JP2005238718A - 平滑性に優れた容器用ラミネート金属板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラミネート表面の平滑性に優れ、レトルト処理時にも白濁が生じない容器用ラミネート金属板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 融点が250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂を表層とし、125 ℃における半結晶化時間が100 秒以下であるポリエステル樹脂を下層とする複層フイルムであって、全厚みを6〜30μm、表層と下層との厚みの比を1:3〜1:30とした複層フイルムを少なくとも金属板の片面にラミネートしたことを特徴とする平滑性に優れた容器用ラミネート金属板
【選択図】 なし
【解決手段】 融点が250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂を表層とし、125 ℃における半結晶化時間が100 秒以下であるポリエステル樹脂を下層とする複層フイルムであって、全厚みを6〜30μm、表層と下層との厚みの比を1:3〜1:30とした複層フイルムを少なくとも金属板の片面にラミネートしたことを特徴とする平滑性に優れた容器用ラミネート金属板
【選択図】 なし
Description
本発明は、主として、食品缶詰の缶胴および缶蓋に用いられるフイルムラミネート金属板とその製造方法に関するものである。さらに詳しくはラミネート表面の平滑性に優れ、レトルト処理時にも白濁が生じない容器用ラミネート金属板およびその製造方法に関するものである。
従来の容器用金属缶には塗装金属板が用いられていたが、塗装工程は複雑で生産性が低いばかりでなく、多量の溶剤を排出する問題がある。
これらの問題を解決するために、熱可塑性樹脂フイルムを加熱した金属板に積層する方法が数多く提案されている。
特にポリエステル樹脂フイルム積層金属板は、その優れた経済性、食品衛生性及び熱融着特性により広く用いられるようになった。
これらの問題を解決するために、熱可塑性樹脂フイルムを加熱した金属板に積層する方法が数多く提案されている。
特にポリエステル樹脂フイルム積層金属板は、その優れた経済性、食品衛生性及び熱融着特性により広く用いられるようになった。
しかしポリエステル樹脂フイルム積層金属板には、缶体に内容物を充填した後に行われる、レトルト殺菌処理時に缶外面のポリエステル樹脂が斑点状に乳白色に変色するという問題(レトルトブラッシング)がある。
この問題を解決するためにポリエステル樹脂をポリエチレンテレフタレート(PET) やポリブチレンテレフタレート(PBT)で複合化して、フイルム特性を改善する発明がある。(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)
これらは単層のポリエステル樹脂フイルムを前提とし、レトルトブラッシング特性に改善を加えている。
この問題を解決するためにポリエステル樹脂をポリエチレンテレフタレート(PET) やポリブチレンテレフタレート(PBT)で複合化して、フイルム特性を改善する発明がある。(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)
これらは単層のポリエステル樹脂フイルムを前提とし、レトルトブラッシング特性に改善を加えている。
複層のポリエステル樹脂を用いてレトルト処理性や耐衝撃性等を改善する発明には以下のような発明がある。
上層を2軸配向ポリエステル樹脂フイルム、下層を低融点のポリエステル樹脂とする、2層のポリエステル樹脂被覆金属板に関する発明。(特許文献5、特許文献6)
これらの特許は下層の低融点ポリエステル樹脂が接着層として機能し、上層の2軸配向ポリエステル樹脂フイルムの加工性に悪影響を与えないことを特徴とし、レトルト処理などで高温にしても樹脂層が金属板から剥離しない耐熱性を有する事を開示している。同じく2層の2軸配向ポリエステル樹脂フイルム被覆金属板に関する特許で、表層をガラス転移温度が65℃以上のポリエステル樹脂、下層をガラス転移温度が30〜65℃であるPETとPBTのブレンド樹脂とし、耐内容物吸着性、耐衝撃加工性に優れた薄肉化深絞り缶用樹脂被覆金属板に関する特許も公開されている。(特許文献7)
また本発明者らは先に、缶外面の上層をPET樹脂、下層をPETとPBTのブレンド樹脂とする発明を出願しており、加工・製缶・レトルト処理後に缶外面の目視観察を行って、フイルム面に局部的な白化等の変色が認められない金属板とその製造方法を特願2002−336380として出願している。
上層を2軸配向ポリエステル樹脂フイルム、下層を低融点のポリエステル樹脂とする、2層のポリエステル樹脂被覆金属板に関する発明。(特許文献5、特許文献6)
これらの特許は下層の低融点ポリエステル樹脂が接着層として機能し、上層の2軸配向ポリエステル樹脂フイルムの加工性に悪影響を与えないことを特徴とし、レトルト処理などで高温にしても樹脂層が金属板から剥離しない耐熱性を有する事を開示している。同じく2層の2軸配向ポリエステル樹脂フイルム被覆金属板に関する特許で、表層をガラス転移温度が65℃以上のポリエステル樹脂、下層をガラス転移温度が30〜65℃であるPETとPBTのブレンド樹脂とし、耐内容物吸着性、耐衝撃加工性に優れた薄肉化深絞り缶用樹脂被覆金属板に関する特許も公開されている。(特許文献7)
