[go: up one dir, main page]

JP2005162831A - 蛍光体、その製造方法および表示装置 - Google Patents

蛍光体、その製造方法および表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005162831A
JP2005162831A JP2003401908A JP2003401908A JP2005162831A JP 2005162831 A JP2005162831 A JP 2005162831A JP 2003401908 A JP2003401908 A JP 2003401908A JP 2003401908 A JP2003401908 A JP 2003401908A JP 2005162831 A JP2005162831 A JP 2005162831A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
green
fluorescent
phosphor
red
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003401908A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsu Tanaka
克 田中
Shinji Okamoto
信治 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Hoso Kyokai NHK, Japan Broadcasting Corp filed Critical Nippon Hoso Kyokai NHK
Priority to JP2003401908A priority Critical patent/JP2005162831A/ja
Publication of JP2005162831A publication Critical patent/JP2005162831A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

【課題】マスク蒸着法やウエットプロセスを用いることなく、実用レベルの画面サイズを有するマルチカラーやフルカラーの自発光型の画像表示装置を低コストかつ簡便に得る。
【解決手段】Euを100モル%固溶したEuGa2S4またはEuAl2S4により緑色蛍光薄膜を形成し、次にその緑色蛍光薄膜の所定領域に対して熱アニール処理を施して緑色発光領域中にパターン化された赤色発光領域を有する蛍光薄膜4を形成する。熱アニール処理はレーザアニール法を用い、大気等の酸素を含んだ雰囲気中において、550℃で1時間に亘る加熱処理を行う。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電界の印加によって発光するEL素子や電子線の照射によって発光するFED等の蛍光体、その製造方法および表示装置に関するものであり、特にその発光層に用いられる赤色の蛍光体、その製造方法および該蛍光体を用いたEL素子およびFED等の表示装置に関するものである。
無機の蛍光材料を用いたエレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単にEL表示装置とも称する)および電界放出型表示装置(Field Emission Display: 以下単にFEDとも称する)は、薄型、自発光、軽量、高コントラストなどの特長に加えて、動作温度範囲が広く、長寿命であること等により高い信頼性を有することが、他の平面型表示装置に比べての優位な点であり、注目を集めている。特に前者は、車載用スピードメータや医療用機器等の表示装置等を始めとして各種の用途に実用化され、高い評価を得ている。
従来、前者のEL表示装置の発光層としては蛍光薄膜が用いられており、一方、後者のFEDの発光層としては蛍光粉体が用いられている。
ただし、上記後者においては、表示装置内において蛍光粉体の表面から放出されるガスを抑制することが求められ、また、蛍光粉体の帯電防止や表示画像の高精細化等の課題もあるため、発光層として、薄膜EL表示装置と同様に蛍光薄膜を使用することも提案されている(下記非特許文献1および本願発明者による下記特許文献1を参照)。
