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JP2005296005A - γ−グルタミルシステイン合成酵素の阻害剤のスクリーニング方法 - Google Patents

γ−グルタミルシステイン合成酵素の阻害剤のスクリーニング方法 Download PDF

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JP2005296005A JP2005071544A JP2005071544A JP2005296005A JP 2005296005 A JP2005296005 A JP 2005296005A JP 2005071544 A JP2005071544 A JP 2005071544A JP 2005071544 A JP2005071544 A JP 2005071544A JP 2005296005 A JP2005296005 A JP 2005296005A
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Abstract

【課題】寄生虫等に特異的なγ−グルタミルシステイン合成酵素(γGCS)の阻害剤のスクリーニング方法の提供を目的とする。
【解決手段】大腸菌γGCSの第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニンであるヒト型γGCSと、前記第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニン以外である非ヒト型γGCSとを準備し、予め準備した薬剤候補化合物を、前記ヒト型及び非ヒト型γGCSのそれぞれと接触させて、結合の強さをそれぞれ評価し、前記ヒト型γGCSよりも前記非ヒト型γGCSにより強く結合する前記薬剤候補化合物を選択する工程を含む。本発明のスクリーニング方法に用いる薬剤候補化合物の設計は、大腸菌γGCSと基質遷移状態アナログとの共結晶であり、空間群が、P21である結晶を解析して得られるγGCSの立体構造データに基づくことが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、γ−グルタミルシステイン合成酵素の阻害剤のスクリーニング方法に関する。なお、本出願は、国の委託に係る成果の出願である。
グルタチオンによるホメオスタシスは、細胞内の酸化還元バランスの維持、及び、酸化ストレスや化学的ストレスに対する防御の維持において重要な役割を果たす。その一方、グルタチオンのレベルの制御は、薬理学的に注目されている。なぜなら、グルタチオンは、ある種の寄生虫やガン細胞における多剤耐性獲得機構に関与するからである。抗ガン剤又は抗寄生虫剤がガン細胞や寄生虫細胞内に侵入すると、これらの薬剤とグルタチオンとが結合してGSH包接化合物が形成され、このGSH包接化合物が、例えば、MDR輸送体等により、細胞外に排出される。このような機構により、寄生虫やガン細胞は、薬剤耐性を獲得する。
γ−グルタミルシステイン合成酵素(グルタミン酸-システインリガーゼ:EC 6.3.2.2、以下、γGCSと呼ぶ。)は、グルタチオンの生合成の最初のステップを触媒する酵素である。グルタチオンの生合成系を、図3に示す。図3に示すように、γGCSは、Mg2+、ATP存在下で、L-グルタミン酸とL-システインから、γ−グルタミルシステインが合成される反応を触媒する。そして、γGCSが触媒するこの反応は、グルタチオン生合成の律速段階である。また、γGCSの活性は、生体内では、グルタチオンによるノンアロステリックなフィードバック阻害、細胞内L-システインの欠乏、ならびに、さまざまな生理学的条件下における転写及び転写後の発現制御によって、正確に制御されている。
グルタチオンの多剤耐性獲得機構への関与等の理由により、γGCSは、創薬ターゲットとして注目されている。伝統的なγGCSの阻害剤としては、例えば、L-ブチオニンスルホキシイミン(BSO)があげられる。前記BSOは、ヒトのアフリカ眠り病を引き起こす寄生原虫トリパノゾーマ・ブルース(Trypanosoma brucei)に感染したマウスを延命できること(非特許文献1参照)、及び、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の成長を阻害できること(非特許文献2参照)が示されている。さらに、前記BSOで、ガン細胞を前処理すると、前記ガン細胞において、MRP輸送体による薬剤耐性を取り除くことができることも報告されている(例えば、非特許文献3及び4参照)。
その他のγGCS阻害剤としては、前記BSOと同様にスルホキシイミン構造を有する化合物であって、γ-グルタミルリン酸とL-システインとの予測される遷移状態のアナログからなる阻害剤があげられる(非特許文献5参照)。
B. A. Arrick, O. W. Griffith, A. Cerami, J. Exp. Med. 153, 720 (1981). K. Luersen, R. D. Walter, S. Muller, Biochem. J. 346, 545 (2000). G. Rappa et al., Eur. J. Cancer 39, 120 (2003). T. Fojo, S. Bates, Oncogene 22, 7512 (2003). J. Hiratake, T. Irie, N. Tokutake, J. Oda, Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 1500 (1998).
