[go: up one dir, main page]

JP2005181445A - プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光学部材及びプラスチック光ファイバ - Google Patents

プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光学部材及びプラスチック光ファイバ Download PDF

Info

Publication number
JP2005181445A
JP2005181445A JP2003418491A JP2003418491A JP2005181445A JP 2005181445 A JP2005181445 A JP 2005181445A JP 2003418491 A JP2003418491 A JP 2003418491A JP 2003418491 A JP2003418491 A JP 2003418491A JP 2005181445 A JP2005181445 A JP 2005181445A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plastic optical
preform
optical member
hollow tube
optical fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003418491A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshisada Nakamura
善貞 中村
Yasuyuki Mizushima
康之 水嶋
Katsuya Takemasa
克弥 竹政
Masataka Sato
真隆 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2003418491A priority Critical patent/JP2005181445A/ja
Publication of JP2005181445A publication Critical patent/JP2005181445A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

【課題】 プラスチック光ファイバ母材中に泡の含有を抑制する。
【解決手段】 ポリフッ化ビニリデンから中空管を作製してクラッドパイプとする。コア部となる重合性組成物(MMA)を注入して、重合体からなる領域を作成する前に中空管を加熱減圧処理して不純物や水を除去する工程を含むプラスチック光学部材用母材の製造方法。プラスチック光学部材用母材には泡の含有が抑制されているため加熱溶融延伸する際に、気泡の発生を抑制できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光学部材及びプラスチック光ファイバに関するものである。
プラスチック光学部材は、同一の構造を有する石英系の光学部材と比較して、製造及び加工が容易であること、および低価格であること等の利点があり、近年、光ファイバおよび光レンズ、光導波路など種々の応用が試みられている。特にこれら光学部材の中でも、プラスチック光ファイバは、素線が全てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石英系と比較してやや大きいという短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよく、石英系光ファイバと比較して、口径の大きい光ファイバとして製造し易く、さらに低コストに製造可能であるという長所を有する。従って、伝送損失の大きさが問題とならない程度の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
プラスチック光ファイバは、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(以下、コア部またはコアと称する)と、コア部と屈折率が異なる(一般的に低屈折率の)有機化合物からなる外殻(以下、クラッド部またはクラッドと称する)とから構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型(以下、GI型と称する)プラスチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きくすることが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして最近注目されている。この様なGI型光学部材の製法の一つに、界面ゲル重合法を利用して、プリフォーム(母材)を作製し、その後、前記プリフォームを延伸する方法などが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開昭61−130904号公報 特許3332922号公報
ところで、このプラスチック光ファイバをモノマーなどを含む重合性組成物より製造する場合、モノマーの重合収縮に起因する体積減少による空隙や重合反応の副生成物や溶存している低沸点物質による発泡の発生が起こることがある。また、光学部材の製造方法では、一度プリフォームを作製して、そのプリフォームを加工し、例えば光ファイバを得る方法がある。この場合には、光ファイバよりも径の大きなプリフォームを作製した後に溶融延伸して光ファイバとする。このため、プリフォームでは泡の含有が見られないものであっても、加熱することにより溶存している低沸点物質が発泡し、光ファイバに気泡が生じることがある。この気泡は、光の散乱を起こすため光学部材としての性能低下および生産性の低下という問題を生じさせる。
本発明の目的は、発泡が生じることが抑制されたプラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにそのプラスチック光学部材用プリフォームから製造されるプラスチック光ファイバを提供することである。
本発明の第1のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法は、クラッド部を重合体からなる中空管として、前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させてコア部を作製するプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法において、前記コア部を作製前に、前記中空管を40℃以上、前記重合体の熱変形温度(℃)以下の温度で熱処理を行う。
本発明の第2のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法は、クラッド部を重合体からなる中空管として、前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させてコア部を作製するプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法において、前記コア部を作製前に、前記中空管を15℃以上、前記重合体の熱変形温度(℃)以下の温度で減圧処理を行う。
前記熱処理または前記減圧処理の前に、前記中空管を洗浄することが好ましい。前記コア部の重合を行う際に、前記中空管の軸を水平にして回転させながら行うこともできる。前記中空管内に重合体からなる層を少なくとも1層形成した中空管を作製する工程を有することもできる。前記プラスチック光学部材用プリフォームを加熱溶融延伸するとプラスチック光ファイバが得られることが好ましい。本発明には、前記記載のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法で製造されたプラスチック光学部材用プリフォームも含まれる。本発明のプラスチック光学部材用プリフォームは、重合体からなる中空管から形成されたクラッド部と、前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させて作製されたコア部とを有するプラスチック光学部材用プリフォームにおいて、前記コア部が中心から半径方向にかけて屈折率に分布を有する。前記コア部が中心から半径方向にかけて連続的に低下する屈折率分布を有することが好ましい。前記クラッド部の屈折率が前記コア部の屈折率より小さいことが好ましい。前記クラッド部が含フッ素重合体からなるものも含まれる。さらに、本発明には、前記記載のプラスチック光学部材用プリフォームを加熱延伸して得られるプラスチック光ファイバも含まれる。
本発明のプラスチック光学部材は、クラッド部を重合体からなる中空管として、前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させてコア部が作製されたプラスチック光学部材用プリフォームを加熱延伸して得られるプラスチック光学部材において、前記延伸されたプラスチック光学部材中の短軸径10μm以上のサイズの泡が、前記延伸されたプラスチック光学部材100mあたり200個未満である。前記プラスチック光学部材から一定長切り出して得られるプラスチック光ファイバは、前記プラスチック光ファイバ中の短軸径10μm以上のサイズの泡が、前記プラスチック光ファイバ10mあたり20個未満となるものが得られる。前記プラスチック光学部材用プリフォームのコア部を作製する際に、前記中空管を回転させながら重合させることが好ましい。