ところで、このような蛍光体薄膜を用いて、マルチカラー画像やフルカラー画像の表示装置を作製することが知られている。
しかしながら、色純度の良好な青、緑、赤の3原色の薄膜蛍光体材料自体の開発が難しく、また、歩留まりの低下や蛍光体材料の劣化を生じない3色塗り分けが難しいという事情があるために、色純度の良好な緑色/赤色マルチカラー画像やフルカラー画像の表示装置が実用化されるまでには至っていない。
H. Nakajima, H. Kominami, T.Aoki, Y. Nakanishi and Y. Hatanaka: J. Lumine. Vol. 87-89 (2000) 1146 D. Seale, L. Rodrigues, C. Werner and D. Irvine: SocietyInformation Display 2002 Int. Symp. Digest. Boston (2002) 109-111 特願2003-308638号明細書
色純度の良好な緑色/赤色マルチカラーやフルカラーの画像表示装置を実現するための最も単純な構造は、各画素中において、緑、赤の2原色または青、緑、赤の3原色の各色毎に、蛍光薄膜を平面的に塗り分けて(パターンニング)形成することにより得られる。
しかしながら、この蛍光薄膜を2色または3色に塗り分けるための作製プロセスは、前述したように画素形成の歩留まりの低下とパネル製造コストの大幅な増加を招きやすい。
例えば、フルカラーの場合、青、緑、赤の3原色各材料の蒸着毎に蒸着マスクの孔の位置をずらしながら形成する手法(以下、マスク蒸着法と称することがある)が最も簡便な手法として知られているが、このような手法を採用した場合、実用レベルの表示装置、特にパネル面積の大きなものを作製する上で多くの問題が発生する。
すなわち、蒸着マスクがその自重でたわみ易く、パネル面積が大きくなるほどそのたわみ量が大きくなり、また、蒸着処理中には、パネル基板上で薄膜を結晶化させるための基板加熱および蒸着材料の加熱セルからの輻射熱による加熱温度に応じて、パネル基板および蒸着マスクが伸縮するという問題が生じる。
このため、ミクロンオーダーの加工精度が要求される表示装置の単位画素を形成する際には、位置合せ等において十分な精度が得られず、5インチ程度の小面積のマルチカラーおよびフルカラーの表示装置の作製は可能であるが、それ以上の大面積用の表示装置の作製に用いることが難しい。
他方、パネル面積を大型化する上で有利な塗り分けプロセスとして、半導体プロセスにおいて既に技術的に確立されているウエットプロセスを用いる手法が考え得るが、この手法を用いた場合には、有機溶媒や水分が蛍光薄膜中に取り込まれやすく、蛍光薄膜の劣化や歩留まりの低下を招くため、蛍光薄膜形成プロセスとしては、余り好ましくない。
このウエットプロセスを用いて、緑、赤の2原色や青、緑、赤の3原色を塗り分ける手法としては、上記非特許文献2に記載されたものが最近公表されている。この非特許文献2に記載されたものでは、有機溶媒としてメタノールやHClが用いられており、これらの溶媒は特に水分を含有しやすく、蛍光体とりわけ硫化物系の蛍光体の劣化を引き起こす水分を完全に除去することは極めて困難である。
したがって、上述したマスク蒸着法やウエットプロセスを用いることなく、緑、赤の2原色あるいは青、緑、赤の3原色の新たな蛍光薄膜の創出、および、それらを自律的に、かつ簡便に塗り分ける手法の創出が、実用レベルの画面サイズを有するマルチカラーやフルカラーの画像表示装置を実現する上で強く望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、マスク蒸着法やウエットプロセスを用いることなく、実用レベルの画面サイズを有するマルチカラーやフルカラーの画像表示装置を低コストかつ簡便に実現可能な蛍光体、その製造方法および表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の蛍光体は、EuGaOを含む赤色蛍光薄膜または赤色蛍光粉体からなることを特徴とするものである。
また、上記蛍光体からなる赤色発光領域が、EuGaを含む緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体からなる緑色発光領域中にパターン化されて形成されていることを特徴とするものである。
