以下、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(A)第1実施形態
図1は本願発明の第1実施形態に係る油圧制御装置を使用した多連型の流量制御システムを示す系統図である。図2は図1に示す油圧制御装置の要部を示す断面図である。図3は図2に示す中間絞り部分の拡大図である。以下の実施形態では、多連型の流量制御システムの一例として2連の流量制御システムを例にして説明する。
図1に示す流量制御システム1は、可変容量形ポンプ制御部10から伸びる給油ライン50が各油圧制御装置100,200のポンプポート120,220に接続されている。各油圧制御装置100,200のタンクポート121,221は、排油ライン51を介してタンク16に接続されている。各流量制御部100,200の最高負荷圧力PLSポート(以下、「PLSポート」という。)180,280は、最高負荷圧力ライン(以下、「PLSライン」という。)18に接続されている。PLSライン18は、可変容量形ポンプ制御部10に設けられた傾転切換弁14の入力部20に接続されている。この入力部20にPLSライン18から最高負荷圧力PLSが入力される。傾転切換弁14は、傾転制御装置13と協働して可変容量形ポンプ11の傾転を制御するためのものである。
また、前記PLSライン18には、ブリードオリフィス(絞り弁)21が設けられている。このブリードオリフィス21は、油圧制御装置100,200に設けられた切換弁103,203(詳細は後述)に作用する圧力を制御するために、回路内に常に加圧された油(以下、適宜「作動油」という。)の流れが生じるようにするものである。このブリードオリフィス21によって、回路内を流れる作動油のうち微量の作動油(1%程度)が、排油タンク16に戻されるようになっている(ブリードオフ)。なお、このブリードオリフィス21は、傾転切換弁14内に同様の機能を有する構造として設けることもできる。17は、後述するスプール101のドレンタンクである。
(1)可変容量形ポンプ制御部によるロードセンシング機能
可変容量形ポンプ制御部10には、可変容量形ポンプ11と、傾転制御装置13と、傾転切換弁14と、タンク15とが設けられている。
可変容量形ポンプ制御部10は、傾転切換弁14の入力部20に入力される最高負荷圧力PLSの値をフィードバック制御量として用い、この最高負荷圧力PLSの値と可変容量形ポンプ11の吐出圧力Pdとの差(基準差圧Pref)が常に一定となるように、可変容量形ポンプ11の吐出圧力Pdを制御する。この基準差圧Prefは、最高負荷圧力PLSに加える所定の差圧であり、使用条件に応じて設定される。
可変容量形ポンプ11は、フィードバックレバー12を備えている。このフィードバックレバー12は、図中時計回りの方向に操作されることにより、吐出量を減少させるようになっている。フィードバックレバー12の上端部は、傾転制御装置13の制御棒13bに接続されている。この制御棒13bには、バネ13aが備えられている。傾転制御装置13の制御棒13bには、給油ライン50の分岐管内の圧力により図中左向きの力と、傾転切換弁14の下部ポート14aから導かれる圧力により図中右向きの力と、バネ力とが作用する。したがって、かかる力の相互作用によって、制御棒13bが図中左右に動くようになっている。
傾転切換弁14は、3つのポートを備えており、2つの状態に切り換えることができる。この傾転切換弁14は、可変容量形ポンプ11の吐出圧力Pdと、最高負荷圧力PLSに所定の基準差圧Prefを付加した圧力(PLS+Pref)に基づく力との関係(強弱)に応じて切り換わるようになっている。
可変容量形ポンプ11の吐出圧力Pdが前記圧力(PLS+Pref)よりも高い場合、傾転切換弁14は図中左側に切り換る。そして、傾転制御装置13の左側のポートに可変容量形ポンプ11から吐出された作動油が送り込まれ、傾転制御装置13の制御棒が図中右側に移動する。これにより、可変容量形ポンプ11のフィードバックレバー12が時計回りに動いて、可変容量形ポンプ11の吐出量が減少する。
一方、前記圧力(PLS+Pref)が吐出圧力Pdよりも高い場合、傾転切換弁14は図中右側に切り換る。そして、傾転制御装置13の左側のポートからタンク15に作動油が抜け、傾転制御装置13の制御棒が左側に移動する。これにより、可変容量形ポンプ11のフィードバックレバー12が反時計方向に動いて、可変容量形ポンプ11の吐出量が増加する。
このような傾転切換弁14の動作により、PLSライン18の最高負荷圧力PLSと可変容量形ポンプ11から吐出される吐出圧力Pdとの差は、常に所定の基準差圧Prefに維持されている。
(2)油圧制御装置
図1に示す流量制御システム1は、多連型の流量制御システムの一例であり油圧制御装置100,200を備える2連である。各油圧制御装置100,200の構成はほぼ同じであるが、油圧制御装置100にのみ中間絞りが設けられて流量特性が変化するように構成されている。以下、油圧制御装置100についてのみ説明する。油圧制御装置200の主要な構成には、油圧制御装置100の対応する構成の符号を200番台に置き換えて付し、その詳細な説明は省略する。
油圧制御装置100は、スプール弁101と、圧力調整弁110(以下、「調整弁」という。)とを備えている。
スプール弁101は、そのスライド量に応じて可変オリフィス101a,101bを開き、ポンプポート120から供給される作動油をこれら可変オリフィス101a,101bを介して調整弁110に出力する。また、スプール弁101は、スライドの向き(図中左右)に応じて、調整弁110から出力される作動油をアクチュエータ140と接続されたポートA1又はポートB1に出力する。この作動油が出力されるポートA1又はB1に応じて、アクチュエータ140が伸縮駆動される。この例ではアクチュエータ140としてシリンダを示しているが、油圧モータ等でもよい。
調整弁110は、コンペンセータ102と、切換弁103とを備えており、切換弁としての機能と、逆止弁としての機能とを具備している。
コンペンセータ102は、2つのポートを備えており、2つの状態を切り換えることができる。切換弁103は、4つのポートを備えており、2つの状態を切り換えることができる。切換弁103は、コンペンセータ102に内蔵され、コンペンセータ102とは独立して作動する。
コンペンセータ102は、この切換弁103の移動によってPLSポート180から導かれる最高負荷圧力PLSと調整弁110に備えられたバネ165の弾性力Fにより加算される力とによる合計力(PLS+F/S;Fはバネの弾性力;Sは、油圧作用面の面積)、又は、切換弁103の移動によって第2流路131,132から導かれる圧力P31と調整弁110に備えられたバネ165の弾性力Fにより加算される力とによる合計力(P31+F/S;Fはバネの弾性力;Sは、油圧作用面の面積)、のいずれか高い方の力によって絞り159を閉じる方向に移動する。このコンペンセータ102が移動することにより、絞り159(コンペンセート部)の開口面積が制御される。
調整弁110の入口側の圧力P21が前記合計力(PLS+F/S)よりも低い場合には、入力ポート102aと出力ポート102bの間が閉じられる方向に力が作用する。その結果、開口面積が小さくなり、P21=(PLS+F/S)となるように制御される。すなわち、図において絞り159が絞られた状態となる。また、圧力P21が前記合計力(PLS+F/S)よりも高い場合には、入力ポート102aは、圧力P21の値に応じて開口する絞り159を介して出力ポート102bと接続される。この時、絞り159の開きが大きくなり、P21=(P31+F/S)となる。
一方、前記切換弁103は、PLSポート180から導かれる最高負荷圧力PLSと、前記コンペンセータ102の出力ポート102bから出力される作動油の圧力P31との高低によって切り換る。
最高負荷圧力PLSが圧力P31よりも高い場合、図の右側に切り換り、PLSポート180から最高負荷圧力PLSがコンペンセータ102の入力部102c(圧力室)に供給される。一方、最高負荷圧力PLSが圧力P31よりも低い場合、図の左側に切り換り、コンペンセータ102の入力部102cには、コンペンセータ102の出力ポート102bから圧力P31が供給される。調整弁110に供給された作動油(圧力P21)は、切換弁103を介して最高負荷圧力PLSポート180に供給される。
また、この切換弁103の切り換えと、前記コンペンセータ102の切り換えとにより、圧力P21が高い場合には、この圧力P21が減圧されて圧力P31と同等の圧力となるように切り換えられる。これにより、流量制御システム1内の最高負荷圧力PLSが圧力P31に更新され、圧力P31が最高負荷圧力PLSとなる。
そして、この第1実施形態では、切換弁103から最高負荷圧力PLSポート180に連なる流路に中間絞り145が設けられている。したがって、この中間絞り145により、切換弁103からPLSポート180へ流れる流量が制限されるように構成されている。図3に示す中間絞り145の径dは、圧力等の使用条件により適宜設定される。
(3)油圧制御装置の具体的な構成
以下、油圧制御装置100の具体的な構成、および機能について詳細に説明する。
図2に示すように、前記油圧制御装置100の本体105には、スプール弁101と、このスプール弁101と交わる各流路130〜134と、ポンプポート120と、タンクポート121(図1)と、PLSポート180と、アクチュエータ140(図1)と連通されるポートA1,B1とが設けられている。そして、流路130〜132が交わる中央部に調整弁110が設けられている。
スプール弁101は、複数の小径部によって可変オリフィス101a,101bを形成している。スプール弁101が図中右側にスライドすることにより、ポンプポート120と流路130とが連通する。そして、スプール弁101のスライド量の増加に伴い可変オリフィス101a、101bの開度が大きくなり、多くの作動油が流れる。
また、スプール弁101が図の右側にスライドするのに伴って、流路131と流路133とが連通され、流路132と流路134とは遮断した状態が保たれる。このスプール弁101が図の左側にスライドすれば、スライドに伴って、流路132と流路134とが連通され、流路131と流路133とは遮断した状態が保たれる。
したがって、スプール弁101が図中左側にスライドした場合、ポンプポート120に供給された作動油は、流路130から流路132,134を介してポートA1に供給され、ポートA1からアクチュエータ140(図1)に供給される。このアクチュエータ140(図1)からポートB1に戻ってくる作動油は、流路133を介してタンクポート121(図1)に排出される。
逆に、スプール弁101が図中右側にスライドした場合、ポンプポート120に供給された作動油は、流路130から流路131,133、ポートB1を介してアクチュエータ140(図1)に供給される。アクチュエータ140(図1)からポートA1に戻ってくる作動油は、流路134を介してタンクポート121(図1)に排出される。
