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JP2005254819A - インクカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクカートリッジの製造方法 - Google Patents

インクカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクカートリッジの製造方法 Download PDF

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JP2005254819A
JP2005254819A JP2005126380A JP2005126380A JP2005254819A JP 2005254819 A JP2005254819 A JP 2005254819A JP 2005126380 A JP2005126380 A JP 2005126380A JP 2005126380 A JP2005126380 A JP 2005126380A JP 2005254819 A JP2005254819 A JP 2005254819A
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Mitsuo Ozaki
光男 尾▲崎▼
Hiroo Ueda
裕男 上田
Fumio Tabata
文夫 田畑
Shigeru Akema
滋 明間
Shino Sakai
志野 境
Shigeharu Suzuki
重治 鈴木
Kiyouta Akeno
京太 明野
Shigeyoshi Umemiya
茂良 梅宮
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】容易に、高信頼性高くインク充填できる低コストのインクカートリッジの提供。
【解決手段】インクカートリッジ容器31中に、インク33を保持するための連通孔を持つ多孔質部材32を有するインクカートリッジ33において、多孔質部材32の表面に対して界面活性剤を吸着させ、多孔質部材32に対するインク33の前進接触角が85度以下であること、さらにインクカートリッジ容器31の内壁に対するインク33の前進接触角が88度以下であるインクカートリッジの提供。
【選択図】 図7

Description

本発明はインクカートリッジ、特にインクジェット記録用インクカートリッジ、これを用いたインクジェット記録装置、およびインクカートリッジの製造方法に係る。
液体と固体表面の接触角を90度未満とすることで、濡れ性が向上し、固体表面に気泡が付着しにくくなる原理は以前より公知であった。この現象を利用して、インク吐出の作用源となる記録ヘッドのインク室内壁とインクとの接触角を、インク組成あるいはヘッド部材の選択により90度以下とすることで印字の安定性を向上することが提案されている(特開平3−807282号、特開平5−318725号、特開昭58−187363号公報)。
また、多孔質部材を有するインク溜は、記録ヘッドと一体となって、記録ヘッドの走査とともに移動するインク溜によく使用され、移動にともなうインク溜内のインクの振動を防止できる。このため、記録ヘッドからのインクの吐出が安定に行える。また、記録ヘッドのインク吐出口が下方に向いた記録装置では、多孔質の毛管力により発生する負圧により、重力に反する力が吐出口部のインクに作用して、吐出口からのインクのだれ、落下を防止でき、高信頼性で、高品位の記録が行える。
このように、多孔質部材を有するインク溜を使用する場合に様々な利点がある。このより具体的な例が、米国特許第4,306,245号、第4,771,295号、第5,025,271号、第5,047,790号、第5,119,115号、第5,182,579号等に記載されており、エーテル系ウレタンスポンジの使用や負圧の発生条件、スポンジのセル構造条件等が記載されている。
上記の記録ヘッドのインク室内壁とインクとの接触角を90度以下にする提案では、その原理を利用することの効果は公知例に示されているように大きいが、インク組成により部材との接触角を調整すると必然的に記録媒体への浸透性も変化し印字品位に影響を及ぼしたり、また、部材では、インクの濡れ性が悪いため、加工性の高いプラスチックが選択できなくなると言う問題点も有している。また、とくに公知例では、圧力が作用するインク室での接触角に注目しており、より内部構造が複雑となり、多孔質部材を含むインク溜に関しては、全く言及されていない。
