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JP2005302804A - 発光ダイオード及びその製造方法 - Google Patents

発光ダイオード及びその製造方法 Download PDF

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JP2005302804A
JP2005302804A JP2004112796A JP2004112796A JP2005302804A JP 2005302804 A JP2005302804 A JP 2005302804A JP 2004112796 A JP2004112796 A JP 2004112796A JP 2004112796 A JP2004112796 A JP 2004112796A JP 2005302804 A JP2005302804 A JP 2005302804A
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JP2004112796A
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Makoto Asai
誠 浅井
Shiro Yamazaki
史郎 山崎
Mitsuhisa Ubukawa
満久 生川
Takahiro Ozawa
隆弘 小澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyoda Gosei Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Priority to US10/566,211 priority patent/US20060273324A1/en
Priority to PCT/JP2004/010635 priority patent/WO2005011007A1/ja
Priority to DE112004001401T priority patent/DE112004001401T5/de
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Abstract

【課題】半導体バルク結晶からなる結晶成長基板を用いて比較的短い発光波長の発光ダイオードを製造する際に、その外部量子効率や光の取り出し効率を高く確保すること。
【解決手段】無添加のGaNバルク結晶からなる厚さ約150μmの半導体結晶基板102の裏側は、ドライエッチングによって仕上げられた平坦な被研磨面102aと、ドライエッチングによって仕上げられたテーパ形状の被研削面102bから構成されている。GaNから成る膜厚約10nmのn型クラッド層104(低キャリア濃度層)の上には、膜厚約2nmのAl0.005 In0.045 Ga0.95Nから成る井戸層51と膜厚約18nmのAl0.12Ga0.88Nから成るバリア層52とが交互に合計5層積層された紫外線発光のMQW構造の活性層105が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光ダイオードの構造とその製造方法に関し、半導体素子の外部量子効率や光の取り出し効率に深く係わる。
したがって、本発明は、例えば青紫色発光、紫色発光、或いは紫外線発光などの発光波長の短いLED(発光ダイオード)やその製造工程に大いに有用なものである。
下記の非特許文献1は、白色LEDや可視光LEDを中心とした発光ダイオードの外部量子効率や光の取り出し効率に関する一般的な技術的知見を幅広くまとめて開示したものである。
また、下記の特許文献1には、発光ダイオードのn型半導体基板の側方に四角錐台形状のテーパ部を具備させた構成例が記載されており、この様なテーパ部の形成によって、光の取り出し効率が向上することが開示されている。
通常、発光ダイオードを製造する際には、目的の半導体層や電極が形成された結晶成長基板は、その後の分割工程でその半導体ウェハを発光素子単位に良好に分割するために、結晶成長などを実施した後に、裏面から研磨等して適当な厚さにまで薄く形状加工される。そして、これらの形状加工は、通常、研磨や或いはダイシングなどの機械的即ち物理的な処理により実施される。
山田範秀、「可視光LEDの高効率化」応用物理、第68巻第2号(1999)、p.139−145 特開平11−317546
しかしながら、上記の様な物理的な形状加工を実施すると、物理的な摩擦または衝撃によって加工された面の表面上に、結晶構造が乱された厚さ0.1〜15μm程度のダメージ層(以下、物理ダメージ層と言う。)が必然的に形成されてその加工面上に残留してしまう。更に、この様にして形状加工の結果必然的に残されてしまう物理ダメージ層が470nm未満の比較的短い波長の光(青紫光、紫光、紫外光など)を比較的吸収(若しくは素子内部へ散乱)し易いことを我々は、GaNバルク結晶を基板に使った紫色発光の発光ダイオードに関する試作、検査、検討、及び検証実験などを繰り返し実施することにより経験的に発見した。
また、この問題は、発光ピーク波長が470nm以上の青色LEDや緑色LEDにおいては、同様に検証したものの表面化或いは顕在化することはなかった。
通常、一般に、結晶成長基板としてGaNを選択することは、例えば格子定数等の物性的な諸特性をn型コンタクト層と略一致又は類似させる上で有利である。また、AlN基板は、比較的バンドギャップが大きいため、一旦発光された光が再び吸収され難い点で有利である。
しかしながら、AlGaN系の自立した結晶(:以下、バルク結晶などと言う。)を結晶成長基板として用いた場合、素子機能を奏する半導体結晶成長層とその基板との間の屈折率の差が小さいために、発光層(活性層)から出力される光は、その相当量が基板内に漏れ出る。したがって、これらの光を効率よく回収して発光出力側に効率よく引き出すことは、GaNバルク結晶などを基板に用いる場合、ますます重要な課題となる。即ち、この問題は、今後特に、GaNなどのAlGaN系の結晶成長基板を用いた比較的短い発光波長の発光ダイオードを製造する際に、素子の外部量子効率や光の取り出し効率の点で回避し難い問題になるものと考えられる。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、例えばGaNなどの半導体バルク結晶からなる結晶成長基板を用いて比較的短い発光波長の発光ダイオード(LED)を製造する際に、その外部量子効率や光の取り出し効率を高く確保することである。
