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JP2005255670A - ローヤルゼリー由来の降圧ペプチド - Google Patents

ローヤルゼリー由来の降圧ペプチド Download PDF

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JP2005255670A
JP2005255670A JP2005016856A JP2005016856A JP2005255670A JP 2005255670 A JP2005255670 A JP 2005255670A JP 2005016856 A JP2005016856 A JP 2005016856A JP 2005016856 A JP2005016856 A JP 2005016856A JP 2005255670 A JP2005255670 A JP 2005255670A
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leu
ser
royal jelly
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proteolysate
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JP2005016856A
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Tadashi Yanagida
正 柳田
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Yamada Bee Farm Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】安全で降圧作用の高いACE阻害剤を提供する。
【解決手段】ローヤルゼリー素材をトリプシンで処理してなるアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有する蛋白分解物。
【選択図】図1

Description

本発明は、ローヤルゼリー由来の蛋白分解物及びその製造方法並びに、該蛋白分解物を含む食品、経口摂取用製剤に関する。本発明の蛋白分解物は、アンジオテンシン変換酵素阻害作用、ブラジキニン(bradykinin)誘発腸管収縮反応増強作用を有し、高血圧の予防ないし治療に有効である。
高血圧症は、自覚症状が無く、放置すると心臓病、脳血管障害といった重大な疾患を二次的に引き起こす疾病であり、高血圧症の治療および予防が大きな課題となっている。高血圧症にはアンジオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting Enzyme 、以下ACEという)が深く関与することが知られており、ACEを阻害することにより高血圧を予防ないし治療することが可能である。
一方、高血圧の予防ないし治療は長期間摂取することが必要となるため、副作用が極めて低いことも重要な要因となり、高血圧を予防する食品の開発が求められている。
ローヤルゼリーは、ミツバチが女王蜂を育てるために頭部の下咽頭腺と大あご腺から分泌した乳白色のゼリー状の物質で、人の食品としての摂取暦は長く、滋養、強壮、体質改善等の広範な作用があるといわれている。そのタンパク質の酵素分解物について研究され、ACE阻害活性を有するローヤルゼリー由来のペプチドも知られている(特許文献1〜3、非特許文献1〜6)。
しかしながら、これらのペプチドはローヤルゼリー素材の加水分解により得られる量とACE阻害活性の強さ、即効性、副作用、作用の持続時間、摂取する形状、保存安定性のバランスの観点から、工業化に向けて改善の余地があった。
特許第3068656号 特開2002−145899 特開2002−338594 Journal of Nutritional Biochemistry 13 (2002) pp.80-86 診断と新薬、第39巻、第2号、2002年、85−90頁 日本食品科学工学会誌、第50巻、第10号 457-462頁 (2003). 日本食品科学工学会誌、第50巻、第6号 286-288頁 (2003). 日本食品科学工学会誌、第50巻、第7号 310-315頁 (2003) 日本食品科学工学会誌、第51巻、第1号 34-37頁 (2004).
本発明は、副作用がなく、高血圧の予防作用を有する蛋白分解物、その製造方法、該蛋白分解物を含む食品及び経口摂取用製剤を提供することを目的とする。
本発明はまた、即効性、効果の持続性及び保存安定性を有するACE阻害物質、該阻害物質を含む高血圧の予防ないし治療剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、生ローヤルゼリー、乾燥ローヤルゼリーをエタノール沈殿した変性タンパク質などのローヤルゼリー素材を蛋白分解酵素、例えばトリプシンで加水分解することにより、高血圧を予防することが可能な蛋白分解物が得られることを見出した。
また、本発明の蛋白分解物は強力なACE阻害作用を有するが、ACE阻害作用から予想されるよりも強力な高血圧の予防または治療作用を有しており、その作用の一部は降圧作用を有するブラジキニンの分解抑制作用に基づくものと推測される。
該蛋白分解物は、アレルギー作用などの副作用が低く、ローヤルゼリー由来の安全な食品であり、正常高値或いは軽症高血圧などの血圧が高めのヒトに対し特に有用な降圧作用ないし高血圧予防作用を有しており、特定保健用食品などの食品として特に有用である。
本発明の蛋白分解物を正常高値及び軽症高血圧のヒトに投与したところ、有意な血圧低下作用が確認され、しかも摂取終了後に血圧が緩やかに上昇し、摂取前値を超えるようなリバウンドはなく、脈拍、体重・BMI、血液検査、尿検査に異常はなく、空咳、皮膚症状、消化器症状などのローヤルゼリー分解物と因果関係があり得る副作用がなく、安全性の高いものであることが確認された。
本発明は、以下の発明を提供するものである。
1. ローヤルゼリー素材をトリプシンで処理してなるアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有する蛋白分解物。
2. ローヤルゼリー素材が、ローヤルゼリーのアルコール変性タンパク質である項1に記載の蛋白分解物。
3. ローヤルゼリー素材に由来する蛋白分解物であって、下記式
Figure 2005255670
で表されるGlyを基準にしたときのLysの酵素分解後の残存率(モル比)が、ローヤルゼリー素材の70%以下である蛋白分解物。
4. ローヤルゼリー素材に由来する蛋白分解物であって、下記式
Figure 2005255670
で表されるLysを基準にしたときのLeuの含有割合(モル比)が、ローヤルゼリー素材の1.3倍以上である蛋白分解物。
5. ローヤルゼリー素材に由来し(1)無機塩類および(2)酸性遊離アミノ酸、塩基性遊離アミノ酸、アルコール性水酸基を有する遊離アミノ酸、遊離Alaおよび遊離Glyからなる群から選ばれる少なくとも1種を実質的に含まない項3又は4に記載の蛋白分解物。
6. ローヤルゼリー素材に由来し、(1)無機塩類並びに(2)遊離酸性アミノ酸および遊離塩基性アミノ酸を実質的に含まない項5に記載の蛋白分解物。
7. ローヤルゼリー素材に由来し、(1)無機塩類並びに(2)酸性遊離アミノ酸(Asp,Glu)、塩基性遊離アミノ酸(Lys,His,Arg)、アルコール性水酸基を有する遊離アミノ酸(Thr,Ser)、遊離Alaおよび遊離Glyを実質的に含まない項6に記載の蛋白分解物。
8. 糖分の含有量が35重量%以下であり、40℃2ヶ月の加速試験条件下で実質的に変色しない項3〜5のいずれかに記載の蛋白分解物。
9. ゲル濾過カラムでの分析により分子量10000以上の成分は実質的に認められず、分子量200〜1500程度の範囲に最大のピークを有し、分子量200〜300程度のシャープなピークを有する項3〜6のいずれかに記載の蛋白分解物。
10. 平均分子量が700〜6000程度の範囲内にある項3〜6のいずれかに記載の蛋白分解物。
11. 前記蛋白分解物を下記の特性を有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体のカラム(4.6mmφ×150mm)を通したとき、下記式で表される関与成分含量(%)が35%以上、好ましくは40%以上である項1〜10のいずれかに記載の蛋白分解物
・ スチレン・ジビニルベンゼン共重合体の特性
粒度分布;30μm
細孔径;250Å
官能基;なし
適用pH範囲:全領域。
・関与成分含量(%)=A1/AT×100
T1:トリプトファンの保持時間
T2:10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸の保持時間
A1:T1の溶出位置に検出されるピークの後ろから,T2の溶出位置に検出されるピークの前までのピーク面積の合計
AT:全てのピーク面積の合計。
12. 前記関与成分含量が58±5%である項11に記載の蛋白分解物。
13. 以下の9種のペプチドの少なくとも1種を含む項1〜12のいずれかに記載の蛋白分解物。
Glu-Trp-Lys;
His-Pro-Ala-Leu;
Thr-Phe;
Ser-Pro-Leu;
Asn-Leu-Tyr;
Leu-Ser-Tyr;
Thr-Pro-Phe;
Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr;
Tyr-Ser-Pro-Leu。
14. 前記蛋白分解物を下記の特性を有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体のカラムを通し、水(フラクション1,2)、20%メタノール(フラクション3)、40%メタノール(フラクション4)、60%メタノール(フラクション5)、80%エタノール(フラクション6)、100%エタノール(フラクション7)で溶出したときのフラクションのうち、フラクション3〜6を含む、項1〜11のいずれかに記載の蛋白分解物。
15. フラクション3に
Glu-Trp-Lys、
His-Pro-Ala-Leuおよび
Thr-Phe
からなる群から選ばれる少なくとも1種のペプチドを含み、フラクション4に、Thr-Phe;
Ser-Pro-Leu;
Asn-Leu-Tyr;
Leu-Ser-Tyr;
Thr-Pro-Phe;
Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr;
Tyr-Ser-Pro-Leu
からなる群から選ばれる少なくとも1種のペプチドを含む、項14に記載の蛋白分解物。
16. 項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物を有効成分とする高血圧の予防ないし治療剤。
17. 項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物を含む食品。
18. 高血圧予防用食品である項17に記載の食品。
19. 項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物を含む経口摂取用製剤。
20. 次の7種ペプチドから選ばれる少なくとも一種のペプチドを有効成分として含有する高血圧の予防ないし治療剤:
Glu-Trp-Lys;
His-Pro-Ala-Leu;
Thr-Phe;
Ser-Pro-Leu;
Asn-Leu-Tyr;
Leu-Ser-Tyr;
Thr-Pro-Phe;
Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr;
Tyr-Ser-Pro-Leu。
21. 項20に記載の蛋白分解物を含む食品。
22. 高血圧予防用食品である項21に記載の食品。
23. 項20に記載の少なくとも1種のペプチドを含む経口摂取用製剤。
24. 明らか食品および/またはサプリメントからなる食品形態である項19に記載の製剤。
25. 項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物を有効成分とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
26. ローヤルゼリー素材をトリプシンで処理することを特徴とする項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物の製造方法。
27. トリプシン処理で得られた蛋白分解物を合成吸着剤で処理し、(1)無機塩類および(2)酸性遊離アミノ酸、塩基性遊離アミノ酸、アルコール性水酸基を有する遊離アミノ酸、遊離Alaおよび遊離Glyからなる群から選ばれる少なくとも1種を除去することを特徴とする項26に記載の方法。
28. トリプシン処理で得られた蛋白分解物をスチレン・ジビニルベンゼン共重合体に吸着し、水洗して無機塩及び水溶性アミノ酸を除去し、次いで含水アルコールで溶出することを特徴とする項26に記載の方法:
29. スチレン・ジビニルベンゼン共重合体が下記の特性を有する項28に記載の方法:
粒度分布:>250μm(250μmより大きい粒子径のものを90%以上含む)
細孔径:400Å
官能基:なし
適用pH範囲:全領域。
30. 以下の5種のペプチドのいずれかからなる新規ペプチド:
His-Pro-Ala-Leu;
Asn-Leu-Tyr;
Leu-Ser-Tyr;
Tyr-Ser-Pro-Leu;
Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr。
本発明のローヤルゼリー素材由来の蛋白分解物は、経口摂取で強力なACE阻害作用を示し、高血圧の予防ないし治療に有効である。また、酵素としてトリプシンを使用することで、ペプシン、キモトリプシンを使用した場合と比較して単位重量当たりのACE阻害活性及び蛋白分解物の収量を向上させることができ、ローヤルゼリー素材の有効利用を図ることができる。
