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JP2005179477A - 蓄積性蛍光体粉末、その製造方法および放射線像変換パネル - Google Patents

蓄積性蛍光体粉末、その製造方法および放射線像変換パネル Download PDF

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JP2005179477A JP2003421351A JP2003421351A JP2005179477A JP 2005179477 A JP2005179477 A JP 2005179477A JP 2003421351 A JP2003421351 A JP 2003421351A JP 2003421351 A JP2003421351 A JP 2003421351A JP 2005179477 A JP2005179477 A JP 2005179477A
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Hiroshi Matsumoto
宏志 松本
Shinichiro Fukui
真一郎 福井
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Abstract

【課題】 放射線像変換パネルに使用したときに均一で高い画質の放射線画像を与える蓄積性蛍光体粉末、その製造方法および放射線像変換パネルを提供する。
【解決手段】 中心粒径がDmμmであるとき、粒径が8×Dmμmを越える粒子を1%以上含むことない蓄積性蛍光体粉末。また、開口径L(μm)が式:2≦L/Dm≦8[ただし、Lはメッシュフィルタの開口径を表し、そしてDmは分級処理後の蓄積性蛍光体粉末の中心粒径を表す。]を満足するメッシュフィルタを用いて、粒状の蓄積性蛍光体を分級することからなる分級処理工程を含む蓄積性蛍光体粉末の製造方法。
【選択図】 なし



Description

本発明は、蓄積性蛍光体粉末、更に詳しくは特定の範囲の狭い粒径分布を有する蓄積性蛍光体粉末に関する。また、その蓄積性蛍光体粉末を製造する方法、およびその蓄積性蛍光体粉末を用いて製造した放射線像変換パネルに関するものである。
従来より、X線等の放射線が照射されると放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線等の電磁波(励起光)の照射あるいは加熱などを受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)が知られている。また、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に供されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなる。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
蛍光体層としては、蓄積性蛍光体粉末とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、気相堆積法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものなどが知られている。
また、上記放射線画像記録再生方法の別法として特許文献1には、従来の蓄積性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも蓄積性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法が提案されている。この方法は、被検体を透過などした放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光を走査して発光光を放出させ、この発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものである。このような放射線像変換パネルも、本発明に包含される。
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
これまでに、放射線画像の画質を向上させるために、放射線像変換パネルに使用する蓄積性蛍光体粉末の粒径および/または粒径分布を制御して、蛍光体層中における蛍光体の充填率を高めることが提案されている。
特許文献2には、希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造方法であって、焼成工程において蛍光体原料混合物を容器に一定の割合および一定の厚みで充填して焼成する方法が開示されている。その実施例には、焼成後、焼成物のスラリーを振動篩い(ナイロンメッシュ、#508)にかけて分級し、更に振動篩い(ナイロンメッシュ、#460)にかけて分級して、平均結晶サイズ6.2μmのユーロピウム付活弗化臭化バリウム系輝尽性蛍光体粉末を製造したことが記載されている。
特開2001−255610号公報 特開2001−64643号公報
一般に、蓄積性蛍光体粉末の中心粒径が小さいほど、蛍光体層に蛍光体粉末を高密度で充填することができ、放射線画像の画質を高めることができる。しかしながら、中心粒径が小さくても、焼成時における蛍光体の焼結などのために粒径の大きな粒子が存在すると、その部分だけ粒状性が低下して均一な画質が得られず、結果として放射線像変換パネルの品質が低下することが分かった。一方、粒径の大きな粒子を取り除くために、分級時に開口径の小さなメッシュフィルタを使用すると、得られる蛍光体粉末の収率が低下して製造コストの増加を招くことになる。
従って、本発明は、優れた画質の放射線像再生画像を与えることのできる放射線像変換パネルに適した蓄積性蛍光体粉末を提供することにある。
特に本発明は、放射線像変換パネルに使用したときに均一で高い画質の放射線画像を与える蓄積性蛍光体粉末を提供することにある。
また、本発明は、大粒径の粒子を実質的に含むことなく、かつ製造収率が高い蓄積性蛍光体粉末の製造方法を提供することにもある。
さらに、本発明は、均質で高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供することにもある。
本発明は、中心粒径をDmμmとしたとき、粒径が8×Dmμm以下の粒子が99%以上である蓄積性蛍光体粉末にある。すなわち、本発明の蓄積性蛍光体粉末は、粒径が8×Dmμm以上の粒子を1%以上の量で含むことがない。
ここで、蓄積性蛍光体粉末の中心粒径Dmとは、メジアン粒径であって、蛍光体粉末について粒径と頻度とからなる分布曲線を得たときに、体積基準での累積分布が全体粉末の50%である粒径を意味する。
また、本発明は、上記の蓄積性蛍光体粉末を製造する方法であって、粒状の蓄積性蛍光体を分級処理する工程を含み、そして該分級処理工程において、開口径L(μm)が下記式:

