まず、本発明の実施の形態を説明するに先立ち、本発明の態様を説明する。また、各種の技術事項の実施態様を含む態様も共に説明する。
本発明の態様は、印刷ジョブを処理して生成した各ページのイメージデータを出力側の画像形成装置に応じて処理して転送する画像形成支援装置であって、刷版用に作成されたイメージデータを受け取り保持する画像記憶部と、前記画像記憶部に記憶された前記イメージデータのうち、文字・線画部分を判定する線画判定手段と、前記線画判定手段の判定結果に基づいて、イメージデータの階調を低階調から高階調に変換する階調変換処理を行う変換手段と、を備えたことを特徴とした画像形成支援装置である。
本発明の態様によれば、画像記憶部には、刷版用に作成されたイメージデータが保持される。該画像記憶部に保持されたイメージデータのうち、文字・線画部分が判定手段によって判定される。すなわち、文字や線画部分と、写真等の画像部分とが判定手段によって判定される。例えば、判定手段は、画像のエッジ(濃度差変化が大きい部分)を検出することによって、文字・線画部分を判定することができる。
また、変換手段では、判定手段の判定結果に基づいて、イメージデータの階調が低階調から高階調に変換される。例えば、判定手段の判定結果が文字・線画部分と、それ以外の部分とで、階調変換の方法を異なる方法とすることが可能となる。従って、それぞれの属性に応じた階調変換ができるので、文字・線画部分の劣化を防止した階調変換を行うことができる。
すなわち、CTP用に作成されたイメージデータは、低階調のイメージデータであるが、このように、階調変換を行うことによって文字・線画部分の劣化を防止しながら、オンデマンド印刷等で使用する画像形成装置で印刷可能な高階調のイメージデータに変換することができる。
従って、CTP用のイメージデータをオンデマンド印刷で使用することができると共に、階調変換の際に文字や線画の劣化を防止することができる。
なお、変換手段は、ローパスフィルタで構成するようにしてもよい。すなわち、デスクリーニングに使用するローパスフィルタを使用することで階調変換処理を行うことが可能となる。
また、変換手段は、判定手段の判定結果が文字・線画部分ではない場合に、イメージデータの階調を低階調から高階調に変換する階調変換処理を行う第1の階調変換手段と、判定手段の判定結果が文字・線画部分である場合に、第1の階調変換手段とは異なる階調変換処理を行う第2の階調変換手段と、によって構成するようにしてもよい。例えば、1bitから8bitの階調に変換する場合には、第1の変換手段としてローパスフィルタを用いたデスクリーニングを行い、第2の変換手段としては、0、255の2値化した階調変換を行う2値化手段を適用するようにしてもよい。すなわち、文字・線画部分については2値化による階調変換を行うことで、階調変換による文字や線画の劣化を防止することができる。
さらに、第1の階調変換手段と第2の階調変換手段をローパスフィルタで構成し、それぞれのフィルタ係数が、第2の階調変換手段の方が第1の階調変換手段に比べて弱いローバスフィルタとなるように設定するようにしてもよい。換言すれば、文字・線画部分についても弱いローパスフィルタでデスクリーニングを行うようにしてもよく、このように、文字・線画部分以外に使用するローパスフィルタよりも弱いローパスフィルタを文字・線画部分に用いることで、文字・線画部分の劣化を防止することができると共に、文字・線画部分のギザツキを防止することができる。
なお、画像記憶部は、刷版用に作成されたイメージデータとして2値データを受け取って保持する。
また、本発明の態様は、印刷ジョブを処理して生成した各ページのイメージデータを出力側の画像形成装置に応じて処理して転送する画像形成支援方法であって、刷版用に作成されたイメージデータを受け取り保持する画像記憶ステップと、前記画像記憶ステップで記憶された前記イメージデータのうち、文字・線画部分を判定する線画判定ステップと、前記線画判定ステップの判定結果に基づいて、イメージデータの階調を低階調から高階調に変換する階調変換処理を行う変換ステップと、を備えたことを特徴とした画像形成支援方法としてもよい。
本発明の態様によれば、画像記憶ステップでは、刷版用に作成されたイメージデータが保持される。該画像記憶ステップで保持されたイメージデータのうち、文字・線画部分が判定ステップで判定される。すなわち、文字や線画部分と、写真等の画像部分とが判定ステップ判定される。例えば、判定ステップでは、画像のエッジ(濃度差変化が大きい部分)を検出することによって、文字・線画部分を判定することができる。
また、変換ステップでは、判定ステップの判定結果に基づいて、イメージデータの階調が低階調から高階調に変換される。例えば、判定ステップの判定結果が文字・線画部分と、それ以外の部分とで、階調変換の方法を異なる方法とすることが可能となる。従って、それぞれの属性に応じた階調変換ができるので、文字・線画部分の劣化を防止した階調変換を行うことができる。
