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JP2005091305A - 人工脂質二重膜の形成装置および人工脂質二重膜の形成方法、並びにその利用 - Google Patents

人工脂質二重膜の形成装置および人工脂質二重膜の形成方法、並びにその利用 Download PDF

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JP2005091305A JP2003328651A JP2003328651A JP2005091305A JP 2005091305 A JP2005091305 A JP 2005091305A JP 2003328651 A JP2003328651 A JP 2003328651A JP 2003328651 A JP2003328651 A JP 2003328651A JP 2005091305 A JP2005091305 A JP 2005091305A
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Abstract

【課題】 安定した人工脂質二重膜を迅速に形成でき、例えば、単一チャネルの構造と機能を同時に測定する電流測定装置に用いることが可能な、人工脂質二重膜の形成装置および形成方法と、その代表的な利用の一例とを提供する。
【解決手段】 本発明の人工脂質二重膜の形成装置は、底面に小孔11を有する上溶液槽1と、支持層3が形成された下溶液槽2と脂質溶液除去手段とを備え、小孔11に脂質溶液を塗布し、該脂質溶液を支持層3に接触させた状態で、水圧を変化させることなく脂質溶液除去手段により余剰な脂質溶液を排出しすることで、小孔11に人工脂質二重膜を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、人工脂質二重膜の形成装置および人工脂質二重膜の形成方法、並びにその利用に関するものであり、例えば、膜タンパク、ペプチド等を介した微小電流の検出に利用される脂質平面膜法に好適に用いられる人工脂質二重膜の形成装置および形成方法と、その代表的な利用の一例とに関するものである。
脂質二重膜(脂質二分子膜、脂質二重層)は、生体膜の基本構造であり、全ての生物の生体膜に見られる。生体膜には、各種の膜タンパク質が脂質二重膜に埋め込まれており、この膜タンパク質は、各種イオン、糖、アミノ酸、ヌクレオチド等の物質の輸送やシグナル伝達、あるいは脂質の合成等に関与している。
このように、生体膜は、生理機能を発現する場であり、外部からの情報の認識と膜内への伝送、物質の変換、輸送など、種々の重要な役割を果たしている。また、生体膜の機能を応用すれば、産業上の様々な用途への応用の可能性が見出される。したがって、生体膜モデルとして、人工的な膜を作製することは極めて重要である。
生体膜のモデルとなる人工的な膜としては、高分子キャスト膜、ラングミュア−ブロジェット(LB)膜など種々のものが考えられているが、人工脂質二重膜が生体膜に最も近い形態を有している。人工脂質二重膜とは、リン脂質などの両親媒性分子を疎水部のアルキル鎖どうしを内側に向けた状態で配列させた薄膜のことであり、例えば、イオンチャネルのイオン電流を測定する用途等に応用されている。
ところで、人工脂質二重膜の形成方法としては、脂質平面膜法が知られている。単一のイオンチャネルのイオン電流を測定する方法としてパッチクランプ法が用いられるが、チャネルの構造機能について相関研究を深めるためには、実験を行うときに、単純な再構成系を用いる必要が生ずる場合がある。このような場合に用いられる人工脂質二重膜の形成方法が脂質平面膜法である。
この脂質平面膜法は、イオン、水、人工脂質二重膜、イオンチャネルという最小限の単純系を用いて、イオンチャネルの基本的な構造や詳細な構造機能相関について調査するというものである(非特許文献1参照)。
脂質平面膜法の系について具体的に説明すると、図13に示すように、人工脂質二重膜111にイオンチャネル112を組み込み、イオンチャネル112を介して流れる電流を計測する。上記人工脂質二重膜111は、水溶液槽113を仕切るプラスティック板等の仕切り板114に開けられた小孔115に形成されている。2つに仕切られた水溶液槽113の一方の槽には、電極116が投入され、この電極116を介して電流計測器117が設けられている。他方の槽には、電極118が投入され、この電極118を介して水溶液槽113に対してアース119がなされている。
