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JP2005273908A - 動圧軸受装置への潤滑液充填方法、充填装置、及び、注液方法 - Google Patents

動圧軸受装置への潤滑液充填方法、充填装置、及び、注液方法 Download PDF

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JP2005273908A JP2005046254A JP2005046254A JP2005273908A JP 2005273908 A JP2005273908 A JP 2005273908A JP 2005046254 A JP2005046254 A JP 2005046254A JP 2005046254 A JP2005046254 A JP 2005046254A JP 2005273908 A JP2005273908 A JP 2005273908A
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Isao Misu
勲 見須
Masaaki Uchiyama
雅昭 内山
Tatsuya Yoshida
達也 吉田
Takeshi Ichinose
威 一ノ瀬
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Abstract

【課題】 動圧軸受装置の軸受間隙に、ノズルを用いて潤滑液を注入する際に、適正量を正確に注油する事が出来て、しかも、飛沫などで軸受ユニット表面を汚染する事のない、潤滑液充填方法を提供する。
【解決手段】潤滑液中に溶け込んでいる気体の濃度を脱気処理によって低下させ、その上で、減圧雰囲気に置かれている軸受間隙に適正量を注油する。この際、脱気処理時の圧力よりも、圧力の高い条件で注油する。注油後、復圧して、潤滑液を軸受間隙の奥にまで押し込む。
【選択図】図1

Description

本発明は、減圧環境下において、機械装置等の特定の部位に、所定量の液体を注ぐ注液方法に関する。特に、ハードディスク駆動装置等の信号記録再生装置に使用される動圧軸受装置への、潤滑液の充填方法に関する。更には、この充填作業の為に用いられる充填装置に関する。
(1)動圧軸受装置の構造について
ハードディスク駆動装置等の信号記録再生装置において使用されるスピンドルモータには、従来から種々の流体動圧軸受が利用されている。流体動圧軸受とは、シャフトとスリーブの間に潤滑液等の潤滑流体を介在させ、その潤滑流体に生ずる流体圧力を支持力とする軸受である。
このような、動圧軸受装置を使用するスピンドルモータの一例を図10A及び図10Bに示す。
図10Aのスピンドルモータが搭載する動圧軸受装置5は、潤滑液のテーパシール部53が、一ヶ所にしか形成されていない。シャフト51は、スリーブ52挿入されており、ラジアル動圧軸受55,55によって、半径方向の負荷が支持される。シャフト51の先端にはスラストプレート56が取り付けられ、そこに形成されたスラスト動圧軸受58,58によって、軸方向荷重が支持される。スリーブ52の底部は、スラストブッシュ57によって閉塞されており、潤滑液界面53からシャフト先端に至る軸受間隙は、潤滑液によって途切れる箇所無く満たされている。軸受間隙が外気に繋がる開放部は上側にしかなく、そこにテーパシール部53が形成されている。
このような構造は、潤滑液が外気と接する面積が小さく、潤滑液への気泡の混入や潤滑液の気化が起きにくく、信頼性が高い。しかし、潤滑液を注入する為には、予め軸受間隙の空気を排気しておく必要があり、そのための設備が必要になる。
図10Bのスピンドルモータが搭載する動圧軸受装置5’は、軸受間隙の開放部が上下に二ヶ所あり、テーパシール部53,53も上下に二ヶ所されている。このような構造は、潤滑液の蒸発はやや早くなるものの、中央の固定シャフトを、例えば、ハードディスの筐体を支える支柱として利用できるため、有用である。
潤滑液注入に際しては、例えば、上側のテーパシール部に潤滑液を注入してやれば、毛細管現象によって、順次軸受間隙を下方に向って拡がってゆき、空気は下側から排出される。しかし、軸受間隙の形状は複雑であり、僅かの隙間の差によって潤滑液の浸透に差が生じて不均等になる。このため、この構造においても、予め軸受間隙の空気を排出しておく必要がある。
結局、動圧軸受装置は、特別に間隙内部の空気が排出されやすい構造でない限り、潤滑液の充填に際しては、軸受間隙の排気が必要になる。
(2)公知の充填方法とその問題点
上記の5若しくは5’のような動圧軸受装置に対して、軸受間隙を満たす空気を排出した後潤滑液を注入する方法としては、例えば、次の様な方法がある。
(2−1)第一の方法
一つは、真空容器の中に軸受装置と、潤滑液を満たした容器を置いて、容器内部を排気した状態で、軸受間隙の開放部を潤滑液に浸すか、或は、潤滑液の中に沈めた後、真空容器内に空気を導入して復圧する方法である。この方法は、例えば特許文献1で開示されている。復圧で加わる大気圧によって、潤滑液は軸受間隙の奥にまで確実に押し込まれる。
この方法は、比較的簡便な設備で実現できるが、軸受装置の外側に潤滑液が付着する。特にハードディスクドライブに搭載する場合には、軸受装置外側に潤滑液が付着していると、それがディスクを汚染する原因となる。このため、付着した潤滑液を丁寧に拭い去る工程が必要になり、生産性を大きく損なう。シャフト頭部にディスククランパを固定するためのネジ穴を有している場合は、そのネジ穴とネジ溝に潤滑液が侵入する。そのような狭い部分に侵入した潤滑液を除去する事は、極めて困難である。
(2−2)第二の方法
他の方法として、軸受装置を真空容器の中において排気した状態で、軸受間隙開放部もしくはテーパシール部に、潤滑液を細い注射針などの円筒細管を用いて滴下し、その後復圧する方法である。この方法は、特許文献2のFig.1、及び、本文の関連する箇所の記載により、開示されている。
この方法を利用すれば、軸受装置外側に付着した潤滑液を拭い去る工程を、省略できるのではないかと期待されるが、現実には必ずしも上手く働かない。針先から潤滑液を吐出させる際に、しばしば針先で潤滑液が発泡して破裂し、飛沫で軸受装置の外側が汚染されるからである。
発泡をなくす為には、予め潤滑液に溶け込んでいる空気を、充分に除去して置けば良いようにも思われる。しかし、実際には、脱気処理を施しても、発泡は起こり、軸受装置外側の汚染は、なくす事が難しい。
(3)分注器の利用に付いて
少量の液体を狙った場所に所定量注液するためには、従来から分注器が用いられてきた。分注器は、最も簡単には、内径の小さなノズルと、そのノズルに液体を送り込む機構とからなっている。工業的に用いられる分注器は、ノズル部分、液体に送出圧を付与する機構、液体の流出を制御する為のバルブ機構、及び、一連の動作を電気的に制御する機構、等から構成されている。このような分注器の例が、特許文献3に開示されている。
しかし、このような分注器を用いて、真空下に置いた部品、若しくは機械装置に対して、正確に所定量の液体を注ぐことは、必ずしも容易ではない。大気圧下で作業する場合と異なり、減圧環境下においては、バルブを閉じて注液を止めようとしても、直ぐには止まらないからである。大気圧下では、バルブを閉じれば、大気圧によって押し留められ、それ以上液体が流出しないのに対して、減圧環境下ではその力が弱まり、液体は慣性で流れ出つづけてしまう。また、減圧下では、液体の流出速度も早まり、注液する対象物に対して、勢いよく当たる結果、飛沫となって飛び散り、注液量が不足したり、液体を付着させたく無い部分にまで付着してしまったりする、というトラブルが発生する。
