE43a〜43eを用いて、それぞれ対応するイオンの濃度を測定し、口腔内健康維持能力の評価値を求めることができる。
上記フロースルータイプの評価装置40では、一つの検体を測定した後、別の検体の測定を行なう際には、マイクロ流路42に洗浄液46を挿通させる。このようにすることにより、マイクロ流路42が洗浄され、いわゆるコンタミネーションによる測定誤差を防止することができる。
図7は本発明の口腔内健康維持能力の評価装置1の第4実施例を示す図である。図7において、50は指示薬を含浸させたテストストリップ51を用いる試薬比色タイプの評価装置である。前記テストストリップ51には、唾液2のpHや唾液2に含まれるリン酸水素イオン、炭酸水素イオン、カルシウムイオン、フッ化物イオンと接触することにより光学的特性が変化する指示薬を含浸させた指示薬接触領域52a〜52e(全体をまとめて指示薬接触領域52ともいう)と、各指示薬接触領域52a〜52eの位置を示すマーク53a〜53eとを形成している。
また、54は前記指示薬接触領域52を撮像可能に構成されたCCDカメラなどの光検出器、55はCCDカメラ54によって撮像した画像データを元に、各イオンの濃度を求める濃度演算プログラムを実行可能に構成された処理部(以下、この濃度演算ログラム55を実行する処理部を濃度演算部55という)である。
つまり、本実施例の測定部56は指示薬接触領域52とCCDカメラ54と濃度演算部55とを備えている。そして、各マーク53a〜53e間の指示薬接触領域52a〜52eにおける色の変化をCCDカメラ54によって撮像し、これを濃度演算部55によって標準の値と比較することにより、各イオンのイオン濃度を測定することができる。なお、5は測定部56によって求められたイオン濃度を用いて口腔内健康維持能力の評価パラメータを求める演算処理を行う演算処理部5であり、この演算処理部5と濃度演算部55は一つのCPU内で実行される異なる演算処理プログラムによって構成されていてもよい。
なお、本実施例のように光検出器54としてCCDカメラを用いることにより、複数の指示薬接触領域52a〜52eの光学的特性を同時に検出することができるが、光検出器54は指示薬接触領域52a〜52eにおける各イオンの濃度に応じて生じる光学的特性の変化が検出できるものであれば光学フィルタを用いたものや分光分析するものであってもよい。
さらに、本実施例では指示薬をテストストリップ51に含浸させて指示薬接触領域52を形成する例を示しているが、被験者から採取した唾液2を容器に入れた状態で、指示薬を添加するようにして指示薬接触領域52を形成してもよい。この場合、唾液2と指示薬を混合した部分(容器内)が指示薬接触領域52であり、光検出器54は反射光のみならず透過光を用いて、その光学的特性を検出するものであってもよい。
図2〜図7に具体的に示した実施例において、演算処理部5は、リン酸イオンまたはリン酸水素イオンまたはリン酸二水素イオンのイオン濃度と、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度を用いて唾液2の酸緩衝能の評価値を求め、リン酸イオンまたはリン酸水素イオンまたはリン酸二水素イオンのイオン濃度とカルシウムイオンのイオン濃度を用いて再石灰化能の評価値を求めることができるのであるが、これらを口腔内健康維持能力の評価を示す各パラメータとして、表示部7に例えば二次元グラフにして表示させることができる。
図8は表示部7に表示させる口腔内健康維持能力の評価の一例を示す図である。図8において横軸は再石灰化能、縦軸は酸緩衝能を示しており、酸緩衝能と再石灰化能の値が円60の内部に位置する時に、これを口腔内健康維持能力が普通であると評価することができる。一方、再石灰化能が低い(左側である)場合にも、斜線61より上であるときにう蝕しにくいと評価し、斜線61より下であって酸緩衝能が高い(上半分である)場合に修復しにくい、酸緩衝能が低い(下半分である)場合にリスク高いと評価することができる。さらに、再石灰化能が高い(右側である)場合には、斜線61よりも下であるときにう食しやすいと評価し、斜線61よりも上で酸緩衝能が低い(下半分である)場合に修復しやすいと評価し、酸緩衝能が高い(上半分である)場合にリスク低いと評価することができる。
さらに、口腔内健康維持能力の評価値の表示方法として、唾液の酸緩衝能、再石灰化能などのパラメータに加えて問診などで得られた生活習慣データも別のパラメータにして、まとめて示せるようにするレーダチャートとしてもよい。また、口腔内健康維持能力の評価値として各パラメータに重み付けをして総合評価値としての一つの数値を求めて、この数値、表、モノクロまたはカラーのバーグラフで表示してもよい。
また、口腔内健康維持能力の評価値(パラメータ)などの結果は、記憶装置6に記録したり、必要に応じて外部の演算処理部やデータベースにネットワーク等を用いて転送し、データの登録交換などを行ってもよい。
加えて、う蝕原因菌であるミュータンスレンサ球菌などの菌数チェックや、口腔内常在菌種・数量チェックの結果と組み合わせることにより、一層の口腔内健康維持能力の評価を行うようにしてもよい。また、口腔内健康度には歯のう蝕以外の歯周病などのチェックも含まれている。この場合、バイオセンサなどに代表される歯周病マーカを用いることができる。
上記各実施例では、検体におけるリン酸水素イオン、炭酸水素イオン、カルシウムイオン、pH、フッ化物イオンの各イオン濃度を測定するものであったが、リン酸水素イオン濃度に代えてリン酸イオンまたはリン酸二水素イオン濃度を測定してもよく、そして、炭酸水素イオンに代えて、炭酸イオンの濃度を測定してもよい。また、リン酸イオン,リン酸水素イオン,リン酸二水素イオンのうち2つ以上のイオン濃度をそれぞれ測定したり、炭酸イオンと炭酸水素イオンの両方のイオン濃度をそれぞれ測定してもよい。さらに、フッ化物イオン濃度は必ずしも測定しなくてもよい。さらに、診察者は医師や看護師など第三者だけに限られるものではなく、被検者自身であってもよい。