すなわち、CTP用に作成されたイメージデータは、低階調のイメージデータであるが、このように、階調変換を行うことによって文字・線画部分の劣化を防止しながら、オンデマンド印刷等で使用する画像形成装置で印刷可能な高階調のイメージデータに変換することができる。
従って、CTP用のイメージデータをオンデマンド印刷で使用することができると共に、階調変換の際に文字や線画の劣化を防止することができる。
なお、変換ステップは、ローパスフィルタを用いて階調変換処理を行うようにしてもよい。すなわち、デスクリーニングに使用するローパスフィルタを使用することで階調変換処理を行うことが可能となる。
また、変換ステップは、判定ステップの判定結果が文字・線画部分ではない場合に、イメージデータの階調を低階調から高階調に変換する階調変換処理を行う第1の階調変換ステップと、判定ステップの判定結果が文字・線画部分である場合に、第1の階調変換ステップとは異なる階調変換処理を行う第2の階調変換ステップと、によって構成するようにしてもよい。例えば、1bitから8bitの階調に変換する場合には、第1の変換ステップとしてローパスフィルタを用いたデスクリーニングを行い、第2の変換ステップとしては、0、255の2値化した階調変換を行うようにしてもよい。すなわち、文字・線画部分については2値化による階調変換を行うことで、階調変換による文字や線画の劣化を防止することができる。
さらに、第1の階調変換ステップと第2の階調変換ステップをローパスフィルタを用いた階調変換を行い、それぞれのフィルタ係数が、第2の階調変換ステップの方が第1の階調変換ステップに比べて弱いローバスフィルタとなるように設定するようにしてもよい。換言すれば、文字・線画部分についても弱いローパスフィルタでデスクリーニングを行うようにしてもよく、このように、文字・線画部分以外に使用するローパスフィルタよりも弱いローパスフィルタを文字・線画部分に用いることで、文字・線画部分の劣化を防止することができると共に、文字・線画部分のギザツキを防止することができる。
なお、画像記憶ステップでは、刷版用に作成されたイメージデータとして2値データを受け取って保持する。
また、上述した画像形成支援装置と、印刷ジョブを処理して各ページのイメージデータを生成して画像形成支援装置に出力するイメージ生成装置と、を含む画像形成支援システムとしてもよい。
〔実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
〔画像形成システム〕
図1は、本実施の形態に係る画像形成システムの全体概略構成を示す図である。画像形成システムは、汎用の通信プロトコルによる高速LAN(Local Area Network)を備えており、高速LANには例えばページ記述言語(PDL)で記述された電子データ(印刷データ)を入力するためのクライアント端末400、402が接続されている。クライアント端末400、402は、異なるオペレーティングシステム(OS)下で各種アプリケーションプログラムを実行可能なコンピュータである。この高速LANには、原稿の画像を読み取りその画像データを出力するスキャナ装置410も接続されている。また、高速LANには、DFE装置500、503、504、506、508、詳細を後述する本発明の画像形成支援装置としてのBEP(Back End Processor:バックエンドプロセッサ)装置600、603、604、電子データで直接刷版を作成するCTP装置702が接続されている。
CTP装置702で作成された刷版を用いてプレス装置710において印刷がなされる。また、このCTP装置702に並列的に(高速LANに)BEP装置600が接続される。このBEP装置600には画像形成装置11と同様の高速プリンタ746が接続される。
また、高速LANに接続されたBEP装置604の出力側には、出力機730、同様の構成の高速プリンター740、742、CTP装置700が接続されている。出力機730、高速プリンター740、742からはプリント出力がなされ、CTP装置700では刷版が作成される。また、DFE装置503は、BEP装置603を介して同様の構成のプリンタプルーファ720、722に接続されている。プリンタプルーファ720、722は印刷のための出力確認用のものであり、画像形成装置一例として機能する場合がある。
また、DFE装置504は高速プリンター744に接続され、DFE装置504と高速プリンター744とはオンデマンド印刷処理を担当する部門を担っている。DFE装置506は出力機732に接続され、DFE装置508は大型出力機750に接続されている。DFE装置506と出力機732からなる構成及びDFE装置508と大型出力機750からなる構成は、従来の画像形成装置の構成と同様である。