また、上記のような多孔質部材を有するインク溜を得るには、従来は、多孔質部材を減圧環境下に維持して、多孔質部材内の空気を除去してから、代わりにインクを充填する方法を採っていた(例えば「Ink Retention in a Color Thermal Inkjet Pen」HEWLETT PACKARD JOURNAL」P.41 AUGUST 1988;また構造は異なるものの多孔質へのインク充填方法として米国特許第5,156,472号等)。したがって、製造設備が高くなり、また、工数も多くなり、製造コストが高くなる欠点があった。また、減圧条件等を厳密に管理する必要がある。さらに減圧下で、インクは沸騰しやすくインクの充填を困難にしたり、また、溶媒が蒸発しやすく、インクの組成が変化する危険がある等信頼性の低下を招くことがあった。
また、米国特許第4,929,969号では、多孔質の素材として、疎水性のウレタンよりも特殊な構造をした親水性の素材(たとえば熱硬化性メラミン樹脂凝結物)が提案されて、インクの充填を比較的容易にすることが述べられている。
しかし、多孔質素材を親水性の素材に限定することは、コスト、性能、信頼性等種々の面から不利となり、また、親水性の程度、条件の記述は一切なされておらず、さらにはインクの構成、インク溜の素材、充填方法等も記述されていない。
本発明は、従来例で示した原理を、インク室ではなく、より構造が複雑となる多孔質を含有するインク溜(インクカートリッジ)に適用するもの、つまり、毛管力によるインクの多孔質部材、および多孔質部材とインク溜との間隙への浸透性を利用してインクの充填を行うもので、インクと多孔質部材の前進接触角を90度未満とすること、さらにこの多孔質部材を内部に有するインク溜とインクの前進接触角を90度未満とすることで、インクをインクカートリッジ内の多孔質部材へと大気圧下で浸透、充填できる。
このインクと多孔質部材の前進接触角を90度未満とする手段として、インクの多孔質に対する接触角を低下させる、多孔質のインクに対する接触角を低下させる等の方法を提案するものである。
すなわち、インクへの界面活性剤の添加、多孔質部材/インク溜内壁への界面活性剤の吸着等により実現でき、また、インク溜内の界面活性剤の合計量を調整することで、記録特性の劣化を防止できる。さらに、使い捨ての機会が多きインクカートリッジに安価で加工し易いプラスチック部材も使用できるようにする。
すなわち、本発明は、インクカートリッジ容器中に、インクを保持するための連通孔を持つ多孔質部材を有するインクカートリッジにおいて、多孔質部材、さらにはインクカートリッジ容器の内壁に対する水の前進接触角が90度未満であることを特徴とするインクカートリッジ、およびこれにインクを充填したインクカートリッジを提供する。
また、本発明は、インク容器中にインクを保持するための連通孔を持つ多孔質部材を有し、かつ、インク容器中にインクが注入されており、インクが界面活性剤を含み、インク中に含まれる界面活性剤の量が、インクに完全に溶解された状態ではインクの前進接触角を90度以上にするが、前記多孔質部材に吸着された状態で上記の界面活性剤を除いたインクの他の成分を注入するとインクの前進接触角を90度未満にするような量であることを特徴とするインクカートリッジも提供する。
このインクカートリッジは特にインクジェット記録用に好適であり、このインクカートリッジを用いたインクジェット記録装置も提供される。
好ましい態様において、多孔質部材の表面に界面活性剤を吸着させる;界面活性剤としてノニオン系界面活性剤を用いる;多孔質部材が疎水性素材からなる;界面活性剤の吸着量がまたは、インクに含まれる界面活性剤、多孔質部材および/またはインクカートリッジ容器内壁に付着した界面活性剤の合計量が、水またはインクの前進接触角を90度未満にするには十分であるが、インクに溶解されてもインクの記録媒体への浸透性に影響を与えない量である;インクが水性黒インクである。
さらに、本発明は、インクを保持するための連通孔を有する多孔質部材を含むインクカートリッジ容器中にインクを充填するインクカートリッジの製造方法であって、インクと多孔質部材、およびインクとインクカートリッジ容器内壁の前進接触角が90度未満であり、かつインク充填を大気圧下で行なうことを特徴とするインクカートリッジの製造方法を提供する。