前記本体105の調整弁110が設けられる位置には、図2に示すように、上部から、直径D1,深さL1の第1シリンダ部、直径D2,深さL2の第2シリンダ部および直径D3,深さL3の第3シリンダ部が同軸上に連続して形成されている。第1シリンダ部の側部に、前記PLSポート180が設けられている。第1シリンダ部から第2シリンダ部にかけての連結部は、テーパ状に加工されている。第2シリンダ部と第3シリンダ部の連結部には、段差が設けられている。第2シリンダ部の下部側面は、流路131および流路132と連通する開口部となっている。
このようなシリンダ部で形成されたケーシング穴106には、本体105との間で調整弁110を収納するスリーブ170が設けられている。このスリーブ170は、下方が開口した直径D2と直径D1の2段で形成された略円筒状となっている。スリーブ170は、押え部170aをボルト170bで本体105に固定することによって取り付けられている。
図示するように、スリーブ170と本体105との間の液密は、第1シリンダ部と本体105との間のシール173と第2シリンダ部と本体105との間のシール174とによって保たれている。また、スリーブ170には、貫通孔172(第2孔)が半径方向に設けられている。この貫通孔172は、前記シール173,174で液密とした間に設けられている。PLSポート180に他の連の最高負荷圧力PLSが供給された場合には、貫通孔172を通じてスリーブ170の内側へと導かれている。
そして、この実施形態では、貫通孔172に中間絞り145が設けられている。この実施形態の中間絞り145は、図3に示すように、貫通孔172の一部の径を小径にしたものである。このように貫通孔172の径を変化させて径dの中間絞り145を設ける構成とすることにより、容易にPLSポート180と連なる流路に流量を絞る中間絞り145を設けることができる。この中間絞り145によって絞る量は、最高負荷圧力やアクチュエータの形式等の条件に応じて決める流量特性によって決定すればよい。この実施形態では、油圧制御装置100にのみ中間絞り145が設けられているが、この中間絞り145は、特定の連のみに設けても複数の連に設けてもよい。
図2に示すように、前記スリーブ170に収納される調整弁110のコンペンセータ102は、直径D4の円柱状のピストンに形成されており、その下部に直径D3の絞り159を備えている。この絞り159は、流路130と流路131,132との連通面積を調整する縦長の開口で形成されている。この絞り159は、流路130(第1流路)に流れる作動油の圧力P21と、ポンプポート120の圧力P11との差が一定となるように、調整弁110が上下動することにより面積が変化して圧力を調整する。
前記スリーブ170は、この調整弁110が内部に収納された状態で、調整弁110のコンペンセータ102上部とスリーブ170との間に圧力室164を形成できる大きさで形成されている。この圧力室164には、所定の弾性力を有するバネ165が設けられている。この圧力室164が、上述した入力部102cである。
図4は図2のコンペンセータを詳細に示す図であり、(a) は正面図、(b) は側面図、(c) はC−C断面図、(d) はD−D断面図である。図5は図4に示すコンペンセータの構成を示す斜視図である。
前記コンペンセータ102は、孔150、横孔151、連通溝152、孔154、孔156、小径部153、環状溝部149、係止部157を備えている。
孔150は、孔154と交わり、頂部に形成される圧力室164(図2)と連通するように縦向きに設けられている。孔156は、孔154と交わり、流路130(図2)と連通するように縦向きに設けられている。孔154は、横孔151,孔150および孔156と交わるように横向きに設けられている。
連通溝152は、小径部153と環状溝部149とを連通させるように所定の箇所に縦向きに設けられている。横孔151の外周は、環状溝部149に開口している。これにより、PLSポート180(図2)の最高負荷圧力PLSが、小径部153と連通溝152と環状溝部149とを介して横孔151から導かれる。
円柱状の小径部153は、図2に示すように、コンペンセータ102をスリーブ170に収納した状態で調整弁110が上下移動しても、スリーブ170の貫通孔172と常に連通する範囲に設けられている。
前記係止部157は、環状の突起部であり、絞り159の上部に設けられている。係止部157は、図示するように上方に向けて直径が大きくなるテーパ面に加工されており、このテーパ面が図2に示すように、本体105の直径D3,深さL3の第3シリンダ部の上端角部(第2シリンダ部と第3シリンダ部との間の段差部分)に当接するように形成されている。
また、コンペンセータ102は、図2に示すように、係止部157が第2シリンダ部と第3シリンダ部の段差部分に接している状態で、流路130と流路131,132との間を完全に閉塞するように構成されている。この状態で、前記孔154は、スリーブ170の下端よりも下側に下がらない位置に設けられている。なお、コンペンセータ102の側部には、切欠部160と流路161とが設けられている。この流路161が、図1に示す出力ポート102bから切換弁103に圧力P31を出力する流路であり、流路132,流路131と孔154とを連通させている。
この第1実施形態では、コンペンセータ102の下面の圧力P21が作用する直径D3と、上面の圧力P31又は最高負荷圧力PLSが作用する直径D4とを同径で形成している。
図6は図5のコンペンセータに内蔵する切換弁のシャトルを示す斜視図である。シャトル155には、円柱状の小径部155aと、この小径部155aから一方に離れた所定位置の油圧バランス用油溝155bと、他方の端部の小径部155cとが設けられている。小径部155aと小径部155cとの間に形成された大径部155dと他の大径部155e,155fは、孔154に内蔵して摺動可能な径で形成されている。大径部155fは、以下、「頭部」ともいう。
前記大径部155e,155fの位置および軸方向長さは、図2において、シャトル155が孔154の左側に移動したときに孔156と横孔151とが小径部155aを介して連通し、シャトル155が孔154の右側に移動したときに孔156を遮断して横孔151と孔150とが小径部155aを介して連通するように設定されている。小径部155cは、シャトル155が右端に移動したときに孔150と流路161(図4(c) )との連通を塞ぐ軸方向長さで形成されている。
シャトル155は、図2に示すように、孔154内に、液密な状態で左右に摺動可能なように内蔵され、このシャトル155がコンペンセータ102の孔154に内蔵された状態で摺動し、孔150、横孔151、孔154、孔156(第1孔)、流路161を連通/遮断することで、切換弁103として機能する。
また、図2に示すように、PLSポート180、小径部171、貫通孔172、小径部153、連通溝152、環状溝部149、横孔151を介して孔154に入力される作動油(この作動油の圧力は、最高負荷圧力PLS)は、シャトル155の小径部155aに作用する作動油と、環状溝部149から孔154の外端に入ってシャトル155の頭部(図の左側)に作用する作動油とになる。さらに、シャトル155には、孔156から圧力P21の作動油が作用し、流路161から圧力P31の作動油が作用している。したがって、これらの作動油の圧力バランスによって、シャトル155は移動する。つまり、図2において、シャトル155は、これら左右から作用する圧力の大小関係に応じてコンペンセータ102とは別に独立的に左右に移動する。
しかも、このように圧力差に応じて移動するシャトル155により、シャトル155が移動した時に、孔156が孔154と連通する開口面積を変化させて、孔156から孔154へ流れ込んで横孔151へと流れる作動油を減圧する減圧機能を切換弁103に持たせている。
図2は、他の連が最高負荷圧力PLSの状態を示しており、PLSポート180から貫通孔172と、小径部153、連通溝152、環状溝部149を介して、孔154の図示する左側に最高負荷圧力PLSが作用しているので、シャトル155は図の右端に移動した状態となっている。なお、自連が最高負荷圧力PLSの場合には、最高負荷圧力PLSとなる流路132内の作動油(圧力はP31)が、切欠部160、流路161を介して孔154の図示する右側に作用する。一方、孔156から孔154へ流れ込んで横孔151へと流れる作動油圧力を減圧し、最高負荷圧力となる自連の圧力P31となるように孔156の開口面積を調整するようにシャトル155は図の左側に移動し、シャトルの両端の圧力が同じとなりシャトル155の位置がバランスする。このように、シャトル155は、軸方向に作用する圧力の大小関係に応じて、コンペンセータ102とは独立して左右に移動する。
また、このように圧力の大小関係に応じてシャトル155が移動することにより、スリーブ170の圧力室164には、横孔151から孔154と孔150とを介してPLSポート180の圧力、又は流路161、孔154、孔150を介して流路131,132の圧力、の流量制御システム1内で最大の最高負荷圧力PLSが供給される。
図2の場合は、PLSポート180の圧力が、横孔151と孔154と孔150とを介して圧力室164に作用している。したがって、この状態の調整弁110のコンペンセータ102には、最高負荷圧力PLS×SD4(但し、SD4は、最高負荷圧力PLSが作用するコンペンセータ102の上面の直径D4の面積)に、この調整弁110の位置に応じて決まるバネ165の弾性力Fを加算した力(PLS×SD4+F)で下向きに付勢されている。この時、調整弁110のコンペンセータ102には、流路130に流れ込む作動油により、圧力P21×SD3(但し、P21は、流路130内の圧力。SD3は、圧力P21が作用するコンペンセータ102の下面の直径D3の面積)で上向きに付勢されているが、コンペンセータ102の上面に作用する力の方が大きいため、係止部157が本体105と密着する下向きに押圧されて、圧力P21×SD3の作用力とバランスするよう圧力P21を調圧するため、絞り159が絞られた状態となっている。
この調整弁110の逆止弁としての機能は、環状の係止部157が絞り159を閉じて本体105と密接することにより発揮される。つまり、流路130内の圧力が流路132および流路131の圧力より低下した場合、係止部157は、流路130と流路131および流路132との間を遮断するように本体105と密接し、流路131および流路132から流路130へ作動油が逆流するのを防止する逆止弁となる。この時、本体105の第2シリンダ部と第3シリンダ部との段差部分の角部が、係止部157に接する弁座として機能する。
(4)駆動例