さらに、本発明の蛍光体は、EuAlOを含む赤色蛍光薄膜または赤色蛍光粉体からなる赤色発光領域が、EuAlを含む緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体からなる緑色発光領域中にパターン化されて形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の蛍光体の製造方法は、蛍光材料として、Euを100モル%固溶したEuGaを用いて緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体を形成し、この後、この緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体を酸素雰囲気中に配した状態で熱アニール処理を施して赤色蛍光薄膜または赤色蛍光粉体を形成することを特徴とするものである。
また、本発明の蛍光体の製造方法は、蛍光材料として、Euを100モル%固溶したEuGaまたはEuAlを用いて緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体を形成し、この後、この緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体を酸素雰囲気中に配した状態で、該緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体の所定領域に対して熱アニール処理を施して緑色発光領域中にパターン化された赤色発光領域を有する蛍光薄膜または蛍光粉体を形成することを特徴とするものである。
また、本発明の蛍光体の製造方法において、前記熱アニール処理が、前記緑色蛍光薄膜上または緑色蛍光粉体上にレーザ光を照射するレーザアニール法を用いた処理であることが好ましい。
また、本発明の表示装置は、前述したいずれかの蛍光体を用いて形成された発光層を備えたことを特徴とするものである。
さらに、前記表示装置は、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置または電界放出型表示装置(FED)である。
なお、本明細書においては、熱アニール処理を施すことにより、元々の緑色蛍光体(緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体)の発光色よりも赤色方向にずれた発光をなすように形成された蛍光体は、全て上述した赤色蛍光体(蛍光薄膜または蛍光粉体)に含まれるものとする。
本発明の蛍光体によれば、色純度が良好であるEuGaOを含む赤色蛍光薄膜または赤色蛍光粉体(以下、薄膜および粉体を総称して薄膜等ということがある)により構成されており、高画質のマルチカラーやフルカラーの表示装置を作製することができる。
また、上記蛍光体からなる赤色発光領域を、EuGaを含む緑色蛍光薄膜等からなる緑色発光領域中にパターン化して形成すれば、高画質のマルチカラーやフルカラーの表示装置を容易に作製することができる。
さらに、本発明の蛍光体によれば、EuAlOを含む赤色蛍光薄膜等からなる赤色発光領域を、EuAlを含む緑色蛍光薄膜等からなる緑色発光領域中にパターン化して形成しているので、高画質のマルチカラーやフルカラーの表示装置を容易に作製することができる。
また、本発明の蛍光体の製造方法によれば、蛍光材料として、Euを100モル%固溶したEuGaを用いて緑色蛍光薄膜等を形成し、この後、この緑色蛍光薄膜等を酸素雰囲気中に配した状態で熱アニール処理を施して赤色蛍光薄膜等を形成するようにしているので、画素形成の加工精度に問題を有するマスク蒸着法を用いたり、蛍光体の劣化を生ずるウエットプロセスによる塗り分けを行うことなしに、緑色蛍光薄膜等および赤色蛍光薄膜等の蛍光体の作製が可能となり、これにより、実用レベルの画面サイズを有するマルチカラーやフルカラーの表示装置を低コストかつ簡便に実現することができる。
また、本発明の蛍光体の製造方法によれば、蛍光材料として、Euを100モル%固溶したEuGaまたはEuAlを用いて緑色蛍光薄膜等を形成し、この後、この緑色蛍光薄膜等を酸素雰囲気中に配した状態で、該緑色蛍光薄膜等の所定領域に対して熱アニール処理を施して緑色発光領域中にパターン化された赤色発光領域を有する蛍光薄膜等を形成するようにしているので、画素形成の加工精度に問題を有するマスク蒸着法を用いたり、蛍光体の劣化を生ずるウエットプロセスによる塗り分けを行うことなしに、緑色蛍光薄膜等および赤色蛍光薄膜等の蛍光体の作製が可能となり、これにより、実用レベルの画面サイズを有するマルチカラーやフルカラーの表示装置を低コストかつ簡便に実現することができる。