こういったトラブルを無くすためには、充分にゆっくりと潤滑液を注入する必要が生ずる。この要請は、一回の注入に必要な時間を延ばし、生産性を損なう。
この様に、従来は、所定量の液体を正確に注液できて、周囲を汚染せず、しかも、生産性が高い、注液方法は知られていなかった。
特開2002−213452号 米国特許第5778948号明細書 特開2001−165153号
本発明は、減圧環境下において、機械装置等の特定の部位に、所定量の液体を注ぐ注液方法を提供することにある。特に、ハードディスク駆動装置等の信号記録再生装置に使用される動圧軸受装置への、潤滑液の充填方法を提供する事にある。更には、この充填作業の為に用いられる充填装置を提供することにある。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項1の発明は、回転部と、回転部を相対的に回転自在に支持する固定部と、回転部と固定部との間に保持された軸受間隙と、軸受間隙の一端に形成され回転部を取り囲み外気に面する少なくとも一つの開放部と、を有する動圧軸受装置に、ノズルを用いて開放部に向けて潤滑液を送出することで、軸受間隙に潤滑液を充填する方法であって、潤滑液に溶存する気体の濃度を、所定の第一の圧力の気体雰囲気に対して略平衡する濃度である、第一の濃度にまで減少させる脱気工程と、開放部の雰囲気を、第一の圧力よりも高く大気圧よりも低い第二の圧力とする調圧工程と、調圧工程によって実現された雰囲気下で、ノズルを用いて開放部に、脱気工程を経た潤滑液を注ぐ注油工程と、からなる、動圧軸受装置への潤滑液充填方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項2の発明は、回転部と、回転部を相対的に回転自在に支持する固定部と、回転部と固定部との間に保持された軸受間隙と、軸受間隙の一端に形成され回転部を取り囲み外気に面する少なくとも一つの開放部と、を有する動圧軸受装置に、ノズルを用いて開放部に向けて潤滑液を送出することで、軸受間隙に潤滑液を充填する方法であって、開放部の雰囲気を、第二の圧力とする調圧工程と、調圧工程によって実現された雰囲気下で、ノズルを用いて開放部に、溶存気体濃度が第二の圧力と平衡する濃度よりも低い濃度である、第一の濃度の潤滑液を注ぐ注油工程と、からなる、動圧軸受装置への潤滑液充填方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項3の発明では、脱気工程が、潤滑液を第一の圧力の雰囲気に曝す工程である、動圧軸受装置への潤滑液充填方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項4の発明は、回転部と、回転部を相対的に回転自在に支持する固定部と、回転部と固定部との間に保持された軸受間隙と、軸受間隙の一端に形成され回転部を取り囲み外気に面する少なくとも一つの開放部と、を有する動圧軸受装置に、ノズルを用いて開放部に向けて潤滑液を送出することで、軸受間隙に潤滑液を充填する方法であって、外部に対して気密性を保つ内部空間を有する潤滑液槽の内部空間に、内部空間の容量よりも小さな容積の潤滑液を貯留させる、貯留工程と、潤滑液槽内部に残された空洞部分を排気して第一の圧力とし、第一の圧力雰囲気に潤滑液を曝す、脱気工程と、開放部の雰囲気を、第一の圧力よりも高く大気圧よりも低い第二の圧力とする調圧工程と、調圧工程によって実現された雰囲気下で、空洞部分を第二の圧力よりも高い圧力に昇圧して潤滑液に送出圧を付与し、潤滑液槽内部の潤滑液が貯留されている領域に連通するノズルを通じて、開放部に潤滑液を注ぐ注油工程と、からなる、動圧軸受装置への潤滑液充填方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項5の発明では、動圧軸受装置は開放部を唯一つのみ有し、かつ、軸受間隙は開放部を通じてのみ外気と連通する、動圧軸受装置への潤滑液充填方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項6の発明では、注油工程は、1回、若しくは、所定の間隔を空けて複数回実行されるものであり、1回、若しくは、複数回の注油工程によってノズルから注がれる潤滑液の総量は、軸受装置が保持すべき適正量に略等しい、動圧軸受装置への潤滑液充填方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項7の発明では、注油工程を少なくとも1回実施した後に、開放部の雰囲気を、第二の圧力よりも高い、第三の圧力に昇圧する復圧工程を有する、動圧軸受装置への潤滑液充填方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項8の発明では、潤滑液を充填した動圧軸受装置について、軸受間隙開放部の雰囲気を、成層圏下層における大気圧より大きな圧力環境下に置き、その状態で、充填された潤滑液界面の位置を測定してこれを第一の界面高さとし、次に、開放部の雰囲気を、成層圏下層の大気圧と同等あるいはそれ以下であり、かつ第二の圧力よりもおおきな、第四の圧力となる様に調節し、その状態で、充填された潤滑液界面の位置を測定してこれを第二の界面高さとし、第二の界面高さと第一の界面高さの差が所定の値以上になった場合に、その動圧軸受装置を不良品として排除し、所定の値未満であった場合には良品とする、動圧軸受装置の検査方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項9の発明は、潤滑液と、一つ或はそれ以上の真空排気装置と、一つ或はそれ以上の気体導入源と、外部に対して気密性を保つ内部空間を有し、内部空間の容量よりも小さな容積の潤滑液が貯留され、真空排気装置及び気体導入源が潤滑液によって満たされていない空洞部分に接続する、潤滑液槽と、内部空間の内、潤滑液に満たされた部分に、一端側において接続する、配管と、配管の他端に接続する、バルブ機構と、一端側においてバルブ機構に接続し、他端側が尖端形状を有する、ノズルと、少なくともノズル先端部、及び、動圧軸受装置の少なくとも軸受間隙開放部を、収容可能で、真空排気装置及び気体導入源が接続された、真空容器と、からなる、潤滑液充填装置を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項10の発明は、空洞部が減圧された条件下で、潤滑液槽外部から内部に、潤滑液を滴下導入することのできる、潤滑液導入機構を有する、潤滑液充填装置を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項11の発明は、潤滑液槽は、潤滑液を攪拌する攪拌機構を備えており、潤滑液槽内の空間部分を減圧した状態で、攪拌機構によって潤滑液槽内部の潤滑液を攪拌可能である、潤滑液充填装置を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項12の発明は、バルブ機構は、配管の一端からノズルの先端に至る潤滑液の流路の内の少なくとも一ヶ所を閉塞して、潤滑液の流通を許さない閉塞部とすることができるものであり、閉塞部を形成し、及び解消する事により、潤滑液の通過を許す開放状態、及び、潤滑液の通過を遮断する閉塞状態、の二つの状態を少なくとも作り出すものであり、所定時間開放した後遮断する様に制御できるものであり、遮断動作に必要な時間は、1回の潤滑液送出動作に必要な開放時間に比して十分に短く、実質的に無視できる、潤滑液充填装置を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項13の発明は、バルブ機構は、バルブ基部と、バルブ基部に形成され、一方向に延長し、一方向側の端部で開口する、供給孔と、供給孔に