図1は、本発明の実施の形態の1つにおける写真自動販売機の外観の具体例を示す図である。
本実施の形態における写真自動販売機は、利用者の選択した背景の色や模様に合うように設定が変更され、簡単に統一感のある写真プリントを提供することができるものである。
写真自動販売機は、筐体1を含んで構成され、筐体1に対して大きくわけて、撮影操作を行なう側の面と、撮影後の画像にいわゆるお絵描きや落書きと言われる、タッチペンによる画像やテキストなどの入力である編集操作を行なう側の面とを対にして備えておいる。
筐体1は、コンピュータ装置101、プリンタ12、および制御部102(基板)などの各種機器類を収める。これらの詳細は、後に図4を用いて説明される。
また、写真自動販売機には、筐体1の他に、筐体1の撮影操作を行なう側の面と共に撮影空間3を形成するパネルとフレーム材とが含まれる。これらで形成される撮影空間3内には、被写体であるユーザ6の背後に、撮影時の背景を形成する背景装置5が配備される。背景装置5については後に詳細を説明する。
また、筐体1の編集操作を行なう側に面して編集空間4が形成され、編集空間4の周囲には周囲と編集空間4とを区分するカーテン(不図示)が備えられていてもよい。
かかる写真自動販売機を用いる際、被写体であるユーザ6は筐体1の撮影操作側の撮影空間3に入り、筐体1に相対する向きで撮影を行なう。そして、撮影の後、編集操作側の編集空間4に入り、撮影した画像に、いわゆるお絵描きと呼ばれるスタンプ画像やテキストなどをペン入力する操作を筐体1に相対する向きで行なう。なお、以降の説明において、便宜上、筐体1の撮影操作側の面を正面とし、編集操作側の面を背面とする。
図2に、かかる写真自動販売機の正面である撮影操作側から見た斜視図を示す。
図2を参照して、筐体1の正面には、被写体を撮像するためのカメラ21と、カメラ21から撮像される映像をリアルタイムで表示してユーザに撮像される映像を視覚確認させるためのライブモニタ22と、BGM、操作方法などのアナウンスを出力するスピーカ23a、23b(不図示)と、デモ画面や撮影中の操作手順などを表示するディスプレイ24と、対価である硬貨を投入するためのコイン投入口26と、前面のメンテナンスなどを行なうためのフロントドア28と、ユーザ6からの操作を受付ける操作部51とが備えられる。
カメラ21は、一般的にデジタルカメラが用いられる。一般的なデジタルカメラで設定できる項目(たとえばシャッタースピード、絞り値、露出補正、ホワイトバランスなど)の変更や、撮影タイミングは、コンピュータ装置101から指示される。
カメラ21の周囲には、蛍光灯やフラッシュなどを内蔵し、被写体の照明を行なうための照明ボックス18が備えられている。
さらに、筐体1には、筐体1の内部の熱を逃がすためのファンや、外部装置への画像の配信、リモートメンテナンスなどの、外部装置との通信を行なうときにケーブルを差込むためのLAN(LocalAreaNetwork)ケーブル差込口などが備えられていることが好ましい。
また、撮影空間3内に配備される背景装置5には、図示されない様々な色や柄の背景カーテンが含まれ、それらを用いて撮影時の背景を形成する。背景カーテンは、巻き上げ式、引き出し式など、ユーザ6の手動操作によりセットされてもよいし、操作部51を操作することで自動的にセットされてもよい。
さらに、ユーザ6が撮影空間3内に出入りできるように本装置の側面は開放されているが、利用者のプライバシーに配慮するため、または外部光を遮断するためなどの目的で、周囲と撮影空間3とを区分するサイドカーテン(不図示)が備えらえてもよい。
同様に、図3に、かかる写真自動販売機を背面である編集操作側から見た斜視図を示す。
図3を参照して、筐体1の背面には、撮影により得られた画像を表示して画像の編集を受付ける1つまたは複数のタブレットディスプレイ13と、画像入力を行なうための1つまたは複数のタッチペン14と、ユーザに対し音楽や操作方法の説明などを音声で出力するスピーカ23c(不図示)とが備えられる。
また、プリント取出口9付近には、印刷LED(LightEmittingDiode)10および印刷エラーLED11が備えられる。それらが点灯あるいは点滅することによって、印刷中、あるいは印刷中に用紙切れ、インク切れ、用紙詰り、メカニカルエラーなどのエラーが発生していることが通知される。
次に、かかる写真自動販売機の機能構成の具体例を図4のブロック図で示す。