また本発明者らは先に、缶外面の上層をPET樹脂、下層をPETとPBTのブレンド樹脂とする発明を出願しており、加工・製缶・レトルト処理後に缶外面の目視観察を行って、フイルム面に局部的な白化等の変色が認められない金属板とその製造方法を特願2002−336380として出願している。
ポリエステル樹脂被膜を容器用金属板の表面にラミネートして利用する技術は広く用いられてきており、各種用途への導入が進められている。
最近は基本的性能に加えて缶外面の外観に関しても厳しい要求が増えてきた。
外観を悪化させる要因としては、前述のレトルトブラッシングに起因するフイルムの白濁、ラミネートロールの汚れや傷のフイルムへの転写などが挙げられる。
従来技術ではレトルトブラッシングに関してはいくつかの改善策が示されているが、転写が原因でラミネート表面の平滑性が損なわれ、光沢が低下する問題に関する対策は開示されていない。
特開平10−195210号公報
特許第2882985号公報
特許第3091054号公報
特許第3020731号公報
特開昭56−10451号公報
特開平1−192546号公報
特許第3041153号公報
最近は基本的性能に加えて缶外面の外観に関しても厳しい要求が増えてきた。
外観を悪化させる要因としては、前述のレトルトブラッシングに起因するフイルムの白濁、ラミネートロールの汚れや傷のフイルムへの転写などが挙げられる。
従来技術ではレトルトブラッシングに関してはいくつかの改善策が示されているが、転写が原因でラミネート表面の平滑性が損なわれ、光沢が低下する問題に関する対策は開示されていない。
本発明は缶体に内容物を充填後、レトルト殺菌処理時に発生する樹脂被膜が斑点状に乳白色に変色するという問題(レトルトブラッシング)と、表面が荒れたラミネートロールが樹脂被膜表面に凹凸を転写して外観不良を発生するという問題を合わせて解決し、表面外観の優れた容器用ラミネート金属板を提供することを課題とする。
単層のポリエステル樹脂フイルムを改善した先行特許(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)ではレトルト殺菌処理時の白斑の発生を防止することが出来たとしても、表面平滑性は維持できない。
ポリエステル樹脂に表面平滑性を付与するには、ラミネート時に融解しない高融点の硬質ポリエステル樹脂を選択する必要があり、ポリブチレンテレフタレートを配合する上記単層の先行特許では樹脂の融点が低下し、目的を達成できない。
単層の被膜では接着性を保持しつつ硬質性を併せ持つことが必要であるが、相反する特性を一つの樹脂に求める事は困難である。
従って本発明では表層と下層の複層構造とし、表層のポリエステル樹脂の耐熱性を高め高融点とすることにより表面平滑性を付与するものである。
複層構造を採用した先行特許(特許文献5、特許文献6)は、いずれも缶内面耐食性を保証する厚い二軸配向PETフィルム基材に低融点接着樹脂層を設けて成形加工性と耐腐食性を改善する発明である。
特許文献5は下層樹脂のイソフタル酸共重合量を増加させて樹脂の融点を低下させることにより接着力を向上させているが、これは被膜の軟化を促進し、ラミネートロールの凹凸転写耐性の低下を招いている。
特許文献6はフイルム製膜時に下層樹脂層を無配向・アモルファス化して、低温ヒートシールを可能とし、低融点錫メッキ(ブリキ)原板の熱ラミネートを可能とすることを目的としている。
この下層樹脂層は、二軸延伸フイルムの熱固定温度(フイルム分子構造を配列するための熱処理温度)より、接着樹脂層の融点を10〜40℃低く設定している。
従って特許文献5と同様に被膜が軟化してラミネートロールの凹凸転写耐性の低下を招いている。
特許文献7は表層のポリエステル樹脂にイソフタレート成分を共重合させたため、樹脂の融点が240 ℃以下に低下し、ラミネートロールの汚れや傷がフイルムに転写されて表面の平滑性が損なわれる。
単層のポリエステル樹脂フイルムを改善した先行特許(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)ではレトルト殺菌処理時の白斑の発生を防止することが出来たとしても、表面平滑性は維持できない。
ポリエステル樹脂に表面平滑性を付与するには、ラミネート時に融解しない高融点の硬質ポリエステル樹脂を選択する必要があり、ポリブチレンテレフタレートを配合する上記単層の先行特許では樹脂の融点が低下し、目的を達成できない。
単層の被膜では接着性を保持しつつ硬質性を併せ持つことが必要であるが、相反する特性を一つの樹脂に求める事は困難である。
従って本発明では表層と下層の複層構造とし、表層のポリエステル樹脂の耐熱性を高め高融点とすることにより表面平滑性を付与するものである。
複層構造を採用した先行特許(特許文献5、特許文献6)は、いずれも缶内面耐食性を保証する厚い二軸配向PETフィルム基材に低融点接着樹脂層を設けて成形加工性と耐腐食性を改善する発明である。
特許文献5は下層樹脂のイソフタル酸共重合量を増加させて樹脂の融点を低下させることにより接着力を向上させているが、これは被膜の軟化を促進し、ラミネートロールの凹凸転写耐性の低下を招いている。
特許文献6はフイルム製膜時に下層樹脂層を無配向・アモルファス化して、低温ヒートシールを可能とし、低融点錫メッキ(ブリキ)原板の熱ラミネートを可能とすることを目的としている。
