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JP2005226044A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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JP2005226044A
JP2005226044A JP2004038615A JP2004038615A JP2005226044A JP 2005226044 A JP2005226044 A JP 2005226044A JP 2004038615 A JP2004038615 A JP 2004038615A JP 2004038615 A JP2004038615 A JP 2004038615A JP 2005226044 A JP2005226044 A JP 2005226044A
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flame retardant
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Takahisa Sugioka
卓央 杉岡
Yasunori Tsujino
恭範 辻野
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】 多価フェノール中での微分散が可能で、かつ優れた難燃性を付与し得る構造のシリカ微粒子を特定し、難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 シリカ系微粒子について29Si−DD/MAS−NMR測定を行った際に−120〜−40ppmの範囲に出現するピークのうち、SiO4原子団に4個のSiが結合した構造に由来するピークの面積をAQ4、SiO4原子団に3個のSiが結合した構造に由来するピークの面積をAQ3、R−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが3個結合した構造に由来するピークの面積をAT3、R−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが2個結合した構造に由来するピークの面積をAT2としたとき、AQ3/AQ4が0.01〜1.0、AT2/AT3が0.01〜1.0であり、かつ、(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)が0.01〜2.0である構造のシリカ系微粒子と多価フェノールを含む難燃性樹脂組成物である。

Description

本発明は、難燃性に優れる樹脂組成物、および硬化性難燃性樹脂組成物、並びにこれらから得られる硬化体に関するものである。
多価フェノールは、フェノール樹脂として用いた場合に得られる硬化物が、機械的物性や耐熱性等の特性に優れることから、成形材料や接着剤、塗料等の原料として用いられる他、例えばグリシジルエーテル化する等してエポキシ樹脂としての用途や、エポキシ樹脂用の硬化剤としての用途等があり、非常に有用な材料である。中でも、プリント配線基板等の複合材や半導体封止剤、ICパッケージ用接着剤といった電子材料分野での成形材料や接着剤等、多価フェノールの優れた電気絶縁性を有効利用する用途が広く知られている。
このような多価フェノールが、特に電子材料分野に適用される場合には、難燃性に優れることが要求される。難燃性を向上させたものとしては、例えば臭素含有型エポキシ樹脂等が従来から広く用いられてきた。しかし、臭素等のハロゲンを含有する材料は、廃棄の際に燃焼等をすると、有害なハロゲン化合物を発生するものがあることから、こうした材料の廃棄物では、焼却処理時や、熱回収によるサーマルリサイクル時に、環境負荷や、生態系および人体への影響が懸念されている。
このため、近年では、ハロゲン系化合物を全く使用しない難燃化技術の開発が進められている。例えば、特許文献1〜特許文献3では、エポキシ樹脂中に硬化剤として窒素含有型フェノール樹脂を添加し、さらに難燃剤としてリン酸エステル類、あるいは赤燐を使用することで、ハロゲンフリーでありながら優れた難燃性を実現している。しかし、リン化合物を含有する材料では、廃棄物からのリン含有漏出成分による土壌や湖沼の富栄養化から引き起こされる環境悪化の懸念があり、また、こうしたリン化合物には、成形品の機械的物性や耐湿性を低下させるものも存在する。
このような事情から、多価フェノールの難燃化には、リン化合物添加系とは全く異なり、且つハロゲンフリーで、所望の難燃性と硬化物物性を兼ね備え得る技術が切望されている。
本発明者等は、ハロゲン・燐フリーの新たな難燃化技術として、シリカによる樹脂のハイブリッド化およびナノコンポジット化の検討を進めており、特定の構造を有するシリカ微粒子が、従来の製法によって合成されたシリカよりも優れた難燃性付与効果を発揮し得ることを見出し、既に出願している(特願2002−151270号)。また、この製法によって得られるシリカを始めとするアルコキシドおよび/またはカルボン酸塩化合物の加水分解・縮合物を、炭素数が2以上の有機骨格を介して結合した多価フェノールに配合してハイブリッド化することに成功し、かかるハイブリッド樹脂をエポキシ樹脂用硬化剤に使用すると、さらなる難燃剤の添加を要することなく(すなわち、ハロゲン・燐フリーでも)、実用上有用な難燃性を確保し得ることを見出し、これらの技術についても出願をしている(特願2002−151271号)。
本発明者等は、これらの一連の研究の中で、ナノコンポジット化された樹脂を薄膜化して使用する場合には、多価フェノール中でのシリカの分散性を一層高める必要性があることに気付いた。すなわち、三次元硬化体を形成するときは有機/無機界面が三次元的に広がるのに比べて、薄膜の場合は有機/無機界面が二次元的にしか広がらないため、有機分子(多価フェノール)と無機分子(シリカ)との相互作用が低いと、特に有機分子は有機分子同士で集まり、無機分子は無機分子同士で集まりやすく、シリカを多価フェノール中で均一に微分散させることが難しくなるのである。
特開平8−253557号公報 特許第2975349号公報 特開平9−207271号公報
本発明はこうした事情の下でなされたものであり、多価フェノール中で高い分散性を有するシリカ構造を見い出し、薄膜化したときでも優れた難燃性を有すると共に、機械的物性や耐熱性も良好な硬化体を製造し得る樹脂組成物を提供することを課題として掲げた。
上記目的を達成し得た本発明の難燃性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という場合がある)は、多価フェノールとシリカ系微粒子とを必須成分として含む難燃性樹脂組成物であって、
前記シリカ系微粒子は、この微粒子について29Si−DD/MAS−NMR測定を行った際に−120〜−40ppmの範囲に出現するピークのうち、SiO4原子団に4個のSiが結合した構造に由来するピークの面積をAQ4、SiO4原子団に3個のSiが結合した構造に由来するピークの面積をAQ3、R−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが3個結合した構造に由来するピークの面積をAT3、R−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが2個結合した構造に由来するピークの面積をAT2としたとき、AQ3/AQ4が0.01〜1.0、AT2/AT3が0.01〜1.0であり、かつ、(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)が0.01〜2.0である構造を有しているところに要旨を有する。
上記シリカ系微粒子は、テトラアルコキシシラン50〜99質量%と、トリアルコキシシランおよび/またはジアルコキシシラン1〜50質量%とを加水分解縮合させて得られたものが好ましい。また、上記多価フェノールは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格の2つ以上が、炭素数が2以上の有機基を介して結合されてなる構造を有していることが好ましい。
本発明には、上記の難燃性樹脂組成物とグリシジル基を少なくとも2つ含有する化合物とを必須成分とする硬化性難燃性樹脂組成物、この硬化性難燃性樹脂組成物を必須成分とする半導体封止材料および配線板用絶縁材料も包含される。さらに、上記の硬化性難燃性樹脂組成物を硬化してなる硬化体、上記半導体封止材料を用いた半導体部品装置、および上記配線板用絶縁材料を用いた電気配線用基板も本発明に包含される。
本発明は以上のように構成されており、多価フェノールと、特定の構造を有するシリカ系微粒子とを組み合わせることで、難燃性・機械的物性・耐熱性の各特性に優れた硬化体を提供し得る樹脂組成物を得ることができた。すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物、該樹脂組成物を含有してなる硬化性難燃性樹脂組成物、および硬化体は、ハロゲンフリー・燐フリーでありながら、極めて優れた難燃性を有しており、また、機械的特性や耐熱性が損なわれることなく、寧ろ向上するため、従来の難燃化技術が抱えていた多くの問題点を解消し得るものである。