図4を参照して、本実施の形態にかかる写真自動販売機は、本写真自動販売機を動作させるためのコンピュータ装置101と、基板から構成され、動作中のコンピュータ装置101からの指示を受付けて、接続されている各種装置を制御する制御部102とを備える。
コンピュータ装置101は、コンピュータ装置101の制御を行なう演算装置であるCPU(CentralProcessingUnit)と、装置を動作させるためのプログラムおよびプログラムで必要なグラフィックデータ、音声データ、撮影された画像や撮影画像に対して入力した編集画像その他の各種画像などを記憶する記憶装置と、プログラムの一時的な作業領域ともなるメモリと、カメラ21、プリンタ12、タブレットディスプレイ13などの周辺機器を制御するためのソフトウェアであるドライバと、LANケーブルを介して外部機器と接続された場合に通信を行なう通信部とを含む。
なお、コンピュータ装置101は、電源スイッチ29が押され、本装置に電源プラグより電源が投入されると、上記プログラムが起動されて、接続されるカメラ21のシャッタタイミングや、ライブモニタ22およびディスプレイ24での表示や、プリンタ12での出力や、タブレットディスプレイ13での表示を制御する。
また、コンピュータ装置101は、上記プログラムの実行や、タブレットディスプレイ13から受信した、タッチペン14でタッチされる入力操作にしたがった指示信号に基づいて、制御部102に対して制御信号を送信する。
プリンタ12は、撮影された画像を紙やシールや金属やプラスチックなどの印刷媒体65に印刷するためのプリンタであって、昇華型プリンタやサーモオートクローム方式(光定着型直接感熱記録方式)等のプリンタが一般的に用いられる。なお、写真自動販売機は、プリンタ12でシールが印刷されるものとして説明を行なうが、印刷媒体はシールに限定されず、他の印刷媒体であっても同様の処理が実行される。プリンタ12は、上述の用紙切れなどの状態をコンピュータ装置101に通知する。コンピュータ装置101は、その状態に応じて制御部102に制御信号を送信する。
また、本写真自動販売機は、電源を必要とするライブモニタ22、スピーカ23、および照明装置30などの電源系統を制御する電源制御部103を備え、外部からそれらの装置に対する電源の電圧を安定させるよう制御する。さらに、そのような電源の投入および切断は、電源スイッチ29を押すことで行なわれる。しかし、電源切断によりコンピュータ装置101で動作しているプログラムを強制的に終了させることは、動作を不安定にさせる原因となる。そのため、電源が落とされても、しばらくはUPS(Uninterrupted Power Supply)104が電源をバックアップし、コンピュータ装置101に停電信号を送信する。その間に、コンピュータ装置101はプログラムの終了の手続を行ない、プログラムを正常に終了させる。一方、コンピュータ装置101を正規の手順で終了した場合は、その旨の信号がUPSに送信される。
制御部102は、コンピュータ装置101および電源制御部103の他に、操作部51、サービスパネル105、コイン制御部107、印刷中LED10、および印刷エラーLED11に接続される。
サービスパネル105は、投入されたコインの枚数をカウントするコインカウンタ、印刷されたプリントの枚数をカウントするプリントカウンタ、スピーカ23から出力する音声のボリュームを調整する音量調整つまみ、テストモードを行なうためのテストボタン、コインを投入しなくても装置が利用できるようにするためのサービスボタン等を備えるパネルであって、当該写真自動販売機の設置者が各種設定やメンテナンスの操作を行なう際に用いられる。サービスパネル105は。サービスボタンの操作などの制御操作が行なわれると、その操作にしたがった制御信号を制御部102に対して送信する。
制御部102は、コンピュータ装置101から受信した制御信号(指示コマンドなど)にしたがって、サービスパネル105に対して制御信号を送信する。サービスパネル105は、該制御信号に従って、コインカウンタやプリントカウンタを動作させる(例えばカウンタを1インクリメントする)。
操作部51も同様に、利用者からの指示操作を受付けて、その操作にしたがった入力信号を制御部102に対して送信する。制御部102を介して入力信号を受信したコンピュータ装置101では、操作内容に応じた処理が行なわれる。
コイン制御部107は、コイン投入口26に投入されたコインの正当性を検出し、制御部102にコインが投入されたことを示す検出信号を送信する。