この下層樹脂層は、二軸延伸フイルムの熱固定温度(フイルム分子構造を配列するための熱処理温度)より、接着樹脂層の融点を10〜40℃低く設定している。
従って特許文献5と同様に被膜が軟化してラミネートロールの凹凸転写耐性の低下を招いている。
特許文献7は表層のポリエステル樹脂にイソフタレート成分を共重合させたため、樹脂の融点が240 ℃以下に低下し、ラミネートロールの汚れや傷がフイルムに転写されて表面の平滑性が損なわれる。
本発明は複層の樹脂構成として、まず下層の樹脂の結晶化速度を速くしてレトルトブラッシングの発生を防止するとともに、接着性と加工性を妨げない範囲で最大限の硬度を樹脂に持たせラミネートロールの汚れや傷がフイルムに転写されるのを防止している。一方表層はロール転写耐性を満足しうる高硬度薄膜とし、融点250 ℃以上の耐熱性被膜としている。
また本発明はコスト低減の目的からフイルム厚みを出来るだけ薄くすることを目的にしているため、フイルムの反りやカールが発生し易くなる。従って表層と下層の膜厚を最適にしてこれらを防止することも課題としている。
また本発明はコスト低減の目的からフイルム厚みを出来るだけ薄くすることを目的にしているため、フイルムの反りやカールが発生し易くなる。従って表層と下層の膜厚を最適にしてこれらを防止することも課題としている。
本発明者はラミネート金属板の樹脂被膜を複層とし、表層を硬いスキン層、下層を結晶化速度の速い樹脂層とすることにより、表面が平滑で光沢を有し、レトルト処理後の色調が均一で白濁の無い美麗なラミネート金属板とその製造方法を見出して本発明を完成した。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)融点が250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂を表層とし、125 ℃における半結晶化時間が100 秒以下であるポリエステル樹脂を下層とする複層フイルムであって、全厚みを6〜30μm、表層と下層との厚みの比を1:3〜1:30とした複層フイルムを少なくとも金属板の片面にラミネートしたことを特徴とする平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
(2)表層の高融点ポリエステル樹脂が、テレフタル酸および/またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとの重合で得られるポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする上記(1)に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
(3)下層のポリエステル樹脂が、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂からなる複合ポリエステル樹脂であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
(4)エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比が、重量比で80:20〜30:70である複合ポリエステル樹脂であることを特徴とする上記(3)に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
(5)複層フイルムを金属板にラミネートする際のフイルム界面温度を、下層のブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の融点以上とし、その熱処理時間を1〜15msecとすることを特徴とする上記(3)に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板の製造方法。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)融点が250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂を表層とし、125 ℃における半結晶化時間が100 秒以下であるポリエステル樹脂を下層とする複層フイルムであって、全厚みを6〜30μm、表層と下層との厚みの比を1:3〜1:30とした複層フイルムを少なくとも金属板の片面にラミネートしたことを特徴とする平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
(2)表層の高融点ポリエステル樹脂が、テレフタル酸および/またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとの重合で得られるポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする上記(1)に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
(3)下層のポリエステル樹脂が、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂からなる複合ポリエステル樹脂であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