ここで、上記小孔115に人工脂質二重膜111を形成する方法としては、以下の(A)垂直型ペインティング法、(B)垂直型貼り合わせ法、(C)水平型法のいずれかの方法が挙げられる。
(A)垂直型ペインティング法では、まず、図14の左側に示すように、水溶液槽113(図14には図示せず)を仕切る仕切り板114等の支持体に形成されている小孔115に、脂質溶液110を細いガラス管等で塗りつける。この状態では脂質溶液110は、小孔115をふさぐ状態で、仕切り板114の表面側双方に突出するように盛り上がっている。この脂質溶液110は、デカン等の有機溶媒に脂質を溶解してなる溶液である。塗りつけた後、図14の右側に示すように、脂質溶液110が仕切り板114の表面を移動することにより、自然に薄化した人工脂質二重膜111が得られる。なお、薄化とは、塗りつけられた脂質溶液110の中心部から有機溶媒等が移動して、該中心部にて脂質二重膜が形成される過程をいう。
次に、(B)垂直型貼り合わせ法では、図15の上段に示すように、水溶液槽113(図15には図示せず)における気液界面に脂質の単分子膜121を展開する。このとき気液界面は、仕切り板114に形成されている小孔115の下方側の端部と同じ位置としておく。その後、図15の中段に示すように、2つに仕切られた水溶液槽113の一方の槽(図中右側)における液面(気液界面)を上昇させることにより、単分子膜121を仕切り板114の表面開させる。これにより、小孔115の一方の開口が単分子膜121により塞がれた状態になる。さらにその後、図15の下段に示すように、2つに仕切られた水溶液槽113の他方の槽(図中左側)における液面(気液界面)を上昇させることにより、単分子膜121を仕切り板114の表面に展開させる。これにより、小孔115の他方の開口も単分子膜121が塞がれた状態となる。その結果、小孔115の双方の開口において、単分子膜121が貼り合わせられ、最終的に人工脂質二重膜111が形成される。
次に、(C)水平型法では、図13に示す水溶液槽113が仕切り板114により上下に仕切られた状態となる。このとき、図16(a)に示すように、仕切り板114に形成した小孔115を脂質溶液110で塞ぎ、該脂質溶液110が自然に薄化して人工脂質二重膜111となるのを待つ。あるいは、図16(b)に示すように、小孔115より上側の槽の水圧を上げることにより脂質溶液110を下方に膨らませて薄化させることにより人工脂質二重膜111を形成する。
しかしながら、上記の何れの人工脂質二重膜の形成方法であっても、安定した人工脂質二重膜111を迅速に形成することが困難となっている。すなわち、上記(A)垂直型ペインティング法では、脂質溶液110が仕切り板114の表面を移動し、十分に薄化して人工脂質二重膜111となるまでに数分から数十分を要する。また、(B)垂直型貼り合わせ法では、人工脂質二重膜111を形成する前に小孔115をスクアレン等の有機溶媒で前処理することが必須であり、工程の増加により形成方法が煩雑化する。さらに、複数回、液面を上下しないと人工脂質二重膜111が形成されていないことがほとんどである。
さらに、(C)水平型法のうち、小孔115を塞いだ脂質溶液110が自然に薄化するのを待つ場合(図16(a)の場合)には、人工脂質二重膜の形成が人為的には全く制御できない。それゆえ、薄化に数時間以上を要する場合がある。また、小孔115より上側の槽の水圧を上げることにより薄化する場合(図16(b)の場合)には、得られる人工脂質二重膜111において、「脂質二重膜」となる薄い部分と、その周囲を取り囲む環状バルク層という厚い部分とが生じる。したがって、この方法で得られる人工脂質二重膜111は、上記各部分の物理化学的な平衡の上に成り立っているため、水溶液の流動などによる振動でこの平衡が崩れると、人工脂質二重膜111はすぐに破れる。しかも、水溶液槽113における上下各槽の圧力差を正確にコントロールするのは難しいため、得られる人工脂質二重膜111はより不安定になりやすい。
このように、脂質平面膜法を用いた場合、安定で耐久性のある人工脂質二重膜を形成することが克服すべき大きな課題となっている。