本発明の蛋白分解物は、抗原となり得る分子量2万以上のタンパク質含量が低下され、好ましい蛋白分解物では抗原となり得る分子量1万以上のタンパク質はほとんど或いは全く有しない。従って、本発明の蛋白分解物は、アレルギー反応をより強く抑制することができ、アレルギー反応はほとんど認められない。
さらに、本発明と蛋白分解物は、脈拍、体重・BMI、血液検査、表検査に異常はなく、空咳、皮膚症状、消化器症状などの副作用のない安全なものである。
脱塩操作がなされた本発明の蛋白分解物は、昇圧物質となり得る塩類、特に塩化ナトリウムの含量が極めて低い。また、脱塩操作により遊離アミノ酸や糖質などの他の成分の含量が低下し、吸湿性やメイラード反応などの化学反応が抑制され、より安定性の高い蛋白分解物を得ることができる。
本発明の蛋白分解物を長期間摂取することにより、血圧を緩やかに且つ持続的に低下させることができ、正常血圧の被験者が高血圧さらには、高血圧に起因する各種の疾患を予防することができる。
本発明の蛋白分解物は、作用持続時間(8〜12時間)が長く、血圧が緩やかに低下するため、当該蛋白分解物を服用した場合、1日の血圧の変動が小さく、血圧のコントロールが容易である。例えば朝服用すれば、活動時間中は血圧を低下させ、就寝中は血圧を低下させないため、血圧が高めのヒトが服用した場合の理想的な作用パターンを有している。また、服用中止後は緩やかに血圧が上昇し、服用前の血圧を超えるようなリバウンドは観察されない。
本発明の蛋白分解物は、変異原性や抗原性試験に対し陰性の結果が得られており、血圧変動が少ないことや心拍数・体重に及ぼす影響がほとんどなく、安全性に優れた素材である。
本発明の蛋白分解物は、高血圧症の危険因子(遺伝的、環境的素因など)を有する正常高値または軽症高血圧の人ないし高血圧患者が摂取するのに適している。
本発明において、ローヤルゼリー素材としては、ローヤルゼリーのタンパク質を含む素材を意味するものであり、この要件を満たしていれば特に限定されず、例えば生ローヤルゼリー、乾燥ローヤルゼリー、ローヤルゼリーをエタノール沈殿、硫安処理、加熱処理等の蛋白変性処理を行って得られた蛋白沈殿物(エタノール沈殿物を含む)、或いは、ローヤルゼリーを抽出、濾過、遠心分離、クロマトグラフィー等の種々の手段により分画後のタンパク質を含む素材を意味する。
ローヤルゼリーは、いかなるものであってもよく、女王蜂を育てるために蜜蜂が分泌するものを広く用いることができる。具体的には、ローヤルゼリーは、蜜蜂のうち働き蜂が下咽頭腺及び大腮腺から分泌する分泌物を混合してつくる乳白色のゼリー状物質である。
ローヤルゼリー由来のタンパク質分画としては、ローヤルゼリーをアルコール沈殿、して採取した蛋白分画を好適に用いることができる。特にローヤルゼリー飲料の製造時に水不溶性タンパクとして副生するローヤルゼリーのエタノール変性タンパク質を使用するのが好ましい。エタノール変性タンパク質は、50〜100容量%程度のエタノールを使用してローヤルゼリーからデセン酸等の飲料用の生理活性物質を抽出した残渣の水に対する溶解度が小さいタンパク質として得ることができる。
本発明のローヤルゼリー素材の酵素分解物は、トリプシンにより加水分解を行うことにより得ることができる。トリプシンは、トリプシノーゲンの限定加水分解によって生成する活性型のα−トリプシンとβ−トリプシンがあり、そのいずれを使用してもよい。また、トロンビン、プラスミン、カリクレイン、ウロキナーゼなどの基質特異性と触媒機構が類似するトリプシン類縁酵素をトリプシンとして使用することもできる。さらに、トリプシン(トリプシン類縁酵素を包含する)の1以上のアミノ酸を置換、付加、欠失、挿入等により改変した変異型酵素を使用してもよい。このような変異型トリプシン及びトリプシン類縁酵素も本発明のローヤルゼリー素材の酵素分解に使用されるトリプシンに包含される。トリプシンの由来としては、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヒトなどの哺乳動物が挙げられる。ローヤルゼリー素材の加水分解には、ウシ、ブタ等の哺乳動物の膵臓から抽出したトリプシンを使用してもよく、遺伝子組換えにより得られたトリプシンを使用してもよい。
ローヤルゼリー素材をトリプシンで処理する条件としては、例えば、水性溶媒中約15℃から約60℃、好ましくは約20℃から約50℃、特に37℃前後で、1〜72時間程度、好ましくは3〜48時間程度処理することにより好ましく実施することができる。トリプシンの使用量は、例えばタンパク質100g当たり0.01〜3g程度、好ましくは0.05〜1g程度である。トリプシンは遊離の酵素を用いてもよく、担体に固定化した酵素を使用してもよい。トリプシンとしては、具体的にはRoche Diagnostics製のウシ由来トリプシン、Novozyme製のブタ由来トリプシンを好ましく使用できる。
酵素反応液のpHは、6〜10程度、好ましくは7〜9程度である。ローヤルゼリー素材をトリプシンで加水分解すると、pHが徐々に低下するので、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)などの塩基を使用してpHを一定の範囲内に保持するのが好ましい。
反応液は水を好適に使用できるが、少量のエタノール等の水混和性有機溶媒を含む、含水エタノール等の水性溶媒中で行ってもよい。
酵素分解物の反応液は、加熱処理、必要に応じてさらに遠心分離、濾過、抽出、脱塩、凍結乾燥やスプレードライ(または、噴霧乾燥)などの後処理を行い、本発明の蛋白分解物を得ることができる。例えば、ローヤルゼリー素材として生ローヤルゼリー或いは乾燥ローヤルゼリーを使用した場合、ローヤルゼリー由来の糖質等の成分を除去することもできる。本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、本発明のローヤルゼリー素材の蛋白分解物は、ゲル濾過カラムにより測定された分子量が200〜7000程度、特に250〜6000程度を有し、分子量200〜300程度のシャープなピークと、分子量200〜1500程度の範囲に最大のピークを有する。ゲル濾過カラムの測定結果から推定される蛋白分解物の推定分子量は、700〜6000程度、好ましくは800から5000程度である。
本発明の他の好ましい実施形態の1つにおいて、本発明のローヤルゼリー素材の蛋白分解物は、糖類や塩類及び酸性遊離アミノ酸、塩基性遊離アミノ酸、アルコール性水酸基を有する遊離アミノ酸、遊離Alaおよび遊離Glyからなる群から選ばれる少なくとも1種を実質的に含まないものである。既述のように、ローヤルゼリー素材をトリプシン処理した場合、蛋白加水分解の進行につれて反応液のpHが低下していくために、水酸化ナトリウムなどの塩基を加えて反応液のpHをトリプシンの好適なpHである6〜10,特に7〜9程度に維持するのが好ましい。このようにして添加された塩基(例えば水酸化ナトリウム)は、酵素反応後に反応液に酸(例えば塩酸)を加えてpHを3.5〜7程度、好ましくは4〜5.5程度に調整し、塩基(例えば水酸化ナトリウム)を対応する塩(例えば塩化ナトリウム)に導く。この際に生成する多量の塩は、特に塩化ナトリウムのようなナトリウムを含有する塩の場合、ナトリウムが昇圧物質であるため、除去するのが望ましい。この脱塩は、例えば脱塩カラムを使用することにより実施することができ、具体的には、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体を含む疎水性の合成吸着剤(例えばダイヤイオンHP−20(三菱化学製)、セパビーズSP−70(三菱化学製))を用いて蛋白分解物を吸着し、塩化ナトリウムのような塩を水で洗浄除去し、次いで、メタノール、エタノール、アセトニトリルなどの適切な有機溶媒を用いて溶出することにより、脱塩され、無機塩類を実質的に含まない蛋白分解物を得ることができる。脱塩に合成吸着剤を使用すると、例えばAsp,Glu,Lys,Arg等の疎水性の合成吸着剤に吸着されにくい酸性又は塩基性の遊離アミノ酸等は無機塩類とともに除去され、一方、Phe,Leu,Ile,Trp,Val等の疎水性であって、合成吸着剤に吸着されやすい遊離アミノ酸は、脱塩操作によっても除去されにくい。なお、Ser,Thrなどのアルコール性水酸基を有する遊離アミノ酸、さらに遊離Ala,遊離Glyなどについても疎水性の合成吸着剤に吸着されにくいため、酸性又は塩基性の遊離アミノ酸と同様に無機塩類とともに除去されやすい。
本発明の1つの実施形態において、ローヤルゼリーの蛋白分解物中には、遊離Lysが比較的多く産生するが、合成吸着剤カラムを用いた脱塩処理によって大部分が水洗除去されるので、エタノール等で溶出し回収した分画の蛋白分解物には、遊離Lysは実質的に含まれない。
本発明の他の実施形態において、ローヤルゼリーの蛋白分解物中には、遊離Alaも多く存在し、遊離Alaについても合成吸着剤カラムを用いた脱塩処理によって大部分が水洗除去されるので、エタノール等で溶出し回収した分画の蛋白分解物には、遊離Alaは実質的に含まれない。
ここで、「遊離アミノ酸を実質的に含まない」とは、当該遊離アミノ酸の含量が、約0.01μmol/10mg以下、好ましくは約0.001μmol/10mg以下、より好ましくは0.0001μmol/10mg以下であることを意味する。
本明細書において、「酸性アミノ酸」はGluおよびAspを意味し、塩基性アミノ酸はLys,His,Argを意味し、アルコール性水酸基を有するアミノ酸としては、Thr,Serを意味する。
好ましい実施形態の1つにおいて、本発明の蛋白分解物における塩類(特に塩化ナトリウム)の含量は、1重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、特に検出限界以下である。
上記のように、脱塩処理により、塩基性遊離アミノ酸、酸性遊離アミノ酸、アルコール性遊離アミノ酸、遊離Ala、遊離Glyなどの濃度は低下するが、ACE阻害活性の低下はほとんど或いは全くない。これは、塩基性遊離アミノ酸、酸性遊離アミノ酸、アルコール性遊離アミノ酸、遊離Ala、遊離GlyなどのACE阻害活性に対する寄与率が低いためと考えられる。
本発明の好ましい他の1つの実施形態において、本発明の蛋白分解物は、Glyを基準にしたときのLysの残存率(モル数で比較)が、ローヤルゼリー素材の25〜70%、30〜60%、35〜55%、40〜50%以下、42〜48%または44〜46%である。例えば本発明の実施例で得られた蛋白分解物に関し、
酵素分解前のローヤルゼリー素材(エタノール沈殿物)
Gly(1モル)に対しLys(1.09モル)
酵素分解物(合成吸着剤を充填したカラム処理で脱塩後、回収したサンプル)
Gly(1モル)に対しLys(0.49モル)
になるので、数1に従いLysの残存率を計算すると、
100×(0.49/1.09)=44.95%となる。
ローヤルゼリー素材、分解条件により多少の変動はあるが、蛋白分解物を合成吸着剤により吸着して脱塩した場合、遊離Lysの含有濃度は相もとの分解物と比較して低くなることが明らかである。
本発明の好ましい他の1つの実施形態において、本発明の蛋白分解物は、Lysを基準にしたときのLeuの含有割合(モル比)が、ローヤルゼリー素材の1.3〜3.5倍程度、例えば1.5〜3倍程度、1.7〜2.7倍程度或いは2〜2.5倍程度である。例えば本発明の実施例で得られた蛋白分解物に関し、
酵素分解前のローヤルゼリー素材(エタノール沈殿物)
Lys(1モル)に対しLeu(1.08モル)
酵素分解物(合成吸着剤を充填したカラム処理で脱塩後、回収したサンプル)
Lys(1モル)に対しLeu(2.49モル)
になるので、数1に従いLysの含有割合(モル基準)を計算すると、
2.49/1.08=約2.3倍である。
本発明の蛋白分解物において、分解されていないより高分子量のタンパク質、トリプシンなどが残存している場合、必要に応じて、限外濾過などにより除去することが可能である。
本発明の好ましい他の1つの実施形態において、本発明の蛋白分解物は、ローヤルゼリー由来の糖質含量が低いものが好ましい。糖質(糖分)含量としては、蛋白分解物の品質を損なわない限りにおいて特に限定されないが、通常35重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。糖分としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、スクロース、などの単糖或いは二糖が挙げられる。これら糖質は、保存中に蛋白分解物と徐々に反応(例えばメイラード反応)して蛋白分解物を褐変させたり吸湿性が高くなる原因となるので、できるだけ除かれていることが望ましい。
本発明の蛋白分解物は、酵素処理後の好ましくは脱塩処理をして製造してもよく、さらにカラムなどの処理によりACE阻害活性がより強い分画を集めることも可能である。そして、必要ならば同様の精製を繰り返すことにより、ACE阻害作用を有するペプチドを分離し、当該生理活性ペプチドを単離ないし濃縮して、ACE阻害作用を有する蛋白分解物として使用してもよい。
ACE阻害ペプチドは、例えば、本発明の蛋白分解物について合成吸着剤やゲル濾過剤、分子ふるい、逆相クロマトグラフ等にかけ、水、メタノール、エタノール或いはこれらの混合溶液のような適当な溶出液で溶出して種々の分画に分け、ACE阻害活性の強い分画について分取HPLC等の常法によりペプチドを単離し、構造決定することにより、ACE阻害活性の強いペプチドを単離することもできる。
本発明の好ましい1つの実施形態において、ローヤルゼリー素材をトリプシン処理した蛋白分解物を合成吸着剤の1つであるHP−20カラムに吸着させ、下記のスキーム1に従って、7つのフラクションに分画することができる。
なお、本明細書において、フラクション(分画)を「Fr」または「P」と略記することがある。例えば、フラクション4は、「Fr4」または「P4」と記載され得る。
スキーム1
ローヤルゼリー蛋白加水分解液855mL(凍結乾燥物として50gに相当)

