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JP2005290616A - 引き抜き成形用炭素繊維及び複合材料の製造方法 - Google Patents

引き抜き成形用炭素繊維及び複合材料の製造方法 Download PDF

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JP2005290616A
JP2005290616A JP2004107432A JP2004107432A JP2005290616A JP 2005290616 A JP2005290616 A JP 2005290616A JP 2004107432 A JP2004107432 A JP 2004107432A JP 2004107432 A JP2004107432 A JP 2004107432A JP 2005290616 A JP2005290616 A JP 2005290616A
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carbon fiber
resin
acid
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composite material
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JP2004107432A
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Yoshinobu Suzuki
慶宜 鈴木
Koichi Sakamoto
晃一 坂本
Isao Nishimura
功 西村
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Teijin Ltd
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Toho Tenax Co Ltd
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Abstract

【課題】 引き抜き成形を行っても優れた物性を示す複合材料が得られる炭素繊維及び前記炭素繊維を提供する。
【解決手段】 分子骨格の両末端に結合した炭素数2〜8の2個以上の不飽和有機基と、分子骨格中にアリーレン基とを有する化合物(A)を含有するサイズ剤が付着されてなる引き抜き成形用炭素繊維。不飽和有機基としては、下記式(1)で示される基が好ましい。
【化1】
Figure 2005290616

〔式中のR1は水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。〕
【選択図】 なし

Description

本発明は、引き抜き成形法により成形する場合に優れた物性を示す複合材料が得られる炭素繊維及び前記炭素繊維を使用する炭素繊維強化樹脂複合材料の製造方法に関する。
炭素繊維は他の繊維と比較し、強度や弾性率が高く、軽いという特徴を有するため、航空宇宙分野、スポーツ分野等、各種の分野で広く利用されている。炭素繊維は熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料の強化材として使用されている。マトリックス樹脂としては、成形性や取り扱い性の容易さから熱硬化性樹脂が用いられることが多い。
熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料の成形方法としては、繊維に予め樹脂を含浸させたシート状の中間基材であるプリプレグを用いて賦形する方法の他、引き抜き成形法、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)法、フィラメント・ワインディング(FW)法、シート・モールディング・コンパウンド(SMC)法、バルク・モールディング・コンパウンド(BMC)法、ハンドレイアップ法等がある。
そのなかでも、引き抜き成形法は同一断面の長尺製品の成形に向いた成形法である。
引き抜き成形法は低コストで成形できる利点を有している。その一方で、他の成形法に比較して成形時間が短く、樹脂の含浸時間や加熱と除熱のサイクルが短いため、強化繊維とマトリックス樹脂との間で歪みが起き易い。このため、他の成形法に比較して高い物性を発現する複合材料を得ることが困難である。
引き抜き成形法においては、マトリックス樹脂として、通常、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が用いられる。
ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の不飽和マトリックス樹脂は、炭素繊維との濡れ性が悪く、不飽和マトリックス樹脂の強化材として主にガラス繊維が用いられている。高い強度が要求される複合材料を製造する際には、炭素繊維強化樹脂に比べてガラス繊維の使用量を増やさなければならず、成形物の断面積が増加するうえ質量も増加するという欠点がある。
このため、炭素繊維と不飽和マトリックス樹脂との濡れ性を改善し、炭素繊維を強化材として使用する軽量で高強度の複合材料の開発が求められている。炭素繊維と不飽和マトリックス樹脂との濡れ性を改善する方法としては、ビニルエステル樹脂を炭素繊維に付着させる方法(特許文献1)、不飽和基を有するエステル化合物を炭素繊維に付着させる方法(特許文献2〜4)、末端不飽和基を有するエステル化合物を炭素繊維に付着させる方法(特許文献5)が開示されている。
