JP2005154597A - コークス炉の熱間補修方法 - Google Patents

Abstract

【課題】コークス炉の熱間補修において、補修コストを低減しつつ、燃焼室内のポートの閉塞を十分に防止することが可能な、コークス炉の熱間補修方法を提供すること。
【解決手段】煉瓦材の積み替えを行うコークス炉の熱間補修において、燃焼室内の配管部であり、孔部を有する煉瓦の積層体として構成されたポート部の上部に、４００℃以上、８００℃以下で燃焼する可燃性の板状部材を前記孔部を覆うように設置し、煉瓦材の積み替え終了後の前記ポート部の昇温時に、前記板状部材を焼失させることを特徴とする、コークス炉の熱間補修方法を用いる。板状部材が、セラミックシートとベークライトとの積層体であることが望ましい。
【選択図】図１

Description

本発明は、製鉄等に用いるコークスを製造するためのコークス炉において炭化室と燃焼室を隔てる煉瓦壁および燃焼室の煉瓦等の積み替えを行う熱間補修方法に関するものである。

製鉄に用いるコークスを製造するためのコークス炉は、図２に示すように石炭をコークス化する炭化室１１と、炭化室に熱を供給する燃焼室１２とが交互に並んで多数連なる構造を有し、炭化室１１と燃焼室１２を隔てる煉瓦壁（以下側壁と記載する）からの熱伝導により燃焼室１２から炭化室１１への熱の供給が行われる。炭化室１１に投入された常温の石炭は加熱されてコークスに乾留され、炭化室１１の一方の端から押し出し搬出される。このようにコークス炉の側壁は激しい温度サイクルにさらされ、石炭・コークスの搬入・搬出で繰り返し摩擦を受けるので、多くの場合、高温での体積変化が比較的小さく熱伝導性が良く機械的強度が大きい珪石煉瓦を用いて構築される。炭化室１１と燃焼室１２の下部には蓄熱室１３を、上部には天井煉瓦１４を有している。

上記のように煉瓦壁で構成されているコークス炉は、一度操業を開始して高温状態とした後に常温まで冷却すると煉瓦の転移現象による急激な体積変化が起こり崩壊する恐れがあるので、通常は１０００℃を超える高温状態に保たれている。しかし、側壁は上記のように過酷な使用環境に曝されているので、亀裂、角欠け等が発生して適宜補修する必要が生じ、炭化室内に断熱ボックスを挿入するなどして断熱してから炉内に人が入り高温状態のままで煉瓦の部分的な積み替え等を行う熱間補修が行われている。珪石煉瓦は温度に依存して熱膨張率が大きく変化し、２７０℃付近と５６０℃付近で急激に膨張・収縮する性質を有するので、炉壁の補修を行う際には補修対象の炉内を６００℃程度以上に保持して行う熱間補修とすることが煉瓦の崩壊を防ぐ上で好ましい（例えば、特許文献１参照。）。

上記のように熱間で燃焼室の煉瓦の積み替えを行う場合、積み替え作業は炭化室側から行うため、側壁の積み上げ完了と同時に燃焼室は閉鎖される。したがって、燃焼室内のガス配管に相当する穴開き煉瓦により構成されるガスポート部分は、再利用可能な場合はそのまま保持し、積み替えを行う場合には、側壁より先にまたは側壁とほぼ同時に積み上げる必要がある。
特開平６−４１５４０号公報 （第２頁、［従来の技術］）

しかし、燃焼室内のガスポート部分は、煉瓦の解体時に発生する煉瓦くずの落下による閉塞の危険や、煉瓦の積み替え時におけるモルタル等による閉塞の危険がある。このようなポート部の閉塞の発生を防止するために、例えばポート部の上部に蓋を設置することができる。しかし、蓋をしたままでは燃焼室にガスを導入できないので、人力で蓋を取り外し可能なうちに、側壁を完全に積み替える前に、側壁の上部の狭い隙間から蓋を撤去する必要がある。ポート部のうちには炉底付近に上部を有するものもあり、蓋の撤去作業は時間と手間を有するためコスト高である。また、蓋を撤去後に側壁の積み上げを完了させるため、その後の作業で発生する屑等がポート部に落下するのを防止することは不可能であった。

したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、コークス炉の熱間補修において、補修コストを低減しつつ、燃焼室内のポートの閉塞を十分に防止することが可能な、コークス炉の熱間補修方法を提供することにある。

このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
（１）、煉瓦材の積み替えを行うコークス炉の熱間補修において、燃焼室内の配管部であり、孔部を有する煉瓦の積層体として構成されたポート部の上部に、４００℃以上、８００℃以下で燃焼する可燃性の板状部材を前記孔部を覆うように設置し、煉瓦材の積み替え終了後の前記ポート部の昇温時に、前記板状部材を焼失させることを特徴とする、コークス炉の熱間補修方法。
（２）、板状部材が、セラミックシートとベークライトとの積層体であることを特徴とする（１）に記載のコークス炉の熱間補修方法。