ダイヤイオンHP20に負荷(カラムサイズ:φ11cm×20cm、容量:約1.9L)
↓ 洗浄液:水3260mL使用
↓ 溶出液:20%、40%、60%、80%、100%MeOH
↓ ・20% メタノール 2460mL使用
↓ ・40% メタノール 2340mL使用
↓ ・60% メタノール 2720mL使用
↓ ・80% メタノール 2300mL使用
↓ ・100% メタノール 3200mL使用
洗浄液及び各溶出液
↓ エバポレーター(40℃)を用いて濃縮
各濃縮液

凍結乾燥
水洗浄分画 :フラクション1及び2
20%メタノール溶出分画:フラクション3
40%メタノール溶出分画:フラクション4
60%メタノール溶出分画:フラクション5
80%メタノール溶出分画:フラクション6
100%メタノール溶出分画:フラクション7

上記のスキーム1に従って分画されたフラクションNo.1〜7の収率とACE阻害率を以下の表1に示し、フラクション1〜7のグラフを図7に示す。
Figure 2005255670
*:各分画の試料溶液の反応液濃度は、0.5mg/mLである。阻害率の測定は、後記実施例1記載の方法に準拠して実施した。
上記のフラクションのうち、フラクション3〜6を含む製品が好ましい。フラクション7を含んでもよいが、フラクション7は収率が少ないため、フラクション3〜6を含む蛋白分解物は十分な降圧作用を示す。また、フラクション1,2はACE阻害作用を示し得るが、アミノ酸及び無機塩類(例えばNaCl)を含むので、本発明の蛋白分解物に含まれる必要はない。
本発明の蛋白分解物は、下記の特性を有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体(商品名:三菱化学社製MCI−GEL,CHP55Y)のカラム(4.6mmφ×150mm)を通したとき、下記式で表される関与成分含量(%)が35%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは50〜70%、特に好ましくは58±5%、最も好ましくは58±3%であるのがよい:
・関与成分含量(%)=A1/AT×100
T1:トリプトファンの保持時間
T2:10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸の保持時間
A1:T1の溶出位置に検出されるピークの後ろから,T2の溶出位置に検出されるピークの前までのピーク面積の合計
AT:全てのピーク面積の合計。
・スチレン・ジビニルベンゼン共重合体の特性
粒度分布;30μm
細孔径;250Å
官能基;なし
適用pH範囲:全領域。
カラム:4.6mmφ×150mm
上記A1には、主にフラクション4及びフラクション5が含まれる。
ローヤルゼリー蛋白加水分解物(検体)の関与成分含量の測定は、例えば以下の条件(試験方法)で実施することができる。
試験方法
本品0.50gを量り,水/メタノール混液(1:1)10mLを加えて溶かし,50mLとする.この液をメンブランフィルター(0.45μL)でろ過し,ろ液を検液とする.
もしくは,本品0.50gを量り,水/メタノール混液(1:1)10mL及びリン酸緩衝液(pH8.0)1)10mLを加えて溶かし,更に水15mL及び希酢酸2)5mLを加えてよく振りまぜ,水を加えて50mLとする.この液をメンブランフィルター(0.45μL)でろ過し,ろ液を検液とする.
別に,トリプトファン3)1mg及びグリシル-L-ロイシル-L-チロシン4)5mgを量り,酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)5)5mLを加えて溶かし,更に水を加えて10mLとし,A液とする.
10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸標準品6)5mgを量り,水/メタノール混液(1:1)0.5mLを加えて溶かす.この液にA液0.5mLを加えてよく混和し,比較液とする.
検液及び比較液それぞれ50μLにつき,次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行う.比較液のトリプトファン及び10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸の保持時間をT1及びT2とし,検液におけるT1の溶出位置に検出されるピークの後ろから,T2の溶出位置に検出されるピークの前までのピーク面積の合計A1及び全てのピーク面積の合計ATを測定し,次式により関与成分含量を求める.

関与成分含量(%)=A1/AT×100

操作条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:275nm)
カラム:内径4.6mm,長さ150mmのステンレス管に30μmのスチレン・ジビニルベンゼン共重合体逆相用ポリマー7)を充てんする.
カラム温度:50℃付近の一定温度
移動相A:水/メタノール混液(199:1)
B:メタノール/水混液(19:1)
流速:1mL/min
グラジエント条件
0分 → 10分 B.CONC 8% 保持
10分 → 12分 B.CONC 8% → 50% 直線
12分 → 22分 B.CONC 50% 保持
22分 → 30分 B.CONC 50% → 90% 直線
30分 → 45分 B.CONC 90% 保持
45.01分 → 55分 B.CONC 8% 保持
面積測定範囲:10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸の保持時間の約1.5倍の範囲
*:流速及びグラジエント条件については,下記のシステム適合性が満たされるよう適宜調整する.
システム適合性
システムの性能:比較液50μLにつき,上記の操作条件で液体クロマトグラフィーを行うとき,トリプトファン,グリシル-L-ロイシル-L-チロシン,10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸の順に溶出し,トリプトファンとグリシル-L-ロイシル-L-チロシンの分離度が3以上で,グリシル-L-ロイシル-L-チロシンと10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸の分離度が5以上である.
注:
・ リン酸緩衝液(pH8.0):調製は,食品添加物公定書に準拠.
・ 希酢酸:調製は,食品添加物公定書に準拠.
・ L-トリプトファン: C11H12N2O2 和光純薬工業株式会社製 試薬特級又は同等の品質のものを用いる.
・ グリシル-L-ロイシル-L-チロシン:C17H25N3O5 フルカ(リーデル・デ・ハーン)社製 含量98%以上のもの又は同等の品質のものを用いる.
・ 酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0):酢酸ナトリウム三水和物5.44gを水900mLに溶かし,酢酸(100)を滴加し,pHを4.0に調整した後,水を加えて1000mLとする.
・ 10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸標準品:(E)-10-ヒドロキシ-2-デセン酸標準品(C10H18O3) 和光純薬工業株式会社製又は同等の品質のものを用いる.
・ スチレン・ジビニルベンゼン共重合体逆相用ポリマー:三菱化学社製MCI-GEL CHP55Y又は同等の品質のものを用いる.
関与成分含量に関するクロマトグラム例を図8に示す。
次に、フラクション3〜6についての関与成分(ペプチド)を単離とその同定について、以下に記載する
・ 大口径カラムによる分画
HPLC条件
カラム :TSK-gel ODS 120T 55mmφ×300mm 東ソー
ガードカラム:TSK-gel ODS 120T 45mmφ×55mm 東ソー
移動相 :水/アセトニトリル混液/0.05%TFA
流量 :42mL/min
カラム温度 :室温
検出波長 :220nm
・ :アセトニトリル濃度 7〜25%、50%(洗い出し)
・ 中口径カラムによる分画
HPLC条件
カラム :COSMOSIL-5C18-AR II 20mmφ×250mm ナカライテスク
および/または COSMOSIL-5C18-AR II 10mmφ×250mm ナカライテスク
移動相 :水/メタノール混液/0.05%TFA
流量 :8mL/min または 2mL/min
カラム温度 :40℃
検出波長 :220nm
・ :メタノール濃度
イソクラティックモード 2〜35%、50%(洗い出し)
グラジエントモード A液0% (0.05%TFA)、B液50%

・ 各分取液の純度の確認
<HPLC条件>
検出器 :紫外分光光度計(測定波長:220nm)
カラム :COSMOSIL-5C18-AR II 4.6mmφ×250mm ナカライテスク
移動相 :水/メタノール混液/0.05%TFA
流量 :0.4mL/min
カラム温度 :40℃
・ :メタノール濃度 2〜40%
・ 分取サンプル(分画数)
Figure 2005255670
ACE阻害率の測定
純度が85%以上の分画295検体についてACE阻害率の測定を行った。
なお、純度が85%以下のサンプルも一部測定を行った。
ACE阻害率の測定方法
試料溶液(反応液中濃度:0.1mg/mL) 25μL
↓ ACE溶液(ウサギ肺由来アンジオテンシンI変換酵素:25mU/mL) 50μL
プレインキュベート37℃−5 min
↓ 基質溶液(Hippuryl-L-Histidyl-L-Leucine:12.5mM) 50μL
インキュベート37℃−60 min
↓ 塩酸(9→200) 125μL
↓ 内標準溶液(m-馬尿酸:0.625mM) 100μL
↓ 酢酸エチル 750μL
↓ ボルテックスミキサー 10sec×2
遠心分離 (2000rpm, 5min)

有機層 500μL
↓ 60℃、窒素ガス気流下で乾固
↓ 移動相 500μL
↓ ボルテックスミキサーで溶解
20μLをHPLCに注入

<HPLC条件>
検出器 :紫外分光光度計(測定波長:228nm)
カラム :L-column ODS 4.6mmφ×150mm 化学物質評価研究機構
移動相 :0.01Mリン酸緩衝液(pH3.0)/アセトニトリル混液(17:3)
流量 :1.0mL/min
カラム温度 :40℃
注入量 :20μL
・ 構成アミノ酸の測定
単離量が2mg以上またはACE阻害率が20%以上の分画166検体について、酸加水分解後にアミノ酸濃度を測定し、構成アミノ酸を求めた。