特許文献2〜5に記載された不飽和化合物を用いた場合、炭素繊維表面に付着させた不飽和化合物と不飽和マトリックス樹脂の不飽和基同士が熱重合によって結合する。しかしながら、炭素繊維と炭素繊維表面に付着した不飽和化合物との結合は十分でなく、炭素繊維表面と不飽和マトリックス樹脂との界面が剥離しやすいため、引き抜き成形を行った場合優れた物性が発現しない場合がある。
特公昭62−18671号公報(請求項1) 特開昭56−167715号公報(第2頁、右上欄、第5〜12行) 特開昭63−50573号公報(第2頁、右上欄、第5〜12行) 特開平11−93078号公報(第3頁、段落番号(0018)〜(0020)) 特開昭63−105178号公報(請求項1)
本発明の目的は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂の強化材として炭素繊維を用い、引き抜き成形による成形を行う場合に優れた物性を示す複合材料が得られる炭素繊維及び前記炭素繊維を使用する炭素繊維強化樹脂複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、引き抜き成形により得られる炭素繊維強化ビニルエステル樹脂複合材料並びに炭素繊維強化不飽和ポリエステル樹脂複合材料の物性向上を達成するために種々検討しているうちに、所定の構造を有する化合物を含有するサイズ剤が付着されてなる炭素繊維を用いることにより炭素繊維とマトリックス樹脂間の親和性が向上し、曲げ強度等の物性に優れた炭素繊維強化複合材料が得られることを知得し本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 分子骨格の両末端に結合した炭素数2〜8の2個以上の不飽和有機基と、分子骨格中にアリーレン基とを有する化合物(A)を含有するサイズ剤が付着されてなる引き抜き成形用炭素繊維。
〔2〕 不飽和有機基が、下記式(1)
Figure 2005290616
〔式中のR1は水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。〕
で示される〔1〕に記載の引き抜き成形用炭素繊維。
〔3〕 R1が、H、CH3、又はCH2OHである〔2〕に記載の引き抜き成形用炭素繊維。
〔4〕 化合物(A)を30質量%以上含むサイズ剤が0.3〜5.0質量%付着されてなる〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の引き抜き成形用炭素繊維。
〔5〕 X線光電子分光法により測定される炭素繊維の表面酸素濃度比O1s/C1sが0.1〜0.3である〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の引き抜き成形用炭素繊維。
〔6〕 未硬化マトリックス樹脂を含浸させた請求項1乃至5の何れかに記載の引き抜き成形用炭素繊維を用いて、引き抜き成形により製造される複合材料の製造方法。
本発明の引き抜き成形用炭素繊維は、サイズ剤として分子の両末端に結合した不飽和有機基を2個以上と、アリーレン基とを有する化合物が付着されてなる。この炭素繊維は引き抜き成形用として一般的に用いられているエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂との親和性が良好で、引き抜き成形を行った場合に曲げ強度等の物性に優れた炭素繊維強化複合材料が得られる。
本発明の炭素繊維は、分子骨格の両末端に結合した炭素数2〜8の2個以上の不飽和有機基と、分子骨格中に1個以上のアリーレン基とを有する化合物(A)を含有するサイズ剤が付着されてなる。
化合物(A)が付着されてなる炭素繊維は、引き抜き成形に用いられるエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂との親和性が高いため、マトリックス樹脂が容易に含浸し、マトリックス樹脂の濡れ性が高く、界面での接着力が大きい。このため引き抜き成形により成形した炭素繊維強化樹脂複合材料であっても複合材料の曲げ強度等の物性が向上する。
化合物(A)の分子骨格に含まれるアリーレン基の数は、1〜6が好ましく、1〜2がより好ましい。アリーレン基は、例えば、フェニレン基(メタキシリレン基、パラキシリレン基、ジアミノフェニレン基、ジアミノキシリレン基等のフェニレン基の誘導体基を含む)、ジフェニレン基(ジフェニルメチル基、ジアミノジフェニルメチル基等のジフェニレン基の誘導体基を含む)、ナフタレン基等の芳香環を分子骨格として含む少なくとも2価の基である。
不飽和有機基は、ラジカル重合性の二重結合又は三重結合を含む不飽和部と残部とからなる。不飽和有機基としては、不飽和部が残部を介して分子骨格の末端に結合している基が好ましい。不飽和部の構造は、ラジカル重合性の二重結合又は三重結合を含んでいれば特に制限されないが、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−(ヒドロキシメチル)アクリロイル基が好ましい。残部の構造は特に制限がなく、例えばアルキレン基、フェニレン基、エステル結合、エーテル結合等又はこれらの組合せで構成される。
化合物(A)の不飽和有機基の炭素数は2〜8とするが、好ましくは3〜7である。
本発明においてより好ましい不飽和有機基は、下記一般式(1)
Figure 2005290616
