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JP2005220045A - 蛍光造影剤 - Google Patents

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JP2005220045A
JP2005220045A JP2004028075A JP2004028075A JP2005220045A JP 2005220045 A JP2005220045 A JP 2005220045A JP 2004028075 A JP2004028075 A JP 2004028075A JP 2004028075 A JP2004028075 A JP 2004028075A JP 2005220045 A JP2005220045 A JP 2005220045A
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Japan
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group
contrast agent
liposome
fluorescent
fluorescent dye
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Application number
JP2004028075A
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English (en)
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Akihisa Nakajima
彰久 中島
Eiichi Ueda
栄一 上田
Chiaki Nagaike
千秋 長池
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Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Original Assignee
Konica Minolta Medical and Graphic Inc
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Abstract

【課題】
造影力に優れ、生体内に蓄積しにくい蛍光色素を含有する蛍光造影剤を提供すること。
【解決手段】
蛍光色素、特に近赤外蛍光色素としてシアニン系近赤外蛍光色素を内包させたターゲティング・マイクロキャリヤーを含む蛍光造影剤が好ましい。好適なターゲティング・マイクロキャリヤーとして、リポソーム、特にターゲティング機能を増強したリポソームが例示される。このようなリポソームには、超臨界二酸化炭素法により作製されたリポソームが望ましい。さらに、好ましくはその脂質膜表面にポリアルキレンオキシド鎖またはポリエチレングリコール鎖が導入され、かつ、50〜200nmの中心粒径を有するリポソームであ
る。
【選択図】 なし

Description

本発明は蛍光造影剤、特にマイクロキャリヤーに内包させた蛍光色素を含むことを特徴とする蛍光造影剤に関する。
病気の治療では、病気の初期段階においてその病気により生体内に引き起こされる器官・組織の形態変化を精密かつ迅速に、さらに簡便な方法で検出することが望まれる。特に癌の早期治療では、発癌初期に小さい病変部位を特定しその大きさを確定することが必要不可欠である。そのための診断方法として、内視鏡による生体検査、X線撮影、MRIおよび超音波撮影などの画像診断が挙げられる。これらの画像診断法は、それぞれ優れた特徴を有するが、被験者は心理的圧迫、痛みや苦痛、被爆を強いられたり、あるいはその装置設置や操作、維持には多大の労力と費用が必要とされることもある。
一方、光は、比較的簡単な装置で生体を非侵襲的に診断できる手段である。たとえば、腫瘍細胞の自家蛍光が正常細胞の自家蛍光(450nmで励起、520nmで蛍光発生)よりも小さいことを利用した、内視鏡による自家蛍光観察法などが実用化されている。しかしながら、生体内には可視光領域に吸収を持つヘモグロビンなどが多く存在するため、生体の極く表面の情報しか収集できないという障壁がある。これに対し、近赤外領域(700〜1300nm)
では、水素結合を有する各置換基の吸収が存在するものの、その吸収は比較的小さいことから、近赤外光は生体組織を透過しやすい。かかる近赤外光の特性を利用すれば、身体に無用の負荷を課すことなく体内の情報を得ることも可能であると考えられる。ところが光は生体組織によって強く散乱されるため、検出される光が、生体内のどの部分を通過してきたか、どの部分の情報を伝えてくれるのかを知ることは、通常容易ではない。最近、高感度のセンサーや、極短パルスを発生するレーザー、モンテカルロ法を用いた体内光散乱シミュレーション法などの組み合わせにより体深部の情報も得られるようになってきた。
近赤外光を用いた診断法として、腫瘍部分に近赤外蛍光色素を集め、腫瘍部分をイメージングする近赤外蛍光撮影法が注目されている。この方法は、励起光照射により近赤外領域に蛍光を放射する性質を持つ化合物を造影剤として生体内に投与する。次に身体の外側から近赤外の波長である励起光を照射し、腫瘍部分に集まった蛍光造影剤から放射される蛍光を検出して、病変部位を確定するものである。
このような蛍光造影剤として、生体内での安全性が確認されているインドシアニングリーンがある。腫瘍部分の血管は、開閉するタイミングがランダムで、血流が滞留している(いわゆる血液プール)といわれており、腫瘍を有する動物にインドシアニングリーンを投与すると、正常部分と腫瘍部分とでは血中滞留時間が異なるため(正常細胞からなる組織からはすぐに排泄される)、近赤外領域の波長の励起光をあてることで腫瘍部分を浮き上がらせることができる(大畑ら、ラット実験腫瘍におけるインドシアニングリーンと近赤外光トポグラフィーを用いた癌診断法の基礎的研究:日本医放会誌.62(6).284-286.2002)。
シアニン系化合物の蛍光造影剤が報告されて以来、親水性、モル吸光係数、量子収率の高い化合物に改変すべく、各種の周辺シアニン系化合物を造影剤とする技術が開示された(たとえば、特許文献1〜5)。しかしながら、正常な組織と病変組織とを識別できる解像性能(造影力)とともに、生体から造影後に生体内で完全に分解され無害となるか、または完全に排出されること(非蓄積性)が必要であるが、両者を兼ね備え、より安全なシアニン系化合物および該化合物を含有する造影剤はこれまで見つかっていない。
特開2000−95758号公報 特表2002−526458号公報 特表2003−517025号公報 特開2003−160558号公報 特開2003−261464号公報
本発明の目的は、目標とする体内の病変部位に選択的に送達される蛍光造影剤、特に近赤外蛍光造影剤を提供することである。たとえば、近赤外蛍光色素として生体内に蓄積しにくいシアニン系化合物を内包するターゲティング・マイクロキャリヤーを含み、病変組織を正常組織から識別し得る良好な解像度の画像をもたらす造影力に優れた近赤外蛍光造影剤を提供することにある。
本発明の上記目的は下記の構成によって達成される。
(1) 本発明の蛍光造影剤は、マイクロキャリヤーに内包されている蛍光色素を含むこと
を特徴としている。
(2) 上記蛍光色素が、好ましくは近赤外蛍光色素であることを特徴とする蛍光造影剤で
ある。
(3) 上記マイクロキャリヤーが、好ましくはリポソームであることを特徴とする蛍光造
影剤である。
(4) そのリポソームは、超臨界二酸化炭素法により作製されたリポソームであることが
好ましい。
(5) さらに前記リポソームは、好ましくはその脂質膜表面にポリアルキレンオキシド鎖
またはポリエチレングリコール鎖が導入され、かつ、50〜200nmの中心粒径を有する。
(6) 上記(2)に記載の蛍光造影剤において、近赤外蛍光色素はシアニン系近赤外蛍光
色素であることを特徴としている。
(7) 上記シアニン系近赤外蛍光色素は、インドシアニングリーンまたはその誘導体であ
ることを特徴としている。
(8) さらに上記(6)に記載の蛍光造影剤において、前記シアニン系近赤外蛍光色素は、次の一般式(I)で表される化合物であることが好ましい;
Figure 2005220045
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基または芳香族基を表し、
1およびR2は各々同一でも異なっていてもよく、水溶化基で置換されている脂肪族基を表し、
3およびR4は、各々が同一でも異なっていてもよく、低級アルキル基または芳香族基を示し、あるいはR3とR4とが結合して炭素環を形成してもよく、nが1もしくは2である場合には、L6と、R3またはR4とが結合して炭素環を形成してもよく、nが0の場合
には、L4と、R3またはR4とが結合して炭素環を形成してもよい非金属原子群を表す。
1〜L6は各々、同一または異なるメチン基を表す。
1およびZ2は同一でも異なっていてもよく、複素5員環に結合して5員または6員の縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
Xは分子の電荷を中和するに必要な対イオンを表し、pは分子全体の電荷を中和するに必要なXの数を表す。
mは2〜4の整数を表し、nは0〜2の整数を表す。]。
(9) 前記一般式(I)における水溶化基は、好ましくはスルホン酸基である。
(10) 上記(8)に記載の蛍光造影剤において、シアニン系近赤外蛍光色素は、好ましく
は次の一般式(II)で表され、分子内に少なくとも2個の水溶化基を有する:
Figure 2005220045
[式中、J1およびJ2は各々同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜5であるアルキレン基を表し、R、R3、R4、L1〜L6、Z1、Z2、m、n、pおよびXは一般式(I)における定義に同じである。]。
(11) 上記(8)〜(10)に記載の蛍光造影剤において、 前記シアニン系化合物の分子内スルホン酸基の数が少なくとも4個であることが望ましい。
(12) 上記(10)に記載の蛍光造影剤において、シアニン系近赤外蛍光色素は、好ましくは次の一般式(III)で表される:
Figure 2005220045
[式中、R5、R6は各々、水溶化基で置換されている炭素原子数が3〜5であるスルホアルキル基を表し、R、R3、R4、L1〜L7、m、n、pおよびXは、前記一般式(I)における定義に同じであり、R10〜R17は各々同一でも異なっていてもよく、水素原子またはπ値が0.3より小さな置換基を表す。該π値は、下記式;