また、本発明の表示装置によれば、前述したいずれかの蛍光体を用いて形成された発光層を備えているので、マルチカラーやフルカラーの表示装置を作製した際に高画質なものとすることができる。
なお、薄膜EL表示装置においては蛍光体として蛍光薄膜を用いればよく、FEDにおいては蛍光体として蛍光薄膜あるいは蛍光粉体を用いればよい。
なお、上述した蛍光薄膜を用いた緑色/赤色のマルチカラーELパネルと、周知の青色の透明ELパネルとを重ね合わせることにより、フルカラーのEL表示装置を作製することが可能である。
以下、本発明の実施形態に係る蛍光体、その製造方法および表示装置について具体的に説明する。
本発明の蛍光体の製造方法の特徴は、所定の蛍光材料を用いて緑色蛍光薄膜を形成し、この後、この緑色蛍光薄膜を酸素雰囲気中で熱アニール処理を施して赤色蛍光薄膜を形成することにある。また、一般には、緑色蛍光薄膜を酸素雰囲気中に配した状態で、該緑色蛍光薄膜の所定領域に対して熱アニール処理を施して緑色発光領域中にパターン化された赤色発光領域を有する蛍光薄膜を形成することになることから、以下の実施形態1においては、この熱アニール処理、特にレーザアニール処理を用いて自律的に赤色発光領域を形成する態様についても説明する。
また、以下の実施形態2においては、フルカラー発光の表示装置を作製する態様について説明する。
<実施形態1>
本実施形態に係る蛍光体の製造方法は、緑色と赤色のマルチカラー蛍光薄膜を作製するものであり、緑色材料として、ストイキオメトリック材料EuGa2S4を用いている。
このストイキオメトリック材料EuGa2S4は、従来の低濃度の発光中心からなる蛍光薄膜に比し、発光中心をより高濃度に形成できる蛍光薄膜として、本出願人により、既に提案されたものである(特願2002-375872号明細書)。
以下、このストイキオメトリック材料EuGa2S4からなる蛍光薄膜の作製方法について説明する。
この蛍光薄膜は、分子線エピタキシ(MBE)装置により多源蒸着法を用いて成膜する。この場合において、クヌーセンセル(Knudsen Cell;Kセル)にEuおよびGa2S3を充填し、調温器を用いてKセルを加熱し、蒸発させた各原材料を所定基板上に供給する。なお、一般に、EL素子用の蛍光薄膜を作製する場合には、下部電極層や下部絶縁層を既に成膜したガラス基板上に、また、FED用の蛍光薄膜を作製する場合には、電極層を既に成膜したガラス基板上に、上記蒸発させた各原材料を供給することになる。なお、EL素子用の蛍光薄膜を作製する場合には、この蛍光薄膜を成膜した後、上部絶縁層および上部電極層を成膜する(図4参照)。
そして、積層基板上では、以下の化学反応によりEuGa2S4からなる薄膜が形成される。
Figure 2005162831
なお、上式において、適当な基板温度(405℃)以上とすると、GaSは基板上で全て再蒸発してしまい、EuGa2S4の薄膜中には残留しない。また、Kセル温度、基板温度および成膜速度の各条件は下記表1に示す通りである。
Figure 2005162831
この薄膜EL素子は、図1に示すような発光スペクトルを有する緑色のEL発光を示し、発光効率としては1kHz駆動時に10lm/Wが得られた。なお、この緑色のEL発光は波長536nm付近にピークを有するブロードな発光であり、CIE色度座標がX軸=0.29、Y軸=0.67であり、色純度は良好である。
この発光効率は、従来のZnS:Mnを発光層に用いた薄膜EL素子に緑色カラーフィルタを装着して得られる発光効率の3倍以上に相当する。
ところで、上述した3元化合物EuGa2S4は、結晶構造がすでに解析されており、その詳細は文献(Par R. Roques et.a1:Acta Cryst. (1979). B35,555-557)に開示されている。
この文献には、EuGa2S4は、斜方晶、空間群Fdddに属し、格子定数a=20.727Å,b=20.454Å,c=12.197Åで、Eu原子が8個のS原子により配位されている、旨の記載がなされている。
この結晶構造および格子定数等は、本発明者等が従前に解析した3元化合物SrGa2S4の結晶構造と略一致している(K.