(4)エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比が、重量比で80:20〜30:70である複合ポリエステル樹脂であることを特徴とする上記(3)に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
(5)複層フイルムを金属板にラミネートする際のフイルム界面温度を、下層のブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の融点以上とし、その熱処理時間を1〜15msecとすることを特徴とする上記(3)に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板の製造方法。
本発明のラミネート金属板は、レトルト処理時の白濁化(レトルトブラッシング)が発生せず、ラミネートロールの汚れやロール表面の凸凹の転写によるフイルム表面の外観不良を防止したため、表面が平滑で高い光沢を示す。
また従来のラミネートフイルムは、フイルムの反りやエッジ部カールによりフイルムエッジが2〜3重に丸まってラミネートされたり、皺になるトラブルが発生していた。そのためラミネート直前でTg(ガラス転移温度)以上に予熱し、バックテンションでカール部を引き延ばし、カール矯正してラミネートを行う必要があるが、本発明の樹脂構成、膜厚比を採用すればこのような問題を回避できる。
更に本発明の表層樹脂は、水蒸気、酸素等のガス遮断性が優れていることから、次のような効果も期待できる。
1)下層樹脂に着色染料を添加した場合に、レトルト処理や水蒸気処理において染料の溶出があるが、表層がこれを抑える効果を示す。
2)下地鋼板の耐糸錆性が改善される。
3)比較的硬い表面硬度により製品での耐疵付き性も改善される。
また従来のラミネートフイルムは、フイルムの反りやエッジ部カールによりフイルムエッジが2〜3重に丸まってラミネートされたり、皺になるトラブルが発生していた。そのためラミネート直前でTg(ガラス転移温度)以上に予熱し、バックテンションでカール部を引き延ばし、カール矯正してラミネートを行う必要があるが、本発明の樹脂構成、膜厚比を採用すればこのような問題を回避できる。
更に本発明の表層樹脂は、水蒸気、酸素等のガス遮断性が優れていることから、次のような効果も期待できる。
1)下層樹脂に着色染料を添加した場合に、レトルト処理や水蒸気処理において染料の溶出があるが、表層がこれを抑える効果を示す。
2)下地鋼板の耐糸錆性が改善される。
3)比較的硬い表面硬度により製品での耐疵付き性も改善される。
本発明品は、フィルム加工性、密着性を維持しつつ最大限の転写耐性を持たせた下層の樹脂層を基本層とし、その表面を高硬度のスキン層で覆った、平滑性に優れるラミネート金属板である。
本発明の表層は熱ラミネート時に融解しない高融点(250 ℃以上)のポリエステル樹脂を使用するので硬質で耐熱性が高く、しかも短時間の加熱では結晶配向性を残存しているので、ラミネートロールの凹凸が転写されない硬いスキン層となる。
またこの表層ポリエステル二軸配向結晶は、レトルト処理時に球晶化しないので樹脂白濁が起こらず、レトルトブラッシング問題が発生しない。
本発明の表層は熱ラミネート時に融解しない高融点(250 ℃以上)のポリエステル樹脂を使用するので硬質で耐熱性が高く、しかも短時間の加熱では結晶配向性を残存しているので、ラミネートロールの凹凸が転写されない硬いスキン層となる。
またこの表層ポリエステル二軸配向結晶は、レトルト処理時に球晶化しないので樹脂白濁が起こらず、レトルトブラッシング問題が発生しない。
表層の高融点ポリエステル樹脂としてはテレフタル酸および/またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとの重合で得られるポリエチレンテレフタレート樹脂であることが望ましい。
表層樹脂は、下層樹脂との層間強度確保のため化学構造が類似したポリエステル樹脂を選択する必要があり、目的のレトルトブラッシング対策と表面平滑性のためには、融点250 ℃以上のポリエステル樹脂を選択する必要がある。250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂としては、包装材料等の汎用原料である安価なホモPETを使用することが望ましい。
表層樹脂は、下層樹脂との層間強度確保のため化学構造が類似したポリエステル樹脂を選択する必要があり、目的のレトルトブラッシング対策と表面平滑性のためには、融点250 ℃以上のポリエステル樹脂を選択する必要がある。250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂としては、包装材料等の汎用原料である安価なホモPETを使用することが望ましい。
下層樹脂は、金属板との熱ラミネートにより、金属板との融着層を形成するものであり、
下層のポリエステル樹脂としては、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂とブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂からなる複合ポリエステル樹脂であることが望ましく、125 ℃における半結晶化時間が100 秒以下であることを必須要件とする。
これらのポリエステル樹脂は、化学構造が類似していることにより相溶性が良く、融点差約30℃のため、酸化劣化が問題とならない温度で融解ブレンドできることから下層樹脂に使用する。