〔式中のR1は水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。〕
で示される基である。
一般式(1)中、R1はH、CH3、又はCH2OHであることがより好ましい。
一般式(1)で示される不飽和有機基を有する化合物(A)としては、以下のものが例示できる。
(i) ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の芳香族ポリオールの単量体若しくは縮合体と、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和一塩基酸とのエステル化合物。
(ii) 下記一般式(2)
Figure 2005290616
〔式中のR2、R7は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立して水素、又はメチル基を表し、l、m、nは、それぞれ独立して1以上の整数を表す。〕
で示されるアルキレンオキシド変性ビスフェノール系(メタ)アクリル型ビニルエステル化合物。
一般式(2)において、lは1〜12が好ましく、mは1〜12が好ましく、nは1〜3が好ましい。
(iii) 下記一般式(3)
Figure 2005290616
〔式中のR8、R11は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し、R9、R10は、それぞれ独立して水素、又はメチル基を表し、pは1以上の整数を表す。〕
で示されるビスフェノール系(メタ)アクリル型ビニルエステル化合物。
一般式(3)において、pは1〜3が好ましい。
(iv) 4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン化合物とアクリル酸、メタクリル酸、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸等の不飽和一塩基酸との反応により得られるエステル化合物。
(v) N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルオルソトルイジン、N,N−ジグリシジルオルソトルイジン、N,N−ジグリシジルオルソトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−o−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−オルトキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−メタキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−パラキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N,O−トリグリシジルアミノフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等のジグリシジルアミノ化合物、又はテトラグリシジルアミノ化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸等の不飽和一塩基酸との反応により得られる下記式(4)
Figure 2005290616
〔式(1)中のR12は水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。〕
で示される基を有する化合物。
以上のエステル化合物のうちでも、ビスフェノール系(メタ)アクリル型ビニルエステル化合物、テトラグリシジルキシリレンジアミンとメタクリル酸を反応させて得られるテトラグリシジルキシリレンジアミン系(メタ)アクリル型ビニルエステル化合物が靭性に優れることから特に好ましい。
更に具体的には、(i)の芳香族ポリオールの単量体又は縮合体と、不飽和−塩基酸とのエステル化合物としては、例えば、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物のジメタクリレート(共栄社化学株式会社製ライトエステルBP−2EM)等が挙げられる。
(ii)のアルキレンオキシド変性ビスフェノール系(メタ)アクリル型ビニルエステル化合物としては、例えば、ビスフェノールAエチレンオキシド2モル付加物ジグリシジルエーテルアクリル酸2モル付加物(共栄社化学株式会社製エポキシエステル3002A)や、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物ジグリシジルエーテルメタクリル酸2モル付加物(共栄社化学株式会社製エポキシエステル3002M)等が挙げられる。
(iii)のビスフェノール系(メタ)アクリル型ビニルエステル化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸2モル付加物(共栄社化学株式会社製エポキシエステル3000A)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸2モル付加物(共栄社化学株式会社製エポキシエステル3000M)、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物ジグリシジルエーテルメタクリル酸2モル付加物(共栄社化学株式会社製エポキシエステル3002M)等が挙げられる。
本発明の炭素繊維に付着されたサイズ剤は、化合物(A)を30質量%以上含むことが好ましく、50〜90質量%含むことがより好ましい。