図7は図2の構成において自連が最高負荷圧力の場合のコンペンセータと切換弁の状態を示す断面図であり、図8は図2の構成において他連が最高負荷圧力の場合のコンペンセータと切換弁の状態を示す断面図である。図9(a) は図2の構成における単独操作時の流量特性を示すグラフであり、(b) は複合操作時の流量特性を示すグラフである。図10は図1に示す油圧制御装置の流量特性を説明するための油圧回路図である。図7に示す状態は、流路132内の圧力P31がシステム1内の他の連の最高負荷圧力PLSよりも高い状態である。作動油の流れを矢印で示す。
図7は自連が最高負荷圧力であるため、ポンプポートと連通する流路130から供給される作動油の圧力P21はPLSポート180の圧力よりも高いので、アクチュエータと連通する流路132内の作動油(この状態での作動油の圧力はP21=P31+F/S(但し、Fは、バネ力、Sは、π/4・D42 )となる。)が切欠部160、流路161を介して孔154に導かれ、シャトル155は、図示するように左側に所定量移動させられる。図ではシャトル155が中間位置の例を示しているが、このシャトル155は、孔156から孔154へ流れ込んで横孔151へと流れる作動油圧力を減圧し、最高負荷圧力となる自連の圧力P31となるように孔156の開口面積を調整するようにバランスする位置となる。この時、孔156から孔154を介して横孔151へ流れる流路130内の作動油(この作動油の圧力はP21)は、孔156と横孔151とが連通する部分の面積変化に応じて減圧されながら流れるように調整される。図示する状態では、圧力室164に圧力P21(P31)の作動油が導かれている。
つまり、この孔156から孔154に作動油が流れる時の圧力P21の減圧は、孔156と孔154とが連通した状態で、シャトル155の小径部155aが孔150と横孔151とを連通させないように設定されており、小径部155aの圧力がシャトル右端と同面積のシャトル左端に導かれているため、シャトル155の小径部155aに孔156から導かれる圧力P21がシャトル右側に導かれる圧力P31と同等の圧力となるように減圧される。この圧力がPLS(=P31)となる。この圧力調整は、シャトル155が、このシャトル155に働く力がバランスするように移動することによって行われる。
そして、この孔156からシャトル155の小径部155aに流れ込む作動油は、大径部155eによって流量が絞られながら孔154に流れ込み、小径部155aから横孔151と連通溝152と小径部153とを介して貫通孔172からPLSポート180に供給される。これにより、流量制御システム1の最高負荷圧力PLSが圧力P31に更新される。図1に示すように、このPLSポート180に供給された作動油は、PLSライン18から他の連のPLSポート280へ最高負荷圧力PLSとして作用する作動油と、ブリードオリフィス21を経て排油ライン51に流出する作動油となり、このブリードオリフィス21へ流れた作動油は、排油ライン51に流出する際に圧力が減圧される。このPLSライン18に流れる作動油の圧力により、傾転切換弁14が傾転制御装置13を制御して可変容量形ポンプ11の吐出圧が調整される。
しかも、この第1実施形態によれば、図7に示すように、PLSポート180へ流れる流路となる貫通孔172に設けられた中間絞り145によって圧力P31を減圧して、PLSポート180へ供給することができる。この中間絞り145を設けることにより、負荷圧が高くなるほど、中間絞り後に出力されるPLS圧が負荷圧より低くなるので、制御されるポンプ圧力も相対的に低くなり、メータリング部の差圧が小さくなり、負荷圧上昇に伴って流量がより減少するような流量特性とすることができる。
この流量特性を図10に示す油圧回路図と数式を用いて具体的に説明する。図10に示すように、上述した図1の油圧制御装置100における各圧力と流量を油圧回路図で示すと、ポンプ11から吐出される吐出圧力Pdの作動油は、可変オリフィス101a,101bの開口面積A1によって流量Q1となってアクチュエータ140に供給される。このアクチュエータ140からは作動油に負荷圧PLが作用しており、PLSポート180へ負荷圧PLより導かれる圧力は、下流絞り21の断面積A21と中間絞り145の断面積A145によって減圧される。このPLSポート180へ流れた作動油は、傾転制御装置13を制御するPLS圧となるとともに、ブリードオリフィス21の断面積A21から流量Q21となって排油タンク16に戻される。
一般的なロードセンシング機能では、負荷圧PLよりも常にある基準差圧Prefだけポンプ圧力Pdが高くなるようにポンプ11の流量Q1を制御している。この実施形態では、制御のための負荷圧信号圧として負荷圧PLではなく、中間絞り145で減圧された圧力PLSを利用しているので、ポンプ11の吐出圧Pdと、アクチュエータ140の負荷圧PLと、最高負荷圧力PLSとの関係から、次の数式1,2が成立する。なお、以下の数式では、一般に知られる流量式における流量係数を含む値を比例定数Cとしている。
また、図10における負荷圧力Pdと信号圧力PLSとの関係を2つの絞りの面積との関係で表すと、数式3となる。
そして、前記数式2と数式3とを用いて数式1を負荷圧PLで表すと、数式4となる。
この数式4から、可変オリフィス101a,101bを介して供給される作動油の流量Q1は、負荷圧PLが上昇するのに伴って基準差圧Prefがより小さくなって減少するような関係が分かる。
なお、従来の構成では中間絞り145が無いため、断面積は「A145>>A21」の関係であるため「A212 /A1452 +A212 =0」となって、数式5で示すように流量Q1は負荷圧に依存せず一定値となる。
したがって、切換弁103からPLSポート180に連なる流路に設けた中間絞り145により、PLSポート180へ流れる作動油を負荷圧力の上昇に伴ってより減圧するので、これにより、負荷圧力が上昇すれば、図9(a) に実線で示すように、負荷圧力の上昇に伴って負荷への流量が減少するような流量特性を持たせることができる。図9(a) の一点鎖線は、従来の流量一定となった特性である。
つまり、特定の連が負荷圧に依存して絞り159による制御量が制限される負荷圧依存型コンペンセータの機能を有することとなり、安定したロードセンシング機能を備えた流量制御システム1を構築することができる。
なお、多連型の流量制御システム1においては複数の油圧制御装置100が複合動作しており、中間絞り145を設けていない他連が最高負荷圧力の場合には図9(b) の点線より左部分に示すように、負荷圧が上昇しても流量が減少するような流量特性とはならず一定の流量特性となるが、中間絞り145を設けた自連が最高負荷圧力となったら、図9(b) の点線より右部分に示すように、負荷圧の上昇に伴って流量が減少するような流量特性となり、負荷圧力の上昇に伴って負荷への流量が減少するような流量特性とすることができる。
図8に示す状態は、システム1内の他の連の最高負荷圧力PLSが流路132内の圧力P31よりも高い状態である。作動油の流れを矢印で示す。
この状態では、他連が最高負荷圧力であるため、PLSポート180から最高負荷圧力PLSが、貫通孔172と小径部153と連通溝152とを介して孔154に導かれ、シャトル155は、図示するように右側に移動する。この時、孔156はシャトル155によって閉じられており,PLSポート180を介して供給される作動油(この作動油の圧力は最高負荷圧力PLS)が、横孔151からシャトル155の小径部155aが位置する孔154内に導かれ、孔150から圧力室164へと導かれる。
この場合、調整弁110のコンペンセータ102は、実際には、流路130内の圧力P21の大きさに応じた分だけ絞り159の開口量を調整するように上昇している。すなわち、コンペンセータ102が圧力室164内に作用する作動油の圧力PLSとバネ165のバネ力を合わせた力と、流路130に供給される作動油の圧力P21とがバランスする位置となるように、絞り159の開口量が調整される。つまり、図示するように、係止部157が本体105から所定量上昇して、流路130から流路131へ絞られた作動油が供給される状態となる。
さらに、このような油圧制御装置100を用いることにより、絞り159による圧力調整動作とは独立して、調整弁110に設けた切換弁103によって常時最高負荷圧力PLSの調節を行うことができ、圧力制御装置100の小型化を図ることができる。
しかも、この油圧制御装置100によれば、最高負荷圧連については、中間絞り145によって、負荷圧力が上昇するほど負荷への流量が減少するような流量特性を持たせることができるので、負荷流量を少なくしたい高圧になるほどポンプ圧力と負荷圧との差圧を小さく制御することができ、油圧制御装置100の圧力変動時の流量変動を小さくでき、系の安定化を図ることができる。この油圧制御装置100を設ける連は、単独でも複数でもよい。
特に、前記油圧制御装置100を旋回モータの連に用いると、旋回モータのリリーフ弁から逃がす流量を小さくできるので、安定化と合せて省エネルギ化を実現することができる。
なお、このように構成された油圧制御装置100によれば、負荷の変動や、ポンプ流量の変動、中立からのインチング動作に対して、シリンダを用いて負荷を制御する機械(例えば、油圧ショベルのバケット。)での寸落(一定範囲の急激な下降)を防止することができる。これにより、ロードセンシング機能の安定性を向上させることができる。
(B)第2実施形態
図11は本願発明の第2実施形態に係る油圧制御装置を使用した多連型の流量制御システムを示す系統図である。図12は図11に示す油圧制御装置の切換弁部分を拡大した系統図である。図13は図11に示す油圧制御装置の要部を示す断面図である。
この第2実施形態も、上述した第1実施形態と同様に、多連型の流量制御システムに使用される油圧制御装置の一例として2連を例にしている。この実施形態でも、図示する左側の油圧制御装置300のみが流量特性を変更されている。この第2実施形態における油圧制御装置の可変容量形ポンプ制御部によるロードセンシング機能等は、上述した第1実施形態の流量制御システム1と同一であるため、上述した第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、この第2実施形態において、上述した油圧制御装置100に対応する構成には、符号を300番台に置き換えて付し、その詳細な説明は省略する。
(1)可変容量形ポンプ制御部によるロードセンシング機能
図11に示す系統図において、図の左側に示す第2実施形態に係る油圧制御装置300以外は、上述した第1実施形態の図1に示す構成と同一である。そのため、油圧制御装置300以外の構成については、上述した第1実施形態における「(1)可変容量形ポンプ制御部によるロードセンシング機能」と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この第2実施形態では油圧制御装置300が第1実施形態と異なるので、全体を流量制御システム2とする。