一方向及び逆方向に移動自在に挿入され、供給孔内周面との間に、液体が軸方向に流通可能な間隙を確保した、閉塞棒と、供給孔開口部を覆ってバルブ基部に固定され、供給穴開口部周縁と逆方向面との間は気密に保って固定される、キャップ部と、キャップ部の逆方向面に開口し、閉塞棒一方向端部を一方向側に変位することで端部によって周縁が密閉されて閉塞部が構成される位置にある、閉塞穴と、閉塞棒を軸方向前後方向に駆動し、閉塞棒一方向側の端部を閉塞穴に向けて押し出し、閉塞棒先端部を閉塞穴周縁に対して押し付けて閉塞状態を作り出し、更に、逆方向に駆動して閉塞穴の開放状態を作り出す事のできる、閉塞棒駆動機構と、からなり、ノズルは、キャップ部の一方向面から突出する形で取り付けられ、ノズルの基端側は、キャップ部の一方向面に埋め込まれた形で固定され、かつ、ノズル内部の空洞は、その基部において、閉塞穴に連続する、潤滑液充填装置を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項14の発明では、閉塞部からノズルの先端に至る流路の容積は、ノズル内部の容積と略等しい、潤滑液充填方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項15の発明は、バルブ基部と、バルブ基部に形成され、一方向に延長し、一方向側の端部で開口する、供給孔と、供給孔内に、一方向及び逆方向に移動自在に収容され、供給孔内周面との間に、液体が流通可能な間隙を確保した、閉塞棒と、供給孔開口部を覆ってバルブ基部に固定され、供給穴開口部周縁との間は気密に保って固定される、キャップ部と、キャップ部から一方側に向けて突出する形で取り付けられた、ノズルと、キャップ部のバルブ基部に面した部位に開口し、閉塞棒一方向端部を一方向側に変位することで端部によって周縁が密閉されて閉塞部が構成される位置にあり、かつ、ノズルの基端側に連続する、閉塞穴と、閉塞棒を一方向及び逆方向に駆動して少なくとも二つの位置を取らせる事が可能であり、一方の位置においては閉塞棒の一方向側の端部を閉塞穴周縁に押し付けて閉塞穴を閉塞し、他方の位置においては閉塞棒の一方向側の端部を閉塞穴周縁とを離隔して液体の流通を許す、閉塞棒駆動機構と、からなる、注入装置を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項16の発明は、円筒細管形状のノズルを用いて、減圧環境下において、目標とする部材に、所定量の液体を注ぐ注液方法であって、目標部材及び円筒細管先端部を減圧環境下に置く調圧工程と、円筒細管に、減圧環境下の圧力よりも送出圧分だけ高い圧力をかけた潤滑液を供給して、潤滑液を円筒細管先端から目標部材に向けて所定時間だけ流出させる、注液工程と、からなり、かつ、数式1を満足する注液方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項17の発明は、上記の注液方法がさらに、数式2を満足する、注液方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項18の発明は、円筒細管は、液体供給機構から液体を供給されるものであり、潤滑液供給機構と円筒細管の間には、バルブ機構が介在しており、バルブ機構は、円筒細管の基部に隣接して閉塞部を有し、閉塞部は、流路を遮断し、そして、開放できるものである、注液方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の請求項19の発明は、送出圧を付与するための圧力源として、大気圧を用いる、注液方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の第20の発明は、バルブ機構が、流路を閉塞から開放に切り替える為に必要な時間、若しくは、開放から閉塞に切り替える為に必要な時間の内に、円筒細管から流出する液体の量は、目標とする供給量に比して無視できる程に小さく、バルブ機構の開放時間の長短を調節する事で、供給量を制御する、注液方法を提供する。
前項の課題を解決する為に、本願の第21の発明では、目標部材とは、回転部と、回転部を相対的に回転自在に支持する固定部と、回転部と固定部との間に保持された軸受間隙と、軸受間隙の一端に形成され回転部を取り囲み外気に面する少なくとも一つの開放部と、を有する動圧軸受装置における、開放部であり、液体とは、動圧軸受装置が保持する潤滑液である、注液方法を提供とする。
(1)潤滑液の充填方法に関する発明について
本願発明の充填方法によれば、減圧下で潤滑液を動圧軸受の間隙端部の開放部に注油する際に、ノズル先端付近の圧力を、やや高めることを特徴としている。その圧力は、潤滑液を脱気処理した際の圧力よりも高ければよい。
従来の注入方法においては、潤滑液の注入を行う真空容器内は、できる限り排気して圧力を下げていた。これは当たり前の行為とも思われるが、実は潤滑液注入に必須の事とは言えない。軸受間隙を排気しなければならない第一の理由は、間隙の空気が潤滑液の侵入を拒む為である。しかし、軸受間隙の圧力がおよそ1000Paを下回ると、計算上潤滑液の表面張力は残留する気体の圧力に打ち勝って、軸受間隙に浸透してゆけるようになる。故に、単に潤滑液を充填するだけなら、これ以下の圧力に減圧する必要性は薄い。
実際には、狭い軸受間隙内は排気されにくく、間隙の開放部よりも圧力が下がりにくいため、真空容器内の圧力はもっと下げる必要がある。また、軸受間隙内部に残留する空気は少ないほど良いので、できるだけ圧力を下げる作業条件が選択されていた。
しかし、例えば100Paを下回ると、残留する空気の体積は、常圧に戻した場合1000分の1に減少する。これ以上排気しても、残留気体を減少させるという効果は僅かである。一方で、このような低圧では、潤滑液を注油する際に、円筒細管の先端部で、供給された潤滑液が発泡して飛沫を散らすという好ましくない現象が生ずる。
本発明者らの研究によれば、このような発泡現象は、潤滑液を脱気処理する際の潤滑液槽内部の圧力よりも、注油操作を行う真空容器内の圧力が低い場合に起きる。そこで、本発明では、真空容器内の圧力を脱気処理時の圧力よりもやや高める。こうする事で発泡を抑制できる。先に説明したように、およそ1000Pa以下の圧力であれば、真空容器内の圧力を高めても、動圧軸受装置に潤滑液を充填する事は可能である。
潤滑液の脱気は、減圧環境に曝す事で可能だが、常に減圧環境に曝しつづける事は必須ではない。要は、ノズル先端から潤滑液が流れ出る時点で、その潤滑液の溶存気体濃度が真空容器内の圧力に比して十分に下がり、発泡を起こさない状態となっていれば良い。故に、減圧環境に曝して脱気した後、脱気に使用した容器の圧力を一時的に高めて、潤滑液に押し出し圧を付与しても良い。潤滑液槽内の圧力を高めても、潤滑液に溶け込む気体の濃度は、直ぐには上昇しないからである。また、脱気の方法としても、減圧環境下で攪拌する事に限らない。
潤滑液に圧力を付与する方法としては、潤滑液槽を高い位置において、高低差に起因する圧力をかける方法なども考えられる。しかし、潤滑液槽内の圧力を高めることで、より強い圧力送出圧を安定して付与する事ができる。
本願発明の充填方法によれば、図10Aに示したような、軸受間隙の開放部が一ヶ所にしかない動圧軸受装置に、潤滑液を充填する事が出来る。
本願発明の充填方法では、潤滑液を複数回に分けて注油できるため、軸受間隙開放部に必要量の潤滑液を一度に注油できない場合でも、必要量の潤滑液を充填する事が出来る。
本願発明の充填方法では、軸受間隙開放部に潤滑液を注油した後、真空容器内を第三の圧力に高めるため、潤滑液を軸受装置の奥へと確実に押し込む事ができる。また、注油工程を複数回実施するのに併せて、昇圧工程も複数回実施できる。この場合の第三の圧力は、潤滑液の表面張力に打ち勝つ事の出来る圧力で無ければならない。先に説明したように、その目安は1000Paである。