下層のポリエステル樹脂としては、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂とブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂からなる複合ポリエステル樹脂であることが望ましく、125 ℃における半結晶化時間が100 秒以下であることを必須要件とする。
これらのポリエステル樹脂は、化学構造が類似していることにより相溶性が良く、融点差約30℃のため、酸化劣化が問題とならない温度で融解ブレンドできることから下層樹脂に使用する。
半結晶化時間を100 秒以下にすることにより、125 ℃近傍の温度で行われるレトルト処理中に下層のポリエステル樹脂融着層が高速で微細結晶化して、色調を均一化するため、部分白濁の問題(レトルトブラッシング)が発生しない。
下層樹脂の結晶化速度は、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂からなる複合ポリエステル樹脂の配合比を変化させることにより調節可能である。
ブチレンテレフタレートの比率を多くすると結晶化時間は速くなるが、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比は、重量比で80:20〜30:70の範囲にするのが望ましい。
その理由はブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比が80:20未満では、結晶化速度が遅くなりレトルトブラッシングが発生し、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比が30:70を超えると二軸延伸フイルムの製膜が難しくなるからである。
また本発明はコストを優先するため全厚みで6〜30μmの薄膜とし、表層に用いられる融点が250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂には包装材料等の汎用原料であるホモPETが使用できるため安価である。
フイルム膜厚は、容器外面の適用環境に応じて適宜設定するが、下限はフイルムの生産性が著しく低下すること、上限は原料コストの経済的観点から規定し、6〜30μmが望ましい。
下層樹脂の結晶化速度は、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂からなる複合ポリエステル樹脂の配合比を変化させることにより調節可能である。
ブチレンテレフタレートの比率を多くすると結晶化時間は速くなるが、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比は、重量比で80:20〜30:70の範囲にするのが望ましい。
その理由はブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比が80:20未満では、結晶化速度が遅くなりレトルトブラッシングが発生し、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比が30:70を超えると二軸延伸フイルムの製膜が難しくなるからである。
また本発明はコストを優先するため全厚みで6〜30μmの薄膜とし、表層に用いられる融点が250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂には包装材料等の汎用原料であるホモPETが使用できるため安価である。
フイルム膜厚は、容器外面の適用環境に応じて適宜設定するが、下限はフイルムの生産性が著しく低下すること、上限は原料コストの経済的観点から規定し、6〜30μmが望ましい。
次に本発明の複層ラミネート樹脂の表層と下層との膜厚比について述べる。
一般に複層ラミネートフイルムは、表層と下層の線膨張係数の差によりカールが発生する。
表層ホモPETの厚みが厚くなると、カール量が大きくなるため、フイルムの表層と下層との厚みの比(層厚比)は、1:3〜1:30とする必要がある。
カールを防止するためには下層の厚みを表層の3倍以上にする必要がある。また表層厚みを薄くすると、工業的にフイルムを生産する工程において、共押出し二軸延伸製膜が不安定となるため、下層の厚みは表層の30倍以内とする。
但しラミネート前にフイルムの予熱を行い、引き伸ばしてカール矯正を行えば、前記膜厚比の範囲外であってもラミネートは可能である。また下層の線膨張係数の改善を目的として、下層を2層以上に復層化することも可能である。
一般に複層ラミネートフイルムは、表層と下層の線膨張係数の差によりカールが発生する。
表層ホモPETの厚みが厚くなると、カール量が大きくなるため、フイルムの表層と下層との厚みの比(層厚比)は、1:3〜1:30とする必要がある。
カールを防止するためには下層の厚みを表層の3倍以上にする必要がある。また表層厚みを薄くすると、工業的にフイルムを生産する工程において、共押出し二軸延伸製膜が不安定となるため、下層の厚みは表層の30倍以内とする。
但しラミネート前にフイルムの予熱を行い、引き伸ばしてカール矯正を行えば、前記膜厚比の範囲外であってもラミネートは可能である。また下層の線膨張係数の改善を目的として、下層を2層以上に復層化することも可能である。