好ましい1態様では、多孔質部材を界面活性剤溶液に浸漬し、多孔質部材の連通孔内の空気を除去した後、多孔質部材を溶液から取り出し、次いで多孔質部材の連通孔(セル)内の溶液を除去して多孔質部材に界面活性剤を付着させる。
本発明の一実施例を、以下に示す。
図1〜3および図4〜6は、本発明を実現する記録装置の一例を示すもので、シリアルタイプのカラーインクジェットプリンタである。この装置は、浸透性の低い黒(K′)と浸透性の高いカラー〔イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、クロ(K)〕の5種類のインクを有する。各インクは各々のインクカートリッジ(インク溜)6に保持され、これに記録ヘッド1が接続しており、記録ヘッドに設けた吐出手段(たとえば、圧電素子、発熱体、音波発生体、磁界、電界等、図1〜2では圧電素子)により、インクが記録ヘッドのノズルから吐出され、記録媒体上に所定量付着し、乾燥定着してドットが形成される。記録データにしたがって、インクの吐出タイミング、記録ヘッドの走査、およびこの走査と垂直な記録媒体の走査を制御することにより、記録媒体上にドットのパターンが形成でき、任意の文字や図形等を記録することができる。また、記録紙上で各種のインクの付着の有無や量を制御することで、各インクの色の補色の赤、緑、紫をはじめとする色々な色を表現することができる。図1〜3はインク吐出口が水平方向に向いている場合、また、図4〜6はインク吐出口が下方にむいている場合の装置を示しているが、上記の記録動作、原理は同じである。
なお、図1〜3中、1が記録ヘッド、2は記録紙、3はキャリア、4は圧電素子、5は記録ヘッドのインク供給口、6はインクカートリッジ、7は記録ヘッドのインク供給口との連結(インクカートリッジのインク供給口)口、8は通気口である。図4〜6中、11はフレーム、12はキャリア、13はステーシャフト、14は紙送りローラ、15は記録ヘッド、16はバックアップユニット、17は記録ヘッドを走査するスペーシングモータ、18はスペーシング用のベルト、20は記録紙、21はキャリア、22はインクカートリッジホルダー、25−1,25−2,25−3,25−4,25−5は各インクカートリッジの脱着レバー、26−1,26−2,26−3,26−4,26−5は各々、K,Y,C,M,K′のインクを保持したインクカートリッジである。
インクカートリッジ内にはインクを保持するスポンジ(多孔質部材)が挿入されており、インクはおもにスポンジの連通したセル内に保持される。記録ヘッドのインク供給口にインクカートリッジのインク供給口が密接、あるいは挿入されて記録ヘッドへインクの供給がなされる。
スポンジ部材として、エーテルウレタン系フォーム(疎水性)、ポリアミド系フォーム(親水性)を使用し、インクとして、組成の異なる5種類の黒インクを使用した。
インクA組成:黒酸性染料3wt%、ジエチレングリコール13wt%、残量水
インクB組成:黒酸性染料3wt%、ジエチレングリコール5wt%、エタノール6wt%、残量水
インクC組成:黒酸性染料3wt%、ジエチレングリコール10wt%、エタノール10wt%、残量水
インクD組成:黒酸性染料3wt%、ジエチレングリコール10wt%、エタノール3wt%、ノニオン系界面活性剤1.5wt%、残量水
インクE組成:黒酸性染料3wt%、ジエチレングリコール8wt%、エタノール6wt%、カチオン系界面活性剤0.8wt%、残量水
表1.インクとスポンジ部材の接触角
多孔質部材 インクA インクB インクC インクD インクE
ウレタンフォーム 125° 110° 65° 30° 27°
ポリアミドフォーム 85° 40° 23° ≦10° ≦10°
──────────────────────────────────
ここで、インクの記録媒体への浸透性は順に大きくなり、通常インクA〜Cの構成は、モノクロ記録に使用してにじみのない、高記録濃度の印字を実現し、また、インクD,Eの構成は、染料をそれぞれの色に変更し、カラー記録に使用して色境界部分でのにじみ(ブリード)や記録濃度むらのない高品位のカラー記録を実現する。
図7(イ)〜(ハ)に示した透明なポリエチレン製カートリッジ31に各スポンジ部材32を圧縮、挿入し、その後所定の位置まで、部材の上端をピンセットで引き上げた。そこに、インク33を流し込み、インクの充填を行ったところ、以下の結果を得た。なお、図中の34はインク供給口、35は通気孔、36はシールである。
表2.スポンジへのインク充填結果(インク流し込み)