構成アミノ酸の測定方法
<酸加水分解法−1:トリプトファンを含まない単離ペプチド>
試料溶液(1mg/mL 50%メタノール溶液) 50μL
↓ Pico-Tag (Waters)を用いて減圧乾固(室温)
残留物
↓ +6mol/L塩酸溶液(1%フェノール含有) 0.2mL (反応バイアル内に入れる)
↓ Pico-Tag法により加水分解(110℃、22時間)
↓ 冷後
↓ Pico-Tag を用いて減圧乾固(室温)
残留物
↓ +0.02mol/L塩酸試液 0.25mL(5倍希釈)
20μL/アミノ酸分析
<酸加水分解法−2:トリプトファンを含まない単離ペプチド>
試料溶液(1mg/mL 50%メタノール溶液) 50μL
↓ Pico-Tag (Waters)を用いて減圧乾固(室温)
残留物
↓ +4mol/Lメタンスルホン酸溶液(0.2%トリプタミン含有) 20μL
↓ +水0.2mL(反応バイアル内に入れる)
↓ Pico-Tag法により加水分解(110℃、22時間)
↓ 冷後
↓ +4mol/L水酸化カリウム溶液 22μL
↓ Pico-Tag を用いて減圧乾固(室温)
残留物
↓ +0.05mol/L塩酸試液 0.25mL(5倍希釈)
20μL/アミノ酸分析

<アミノ酸分析条件>
(ニンヒドリン反応によるポストラベル法)
装置:L-8500形日立高速アミノ酸分析計
カラム:4.6mmID×80mm日立カスタムイオン交換樹脂(#2622SC・LotNo.K99272)
(Na型・高分離分析・グラジエント法
緩衝液:日立高速アミノ酸分析計用緩衝液L-8500PH-KIT(三菱化学又は和光純薬社製)
V1:PH-1(PH-1 500mLにエタノール(99.5)65mL及び水を加えて1000mLとする)
V2:PH-2
V3:PH-3(未使用)
V4:PH-4
V5:PH-RG
反応液:ニンヒドリン試液-L8500セット(和光純薬社製)
流 量:緩衝液 0.26mL/min
反応液 0.30mL/min
注入量:20μL
測定波長:570nm(Pro:440nm)

・ アミノ酸配列の決定
ACE阻害率及び構成アミノ酸の測定結果を基に、ACE阻害活性率が比較的高く、アミノ酸の構成比が明確で、構成アミノ酸数が2〜6個の単離物18検体について、LC-MS/MS法によりアミノ酸配列の解析を試みた。
LC-MS/MSによる構造解析の操作条件
試料溶液の調製法
各は、超純粋アセトニトリル(1:1)400μLに溶かし、0.01%ギ酸溶液/アセトニトリル(1:1)で約100μg/mL及び約25μg/mL濃度に希釈した。
HPLC条件
使用機器 :1100Series (Agilent Technologies)
カラム :Cadenza CD-C18, 3μm, 2mmφ×50mm
移動相 :A液 0.01% ギ酸溶液
:B液 0.01% ギ酸溶液/アセトニトリル(10:90)
0.01Mリン酸緩衝液(pH3.0)/アセトニトリル混液(17:3)
溶出条件 :0〜8min B液 8%
8〜12min B液 90%
12〜13min B液 8%
流量 :0.1mL/min
カラム温度 :40℃
注入量 :5μL
MSおよびMS/MSの操作条件
使用機器 :API 4000 (Applied Biosystems/MDS Sciex)
カラム :Turbo ion spray (positive)
ネブライザーガス :18 psi
カーテンガス :10 psi
イオンスプレー電圧 :5500V
オリフィス電圧 :適宜設定
測定質量範囲 :適宜設定
コリジョンガス :Level 4 (Nitrogen)
コリジョンガスエネルギー :適宜設定
プロダクトイオン測定範囲 :適宜設定
測定結果
上記(d)に示された1548検体において、簡易的に測定したHPLC純度を基に295検体についてACE阻害活性を測定し、その結果を基に166検体についてアミノ酸分析を行い、その組成を測定した。さらに、アミノ酸配列については、18検体を測定に供し、RJ蛋白加水分解物中に含まれる9種類のペプチドの構造を同定することができた。
Figure 2005255670
具体的には、ACE阻害活性率が比較的高く、アミノ酸の構成比が明確で構成アミノ酸数が2〜6個の18検体について、LC/MS/MSによるアミノ酸配列の解析を試みた。
その結果、構造を同定することができたのは9検体(I〜IX)であり、HP-20の粗分画のFr 3部分から3種のペプチド、Fr 4部分から6種のペプチドの構造を同定することができた。
それらの構造式およびACE阻害率の測定結果より求めたACE阻害活性IC50値を、下記の表3に示す。
Figure 2005255670
本発明の蛋白分解物(有効成分乃至関与成分として同定された前記7個のペプチドを含む。以下、同じ)は、等電点のpHに調整して遊離(フリー)のタンパク質分解物として使用してもよく、または等電点より酸性側または塩基性側のpHに調整後、溶媒を凍結乾燥、噴霧乾燥等により除去するか、またはエタノール等の溶媒を加えて沈殿させるなどの方法により、酸付加塩(塩酸塩等の無機酸塩またはフマル酸塩等の有機酸塩)あるいは塩基塩(例えばNa,K等のアルカリ金属塩)の形態で取得することができる。塩基塩は、昇圧物質であるナトリウムの含量をできるだけ抑えるのが好ましい。このような蛋白分解物は、溶液の形態で使用してもよいが、通常固形物、例えば結晶、アモルファス或いは粉末の形態で単離し、使用するのが望ましい。
本発明の蛋白分解物はそれ自体食品として利用することができ、或いは単独で、もしくは適当な無毒性の経口摂取用担体、希釈剤または賦形剤とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠など)、カプセル、トローチ、粉末、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、ペースト、クリーム、注射剤(アミノ酸輸液、電解質輸液等の輸液に配合する場合を含む)、或いは腸溶性の錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの徐放性製剤などの食品用もしくは医薬用の製剤にすることが可能である。前記製剤中の蛋白分解物の含有量は適宜選択が可能であるが一般に、0.01〜100重量%の範囲である。
また、本発明に係る蛋白分解物(ローヤルゼリー酵素分解物)を添加・配合して調製しうる食品の具体的形態としては、例えば、飲料類(清涼飲料(コーヒー、ココア、ジュース、ミネラル飲料、茶飲料、緑茶、紅茶、烏龍茶等)、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、酒類(日本酒、洋酒、果実酒、はちみつ酒等)等)、スプレッド(カスタードクリーム、バタークリーム、ピーナツクリーム、チョコレートクリーム、チーズクリーム等)、ペースト(フルーツペースト、野菜ペースト、ゴマペースト、海藻ペースト等)、洋菓子(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、エクレア、マフィン、ワッフル、ガム、グミ、ゼリー、キャンデー、クッキー、クラッカー、ビスケット、スナック菓子、ケーキ、プリン等)、和菓子(飴、煎餅、かりんとう、あられ、団子、おはぎ、大福、豆もち、餅、餡、饅頭、カステラ、あんみつ、羊かん等)、氷菓(アイスクリーム、アイスキャンディ、シャーベット、かき氷等)、レトルト食品(カレー、牛丼、中華丼、雑炊、おかゆ、味噌汁、スープ、ミートソース、デミグラスソース、ミートボール、ハンバーグ、おでん種、赤飯、焼き鳥、茶碗蒸し等)、即席食品(即席ラーメン、即席うどん、即席そば、即席焼きそば、即席スパゲティ、即席ワンタン麺、即席しるこ、味噌汁の素、粉末スープの素、粉末ジュースの素、ホットケーキミックス等)、瓶詰・缶詰、ゼリー状食品(ゼリー、寒天、テリーヌ、ゼリー状飲料等)、調味料(食塩、天然塩、醤油、みりん、酢、砂糖、蜂蜜、味噌、ドレッシング、旨味調味料、複合調味料、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、ふりかけ、天つゆ、麺つゆ、だしの素、中華スープの素、中華の素(麻婆豆腐の素、チンジャオロースの素)、ブイヨン、焼肉のたれ、冷しゃぶのたれ、カレールー、シチューのルー等)、養蜂産品(はちみつ、ローヤルゼリー、プロポリス、花粉荷(花粉だんご)、蜂の子等)、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト、生クリーム等)、加工果実(ジャム、マーマレード、シロップ漬、干し果実等)、加工野菜(野菜ジャム等)、穀類加工食品(麺、パスタ、パン、ビーフン等)、漬物(たくあん、奈良漬、キムチ漬、福神漬、らっきょう漬、白菜漬、からし漬、しば漬、浅漬け、ピクルス等)、漬物の素(即席漬けのもと、キムチ漬のもと等)、魚肉製品(かまぼこ、ちくわ、はんぺん等)、畜肉製品(ハム、ソーセージ、サラミ、ベーコン等)、珍味(さきするめ、さきタラ、ウニの塩辛、イカの塩辛、タコの塩辛、カワハギのみりんぼし、フグのみりんぼし、イカの薫製、コノワタの塩漬等)、乾物(味付け海苔等)、惣菜類(あえもの、揚げ物、炒め物、焼き物、煮物、酢の物等)、冷凍食品(エビフライ、コロッケ、春巻き、とんかつ、シューマイ、餃子、ハンバーグ、たこ焼き、今川焼き(回転焼き)、肉まん、あんまん等)、油脂食品(サラダオイル、マーガリン、バター)等を挙げることができる。本発明のローヤルゼリー蛋白分解物を添加・配合して調製しうる食品としては、いわゆる健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、病者用食品・病者用組合わせ食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)又は高齢者用食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)としてもよく、その場合であれば、素錠、フィルムコート錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセルとソフトカプセルとのいずれも含む。)、チュアブルタイプ、シロップタイプ、ドリンクタイプ等とすることもできる。本発明に係るローヤルゼリー酵素分解物を添加・配合した食品の調製は、それ自体公知の方法で行うことができる。
本発明の蛋白分解物を含む特定保健用食品等の食品は、血圧が正常高値(収縮期血圧が130−139mmHg、拡張期血圧が85−89mmHg)及び軽症高血圧(収縮期血圧140−159mmHgないし拡張期血圧90−99mmHg)の両方のヒトに対して高血圧を予防する効果を有する。
本発明の蛋白分解物は、軽症高血圧及び正常高値の被験者には、特に有効に降圧作用を示すが、正常ないし低血圧の被験者の血圧に対してはほとんど影響しないか、マイルドな作用しか示さないという理想的な特性を有している。
本発明の蛋白分解物は、経口摂取により口腔粘膜或いは胃腸管から直接吸収されるか、胃腸管で加水分解を受けて吸収された後で強力で持続的なACE阻害作用を示し、高血圧症の予防、高血圧傾向の緩和または血圧調節を目的として、継続的に摂取することが可能であり、高血圧予防のための機能性食品、特に特定保健用食品等として有用である。この目的に本発明の蛋白分解物ないし製剤を用いる場合、一般的に体重60kgの成人では、1日あたり10mg〜10g、好ましくは0.1〜5g、より好ましくは0.5〜3g、特に0.5〜1gの範囲で経口摂取する。
また、本発明の蛋白分解物をローヤルゼリー、プロポリス、蜂蜜、花粉、蜂の子等と併用もしくは混合して使用することも可能である。
本発明の蛋白分解物は、アレルギー反応などの副作用をほとんど或いは全く有しないこと、作用持続時間が長く、1日1回の摂取(投与)で十分な降圧作用が期待できる。さらに、即効性も有するが、急速な血圧低下や、多量に飲用した場合の大きな血圧低下はなく、安全性の高い降圧作用を有している。また、ヒトにおける降圧作用が優れている。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。
実施例1
(1)ローヤルゼリー素材の蛋白分解物の調製
乾燥ローヤルゼリー1g(タンパク質含量0.4 g)を10mlの蒸留水に溶解させ、pHを8に調整した後、ローヤルゼリー素材に対し0.25重量%のトリプシン(ウシ膵臓由来、Roche社製)を添加し、24時間インキュベートした。インキュベート開始後3時間、6時間及び24時間後のサンプルについてACE阻害率を測定した。反応液のpHは、水酸化ナトリウムを加えることによりpH8程度に維持した。
トリプシンに代えてキモトリプシン(pH7)またはペプシン(pH2)を用いて同様に24時間インキュベートし、インキュベート開始後3時間、6時間及び24時間後のサンプルについて下記(2)に従いACE阻害率を測定した。