π=logP(PhX)−logP(PhH)
(式中、Pは化合物のオクタノール/水に対する分配係数を意味し、logP(PhX)は置換基Xを有するベンゼン(PhX)のlogP値を示し、logP(PhH)はベンゼン(PhH)のlogP値を示す。)
で表される。]。
(13) 本発明の蛍光造影方法は、上記(2)〜(12)のいずれかに記載の蛍光造影剤を生体内に導入する工程、該生体に励起光を照射する工程、ならびに該近赤外蛍光造影剤からの近赤外蛍光を検出する工程を含む蛍光イメージング方法である。
本発明に係る蛍光造影剤は、好ましくは構造安定性および封入物質の保持安定性を改善させたリポソームを含む。かかるリポソームに内包された蛍光色素は、生体内での安定性、血中滞留性が良好であり、EPR効果が発揮され、その結果、目的とする疾患部位または病変組織、とりわけ癌組織に選択的に集中し蓄積する。したがって、該蛍光造影剤は、病変組織を正常組織から識別できる解像性能を実現する造影力に優れており、生体内の病巣の検出が可能となる。特にシアニン系蛍光色素は水溶性であり、しかも排出性が高いため、安全に使用することができる。
上記リポソームの製造は、リン脂質などを超臨界二酸化炭素に溶解して作製する方法を採用するため、有毒な溶媒、特に毒性の高いクロル系溶媒を使用する必要がない。
以下、本発明の蛍光造影剤、特に近赤外蛍光造影剤について、蛍光色素、リポソームおよびこれらを用いる蛍光造影剤の順に詳細に説明する。なお蛍光造影剤は、画像診断の中で、蛍光イメージングのための造影剤である。近赤外蛍光造影剤とは、近赤外領域に蛍光を発する造影剤を意味する。本明細書では、「蛍光造影剤」の中には「近赤外蛍光造影剤」をも、「蛍光色素」の中には「近赤外蛍光色素」をも含めて言及することもある。
蛍光色素
蛍光造影剤に造影物質として使用される蛍光色素には、特定波長を有する励起光の照射により蛍光を発する物質を用いる。たとえば腫瘍中に蓄積するポルフィリン化合物が例示される。具体的なポルフィリン化合物には、ヘマトポルフィリン、フォトフリン、ベンゾポリフィリンなどが挙げられる。他の例示としてフルオレスカミン、カルボキシフルオレスセン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、フィコエリトリン、リボフラビン、さらにアニリノナフタレン系蛍光色素、アミノスチリル系蛍光色素などの蛍光色素なども挙げられる。
これらの蛍光色素は、400〜600nmの可視光領域において蛍光を放射する。そうした蛍光は、生体組織の透過性は極めて低いため、身体の奥深い部分の造影は期待できない。
近赤外蛍光造影剤に造影物質として含まれる近赤外蛍光色素は、励起光の照射により近赤外領域、たとえば700〜1300nm、特に700〜900nmで蛍光を放射する化合物であれば特に
制限はない。そのモル吸光係数は少なくとも100,000であることが望ましい。たとえば、
インドシアニングリーン(ICG)を始めとするインドシアニングリーン誘導体、従来報告
されている種々のシアニン化合物でもよい(WO96/17628、WO97/13490)。インドシアニングリーンは、従来から肝、循環機能障害検査において使用されてきており、比較的安全である。特に低毒性で充分に水溶性であり、イメージング標的部位に対する選択性が良好な一群のシアニン化合物が提案されている(特許文献1〜5など)。これらのいずれのシアニン化合物を使用することができる。
本発明の近赤外蛍光造影剤は、さらに下記一般式(I)で表されるシアニン化合物も近赤外蛍光色素として用いることができる。
Figure 2005220045
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基または芳香族基を表し、
1およびR2は各々同一でも異なっていてもよく、水溶化基で置換されている脂肪族基を表し、
3およびR4は各々が同一でも異なっていてもよく、低級アルキル基または芳香族基を示し、あるいはR3とR4の間で結合して炭素環を形成してもよく、nが1もしくは2である場合には、L6と、R3またはR4との間で結合して炭素環を形成してもよく、nが0の
場合には、L4と、R3またはR4との間で結合して炭素環を形成してもよい非金属原子群
を表す。
1〜L6は各々、同一または異なるメチン基を表す。
1およびZ2は同一でも異なっていてもよく、複素5員環に結合して5員または6員の縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
Xは分子の電荷を中和するに必要な対イオンを表し、pは分子全体の電荷を中和するに必要なXの数を表す。
mは2〜4の整数を表し、nは0〜2の整数を表す。]
一般式(I)において、Rは水素原子、低級アルキル基または芳香族基を表す。
低級アルキル基は、炭素数が1〜5の直鎖状または分岐のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基などが挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、置換基を有している低級アルキル基としては、たとえば2-ヒドキシエチル、3-スルファモイルプロピル、3-カルボキシプロピルなどが挙げられる。
芳香族基は、置換、無置換の炭素芳香族環基と複素芳香環基を含むものであり、たとえばフェニル基、m-ヒドロキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基などが挙げられる。
一般式(I)において、R1およびR2は各々が同一でも異なっていてもよく、水溶化基で置換されている脂肪族基を表す。この脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、環状アルキル基、アルキニル基などが例示される。
アルキル基として好ましくは炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペ
ンチル基、2−メチルプロピル基、1,1─ジメチルプロピル基などが挙げられる。
アルケニル基は炭素数3〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルケニル基が好ましく、具体的にはアリル基、2-ブテニル基、イソブテニル基などが挙げられる。
環状アルキル基として好ましくは炭素数3〜6の低級環状アルキル基であり、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
アルキニル基として好ましくは炭素数3〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルキニル基であり、具体的には2-プロピニル基、2-ブチニル基などが挙げられる。
また、水溶性の置換基として、たとえばカルバモイル基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、リン酸基などを挙げることができる。
「水溶化基で置換されている脂肪族基」は、たとえば2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ-3-スルホプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カル
ボキシエチル基、カルボキシブチル基、2−ホスフォノエチル基、3−ホスフォノプロピル基、スルホメチル基、2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、3−スルホブチル基、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基などが挙げられる。この中でも、R1およびR2はスルホン酸基で置換されている炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、たとえば2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、3−スルホブチル基、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基などが好ましく用いられる。
一般式(I)において、R3およびR4は各々が同一でも異なっていてもよく、低級アルキル基または芳香族基を示す。低級アルキル基、芳香族基としては、前記の低級アルキル基、前記芳香族基と同一のものを例示することができる。
あるいはR3およびR4は、R3とR4の間で結合して炭素環を形成してもよく、nが1または2である場合には、L6とR3またはR4との間で結合して炭素環を形成してもよく、
nが0の場合には、L4とR3またはR4との間で結合して炭素環を形成してもよい非金属
原子群を表す。
3とR4とが結合して形成される炭素環としてはたとえば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などが挙げられる。
6とR3またはR4との間で結合して形成される炭素環、またはL4とR3またはR4との間で結合して形成される炭素環としては、たとえばシクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環などが挙げられる。これらの炭素環は、置換または無置換の低級アルキル基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、アミノ基または置換アミノ基(たとえばジメチルアミノ基、エチル−4−スルホブチルアミノ基、ジ(3−スルホプロピル)アミノ基など)などの置換基で置換されていてもよい。非金属原子群Z1が結合す
るピロール環でも、R3またはR4が、L6またはL4と結合して炭素環を形成するような炭素環を形成している。このような炭素環の形成は、化合物構造を不安定化させることなく、あるいは組織への親和性を高める望ましくない疎水的な共役構造を導入することなく、吸収の長波長化を図ることができるという利点がある。さらにかかる炭素環の導入は、生体系で不活性であり、かつ蛍光特性の良好な化合物の実現に寄与している。
一般式(I)において、Z1およびZ2は同一でも異なっていてもよく、含窒素複素5員
環に結合して5員または6員の縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
かかる非金属原子群によって形成される環としては、5員環、6員環、2以上の環から構成される縮合環、複素5員環、複素6員環、2以上の環から構成される複素縮合環などが挙げられる。これらの環において任意の位置が置換基で置換されていてもよい。