本発明の第1のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法によれば、コア部作製前に、中空管の熱処理を行うので、中空管の残モノマー,溶媒,不純物などの除去が可能となり、前記プリフォーム中に泡が発生することを抑制できる。また、加熱処理温度を40℃以上、中空管を構成する重合体の熱変形温度(℃)以下の範囲とするので、残モノマー,溶媒,不純物などの除去を効率良く行なえると共に、中空管への熱的ダメージを抑制できる。
本発明の第2のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法によれば、コア部作製前に、中空管の減圧処理を行うので、中空管の残モノマー,溶媒,不純物などの除去が可能となり、前記プリフォーム中に泡が発生することを抑制できる。また、処理を行う際に、中空管を減圧下におき、加熱温度を15℃以上、中空管を構成する重合体の熱変形温度(℃)以下の範囲とするので、残モノマー,溶媒,不純物などの除去をより第1の方法よりも低温であっても行うことが可能となる。より低温で加熱処理が可能であるので、中空管への熱的ダメージをより抑制できる。
さらに、第1及び第2の製造方法における、それぞれの処理を行う前に、中空管を洗浄することにより、中空管に含まれる残モノマー,溶媒,不純物などの一部、特に表面または表面近傍のものを除去できるので、その後の各処理を行う時間を短縮することが可能となる。
本発明のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法によれば、前記中空管を前記熱処理または前記減圧処理を行い、さらに前記コア部の重合を行う際に、前記中空管を回転させることで、コア部に泡が含有することが抑制される。これにより、前記プラスチック光学部材用プリフォームを加熱溶融延伸して得られるプラスチック光ファイバの伝送損失の悪化を極めて防止することができる。
また、前記中空管内に重合体からなる層を少なくとも1層形成した中空管を処理する際にも本発明の方法を好ましく適用できる。すなわち、前記重合体からなる層がアウターコア層の場合に、本発明に係る前記加熱処理または前記減圧処理の少なくともいずれか1つの処理を行なうことで、アウターコア層に含まれる残モノマー,溶媒,不純物などの除去が容易となる。このプリフォームを用いて得られるプラスチック光ファイバに高励振の光を入射させた場合に、その光の主たる伝送路となるアウターコア層に残モノマーなどに起因する欠陥が生じていないので、伝送損失の低下を抑制できる。
また、前記プリフォームから得られるプラスチック光ファイバは、欠陥が極めて少ないため、伝送特性に優れたものを得ることができる。また、本発明に係る光ファイバのコア部は、グレーデッドインデックス型,ステップインデックス型,マルチステップインデックス型のいずれであっても適用できる。さらに、クラッド部が含フッ素重合体から形成されるものにも適用可能である。
本発明のプラスチック光学部材は、クラッド部を重合体からなる中空管として、前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させてコア部が作製されたプラスチック光学部材用プリフォームを加熱延伸して得られるプラスチック光学部材において、前記延伸されたプラスチック光学部材中の短軸径10μm以上のサイズの泡が、前記延伸されたプラスチック光学部材100mあたり200個未満に抑制できるため、泡とプラスチック界面での光の散乱や反射などによる伝送損失の悪化が抑制される。そのため、前記プラスチック光学部材から一定長切り出して得られるプラスチック光ファイバは、伝送損失の悪化が抑制されている。なお、前記プラスチック光ファイバは、前記コア部を作製する際に、前記中空管を回転させながら重合させることで得られる。
本発明に係るプラスチック光学部材用プリフォーム(以下、プリフォームと称する)の製造方法を図1に示す。クラッド作製工程11で中空円筒状のクラッドパイプ12を作製する。次に、アウターコア部作製前処理工程13を行い、クラッドパイプ12の残存モノマー,残存水分を除去する。次に、重合性組成物を含むアウターコア形成用液(以下、アウターコア液と称する)を調製し、その液を用いてアウターコア重合工程14を行い、クラッドパイプ12の中空部にアウターコアを形成する。次に、インナーコア部作製前処理工程15を行い、アウターコア中の残存モノマー,残存水分や、アウターコア部形成中に生じる不純物を併せて除去する。さらに、インナーコア形成用液(以下、インナーコア液と称する)を調製し、インナーコア重合工程16によりインナーコアを形成し、プラスチック光学部材用プリフォーム(以下、プリフォームと称する)17を製造する。プリフォーム17を延伸工程18で加熱溶融延伸してプラスチック光ファイバ(以下、光ファイバと称する)19を得る。光ファイバ19は、そのままの素線の形態で光ファイバとして用いることができる。しかしながら、取り扱いを容易にしたり、光ファイバ19の外面の損傷を抑制したりするために保護層を形成することが好ましい。保護層は、被覆工程20により形成して、光ファイバ19の外周面が被覆されたプラスチック光ファイバケーブル(以下、光ファイバケーブル)21を得ることができる。
図2(a)にプリフォーム17の断面の一形態を示す。インナーコア30は、高い伝送特性が得られるように、その中心部から外周部へ連続的に屈折率が小さくなるGI型とすることが好ましい(図2(b)参照)。また、アウターコア31は、インナーコア30を形成する際に、その中で界面ゲル重合が可能な素材から形成されている。また、クラッドパイプ12は、機械的強度に優れ、伝送される光をクラッドパイプ12外に放射しない素材から形成することが好ましい。図2に示すプリフォーム17の製造方法を例として本発明を詳細に説明する。始めにクラッド素材,コア素材及び所望の添加剤について説明し、その後にプリフォームの製造方法について説明する。なお、この例示はあくまでも本発明を詳細に説明するためのものであり、本発明を何ら制限するものではない。
クラッドの素材は、一般的に透明性を有する熱可塑性のポリマーであることが必要である。また、コア部を伝送する光がコア部とクラッド部との界面で全反射するようにコア部の屈折率より低い屈折率を有しているものを用いる。その差は、特に限定されるものではないが、0.03以上小さいことが好ましい。また、光学異方性が生じないように非晶性のポリマーを用いる。さらに、コア部と密着性が良く、タフネスに優れ、耐湿熱性にも優れているものが好ましく用いられる。
例えば、そのようなポリマーとしては、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと称する)が挙げられる。また、メチルメタクリレート(以下、MMAと称する)とトリフルオロエチルメタクリレート(以下、3FMAと称する)やヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートなどのフッ化(メタ)アクリレートとの共重合体を用いることもできる。また、tert−ブチルメタクリレートなどの分岐を有する(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレートなどとの共重合体が挙げられる。さらには、ポリカーボネート,ノルボルネン系樹脂(例えば、ZEONEX(登録商標:日本ゼオン社製)など),ファンクショナルノルボルネン系樹脂(例えば、ARTON(登録商標:JSR製)など),フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)を用いることもできる。また、フッ素樹脂の共重合体(例えば、PVDF系共重合体)や、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PFA)ランダム共重合体,クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合系などを用いることもできる。また、これらポリマーの水素原子(H)を重水素原子(D)に置換して伝送損失の低減を図ることもできる。
コア部の素材は、光伝送の機能を損なわない限りにおいて特に限定されるものではない。特に好ましく用いられるものとしては、有機材料として光透過性が高い原料である。例えば、以下のような(メタ)アクリル酸エステル類(フッ素不含(メタ)アクリル酸エステル(a),含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(b)),スチレン系化合物(c),ビニルエステル類(d)、ポリカーボーネート類の原料であるビスフェノールA等を例示することができ、これらのホモポリマー、あるいはこれらモノマーの2種以上からなる共重合体、およびホモポリマー及び/または共重合体の混合物が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル類を組成として含むものをより好ましく用いることができる。