上述の通り、本発明者等は以前から、難燃性と硬化物物性の確保を目的として、シリカ系微粒子と樹脂とのハイブリッド化技術の開発を進めており、多価フェノール中に均一に微分散し得る構造のシリカ系微粒子について検討を行った結果、得られたのが本発明である。
本発明の難燃性樹脂組成物に用いられるシリカ系微粒子は、この微粒子について29Si−DD/MAS−NMR測定を行った際に−120〜−40ppmの範囲に出現するピークのうち、SiO4原子団に4個のSiが結合した構造に由来するピークの面積をAQ4、SiO4原子団に3個のSiが結合した構造に由来するピークの面積をAQ3、R−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが3個結合した構造に由来するピークの面積をAT3、R−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが2個結合した構造に由来するピークの面積をAT2としたとき、AQ3/AQ4が0.01〜1.0、AT2/AT3が0.01〜1.0であり、かつ、(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)が0.01〜2.0である構造を有するものである。
Q3/AQ4、AT2/AT3および(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)は、いずれも積分強度比であって、29Si−DD/MAS−NMR測定法により観察されたそれぞれのピークを波形分離により分離して、各ピークの積分面積(積分強度値)の比率である。ここで、29Si−DD/MAS−NMR測定法は、ケイ素原子に関する固体NMR測定法の1つである。この測定法は、観測核に対して1回パルスを印加し、シグナルの取り込みの間だけ1Hデカップルをする方法で、核オーバーハウザー効果によるシグナル強度の向上が起こらないため、定量性のあるシグナルが得られる。29Si−DD/MAS−NMR測定の条件は、例えば、以下のように設定でき、照射パルスは測定核の緩和時間によって適宜調整可能であり、積算回数と試料回転数も、測定時に用いるサンプルローター径に応じて適宜調整可能である。
29Si−DD/MAS−NMR測定の条件例
核磁気共鳴装置:BRUKER社製「AVANCE400」
使用プローブ:4mmMASプローブ
測定核種:29Si(観測核共鳴周波数:79.487MHz)
測定モード:DD−MAS(ダイポールデカップリング/マジックアングルスピニング)法
照射パルス:10〜60度パルス
パルス繰り返し時間:60秒以上
積算回数:200〜10000回
試料回転数:3〜15kHz
観測温度:300K
外部基準物質:3−(トリメチルシリル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム:化学シフト値は1.534ppm。
上記各積分強度比におけるAQ4はSiO4原子団に4個のSiが結合した構造(この構造を有するシリカ成分をQ4シリカ成分とする)に由来するピークの面積を、AQ3はSiO4原子団に3個のSiが結合した構造(この構造を有するシリカ成分をQ3シリカ成分とする)に由来するピークの面積を、AT3はR−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが3個結合した構造(この構造を有するシリカ成分をT3シリカ成分とする)に由来するピークの面積を、AT2はR−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが2個結合した構造(この構造を有するシリカ成分をT2シリカ成分とする)に由来するピークの面積をそれぞれ表す。
上記測定条件においては、Q4シリカ成分の存在を示すピークは、−120〜−105ppmにピークトップを持ち、Q3シリカ成分の存在を示すピークは、−105〜−90ppmにピークトップを持つ。また、T3シリカ成分およびT2シリカ成分の存在を示す各ピークは、Rの種類によってピークトップの位置が変化する。例えば、Rが不飽和炭化水素骨格の有機基である場合は、T3シリカ成分の存在を示すピークは、−80〜−70ppmにピークトップを持ち、T2シリカ成分の存在を示すピークは−75〜−60ppmにピークトップを持つ。また、Rが飽和炭化水素骨格の有機基である場合は、T3シリカ成分の存在を示すピークは、−70〜−60ppmにピークトップを持ち、T2シリカ成分の存在を示すピークは−60〜−50ppmにピークトップを持つ。これらに基づいてQ4シリカ成分、Q3シリカ成分、T3シリカ成分およびT2シリカ成分のピークを特定し、積分強度値AQ3、AQ4、AT3、AT2を求め、AQ3/AQ4、AT2/AT3、(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)を算出する。
シリカの難燃性付与性能は、シリカ中にシラノール基(−Si−OH)が存在し、そのシラノール基が高温下で脱水縮合してH2Oを生成することと、硬化体等の中に微細に分散することで、着火時に発生する可燃性ガスや空気中の酸素の伝播を抑制して炎の拡大を食い止めることによって発揮されるものであると考えられる。積分強度比AQ3/AQ4およびAT2/AT3は、シリカ中のシラノール基の濃度、微粒子の大きさ、さらには分散性の尺度となっており、これらの積分強度比はいずれも0.01〜1.0である必要がある。0.01より小さいと、シリカ系微粒子による難燃性付与効果が小さく、得られる硬化体に難燃性や熱的性質向上効果が充分発現しない可能性がある。逆に、1.0より大きいと、硬化体の耐湿性や電気的性質が低下するため好ましくない。より好ましい積分強度比の下限は0.03であり、上限は0.8である。
シリカ系微粒子の表面や内部に存在するR(後述)として表される有機基は、樹脂組成物中でシリカ系微粒子の分散性を高めるが、高温になるとシリカから脱離するため、硬化体が空気中で燃焼状態となった場合、これらの有機基が脱離して生成した有機化合物が燃焼して多量の熱を発することとなり、硬化体の燃焼を促すことになる。よって、このような脱離可能な有機基Rの量は一定範囲にしなければならない。この有機基Rの量は、(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)で見積もることができ、この値が0.01〜2.0であれば、組成物や硬化体中で高い分散性を確保でき、しかも難燃性や熱的性質を低下させることがない。より好ましい(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)の下限は0.03、上限は1.0である。
前記したように、Q4シリカ成分はSiO4原子団に4個のSiが結合した構造を有するシリカ成分であり、Q3シリカ成分はSiO4原子団に3個のSiが結合した構造を有するシリカ成分である。これらのQ4シリカ成分は、主に、4官能の加水分解性シラン化合物が加水分解縮合を起こすことにより構成される。4官能の加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類か、テトラアセチルオキシシラン、テトラプロピオニルオキシシラン等のテトラアシルオキシシラン類が挙げられる。中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
また、T3シリカ成分はR−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが3個結合した構造を有し、T2シリカ成分はR−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが2個結合した構造を有するが、このときのRの具体例を示せば、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基;3−フルオロプロピル基、等のフッ化アルキル基;2−メルカプトプロピル基等のメルカプト基含有アルキル基;2−アミノエチル基、2−ジメチルアミノメチル基、3−アミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基等のアミノ基含有アルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基含有有機基;ビニル基、3−(メタ)アクリルオキシプロピル基等の不飽和基含有有機基等が挙げられる。中でも、アミノ基含有アルキル基、アリール基、アラルキル基、エポキシ基含有有機基等が好ましい。
そして、このような有機基Rをシリカ系微粒子に導入するには、有機基Rを有する3官能性および/または2官能性の加水分解性シラン化合物を、前記4官能の加水分解性シラン化合物と共加水分解させればよい。有機基Rを有する加水分解性シラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、エチルトリアセチルオキシシラン等のトリアシルオキシシラン類;ジメチルジアセチルオキシシラン、ジエチルジアセチルオキシシラン等のジアシルオキシシラン類が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン等の芳香環を備えるアルコキシシラン化合物は、多価フェノールとの親和性が高く、シリカ系微粒子を多価フェノール中で微分散させるのに効果的であり、好ましい。また、3−アミノプロピルトリメトキシシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、多価フェノール中のヒドロキシル基との反応性を有する官能基を持つアルコキシシラン化合物も好ましく使用できる。