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、結晶成長基板の結晶成長面の上に半導体層が積層された面発光型の発光ダイオードの製造工程において、結晶成長基板を裏面から研磨、ダイシング、またはブラスト処理することによって光出力に寄与する出射面または反射面を形成する形状加工工程と、この形状加工工程によって形成された出射面または反射面を更にエッチングによって仕上処理する加工面仕上工程とを設けることである。
ただし、上記のエッチングの深さは、0.1μm以上15μm以下がより望ましく、更に望ましくは、0.2μm以上8μm以下が良い。また、結晶成長基板としては、周知の任意の材料を使用することができる。
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段の形状加工工程に、出射面の少なくとも一部分または反射面の少なくとも一部分として、結晶成長面に対して斜めに傾いたテーパ面を形成するテーパ形成工程を設けることである。
また、本発明の第3の手段は、上記の第2の手段において、発光ダイオードを複数有する半導体ウェハを各発光ダイオード毎に分割するための分割用の略V字型の分割溝を形成する工程で、上記のテーパ形成工程の少なくとも一部を構成することである。
また、本発明の第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、製造される発光ダイオードの発光ピーク波長を470nm未満にすることである。
また、本発明の第5の手段は、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段において、上記の結晶成長基板をAlx Ga1-x N(0≦x≦1)又は炭化珪素(SiC)から構成することである。
また、本発明の第6の手段は、結晶成長基板の結晶成長面の上に積層された半導体層を有する面発光型の発光ダイオードにおいて、その結晶成長基板に、研磨、ダイシング、またはブラスト処理である物理的な形状加工によって形成された光出力に寄与する出射面または反射面を設け、更に、上記の形状加工に伴って発生する物理的な摩擦または衝撃によって出射面または反射面の表面上に残される物理ダメージ層が除去された素子構造を採用することである。
また、本発明の第7の手段は、上記の第6の手段において、光取り出し側へ光を透過する透光性を有する金属層を上記の出射面上に設けることである。
また、本発明の第8の手段は、上記の第6または第7の手段において、光取り出し側へ光を反射する反射性を有する金属層を上記の反射面上に設けることである。
また、本発明の第9の手段は、上記の第6乃至第8の何れか1つの手段において、Alx Ga1-x N(0≦x≦1)又は炭化珪素(SiC)から上記の結晶成長基板を形成することである。
また、本発明の第10の手段は、上記の第6乃至第9の何れか1つの手段において、出射面の少なくとも一部分または反射面の少なくとも一部分として、結晶成長面に対して斜めに傾いたテーパ面を設けることである。
また、本発明の第11の手段は、結晶成長基板の結晶成長面の上に積層された半導体層を有する面発光型の発光ダイオードにおいて、発光ダイオードの側壁の少なくとも一部分に結晶成長面に対して斜めに傾いたテーパ面を設け、正電極が設けられる半導体結晶層を有する側である発光ダイオードの表側にこのテーパ面を露出させ、更に、テーパ面の形成に伴って発生する物理的な摩擦または衝撃によってテーパ面上に残される物理ダメージ層が除去された素子構造を採用することである。
また、本発明の第12の手段は、上記の第10または第11の手段に基づいて、発光ダイオードを複数有する半導体ウェハを各発光ダイオード毎に分割することによって製造される発光ダイオードにおいて、発光ダイオードの側壁の少なくとも一部分にテーパ面を設け、同時にこのテーパ面を、上記の分割を実行するための分割用の略V字型の分割溝の一部の面から形成することである。
また、本発明の第13の手段は、上記の第6乃至第12の何れか1つの手段において、その発光ダイオードの発光ピーク波長を470nm未満にすることである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の手段によれば、上記の機械的即ち物理的な処理(研磨、ダイシング、またはブラスト処理)によって所望の形状加工を実施した際に、上記の出射面または反射面(:以下、総称的に物理加工面或いは単に加工面などと言うことがある。)の表面に残される上記の物理ダメージ層がエッチングによって効果的に除去できる。このため、加工面(:上記の出射面または反射面)に形成される物理ダメージ層による光吸収または素子内部への光の散乱が効果的に抑制される。したがって、発光ダイオード(LED)を製造する際に、その外部量子効率や光の取り出し効率を高く確保することができる。
また、本発明の第2の手段によれば、上記の第1の手段において、発光ダイオードの側壁面で吸収されたり内部に散乱されたりする光の量が減少するので、発光ダイオードの外部量子効率や取り出し率を効果的に向上させることができる。
また、このテーパ形成工程を上記の形状加工工程に含めることにより、上記のテーパ部をも含めた上記の物理加工面をエッチングする工程(加工面仕上工程)を、このテーパ部をも含めて1度にまとめて実施することができる。
また、本発明の第3の手段によれば、分割溝を形成する工程の実行によって、上記のテーパ形成工程の少なくとも一部を実行することができる。また、分割溝を形成する工程によって、上記のテーパ形成工程の全体を兼ねることも可能である。このため、本発明の第3の手段によれば、上記のテーパ形成工程の実行効率を極めて良好に確保することができる。
また、上記の各手段は、少なくとも発光スペクトルが470nm未満の周波数領域における発光を少なくとも部分的に示す発光ダイオードに対して特に大きな効果を発揮する。しかしながら、更に、本発明の第4または第13の手段によれば、目的の発光ダイオードの発光スペクトルの周波数領域において、470nm未満である大半の光が上記の物理ダメージ層の悪影響(:光の吸収作用または素子内部への散乱作用)を受けなくなる。したがって、これらの手段に従えば、物理ダメージ層による外部量子効率の低下が効果的に排除された、発光効率の高い発光ダイオードを製造することができる。