多孔質部材 インクA インクB インクC インクD インクE
ウレタンフォーム × × △ ○ ○
ポリアミドフォーム △ ○ ○ ◎ ◎
──────────────────────────────────
◎:インクを流し込むのとほぼ同時に吸収し、すぐに供給口からインクが滴った○:インクを流し込むと吸収して、しばらくすると供給口からインクが滴った
△:インクを流し込むとゆっくり吸収して、数分後供給口からインクが滴った
×:インクを流し込んでもほとんど吸収しなかった
また、図8(イ)(ロ)に示したように細管を付けたシリンジ41にインクを入れ、細管をスポンジ32内部に挿入して、インク33を加圧注入したところ、以下の結果を得た。
表3.スポンジへのインク充填結果(インク注入)
多孔質部材 インクA インクB インクC インクD インクE
ウレタンフォーム × × △ ○ ○
ポリアミドフォーム △ ○ ○ ◎ ◎
──────────────────────────────────
◎:インクを注入していくと、ほぼ均一にスポンジ上部が濡れ、インクが上部に 溜まり、また、供給口からも滴った
○:インクをややゆっくり注入していくと、ほぼ均一にスポンジ上部が濡れ、イ ンクが上部に溜まり、また、供給口からも滴った
△:インクをゆっくり注入していくと、ほぼ均一にスポンジ上部が濡れ、インク が上部に溜まり、また、供給口からも滴った
×:インクをゆっくり注入しても、細管を挿入した部分等からインクが溢れ出す ものの、スポンジを均一に濡らず、上部に溜り、供給口からインクが滴るこ とはなかった
このとき、外部からカートリッジ壁面の状態を観察したところ、以下の結果を得た。
また、カートリッジの素材をポリカーボネイト製にて、同様の調査をした結果も合わせて示す。
表4.カートリッジの素材の接触角と気泡残留結果
カートリッジ 多孔質 インク インク インク インク インク
容 器 部 材
ポリエチレン製 ウレタン ×(120) ×(100) △(88)△(65)○(58)
カートリッジ ポリアミド × × △ ○ ○
───────────────────────────────────
ポリカーボネイト ウレタン ○(47)○(38)○(25)○(10)○(10)
製カートリッジ ポリアミド ○ ○ ○ ○ ○
───────────────────────────────────
○:気泡が存在せず (括弧内はカートリッジ内壁とインクの接触角)
△:角に微小な気泡が存在
×:角や壁面の一部にやや大きな気泡が多く存在
接触角90°よりも小さいと気泡は存在しないか、しても微小であった。
このように、カートリッジ内壁とインクの接触角を小さくすることで、カートリッジ内に気泡を残さず信頼性の高いインク充填ができた。
インクDで使用したノニオン系界面活性剤を0.05wt%を5wt%エタノール水溶液に溶解して、スポンジの処理液を調合した。この処理液にウレタンのスポンジを浸漬し、セル内に処理液を浸透させた。その後、このスポンジを取り出し、セル内の処理液を十分に排出した。このように処理したスポンジで上記インクとの接触角を測定したところ、各インクとも接触角が60〜10°以下を示し、インクが吸収されるようになった。なお、処理後スポンジを乾燥させた後では、接触角が20〜30°増加したものの、すべてのインクを浸透する性能は維持された。
スポンジを浸漬する際、処理液に浮かべ、ゆっくり処理液を浸透させながら、浸漬するほうが、気泡の発生をなくすことができ、より処理が行ないやすい。また、浸漬後、セル内の処理液を排出する場合も、スポンジ内で気泡が発生しないようにしたほうが、より信頼性の高いインクの充填が行える。
また、浸漬する前のスポンジの重量(3.25g)を測定し、さらに、浸漬後、セルから処理液を排出したあとのスポンジの重量(3.85g)を測定することで、スポンジに吸着させた界面活性剤の量(約0.3mg=(3.85−3.25)g×0.05/100)を算出できる。
インクカートリッジの供給口からインクが滴る状態で、供給口にフィルムをシールし、供給口を密閉する。フィルムのシール方法としては、供給口の周囲を、インクに溶解せず影響しない接着層を持つ接着テープを接着する方法や熱融着フィルムで熱融着する方法等がある。カートリッジ内のスポンジに吸収されていないインクとさらにスポンジ上部の少量のインクを除去することで、スポンジに負圧が作用して、供給口のシールを取っても、インクが滴らなくなる。このカートリッジ上部に蓋をして、インクカートリッジを製造した。このときスポンジに保持されたインク量は約25gであった。