そして、上記各積分強度比の値を本発明の規定範囲内にするには、4官能の加水分解性シラン化合物50〜99質量%と、有機基Rを有する加水分解性シラン化合物1〜50質量%とを加水分解縮合させることが好ましい。より好ましい両者の比率は、4官能の加水分解性シラン化合物:有機基Rを有する加水分解性シラン化合物=55〜98:2〜45で、さらに好ましくは60〜95:5〜40である。
シリカ系微粒子の合成は、ゾル−ゲル法を用いることが好ましく、上述の4官能の加水分解性シラン化合物と有機基Rを有する加水分解性シラン化合物(両者を併せて原料シラン化合物という)とを、メタノール等の親水性溶媒に溶解させるか、または分散媒に分散させながら、水、あるいは水と親水性有機溶媒との混合液を添加して加水分解反応および縮合反応を行う方法が挙げられる。多価フェノールを分散媒として用いると、多価フェノール中にシリカ系微粒子が微分散した本発明の難燃性樹脂組成物が簡便に得られるため、好ましい。この場合、撹拌装置を備えた反応容器に、原料シラン化合物を分散媒またはその希釈物(以下、内液という)と、水とを別々に滴下することが好ましい。原料シラン化合物導入部と水導入部とを離間させることにより、原料シラン化合物と水とが出会うまでの間に水が内液中に微分散もしくは溶解するので、加水分解縮合反応が均一系で行われることとなる。また、原料シラン化合物と水とが出会うまでに、ある程度時間がかかるため、反応の進行を適度に遅らせることができ、粒子の巨大化が防げる。よって、分散媒中に微分散したシリカ系微粒子が得られる。原料シラン化合物の供給量と、水の供給量の最終的な合計は、反応容器内の樹脂組成物100質量%(分散媒と無機微粒子との合計を100質量%とする)中、0.2〜50質量%とすることが好ましい。
なお、上記のように多価フェノール中で加水分解縮合反応を行う場合には、メタノール等の親水性有機溶媒を多価フェノールへ添加しておくことが望ましい。水は多価フェノールとなじみにくいが、これらの親水性有機溶剤が溶解助剤として働き、水の内液中への微分散または溶解を助ける役割を果たすからである。また、分散媒である多価フェノールが常温で高粘度や固体の場合に、希釈用溶剤にもなり得る。親水性有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のポリオール類;N,N−ジメチルホルムアミド;ピリジン等を用いることができる。また、必要に応じて他の溶媒を混合しても構わない。
上記の加水分解および縮合反応の温度は0〜60℃とすることが好ましく、5〜40℃とすることがより好ましい。また、反応時間は30分〜24時間とすることが一般的であり、1〜12時間とすることがより好ましい。分散媒を希釈したときは、0.1〜10kPaの減圧下で蒸留することにより、希釈用溶剤を留去させてもよい。また、流動性を高めるために添加する「溶剤(後述)」を用いて分散媒を希釈したときは、これらを留去する必要はないが、一部留去しても構わない。なお、公知のゾル−ゲル法のように、親水性溶媒中でシリカ系微粒子の合成を行い、別途合成した多価フェノール中へ配合混練する方法を採用することも可能である。
なお、シリカ系微粒子の合成に際しては、金属(シリコンを除く)キレート化合物を前記シラン化合物と共に用いてもよい。これらはシリカ系微粒子の合成反応を促進する作用も有している。特に好適な金属キレート化合物は、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム等のチタニウムキレート化合物;ジ−s−ブトキシドエチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が、好適なものとして挙げられる。中でも、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが特に好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物のもう一つの必須成分は、高分子量化された多価フェノールである。この多価フェノールには、フェノールの重縮合体であるレゾール型あるいはノボラック型のフェノール樹脂が含まれるが、より広い概念の化合物群を意味する。具体的には、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格の2つ以上が、炭素数が2以上の有機基を介して結合されてなる構造を有する多価フェノールを指す。
上記多価フェノールは、芳香族骨格を必須の構造とすること等によりSP2型電子軌道を多量に含有していることから、高熱時の熱分解が生じ難い構造となり、難燃性に優れている。そして、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士を結合するための「炭素数が2以上の有機基」が、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族骨格や、ノルボルネン等の多環型脂環式骨格等を含むものであると、難燃性・耐熱性は一層高まるため好ましい。
上記の多価フェノールは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格部分を形成するための化合物(以下、「芳香族骨格形成化合物」と称す)と、炭素数が2以上の有機基部分を形成するための化合物(以下、「有機基形成化合物」と称す)とを必須成分とする反応原料を用いて製造できる。
上記の芳香族骨格形成化合物としては、芳香族環に1または2以上のフェノール性水酸基を有する化合物であればよく、さらに水酸基以外の置換基を有していてもよい。具体的には、フェノール;o,m,またはp−クレゾール、混合クレゾール、o,またはp−エチルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o,またはp−イソプロピルフェノール、混合イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m,またはp−tert−ブチルフェノール、2−アリルフェノール、ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ヒドロキシエチルフェノール等のモノアルキル置換フェノール;2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジ−sec−ブチルフェノール、2,6−ジ−sec−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、3−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−エチルフェノール等のジアルキル置換フェノール;カテコール、レゾルシン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等のフェノール性水酸基を2以上有する化合物;フェニルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール等の多環式の芳香族骨格にフェノール性水酸基を有する化合物等が挙げられる。中でも、フェノール、o,m,またはp−クレゾール、カテコール、フェニルフェノール、β−ナフトール等が好適に用いられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
一方、有機基形成化合物としては、例えば、以下の(i)〜(iv)の活性基または活性部位を有する化合物、すなわち、(i)α−ヒドロキシアルキル基、α−アルコキシアルキル基、およびα−アセトキシアルキル基のいずれかを有する芳香族系化合物;(ii)不飽和結合を有する化合物;(iii)アルデヒド、ケトン等のカルボニル基を有する化合物;(iv)α−ヒドロキシアルキル基、α−アルコキシアルキル基、α−アセトキシアルキル基、不飽和結合およびカルボニル基のうちのいずれか2種以上を有する化合物等が好ましく用いられる。
上記(i)の化合物としては、mまたはp−キシリレングリコール、mまたはp−キシリレングリコールジメチルエーテル、mまたはp−ジアセトキシメチルベンゼン、p−ジヒドロキシイソプロピルベンゼン、p−ジメトキシイソプロピルベンゼン、p−ジアセトキシイソプロピルベンゼン、トリヒドロキシメチルベンゼン、トリヒドロキシイソプロピルベンゼン、トリメトキシメチルベンゼン、トリメトキシイソプロピルベンゼン、4,4’−ヒドロキシメチルビフェニル、4,4’−メトキシメチルビフェニル、4,4’−アセトキシメチルビフェニル、3,3’−ヒドロキシメチルビフェニル、3,3’−メトキシメチルビフェニル、3,3’−アセトキシメチルビフェニル、4,4’−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、4,4’−メトキシイソプロピルビフェニル、4,4’−アセトキシイソプロピルビフェニル、3,3’−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、3,3’−メトキシイソプロピルビフェニル、3,3’−アセトキシイソプロピルビフェニル、2,5−ヒドロキシメチルナフタレン、2,5−メトキシメチルナフタレン、2,5−アセトキシメチルナフタレン、2,6−ヒドロキシメチルナフタレン、2,6−メトキシメチルナフタレン、2,6−アセトキシメチルナフタレン、2,5−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,5−メトキシイソプロピルナフタレン、2,5−アセトキシイソプロピルナフタレン、2,6−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,6−メトキシイソプロピルナフタレン、2,6−アセトキシイソプロピルナフタレン等が好適なものとして例示できる。