2 ≦ L/Dm ≦ 8

[ただし、Lはメッシュフィルタの開口径を表し、そしてDmは分級処理後の蓄積性蛍光体粉末の中心粒径を表す。]
を満足するメッシュフィルタを用いて、粒状の蓄積性蛍光体を分級することを特徴とする蓄積性蛍光体粉末の製造方法にもある。
また、本発明は、上記の蓄積性蛍光体粉末を製造する方法であって、蛍光体の原料を水溶液中で混合し、反応させて蛍光体前駆体を生成させる工程、該蛍光体前駆体を焼成する工程、および得られた焼成物をほぐし、分級処理する工程を含み、そして該ほぐし・分級処理工程において、焼成物を該焼成物を溶解しない有機溶媒、もしくは一価又は二価金属イオンを含む水系媒体に分散させてほぐした後、開口径L(μm)が下記式:

2 ≦ L/Dm ≦ 8

[ただし、Lはメッシュフィルタの開口径を表し、そしてDmは分級処理後の蓄積性蛍光体粉末の中心粒径を表す。]
を満足するメッシュフィルタを用いて、分散液を分級することを特徴とする蓄積性蛍光体粉末の製造方法にもある。
さらに、本発明は、上記の蓄積性蛍光体粉末を含む放射線像変換パネルにもある。
本発明の蓄積性蛍光体粉末は、放射線画像の画質を悪化させるような大きな粒径の粒子を実質的に含むことがないため、高い画質の放射線像再生画像を与え得る放射線像変換パネルの製造に有利に用いることができる。また、本発明の方法によれば、蛍光体の製造の際に特定のサイズのメッシュフィルタを使用して分級を行うことにより、そのような好適な蓄積性蛍光体粉末を得ることができる。そして、その蓄積性蛍光体粉末を含有する本発明の放射線像変換パネルは、均質で高い画質の放射線画像を与えることができる。
本発明の蓄積性蛍光体粉末において、中心粒径Dmは2乃至5μmの範囲にあることが好ましい。また、粒径が8×Dmμmを越える粒子を全く含まないことが好ましい。
蓄積性蛍光体は、下記基本組成式(I)を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体であることが好ましく、特には14面体の形状を有することが好ましい。