そのような置換基として、たとえばスルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、置換アミノ基(たとえばジメチルアミノ基、エチル−4−スルホブチルアミノ基、ジ(3−スルホプロピル)アミノ基など)、あるいは直接もしくは2価の連結基を介して環に結合した置換または無置換のアルキル基などが挙げられる。2価の連結基としては、たとえば−O−、−NHCO−、−NHSO2−、−NHCOO−、−NHCONH−、−C
OO−、−CO−、−SO2−などが好ましい。直接または2価の連結基を介して環に結
合した無置換のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。また、置換されたアルキル基は、前記アルキル基の任意の位置が置換基で置換されており、置換基として好ましくはスルホン酸基、カルボキシル基、水酸基が挙げられ、中でもスルホン酸基が好ましい。
前記非金属原子群によって形成される環としては、親水性の基で置換された炭素環または含窒素複素環が特に好ましい。
一般式(I)において、L1〜L6は各々、同一または異なるメチン基を表し、メチン基は任意の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−フェノキシエチル、2−スルホエチルなどの置換または無置換のアルキル基;
塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
フェニル基、スルホン酸基置換フェニル基、メトキシ基置換フェニル基、ナフチル基などの置換または無置換のアリール基;
フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピロリジノ基、モルホリノ基などの複素環基;
メトキシ基、エトキシ基などの低級アルコキシ基;
ジメチルアミノ基、2−スルホエチルアミノ基などの置換アミノ基およびアミノ基などが挙げられる。L1〜L6で表されるメチン基の上記置換基のうち好ましいものは、アルキル基、アミノ基、複素環基である。
また、L1〜L6で表されるメチン基の置換基同士が結合して3つのメチン基を含む環を形成してもよく、この環はさらに他のメチン基を含む環と縮合環を形成してもよい。
1〜L6で表されるメチン基の置換基同士が結合して形成される3つのメチン基を含む環としては、具体的には4−オキソ−2−ヒドロキシシクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環および4,4−ジメチルシクロヘキセン環などを挙げることができ、本発明において特にシクロペンテン環が好ましい。
一般式(I)におけるpXのうち、Xは分子の電荷を中和するに必要な対イオンを表し、pは分子全体の電荷を中和するに必要なXの数を表す。pの値は、分子全体の電荷を中和することができれば特に限定されないが、通常1〜10である。
対イオンとしては、カチオン、アニオンが挙げられ、無毒性の塩を形成するものであれば任意のものであってもよい。カチオンの具体例としてはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン;マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属のイオン;アンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ピリジニウムなどの有機
アンモニウムのイオン;リジン塩、アルギニン塩などのアミノ酸のアンモニウムイオンなどを挙げることができる。アニオンの具体例としては、塩素、臭素、沃素などのハロゲンのイオン;硫酸イオン;酢酸、クエン酸などの有機カルボン酸のイオン;トルエンスルホン酸イオンなどを挙げることができる。
対イオンとして特に好ましくは、生体に対してより毒性を軽減することができるナトリウムイオンやクロルイオンである。
このような一般式(I)で表されるシアニン系化合物としては、下記一般式(II)で表され、分子内に少なくとも2個の水溶化基を有するシアニン系化合物が好ましい。
Figure 2005220045
[式中、J1およびJ2は各々同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜5であるアルキレン基を表し、R、R3、R4、L1〜L6、Z1、Z2、m、n、pおよびXは各々、前記一般式(I)における定義と同じである。]
上記J1およびJ2で表される炭素原子数がとりうる1〜5のアルキレン基としては、たとえばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、2−メチルプロピレン基などが挙げられ、とりわけエチレン基が好ましい。
さらに、一般式(II)で表されるシアニン系化合物としては、下記一般式(III)で表
わされるシアニン系化合物も好ましい。
Figure 2005220045
[式中、R5、R6は各々、水溶化基で置換されている炭素原子数が3〜5であるスルホアルキル基を表し、R、R3、R4、L1〜L7、m、n、pおよびXは、前記一般式(I)における定義に同じであり、R10〜R17は各々同一でも異なっていてもよく、水素原子、またはπ値が0.3より小さな置換基を表す。]
上記R5、R6がとり得る基は、「水溶化基で置換されている炭素原子数が3〜5であるスルホアルキル基」であり、その水溶化基としては、上記一般式(I)において定義した
基に加えて、親水性の非イオン性基も示される。親水性の非イオン性基として、たとえば、カルバモイル基、スルファモイル基、アセトアミド基、スルホンアミド基、メタンスルホンアミド基などが挙げられる。
「水溶化基で置換されている炭素原子数が3〜5であるスルホアルキル基」としては、具体的には2-ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、2−カルバモイルメチル−4−スル
ホブチル基、2−アセトアミド−4−スルホブチル基、2−スルファモイル−3−スルホ
プロピル基、3−メタンスルホンアミド−5−スルホペンチル基、3−メタンスルホニル−4−スルホブチル基、2−カルボキシ−4−スルホブチル基、3-ホスフォノオキシ−5−スルホブチル基などが挙げられ、特に2-ヒドロキシ−3−スルホプロピル基が好ましい。
一般式(III)において、R10〜R17は各々同一でも異なっていてもよく、水素原子、
またはπ値が0.3より小さな置換基を表す。R10〜R17の置換基の定義に用いられるπ値
の定義について説明する。
π値は、化合物分子の親水性・疎水性に及ぼす置換基の影響を示すパラメータであり、下記の式で定義される。
式:π=logP(PhX)−logP(PhH)
上記の式で、Pは化合物のオクタノール/水系に対する分配係数を意味し、置換基Xを有するベンゼン(PhX)のlogP値と、ベンゼン(PhH)のlogP値との差が置換基Xのπ値として割り当てられる。
logP値は下記文献(a)の方法で実測して求めることができ、また文献(a)記載の
フラグメント法または文献(b)記載のソフトウェアパッケージを用いて計算により求めることもできる。実測値と計算値が一致しない場合は原則として実測のπ値を用いることとする。
(a)C. Hansch, A. J. Leo著、"Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology"、John Wiley & Sons社、New York、1979年刊
(b)Medichemソフトウェア−パッケージ(Pomona College, Claremont, California
から開発、販売されている第3.54版)
このようにして求められた置換基ごとのπ値は文献(a)に一覧表としてまとめられている。π値が0.3以下である主な置換基として、OSO3H、OH、CN、COCH3、C
OOH、OCH3、COOCH3、H 、F、N(CH3)2、などがある。π値が0.3より小さな好ましい置換基としては、ホスフォノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、置換アミノ基(たとえば、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基など)、またはπ値が0.3より小さな2価の連結基を介して環に結合したπ値が0.3以下となる置換または無置換のメチル基またはエチル基などが挙げられる。
π値が0.3より小さな2価の連結基としては、たとえば−O−、−NHCO−、−NH
SO2−、−NHCOO−、−NHCONH−、−COO−、−CO−、−SO2−などが挙げられる。
π値が0.3以下となる置換または無置換のメチル基またはエチル基としては、たとえば
、メトキシ基、2−スルホエチル基、2−ヒドロキシエチル基、メチルアミノカルボニル基、メトキシカルボニル基、アセチル基、アセトアミド基、ポロピオニルアミノ基、ウレイド基、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、メタンスルホニル基などが挙げられる。π値が0.3より小さな置換基として
好ましい基は、スルホン酸基である。
シアニン系化合物を蛍光造影剤として生体内で使用するために特に必要とされる性質は、水溶性であることである。本発明の近赤外蛍光造影剤においては、シアニン系化合物中にスルホン酸基を少なくとも3個導入することにより当該化合物の水溶性に関して顕著な改善効果がみられる。シアニン系化合物が水溶性であるためにスルホン酸基の好ましい数は4個以上である。
スルホン酸基は、一般式(I)においてR1、R2、Z1および/またはZ2の位置に、一般式(II)においてはZ1および/またはZ2の位置に、一般式(III)においてはR5、R6およびR10〜R17のいずれかの位置に導入されることが好ましい。さらに、当該スルホ
ン酸基は、共役メチン鎖のL4にアルキレン基などの2価の基を介して導入することも好
適に行われる。
一般式(I)、一般式(II)および一般式(III)において、mは2〜4の整数を表し
、nは0〜2の整数を表す。特にnは1のものが好ましい。
本発明に係るシアニン系化合物は、一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物で
あって、その分子中にスルホン酸基を少なくとも3個以上、好ましくは4個以上有するものであることが望ましい。本発明のシアニン系化合物として、前記一般式(III)で表さ
れ、R5およびR6が、非イオン性の水溶化基とスルホン酸基とにより置換されている炭素数3〜5の低級アルキル基で、かつスルホン酸基を分子内に3個以上有する化合物のナトリウム塩が特に好ましい。