基板となる金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や軟鋼板、めっき鋼板等を用いることができ、特に金属クロムとクロム水和酸化物からなる表面処理鋼板、所謂TFSが最適である。TFSの金属クロム、クロム水和酸化物の付着量については、特に限定するものではない。
本発明は、容器外面に適用するものであり、目的に応じて表層、下層のいずれか、または両層に顔料、染料を添加し、意匠性を与えることが出来る。さらに必要に応じて滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤等を添加することが出来る。
本発明の複層ラミネートフイルムは主に缶外面に用いられるが、缶内面側の構成については任意に選択できる。例えばポリエステルやポリオレフインフイルムを用い、これらのフイルムに必要に応じて滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、帯電防止剤、結晶核剤等を添加することもできる。
内面のフイルムを2層以上の複層フイルムとすることも可能であり、さらにフイルムの金属と接触する面に接着剤を塗布することもできる。内面のフイルム厚みは、6〜100 μmが望ましく、その厚みの下限は缶内容物に対する耐食性により制約され、上限は経済性的制約を受ける。また本発明の複層フイルムを片面にラミネートした金属板の非ラミネート面を、塗装して容器に適用することも可能である。
内面のフイルムを2層以上の複層フイルムとすることも可能であり、さらにフイルムの金属と接触する面に接着剤を塗布することもできる。内面のフイルム厚みは、6〜100 μmが望ましく、その厚みの下限は缶内容物に対する耐食性により制約され、上限は経済性的制約を受ける。また本発明の複層フイルムを片面にラミネートした金属板の非ラミネート面を、塗装して容器に適用することも可能である。
次に本発明の複層フィルムの製造方法について述べる。
複層フイルムは、共押出し二軸延伸フイルムとして製造する。例えば、樹脂融点が256 ℃のホモPETを表層に、樹脂融点が226 〜256 ℃のPETと220 ℃のPBTを複合したポリエステル樹脂を下層に使用する場合は、これら樹脂を共押出し、二軸延伸後、熱固定温度150 〜210 ℃で熱処理して分子結晶化させ、原反フイルムを製造する。
本発明の原反フイルムは、熱固定温度が樹脂融点より低いことが必須となる。下層を融点以上の熱固定温度で熱処理すると下層がアモルファス化して脆化するため、表層が薄い場合には製膜できなくなる。
複層フイルムは、共押出し二軸延伸フイルムとして製造する。例えば、樹脂融点が256 ℃のホモPETを表層に、樹脂融点が226 〜256 ℃のPETと220 ℃のPBTを複合したポリエステル樹脂を下層に使用する場合は、これら樹脂を共押出し、二軸延伸後、熱固定温度150 〜210 ℃で熱処理して分子結晶化させ、原反フイルムを製造する。
本発明の原反フイルムは、熱固定温度が樹脂融点より低いことが必須となる。下層を融点以上の熱固定温度で熱処理すると下層がアモルファス化して脆化するため、表層が薄い場合には製膜できなくなる。
本発明のラミネート金属板は、下層樹脂の融点以上に加熱された金属板の少なくとも片面に、複層フイルムを熱融着(ラミネート)して製造する。金属板とフイルムの良好な熱融着は、加熱金属板と複層フイルムを重ね合わせ、上記接触温度で、ラミネート面圧1〜30kgf/cm2 、圧下時間1〜15msecでラミネート圧下ロール間を通過させることにより得れる。
面圧、圧下時間が不足すると密着力は低下するが、面圧を増強することは設備の大型化が必要で不経済となり、圧下時間延長はラミネート通板速度の低下につながり生産性を悪化させるためこれらの条件は総合的に決められる。
金属板の加熱には、熱風循環伝熱方式、抵抗加熱方式、ヒートロール伝熱方式等を用いる。ラミネートロールには、クロムメッキロール、セラミックコーテングロール、ゴムライニングロール等を選択することが可能であるが、ロールニップ内のヒートクラウンや温度のバラツキにより発生する金属板形状不良を回避するため、ゴムラインニングロールを使用することが望ましい。
面圧、圧下時間が不足すると密着力は低下するが、面圧を増強することは設備の大型化が必要で不経済となり、圧下時間延長はラミネート通板速度の低下につながり生産性を悪化させるためこれらの条件は総合的に決められる。
金属板の加熱には、熱風循環伝熱方式、抵抗加熱方式、ヒートロール伝熱方式等を用いる。ラミネートロールには、クロムメッキロール、セラミックコーテングロール、ゴムライニングロール等を選択することが可能であるが、ロールニップ内のヒートクラウンや温度のバラツキにより発生する金属板形状不良を回避するため、ゴムラインニングロールを使用することが望ましい。
厚さ0.18mmのローモ板を、脱脂酸洗後、無水クロム酸とフッ化物を含むクロムメッキ浴でクロムメッキし、中間リンス後、無水クロム酸とフッ化物を含む化成処理液で電解化成処理し基材とした。基材のクロムメッキ量を、金属クロム付着量100mg/m2 、クロム水和酸化物量12mg/m2 に調整した。
表層及び下層のポリエステル樹脂は共押出し、二軸延伸後、熱固定温度170℃で熱処理、二軸配向結晶化して、試料用ポリエステルフィルムを製造し、その融点と、下層樹脂の半結晶化時間を測定した。
クロムメッキ鋼板を250℃に加熱し、その片面に試料用ポリエステルフィルムを、反対面にイソフタル酸12モル%、テレフタル酸ジメチル88モル%、エチレングリコール100モル%で重合したポリエステルフィルムをラミネートし、ラミネート鋼板を製造した。
