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JP2005314161A - カーボンナノチューブの合成方法 - Google Patents

カーボンナノチューブの合成方法 Download PDF

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JP2005314161A
JP2005314161A JP2004133745A JP2004133745A JP2005314161A JP 2005314161 A JP2005314161 A JP 2005314161A JP 2004133745 A JP2004133745 A JP 2004133745A JP 2004133745 A JP2004133745 A JP 2004133745A JP 2005314161 A JP2005314161 A JP 2005314161A
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JP2004133745A
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Hisahiro Ando
寿浩 安藤
Kiyoharu Nakagawa
清晴 中川
Mika Gamo
美香 蒲生
Yoichi Sato
洋一 佐藤
Yoshinori Chiku
義則 知久
Yosuke Takazawa
要介 高澤
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National Institute for Materials Science
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 単層カーボンナノチューブのみ又は単層及び二層カーボンナノチューブのみを選択的に合成でき、且つ、大量に低コストで合成できるカーボンナノチューブの合成方法を提供する。
【解決手段】 表面に酸化ケイ素膜22を有するSi基板21上に、膜厚を制御して遷移金属23を堆積し、均一なサイズ、且つ均一に島状に分布した遷移金属微粒子23を形成し、この基板を酸化処理し、遷移金属酸化物微粒子24を形成する。この基板を有機液体中に浸漬し、カーボンナノチューブの合成温度で加熱する。遷移金属の膜厚を6nm以下に制御すると、単層カーボンナノチューブのみを合成できる。遷移金属の膜厚を6nm以上で15nm以下に制御すると、単層及び二層カーボンナノチューブのみを合成できる。【選択図】 図2

Description

本発明は、カーボンナノチューブの合成方法に関する。
カーボンナノチューブは、炭素原子からなる特殊な構造を有しているため、様々な物理的、化学的特性を発現する。これらの特性に注目して、電界放射電子源、ナノスケール電子デバイス、化学物質貯蔵システム、機械的補強材、半導体素子材料、燃料電池やリチウム電池の負極、電気二重層キャパシタの電極等への種々の応用が検討されている。
カーボンナノチューブは、円筒形状のグラフェンシートからなり、共通の軸の回りに円筒形状のグラフェンシートが何枚、すなわち何層積層されているかによって分類される。大きく分けて単層カーボンナノチューブ(Single Wall Carbon Nano Tube)、二層カーボンナノチューブ(Double Wall Carbon Nano Tube)及び多層ナノチューブ(Multiple Wall Carbon Nano Tube)の3種類に大別され、いずれもnm(ナノメーター)サイズの中空円筒である。
ところで、上記種々の応用毎に、要求されるカーボンナノチューブの層数が異なることは明かである。例えば、機械的補強剤として使用する場合には、多層カーボンナノチューブが好ましく、また、化学物質貯蔵システムとして使用するためには、単層又は二層構造のカーボンナノチューブが好ましい。また、単層であるか、二層であるか、あるいは多層であるかによってその電気的特性は大きく異なるので、ナノスケール電子デバイスや半導体素子材料に使用する場合には、ナノスケール電子デバイスや半導体素子材料の目的とする機能に応じて層数を選択する必要がある。また、燃料電池やリチウム電池の負極、電気二重層キャパシタの電極に使用する場合には、単層又は二層構造のカーボンナノチューブが好ましい。