そこで、本発明者等は、電流測定装置に用いる人工脂質二重膜において、上記従来の問題点を改善する技術を提案している(例えば、非特許文献2参照)。この技術により得られる電流測定装置では、人工脂質二重膜を用いてイオンチャネル分子の構造と機能を同時に測定することが可能となっている。
具体的には、この電流測定装置は、図17に示すように、上溶液槽101および下溶液槽102の2つの溶液槽を備えている。上溶液槽101の底面には中心部に小孔105が開けられたフィルム103が貼り付けられている。また、下溶液槽102は底面に開口部104があり、カバーガラス106が接着剤で固定されている。そしてこのカバーガラス106にはアガロースゲル層(図示せず)が形成されている。
この電流測定装置では、まず、脂質溶液中で上溶液槽101の下方部を移動させることにより、小孔105に脂質溶液の厚い膜を形成する。その後、上溶液槽101を下溶液槽102に投入し、小孔105に形成された厚い膜がカバーガラス106に形成されたアガロースゲル層に接するまで下降させる。ここで上溶液槽101の圧力(水圧)を高くすることによって、余剰の脂質溶液をアガロースゲル層の間から押し出し、厚い膜を薄化させ人工脂質二重膜を形成する。
この電流測定装置では、上溶液槽101の圧力を高くすることにより、人工脂質二重膜の形成(厚い膜の薄化)に時間を要することがない。また、形成された人工脂質二重膜は、アガロースゲル層に支持されるので、上溶液槽101から圧力がかけられていても人工脂質二重膜は上下方向に安定化する。
「新パッチクランプ実験技術法」、老木成稔著、吉岡書店、2001年、208-215頁、『19.チャネル研究のための脂質平面膜法』 Ide,T., Takeuchi,U., Yanagida,T. Development of an Experimental Apparatus for Simultaneous Observation of Optical and Electrical Signals from Single Ion Cannels, Single Mol.3(2002)1,33-42
しかしながら、上記従来の人工脂質二重膜の形成技術では、人工脂質二重膜を安定して形成することが困難な場合があり、より安定した形成技術が求められているという課題を有している。
具体的には、上記従来の技術では、上溶液槽101の圧力(水圧)を高くすることによって、余剰の脂質溶液をアガロースゲル層の間から押し出し、厚い膜を薄化させている。このとき、上溶液槽101の圧力を高めると、図18(a)に示すように、上溶液槽101の底面とアガロースゲル層108との間において、図中矢印R方向に余剰な脂質の逃げていくため、膜の薄化が可能となる。ところが、図18(b)に示すように、上溶液槽101の圧力が高くなることで、該上溶液槽101から下溶液槽102へ水溶液が移動することができる(図中矢印M方向)。そのため、図18(c)に示すように、薄化した人工脂質二重膜111が過剰に膨らみ、破れやすくなる。
このように、小孔に形成された脂質溶液の厚い膜を薄化する場合、上方の圧力を高める手法を採用すると、安定して薄化ができずに人工脂質二重膜が破れやすくなるという問題が生じていた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、安定した人工脂質二重膜を迅速に形成でき、例えば、単一チャネルの構造と機能を同時に測定する電流測定装置に用いることが可能な、人工脂質二重膜の形成装置および形成方法と、その代表的な利用の一例とを提供することにある。
本発明にかかる人工脂質膜の形成装置は、平板状の部位に膜形成用開口部が形成されている膜支持体と、水溶液を蓄積可能となっている膜形成溶液槽とを備えているとともに、該膜形成溶液槽には、人工脂質二重膜を支持する支持層が設けられており、上記膜支持体の膜形成用開口部で形成した人工脂質二重膜を支持層上に接触させて支持する人工脂質二重膜の形成装置において、さらに、水圧を変化させることなく上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を排出する脂質溶液排出手段を備えており、上記膜形成用開口部の少なくとも一方の面を水溶液に接する状態となるように、膜支持体を膜形成溶液槽に投入した上で、該膜形成用開口部に脂質溶液を塗布し、該脂質溶液を上記水溶液と支持層とで挟んで該支持層に接触させるとともに、この状態で上記脂質溶液除去手段により余剰な脂質溶液を排出することにより、上記膜形成用開口部に薄化した人工脂質二重膜を形成することを特徴としている。