上記(ii)の化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テルペン等が好適なものとして挙げられる。
上記(iii)の化合物としては、炭素数15以下の各種アルデヒド類またはケトン類が好適であり、例えば、ホルムアルデヒド(水溶液であるホルマリン)、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、パルミトアルデヒド、ステアリルアルデヒド、グリコールアルデヒド、ラクトアルデヒド、グリセルアルデヒド、ピルブアルデヒド、アセトアセトアルデヒド等の飽和脂肪族(モノ)アルデヒド類;(メタ)アクリルアルデヒド、クロトンアルデヒド、プロピオルアルデヒド、オレアルデヒド等の不飽和脂肪族(モノ)アルデヒド類;ベンズアルデヒド、o−ヒドロキシフェニルアルデヒド、p−ヒドロキシフェニルアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、ニコチンアルデヒド、イソニコチンアルデヒド、2−フルアルデヒド、3−フルアルデヒド、シンナムアルデヒド、ベンジルアルデヒド、アントラニルアルデヒド等の芳香族(モノ)アルデヒド類;グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジプアルデヒド、スベルアルデヒド、シクロヘキサンジアルデヒド、トリシクロデカンジアルデヒド、ノルボルナンジアルデヒド、タルタルアルデヒド、マレアルデヒド、フマルアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のジアルデヒド類;シトルアルデヒド、エチレンジアミンテトラアセトアルデヒド等の多官能アルデヒド類;オクタナール、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、グリオキザール等のケトン類等が挙げられる。
上記(iv)の化合物において、カルボニル基と不飽和結合を有する化合物としては、イソプロペニルベンズアルデヒド、イソプロペニルアセトフェノン、シトロネラール、シトラール、ペリルアルデヒド等が好適である。また、α−ヒドロキシアルキル基またはα−アルコキシアルキル基と、不飽和結合とを有する化合物としては、ジヒドロキシメチルスチレン、ジヒドロキシメチルα−メチルスチレン、ジメトキシメチルスチレン、ジメトキシメチルα−メチルスチレン、ヒドロキシメチルジビニルベンゼン、ヒドロキシメチルジイソプロピルベンゼン、メトキシメチルジビニルベンゼン、メトキシメチルジイソプロピルベンゼン等が好適である。
上記反応原料としては、芳香族骨格形成化合物(以下、「原料a」ともいう)と、上記(i)〜(iv)の化合物のうち、少なくとも1種を有機基形成化合物(以下、「原料b」ともいう)とを必須成分とすればよい。
また、上記多価フェノールを形成するための反応原料は、原料aと原料bとを必須成分とする他に、例えば、アミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、またはジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基を有する化合物(v)(以下、「原料c」ともいう)を含んでいてもよい(なお、上記多価フェノールは、上記重縮合体とは異なる構造を有する物であるため、上記重縮合体が形成され得るような反応原料の組合せは除く)。
上記(v)の化合物としては、メラミン、ジヒドロキシメチルメラミン、トリヒドロキシメチルメラミン、アセトグアナミン、ジヒドロキシメチルアセトグアナミン、テトラヒドロキシメチルアセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチルベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチルベンゾグアナミン等のトリアジン類;尿素、ジヒドロキシメチル尿素、テトラヒドロキシメチル尿素等の尿素およびその誘導体;エチレンジアミン、ジヒドロキシメチルエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルエチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、mまたはp−キシリレンジアミン、mまたはp−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン等のアミン類;4,4’−オキシジアニリン、4,4’−オキシジヒドロキシメチルアニリン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンジヒドロキシメチルアニリン等のアニリン類が好ましい。これらの中でも、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のトリアジン類が特に好適である。
この場合の反応原料の反応順序としては、原料aと原料bとの反応が完了する前に原料cを反応させることが好ましく、例えば、原料aと原料bと原料cとを同時に反応させるか、一段階目に原料aと原料cを反応させ、その後二段階目に原料bを反応させることが推奨される。これにより、多価フェノールの難燃性を向上させることができ、また電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等に好適なものとすることができる。
上記多価フェノールの製造時に用いる原料aと原料b(および原料c)との配合モル比は、原料a/原料b(原料cを含む)=1/1〜10/1とすることが好ましい。原料a量が少な過ぎるとゲル化の虞があり、多過ぎると多価フェノールの難燃性が低下する虞がある。さらに高温下での強度確保を考慮すると、原料a/原料b(原料cを含む)=1.3/1〜8/1とすることがより好ましい。さらに好ましくは、原料a/原料b(原料cを含む)=1.8/1〜5/1である。
上記多価フェノールの製造においては、上記反応原料を触媒の存在下で反応させることが望ましい。触媒としては、上記反応原料の反応を好適に進め得るものであればよい。原料bの反応に用いる触媒としては、酸触媒が挙げられる。具体的には、塩酸、硫酸,リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸;の他、三フッ化ホウ素若しくはその錯体;ヘテロポリ酸等の超強酸;活性白土;剛性ゼオライト;スルホン酸型イオン交換樹脂;パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂等の固体酸触媒が好ましい。
原料bの反応の際の触媒量としては、それぞれの酸強度に応じて適宜設定すればよいが、例えば、原料b:100質量部に対して、0.001〜100質量部とすることが好ましい。これらの範囲で均一系となるような好適な触媒としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等が挙げられる。これらの触媒の使用量としては、原料b:100質量部に対して、0.001〜5質量部とすることがより好ましい。また、不均一系の触媒(例えば、上記例示のイオン交換樹脂や活性白土等)では、その使用量を、原料b:100質量部に対して、1〜100質量部とすることが望ましい。
原料cの反応に用いる触媒としては、塩基性触媒(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物または酸化物;アンモニア;ジエタノールアミン等の1〜3級アミン類;ヘキサメチレンテトラミン;炭酸ナトリウム;酢酸亜鉛等の2価金属塩;等)や酸触媒(塩酸、硫酸、スルホン酸等の無機酸;蓚酸、酢酸等の有機酸;ルイス酸;等)が好適に用い得る。本発明の樹脂組成物を電子材料用等の分野に適用する場合には、金属等の無機物が残存することは好ましくないため、塩基性触媒としてはアミン類が、酸触媒としては有機酸が特に好適である。
また、原料cの反応後に、必要に応じて、中和、水洗して塩類等の不純物を除去することも好ましい。なお、触媒にアミン類を用いた場合には、中和、水洗等の不純物除去は行わないことが望ましい。
上記多価フェノールは、原料aにおける芳香環上の基と、原料bや原料cにおける活性基とが縮合したり、原料aにおける芳香環に、原料bや原料cが、その活性基または活性部位の作用によって付加することで形成されるが、このような反応の際に、カルボン酸やアルコール、水等が副生することがある。これらの副生物は、反応中や反応後に、減圧下で留去したり、溶媒(反応溶媒を含む)との共沸等の操作を行うことにより、煩雑な工程を必要とすることなく反応生成物から容易に取り除くことができる。なお、ここでいう反応生成物とは、上記多価フェノールの合成反応を完了させた際の反応系内に含まれる全ての物質の混合物を意味し、目的化合物である多価フェノールの他、上記副生物、必要に応じて用いられる触媒や反応溶媒等が含まれる。