カーボンナノチューブの合成方法は、世界中で極めて精力的に研究、開発されてきたが、長い間、グラム当たりのコストは金よりも高いという状況が続いた。この状況は、本発明者らによる方法(特許文献1参照)によって乗り越えられた。この方法は、触媒を担持したSi基板を有機液体中で加熱し、非熱平衡状態の遷移金属の触媒作用により、有機液体から、Si基板に強固に結合した高密度、高配向のカーボンナノチューブを大量に合成する方法である。この方法によれば、カーボンナノチューブの製造コストは極めて低く、有機液体、例えば、メタノールやエタノールのコストと同程度と言って過言ではない。
特開2003−12312号公報 特願2003−072472号明細書
ところで、特許文献1の方法によれば、大量に低コストで合成できるが、カーボンナノチューブの層数を制御して合成することが困難であると言う課題がある。すなわち、合成されたカーボンナノチューブには、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、あるいは多層カーボンナノチューブが混在しており、用途に応じて、単層カーボンナノチューブのみ、二層カーボンナノチューブのみ、あるいは多層カーボンナノチューブのみを選択的に合成することは困難であった。
上記課題に鑑み本発明は、基板に高密度、高配向に配列した、単層カーボンナノチューブのみ、又は、単層及び二層カーボンナノチューブのみを選択的に合成でき、且つ、大量に低コストで合成できるカーボンナノチューブの合成方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、本発明者らによる、単層、二層、又は多層のカーボンナノチューブを選択的に合成するには、カーボンナノチューブ合成の反応場における触媒活性種のサイズを制御することで可能であることの発見に基づいてなされ、また、サイズが制御されたnmサイズの触媒活性種をカーボンナノチューブ合成の反応場においてどのように合成するかの考案に基づいてなされた。
上記目的を達成するために本発明のカーボンナノチューブの合成方法は、触媒の基板への沈み込みを防止する沈み込み防止膜を基板表面に形成し、沈み込み防止膜上に触媒の酸化物からなる触媒酸化物微粒子を島状に担持させ、この基板を有機液体中に浸漬し、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に、触媒酸化物微粒子がクラスターに分解されると共に、このクラスターから触媒微粒子が成長し、カーボンナノチューブの合成温度で加熱することにより、この触媒微粒子上にカーボンナノチューブを成長することを特徴とする。
上記構成において、触媒酸化物微粒子のサイズを制御することにより、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に、触媒酸化物微粒子のクラスターから成長する触媒微粒子のサイズを、好ましくは、1nmから6nmの範囲に制御し、単層カーボンナノチューブを合成する。
また、触媒酸化物微粒子のサイズを制御することにより、カーボンナノチューブの合成時における、触媒酸化物微粒子のクラスターから成長する触媒微粒子のサイズを、好ましくは、1nmから15nmの範囲に制御することにより単層及び二層カーボンナノチューブを合成する。
この方法によれば以下のように作用する。すなわち、沈み込み防止膜上に触媒酸化物微粒子が島状に担持された基板を有機液体中に浸漬して昇温する際に、触媒酸化物微粒子が、有機液体によって還元される際の急激な吸熱反応による熱ストレスによって、或いは、昇温による急激な熱ストレスが加わって、分解されて微細なクラスターになると共に、この微細なクラスターから微細な触媒微粒子が生成し、この微細な触媒微粒子が互いに凝集して粒成長する。この触媒微粒子の粒成長は、基板温度がカーボンナノチューブの合成温度に到達する時点まで続くが、微細な触媒微粒子からの粒成長であるため、従来方法(特許文献1参照)に比べて小さくできる。すなわち、従来方法では、触媒酸化物微粒子の代わりに触媒微粒子を用いるので、微細なクラスターに分解することが無く、触媒微粒子同士が凝集し、担持した触媒微粒子のサイズ以上の種々のサイズの触媒微粒子も生成されてしまう。
クラスターへの分解は、全ての触媒酸化物微粒子に亘って一様ではなく、分解されないものもあるので、基板温度がカーボンナノチューブの合成温度に到達した時点の触媒微粒子のサイズは、ほぼ触媒酸化物微粒子のサイズ以下に分布する。