(2)ACE阻害活性の測定
上記のようにして得られた蛋白分解物4mg/mL(反応液濃度として0.8mg/mL)25μlを試験管にとり、これにウサギ肺由来の25mU/mL ACE溶液*1・ホウ酸緩衝液(pH8.3)100μlを加え、37℃で5分間インキュベートした。基質として12.5mMのhippuryl−L−histidyl−L−leucine(HHL、ペプチド研究社製)*2溶液・ホウ酸緩衝液(pH8.3)50μlを加え、37℃で60分間インキュベートした。次に反応を停止するため0.5M塩酸溶液125μLを加え、内標準溶液として0.625mM m-メチル馬尿酸アセトニトリル溶液*3100μLを加え、反応生成物の馬尿酸を抽出するため酢酸エチル750μLを加えた後、ボルテックスミキサーにより攪拌、遠心分離した(2000rpm, 5min)。その有機層0.5mLを取り、60℃窒素ガス気流下で蒸発乾固し、残留物をHPLC用移動相0.5mLに溶かして試料溶液とした。
別にホウ酸緩衝液(pH8.3)*425μlを試験管にとり、これにウサギ肺由来の25mU/mL ACE溶液*1・ホウ酸緩衝液(pH8.3)*450μlを加え、37℃で5分間インキュベートした後、以下、試料溶液と同様に操作し、標準溶液とした。また、ホウ酸緩衝液(pH8.3)75μlを試験管にとり、37℃で5分間インキュベートした後、以下、試料溶液と同様に操作し、空試験とした。試料溶液、標準溶液および空試験液20μlにつき下記条件でHPLC法により、測定を行い、それぞれのm-メチル馬尿酸のピーク面積に対する馬尿酸のピーク面積比を求めた。
<HPLC条件>
検出器:UV(測定波長:228nm)
カラム:L-column ODS 4.6×150mm(財団法人 化学物質評価研究機構 製)
カラム温度:40℃
移動相:10mM KH2PO4(pH3.0)/アセトニトリル=17/3
流量:1.0mL/min
流入量:20μL

HPLC法により得られた、それぞれのm-メチル馬尿酸のピーク面積に対する馬尿酸のピーク面積比により阻害率(IC(%))を以下に示す式に従って算出した。
阻害率(IC(%))={(Rs−Rt)/(Rt−Rb)}×100
Rs;試料溶液のm-メチル馬尿酸のピーク面積に対する馬尿酸のピーク面積比
Rt;標準溶液のm-メチル馬尿酸のピーク面積に対する馬尿酸のピーク面積比
Rb;空試験液のm-メチル馬尿酸のピーク面積に対する馬尿酸のピーク面積比

*1:25mU/mL ACE溶液
ウサギ肺由来のアンジオテンシンI変換酵素(シグマ社製)0.25Uまたは1U/vialにpH8.3ホウ酸緩衝液1mLを加えて溶かす(0.25Uまたは1U/mL、冷凍保存)。
この液をpH8.3ホウ酸緩衝液で適宜希釈し、25mU/mL溶液を調製する(用時調製)。
*2:12.5mMのHip−His−Leu(基質溶液)
Hippuryl−L−Histidyl−L−Leucine(HHL・HO、分子量447.8、ペプチド研究所製)にpH8.3ホウ酸緩衝液を加え、沸騰水浴中で3分間加熱して溶かし、12.5mM溶液を調製する。
{HHL・HO 5.5935g + pH8.3ホウ酸緩衝液 1mL : 12.5mM(用時調製)}
*3:内標準液(3→25000)
m-メチル馬尿酸(分子量:193.20)12mgに水/アセトニトリル混液(9:1)を加えて溶かし、100mLとし、内標準液とする(冷蔵庫保存)。
*4:pH8.3ホウ酸緩衝液
A液:0.2M ホウ酸溶液(0.3M塩化ナトリウムを含む)
ホウ酸12.4g+塩化ナトリウム17.5g+水→1000mL
B液:0.05M四ホウ酸ナトリウム溶液(0.3M塩化ナトリウムを含む)
A液にB液を加えてpHを8.3に調整する(冷蔵庫保存)

結果を表4及び図1に示す。
Figure 2005255670
上記の結果から、トリプシンによる加水分解物が最もACE阻害活性が強いことが判明した。
また、インキュベーション24時間後の酵素分解物において、SDS-PAGEにより分子量20000以上のタンパク質は、本発明の蛋白分解物ではほとんど認められなかったが、ペプシン分解物及びキモトリプシン分解物ではバンドとして確認された。
さらに、カラムとしてCOSMOSIL-5C18-AR-300(4.6×150mm)タンパク質分離用ワイドポアカラムを用いたHPLC法によるクロマトグラム分析によると、蛋白分解物の生成ペプチド量は、トリプシンが最も多いことが確認された。
これらの結果から、トリプシンが最も好ましいことが確認された。
実施例2
乾燥ローヤルゼリー1g(タンパク質含量0.4g)に代えて、生ローヤルゼリーにエタノールを加えて沈殿したローヤルゼリーのエタノール変性タンパク質を用いて実施例1と同様にして24時間処理した。このトリプシン処理物のACE阻害率を求めたところ、実施例1のローヤルゼリーとほぼ同等のACE阻害率が得られた。
24時間トリプシンで処理した反応液をpH4.5に調整し、合成吸着剤(セパビーズSP-70(三菱化学製))にかけ、水洗して塩化ナトリウム及び酸性又は塩基性の遊離アミノ酸、および糖類等を除去した後、エタノールで溶出し、脱塩した本発明の蛋白分解物を得た。
実施例1で使用した乾燥ローヤルゼリー(乾燥RJ)、実施例1で得られたその脱塩前のトリプシン分解物(脱塩前;乾燥RJ−酵素)、実施例2で使用したローヤルゼリーのエタノール変性タンパク質(RJ変性)、その蛋白分解物(脱塩前(RJ−変性−酵素);及び脱塩後、カラム吸着後の洗浄分画(1W)、カラム吸着物のエタノール溶出分画(1E)のアミノ酸組成比については、各サンプルのアミノ酸組成はメタンスルホン酸分解した分解物を、また遊離アミノ酸はメンブランフィルター濾過(ポアサイズ径;0.45μm)した濾液を、アミノ酸濃度測定(日立L-8500型高速アミノ酸分析計)にそれぞれかけ、比較検討を行った。結果を表5,表6、表7,図2及び図3に示す。なお、表5及び図2はGlyを1モルとしたときの相対値であり、表6及び図3はLysを1モルとしたときの相対値であり、表7は、遊離アミノ酸の測定値を各々示す。この結果から、カラム処理によって酸性または塩基性の遊離アミノ酸、遊離Ala、遊離Glyが水洗除去され、カラム吸着分画には遊離した芳香族および脂肪族のアミノ酸が多く分布していることが確認された。
Figure 2005255670
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さらに、24時間処理したトリプシン分解物25mgを取り、移動相20mLを加えて超音波処理して溶かし正確に25mLとし、その10μLにつき下記のゲル濾過クロマトグラフィー(GFC)分析を行い、分子量分布を調査した。
<GFC分析>
カラム:TSKgel G2000SWXL7.8mmI.D.×30cm
移動相:0.1%TFA/アセトニトリル
流速:1.0mL/min
カラム温度:25℃
検出:UV(220nm)
GFC分析結果を図4に示す。

実施例3:ローヤルゼリー(RJ)蛋白加水分解物の関与成分の構造解析
ローヤルゼリーのエタノール変性蛋白100gを採取し、実施例1に記載の方法に準じてpH8.0でトリプシンにより37℃で24時間酵素分解した。反応液を沸騰水浴中で30分間加熱して酵素を失活させた後、塩酸でpH4.5に調整し、遠心分離(10000rpm、20分間)して得られた上清をメンブランフィルター(0.8μm)で濾過し、RJ蛋白加水分解物1160mLを得た。
得られたRJ蛋白加水分解液を上記スキーム1に従い、ダイヤイオンHP20を使用し、水、20%、40%、60%、80%メタノール及びメタノール(100%)で溶出して、フラクション1(Fr1)〜フラクション7(Fr7)を得た。
次に、フラクション3〜6より同定された9個の関与成分(ペプチド)の単離と同定の詳細を以下に示す:
ローヤルゼリー蛋白加水分解物の関与成分の単離・同定
1. 単離同定ペプチド
HP20 Fr 3画分
単離ペプチドI:Glu-Trp-Lys (P30615-1)
単離ペプチドII:His-Pro-Ala-Leu (P30615-3-7-3)
単離ペプチドIII:Thr-Phe (P30618-3-3)
HP20 Fr 4画分
単離ペプチドIV:Ser-Pro-Leu (P40408-3-2)
単離ペプチドV:Asn-Leu-Tyr (P41219-2-1)
単離ペプチドVI:Leu-Ser-Tyr (P41210-4-1-2)
単離ペプチドVII:Thr-Pro-Phe (P41211-3)
単離ペプチドVIII:Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr (P40323-3-4)
単離ペプチドIX:Tyr-Ser-Pro-Leu (P40528-3-2)