本実施の形態の画像形成システムでは、CTPと、POD(プリントオンデマンド)の機能を有する装置を同一のシステム内に混在可能な構成である。これは、本実施の形態にかかるBEP装置が、クライアントからの印刷データがラスタデータに変換(RIP処理)された後のデータを、各種処理する機能を備えているためである。
〔構成例〕
上記構成による画像形成システムにおいて、本発明の実施形態について説明を簡単にするために、刷版を作成して印刷する構成と、刷版作成なしに印刷する構成との代表例を、一実施形態として説明する。すなわち、クライアント端末400、DFE装置500、CTP装置700、及びプレス装置710の装置を利用して画像を形成する場合の構成A、クライアント端末400、DFE装置500、BEP装置600、及び高速プリンタ746(画像形成装置11)の装置を利用して画像を形成する場合の構成B、について説明する。
なお、DFE装置500は、クライアント端末400からのデータをラスタデータに変換(RIP処理)し、その変換後のラスタ画像を圧縮処理する機能を備えるが、本実施の形態では、画像形成装置11に依存した印刷制御機能を果たすプリンタコントローラ機能を要求しない。すなわち、DFE装置500は、主にRIP処理の機能のみを有する構成でよい。
図2は、本発明に係る画像形成システムの一実施形態を示す図である。すなわち、クライアント端末400で印刷指示した画像をDFE装置500でRIPして、CTP装置702で刷版を作成した後にプレス装置710で印刷する構成Aと、RIPされた画像をBEP装置600を介して高速プリンタ746(画像形成装置11)で印刷する構成Bとを本発明に係る画像形成システムの一実施形態として説明する。図2(A)は本実施形態で構成Aと構成Bからなるシステム構成の概略を示し、図2(B)は、構成Bによる接続例を示している。
〔構成A〕
構成Aは、刷版を作成するCTP装置702と、このCTP装置702に印刷データを出力し刷版作成の指示をするDFE装置500と、CTP装置702で作成された刷版を用いて印刷するプレス装置710と、からシステムを構成する。
この構成Aは、従来の印刷処理と同様のため、詳細な説明を省略するが、DFE装置500は、フロントエンドプロセッサ(FEP:Front End Processor)部や、フロントエンジンによるROP(Raster OPeration)処理によりクライアント端末400からのデータをラスタデータに変換(RIP処理)し、その変換後のラスタ画像を圧縮処理する機能を備える。そして、DFE装置500では、刷版を作成するために、主にRIP処理のみを実行する。このRIP処理されたラスタ画像(圧縮)のラスタデータにより、CTP装置702で刷版が作成される。このCTP装置702で作成された刷版を用いてプレス装置710で印刷媒体に画像がプレスされ、印刷がなされる。
なお、上記構成Aでは、高速LANに、CTP装置702を接続し、DFE装置500からの印刷データで刷版を作成する場合を説明したが、CTP装置702をBEP装置600を介して接続してもよい(図1のBEP装置604と、CTP装置700の構成)。この場合には、以下の構成Bで説明するように、DFE装置500からの印刷データによりBEP装置600において画像形成装置11などの下流側装置に依存する処理を行ってデータ出力する。この下流側装置として、CTP装置700を採用したときに、BEP装置600は、そのCTP装置700に依存する処理を行ってデータ出力する。
〔構成B〕
次に、構成Bは、画像形成装置11と、この画像形成装置11に印刷データを渡し印刷指示をするDFE装置500と、画像形成装置11とDFE装置500との間に設けられるBEP装置600からシステムを構成する。
画像形成装置11は、IOTモジュール(IOT本体)12と、フィード(給紙)モジュール(FM:Feeder Module)15と、出力モジュール17と、パソコン(PC)等のユーザインターフェース装置18とを備える。なお、フィードモジュール15は、多段構成としてもよい。また、必要に応じて、各モジュール間を連結する連結モジュールを設けてもよい。また、出力モジュール17の後段に、フィニッシャ(Finisher:後処理装置)モジュールを接続してもよい。フィニッシャモジュールとしては、例えば、用紙をスタック処理し、1個所以上を綴じるステープラを備えたもの、またはパンチ孔を穿設するパンチング機構を備えたもの等がある。
DFE装置500は、クライアント端末400からのデータをラスタデータに変換(RIP処理)し、その変換後のラスタ画像を圧縮処理する機能を備えて、主にRIP処理をする。このデータは、BEP装置600により処理されて画像形成装置11へ出力される。