Tanaka et.a1: Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 36 Part. 1 (1997) pp. 3517-3521)。
本発明者等による上記文献に記載されているように、SrGa2S4の結晶構造は、Srサイト同士の相対位置関係が、直接相互作用し難い結晶構造となっており、上記実施形態のものでは、EuGa2S4が、この結晶構造と類似した構造を有している。
そして、Eu2+イオン間の相互作用がSr2+のイオン間の相互作用に比べて、さらに小さくなるような相対位置関係を有する特異な結晶構造となっている。
このため、上記実施形態のものでは、従前のものと比べて格段に濃度消光が生じにくくなっているため、Euを80〜100モル%と格段に高濃度に固溶することが可能となっている。
これにより、発光層中で外部電界により十分加速されたキャリア(電子またはホール)、すなわちホットキャリアが、発光中心と衝突する確率は、発光中心が極めて低濃度とされていた従来の薄膜EL素子に比べて飛躍的に向上し、薄膜EL素子の発光効率を大幅に改善することができる。
次に、このようにして作製された緑色蛍光薄膜を、上部絶縁層を形成する前に、大気等の酸素を含んだ雰囲気中において、550℃で1時間加熱処理(アニール処理)を行う。
なお、上記緑色蛍光薄膜に対し、硫化水素中や窒素雰囲気中、または上述した上部絶縁層を成膜した後に大気等酸素を含む雰囲気中で550℃以上のアニール処理(熱処理)を1時間程度行うとEuGa2S4の結晶性を向上させることができるが、本実施形態においては、被覆されていない発光層に対し、酸素を含んだ雰囲気中においてアニール処理を行うことを特徴としている。
酸素を含んだ雰囲気中において、アニール処理を行うことにより、図2に示す如き発光スペクトルを有するEL発光を示す赤色蛍光薄膜が得られる。
すなわち、現用のCRT実用蛍光体であるY2O2S:Eu3+と同様に、典型的なEu3+イオンによる赤色輝線スペクトルが得られ、そのCIE色度座標はX軸=0.65、Y軸=0.34であって、色純度は良好とされている。
なお、熱処理前と熱処理後のEuGa2S4のCIE色度座標図を図3に示す。ここで、図中の三角形の各頂点は現用CRT蛍光体の緑色、赤色および青色の各発光の色度位置を表すものであり、本実施形態により得られた、熱処理前および熱処理後のEuGa2S4のCIE色度座標は、それぞれ現用CRT蛍光体の緑色および赤色の各発光の色度位置と近似した位置とされており、色純度の点でも良好であることが明らかである。
また、熱処理後の上記蛍光薄膜についてX線光電子分光法を用いて解析した結果、本蛍光薄膜は、EuGa2S4中の硫黄成分が蒸発し、酸素雰囲気中の熱処理により完全に酸化されており、酸化物蛍光体となっていることが判明した。また、本蛍光薄膜のX線回折のパターンより、この発光は、薄膜中に形成されたストイキオメトリック酸化物EuGaO3により得られていることが判明した。
また、赤色発光が得られる画素領域の形成に際しては、単純に、緑色蛍光薄膜EuGa2S4について大気等酸素を含む雰囲気中で550℃以上に加熱(アニール)処理をすれば良いため発光領域の微細加工(パターンニング)も容易であり、例えばミクロンオーダーの径まで収束したレーザ光束を所定領域に対してパルス状に照射することにより、容易に高精細な赤色発光の発光領域の形成が可能となる。
上述したレーザ光束を出力する光源としては、近年、特に発展が著しい半導体レーザを使用するのが最も効果的であり、例えば、Nd/YVO4の2次高調波を用いたレーザを用いる。ただし、CO2レーザ等の赤外線ガスレーザ等を用いることも可能である。
このようにして作製された緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜(発光層)を用いて薄膜EL表示装置および薄膜FED(薄膜電界放出型表示装置)を形成することができる。
図4は、上記実施形態により作製された緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜を用いた薄膜EL表示装置の概略(各部材は簡略化して描かれている)を示すものである。
この薄膜EL表示装置は、図4に示すように、上記実施形態による蛍光薄膜4が形成されたガラス基板(透明導電性薄膜(ITO:下部電極層)2および下部絶縁層3が成膜されたガラス基板)1の蛍光薄膜4上に上部絶縁層5および背面電極(上部電極層)6を設け、透明導電性薄膜2および背面電極6間に配された電源10からの所定の電圧が走査用駆動回路11を介して背面電極6に印加されるように構成して、蛍光発光せしめる。透明導電性薄膜2、絶縁層3、5および背面電極6は、多源蒸着法やスパッタ法等の従来より周知の薄膜作製法を用いて順次形成する。
図5は、上記実施形態により作製された緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜を用いた薄膜FEDの概略(各部材は簡略化して描かれている)を示すものである。