本発明において用いられる前記一般式(I)で表される化合物(一般式(II)および一般式(III)で表される化合物を含む)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
Figure 2005220045
本発明に係るシアニン系化合物当該化合物は、F.M. Hamer in The Cyanine Dyes and Related Compounds, John Wiley and Sons, New York, 1964 、Cytometry, 10 (1989) 3-10 、Cytometry, 11 (1990) 418-430、Cytometry, 12 (1990) 723-730、Bioconjugate Chem. 4 (1993) 105-111、Anal. Biochem. 217 (1994) 197-204 、Tetrahedron 45 (1989) 4845-4866 、欧州特許出願明細書0591820A1、欧州特許出願明細書0580145A1、日本公開特
許平4-147131号、同2003-48891号、同2003-64063号、同2003-261464号などに記載されて
いる公知のシアニン系化合物の製造方法に準じて合成することができ、さらに、市販のシ
アニン系化合物から適宜、公知の手法により合成することもできる。より具体的には、ジアニル化合物とヘテロ環4級塩との反応により合成することができる。
本発明の一般式(I)で表されるシアニン系化合物の製造方法について、たとえば一般式(I)で表されるシアニン系化合物の一員である化合物(11)は、以下のスキームに示す方法により合成される。その他の化合物も同様にして合成することができる。
Figure 2005220045
本発明のシアニン系化合物は生体内で使用されるため、最終的に体内に蓄積されず、速やかに体外に排出されることが重要であり、実質的に水溶性であることが求められる。シアニン系化合物の水溶性を向上させる手段としては、アニオン系のカルボン酸やスルホン酸の塩類であることが好ましい。本発明のシアニン系化合物は、3個のスルホン酸基が導入されることにより水溶性が顕著に改善されている。このように優れた水溶性を得るには、スルホン酸基の数を3個以上、好ましくは4個以上とすることが望ましい。しかしながら、シアニン系化合物の合成を容易にするには、スルホン酸基の数は10個以下、好ましくは8個以下であることが望ましい。
生体内に投与されて許容される塩は式(I)の化合物と非毒性の塩を形成するものであればよい。それらの例としては、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのようなアルカリ土類金属塩;トリプトファン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、アルギニンなどの塩のようなアミノ酸塩が挙げられる。シアニン系化合物は、生体内での毒性が低いナトリウム塩であることが特に好ましい。
マイクロキャリヤー
本発明に係る蛍光造影剤ならびにその用途において、蛍光色素または近赤外蛍光色素はマイクロキャリヤー、特にターゲティング・マイクロキャリヤー(たとえば後述のリポソーム、または他のタイプの担体粒子)内部に内包されていることが好ましい。この「内包」とは、マイクロキャリヤー内にカプセル化されるか、および/またはその内表面壁に結合、捕捉または包埋される状態をいう。正常な組織と病変組織とを識別できる解像性能(造影力)の向上には、好適な近赤外蛍光色素そのものを開発する他、既存の蛍光色素を選
択的に標的部位へ送達するマイクロキャリヤーを使用することも有力な手法といえる。
上記蛍光色素を標的組織へ送達するための担体となり得る粒子、すなわちマイクロキャリヤーと総称される微小担体の具体的なものとしては、マイクロカプセル、マイクロスフェア、マイクロパーティクル、ナノパーティクル、ナノスフェア、ナノカプセルなどが挙げられる。本発明におけるマイクロキャリヤーは、蛍光色素のカプセル化、捕捉または包埋が可能な任意の物質から形成されてもよい。そのような物質として、たとえば脂質または変性脂質(具体的にはリポソームやリポソーム系粒子の一部として)、タンパク質(たとえばウィルスのタンパク質コートまたは“カプシド”などのタンパク質外被の形態)または脂質とタンパク質との組合せ(たとえばタンパク質が脂質小胞に埋包され、細胞における通常のタンパク質包埋脂質二重膜に似た構造となる場合)などが挙げられる。マイクロキャリヤーの粒子は、合成ポリマーなどの合成物質からなっていてもよい。蛍光色素のカプセル化に使用する合成物質/ポリマーの例として、Wagnerら、1992、PNAS USA、89:7934−7938に記載されているようなポリリジン系複合体といったカチオン性ポリマーが挙げられる。
蛍光色素をカプセル化、捕捉または包埋する積極的意義を考えると、本発明におけるマイクロキャリヤーに必要とされることは、マイクロキャリヤー粒子の性質が、診断対象である病変部位、たとえば癌細胞や癌組織などの標的実体に対する親和性を有すること、換言すると“ターゲティング・マイクロキャリヤー”として機能することが重要である。ここにいう“ターゲティング・マイクロキャリヤー”とは、体内の特定の場所・部位、具体的には、特定の器官、組織、細胞に指向性を有する微小担体を意味する。そのために必要な化学構造上の「装置」をそうした微小担体は備えている。したがって、送達される蛍光色素または近赤外蛍光色素そのものが必ずしも癌組織などに親和性を持つ必要はない。蛍光色素などを内包するマイクロキャリヤーがそうした器官・組織などに選択的に向かうことが好ましく、その結果として送達される蛍光色素が標的の癌細胞や癌組織などに効率的に集積されることとなる。このことは、蛍光色素そのものにターゲティング性を持たせるように、構造上の様々な仕掛け、工夫などは必ずしも必要とされないということである。代わりに蛍光色素は別の特性、たとえば蛍光量子収率などの蛍光特性、安定性、生体毒性、水溶解性などの方面から検討して選択すればよい。
蛍光色素または近赤外蛍光色素を、マイクロキャリヤー内に封入するもうひとつの意義として、生体内におけるこれらの色素の安定性の向上、具体的には血漿安定性、血中貯留性を増強する効果を指摘できる。いずれの蛍光色素も有機低分子であることから、一般の低分子薬物の場合と同様に肝臓、腸管、腎臓などの薬物代謝酵素による分解代謝の対象となることは免れない。水溶性色素の場合、組織、細胞内に取り込まれなかったものについては腎臓を経て急速に尿中に排泄されてしまう。あるいは、血中においてはアルブミン、グロブリンなどの血漿タンパク質と結合する可能性もある。結果的に、蛍光色素または近赤外蛍光色素の血中からの消失、造影物質として有効に存在する量の減少などを招く。このような蛍光色素または近赤外蛍光色素の血漿安定性、または血中滞留性の低下は、造影作用として利用する観点から不都合となる。蛍光色素などを予めマイクロキャリヤー内に封入して投与すれば、こうした異化等の作用から保護されて生体内で安定的に標的部位まで移動できる。
本発明において使用されるターゲティング・マイクロキャリヤーとしては、リポソーム、特にターゲティング機能を増強した機能性リポソームが特に好ましい。リポソームは、いわば赤血球類似の姿と挙動をしているため、腎臓を経由して速やかに排出されることはなく、血流中に比較的長く、造影目的には適度な時間、安定的にとどまるからである。
リポソーム
本発明の蛍光造影剤、特に近赤外蛍光造影剤は、上記蛍光色素を目標とする臓器、組織などとの標的部位へ選択的に、かつ、効率よく送達するために、好ましくはターゲティング・マイクロキャリヤーとしてのリポソーム内に該色素を封入した形態で使用される。本明細書でいう「リポソーム」とは、公知のリポソームおよびリポソーム系の小胞粒子すべてを意味する。最も広義に「リポソーム」とは、あらゆる脂質に基づいた小胞性の構造体を意味する。リポソームの粒子は顕微鏡的レベルの球状粒子であり、通常、一枚以上の脂質二重層からなる膜内部に、該粒子が懸濁している溶媒の一部がカプセル化されている。リポソームの脂質二重膜の成分として、一般にリン脂質および/または糖脂質が好ましく使用される。一種の脂質または物性の異なる脂質の混合物からなっていてもよく、後述するように改変脂質、たとえばポリエチレングリコール改変脂質なども使用することができる。
リポソームおよびその調製方法は、技術的に周知であり多数の文献が存在する。したがって、蛍光色素が内部に導入される好適なリポソーム粒子の物性は、文献などで技術的に公知な方法を用いて操作し、選択することができる。
リポソームに取り込まれる各タイプの脂質の適量は、リポソームの用途に応じて決定される。リポソームを構成する各脂質は、全体的に正もしくは負に荷電していてもよく、また電気的に中性であってもよい。したがって、使用する脂質の特定の組合せや量によって、リポソーム粒子そのものが、全体的に正荷電(カチオン)、負荷電(アニオン)もしくは電気的中性となる。
リポソームの密度/重量を調節する方法は、技術的に周知であり多くの例および文献が知られている。たとえばリポソーム密度は、リポソームの中心部の核を塩化セシウム(または他の重い化合物)または濃厚塩溶液などのより高密度な溶液で満たすことにより上昇させることができる。また好ましくは、ブルーデキストランまたはデキストラン・サルフェートなどの多糖類をリポソーム内に含浸させることにより、リポソームの密度を上昇させることができる。上記多糖類は、リポソームの中心部の核および/または脂質膜中に取り込まれる。
蛍光色素または近赤外蛍光色素は、周知の標準的な方法でリポソームの粒子内に導入することができる。この場合、蛍光色素は通常リポソーム内部の水相または中心域中にカプセル化され、および/または静電的力などによりリポソームの内部表面に接着されるか、あるいは小胞を形成する脂質膜内、好ましくは膜の内表面に捕捉あるいは包埋される。本発明の蛍光造影剤、特に近赤外蛍光造影剤では、ターゲティング機能を増強した「機能化リポソーム」内に(近赤外)蛍光色素を上記のように内包させるのがより好ましい態様である。
・機能化リポソーム
本発明の造影剤は、好ましくはターゲティング性に優れるリポソームを用いることにより、血漿安定性、血中滞留性を向上させて、選択的かつ効率的な蛍光色素の送達の実現を図っている。本明細書にいう「機能化リポソーム」とは、このような要請に応えるために提案された特別のリポソームを言及するもので、以下に詳細に説明する。