ただし、上記の閾値(470nm)は前述の様に経験的に判明したものであり、この閾値は物理ダメージ層のダメージの荒さや深さや、或いは形状加工される半導体結晶(成長層または半導体バルク結晶基板)の材質(物性)などにも幾らか依存するものと考えられる。また、例えば物理ダメージ層のダメージの荒さ或いは深さなどは、研磨処理に使用されるスラリーの材質や粒子の直径や、或いはブラスト処理で使用される粒子の材質や直径や質量や運動量や流量などにも依存する。しかしながら、本発明は、少なくとも上記の範囲で有効であることが確認できている。
また、本発明の結晶成長基板の材料としては、周知の任意の材料を用いることができるが、発光ダイオードの光出力を極力向上させるために屈折率や透光性などの光取り出し効率に係わる物性を考慮すると、上記の結晶成長基板の材料としては、例えばAlGaN系や或いはSiCなどの半導体バルク結晶を用いることが、より望ましい(本発明の第5、並びに第9の手段)。また、本発明の効果は、上記の様な光取り出し効率に関する物性が比較的良好な材料を基板に用いた際に、より顕著に際立つ。
特に、結晶成長基板としてGaNを選択することは、例えば格子定数等の物性的な諸特性をn型コンタクト層と略一致又は類似させる上で有利である。また、AlN基板は、比較的バンドギャップが大きいため、一旦発光された光が再び吸収され難い点で有利である。また、これらの優位性を適当に選択したり、適度に加味したり、或いは最適に重み付けしたりする上で、組成式Alx Ga1-x N(0≦x≦1)中のアルミニウム組成比xは、非常に好適な調整パラメータとなり得る(本発明の第5、並びに第9の手段)。
また、本発明の第6の手段によれば、物理ダメージ層が除去されるため、物理ダメージ層による上記の光吸収(または光の内部への散乱)が効果的に抑制される。したがって、本発明の第6の手段によれば、目的の発光ダイオード(LED)において、その外部量子効率や光の取り出し効率を高く確保することができる。
また、本発明の第7の手段によれば、光の出射面上に透光性の金属層を設ける場合に、光透過面での光吸収が抑制されて、その金属層近傍での光透過率が向上するので、外部量子効率または取り出し効率が向上する。
また、本発明の第8の手段によれば、光の反射面上に反射金属層を設ける場合に、その反射面での光吸収が抑制されて、その反射面での反射率が向上するので、外部量子効率または取り出し効率が向上する。
また、本発明の第10の手段によれば、発光ダイオードの側壁面で吸収されたり内部に散乱されたりする光の量が、非常に効果的に減少すると共に、光取り出し側にそれらの光を効率的に出力することが可能となるので、発光ダイオードの外部量子効率や取り出し率を非常に効果的に向上させることができる。
また、本発明の第11の手段によれば、テーパ面が表側に露出されるため、テーパ面から出射される光を発光ダイオードの表側に直接取り出す場合などに、発光ダイオードの外部量子効率や取り出し率を非常に効果的に向上させることができる。
そして、これらのテーパ面も、表側に形成される分割溝の一部の面を利用して形成することができる(本発明の第12の手段)。この場合、新たな特段のテーパ面形成工程を用意する必要がない点で有利である。
本発明は、以下の実施様態下においても良好に作用する。
例えば、上記のエッチングの深さは、0.1μm以上15μm以下が妥当であり、より望ましくは、0.2μm以上8μm以下が良い。この深さが浅すぎると上記の物理ダメージ層を十分に除去することができない場合が多い。また、この深さを深くし過ぎると、エッチング工程の所要時間が長くなるなどして、生産性や生産コストの面で望ましくない。即ち、この適正範囲に準拠することにより、物理加工面上に残される物理ダメージ層を必要かつ十分な程度に除去することができる。
更に望ましくは、このエッチングの深さは、実際の物理的な形状加工の様態に応じて好適または最適に決定するのが良い。例えば、研磨加工を実施する場合、用いられるスラリーの大きさや研磨時の加工面の面圧や処理速度などの諸条件に応じて、必要かつ十分とされるエッチングの深さが変化するが、これらの場合のエッチングの深さの最適値は、特段の試行錯誤を経ることなく経験的に獲得することができる。ダイシングやブラスト処理などのその他の機械的な形状加工についても同様である。
また、上記の結晶成長基板は、n型またはp型の周知の適当な不純物が添加されたものであっても良い。また、上記の組成式中の III族元素(Al,Ga)の内の一部をボロン(B)やタリウム(Tl)等で置換したり、或いは、上記の組成式中の窒素(N)の一部をリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換したりした半導体等を上記の結晶成長基板として用いても良い。本発明の作用・効果は、これらの若干の置換に対して一定の普遍性を示すものである。
また、上記のp型の不純物としては、例えば、マグネシウム(Mg)や、或いはカルシウム(Ca)等を添加することができる。また、上記のn型の不純物としては、例えば、シリコン(Si)や、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、或いはゲルマニウム(Ge)などを添加することができる。また、これらの不純物は、同時に2元素以上を添加しても良いし、同時に両型(p型とn型)を添加しても良い。これらの条件設定は、結晶成長基板に対して期待される伝導性などに照らして実施すれば良い。
特に、結晶成長基板としてGaNを選択することは、例えば格子定数等の物性的な諸特性をn型コンタクト層と略一致又は類似させる上で有利である。また、AlN基板は、比較的バンドギャップが大きいため、一旦発光された光が再び吸収され難い点で有利である。また、これらの優位性を適当に選択したり、適度に加味したり、或いは最適に重み付けしたりする上で、組成式Alx Ga1-x N(0≦x≦1)中のアルミニウム組成比xは、非常に好適な調整パラメータとなり得る。そして、特に、発光波長の短いLEDを製造する場合には、各半導体結晶層のバンドギャップ(よって、アルミニウム組成比x)を、その他の構成に支障を来さない範囲内において極力大きくしておくことが望ましい。