このFEDは、図5に示すように、上記実施形態の蛍光薄膜23が形成されたガラス基板(透明導電性薄膜(ITO:電極層)22が成膜されたガラス基板)21の蛍光薄膜23と対向するように、ダイヤモンドライクカーボンやカーボンナノチューブ等で形成された電子放出源25を配置し、この状態で真空封止し、透明導電性薄膜22および電子放出源25間に配された電源30からの所定の電圧が走査用駆動回路26を介して電子放出源25に印加されるようにして蛍光薄膜23から蛍光発光させるようにしたものである。
なお、上記実施形態1においては、緑色薄膜蛍光体材料EuGa2S4を用いた場合について説明したが、これに替えて緑色薄膜蛍光体材料EuAl2S4を用いた場合にも、同様に色純度の良好な緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜を得ることができる。緑色薄膜蛍光体材料EuAl2S4を用いた場合には、赤色発光は、薄膜中に形成されたストイキオメトリック酸化物EuAlO3により得られていることが判明した。
<実施形態2>
本実施形態は、上述した実施形態1で作製された、緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜ELパネルと、既に知られている青色蛍光薄膜ELパネルとを、蛍光発光方向に互いに重ね合わせることにより、フルカラー蛍光薄膜EL表示装置を作製する方法である。
すなわち、図6に示すように、緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜ELパネル50aと、青色蛍光薄膜ELパネル50bとを、互いの透明導電性薄膜(上部電極層)37a、37bが対向するようにして重ね合わせてフルカラー蛍光薄膜EL表示装置を作製する。
緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜ELパネル50aは、上述したように、ガラス基板31a上に、背面電極(ITO:下部電極層)32a、下部絶縁層33a、緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜34a、上部絶縁層35aおよび透明導電性薄膜(上部電極層)37aを順次積層して設け、透明導電性薄膜37aおよび背面電極32a間に配された電源40aからの所定の電圧が走査用駆動回路41aを介して透明導電性薄膜37aに印加されるように構成して、緑色および赤色の蛍光発光がなされるように構成せしめたものである。
一方、青色蛍光薄膜ELパネル50bは、上記緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜ELパネル50aと同様の積層構造をなし、ガラス基板31b上に、透明導電性薄膜(ITO:下部電極層)32b、下部絶縁層33b、青色蛍光薄膜34b、上部絶縁層35bおよび透明導電性薄膜(ITO:上部電極層)37bを順次積層して設け、透明導電性薄膜37bおよび透明導電性薄膜(ITO:下部電極層)32b間に配された電源40bからの所定の電圧が走査用駆動回路41bを介して透明導電性薄膜37bに印加されるように構成して、青色の蛍光発光がなされるように構成せしめたものである。また、青色蛍光薄膜ELパネル50bにおいては、緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜ELパネル50aから発光された緑色光および赤色光が透過し得るように、透明導電性薄膜32bおよび透明導電性薄膜37bがともに透明な電極(ITO)として形成されている。
上記青色蛍光薄膜34bとしては、最近、色純度の良好な高輝度青色薄膜蛍光体材料として注目されているBaAl2S4:Eu等を用いることが可能である。
なお、『N. Miura, M. Kawanishi, H. Matsumoto and R. Nakano: Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 38 (1999) L1291-1292』』の文献中には、スパッタ法と熱処理を用いてBaAl2S4:Eu薄膜を作製する手法が示されているが、多源蒸着法と熱処理等を用いてもBaAl2S4:Eu薄膜を容易に作製することができる。
なお、上記実施形態2における緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜ELパネル50aに使用される、熱処理前の緑色薄膜蛍光体材料としても、EuGa2S4に限られるものではなくEuAl2S4を用いることができることは勿論である。
<態様の変更>
上述した実施形態1および実施形態2では、色純度の良好な赤色発光をなす酸化物蛍光薄膜を作製している。この酸化物蛍光薄膜は、緑色蛍光薄膜材料としてのEuGa2S4またはEuAl2S4を酸素雰囲気中で熱処理することによって得られるものであるが、酸化物蛍光薄膜を得る際の熱処理に係る温度を上記よりも若干低下させるか、熱処理に係る時間を上記から若干減少させることにより、上記赤色よりもやや緑色方向にずれた赤色光を発光する酸化物蛍光薄膜を得ることができる。また、熱処理に係る温度をさらに低下させる(例えば500℃以下)か、熱処理に係る時間をさらに減少させる(例えば1時間より大幅に短い時間)ことにより、さらに緑色方向にずれた中間調の色光を発光する酸化物蛍光薄膜を得ることができる。
