JP2005261309A - プロジギオシン類色素の製造方法およびそれに使用する新規な微生物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 プロジギオシン類色素を大量に産生することのできるプロジギオシン類色素の製造方法を提供する。
【解決手段】 ハヘラ属(Hahella)に属するMS02−063菌株を栄養培地で培養し、プロジギオシン類色素を産生させ、産生された色素を単離し、回収するプロジギオシン類色素の製造方法、およびそれに使用するハヘラ属(Hahella)に属する新規微生物であるMS02−063菌株(FERM P−19635)である。
【選択図】 なし
【解決手段】 ハヘラ属(Hahella)に属するMS02−063菌株を栄養培地で培養し、プロジギオシン類色素を産生させ、産生された色素を単離し、回収するプロジギオシン類色素の製造方法、およびそれに使用するハヘラ属(Hahella)に属する新規微生物であるMS02−063菌株(FERM P−19635)である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プロジギオシン類色素の製造方法およびそれに使用する新規な微生物に関し、詳しくは、プロジギオシン類色素を大量に産生することのできるプロジギオシン類色素の製造方法およびそれに使用する新規な微生物に関する。
プロジギオシン類色素は赤色を呈し、霊菌(セラチア・マルセスセンス)が産生する代表的な赤色色素であり、放線菌や海洋微生物からの産生も報告されている。このプロジギオシン類色素には抗癌作用や抗マラリア活性や抗微生物活性があることも報告されている。
例えば、特許文献1には、従来の抗癌剤と異なる機構で制癌作用を示す抗癌剤として、シクロプロジギオシンまたはその薬理上許容される塩を有効成分とする抗癌剤が報告されている。
また、特許文献2には、即効性があり、安全な抗原虫剤、特に抗マラリア薬として、シクロプロジギオシンあるいはその薬理的に許容される塩を有効成分とする抗原虫剤、特に抗マラリア薬が報告されている。
しかしながら、上述のようにプロジギオシン類色素の薬効は医薬業界で期待されているにもかかわらず、プロジギオシン類色素の標準品の入手は困難であった。
そこで本発明の目的は、この様な状況下において、プロジギオシン類色素を大量に産生することのできるプロジギオシン類色素の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、赤色色素産生菌を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、大量のプロジギオシン類色素を産生する微生物を発見し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ハヘラ属(Hahella)に属するMS02−063菌株を栄養培地で培養し、プロジギオシン類色素を産生させ、産生された色素を単離・回収することを特徴とするプロジギオシン類色素の製造方法である。
また、本発明は、上記方法において好適に使用することのできるハヘラ属(Hahella)に属するMS02−063菌株(FERM P−19635)である。
本発明者らは、環境微生物から産生される生理活性物質を探索することを目的に環境微生物の培養上清をスクリーニングしたところ、大量のプロジギオシン類色素を産生する微生物を発見するに至った。
本発明によれば、プロジギオシン類色素を大量に培地中に産生する微生物を用いることで、多量のプロジギオシン類色素を提供することができる。
本発明方法で用いるハヘラ属(Hahella)に属するMS02−063菌株は、大村湾喜々津における汽水域より得られた泥土より、イースト・麦芽寒天海水培地(酵母エキス0.4%、麦芽エキス1%、デキストロース0.4%、寒天1.5%、50%人工海水)で培養し、形成されたコロニーを分離することにより取得したものである。
このようにして得られたプロジギオシン類産生微生物MS02−063菌株は、非発酵性陰性桿菌で、運動性はない。また、遊走子を有する細胞を産する能力を有する。本菌は、培養初期段階(約培養12時間)では色素を産生せず、その後、急激に赤色色素を産生する。また、汽水域に生存していたため、約0.5%以上の塩が必要であることを特徴とする。MS02−063菌株の菌学的性質を下記の表1に示す。