(2)油圧制御装置
図11に示す流量制御システム2は、油圧制御装置300,200を備える。各油圧制御装置300,200の構成はほぼ同じであるが、油圧制御装置300は、切換弁と流路に関する構成が、上述した図1に示す油圧制御装置100とは異なっている。
図11に示すスプール弁301の機能は、上述した第1実施形態における「(2)油圧制御装置」と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
図11に示すように、油圧制御装置300に備えられた圧力調整弁(以下、「調整弁」)310は、コンペンセータ302と切換弁303とを備えており、切換弁としての機能と逆止弁としての機能とを具備している。
コンペンセータ302は、2つのポートを備えており、2つの状態を切り換えることができる。切換弁303は、4つのポートを備えており、2つの状態を切り換えることができる。切換弁303は、コンペンセータ302に内蔵され、コンペンセータ302とは別に独立して作動する。
コンペンセータ302は、この切換弁303の移動によってPLSポート380から導かれる最高負荷圧力PLSと調整弁310に備えられたバネ365の弾性力Fにより加算される力とによる合計力(PLS+F/S;Fはバネの弾性力;Sは、油圧作用面の面積)、又は、切換弁303の移動によって第2流路331,332から導かれる圧力P33と調整弁310に備えられたバネ365の弾性力Fにより加算される力とによる合計力(P33+F/S;Fはバネの弾性力;Sは、油圧作用面の面積)、のいずれか高い方の力によって絞り359を閉じる方向に移動する。このコンペンセータ302が移動することにより、絞り359(コンペンセート部)の開口面積が制御される。
調整弁310の入口側の圧力P23が前記合計力(PLS+F/S)よりも低い場合には、入力ポート302aと出力ポート302bの間が閉じられる方向に力が作用する。その結果、開口面積が小さくなり、P23=(PLS+F/S)となるように制御される。すなわち、図において絞り359が絞られた状態となる。また、圧力P23が前記合計力(PLS+F/S)よりも高い場合には、入力ポート302aは、圧力P23の値に応じて開口する絞り359を介して出力ポート302bと接続される。この時、絞り359の開きが大きくなり、P23=(P33+F/S)となる。
一方、前記切換弁303は、PLSポート380から導かれる他連の最高負荷圧力PLSと、前記コンペンセータ302の出力ポート302bから出力される作動油の圧力P33との高低によって切り換る。この場合、圧力P33がシステムの最高圧PLSとなって入力部20に導かれる。
そして、図12に示すように、この第2実施形態では、切換弁303のシャトル355を軸方向に移動させる受圧面積を異ならせている。図示する例では、切換弁303の流路331,332(図11)側の圧力P33が作用する図の左側が[1]であるのに対して、PLSポート380の最高負荷圧力PLSが作用する図の右側を[1.05]としている。つまり、PLSポート380側の受圧面積が大きくなるような[1:1.05]の受圧面積差を持たせている。
このような受圧面積差とすることにより、切換弁303の動作条件を、[PLSポート380の出力圧×1.05=負荷圧×1.0]とすることができる。つまり、[PLSポート380の出力圧=1.0/1.05×負荷圧]としている。ここで、負荷圧は、圧力P23側の圧力からバネ365(図11)の弾性力Fを減算した力となる(=圧力P33)。このような動作条件とすることにより、受圧面積差とバネの弾性力とが一定(実際には撓みによって変動するが、一定と仮定する)であるので、負荷圧が上昇するのに伴って出力圧の減少分が増えるような流量特性を持たせることができる。この実施形態の受圧面積差は一例であり、後述するように、負荷圧力の上昇に伴って流量が減少するような条件を満足するように、使用条件等に応じて設定すればよい。
また、この切換弁303の切り換えと、前記コンペンセータ302の切り換えとにより、圧力P23が高い場合には、この圧力P23が減圧されて圧力P33と同等の圧力となるように切り換えられる。これにより、流量制御システム2内の最高負荷圧力PLSが圧力P33に更新され、圧力P33が最高負荷圧力PLSとなる。
(3)油圧制御装置の具体的な構成
以下、油圧制御装置300の具体的な構成、および機能について詳細に説明する。
図13に示すように、前記油圧制御装置300の本体305には、スプール弁301と、このスプール弁301と交わる各流路330〜334と、ポンプポート320と、タンクポート321(図11)と、PLSポート380と、アクチュエータ340(図11)と連通されるポートA1,B1とが設けられている。そして、流路330〜332が交わる中央部に調整弁310が設けられている。これらスプール弁301と流路330〜332との関係は、上述した第1実施形態における「(3)流量制御装置の具体的な構成」の記載と同一であるため、300番台の符号を付して詳細な説明は省略する。
前記本体305の調整弁310が設けられる位置には、図の上部から、直径D5,深さL5の第5シリンダ部、直径D1,深さL1の第1シリンダ部、直径D2,深さL2の第2シリンダ部、直径D6,深さL6の第6シリンダ部および直径D3,深さL3の第3シリンダ部が同軸上に連続して設けられている。この第2実施形態では、5段のシリンダ部が設けられている。
第1シリンダ部の側部に、前記PLSポート380が設けられている。また、この実施形態では、第5シリンダ部の側部にドレンポート381が設けられている。第2シリンダ部と第6シリンダ部の連結部と、第6シリンダ部と第3シリンダ部との連結部には、段差が設けられている。第6シリンダ部の下部側面は、流路331および流路332と連通する開口部となっている。
このようなシリンダ部で形成されたケーシング穴306には、本体305との間で調整弁310を収納するスリーブ370が設けられている。このスリーブ370は、下方が開口し、外径が直径D2,D1,D5の3段で形成された略円筒状となっている。スリーブ370は、下端が前記第2シリンダ部と第6シリンダ部との連結部の段差に当接した状態で、押え部370aをボルト370bで本体305に固定することによって取り付けられている。スリーブ370の各シリンダ部と本体305との間の液密は、シール373,374,375によって保たれている。
スリーブ370の直径D1の位置には、貫通孔372(第2孔)が半径方向に設けられている。この貫通孔372は、前記シール374,375でシールされた液密な空間を区画する面に設けられている。PLSポート380に他の連の最高負荷圧力PLSが供給された場合には、貫通孔372を通じてスリーブ370の内側へと導くことができる。さらに、シール373,374でシールされたスリーブ370の直径D5の位置には、圧抜孔376が設けられている。この圧抜孔376はドレン孔であり、前記ドレンポート381と連通している。
スリーブ370に収納される調整弁310のコンペンセータ302は、直径D4の円柱状のピストンに形成されており、その下部に直径D3の絞り359を備えている。この絞り359は、流路330と流路331,332との連通面積を調整する縦長の開口で形成されている。この絞り359は、流路330(第1流路)に流れる作動油の圧力P23と、ポンプポート320の圧力P13との差が一定となるように、調整弁310が上下動することにより面積が変化して圧力を調整する。
前記スリーブ370は、この調整弁310が内部に収納された状態で、調整弁310のコンペンセータ302上部とスリーブ370との間に直径D4の圧力室364を形成できる大きさで形成されている。この圧力室364には、所定の弾性力を有するバネ365が設けられている。この圧力室364が、入力部302c(図11)である。
図14は図13に示すコンペンセータの構成を示す斜視図である。この図では部分的に誇張している。前記コンペンセータ302は、孔350、横孔351、連通溝352、孔354、孔356、小径部353、環状溝部349、小径溝部377、係止部357、抜き孔378を備えている。孔354はシャトル355が移動する孔であり、この第2実施形態では、コンペンセータ302の下面の圧力P23,P33(図13)が流路361を介して作用する側(図の右側)が小径孔部354a、最高負荷圧力PLSが作用する側(図の左側)が大径孔部354b、となった2段の径で形成されている。この実施形態では、小径孔部354aと大径孔部354bとの受圧面積差が[1:1.05]となっている。つまり、シャトル355が受圧面積差を持つ異径シャトルで形成されており、切換弁303の流路331,332側の圧力P33が作用する図の右側が[1]、PLSポート380の最高負荷圧力PLSが作用する図の左側が[1.05]となるように形成されている。また、この孔354は、横孔351、抜き孔378、孔350および孔356と交わるように横向きに設けられている。この孔354内でシャトル355が移動することにより、前記切換弁303(図13)として機能する。
孔354の小径孔部354aと交わる孔350は、頂部に形成される圧力室364(図13)と連通するように縦向きに設けられている。横孔351は、環状溝部349と連通するように横向きに設けられている。また、孔354の中央部の小径孔部354aと交わる孔356は、流路330(図13)と連通するように縦向きに設けられている。
そして、前記抜き孔378が、孔354の大径孔部354bと小径孔部354aとの境界付近から縦向きに設けられ、上部が前記小径溝部377に開口している。これにより、図13に示すように、抜き孔378を、スリーブ370に設けられた圧抜孔376と連通させている。したがって、孔354の大径孔部354bと小径孔部354aとの間の圧を常に圧抜孔376からドレンポート381に抜いて、シャトル355の動作が圧力バランスするようにさせている。コンペンセータ302の外周に設けられた小径溝部377は、コンペンセータ302がスリーブ370内で上下移動しても、スリーブ370の圧抜孔376と常に連通する範囲に設けられている。ドレンポート381は、図11の系統図では省略している。
また、孔354の大径孔部354bの外端は前記環状溝部349に開口している。さらに、連通溝352は、小径部353と環状溝部349とを連通させるように所定の箇所に縦向きに設けられている。横孔351の外周は、環状溝部349に開口している。これにより、PLSポート380(図13)の最高負荷圧力PLSが、小径部353と連通溝352とを介して環状溝部349と横孔351とにつながっている。これにより、PLSポート380の最高負荷圧力PLS(図13)を、孔354の大径孔部354bの外端側に導いている。