このカートリッジを記録ヘッドのインク供給口に装填して、記録を行ったところ、安定した記録が実現できた。
このとき、スポンジの処理により、インクに溶解する界面活性剤の量は約1.2×10-3wt%(0.3mg/25g)と非常に微量となり、またエタノールや水の量もインクの溶媒量に対して微量であるため、各インクの記録特性等に何ら影響を与えなかった(記録特性結果1)。
使用する界面活性剤は、インクの他の素材(色材、溶媒等)と反応等を生じない、安定したものを使用する。水性インクでは、一般に色材として染料が使用されることが多く、この場合、染料は溶媒中で電離して溶解している。この際、染料と逆の極性のイオン性の界面活性剤を使用すると、染料と反応して、結晶化したり、会合して、インクの物性、記録特性に悪影響を及ぼす場合が多々ある。このような危険を避けるため、使用する界面活性剤は、一般的には、色材の溶解性や分散性に影響を与えない、アニオン系やノニオン(非イオン)系の界面活性剤が有効であり、とくに非イオン系のものが望ましい。
アニオン系の活性剤としては、ラウリルアルコール等の高級アルコールを用いた高級アルコール硫酸エステル塩や高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩型界面活性剤、ドデシルベンゼン等を用いたアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンを用いたα−オレフィンスルホン酸塩、オレイン酸クロライド等を用いたイゲポンT型、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシルエステル等を用いたエアロゾルOT型等のスルホン酸塩型界面活性剤、リン酸エステル塩型界面活性剤等がある。また、ノニオン系の活性剤としては、高級アルコールや脂肪酸、高級アルキルアミン、脂肪酸アミド等のエチレンオキサイド付加物であるポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤、グリセロールやペンタエリスリトール、ソルビトールおよびソルビタン、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル等の多価アルコール型ノニオン界面活性剤がある。
この中でもとくにエアロゾルOT型のアニオン系やポリエチレングリコール型ノニオン系の界面活性剤の浸透性が高く、本発明にはより適している。
また、スポンジを処理する界面活性剤をそのスポンジに保持するインクに使用している界面活性剤と同じものとすることで、より一層、記録特性や物性、またインクの保存安定性等に与える危険性を低減することができる。
カートリッジ51へのインクの充填方法としては、図9(イ)〜(ハ)に示すように種々の方法を用いることができる。
供給口や上部開口部からスポンジの毛管力でインクを吸収させる方法、加圧充填する方法、また上部開口部からインクを加圧充填する方法、スポンジ内部に細管を挿入して加圧充填する方法等である。加圧充填する場合には、スポンジのインク吸収速度を超えないようインクの供給速度を調整することが、スポンジ全体にむらなくインクを充填するのに有利である。
また、上記の結果から明らかなように、インクとスポンジの接触角は90°未満でより小さい方がインクの浸透を速くでき、効率の良い充填が行える。
スポンジの負圧は、スポンジとインクの濡れ性(接触角)、およびスポンジのセルの径、セルの数により調整することができ、ヘッド、装置構造に適した値を設定できることが学術的に明らかである(米国特許第5182579号等参照)。すなわち、記録ヘッドの開口端であるインク吐出口でのインク液面の保持力(毛管力)とインクカートリッジでのスポンジによる吸引力(負圧)、また、両者のインク液面の高低差による重力等の影響を加味して、ヘッド、装置構造に適した値を設定する。
したがって、可塑性のスポンジを圧縮してカートリッジに挿入して使用する場合は、圧縮した状態で、インクとの接触角や負圧力を測定することがより精度の良い、充填、設計に有効である。
とくに、本発明によるインクカートリッジは、記録ヘッドのインク吐出口からのインクだれを防止するためにスポンジの負圧力を必要とする、図1に示したような記録ヘッドの吐出口がインクカートリッジ内のスポンジ最下端よりも低い位置に設けられている装置で有効に機能する。