制御部102はコンピュータ装置101から受信した制御信号(指示コマンドなど)にしたがって、コイン制御部107に対して制御信号を送信する。コイン制御部107は、該制御信号にしたがって、コインが投入されないようにコイン投入口26をブロックすることができる。このことで、例えば、プレイ中にコイン投入を禁止することができる。
さらに、制御部102は、コンピュータ装置101から、プリンタ12の状態に応じた制御信号を受信し、該制御信号にしたがって、印刷中LED10および印刷エラーLED11を制御する。かかる制御信号によって、印刷中LED10または印刷エラーLED11が点灯または点滅する。
フラッシュ制御部61はカメラ21に接続されて、カメラ21におけるシャッタタイミングに応じた同期信号を取得する。そして、カメラ21のシャッタタイミングに同期させて、フラッシュ63を発光させるように制御する。なお、フラッシュ制御部61は制御部102と接続されて、その発光度合いなどの設定がなされてもよい。照明装置30も同様に、制御部102と接続されて、その照明度合いなどの設定がなされてもよい。
次に、背景装置5の構成について説明する。
背景装置5は、撮影空間3内に撮影時にユーザ6の背面となる部分に配備され、ユーザ6の背後に背景画像が表わされる表示媒体である背景媒体を設置することで、撮影時の背景を形成する。背景媒体は、巻き上げ式、引き出し式など、ユーザ6の手動操作によりセットされてもよいし、操作部51を操作することで自動的にセットされてもよい。
背景媒体は、布、ビニール、スクリーン、パネルなどの素材に、単色あるいは複数色からなる色彩、グラデーション、質感、および/または絵画や写真などが施されている。また、クロマキー合成を行う場合などは、背景媒体のクロマキー合成用の該当背景画像の色は単色(例えば青色)で施す。また、背景装置5が電動の巻取り式で動作する場合は、背景媒体は曲折、巻取、あるいは折りたたみ可能な素材であることが好ましい。
背景媒体の移動は、電動でモータを駆動させることによって巻取り繰出し動作させたり、輪転させたりして行なわれるものとするが、これに限定されるものではなく、ユーザ6がハンドルを回す、背景媒体を直接引く、などの手動で行なわれても構わない。
図5および6は、背景装置5の一例を説明するための図である。
ここでは、背景媒体42は背景装置5の上下方向に固定されて、その移動方向は上下方向であるものとする。
図5および6を参照して、背景装置5は、複数の背景画像が表わされる背景媒体42と、背景媒体42を巻取る装置である巻取装置48a,48b(これらを代表させて巻取装置48という)とモータ43a,43bとを含んで構成され、背景媒体42は、巻取装置48で背景装置5に固定される。
上側の巻取装置48aは、背景媒体42を上方向に巻取り、巻取った背景媒体42を収納する。このとき下側の巻取装置48bは背景媒体42を上方向に繰出す。この動作によって、背景媒体42は上方向に移動する。逆に、下側の巻取装置48bは下方向に背景媒体42を巻取り、巻取った背景媒体42を収納する。このとき上側の巻取装置48aは背景媒体42を下方向に繰出す。この動作によって、背景媒体42は下方向に移動する。
さらに、図5および6を参照して、背景装置5が電動の巻取り式で動作する場合は、背景媒体42は、選択可能な複数の領域区分を含み、各領域区分ごとにフォトセンサ45(図示せず)で位置検出するためのサイン46を含むことが好ましい。フォトセンサ45(図示せず)は、背景媒体42の領域区分ごとに記されたサイン46を読取り、検出信号をコンピュータ装置101に出力する。コンピュータ装置101は、フォトセンサ45から入力される検出信号に基づいて、背景媒体42のスクロールを停止させるよう巻取装置48a,48bを制御したり、背景媒体42の終端を認識して背景媒体42のスクロール方向が変わるように巻取装置48a,48bを制御したりすることができる。
このようにして、ユーザが選択した背景の位置決めができ、ユーザ所望の背景画像を撮影時の背景とすることができる。
なお、背景媒体42は左右方向に巻取装置48に支持されて、その移動方向は左右方向であってもよい。この場合、背景装置5は、背景媒体42を支持し、巻取る巻取装置48を背景装置5の左右の両端に備え、左右方向に背景媒体42に移動させる。巻取装置48は必要に応じて背景媒体42を巻取りおよび繰出しし、背景媒体42を左方向または右方向に駆動させる。