基板温度がカーボンナノチューブの合成温度に到達する時点、すなわち、カーボンナノチューブの合成時における、上記メカニズムによって生成する触媒微粒子のサイズが1nmから6nmの範囲に分布するように、触媒酸化物微粒子のサイズを制御することにより、単層カーボンナノチューブのみを合成でき、また、上記メカニズムによって生成する触媒微粒子のサイズが1nmから15nmの範囲に分布するように、触媒酸化物微粒子のサイズを制御することにより、単層および二層カーボンナノチューブを合成できる。
基板の温度がカーボンナノチューブの合成温度に達すると、触媒微粒子の成長が停止し、カーボンナノチューブの合成反応が以下のメカニズムで生じる。すなわち、基板の高温と有機液体の低温に基づく急激な温度勾配中での触媒微粒子の非熱平衡状態の触媒作用により有機液体が分解されて、触媒微粒子上にカーボンナノチューブが成長する。昇温の際に生成した触媒微粒子のサイズが6nm以下の分布を有している場合には、単層カーボンナノチューブが成長する。昇温の際に生成した触媒微粒子のサイズが15nm以下の分布を有している場合には、単層及び二層カーボンナノチューブが成長する。なお、昇温の際に生成した1nm以下のサイズの触媒微粒子上にはカーボンナノチューブは成長しない。 また、触媒微粒子は、触媒の基板への沈み込みを防止する沈み込み防止膜上に担持されているので、合成の加熱過程を通じて、基板と反応することがなく、また、触媒が基板へ沈み込むことが無く、また、基板の高温と有機液体の低温に基づく急激な温度勾配中での成長であるので、基板に垂直に高度に配向したカーボンナノチューブが合成される。
さらに、触媒が遷移金属であり、基板がSi基板であり、沈み込み防止膜が酸化ケイ素膜であり、触媒酸化物微粒子が遷移金属酸化物微粒子であり、クラスターから成長する触媒微粒子が遷移金属微粒子であり、この遷移金属微粒子のサイズを遷移金属酸化物微粒子のサイズにより制御して、カーボンナノチューブを合成しても良い。
また、遷移金属酸化物微粒子の形成は、酸化ケイ素膜上に膜厚を制御して遷移金属を堆積することにより、酸化ケイ素膜上にサイズを制御した遷移金属微粒子を島状に形成し、この微粒子を酸化処理して遷移金属酸化物微粒子を形成しても良い。
或いは、堆積する遷移金属の膜厚の制御は、この堆積によって酸化ケイ素膜上に島状に形成される遷移金属微粒子のサイズの分布が1nmから6nmの範囲であるように制御し、単層カーボンナノチューブを合成することができる。
また、堆積する遷移金属の膜厚の制御は、この堆積によって酸化ケイ素膜上に島状に形成される遷移金属微粒子のサイズの分布が6nmから15nmの範囲であるように制御し、単層及び二層カーボンナノチューブを合成することができる。
また、遷移金属は、Fe、Co、又は、Niからなるグループから選ばれる一つの又は複数の元素であれば好ましい。
また、有機液体はアルコール類又はカルボン酸類の有機液体であれば好ましい。
本発明の方法によれば、基板に垂直に高密度に配列した、単層カーボンナノチューブのみを選択的に合成でき、又は、単層及び二層カーボンナノチューブのみを選択的に合成できる。また、これらのいずれの方法も、大量に低コストで合成することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
初めに本発明の方法に用いる工程の一つである、有機液体中でカーボンナノチューブの合成温度で加熱するカーボンナノチューブの合成方法の概略を説明する(詳細は特許文献1を参照されたい)。
図1は有機液体中でカーボンナノチューブの合成温度で加熱するための合成装置を示す図である。この合成装置は、液体槽1の外側に液体槽1を冷却するための水冷手段2と、基板3を保持し、且つ、基板3に電流を流すための電極4を有する基板ホルダー5と、液体槽1から蒸発する有機液体蒸気を冷却凝縮して液体槽1に戻す水冷パイプ6からなる凝縮手段7と、基板ホルダー5と凝縮手段7とN2 ガスを導入するバルブ8とを保持する蓋9を有し、液体槽1と蓋9で有機液体10を密閉して保持する構成である。
この装置によれば、有機液体の温度を沸点未満に保持することができると共に、基板に一定電流を流すだけで基板温度を高温に保持でき、カーボンナノチューブの合成温度を維持することが可能になる。また、有機液体の気相が凝縮されてもどるため、原料の有機液体を無駄にすることがなく、さらに有機気相と空気との混合による爆発、炎上の危険がない。また、不活性ガス導入手段を有するから、液体槽中での有機気相と空気との混合による爆発、炎上の危険がない。
次に、この装置を用いた特許文献1の方法のカーボンナノチューブの合成メカニズムを説明する。特許文献1の方法は、Si基板上にFe微粒子を担持し、この基板を図1の装置を用いて有機液体中で電流を流して加熱するものである。