以上に挙げた重合性モノマーとして具体的に、(a)フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6 ]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。また、(b)含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、2,2,2 −トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3 −テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3 −ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1 −トリフルオロメチル−2,2,2 −トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5 −オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4 −ヘキサフルオロブチルメタクリレート等が挙げられる。さらに、(c)スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。さらには、(d)ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等が挙げられる。勿論、これらに限定されるものではなく、モノマーの単独あるいは共重合体からなるポリマーの屈折率がクラッド部のそれに比べて同等かあるいはそれ以上になるように構成モノマーの種類,組成比を組むことが好ましい。特に好ましいポリマーとしては、透明樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)が挙げられる。
さらに、光ファイバまたは光ファイバケーブルに近赤外線を伝送する場合は、構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許3332922号公報などに記載されているような重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを始めとする、C−H結合の水素原子(H)を重水素原子(D)やフッ素(F)などで置換した重合体を用いることで、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。なお、原料モノマーは重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に十分に低減することが望ましい。
重合性モノマーを重合させてポリマーを製造する際には、重合開始剤によって重合を行うことがある。この場合、モノマーの重合反応を開始させる開始剤としては、例えば、ラジカルを生成するものとして、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は勿論これらに限定されるものではなく、2種類以上を併用してもよい。
機械特性や熱物性などの各種物性値を全体にわたって均一に保つために重合度の調整を行うことが好ましい。重合度の調整のためには連鎖移動剤を使う事ができる。連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択できる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(例えば、チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は勿論これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
コア部が、その中心から外周方向に向かって屈折率分布を有するGI型の場合には、伝送性能が向上するため、より広帯域の光通信を行うことができ、高性能通信用途に好ましく用いることができる。屈折率分布を付与する方法としては、コア部を形成する重合体に複数の屈折率を有する重合体の組合せやそれらを組合わせた共重合体を用いるか、または、ポリマーマトリクスに屈折率分布を付与するための添加剤(以下、ドーパントと称する)を添加する必要がある。
ドーパントは、併用する前記重合性モノマーの屈折率と異なる化合物である。その屈折率差は0.005以上であるのが好ましい。ドーパントは、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して、屈折率が高くなる性質を有する。これらは、特許3332922号公報や特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成される重合体との比較において溶解性パラメータとの差が7(cal/cm3 1/2 以内であると共に、屈折率の差が0.001以上であり、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して屈折率が変化する性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、いずれも用いることができる。
また、ドーパントは重合性化合物であってもよく、重合性化合物のドーパントを用いた場合は、これを共重合成分として含む共重合体がこれを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いることが好ましい。上記性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、ドーパントとして用いることができる。本実施の形態では、コア部形成用重合性組成物にドーパントを含有させ、コア部を形成する工程において界面ゲル重合法により重合の進行方向を制御し、屈折率調整剤の濃度に傾斜を持たせ、コア部に屈折率調整剤の濃度分布に基づく屈折率分布構造を形成する方法を例示しているが、それ以外にもプリフォーム形成後に屈折率調整剤を拡散させる方法も知られている。以下、屈折率の分布を有するコア部をGI型コア部と称する。GI型コア部を形成することにより、得られる光学部材は広い伝送帯域を有するGI型プラスチック光学部材となる。
前記ドーパントとしては、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOが好ましい。また、ドーパントは、例えばトリブロモフェニルメタクリレートのように重合性化合物でもよく、その場合、マトリックスを形成する際に、重合性モノマーと重合性ドーパントとを共重合させるので、種々の特性(特に光学特性)の制御がより困難となるが、ドーパントの移動を抑えることができるので熱に対する屈折率分布安定性の面では有利となる可能性がある。屈折率調整剤の、コア部における濃度および分布を調整することによって、プラスチック光ファイバの屈折率を所望の値に変化させることができる。その添加量は、使用用途、使用形態および組み合わされるコア部原料などに応じて適宜選ばれる。
その他、コア部、クラッド部もしくはそれらの一部には、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、コア部もしくはその一部に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。これらの添加剤も、前記原料モノマーに添加した後、重合することによって、コア部、クラッド部もしくはそれらの一部に含有させることができる。
プリフォームの製造は始めにクラッド作製工程11によりクラッドパイプ12を作製する。クラッドパイプ12の作製方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、クラッドパイプ12の原料に熱可塑性のポリマーを用いて、ポリマーを加熱溶融して中空管状に押し出す溶融押出し法で作製されたものを用いることができる。この方法では前述のポリマーであれば任意に用いることができるが、屈折率などの物性や性能からフッ素樹脂などを好ましく用いることができ、特にPVDFを好ましく用いることができる。PVDFは、機械的強度に優れ、屈折率が低いため光ファイバ内を伝送している光の閉じ込めの能力が高いためクラッドパイプの素材として好ましく用いられる。なお、クラッドパイプ12は、界面ゲル重合法でプリフォームを作製する場合には、それ自身が反応容器(重合容器)となる。そこで、溶融押出し法で製造された中空円筒状のクラッドパイプ12の一端にクラッドパイプの素材と同じポリマーを用いて底付けを行うか、コンタミネーション防止の観点から耐薬品性の高い素材(フッ素樹脂など)からなる栓で封止することが好ましい。なお、クラッドパイプ12の素材としては、PMMAなどのアクリル樹脂(メタクリル樹脂とも称される)を用いることもできる。
また、クラッドパイプ12は、回転重合法を用いるクラッド作製工程11により製造することもできる。例えば、クラッドパイプ12をPMMAを素材として形成する場合には、重合性モノマーとしてMMAを用いる。このMMAと反応開始剤、連鎖移動剤及びドーパント(屈折率調整剤)など所望の添加剤とを含有させたクラッド形成用液(以下、クラッド液と称する)を調製する。このクラッド液を所望のプリフォームの外径に対応する内径を有する充分な剛性を有する円筒状の重合容器に入れる。次に、重合容器を温水中で振盪を加えながら予備重合を行い、クラッド液の粘性を高めることが好ましい。その後に、重合容器を水平方向(円筒の高さ方向が水平となる状態)に保持し、加熱しながら回転重合を行う。なお、回転重合を行う際の重合容器の設置方向は、水平方向に限定されるものではない。例えば、重力と略平行の垂直方向や斜め方向に設置して回転させても良い。これにより、重合容器内面に壁を形成するように重合され、厚みt1が略均一のクラッドパイプ12を得ることができる。なお、クラッド液は、調製後に超音波処理や減圧処理により脱気させることが好ましい。また、重合する際には、ヘリウム,アルゴン,窒素などの不活性ガス雰囲気で行うことがより好ましい。なお、クラッドパイプには、市販のパイプ状の商品を用いることもできる。