優れた腫瘍描出性を獲得するために有効とされるEPR(Enhanced permeability and retention、透過性の亢進および滞留)効果を生じさせるためには、リポソーム構造の安
定化および封入物質の保持安定化により保持効率を改善させた上で、血漿安定性、血中滞留性といった特性を有することが造影剤には求められる。
本発明の蛍光造影剤または近赤外蛍光造影剤においては、造影物質である蛍光色素を内
包する「機能化リポソーム」の粒径(粒子径とも言い、粒子の直径である。)およびその二分子膜を適切に設計することによりターゲティング機能を実現することができる。そのためには受動的ターゲティングおよび能動的ターゲティングいずれも考慮される。前者は、リポソームの粒子径、脂質組成、荷電などの調整を通じてその生体内挙動を制御することができる。リポソーム粒径を狭い範囲に揃える調整は、後述する方法に基づき容易に行われる。リポソーム膜表面の設計は、リン脂質の種類、組成および混在物質を変えることにより所望の特性を付与することができる。
造影剤のより高度な集積性と選択性を可能とする能動的ターゲティングの採用もまた検討されるべきである。一例として、リポソーム表面にポリアルキレンオキシド高分子鎖、特に、ポリエチレングリコール(PEG)を導入することは、標的部位までの誘導過程を制御し得るため、極めて有益である。本発明の蛍光造影剤に好適なリポソームとは、その表面にポリアルキレンオキシド、特にPEGを付加する修飾を施す結果、その血中滞留性が一層高められ、肝臓などの細網内皮系細胞に貪食されにくいリポソームである。癌組織、疾患部位などに到達しなかった蛍光造影剤は、正常部位に集積することなく、副作用が発現する前にリポソームが分解されて体外に排泄される。このことはリポソームを設計する際にその安定性を体外排出時間との関係で適切に制御することにより可能である。蛍光色素として水溶性の近赤外蛍光色素を使用する場合、腎臓を経由して速やかに尿中に排泄される。そのため徒に体内に留まることによる弊害、遅発性の副作用などを防止できる。
本発明の蛍光造影剤の送達システムに使用される上記「機能化リポソーム」の設計、製造方法について、以下に詳述する。
本発明のリポソームにおける好ましい中性リン脂質として、大豆、卵黄などから得られるレシチン、リゾレシチンおよび/またはこれらの水素添加物、水酸化物の誘導体を挙げることができる。
その他のリン脂質として、卵黄、大豆またはその他の動植物に由来するか、または半合成のホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、合成により得られるホスファチジン酸(PA)等のアルキルまたはアルケニル誘導体が挙げられ、好ましくはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジ
ステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ヘキサデシルアミン(HDA)などを
挙げることができる。
これらのリン脂質は通常、単独で使用されるが、2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。
糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステルなどのグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4などのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
上記脂質の他にリポソームの膜構成物質として、必要に応じ他の物質を加えることもで
きる。たとえば膜安定化剤として作用するコレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、ラノステロールまたは2,4−ジヒドロラノステロールなどのステロール類などが挙げられる。また1−O−ステロールグルコシド,1−O−ステロールマルトシドまたは1−O−ステロールガラクトシドといったステロール誘導体もリポソームの安定化に効果があることが示されている(特開平5-245357号公報)
ステロール類の使用量として、リン脂質1重量部に対して0.05〜1.5重量部、好ましくは0.2〜1重量部の割合が望ましい。0.05重量部より少ないと混合脂質の分散性を向上させる
というステロールの安定化作用が発揮されず、1.5重量部より多すぎるとリポソームの形
成が阻害されるか、形成されても不安定となる。
リポソーム膜中のコレステロールは、ポリアルキレンオキシド導入用のアンカーにもなり得る。特開平09-3093号公報には、ポリオキシアルキレン鎖の先端に、効率よく種々の
「機能性物質」を共有結合により固定化することができ、リポソームの形成成分として利用することができる新規なコレステロール誘導体が開示されている。
他に添加できる化合物として、負荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルなど、正電荷を与える化合物としてステアリルアミンなどの脂肪族アミン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類が例示される。これらの物質は、リポソームの安定化効果がある。
本発明では、好ましくはポリアルキレンオキシド(PAO)基または類似の基を有するリン脂質または化合物を、蛍光造影剤の意図する目的のためにリポソーム膜の一成分として使用する。細網内皮系細胞で捕捉されてしまう問題ならびに崩壊、凝集などといったリポソーム自体の不安定性に関する問題を解決する方法として、これまでリポソームの表面に高分子鎖であるポリエチレングリコール(PEG)鎖、すなわち−(CH2CH2O)n
−Hを導入することが試みられている(たとえば、特開平1−249717号公報、FEBS
letters, 268, 235(1990))。
不活性な親水性ポリマーであるポリアルキレンオキシド鎖(ポリオキシアルキレン鎖)またはPEG鎖をリポソーム表面に付けることにより、新たな機能を該リポソームに付与することができる。たとえば、PEG化リポソーム、いわゆる“ステルス(stealth)”
リポソーム(Lasic、1995、CRC Press)には免疫系から認識されにくくなる効果が期待できる。あるいはリポソームが親水的傾向を有することにより血中安定性を増して、長時間にわたり血液中の濃度を維持できることが明らかになっている(Biochim. Biophys. Acta., 1066, 29-36(1991))。
これらの性質を利用して蛍光造影剤に臓器特異性を与えることもできる。具体的には脂質成分は肝臓に貯まりやすいことから肝臓の選択的な造影を目的とする場合には、PEGを使用しないか、あるいはPEG含有量の少ないリポソームを用いるのがよい。また粒径を200nm以上に大きくすると、肝臓Kupffer細胞の食作用により速やかに取り込まれる可能性が高くなり、肝臓の該部位に集積する。肝臓癌の撮像においては、その癌組織にはKupffer細胞が少ないために、造影剤リポソームの取込み量は相対的に少なくなり、コントラ
ストが鮮明となる。脾臓においても同様である。反対に他臓器の造影の場合、PEGを導入すればリポソームをステルス化して肝臓などに集まりにくくすることができるため、PEG化リポソームの使用が推奨される。PEGの導入により水和層が形成されるためにリポソームは安定化し、血中滞留性も向上する。PEGのオキシエチレン単位の長さ、導入する割合を適宜変えることにより、その機能を調節することができる。PEGとして、オキシエチレン単位が10〜3500のポリエチレングリコールが好適である。またPEGを使用する場合の使用量は、該リポソームを構成する脂質に対して0.1〜30質量%、好ましくは1
〜15質量%程度含むのがよい。
リポソームのPEG化は、公知の技術を利用することができる。PEGが結合するアンカー(たとえばコレステロール、リン脂質など)を膜構成成分であるリン脂質と混ぜてリポソームを作製し、そのアンカーに活性化PEGを結合させてもよい。代わりにPEG先端に何らかの修飾をさらに施したPEGをリン脂質に結合させ、これをリポソーム構成成分として含めてリポソームを作製することもできる。ポリエチレングリコールのリン脂質誘導体の例として、PEG−PE(N−(ω−メトキシポリ−(オキシエチレン)オキシカルボニル−DSPE)(DSPEは、1、2−ジステアロイル−3−sn−ホスファチジルエタノールアミン)が挙げられる。
上記PEGに代わり、公知の各種ポリアルキレンオキシド基、−(AO)n−Yをリポ
ソーム表面に導入してもよい。ここでAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数、Yは水素原子、アルキル基または機能性官能基を表す。
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(AOで表される)として、たとえば
オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基などが挙げられる。これらのオキシアルキレン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドを付加重合させた基である。
nは1〜2000、好ましくは10〜500、さらに好ましくは20〜200の正数である。
nが2以上の場合、オキシアルキレン基の種類は、同一のものでも異なるものでもよい。後者の場合、ランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。ポリアルキレンオキシド鎖に親水性を付与する場合、AOとしてはエチレンオキシドが単独で付加したものが好ましく、この場合、nが10以上のものが好ましい。また種類の異なるアルキレンオキシドを付加する場合、エチレンオキシドが20モル%以上、好ましくは50モル%以上付加しているのが望ましい。ポリアルキレンオキシド鎖に親油性を付与する場合はエチレンオキシド以外の付加モル数を多くする。
Yは、水素原子、アルキル基または機能性官能基である。アルキル基として、炭素数1〜5の、分岐していてもよい脂肪族炭化水素基が挙げられる。機能性官能基は、ポリアルキレンオキシド鎖の先端に糖、糖タンパク質、抗体、レクチン、細胞接着因子といった「機能性物質」を付するためのもので、たとえばアミノ基、オキシカルボニルイミダゾール基、N-ヒドロキシコハク酸イミド基といった反応性に富む官能基が挙げられる。
先端に「機能性物質」を結合しているポリアルキレンオキシド鎖が固定化されたリポソームでは、ポリアルキレンオキシド鎖導入の効果に加えて、ポリアルキレンオキシド鎖に邪魔されることなく「機能性物質」の機能、たとえば「認識素子」として特定臓器指向性、癌組織指向性などの作用が充分に発揮される。具体的には標的癌細胞膜に本来存在するタンパク質を含有するようにデザインされてもよい。