BEP装置600は、画像形成装置11に依存した処理の制御機能を有するが、この制御機能は、ユーザインターフェース装置18により指示してもよく、予め定めておいてもよい。ユーザインターフェース装置18により指示する場合、ユーザインターフェース装置18は、キーボード等の入力デバイスやユーザに画像を提示しつつ指示入力を受け付けるGUI(Graphic User Interface)機能を有し、画像形成装置11に依存した処理を指示するように構成すればよい。
BEP装置600は、DFE装置に保持しておいたRIP処理済みのデータを利用することで、効率的な高速出力を可能としている。すなわち、BEP装置600は、DFE装置500から受け取った印刷制御情報に基づいてコマンドコード(Command Code)を生成し、画像形成装置11内の各部の処理タイミングをエンジン特性に応じて制御する。また、BEP装置600は、IOTモジュール12やフィードモジュール15または出力モジュール17等のエンジン特性に適合するようにスプール(Spool)処理を完結させてからIOTモジュール12に画像データを渡す。
例えば、DFE装置500からBEP装置600には、RIP処理が施されたラスタベース画像を含むデータが送られる。このデータとしては、TIFF(Tagged Image File Format)フォーマット等の圧縮されたラスタベースの画像ファイルデータの他、印刷部数、両面/片面、カラー/白黒、合成印刷、ソートの有無、ステープラの有無等印刷制御情報等が含まれる。また、TIFFフォーマットのラスターベースの画像ファイルデータ以外の印刷制御情報は、例えば、XML等の記法をベースとしたJDF(Job Definition Format)に記述され、ジョブチケットとしてDFE装置500からBEP装置600へ送られる。なお、JDFは、各工程(例えば、製版工程、印刷工程、折り・裁ち工程など)に送られ各工程で使用され、JDFに記述される内容としては、各工程におけるジョブに必要な内容が記述される。例えば、印刷物仕様(構成、紙質、サイズ、部数等)、製版工程の使用設備、製版工程納期、印刷工程の使用印刷機、使用インク、折り・裁ちの使用設備、納期、配送先や納期、製版工程の面付け仕様、製版工程のRIP処理手順、製版工程の出力機設定、印刷工程の印刷機設定、折り・裁ちの折り機設定、裁断機手順、綴じ手順等の内容が記述されている。
なお、回転(Rotation)、1枚の用紙内へのページ割付(N−UP)、リピート処理、用紙サイズ合わせ、デバイス差を補正するCMS(Color Management System : カラー管理システム)、解像度変換、コントラスト調整、圧縮率指定(低/中/高)等のRIP処理と関わりのある処理は、DFE装置500にて処理し、その制御コマンドをBEP装置600へは通知しない(非通知)。
また、コレーション(帳合い)、両面印刷、スタンプ・パンチ・ステープラ等のフィニッシャ装置または用紙トレーと関わりのある位置合わせ処理、排出面(上下)合わせ、グレーバランスや色ズレ補正等のキャリブレーション処理、スクリーン指定処理等、画像形成装置11の処理特性と関わりの強いもの(IOT依存の処理)に関しては、その制御コマンドをDFE装置500がスルーすることで、BEP装置600にて処理する。
このように、本実施形態のDFE装置側は1つのジョブ(JOB)をエンジン特性に依存せずRIP処理した順にBEP装置側へ一方的に転送し、BEP装置側で印刷用にページ再配置をする。
図3は、DFE装置500と画像形成装置11との間にBEP装置600を介在させたときのデータの流れに着目した概念ブロック図である。
DFE装置500は、クライアント端末400からPDLで記述された印刷データ(以下PDLデータという)を受け取り、そのPDLデータを一旦順次格納するデータ格納部502と、データ格納部502からPDLデータを読み出して解釈しページ単位のイメージデータ(ラスタデータ)を生成(ラスタライズ)するRIP処理部510と、このRIP処理部510にて生成されたイメージデータを所定のフォーマットにしたがって圧縮する圧縮処理部530とを備える。この圧縮処理部530の後段には、インターフェース部542が設けられている。RIP処理部510では、PDLデータを展開してイメージデータを生成するため、RIP処理部510には、PDL解釈部およびイメージャとして機能するデコンポーザ、所謂RIPエンジンが組み込まれている。圧縮処理部530は、RIP510からのイメージデータを圧縮し、圧縮済のイメージデータをBEP装置600へ即時に転送する。