上記多価フェノールの合成は、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒としては、原料aと原料b(および原料c)との反応に不活性な有機溶媒を用いることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル;エチレングリコールモノメチルエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。こうした反応溶媒を用いることにより、原料を溶媒中に溶解させて均質化した状態で反応を進めることができる。また、前記したシリカ系微粒子の製造工程(加水分解縮合反応)を、分散媒である多価フェノール存在下で行う場合にも、希釈しておく方が撹拌し易いため、シリカ系微粒子の製造を円滑に行うことができる。なお、原料bを反応させる場合には、無溶媒下で実施することが推奨される。
上記多価フェノール合成の際の反応条件としては、反応温度を、上記副生物が揮発して留去され得る温度とすることが好ましい。具体的には、100〜240℃とすることが好ましく、110〜180℃とすることがより好ましく、130〜160℃とすることが更に好ましい。このような反応温度を選択すれば、上記副生物を反応生成物から容易に取り除くことができる。また、反応時間は、使用する原料や触媒の種類・量、反応温度等に影響されるが、原料aと原料b(および原料c)の反応が実質的に完結するまで、すなわち、上記副生物の生成が終了するまでとすることが好ましい。具体的には、30分〜24時間とすることが好ましく、1〜12時間とすることがより好ましい。
また、上記多価フェノールの製造において、反応終了後の反応生成物から上記副生物や反応溶媒を除去する場合には、0.1〜10kPaの減圧下で、多価フェノール合成の際の反応温度と同様の温度で蒸留することにより、留去させることが望ましい。なお、こうした条件下では、未反応の原料aが留去されることもあるため、かかる操作は、原料aと原料b(および原料c)との反応が完了してから実施することが好ましい。また、前記したようにシリカ系微粒子の製造(加水分解縮合反応)を分散媒である多価フェノール存在下で行う場合には、希釈しておく方が撹拌し易いため、シリカ系微粒子の製造後に上記蒸留工程を行うことが望ましい。
上記原料bのうちの(iii)の化合物として、各種アルデヒド類を用いると、いわゆるフェノール樹脂が得られる。フェノール類とアルデヒド類を、酸触媒の存在下で公知の方法によって反応させるとノボラック型フェノール樹脂となり、アルカリ触媒の存在下で、公知の方法によって反応させるとレゾール型フェノール樹脂となる。これらのフェノール樹脂ももちろん使用可能である。
また、原料aに対し、原料bのうちのアルデヒド類((iii)の化合物)と、原料cのうちのトリアジン類とを反応させて得られる「トリアジン環含有多価フェノール」は、難燃性に優れており、本発明の難燃性樹脂組成物の成分として好適に用いられる。
本発明の難燃性樹脂組成物に、グリシジル基を少なくとも2つ含有する化合物と、必要に応じてその他の添加剤等を混合することで、硬化性難燃性樹脂組成物が得られる。また、多価フェノール中の水酸基とグリシジル基含有化合物のグリシジル基とが反応するので、硬化性難燃性樹脂組成物を硬化させることで硬化体とすることができる。すなわち、上記硬化性難燃性樹脂組成物は、上記多価フェノール、上記シリカ系微粒子、およびグリシジル基を少なくとも2つ含有する化合物を必須成分とするものである。
この硬化性難燃性樹脂組成物を得るに当たっては、例えば、(I)上記本発明の難燃性樹脂組成物を予め作製しておき、これにグリシジル基を少なくとも2つ含有する化合物を混合する方法;(II)上記多価フェノールと上記シリカ系微粒子を、独立且つ同時にグリシジル基を少なくとも2つ含有する化合物と混合する方法;(III)予め上記シリカ系微粒子を、グリシジル基を少なくとも2つ含有する化合物中に分散させておき、これに上記多価フェノールを分散させる方法;等が採用可能である。中でも、上記(I)の方法によって硬化性難燃性樹脂組成物を作製することが好ましい。
上述のグリシジル基を少なくとも2つ含有する化合物としては、1分子内に平均2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂が好適である。エポキシ樹脂としては、1分子内に平均2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されず使用可能である。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリン(エピクロロヒドリン等)との縮合反応によって得られるエピビスタイプのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル、ジクロロパラキシレン等を縮合反応させて得られる多価フェノールを、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させてなるノボラック・アラルキルタイプのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸と、エピハロヒドリンとの縮合反応によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応によって得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応によって得られる含アミングリシジルエーテルエポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族多環式エポキシ樹脂等が好適である。また、これらのエポキシ樹脂と多塩基酸類および/またはビスフェノール類との付加反応によって分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい(以下、この化合物も含めて「エポキシ樹脂」と称する場合がある)。これらは1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
多価フェノールとエポキシ樹脂とを混合する場合、多価フェノール類/エポキシ樹脂(質量比)=30/70〜70/30であることが好ましく、35/65〜65/35であることがより好ましい。多価フェノール類の混合割合が30を下回ると、難燃性が不充分となるおそれがあり、他方、70を超えると形成される硬化体の機械的物性等が低下するおそれがある。
硬化性難燃性樹脂組成物中、多価フェノールとエポキシ樹脂の合計量を100質量%としたときに、シリカ系微粒子は0.1〜50質量%となるように分散させることが望ましい。より好ましくい下限は0.5質量%、さらに好ましい下限は1.0質量%である。また、より好ましい上限は40質量%、さらに好ましい上限は30質量%である。シリカ系微粒子が多すぎると安定な分散状態を保てないおそれがあり、少ないとナノコンポジット化による難燃性や物性向上効果が不充分となることがあるからである。
硬化性難燃性樹脂組成物には、公知の添加剤、例えば、硬化促進剤、充填材、カップリング剤、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等がさらに添加されていてもよい。例えば硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2、4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)、DCMU[3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素]等のアミン類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物;等が好適である。
また、樹脂組成物には、流動性を高めるために、溶剤、可塑剤、滑剤が配合されていてもよい。このような溶剤、可塑剤、滑剤としては、例えば、後述のエーテル結合、エステル結合および窒素原子よりなる群から選択される少なくとも1つ以上の構造を有する化合物が好ましい。
上記のエーテル結合を有する化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ペラトロール、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シオネール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、グリセリンエーテル、クラウンエーテル、メチラール、アセタール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が好適である。