さらに、背景装置5は上述の形態に限定されるものではなく、エンドレスベルト状(環状)に構成された背景媒体42と、背景装置5の上下の両端で背景媒体42を支持し、輪転させる、回転する支持部47とを含んで構成し、背景媒体42を上下方向に移動するような形態でも構わない。
なお、背景装置5が、電動で背景媒体42を移動させる場合、ユーザ6が直接背景媒体42に触れることがないように、背景装置5は、撮影方向より見て最前面、すなわちユーザ6に最も近い位置に保護板40を備えることが好ましい。
なお、言うまでもなく、写真自動販売機の形態は図1〜図6に示される具体例に限定されるものではない。すなわち、図1〜図6に記載されない他の機能が備えられていてもよいし、図1〜図6に記載されている機能の必ずしも全てが備えられていなくても構わない。たとえば、プリンタ12は写真自動販売機本体に含まれていなくてもよく、その場合、写真自動販売機は、LAN等の専用回線や無線通信等を介して印刷制御信号をプリンタ12に出力するものとする。
次に、本実施の形態にかかる写真自動販売機での処理について図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートに示される処理は、コンピュータ装置101のCPUが、記憶装置に記憶されるプログラムをメモリに読出して実行することによって実現される。
まず、当該写真自動販売機に備わる電源スイッチ29が投入されると、各種装置の電源が投入される。すると、コンピュータ装置101の記憶装置に格納された動作プログラムが起動する。コンピュータ装置101は、各種装置が正常に接続されているかチェックし、初期化が必要な装置に対しては初期化を行なう。その後、当該写真自動販売機の利用を促すタイトルデモをディスプレイ24に表示し、同時に音声をスピーカ23a,23bから出力する(S100)。
タイトルデモが表示されている状態で、コイン投入口26において、当該写真自動販売機を利用するためのコインの投入を受付ける(S115)。なお、上述のコインの受付けに代えて、タイトルデモ表示中にテストボタンを押下することによって(S105)、当該写真自動販売機のメンテナンスを行なうためのテストモードが起動する(S110)。
テストモードは、写真自動販売機の設置者が写真自動販売機を操作するためのモードであり、このモードにおいては当該写真自動販売機の利用状況(たとえばコイン投入数など)の確認や、カメラ21、プリンタ12など周辺機器の調整ができる。
ここで写真自動販売機の設置者とは、当該写真自動販売機を設置し営業を行なっている店舗などの経営者、管理者、および従業員であり、営業中に、利用者に対応できるものである。
ステップS115で受付けたコインは、コイン制御部107において正当性や枚数等が検知される。そして、正常にコインを受付けるとプレイが開始される。
まず、当該写真自動販売機における処理(プレイ)は、撮影から始まる。はじめに、カメラ21が取得する画像を、ライブモニタ22にリアルタイムに表示する。ユーザ6は、ライブモニタ22に表示される画像を見ながら、好みの表情やポーズをとることができる。なお、ここではカメラ21が取得した画像をそのままライブモニタ22に表示してもかまわないし、左右に反転処理して表示してもかまわない。左右に反転処理して表示した場合、ユーザ6の姿を鏡に写す方向と同じ方向でライブモニタ22に表示することができる。そのため、ユーザ6は、ライブモニタ22を見ながら好みの表情やポーズをとることが容易になる。
ユーザは、撮影時の背景となる背景媒体42の選択を行なう。写真自動販売機では、撮影に先だってディスプレイ24に、図8に示すような背景選択画面を表示して背景媒体42に施される模様または色彩を各々提示し、操作部51で背景画像選択操作を受付ける(S120)。
CPUは、背景画像の選択操作を受付けると、選択された背景画像が被写体の背景となるように制御部102に信号を送信し、制御部102は、選択した背景画像が被写体の背景となるよう巻取装置48a,48bを制御する。さらに、背景画像に対応して、照明、カメラ設定などを変更し(S125)、撮影を開始する(S130)。
またここでは、背景画像の選択だけでなく、ディスプレイ24に表示される操作画面およびスピーカ23a,23bから流れる音声に従って、カメラ21を好みの位置に移動させたり、カメラ21を回転、または向きを調整したりすることができる。これらの指示は、操作部51などで受付ける。さらに、カメラ21の近傍などにカメラ21の向きやズーム等の指示を行なうボタンなどが備えられる場合には、それによってカメラ21の向きやズーム等の指示を受付ける。そして、受付けた撮影モードや背景媒体42などで撮影が行なわれる。