IIFX:zLn …(I)
[ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し;LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表し;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてzは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。]
本発明の蓄積性蛍光体粉末は、その中心粒径がDmμmであるとき、粒径が中心粒径Dmの8倍を越える大粒子を1%以下でしか含まないものである。好ましくは、粒径が8×Dmμmを越える大粒子を全く含まない、すなわち、最大粒径が8×Dmμm以下である。このような蛍光体粉末を放射線像変換パネルに用いることにより、局所的な粒状性の低下を有効に防ぐことができる。また、画質の点から、中心粒径Dmは2乃至5μmの範囲にあることが好ましい。
以下に、本発明の蓄積性蛍光体粉末の製造方法について、上記基本組成式(I)を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を例にとって説明する。
なお、上記基本組成式(I)を有する輝尽性蛍光体において、必要に応じて下記のような添加物が基本組成式(I)に加えられてもよい。
bA, wNI, xNII, yNIII
ただし、AはAl23、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としてはハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
また、b、w、x及びyはそれぞれ、MIIFXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成やその後の各種処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけではない。また、上記化合物には最終的な組成物において添加されたままの化合物として残留するものもあれば、MIIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。
本発明の製造方法は大きく分けて、蛍光体原料としての蛍光体前駆体を生成させる工程、該蛍光体前駆体およびその他の蛍光体原料を混合して蛍光体原料混合物を調製する工程、該蛍光体原料混合物を焼成する工程、および得られた焼成物をほぐし、分級する工程からなり、さらに必要に応じて洗浄や乾燥を行ってもよい。ただし、蛍光体原料は市場から入手可能なものも多数あり、これらを用いれば蛍光体前駆体の生成工程を省略することもできる。
[蛍光体前駆体の生成工程]
蛍光体原料の一部を反応させて蛍光体前駆体結晶を沈殿生成させることにより、粒径のより小さな蛍光体粉末を製造することができるとともに、14面体型の粒子形状の蛍光体粉末を製造することができる。蛍光体前駆体結晶は、特開平7−233369号公報に記載の合成方法I及びII、さらに以下に示す合成方法IIIにより得ることができる。特に、合成方法Iは、粒子アスペクト比が1.0〜2.0の範囲にある14面体型粒子を得るのに好ましく、合成方法IIは、粒子アスペクト比が2.0〜5.0の範囲にある柱状粒子を得るのに好ましく、そして合成方法IIIは、高い収率で蛍光体前駆体結晶を得るのに好ましい。
(合成方法I)
BaX2;Lnの水溶性化合物;並びに必要に応じて、Ba以外のMIIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩;およびNIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩を、水系媒体に溶解させて水溶液(反応母液)を調製する。反応母液中のBaX2濃度が、XがClまたはBrの場合は2.5モル/リットル以下、XがIの場合は5.0モル/リットル以下となるようにする。
この反応母液を20〜100℃の温度に保持しながら、これに無機弗化物塩の水溶液を添加して、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を生成させる。この際に、添加の速度を、最終的に得られる蛍光体前駆体結晶の沈殿物の量をNとしたとき、添加中に生成する沈殿物の量が0.001N/分〜10N/分の範囲となるように調整する。次いで、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を水溶液から分離する。
(合成方法II)
NH4X;Lnの水溶性化合物;並びに必要に応じて、Ba以外のMIIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩;およびNIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩を、水系媒体に溶解させて水溶液(反応母液)を調製する。反応母液中のNH4X濃度が、2.0モル/リットル以上4.5モル/リットル以下となるようにする。
この反応母液を20〜100℃の温度に保持しながら、これに無機弗化物塩の水溶液とBaX2の水溶液を添加して、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を生成させる。この際に、無機弗化物塩の弗素とBaX2のモル比率を一定に維持しながら添加する。また、添加の速度を、最終的に得られる蛍光体前駆体結晶の沈殿物の量をNとしたとき、添加中に生成する沈殿物の量が0.001N/分〜10N/分の範囲となるように調整する。次いで、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を水溶液から分離する。
(合成方法III)
BaX2;BaCO3;Lnの水溶性化合物;並びに必要に応じて、Ba以外のMIIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩;およびNIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩を、水系媒体に溶解、分散させて懸濁液(反応母液)を調製する。反応母液中のBaX2濃度が、XがClまたはBrの場合は2.5モル/リットル以下、XがIの場合は5.0モル/リットル以下となるようにする。
この反応母液を20〜100℃の温度に保持しながら、これに弗化水素酸の水溶液を添加して、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を生成させる。この際に、添加の速度を、最終的に得られる蛍光体前駆体結晶の沈殿物の量をNとしたとき、添加中に生成する沈殿物の量が0.001N/分〜10N/分の範囲となるように調整する。次いで、蛍光体前駆体結晶(BaFX:Ln)の沈殿物を水溶液から分離する。
なお、上記において「水溶液」とは、「溶質」を「水系媒体」に溶解したものをいう。また、「水系媒体」とは、水は勿論のこと、水と親和性の高い液体(例えば、アルコール等)を単独または複数混合したもの、あるいはこれらと水とを混合したものを含む概念であり、これらのなかでも水が最も好ましい。「溶質」は、水溶液の種類(原料溶液、反応母液、添加用の水溶液)により適宜選択される。
[蛍光体原料混合物の調製工程]
輝尽性蛍光体の原料混合物を調製する。蛍光体原料は、特に制限されるものではなく、公知のいずれの方法によって得たものであってもよい。
蛍光体原料としては、下記原料(1)〜(6)を挙げることができる。
(1)上記工程で得られた蛍光体前駆体結晶(BaFCl:Ln、BaFBr:Ln、BaFI:Ln等)。ただし、この蛍光体前駆体結晶には、希土類元素Ln、Ba以外のアルカリ土類金属MII、およびアルカリ金属NIが含まれていなくてもよい。