サイズ剤には、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂やその変性物を補助成分として使用することが可能である。これらの樹脂又はその変性物は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
また、炭素繊維の取扱性や、耐擦過性、耐毛羽性、含浸性を向上させるため、分散剤、界面活性剤等の補助成分を添加しても良い。
これらの補助成分の含有量は、通常サイズ剤全質量の70質量%以下である。
炭素繊維に付着させるサイズ剤の量は、炭素繊維全質量の0.3〜5.0質量%であることが好ましい。サイズ剤の付着量が0.3質量%未満の場合は、炭素繊維がマトリックス樹脂との接着性を得られない外、炭素繊維の収束性も劣る傾向がある。一方、サイズ剤の付着量が5.0質量%を超える場合は、マトリックス樹脂が炭素繊維ストランド中に含浸するのを妨げる傾向がある。
本発明の炭素繊維は、通常は炭素繊維フィラメントを束ねた炭素繊維ストランドとして取り扱われることが多く、そのフィラメント数は特に制限はないが、樹脂の含浸の容易さからは1束当たり1000〜50000本が好ましい。
前記炭素繊維ストランドを構成する炭素繊維は、原料としては特に限定されるものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維等が例示できる。これらの炭素繊維のうち、取扱性能、製造工程通過性に適したPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維が好ましい。ここで、PAN系炭素繊維は、アクリロニトリル構造単位を主成分として、イタコン酸、アクリル酸、アクリルエステル等のビニル単量体単位を10モル%以内で含有する共重合体を常法に従い、酸化安定化後、炭素化して炭素繊維化したものである。
また、ピッチ系炭素繊維は、タールやピッチを常法に従い、光学的性質を整え、酸化不融化後、炭素化して炭素繊維化したものである。
本発明の炭素繊維ストランドを構成する炭素繊維は、マトリックス樹脂との接着強度を高めるために、X線光電子分光法により測定される表面酸素濃度比O1s/C1sが0.1〜0.3であることが好ましい。
炭素繊維の表面酸素濃度比O1s/C1sを上記範囲にするためには、炭素繊維の製造工程において、炭素化処理終了後、表面処理を施すことが好ましい。
かかる表面処理は、液相処理、気相処理などによる表面処理を挙げることができる。本発明においては、生産性、処理の均一性、安定性等の観点から、液相電解表面処理が好ましい。
この場合、十分に洗浄して電解質を除去することが好ましい。
炭素繊維の表面処理を行う程度を管理するための指標としては、X線光電子分光法(XPS)により測定される炭素繊維の表面酸素濃度比O1s/C1sが好ましい。
1s/C1sは一例として次の方法によって求めることができる。予めサイズ剤を除去した炭素繊維を10-6Paに減圧した測定室に入れ、日本電子株式会社製X線光電子分光器ESCA JPS−9000MXにより、Mgを対極として電子線加速電圧10kV、電流10mAの条件で発生させたX線を照射し、光電子の脱出角度を90°とした場合に炭素原子、酸素原子より発生する光電子スペクトルを測定し、その面積比を算出する。
発生する光電子の割合は各元素により異なり、この日本電子株式会社製X線光電子分光器ESCA JPS−9000MXの場合の装置定数を含めた換算係数は2.69である。
表面処理を施された炭素繊維は、前述したサイズ剤を施す。
サイズ剤の付与は、スプレー法、液浸法、転写法等、既知の方法を採択し得る。汎用性、効率性、付与の均一性に優れることから、液浸法が特に好ましい。
炭素繊維ストランドをサイズ剤液に浸漬する際、サイズ剤液中に設けられた液没ローラー又は液浸ローラーを介して、炭素繊維ストランドの開繊と絞りを繰り返し、炭素繊維ストランドの内部までサイズ剤を含浸させることが好ましい。
サイズ剤付与処理は、アセトン等の溶剤にサイズ剤となる化合物を溶解させた溶液中に炭素繊維を浸漬する溶剤法と、乳化剤等を用い、水系エマルション中に炭素繊維を浸漬するエマルション法とがある。人体の安全性及び自然環境の汚染を防止する観点からエマルション法が好ましい。
化合物(A)以外の成分を補助成分として使用する場合には、予めサイズ剤となる化合物(A)に添加しても良く、又は別途付与しても良い。具体的には、液浸法によるサイズ剤の付与の場合は、サイズ剤を含むサイジング浴に上記補助成分を添加しても良く、又は別の浴で付与しても良い。
サイズ剤付与処理後、炭素繊維ストランドは通常の乾燥工程により、サイズ剤付与時の分散媒であった水の乾燥あるいは溶媒である溶剤の乾燥を行う。乾燥工程は乾燥炉を通過させる方法、加熱したローラーに接触させる方法等、既知の方法が採択し得る。乾燥温度は特に規定されるものではないが、汎用的な水系エマルションの場合は通常80〜200℃に設定される。
また、本発明においては、乾燥工程の後ならば、200℃を超える熱処理工程を経ることも可能である。
炭素繊維のストランド引張り強さは、4000MPa以上が好ましく、4500MPa以上がより好ましい。ストランド引張り強さは、プリカーサーと呼ばれる前駆体繊維紡糸工程、耐炎化(不融化)工程、炭素化工程において、延伸(収縮)倍率、処理温度、処理時間等を調整することにより4000MPa以上とすることができる。