しかしながら、γGCSの阻害剤として、例えば、前記寄生虫を含むヒト以外の生物のγGCSに特異的に作用する阻害剤の存在は知られておらず、そのような阻害剤をスクリーニングできる方法が望まれている。
そこで、本発明は、寄生虫を含むヒト以外の生物に特異的なγGCSの阻害剤のスクリーニング方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のスクリーニング方法は、γ−グルタミルシステイン合成酵素(γGCS)の阻害剤のスクリーニング方法であって、下記(A)のヒト型γGCSと、下記(B)の非ヒト型γGCSとを準備し、予め準備した薬剤候補化合物を、前記ヒト型及び非ヒト型γGCSのそれぞれと接触させて、前記化合物の前記両γGCSへの結合の強さをそれぞれ評価し、前記ヒト型γGCSよりも前記非ヒト型γGCSにより強く結合する前記薬剤候補化合物を選択する工程を含むことを特徴とする。
(A)ヒト型γGCS:γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニンであるγGCS。
(B)非ヒト型γGCS:γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニン以外のアミノ酸残基であるγGCS。
本発明者らは、γGCSに結合する化合物であって、γGCSの反応中間体であるγ-グルタミルリン酸とL-システインとの遷移状態のアナログであるスルホキシイミン構造を有する化合物において、L-システインのカルボキシル基と側鎖に相当する部分が、前記化合物とγGCSとの結合の強さに影響することに着目して、鋭意研究を重ねた。本発明者らは、まず、大腸菌γGCS(AC No.P06980:配列番号1)と下記構造式(1)で表される化合物との共結晶であって、空間群が、P21である結晶を作製し、その結晶解析を行い、γGCSのタンパク質立体構造を世界で初めて明らかにした。次に、本発明者らは、前記構造解析により明らかにされたγGCSのL-システイン結合部位に寄与するアミノ酸残基の一つが、ヒトを含む多くのγGCSで保存されているにも関わらず、ある種の寄生虫において置換されていることに着目し、前記アミノ酸残基の置換によりもたらされる構造の差異に基づけば、前記寄生虫のγGCSに特異的な阻害剤となる化合物を設計できることを見出した。さらに、本発明者らは、前記アミノ酸残基を置換した組換えγGCSを用いれば、設計した薬剤候補化合物をスクリーニングできることを見出し、本発明に到達した。
Figure 2005296005
本発明のスクリーニング方法によれば、例えば、トリパノゾーマ・ブルース(Trypanosoma brucei)や、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)等の寄生虫のγGCSを含む非ヒト型γGCSに特異的な阻害剤をスクリーニングできる。前記阻害剤は、前記寄生虫の薬剤耐性獲得を抑制できるから、例えば、新たな寄生虫感染症の治療・予防薬や、治療・予防方法に利用できる。
本発明のスクリーニング方法は、一態様として、トリパノゾーマ・ブルース(Trypanosoma brucei)のγGCSの阻害剤をスクリーニング対象とし、前記非ヒト型γGCSとして、前記第132番目に相当するアミノ酸残基がアスパラギンである非ヒト型γGCSを使用する方法である。
本発明のスクリーニング方法は、その他の態様として、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のγGCSの阻害剤をスクリーニング対象とし、前記第132番目に相当するアミノ酸残基がグルタミンである非ヒト型γGCSを使用する方法である。
本発明のスクリーニング方法において、前記薬剤候補化合物は、大腸菌γGCSと前記構造式(1)で表される化合物との共結晶の結晶構造解析データから設計される化合物を使用することができる。その中でも、前記薬剤候補化合物としては、下記一般式(2)の化学構造を有する化合物を用いることが好ましい。
Figure 2005296005
上記式(2)において、Xは、−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2SH、−CH2NH2、−CH2NHCH3、−CH2N(CH32、−CF3、−CH2Br、−CH2Cl、−CHCl2、−CN、−NC、−CH2CN、−CH2NC、−CH2CH2CH3、−CH2CH2OH、−CH2CH2SH、−CH2CH2Cl、−CH2CH2Br、−CH2CF3、−COOH、−CH2COOH、−COCH3、−COCH3、−PO3H、−CH2PO3H、−P(CH3)O2H、−SO3H、−SO2H、−NO2、−C≡CH、−CH=CH2、−CONH2、−CH2COCNH2、及び、−CH2CH2NH2からなる群から選択される置換基であり、Yは、−H、−OH、−COOH、−NH2、−COOCH3、−CONH2、−CN、−SO3H、及び、−NO2からなる群から選択される置換基である。
本発明のスクリーニング方法において、γGCSと前記薬剤候補化合物の結合の強さは、例えば、スローバインディングキネティクス(slow-binding kinetics)に基づくアッセイ法で評価することができる。
本発明の非ヒト型組換えγGCSは、γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基がアルギニン以外のアミノ酸残基である組換えγGCSである。本発明の非ヒト型組換えγGCSは、例えば、本発明のスクリーニング方法に使用可能である。
本発明の非ヒト型組換えγGCSは、下記(i)又は(ii)に記載の非ヒト型組換えγGCSであることが好ましい。
(i) 大腸菌γGCSアミノ酸配列(AC No.P06980:配列番号1)の第132番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
コレラ菌γGCSアミノ酸配列(AC No.AAF93724:配列番号2)の第131番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
緑膿菌γGCSアミノ酸配列(AC No.NP 253890:配列番号3)の第134番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
サルモネラ菌γGCSアミノ酸配列(AC No.NP 457216:配列番号4)の第132番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
ブフネラγGCSアミノ酸配列(AC No.NP 777980:配列番号5)の第132番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
ヒトγGCSアミノ酸配列(AC No.NP 001489:配列番号6)の第191番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
ラットγGCSアミノ酸配列(AC No.P97494:配列番号7)の第191番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