上記のエステル結合を有する化合物としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノブチリン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、酪酸エステル類、イソ酪酸エステル類、イソ吉草酸エステル類、ステアリン酸エステル類、安息香酸エステル類、ケイ皮酸エステル類、アビチエン酸エステル類、アジピン酸エステル類、γ−ブチロラクトン類、シュウ酸エステル類、マロン酸エステル類、マレイン酸エステル類、酒石酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、フタル酸エステル類、二酢酸エチレン類等が好適である。
上記の窒素原子を含有する化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、α−トルニトリル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が好適である。
上記エーテル結合、エステル結合および窒素原子よりなる群から選択される構造を複数有する化合物としては、例えば、N−エチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
上記のエーテル結合、エステル結合および窒素原子よりなる群から選択される1つ以上の構造を有する化合物を使用する場合は、その使用量としては、上記樹脂組成物のうちこれらの化合物以外の成分100質量部に対して、5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であって、1000質量部以下、より好ましくは300質量部以下とすることが望ましい。
本発明の硬化性難燃性樹脂組成物は、その代表的な用途として、半導体封止材料(半導体封止用の封止剤)や、配線板用絶縁材料が挙げられる。上記硬化性難燃性樹脂組成物を半導体封止材料として使用する場合には、吸湿性や線膨張係数の低減、および熱伝導性や強度の向上を目的として、本発明の目的を阻害しない範囲で無機充填剤を配合してもよい。無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、またはこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。さらに難燃効果のある無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の無機充填剤の中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、充填剤形状は、上記樹脂組成物により半導体を封止して得られる半導体部品装置成形の際の流動性および金型摩耗性の点から球形が望ましい。
無機充填剤の配合量は、成形性、吸湿性や線膨張係数の低減、および強度向上の観点から、上記硬化性難燃性樹脂組成物のうち、上記無機充填剤を除く成分100質量部に対し、無機充填剤を70質量部以上、より好ましくは100質量部以上、さらに好ましくは200質量部以上であって、1000質量部以下、より好ましくは950質量部以下であることが推奨される。無機充填剤の配合量が上記範囲を下回ると、耐リフロー性が低下する傾向にあり、上記範囲を超えると、流動性が不足する傾向にある。
また、上記硬化性難燃性樹脂組成物を半導体封止材料として用いるに当たり、さらに難燃剤として、非リン、非ハロゲン、非アンチモン系難燃剤を併用することができる。例えば、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、フェロセン等の金属化合物等が挙げられる。
また、IC等の半導体素子の耐湿性、高温放置特性を向上させる観点から、陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものが使用可能である。例えば、ハイドロタルサイト酸や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスといった元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、下記一般式で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
Mg1-XAlX(OH)2(CO3X/2・dH2
(式中、0<X≦0.5であり、dは正の整数である)。
また、上記硬化性難燃性樹脂組成物を半導体封止材料として用いるに当たり、さらにその他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤を必要に応じて配合することができる。
上記各種添加剤を硬化性難燃性樹脂組成物に配合して、半導体封止材料または配線板用絶縁材料を調製する方法としては、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、如何なる方法を採用してもよいが、例えば、所定の配合量の原材料をミキサー等によって充分に混合した後、ミキシングロール、押出機等を用いて溶融混練し、その後、冷却、粉砕する方法等が一般的である。例えば、半導体部品装置の成形条件に合致するような寸法や質量でタブレット化すると取り扱い性が良好となる。
上記硬化性難燃性樹脂組成物により素子を封止して得られる半導体部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウェハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を前記硬化性難燃性樹脂組成物で封止した半導体部品装置等が挙げられる。
このような半導体部品装置としては、例えば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、上記硬化性難燃性樹脂組成物を用いて封止してなるDIP(DualInline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(QuadFlat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(ThinQuad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、上記硬化性難燃性樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package);配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、半田等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子および/またはコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子をで封止したCOB(Chip On Boad)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール;裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、上記硬化性難燃性樹脂組成物で素子を封止したBGA(Ball GridArray)、CSP(Chip Size Package);等が挙げられる。上記硬化性難燃性樹脂組成物を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファー成形が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
上記硬化性難燃性樹脂組成物を配線板用絶縁材料に使用する際に、例えば、前記したエーテル結合、エステル結合および窒素原子よりなる群から選択される1つ以上の構造を有する化合物を配合して、良好な流動性を確保してからインキや塗料、ワニス等として用い、その後該化合物を減圧下および/または加熱時の乾燥によって除去して、電気配線用基板を形成してもよい。インクや塗料等の乾燥条件としては、採用したエーテル結合、エステル結合および窒素原子よりなる群から選択される1つ以上の構造を有する化合物の蒸気圧や沸点等により適宜調整すればよい。
さらにワニスとして被含浸体に含浸させて用いる場合には、被含浸体として繊維状の補強材を用いることができる。上記補強材としては、公知の強化材を使用することができ、例えば、N、NE、S、T、Dの各タイプガラスのガラス繊維から構成される織布または不織布、および石英等の無機材料、並びに有機材料を使用することができる。例えば無機材料の場合、これらはガラスロービング布、ガラス布、チョップドガラス、中空ガラス繊維、ガラスマット、ガラス表面マット、ガラス不織布;セラミック繊維生地(織物等);金属繊維生地;炭素繊維生地等の形態とすることができる。
加えて、例えば、繊維を形成することが可能な有機高分子を始めとする合成有機強化用充填材(強化用有機繊維)を使用することもできる。このような強化用有機繊維の代表例としては、例えば、ポリエーテルケトン、ポリイミドベンゾオキサゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドまたはポリエーテルイミド、アクリル樹脂、およびポリビニルアルコール等が挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレンの如きフルオロポリマーを用いてもよい。さらに、上記強化材としては、公知の天然有機繊維、例えば、綿布、麻布、フェルト、クラフト紙やコットン紙のような天然セルロース生地等が挙げられる。また、ガラス繊維含有紙のように無機材料と有機材料を複合したものを用いてもよい。