本発明のプロジギオシン類産生微生物MS02−063菌株は、文献未掲載の新規な菌であり、特許生物寄託センターに寄託番号FERM P−19635として寄託されている。
かかる微生物MS02−063菌株を培養する方法は、特に制限されるべきものではなく、例えば、固体培地にコロニーを作らせて、そのコロニーを液体培地で培養してもよい。本発明に用いる培地は、一般的な栄養培地であれば使用でき、例えば、YPG培地−30%人工海水(イースト抽出物 1.25%、ペプトン 1.25%、グルコース 3%)を好適に使用することができる。
培養温度は、15℃〜37℃までの培養が可能であるが、好ましくは20℃〜30℃である。また、培養時のpHは、5.5〜10、好ましくはpH6.0〜9.0である。さらに、培地の塩濃度は、NaCl量として0.5〜3.0%において増殖可能であるが、好ましくは0.5〜1.5%であり、より好ましくは約1%である。培養期間は、一晩以上で赤色色素を大量に産生し、好ましくは1.5日程度であるが、この培養日数も限定されるものではない。
次の、産生された色素を単離・回収する方法も、特に制限されるべきものではなく、使用される赤色色素の形態や抽出溶媒の種類などに応じて適宜変更すればよい。例えば、赤色色素の溶媒抽出物を、以下の方法で得ることができる。なお、詳細な抽出手順については以降の実施例で説明する。
先ず、コロニーが培養された培養液を、好ましくは凍結乾燥する。次いで、得られた凍結乾燥標品に適当な抽出溶媒を加え赤色色素を抽出する。赤色色素を得るのに使用される抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜8までのアルコール類、クロロホルム、酢酸エチル等のエステル系有機溶媒、または水と前記アルコールとの混合溶液が挙げられ、とりわけアルコールを使用することが好ましく、最も好ましくは、メタノール、エタノールを使用する。抽出は、例えば、凍結乾燥標品に適当量の所望の抽出溶媒を加えて、超音波処理した後、遠心し、その上清を得る。必要に応じて、残渣に新たに抽出溶媒を加え、同様の手法を1〜2回繰り返し、抽出してもよい。
上記の方法で得られた溶媒抽出物をカラムクロマトグラフィーなどの既知の分離精製方法に付することにより、所望のプロジギオシン類色素を簡単に単離することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明するが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
実験例1
150mlのYPG培地−30%人工海水(イースト抽出物 1.25%、ペプトン 1.25%、グルコース 3%)の入った500mlバッフルフラスコ4本に、すでにYPG寒天培地−30%人工海水で前培養したMS02−063菌株を1エーゼ植え付け、28℃で振盪培養した。2日後、培地は鮮明な赤色を呈していた。
実験例1
150mlのYPG培地−30%人工海水(イースト抽出物 1.25%、ペプトン 1.25%、グルコース 3%)の入った500mlバッフルフラスコ4本に、すでにYPG寒天培地−30%人工海水で前培養したMS02−063菌株を1エーゼ植え付け、28℃で振盪培養した。2日後、培地は鮮明な赤色を呈していた。
次いで、培養液を遠心管に集め、3000rpm、20分間遠心することにより、上清を回収した。この培養上清を凍結乾燥により、濃縮乾固した。この乾燥物にメタノールを加え、色素を抽出した。なお、菌体には色素が見られず、培地中に析出している赤色色素が観察された。
得られたメタノール抽出物に当量のクロロホルムを加え、遠心により、沈澱物を除去後、ロータリーエバポレーターで蒸留濃縮した。この試料をセファデックスLH−20カラムに供し、赤色部分のフラクションを回収し、更にそのフラクションをHPLCで分離、精製した。精製したプロジギオシン類色素の吸収スペクトルを図1に示す。
実験例2
実験例1と同様の培養方法に従いつつ、培養温度を変化させ、MS02−063菌株を培養することにより、至適培養温度の検討を行った。各温度における生物体量の乾燥重量およびプロジギオシン類色素の光学密度を測定した。その結果を図2に示す。培養温度は15℃〜37℃までの培養が可能であるが、好ましくは20℃〜30℃であることが分かった。
実験例1と同様の培養方法に従いつつ、培養温度を変化させ、MS02−063菌株を培養することにより、至適培養温度の検討を行った。各温度における生物体量の乾燥重量およびプロジギオシン類色素の光学密度を測定した。その結果を図2に示す。培養温度は15℃〜37℃までの培養が可能であるが、好ましくは20℃〜30℃であることが分かった。