マウスγGCSアミノ酸配列(AC No.O09172:配列番号8)の第191番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
マイコプラズマγGCSアミノ酸配列(AC No.NP 857368:配列番号9)の第112番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、及び
トリパノゾーマ・グルージγGCSアミノ酸配列(AC No.AAC80009:配列番号10)の第185番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる非ヒト型組換えγGCS。
(ii) 前記(i)のアミノ酸配列におけるアスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸残基以外のアミノ酸残基において、1もしくは数個のアミノ酸残基が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、γ−グルタミルシステイン合成酵素活性を有する非ヒト型組換えγGCS。
本発明のヒト型組換えγGCSは、γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基がアルギニンである組換えγGCSである。本発明のヒト型組換えγGCSは、例えば、本発明のスクリーニング方法に使用可能である。本発明のヒト型組換えγGCSとしては、下記(iii)又は(iv)に記載のヒト型組換えγGCSが好ましい。
(iii) トリパノゾーマ・ブルースγGCS(AC No.AAC47195:配列番号11)の第185番目のアスパラギンがアルギニンに置換されたアミノ酸配列、又は、
熱帯熱マラリア原虫γGCS(AC No.T18400:配列番号12)の第473番目のグルタミンがアルギニンに置換されたアミノ酸配列からなるヒト型組換えγGCS。
(iv) 前記(iii)のアミノ酸配列におけるアルギニンに置換されたアミノ酸残基以外のアミノ酸残基において、1もしくは数個のアミノ酸残基が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、γ−グルタミルシステイン合成酵素活性を有する非ヒト型組換えγGCS。
本発明のポリヌクレオチドは、前記(i)から(iv)のいずれかの組換えγGCSをコードするポリヌクレオチドであり、本発明のベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターである。そして、本発明の形質転換生物又はその細胞は、本発明のベクターにより形質転換された生物又はその細胞である。
本発明の結晶は、薬剤候補化合物の設計に使用される共結晶であって、配列番号1のアミノ酸配列からなるγGCSと前記構造式(1)で表される化合物との共結晶であり、空間群が、P21である。
本発明の寄生虫感染症の予防・治療薬の製造方法は、薬剤候補化合物を準備する工程と、前記薬剤候化合物を本発明のスクリーニング方法により非ヒト型γGCSを特異的に阻害する化合物を選択する工程と、選択された前記化合物を有効量含む寄生虫感染症の予防・治療薬を製造する工程とを含む製造方法である。
まず、本発明のスクリーニング方法に使用するγGCSについて説明する。本発明において、ヒト型γGCSは、γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニンであるγGCSを指す。ヒト、ラットをはじめ、細菌まで、多くの生物が、ヒト型のγGCSを有している。下記表1に、ヒト型のγGCSを有する生物と、それぞれのγGCS配列のデータベース登録番号及び前記第132番目のアルギニンに相当するアミノ酸残基の位置を示す。
(表1)
生物 登録番号 配列位置 配列番号
大腸菌 (Escherichia coli) P06980 132 1
コレラ菌 (Vibrio cholerae) AAF93724 131 2
緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) NP 253890 134 3
サルモネラ菌(Salmonella enterica) NP 457216 132 4
ブフネラ (Buchnera aphidicola) NP 777980 132 5
ヒト NP 001489 191 6
ラット P97494 191 7
マウス O09172 191 8
マイコプラズマ(Mycobacterium bovis AF2122/97)NP 857368 112 9
トリパノゾーマ・クルージ (Trypanosoma cruzi) AAC80009 185 10
本発明のスクリーニング方法において、非ヒト型γGCSは、γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニン以外のアミノ酸残基であるγGCSを指す。非ヒト型のγGCSを生来的に有する生物としては、下記表2の生物があげられる。下記表2には、生物名と、配列データベース登録番号と、前記第132番目に相当するアミノ酸残基とその位置を示す。
(表2)
生物 登録番号 対応アミノ酸残基 配列位置 配列番号
トリパノゾーマ・ブルース
(Trypanosoma brucei) AAC47195 アスパラギン 185 11
熱帯熱マラリア原虫
(Plasmodium falciparum) T18400 グルタミン 473 12
本発明者らは、大腸菌γGCSの立体構造解析を行い、図1A及び図1Bにそれぞれ示すγGCSの3次元及び2次元構造を世界で初めて明らかにした。さらに、本発明者らは、前記立体構造解析の結果に基づき、種々のγGCSとのマルチプルアライメントを行い、γGCSにおけるL-システインの結合部位を構成するN末端バリアブルアーム(配列番号1の第105番目〜第145番目)と中央バリアブルアーム(配列番号1の第238番目〜第311番目)のアライメントに成功した。そのアライメントの一例を図2に示す。図2は、大腸菌(Ec)、コレラ菌(Vc)、緑膿菌(Pa)、ブルネラ(Ba)、ヒト(Hu)、ラット(Ra)、トリパノゾーマ・クルージ(Tc)、トリパノゾーマ・ブルース(Tb)、及び、熱帯熱マラリア原虫(Pf)についてのアライメントである。立体構造解析からL−システインの側鎖の認識に関わるアミノ酸残基であることが明らかにされた大腸菌(Ec)の第132番目のアルギニン(R)は、図2に示すとおり、トリパノゾーマ・ブルース(Tb)、及び、熱帯熱マラリア原虫 (Pf)以外で保存されている。前記第132番目のアルギニン(R)は、トリパノゾーマ・ブルースでは、アスパラギン(N)に置換され、熱帯熱マラリア原虫では、グルタミン(Q)に置換されている。
したがって、非ヒト型γGCSとして、前記トリパノゾーマ・ブルースのγGCS、又は、前記ヒト型γGCSにおいて前記第132番目のアミノ酸残基に相当するアルギニン(R)がアスパラギン(N)に置換された非ヒト型組換えγGCSを用いれば、トリパノゾーマ・ブルースに特異的なγGCS阻害剤をスクリーニングできる。