繊維状の強化材は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの形態で使用でき、単独または他の種類の強化材と組み合わせて、例えば共製織(co−weaving)、コア/シェル、並列配置(side−by−side)、オレンジタイプ(orange−type)、またはマトリックスおよびフィブリル組織形成(construction)等、公知の各種形態で使用することができる。
また、ビルドアップタイプやコンポジット積層板、ガラスエポキシ積層板、アラミドエポキシ積層板、金属ベース配線基板等の片面、両面、多層からなる各種積層板タイプの配線板(電気配線用基板)にも、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物を有効に用いることができる。
なお、上記硬化性難燃性樹脂組成物を半導体封止材料や配線板用絶縁材料として用いる場合に好適なものとして例示した各種添加剤は、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物を他の用途に用いる場合にも、適宜用いることができる。
なお、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物から硬化体を製造する場合、得られる本発明の硬化体は、UL−94規格難燃性試験による難燃性がV−2以上であることが好ましく、V−1以上であることがより好ましい。UL−94規格難燃性試験による難燃性がV−2以上であれば、例えば電子材料分野で要求される難燃性を充分に満足することができ、本発明の硬化体は、上記難燃性を達成できる。
以上のように、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物は、建材、各種ハウジング材、積層板、ビルドアップタイプの配線基板、封止剤(例えば、半導体用封止剤)、注型材等、あるいは機械部品、電子・電気部品、車両、船舶、航空機等に用いられる成形・硬化体材料、または接着剤や電気絶縁塗料の製造原料等に好適である。よって、本発明の硬化体は、それ自身からなる硬化体としての態様の他、例えば半導体を含む半導体部品装置の封止部分や、電気配線用基板の絶縁塗膜等のように、他の部材と結合した態様等、様々な態様を取り得る。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、本実施例において、「部」および「%」は、特に断らない限り、質量基準である。また、物性の評価方法は下記の通りである。
[熱軟化温度]
熱軟化温度は、JIS K 6910の規定に準じて測定した。
[フェノール性水酸基当量]
フェノール性水酸基当量は、JIS K 0070の規定に準じて測定した。
[シリカ微粒子含量]
計量した難燃性樹脂組成物をるつぼに入れ、焼成炉で、800℃×1時間、空気流通下の条件で燃焼して得られた残渣をシリカ微粒子として、その質量を測定することにより求めた。
[シリカ微粒子の積分強度比]
難燃性樹脂組成物をテトラヒドロフランの入った容器に入れ、シェイカーで2時間撹拌し、得られた白濁溶液を遠心分離した後、1日静置する。上澄み液を除去して、残ったスラリーに再度テトラヒドロフランを入れて2時間撹拌する。前記操作を3回繰り返して得られたスラリーを、孔径0.025μmのメンブランフィルターで濾過し、シリカ微粒子を単離した。このシリカ微粒子を、下記条件で29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを観測した。
29Si−DD/MAS−NMR測定の条件例
核磁気共鳴装置:BRUKER社製「AVANCE400」
使用プローブ:4mmMASプローブ
測定核種:29Si(観測核共鳴周波数:79.487MHz)
測定モード:DD−MAS(ダイポールデカップリング/マジックアングルスピニング)法
照射パルス:10〜60度パルス
パルス繰り返し時間:60秒以上
積算回数:200〜10000回
試料回転数:3〜15kHz
観測温度:300K
外部基準物質:3−(トリメチルシリル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム:化学シフト値は1.534ppm。
得られたスペクトルから、−140〜−40ppmに出現したピークのピーク分離を行い、前記Q4シリカ成分、Q3シリカ成分、T3シリカ成分、T2シリカ成分をそれぞれ抽出し、各ピーク面積AQ3、AQ4、AT3、AT2を求め、AQ3/AQ4、AT2/AT3、(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)を算出した。
[シリカ微粒子の分散性:凝集物の有無]
硬化性難燃性樹脂組成物を、厚み20μmになるように銅箔上に塗布して硬化させ、実体顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)で、凝集物の有無と、透明度合いを観察した。
[Tgおよび線膨張率]
Tgと、ガラス領域における線膨張率(α1)と、ゴム領域での線膨張率(α2)を測定をTMA法で測定した。TMA法による測定は、装置に島津製作所社製「TMA50」を用い、圧縮モードで行った。測定条件は、荷重:0.1g、昇温速度:5℃/min、測定温度:20〜200℃とした。
[難燃性]
UL−94試験法に準じて評価した。
合成例1
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口フラスコに、p−キシリレングリコールジメチルエーテル513.9部、フェノール831.3部、p−トルエンスルホン酸8.41部を仕込み、窒素気流中で昇温を開始した。115℃付近からメタノールが生成し始めたので、トラップでメタノールを捕集しながら150℃まで昇温し、6時間保持した。メタノールを192部回収したところでメタノールの生成が終了したので、20℃まで冷却し、メタノールを340部投入した。
次に、このフラスコ内の上部にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブを2本設置し、フラスコの内温を20℃に保ちながら、テトラメトキシシラン326.8部と、3−アミノプロピルトリメトキシシラン42.8部の混合液と、水104.8部を別々のチューブから、それぞれフラスコ内へと投入した。投入にはローラーポンプを用い、4時間かけて投入し、その後、さらに60℃で4時間保持した。次いで、窒素気流下で昇温を再開し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに捕集しながら180℃まで撹拌を続けた。反応終了後、減圧下で未反応のフェノールを留去し、その後冷却した。乳白色固形の難燃性樹脂組成物Aが得られた。収量は853部であった。得られた難燃性樹脂組成物Aの熱軟化温度は69℃、フェノール性水酸基価は192g/mol、シリカ微粒子含有量は22.3%であった。この樹脂組成物A中のシリカ粒子の組成を表1に示した。
合成例2
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口フラスコに、ベンゾグアナミン172.2部、37%ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)164.3部を仕込み、窒素気流中で70℃で撹拌した。白濁溶液となったが、ジエタノールアミン14.5部を添加し、4時間撹拌し続けたところ、反応液が透明になったので、フェノール432.9部を添加して反応液の昇温を再開した。100℃付近から留去し始めた水をトラップに捕集しながら180℃まで昇温し、4時間保持した。水を160部回収したところで水の生成が終了したので、10℃まで冷却した後、メタノール103部を投入した。トリアジン環含有多価フェノールが得られた。
次に、合成例1のように2本のPTFEチューブをフラスコへセットし、フラスコの内温を10℃に保ちながら、テトラメトキシシラン147.1部とフェニルトリメトキシシラン82.1部の混合液と、水48.2部を別々のチューブからそれぞれフラスコ内へと投入した。投入にはローラーポンプを用い、4時間かけて投入した。その後、さらに60℃で4時間保持した。次いで、窒素気流下で昇温を開始し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに捕集しながら180℃まで撹拌を続けた。反応終了後、減圧下で未反応のフェノールを留去し、その後冷却した。乳白色固形の難燃性樹脂組成物Bが得られた。収量は481部であった。得られた難燃性樹脂組成物Bの熱軟化温度は125℃、フェノール性水酸基価は237g/mol、シリカ微粒子含有量は23.9%であった。この樹脂組成物B中のシリカ粒子の組成を表1に示した。
合成例3
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口フラスコに、メラミン77.5部、ベンゾグアナミン344.86部、37%ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)336.4部を仕込み、窒素気流中で70℃で撹拌した。白濁溶液となったが、ジエタノールアミン21.3部を添加し、4時間撹拌し続けたところ、反応液が透明になったので、エチレングリコール500部を添加して反応液を150℃まで昇温し、撹拌し続けて、216部の水を回収した。水の生成が止まったのを確認してから、フェノール389.9部を溶融液の状態で投入して均一に混合し、180℃まで昇温しながら撹拌を続けた。水を81部回収したところで水の生成が終了したので、40℃まで冷却した後、メタノール140部を投入した。