本発明の炭素繊維は、樹脂の強化材として好適であり、特に引き抜き成形により製造した複合材料の物性を高めるものである。複合材料に用いるマトリックス樹脂は特に制限されるものではないが、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等のマトリックス樹脂を用いた場合には本発明の効果がより発揮でき好ましい。
本発明の炭素繊維を用いて引き抜き成形により複合材料を得るには、未硬化マトリックス樹脂を含浸させた本発明の炭素繊維から余分な樹脂を搾り落とした後、加熱してマトリックス樹脂を硬化させることにより製造できる。なお、引き抜き成形は公知の方法を使用することができる。
詳しくは、プレフォームプレートで余分な樹脂を搾ってからヒーターを具備したダイスで樹脂組成物を硬化させる方法、ヒーターを具備したダイスに直接樹脂組成物を導入し、余分な樹脂を搾りながら硬化させる方法、ヒーターを具備しないプレフォームプレートまたはダイスで樹脂を搾ってから、硬化炉を通して樹脂組成物を硬化させる方法等がある。また、硬化後の成形物を更に硬化炉で加熱することにより、生産速度を向上させる方法もある。
マトリックス樹脂は、硬化剤、硬化促進剤、離型剤等の添加剤を必要に応じて適宜添加した組成物とすることが可能である。未硬化マトリックス樹脂組成物の粘度は通常の引抜成形の場合と同様に800〜3000cps(25℃)程度が好ましい。
複合材料における本発明の炭素繊維の含有量としては、複合材料全質量中30〜80質量%とすることが好ましい。
複合材料に用いるエポキシ樹脂としては、公知のものが使用できるが、例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、エポキシフェノールノボラック、エポキシクレゾールノボラック、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、p−アミノフェノール樹脂のトリグリシジルエーテル及びN,N,N' ,N' −テトラグリシジル−4,4’−メチレンビスベンゼンアミン樹脂等を挙げることができる。好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、エポキシフェノールノボラック、エポキシクレゾールノボラック、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。
エポキシ樹脂硬化剤としては、イミダゾール類、アミン類、酸無水物類、ポリフェノール類、潜在性硬化剤等が挙げられる。中でも中温から高温における硬化性が優れ、かつ硬化剤添加後の樹脂ライフが優れるイミダゾール類が好ましい。
イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール等が挙げられる。
アミン類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン等の脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、メタキシリレンジアミン等の芳香族ポリアミンが挙げられる。
酸無水物類としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。
ポリフェノール類としては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ポリビニルフェノール等が挙げられる。
潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等の塩基性活性水素化合物、三フッ化ホウ素アミン塩等のルイス酸塩、ブレンステッド酸塩、アミンイミド等が挙げられる。
エポキシ樹脂硬化剤の硬化促進剤としては、例えば酸無水物系硬化剤に対する三級アミン類、アミン系硬化剤に対するサリチル酸やジシアンジアミド等が挙げられる。
ビニルエステル樹脂としては、不飽和ポリカルボン酸またはその無水物とエポキシ樹脂との反応生成物が挙げられる。酸と無水物の例として、アクリル(メタクリル)酸または無水物、α-フェニルアクリル酸、α-クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはフマル酸のモノ-メチルおよびモノ-エチルエステル、ビニル酢酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂は、その骨格部分がエピクロロヒドリンの様な多価ハロヒドリンとフェノールまたは多価フェノールとの反応生成物であることが好ましい。フェノールまたは多価フェノールには、例えばレゾルシノール、テトラフェノールエタンおよびビスフェノール−A、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルオキシド等の種々のビスフェノールが含まれる。
ビニルエステル樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂を併用することもできる。その場合は、エポキシ樹脂用硬化剤を適宜併用する。