本発明の口腔内健康維持能力の評価装置の構成を概略的に示す図である。 口腔内健康維持能力の評価装置の第1実施例を示す図である。 第1実施例の口腔内健康維持能力の評価装置の変形例を示す図である。 第1実施例の口腔内健康維持能力の評価装置の別の変形例を示す図である。 口腔内健康維持能力の評価装置の第2実施例を示す図である。 口腔内健康維持能力の評価装置の第3実施例を示す図である。 口腔内健康維持能力の評価装置の第4実施例を示す図である。 口腔内健康維持能力の評価値の表示例を示す図である。
符号の説明
1 口腔内健康維持能力の評価装置
2 検体
4a〜4e、14a〜14e イオンセンサ
4,14,17,31,41,56 測定部
5 演算処理部
52(52a〜52e) 指示薬接触領域
54 光検出器
55 濃度演算部

Claims (13)

  1. 被検者の口腔内の検体に含まれる複数の異なるイオンのイオン濃度を測定し、これらのイオン濃度から検体の酸緩衝能および/または再石灰化能を求め、この酸緩衝能および/または再石灰化能をパラメータとして用いて口腔内の健康維持能力を評価することを特徴とする口腔内健康維持能力の評価方法。
  2. パラメータが検体の酸緩衝能であり、この酸緩衝能を、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度とから求めるようにした請求項1に記載の口腔内健康維持能力の評価方法。
  3. パラメータが再石灰化能であり、この再石灰化能を、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とから求めるようにした請求項1または2に記載の口腔内健康維持能力の評価方法。
  4. 検体に含まれるフッ化物イオンのイオン濃度を測定し、その測定値を再石灰化能の演算に加味する請求項3に記載の口腔内健康状態維持能力の評価方法。
  5. 被検者の口腔内の検体に含まれるリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とを測定し、これらのイオン濃度から口腔内の健康維持能力を評価するパラメータを求めることを特徴とする口腔内健康維持能力の評価方法。
  6. 検体のpHを測定し、この測定値によって、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンのイオン濃度を補正する請求項2〜5の何れかに記載の口腔内健康維持能力の評価方法。
  7. 検体に接触させることによってこれに含まれる複数の異なるイオンのイオン濃度をそれぞれ測定する測定部と、測定部によって測定された各イオン濃度の測定値から検体の酸緩衝能および/または再石灰化能を求め、この酸緩衝能および/または再石灰化能をパラメータとして用いて口腔内の健康維持能力を評価するための演算処理を行う演算処理部とを有することを特徴とする口腔内健康維持能力の評価装置。
  8. 検体に接触させることによってこれに含まれるリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度、カルシウムイオンのイオン濃度をそれぞれ測定する測定部と、測定部によって測定された各イオン濃度の測定値から口腔内の健康維持能力を評価するパラメータを求める演算処理部とを有することを特徴とする口腔内健康維持能力の評価装置。
  9. 測定部が、検体に含まれるリン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン、炭酸イオンまたは炭酸水素イオン、カルシウムイオンのそれぞれに反応して各イオンのイオン濃度に応じて光学的特性が変化する指示薬を検体と接触させる指示薬接触領域と、この指示薬接触領域における光学的特性の変化を検出する光検出器と、この光検出器によって検出した指示薬接触領域における光学的特性の変化からイオン濃度を求める濃度演算部とを備えている請求項7または8に記載の口腔内健康維持能力の評価装置。
  10. パラメータが検体の酸緩衝能であり、前記演算処理部が、酸緩衝能を、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンのイオン濃度と、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度とから求めるものである請求項7〜9の何れかに記載の口腔内健康維持能力の評価装置。
  11. パラメータが再石灰化能であり、前記演算処理部が、再石灰化能を、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれかのイオン濃度と、カルシウムイオンのイオン濃度とから求めるものである請求項7〜10のいずれかに記載の口腔内健康維持能力の評価装置。
  12. 前記測定部は検体に含まれるフッ化物イオンのイオン濃度を測定することができると共に、前記演算処理部が、フッ化物イオンのイオン濃度の測定値を再石灰化能の演算に加味して求めるものである請求項11に記載の口腔内健康維持能力の評価装置。
  13. 前記測定部に検体のpHを求めるpH測定部が形成されてなり、演算処理部が、pHの測定値によって、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンのイオン濃度を補正するものである請求項8〜12の何れかに記載の口腔内健康維持能力の評価装置。
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