本願発明の検査方法は、本願発明に属する方法で潤滑液を充填した動圧軸受について、成層圏下層における大気圧環境下で潤滑液の溢れ出しなどの問題が生じないことを確認する。このため、成層圏下層域を飛行する国際線の航空機で輸送する場合にも、軸受装置にトラブルが生じないことを保証できる。
(2)潤滑液充填装置に関連する発明について
流体動圧軸受装置への潤滑液の充填に用いられる、本願発明の製造装置は、内部の途中までを潤滑液で満たされた潤滑液槽と、動圧軸受装置を減圧環境下に置く為の真空容器、及び、軸受装置に潤滑液を注ぐノズル、更には、潤滑液槽内部、真空容器内部を排気し、復圧する為の真空排気系からなっている。
この充填装置では、潤滑液槽の空洞部分を減圧する事で、潤滑液に溶け込んでいる空気を除去できる。一方、空洞部分を昇圧する事で、潤滑液に圧力をかけて、ノズル先端から押し出す事ができる。すなわち、一つの真空容器によって、潤滑液の脱気処理を行うための脱気槽と、潤滑液を加圧して押し出すための圧力容器の、両方の機能を実現している。更に、潤滑液の充填を行う真空容器は、内部の圧力を自在に制御できるため、注油時の潤滑液の発泡も抑制する事ができる。
また、この充填装置は、潤滑液槽内に潤滑液を滴下導入する事ができる。滴下時の衝撃と飛沫形成によって潤滑液からの脱気が促進されるため、効率的に潤滑液中の溶存気体濃度を低下させる事が出来る。
この充填装置は、潤滑液槽内に潤滑液の攪拌機構を備えており、効率的に潤滑液中の溶存気体濃度を低下させる事が出来る。
この充填装置は、注油を制御するバルブ機構が、閉塞と開放の2状態しかなく、かつ、切り替えが迅速である。バルブ機構の状態が2つしかないため、制御が単純であり、開放時間の長短のみで送出量を制御できる。
この充填装置では、ノズルの基部に隣接してバルブ閉塞部が位置するため、閉塞場所からノズル先端までの容量が極小になる。このため、閉塞部からノズル先端の間で、気泡が溜まる場所が実質的に存在しない。真空容器の減圧、復圧を繰り返す場合には、閉塞部から先に気泡が形成される箇所があると、ノズル部分に残存する潤滑液の吹き出しが起こり、装置や動圧軸受装置を汚染してしまう事がある。しかし、このバルブ機構を用いると、そのようなトラブルを少なくする事ができる。
(3)ノズルに関する発明について
本願発明の注液方法においては、ノズルとして内径一定の円筒細管を用い、次の数式1及び数式2に従って、各種サイズや送出圧力を選択する。
数式1:
Figure 2005273908
数式2:
Figure 2005273908
円筒細管から流出する液体には、先端部で表面張力によって制動を受ける。表面張力による制動が、液体が持つ運動量を上回る条件を、数式1は表している。数式1が満足される場合、円筒細管先端から流れ出る液体は、この条件下では円筒細管先端で速度を失い、狙った場所を越えて飛び散ったりすることがない。また、円筒細管への液体の供給を止めると同時に、液体の流出が止まるため、液体の流出量の制御が容易かつ高精度となる。数式1が満足されない場合は、液体の供給を止めても、細管内部に残る液体が慣性のために流れ出続けるため、流出量の制御は困難になる。
本発明では、円筒細管先端部及び注液対象は減圧環境下にあることを前提としているが、その圧力はゼロではない。潤滑液などの液体を注液する場合、100Pa程度、或はそれ以下の圧力で注液作業は行われる。故に、この圧力に対して、潤滑液の流出する速度が十分に遅ければ、その圧力だけで、流出はストップされる。しかし、そのような条件は、注液速度が過度に小さく、生産性の低い状況である。
数式2は、この観点から数式1の右辺に下限を与えるものである。これを0より大にする。すなわち、表面張力による制動がなければ液体の流出をストップさせられない程度に、早い速度で液体を供給する条件を与えている。
本願発明の注液方法では、所定時間だけ液体を流出させる為に、バルブ機構を用いることができる。そのバルブ機構は、流路の閉塞部が円筒細管基部に隣接しているため、閉塞部から円筒細管先端までの間で、無駄な空間がない。このため、バルブ機構による注液動作のオン、オフの切り替えに対して、液体の流出の開始、停止が、より確実に応答する。また、無駄な空間が無いために、バルブ機構から円筒細管先端に至る経路の途中で、気泡が溜まる部位もない。このことも、注液操作の制御を確実にする。
本願発明の注液方法は、大気圧を液体にかけて、注液工程を実施してもよい。大気圧は、安価で、比較的安定した圧力が得られる圧力源であるため、設備コストを抑制しつつ、高精度な注液作業を行う事ができる。
本願発明の注液方法は、注液速度に対して、充分に迅速に応答するバルブ機構を利用してもよい。注液の開始、停止に伴なう、注液量の誤差を一層減らす事が出来る。
本願発明の注液方法は、動圧軸受装置に対して、潤滑液を注液する。減圧環境下で、高い精度での注油作業を行えるため、動圧軸受装置への潤滑液の注入を、能率よく実施する事ができる。
(1)潤滑液充填装置について
(1−1)装置全体
図1は、本発明にかかわる潤滑液の充填方法を実施するための潤滑液充填装置1を示している。潤滑液充填装置1は、真空容器2、注入装置3、潤滑液槽4、及び、これらの内部を減圧するための、真空排気装置、気体導入機構R、更にはこれらを接続する配管からなっている。
ここで、真空排気装置としては、一般的なロータリーポンプPを用いる。気体導入機構Rは、流量調整バルブWと、ダストの侵入を防ぐためのフィルタとから成っており、装置周囲の空気を導入する。流量調節バルブWを調節して、気体の流入速度が過度に大きくならないようにすることで、ダストの侵入をより確実に防止できる。GB1、GB2はペニング式真空計であり、真空容器2及び潤滑液槽4内部の圧力を監視する事ができる。
注入装置3は、潤滑液の流出を制御するバルブ機構30と、バルブ機構の先端に取り付けられた円筒細管32からなっている。注入装置3は、潤滑液槽4の底部に配管を通じて接続されている。動圧軸受装置5は真空容器2の内部に置かれ、円筒細管32の先端から供給される潤滑液を注入される。
真空容器2は下側が開口したガラス製の有蓋円筒形状で、内部の状態を外部から観察できる。図1では、下側の開口部は台21によって閉塞されている。閉塞部分は、図示していないゴム製のオーリングによって気密性が維持されている。真空容器2は、通気バルブV、Wを介して、ロータリーポンプPや、気体導入機構Rと接続されている。
図2は、潤滑液槽4と注入装置3を示している。図2(A)において、潤滑液槽4の上部には空間部分45が残されており、この部分を減圧する事で、潤滑液に溶け込んでいる気体の濃度を下げる事が出来る。また、この部位には、配管42bが接続しており、ここを通じて、空間部分の減圧、昇圧が行われる。減圧時には、攪拌機構を稼動させて、潤滑液に溶け込んでいる気体濃度の低減を促進する。攪拌機構は、磁石を備えたロッド44と、やはり磁石を備えた攪拌子43からなっており、ロッド44を回転させることで、潤滑液槽内部の攪拌子43を回転させる。潤滑液槽4の内部は、配管42を介して注入装置3につながっており、更に、その先端に取り付けられた円筒細管32を通じて、外部に繋がっている。
潤滑液を動圧軸受装置に注油するためには、注入装置3に送り込む潤滑液に、十分な大きさで安定した押し出し圧が伴なっている必要がある。さもなければ、操作毎に注油量がばらついて、特に量産した場合に製品の均質性を確保できない。