また、非ヒト型γGCSとして、前記熱帯熱マラリア原虫のγGCS、又は、前記ヒト型γGCSにおいて前記第132番目のアミノ酸残基に相当するアルギニン(R)がグルタミン(Q)に置換された非ヒト型組換えγGCSを用いれば、熱帯熱マラリア原虫にに特異的なγGCS阻害剤をスクリーニングできる。
なお、本発明のスクリーニング方法のスクリーニング対象は、前記トリパノゾーマ・ブルース又は熱帯熱マラリア原虫のγGCS阻害剤に限られず、γGCSが生来的に非ヒト型であれば、その生物に特異的なγGCS阻害剤をスクリーニングできる。ある生物のγGCSがヒト型か非ヒト型かは、例えば、図2を参照して、マルチプルアライメントを行い、配列番号1の第132番目に相当するアミノ酸残基がアルギニンであるか否かにより判定できる。
本発明のスクリーニング方法に用いる薬剤候補化合物としては、特に制限されず、あらゆる化学物質を候補化合物として使用できる。その中でも、前記薬剤候補化合物は、本発明の結晶の結晶解析データから得られるγGCSの立体構造情報に基づき設計されたものが好ましい。立体構造情報に基づく薬剤候補化合物の設計は、例えば、低分子化合物ライブラリーから酵素の活性中心に適合する化合物の検索を下記のソフトウェアを用いたドッキングシュミレーション法等により行うことができる。その一態様は、例えば、スルホキシイミン型阻害剤のリード化合物とした薬剤候補化合物等と組み合せることで、ファーマコフォアモデルを構築していく方法である。前記ソフトウェアとしては、例えば、DOCK、AUTODOCK、3D-Dock、FlexX(以上、フリーウェア)、商品名:C2.Ludi(富士通、Accelrys Inc.製)、商品名:AS DOCK((株)菱化システム社製)等があげられる。また、γGCSの立体構造情報は、後述の実施例に記載の方法にしたがって、本発明の前記γGCS結晶を作製し、この結晶をX線解析することにより得ることができる。
また、本発明のスクリーニング方法に用いる薬剤候補化合物であって、トリパノゾーマ・ブルース又は熱帯熱マラリア原虫に特異的なγGCS阻害剤の薬物候補化合物は、L−システイン側鎖の認識部位を形成すると考えられる配列番号1の第132番目に相当するアスパラギンやグルタミンと水素結合が形成可能な官能基を含むように分子設計することが好ましい。
本発明のスクリーニング方法に用いる薬剤候補化合物の具体例として、下記一般式(2)の化学構造を有するmechanism-based inhibitorとして機能する阻害剤の薬剤候補化合物があげられる。
Figure 2005296005
上記式(2)において、Xは、−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2SH、−CH2NH2、−CH2NHCH3、−CH2N(CH32、−CF3、−CH2Br、−CH2Cl、−CHCl2、−CN、−NC、−CH2CN、−CH2NC、−CH2CH2CH3、−CH2CH2OH、−CH2CH2SH、−CH2CH2Cl、−CH2CH2Br、−CH2CF3、−COOH、−CH2COOH、−COCH3、−COCH3、−PO3H、−CH2PO3H、−P(CH3)O2H、−SO3H、−SO2H、−NO2、−C≡CH、−CH=CH2、−CONH2、−CH2COCNH2、及び、−CH2CH2NH2からなる群から選択される置換基であって、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2SH、−CH2NH2、−CH2NHCH3、−CH2CN、−CF3、−CH2CF3、又は、−CNが好ましく、より好ましくは、−CH2CH3、又はCH2OHである。また、Yは、−H、−OH、−COOH、−NH2、−COOCH3、−CONH2、−CN、−SO3H、及び、−NO2からなる群から選択される置換基であって、−H、−OH、又は、−COOHが好ましく、より好ましくは、−H、又は、−COOHである。
前記一般式(2)の化学構造を有する化合物が、mechanism-based inhibitorとして機能する場合、γGCSとの結合した後、下記一般式(3)のようにリン酸化されてγGCSと強く結合するように変換され、阻害剤として機能することとなる。
Figure 2005296005
前記ヒト型γGCS又は非ヒト型γGCSと、前記薬剤候補化合物とを接触させる方法は、特に制限されず、インビトロの方法であってもよく、インビボの方法であってもよい。
前記インビトロの方法としては、特に制限されないが、例えば、精製した前記ヒト型又は非ヒト型γGCSと、L-グルタミン酸と、L-システインもしくはL-2-アミノ酪酸と、ATPと、マグネシウムとを含む反応液に、前記薬剤候補化合物を加えて、インキュベーションする方法があげられる。この場合、前記薬剤候補化合物とγGCSとの結合の強さは、γGCSの酵素活性が受ける阻害の程度で測定できる。前記mechanism-based inhibitorとして機能する阻害剤の薬剤候補化合物を用いた場合、例えば、スローバインディングキネティクス(slow-binding kinetics)に基づくアッセイ方法(例えば、非特許文献5参照)等により、前記阻害剤の阻害作用の強さを定量することができる。
具体的には、例えば、γGCS(E)、基質(グルタミン酸:S)、生成物(ADP:P)及び、阻害剤(I)との反応を下記式(4)で表し、生成物であるADPを測定して下記式(5)〜(7)から「EI→EI*」の速度定数kon[I]又は阻害定数Kiを求め、前記konの大きさ又は前記Kiをその阻害剤の阻害作用の強さとして定量する方法があげられる。なお、下記式において、Kmは、γGCSの「E+S ⇔ ES」の反応についてのKm値を表す。
E+S ⇔ ES→E+P
↑↓ ・・・(4)
EI→EI*
[P]=[P]max ・ [1−exp(−kt)] ・・・(5)
k = kon[I]/(1+[S]/Km) ・・・(6)
Ki= [E]・[I]/[EI*] ・・・(7)
前記インビボの方法としては、特に制限されないが、例えば、非ヒト型γGCSを有する前記寄生虫に直接、薬剤候補化合物を作用させる方法や、遺伝子組換え技術等により、ヒト型及び非ヒト型のγGCSどちらか一方のみを有するモデル実験生物又は細胞を作製し、前記生物又は細胞に薬剤候補化合物を作用させ、細胞内部でγGCSと接触させる方法があげられる。前記薬剤候補化合物とγGCSとの結合の強さを評価する方法としては、例えば、γGCSが阻害されることによりグルタチオンが欠乏するから、例えば、グルタチオンの欠乏により誘導される遺伝子のプロモーターの下流にレポーター遺伝子を配置し、前記レポーター遺伝子の発現を指標として評価する方法があげられる。
本発明のスクリーニング方法に用いるヒト型γGCS及び非ヒト型γGCSは、由来が同じであることが好ましい。結合の強さの判定が容易となるからである。その場合、前記由来となる生物は、特に制限されないが、例えば、大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等のヒト型γGCSである実験動物があげられ、前記ヒト型γGCSに対応する非ヒト型γGCSとしては、前記ヒト型γGCSの前記第132番目に相当するアルギニンを置換した本発明の組換えγGCSがあげられる。これらのγGCSの発現及び精製方法は、特に制限されず、従来公知の方法で行うことができる。