一方、BEP装置600は、DFE装置500にて印刷ジョブやプリントエンジン30の処理特性に無関係に処理された(例えばプリントエンジン30の処理速度に非同期で処理された)圧縮済のイメージデータを受け取り保持する画像記憶部602と、画像記憶部602から圧縮済のイメージデータを読み出して、DFE装置500側の圧縮済のイメージデータを読み出して、DFE装置500側の圧縮処理部530の圧縮処理に対応する伸張処理をし、この伸張処理済のイメージデータをIOTコア部20側に送出する伸張処理部610を備える。この伸張処理部610は、画像記憶部602から読み出し伸張処理したイメージデータに対して、画像回転や用紙上の画像位置の調整、または拡大もしくは縮小、或いは電子裁断等の画像処理機能を備えている。画像記憶部602の前段には、データ受信部601が設けられ、伸張処理部610の後段には、出力側のインターフェース部650が設けられている。
また、BEP装置600は、IOTコア部20の処理性能に依存してBEP装置600の各部やIOTコア部20を制御するプリンタコントローラとして機能する印刷制御部620を備える。印刷制御部620は、DFE装置500からのジョブチケットを解釈(デコード)、またはGUI部80を介したユーザ指示を受けて、プリントエンジン30や定着器70またはフィニッシャの処理特性に応じて出力形態(ページ内の画像位置、またはページ排出順や向き等)を特定する出力形態特定部622と、特定した出力形態で印刷物が出力されるように、プリントエンジン30や定着器70またはフィニッシャ等の各部を制御する制御部624とを備える。出力形態特定部622は、クライアントが希望する出力形態に関する情報を受け付ける出力形態情報収得部としての機能を備え、ジョブチケットに記述された情報やTIFFフォーマットの画像ファイルデータに含まれる印刷制御情報を取得することによって出力形態に関する情報を受け付ける。
従って、DFE装置500では、RIP処理部510にてページ記述言語からラスタライズされた(描画展開された)イメージデータは、BEP装置600側へページ順に転送される。BEP装置600は、DFE装置500から転送されたイメージデータを、一旦バッファとして機能する画像記憶部602に蓄積する。伸張処理部610は、画像記憶部602から圧縮済のイメージデータを読み出して伸張処理するとともに、クライアント端末やDFE装置500から指定された印刷ジョブに従ってページデータを組み立てたり(ページデータの再配置や電子裁断等)、指示されたプリントエンジンへの転送準備をしたりする。そして、BEP装置600では、プリントエンジン30の処理速度に同期して制御コマンドをやり取りしながら、エンジン生産性を最大限生かす速度でページデータを所定の順にIOTコア部20に送出する。
このように、DFE装置500側は1つのジョブ(JOB)をエンジン特性に依存せずRIP処理した順にBEP装置600側へ一方的に転送すればよい。そして、BEP装置600が、印刷用にページ再配置をする等印刷ジョブやプリントエンジン30に依存した処理を担当する。
本構成では、RIP処理に関わる処理はDFE装置で行うが、RIP処理のやり直しが必要な際には、DFE装置500へ再RIP処理を要求することなく(DFE装置500とは独立に)、画像記憶部602に保持しておいたデータを再利用する。これにより、DFE装置500にての再RIP処理が不要となる。また、プリントエンジン等出力側の処理特性に適応する性能を持ちプリントエンジン30等と接続されたBEP装置600にて、出力側の処理特性に依存する処理をすることができる。
例えば、クライアントが希望する出力形態にて出力する場合において、出力側の処理特性に依存する処理を必要とする一例で、RIP処理と関わりのある再処理としては、1枚の用紙内へのページ割付(N−UP)、リピート処理、用紙サイズ合わせ、デバイス差を補正するCMS(Colour Management System:カラー管理システム)、解像度変換、コントラスト調整、圧縮率指定(低/中/高)等がある。
また、出力側である画像形成装置11(例えばプリントエンジン)の処理特性に依存した処理(出力側の処理特性と関わりの強い依存処理)が必要となる場合の一例としては、画像回転(Rotation)、コレーション(Collation:帳合い)、両面印刷、スタンプ・パンチ・ステープラ等のフィニッシャ装置または用紙トレーと関わりのある位置合わせ処理(shift:画像シフト)、排出面(上下)合わせ、グレーバランスや色ズレ補正等のキャリブレーション処理、スクリーン指定処理等がある。