このため、図2(A)では、空間部分45に大気圧の空気を導入する事で押し出し圧を付与する。また、別の方法として、図2(B)では、シリンダ46内に潤滑液を蓄え、ピストン47に錘48を載せる事で、押し出し圧を付与している。この(B)の方法は、潤滑液を空気に曝さずとも押し出し圧を付与できる点で優れている。しかし、一旦潤滑液槽に潤滑油を投入してしまうと、その場で脱気処理を行う事ができないため、予め潤滑液を調整して、溶存する気体濃度を十分に低減しておく必要がある。どちらの方法を選ぶかは、操業者が他の条件を考慮して決めれば良い。
真空容器2の中に、複数の動圧軸受装置を置いて注油作業を行う事もできる。動圧軸受装置を順次移動させて注油することにより、一度の排気で、複数個の動圧軸受装置に潤滑液を注油できる。但し、この作業を実行するためには、真空容器2の中に、複数の動圧軸受装置を載せることのできる冶具と、その冶具を移動させる機構を取り付けておく必要がある。そのような冶具と機構の例として、複数個の動圧軸受装置を円周方向に配列して載せることのできる冶具と、この冶具を回転させて円筒細管の直下に順次移動させられるようにした回転機構をあげる事ができる。
(1−2)バルブ機構について
後述するように、潤滑液充填装置1は、潤滑液の脱気のために潤滑液槽4の内部を減圧した状態で、円筒細管32先端を大気圧に晒す状況がある。その場合、外気が潤滑液槽に向けて入り込んでこようとする。逆に、潤滑液を注入する際には、円筒細管32の先端は減圧下にある一方、空間部分45は大気圧にして潤滑液注入圧を付与している。この場合は、潤滑液は外部に向けて流れ出ようとする。どちらの場合も、バルブ機構で流れを止めなければならない。このため、注入装置3のバルブ機構は、内圧が高い状態だけでなく、外圧が高い状態においても、漏れを生じないものである事が求められる。そのようなバルブとして、図3に示す構造のバルブ機構30を使用する事ができる。
図3は、注入装置3の要部を示す断面図である。注入装置3の先端には円筒細管32が取り付けられており、その端部から動圧軸受装置に注油する。流入口34は、配管42を介して潤滑液槽4に繋がっており、送出圧を付与された潤滑液が供給される。閉塞棒33は、バルブ基部31に形成された供給孔35に収容されており、駆動機構38によって前後方向に移動するようになっている。閉塞棒33は、駆動機構38によって図の下方に向けて押されると、閉塞穴37を閉塞して閉塞部を形成する(図3A)。逆に、図の上方に向けて引き上げられると、閉塞穴37は開放状態となって、潤滑液の通過を許す(図3B)。駆動機構38は、閉塞棒33を前後方向に動かすだけの単純な機能を持つもので、例えばバネと電磁石から構成する事ができる。電気的なオン/オフの切り替えのみで閉塞棒33を高速に駆動する事ができる。
この様に構成されたバルブ機構30は、閉塞棒33の先端と閉塞穴37によって構成される閉塞部が、円筒細管32(ノズル)基端部に極めて近い位置にあり、しかも、閉塞部から先には、気泡などが溜まるような、余分の空洞がない。注入装置3の、閉塞部から先における潤滑液の流路は、ほぼ、円筒細管32の内部の空洞のみによって構成されている。
(2)充填作業
(2−1)充填作業
まず、図4(A)に示すように、真空容器2を持ち上げて開放状態にし、台21の上の所定の位置に動圧軸受装置5を設置する。この際、位置決めの精度高めるために、専用の冶具や、或は、精密移動可能なステージを用いても良い。
この状態では、真空容器2の内側は大気圧であるが、潤滑液槽4の空間部分45は連続排気されており、10Paの圧力(第一の圧力)に減圧されている。また、磁石を備えたロッド44が回転する事で、潤滑液槽4内部に入っている攪拌子43が回転しており、潤滑液を攪拌している。潤滑液槽4と真空容器2の間の気密性は、注入装置3によって維持されている。潤滑液は、10Paの圧力の雰囲気に曝されつつ、排気と攪拌が続けられている。このような状況では、潤滑液中に溶存している気体の濃度は、10Paの圧力の雰囲気と、略平衡な濃度にあると判断できる。
次に、真空容器2を降ろして開口側を台21で閉塞し、内部を排気して減圧する。注入装置3と潤滑液槽4は、真空容器2と共に降ろされて、低い位置に移る。この結果、円筒細管32の先端は動圧軸受装置のシール部53に位置する。シール部53(図5)は、軸受間隙の開放部に形成されている。また、潤滑液槽4が下方に移動した結果、ロッド44との相対位置が変化して磁力が働かなくなるため、攪拌子43は回転を止めて、攪拌は止まる。
次に、真空容器2の内部の圧力を、第一の圧力よりもやや高い圧力(第二の圧力)となるように、真空容器2の排気の程度を調節する(調圧工程)。
次いで、潤滑液に送出圧を付与するために、空間部分45に周囲の空気を導入して大気圧に高める。周囲の空気は、最も手軽な一定圧力の供給源として有用である。ただし、必ずしも大気圧とする必要はなく、必要に応じて、大気圧以下でも以上でも、適当な装置を用いて自由に選択して構わない。
次に、バルブ機構30を、所定時間開放して、動圧軸受装置5が保持すべき適正量の潤滑液を送出する。このとき、潤滑液槽4内部の潤滑液は大気圧の空気に曝されているが、攪拌を止めているため、特に潤滑液槽4の下部から引き出した潤滑液は、第一の圧力とほぼ平衡した状態が維持されている。
押し出された潤滑液は、円筒細管32の先端から流れ出る。真空容器2内部の圧力は、先の調圧工程で30Pa(第二の圧力)となっており、第一の圧力よりも大きいため、円筒細管32先端から流れ出た潤滑液がその場で発泡することはない。このため、発泡によって飛散して動圧軸受装置に付着した潤滑液を、拭き取る作業を省く事ができる。また、発泡によるロスがなくなるため、注入量のばらつきも減って正確になる。
なお、必要があれば、真空容器2の内部を、一旦、第二の圧力よりももっと低い圧力(第五の圧力)まで減圧しても良い。例えば、第一の圧力と同程度の10Paまで減圧しても良い。そうする事で、軸受間隙の排気はより完全になる。ただし、注油に先だって、第一の圧力よりも高い圧力(第二の圧力)まで復圧させて、潤滑液の発泡を防ぐ必要がある。
(2−2)シール部の状況
図5は、注油された直後の、動圧軸受装置5のシール部53付近の拡大図を表している。
シャフト51とスリーブ52の間には軸受間隙54が形成されており、その開放端にシール部53が形成されている。円筒細管32の先端は、このシール部53の壁面に接する寸前まで近づいており、この状態で潤滑液を注油した。シャフト51は、回転部を構成し、スリーブ52は固定部を構成する。シール部53は、軸受間隙の開放部に形成されており、回転軸を取り囲んでいる。
注油された潤滑液はシール部壁面との親和力によって、シール部全周に広がっているが、軸受間隙54の奥には達していない。この際、潤滑液6は、シール部全体を満たしている必要はないが、シール部の間隙全周を塞いでいなければならない。また、周囲を予め30Paにまで減圧していたことにより、軸受間隙もそれに近い圧力にまで減圧されており、壁面との親和力によって、潤滑液は軸受間隙の奥へと入って行き易い状態にある。図5の右側は、注油直後の状態を模式的に表している。注油直後では、潤滑液6は開放部に留まっているが、壁面との親和力によって、直ぐに左側に描いた状態に移行する。左側では、潤滑液は一部が軸受間隙54の奥へと侵入して、その分だけ、シール部53では潤滑液の液面が低下している。
シール部53の形状や、軸受が保持すべき潤滑液の量によっては、一度の操作で必要量の潤滑液を注油出来ない場合がある。その場合は、2回以上に分けて注油しても良い。1回目の注油後、潤滑液がシール部53全周に広がって液面が十分に下がるまでの時間を見積もって置くことで、2度目以降の注油操作を行う事ができる。
注油操作を終了した後、真空容器2内部を復圧(第三の圧力)する。復圧する事で、図5の潤滑液6の内外で圧力差が生じ、潤滑液6は軸受間隙54の奥へと押し込まれ、潤滑液の注入が完了する。大気圧まで復圧する事がもっとも容易であるが、大気圧よりも低い圧力への復圧であっても、潤滑液を軸受間隙奥へ押し込むために十分な圧力であれば、注入作業には支障は生じない。また、潤滑液の押し込みを行ってシール部53に十分なスペースを確保した上で、再度排気し、注油を行っても良い。