本発明の非ヒト型組換えγGCSは、上記表1に示したヒト型γGCSを有する生物のγGCSのアミノ酸配列における同表に示した配列位置のアルギニンを、異なるアミノ酸に置換した組換えγGCSを含む。置換アミノ酸としては、特に制限されないが、アスパラギン又はグルタミンが好ましい。また、本発明の非ヒト型組換えγGCSは、さらに、上記置換アミノ酸以外のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、γ−グルタミルシステイン合成酵素活性を有する非ヒト型組換えγGCSを含む。このような非ヒト型組換えγGCSにおいて、欠失、置換もしくは付加されるアミノ酸残基数は、γ-グルタミルシステイン合成酵素活性が阻害されなければ、特に制限されないが、例えば、1〜20であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、さらに好ましくは、1〜2である。また、本発明の非ヒト型組換えγGCSは、精製の手順の簡略化・低廉化や、安定性の向上・可溶化等を目的として、酵素活性を阻害しない範囲で、各種のタンパク質もしくはペプチドタグと融合させてもよい。
本発明の非ヒト型組換えγGCSの具体例として、上記(i)又は(ii)に記載の非ヒト型組換えγGCSが挙げられる。また、図2に示すとおり、トリパノゾーマ・ブルース及び熱帯熱マラリア原虫において、配列番号1の第131番目に相当するアミノ酸残基は、トレオニン(T)であるから、例えば、大腸菌、コレラ菌、緑膿菌、サルモネラ菌及びブフネラ等の非ヒト型組換えγGCSにおいては、配列番号1の第131番目に相当するチロシン(Y)をトレオニン(T)に置換した非ヒト型組換えγGCSとすることも好ましい。
本発明の非ヒト型組換えγGCSは、例えば、まず、前記表1のヒト型γGCSのコード配列(CDS)をクローニングし、次に、前記CDSに前記表1の配列位置のアルギニンを、アスパラギン又はグルタミンに置換する変異を導入して非ヒト型組換えγGCSのCDSからなるポリヌクレオチドを得て、そして、前記CDSを適当な発現ベクターに組み込み、適当な宿主に導入して発現させ、必要に応じて精製することで、製造することができる。前記表1に記載の各種生物のγGCSのコード配列(CDS)のクローニング及び前記置換変異導入は、当業者であれば、容易に行うことができる。下記表3に、前記表1に記載の各種生物のγGCSのCDSのデータバンク登録番号及び非ヒト型組換えγGCSの製造のために置換変異を導入すべき配列位置を示す。
(表3)
生物 登録番号 配列位置 配列番号
大腸菌 U00096 394-396 13
コレラ菌 AE004141 391-393 14
緑膿菌 NC 002516 400-402 15
サルモネラ菌 NC 003198 394-396 16
ブフネラ NC 004545 394-396 17
ヒト NM 001498 571-573 18
ラット NM 010295 571-573 19
マウス NM 008129 571-573 20
マイコプラズマ NC 002945 334-336 21
トリパノゾーマ・クルージ AF095637 552-555 22
前記本発明の非ヒト型組換えγGCSをコードする本発明のポリヌクレオチドは、例えば、上述したように、ヒト型γGCSのCDSからなるポリヌクレオチドを入手し、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアルギニン残基の部分に変異を導入することで製造することができる。CDSの増幅方法やクローニング方法、及び、部位特異的変異導入方法は、従来公知の方法を適用できる。本発明のポリヌクレオチドの具体例として、配列番号1のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号13:大腸菌γGCS遺伝子)において、第132番目のアルギニン残基をコードする第394番目〜第396番目の「cgt」の塩基配列を、「aac」「aat」「caa」又は「cag」に置換した塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。
本発明のヒト型組換えγGCSは、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基がアルギニン以外のアミノ酸残基である非ヒト型γGCSの前記アミノ酸残基をアルギニンにしたものであり、前記(iii)及び(iv)の組換えγGCSを含む。また、前記(iv)のヒト型組換えγGCSにおいて、欠失、置換もしくは付加されるアミノ酸残基数は、γ-グルタミルシステイン合成酵素活性が阻害されなければ、特に制限されないが、例えば、1〜20であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、さらに好ましくは、1〜2である。また、本発明の非ヒト型組換えγGCSは、精製の手順の簡略化・低廉化や、安定性の向上・可溶化等を目的として、酵素活性を阻害しない範囲で、各種のタンパク質もしくはペプチドタグと融合させてもよい。
本発明のヒト型組換えγGCSは、例えば、まず、前記表2の非ヒト型γGCSのコード配列(CDS)をクローニングし、次に、前記CDSに前記表2の配列位置のアスパラギン又はグルタミンを、アルギニンに置換する変異を導入してヒト型組換えγGCSのCDSからなるポリヌクレオチドを得て、そして、前記CDSを適当な発現ベクターに組み込み、適当な宿主に導入して発現させ、必要に応じて精製することで、製造することができる。前記表2に記載の各種生物のγGCSのコード配列(CDS)のクローニング及び前記置換変異導入は、当業者であれば、容易に行うことができる。下記表4に、前記表2の非ヒト型γGCSのCDSのデータバンク登録番号及びヒト型組換えγGCSの製造のために置換変異を導入する配列位置を示す。
(表4)
生物 登録番号 配列位置 配列番号
トリパノゾーマ・ブルース U56818 552-555 23
熱帯熱マラリア原虫 NC 004330 1417-1419 24
本発明のヒト型組換えγGCSをコードする本発明のポリヌクレオチドは、上述した本発明の非ヒト型γGCSをコードするポリヌクレオチドの製造方法と同様にして製造できる。
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、従来公知の発現ベクターや組換えベクターに組込むことで、本発明のベクターとすることができる。本発明のベクターは、例えば、本発明の非ヒト型組換えγGCSを製造するため、又は、インビボのスクリーニング方法に使用するための形質転換生物やその細胞の製造等に使用できる。したがって、本発明のベクターは、導入する宿主において本発明の非ヒト型組換えγGCSを発現可能な発現ベクターであることが好ましい。本発明の形質転換生物又はその細胞は、本発明のベクターにより形質転換された生物又はその細胞である。前記生物は、特に制限されず、例えば、微生物、動物又は植物等に由来するものを使用できる。また、これらの生物又はその細胞の製造は、特に制限されず、従来公知の遺伝子導入技術を適用して行うことができる。前記遺伝子導入方法としては、特に制限されず、例えば、ファージやウイルスを利用する方法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、細胞融合法、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム法等が挙げられる。本発明の形質転換生物又はその細胞は、例えば、本発明のスクリーニング方法において、薬剤候補化合物のγGCSへの結合の強さをインビボで評価する場合に使用できる。