また、発光ダイオードの活性層(発光層)の構造は任意で良く、MQW構造やSQW構造や、或いは量子井戸構造を持たない単一層構造などを採用しても良い。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
図1に、本実施例1のフェイスダウン型の発光ダイオード100の断面図を示す。無添加のGaNバルク結晶からなる厚さ約150μmの半導体結晶基板102の裏側は、ドライエッチングによって仕上げられた平坦な被研磨面102aと、ドライエッチングによって仕上げられたテーパ形状の被研削面102bから構成されている。半導体結晶基板102の被研磨面102aと略平行な結晶成長面としては、そのGaNバルク結晶のc面が使用されている。この結晶成長面の上には、シリコン(Si)ドープの窒化ガリウム(GaN)から成る膜厚約4.0μmのn型コンタクト層103が結晶成長により積層されている。
このn型コンタクト層103の不純物(Si)添加濃度は、1×1019/cm3 程度である。このn型コンタクト層103の上には、GaNから成る膜厚約10nmのn型クラッド層104(低キャリア濃度層)が形成されている。
また、その上には、膜厚約2nmのAl0.005 In0.045 Ga0.95Nから成る井戸層51と膜厚約18nmのAl0.12Ga0.88Nから成るバリア層52とが交互に合計5層積層された紫外線発光のMQW構造の活性層105が形成されている。また、この活性層105の上には、Mgドープのp型Al0.15Ga0.85Nから成る膜厚約50nmのp型クラッド層106が形成されている。更に、p型クラッド層106の上にはMgドープのp型GaNから成る膜厚約100nmのp型コンタクト層107が形成されている。
また、p型コンタクト層107の上には金属蒸着による多層構造を有する正電極120が形成されており、また、高キャリア濃度のn型コンタクト層103上には負電極140が形成されている。多層構造の正電極120は、p型コンタクト層107に接合する正電極第1層121、正電極第1層121の上部に形成される正電極第2層122、更に正電極第2層122の上部に形成される正電極第3層123の3層構造である。
一方、正電極第1層121は、p型コンタクト層107に接合する膜厚約0.1μmのロジウム(Rh)より成る金属層である。また、正電極第2層122は、膜厚約1.2μmの金(Au)より成る金属層である。また、正電極第3層123は、膜厚約20Åのチタン(Ti)より成る金属層である。
多層構造の負電極140は、膜厚約175Åのバナジウム(V) 層141と、膜厚約1000Åのアルミニウム(Al)層142と、膜厚約500Åのバナジウム(V) 層143と、膜厚約5000Åのニッケル(Ni)層144と膜厚約8000Åの金(Au)層145とを、それぞれ、n型コンタクト層103の一部露出された部分の上から順次積層させることにより構成されている。
このように形成された正電極120と負電極140との間にはSiO2膜より成る保護膜130が形成されている。保護層130は、負電極140を形成するために露出したn型コンタクト層103から、エッチングされて露出した、活性層105の側面、p型クラッド層106の側面、及びp型コンタクト層107の側面及び上面の一部、正電極第1層121、正電極第2層122の側面、正電極第3層123の側面及びその上面の一部を覆っている。SiO2膜より成る保護膜130の正電極第3層123を覆う部分の厚さは0.5μmである。
次に、この発光ダイオード10の製造方法について説明する。
上記発光ダイオード10は、有機金属気相成長法(以下「MOVPE」と略す)による気相成長により製造された。用いられたガスは、アンモニア(NH3) 、キャリアガス( H2 , N2 ) 、トリメチルガリウム( Ga(CH3)3) (以下「TMG」と記す)、トリメチルアルミニウム( Al(CH3)3) (以下「TMA」と記す)、トリメチルインジウム( In(CH3)3) (以下「TMI」と記す)、シラン( SiH4) とシクロペンタジエニルマグネシウム( Mg(C5H5)2)(以下「CP2 Mg」と記す)である。
まず、有機洗浄及び熱処理により洗浄した、c面を主面とした無添加のGaNバルク結晶から成る半導体結晶基板102をMOVPE装置の反応室に載置されたサセプタに装着する。この装着時における半導体結晶基板102の厚さは、400μm程度とする。次に、常圧でH2 を反応室に流しながら温度1150℃で半導体結晶基板102をベーキングする。
(n型コンタクト層103の成長)
次に、半導体結晶基板102の温度を1150℃に保持し、H2 、NH3 、TMG、及び希釈されたシランを供給して、膜厚約4.0μm、電子濃度2×1018/cm3 、Si濃度1×1019/cm3 のGaNから成るn型コンタクト層103を形成した。
(n型クラッド層104の成長)
その後、半導体結晶基板102の温度を1150℃に保持して、H2 、NH3 、及びTMGを供給し、GaNから成る膜厚約10nmのn型クラッド層104(低キャリア濃度層)を形成する。
(活性層105の成長)
そして、上記のn型クラッド層104を形成した後、合計5層から成る前記のMQW構造の活性層105を形成する。
即ち、まず最初に、半導体結晶基板102の温度を770℃まで低下させ、それと同時にH2 からN2 にキャリアガスを変更し、このキャリアガスとNH3 の供給量を維持しながら、TMG、TMI、及びTMAを供給することにより、膜厚約2nmのAl0.005 In0.045 Ga0.95Nから成る井戸層51をn型クラッド層104の上に形成する。
次に、半導体結晶基板102の温度を1000℃にまで昇温し、上記の井戸層51上にN2 、NH3 、TMG、及びTMAを供給して、膜厚約18nmのAl0.12Ga0.88Nから成るバリア層52を形成する。
以下、これを繰り返して、井戸層51とバリア層52とを交互に積層し、合計5層(井戸層51、バリア層52、井戸層51、バリア層52、最後の井戸層51)から成る前記の活性層105を形成する。
(p型クラッド層106の結晶成長)