ところで、CTP装置702用に作成されたイメージデータは、高解像度低階調のイメージデータ(例えば、2400dpiの1bit)であるのに対して、画像形成装置11で処理可能なイメージデータが低解像度高階調のイメージデータ(例えば、600dpiの8bit)である場合がある。そこで、本実施形態に係わるBEP装置600では、CTP用に作成されたイメージデータを画像形成装置11で処理可能なイメージデータに変換する階調変換機能を有している。ここで、階調変換機能を踏まえたBEP装置600の詳細な構成について説明する。図4はBEP装置600の詳細な構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、BEP装置600は、所謂デュアルCPUと呼ばれる2つのCPU40A、40Bを備えたコンピュータで構成されている。2つのCPU40A、40Bは、ホストブリッジ(Host Bridge)42に接続されている。ホストブリッジ42には、PCI(Peripheral Components Interconnect)バス44と、メモリ(Memory)46が接続されており、ホストブリッジ42によってCPU40A、40BとPCI44間のデータ制御が行われる。
また、ホストブリッジと同様に、情報流通を制御するサウスブリッジ(South Bridge)48がホストブリッジ42に接続されており、サウスブリッジ48には、周辺機器を接続するデータ伝送路としてのUSB(Universal Serial Bus)50、周辺機器を制御するプログラム群からなるBIOS(Basic Input/Output System)52、及びプログラム用ハードディスクを接続するためのATA IDE Port54が接続されている。
ホストブリッジ42はPCIバス44を集積する集積装置としてのPCIハブ(PCI 64 Hub)56に接続されている。すなわち、PCIハブ56には、PCIバス44が複数接続され、複数の機器がPCIバス44に接続可能とされている。
PCIバス44には、周辺機器を接続するためのSCSI(Small Computer System Interface)58を介して、イメージデータを保存するための2つのハードディスク60A、60Bが接続されており、2つのハードディスクを交互に使用することで見かけ上倍速のイメージデータの読み書きが可能とされている。すなわち、複数のハードディスクをまとめて管理するRaid(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)とされている。
また、PCIバス44には、スキャンインタフェースボード(Scan I/F Board)62を介してスキャナ(Scanner)410が接続されていると共に、イーサネット(R)(Ethernet(R))64を介してDFE装置(RIP)500が接続されている。すなわち、イーサネット(R)64が上述のインタフェース部542(図3参照)に相当する。
さらに、PCIバス44には、上述したインタフェース部650(図3参照)に相当するビデオインタフェース(Video I/F)10A、10B、14が接続されている。ビデオインタフェース(Video I/F(M、K))10Aは、マゼンタ(M)及びブラック(K)用のイメージデータの伝送用のインタフェースであり、ビデオインタフェース(Video I/F(Y、C))10Bは、イエロー(Y)及びシアン(C)用のイメージデータ用のインタフェースである。また、ビデオインタフェース(Video I/F(S))14は、特色用のイメージデータ(例えば、Y、M、C、K以外の追加色用)に設けられた補助用のインタフェースである。
図5は、ビデオインタフェース10A、10B詳細な構成を示すブロック図である。なお、図5では、ビデオインタフェース10A、10Bは同一構成であるので、ビデオインタフェース10として説明する。
ビデオインタフェース10は、データを中継するためのPCIブリッジ(PCI Bridge)25を介して接続されている。
ビデオインタフェース10は、メモリコントローラ27、SDRAM26、1bit伸張器28、0、255変換回路31、N×Mブロック化(N×M Block化)回路29、エッジ判定回路32、ローパスフィルタ(Low pass Filter)34、2値化回路36、TRC回路37、及びフォーマット変換回路38を有し、IOTモジュール12にIOTインタフェース(IOT Interface)16を介して接続されている。
PCIブリッジ25は、SDRAM26が接続されたメモリコントローラ27に接続されており、メモリコントローラ27の制御によってイメージデータのSDRAM26への読み書きが制御されるようになっている。
SDRAM26から読み出されたイメージデータは、メモリコントローラ27に接続された1bit伸張機28に出力され、1bit伸張器28によってJpeg等の圧縮データが伸張される。なお、1bit伸張器28には、2400dpiの解像度で1bitの階調を持つイメージデータが入力される。