本発明の結晶は、薬剤候補化合物の設計に使用される共結晶であって、配列番号1のアミノ酸配列からなる大腸菌γGCSと前記構造式(1)で表される化合物との共結晶であり、空間群が、P21である結晶である。
本発明の結晶の作製にあたっては、得られる結晶が、単結晶ではなく、双晶や多結晶構造であるものが多く、構造解析には適さないという技術的な問題があった。一般に、X線の回析現象を用いて構造解析を行うためには、単位格子で定義される分子の配列が全体に均一に並んだ結晶(単結晶)が必要となる。しかしながら、結晶の成長過程において、1つの単結晶の特定の成長面が新たな単結晶の成長開始点になり、2つ以上の単結晶が分離できない状態で見かけ上1つの結晶(双晶)となるツイニング(twining)が生じたり、また、単結晶同士が複数付着し合った多結晶構造が生じる場合がある。前記多結晶構造の結晶は、単結晶が分離できれば構造解析が可能となる場合があるが、結晶が小さかったり、物理的に損傷したりするため、一般的に構造解析には適していない。
通常、前記問題を解決する方法としては、例えば、界面活性剤、ジオキサン等の有機溶媒、もしくは、グリセロール等の糖類の添加を行ったり、又は、タンパク質の分子表面にある残基を改変方法が知られていた。しかしながら、本発明の結晶に関しては、前記界面活性剤や有機溶媒等は、ほとんど効果がなく、単結晶の製造が困難であった。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、本発明の結晶の単結晶の成長促進には、ジアミン化合物の添加が効果があることを見出し、本発明の結晶を得るに至った。
前記ジアミン化合物は、結晶化において、通常、タンパク質を安定化するためにキレート剤として利用されることがあるが、双晶や多結晶構造を抑制し、単結晶の成長を促進するためにジアミン化合物が利用できることは、本発明者らが初めて見出したことである。
本発明の結晶は、例えば、精製した大腸菌γGCSと下記構造式(8)で表される化合物とを、マグネシウム・ATP存在下でインキュベーションし、ジアミン化合物を添加したγGCS溶液を用いて、シッティングドロップ蒸気拡散法を行うことで結晶化することができる。前記大腸菌γGCSの精製方法は、特に制限されず、従来公知の方法で精製できる。
Figure 2005296005
前記γGCS溶液に添加するジアミン化合物としては、例えば、1,6-ジアミノヘキサンや1,8-ジアミノオクタンがあげられ、その添加濃度は、γGCS溶液の初期濃度として、例えば、0.3〜0.8%(W/V)であり、好ましくは、0.5〜0.7%(W/V)であり、より好ましくは、0.5%(W/V)である。また、前記ジアミン化合物の添加時におけるγGCS溶液のpHは、8.0〜9.5である。pHが9.5を越えると酵素が変性してしまい、また、pHが8.0未満では、結晶が生じない。前記pHは、好ましくは、8.0〜9.0であり、より好ましくは、8.0〜8.5である。
本発明のスクリーニング方法により薬剤候補化合物から選択された化合物は、人体に対する作用や副作用等に関する薬理学的実験を行い、薬学的に許容できるものである場合には、従来公知の方法で、寄生虫等の感染症に対する治療・予防薬とすることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに説明する。
(γGCSの結晶化)
γGCSの発現・精製は、以下とおりに行った。まず、大腸菌(JM109)の菌体培養後、超音波破砕法等により細胞膜を破壊して菌体粗抽出液を調製した。得られた前記菌体粗抽出液に硫酸アンモニウムを45−50%飽和となるように加えて硫安沈殿した後、遠心分離をした上清画分を用いて疎水カラムクロマトグラフィー、ATPアガロースアフィニティーカラムクロマトグラフィー、DEAE又はQAE陰イオン交換カラムクロマトグラフィーによる分離をこの順で行い、精製酵素標品を得た。
次に、精製γGCSと前記構造式(8)で表される化合物とを、マグネシウム・ATP存在下で、25℃で、その活性が完全に止まるまでインキュベーションした。この複合体を、シッティングドロップ蒸気拡散法により、15%(W/V) PEG 2000MMEと、250mM MgCl2を含む20mM Tris-HCl,pH7.5のバッファーに対して、20℃で結晶化した。なお、前記γGCSの溶液には、ツイニングを防止するため、0.5%(W/V)のジアミノオクタンを添加した。得られた結晶を、瞬間的に、25% PEG400を含む凍結防止溶液に浸した後、直接液体窒素中で、データコレクションまで保持した。
(データコレクション)
SPring−8ビームラインBL41XUのMAR CCD検出器を使用して、100Kで、結晶のX線回析データを収集した。強度データは、MOSFLMプログラムとCCP4プログラム(Collaborative Computational Project製)とを組み合せて、又は、商品名:CrystalClearソフトウェア(Rigaku/MSC, Inc.製)を使用して、処理等を行った。その結果を下記表3に示す。下記表3に示すとおり、分解能2.1Åという、従来の結晶よりも、より高分解能で立体構造解析データを得ることができる共結晶を得た。
(表3)
データコレクション統計値
Space group P21
Unit cell parameters a = 70.45 Å, b = 97.36 Å
c= 102.18 Å, β =109.63°
No. of monomers/asymmetric unit 2
Wavelength (Å) 1.0000
Resolution (Å) 48.8 - 2.10 (2.21-2.10)
Total No. of reflections 280,959
No. of unique reflections 73,644
Completeness (%) 97.2 (96.2)
Redundancy 3.8 (3.8)
I/σ 13.3 (3.2)
merge(=ΣhΣi|Ih,I-<Ih>|/ΣhΣi|Ih,i|) 0.080 (0.371)
(γGCSのマルチプルアライメント)
γGCSのシステイン結合部位のマルチプルアライメント(図2)は、以下のようにして行った。
(1)まず、比較的に近縁のγGCSについて通常のマルチプルアライメントを行った。
(2)次に、保存性が高く、判別容易なグルタミン酸結合部位、ヌクレオチド結合部位、及びMg結合部位を特定した。そして、その残りの部分の配列Aにシステイン結合部位が含まれることとした。
(3)実施例1で得た結晶構造の解析を行い、システイン結合部位は、40アミノ酸残基からなるN末端バリアブルアーム、59残基の中央バリアブルアーム、及び、10残基のスイッチループからなるという立体構造情報を得て、これをシステイン結合部位の基本構造とした。そして、前記配列Aにおいて、変異が大きな箇所は、前記バリアブルアームから離れた箇所であり、保存性が高い箇所は前記バリアブルアーム内であるとして前記配列Aを前記基本構造にあてはめた。