2. 関与成分同定用検体の調製
(1)ローヤルゼリー蛋白加水分解物の調製
ローヤルゼリーエタノール変性蛋白100gに水1200mLを加え,37℃の水浴中で撹拌しながら20%水酸化ナトリウム溶液を加えてpH8.0に調整し,トリプシン250mgを加えて1mol/L水酸化ナトリウム試液でpH8.0に保ちながら37℃で24時間酵素分解した後,沸騰水浴中で30分間加熱した。これに薄めた塩酸(1→2)を加えてpH4.5に調整し,遠心分離(10000rpm,20分間)した後,得られた上清液をメンブランフィルターでろ過し,ローヤルゼリー蛋白加水分解液1160mLを得た。
(2)ダイヤイオンHP20による粗分画
ローヤルゼリー蛋白加水分解液855mLを合成吸着剤であるダイヤイオンHP20を充填したガラスカラム(11cmφ×20cm,容量:約1.9L)に負荷し,水,20%,40%,60%,80%及び100%メタノールの順で溶出し,水溶出画分をフラクション(以下Fr)1,2とし,20%,40%,60%,80%及び100%メタノール溶出画分をそれぞれFr3,4,5,6及び7とした。各分画液をエバポレーターで濃縮した後,凍結乾燥し,得られた Fr3画分(5.38g),Fr4画分(8.34g),Fr5画分(11.58g)およびFr6画分(4.84g)を関与成分同定用の検体とした。
3. ローヤルゼリー蛋白加水分解物の関与ペプチドの単離・同定
(1)Fr3画分からの関与ペプチドの単離・同定
単離ペプチドI:Glu-Trp-Lys(P30615-1)
HP20により粗分画したFr3画分について,大口径の分取用ODSカラムを用いた高速液体クロマトグラフ法〔カラム:TSK-gel ODS 120T(55mmφ×300mm),移動相:7%,15%,25%及び50%アセトニトリル(0.05%TFA含有),流量:42mL/mL,カラム温度:室温,検出波長:UV 220nm.以下,HPLC〕により再分画を行った。
Fr3画分約4gについて,移動相を段階的に切り替えて〔7%アセトニトリル(0.05%TFA含有):0〜94分,15%アセトニトリル(0.05%TFA含有):94〜121分,25%アセトニトリル(0.05%TFA含有):121〜135分,50%アセトニトリル(0.05%TFA含有):135分〜〕再分画し,保持時間(以下,Rt)が61.5〜83.4分および98.0〜112.4分から得られた分画液にエタノールを添加して濃縮する操作をTFA臭がなくなるまで繰り返した後,残留物を少量の水で溶解し,凍結乾燥してP3(6)(フラクション3の第6ピーク)(0.471g),およびP3(8)(フラクション3の第8ピーク)(0.107g,ペプチドIIIの単離に供した)を得た。
P3(6)(0.471g)について,さらに,中口径のセミ分取用ODSカラム(COSMOSIL 5C18 AR-II 20mmφ×250mm)を用い,流量:8mL/mL,カラム温度:40℃,検出波長:UV220nmの条件下で,移動相Aに0.05%TFA,移動相Bに50%メタノール(0.05%TFA含有)を用いた濃度勾配法(0分:Bconc 0% → 360分:Bconc75%)により, Rtが57.6〜77.1分および84.2〜100.9分のピーク部分を分取し,得られた分取液をそれぞれ濃縮・凍結乾燥し,分取精製物P30615-1(35.7mg)およびP30615-3(107.0mg,ペプチドIIの単離に供した)を得た。
得られたP30615-1について,HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P30615-1の構造をGlu-Trp-Lysと決定した。

単離ペプチドII:His-Pro-Ala-Leu(P30615-3-7-3)
純度が低かった先のP30615-3(107.0mg)について,再度,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い, 移動相を8%メタノール(0.05%TFA含有)から50%メタノール(0.05%TFA含有)に切り替え(61.3分),Rtが68.9〜70.2分のピーク部分を分取し,濃縮・凍結乾燥してP30615-3-7(9.2mg)を得た。
P30615-3-7(9.2mg)について,さらに口径が小さく分離能の高いODSカラムを用いた条件下〔カラム:COSMOSIL 5C18 AR-II 10mmφ×250mm,移動相:8%メタノール(0.05%TFA含有),流量:2mL/mL,カラム温度:40℃,検出波長:UV 220nm〕において,Rtが57.1〜59.8分のピーク部分について分取・精製操作を行い,分取精製物P30615-3-7-3(0.7mg)を得た。
得られたP30615-3-7-3について,HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P30615-3-7-3の構造をHis-Pro-Ala-Leuと決定した。

単離ペプチドIII:Thr-Phe(P30618-3-3)
大口径のODSカラムによる再分画で得られたP3(8)(0.107g)について,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い,単離ペプチドIと同条件で濃度勾配法により,Rtが82.6〜92.0分のピーク部分について分取・精製操作を行い,P30618-3(12.2mg)を得た。
P30618-3(12.2mg)について,さらに口径の小さいODSカラム(内径10mm)を用い,移動相として10%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて,Rtが39.7〜45.2分のピーク部分について分取・精製操作を行い,P30618-3-3(3.7mg)を得た。
得られたP30618-3-3について, HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P30618-3-3の構造をThr-Pheと決定した。

(2)Fr4画分からの関与ペプチドの単離・同定
単離ペプチドIV:Ser-Pro-Leu(P40408-3-2)
HP20により粗分画したFr4画分(8.34g)約5gについて,大口径の分取用ODSカラムを用いた高速液体クロマトグラフ法〔カラム:TSK-gel ODS 120T(55mmφ×300mm),移動相:10%及び50%アセトニトリル(0.05%TFA含有),流量:42mL/mL,カラム温度:室温,検出波長:UV 220nm〕により再分画を行った。
移動相が10%アセトニトリル(0.05%TFA含有)において,Rtが52.1〜83.5分および118.9〜179.0分の分画液を濃縮・凍結乾燥し,P4(2)(フラクション4の第2ピーク)(0.536g)およびP4(4) (フラクション4の第2ピーク)(凍結乾燥を行わず,濃縮乾固後,ペプチドV〜VIIIの単離に供した)を得た。また,移動相を179分後に50%アセトニトリル(0.05%TFA含有)に切り替え,Rtが179.0〜205.0分の分画液を濃縮・凍結乾燥し,P4(5)(2.162g,ペプチドIXの単離に供した)を得た。
P4(2)(0.536g)について,再度,大口径の分取用ODSカラムを用い,移動相を8%アセトニトリル(0.05%TFA含有)とし, Rtが76.2〜90.2分の分画液を濃縮・凍結乾燥し,P40121-13(91.4mg)を得た。
得られたP40121-13(91.4mg)について,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い,移動相として12.5%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて,Rtが42.6〜51.6分のピーク部分について分取・精製操作を行い,P40408-3(12.1mg)を得た。
得られたP40408-3(12.1mg)について,再度,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い,移動相Aに0.05%TFA,移動相Bに50%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて濃度勾配法(0分:Bconc0% → 360分:Bconc100%)により,Rtが95.1〜99.1分のピーク部分について分取・精製操作を行い,分取精製物P40408-3-2(1.2mg)を得た。
得られたP40408-3-2について, HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P40408-3-2の構造をSer-Pro-Leuと決定した。

単離ペプチドV:Asn-Leu-Tyr(P41219-2-1)
大口径の分取用ODSカラムによる再分画で得られたP4(4)について,再度,大口径の分取用ODSカラムを用い,移動相として10%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて再分画し,Rtが63.0〜82.7分,82.7〜108.0分,108.0〜126.5分,および141.0〜163.4分から得られた各分画液を濃縮・凍結乾燥し,それぞれP41206-3(133.1mg,ペプチドVIIIの単離に供した),P41206-4(177.8mg),P41206-5(74.2mg,ペプチドVIの単離に供した),およびP41206-7(41.7mg,ペプチドVIIの単離に供した)を得た。
得られたP41206-4(177.8mg)100mgについて,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い,移動相として12.5%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて,Rtが121.9〜153.5分のピーク部分について分取・精製操作を行い, P41219-2(23.38mg)を得た。
得られたP41219-2(23.38mg)について,再度,同一条件で分取・精製操作を行い, Rtが118.3〜142.9分のピーク部分からP41219-2-1(12.3mg)を得た。
得られたP41219-2-1について, HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P41219-2-1の構造をAsn-Leu-Tyrと決定した。

単離ペプチドVI:Leu-Ser-Tyr(P41210-4-1-2)
大口径の分取用ODSカラムによる再分画操作を二回実施して得られたP41206-5(74.2mg)について,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い,移動相として17%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて,Rtが65.5〜80.7分のピーク部分を分取し,濃縮乾固して P41210-4(凍結乾燥未実施)を得た。得られたP41210-4について,再度,同一の条件で分取・精製操作を行い,Rtが63.5〜85.3分のピーク部分からP41210-4-1(12.7mg)を得た。
さらに,P41210-4-1(12.7mg)について,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い,移動相を15%メタノール(0.05%TFA含有)としてRtが92.0〜102.7分のピーク部分について分取・精製操作を行い,分取精製物P41210-4-1-2(5.18mg)を得た。
得られたP41210-4-1-2について,HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P41210-4-1-2の構造をLeu-Ser-Tyrと決定した。

単離ペプチドVII:Thr-Pro-Phe(P41211-3)
大口径の分取用ODSカラムによる再分画操作を二回実施して得られたP41206-7(41.7mg)について,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い,移動相として15%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて,Rtが70.4〜88.6分のピーク部分について分取・精製操作を行い,P41211-3(5.8mg)を得た。
得られたP41211-3について, HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P41211-3の構造をThr-Pro-Pheと決定した。

単離ペプチドVIII:Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr(P40323-3-4)
大口径の分取用ODSカラムによる再分画操作を二回実施して得られたP41206-3(133.1mg)について,中口径のセミ分取用ODSカラムを用い,移動相として13%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて,Rtが73.1〜84.8分のピーク部分について分取・精製操作を行い,P40323-3(10.5mg)を得た。
さらに,得られたP40323-3(10.5mg)について,ODSカラム(内径10mm)を用い,移動相として12.5%メタノール(0.05%TFA含有)を用いて,Rtが73.9〜77.1分のピーク部分について分取・精製操作を行い,分取精製物 P40323-3-4(1.0mg)を得た。
得られたP40323-3-4について,HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P40323-3-4の構造をSer-His-Ser-Gly-Leu-Tyrと決定した。

単離ペプチドIX:Tyr-Ser-Pro-Leu(P40528-3-2)
大口径の分取用ODSカラムによる再分画で得られたP4(5)(2.162g)について,再度,大口径の分取用ODSカラム用い,移動相として15%アセトニトリル(0.05%TFA含有)を用いて再分画し,Rtが60.0〜70.0分の分画液を濃縮・凍結乾燥し,P40413-5(75.8mg)を得た。
得られたP40413-5(75.8mg)について,中口径のセミ分取用ODSカラムにて,移動相Aに0.05%TFA,移動相Bに50%メタノール(0.05%TFA含有)を用い,濃度勾配法(0分:Bconc30% → 360分:Bconc100%)により,Rtが75.4〜86.0分のピーク部分について分取・精製操作を行い, P40528-3(5.9mg)を得た。
さらに,得られたP40528-3(5.9mg)について,移動相に22.5%メタノール(0.05%TFA含有)の単一溶媒を用い,再度,中口径のセミ分取用ODSカラムにより,Rtが43.4〜46.4分のピーク部分について分取・精製操作を行い,分取精製物P40528-3-2(1.6mg)を得た。
得られたP40528-3-2について,HPLCによる純度,並びに酸加水分解後アミノ酸分析を行って得た構成アミノ酸の比率を基にLC/MS/MSによる構造解析を実施し,P40528-3-2の構造を Tyr-Ser-Pro-Leuと決定した。