円柱状の小径部353は、図13に示すように、コンペンセータ302をスリーブ370に収納した状態で調整弁310が上下移動しても、スリーブ370の貫通孔372と常に連通する範囲に設けられている。
前記係止部357は、環状の突起部であり、絞り359の上部に設けられている。係止部357は、図示するように上方に向けて直径が大きくなるテーパ面に加工されており、このテーパ面が図13に示すように、本体305の直径D3,深さL3の第3シリンダ部の上端角部(第6シリンダ部と第3シリンダ部との間の段差部分)に当接するように形成されている。
また、コンペンセータ302は、図13に示すように、係止部357が第6シリンダ部と第3シリンダ部の段差部分に接している状態で、流路330と流路331,332との間を完全に閉塞するように構成されている。この状態で、前記孔354は、スリーブ370の下端よりも下側に下がらない位置に設けられている。なお、コンペンセータ302の側部には、切欠部360および流路361が設けられている。これらは、流路332,流路331と孔354とを連通させている。
この第2実施形態におけるコンペンセータ302は、下面の圧力P23が作用する直径D3と上面の圧力P33又は最高負荷圧力PLSが作用する直径D4とは同径で形成されている。
図15は図14のコンペンセータに内蔵する切換弁のシャトルを示す斜視図である。シャトル355には、円柱状の小径部355aと、この小径部355aから一方に離れた所定位置の抜き溝355bと、他方の端部の小径部355cとが設けられている。抜き溝355bと小径部355aとの間と小径部355aと小径部355cとの間に形成された大径部355d,355eは、コンペンセータ302に設ける孔354の小径孔部354a内で摺動可能な径で形成され、抜き溝355bの反小径部355a側に形成された大径部355fは、孔354の大径孔部354b内で摺動可能な径で形成されている。したがって、これらの大径部355eと大径部355fとには、前記図14に示す小径孔部354aと大径孔部354bとの受圧面積差の「1:1.05」と同様の面積差が設けられている。具体的には、切換弁303の流路331,332側の圧力P33が作用する大径部355d側を[1]、PLSポート380の最高負荷圧力PLSが作用する大径部355f側を[1.05]とした、「1:1.05」の受圧面積差が設けられている。大径部355fは、以下、「頭部」ともいう。
前記大径部355eの位置および長さは、図13において、シャトル355が孔354の左側に移動したときに孔356と横孔351とが小径部355aを介して連通し、シャトル355が孔354の右側に移動したときに孔356を遮断している。小径部355cは、シャトル355が右端に移動したときに孔350と流路361との連通を大径部355dで塞ぐ軸方向長さで形成されている。
また、このシャトル355が孔354内で移動する時には、抜き溝355b内の圧は抜き孔378を介して圧抜孔376と連通しているので、抜き溝355b内の圧がドレンポート381の圧(大気圧等)と同一となって抜けるようにしている。これにより、シャトル355の大径部355e,355f間に、面積差による推力が生じてシャトル355の動作に悪影響を与えないようにしている。
シャトル355は、図13に示すように、孔354内に液密な状態で左右に摺動するように内蔵され、このシャトル355がコンペンセータ302の孔354に内蔵された状態で移動し、孔350、横孔351、孔356(第1孔)、流路361を連通/遮断することで、切換弁303として機能する。
また、図13に示すように、PLSポート380、貫通孔372、小径部353、連通溝352、環状溝部349を介して孔354と導通する作動油(この作動油の圧力は、最高負荷圧力PLS)は、シャトル355の頭部(図の左側)に作用する作動油と、環状溝部349から横孔351を介してシャトル355の小径部355aに導通する作動油とになる。さらに、シャトル355には、孔356から圧力P23の作動油が作用し、流路361から圧力P33の作動油が作用している。したがって、これらの作動油の圧力バランスによって、シャトル355はダンピング力が付加された状態で移動する。つまり、図13において、シャトル355は、その大径部355d、355f(図15に示す。)に左右から作用する圧力の大小関係に応じて独立的に左右に移動する。
しかも、このように圧力差に応じて移動するシャトル355により、シャトル355が移動した時に、孔356が孔354と連通する開口面積を変化させて、孔356から孔354へ流れ込んで横孔351(図14に示す。)へと流れる作動油を減圧する減圧機能を切換弁303に持たせている。
図13は、他の連が最高負荷圧力PLSの状態を示しており、PLSポート380から貫通孔372と、小径部353、連通溝352、環状溝部349とを介して、孔354の図示する左側に他の連の最高負荷圧力PLSが作用するので、シャトル355は図の右端に移動した状態となっている。なお、自連が最高負荷圧力PLSの場合には、最高負荷圧力PLSである流路332内の作動油(圧力はP33)が、切欠部360、流路361を介して孔354の図示する右側に作用するので、シャトル355は図の左側に移動する。このように、シャトル355は、軸方向に作用する圧力の大小関係に応じて、コンペンセータ302とは独立して左右に移動する。
また、このように圧力の大小関係に応じてシャトル355が移動することにより、スリーブ370の圧力室364には、小径部353から連通溝352、環状溝部349、横孔351、孔350を介してPLSポート380の圧力、又は流路361、孔354、孔350を介して流路331,332の圧力、の流量制御システム2内で最大の最高負荷圧力PLSが供給される。図13は他の連が最高負荷圧力の場合であるため、PLSポート380の圧力が、小径部353から連通溝352、環状溝部349、横孔351、孔350を介して圧力室364に作用している。したがって、この状態の調整弁310は、最高負荷圧力PLS×SD4(但し、SD4は、最高負荷圧力PLSが作用する調整弁310の上面の直径D4の面積)に、この調整弁310の位置に応じて決まるバネ365の弾性力Fを加算した力(PLS×SD4+F)で下向きに付勢されている。この時、調整弁310には、流路330に流れ込む作動油により、圧力P23×SD3(但し、P23は、流路330内の圧力。SD3は、圧力P23が作用する調整弁310の下面の直径D3の面積)で上向きに付勢されているが、調整弁310の上面に作用する力の方が大きいため、係止部357が本体305と密着する下向きに押圧された状態となり、圧力P23が釣り合う状態まで昇圧してバランスする。
この調整弁310の逆止弁としての機能は、環状の係止部357が絞り359を閉じて本体305と密着することにより発揮される。つまり、流路330内の圧力が流路332および流路331の圧力より低下した場合、係止部357は、流路330と流路331および流路332との間を遮断するように本体305と密接し、流路331および流路332から流路330へ作動油が逆流するのを防止する逆止弁となる。この時、本体305の第2シリンダ部と第3シリンダ部との段差部分の角部が、係止部357に接する弁座として機能する。
(4)駆動例
図16は図13の構成において自連が最高負荷圧力の場合のコンペンセータと切換弁の状態を示す断面図である。この状態は、流路332内の圧力P33がシステム1内の他の連の最高負荷圧力PLSよりも高い状態である。作動油の流れを矢印で示す。
この図は自連が最高負荷圧力であるため、ポンプポートの流路330から供給される作動油の圧力P23がPLSポート380の圧力よりも高いので、アクチュエータと連通する流路332内の作動油(この状態での作動油の圧力はP23=P33+F/S(但し、Fは、バネ力、Sは、π/4・D42 )となる。)が切欠部360、流路361を介して孔354に導かれ、シャトル355は、図示するように左側に所定量移動させられる。図ではシャトル355が左端に位置する例を示しているが、圧力のバランスによって必ずしも左端とは限らず、シャトル355の頭部に作用する圧力と、孔356から小径孔部354a内に流入し、シャトル355の大径部355eとの位置関係によって流入部開口面積を調整して減圧された状態で作用する圧力と、流路361から作用する圧力とのバランスする位置となる。この時、孔356から孔354を介して横孔351へ流れる流路330内の作動油(この作動油の圧力はP23)は、孔356と小径孔部354aとが連通する部分の面積変化に応じて減圧されながら流れるように調整される。図示する状態では、圧力室364に圧力P33の作動油が導かれている。
つまり、この孔356から孔354に作動油が流れる時の圧力P23の減圧は、孔356と小径孔部354aとが連通した状態で、シャトル355の小径部355aと孔350とが連通しないように設定されているため、シャトル355の小径部355aに孔356から導かれる圧力P23が、シャトル355の移動による開口調整で減圧された圧力PLSとして横孔351と小径部353とを介してシャトル355の大径部355fの直径d2部に作用する力と、シャトル355の右側に導かれる圧力P33が大径部355dの直径d1部に作用する力とバランスするように圧力調整される。
そして、この孔356からシャトル355の小径部355aに流れ込む作動油は、大径部355eによって流量が絞られながら孔354に流れ込むことによって減圧され、小径部355aから横孔351、環状溝部349、連通溝352、小径部353を介して貫通孔372からPLSポート380に供給される。これにより、流量制御システム2の最高負荷圧力PLSが更新される。このPLSポート380からPLSライン18に供給された作動油の減圧等は、上述した第1実施形態の作用と同一であるため、その説明は省略する。
しかも、この第2実施形態によれば、図12に示すように、PLSポート380へ流れる作動油の圧力を調整する切換弁303のシャトル355に、PLSポート380側の受圧面積が[1.05]であるのに対して、流路331,332側の受圧面積が[1]となるような受圧面積差を設けているので、このシャトル355の受圧面積差によって、圧力P23が減圧されて出力されるPLS圧は自連の負荷圧P33より低い圧力となる。ポンプ圧力P13は、このPLS圧より基準差圧Prefだけ高い圧力となるので、可変オリフィス301a,301bの前後差圧はPrefより小さくなり制御流量が減少する。また、負荷圧P33が高いほど出力されるPLS圧の低下量が増える。この特性は、シャトル355の大径部355a側の受圧面積比が1.05に限定されるものではない。