1bit伸張器28によって伸張されたイメージデータは、0、255変換回路31によって1bitのイメージデータが0、255の多値に変換される。この時、1bitのオフを0、オンを255に置き換えることによって該変換が行われる。そして、N×Mブロック化回路29に入力され、例えば、5×5のブロックを抽出して、エッジ判定回路32でエッジを判定し、判定結果に応じてローパスフィルタ34によるデスクリーニング処理(本実施形態では、1bitを8bitに変換)、または2値化回路36による2値化処理(デスクリーニング処理を禁止する処理)が行われる。すなわち、エッジ部分以外についてはローパスフィルタによるデスクリーニング処理が行われ、エッジ部分については2値化回路36による2値化処理が行われる。
ここで、ローパスフィルタ34によるデスクリーニング処理が行われたイメージデータはTRC回路37によってYMCKデータの階調特性が各色毎、記録媒体毎、環境条件毎に補正される。
なお、エッジ判定回路32は本発明の線画判定手段に相当し、0、255変換回路31、ローパスフィルタ34及び2値化回路36は本発明の変換手段に相当する。そして、0、255変換回路31及びローパスフィルタ34が本発明の第1の階調変換手段に相当し、0、255変換回路31及び2値化回路36が本発明の第2の階調変換手段に相当する。
そして、TRC回路37又は2値化回路36によって処理されたイメージデータはフォーマット変換回路38に出力され、IOTモジュール12に応じたフォーマット変換(例えば、デスクリーニングされたイメージデータと2値化処理されたイメージデータを合成する処理や2400dpiを600dpiに解像度変換する処理等)が行われた後にIOTインタフェース16を介してIOTモジュール12に出力されるようになっている。
すなわち、ビデオインタフェース10では、順次N×Mのブロック毎のイメージデータをローパスフィルタ34によってデスクリーニング処理を行うことによって、2400dpiの1bitデータを600dpiの8bitデータに変換するようになっている。また、このとき、エッジ部分については、エッジ判定回路の判定結果に応じてデスクリーニング処理を禁止して2値(0又は255)を保持するように処理する。このような処理をN×Mブロック毎に1ピクセルずつずらしながら処理を行い、デスクリーニング処理を行ったイメージデータと2値化処理を行ったイメージデータを合成して、高解像度低階調のイメージデータをIOTモジュール12で処理できる低解像度高階調のイメージデータに変換するようになっている。
続いて、上述のように構成されたBEP装置600のビデオインタフェース10で行われる処理の流れの一例について説明する。図6は、ビデオインタフェース10で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、ステップ100では、1bitのTIFFフォーマットのイメージデータが読み取られる。すなわち、メモリコントローラ27によってSDRAM26に蓄積されたイメージデータが読み取られ、1bit伸張器28によって伸張され、ステップ101へ移行し、0、255変換回路31によって、1bitのオンが255、オフが0となるように多値に変換される。
続いて、ステップ102では、読み取られた1bitのTIFFフォーマットのイメージデータがN×Mブロック化回路29によってN×Mのブロック毎に読み取られ、ステップ104へ移行して、エッジ判定回路32によってエッジか否か判定される。該判定は、N×Mブロックの平均濃度とこれに対する予め定めた閾値に基づいて判定(例えば、平均濃度が閾値以上の場合にエッジと判定)するようにしてもよいし、CMYKの1bit(0、255変換回路によって変換されたデータ)の画像中で、N×M画素中にあるラン数(例えば、0や255)の連続した画像が続いた場合にエッジと判定するようにしてもよい。すなわち、エッジ判定回路32は、エッジを判定することによって文字や線画か否かを判定する。
ここで、ステップ104の判定が否定、すなわち、文字や線画以外の写真等の画像の場合には、ステップ106へ移行して、ローパスフィルタ34によるデスクリーニング処理が行われて、ステップ110へ移行する。これによって、1bitの低階調から8bitの高階調にイメージデータが変換される。なお、この時、ローパスフィルタ34によるデスクリーニング処理が行われたイメージデータは、TRC回路37によって、階調特性が各色毎、記録媒体毎、環境条件毎に補正される。
一方、ステップ104の判定が肯定、すなわち、文字や線画の場合には、ステップ108へ移行する。