実施例4;蛋白分解物のインビボ試験(ラット)
I.単回経口投与時の血圧低下作用
1)被験物質
ローヤルゼリー(RJ)のエタノール変性タンパク質を原料として用い、実施例2と同様にしてRJエタノール変性蛋白をトリプシン処理後脱塩した分解物を調製し、以下の実験に供した。
2)使用動物
Crj:SHR(雄、8週齢、日本チャールスリバー)を購入し、検疫馴化飼育後、9週齢(体重235-260g)で実験に使用した。ラットは金網5連ケージの1区画に個別飼育とし、温度:23±2℃、湿度:30〜70%、換気回数:12回以上/時間、照明時間:12時間(明期:6:30〜18:30)の環境に調節された動物飼育室で飼育し、固形飼料(CRF-1、オリエンタル酵母工業(株))および水道水は自由に摂取させた。
3)実験方法
実験には一群6匹のSHRを用いた。RJ変性蛋白加水分解物は注射用蒸留水で溶解し、10mL/kgの用量で単回経口投与した。対照群には注射用蒸留水を同様に投与した。ラットを40℃にセットした保温箱に入れ10分間加温した後、血圧計(TK-370C、ニューロサイエンス)を用いてtail cuff法により覚醒下にて血圧(収縮期血圧、平均血圧および拡張期血圧)および心拍数を測定した。血圧の測定は、RJ変性蛋白加水分解物投与前と、投与4,8,12,16,20及び24時間後に実施した。
4)統計処理
データは平均値±標準誤差で表した。対照群との有意差検定は、一元配置による分散分析を行い、有意差が認められた場合にRJ変性蛋白加水分解物と対照群との間でDunnett型の多重比較検定を行った。なお、有意水準は5%とした(解析ソフト:StatView, SAS Institute Inc.製)
5)結果
1.収縮期血圧
RJ変性蛋白加水分解物投与前、投与4,8,12,16,20及び24時間後に測定した収縮期血圧の推移を図5に示した。対照群およびRJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の投与前の収縮期血圧はそれぞれ226±6および225±7mmHgであった。対照群の収縮期血圧は投与24時間後までほぼ一定の値を示し、217〜229mmHgの範囲内で推移した。RJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の収縮期血圧は投与4〜16時間後にかけて、対照群のそれに比べて10〜20mmHg低い値で推移し、投与8,12および16時間後の収縮期血圧は、対照群に比較して有意に低かった。
2.平均血圧
RJ変性蛋白加水分解物投与前、投与4,8,12,16,20及び24時間後に測定した平均血圧の推移を測定した。対照群およびRJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の投与前の平均血圧はそれぞれ173±4および166±4mmHgであった。対照群の平均血圧は投与24時間後までほぼ一定の値を示し、164〜176mmHgの範囲内で推移した。RJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の平均血圧は投与8〜20時間後において、対照群に比べて10〜17mmHg低い値で推移し、投与16時間後の平均血圧は、対照群に比較して有意に低かった。
3.拡張期血圧
RJ変性蛋白加水分解物投与前、投与4,8,12,16,20及び24時間後に測定した拡張期血圧の推移を測定した。対照群およびRJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の投与前の拡張期血圧はそれぞれ150±4および139±4mmHgであった。対照群の拡張期血圧は投与24時間後までほぼ一定の値を示し、140〜151mmHgの範囲内で推移した。RJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の拡張期血圧は投与8及び12時間後において、対照群に比べて10〜13mmHg低い値で推移し、投与8時間後の拡張期血圧は、対照群に比較して有意に低かった。
4.心拍数
RJ変性蛋白加水分解物投与前、投与4,8,12,16,20及び24時間後に測定した心拍数の推移を測定した。対照群およびRJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の投与前の心拍数はそれぞれ468±15および445±6回/分であった。対照群およびRJ変性蛋白加水分解物3g/kg群は、心拍数に対して明らかな影響を及ぼさなかった。
II.8週間連続経口投与時の血圧低下作用
1)被験物質
ローヤルゼリー(RJ)のエタノール変性タンパク質を原料として用い、実施例2と同様にしてRJエタノール変性蛋白のトリプシン加水分解物を調製し、以下の実験に供した。
2)使用動物
Crj:SHR(雄、8週齢、日本チャールスリバー)を購入し、検疫馴化飼育後、9週齢(体重235-260g)で実験に使用した。ラットは金網5連ケージの1区画に個別飼育とし、温度:23±2℃、湿度:30〜70%、換気回数:12回以上/時間、照明時間:12時間(明期:6:30〜18:30)の環境に調節された動物飼育室で飼育し、固形飼料(CRF-1、オリエンタル酵母工業(株))および水道水は自由に摂取させた。
3)実験方法
実験には一群11匹のSHRを用いた。被験物質は注射用蒸留水で溶解し、20ml/kgの用量で1日1回、8週間連続経口投与した。対照群には注射用蒸留水を同様に投与した。ラットを40℃にセットした保温箱に入れ10分間加温した後、血圧計(TK-370C、ニューロサイエンス)を用いてtail cuff法により覚醒下にて血圧(収縮期血圧、平均血圧および拡張期血圧)および心拍数を測定した。測定は、被験物質投与開始前と投与開始後は週1回、投与8時間後に実施した。さらに、投与期間終了1および2週間後に同様に血圧および心拍数を測定した。体重を週1回測定した。
実験群の構成は以下のとおりである。
実験群
1.対照群(蒸留水投与)
2.RJエタノール変性蛋白加水分解物(3g/kg)
3.RJエタノール変性蛋白(3g/kg)
4)統計処理
結果は平均値±標準誤差で表した。群間比較は、Dunnett型多重比較検定を用いて解析した。危険率5%未満を有意として判定した。
5)結果
1.収縮期血圧
被験物質投与8時間後に毎週1回測定した収縮期血圧の推移を図6に示した。蒸留水を投与された対照群の収縮期血圧は、試験期間の経過に伴い上昇し、投与前から投与4週後までは約10mmHg/週の割合で血圧が上昇し、以降実験期間終了まで、約2〜5mmHg/週の割合の上昇で推移した。RJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の収縮期血圧は投与3週後までは対照群とほぼ同様の推移で血圧上昇を示したが、投与4週後以降、対照群に比べて血圧上昇を抑制するパターンを示した。投与5週後における収縮期血圧は207±3mmHgで、その後、投与期間終了(投与8週後)まで、対照群の収縮期血圧に比べて約10mmHg低い値で推移した。投与7週後および8週後における収縮期血圧は、それぞれ214±3mmHg、210±3mmHgで、対照群に比べて有意に低かった。投与終了後では、休薬1週後に217±3mmHg、休薬2週後に221±2mmHgとなり、徐々に対照群と同レベルの収縮期血圧まで回復した。
一方、RJ変性蛋白3g/kg群の収縮期血圧は投与期間中対照群と同様の推移で変動した。休薬期間における収縮期血圧も対照群と同レベルの血圧を示した。
2.平均血圧
被験物質投与8時間後に毎週1回平均血圧の推移を測定した。対照群の平均血圧は試験期間の経過に伴い上昇し、投与3週後までは約10mmHg/週の割合で上昇した。投与4週後の平均血圧は158±4mmHgで、以降実験期間終了まで、163〜170mmHgの値で推移した。RJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の平均血圧は投与2週後までは対照群と同様の血圧上昇を示したが、投与3週後以降、対照群に比べて血圧上昇を抑制するパターンを示した。投与3週後における平均血圧は153±2mmHgで、その後、投与期間終了まで、対照群の平均血圧に比べて約10mmHg低い値で推移した。投与7週後および8週後における平均血圧は、それぞれ161±2および158±1mmHgで、対照群に比べて有意に低かった。投与終了後の休薬期間では、休薬1週後に165±2mmHg、休薬2週後に164±3mmHgとなり、徐々に対照群と同レベルの平均血圧まで回復した。RJ変性蛋白3g/kg群の平均血圧は167±2mmHgで、対照群のそれと同程度であった。休薬期間の平均血圧も対照群と同レベルの血圧を示した。
3.拡張期血圧
被験物質投与8時間後に毎週1回拡張期血圧の推移を測定した。対照群の拡張期血圧は試験期間の経過に伴い上昇した。投与3週後までは約10 mmHg/週の割合で血圧が上昇し、投与3週後の拡張期血圧は137±5mmHgで、以降実験期間終了まで、140〜144mmHgの値で推移した。RJ変性蛋白加水分解物3g/kg群の拡張期血圧は投与3週後までは対照群と同様の血圧上昇を示したが、投与3週後以降、対照群に比べて血圧上昇を抑制するパターンを示した。投与3週後における拡張期血圧は132±3mmHgで、その後、投与期間終了まで、対照群の拡張期血圧に比べて約10mmHg低い値で推移し、投与8週後における拡張期血圧は、対照群に比べて有意に低かった。投与終了後の休薬期間では、休薬1週後に140±3mmHg、休薬2週後に135±3mmHgとなり、徐々に対照群と同レベルの拡張期血圧まで回復した。RJ変性蛋白3g/kg群の拡張期血圧は対照群とほぼ同様の血圧変動パターンであった。投与終了後も対照群と同レベルの血圧であった。
4.心拍数・体重
被験物質投与8時間後に毎週1回心拍数および体重を測定した。実験期間中を通じて各群の心拍数および体重増加に大きな変動はなく、心拍数および体重増加に対してRJ変性蛋白加水分解物およびRJ変性蛋白は明らかな影響を及ぼさなかった。
実施例5;蛋白分解物のインビボ試験(ヒト)
1)被験物質
実施例2と同様にしてRJエタノール変性蛋白のトリプシン分解物を得、これを上記スキーム1に従い、ダイヤイオンHP20に吸着後、水洗してフラクション1と2を除き、次に80%エタノールで溶出してフラクション3〜6を含む本発明の蛋白分解物を調製し、以下の実験に供した。
2)被験者
正常高値血圧から軽症高血圧(血圧値;収縮期血圧130〜159mmHg、拡張期血圧85〜99mmHg)に該当する者67名について収縮期血圧、拡張期血圧、年齢、性別において均等になるように4群に分けた。年齢、血圧、脈拍数、身長、体重、肥満指数(BMI)において各群間で有意差は認められなかった。
3)試験食及び摂取方法
1錠当たりフラクション3〜6を含む上記ローヤルゼリー蛋白分解物を166.7mg配合するように設計された錠剤(以下、試験食)及びローヤルゼリー蛋白分解物を配合していない錠剤(以下、プラセボ)を用いた。
表8に各試験食の栄養成分表を示す。
Figure 2005255670
摂取は4週間行い、検査は、摂取の2週間前及び1週間前、摂取開始日、摂取の1週間後、2週間後、3週間後及び4週間後、並びに摂取終了1週間後の合計8回行った。
試験食は表9に示すようにプラセボと組み合わせ、ローヤルゼリー蛋白分解物摂取量が0mg/day、500mg/day、1000mg/dayおよび5000mg/dayとなるように設定し、試験食を朝・夜の各食後に15錠ずつ、合計1日30錠摂取させた。
Figure 2005255670
4)検査方法および統計処理
血圧、脈拍数、体重および身長の測定、血液検査、尿検査、診察・問診は、全て全被験者一斉に実施した。データは平均値±標準誤差で表した。血圧、脈拍数、体重、BMIの比較はBonferroni多重比較検定を行った。収縮期血圧についての結果を図9に示す。
5)結果および考察
1.収縮期血圧
4群間並行の4週間連続摂取試験の結果、1000mg/day摂取群において摂取日と比較して摂取1週間後および4週間後に収縮期血圧の有意な低下が見られ、5000mg/day摂取群においても摂取3週間後および4週間後に収縮期血圧の有意な低下が見られた。
これらの結果から、本発明の蛋白分解物は、用量依存的な降圧作用を有することが明らかになった。
また、いずれの群においても、摂取終了後には試験食群の収縮期血圧は緩やかに回復し、摂取前値を過度に超えるようなリバウンド現象は認められなかった。
2.その他の検査項目
尿検査において、NaおよびKの1日推定排泄量に変化は認められず、本発明蛋白分解物の降圧作用は食塩摂取量の影響によるものではなく、蛋白分解物によるものであることが示唆された。
各種の血液検査、他の尿検査(蛋白、潜血、ウロビリノーゲン)、体重およびBMIの各検査項目について、医学的に意義のある変動はなかった。
特に有害事象(副作用)と考えられる所見はいずれの摂取用量においても認められなかった。このことから、本発明の蛋白分解物の高い安全性が明らかになった。