また、本発明に用いられるクラッドパイプは、機械的強度向上や難燃性などの多種の機能性を付与させるために複層から形成されたものを用いても良い。クラッドパイプを複層で形成することで、コア部の重合性や耐湿性をそれぞれ別の層で提供することもできる。例えば、コア部と界面とを形成する中空管内壁部とその中空管内壁部を覆う中空管外壁部の2層からクラッドパイプを形成する場合、コア部の重合性を中空管内壁部で、耐湿性を中空管外壁部で提供することもできる。コア部の重合性を提供する際に好ましく用いることができる素材としては、コア部を界面ゲル重合で生成する際に中空管内壁部とコア部とで界面不整が起こらないようなものである。なお、各層が複層からなる場合、中空管内壁の素材や特性がコア部外層として用いられる場合にアウターコア、クラッドの1構成層として用いられる場合にインナークラッドと呼ぶこともある。
具体的には、中空管内壁部を構成する素材(ポリマー)の溶解度パラメーターとコア部を構成する素材(ポリマー)の溶解度パラメーターとの差が14000(J/m3 1/2 [=7(cal/cm3 1/2 ]以下、好ましくは10000(J/m3 1/2 [=5(cal/cm3 1/2 ]以下、より好ましくは6000(J/m3 1/2 [=3(cal/cm3 1/2 ]以下のものを用いることが好ましい。耐湿性を提供する[アウター]クラッド部を選択した場合は、コア部との重合性は考えなくても良いので、前述の素材の他に吸水率が1.8%未満であるポリマーを任意に選択することができる。また、複層構成での中空管内壁部において好ましく用いることができる素材は、少なくともコア部の重合性を考慮すれば良く、前述の単層構成の場合の素材以外でも、コア部素材との溶解度パラメーターの差が上記範囲のものであれば、好ましく用いることができる。
以下に、クラッド(中空管外壁部),アウターコア(中空管内壁部),インナーコアから形成されるプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法について説明する。
前記いずれかの方法により得られるクラッドパイプ12を用いてアウターコア部作製前処理工程13を行う。クラッドパイプ12には、製造中またはその製造後において様々な不純物が残存している。不純物の第1としては、クラッドパイプ12を作製する際に、その素材である重合性モノマー及びその分解物が挙げられる。または、重合反応を開始させるための重合開始剤などの添加剤も含有している。さらに不純物の第2としては、水分が挙げられる。水は、重合反応中にポリマーに取り込まれたものや、クラッドパイプ12を移送または保存中に大気中の水分が付着するものがある。また、これら不純物は通常、クラッドパイプ12の主成分であるポリマーよりも容易に揮発する。これら不純物が残存したまま、アウターコア重合工程14,インナーコア重合工程16を行うと不純物が揮発してプリフォーム17中に泡として残る場合がある。そのプリフォーム17を延伸工程18にて光ファイバ19を製造すると気泡(ボイドとも称される)が生じる。気泡は、伝送されている光を散乱するため伝送損失が悪化する原因となる。そこで、本発明において、コア部を形成する前に処理工程を行う。なお、図2に示すプリフォーム17のようにコア部が、アウターコア31とインナーコア30とから形成されている場合、いずれかのコア部を形成する前に処理工程を行うことで気泡の発生を抑制する本発明の効果が得られるが、アウターコア重合工程14,インナーコア重合工程16の両工程前にそれぞれ処理工程13,15を行うことが最も好ましい。
アウターコア部作製前処理工程13は、ポリマー中の不純物を除去する公知のいずれの方法を適用することもできる。特に、本発明の効果を得るためには下記に説明する方法を行うことが好ましい。
第1の方法は、クラッドパイプ12を加熱することで、その内部または表面の揮発性物質,水を除去する方法が挙げられる。温度は、特に限定されるものではないが、40℃以上であることが好ましい。また、クラッドパイプ12の主成分のポリマーの熱変形温度(℃)以下であることが好ましい。加熱温度が、40℃未満であると、揮発性物質の揮発が生じ難く、揮発性物質の除去に多大な時間が必要となる。また、ポリマーの熱変形温度(℃)以上まで、加熱すると揮発性物質,水の揮発は容易に起きるが、クラッドパイプ12の融解が生じ始めてクラッドパイプ12の形態が乱れるおそれがある。また、クラッドパイプ12の主成分ポリマーの熱分解が生じやすくなり、不純物発生の原因となるおそれも生じる。
加熱処理時間は、特に限定されるものではないが、クラッドパイプ12の主成分ポリマーの素材や、その厚みt1を考慮して規定する。通常の場合には、10分〜48時間の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1時間〜36時間の範囲であり、最も好ましくは4時間〜24時間の範囲である。10分未満であると、クラッドパイプ12が十分に加熱されず、不純物の揮発が生じ難く、不純物を低減させることが不充分となる場合がある。また、48時間を超えると、生産性が劣ると共に、クラッドパイプ12の主成分ポリマーの一部が熱分解を生じ、さらに不純物を発生させてしまう場合もある。なお、本発明においてこの方法を加熱処理と称する。
クラッドパイプ12の加熱処理を上限値側、すなわちポリマーの熱変形温度(℃)以上で行うとクラッドパイプ12が、熱変形などのダメージを引き起こす場合がある。これは、加熱する際、クラッドパイプ12に局所的に加熱されるために生じる場合が多い。そこで、熱伝導率が大きな金属(例えば、ステンレス,銅,アルミニウムなど)から形成されるパイプ内にクラッドパイプ12を挿入する。そして、その金属パイプを所望の温度とすることで、クラッドパイプ12を均一に加熱することが可能となる。これにより、ポリマーの熱変形温度(℃)以上まで加熱する加熱処理をクラッドパイプ12にダメージを与えることなく行うことが可能となる。この場合に、クラッドパイプ12が挿入されている金属パイプを回転させながら、熱処理を行うことがより好ましい。
具体的には、クラッドパイプ12をPMMAを主成分として形成され、その厚みt1が0.5mm〜50mmの場合には、PMMAの熱変形温度は、90℃〜100℃であるので、加熱温度は、40℃〜100℃,加熱時間は、10分〜48時間の範囲とすることが好ましく、より好ましくは50℃〜90℃,1時間〜36時間の範囲とすることであり、最も好ましくは、60℃〜80℃,4時間〜24時間の範囲とすることである。また、クラッドパイプ12をPVDFを主成分として形成した場合には、PVDFの熱変形温度(℃)は、55℃〜115℃であるので、加熱温度は、40℃〜115℃,加熱時間は、10分〜48時間の範囲とすることが好ましく、より好ましくは50℃〜115℃,1時間〜36時間の範囲とすることであり、最も好ましくは、55℃〜95℃,4時間〜24時間の範囲とすることである。
他のポリマーからクラッドパイプ12を形成した場合には、その熱変形温度(℃)を加熱温度の上限値とする。ポリマーの熱変形温度(℃)は、材料固有の定数である融点(Tm),ガラス転移温度(Tg)が挙げられる。そのポリマーの融点に幅がある場合には、その最も低い温度を基準とする。また、融点を持たず、分解温度のみを有するポリマーを用いる場合には、その分解温度を融点とみなす。さらに、クラッドパイプ12が前記多層から形成されているものを用いる場合であって、各層の主成分のポリマーが異なるものが用いられている場合には、ポリマーの融点が最も低いものを基準とする。または、通常、耐熱温度と称される荷重撓み温度(熱変形温度),熱劣化温度なども挙げられる。荷重撓み温度の測定は、ASTM D−648,JIS K 7207などに規定されている試験方法により測定される値を用いる。また、JIS K 7206で規定されているビカット軟化温度,JIS K 7196で規定されているTAM法による軟化温度測定などにより測定される値を用いることもできる。これら測定は、いずれも一定荷重下でのたわみ温度を測定する促進試験である。そして、本発明において、熱変形温度は、これらのうちで最も温度が低いものを基準とすることが通常である。しかしながら、その用途に応じては、最も低い温度以外のものを基準温度である熱変形温度として用いるもでき、光ファイバの材質,用途などに応じて適宜いずれの値を熱変形温度として用いるかを選択する。最良の決定法としては、クラッドパイプを熱処理条件で温度のみ変えていき、反りなどの変形やパイプ厚みの変動を調べて、それらの変化が生じる直前の温度を熱変形温度とする方法である。
第2の方法は、クラッドパイプ12を減圧下におくことである。減圧により、通常、有機化合物は、より揮発し易くなるため、加熱が必要でない場合や、室温程度の加熱温度を保持すれば良いので、前記第1の方法と比較してクラッドパイプ12に与える熱的ダメージを最低限に抑えることができる。この場合に、加熱温度は、15℃以上であることが好ましい。また、上限温度は、前記第1の方法と同じ条件であるポリマーの熱変形温度(℃)以下とすることが好ましい。