ステップ108では、ローパスフィルタ34によるデスクリーニング処理が禁止されて、この部分については、2値化回路36によって、0又は255のままデータが保持されてステップ110へ移行する。すなわち、文字や線画がローパスフィルタ34によるデスクリーニング処理によってぼけてしまうのを防止することができる。なお、本実施形態では、ステップ108において、ローパスフィルタ34によるデスクリーニング処理を禁止して2値化処理を行うようにしたが、2値化処理を行った後に、ステップ106のデスクリーニング処理で用いるローパスフィルタよりも弱いローパスフィルタとなるフィルタ係数が設定されたローパスフィルタを用いたデスクリーニング処理を行うようにしてもよい。すなわち、文字や線画のギザツキを抑制する程度のディスクリーニング処理を行うことによって、なめらかな文字や線画とすることができる。また、この時のローパスフィルタ34よりも弱いローパスフィルタとなるように係数が設定されたローパスフィルタは本発明の第2の階調変換手段に相当する。
ステップ110では、全イメージデータについて上述の処理が終了したか否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ114へ移行して、注目画素を1ピクセル移動して、上述のステップ102に戻って、ステップ112の判定が肯定されるまで上述の処理が繰り返され、ステップ112の判定が肯定されたところでステップ112へ移行する。
ステップ112では、ローパスフィルタ34によってデスクリーニング処理されたイメージデータと、2値化処理によって保持されたイメージデータがフォーマット変換回路38によって合成されて一連の処理を終了する。なお、イメージデータの合成を行う際に、フォーマット変換回路38によって、同時にIOTモジュール12に対応する解像度に変換される。本実施形態では、2400dpiから600dpiに変換される。これによって、CTP用に作成されたイメージデータを画像形成装置11で使用することが可能となり、CTPとオンデマンド印刷を共用することができる。
なお、本実施形態では、全画素についてステップ102〜108の処理が終了したところで、ローパスフィルタ34によってデスクリーニング処理されたイメージデータと、2値化処理によって保持されたイメージデータを合成するようにしたが、各画素についてステップ102〜108の処理を行って順次合成するようにしてもよい。
本実施形態では、解像度階調変換する際には、詳細にはステップ104のエッジ判定の結果を表すタグ(tag)を生成し、タグに応じてローパスフィルタ34によるデスクリーニングと2値化処理を使い分けるようになっている。例えば、0と1のタグを用いて、0がエッジではないことを表し、1がエッジであることを表すタグとし、タグが0の場合に、ローパスフィルタ34によるデスクリーニング処理を行い、タグが1の場合に、2値化回路36による2値化処理を行うようになっている。
すなわち、1bitTIFFフォーマットから得られる画像を全てローパスフィルタ34によってデスクリーニング処理すると、図7に示すように多値化画像に変換して画像形成装置11に出力することができるが、文字や線画が潰れたり、かすれたりしてしまう。そこで、本実施形態のBEP装置のビデオインタフェース10では、上述のように、1bitの情報から全てをローパスフィルタによるデスクリーニング処理を行わずに、文字や線画は0、255の情報で保持して、中間調のみをローパスフィルタによるデスクリーニング処理を行うようになっている。これによって、解像度階調変換を行うことによる文字や線画の劣化を防止することができる。なお、図7の左側が1bitで表される画像の一例を示し、中央が左側の1bitを8bitに階調変換した場合の画像の一例を示す。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
なお、圧縮/伸張の処理に際しては、線画や文字等主に2値で表される画像オブジェクト(線画文字オブジェクトLW(Line Work))と背景部や写真部等主に多階調で表される画像オブジェクト(多階調画像オブジェクトCT(Continuous Tone))等、画像オブジェクトの特性に応じて、適応した処理とすることもできる。
また、本実施形態では、N×Mブロック化回路29によってイメージデータをN×Mブロックとして、エッジ判定を行い、判定結果に応じてデスクリーニング処理を行うようにしたが、エッジ判定は、BEP装置600のユーザインタフェース装置18を用いて手動で指示(デスクリーニング処理を禁止する部分の座標による指示、GUIを用いたデスクリーニング処理禁止領域の指示、JDFにデスクリーニング禁止領域を記述することによる指示等)するようにしてもよい。例えば、図8に示すように、写真領域Sと文字領域Mが分かっている場合には、文字領域Mを予め座標等で指定したり、GUI等を用いて指定したりすることによって、デスクリーニング禁止領域(2値化処理領域)に設定するようにしてもよい。