試料ポリエステルフィルムのカールは、ラミネート時のフィルムエッジの丸まり方、ラミネート後のフィルムシワ発生状況で整理した。評価基準を下記に示す。
1)カール小:カール小さく良好なもの
2)カール中:カールあるがバックテンションの小矯正でフィルムシワ解消できるもの
3)カール大:ポリエステル樹脂のTg以上予熱とバックテンションの大矯正でフィルムシワが解消できるもの。
表層及び下層のポリエステル樹脂は共押出し、二軸延伸後、熱固定温度170℃で熱処理、二軸配向結晶化して、試料用ポリエステルフィルムを製造し、その融点と、下層樹脂の半結晶化時間を測定した。
クロムメッキ鋼板を250℃に加熱し、その片面に試料用ポリエステルフィルムを、反対面にイソフタル酸12モル%、テレフタル酸ジメチル88モル%、エチレングリコール100モル%で重合したポリエステルフィルムをラミネートし、ラミネート鋼板を製造した。
試料ポリエステルフィルムのカールは、ラミネート時のフィルムエッジの丸まり方、ラミネート後のフィルムシワ発生状況で整理した。評価基準を下記に示す。
1)カール小:カール小さく良好なもの
2)カール中:カールあるがバックテンションの小矯正でフィルムシワ解消できるもの
3)カール大:ポリエステル樹脂のTg以上予熱とバックテンションの大矯正でフィルムシワが解消できるもの。
その他のフィルム特性及びラミネート板特性については、以下に示す測定方法を用いて測定した。
1)樹脂の膜厚の測定方法
樹脂の共押出し量とニ軸延伸倍率により算出し、フイルム断面SEM観察により検証した。
2)樹脂の融点の測定方法
DuPont Instruments 910 DSCを用い、20℃/分の速度で昇温して、融解ピークを求めることにより測定。
3)樹脂の半結晶化時間の測定方法
(株)コタキ製作所のポリマー結晶化速度測定装置MK−701 を用い、脱偏光法により測定。
4)表面平滑性の評価方法
ラミネート鋼板の表面平滑性は、下記の如く、試料用ポリエステルフィルムの表面Raで評価した。接触式3次元粗さ計を用い、1mm角エリアを2μmピッチで測定し、中心線平均粗さRaを求めた。
5)加工密着性の評価方法
加工密着性は、DRD缶のフィルムに損傷、白化、剥離等の異常有無を目視判定し、異常無きものを加工密着性良好とした。DRDの製缶方法は、ラミネート鋼板からφ160mm円板を打抜き、2段階の絞り加工で内径87mmの絞り缶を製造し、該絞り缶のフランジ部が幅2.5 mmとなる様にトリミング加工した。
6)レトルトブラッシングの評価方法
DRD缶内に水を充填し、蓋を巻き締めた後、レトルト処理(125℃×25分間)を行い、DRD缶外面の外観変化を目視判定した。変化無を1、著しい変化(レトルトブラッシングの発生大)を5とし、5段階で評価した。
1)樹脂の膜厚の測定方法
樹脂の共押出し量とニ軸延伸倍率により算出し、フイルム断面SEM観察により検証した。
2)樹脂の融点の測定方法
DuPont Instruments 910 DSCを用い、20℃/分の速度で昇温して、融解ピークを求めることにより測定。
3)樹脂の半結晶化時間の測定方法
(株)コタキ製作所のポリマー結晶化速度測定装置MK−701 を用い、脱偏光法により測定。
4)表面平滑性の評価方法
ラミネート鋼板の表面平滑性は、下記の如く、試料用ポリエステルフィルムの表面Raで評価した。接触式3次元粗さ計を用い、1mm角エリアを2μmピッチで測定し、中心線平均粗さRaを求めた。
5)加工密着性の評価方法
加工密着性は、DRD缶のフィルムに損傷、白化、剥離等の異常有無を目視判定し、異常無きものを加工密着性良好とした。DRDの製缶方法は、ラミネート鋼板からφ160mm円板を打抜き、2段階の絞り加工で内径87mmの絞り缶を製造し、該絞り缶のフランジ部が幅2.5 mmとなる様にトリミング加工した。
6)レトルトブラッシングの評価方法
DRD缶内に水を充填し、蓋を巻き締めた後、レトルト処理(125℃×25分間)を行い、DRD缶外面の外観変化を目視判定した。変化無を1、著しい変化(レトルトブラッシングの発生大)を5とし、5段階で評価した。
本発明の実施例を表1に示す。
実施例1〜3は表層にホモPET、下層にイソフタル酸3モル%共重合PETとPBTのブレンド樹脂からなる複層フイルムの層厚みを変化させて実験したものである。
表層PET樹脂の融点が254 ℃と高く、かつ表層厚みも確保しているため、ラミ後の表面平滑性が良好である。加工密着性も良好で、下層樹脂の半結晶化時間を7秒としたことで、レトルトブラッシング現象も発生せず良好な外観を示した。フィルムカールは、表層厚みが下層に対して増加することにより軽微な増加がみられた。
実施例の4は樹脂構成を同一として、表層と下層の厚比を1:29とした。フィルムカール良好で、ラミ後表面平滑性、加工密着性、レトルト後外観においても優れた性能を示した。
実施例5では下層の樹脂をPETとPBTを半々に混合したものとしたが、表面平滑性、レトルト後外観ともに良好であった。
実施例6では下層の樹脂をセバシン酸を共重合したPET樹脂とPBTとの混合としたが、表面平滑性、レトルト後外観ともに良好であった。
実施例7〜11は実施例6の樹脂を用いてPBTの配合比率を変化させたものである。 PBTの配合率を低くすると、下層樹脂の半結晶化時間が長くなり、レトルト処理時に若干の外観変化が現れた。