この流量特性を数式を用いて具体的に説明する。シャトル355の小径側直径をd1、大径側直径をd2とし(図15)、図16に示すようにシャトル355が図の左側に移動した状態とすると、シャトル355の大径側直径d2部にはPLSポート380から圧力P18が作用し、小径側直径d1部には圧力P33が作用するので、シャトル355に左右から作用する圧力の関係は、数式6のような関係になる。
前記したようにシャトル355の直径の関係は、d2>d1であるため、P33が増加すればP18は減少する。
この関係を入力側の圧力からみると、圧力P18は最高負荷圧力PLSとして可変容量形ポンプ11を傾転制御する傾転切換弁14の入力部20に導かれるので、ポンプ圧P13は「P13=P18+Pref」となる。Prefは基準差圧である。
そして、自連最高圧の場合には、ポンプ圧P13と調整弁310の入力側の圧力P23とPLS圧P18と負荷側の圧力P33との関係は、数式7〜10のようになる。
一方、流量の関係は、一般に知られる流量式における流量係数を含む値を比例定数Cとすると数式11で表すことができ、この数式11と前記数式10との関係から流量を表すと数式12のようになる。Cは、一般に知られる流量式における流量係数を含む比例定数である。
このことから、負荷圧力P31が上昇すると流量Q2が減少するような関係が分かる。
なお、従来の構成ではシャトル355の直径d1,d2が同径であるため、数式13で示すように流量Q2は負荷圧に依存せず一定値となるような関係となる。
したがって、切換弁303に設けたシャトル355の面積差により、PLSポート380へ出力される圧力は、自連の負荷圧より減圧され、かつ負荷圧上昇に伴い減圧量が増加するため、この圧力に基準差圧Prefだけ高いポンプ圧力とコンペンセータ上流圧力との差圧が負荷圧の上昇に伴って減少することにより、上述した図9(a) に実線で示すように、負荷圧力の上昇に伴って負荷への流量が減少するような流量特性を持たせている。
自連単独動作時、および複合動作で自連最高圧時に、特定の連が負荷圧に依存して絞り359の前後差圧が減少することによって負荷圧依存型コンペンセータの機能を有することとなり、安定したロードセンシング機能を備えた流量制御システム2を構築することができる。
なお、この多連型の流量制御システム2においても、複数の油圧制御装置300が複合動作しているので、異径シャトル355を設けていない他連が最高負荷圧力の場合には図9(b) の点線より左部分に示すように、負荷圧が上昇しても流量が減少するような流量特性とはならず一定の流量特性となるが、異径シャトル355を設けた自連が最高負荷圧力となったら、図9(b) の点線より右部分に示すように、負荷圧の上昇に伴って流量が減少するような流量特性となり、負荷圧力の上昇に伴って負荷への流量が減少するような流量特性とすることができる。
さらに、このような油圧制御装置300を用いることにより、絞り359による流量制御動作とは独立して、調整弁310に設けた切換弁303によって常時最高負荷圧力PLSの調節を行うことができ、圧力制御装置300の小型化を図ることができる。
しかも、この油圧制御装置300によれば、切換弁303によって、負荷圧力が上昇するほど負荷への流量が減少するような流量特性を持たせることができるので、負荷流量を少なくしたい高圧になるほどポンプ圧力と負荷圧との差圧を小さく制御することができ、油圧制御装置300の省エネルギー化を図ることができる。
また、この油圧制御装置300をハンチングし易いアクチュエータの連に適用することにより、ブリードオリフィス21を従来に比べて小さくすることができるので、ブリード量が少なくなることにより、複合動作中の負荷圧最高連が切り換わる際に発生する流量変化を小さくでき、系の安定化を図ることができる。
特に、前記油圧制御装置300を旋回モータの連に用いると、旋回モータのリリーフ弁から逃がす流量を小さくできるので、省エネルギ化を実現することができる。
なお、このように構成された油圧制御装置300によれば、負荷の変動や、ポンプ流量の変動、中立からのインチング動作に対して、シリンダを用いて負荷を制御する機械(例えば、油圧ショベルのバケット。)での寸落(一定範囲の急激な下降)を防止することができる。これにより、ロードセンシング機能の安定性を向上させることができる。
(C)第3実施形態
図17は本願発明の第3実施形態に係る油圧制御装置を使用した多連型の流量制御システムを示す系統図である。図18は図17に示す油圧制御装置のコンペンセータ部分を拡大した系統図である。図19は図17に示す油圧制御装置の要部を示す断面図である。
この第3実施形態も、上述した第1実施形態と同様に、多連型の流量制御システムに使用される油圧制御装置の一例として2連を例にしている。この第3実施形態における油圧制御装置の可変容量形ポンプ制御部によるロードセンシング機能等は、上述した第1実施形態の流量制御システム1と同一であるため、上述した第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、上述した第2実施形態と同一の構成にも、その符号を付して説明する。この第3実施形態において、上述した油圧制御装置100に対応する構成には、符号を400番台に置き換えて付し、その詳細な説明は省略する。
(1)可変容量形ポンプ制御部によるロードセンシング機能
図17に示す系統図において、図の左側に示す第3実施形態に係る油圧制御装置400以外は、上述した第1実施形態の図1に示す構成と同一である。そのため、油圧制御装置400以外の構成については、上述した第1実施形態における「(1)可変容量形ポンプ制御部によるロードセンシング機能」と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この第3実施形態では油圧制御装置400が第1実施形態と異なるので、全体を流量制御システム3で示す。
(2)油圧制御装置
図17に示す流量制御システム3は、油圧制御装置400,200を備える。各油圧制御装置400,200の構成はほぼ同じであるが、油圧制御装置400は、圧力調整弁に関する構成が、上述した図1に示す油圧制御装置100と異なっている。
図17に示すスプール弁401の機能は、上述した第1実施形態における「(2)油圧制御装置」と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
図17に示すように、油圧制御装置400に備えられた圧力調整弁(以下、「調整弁」)410は、コンペンセータ402と切換弁403とを備えており、切換弁としての機能と逆止弁としての機能とを具備している。
コンペンセータ402は、2つのポートを備えており、2つの状態を切り換えることができる。切換弁403は、4つのポートを備えており、2つの状態を切り換えることができる。切換弁403は、コンペンセータ402に内蔵され、コンペンセータ402に対して独立して機能する。
コンペンセータ402は、この切換弁403の移動によってPLSポート480から導かれる最高負荷圧力PLSと調整弁410に備えられたバネ465の弾性力Fにより加算される力とによる合計力(PLS+F/S;Fはバネの弾性力;Sは、油圧作用面の面積)、又は、切換弁403の移動によって第2流路431,432から導かれる圧力P34と調整弁410に備えられたバネ465の弾性力Fにより加算される力とによる合計力(P34+F/S;Fはバネの弾性力;Sは、油圧作用面の面積)、のいずれか高い方の力によって絞り459を閉じる方向に移動する。このコンペンセータ402が移動することにより、絞り459(コンペンセート部)の開口面積が制御される。
調整弁410の入口側の圧力P24が前記合計力(PLS+F/S)よりも低い場合には、入力ポート402aと出力ポート402bの間が閉じられる方向に力が作用する。その結果、開口面積が小さくなり、P24=(PLS+F/S)となるように制御される。すなわち、図において絞り459が絞られた状態となる。また、圧力P24が前記合計力(PLS+F/S)よりも高い場合には、入力ポート402aは、圧力P24の値に応じて開口する絞り459を介して出力ポート402bと接続される。この時、絞り459の開きが大きくなり、P24=(P34+F/S)となる。
そして、図18に示すように、この第3実施形態では、調整弁410を軸方向に移動させるコンペンセータ402の受圧面積を異ならせている。図示する例では、コンペンセータ402のポンプポート側の圧力P24が作用する図の左側が[1]であるのに対して、流路431,432側の圧力P34が作用する図の右側を[1.05]としている。つまり、流路431,432側の圧力P34(負荷圧)が作用する調整弁410の入力部402cの受圧面積が大きくなるような[1:1.05]の受圧面積差を持たせている。
このような受圧面積差とすることにより、コンペンセータ403の動作条件を、[負荷圧×1.05=ポンプ圧×1.0]としている。ここで、負荷圧は、圧力P34側の圧力からバネ465(図17)の弾性力Fを減算した力である。このような動作条件とすることにより、受圧面積差とバネの弾性力とが一定(実際には撓みによって変動するが、一定と仮定する)であるので、負荷圧側が上昇するのに伴ってポンプ圧側との差圧が減少し負荷圧に依存する流量特性を持たせることができる。この受圧面積差は一例であり、後述するように、負荷圧力の上昇に伴って流量が減少するような条件を満足するように、使用条件等に応じて設定すればよい。
一方、前記切換弁403は、PLSポート480から導かれる最高負荷圧力PLSと、前記コンペンセータ402の出力ポート402bから出力される作動油の圧力P34との高低によって切り換る。
最高負荷圧力PLSが圧力P34よりも高い場合、図の右側に切り換り、PLSポート480から最高負荷圧力PLSがコンペンセータ402の入力部402cに供給される。一方、最高負荷圧力PLSが圧力P34よりも低い場合、図の左側に切り換り、コンペンセータ402の入力部402cには、コンペンセータ402の出力ポート402bから圧力P34が供給される。調整弁410に供給された作動油(圧力P24)は、切換弁403を介して圧力P34まで減圧されて最高負荷圧力PLSポート480に供給される。このように自連負荷圧が最高圧力の場合、この切換弁403の切り換えと、前記コンペンセータ402の切り換えとにより、この圧力P24が減圧されて圧力P34と同等の圧力となるように減圧される。これにより、流量制御システム3内の最高負荷圧力PLSが圧力P34に更新され、圧力P34が最高負荷圧力PLSとなる。
(3)油圧制御装置の具体的な構成
以下、油圧制御装置400の具体的な構成、および機能について詳細に説明する。
図19に示すように、前記油圧制御装置400の本体405には、スプール弁401と、このスプール弁401と交わる各流路430〜434と、ポンプポート420と、タンクポート421(図17)と、PLSポート480と、アクチュエータ440(図17)と連通されるポートA1,B1とが設けられている。そして、流路430〜432が交わる中央部に調整弁410が設けられている。これらスプール弁401と流路430〜432との関係は、上述した第1実施形態における「(3)流用制御装置の具体的な構成」の記載と同一であるため、400番台の符号を付して詳細な説明は省略する。