(4)その結果、前記配列Aから、40アミノ酸残基からなる領域(N末端バリアブルアームに相当)と73アミノ酸残基からなる領域(中央バリアブルアームとスイッチループに相当)を切り出し、順次アライメントをして、最もホモロジーが高い組み合せを選択することで、図2のアライメントを得た。
(非ヒト型組換えγGCSの精製)
非ヒト型γGCSとして、トリパノゾーマ・ブルース型の大腸菌γGCSのR132N変異体(R132N変異型γGCS)をコンストラクトし、宿主大腸菌(JM109)を形質転換し、R132N変異型γGCS産生株を作製した。前記R132N変異型γGCS産生株を培養して菌体を回収し、超音波破砕した後、超遠心分離した。その上清分画を用いて、DEAE−Toyopearl(東ソー株式会社製)によるイオン交換クロマトグラフィーとATPアガロースによるアフィニティーカラムクロマトグラフィーを行い、R132N変異型γGCSの精製酵素標品を得た。
(スルホキシイミン型阻害剤に対する非ヒト型組換えγGCSの感受性)
γGCSは、Mg2+存在下で、ATPを消費して、L−GluとL−Cysからγ−グルタミルシステインを合成する(図3参照)。この際に生成するADP量を測定することで、γGCSの活性を測定できる。また、前記ADP量は、ホスホエノールピルビン酸(PEP)、ピルビン酸キナーゼ(PK)、乳酸脱水素酵素(LDH)及びNADHを共役酵素法(coupled enzyme method) を適用して、NADHの消費量(NAD+の生成量)として測定できる。なお、NADHの波長340nmにおけるモル吸光係数は、ε=6220M-1・cm-1である。
上述のγGCS活性測定系を用いて、スルホキシイミン型阻害剤(基質遷移状態アナログ)を様々な濃度で添加した場合のR132N変異型γGCS及び野生型γGCSの活性を測定した。具体的には、スルホキシイミン型阻害剤を含む反応溶液(25mM L−Cys,15mM L−Glu,1mM ATP,10mM MgSO4,0.24mM NADH,1mM PEP,10unit PK,25unit LDH,0.1M KCl,0.1M Tris−HCl pH7.5)に3.0μg/mlの野生型γGCS又は120μg/mlのR132N変異型γGCSを50μl加えて反応を開始し、波長340nmにおける吸光度の経時変化を30分間測定した。なお、酵素1unitとは、37℃において、1μmolの基質を1分間に消費する酵素量を示す。また、スルホキシイミン型阻害剤として、下記式(9)のBSO、及び下記式(10)の阻害剤を使用した。その結果の図4及び表4に示す。
Figure 2005296005
Figure 2005296005
上記式(10)において、Rは、−CH2OH、−CH2CH3又は−CH2CH2CH3である。
(表4)
遷移状態 阻害定数Ki(μM) 速度定数kon(M -1 -1
アナログ 野生型 R132N 野生型 R132N
R=CH2OH 8.9 39 10 1.6
BSO 49 >1000 4.9 <0.001
R=Et 0.099 >1000 1400 <0.001
R=n−Pr 0.59 >1000 220 <0.001
図4は、スルホキシイミン型阻害剤として、上記式(9)のBSO及び上記式(10)のR=CH2OHを使用し、野生型γGCS及びR132N変異型γGCSのADP生成量を経時的に測定したグラフである。また、上記表4は、4種類のスルホキシイミン型阻害剤の野生型γGCS及びR132N変異型γGCSに対する速度定数konおよび阻害定数Kiを算出した結果を示す。ここで、阻害定数Kiは、前述のとおり、Ki=[E]・[I]/[EI*]のようにして算出した。
図4及び表4に示すとおり、R132N変異型γGCSは、従来から阻害剤として用いられてきたBSOや、疎水的な官能基(R=Et、n−Pr)を持つスルホキシイミン型阻害剤に対して、阻害定数Kiが1000μM以上と、非常に弱い感受性しか示さなかった。一方、極性のある官能基(R=CH2OH)を持つ阻害剤は、R132N変異型γGCSに対して、野生型γGCSに対するBSOの阻害よりも強い阻害を示した。また、極性のある官能基(R=CH2OH)を持つ阻害剤は、γGCSに対して、阻害の程度が経時的に大きくなる slow binding inhibition の阻害活性を示した(図4参照)。これらの結果は、R=CH2OHの水酸基とR132N変異型γGCSの132番目のアスパラギン(N)とが、水素結合を形成して酵素・阻害剤複合体を形成した後に、阻害剤がATPによってリン酸化されて、酵素の準不可逆的な失活が起きていることを示唆する。
そして、大腸菌のγGCSの132番目のアルギニンに相当するアミノ酸残基が、アスパラギンやグルタミンに置換された非ヒト型γGCSを特異的に選択して阻害するγGCSの阻害剤の分子設計は、L−システイン側鎖の認識部位を形成すると考えられる前記アスパラギンやグルタミンと水素結合が形成可能な官能基を含むように設計することが好ましいことが示唆された。
以上、説明したとおり、本発明は、例えば、トリパノゾーマ・ブルースや、熱帯熱マラリア原虫等の寄生虫のγGCSを含む非ヒト型γGCSに特異的な阻害剤の開発に有用であり、例えば、アフリカ眠り病や、熱帯熱マラリア等の寄生虫感染症の治療・予防薬及び治療・予防方法の分野で有用である。
図1Aは、大腸菌γGCS、Mg、ADP及び基質遷移状態アナログを含む複合体の3次元構造の一例を示し、図1Bは、大腸菌γGCSの2次元構造の一例を示す。 図2は、γGCSのL-システイン結合部位を構成するN末端バリアブルアーム及び中央バリアブルアームをマルチプルアライメントした結果の一例を示す。 図3は、グルタチオンの生合成系を説明する図である。 図4は、野生型及び変異型γGCSのスルホキシイミン型阻害剤に対する感受性を測定した結果の一例を示すグラフである。

Claims (15)

  1. γ−グルタミルシステイン合成酵素(γGCS)の阻害剤のスクリーニング方法であって、
    下記(A)のヒト型γGCSと、下記(B)の非ヒト型γGCSとを準備し、
    予め準備した薬剤候補化合物を、前記ヒト型及び非ヒト型γGCSのそれぞれと接触させて、前記化合物の前記両γGCSへの結合の強さをそれぞれ評価し、
    前記ヒト型γGCSよりも前記非ヒト型γGCSにより強く結合する前記薬剤候補化合物を選択する工程を含むことを特徴とするスクリーニング方法。
    (A)ヒト型γGCS:γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニンであるγGCS。
    (B)非ヒト型γGCS:γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって、配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニン以外のアミノ酸残基であるγGCS。
  2. スクリーニング対象の前記阻害剤は、トリパノゾーマ・ブルース(Trypanosoma brucei)のγGCSの阻害剤であり、前記非ヒト型γGCSは、前記第132番目に相当するアミノ酸残基がアスパラギンであるγGCSである請求項1記載の方法。