ポリアルキレンオキシド基を有するリン脂質または化合物は、一種類を単独で使用することができ、あるいは二種以上のものを組み合わせて使用することもできる。その含有量は、リポソーム膜形成成分の合計量に対し、0.001〜50モル%、好ましくは0.01〜30モル
%、より好ましくは0.1〜10モル%である。
リポソームへのポリアルキレンオキシド鎖の導入は、公知の技術を利用することができる。好ましい製造方法として、原料のリン脂質類の中に、予めリン脂質ポリアルキレンオキシド(PEO)誘導体などを含めてリポソームを作製するのがよい。これには、ホスファチジルエタノールアミンなどのポリエチレンオキシド(PEO)誘導体、たとえばジステアロイルホスファチルジルエタノールアミンポリエチレンオキシド(DSPE−PEO)などといった修飾リン脂質が提案された(特開平7‐165770号公報)。さらに特開2002−37883号公報には、血中滞留性を高めた水溶性高分子修飾リポソームを作製するための高純度ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質が開示されている。リポソームを作製する際にモノアシル体含量が低いポリアルキレンオキシド修飾リン脂質を使用すると、リポソーム分散液の経時安定性が良好であったことが記載されている。
・リポソームの作製方法
リポソームを作製する方法として、これまでに種々の方法が提案されている。作製方法が異なると、最終的に出来上がったリポソームの形態および特性もまた著しく異なることが多い(特開平6-80560号公報)。そのため所望するリポソームの形態、特性に応
じてその製造方法を適宜選択することが行なわれている。一般にリポソームは、リン脂質、ステロール、レシチンといった脂質成分をほとんど例外なく、まず有機溶媒、たとえばクロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、ジオキサン、THFなどとともに容器中で溶解、混合することにより調製されている。このようなリポ
ソームの調製品は、必ず有機溶媒を含んでいる。そうした残留する有機溶媒、特にクロル系有機溶媒は完全に除去することが困難であり、生体に及ぼす悪影響が懸念される。
本発明に使用するリポソーム、特に「機能化リポソーム」を調製するには、上記の問題点を回避できる超臨界もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法を利用することが望ましい。二酸化炭素の臨界温度が31.1℃、臨界圧力が75. 3 kg/cm2と比較的扱いやすく、不活性なガスゆえ残存しても人体に無害であり、高純度流体が安価で容易に入手できるなどといった理由により好適である。さらにこの方法により作製されたリポソームは、後記するように蛍光造影剤の蛍光色素を内包するのに種々の好ましい特性および利点を有している。
超臨界もしくは亜臨界二酸化炭素を使用してリポソームを作製する場合、上記脂質膜成分を、超臨界状態(亜臨界状態を含む)にある二酸化炭素に溶解、分散または混合することが必要となる。その際、低級アルコール、グリコール、グリコールエーテルなどのアルコールを溶解助剤として1種または2種以上併用すると上記脂質膜成分の溶解性が一層向上する。たとえばアルコール類を超臨界二酸化炭素の0.1〜10質量%、好ましくは、1〜8質
量%の割合で助溶媒として使用するのがよい。このうち、安全性の観点および除去の容易性からエタノールが好ましい。本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の好適な圧力は、50〜500kg/cm2、好ましくは100〜400 kg/cm2である。また好適な臨界状態の二酸化炭素ガスの温度としては、31〜200℃、好ましくは33〜100℃、さらに好ましくは35〜80℃である。
本発明の蛍光造影剤に使用するリポソームの好適な調製方法は、具体的には以下のように行なわれる。リポソーム膜成分の存在下で、液体二酸化炭素を加え上記の好適な圧力および温度のもとにある超臨界状態もしくは亜臨界状態にする。膜脂質成分として上記リン脂質を、好ましくはカチオン性物質、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質、ポリアルキレンオキシド基を有する化合物、ポリエチレングリコール基を有する化合物、ステロール類、グリコール類から少なくとも1種選ばれた化合物とともに混合して溶解する。あるい
は予めこれらの化合物を加えた圧力容器に液体二酸化炭素を加え、次いで温度、圧力を調整して超臨界状態にして溶解する。その際、必要に応じて上記溶解助剤を併用することができる。続いて蛍光色素および後述の製剤助剤(たとえば水溶性アミン系緩衝剤およびキ
レート化剤)を含む水溶液を連続的に添加して、水相/二酸化炭素エマルジョンを形成する。このエマルジョン系において脂質成分はミセル状となり離合集散をしていると推定される。さらに二酸化炭素相と水相とが分離するまで水溶液を連続的に添加する。水相の増大とともに系の相転移が起こり、水/炭酸ガスエマルジョン+炭酸ガス/水エマルジョンの2相系となる。系内を減圧して二酸化炭素を排出すると、蛍光色素を内包するリポソームが分散している水性分散液が生成する。この場合、該リポソームの膜内部以外の水相(すなわち該リポソームが分散されている水性媒体)にも少なくとも蛍光色素の他に、製剤助剤(たとえば水溶性アミン系緩衝剤およびキレート化剤)が含まれている。リポソーム膜内部にも上記水溶液が封入されているため、蛍光色素および製剤助剤はリポソーム外部の水性媒体のほかにリポソーム内部の水相に存在し、いわゆる「内包」の状態にある。さらに該リポソームを0.1〜0.4μの孔径を有する濾過膜を通す。次いで、必要に応じた滅菌処理、パッケージングなどの製剤過程を経て、本発明の蛍光造影剤が調製される。
超臨界もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法は、従来法に比べてリポソームの生成率、封入する物質の内包率、封入物質のリポソーム内残存率が高いことが示されている(特開2003-119120号公報)。さらに工業的スケールでの応用も可能であり、
実質的に有機溶剤を使用せずに非イオン性かつ水溶性の物質を効率よくリポソームに封入することができる本法は、本発明の蛍光造影剤の製造に有用な方法である。
本発明の蛍光造影剤では、後述するように蛍光色素を、保持安定性の観点から、リポソーム膜脂質重量に対して適切な重量比でリポソーム内に封入している。さらにリポソーム中の蛍光色素の保持安定性は、リポソームが通常50〜300nmの中心粒径であり、実質的に1枚膜であることによっても図ることができる。1枚膜のリポソームは、実質的にリン脂質
二重層が1つの層としてなる膜(unilamellar vesicle)で構成されるリポソームである。ここで「実質的に」とは、凍結かつ断(Freeze fracture )レプリカ法による透過型電子顕微鏡(TEM)観察において、レプリカが概ね1つの層として認められるリン脂質二重
層によりリポソームが構成されていることをいう。すなわち、観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものを一枚膜と判定し、2つ以上の段差が認められるものを「多層膜」と判定した。一枚膜リポソームの比率を高めるためには、超音波を照射する操作などをさらに加えてもよい。1枚膜リポソームは、MLVと比較して、リポソーム
の投与量、換言すると投与脂質量が大きくならないという利点もある。
一枚膜リポソーム、特に大きい一枚膜リポソームであるLUV(Large unilamellar veislcles)は、多重層リポソームに比べて、大きい封入容量を提供するという利点がある
。本発明の造影剤に使用するリポソームは、粒径が200〜1000nmのLUVと、粒径が50nm
未満の小さい一枚膜リポソームであるSUV(Small unilamellar vesicles)との中間に位置する。このため、保持容積もSUVより大きくなり、蛍光色素、特に水溶性蛍光色素の内包率も、後述するように格段に優れたものとなる。またMLV、LUVと違い、細網内皮系細胞に取り込まれて急速に血流から消失することもない。
一般にリポソームは、50〜150nmの小型小胞(多くの場合一枚膜)から、数μmの大
型小胞(多くの場合、多重層膜)まで様々な大きさに調製することができる。上記サイズの範囲は、リポソームの負荷効率(サイズ増加に伴い増加する)とリポソームの安定性(最適なサイズ範囲、80〜200nmを超えるサイズの増加に伴い低下する)とを折衷させて
適切に選択される。実際は、リポソーム粒子のサイズおよびその分布は、本発明の蛍光造影剤が目指す、高い血中滞留性、ターゲティング性、送達効率と密接に関わっている。粒子径は蛍光色素を内包するリポソームを含む分散液を凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、このカーボンを電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定することができる。ここで「中心粒径」とは、粒子分布で最も出現頻度の高い粒径を指している。粒径の調整は、処方またはプロセス条件で行なうことができる。たとえば、上記
の超臨界の圧力を大きくすると形成されるリポソーム粒径は小さくなる。作製するリポソームの粒径分布をより狭い範囲に揃えるには、リポソーム分散液をポリカーボネート膜などのフィルターから押し出す方式で濾過してもよい。この場合、濾過膜として0.1〜0.4μの孔径のフィルターを装着したエクストルーダーに通すことにより、1枚膜の中心粒径と
して 100〜300nm以下である最適寸法のリポソームを効率よく調製することができる。押
出しろ過方法および適切な孔径の選択は、公知である技術、文献に基づく。たとえばBiochim. Biophys.Acta 557巻,9ページ(1979)に記載されている。このような「押出し(extrusion)」操作を取り入れることにより、上記サイジングに加えて、リポソーム外に存在する蛍光色素の濃度の調整、リポソーム分散液の交換、望ましくない物質の除去も併せて可能になるという利点もある。
上記のように受動的ターゲティング能力をリポソームに持たせるには、その粒径のサイジングが重要である。特2619037号公報には、粒径3000nm以上のリポソームを排除することにより、肺の毛細血管における不都合な保持が回避されると記載されている。しかし、150〜3000nmの粒径範囲のリポソームは、必ずしも向腫瘍性とはならない。