その後、半導体結晶基板102の温度を890℃に昇温し、N2 、TMG、TMA、及びCP2 Mgを供給して、膜厚約20nm、濃度5×1019/cm3 のマグネシウム(Mg)をドープしたp型Al0.15Ga0.85Nから成るp型クラッド層106を形成する。
(p型コンタクト層107の結晶成長)
最後に、半導体結晶基板102の温度を1000℃に昇温し、同時にキャリアガスを再びH2 に変更し、H2 、NH3 、TMG、及びCP2 Mgを供給して、膜厚約85nm、濃度5×1019/cm3 のMgをドープしたp型GaNから成るp型コンタクト層107を形成する。
以上に示した工程が、 III族窒化物系化合物半導体から成る各半導体層の結晶成長工程である。
(正電極120の形成)
その後、ウェハの表面上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフによりp型コンタクト層107上の電極形成部分のフィトレジストを除去して窓を形成する。即ち、正電極120の形成領域とすべきp型コンタクト層107の一部分領域だけを露出させる。次に、10-4Paオーダ以下の高真空に排気した後、露出させたp型コンタクト層107の上に、膜厚約0.1μmのロジウム(Rh)、より成る正電極第1層121と、膜厚約1.2μmの金(Au)より成る正電極第2層122と、膜厚約20Åのチタン(Ti)より成る正電極第3層123を順次蒸着する。次に、試料を蒸着装置から取り出し、リフトオフ法によりフォトレジスト上に堆積したこれらの各金属層を除去する。
その後も、従来と同様に、周知のフェイスダウン型の発光ダイオードのプロセス(各製造工程)に準拠して、負電極140や保護膜130の各部を順次形成する。
(合金化処理)
この後、試料雰囲気を真空ポンプで排気し、O2 ガスを供給して圧力3Paとし、その状態で雰囲気温度を約550℃にして、3分程度、加熱し、p型コンタクト層107、p型クラッド層106をp型低抵抗化すると共に、p型コンタクト層107と正電極120との合金化と、n型コンタクト層103と負電極140との合金化を図る。これにより、正負両電極を形成した各半導体層に対して、これらの電極を更に強固に接合させる。
(研磨加工)
次に、ウェハの表面(おもて面)に、各電極や積層した半導体層を研磨処理の圧力や衝撃から保護する保護膜を形成して、研磨装置のウェハ貼り付け板にウェハを貼り付ける。そして、研磨盤を用いて、半導体結晶基板102の裏面を研磨する。用いるスラリーの大きさは9μmとし、400μmある半導体結晶基板102の厚さを150μmまで薄板化する。その後、研磨装置のウェハ貼り付け板からウェハを取り外して洗浄し、貼り付け時のワックスや保護膜を除去する。最後に、このウェハを乾燥させる。
上記の研磨処理におけるスラリーの直径は、0.5〜15μm程度が望ましい。この直径が大き過ぎると、ダメージ層の厚さが予想以上に厚くなる場合があり望ましくない。また、この直径が小さ過ぎると、研磨時間が長くなるので望ましくない。より望ましくは、1〜9μm程度である。
(テーパ部の形成)
まず、ウェハを粘着テープに貼り付ける。この時、電極形成面を粘着テープ側に向ける。次に、ダイシングカッターを用いた研削処理により、ウェハ裏面に素子単位に格子縞状のV字溝を形成する。これにより、図1のテーパ形状の被研削面102bを形成することができる。最後にウェハを粘着テープから取り外す。
(エッチング工程)
次に、研磨された半導体結晶基板102の裏面(被研磨面)を約2μmの深さまでドライエッチングする。このドライエッチングにより、研磨加工の際に生成されてしまったダメージ層の少なくとも大半が削除される。このドライエッチングには、次の何れの装置を用いても良い。
(a)RIE装置
(b)ICP装置
より詳細には、例えば次の手順で上記のドライエッチングを実施することができる。
(1)RIEのエッチングガスに対する保護膜をレジストを用いてウェハの表面(おもて面)に形成する。
(2)ウェハの裏面を上にして、RIE装置にセットする。
(3)RIE装置にて、ウェハの裏面をドライエッチングする。
(エッチングの実施条件)
(a)使用するガス:CCl2 2
(b)真空度 :0.04Torr
ただし、この時、引き出し電圧(加速電圧)を800Vに設定してから0.8μm程度の深さまでエッチングし、更に、引き出し電圧を400Vにまで下げてから残りの0.2μmのドライエッチングを継続する。
例えばこの様に、漸近的に引き出し電圧(加速電圧)を弱めながらエッチングを完了することにより、エッチングによってウェハ裏面に形成されるエッチングダメージ(更に薄い副次的な物理ダメージ層)を除去または削減することができる。
(4)最後に、剥離液などにより、RIEのエッチングガスに対する上記の保護膜を除去する。
なお、これらのドライエッチングに関する実施基準としては、例えば特開平8−274081に記載されているドライエッチング方法等を参考にしても良い。
(分割工程)
次に、表面側にハーフカットやスクライブ等を施し、その後、ブレーキング工程等を経て、ウェハー状の半導体を個々のチップ状に分割する。これらの各工程は、周知の工法に従って実施すれば良い。この分割方法に関するより詳細な実施基準としては、例えば、特開2001−284642に記載されている分割技法等を参考にしても良い。
以上の製造工程に従えば、図1のフェイスダウン型の発光ダイオード100を得る。
この様にして得られた発光ダイオード100では、上記のドライエッチングを実施しないものに比べて、光出力は約20%の向上を示した。また、光出力は、テーパ部の形成により、テーパ部を形成しなかったものに対して約2倍になる。
即ち、本実施例1の発光ダイオード100は、結晶成長基板としてGaNバルク結晶を用いたり、結晶成長基板にテーパ部を形成したり、更には結晶成長基板の被研磨面や被研削面をドライエッチングによって仕上処理したりしたこと等の相乗効果により、極めて高い発光出力を示す。
(変形又は最適化の諸条件)
なお、上記の実施例1は、以下の各条件などによっても、その構造を変形或いは最適化することができる。
例えば、ドライエッチングの深さに関する最適な値は、その前の研磨工程で用いられるスラリーの大きさや、摩擦力、圧力等の大きさや、基板の組成比等にもよるが、その他の調査から、経験的には概ね1〜8μm程度の範囲において得られることが判っている。また、この場合には、研磨加工時間とドライエッチング時間との和を最小に抑制することができ、生産性の面でも都合がよい。