図6は、スリーブ上端面にスロープ部60を有する、動圧軸受装置5’について、図5と同様にシール部を拡大した図である。スロープ部とシャフト表面には撥油膜が形成されている。動圧軸受装置がこのような構造を有する場合、注油された潤滑液はスロープ部を満たし(図の右半分)、次いで毛細管現象によって軸受間隙の奥へと浸透してゆく(図の左半分)。スロープ部があるために、一度に多量の潤滑液を注油できるだけでなく、スリーブ上端面に潤滑液が取り残される事がない。
(2−3)空気噛み込みチェック作業
注入作業を終えた動圧軸受装置5は、空気の噛み込み有無を調べる作業にかける。本発明の充填方法は非常に信頼性は高いが、それでもに注入不良を引き起こす事もある。そのような不良品を排除するための検査を行う。
図7はこの作業を説明する図である。注入作業を終えた動圧軸受装置5を、大気圧下に置く。この際の圧力環境は、後述する、第四の圧力よりも圧力が高ければ、原理的には検査が可能だが、大気圧が簡便に実現出来て良い。
動圧軸受装置5を、排気機構を備えた真空箱91内部に設置し、図示していない適当な冶具を用いて固定する。この状態で、大気圧がかかった状態での、開放部における潤滑液の液面位置を計測する。計測は、レーザー変位計93を使用し、ガラス蓋92を透過して行う。
次に、真空ポンプPと通気バルブを操作して、真空箱91内部の圧力を、第四の圧力である、1000Paに下げる。この状態で、再度液面位置を計測し、減圧前の液面位置と比較する。この際の液面の上昇量が所定の値を越えている場合には、不良品として排除し、そうでないものは良品とする。
動圧軸受装置を航空貨物にて輸送する場合、航空機は最高高度で上空14km付近の成層圏下層域を飛行する。この高度における大気圧は140hPa程度で、1000Pa(10hPa)よりも十分に大きい。このため、1000Paの減圧試験をパスしていれば、たとえ全く予圧されていない貨物室で運搬したとしても、その動圧軸受装置は、航空機輸送によって、オイル漏れは起こす可能性は極めて小さいと判断できる。
(2−4)潤滑液の事前脱気と充填装置への投入
潤滑液充填装置1に投入される潤滑液は、予め別途脱気処理を施しておくと、潤滑液槽4内での脱気処理に要する時間を短縮できる。本発明の充填方法では、潤滑液槽4の内部は、繰り返し大気に曝されるため、脱気が不十分な潤滑液は、まず、別の真空容器で脱気しておいた方が確実に脱気できる。
図8はそのような目的で使用される脱気装置の構成を示している。真空箱9は磁気攪拌子の駆動機構8の上に載せられており、その内部の潤滑液貯留容器7内に
潤滑液6が入っている。
真空箱9内部は、真空ポンプPによって第一の圧力よりも低い圧力に減圧されている。目標としては10Pa以下に減圧し、更に排気を続けると良い。この状態で長時間攪拌を続け、この圧力雰囲気と平衡する程度にまで溶存している気体を減らす。
事前の脱気処理に加えて、潤滑液槽4に投入する際に、脱気効果が得られるように工夫しても良い。図9は、潤滑液槽4に滴下投入する方法である。
すなわち、漏斗100に潤滑液を投入し、微量流量バルブ101を介して、潤滑液槽4内に滴の形で滴下する。潤滑液槽4内部は10Pa程度にまで減圧されている。滴は、体積当たりの表面積が大きく、脱気が急速に進む。また、滴が潤滑液槽の内面や液面に当たって衝撃を受ける事で、更に脱気が進む。
事前の脱気に使用する真空箱9、及び、潤滑液槽4には、図示しないヒータが取り付けられている。これによって60度まで潤滑液を昇温して脱気処理を行う。一般に気体は、温度が高まるにつれて液体に対する溶解度が下がるため、脱気が迅速に進む。
(3)最適な注入条件の選択
(3−1)数式1,2の導出
数式1は、円筒細管先端部において、潤滑液が持つ運動量よりも表面張力が上回る条件として導出される。以下、その導出過程について、説明を加える。
円筒細管の内周半径をa(m)、円筒細管の長さをL(m)、円筒細管両端間の圧力P(Pa)、潤滑液の粘性率η(Pa・s)、潤滑液の密度ρ(kg/m3)、潤滑液の表面張力σ(N/m)、円筒細管先端部における雰囲気の圧力をPm(Pa)とする。そして、図11に示す様に、潤滑液が開口端から流出しようとする瞬間を考える。
このとき、円筒細管の開口端と開口の外に出た潤滑液との間には、図の矢印で示すように表面張力が働く。この表面張力によって、潤滑液が持っていた運動量が全て奪われてしまう条件では、潤滑液は開口端から飛び去ることはなく、円筒細管開口に捕らえられる。精密な注油操作を実現するためには、この様に潤滑液は円筒細管開口端で勢いを失って、開放部に静かに供給される必要がある。流出する潤滑液単位体積に対して作用する、表面張力による力積を計算し、運動量が力積を上回らない条件を探せば、そのような条件が得られる。
図11から明らかなように、開口端から潤滑液が流出を始める瞬間は、潤滑液の表面は、円筒細管の軸線にほぼ平行に伸びて、開口端縁に接続する。故に、流出する潤滑液に対する制動力は、開口端の周長に表面張力をかけた値となる。故に求める条件は、次の様に計算される。
円筒細管先端開口から作用する表面張力;
Figure 2005273908
微少時間Δtの間に潤滑液に作用する力積;
Figure 2005273908
微少時間Δtの間に流出する潤滑液が有する運動量;
Figure 2005273908
(ただし、uは円筒細管中を流れる潤滑液の速さ)
表面張力と雰囲気の圧力による力積が運動量を上回っていなければならない;
Figure 2005273908
これを整理すると数式1が得られる。なお、数式2は、表面張力σがゼロであっても、数式1が満足される条件であり、数式1から直接に得られる。
数式6をLについて解くと;
Figure 2005273908
が得られる。後述する表1の様に、円筒細管の適切な長さの下限定める際には、この数式7を用いると便利である。同様に、上限は、
Figure 2005273908
なお、数式1は、液体の境界面に作用する慣性力と界面張力の比である、Weber数を用いて表現する事ができる;
Figure 2005273908
ただしここで、
Figure 2005273908
である。
(3−2)充填作業の結果
様々なサイズの円筒細管について、表面張力や粘性率を変化させて、注油作業を行った。表1に、その作業条件を示す。使用した円筒細管は、米国EFD(EFD Inc.)社製の製品であり、ステンレス製である。表中で、サイズの欄に、27G,30G,32Gとあるのは、同社の製品で用いられている、針の径に関する規格である。各径ごとに寸法公差が付されており、内半径には製品ごとのバラツキがあるため、表中の内半径の値には、同社から入手した上限値と下限値を示した。
使用した潤滑液はポリオールエステル系であり、AからGまでは20℃、HからJまでは40℃で試験した。粘性率と表面張力は、温度の影響を強く受けるため、値が変化している。また、HからJにおいては、注油作業時の真空容器内部圧力を、30Paとしている。AからJ各条件においては、各々異なる5つの製造ロットの円筒細管について、実験を行った。
Figure 2005273908
Figure 2005273908
表2には、AからJの各条件について、数式1左辺、数式2左辺(これは、数式1の右辺に等しい)、及び、数式7、数式8から求めた、細管長さの上下限、更に、実際の注油作業の良否を示している。注油作業良否の欄において、不良とは、潤滑液を安定して注油できなかったことを意味する。条件Jについて、一部不良とあるのは、一部の製造ロットの円筒細管において、注油量にバラツキが生ずるなどして、安定して注油できなかったことを意味する。