本発明の造影剤リポソームの中心粒径は、通常50〜300nm、好ましくは50〜200nm、より好ましくは50〜130nmである。近赤外蛍光撮像の目的に応じて、粒径を適切に設定するこ
とができる。たとえば腫瘍部分の選択的撮像目的の場合には、特に110〜130nmが好ましい。リポソームの粒径を100〜200nm、より好ましくは110〜130nmの範囲に揃えることにより癌組織へ選択的に蛍光造影剤を集中させることが可能となる。これは「EPR効果」として知られている。固形癌組織にある新生血管壁の孔は、正常組織の毛細血管壁窓(fenestra)の孔サイズ、30〜80nm未満に比べて異常に大きく、約100nm〜約200nmの大きさの分子でも血管壁から漏れ出る。すなわちEPR効果は、癌組織にある新生血管壁では、正常組織の微小血管壁より透過性が高いことによるものである。
血管壁の孔から漏れ出た造影剤は、癌細胞の周辺にはリンパ管が充分に発達していないため、血管に再び戻らずその場に長く留まる。EPR効果は、血流を利用する受動的な輸送であることから、それが有効に発現するための要件として、血中滞留性の向上が図られねばならない。つまり造影剤粒子(蛍光色素を内包するリポソーム粒子)が、血中に長くとどまって、癌細胞近くの血管を何度も通過することが求められる。本発明の蛍光造影剤は、特に大きい粒子でもないため、細網系内皮細胞による捕獲の対象になりにくい。またリポソームがいわば赤血球類似の姿と挙動をしていて腎臓を経由して速やかに排出されることはなく、さらにステルス(隠蔽)化されている場合には細網系内皮細胞に貪食されることもなく、血流中に比較的長くとどまる。EPR効果により、必然的に標的の臓器、組織への造影化合物の移行性が高まり、造影剤の癌組織への選択的集中と蓄積が達成される。造影物質の腫瘍細胞/正常細胞集積比の上昇は、蛍光造影剤のコントラスト性能を高める。このような腫瘍描出性の改善は、これまで検出困難であった微小転移性癌の発見すらも可能とする。
蛍光造影剤
本発明の蛍光造影剤は、蛍光色素、好ましくは近赤外蛍光色素を、マイクロキャリヤー、好ましくはターゲティング・マイクロキャリヤーに内包させたものを含有している。近赤外蛍光色素として、上記シアニン系化合物、ターゲティング・マイクロキャリヤーとして、リポソームが特に好ましい。特に上記シアニン系化合物は毒性が低く優れた水溶性を示し、生体組織中を透過できる近赤外領域の蛍光を放射するため、該化合物を造影物質として含有する造影剤は、腫瘍および/または血管の非侵襲的な造影を可能にする。
リポソームなどのターゲティング・マイクロキャリヤーに内包させる蛍光色素水溶液は、蛍光色素を注射用蒸留水、生理食塩水、リンゲル液などの溶媒に溶解して調製すること
ができる。前記水溶液には、そのほかの成分として製剤技術に基づく各種の製剤助剤が溶解していてもよい。「製剤助剤」として、製剤化に際し、蛍光色素とともに添加されるものであり、これまでの造影剤製造技術に基づいて各種の物質が使用される。具体的には生理学的に許容される各種の緩衝剤、キレート化剤、必要に応じて、浸透圧調節剤、安定化剤、粘度調節剤、抗酸化剤(たとえばα‐トコフェロール)、さらに必要であればパラオキシ安息香酸メチルといった保存剤などが挙げられる。緩衝剤としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、アミン系緩衝剤および炭酸塩系緩衝剤などが用いられる。好ましくは、水溶性アミン系緩衝剤およびキレート化剤をともに含める。キレート化剤として、製剤学的に使用が認められるEDTA、EDTANa2−Ca(エデト酸二ナトリウムカルシウム)、E
DTANa2、ヘキサメタリン酸などが挙げられる。好ましくは、EDTANa2−Caである。上記溶液の好ましいpH範囲は、室温で6.5〜8.5、さらに好ましくは6.8〜7.8である。水溶性近赤外蛍光色素の好ましい緩衝液は、米国特許第4278654号に記載されているような
負の温度係数を有する緩衝液である。アミン系緩衝液はこのような要求を満たす性質を有しており、特に好ましくはトリス(トロメタモール)である。このタイプの緩衝液は、オートクレーブ温度で低いpHを有し、このことがオートクレーブ中の蛍光造影剤の安定性を増し、他方、室温では生理的に許容されるpHに戻る。
本発明の造影剤は、投与後にリポソームが体内に安定に維持されるように、体内の浸透圧に対し、等張の溶液または懸濁液の形でリポソーム中に封入される。等張の溶液または懸濁液を得るには、等張液を提供する濃度で、造影剤を媒質中に溶解もしくは懸濁させる。等張の溶液が形成されるように他の非毒性の水溶性物質、たとえば塩化ナトリウムのごとき塩類、マンニトール、グルコース、ショ糖、ソルビトールなどの糖類を水性媒体中に添加してもよい。本発明造影剤は上記リポソームの膜内部の水相とそのリポソームが分散されている水性媒体との両方に、蛍光色素および製剤助剤を含有していてもよい。該膜内外で著しい浸透圧差は生じることはなく、これによりリポソームの構造安定性が維持される。
本発明のように蛍光色素をリポソームというマイクロキャリヤーに封入する場合には、蛍光色素の送達効率および保持安定性に加えて脂質の用量も考慮されねばならない。脂質量が多くなると造影剤の粘度が大きくなる。本発明の方法により製造される蛍光造影剤溶液の粘度は、37℃で、6cPa以下、好ましくは0.9〜3cPaである。
リポソーム内への蛍光色素の封入量については、リポソーム内に封入された水溶液中に蛍光色素が、リポソーム膜脂質重量に対して、1〜10、好ましくは3〜8、より好ましくは5〜8の重量比で含有されていることが望ましい。リポソーム内の水相へカプセル化された
蛍光色素の重量比が1未満であると、比較的多量の脂質を注入することが必要となり、結果的に蛍光色素の送達効率が悪くなる。本発明の蛍光造影剤の粘度は、リポソームの脂質量にも左右されるため、保持容積および内包効率に優れる一枚膜リポソームの優位性は明らかである。反対に、リポソーム膜脂質重量に対する蛍光色素の封入重量比が10を超えると、リポソームが構造的にも不安定となり、リポソーム膜外への蛍光色素の拡散、漏出は貯蔵中または生体内に注入された後でも避けられない。またリポソーム懸濁薬剤が製造され、単離した直後は100%の封入が達成されても、浸透圧効果による不安定化に基づいて
、早くも短時間に封入成分が減少していくことが記載されている(特表平9−505821号公報)。
以上より、特にターゲティング性および腫瘍描出性が良好である本発明の蛍光造影剤の好ましい実施態様の一例は、上記シアニン化合物を内包するリポソームの脂質膜表面にはポリアルキレンオキシド鎖またはポリエチレングリコール鎖が導入され、かつ、50〜200nmの中心粒径を有する該リポソームを含むことを特徴としている近赤外蛍光造影剤である
本発明の蛍光造影剤は、血管(静脈、動脈)内、経口内、腹腔内、皮下、皮内、膀胱内、気管(支)内などへ注射、点滴注入、噴霧もしくは塗布などの手段により生体内に投与することができる。本発明の蛍光造影剤の投与量は、最終的に診断する部位を検出できる量であれば特に限定されず、従来の蛍光色素造影剤に準じて、リポソーム内の蛍光色素総量、またはそれとリポソーム外の該蛍光色素総量の和が、従来の投与量と同程度になるようにしてもよい。たとえば使用する近赤外蛍光を発するシアニン系化合物の種類、投与される対象の年齢や身体の大きさおよび標的とする臓器などによって適宜増減できるが、通常、シアニン系化合物が0.1〜100mg/kg(体重)、好ましくは0.5〜20mg/kg(体重)と
なる範囲で投与される。近赤外蛍光色素含有量として、通常、想定される10〜300mLの製
剤溶液の投与量では、0.1〜500mg/mLであり、好ましくは、1〜300mg/mLである。
本発明の蛍光造影剤は動物用の造影剤としても好適に用いることができ、その投与形態、投与経路、投与量などは対象となる動物の体重や状態によって適宜選択する。
本発明による蛍光造影方法は、上記蛍光造影剤を用いることを特徴とする。その測定方法は当業者には公知の方法を用いて行われ、励起波長、検出のための蛍光波長などの最適な条件は、最高の解像能を獲得するために、投与する蛍光色素化合物の種類、投与する対象などに応じて適宜決定される。本発明の蛍光造影剤を測定対象体に投与してから、本発明の蛍光造影方法を用いて測定を開始するのに要する時間も、投与する蛍光造影剤の種類、投与する対象などによって異なるが、たとえば腫瘍や癌造影を目的として投与する場合には投与後10分〜6時間程度の経過時間を選択することが好ましい。経過時間が短すぎると全体に蛍光が散在して目的とする部位とそれ以外の部位との識別が困難であり、長すぎると当該造影剤が体外に排泄されてしまう。血管造影を目的とする場合には投与直後〜1時間の経過時間で測定することが好ましい。
本発明の蛍光造影剤を測定対象の体内に投与した後、励起光源により励起光を測定対象物へ照射し、該励起光により生じる蛍光造影剤(たとえばシアニン系化合物)からの蛍光を蛍光検出器で検出する。励起波長は、使用する蛍光色素によって異なり、該色素が効率よく蛍光を発すればとくに限定されない。近赤外蛍光色素に対しては、生体透過性に優れた近赤外光、通常600〜1000nm、より好ましくは700〜850nmの波長の励起光で励起し
、蛍光を高感度蛍光検出器にて検出することが望ましい。この場合、蛍光励起光源としては、各種レーザー光源、たとえば、イオンレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど、或いはハロゲン光源、キセノン光源などの通常の励起光源を使用してもよく、更に最適な励起波長を得るために各種光学フィルターを使用することができる。同様に、蛍光の検出に際しても、蛍光造影剤からの蛍光のみを選択する各種光学フィルターを通して、蛍光の検出感度を高めることができる。
本発明の近赤外造影剤は、ある濃度を超えると腫瘍組織に集積し、ある濃度以下になると体外に排出されやすくなる性質を有している。その特性を利用して腫瘍組織を、選択的に、しかも特異的に造影することを可能とする蛍光造影剤として使用できる。また、本発明の化合物は、血管内に一旦注入されると血管壁外に拡散しにくく、血管内に留まる性質が高く、血管造影剤としても使用できる。
[実施例]
以下に本発明をより詳細に説明するために実施例および実験例を示すが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
近赤外蛍光造影剤溶液の調製