次に、合成例1のように2本のPTFEチューブをフラスコへセットし、フラスコの内温を20℃に保ちながら、テトラメトキシシラン269.8部とメチルトリメトキシシラン60.29部の混合液と、水94.8部を別々のチューブからそれぞれフラスコ内へと投入した。投入にはローラーポンプを用い、4時間かけて投入した。その後、さらに60℃で4時間保持した。次いで、窒素気流下で昇温を開始し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに捕集しながら180℃まで撹拌を続けた。反応終了後、減圧下で未反応のフェノールを留去し、その後冷却した。乳白色固形の難燃性樹脂組成物Cが得られた。収量は918部であった。得られた難燃性樹脂組成物Cの熱軟化温度は132℃、フェノール性水酸基価は181g/mol、シリカ微粒子含有量は22.1%であった。この樹脂組成物C中のシリカ粒子の組成を表1に示した。
比較合成例1
ガスインレット、ディーンスタークトラップ、撹拌棒付きの4つ口フラスコに、p−キシリレングリコール302.6部、フェノール687.0部、p−トルエンスルホン酸12.6部を仕込み、窒素気流中で昇温を開始した。115℃付近から水が生成し始めたので、トラップで水を捕集しながら150℃まで昇温し、6時間保持した。水を79部回収したところで水の生成が終了したので、メタノール176部を投入した。
次に、このフラスコ内の上部にPTFEチューブを2本設置し、フラスコの内温を60℃に保ちながら、テトラメトキシシラン333.4部と、水157.8部を別々のチューブから、それぞれフラスコ内へと投入した。投入にはローラーポンプを用い、4時間かけて投入し、その後、さらに60℃で4時間保持した。次いで、窒素気流下で昇温を再開し、80℃付近から留去し始めた未反応の水とメタノールをトラップに捕集しながら180℃まで撹拌を続けた。反応終了後、減圧下で未反応のフェノールを留去し、その後冷却した。乳白色固形の難燃性樹脂組成物Dが得られた。収量は619部であった。得られた難燃性樹脂組成物Dの熱軟化温度は58℃、フェノール性水酸基価は193g/mol、シリカ微粒子含有量は20.7%であった。この樹脂組成物D中のシリカ粒子の組成を表1に示した。
Figure 2005226044
表1に示す通り、樹脂組成物A〜Cに含まれたシリカ微粒子は、各積分強度比が本発明の要件を満足していたが、樹脂組成物Dのシリカ微粒子は、T3シリカ成分やT2シリカ成分が存在せず、本発明の要件を満たさない。
なお、図1として、樹脂組成物Aに含まれていたシリカ微粒子の29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを、図2には樹脂組成物Dに含まれていたシリカ微粒子の29Si−DD/MAS−NMRスペクトルを、それぞれ示した。図1の−110ppm付近のピークがQ4シリカ成分の存在を示すピーク、−102ppm付近のピークがQ3シリカ成分の存在を示すピーク、−77ppm付近のピークがT3シリカ成分の存在を示すピーク、−70ppm付近のピークがT2シリカ成分の存在を示すピークである。また、図2においては、−108ppm付近のピークのみが観察されるが、これはQ4シリカ成分の存在を示すピークであり、他の成分のピークはない。
実験例1(硬化性難燃性樹脂組成物の製造および評価)
表2に示した配合比で、難燃性樹脂組成物A〜D、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「YDCN−704」:エポキシ当量205g/mol:東都化成社製)、硬化促進剤トリフェニルホスフィン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(商品名「PGM−AC」;ダイセル化学社製)を110℃でバッチ混練し、25℃で3本ロール混練機(井上製作所社製)を用いて混練し、硬化性難燃性樹脂組成物No.1〜4とした。この硬化性難燃性樹脂組成物No.1〜4を用いて、前記した方法でシリカ微粒子の分散性を評価した。また、上記硬化性難燃性樹脂組成物No.1〜4を乾燥後の固形分換算で40μmの厚さになるように銅箔に塗布し、80℃のオーブン中で30分、さらに100℃のオーブン中で30分加熱し、樹脂付き銅箔を作製した。この樹脂付き銅箔を8層積み重ねて、180℃、1×10-4Pa(10kgf/cm2)の加圧下で2時間硬化させ、硬化体サンプルを得た。Tgと線膨張率を前記方法で評価した。各評価結果を表2に併記した。
Figure 2005226044
表2から、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物No.1〜3から得られた硬化体は、シリカ微粒子の分散性に優れている上に、Tgが向上し、低線膨張率化も達成できた。しかし、Q4シリカ成分のみが存在するシリカ微粒子が含まれている硬化性難燃性樹脂組成物No.4を用いた例は、分散性に劣っており、Tgや線膨張率も実施例に比べると低レベルであった。
実験例2
難燃性樹脂組成物A〜D、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「ESCN−195XL」:エポキシ当量195g/mol:住友化学社製)、硬化促進剤トリフェニルホスフィン、高純度溶融シリカ(商品名「PLR−6」:龍森社製)、カルナウバワックス(セラリカ野田社製)およびカーボンブラックを、表3に示した配合比で、90℃で3本ロール混練機(井上製作所社製)を用いて溶融混練し、均一な混合物(硬化性難燃性樹脂組成物No.5〜8)とした。この均一な混合物(硬化性難燃性樹脂組成物No.5〜8)を、180℃、1×10-4Pa(10kgf/cm2)の加圧下で2時間硬化させ、平板状の硬化体サンプルを得た。Tgと線膨張率と難燃性を前記方法で評価した。各評価結果を表3に併記した。
Figure 2005226044
表3から、本発明の硬化性難燃性樹脂組成物No.5〜7から得られた硬化体は、Tgが向上しており、線膨張率も小さいが、硬化性難燃性樹脂組成物No.8を用いた例では、Tgや線膨張率が本発明例に比べると低レベルであった。
難燃性樹脂組成物Aに含まれていたシリカ微粒子の29Si−DD/MAS−NMRスペクトルである。 難燃性樹脂組成物Dに含まれていたシリカ微粒子の29Si−DD/MAS−NMRスペクトルである。

Claims (9)

  1. 多価フェノールとシリカ系微粒子とを必須成分として含む難燃性樹脂組成物であって、
    前記シリカ系微粒子は、この微粒子について29Si−DD/MAS−NMR測定を行った際に−120〜−40ppmの範囲に出現するピークのうち、SiO4原子団に4個のSiが結合した構造に由来するピークの面積をAQ4、SiO4原子団に3個のSiが結合した構造に由来するピークの面積をAQ3、R−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが3個結合した構造に由来するピークの面積をAT3、R−SiO3原子団(RはSiとの間にOを含まない有機基)にSiが2個結合した構造に由来するピークの面積をAT2としたとき、AQ3/AQ4が0.01〜1.0、AT2/AT3が0.01〜1.0であり、かつ、(AT2+AT3)/(AQ3+AQ4)が0.01〜2.0である構造を有していることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 上記シリカ系微粒子は、テトラアルコキシシラン50〜99質量%と、トリアルコキシシランおよび/またはジアルコキシシラン1〜50質量%とを加水分解縮合させて得られたものである請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 上記多価フェノールは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格の2つ以上が、炭素数が2以上の有機基を介して結合されてなる構造を有している請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物と、グリシジル基を少なくとも2個以上有する化合物とを必須成分として含むことを特徴とする硬化性難燃性樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載の硬化性難燃性樹脂組成物を必須成分とするものであることを特徴とする半導体封止材料。
  6. 請求項4に記載の硬化性難燃性樹脂組成物を必須成分とするものであることを特徴とする配線板用絶縁材料。
  7. 請求項4に記載の硬化性難燃性樹脂組成物を硬化させてなるものであることを特徴とする硬化体。
  8. 請求項5に記載の半導体封止材料を用いたものであることを特徴とする半導体部品装置。
  9. 請求項6に記載の配線板用絶縁材料を用いたものであることを特徴とする電気配線用基板。
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