処理液の界面活性剤濃度を高くすることで、より接触角を小さくでき、浸透性を向上できる。
上記実施例の界面活性剤10wt%を20wt%エタノール水溶液に溶解して、処理液を得た。この処理液でウレタンスポンジを上記と同様の方法で処理し、界面活性剤を吸着させた。このときの、処理液の付着量は0.9gであった。したがって、吸着した界面活性剤の量は約0.09gとなった。このスポンジを50℃の恒温槽内で1時間乾燥した。
この処理したスポンジを充填したカートリッジに以下のインクを20g注入してインクカートリッジを得た。このとき、スポンジに吸着させた界面活性剤量は、インクの約0.45wt%となった。
表5.スポンジへの界面活性剤吸着によるインク組成の変化
インク インク界面活性剤量 カートリッジ内インクの界面活性剤量
インクC 0wt% 0.45wt%(=0.45+ 0)
インクD 1.5wt% 1.95wt%(=0.45+1.5)
インクF 1.0wt% 1.45wt%(=0.45+1.0)
─────────────────────────────────
インクFの組成:酸性染料3wt%、ジエチレングリコール10wt%、エタノール3wt%、ノニオン系界面活性剤1.0wt%、残量水
このインクカートリッジを各々使用して記録を行った結果を各々前述の記録特性結果1のインクC、インクDの結果と比較したところ、インクCでは、記録したドットがやや大きく、にじみがわずか増加し、記録濃度がやや低下したが、大きな記録特性の劣化はなかった。また、インクDでは、記録したドットが大きくなり、記録濃度の低下が大きく、記録特性が劣化した。また、インクFでは、前述の記録特性結果1のインクDと、ドット径、にじみ、記録濃度等ほぼおなじ記録特性が得られた。
スポンジに界面活性剤を吸着させる場合には、インクの記録特性に影響しない程度に微量とするか、あるいはインクに含有させた界面活性剤量との合計が所望の記録特性を得る界面活性剤量となるよう調整することが有効である。
以上、黒色のインクについて説明したが、他の色のイエロー、マゼンタ、シアンについても同様に説明できるので、詳細な説明は省略する。
ポリカーボネイト性カートリッジに0.05wt%の界面活性剤溶液で処理したポリアミドスポンジを詰め込み、モノクロ用の黒のインクB構成のインク、カラー用のイエロー(2wt%)、マゼンタ(4wt%)、シアン(3wt%)と黒(3wt%)のインクD構成の各色インクを調合して、各カートリッジに大気圧で充填したところ、均一に充填することができた。このカートリッジを装置に充填して、記録を行ったところ、高品位のモノクロおよびカラー記録が安定して実現できた。
以上のように、本発明では親水性、疎水性等種々の素材が使用でき、その例としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ化エチレン等がある。 また、親水性の素材でも、本発明の処理を行い、接触角をより小さくすることで、より大きな効果を得ることができる。
なお、ここでは、4色、5種類のインクを使用した場合を示したが、色、種類の増減に関係なく本発明は適応できる。
ここで、1つの態様として、界面活性剤の添加により、記録媒体への浸透性の異なる少なくとも2種類の液状のインクを各々記録媒体へ吐出して記録を行う記録ヘッドとこの記録ヘッドに供給する該インクを各々保持する連通したセル(ポア)を持つ多孔質部材を有したインクカートリッジを使用するインクジェット記録装置において、インクカートリッジが下記の特徴を持つものも好適である。
(1) 各インクとその各々のインクを保持する多孔質部材との前進接触角が90度未満であり、かつ各インクとその各々インクを有するインクカートリッジ容器内壁の前進接触角が90度未満である。
(2) 少なくとも各インクに含有する界面活性剤とそのインクを保持する多孔質部材、および/またはインクカートリッジ容器内壁に吸着させる界面活性剤を同じものとする。
(3) 少なくとも浸透性の低い方のインクを保持する多孔質部材、および/またはインクカートリッジ容器内壁に吸着させた界面活性剤量がインクの記録媒体への浸透性を変える量未満である。
(4) インクに含有する界面活性剤量とそのインクを保持する多孔質部材、および/またはインクカートリッジ容器内壁に吸着させた界面活性剤量との合計が、記録媒体への所望の浸透性を与える量である。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明に記載した条件を満足する各種組成のインク、各種素材の多孔質部材、カートリッジ部材、各種構成の記録装置に適用が可能である。