(2)BaF2、BaCl2、BaBr2、BaI2、BaFCl、BaFBrおよびBaFIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン化バリウム。
(3)MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2、CaF2、CaCl2、CaBr2、 CaI2、SrF2、SrCl2、SrBr2およびSrI2からなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属ハロゲン化物。
(4)LiF、LiCl、LiBr、LiI、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBrおよびCsIからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属ハロゲン化物。
(5)Al23、SiO2および ZrO2からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属酸化物。
(6)希土類元素(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb)のハロゲン化物、酸化物、硝酸塩、硫酸塩等の化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物。
所望により、さらにハロゲン化アンモニウム(NH4X’、但し、X’はF、Cl、BrまたはIを表す。)等をフラックスとして使用してもよい。
上記蛍光体原料(1)〜(6)の中から必要な原料を選択し、前記基本組成式(I)に相当する組成比となるように化学量論的に秤量、混合する。
蛍光体原料混合物の調製は、公知の混合方法の中から適宜選択して行うことができるが、例えば、下記(i)〜(iv)の方法により行ってもよい。
(i)蛍光体原料(1)〜(6)を秤量し、単に混合する方法。
(ii)蛍光体原料(1)〜(5)を秤量、混合した後、この混合物を100℃以
上の温度で数時間加熱し、次いで得られた熱処理物に蛍光体原料(6)を混合する方法。
(iii)蛍光体原料(1)〜(6)を秤量、混合した後、この混合物を100℃以
上の温度で数時間加熱する方法。
(iv)蛍光体原料(1)〜(5)を懸濁液の状態で混合し、この懸濁液を加温下
で、好ましくは50〜200℃で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥した後、得られた乾燥物に蛍光体原料(6)を混合する方法。
また、上記調製方法(iv)の変法として、蛍光体原料(1)〜(6)を懸濁液の状態で混合し、この懸濁液を乾燥する方法(iv−2)、蛍光体原料(2)及び(6)を含有する懸濁液を、加温、好ましくは50〜200℃に加温した後、あるいは加温下で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥した後、得られた混合物に蛍光体原料(3)〜(5)を混合する方法(iv−3)、あるいは、焼成を二回以上行う場合には、蛍光体原料(1)〜(3)を懸濁液の状態で混合し、蛍光体原料(4)〜(5)を一次焼成後に添加した後、この懸濁液を加温下で、好ましくは50℃〜200℃で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥し、得られた乾燥物に蛍光体原料(6)を混合する方法(iv−4)、なども好適に挙げることができる。
さらに、蛍光体原料の混合に際して、剪断力を付与しうる手段を利用した調製方法(v)、各蛍光体原料の添加、混合のタイミング等の種々条件を制御しうる手段を利用した調製方法(vi)を利用することもできる。混合装置としては、公知の混合装置の中から適宜選択して用いることができ、例えば、各種ミキサー、V型ブレンダー、ボールミル、ロッドミル、ジェットミル、自動乳鉢等を挙げることができる。
輝尽性蛍光体の製造の際、輝尽発光量、消去性能等をさらに改良する目的で、下記のような種々の添加成分を添加することもできる。前記基本組成式(I)に含まれる元素以外の元素、例えば、B、O、S、Asに代表される非金属元素;Al、Ge、Snに代表される両性元素;V、Be、Mn、Fe、Ni、Co 、Cu、Agに代表される金属元素;およびテトラフルオロホウ酸化合物、ヘキサフルオロ化合物など。これらの添加成分は、蛍光体原料を秤量、混合するとき、あるいは焼成前に添加、混合される。
[焼成工程]
蛍光体原料混合物の焼成は、以下に示す焼成方法I及びIIにより行われる。焼成方法Iは、蛍光体原料として前記生成工程で得られた蛍光体前駆体結晶の沈殿物を用いた場合に好適な方法である。焼成方法IIは、蛍光体原料として蛍光体前駆体結晶の沈殿物を用いた場合でも、あるいは前記生成工程を省略して単に蛍光体原料混合物を調製した場合でも適用することができる。
(焼成方法I)
上記工程で得られた蛍光体原料混合物、または仮焼成された蛍光体原料混合物を、石英ボート、石英るつぼ等の耐熱容器に充填した後、電気炉の炉芯に入れて500〜1000℃の温度で、0.5〜12時間、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気などの中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元雰囲気、あるいは減圧雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気で焼成する。
(焼成方法II)
上記工程で得られた蛍光体原料混合物、または仮焼成された蛍光体原料混合物を、石英るつぼ等の耐熱容器に充填した後、電気炉の炉芯に入れて800〜1300℃の温度で、0.5〜12時間、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気などの中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元雰囲気、あるいは減圧雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気で第一の焼成を行う。
第一焼成により固化した蛍光体前駆体を、粉砕器を用いて粉砕した後、蛍光体前駆体に金属酸化物微粒子粉体からなる焼結防止剤を混合する。次いで、これを石英ボート等の耐熱容器に充填した後、電気炉の炉芯に入れて500〜1000℃の温度で、0.5〜12時間、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気などの中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元雰囲気、あるいは減圧雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気で第二の焼成を行う。
[ほぐし・分級処理工程]
分級処理に先立って、蛍光体粒子同士の焼結や凝集をほぐして蛍光体の収率を上げるために、焼成物にほぐし処理を行うことが好ましい。具体的には、焼成物を溶解しない有機溶媒、もしくは一価又は二価金属イオンを含む水系媒体に、焼成物を分散させて撹拌し、これにより焼成による焼結および凝集を緩和する。焼成物を溶解しない有機溶媒としては、メタノール等の低級アルコールが挙げられる。一価又は二価金属イオンを含む水系媒体としては、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+および/またはBa2+を含む水溶液を挙げることができる。これら金属イオンは通常は、ハロゲン化物などの金属塩としてその飽和濃度以下(好ましくは飽和濃度の1/10乃至9/10)で水に添加される。分散装置としては、前述した混合装置を用いることができる。ほぐし処理時間は、一般には1乃至24時間である。
次いで、分散液(焼成物のスラリー)をメッシュフィルタに通して湿式で分級処理を行う。本発明において、メッシュフィルタとしては、開口径L(μm)が下記式を満足するメッシュフィルタが用いられる。