数式1左辺、及び、数式2左辺の値は、円筒細管の内半径に幅があることに対応して、幅を持たせて表示している。数式2左辺の値の範囲が、数式1左辺の値の範囲を完全に下回っているときは、注油作業結果は良好である。一方、一部が重なっている場合は、一部不要、若しくは不良となっている。
長さの上限の欄には、ばらつきを考慮した場合の最低値を、長さの下限の欄には、同じくばらつきを考慮した場合の最大値を記している。実際の円筒細管の長さが、この下限値を上回っている場合は、注油作業の結果は良好であった。ただし、条件Hについては、円筒細管の長さは、上限値よりも大きい。これは、過度に長い円筒細管を選択していることを意味する。このような条件でも注油作業は可能だが、生産性を高める為には、もっと短い長さとしたほうが良い。
なお、表2で、良好という結果の出た、A,C,D,E,F,G,Iについては、バルブの遮断と共に、潤滑液の流出が止まっていた。不良となったものに付いては、流出が止まるタイミングにバラツキがあった。
また、以上は円筒細管の先端が円形断面(細管の延長方向に垂直)であることを前提にしているが、楕円であっても基本的には同様のパラメータ;円筒細管の内周半径をa、円筒細管の長さをL、円筒細管両端間の圧力P、潤滑液の粘性率η、粘性率η、潤滑液の密度ρ、潤滑液の表面張力σ、が現象を支配する。ただし、これらに加えて、楕円の長径、若しくは円筒細管先端の断面の、延長方向に対する傾きθも影響を与える。
θが小さな値である場合は、数式1とほぼ同じ関係が成り立っていると見なす事ができる。θが大きくなると、数式1と同様の関係式を初等的な計算で求める事は困難になる。また、表面張力の向きが潤滑液の運動方向に対して大きく傾くため、円筒細管先端における潤滑液の運動にも複雑さが加わる。しかし、そのような場合でも、潤滑液の運動量と表面張力による力積の関係は、潤滑液に対して起きる現象を決定しており、数式1の関係式は有効な判断基準になる。
以上で説明した、本発明を実施するために最良の形態は、ここで記載された内容に限るものではない。例えば、潤滑液を注入する動圧軸受装置として、シャフト回転型のものを図示したが、これが、シャフト固定型の動圧軸受装置であっても、本発明の効果は変わらない。使用する潤滑液としては、もっと粘性率の高いものや、表面張力の大きな物、小さな物を用いても構わない。また、潤滑液に限らず、減圧環境下で注液作業に供せられる液体であれば、本発明の効果は得られる。
本発明にかかわる潤滑液充填装置の模式図 注入装置及び潤滑液槽の模式図 注入装置3要部拡大図 潤滑液充填装置の動作説明図 動圧軸受装置シール部拡大図 動圧軸受装置シール部拡大図2 空気の噛み込み確認作業説明図 潤滑液脱気作業説明図 潤滑液槽への潤滑液滴下投入作業説明図 流体動圧軸受を搭載したスピンドルモータ 円筒細管先端拡大図
符号の説明
1 潤滑液充填装置
2 真空容器
21 台
3 潤滑液送出機構(ニードルバルブ)
32 円筒細管
33 ニードルバルブの閉塞棒
34 潤滑液供給口
35 小室
36 開口部
37 円筒細管始端部
38 閉塞棒駆動機構
4 潤滑液槽
42 配管
43 磁気攪拌子
44 磁石を備えたロッド
45 潤滑液槽の空間部分
46 シリンダ
47 ピストン
48 錘
5 動圧軸受装置
51 シャフト
52 スリーブ
53 シール部
54 軸受間隙
55 ラジアル軸受部
56 スラストプレート
57 スラストブッシュ
58 スラスト軸受部
59 開放部の壁面
6 潤滑液
7 潤滑液貯留容器
8 磁気攪拌子駆動機構
9 真空箱
91 真空箱
92 ガラス蓋
93 レーザー変位計
F フィルタ
G1、GB1、GB2、G3、G4 ピラニ式真空計
P ロータリーポンプ
R 気体導入機構
V 通気バルブ
W 流量調節バルブ

Claims (21)

  1. 回転部と、該回転部を相対的に回転自在に支持する固定部と、前記回転部と前記固定部との間に保持された軸受間隙と、該軸受間隙の一端に形成され前記回転部を取り囲み外気に面する少なくとも一つの開放部と、を有する動圧軸受装置に、ノズルを用いて前記開放部に向けて潤滑液を送出することで、前記軸受間隙に潤滑液を充填する方法であって、
    前記潤滑液に溶存する気体の濃度を、所定の第一の圧力の気体雰囲気に対して略平衡する濃度である、第一の濃度にまで減少させる脱気工程と、
    前記開放部の雰囲気を、前記第一の圧力よりも高く大気圧よりも低い第二の圧力とする調圧工程と、
    調圧工程によって実現された雰囲気下で、前記ノズルを用いて前記開放部に、前記脱気工程を経た潤滑液を注ぐ注油工程と、
    からなる、動圧軸受装置への潤滑液充填方法。
  2. 回転部と、該回転部を相対的に回転自在に支持する固定部と、前記回転部と前記固定部との間に保持された軸受間隙と、該軸受間隙の一端に形成され前記回転部を取り囲み外気に面する少なくとも一つの開放部と、を有する動圧軸受装置に、ノズルを用いて前記開放部に向けて潤滑液を送出することで、前記軸受間隙に潤滑液を充填する方法であって、
    前記開放部の雰囲気を、第二の圧力とする調圧工程と、
    調圧工程によって実現された雰囲気下で、前記ノズルを用いて前記開放部に、溶存気体濃度が前記第二の圧力と平衡する濃度よりも低い濃度である、第一の濃度の潤滑液を注ぐ注油工程と、
    からなる、動圧軸受装置への潤滑液充填方法。
  3. 前記脱気工程は、潤滑液を第一の圧力の雰囲気に曝す工程である、
    事を特徴とする請求項1に記載の、動圧軸受装置への潤滑液充填方法。
  4. 回転部と、該回転部を相対的に回転自在に支持する固定部と、前記回転部と前記固定部との間に保持された軸受間隙と、該軸受間隙の一端に形成され前記回転部を取り囲み外気に面する少なくとも一つの開放部と、を有する動圧軸受装置に、ノズルを用いて前記開放部に向けて潤滑液を送出することで、前記軸受間隙に潤滑液を充填する方法であって、
    外部に対して気密性を保つ内部空間を有する潤滑液槽の該内部空間に、該内部空間の容量よりも小さな容積の潤滑液を貯留させる、貯留工程と、
    該潤滑液槽内部に残された空洞部分を排気して第一の圧力とし、該第一の圧力雰囲気に前記潤滑液を曝す、脱気工程と、
    前記開放部の雰囲気を、前記第一の圧力よりも高く大気圧よりも低い第二の圧力とする調圧工程と、
    該調圧工程によって実現された雰囲気下で、前記空洞部分を第二の圧力よりも高い圧力に昇圧して前記潤滑液に送出圧を付与し、前記潤滑液槽内部の潤滑液が貯留されている領域に連通するノズルを通じて、前記開放部に該潤滑液を注ぐ注油工程と、
    からなる、動圧軸受装置への潤滑液充填方法。
  5. 前記動圧軸受装置は前記開放部を唯一つのみ有し、かつ、前記軸受間隙は該開放部を通じてのみ外気と連通する、
    事を特徴とする、請求項1乃至4に記載の動圧軸受装置への潤滑液充填方法。
  6. 前記注油工程は、1回、若しくは、所定の間隔を空けて複数回実行されるものであり、
    該1回、若しくは、複数回の注油工程によって前記ノズルから注がれる潤滑液の総量は、前記軸受装置が保持すべき適正量に略等しい、
    事を特徴とする、請求項1乃至5に記載の動圧軸受装置への潤滑液充填方法。
  7. 請求項1乃至6に記載の動圧軸受装置への潤滑液充填方法が、更に、
    前記注油工程を少なくとも1回実施した後に、該開放部の雰囲気を、前記第二の圧力よりも高い、第三の圧力に昇圧する、復圧工程を有する、
    事を特徴とする、動圧軸受装置への潤滑液充填方法。
  8. 請求項7に記載の潤滑液充填方法で潤滑液を充填した動圧軸受装置について、
    前記軸受間隙開放部の雰囲気を、成層圏下層における大気圧より大きな圧力環境下に置き、