前記本体405の調整弁410が設けられる位置には、図の上部から、直径D5,深さL5の第5シリンダ部、直径D1,深さL1の第1シリンダ部、直径D2,深さL2の第2シリンダ部、直径D6,深さL6の第6シリンダ部および直径D3,深さL3の第3シリンダ部が同軸上に連続して設けられている。この第3実施形態では、5段のシリンダ部が設けられている。
第1シリンダ部の側部に、前記PLSポート480が設けられている。また、この実施形態では、第5シリンダ部の側部にドレンポート481が設けられている。第2シリンダ部と第6シリンダ部の連結部と、第6シリンダ部と第3シリンダ部との連結部には、段差が設けられている。第6シリンダ部の下部側面は、流路431および流路432と連通する開口部となっている。
このようなシリンダ部で形成されたケーシング穴406には、調整弁410を収納するスリーブ470が設けられている。この実施形態におけるスリーブ470は、上部スリーブ470Aと下部スリーブ470Bとに分割された2つの部品で構成されている。これら上部スリーブ470Aと下部スリーブ470Bとによって、本体405との間で調整弁410を収納している。このスリーブ470は、下方が開口し、外径が直径D2,D1,D5の3段で形成された略円筒状となっている。スリーブ470は、下部スリーブ470Bの下端が前記第2シリンダ部と第6シリンダ部との連結部の段差に当接した状態で、押え部470aをボルト470bで固定することによって本体405に取付けられている。スリーブ470の各シリンダ部と本体405との間は、シール473,474,475によって液密が保たれている。
スリーブ470A,470Bの分割位置は、前記したように、コンペンセータ402の受圧面積に「1:1.05」の面積差を持たせているので、そのコンペンセータ402の径差分で内径を異ならせている。スリーブ470Aの内径は径の大きな直径D7で形成され、スリーブ470Bの内径は直径D4で形成されている。この直径D7と直径D4との間では径差を設けているが、直径D4と直径D3とは同径で形成されている。
スリーブ470の直径D1の位置には、貫通孔472(第2孔)が設けられている。この貫通孔472は、前記前記シール474,475でシールして液密な空間に区画した面に設けられている。PLSポート480に他の連の最高負荷圧力PLSが供給された場合には、貫通孔472を通じてスリーブ470の内側へと導くことができる。さらに、シール473,474でシールした間のスリーブ470Bの直径D1の位置には、圧抜孔476が設けられている。この圧抜孔476は、コンペンセータ402の径が異なるスリーブ470A,470Bの分割位置に設けられたドレン孔であり、前記ドレンポート481と連通している。
スリーブ470に収納される調整弁410は、上部が大径の直径D7で下部が小径の直径D4となった2段の円柱状のピストンに形成されており、その下部に直径D4と同径で形成された直径D3の絞り459を備えている。この絞り459は、流路430と流路431,432との連通面積を調整する縦長の開口で形成されている。この絞り459は、流路430(第1流路)に流れる作動油の圧力P24と、ポンプポート420の圧力P14との差が一定となるように、調整弁410が上下動することにより面積が変化して圧力を調整する。
前記上部スリーブ470Aは、この調整弁410が内部に収納された状態で、調整弁410の上部と上部スリーブ470Aとの間に直径D7の圧力室464を形成している。この圧力室464には、所定の弾性力を有するバネ465が設けられている。この圧力室464が、入力部402c(図17)である。
図20は図19に示すコンペンセータの構成を示す斜視図である。この図では部分的に誇張している。前記コンペンセータ402は、孔450、横孔451、連通溝452、孔454、孔456、小径部453、環状溝部449、小径溝部477、係止部457を備えている。孔454はシャトル455が移動する孔であり、孔450、横孔451および孔456と交わるように横向きに設けられている。
孔454と交わる孔450は、頂部に形成される圧力室464(図19)と連通するように縦向きに設けられている。横孔451は、環状溝部449と連通するように横向きに設けられている。孔454と交わる孔456は、流路430(図19)と連通するように縦向きに設けられている。
そして、この実施形態のコンペンセータ402は、前記小径溝部477の上部が直径D7の大径上部448に形成され、小径溝部477の下部が直径D4と、直径D3(直径D4と同径)とで形成されている。つまり、このコンペンセータ402は、下面の第1流路430の圧力P24(図19)が作用する下側の直径D3が小径で、上面の第2流路である流路431,432、又はPLSポート480の最高負荷圧力PLSが作用する上側の直径D7が大径となるように形成されている。この例では、下側の直径D3を「1」とすると、上側の直径D7を「1.05」とし、上下に「1:1.05」の受圧面積差を設けた異径コンペンセータ402としている。
また、孔454の外端は前記環状溝部449に開口している。さらに、連通溝452は、小径部453と環状溝部449とを連通させるように所定の箇所に縦向きに設けられている。横孔451の外周は、環状溝部449に開口している。これにより、PLSポート480(図19)の最高負荷圧力PLSを、小径部453と連通溝452とを介して環状溝部449と横孔451とに導いている。これにより、PLSポート480の最高負荷圧力PLS(図19)を、孔454の外端に導いている。
円柱状の小径部453は、図19に示すように、コンペンセータ402をスリーブ470に収納して上下移動させても、スリーブ470の貫通孔472と常に連通する範囲に設けられている。
さらに、前記小径溝部477は、コンペンセータ402がスリーブ470内で上下移動しても、コンペンセータ402の大径上部448の直径D7と直径D4との差の隙間を介して、スリーブ470Bに設けた圧抜孔476と常に連通する範囲に設けられている。これにより、小径溝部477の上部の直径D7と下部の直径D4との径差による受圧面積差で生じる圧力差を、常に圧抜孔476から逃がすようにしている。つまり、コンペンセータ402の上下動時に生じる小径溝部477内の圧を常に圧抜孔476からドレンポート481に抜くようにして、コンペンセータ402が移動した時に小径溝部477内に生じる圧を逃がしている(図19)。このドレンポート481は、図17の系統図では省略されている。
前記係止部457は、環状の突起部であり、絞り459の上部に設けられている。係止部457は、図示するように上方に向けて直径が大きくなるテーパ面に加工されており、このテーパ面が図19に示すように、本体405の直径D3,深さL3の第3シリンダ部の上端角部(第6シリンダ部と第3シリンダ部との間の段差部分)に当接するように形成されている。絞り459は、コンペンセータ402の上昇に伴って開口面積が増加する縦長の開口で構成されている。
また、コンペンセータ402は、図19に示すように、係止部457が第6シリンダ部と第3シリンダ部の段差部分に接している状態で、流路430と流路431,432との間を完全に閉塞するように構成されている。この状態で、前記孔454は、スリーブ470の下端よりも下側に下がらない位置に設けられている。なお、コンペンセータ402の側部には、切欠部460および流路461が設けられている。これらは、流路432、流路431と孔454とを連通させている。
このように、第3実施形態では、コンペンセータ402の下面の圧力P24が作用する直径D3と、上面の圧力P34又は最高負荷圧力PLSが作用する直径D7とに径差(面積差)を設けている。
図21は図20のコンペンセータに内蔵する切換弁のシャトルを示す斜視図である。図示するように、シャトル455には、円柱状の小径部455aと、この小径部455aから一方に離れた所定位置の油圧バランス用油溝455bと、他方の端部の小径部455cとが設けられている。小径部455aと小径部455cとの間に形成された大径部455dと他の大径部455e,455fは、孔454に内蔵して摺動可能な同径で形成されている。大径部455fは、以下、「頭部」ともいう。
前記大径部455e,455fの位置および軸方向長さは、図19において、シャトル455が孔454の左側にあるときに孔456と小径部455aの周囲とが連通し、シャトル455が孔454の右側にあるときに孔456を遮断して小径部455aと孔450とが連通するように設定されている。小径部455cは、シャトル455が右端に移動したときに孔450と流路461との連通を塞ぐ軸方向長さで形成されている。
シャトル455は、図19に示すように、孔454内に液密な状態で左右に摺動可能な状態で内蔵され、このシャトル455がコンペンセータ402の孔454に内蔵された状態で摺動し、孔450、横孔451,孔456(第1孔)、流路461を連通/遮断することで、切換弁403として機能する。
また、図19に示すように、PLSポート480、貫通孔472、小径部453、連通溝452、環状溝部449を介して孔454に入力される作動油(この作動油の圧力は、最高負荷圧力PLS)は、シャトル455の頭部(図の左側)に作用する作動油と、環状溝部449から横孔451を介して小径部455aに作用する作動油とになる。さらに、シャトル455には、孔456から圧力P24の作動油が作用し、流路461から圧力P34の作動油が作用している。したがって、これらの作動油の圧力バランスによって、シャトル455は移動する。つまり、図19において、シャトル455は、左右から作用する圧力の大小関係に応じて独立的に左右に移動する。
しかも、このように圧力差に応じて移動するシャトル455により、シャトル455が移動した時に、孔456が孔454と連通する開口面積を変化させて、孔456から孔454へ流れ込んで横孔451へと流れる作動油を減圧する減圧機能を切換弁403に持たせている。
図19は、他の連が最高負荷圧力PLSの状態を示しており、PLSポート480から貫通孔472と、小径部453を介して、孔454の図示する左側に他の連の最高負荷圧力PLSが作用するので、シャトル455は図の右端に移動した状態となっている。なお、自連が最高負荷圧力PLSの場合には、最高負荷圧力PLSである流路432内の作動油(圧力はP34)が、切欠部460、流路461を介して孔454の図示する右側に作用するので、シャトル455は図の左側に移動する。このように、シャトル455は、軸方向に作用する圧力の大小関係に応じて、コンペンセータ402とは独立して左右に移動する。