2 ≦ L/Dm ≦ 8

[ただし、Lはメッシュフィルタの開口径を表し、そしてDmは分級処理後の蛍光体粉末の中心粒径を表す。]
上記式において、L/Dmが8を越えると、蛍光体粉末を放射線像変換パネルに用いたときに画質の劣化を引き起こす。すなわち、パネル中に中心粒径Dmμmの8倍より大きな粉末が存在すると、得られた放射線画像上に視認可能な粒状性の低下が生じることになる。一方、L/Dmが2より小さいと、得られた蛍光体の収率が著しく低下してしまう。よって、例えば、中心粒径Dmが5μmである場合には、開口径が10μm以上で40μm以下のメッシュフィルタを使用する。
分級処理後、分散液を固液分離し、乾燥する。
なお、分級処理は必ずしも湿式で行う必要はなく、焼成物を必要により粉砕したのち乾式で行ってもよい。
このようにして、下記基本組成式(I)を有し、中心粒径がDmμmであるとき、粒径が8×Dmμmを越える粉末を1%以上含むことがない(もしくは全く含まない)希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の粉末が得られる。

IIFX:zLn …(I)
[ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し;LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表し;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてzは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。]
なお、蛍光体製造の際に焼成工程の前後で、組成の変化が生じうるため、蛍光体前駆体の各成分の比と出来上がった蛍光体の各成分の比は若干異なる場合がある。
本発明に係る蓄積性蛍光体は、上記の輝尽性蛍光体に限定されるものではなく、公知の各種の輝尽性蛍光体および蓄積性蛍光体を包含する。好ましくは、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体であり、他の例としては、セリウム付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体を挙げることができる。
また、本発明の蓄積性蛍光体粉末の製造方法は、上記の方法に限定されるものではなく、公知の任意の方法によって蓄積性蛍光体を生成させた後、生成した蛍光体に上記の分級処理を施すことができる。
得られた本発明の蓄積性蛍光体粉末は、蛍光体材料を必要とする様々な用途に使用することができる。特に、放射線変換パネルの蓄積性蛍光体として好ましく使用することができる。
次に、上記の蓄積性蛍光体粉末を含む本発明の放射線像変換パネルについて詳細に説明する。
支持体は通常、柔軟な樹脂材料からなる厚みが50μm乃至1mmのシートまたはフィルムである。支持体は透明であってもよく、あるいは支持体に、励起光もしくは発光光を反射させるための光反射性材料(例、アルミナ粉末、二酸化チタン粉末、硫酸バリウム粉末)を充填してもよく、あるいは空隙を設けてもよい。または、支持体に励起光もしくは発光光を吸収させるため光吸収性材料(例、カーボンブラック)を充填してもよい。支持体の形成に用いることのできる樹脂材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂材料を挙げることができる。さらに、放射線画像の鮮鋭度を高める目的で、支持体の蛍光体層が形成される側の表面(支持体表面に下塗層、光反射層あるいは光吸収層等の補助層が設けられる場合には、それら補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよい。
支持体上には、所望により、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、アルミナ、二酸化チタン、硫酸バリウムなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などが設けられてもよい。またあるいは、その上に設けられる層との密着性を高めるために下塗層が設けられてもよい。
支持体上には、前述した本発明の蓄積性蛍光体粉末を含有する蛍光体層が設けられる。
前記蓄積性蛍光体粉末を結合剤と共に適当な有機溶剤に分散溶解して、塗布液を調製する。塗布液中での結合剤と蛍光体との比率は通常、1:1乃至1:100(重量比)の範囲にあり、好ましくは1:8乃至1:40(重量比)の範囲にある。蓄積性蛍光体粉末を分散支持する結合剤については様々な種類の樹脂材料が知られており、本発明に係る蛍光体層の形成においても、それらの公知の結合剤樹脂を中心とした任意の樹脂材料から適宜選択して用いることができる。また、塗布液調製用の有機溶剤についても公知の有機溶剤の中から適宜選択して用いることができる。なお、塗布液には更に、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤、蛍光体層の変色を防止するための黄変防止剤、硬化剤、架橋剤など各種の添加剤が混合されていてもよい。
この塗布液を支持体表面にドクターブレード、ロールコータ、ナイフコータなど通常の塗布手段を用いて、均一に塗布して塗膜を形成する。この塗膜を乾燥して、支持体上への蓄積性蛍光体層の形成を完了する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによっても異なるが、通常は20μm乃至1mmの範囲にあり、好ましくは50乃至500μmの範囲にある。