近赤外造影用蛍光色素として、以下の4種類を用意し、それぞれの濃度が0.5mg/mlとなるように各色素、50mgにリン酸緩衝液(PBS,pH7.4)を加えて100mlとした。得られた近赤外造影剤溶液をNo.1〜4とした。
近赤外造影剤溶液No.1:インドシアニングリーン
近赤外造影剤溶液No.2:特開2000-95758号の実施例に使用されたNo.29の色素
近赤外造影剤溶液No.3:特開2003-261464号の実施例に使用されたNo.7の色素
近赤外造影剤溶液No.4:前記一般式(I)で表される例示化合物(11)
なお、使用したリン酸緩衝液(PBS)は、以下の組成を有する(注射用水により最終1リットル(L)に仕上げた。)。
NaCl:8g、 Na2HPO4・12H2O:2.9g、 KCl:0.2g、 KH2PO4:0.2g
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)86mgと、コレステロール38.4mgをエタノール0.7mlに溶解し、60℃に加熱したステンレス製の特製圧力容器に仕込み、蓋をした。
その後、圧力容器内をマグネティックスターラーで撹拌しながら、液化二酸化炭素13gを
注入した。50kg/cm2であった容器内圧力を、圧力容器の体積を減じることにより、圧力容器内を120kg/cm2まで上げ、二酸化炭素を超臨界状態にした。その後、上記近赤外造影剤
溶液No.1を10ml、HPLCの送液ポンプを利用して、0.1ml/minの流速で圧力容器内に注入した。注入終了後、圧力容器内の二酸化炭素を約20分間かけて徐々に抜き、常圧にした後、中の溶液を取り出した。
得られた溶液を透析膜に入れて、PBS、1Lにて3回透析を行った後、限外濾過膜を用いて濃縮し、リポソーム化した近赤外造影剤溶液No.5を得た。この造影剤溶液No.5の一部を取り出し、エタノールを加えてリポソーム構造を破壊し、分光吸収を測定したところ、インドシアニングリーンを0.6mg/ml含有することがわかった。
水素添加大豆リン脂質(日本油脂株式会社製COATSOME NC-21)86mgと、コレステロール38.4mgおよびPEG化脂質(日本油脂株式会社製、 SUNBRIGHT DSPE-020CN)19.2mgをエタノール0.7mlに溶解し、75℃に加熱したステンレス製の特製圧力容器に仕込み、蓋をした。
その後、圧力容器内をマグネティックスターラーで撹拌しながら、液化二酸化炭素13gを
注入した。50kg/cm2であった容器内圧力を、圧力容器の体積を減じることにより、圧力容器内を120kg/cm2まで上げ、二酸化炭素を超臨界状態にした。その後、上記近赤外造影剤
溶液No.1を10ml、HPLCの送液ポンプを利用して、0.1ml/minの流速で圧力容器内に注入した。注入終了後、圧力容器内の二酸化炭素を約20分間かけて徐々に抜き、常圧にした後、中の溶液を取り出した。
得られた溶液を透析膜に入れて、PBS 1Lにて、3回透析を行った後、限外濾過膜を用いて濃縮し、リポソーム化した近赤外造影剤溶液No.6を得た。この造影剤溶液No.6の一部を取り出し、エタノールを加えてリポソーム構造を破壊し、分光吸収を測定したところ、インドシアニングリーンを0.8mg/ml含有することがわかった。
近赤外造影剤溶液No.6と同様にして、上記近赤外造影剤溶液No.2〜4をリポソーム化し、それぞれ近赤外造影剤溶液No.7〜9とした。
乳癌発癌モデルマウスの作成
老化促進マウス、いわゆるSAM系の1系統であるSAMP6/Ta系マウスに乳癌を発症させる
ために発癌物質、7,12−ジメチルベンズ[a]アントラセン(DMBA)を投与した。マウスの発癌方法は、特開2003-033125号の記載に準じて行った。SAMP6/Ta系マウス各20匹に、DMBAを0.5mg/マウス/週で計6回投与した。飼料として、高タンパク質高カロリーのCA-1固形
(日本クレア社製)を与えた。当該発癌物質の第6回目投与をした後、第1回目投与から起算して第20週までを休薬期間とした。乳癌および乳癌の肺転移を病理組織学的に検索した。
このようにしてDMBAを1週間間隔で6回投与し、その後、投与開始から第20週目までを休薬して、乳癌を発生させたマウス(乳癌発生率として75%)を用いて、乳癌発癌モデルマウスを作成した。上記の乳癌マウスの腫瘍組織断片(2mm×2mm角片)をBALB/cヌード
マウス(5週齢、クレアジャパン社から供給)の左胸部の乳房部皮下に移植した。10日後、腫瘍が約5mmに成長した時点のマウスを、下記造影試験に供した。
蛍光造影試験および安定性試験
上記の乳癌発癌モデルマウスに、その尾静脈から、近赤外造影剤溶液No.1〜9をそれ
ぞれ1.0mg/kg用量となるように投与した。試験造影剤溶液の投与後、一定時間ごとにマウスをジエチルエーテルで麻酔し、マウス全身の蛍光画像を撮影した。
蛍光造影試験において、蛍光励起光源としてチタン・サファイアレーザーを使用した。照射の分散が2%以内になるようにリングタイプの光ガイド(住田光学グラス社)を用いて、試験用マウスにレーザー光を均一に照射した。照射出力はマウスの皮膚表面付近で約36μW/cm2になるように調整した。蛍光は各化合物の最大励起波長で励起させ、マウスか
らの蛍光放射をCCDカメラ(C4880,浜松フォトニクス社)を用いて、入射光の反射を短波長カットフィルターでカットして検出および造影した。カットフィルターは、化合物の励起波長(800〜900nm)に適合するように選択した。また、照射時間は各化合物の蛍光強度によって調整した。
近赤外造影剤溶液の投与の12分後に、マウスをジエチルエーテルで麻酔し、マウス全身の蛍光イメージを造影した。センサーは蛍光光度計(日本分光FP-750)のフォトダイオード(波長範囲220〜730nm)を使用した。
蛍光相対感度は、近赤外造影剤溶液2の投与、12分後の腫瘍部の蛍光強度を100とした
場合の各近赤外造影剤による腫瘍部蛍光強度で表した。蛍光強度の測定は、さらに投与後、1時間後、6時間後、12時間、24時間後に行った。
近赤外蛍光造影剤溶液の安定性試験は、試料1mlを暗所で40℃の保存温度で2週間放置し、析出、沈殿物の有無を確認した。析出または沈殿物が全くないレベルを◎、僅かにヘイズがかって見られるが、撹拌により消失してしまうレベルを○、ヘイズがかっているが、撹拌では消失しないレベルを△、析出してしまうレベルを×として評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2005220045

Claims (13)

  1. マイクロキャリヤーに内包されている蛍光色素を含むことを特徴とする蛍光造影剤。
  2. 蛍光色素が近赤外蛍光色素であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光造影剤。
  3. マイクロキャリヤーがリポソームであることを特徴とする請求項1の蛍光造影剤。
  4. 前記リポソームが、超臨界二酸化炭素法により作製されたリポソームであることを特徴とする請求項3に記載の蛍光造影剤。
  5. 前記リポソームは、その脂質膜表面にポリアルキレンオキシド鎖またはポリエチレングリコール鎖が導入され、かつ、50〜200nmの中心粒径を有することを特徴とする請求項3
    または4に記載の蛍光造影剤。
  6. 前記近赤外蛍光色素がシアニン系近赤外蛍光色素であることを特徴とする請求項2に記載の蛍光造影剤。
  7. 前記シアニン系近赤外蛍光色素は、インドシアニングリーンまたはその誘導体であることを特徴とする請求項6に記載の蛍光造影剤。
  8. 前記シアニン系近赤外蛍光色素が、次の一般式(I)で表される化合物であることを特
    徴とする請求項6に記載の蛍光造影剤;
    Figure 2005220045
    [式中、Rは水素原子、低級アルキル基または芳香族基を表し、
    1およびR2は各々同一でも異なっていてもよく、水溶化基で置換されている脂肪族基を表し、
    3およびR4は、各々が同一でも異なっていてもよく、低級アルキル基または芳香族基を示し、あるいはR3とR4とが結合して炭素環を形成してもよく、nが1もしくは2である場合には、L6と、R3またはR4とが結合して炭素環を形成してもよく、nが0の場合
    には、L4と、R3またはR4とが結合して炭素環を形成してもよい非金属原子群を表す。
    1〜L6は各々、同一または異なるメチン基を表す。
    1およびZ2は同一でも異なっていてもよく、複素5員環に結合して5員または6員の縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
    Xは分子の電荷を中和するに必要な対イオンを表し、pは分子全体の電荷を中和するに必要なXの数を表す。
    mは2〜4の整数を表し、nは0〜2の整数を表す。]。
  9. 前記一般式(I)における水溶化基がスルホン酸基である請求項8に記載の蛍光造影剤。
  10. 前記シアニン系近赤外蛍光色素が、次の一般式(II)で表され、分子内に少なくとも2個の水溶化基を有する請求項8に記載の蛍光造影剤:
    Figure 2005220045
    [式中、J1およびJ2は各々同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜5であるアルキレン基を表し、R、R3、R4、L1〜L6、Z1、Z2、m、n、pおよびXは一般式(I)における定義に同じである。]。
  11. 前記シアニン系系近赤外蛍光色素の分子内スルホン酸基の数が少なくとも4個である請求項8〜10のいずれかに記載の蛍光造影剤。
  12. 前記シアニン系近赤外蛍光色素が、次の一般式(III)で表される、請求項10に記載
    の蛍光造影剤:
    Figure 2005220045
    [式中、R5、R6は各々、水溶化基で置換されている炭素原子数が3〜5であるスルホアルキル基を表し、R、R3、R4、L1〜L7、m、n、pおよびXは、前記一般式(I)における定義に同じであり、R10〜R17は各々同一でも異なっていてもよく、水素原子またはπ値が0.3より小さな置換基を表す。該π値は、下記式;
    π=logP(PhX)−logP(PhH)
    (式中、Pは化合物のオクタノール/水に対する分配係数を意味し、logP(PhX)は置換基Xを有するベンゼン(PhX)のlogP値を示し、logP(PhH)はベンゼン(PhH)のlogP値を示す。)
    で表される。]。
  13. 請求項2〜12のいずれかに記載の蛍光造影剤を生体内に導入する工程、該生体に励起光を照射する工程、ならびに該蛍光造影剤からの近赤外蛍光を検出する工程を含む蛍光造影方法。
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