ここで図8を用いて、ユーザ所望の背景媒体42の色彩や柄を選択する処理について説明する。
まず背景に用いられる模様としてたとえばチェック柄や水玉や様々な色彩を各々ディスプレイ24に提示する。ユーザ6が操作部51の操作によって所望する模様を選択することで、その模様の施される背景媒体42を背景として用いるか否かを設定する。
制御部102は、操作部51から背景画像の選択を受付けると、そのボタン信号に基づいて選択された模様が施されている背景画像を選定して、背景媒体42の該当する領域区分を被写体の背景として設置するように巻取装置48a,48bを制御する。あるいは選択されていない色、柄が施されている背景媒体42を収納するように巻取装置48a,48bを制御してもよい。
また、CPUは、背景画像がユーザによって選択されると、選択された背景画像の識別子をメモリまたは記憶装置に保持するよう指示する。CPUは、選択された背景画像の識別子を判別して、各々の処理において、各種構成要素の設定を行なう。背景媒体42の設定は予め設定されている所定時間内に行なうものであって、所定時間内に行なわれない場合、または選択操作が行なわれない場合には、デフォルトとしてたとえば模様なしなどに自動的に設定されるものとする。
制御部102は、操作部51から背景の色、柄の選択のボタン信号を受付けると、そのボタン信号に基づいて該当する背景媒体42の領域区分を所定の位置に設置するために、巻取装置48a,48bに巻取りまたは繰出し動作をさせるための指示信号を出力し、所定の距離だけ背景媒体42をスクロールさせる。
その際、制御部102はフォトセンサ45から入力される検出信号を参照して、ボタン信号に対応した所定の数だけサイン46が通過するよう巻取装置48a,48bに巻取りまたは繰出し動作をさせるよう制御することが好ましい。または、ボタン信号を受付けている間中、つまり操作部51が押されている時間中、巻取装置48a,48bを制御して背景媒体42をスクロールさせ、ユーザ6の好みの位置で背景媒体の移動を停止させることができるようにすることも好ましい。
また、本実施の形態において、背景媒体42の所定の色や柄を選択すると、本装置の各種構成要素の設定が変更される。
各種構成要素とは、照明の光量、照明の色、照明の角度や、カメラの絞り設定、画質処理設定、撮影時のナレーション、編集時の編集ツールの種類や表示方法などであるが、これに限定するものではなく、できあがりの写真が、背景画像と調和しており、統一感が感じられるできあがり写真が得られるような設定変更がなされれば構わない。
撮影は、時間経過とともに「3、2、1」などのカウントダウンをディスプレイ24あるいはスピーカ23a,23bに出力して自動で行なうことができる。また、カメラ21の近傍に設けられた撮影ボタン(図示せず)を押下することで行なってもよい。
撮影は、コンピュータ装置101からカメラ21に撮影信号が送信されることでシャッタが切られ、実行される。ステップS130では、このような撮影を所定回数繰返し行なう(S135)。
撮影が終了すると、ユーザ6に対して、編集空間4へ移動するように促す案内がディスプレイ24に表示される。案内に従って、ユーザ6は編集空間4へ移動する。そして、以降のユーザ6の操作は、編集空間4で行なわれる。
次に、撮影した画像をタブレットディスプレイ13に全て表示し、その中からユーザ6が気に入った画像をタッチペン14のタッチによって受付ける(S140)。
ユーザ6からの選択を受付けると、選択された画像をタブレットディスプレイ13に表示する。そして、さらに図9に示すように、撮影画像自体の明るさ調整(ハイキー調整)、回転などの画像処理を行なう画面が表示され、ユーザ6の好みにより撮影した画像を調整または加工することができる(S145)。
このとき、選択した背景画像の色調に応じて、明るさ調整(ハイキー調整)の調整しうる段階を制御することが好ましい。すなわち、背景画像が明るい色調のものほど、過剰に明るくしすぎないように、明るさ調整で選択しうる段階を少なくする。より具体的には、図9を参照して、背景画像が黒色などの暗い色調の場合は、明るさ調整が5段階、背景画像が白色、ピンク色などの明るい色調の場合は、明るさ調整が3段階になっている。このようにすることで、元々明るい色調の背景画像の色を飛ばしすぎないようにすることができる。また、明るさ調整において、背景の明るさを変更させず、被写体部分のみ明るさ調整をするようにしてもよい。