蓄積性蛍光体層は、必ずしも一層である必要はなく、二層以上で構成されていてもよく、その場合に各層で蛍光体の種類や粒径、結合剤と蛍光体との混合比を任意に変えることができる。
また、蓄積性蛍光体層を支持体上に直接形成する必要はなく、別に用意した基板(仮支持体)上に蛍光体層を形成した後、蛍光体層を基板から引き剥がし、支持体上に接着剤等を用いて接着する方法を利用してもよい。
蓄積性蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムからなる保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粉末、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にある。
保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粉末フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
上述のようにして本発明の放射線像変換パネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各種のバリエーションを含むものであってもよい。例えば、画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を励起光を吸収し発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよい。
また、蓄積性蛍光体層に隣接して、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体を含む層が設けられていてもよい。そのような蛍光体の例としては、LnTaO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハロゲンである)、Gd22S:Tb、Gd22S:Pr,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga512:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。これらの蛍光体の粉末も、その中心粒径がDmμmであるとき、粒径が8×Dmμmを越える粉末を1%以下でしか含まない(もしくは全く含まない)ことが望ましい。
[実施例1]
(1)蛍光体前駆体の生成
(蛍光体前駆体1)臭化バリウム(BaBr2)水溶液に、臭化カリウム(KBr)、臭化カルシウム(CaBr2)および臭化ユーロピウム(EuBr3)を添加し、混合した。得られた水溶液を撹拌しながら、弗化アンモニウム(NH4F)水溶液を一定の速度で添加し、反応させて沈殿物を得た。反応終了後、沈殿物を吸引濾過により固液分離し、これをメタノールで洗浄し、真空加温乾燥して、14面体型のK及びCa含有ユーロピウム付活弗化臭化バリウム蛍光体前駆体(BaFBr:Eu)の粉末を得た。
(蛍光体前駆体2)炭酸バリウム(BaCO3)を沃化水素酸(HI)に添加し混合して、スラリー状の液体を得た。この液体を濃縮して沃化バリウム(BaI2)懸濁液を得た。次に、この懸濁液に沃化ユーロピウム(EuI3)を添加し混合した。さらに、懸濁液に弗化水素(HF)を一定の速度で添加して反応させた。反応終了後、沈殿物を吸引濾過により固液分離し、これを2−プロパノールで洗浄し、真空加温乾燥して、ユーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体前駆体(BaFI:Eu)の粉末を得た。
(2)蛍光体原料混合物の調製
蛍光体前駆体1及び2を、BrとIの組成比が85:15となるような割合で混合し、更に焼結防止のためにアルミナ超微粉末を1重量%添加し、ミキサで充分に混合して、蛍光体原料混合物を得た。
(3)焼成
この蛍光体原料混合物100gを石英ボートに入れ、石英チューブ炉芯管がヒータ部に挿入されてなる焼成炉を用いて焼成した。焼成は、温度850℃、弱酸化性雰囲気(大気圧下、窒素/酸素混合雰囲気、酸素分圧13.3hPa)中で、2時間かけて行った。焼成後、炉芯管を引き抜き、炉芯管内部を真空排気しながら、室温まで冷却した。
(4)ほぐし・分級処理
この焼成物にメタノール100gを加え、3時間かけて撹拌してほぐし処理した後、分散液をナイロンメッシュ(開口径L:10μm)に通して湿式分級処理を行った。更にナイロンメッシュに通した分散液を濾紙により固液分離し、温風乾燥して、本発明の14面体型のK及びCa含有ユーロピウム付活弗化臭化沃化バリウム蛍光体[(Ba0.999,Ca0.001)F(Br0.85,I0.15):0.0001K,0.005Eu)の粉末を得た。電気抵抗法(コールター法)粒子サイズ分布測定装置により測定したところ、中心粒径Dmは3.0μmであり、粒径10μm以上の粒子を含まなかった(最大粒径が9.5μmであった)。
[実施例2]
実施例1の(4)分級処理において、ナイロンメッシュ(開口径L:20μm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の14面体型のユーロピウム付活弗化臭化バリウム系蛍光体粉末を得た。中心粒径Dmは3.0μmであり、粒径20μm以上の粒子を含まなかった。