不飽和ポリエステル樹脂としては、多塩基有機酸と多価アルコールとのエステルが挙げられる。この場合、酸またはアルコールのいずれが不飽和結合を有していてもよいし、その両者が不飽和結合を有していてもよい。汎用的な不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールとエチレン性不飽和ポリカルボン酸とのエステル化により製造される樹脂である。エチレン性不飽和ポリカルボン酸の具体例として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ジヒドロムコン酸、これらの酸および酸無水物のハロ又はアルキル誘導体が挙げられる。多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−エチレンブタン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ジエチレンプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルブタン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルブタン−1,3−ジオール、3−メチルペンタン−1,4−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、1,1,1−トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、水素化ビスフェノール−Aおよびビスフェノール−Aのエチレンまたはプロピレンオキシドの反応生成物等の飽和多価アルコールが挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、飽和ポリカルボン酸または無水物と不飽和多価アルコールとのエステル化からも誘導できる。飽和ポリカルボン酸の例として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヒドロキシコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,3−ヒエキサヒドロフタル酸、1,4−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸およびトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
飽和ポリカルボン酸との反応に適した不飽和多価アルコールとしては、上記飽和アルコールに不飽和結合を導入した類似体が挙げられる(例えば、2−ブテン−1,4−ジオール)。
ビニルエステル樹脂並びに不飽和ポリエステル樹脂は、通常そのままでは粘度が高く、強化材である炭素繊維等への含浸不良が起こりやすくなる。スチレン等のラジカル重合性モノマーを添加することによりビニルエステル樹脂並びに不飽和ポリエステル樹脂は希釈され、粘度が低くなるので、好適に用いることができる。
ラジカル重合性モノマーとしてはスチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のビニルモノマー及びエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。
ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂の硬化剤としては、有機過酸化物を使用できる。有機過酸化物としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシロキサン、ラウロイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート等を挙げられる。また、これらの樹脂の硬化剤として、メチルエチルケトンペルオキシド等のケトンペルオキシドとコバルト塩、クメンヒドロペルオキシドとマンガン塩、ベンゾイルペルオキシドとジメチルアニリン等の酸化還元系硬化剤も使用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例及び比較例の条件により炭素繊維強化樹脂複合材料を作製した。炭素繊維ストランドおよび樹脂、それらから得られる炭素繊維強化樹脂複合材料の諸物性値を、以下の方法により測定した。
<炭素繊維の線密度>
炭素繊維の線密度はJIS R 3911に準拠して測定した。
サイズ剤を付与する前の炭素繊維ストランド1mを切り出し、秤量瓶に入れた。秤量瓶の蓋を開けたまま、105℃の熱風循環式乾燥機で90分間乾燥させた。デシケーター中で放冷し、室温まで下がったところで秤量瓶に蓋をして、電子天秤を用いて0.1mgまで秤量した(mt(g))。炭素繊維の線密度(Tt(Tex))を下式(5)より算出した。
t=1000×(mt−m0) (5)
0:秤量瓶の質量(g)
<炭素繊維のサイズ剤付着量、及び炭素繊維体積含有率>
以下のように硫酸分解法により測定した(炭素繊維体積含有率はJIS K 7075に準拠)。
試験片(炭素繊維のサイズ剤付着量測定用としては1.6g、炭素繊維体積含有率測定用としては0.5g)を切り出し、乾燥質量(Wp(g))を測定後、濃硫酸30cm3を加え、120分間加熱沸騰させた。次いで5分間後、過酸化水素水を滴下し、収束剤或いは樹脂の分解によって生じた色が消え透明になるまで酸化反応を続けた。更に過酸化水素水2cm3を加え、10分間加熱した後、放冷した。酸化反応後の液をガラスフィルタに通して炭素繊維をろ別し純水にて洗浄後、ガラスフィルタと共に炭素繊維を乾燥させ、サイズ剤或いは樹脂を除去した炭素繊維の質量(Wf(g))を測定した。サイズ剤付着量(Ws(%))及び炭素繊維体積含有率(Vf(%))を下式(6)、(7)より算出した。
s=[(Wp−Wf)/Wp]×100 (6)
f=[(Wf/ρf)÷(Wp/ρp)]×100 (7)
ρp:炭素繊維強化樹脂複合材料の密度(g/cm3
ρf:炭素繊維の密度(g/cm3
<複合材料の曲げ強度>
複合材料の曲げ強度はJIS K 6913に準拠して測定した。