図において、Si基板3の表面は約900℃の高温であり、一方、Si基板3の表面に隣接するメタノールは約60℃である。また、Si基板3の表面は、メタノールのガスで覆われており、Si基板表面から液体に向かって急激な温度勾配が存在する。この急激な温度勾配とFeの触媒作用とにより、メタノールガス中で特異な熱分解反応が生じ、Fe微粒子上にカーボンナノチューブが成長する。
この合成法はいくつかの重要な特徴を有している。第1に、カーボンナノチューブは非熱平衡条件における遷移金属の触媒反応によって生成されている。第2に、カーボンナノチューブの成長端は、有機液体中で温度が制御できる基板表面のカーボンナノチューブの根元である。第3として、有機液体が基板を囲んでいるために、カーボンナノチューブの根元である基板表面の垂直方向に大きな温度勾配が生じ、この大きく急峻な温度勾配が、基板表面に垂直方向にカーボンナノチューブを成長させる重要な推進力となっていると考えられる。第4に、基板表面が有機液体からなる還元性ガスで覆われることである。
次に、特許文献1の方法では、カーボンナノチューブの層数を制御して合成することが困難である理由を説明する。
遷移金属触媒微粒子に限らず金属微粒子は、その粒子径が微細になればなるほど表面エネルギー密度が増加し、その表面エネルギー密度を低下させるために凝集し粒成長する。このため、nmサイズの遷移金属触媒微粒子であっても、遷移金属触媒微粒子の温度がカーボンナノチューブの合成温度まで上昇する間に、遷移金属触媒微粒子同士が凝集して粒成長し、種々のサイズの遷移金属触媒微粒子が生成してしまう。このため、単層、二層、及び多層のカーボンナノチューブが混在してしまう。また、遷移金属触媒微粒子がシリコン基板と反応してシリサイドとなり、シリコン基板に密着することで、基板に強固に接着するが、反応しすぎて、遷移金属触媒微粒子全体がシリコンに溶解されてしまう、すなわち、遷移金属触媒微粒子がシリコン基板に沈み込んでしまうこともある。このため、特許文献1の方法では、層数を制御して合成することが困難であった。
また、これまでの本発明者らの研究成果により以下の知見が得られている。すなわち、カーボンナノチューブ形成の自由エネルギーは、カーボンナノチューブの層数と直径に依存し、直径が小さいほど層数の少ないカーボンナノチューブが形成されやすいこと、及び遷移金属触媒微粒子上に成長するカーボンナノチューブの直径は遷移金属触媒微粒子のサイズと1対1に対応している(特許文献2参照)ことである。また、単層カーボンナノチューブ形成の自由エネルギーは、その直径がnmオーダーで最小になり、遷移金属触媒微粒子を担持した基板を有機液体中に浸漬し、昇温を開始し、カーボンナノチューブの合成が生じる温度まで上昇した時点において、遷移金属触媒微粒子のサイズが制御できていれば、層数を制御して合成することが可能である。
次に、本発明の方法を説明する。
本発明の方法は、触媒の基板への沈み込みを防止する沈み込み防止膜を基板表面に形成し、沈み込み防止膜上に触媒酸化物微粒子を島状に担持させ、特許文献1の方法によってカーボンナノチューブを合成する。沈み込み防止膜上に担持する触媒酸化物微粒子のサイズを制御し、単層カーボンナノチューブのみ、又は、単層および二層カーボンナノチューブを合成する。
この方法によれば、カーボンナノチューブ合成時点の触媒微粒子のサイズの分布を、6nm以下に制御した場合に単層カーボンナノチューブを選択的に合成でき、15nm以下に制御した場合に単層及び二層カーボンナノチューブを選択的に合成できる。尚、酸化遷移金属微粒子のサイズが、1nm以下であるとカーボンナノチューブは成長しない。
この現象は以下のように考えられる。
すなわち、沈み込み防止膜上に触媒酸化物微粒子が島状に担持された基板を有機液体中に浸漬して昇温する際に、触媒酸化物微粒子が、有機液体によって還元される際の急激な吸熱反応による熱ストレスによって、或いは、昇温による急激な熱ストレスが加わって、分解されて微細なクラスターになると共に、この微細なクラスターから微細な触媒微粒子が生成し、この微細な触媒微粒子が互いに凝集して粒成長する。この触媒微粒子の粒成長は、基板温度がカーボンナノチューブの合成温度に到達す時点まで続くが、微細な触媒微粒子からの粒成長であるため、従来方法(特許文献1参照)に比べて小さくできる。すなわち、従来方法では、触媒酸化物微粒子の代わりに触媒微粒子を用いるので、有機液体による還元反応が生じず、従って、微細なクラスターに分解することが無く、触媒微粒子同士が凝集し、担持した触媒微粒子のサイズ以上の種々のサイズの触媒微粒子が生成されてしまう。