減圧にする際の圧力は、特に限定されないが、真空度が高い(すなわち、圧力が低い)ところに、クラッドパイプ12を置くと急激な揮発が生じクラッドパイプ12に変形が生じるおそれがある。また、そのような設備を用いることは、コスト高の原因ともなる。そこで、本発明において圧力は、(大気圧−0.099)MPa以上(大気圧−0.005)MPa以下の範囲とすることが好ましい。なお、本発明においてこの方法を減圧処理を称する。
具体的には、クラッドパイプ12をPMMAを主成分として形成した場合には、温度は、15℃〜100℃,時間は10分〜48時間の範囲とすることが好ましく、より好ましくは20℃〜80℃,1時間〜36時間の範囲とすることであり、最も好ましくは、25℃〜70℃,4時間〜24時間の範囲とすることである。また、圧力は、(大気圧−0.099)MPa以上(大気圧−0.005)MPa以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは(大気圧−0.095)MPa以上(大気圧−0.02)MPa以下の範囲とすることであり、最も好ましくは、(大気圧−0.095)MPa以上(大気圧−0.05)MPa以下の範囲とすることである。
また、クラッドパイプ12をPVDFを主成分として形成した場合には、温度は、15℃〜115℃,時間は、10分〜48時間の範囲とすることが好ましく、より好ましくは20℃〜105℃,30分〜24時間の範囲とすることであり、最も好ましくは、25℃〜95℃,1時間〜16時間の範囲とすることである。また、圧力は、(大気圧−0.099)MPa以上(大気圧−0.005)MPa以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは(大気圧−0.095)MPa以上(大気圧−0.02)MPa以下の範囲とすることであり、最も好ましくは、(大気圧−0.095)MPa以上(大気圧−0.05)MPa以下の範囲とすることである。
さらに、本発明では、アウターコア部作製前処理工程13でクラッドパイプ12を洗浄することも有効である。洗浄は、水または水可溶有機溶媒を用いるために、前記加熱処理,前記減圧処理を行う前に実施することが効率の点から好ましい。用いられる洗浄水は、水、とくに純水及び水可溶な有機溶媒を用いることである。水可溶有機溶媒を用いることで、クラッドパイプ12に付着または含有している水を効率良く洗浄することが可能となる。そのような有機溶媒は特に限定されるものではないが、アルコール類(例えば、エタノール,メタノール, イソプロピルアルコールなど),ケトン類(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)が挙げられ、人間への影響が少ないという点でエタノールを用いることが好ましい。
アウターコア重合工程14について説明する。アウターコア液は、例えば、MMAなどの重合性モノマーを主成分として、所望の添加剤(例えば、重合開始剤,連鎖移動剤,ドーパントなど)を添加して調製する。その後に、クラッドパイプ12内に注液する。アウターコア31は、クラッドパイプ12内面にインナーコア形成用の中空円筒状となるように回転重合法により形成する。回転重合法は、クラッドパイプ12を形成する方法と同様の条件で行うことで、略均一な厚みt2の中空円筒状としてクラッドパイプ12内面に形成される。なお、アウターコア液は、調製後に超音波処理や減圧処理により脱気を行うことが好ましい。
通常、プラスチック光ファイバは、インナーコア,アウターコアがその断面積に占める割合が高い。また、入射光が高励振の場合には、その光はアウターコア部を通過するように伝送される。そこで、その入射光の散乱が生じないようにインナーコア30を形成する前に、アウターコア31中に残モノマー及び水分の除去を充分に行うことが好ましい。例えば、クラッドパイプをPVDF(熱変形温度;約150℃)から形成し、アウターコアをPMMA(熱変形温度;110℃)から形成する場合には、PVDFの融点が高いことが一般的である。そこで、アウターコアのPMMAに熱的ダメージを与えないようにPMMAの融点を基準として前記加熱処理または前記減圧処理を行なう。この場合には、比較的低温で加熱処理または減圧処理を行なうので、PVDFから異物を除去する効果が減ずる場合もある。そこで、多層の中空管を加熱処理または減圧処理する際には、処理時間を長くすることが有効である。さらには、多層の中空管の不純物の除去は、減圧処理を適用することで融点が低いポリマーから形成されている層の熱的ダメージを抑制できる。
次に、インナーコア重合工程16について説明する。インナーコア液も、アウターコア液と同様に、重合性モノマーと所望の添加剤(例えば、重合開始剤,連鎖移動剤,ドーパントなど)とから調製される。このインナーコア液も調製後、超音波処理や減圧処理により脱気することが好ましい。なお、インナーコア30を形成する際には、その中心から半径方向に向けて屈折率が低くなる分布を有するGI型で形成することが好ましい(図2(b)参照)。GI型は、界面ゲル重合法で行うことにより容易に形成できる。この場合に、重合が開始する界面は、アウターコア31の内表面となる。
本発明に係るプリフォームの製造方法により製造されるプリフォームの形態は、図2に示すものに限定されるものではない。例えば、図3に示すプリフォーム40のようにコア41とクラッドパイプ42とからなるものにも本発明は適用できる。この場合に、コア41は、その中心から半径方向にかけて連続的に低下する屈折率分布を有する(図3(b)参照)GI型であっても良い。または、屈折率分布を有さないステップインデックス型(SI型)、シングルモード型(SM型)であっても良い。
図4(a)にプリフォーム50の断面を示し、図4(b)に半径方向と屈折率との関係を示すように、クラッドパイプ51内に、屈折率の異なる多数のコア層が形成されているマルチステップインデックス型(MSI型)であっても良い。MSI型のプリフォーム50は、クラッドパイプ51の中空部分に多数のコア層52,53,54,55及びコア部56が形成されている。なお、図4では、コア層が4層52〜55からなるものを示しているが、本発明においてコア層の層数は4層に限定されるものではない。また、コア層52〜55及びコア部56の屈折率は、コア部56が最大で、クラッドパイプ51側のコア層52に向けて、徐々に小さくなるようにそれぞれのコア層52〜55及びコア部56を形成することが好ましい。これにより、GI型と比べれば劣るもののモード分散を抑制し口径の大きな光ファイバを形成するプリフォーム50を得ることができる。
なお、本発明において、コア部の作製方法は、前記方法に限定されるものではない。例えば、図2に示すプリフォーム17のインナーコア30を回転させながら界面ゲル重合を行う回転重合法により形成することもできる。この場合には、アウターコア31が形成されているクラッドパイプ12の中空内にインナーコア液を注入した後に、その一端を密閉し回転重合装置内に水平状態(クラッドパイプの高さ方向が水平になる状態)として回転させながら重合を行う。このとき、インナーコア液の供給は一括でも良いし、逐次や連続して供給しても良い。なお、本発明においてこの重合方法をコア部回転重合法と称する。また、図3に示すプリフォーム40のコア41を形成する際にもコア部回転重合法を適用することができる。さらに、図4に示すプリフォーム50の製造の際にもコア部回転重合法を適用することができる。この場合には、各コア層52〜55に適用することは可能であり、また中心部のコア部56を形成する際にも適用することができる。
前記コア部回転重合法は、重合を行っている際に、界面ゲル重合法に比べてコア液の表面積を大きく取れ、コア液内から発生する気泡の脱気が容易に行われるために、得られるプリフォーム内に泡の含有を抑制することが可能となる。また、コア部回転重合法によりコア部を形成するとその中心部が中空になるプリフォームが得られる場合がある。そのプリフォームをプラスチック光学部材、特に光ファイバに用いる際には、溶融延伸時にその中空が塞がれつつ延伸されるので特に問題は生じない。また、前記プリフォームを他の光学部材、例えばプラスチックレンズに用いる際には、プリフォームの中空部を塞ぐように溶融延伸を行うことで、中心部の中空が閉塞されたプリフォームを得ることができ、このプリフォームからプラスチックレンズなども作製することが可能となる。
また、このプリフォーム50の製造方法は、多層同時溶融押出し法により製造することも可能であるが、コア層を多層化することにより押出し時の形態を保持したままプリフォームを固化させることに困難が生じる場合がある。そこで、クラッドパイプ51を回転重合法または溶融押出し法により作製する。その後に、クラッドパイプ51内の中空部に順次コア層52〜55を回転重合法で形成し、最後にコア部56を重合させて形成させる方法を適用できる。この場合に、各コア層を形成する前に、本発明に係る製造方法を適用することが好ましい。すなわち、クラッドパイプ51を製造した後に、コア層52を形成する前に、前記加熱処理又は前記減圧処理を行うことで、プリフォーム50中に気泡が生じることが抑制され、プリフォーム50を延伸する際に生じる泡(以下、延伸泡と称する)の発生を抑制できる。以下、同様に中空内に1層のコア層を形成した後に、本発明に係る加熱処理,減圧処理の少なくともいずれか1つの処理を行うことが好ましい。