実施例6;蛋白分解物のブラジキニン収縮に及ぼす影響(モルモット摘出回腸)
1)被験物質
実施例2と同様にしてRJエタノール変性蛋白のトリプシン分解物を得、これを上記スキーム1に従い、ダイヤイオンHP20に吸着後、水洗してフラクション1と2を除き、次に80%エタノールで溶出してフラクション3〜6を含む本発明の蛋白分解物を調製し、以下の実験に供した。
対照薬のエナラプリル(ACE阻害剤)はSIGMA社から購入した。フラクション3,4,5およびエナラプリルは注射用蒸留水(大塚製薬(株))に溶解した。フラクション3〜6からなるローヤルゼリー蛋白分解物(RJ-H)およびフラクション6は蒸留水に不溶であるため、ホウ酸緩衝液(pH8.3)に溶解して用いた。各被験物質は原液として30mg/ml溶液を調製し、注射用蒸留水で希釈し、所定濃度の溶液(最終濃度3, 10, 30, 100, 300μg/mlについて試験した。
2)試験材料
Harley系モルモット(雄性、6週齢、日本エスエルシー)を購入し、バリアーシステムの環境下で温度(23±2℃)、湿度(55±15%)、換気(回数:15回/時間以上)および照明(12時間照明:午前7時から午後7時)の環境に調節されている動物室で自由摂餌摂水下にて予備飼育(馴化)した。馴化終了後、モルモットはジエチルエーテル麻酔下で頭部打撲後に放血致死させ腸管(回腸)を摘出し、常法に従い長さ約2cmの筒型標本を作製した。標本は直ちに27℃に加温したタイロード液中に置いた。なお、栄養液として用いたタイロード液の組成は以下の通りである。
137mM NaCl, 2.7mM KCl, 1.8mM CaCl2, 1.1mM MgCl2, 0.4mM NaH2PO4, 11.9mM NaHCO3, 5.5mM グルコース。
3)試験方法
タイロード液(15ml)を満たしたマグヌス管に標本を懸垂して、静止張力約1gを負荷し、等張性張力トランスデューサー(MODEL ME-4013, 株式会社エム・イー・コマーシャル、東京)を介して、レコーダー(MULTICORDER MC6625, GRAPHTEC, 横浜)上に腸管の運動を記録した。収縮薬としてbradykinin(5 ng/ml)を用い、単一濃度で繰り返し収縮薬を加えて標本を収縮させ、収縮反応がほぼ安定して得られるようになってから被験物質を添加し、その2分後に収縮薬を加えて張力を測定した。試験は、27℃で行い、1群4標本とした。被験物質および収縮薬はタイロード液15mlに対してそれぞれ0.15mlを添加した(100倍希釈)。収縮高の計算は、記録紙上で収縮薬単独による収縮高および被験物質を添加したときの収縮薬による収縮高をそれぞれ測定し、前者(コントロール)に対する後者の割合(増強率:% of control)で算出した。
4)統計処理
測定結果は平均値±標準誤差で表した。各被験物質の用量作用曲線(EXSAS:一次回帰直線)から直線性の見られる4用量(10〜300μg/mlまたは0.3〜10μM)を用いて、ブラジキニン収縮を30%増強させる濃度(AC30;30% augmentation)を求めた。結果を表10に示す。下記の結果から、本発明の蛋白分解物はブラジキニン収縮増強作用を有することが明らかになった。
Figure 2005255670
以下に、本発明の蛋白分解物を含む処方例を示す。
処方例1(粒)
下記の原料を常法により混合し、打錠機器で成型して、8mm径の素錠を製造した。この素錠を常法により食品用にフィルムコートして、粒状の健康食品を完成した。
(1粒当たりの組成)
Figure 2005255670
処方例2(ドリンク)
下記の材料を水に十分攪拌後、全量を100mlとした。
(1本分の組成)
Figure 2005255670
処方例3(カプセル剤)
下記の材料を均一に混合し、60メッシュのふるいを通した後、この粉末全量を2号ゼラチンカプセルに充填した。
(1カプセル剤の組成)
Figure 2005255670
処方例4(顆粒)
下記の材料を常法に従い顆粒状にし、スティック状のアルミ分包した。
(1本分の組成)
Figure 2005255670
処方例5(ソース)
下記の材料を十分に混合し、使用時に十分攪拌してサラダやフライに用いた。
(1人分の組成)
Figure 2005255670
実施例1のACE阻害活性の測定結果を示す。 Glyを1モルとしたときの相対的アミノ酸組成を示す。 Lysを1モルとしたときの相対的アミノ酸組成を示す。 GFC分析結果を示す。 被験物質の単回投与時の収縮期血圧の推移を示す。 被験物質8週間投薬、2週間休薬時の収縮期血圧の推移を示す。 スキーム1に従って分画されたフラクションNo.1〜7のグラフを示す。 関与成分含量に関するクロマトグラム例を図8に示す。図8中、「比較液」は、トリプトファン、グリシル-L-ロイシル-L-チロシンおよび10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸標準品を含む。また、検液は、フラクション1〜7を含む本発明の蛋白分解物である。 実施例5の収縮期血圧(全被験者)の結果を示す。

Claims (30)

  1. ローヤルゼリー素材をトリプシンで処理してなるアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有する蛋白分解物。
  2. ローヤルゼリー素材が、ローヤルゼリーのアルコール変性タンパク質である請求項1に記載の蛋白分解物。
  3. ローヤルゼリー素材に由来する蛋白分解物であって、下記式
    Figure 2005255670
    で表されるGlyを基準にしたときのLysの酵素分解後の残存率(モル比)が、ローヤルゼリー素材の70%以下である蛋白分解物。
  4. ローヤルゼリー素材に由来する蛋白分解物であって、下記式
    Figure 2005255670
    で表されるLysを基準にしたときのLeuの含有割合(モル比)が、ローヤルゼリー素材の1.3倍以上である蛋白分解物。
  5. ローヤルゼリー素材に由来し(1)無機塩類および(2)酸性遊離アミノ酸、塩基性遊離アミノ酸、アルコール性水酸基を有する遊離アミノ酸、遊離Alaおよび遊離Glyからなる群から選ばれる少なくとも1種を実質的に含まない請求項3又は4に記載の蛋白分解物。
  6. ローヤルゼリー素材に由来し、(1)無機塩類並びに(2)遊離酸性アミノ酸および遊離塩基性アミノ酸を実質的に含まない請求項5に記載の蛋白分解物。
  7. ローヤルゼリー素材に由来し、(1)無機塩類並びに(2)酸性遊離アミノ酸(Asp,Glu)、塩基性遊離アミノ酸(Lys,His,Arg)、アルコール性水酸基を有する遊離アミノ酸(Thr,Ser)、遊離Alaおよび遊離Glyを実質的に含まない請求項6に記載の蛋白分解物。
  8. 糖分の含有量が35重量%以下であり、40℃2ヶ月の加速試験条件下で実質的に変色しない請求項3〜5のいずれかに記載の蛋白分解物。
  9. ゲル濾過カラムでの分析により分子量10000以上の成分は実質的に認められず、分子量200〜1500程度の範囲に最大のピークを有し、分子量200〜300程度のシャープなピークを有する請求項3〜6のいずれかに記載の蛋白分解物。
  10. 平均分子量が700〜6000程度の範囲内にある請求項3〜6のいずれかに記載の蛋白分解物。
  11. 前記蛋白分解物を下記の特性を有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体のカラム(4.6mmφ×150mm)を通したとき、下記式で表される関与成分含量(%)が40%以上である請求項1〜10のいずれかに記載の蛋白分解物
    ・ スチレン・ジビニルベンゼン共重合体の特性
    粒度分布;30μm
    細孔径;250Å
    官能基;なし
    適用pH範囲:全領域。
    ・関与成分含量(%)=A1/AT×100
    T1:トリプトファンの保持時間
    T2:10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸の保持時間
    A1:T1の溶出位置に検出されるピークの後ろから,T2の溶出位置に検出されるピークの前までのピーク面積の合計
    AT:全てのピーク面積の合計。
  12. 前記関与成分含量が58±5%である請求項11に記載の蛋白分解物。
  13. 以下の9種のペプチドの少なくとも1種を含む請求項1〜12のいずれかに記載の蛋白分解物。
    Glu-Trp-Lys;
    His-Pro-Ala-Leu;
    Thr-Phe;
    Ser-Pro-Leu;
    Asn-Leu-Tyr;
    Leu-Ser-Tyr;
    Thr-Pro-Phe;
    Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr;
    Tyr-Ser-Pro-Leu。
  14. 前記蛋白分解物を下記の特性を有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体のカラムを通し、水(フラクション1,2)、20%メタノール(フラクション3)、40%メタノール(フラクション4)、60%メタノール(フラクション5)、80%エタノール(フラクション6)、100%エタノール(フラクション7)で溶出したときのフラクションのうち、フラクション3〜6を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の蛋白分解物:
    粒度分布:>250μm(250μmより大きい粒子径のものを90%以上含む)
    細孔径:400Å
    官能基:なし
    適用pH範囲:全領域。
  15. フラクション3に
    Glu-Trp-Lys、
    His-Pro-Ala-Leuおよび
    Thr-Phe
    からなる群から選ばれる少なくとも1種のペプチドを含み、フラクション4に、
    Thr-Phe;
    Ser-Pro-Leu;
    Asn-Leu-Tyr;
    Leu-Ser-Tyr;
    Thr-Pro-Phe;
    Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr;
    Tyr-Ser-Pro-Leu
    からなる群から選ばれる少なくとも1種のペプチドを含む、請求項14に記載の蛋白分解物。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物を有効成分とする高血圧の予防ないし治療剤。
  17. 請求項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物を含む食品。
  18. 高血圧予防用食品である請求項17に記載の食品。
  19. 請求項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物を含む経口摂取用製剤。
  20. 次の9種ペプチドから選ばれる少なくとも一種のペプチドを有効成分として含有する高血圧の予防ないし治療剤:
    Glu-Trp-Lys;
    His-Pro-Ala-Leu;
    Thr-Phe;
    Ser-Pro-Leu;
    Asn-Leu-Tyr;
    Leu-Ser-Tyr;
    Thr-Pro-Phe;
    Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr;
    Tyr-Ser-Pro-Leu。
  21. 請求項20に記載の蛋白分解物を含む食品。
  22. 高血圧予防用食品である請求項21に記載の食品。
  23. 請求項20に記載の少なくとも1種のペプチドを含む経口摂取用製剤。
  24. 明らか食品および/またはサプリメントからなる食品形態である請求項19に記載の製剤。
  25. 請求項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物を有効成分とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  26. ローヤルゼリー素材をトリプシンで処理することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の蛋白分解物の製造方法。
  27. トリプシン処理で得られた蛋白分解物を合成吸着剤で処理し、(1)無機塩類および(2)酸性遊離アミノ酸、塩基性遊離アミノ酸、アルコール性水酸基を有する遊離アミノ酸、遊離Alaおよび遊離Glyからなる群から選ばれる少なくとも1種を除去することを特徴とする請求項26に記載の方法。
  28. トリプシン処理で得られた蛋白分解物をスチレン・ジビニルベンゼン共重合体に吸着し、水洗して無機塩及び水溶性アミノ酸を除去し、次いで含水アルコールで溶出することを特徴とする請求項26に記載の方法:
  29. スチレン・ジビニルベンゼン共重合体が下記の特性を有する請求項28に記載の方法:
    粒度分布:>250μm(250μmより大きい粒子径のものを90%以上含む)
    細孔径:400Å
    官能基:なし
    適用pH範囲:全領域。
  30. 以下の5種のペプチドのいずれかからなる新規ペプチド:
    His-Pro-Ala-Leu;
    Asn-Leu-Tyr;
    Leu-Ser-Tyr;
    Tyr-Ser-Pro-Leu;
    Ser-His-Ser-Gly-Leu-Tyr。
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