実施例1〜3は表層にホモPET、下層にイソフタル酸3モル%共重合PETとPBTのブレンド樹脂からなる複層フイルムの層厚みを変化させて実験したものである。
表層PET樹脂の融点が254 ℃と高く、かつ表層厚みも確保しているため、ラミ後の表面平滑性が良好である。加工密着性も良好で、下層樹脂の半結晶化時間を7秒としたことで、レトルトブラッシング現象も発生せず良好な外観を示した。フィルムカールは、表層厚みが下層に対して増加することにより軽微な増加がみられた。
実施例の4は樹脂構成を同一として、表層と下層の厚比を1:29とした。フィルムカール良好で、ラミ後表面平滑性、加工密着性、レトルト後外観においても優れた性能を示した。
実施例5では下層の樹脂をPETとPBTを半々に混合したものとしたが、表面平滑性、レトルト後外観ともに良好であった。
実施例6では下層の樹脂をセバシン酸を共重合したPET樹脂とPBTとの混合としたが、表面平滑性、レトルト後外観ともに良好であった。
実施例7〜11は実施例6の樹脂を用いてPBTの配合比率を変化させたものである。 PBTの配合率を低くすると、下層樹脂の半結晶化時間が長くなり、レトルト処理時に若干の外観変化が現れた。
比較例1は表層の厚みを薄くして、下層の厚みを厚くしたが、表層が充分なスキン層としての役割を果たさず、ロール傷の転写などが発生し、表面平滑性が悪化した。
比較例2は表層の厚みを厚くして、下層の厚みを薄くした為、表面平滑性は良好となったが、大きなフィルムカールが発生し、著しく作業性を損なう結果となった。
比較例3は下層樹脂のPBTの配合を下げたため、半結晶化時間が200 秒と長くなりレトルトブラッシングが発生した。
比較例4〜7は表層の高融点ポリエステル樹脂を使用せずに下層のみの単層としたため、表面平滑性が悪化し、光沢の無い製品となった。
比較例8は表層と下層の複層の構成としたが、表層PET樹脂をイソフタル酸共重合としたため、樹脂融点が低下し、硬いスキン層が形成せず、表面平滑性の改善が見られなかった。
比較例2は表層の厚みを厚くして、下層の厚みを薄くした為、表面平滑性は良好となったが、大きなフィルムカールが発生し、著しく作業性を損なう結果となった。
比較例3は下層樹脂のPBTの配合を下げたため、半結晶化時間が200 秒と長くなりレトルトブラッシングが発生した。
比較例4〜7は表層の高融点ポリエステル樹脂を使用せずに下層のみの単層としたため、表面平滑性が悪化し、光沢の無い製品となった。
比較例8は表層と下層の複層の構成としたが、表層PET樹脂をイソフタル酸共重合としたため、樹脂融点が低下し、硬いスキン層が形成せず、表面平滑性の改善が見られなかった。
本発明は食缶用ラミネート鋼板として広い分野での利用が可能であり、缶外面の外観が大幅に改善されるため、その他の容器用材料、缶蓋、EOE、王冠、キャップ類などにも適用可能である。本発明品(ラミネート金属板)の主要な用途は紙巻缶の外面に用いられるものであるが、紙巻缶に限定されるものではない。
Claims (5)
- 融点が250 ℃以上の高融点ポリエステル樹脂を表層とし、125 ℃における半結晶化時間が100 秒以下であるポリエステル樹脂を下層とする複層フイルムであって、全厚みを6〜30μm、表層と下層との厚みの比を1:3〜1:30とした複層フイルムを少なくとも金属板の片面にラミネートしたことを特徴とする平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
- 表層の高融点ポリエステル樹脂が、テレフタル酸および/またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとの重合で得られるポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
- 下層のポリエステル樹脂が、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂からなる複合ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
- エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の配合比が、重量比で80:20〜30:70である複合ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板。
- 複層フイルムを金属板にラミネートする際のフイルム界面温度を、下層のブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の融点以上とし、その熱処理時間を1〜15msecとすることを特徴とする請求項3に記載の平滑性に優れた容器用ラミネート金属板の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2004053396A JP2005238718A (ja) | 2004-02-27 | 2004-02-27 | 平滑性に優れた容器用ラミネート金属板およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2004
- 2004-02-27 JP JP2004053396A patent/JP2005238718A/ja active Pending
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