前記各方法で作製されるプリフォームを延伸することで、所望の直径、例えば100μm以上1000μm以下の光ファイバ19を得ることができる。延伸工程18で行われる製造方法に関しては、特に制限はなく、既知の方法を等しく適用することができる。なお、延伸量は特に限定されるものではないが、プリフォームの長さの400倍〜2000倍の長さの光ファイバが得られるように延伸することがコストの点及び線径の均一性を保持するために好ましい。また、延伸工程18を行う前にプリフォーム17を減圧乾燥することで、プリフォーム中の残留モノマーや水分の低減を図ることができる。これにより、溶融加熱延伸時における残留モノマーや水分が揮発し発泡することにより生じる延伸泡の発生を抑制できる。
延伸工程18では、プリフォーム17を加熱溶融延伸する。加熱温度はプリフォーム17の材質等に応じて、適宜決定することができる。一般的には、180℃〜250℃中の雰囲気で行われることが好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、プリフォーム17の直径、光ファイバ19の直径および用いる材料等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、線引張力については、特開平7−234322号公報に記載されている様に、溶融したポリマーを配向させるために0.1N以上としたり、特開平7−234324号公報に記載されている様に溶融延伸後に歪みを残さないようにするために1N以下とすることが好ましい。また、特開平8−106015号公報に記載されている様に、延伸の際に予備加熱を設ける方法等をとることもできる。以上の方法によって得られる光ファイバ19については、破断伸びや硬度について特開平7−244220号公報に記載の様に規定することで後に説明する光ファイバケーブル21の曲げや側圧特性を改善することができる。
素線である光ファイバ19は、そのままの形態でも、例えば光ファイバのような光伝送体として用いることができるが、通常は、その外周に保護層を設け、光ファイバ19を保護すると共に様々な機能を持たせる。例えば、光ファイバの曲げ・耐候性の向上,吸湿による性能低下抑制,引張強度の向上,耐踏付け性付与,難燃性付与,薬品による損傷からの保護,外部光線によるノイズ防止,着色などによる商品価値の向上などを目的として光ファイバ19の表面に1層以上の保護層を被覆する被覆工程20を行い光ファイバケーブル21として使用する。なお、保護層の材料及び光ファイバに保護層を形成する方法は、特に限定されるものではない。
保護層形成用の材料には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル,ポリビニルアルコール,ウレタン樹脂,ナイロンなどの一般的な素材を使うことができるが、被覆時の光ファイバに熱的ダメージ(例えば、変形,変性,熱分解など)を与えないものを選択することができ、以下の素材は熱ダメージの観点や機械特性などから好ましく使えることができる。具体的に以下の材料を挙げることができる。これらは高い弾性を有しているため、曲げなどの機械的な特性付与の観点でも効果がある。まず、ポリマーの一形態であるゴムを用いることもできる。具体的には、イソプレン系ゴム(例えば、天然ゴム,イソプレンゴムなど),ブタジエン系ゴム(例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム,ブタジエンゴムなど),ジエン系特殊ゴム(例えば,ニトリルゴム,クロロプレンゴムなど),オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−プロピレンゴム,アクリルゴム,ブチルゴム,ハロゲン化ブチルゴムなど),エーテル系ゴム,ポリスルフィド系ゴム,ウレタン系ゴムなどが挙げられる。
室温では流動性を示し、加熱することによりその流動性が消失して硬化する液状ゴムを用いることができる。具体的には、ポリジエン系(例えば、基本構造がポリイソプレン,ポリブタジエン,ブタジエン−アクリロニトリル共重合体,ポリクロロプレンなど),ポリオレフィン系(例えば、基本構造がポリオレフィン,ポリイソブチレンなど),ポリエーテル系(例えば、基本構造がポリ(オキシプロピレン)など),ポリスルフィド系(例えば、基本構造がポリ(オキシアルキレンジスフィド)など),ポリシロキサン系(例えば、基本構造がポリ(ジメチルシロキサン)など)などを挙げることができる。
熱可塑性エラストマー(TPE)を用いることもできる。熱可塑性エラストマーは、室温ではゴム弾性を示し、高温では可塑化されて成形が容易である物質群である。具体的には、スチレン系TPE,オレフィン系TPE,塩化ビニル系TPE,ウレタン系TPE,エステル系TPE,アミド系TPEなどが挙げられる。なお、前記列記したポリマーは、光ファイバの素線のポリマーのガラス転移温度Tg(℃)以下で成形可能なものであれば、特に上記材料に限定されず、各材料間もしくは上記以外の共重合体や混合ポリマーを用いることもできる。
また、ポリマー前駆体と反応剤などとを混合した液を熱硬化させるものを用いることができる。例えば、特開平10−158353号公報に記載のNCOブロックプレポリマーと微粉体コーティングアミンとから製造される1液型熱硬化性ウレタン組成物を挙げることができる。また、WO95/26374に記載のNCO基含有ウレタンプレポリマーと20μm以下の固形アミンとからなる1液型熱硬化性ウレタン組成物なども用いることもできる。その他に、性能を改善する目的で難燃剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、滑剤などの添加剤や、無機化合物及び/または有機化合物からなる各種フィラーを加えることができる。
被覆の構造としては、光ファイバの素線を被覆することによりプラスチック光ファイバケーブル製造が可能となる。その際にその被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆では、たとえばコネクタとの接続部などにおいて被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。
しかし、ルース型の被覆の場合、被覆と素線が密着していないので、ケーブルにかかる応力や熱とはじめとするダメージの多くを被覆材層で緩和させることができ、素線にかかるダメージを軽減させることができるため、使用目的によっては好ましく用いることができる。水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝播を防止でき、かつ、これらの半固体や粉粒体に耐熱や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能をあわせ持つようにすることでより高い性能の被覆を形成できる。ルース型の被覆を製造するには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置を加減することで空隙層を作ることができる。空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能である。
さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けても良い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも導入は可能である。なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を加える主流となりつつある。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の対透湿性被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設けることが望ましい。
また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、難燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、ケーブルの形状は使用形態によって、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
また、本発明の光ファイバを用いたケーブルは、軸ずれに対して従来の光ファイバに比べて許容度が高いため突き合せによる接合でも用いることができるが、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本発明の光学部材としての光ファイバ、および光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等で構成される。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84-C, No.3, MARCH 2001, p.339-344 「High-Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開2003−152284号等公報に記載の導光路面に対する発光素子の配置;特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