上記構成によれば、脂質溶液排出手段を備えているため、水圧を変化させることなく膜形成用開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を排出することができる。そのため、膜の上から圧力がかからないため、薄膜化させる際に、膜を破いたり、膜を不安定な状態にするようなことはない。ゆえに、安定で耐久性が高い人工脂質二重膜を迅速に形成することができる。
さらに、本発明にかかる人工脂質膜の形成装置は、上記膜形成溶液槽を下溶液槽とした場合に、該下溶液槽の上方に設けられる水溶液を蓄積可能となっている上溶液槽を備え、上記支持層は、該下溶液槽の底面に設けられており、上記膜支持体は、上溶液槽の底面となっていてもよい。
上記構成によれば、上溶液槽の脂質溶液を塗布した底面と、下溶液の底面に設けられた支持層を接触することを容易に行うことができる。よって、単純な構成で、安定した人工脂質二重膜を迅速に容易に形成することができる。
さらに、本発明にかかる人工脂質膜の形成装置は、上記脂質溶液排出手段が、上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液を管状部材により吸引する吸引手段であってもよい。
上記構成によれば、吸引手段を用いて、形成用開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を吸引する。それゆえ、短時間で容易に余剰名脂質溶液を排出し、人工脂質二重膜を薄膜化することができる。
さらに、本発明にかかる人工脂質膜の形成装置は、上記膜支持体が、上記膜形成溶液槽に設けられた支持層を押しつける方向に移動可能となっており、当該移動可能な膜支持体を上記脂質溶液排出手段として用い、上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液を上記支持層に圧着させ脂質溶液を押し出すことで、余剰な脂質溶液を排出してもよい。
上記構成によれば、膜支持体が、移動可能となっているため、脂質溶液を上記支持層に圧着させ脂質溶液を押し出すことで、余剰な脂質溶液を排出することができる。よって、余剰な脂質溶液を排出するための部材を用意する必要がないため、安価に容易に人工脂質二重膜を薄膜化することができる。
さらに、本発明にかかる人工脂質膜の形成装置は、上記支持層が、高分子ゲルからなっていることが好ましく、上記高分子ゲルとして、アガロースまたはポリアクリルアミドが用いられることがより好ましい。また、上記高分子ゲル層の厚さは任意でかまわないが、上記脂質溶液排出手段が、吸引部材である場合には100nm以上2.0mm以下、移動可能な膜支持体である場合には0.5mm以上2mm以下であることが好ましい。さらに、上記高分子ゲルは、上記膜形成用開口部に接する領域で、他の領域よりも高くなっていることが好ましく、50μm以上200μm以下高くなっていることがより好ましい。
上記の構成によれば、薄膜化する際に、高分子ゲル層に支えられて、人工脂質二重膜が上下方向に安定する。
さらに、本発明にかかる人工脂質膜の形成装置は、上記膜形成用開口部の直径が、10μm以上500μm以下であることが好ましい。
上記構成によれば、人工脂質二重膜を、良好に形成することができる。
本発明にかかる人工脂質膜の形成方法は、平板状の部位に膜形成用開口部が形成されている膜支持体を用い、この膜形成用開口部の少なくとも一方の面を水溶液に接した状態とした上で、該膜形成用開口部に、脂質溶液を塗布する脂質溶液塗布工程と、上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液を上記水溶液と表面が親水性である支持層とで挟んで、上記塗布した脂質溶液を該支持層に接触させる支持層接触工程と、水圧を変化させることなく上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を排出することにより、上記膜形成用開口部に薄化した人工脂質二重膜を形成する脂質膜薄化工程とを含むことを特徴としている。