このような中間調の色光を発光する酸化物蛍光薄膜を、図4に示す蛍光薄膜4として用いることにより中間調の色光を発光する薄膜EL表示装置を作製することができる。
また、このような中間調の色光を発光する酸化物蛍光薄膜を、図5に示す蛍光薄膜23として用いることにより中間調の色光を発光する薄膜FEDを作製することができる。
また、上述した実施形態においては、蛍光体が蛍光薄膜である場合について説明しているが、上述した実施形態と同様のEuGa2S4またはEuAl2S4から緑色蛍光粉体を形成し、この後、緑色蛍光粉体を酸素雰囲気中に配した状態で熱アニール処理を施して赤色蛍光粉体を形成するようにしても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
すなわち、上述した実施形態において説明した各蛍光薄膜に替えて蛍光粉体を用いることができる。
なお、本発明の蛍光体、その製造方法および表示装置としては、上述した実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
例えば、本発明の表示装置の層構成材料としては各種の絶縁材料や半導体材料を用いることができる。
また、上述した実施形態のものでは、蛍光薄膜の成膜方法として、多源蒸着法を用いる例について説明しているが、他の成膜方法、例えば具体的には、電子線蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法等を用いることも可能である。
また、本実施形態のものでは、基板としてガラスを用いた場合について説明しているが、本発明の方法では、基板の素材としてガラスに限定されるものではなく、例えば、高絶縁性を有するAl2O3等からなるセラミックス基板を用いることも勿論可能である。
EuGa2S4よりなる蛍光薄膜を用いたEL素子からの緑色発光スペクトルを表す図 本実施形態に係る酸化物蛍光薄膜の赤色発光スペクトルを表す図 本実施形態に係る緑色発光および赤色発光の色度図 本実施形態により作製された蛍光薄膜を用いた薄膜EL表示装置の断面構造模式図 本実施形態により作製された蛍光薄膜を用いた薄膜FEDの断面構造模式図 本実施形態により作製された蛍光薄膜を用いたフルカラー発光の薄膜EL表示装置の断面構造模式図
符号の説明
1、21、31a、31b ガラス基板
2、22、32b、37a、37b 透明導電性薄膜
3、33a、33b 下部絶縁層
4、23、34a、34b 蛍光薄膜
5、35a、35b 上部絶縁層
6、32a 背面電極
10、30、40a、40b 電源
11、26、41a、41b 走査用駆動回路
25 電子放出源
50a 緑色/赤色のマルチカラー蛍光薄膜ELパネル
50b 青色蛍光薄膜ELパネル

Claims (7)

  1. EuGaOを含む赤色蛍光薄膜または赤色蛍光粉体からなることを特徴とする蛍光体。
  2. 請求項1記載の蛍光体からなる赤色発光領域が、EuGaを含む緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体からなる緑色発光領域中にパターン化されて形成されていることを特徴とする蛍光体。
  3. EuAlOを含む赤色蛍光薄膜または赤色蛍光粉体からなる赤色発光領域が、EuAlを含む緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体からなる緑色発光領域中にパターン化されて形成されていることを特徴とする蛍光体。
  4. 蛍光材料として、Euを100モル%固溶したEuGaを用いて緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体を形成し、この後、この緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体を酸素雰囲気中に配した状態で熱アニール処理を施して赤色蛍光薄膜または赤色蛍光粉体を形成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  5. 蛍光材料として、Euを100モル%固溶したEuGaまたはEuAlを用いて緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体を形成し、この後、該緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体を酸素雰囲気中に配した状態で、該緑色蛍光薄膜または緑色蛍光粉体の所定領域に対して熱アニール処理を施して緑色発光領域中にパターン化された赤色発光領域を有する蛍光薄膜または蛍光粉体を形成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  6. 前記熱アニール処理が、前記緑色蛍光薄膜上または緑色蛍光粉体上にレーザ光を照射するレーザアニール法を用いた処理であることを特徴とする請求項4または5記載の蛍光体の製造方法。