実施例1では、プリフォーム17及び光ファイバ19を製造する際に、(a)〜(d)の観察、測定を行った。それらの結果は表1にまとめて示す。(a)得られたプリフォーム17を目視でボイドの数を観察した。(b)延伸工程18を行っている際に、延伸された光ファイバ19に発生した泡(以下、延伸泡と称する)の数を目視で観察した。(c)得られた光ファイバ19の波長650nmの条件での伝送損失を測定した。(d)得られた光ファイバ19の先端からMINI Inc.社製のLWL−Fiberlightの光入射を行い、光ファイバの途中部分から光がもれ出る箇所を観察した。その部分を反射条件にて顕微鏡観察したところ、ラグビーボール状の小さな泡(以下、微小泡と称する)が長手方向でも0.5mm〜2mm程度の大きさのものが観察された。得られた光ファイバ19の50m当たりの微小泡の数を確認した。
実験1では、押し出し成形により作製した外径20mm,内径19mm,長さ60cmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなるクラッドパイプ12を用いた。このクラッドパイプ12を充分に剛性を有する内径20mm,長さ60cmの重合容器に挿入した。このクラッドパイプ12を純水にて洗浄、90℃にて乾燥させた。その後にK850ペレット(呉羽化学(株)社製)を用いて片方の端に200℃、30分かけて底付けを行った。その後にアウターコア部作製前処理工程13を行った。エタノールにて管内壁を洗浄した後に、80℃の熱オーブンにて圧力を(大気圧に対して−0.08MPa)として12時間、減圧処理を行った。
次に、アウターコア重合工程14を行った。三角フラスコ内に、メチルメタクリレート(MMA 和光純薬(株)社製)129.0gと、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.0645gと、1−ドデカンチオール(ラウリルメルカプタン)0.516gとをそれぞれ計量してアウターコア液を得た。このアウターコア液を井内盛栄堂(株)社製の超音波洗浄装置USK−3(38000MHz、出力360W)を用いて10分間超音波照射を行った。次に、クラッドパイプ12内にそのアウターコア液を注液した後に減圧濾過装置を用いてクラッドパイプ12内を大気圧に対して0.01MPa減圧した。減圧脱気しつつ前記超音波洗浄装置を用いて超音波処理を5分間行った。
クラッドパイプ12の先端部分の空気をアルゴンにて置換後、クラッドパイプ12の先端部をシリコン栓とシールテープを用いて密閉した。アウターコア液を含んだクラッドパイプ12ごと、60℃の湯浴中にいれ、浸透させつつ2時間予備重合を行った。その後、前記予備重合を行ったクラッドパイプ12を水平状態(クラッドパイプの高さ方向が水平になる状態)で65℃の温度を保持しつつ3000rpmにて回転させながら1時間加熱重合(回転重合)を行った。その後に回転速度3000rpmで70℃,4時間、さらに3000rpmで90℃,20時間の回転重合を行った。クラッドパイプ12の内側にPMMAからなるアウターコア31を有する円筒管を得た。
次に、インナーコア部作製前処理工程15を行った。前述したアウターコア31が形成されているクラッドパイプ12を90℃の熱オーブンにて圧力を(大気圧に対して−0.08MPa)として3時間、減圧処理を行った。
さらに、インナーコア重合工程16を行った。三角フラスコ内に重水素化メチルメタクリレート(MMA−d8)60.0gと、ジ−tert−ブチルパーオキサイド10μLと、1−ドデカンチオール0.165gと、ドーパントとしてジフェニルスルフィド6.00gとをそれぞれ計量してインナーコア液を調製した。その後に超音波洗浄装置USK−3を用いて10分間超音波照射を行った。
アウターコア部が形成されているクラッドパイプ12を80℃で20分保温した後にインナーコア液を中空部に注入した。クラッドパイプ12の一端をシールテープで覆い、その後そのクラッドパイプ12をオートクレーブ内にたて置きで設定(底付け部が下、シールテープで覆った部分が上で)した後、オートクレーブの蓋をセットした。オートクレーブ内の空気をアルゴンガスにて置換し、そのなかを0.05MPaの圧力が掛かった雰囲気とした。100℃で48時間界面ゲル重合法で加熱重合させた。その後120℃で更に24時間の加熱重合及び熱処理を行った。その後にオートクレーブ外にプリフォーム17を取り出した。得られたプリフォーム17内部には目視でボイドなしを確認した。なお、本実験によるプリフォーム17のインナーコア30の製造方法をコア部静止重合法と称する。
プリフォーム17を延伸して光ファイバ19とする延伸工程18を行った。プリフォーム17を上下方向に4つの温度ゾーンを持つ電気炉(上から240℃,220℃,170℃,一番下は140℃)中に通して溶融した。プリフォーム17の先端が細くなったところで、径が470±10μmに安定させるべく延伸条件(延伸スピード,引っ張り条件)を調整しつつ延伸を連続して行った。その結果200mの光ファイバ19が得られた。延伸時には、電気炉中に置かれたプリフォーム17の先端部分及び得られた光ファイバ19では目視では問題が無かった。また、光ファイバ19に650nmのLD光(レーザーダイオード光)を通し輝点として観察される微小泡の数を測定したところ、50mあたり29個観察された。また、その光ファイバ19の伝送損失を公知の方法で測定したところ、153dB/kmであった。
実験2では、インナーコア部作製前処理工程15で、アウターコア31が形成されているクラッドパイプの減圧処理を省略した以外は、実験1と同じ条件で実験を行った。
実験3では、アウターコア部作製前処理工程13で減圧処理を省略した以外は、実験1と同じ条件で実験を行った。
実験4では、アウターコア部作製前処理工程13で減圧処理を省略した。さらに、インナーコア部作製前処理工程15で、アウターコア31が形成されているクラッドパイプ12の減圧処理も省略した以外は、実験1と同じ条件で実験を行った。ただし、微小泡の数は輝点の数が多かったので、25m長の光ファイバを観察して、50mあたりの数に算出した。
実験5では、インナーコア部作製を下記の方法に変えた以外は、実験1と同じ条件で行った。アウターコア部が形成されているクラッドパイプ12を80℃で20分保温した後にインナーコア液を中空部に注入した。クラッドパイプ12の一端をシールテープで覆い、その後そのクラッドパイプ12を回転重合装置内に水平状態(クラッドパイプの高さ方向が水平になる状態)で45℃の温度を保持しつつ2500rpmにて回転させながら2時間加熱重合(回転重合)を行った。その後に1000rpmで120℃、16時間の回転重合を行うコア部回転重合法によりインナーコア部を形成してプリフォームを得た。なお、回転重合装置内は窒素ガスに置換して実験を行った。
実験6では、インナーコア部作製前処理工程15で、アウターコア31が形成されているクラッドパイプの減圧処理を省略した以外は、実験5と同じ条件で実験を行った。
実験7では、アウターコア部作製前処理工程13で減圧処理を省略した以外は、実験5と同じ条件で実験を行った。
実験8では、アウターコア部作製前処理工程13で減圧処理を省略した。さらに、インナーコア部作製前処理工程15で、アウターコア31が形成されているクラッドパイプ12の減圧処理も省略した以外は、実験5と同じ条件で実験を行った。ただし、微小泡の数は輝点の数が多かったので10m長の光ファイバで観察し、50mあたりの数に換算した。
Figure 2005181445
表1から、アウターコア部及びインナーコア部作製前のいずれの際にも、減圧処理を行うことで、ボイド,延伸泡の発生を抑制できることが分かる。また、伝送損失の低下をも抑制できる。また、減圧処理を1回行った実験2と実験3との比較から、アウターコア部を作製する前に減圧処理を行うと伝送損失の低下をより抑制できることが分かった。
また、表1からコア部静止重合法を行った本発明に係る実験1ないし3と、コア部回転重合法を行った本発明に係る実験5ないし7とを比較すると、光ファイバ50mあたりの微小泡の数は、対応する実験のいずれでも減少している。これは、コア部(本実施例では、インナーコア部)を重合している際に、インナーコア液中に含まれていた気体及び重合時に発生した気体とが、回転により効率良く脱泡されたと考えられる。そして、微小泡の減少に伴い、伝送損失の悪化も抑制されていることが分かる。
本発明に係るプリフォームの製造工程図である。 本発明に係るプリフォームの断面図である。 本発明に係る他の実施形態のプリフォームの断面図である。 本発明に係る他の実施形態のプリフォームの断面図である。
符号の説明
12 クラッドパイプ
17,40,50 プリフォーム
19 プラスチック光ファイバ
30 インナーコア
31 アウターコア

Claims (12)

  1. クラッド部を重合体からなる中空管として、
    前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させてコア部を作製するプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法において、
    前記コア部を作製前に、前記中空管を40℃以上、前記重合体の熱変形温度(℃)以下の温度で熱処理を行うことを特徴とするプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法。
  2. クラッド部を重合体からなる中空管として、
    前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させてコア部を作製するプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法において、