    その状態で、充填された潤滑液界面の位置を測定してこれを第一の界面高さとし、
    次に、前記開放部の雰囲気を、成層圏下層の大気圧と同等あるいはそれ以下であり、かつ前記第二の圧力よりもおおきな、第四の圧力となる様に調節し、
    その状態で、充填された潤滑液界面の位置を測定してこれを第二の界面高さとし、
    第二の界面高さと第一の界面高さの差が所定の値以上になった場合に、その動圧軸受装置を不良品として排除し、所定の値未満であった場合には良品とする、
    動圧軸受装置の検査方法。
  9. 潤滑液と、
    一つ或はそれ以上の真空排気装置と
    一つ或はそれ以上の気体導入源と、
    外部に対して気密性を保つ内部空間を有し、該内部空間の容量よりも小さな容積の前記潤滑液が貯留され、前記真空排気装置及び前記気体導入源が該潤滑液によって満たされていない空洞部分に接続する、潤滑液槽と、
    前記内部空間の内、該潤滑液に満たされた部分に、一端側において接続する、配管と、
    前記配管の他端に接続する、バルブ機構と、
    一端側において該バルブ機構に接続し、他端側が尖端形状を有する、ノズルと、
    少なくとも該ノズル先端部、及び、動圧軸受装置の少なくとも軸受間隙開放部を、収容可能で、前記真空排気装置及び前記気体導入源が接続された、真空容器と、
    からなる、潤滑液充填装置。
  10. 該空洞部が減圧された条件下で、前記潤滑液槽外部から内部に、前記潤滑液を滴下導入することのできる、潤滑液導入機構を有する、
    事を特徴とする、請求項9に記載の潤滑液充填装置。
  11. 前記潤滑液槽は、前記潤滑液を攪拌する攪拌機構を備えており、
    潤滑液槽内の空間部分を減圧した状態で、該攪拌機構によって潤滑液槽内部の潤滑液を攪拌可能である、
    事を特徴とする、請求項9又は10に記載の潤滑液充填装置。
  12. 前記バルブ機構は、
    前記配管の一端から前記ノズルの先端に至る潤滑液の流路の内の少なくとも一ヶ所を閉塞して、潤滑液の流通を許さない閉塞部とすることができるものであり、
    該閉塞部を形成し、及び解消する事により、潤滑液の通過を許す開放状態、及び、潤滑液の通過を遮断する閉塞状態、の二つの状態を少なくとも作り出すものであり、
    所定時間開放した後遮断する様に制御できるものであり、
    該遮断動作に必要な時間は、1回の潤滑液送出動作に必要な開放時間に比して十分に短く、実質的に無視できる、
    事を特徴とする、請求項9乃至11に記載の潤滑液充填装置。
  13. 前記バルブ機構は、
    バルブ基部と、
    該バルブ基部に形成され、一方向に延長し、一方向側の端部で開口する、供給孔と、
    該供給孔に一方向及び逆方向に移動自在に挿入され、前記供給孔内周面との間に、液体が軸方向に流通可能な間隙を確保した、閉塞棒と、
    前記供給孔開口部を覆って前記バルブ基部に固定され、該供給穴開口部周縁と逆方向面との間は気密に保って固定される、キャップ部と、
    前記キャップ部の逆方向面に開口し、前記閉塞棒一方向端部を一方向側に変位することで該端部によって周縁が密閉されて閉塞部が構成される位置にある、閉塞穴と、
    前記閉塞棒を軸方向前後方向に駆動し、前記閉塞棒一方向側の端部を前記閉塞穴に向けて押し出し、該閉塞棒先端部を該閉塞穴周縁に対して押し付けて閉塞状態を作り出し、更に、逆方向に駆動して該閉塞穴の開放状態を作り出す事のできる、閉塞棒駆動機構と、
    からなり、
    前記ノズルは、前記キャップ部の一方向面から突出する形で取り付けられ、
    該ノズルの基端側は、前記キャップ部の一方向面に埋め込まれた形で固定され、かつ、該ノズル内部の空洞は、その基部において、前記閉塞穴に連続する、
    事を特徴とする、請求項9乃至11に記載の潤滑液充填装置。
  14. 前記閉塞部から前記ノズルの先端に至る流路の容積は、前記ノズル内部の容積と略等しい、
    事を特徴とする、請求項12又は13に記載の潤滑液充填方法。
  15. バルブ基部と、
    該バルブ基部に形成され、一方向に延長し、一方向側の端部で開口する、供給孔と、
    該供給孔内に、一方向及び逆方向に移動自在に収容され、前記供給孔内周面との間に、液体が流通可能な間隙を確保した、閉塞棒と、
    前記供給孔開口部を覆って前記バルブ基部に固定され、該供給穴開口部周縁との間は気密に保って固定される、キャップ部と、
    前記キャップ部から一方側に向けて突出する形で取り付けられた、ノズルと、
    前記キャップ部の前記バルブ基部に面した部位に開口し、前記閉塞棒一方向端部を一方向側に変位することで該端部によって周縁が密閉されて閉塞部が構成される位置にあり、かつ、前記ノズルの基端側に連続する、閉塞穴と、
    前記閉塞棒を一方向及び逆方向に駆動して少なくとも二つの位置を取らせる事が可能であり、一方の位置においては該閉塞棒の一方向側の端部を前記閉塞穴周縁に押し付けて閉塞穴を閉塞し、他方の位置においては該閉塞棒の一方向側の端部を前記閉塞穴周縁とを離隔して液体の流通を許す、閉塞棒駆動機構と、
    からなる、注入装置。
  16. 円筒細管形状のノズルを用いて、減圧環境下において、目標とする部材に、所定量の液体を注ぐ注液方法であって、
    前記目標部材及び前記円筒細管先端部を減圧環境下に置く調圧工程と、
    前記円筒細管に、減圧環境下の圧力よりも送出圧分だけ高い圧力をかけた潤滑液を供給して、該潤滑液を該円筒細管先端から前記目標部材に向けて所定時間だけ流出させる、注液工程と、
    からなり、
    SI単位系にて、
    前記円筒細管の内半径をa、長さをL、
    前記潤滑液の粘性率をη、表面張力をσ、密度をρ、
    前記送出圧をP、
    前記減圧環境下の圧力をPa
    とするとき、次の式1を満足する、
    Figure 2005273908
    事を特徴とする注液方法。
  17. 請求項16に記載の注液方法において、
    更に、次の式2を満足する、
    Figure 2005273908
    事を特徴とする注液方法。
  18. 前記円筒細管は、液体供給機構から前記液体を供給されるものであり、
    該潤滑液供給機構と前記円筒細管の間には、バルブ機構が介在しており、
    該バルブ機構は、前記円筒細管の基部に隣接して閉塞部を有し、
    該閉塞部は、流路を遮断し、そして、開放できるものである、
    事を特徴とする、請求項16又は17に記載の注液方法。
  19. 前記送出圧を付与するための圧力源として、大気圧を用いる、
    事を特徴とする、請求項16乃至18に記載の注液方法。
  20. 前記バルブ機構が、前記流路を閉塞から開放に切り替える為に必要な時間、若しくは、開放から閉塞に切り替える為に必要な時間の内に、前記円筒細管から流出する前記液体の量は、目標とする供給量に比して無視できる程に小さく、
    前記バルブ機構の開放時間の長短を調節する事で、前記供給量を制御する、
    事を特徴とする、請求項18又は19に記載の注液方法。
  21. 請求項16乃至20に記載の注液方法において、
    前記目標部材とは、回転部と、該回転部を相対的に回転自在に支持する固定部と、前記回転部と前記固定部との間に保持された軸受間隙と、該軸受間隙の一端に形成され前記回転部を取り囲み外気に面する少なくとも一つの開放部と、を有する動圧軸受装置における、該開放部であり、
    前記液体とは、前記動圧軸受装置が保持する潤滑液である、
    事を特徴とする注液方法。
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