また、クラスターへの分解は全ての触媒酸化物微粒子に亘って一様ではなく、分解されないものもあるので、基板温度がカーボンナノチューブの合成温度に到達した時点の触媒微粒子のサイズは、ほぼ担持した触媒酸化物微粒子のサイズ以下に分布する。
基板温度がカーボンナノチューブの合成温度に到達する時点、すなわち、カーボンナノチューブの合成時における、上記メカニズムによって生成する触媒微粒子のサイズが1nmから6nmの範囲に分布するように、触媒酸化物微粒子のサイズを制御することにより、単層カーボンナノチューブのみを合成でき、また、上記メカニズムによって生成する触媒微粒子のサイズが1nmから15nmの範囲に分布するように、触媒酸化物微粒子のサイズを制御することにより、単層および二層カーボンナノチューブを合成できる。
次に、基板としてSi、触媒の基板への沈み込みを防止する沈み込み防止膜として酸化ケイ素膜、及び触媒として遷移金属を用いた場合の本発明の方法を図を用いて説明する。 図2は、基板としてSi、触媒の基板への沈み込みを防止する沈み込み防止膜として酸化ケイ素膜、触媒として遷移金属触媒を用いた場合の本発明の方法を説明する工程図である。図2(a)に示すように、Si基板21を、周知の洗浄方法で洗浄する。次に、同図(b)に示すように、Si基板21を、例えば、酸化性雰囲気中で1000℃程度の高温に加熱して約1μm以下の酸化ケイ素膜22を形成する。次に同図(c)に示すように、遷移金属23を堆積する。堆積と同時に、酸化ケイ素膜22上に島状に均一に分布した遷移金属微粒子23が形成される。遷移金属の堆積方法は、スパッタリング法でも良く、真空蒸着法でも良く、基板温度は100℃以下の低温が好ましい。基板温度が高いと、遷移金属微粒子23が互いに凝集してしまい、均一なサイズの遷移金属微粒子23が得られない。沈み込み防止膜が酸化ケイ素膜であり触媒が遷移金属である場合には、遷移金属の堆積膜厚と遷移金属微粒子のサイズとの間で、ほぼ1対1の比例関係が成り立つ。もちろん、沈み込み防止膜と触媒の組み合わせの種類によって、この比例関係は異なるので、あらかじめ、触媒の堆積膜厚と触媒微粒子のサイズとの関係を求めておくと良い。
次に図2(d)に示すように、カーボンナノチューブの合成温度に比べて低温の酸化処理、例えば、酸化性雰囲気中で400℃程度に加熱して、遷移金属微粒子23を酸化し、遷移金属酸化微粒子24を生成する。次に、この基板を図1に示した合成装置に浸漬してカーボンナノチューブを合成する。合成の際の基板温度は700〜900℃が好ましい。約1時間の合成によって数ミクロンの長さのカーボンナノチューブが成長する。
次に、上記方法で合成される単層及び二層カーボンナノチューブの形態を説明する。
図3は本発明の方法によって合成される単層カーボンナノチューブの形態を模式的に示す図である。図に示すように、単層カーボンナノチューブ31は、沈み込み防止膜32上に強固に担持された、サイズdが1≦d≦6nmの触媒微粒子33上に垂直に成長する。 図4は本発明の方法によって合成される二層カーボンナノチューブの形態を模式的に示す図である。図に示すように二層カーボンナノチューブ41は、沈み込み防止膜42上に強固に担持された、サイズdが6≦d≦15nm触媒微粒子43上に垂直に成長する。
次に、実施例を説明する。
高純度エタノール(99.7%)を還元性有機溶液として用い、低抵抗(0.002Ωcm)Si(100)面方位、寸法10×20×1mm3 の基板を用いた。Si基板は、アセトン中で超音波洗浄し、さらに、1000℃で一時間、酸素雰囲気中で酸化処理を行った。基板表面はSiO2 膜が形成されており、その基板上に、基板温度100℃でArガスによるスパッタ法でFe薄膜を15nmの厚さで堆積し、Fe微粒子を形成した。基板に担持されたFe微粒子は空気中で約400℃に加熱することによって容易に酸化鉄微粒子となった。この基板を図1に示した合成装置の基板ホルダーに配置し、直流電流を流し、800℃に加熱した。多数の泡が生成し、多数の泡がエタノール液表面に上昇すると共に、基板表面はこの泡で覆われた。液体槽中のエタノールの温度は約50℃に上昇した。基板温度は、光学放射温度計を使用し、焦点を基板表面に合わせて測定した。基板に流す電流は成長中一定に保った。基板温度は、カーボンナノチューブの長さが長くなるに従ってゆっくりと減少することが観測された。
次に 上記実施例で作製したカーボンナノチューブの測定結果を説明する。