本発明によれば、コークス炉の熱間補修において、煉瓦積み替え作業や積み替え終了後の昇温時に、燃焼室の各ポートに煉瓦屑等が落下して閉塞するのを防止することができる。また、ポート閉塞防止のための作業を簡略化して、低コストで閉塞を防止できる。

図１はコークス炉の燃焼室内の配管部の水平断面の概略図である。燃焼室内の配管部であり、孔部を有する煉瓦の積層体として構成されたポート部１は、ガス排出部であるポート部の上部位置の違いにより種類が異なり、ポートの上部位置が高い順番でハイポート２、Ｃガスポート３、ローポート４と異なる名称呼ばれている。これらのポートの煉瓦を積み替え補修する場合に、煉瓦積み替え作業終了後随時（通常ローポートの積み替えが最初に終了する）、ポート部の上部に、４００℃以上、８００℃以下で燃焼する可燃性の板状部材を煉瓦の孔部５（ガスの通路部）を覆うように設置する。全てのポートの上部に４００℃以上、８００℃以下で燃焼する板状部材を煉瓦の孔部を覆うように設置した後、炭化室と燃焼室を隔てる煉瓦壁である側壁の積み替えを完了させる。燃焼室を完全に塞ぐ前に、燃焼室内に大きな煉瓦の破片等が観察された場合は、除去することが望ましい。また、板状部材の上に大きな煉瓦の破片等が観察された場合は、これらをすみやかに除去する。

補修後の燃焼室は徐々に昇温されていくが、室内温度が５００℃から７００℃に到達した時点で各ポートを使用しての燃焼を開始する。したがって、この温度以上ではポートが開放状態である必要がある。本発明ではポートの上部に４００℃以上、８００℃以下で燃焼する板状部材を煉瓦の孔部を覆うように設置しているので、煉瓦積み替え補修時にはポートを塞いでポート内への煉瓦屑等の落下を防止し、ポート使用時には板状部材が燃焼して焼失するので、ポートは開放状態となる。

板状部材として、セラミックシートとベークライトとの積層体を用いることが望ましい。板状部材には常温で落下物があるので、４００℃以上、８００℃以下で燃焼する他に、ある程度の強度を有する必要がある。室温での強度の点では、ベークライトは望ましいが、３００℃程度以上で軟化してそりが発生し、５００℃程度で焼失する。ポートの一部については積み替え作業中に３００℃程度まで昇温される場合もあるため、ベークライト単独での板上部材では煉瓦積み替え作業中の十分な強度の維持は困難である。一方で、セラミック粉末にバインダーを添加して成形したセラミックシートは５００〜６００℃で揮発分が焼失するが、強度が低い。ベークライトとセラミックシートを重ねることで、ベークライトが軟化した場合もセラミックシートがこれをささえることができるので形状を維持することが可能となる。セラミックシートの成分としてＳｉＯ₂、Ａｌ₂Ｏ₃等が好適である。積層体としては、セラミックシートとベークライト板とを接着して用いることができるが、重ねただけでも使用可能である。また、セラミックシートとベークライト板とをサンドイッチ状に積層したり、複数枚づつ積層することも可能である。

板状部材の厚さは、セラミックシートとベークライトの積層体の場合で、例えば１mｍ〜１０ｍｍ程度であることが望ましい。

板状部材は、ガムテープ等の燃焼しやすい粘着材でポートに固定することが望ましい。

本発明は燃焼室内の全てのポートに適用可能であるが、ローポート等の、ポート部の上部位置の低いポートに用いると、補修コストの低減効果が著しい。

コークス炉の燃焼室内の配管部の水平断面の概略図である。 コークス炉の構造を示す概略図である。

符号の説明

１ ポート部
２ ハイポート
３ Cガスポート
４ ローポート
５ 孔部
１１ 炭化室
１２ 燃焼室
１３ 蓄熱室
１４ 天井煉瓦

Claims (2)

1. 煉瓦材の積み替えを行うコークス炉の熱間補修において、燃焼室内の配管部であり、孔部を有する煉瓦の積層体として構成されたポート部の上部に、４００℃以上、８００℃以下で燃焼する可燃性の板状部材を前記孔部を覆うように設置し、煉瓦材の積み替え終了後の前記ポート部の昇温時に、前記板状部材を焼失させることを特徴とする、コークス炉の熱間補修方法。
2. 板状部材が、セラミックシートとベークライトとの積層体であることを特徴とする請求項１に記載のコークス炉の熱間補修方法。

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