また、このように圧力の大小関係に応じてシャトル455が移動することにより、スリーブ470の圧力室464には、小径部453から連通溝452、環状溝部449、横孔451、孔450を介してPLSポート480の圧力、又は流路461、孔454、孔450を介して流路431,432の圧力、の流量制御システム3内で最大の最高負荷圧力PLSが供給される。図19は、他の連が最高負荷圧力の場合であるため、PLSポート480の圧力が、小径部453から連通溝452、環状溝部449、横孔451、孔450を介して圧力室464に作用している。したがって、この状態の調整弁410は、最高負荷圧力PLS×SD7(但し、SD7は、最高負荷圧力PLSが作用する調整弁410の上面の直径D7の面積)に、この調整弁410の位置に応じて決まるバネ465の弾性力Fを加算した力(PLS×SD7+F)で下向きに付勢されている。この時、調整弁410には、流路430に流れ込む作動油により、圧力P24×SD3(但し、P24は、流路430内の圧力。SD3は、圧力P24が作用する調整弁410の下面の直径D3の面積)で上向きに付勢されているが、調整弁410の上面に作用する力の方が大きいため、係止部457が本体405と密着する下向きに押圧された状態となっている。
しかも、この実施形態では、コンペンセータ上部の圧力室464側の直径D7の受圧面積を、下部の流路430側の直径D3の受圧面積に対して、[1.05:1]の面積差を設けて大きくすることにより、流路431(432)側の圧力、すなわち負荷圧力が上昇して圧力室464に作用する圧力が上昇すれば、コンペンセータ402がより絞り459を閉じる方向に力が作用して、負荷圧力が上昇すると負荷への流量が減少するような流量特性を持たせている。このように、この第3実施形態では、コンペンセータ402を移動させる受圧面積SD7とSD3とに所定の面積差を設け、これらの大小関係を調節することによって、負荷圧に対する流量制御特性を調整している。
なお、このコンペンセータ402の上部の直径D7の面積SD7と、下部の直径D3の面積SD3との面積差を、SD7>SD3(例えば、SD7をSD3に比べて1%〜10%程度大きくする)とすることにより、自連が最高圧の場合に、流量特性を、負荷圧力が上昇するのに伴って負荷流量が減少するような流量特性に変更することができる。
前記調整弁410の逆止弁としての機能は、環状の係止部457が絞り459を閉じて本体405と密着することにより発揮される。つまり、流路430内の圧力が流路432および流路431の圧力より低下した場合、係止部457は、流路430と流路431および流路432との間を遮断するように本体405と密接し、流路431および流路432から流路430へ作動油が逆流するのを防止する逆止弁となる。この時、本体405の第2シリンダ部と第3シリンダ部との段差部分の角部が、係止部457に接する弁座として機能する。
(4)駆動例
図22は図19の構成において自連が最高負荷圧力の場合のコンペンセータと切換弁の状態を示す断面図である。この状態は、流路432内の圧力P34がシステム1内の他の連の最高負荷圧力PLSよりも高い状態である。作動油の流れを矢印で示す。
この図は自連が最高負荷圧力であるため、流路432内の作動油が切欠部460、流路461を介して孔454に導かれ、シャトル455は、図示するように左側に移動させられる。図ではシャトル455が左端に位置する例を示しているが、圧力のバランスによって必ずしも左端とは限らず、シャトル455の頭部に作用する圧力と、流路461から作用する圧力とのバランスする位置となるように、孔456から流入する直前の圧力P24が減圧される。すなわち、孔456から孔454を介して横孔451へ流れる流路430内の作動油(この作動油の圧力はP24)は、孔456と孔454とが連通する部分の面積変化に応じて圧力P34まで減圧されながら流れるように調整され、PLS圧として圧力P34が出力される。図示する状態では、圧力室464に圧力P34の作動油が導かれている。
つまり、この孔456から孔454に作動油が流れる時の圧力P24の減圧は、孔456と孔454とが連通した状態で、シャトル455の小径部455aと孔450とが連通しないように設定されているため、シャトル455の小径部455aに孔456から導かれる圧力P24(PLS)がシャトル右側に導かれる圧力P34と同等の圧力となるように圧力調整される。この調整は、シャトル455が、このシャトル455に働く力がバランスするように移動して行われる。
そして、この孔456からシャトル455の小径部455aに流れ込む作動油は、大径部455eによって流量が絞られながら孔454に流れ込み、小径部455aから横孔451、環状溝部449、連通溝452、小径部453を介して貫通孔472からPLSポート480に供給される。これにより、流量制御システム3の最高負荷圧力PLSが圧力P34に更新される。このPLSポート480に供給された作動油のPLSライン18での減圧は、上述した第1実施形態の作用と同一であるため、その説明は省略する。
しかも、この第3実施形態によれば、図18に示すように、PLSポート480へ流れる作動油の圧力を制御する切換弁403のコンペンセータ402に、圧力室464側の受圧面積が[1.05]であるのに対して、流路430側の受圧面積が[1]となるように受圧面積差を設けているので、この受圧面積差によって、自連の圧力P34の上昇に伴ってポンプ圧力と圧力P24との差圧が減少し、負荷圧上昇に伴って流量がより減少するような流量特性とすることができる。
この流量特性を数式を用いて具体的に説明する。前記図19に示すコンペンセータ402の直径D3で示す下部の小径側受圧面積をA24、直径D7で示す上部の大径側受圧面積をA34とし、コンペンセータ402の入口側の圧力をP24とし、P34が最高圧とすると、図22のように圧力室464には圧力P34とバネ465の弾性力Fとが作用している関係から、次の数式14,15が成立する。
そして、これらの関係から、コンペンセータ402の入口側の圧力P24と出口側の圧力P34との差圧は、数式16,17で表すことができる。
ここで、可変容量形ポンプ11の吐出圧力をPdとすると、この吐出圧力Pdと出口側の圧力P34(この場合、最高負荷圧力PLS)との関係は、「Pd−P34=(P−P24)+(P24−P34)=Pref」となり、その差圧は一定のPrefとなる。
一方、コンペンセータ402に供給される作動油の流量としては、数式18で表すことができる。
ここで、前記「A24×P24=A34×P34+F」の関係から流量を表すと、数式19,20のようになる。Cは、一般に知られる流量式における流量係数を含む比例定数である。
この数式20の[Pd−P34]は、ポンプ吐出圧力Pdと負荷圧との差圧であるため、一定の基準差圧Prefとなり、流量Q3は数式21のようになる。
A34/A24>1 としているので、圧力P34が上昇すると流量Q3が減少する。
したがって、調整弁410に設けたコンペンセータ402の面積差により、負荷圧力P34の上昇に伴ってよりコンペンセータ402を閉じて負荷への流量を減らすことができるので、これにより、負荷圧力が上昇すれば、ポンプ圧と圧力P24との差圧が小さくなるようにコンペンセータ402によって制御され、上述した図9(a) に実線で示すように、負荷圧力の上昇に伴って負荷への流量が減少するような流量特性を持たせている。
自連単独動作時、および複合動作で自連最高圧時に、特定の連が負荷圧に依存して絞り459による制御流量が制限される負荷圧依存型コンペンセータの機能を有することとなり、安定したロードセンシング機能を備えた流量制御システム3を構築することができる。
なお、この多連型の流量制御システム3においても、複数の油圧制御装置400が複合動作しているので、異径コンペンセータ402を設けていない他連が最高負荷圧力の場合には図9(b) の点線より左部分に示すように、負荷圧が上昇しても流量が減少するような流量特性とはならず一定の流量特性となるが、異径コンペンセータ402を設けた自連が最高負荷圧力となったら、図9(b) の点線より右部分に示すように、負荷圧の上昇に伴って流量が減少するような流量特性となり、負荷圧力の上昇に伴って負荷への流量が減少するような流量特性とすることができる。
さらに、このような油圧制御装置400を用いることにより、絞り459による圧力調整動作とは独立して、調整弁410に設けた切換弁403によって常時最高負荷圧力PLSの調節を行うことができ、圧力制御装置400の小型化を図ることができる。
しかも、この油圧制御装置400によれば、コンペンセータ402によって、負荷圧力が上昇するほど負荷への流量が減少するような流量特性を持たせることができるので、負荷流量を少なくしたい高圧になるほどポンプ圧力と負荷圧との差圧を小さく制御することができ、油圧制御装置400の省エネルギー化を図ることができる。
また、この油圧制御装置400をハンチングし易いアクチュエータの連に適用することにより、ブリードオリフィス21を従来に比べて小さくすることができるので、ブリード量が少なくなることにより、複合動作中の負荷圧最高連が切り換わる際に発生する流量変化を小さくでき、系の安定化を図ることができる。
特に、前記油圧制御装置400を旋回モータの連に用いると、旋回モータのリリーフ弁から逃がす流量を小さくできるので、省エネルギ化を実現することができる。
なお、このように構成された油圧制御装置400によれば、負荷の変動や、ポンプ流量の変動、中立からのインチング動作に対して、シリンダを用いて負荷を制御する機械(例えば、油圧ショベルのバケット。)での寸落(一定範囲の急激な下降)を防止することができる。これにより、ロードセンシング機能の安定性を向上させることができる。
以上のように、油圧制御装置100,300,400によれば、流量特性を変化させたことによって、流量を少なくしたい高圧領域ほどポンプ圧力と負荷圧との差圧が小さくなり、負荷圧力の増加に伴って負荷への流量が減少する流量特性とすることができるので、慣性体制御時等に負荷が増加しても制御速度を低下させて振動現象を抑制することができる。
なお、上述したいずれの実施形態も多数連の流量制御システムの一例として2連の流量制御システムを例にして説明したが、3連以上のより多数連の流量制御システムであっても同様に適用することができる。また、図示する左側の油圧制御装置100,300,400のみの流量特性を変化させる場合を説明したが、他の連の油圧制御装置の流量特性を変化させるように構成しても、多数の油圧制御装置の流量特性を変化させるように構成してもよく、本願発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
さらに、上述した各実施形態は一実施形態であり、本願発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本願発明は上述した実施形態に限定されるものではない。