次に、選択された撮影画像に対して、ユーザ6からタッチペン14により編集入力を受付ける(S150)。
編集入力中、タブレットディスプレイ13に、編集入力対象とするキープ画像を切換えるためのボタンや、各画像を切換えて編集を行なうための編集ツールである「フレーム」「ライン」「スタンプ」「ペン」、編集入力した画像を消すための「けしごむ」、入力操作を1つ前の状態に戻すための「ひとつもどる」、編集用画像入力を最初からやり直すための「はじめから」、などのボタンを表示する。ユーザ6は、これらのボタンをタッチペン14で押すことで使用するツールを選択する。
ユーザは、色、柄などを選択した後、表示された画像上で編集入力を行なう。編集中には、撮影された画像と編集入力された画像とをそれぞれ別の画層(レイヤ)に展開し、タブレットディスプレイ13上にそれら画層を重ねて表示する。それぞれの画層のどちらを上に表示するかは、用途により設定されている。例えば、編集入力された画像を撮影された画像の前景画像とする場合には、編集入力された画像が上の画層となる。
さらに編集入力された画像は、スタンプ画像の層、フレーム画像の層など、それぞれ複数の画層で構成されていてもよい。
本実施の形態において、編集入力するための編集ツール(フレーム、スタンプ、ペンなど)は、前述の撮影時のユーザ6が選択した背景媒体42の状態に対応して変更される。より詳しくは、入力するペン画像の色、ペン画像の柄、ペン画像の形状、スタンプ画像の色または模様、フレーム画像の色または模様の少なくとも1つなどが、背景媒体の状態に応じて変更される。背景媒体の状態とは、背景の色、柄、質感などである。
具体的には、図10(A)を参照して、ピンク色の背景にはピンク色に調和する色や形状の編集ツール(フレーム「A」〜「D」、スタンプ「a」〜「d」、ペン「あ」〜「え」)が用意される。図10(B)を参照して、チェック柄の背景にはチェック柄に調和する色や形状の編集ツール(フレーム「E」〜「H」、スタンプ「e」〜「h」、ペン「お」〜「く」)が用意される。背景画像と編集ツールが同色であると、編集ツールが背景に同化してしまい視認できにくくなる。編集ツールは背景色と同化しないものが用意される。
背景画像に対応した編集ツールは、画面上に優先的に表示されるようにする。図11(A)を参照して、画面上にペン、スタンプなど各カテゴリを一括で一覧表示して、背景画像に対応した編集ツールの一覧をデフォルトの画面として表示してもよい。すなわち、画面上の編集ツール選択画面に「イチ押し」のタブを用意し、初期画面ではそのタブが選択されるようにし、背景画像に対応した編集ツールの一覧がカテゴリ毎に表示される。
また、図11(B)を参照して、画面上にペン、スタンプなど各カテゴリ毎に背景画像に対応している編集ツールを、画面の上部、またはデフォルトで表示される画面、または目立つ箇所に優先的に表示してもよい。すなわち、タブにより「ペン」、「スタンプ」などの編集ツールが選択されると、背景画像に対応したその編集ツールが画面上に表示される。
背景画像に対応した編集ツールは、優先的に表示されるだけでなく、図12を参照して、背景に対応した編集ツールのみが表示されるようにしてもよい。また、一般の編集ツールに追加的に表示されるようにしてもよい。また、いろいろな編集ツールを利用しているうちに、背景に対応した編集ツールがどこにあるのかわからなくなってしまったときのために、「おすすめ」ボタンを設定しておき、該「おすすめ」ボタンが選択されると、背景に対応した編集ツールが優先表示されるようにしておくとよい。
より具体的に、利用者がピンク色の背景画像を選択した場合の処理について説明する。
利用者がピンク色の背景を選択すると、照明の光量はピンク色が美しく撮影できるような光量に設定変更される。また、ピンク色はかわいい女の子らしいイメージがあるので、撮影時のナレーションで、ポーズも女の子らしいイメージで撮影するように誘導させたりしてもよい。画像処理もピンク色が映えるような画質処理を施し、トータルでバランスのよい、画質処理を行なう。