本発明によれば、容易に、かつ信頼性高くインクカートリッジへのインクの充填ができ、製造コストの低下と安定した記録が実現できた。
図1〜3は水平方向にインクの吐出を行う記録ヘッドを持つインクジェット記録装置の構成を示す。 図1の装置の記録ヘッドを示す。 図1の装置のインクカートリッジを示す。 図4〜6は下方向にインクの吐出を行う記録ヘッドを持つインクジェット記録装置の構成を示す。 図4の装置の記録ヘッドを示す。 図4の装置のインクカートリッジを示す。 図7はカートリッジの構成と上部からのインク流し込みによる充填方法を示す。 図8はカートリッジへの細管挿入による加圧注入充填方法を示す。 図9はその他の充填方法の例を示す。
符号の説明
1…記録ヘッド
2…記録紙
3…キャリア
4…圧電素子
6…インクカートリッジ
11…フレーム
12…キャリア
13…ステーシャフト
14…紙送りローラ
15…記録ヘッド
16…バックアップユニット
20…記録紙
21…記録ヘッド
31…インクカートリッジ容器
32…スポンジ(多孔質部材)
33…インク
41…シリンジ
51…カートリッジ

Claims (15)

  1. インクカートリッジ容器中に、インクを保持するための連通孔を持つ多孔質部材を有するインクカートリッジにおいて、多孔質部材に対するインクの前進接触角が85度以下であることを特徴とするインクカートリッジ。
  2. 前記インクカートリッジ容器の内壁に対するインクの前進接触角が88度以下である請求項1に記載のインクカートリッジ。
  3. 前記多孔質部材の表面に界面活性剤を吸着させた請求項1または2記載のインクカートリッジ。
  4. 前記界面活性剤がノニオン系である請求項3に記載のインクカートリッジ。
  5. 前記多孔質部材が疎水性素材からなる請求項3または4に記載のインクカートリッジ。
  6. インクに含まれる界面活性剤と、前記多孔質部材及びインクカートリッジ容器内壁の少なくとも一方に付着した界面活性剤との合計量が、記録媒体に対するインクの記録特性に影響を与える量より少ないことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項のインクカートリッジ。
  7. インクジェット記録用である請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。
  8. インクカートリッジ容器内にインクが充填されている請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。
  9. インクジェット記録用である請求項8に記載のインクカートリッジ。
  10. 請求項8または9に記載のインクカートリッジを使用したことを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. インクを保持するための連通孔を有する多孔質部材を含むインクカートリッジ容器中にインクを充填するインクカートリッジの製造方法であって、多孔質部材に対するインクの前進接触角が85度以下であり、且つ、インクカートリッジ容器の内壁に対するインクの前進接触角が88度以下であることを特徴とするインクカートリッジの製造方法。
  12. インク充填を大気圧下で行なう請求項11に記載の方法。
  13. 前記多孔質部材を界面活性剤溶液に浸漬し、該多孔質部材の連通孔内の空気を除去した後、該多孔質部材を前記溶液から取り出し、次いで該多孔質部材の連通孔内の溶液を除去して前記多孔質部材に界面活性剤を付着させる請求項11または12に記載の方法。
  14. 前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤である請求項11,12または13に記載の方法。
  15. インクに含まれる界面活性剤と、前記多孔質部材及びインクカートリッジ容器内壁の少なくとも一方に付着した界面活性剤との合計量が、記録媒体に対するインクの記録特性に影響を与える量より少ない請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
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