図5は上記実施例で作製した単層カーボンナノチューブの透過電子顕微鏡像(TEM)を示す図である。TEM像は、Si基板に高密度、且つ、垂直に配向したカーボンナノチューブの一部を切り取り、単層ナノチューブを選択してTEM用試料台に固定し、撮影したものである。図から、このカーボンナノチューブは単層ナノチューブであることがわかる。
図6は、上記実施例で作製した二層カーボンナノチューブの透過電子顕微鏡像(TEM)を示す図である。TEM像は、Si基板に高密度、且つ、垂直に配向したカーボンナノチューブの一部を切り取り、二層カーボンナノチューブを選択してTEM用試料台に固定し、撮影したものである。図から、このカーボンナノチューブは二層ナノチューブであることがわかる。
図7は、上記実施例で作製した単層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。作製したカーボンナノチューブの内から単層カーボンナノチューブを無作為に選択して直径を測定した。図から、単層カーボンナノチューブの直径は2nmから6nmにわたって分布することがわかる。すなわち、遷移金属触媒微粒子のサイズとカーボンナノチューブの直径とは1対1に対応するので、堆積するFe薄膜の厚さを6nm以下に制御すれば、単層カーボンナノチューブのみを選択的に合成できることがわかる。
図8は、上記実施例で作製した二層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。作製したカーボンナノチューブの内から二層カーボンナノチューブを無作為に選択して直径を測定した。図から、二層カーボンナノチューブの直径は、4nmから15nmにわたって分布することがわかる。従って、堆積するFe薄膜の厚さを6nm以上で15nm以下に制御すれば、単層及び二層カーボンナノチューブのみを選択的に合成できることがわかる。
なお、合成したカーボンナノチューブ中に、単層又は二層カーボンナノチューブ以外の多層カーボンナノチューブは観測されなかった。
上記実施例では、有機液体としてエタノールを用いたが、エタノールに限らず、メタノール又は酢酸は、極めて好適な有機液体である。すなわち、メタノール、エタノール及び酢酸は、それぞれ、64.96℃、78.5℃、及び117.9℃の沸点を有する有機液体であるので、図1に示した装置によって、基板と有機液体との間に急峻な温度勾配を形成することができる。
また、酸素と水素を構成元素として含む有機液体であれば、金属に対して還元性を有するので、上記有機液体に限らず、本発明の方法が適用できる。また、有機液体が炭素以外の元素を含む場合には、その元素を構成元素としたナノチューブが合成できることは明かである。
上記説明から理解されるように、本発明のカーボンナノチューブの合成方法によれば、基板に高密度、高配向に配列した、単層カーボンナノチューブのみを選択的に合成でき、または、単層及び二層カーボンナノチューブのみを選択的に合成できる。また、これらのいずれの方法も、大量に低コストで合成することができる。
従って、電界放射電子源、ナノスケール電子デバイス、化学物質貯蔵システム、機械的補強材、半導体素子材料、燃料電池やリチウム電池の負極、電気二重層キャパシタの電極等の、カーボンナノチューブの最適の層数が異なる応用目的毎に、最適層数のカーボンナノチューブを低コスト、且つ、大量に供給することが可能になる。
有機液体中でカーボンナノチューブの合成温度で加熱するための合成装置を示す図である。 基板としてSi、触媒の基板への沈み込みを防止する沈み込み防止膜として酸化ケイ素膜、触媒として遷移金属触媒を用いた場合の本発明の方法を説明する工程図である。 本発明の方法によって合成される単層カーボンナノチューブの形態を模式的に示す図である。 本発明の方法によって合成される二層カーボンナノチューブの形態を模式的に示す図である。 本発明の方法によって合成した単層カーボンナノチューブの透過電子顕微鏡像(TEM)を示す図である。 本発明の方法によって合成した二層カーボンナノチューブの透過電子顕微鏡像(TEM)を示す図である。 本発明の方法によって合成した単層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。 本発明の方法によって合成した二層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。
符号の説明
1 液体槽
2 水冷手段
3 基板
4 電極
5 基板ホルダー
6 水冷パイプ