さらに、図11を参照して、編集時の編集ツールも、ハートや花などのかわいらしいスタンプや、ペンの色などもピンクに映える色を表示させるようにする。この表示は、図11に示すように、背景に調和した編集ツールを優先表示してもよいし、図12に示すように、背景に調和した編集ツールのみを表示してもよい。もちろん、背景に調和した編集ツールを追加的に表示してもよい。但し、追加的に表示する場合、背景に調和した編集ツールであることがわかるような表示も共にしておくことが好ましい。さらに、ピンク色でイメージできる要素を最大限編集ツールに盛り込むことが望ましい。
このようにすることにより、ユーザは背景に調和した編集をすることが簡単に可能になり、更に編集ツールを選択する際に背景の色を意識しなくても、自然に統一感のとれた編集が行える。更にコース選択などによる決められた編集にとどまらないため、自由度が高い。このことにより、顧客満足度が向上する。
以上が、利用者がピンク色の背景画像を選択した場合の処理についての説明である。
次に、利用者がクロマキー合成用の背景画像を選択した場合の処理について説明する。
クロマキー合成の場合、撮影された画像の背景となる部分に合成で合成背景画像がはめ込まれるため、背景媒体に影が写りこまないようにする必要がある。このため、照明は背景に被写体の影が写りこまないような設定にする。
また、ライブモニタ22にてライブ映像で撮像している被写体画像と合成用の背景画像を目視確認しうると同時に、合成用の背景画像を操作部51の選択操作にて選択可能に設定するなど、通常の撮影操作の設定とは異なる設定にすることにより、背景にあわせた撮影が可能となり、できあがり写真を意識した撮影が実現できる。
また、編集時に、撮影時に選択したクロマキー合成用の背景画像にあった編集ツールが優先的に表示されると、迅速に統一感のある編集を行うことができ、写真のできあがりが美しくなるため、顧客満足度が向上する。
さらに、編集時にも、クロマキー合成用の背景画像を変更できるようにしておくことが好ましい。このとき、別の背景画像を選択したら、該選択した背景画像に対応した編集ツールが優先的に表示されるか、対応する編集ツールのみ表示されることが好ましい。
以上が、利用者がクロマキー合成用の背景媒体を選択した場合の処理の説明である。
なお、一つの画像を編集した後、別のキープ画像に切替えてその画像を編集するときは、背景画像に対応した編集ツールとしては、該キープ画像に対応した編集ツールが表示される。
より具体的には、図13(A)に示すように、ユーザが編集中の画像から別のキープ画像に切替えるよう、画面左のサムネイルを指示すると、図13(B)に示されるように、該選択したキープ画像に対応する編集ツールが優先的に表示されるか、対応する編集ツールのみが表示される。
以上の構成により、背景に適した編集が可能となり、ユーザはトータルとして統一感のよいできあがりの写真を得ることができるため、顧客満足が向上する。
上述の画像編集においては、編集入力時間が予め設定されている。そして、タブレットディスプレイ13上に残り時間を表示し、カウントダウンを行なう。残り時間が0になると編集入力が終了する。または、画面に用意された「終了」ボタンを押すことでユーザは強制的に終了させることもできる。
図7に戻って、編集入力が終了すると、撮影された画像と編集入力された画像とを合成し、合成された画像をタブレットディスプレイ13に表示する。そして、ユーザ6から、シール等の印刷媒体に印刷する画像の選択を受付ける(S160)。また、編集入力に失敗した画像などを印刷しないような選択を受付けることもできる。
そして、選択された画像の枚数に応じて、予め決められた複数の印刷レイアウトをタブレットディスプレイ13に表示し、ユーザ6の選択を受付ける(S170)。
印刷する画像の選択と印刷レイアウトの選択とを受付けると、選択された印刷レイアウトにしたがって生成された印刷画像データをプリンタ12に出力する。さらに、ユーザ6をプリンタ12の前に誘導するアナウンス(たとえば「シールは右から出るよ!」)をスピーカ23またはタブレットディスプレイ13より出力する。そして、プリンタ12で印刷を実行し(S180)、プリント取出口9よりユーザ6に提供する。
このとき、出力される印刷媒体には印刷画像データが印刷されている部分の周辺に余白部分ができるが、該余白部分は選択した背景の色柄と調和する色、柄の装飾が印刷されることが望ましい。このようにすることで、トータルで見栄えのよい印刷媒体を出力することができるため、ユーザの顧客満足度が向上する。
更に、ユーザが選択しなかった背景を余白部に印刷し、「こんな背景もあるよ」などのコメントを入れると、ユーザが該背景画像が気に入れば、次回の遊技時に使用してもらうことができるなど、宣伝にもなりうる。すなわち、背景媒体に対応して、印刷媒体の画像以外の部分の装飾印刷が変わるように装置を構成してもよい。