実験例3
実験例1と同様の培養方法に従いつつ、培養pHを変化させ、MS02−063菌株を培養することにより、至適培養pHの検討を行った。各pHにおける生物体量の乾燥重量およびプロジギオシン類色素の光学密度を測定した。その結果を図3に示す。培養pHは5.5〜10までの培養が可能であるが、好ましくは6.0〜9.0であることが分かった。
実験例1と同様の培養方法に従いつつ、培養pHを変化させ、MS02−063菌株を培養することにより、至適培養pHの検討を行った。各pHにおける生物体量の乾燥重量およびプロジギオシン類色素の光学密度を測定した。その結果を図3に示す。培養pHは5.5〜10までの培養が可能であるが、好ましくは6.0〜9.0であることが分かった。
実験例4
実験例1と同様の培養方法に従いつつ、NaCl濃度を変化させ、MS02−063菌株を培養することにより、至適培養NaCl濃度の検討を行った。各NaCl濃度における生物体量の乾燥重量およびプロジギオシン類色素の光学密度を測定した。その結果を図4に示す。培養NaCl濃度は0.5%より培養が可能であるが、好ましくは約1.0%であることが分かった。
実験例1と同様の培養方法に従いつつ、NaCl濃度を変化させ、MS02−063菌株を培養することにより、至適培養NaCl濃度の検討を行った。各NaCl濃度における生物体量の乾燥重量およびプロジギオシン類色素の光学密度を測定した。その結果を図4に示す。培養NaCl濃度は0.5%より培養が可能であるが、好ましくは約1.0%であることが分かった。
実験例5
実験例1と同様の培養方法に従いつつ、MS02−063菌株を培養し、時間ごとの生物体量の乾燥重量およびプロジギオシン類色素の光学密度を測定することにより、至適培養時間の検討を行った。その結果を図5に示す。培養時間は一晩以上で赤色色素を大量に生産するが、好ましくは1.5日程度であることが分かった。
実験例1と同様の培養方法に従いつつ、MS02−063菌株を培養し、時間ごとの生物体量の乾燥重量およびプロジギオシン類色素の光学密度を測定することにより、至適培養時間の検討を行った。その結果を図5に示す。培養時間は一晩以上で赤色色素を大量に生産するが、好ましくは1.5日程度であることが分かった。
本発明により従来に比べ容易に多量のプロジギオシン類色素を提供することができる結果、プロジギオシン類色素には抗癌作用や抗マラリア活性や抗微生物活性があることが報告されていることから、その薬効が医薬業界で期待されている。
Claims (5)
- ハヘラ属(Hahella)に属するMS02−063菌株を栄養培地で培養し、プロジギオシン類色素を産生させ、産生された色素を単離し、回収することを特徴とするプロジギオシン類色素の製造方法。
- 前記栄養培地での培養を、培養温度15℃〜37℃にて行う請求項1記載のプロジギオシン類色素の製造方法。
- 前記栄養培地での培養を、培養pH5.5〜10にて行う請求項1または2記載のプロジギオシン類色素の製造方法。
- 前記栄養培地での培養を、培養NaCl濃度0.5〜3.0%にて行う請求項1〜3のうちいずれか一項記載のプロジギオシン類色素の製造方法。
- 請求項1〜4のうちいずれか一項記載の製造方法に使用するハヘラ属(Hahella)に属するMS02−063菌株(FERM P−19635)。
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JP2004078807A JP2005261309A (ja) | 2004-03-18 | 2004-03-18 | プロジギオシン類色素の製造方法およびそれに使用する新規な微生物 |
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KR100661175B1 (ko) | 2005-12-20 | 2006-12-22 | 한국해양연구원 | 프로디지오신을 함유하는 살조제제 및 프로디지오신 생합성유전자 클러스터 |
KR100957206B1 (ko) | 2008-02-12 | 2010-05-11 | 한국해양연구원 | 프로디지오신 고생성능을 가지는 하헬라 제주엔시스변이균주 및 이를 이용한 프로디지오신의 제조방법 |
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