  7. 請求項1〜3のうちいずれか1項記載の蛍光体を用いて形成された発光層を備えたことを特徴とする表示装置。
JP2003401908A 2003-12-01 2003-12-01 蛍光体、その製造方法および表示装置 Withdrawn JP2005162831A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003401908A JP2005162831A (ja) 2003-12-01 2003-12-01 蛍光体、その製造方法および表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003401908A JP2005162831A (ja) 2003-12-01 2003-12-01 蛍光体、その製造方法および表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005162831A true JP2005162831A (ja) 2005-06-23

Family

ID=34725687

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003401908A Withdrawn JP2005162831A (ja) 2003-12-01 2003-12-01 蛍光体、その製造方法および表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005162831A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008226730A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 近接型イメージインテンシファイア

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008226730A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 近接型イメージインテンシファイア

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001294852A (ja) 蛍光体とその製造方法、薄膜の製造装置、およびel素子
JP2006114265A (ja) 微小電子源装置の製造方法
JP4047095B2 (ja) 無機電界発光素子およびその製造方法
JP2005162831A (ja) 蛍光体、その製造方法および表示装置
JP3941126B2 (ja) エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP3569625B2 (ja) 薄膜el素子の製造方法
JPH08102359A (ja) El素子の製造方法
JP3582010B2 (ja) 超格子蛍光体薄膜及びその製造方法
JP2003003159A (ja) エピタキシャル蛍光体薄膜及びその製造方法
JP2007231165A (ja) 緑色蛍光体及びその製造方法
JP3976892B2 (ja) 薄膜el素子
JPH04121992A (ja) エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP3661248B2 (ja) El素子及びその製造方法
JP5197827B2 (ja) 緑色蛍光体及びその製造方法
JPH07282978A (ja) 薄膜el素子
JPH08203672A (ja) 薄膜電場発光素子の製造方法および製造装置
JPH05114484A (ja) 薄膜エレクトロルミネツセンス素子の製造法
JP2005290196A (ja) 蛍光体材料、蛍光体薄膜及びその製造方法、発光素子、並びに、el素子
JPH0562778A (ja) 薄膜エレクトロルミネツセンス素子
JPH02272087A (ja) 薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JPH05114483A (ja) 薄膜エレクトロルミネツセンス素子の製造方法
JP2011057953A (ja) 紫外線励起及び電子線励起蛍光体、及び衝突励起型el用青色蛍光体、衝突励起型el用青色蛍光体薄膜の製造方法、薄膜el素子、薄膜elディスプレイ及び薄膜elランプ
JPH10261367A (ja) 蛍光体膜形成法
JP2002080844A (ja) エレクトロルミネッセンス材料及びそれを用いたエレクトロルミネッセンス素子
JPS6298595A (ja) 薄膜el素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070206