以上の処理が、1組のユーザ6が本実施の形態の写真自動販売機で行なうプレイである。そして、上述の処理を終了すると、次にコインが投入されるまで、再度タイトルデモをスピーカ23およびタブレットディスプレイ13から出力する。
なお、上述の実施の形態では、1組のユーザ6が利用する形態を説明したが、図1に示すとおり、撮影を行なう撮影空間3と撮影された画像に編集を行なう編集空間4とが異なる場所に設置されていることから、2組の利用者が写真自動販売機を同時に利用することもできる。この場合、先の利用者が撮影を終了し編集空間4に移動すると、ディスプレイ24にはデモ画像が表示され、次の利用者のコイン投入を受付ける。そして、コインが投入されると、次の利用者の撮影が開始される。
なお、本装置においては、撮影空間3と編集空間4とを異なる位置に設けるように説明したが、これに限定されるものではなく、1つの空間において、撮影および編集が行われるようにしてもよい。
また、2組の利用者が同時に利用する場合に、撮影や編集等の操作を制御するコンピュータ装置101が1台では処理に負荷がかかってしまう場合もある。このため、撮影側の制御を行なうコンピュータ装置と編集側の操作を制御するコンピュータ装置とをそれぞれ設け、利用者の操作性を向上させることもできる。この場合、図4に示す機能ブロック図において、カメラ21、ライブモニタ22など撮影にのみ必要なものは撮影側のコンピュータ装置に接続されて制御され、タブレットディスプレイ13、プリンタ12など編集にのみ必要なものは編集側のコンピュータ装置に接続されて制御される。また、制御部102、操作部51、およびサービスパネル105など両方の操作に必要なものは、機能を分割して撮影側と編集側とのそれぞれのコンピュータ装置に接続されて制御されてもよいし、どちらか一方のコンピュータ装置に接続されて制御されてもよい
以上が本実施の形態における写真自動販売機の処理の説明である。
なお、背景媒体42が手引き式など、ユーザの手動によって背景画像の位置決めをするような場合においては、カメラで撮像している映像の背景画像認識をすることにより、どの背景が選択されているかを特定して、各種設定の変更をする。
より具体的には図14を参照して、写真自動販売機において撮影される画像は、装置の特徴上、画像全体の上部分あるいは右上頂点部分や、左上頂点部分は、被写体が写っていないことが多い。このことを利用して、上述のような部分(図14における斜線でのハッチング部分)を判定領域として設定する。CPUは、該判定領域の画素を判定して、ユーザが選択した背景画像の色、柄を特定する。あるいは、撮像している映像の被写体以外の部分を抽出し、被写体以外の部分の色、柄を判定することによって、背景画像の色、柄を特定してもよい。
このようにして、背景画像を特定し、各種設定の変更を行なう。なお、編集時のツールのみ設定変更される場合などは、撮影して得られた撮影画像の上述のような判定領域を判定することによって、背景画像の色、柄を特定してもよい。
また、背景媒体にバーコードなどを振り、選択された背景媒体の種類をバーコードリーダなどで読取るようにしてもよい。また、背景媒体に応じて異なるON状態となるスイッチなどを設けることで、ハード的に背景媒体の選択状態を調べるようにしてもよい。
さらに、上述の写真自動販売機のコンピュータ装置101の制御方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、電気通信回線や衛星通信回線などのネットワークを通じて、プログラムを提供することもできる。
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 写真自動販売機の筐体、3 撮影空間、4 編集空間、5 背景装置、6 ユーザ、9 プリント取出口、10 印刷中LED、11 印刷エラーLED、12 プリンタ、13 タブレットディスプレイ、14 タッチペン、18 照明部、21 カメラ、22 ライブモニタ、24 ディスプレイ、26 コイン投入口、28 フロントドア、29 電源スイッチ、40 保護板、42 背景媒体、43a,43b モータ、46 サイン、48a,48b 巻取装置、51 操作部、101 コンピュータ装置、102 制御部、103 電源制御部、104 UPS、105 サービスパネル、107 コイン制御部。