  3. スクリーニング対象の前記阻害剤は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のγGCSの阻害剤であり、前記非ヒト型γGCSは、前記第132番目に相当するアミノ酸残基がグルタミンであるγGCSである請求項1記載の方法。
  4. 前記薬剤候補化合物として、大腸菌γGCSと下記構造式(1)で表される化合物との共結晶の結晶構造解析データから設計される化合物を使用する請求項1から3のいずれかに記載のスクリーニング方法。
    Figure 2005296005
  5. 前記薬剤候補化合物として、下記一般式(2)の化学構造を有する化合物を用いる請求項1から3のいずれかに記載のスクリーニング方法。
    Figure 2005296005
    上記式(2)において、Xは、−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2SH、−CH2NH2、−CH2NHCH3、−CH2N(CH32、−CF3、−CH2Br、−CH2Cl、−CHCl2、−CN、−NC、−CH2CN、−CH2NC、−CH2CH2CH3、−CH2CH2OH、−CH2CH2SH、−CH2CH2Cl、−CH2CH2Br、−CH2CF3、−COOH、−CH2COOH、−COCH3、−COCH3、−PO3H、−CH2PO3H、−P(CH3)O2H、−SO3H、−SO2H、−NO2、−C≡CH、−CH=CH2、−CONH2、−CH2COCNH2、及び、−CH2CH2NH2からなる群から選択される置換基であり、Yは、−H、−OH、−COOH、−NH2、−COOCH3、−CONH2、−CN、−SO3H、及び、−NO2からなる群から選択される置換基である。
  6. 前記結合の強さの評価方法が、スローバインディングキネティクス(slow-binding kinetics)に基づくアッセイ法である請求項1から5のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  7. 非ヒト型組換えγGCSであって、γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニン以外のアミノ酸残基である非ヒト型組換えγGCS。
  8. 請求項7に記載の非ヒト型組換えγGCSであって、下記(i)又は(ii)に記載の非ヒト型組換えγGCS。
    (i) 大腸菌γGCSアミノ酸配列(配列番号1)の第132番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
    コレラ菌γGCSアミノ酸配列(配列番号2)の第131番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
    緑膿菌γGCSアミノ酸配列(配列番号3)の第134番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
    サルモネラ菌γGCSアミノ酸配列(配列番号4)の第132番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
    ブフネラγGCSアミノ酸配列(配列番号5)の第132番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
    ヒトγGCSアミノ酸配列(配列番号6)の第191番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
    ラットγGCSアミノ酸配列(配列番号7)の第191番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
    マウスγGCSアミノ酸配列(配列番号8)の第191番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、
    マイコプラズマγGCSアミノ酸配列(配列番号9)の第112番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列、及び
    トリパノゾーマ・グルージγGCSアミノ酸配列(配列番号10)の第185番目のアルギニンが、アスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる非ヒト型組換えγGCS。
    (ii) 前記(i)のアミノ酸配列におけるアスパラギン又はグルタミンに置換されたアミノ酸残基以外のアミノ酸残基において、1もしくは数個のアミノ酸残基が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、γ−グルタミルシステイン合成酵素活性を有する非ヒト型組換えγGCS。
  9. ヒト型組換えγGCSであって、γGCSのL-システイン結合部位に位置するアミノ酸残基であって配列番号1のアミノ酸配列とアライメントした場合に前記アミノ酸配列の第132番目に相当するアミノ酸残基が、アルギニンであるヒト型組換えγGCS。
  10. 請求項9に記載のヒト型組換えγGCSであって、下記(iii)又は(iv)に記載のアミノ酸配列からなるヒト型組換えγGCS。
    (iii) トリパノゾーマ・ブルースγGCS(配列番号11)の第185番目のアスパラギンがアルギニンに置換されたアミノ酸配列、又は、
    熱帯熱マラリア原虫γGCS(配列番号12)の第473番目のグルタミンが、アルギニンに置換されたアミノ酸配列からなるヒト型組換えγGCS。
    (iv) 前記(iii)のアミノ酸配列におけるアルギニンに置換されたアミノ酸残基以外のアミノ酸残基において、1もしくは数個のアミノ酸残基が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、γ−グルタミルシステイン合成酵素活性を有するヒト型組換えγGCS。
  11. 請求項8に記載の非ヒト型組換えγGCS又は請求項10に記載のヒト型組換えγGCSをコードするポリヌクレオチド。
  12. 請求項11に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  13. 請求項12に記載のベクターにより形質転換された生物又はその細胞。
  14. 請求項1から6のいずれかのスクリーニング方法において薬剤候補化合物の設計に使用される結晶であって、配列番号1のアミノ酸配列からなるγGCSと下記構造式で表される化合物との共結晶であり、空間群が、P21であることを特徴とする結晶。
    Figure 2005296005
  15. 寄生虫感染症の予防・治療薬の製造方法であって、薬剤候補化合物を準備する工程と、前記薬剤候化合物を請求項1から6のいずれかに記載のスクリーニング方法により非ヒト型γGCSを特異的に阻害する化合物を選択する工程と、選択された前記化合物を有効成分として有効量含む寄生虫感染症の予防・治療薬を製造する工程とを含む製造方法。
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