    前記コア部を作製前に、前記中空管を15℃以上、前記重合体の熱変形温度(℃)以下の温度で減圧処理を行うことを特徴とするプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法。
  3. 前記熱処理または前記減圧処理の前に、前記中空管を洗浄することを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法。
  4. 前記中空管内に重合体からなる層を少なくとも1層形成した中空管を作製する工程を有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法。
  5. 請求項1ないし4いずれか1つ記載のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法で製造されたことを特徴とするプラスチック光学部材用プリフォーム。
  6. 重合体からなる中空管から形成されたクラッド部と、
    前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させて作製されたコア部とを有するプラスチック光学部材用プリフォームにおいて、
    前記コア部が中心から半径方向にかけて屈折率に分布を有することを特徴とするプラスチック光学部材用プリフォーム。
  7. 前記コア部が中心から半径方向にかけて連続的に低下する屈折率分布を有することを特徴とする請求項6記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
  8. 前記クラッド部の屈折率が前記コア部の屈折率より小さいことを特徴とする請求項6または7記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
  9. 前記クラッド部が含フッ素重合体からなることを特徴とした請求項6ないし8いずれか1つ記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
  10. 請求項6ないし9いずれか1つ記載のプラスチック光学部材用プリフォームを加熱延伸して得られることを特徴とするプラスチック光ファイバ。
  11. クラッド部を重合体からなる中空管として、
    前記中空管内に重合性組成物を注入、重合させてコア部が作製されたプラスチック光学部材用プリフォームを加熱延伸して得られるプラスチック光学部材において、
    前記延伸されたプラスチック光学部材中の短軸径10μm以上のサイズの泡が、前記延伸されたプラスチック光学部材100mあたり200個未満であることを特徴とするプラスチック光学部材。
  12. 請求項11記載のプラスチック光学部材から一定長切り出して得られるプラスチック光ファイバであって、
    前記プラスチック光ファイバ中の短軸径10μm以上のサイズの泡が、前記プラスチック光ファイバ10mあたり20個未満であることを特徴とするプラスチック光ファイバ。
JP2003418491A 2003-12-16 2003-12-16 プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光学部材及びプラスチック光ファイバ Pending JP2005181445A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003418491A JP2005181445A (ja) 2003-12-16 2003-12-16 プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光学部材及びプラスチック光ファイバ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003418491A JP2005181445A (ja) 2003-12-16 2003-12-16 プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光学部材及びプラスチック光ファイバ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005181445A true JP2005181445A (ja) 2005-07-07

Family

ID=34780695

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003418491A Pending JP2005181445A (ja) 2003-12-16 2003-12-16 プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光学部材及びプラスチック光ファイバ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005181445A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007052814A1 (en) * 2005-11-02 2007-05-10 Fujifilm Corporation Plastic optical fiber and production method thereof
CN101912948A (zh) * 2010-08-24 2010-12-15 新兴铸管股份有限公司 一种消失模壳型工艺制作耐蚀双金属管件的方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007052814A1 (en) * 2005-11-02 2007-05-10 Fujifilm Corporation Plastic optical fiber and production method thereof
CN101912948A (zh) * 2010-08-24 2010-12-15 新兴铸管股份有限公司 一种消失模壳型工艺制作耐蚀双金属管件的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005292180A (ja) プラスチック光ファイバ及びその製造方法
JP4657208B2 (ja) プラスチック光ファイバ及びその製造方法
JP4160918B2 (ja) 光通信方法
JP2007163910A (ja) プラスチック光ファイバ素線およびその製造方法
JP2005181445A (ja) プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光学部材及びプラスチック光ファイバ
JP2006330190A (ja) プラスチック光ファイバプリフォーム及びその製造方法
US20070154633A1 (en) Method and device for coating plastic optical fiber with resin
JP2005258217A (ja) プラスチック光ファイバ用クラッドパイプの製造方法及び装置
JP2006343455A (ja) プラスチック光学材料の製造方法
JP2005099129A (ja) プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光ファイバ
JP2005221879A (ja) プラスチック光学部材用母材及び製造方法並びに光ファイバ
JP2005096142A (ja) プラスチック光学部材用プリフォーム並びにその製造方法及び装置,プラスチック光ファイバ
JP2004318090A (ja) プラスチック光ファイバの製造方法及び製造装置
JP2005181446A (ja) プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法並びにプラスチック光ファイバ
JP4727435B2 (ja) プラスチック光ファイバ素線の製造方法
JP2005292668A (ja) プラスチック光ファイバの製造方法
JP2005321720A (ja) 光学部材用クラッドパイプの製造方法及び装置
JP4758774B2 (ja) プラスチック光ファイバ素線の製造方法
JP2005099196A (ja) 光伝送体及びその製造方法
JP2005099195A (ja) 光伝送体及びその製造方法
JP2006171258A (ja) 屈折率分布型プラスチック光学部材の製造方法
JP2006089624A (ja) 光学部材用重合体及びプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法
JP2005258218A (ja) プラスチック光ファイバ用クラッドパイプの製造方法及び装置
JP2005316358A (ja) プラスチック光ファイバプリフォーム及びその製造方法
JP2006178102A (ja) プラスチック光ファイバ素線およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060410

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080313

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080514