7 凝縮手段
8 バルブ
9 蓋
21 Si基板
22 酸化ケイ素膜
23 遷移金属微粒子
24 遷移金属酸化物微粒子
31 単層カーボンナノチューブ
32 沈み込み防止膜
33 触媒微粒子
41 二層カーボンナノチューブ
42 沈み込み防止膜
43 触媒微粒子

Claims (11)

  1. 触媒の基板への沈み込みを防止する沈み込み防止膜を基板表面に形成し、この沈み込み防止膜上に上記触媒の酸化物からなる触媒酸化物微粒子を島状に担持させ、この基板を有機液体中に浸漬し、カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に、上記触媒酸化物微粒子がクラスターに分解されると共に、このクラスターから上記触媒からなる微粒子が成長し、カーボンナノチューブの合成温度で加熱することにより、この生成した触媒微粒子上にカーボンナノチューブを成長することを特徴とする、カーボンナノチューブの合成方法。
  2. 前記触媒酸化物微粒子のサイズを制御することにより、前記カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に、上記触媒酸化物微粒子の前記クラスターから成長する触媒微粒子のサイズの分布を1nmから6nmの範囲に制御し、単層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  3. 前記触媒酸化物微粒子のサイズを制御することにより、前記カーボンナノチューブの合成温度に昇温する際に、上記触媒酸化物微粒子の前記クラスターから成長する触媒微粒子のサイズの分布を1nmから15nmの範囲に制御することにより、単層及び二層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  4. 前記触媒は、遷移金属であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  5. 前記沈み込み防止膜は、酸化膜、窒化膜、又は、炭化膜であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  6. 前記触媒が遷移金属であり、前記基板がSi基板であり、前記沈み込み防止膜が酸化ケイ素膜であり、前記触媒酸化物微粒子が上記遷移金属の酸化物からなる遷移金属酸化物微粒子であり、前記クラスターから成長する触媒微粒子が上記遷移金属からなる遷移金属微粒子であり、この遷移金属微粒子のサイズを上記遷移金属酸化物微粒子のサイズにより制御することを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  7. 前記遷移金属酸化物微粒子は、前記酸化ケイ素膜上に膜厚を制御して前記遷移金属を堆積することにより、上記酸化ケイ素膜上にサイズを制御した遷移金属微粒子を島状に形成し、この微粒子を酸化処理して遷移金属酸化物微粒子を形成することを特徴とする、請求項6に記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  8. 前記堆積する遷移金属の膜厚の制御は、この堆積によって酸化ケイ素膜上に島状に形成される遷移金属微粒子のサイズの分布が1nmから6nmの範囲であるように制御し、単層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする、請求項7に記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  9. 前記堆積する遷移金属の膜厚の制御は、この堆積によって酸化ケイ素膜上に島状に形成される遷移金属微粒子のサイズの分布が6nmから15nmの範囲であるように制御し、単層及び二層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする、請求項7に記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  10. 前記遷移金属は、Fe、Co、又は、Niからなるグループから選ばれる一つの又は複数の元素であることを特徴とする、請求項6〜9の何れかに記載のカーボンナノチューブの合成方法。
  11. 前記有機液体はアルコール類又はカルボン酸類の有機液体であることを特徴とする、請求項1〜10の何れかに記載のカーボンナノチューブの合成方法。
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