また、上記の実施例では、半導体結晶基板102として無添加のAlx Ga1-x N(0≦x≦1)を用いることが望ましいが、この基板材料としてはその他の III族窒化物系化合物半導体や、或いはSiCの半導体結晶などを用いても良い。
また、上記の実施例では、半導体結晶基板102として、自立した窒化ガリウム結晶(:GaNバルク結晶)からなる半導体基板を用いたが、半導体結晶基板102は必ずしも単層である必要はない。例えば上記の実施例と同様の構成を得るためには、適当な半導体結晶基板102として残る、150μm以上の厚さを有するAlx Ga1-x N(0≦x≦1)から成る半導体バルク結晶があれば良い。150μm以上のその他の部位は、研磨工程において削除されるので、その構成は任意で良い。したがって、例えば、シリコン基板上に下地層を成膜し、その上にGaNを成長させた基板(即ち、エピタキシャル成長基板)を用いても良い。この場合には、シリコン基板や下地層をガスエッチングや研磨処理などで削除してn型のAlx Ga1-x N(0≦x≦1)の部位だけを約150μm程度残せば良い。
ただし、残すべき半導体結晶基板102の厚さを、必ずしも上記の150μmに限定する必要はなく、ここで残すべき半導体結晶基板102の厚さは50〜300μmの範囲内であれば何れでも良い。また、研磨工程実施前の半導体結晶基板102の厚さは、250〜500μm程度あることが望ましい。より望ましくは300〜400μm程度である。この厚さが厚過ぎると研磨工程に時間がかかり過ぎ、薄過ぎると半導体ウェハのハンドリングの際に半導体ウェハが損傷する恐れが生じるので望ましくない。
(実施例1に対する変形例)
また、上記の実施例1では、表面(おもて面)側に正負両電極を設けたが、負電極は、半導体結晶基板102の裏側、即ち、ドライエッチングによって仕上げられた平坦な被研磨面102aやドライエッチングによって仕上げられたテーパ形状の被研削面102bに形成しても良い。半導体結晶基板102を電気伝導性の良好なn型基板とし、かつ、形成する負電極を透光性の薄膜電極とすれば、この様な構成によっても、フェイスダウン型の発光ダイオードを製造することができる。
例えばこの様なフェイスダウン型の発光ダイオードでは、透光性の負電極の表面から紫外光が出力される時にもその出力に至るまでの過程において物理ダメージ層による光吸収が抑制できるため、その透光性の負電極を介して効率よく光を外部に取り出すことが可能となる。
即ち、上記のエッチング処理面には、透光性電極を形成しても良い。この透光性電極は、物理ダメージ層を介さずに上記のn型基板に直接良好に蒸着(密着形成)させることができるので、この場合、本発明に基づくエッチング処理は同時に電極の良好なオーミック性の確保にも寄与する。
例えばこの様な上下導通型のフェイスダウン型の発光ダイオードの製造工程では、上記の負電極140を形成する代わりに、蒸着処理によって半導体結晶基板102の裏面に透光性の薄膜電極を形成することになるが、この透光性薄膜電極の蒸着工程は、前述の「エッチング工程」と「分割工程」との間で実行すれば良い。また、この様な発光ダイオードの負電極への配線は、例えば前述の特許文献1に開示(図1または図4に図示)されている様なワイヤーボンディングによって実施することができる。
また、本発明は、ブラスト処理によって上記の物理加工面を形成または整形した場合にも大いに有用である。上記の実施例1では、ドライエッチングによって仕上げられた略平坦な被研磨面102aと、ドライエッチングによって仕上げられたテーパ形状の被研削面102bとが縁(稜)を以て接しているが、ブラスト処理によってこの辺(稜)を丸めて所望のR(面取りによる丸み)を形成しても良い。この様なブラスト処理によっても、その物理加工面上に物理ダメージ層が形成されるが、そのブラスト処理の後に上記のエッチングを行えば、上記の実施例1と同等の効果を得ることができる。また、このブラスト処理を適度に実施しておけば、必要かつ十分とされるエッチングの処理時間を短縮する上でも効果がある。
以下の実施例2では、その様な実施様態に付いて例示する。
レーザ照射によって分割溝などを形成する場合、レーザ照射熱によって溶融された半導体の溶融物が再固化した溶融再固化物や、その様な溶融物が一旦処理室内に飛散してから再度付着固化した溶融飛散再固化物などが、素子の側壁面や裏面に残されることがあり、これらの溶融再固化物や溶融飛散再固化物は、外部量子効率や取り出し効率の観点からブラスト処理などによって除去することが望ましい。そして、この様なブラスト処理によっても、その処理条件によっては、上記と同様の物理ダメージ層が形成される。したがって、本発明は、例えばこの様にブラスト処理によって上記の物理加工面を形成した場合などにも大いに有用である。
図2に本実施例2のフェイスアップ型の発光ダイオード200の断面図を示す。本図2に示す様に、この発光ダイオード200は、周知のフェイスアップ型の搭載様式に従うものであり、無添加のGaNバルク結晶から成る半導体結晶基板1の裏面1aは、研磨加工、レーザ加工、及びブラスト処理によって物理的に形成され、その後ドライエッチングによって仕上げられたものである。この研磨加工は、上記の実施例1と同様に、半導体結晶基板1の薄板化を図るために実施する。またレーザ加工は、半導体結晶基板1の裏面にウェハ分割用のV字溝と適度なR(丸み)を形成するために行う。またブラスト処理は、上述の溶融再固化物や溶融飛散再固化物の削除と、適度なR形成のために実施する。そして最後のドライエッチングは、勿論、上記の実施例1と同様に、ブラスト処理によって整形された物理加工面の面上に残された物理ダメージ層を除去するために実施する。
符号6はn型半導体層2aに設けられた負電極を、符号7はp型半導体層2bに設けられた正電極をそれぞれ指している。正電極7は透光性とすることが望ましい。リードフレーム3には、略二次曲線の回転体形状の反射面3aが設けられており、その表面は略鏡面状に形成されている。半導体結晶基板1は透光性接着剤4により、反射面3aの内側底部中央に接着されている。この透光性接着剤4は外部量子効率を向上させる意味で、極力透明な材料を選択することが望ましい。また、発光ダイオード200の傾斜面1aの傾斜角は、透光性接着剤4の屈折率の大小などに合わせて好適或いは最適に設定することが望ましい。或いは、傾斜面1aの傾斜角の値を先に決めて、透光性接着剤4の材料を屈折率などの諸条件を考慮して選択する様に、材料の方を調整しても良い。