[比較例1]
実施例1の(4)分級処理において、ナイロンメッシュ(開口径L:4μm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための14面体型のユーロピウム付活弗化臭化バリウム系蛍光体粉末を得た。中心粒径Dmは2.5μmであり、粒径5μm以上の粒子を含まなかった。
[比較例2]
実施例1の(4)分級処理において、ナイロンメッシュ(開口径L:30μm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための14面体型のユーロピウム付活弗化臭化バリウム系蛍光体粉末を得た。中心粒径Dmは3.0μmであり、粒径24μmを越える粒子を多少含んでいた。
[比較例3]
実施例1の(4)分級処理において、ナイロンメッシュ(開口径L:50μm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための14面体型のユーロピウム付活弗化臭化バリウム系蛍光体粉末を得た。中心粒径Dmは3.0μmであり、粒径24μm以上の粒子を多少含んでいた。
[実施例3] 放射線像変換パネル
(1)蛍光体シートの作製
蛍光体:実施例1、2及び比較例1〜3のうちのいずれかの
輝尽性蛍光体粉末 200g
結合剤:HDI系ポリウレタンエラストマー(パンデックスT-5265H
[固形]、大日本インキ化学工業(株)製) 7.1g
架橋剤:HDI系ポリイソシアネート(コロネートHX
[固形分100%]、日本ポリウレタン工業(株)製) 0.90g
黄変防止剤:エポキシ樹脂(エピコート#1001、
油化シェルエポキシ(株)製) 2.0g
着色剤:群青(SM-1、第一化成工業(株)製) 0.022g
上記組成の材料を撹拌容器内のメチルエチルケトンに加えた後、撹拌容器の周囲に冷却水を流しながら回転速度2500rpm(周速度:約18m/秒)で2時間撹拌し、蛍光体粉末を分散させて粘度が30PS(25℃)の塗布液を調製した。この塗布液をポンプで一定流量塗工ヘッドへ送液し、一方、表面がシリコン系離型剤(0.1μm)で処理されたポリエチレンテレフタレートシート(仮支持体、厚み:188μm)を送り速度1m/分で移送して、仮支持体の離型剤処理面上に塗布液を塗布した。この仮支持体をオーブンに搬送して、70℃で10分、85℃で10分および100℃で10分乾燥して、仮支持体上に蛍光体シート(厚み:190μm)を形成した。
(2)下塗層の形成
透明なポリエチレンテレフタレートシート(支持体、厚み:250μm)上に、軟質アクリル樹脂(クリスコートP-1018GS[20%トルエン溶液]、大日本インキ化学工業(株)製)をドクターブレードを用いて均一塗布し、乾燥して、支持体上に下塗層(層厚:20μm)を形成した。
(3)蓄積性蛍光体層の付設
仮支持体から蛍光体シートを剥ぎ取り、支持体の下塗層表面に重ね合わせて圧縮を行った。圧縮操作は、カレンダロールを用いてロール温度90℃で行った。この加熱圧縮処理により、支持体に蛍光体シートを完全に接着させて、支持体上に下塗層を介して蓄積性蛍光体層(層厚:150μm、充填密度:3.35g/cm3)を付設した。
(4)保護層の形成
蓄積性蛍光体層の上に、透明フッ素樹脂と架橋剤を含む塗布液を塗布し、乾燥して、保護層(層厚:3μm)を形成した。
以上のようにして、支持体、下塗層、蓄積性蛍光体層および保護層から構成された各種の放射線像変換パネルを製造した。
[放射線像変換パネルの性能評価]
各放射線像変換パネルについて、画質(粒状性)の評価を行った。パネルにモリブデン管電圧28kVpのX線を18mR照射した後、励起エネルギー4.3J/m2の半導体レーザ光(波長:660nm)を照射して、パネルからの輝尽発光光を受光器(分光感度S−5の光電子増倍管)で検出し、得られた画像データから2サイクル/mmのウイナースペクトル(空間周波数に分解した粒状値)を求めた。これにより、画質を以下の基準にて評価した。
AA:極めて良好、 A:良好、 B:やや不良、
C:不良であって実用上問題がある
得られた結果をまとめて表1に示す。
表 1
────────────────────────────────
実施例 メッシュ開口径 蛍光体収率 パネルの画質
(μm) (%)
────────────────────────────────
実施例1 10 88 AA
実施例2 20 92 A
────────────────────────────────
比較例1 4 62 AA
比較例2 30 98 B
比較例3 50 99 C
────────────────────────────────
表1の結果から明らかなように、本発明に従って開口径Lが2×Dm〜8×Dm(6〜24μm)の範囲にあるメッシュフィルタで分級処理して得られた本発明の輝尽性蛍光体粉末及び放射線像変換パネル(実施例1、2)はいずれも、画質の良好な放射線画像を与え、そして蛍光体の収率も高かった。一方、開口径Lが2×Dm(5μm)に満たないメッシュフィルタで分級処理して得られた比較のための輝尽性蛍光体粉末及び放射線像変換パネル(比較例1)は、放射線画像の画質は良好であったものの、蛍光体の収率が非常に低かった。また、開口径Lが8×Dm(24μm)を越えるメッシュフィルタで分級処理して得られた比較のための輝尽性蛍光体粉末及び放射線像変換パネル(比較例2、3)はいずれも、蛍光体収率は高かったものの、画質が不充分であった。