成形物を長さ70mmに切断し、試験片の直径をマイクロメーターで測定した(Dp(mm))。支点間距離を50mm、クロスヘッドスピードを3.0mm/分として、万能試験機で試験片の破壊荷重(P(N))を測定した。複合材料の曲げ強さ(σf(MPa))を下式(8)より算出した。
σf=400×P×/(π×Dp 3) (8)
π:円周率
<濡れ性>
成形した試験片をJIS K 6913に準拠した方法により破壊し、破断面を走査型電子顕微鏡で観察した。炭素繊維表面に樹脂が多く残っている状態を○、炭素繊維表面に樹脂がやや残っているが炭素繊維の素抜けが見られる状態を△、炭素繊維表面に樹脂が殆ど残っておらずほぼ素抜けている状態を×とした。
実施例1
PAN系炭素繊維(東邦テナックス(株)製ベスファイト、引張り強度4000MPa、引張り弾性率240GPa、線密度800Tex)を、サイズ剤としてエチレン性不飽和カルボン酸エステル化合物(共栄社化学(株)製エポキシエステル3000M)を溶解したアセトン溶液に浸漬した後、乾燥によりアセトンを除去して炭素繊維Iを得た。
実施例2
サイズ剤としてエチレン性不飽和カルボン酸エステル化合物(m−キシリレンジアミンとグリシジルメタクリレートのモル比1:4の反応生成物)を使用した以外は実施例1と同様にして炭素繊維IIを得た。
比較例1
サイズ剤としてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート828)を使用した以外は実施例1と同様にして炭素繊維IIIを得た。
比較例2
サイズ剤としてウレタンアクリレート(共栄社化学(株)製UA−101H)を使用した以外は実施例1と同様にして炭素繊維IVを得た。
実施例1、2及び比較例1、2においてサイズ剤として使用した化合物の化学式は以下に示す通りである。
Figure 2005290616
Figure 2005290616
Figure 2005290616
Figure 2005290616
実施例1、2及び比較例1、2で得た炭素繊維I〜IVを使用して、それぞれの炭素繊維と樹脂A〜Cを使用して以下の手順により引き抜き成形を行った。
(樹脂A) エポキシ樹脂(旭チバ(株)製アラルダイトAER250)100質量部、希釈剤(エイ・シー・アイ・ジャパンリミテッド社製ヘロキシWC−67)5質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成(株)製キュアゾール2E4MZ)5質量部、2−メチルイミダゾール(四国化成(株)社製キュアゾール2MZ)1質量部からなる混合物を樹脂浴に投入した。炭素繊維のトータル線密度が28800Texとなるように解舒装置に炭素繊維が巻き取られた紙管を掛け、ガイドを介して前記樹脂浴を通し、ダイスに導いた。ダイスを通過した樹脂組成物を含浸させた炭素繊維を2段階の温度ゾーンを設定可能な加熱装置を具備した内径6mm、長さ100cmの金型に導き硬化させた(入口温度90℃、硬化温度150℃)。硬化させた組成物を引き取り装置で50cm/分で連続的に引き取ることで炭素繊維強化樹脂複合材料を得た。
(樹脂B) ビニルエステル樹脂(昭和高分子(株)製リポキシR−806)100質量部、硬化剤としてペルオキシケタール(日本油脂(株)製パーヘキサ−HC)1.0質量部、ペルオキシジカーボネート(日本油脂(株)製パーロイル−TCP)0.3質量部及び離型剤として(巴工業(株)製モールドウィズINT−PS125)1.0部からなる樹脂組成物を含んだ含浸槽を経由して、内径6mm、長さ1m、型温前半90℃、後半150℃の金型に0.5m/分の速度で通し、炭素繊維含有率60容積%の丸棒の引抜成形物を得た。
(樹脂C) イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ(株)製ネオポール6150)100質量部、硬化剤としてペルオキシケタール(日本油脂(株)製パーヘキサ−HC)1.0質量部、ペルオキシジカーボネート(日本油脂(株)製パーロイル−TCP)0.3質量部及び離型剤として(巴工業(株)製モールドウィズINT−PS125)1.0部からなる樹脂組成物を含んだ含浸槽を経由して、内径6mm、長さ1m、型温前半90℃、後半150℃の金型に1.0m/分の速度で通し、炭素繊維含有率60容積%の丸棒の引抜成形物を得た。
Figure 2005290616

Claims (6)

  1. 分子骨格の両末端に結合した炭素数2〜8の2個以上の不飽和有機基と、分子骨格中にアリーレン基とを有する化合物(A)を含有するサイズ剤が付着されてなる引き抜き成形用炭素繊維。
  2. 不飽和有機基が、下記式(1)
    Figure 2005290616
    〔式中のR1は水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。〕
    で示される請求項1に記載の引き抜き成形用炭素繊維。
  3. 1が、H、CH3、又はCH2OHである請求項2に記載の引き抜き成形用炭素繊維。
  4. 化合物(A)を30質量%以上含むサイズ剤が0.3〜5.0質量%付着されてなる請求項1乃至3の何れかに記載の引き抜き成形用炭素繊維。
  5. X線光電子分光法により測定される炭素繊維の表面酸素濃度比O1s/C1sが0.1〜0.3である請求項1乃至4の何れかに記載の引き抜き成形用炭素繊維。
  6. 未硬化マトリックス樹脂を含浸させた請求項1乃至5の何れかに記載の引き抜き成形用炭素繊維を用いて、引き抜き成形により製造される複合材料の製造方法。
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