上記の発光ダイオード200では、傾斜面1aを有する半導体結晶基板1の裏面や側壁面からの光取り出し効果効率は、本発明の手段に基づく本発明の作用によって非常に高くなっているので、この様なフェイスアップ型のLED(半導体発光素子)の搭載様式においても、従来よりも高い外部量子効率を確保することができる。
即ち、本発明は、フェイスアップ型の発光ダイオードに対しても大きな効果を発揮する。
上記の実施例1では、半導体結晶基板102にテーパ部を形成したが、光取り出しのためのテーパ部は、結晶成長によって積層した各半導体層(103〜107)の側壁に、ウェハの表側に面するように形成しても良い。結晶成長によって積層された、素子機能を奏する各半導体層の表側に形成されるテーパ部もまた、光の取り出し効率や外部量子効率に寄与する。また、ウェハの表側にチップ分離用のV字溝などを形成する場合などにも、ウェハの表側に同様のテーパ部が形成されることがある。これらのテーパ部の形成は、例えばダイシングカッターなどを用いて実施することができる。そして、この様にして形成された表側のテーパ部に付いても本発明のエッチング(仕上げ処理)は有効である。
以下、本実施例3では、この様な本発明の実施様態に付いて具体的に例示する。
図3は、本実施例3のフェイスアップ型の発光ダイオード1000の断面図である。この発光ダイオード1000は、保護膜1300の形成後に厚さ約100μmにまで研磨処理されたサファイヤ基板1001を有する。
このサファイヤ基板1001の上には、窒化アルミニウム(AlN)から成る膜厚約0.5μmのAlN単結晶層1010が成膜されており、更にその上には、シリコン(Si)をドープして電子濃度5×1018/cm3としたAl0.12Ga0.88Nから成る膜厚約1.5μmのn型コンタクト層1020が形成されている。
また、このn型コンタクト層1020の上には、膜厚約1.5nmのAl0.15Ga0.85Nから成る層1031と膜厚約1.5nmのAl0.04Ga0.96Nから成る層1032とを38周期積層した、シリコン(Si)をドープして電子濃度5×1019/cm3とした総膜厚約100nmの多重層から成るn型クラッド層1030が形成されている。
また、n型クラッド層1030の上には、主に紫外光を出力する単一量子井戸構造の発光層1040が形成されている。この単一量子井戸構造(SQW)の発光層1040は、膜厚約25nmのノンドープのAl0.13Ga0.87Nから成る障壁層1041と、膜厚約2nmのノンドープのAl0.005In0.045Ga0.95Nから成る井戸層1042と、膜厚約15nmのノンドープのAl0.13Ga0.87Nから成る障壁層1043とを積層して形成する。
発光層1040の上には、マグネシウム(Mg)をドープしてホール濃度5×1017/cm3としたAl0.16Ga0.84Nから成る膜厚約40nmのp型ブロック層1050が形成されている。このp型ブロック層1050の上には、膜厚約1.5nmのAl0.12Ga0.88Nから成る層1061と膜厚約1.5nmのAl0.03Ga0.97Nから成る層1062とを30周期積層した、マグネシウム(Mg)をドープしてホール濃度5×1017/cm3とした総膜厚約90nmの多重層から成るp型クラッド層1060が形成されている。p型クラッド層1060の上には、マグネシウム(Mg)をドープしてホール濃度1×1018/cm3としたAlGaNから成る膜厚約30nmのp型コンタクト層1070を形成した。
又、p型コンタクト層1070の上には金属蒸着による透光性薄膜正電極1100が、n型コンタクト層1020上には負電極1400が形成されている。透光性薄膜正電極1100は、p型コンタクト層1070に直接接合する膜厚約1.5nmのコバルト(Co)より成る第1層1110と、このコバルト膜に接合する膜厚約6nmの金(Au)より成る第2層1120とで構成されている。
厚膜正電極1200は、膜厚約18nmのバナジウム(V)より成る第1層1210と、膜厚約15μmの金(Au)より成る第2層1220と、膜厚約10nmのアルミニウム(Al)より成る第3層1230とを透光性薄膜正電極1100の上から順次積層させることにより構成されている。
多層構造の負電極1400は、n型コンタクト層1020の一部露出された部分の上から、膜厚約18nmのバナジウム(V)より成る第1層1410と膜厚約100nmのアルミニウム(Al)より成る第2層1420とを積層させることにより構成されている。
また、最上部には、SiO2膜より成る保護膜1300が形成されている。一方、エッチング処理されたサファイヤ基板1001の底面(エッチング面β)に当たる最下部には、膜厚約500nmのアルミニウム(Al)より成る反射金属層1500が、金属蒸着により成膜されている。尚、この反射金属層1500は、Rh、Ti、W等の金属の他、TiN、HfN等の窒化物でも良い。
図中のチップの左右両側壁に位置するテーパ状のエッチング面αは、ウェハの表側に分割用のV字溝をダイシングカッターを用いて形成した際に、上記の半導体結晶層などの側壁にできたテーパ部(被研削面)を更にドライエッチングによって仕上げした面である。このエッチング面αは、V字溝形成時にテーパ部(被研削面)に残留していた物理ダメージ層が除去されているので紫外光の吸収が効果的に抑制される。このため、ドライエッチングによって仕上げしたエッチング面αは、上方への光取り出しに良好に寄与する。
また、エッチング面β(サファイヤ基板1001の底面)は、研磨処理によって露出したウェハの裏面(被研磨面)を更にドライエッチングによって仕上げした面である。このエッチング面βは、研磨処理後にウェハの裏面(被研磨面)残留していた物理ダメージ層が除去されているので紫外光の吸収が効果的に抑制される。このため、反射金属層1500の反射率を効果的に向上させる。したがって、ドライエッチングによって仕上げしたエッチング面βも、上方への光取り出しに良好に寄与する。