Claims (8)

  1. 中心粒径をDmμmとしたとき、粒径が8×Dmμm以下の粒子が99%以上である蓄積性蛍光体粉末。
  2. 中心粒径Dmが2乃至5μmの範囲にある請求項1に記載の蓄積性蛍光体粉末。
  3. 蓄積性蛍光体が、下記基本組成式(I):

    IIFX:zLn …(I)

    [ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し;LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表し;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてzは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。]
    を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である請求項1もしくは2に記載の蓄積性蛍光体粉末。
  4. 希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が14面体の粒子形状にある請求項3に記載の蓄積性蛍光体粉末。
  5. 製造した蓄積性蛍光体粉末を、開口径L(μm)が下記式:

    2 ≦ L/Dm ≦ 8

    [ただし、Lはメッシュフィルタの開口径を表し、そしてDmは分級処理後の蓄積性蛍光体粉末の中心粒径を表す。]
    を満足するメッシュフィルタを用いて分級することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の蓄積性蛍光体粉末の製造方法。
  6. 蓄積性蛍光体粉末を、該蓄積性蛍光体粉末を溶解しない有機溶媒、もしくは一価又は二価金属イオンを含む水系媒体に分散させた後、分散液をメッシュフィルタにかけて湿式分級する請求項5に記載の蓄積性蛍光体粉末の製造方法。
  7. 蓄積性蛍光体の原料を水溶液中で混合し、反応させて蛍光体前駆体を生成させる工程、該蛍光体前駆体を焼成する工程、得られた焼成物を該焼成物を溶解しない有機溶媒、もしくは一価又は二価金属イオンを含む水系媒体に分散させてほぐす工程、そして該焼成物の分散液を、開口径L(μm)が下記式:

    2 ≦ L/Dm ≦ 8

    [ただし、Lはメッシュフィルタの開口径を表し、そしてDmは分級処理後の蓄積性蛍光体粒子の中心粒径を表す。]
    を満足するメッシュフィルタを用いて分級する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の蓄積性蛍光体粉末の製造方法。
  8. 請求項1乃至4のいずれかの項に記載の蓄積性蛍光体粉末を含む放射線像変換パネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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