また、上記の半導体結晶の積層構成では、各半導体結晶層のアルミニウム組成比を最適化することにより、各半導体結晶層のバンドギャップは、極力大きめに確保されている。この様な構成に従えば、発光層が発した近紫外線領域の光に付いても、発光層以外の半導体結晶層における吸収を効果的に抑制できるので、上記の発光ダイオード1000においてはこの様なバンドギャップの設定も同時に、発光ダイオードの外部量子効率の向上に大きく寄与している。
本発明は、少なくとも発光スペクトルの一部が470nm未満の発光領域を有する、比較的短い波長の発光ダイオードに対して用いることができる。したがって、本発明は、可視光領域にその発光領域を有する光デバイスにも勿論有用である。
更に本発明は、その作用原理から、勿論半導体受光素子にも同様に適用できることは言うまでもない。
なお、本発明は、それらの半導体素子の半導体結晶の詳細な結晶成長条件やその組成や積層構成などを特に制約するものではない。
また、本発明は、紫外線領域に発光波長が存在するような短波長の光素子にも、非常に好適である。これらの短波長の光素子の用途としては、光励起触媒を用いる光化学分野、蛍光体を励起させるために用いる照明分野、誘蛾灯に代表されるバイオ関連分野などがあり、例えば蛍光ランプを構成するブラックライトとして利用することができる。
実施例1のフェイスダウン型の発光ダイオード100の断面図 実施例2のフェイスアップ型の発光ダイオード200の断面図 実施例3のフェイスアップ型の発光ダイオード1000の断面図
符号の説明
100 : 発光ダイオード(実施例1)
102 : 半導体結晶基板(無添加のGaNバルク結晶)
102a: ドライエッチングによって仕上げられた被研磨面
102b: ドライエッチングによって仕上げられた被研削面
105 : 紫外線発光の活性層(MQW構造)

Claims (13)

  1. 結晶成長基板の結晶成長面の上に半導体層が積層された面発光型の発光ダイオードの製造方法であって、
    前記結晶成長基板を裏面から研磨、ダイシング、またはブラスト処理することによって、光出力に寄与する出射面または反射面を形成する形状加工工程と、
    前記形状加工工程によって形成された前記出射面または前記反射面を更にエッチングによって仕上処理する加工面仕上工程と
    を有する
    ことを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
  2. 前記形状加工工程は、
    前記出射面の少なくとも一部分、または前記反射面の少なくとも一部分として、前記結晶成長面に対して斜めに傾いたテーパ面を形成するテーパ形成工程を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
  3. 前記テーパ形成工程の少なくとも一部は、
    前記発光ダイオードを複数有する半導体ウェハを各前記発光ダイオード毎に分割するための分割用の略V字型の分割溝を形成する工程から成る
    ことを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオードの製造方法。
  4. 前記発光ダイオードの発光ピーク波長は、
    470nm未満である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の発光ダイオードの製造方法。
  5. 前記結晶成長基板は、
    Alx Ga1-x N(0≦x≦1)又は炭化珪素(SiC)から成る
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発光ダイオードの製造方法。
  6. 結晶成長基板の結晶成長面の上に積層された半導体層を有する面発光型の発光ダイオードにおいて、
    前記結晶成長基板は、
    研磨、ダイシング、またはブラスト処理である物理的な形状加工によって形成された光出力に寄与する出射面または反射面を有し、
    前記出射面または前記反射面は、
    前記形状加工に伴って発生する物理的な摩擦または衝撃によってその表面上に残される物理ダメージ層が除去されている
    ことを特徴とする発光ダイオード。
  7. 前記出射面上に、
    光取り出し側へ光を透過する透光性を有する金属層を有する
    ことを特徴とする請求項6に記載の発光ダイオード。
  8. 前記反射面上に、
    光取り出し側へ光を反射する反射性を有する金属層を有する
    ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の発光ダイオード。
  9. 前記結晶成長基板は、
    Alx Ga1-x N(0≦x≦1)又は炭化珪素(SiC)から成る
    ことを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載の発光ダイオード。
  10. 前記出射面の少なくとも一部分、または前記反射面の少なくとも一部分として、
    前記結晶成長面に対して斜めに傾いたテーパ面を有する
    ことを特徴とする請求項6乃至請求項9の何れか1項に記載の発光ダイオード。
  11. 結晶成長基板の結晶成長面の上に積層された半導体層を有する面発光型の発光ダイオードにおいて、
    前記発光ダイオードの側壁の少なくとも一部分に、前記結晶成長面に対して斜めに傾いたテーパ面を有し、
    前記テーパ面は、
    正電極が設けられる半導体結晶層を有する側である前記発光ダイオードの表側に露出しており、かつ、
    前記テーパ面の形成に伴って発生する物理的な摩擦または衝撃によって前記テーパ面上に残される物理ダメージ層が除去されている
    ことを特徴とする発光ダイオード。
  12. 発光ダイオードを複数有する半導体ウェハを各前記発光ダイオード毎に分割することによって製造される発光ダイオードであって、
    前記発光ダイオードの側壁の少なくとも一部分にテーパ面を有し、
    前記テーパ面は、
    前記分割を実行するための分割用の略V字型の分割溝の一部の面から成る
    ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の発光ダイオード。
  13. 発光ピーク波長が470nm未満である
    ことを特徴とする請求項6乃至請求項12の何れか1項に記載の発光ダイオード。
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