上記方法によれば、水圧を変化させることなく膜形成用開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を排出することができる。そのため、膜の上から圧力がかからないため、脂質膜薄化工程で、膜を破いたり、膜を不安定な状態にするようなことはない。ゆえに、安定で耐久性が高い人工脂質二重膜を迅速に形成することができる。
さらに、本発明にかかる人工脂質膜の形成方法は、上記脂質膜薄化工程では、管状部材により脂質溶液を吸引することで、余剰な脂質溶液を排出してもよい。
上記方法によれば、短時間で容易に余剰名脂質溶液を排出し、人工脂質二重膜を薄膜化することができる。
さらに、本発明にかかる人工脂質膜の形成方法は、上記脂質膜薄化工程では、上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液を上記支持層に圧着させ脂質溶液を押し出すことで、余剰な脂質溶液を排出してもよい。
上記方法によれば、安価で容易に人工脂質二重膜を薄膜化することができる。
本発明にかかる人工脂質二重膜は、上記人工脂質二重膜の形成方法を用いて、形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、上記人工脂質二重膜の形成方法を用いて形成されているため、人工脂質二重膜は、安定で耐久性が高い。
さらに、本発明にかかる人工脂質二重膜は上記人工脂質二重膜には、膜タンパク質が組み込まれていてもよいし、この膜タンパク質がイオンチャネルであってもかまわない。
本発明にかかる電流測定装置は、上記本発明にかかる人工脂質二重膜の形成装置を用いて形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、膜を介した電流測定に際し、安定した人工脂質二重膜を用いることができるため、精度よく電流測定を行うことができる。
さらに、本発明にかかる電流測定装置は、上記膜形成溶液槽の支持層が設けられる側面が透光性を有する材料からなっているとともに、該側面の外側には、支持層上の人工脂質二重膜を観察可能とする光学観察手段が設けられていてもよい。
上記構成によれば、膜形成溶液槽と支持層とを通して、人工脂質二重膜を光学的に観測することができる。
さらに、本発明にかかる電流測定装置は、上記上溶液槽に電気的に接続される電流計測手段と、上記下溶液槽に電気的に接続されるアース手段とを備えているのが好ましい。
さらに、本発明にかかる電流測定装置は、上記人工脂質二重膜には、膜タンパク質が組み込まれてもよく、該膜タンパク質がイオンチャネルであってもかまわない。
以上のように、本発明の脂質二重膜の形成装置を用いれば、安定で耐久性が高い人工脂質二重膜を短時間で形成することができる。また、上記の人工脂質の形成装置を用いて形成される本発明の脂質二重膜は、安定で耐久性が高い。
さらに、本発明の電流測定装置を用いれば、安定な人工脂質二重膜に組み込まれた分子によって、様々な物質の検出に用いることができる。例えば、イオンチャネルを組み込んだ場合、イオン透過の様子を確認することができる。それゆえ、上記の電流測定装置は、イオンチャネルの機能解析に役立てることができる。
イオンチャネルは、種類も多く、ほとんどすべての細胞に分布して生体が生存するために重要な役割を果たすことから、疾患の原因にもなりやすい。このことから、イオンチャネルをターゲットとする薬剤が多く必要とされている。本発明は、イオンチャンネルをターゲットとする薬剤開発におけるスクリーニングや薬理試験にも利用できる可能性を有しているため、その有用性は高いと言える。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、図1ないし4を用いて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、以下の本実施の形態の記載に限定されるものではない。
(1)人工脂質二重膜の形成装置の一例
本発明にかかる人工脂質二重膜の形成装置(以下の説明では、適宜、形成装置と略す)は、図1に示すように、少なくとも上溶液槽1と、下溶液槽(膜形成溶液槽)2と、支持層3と、図示しない吸引部(吸引手段)とを備えている。この吸引部は、水圧を変化させることなく膜形成用開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を排出する脂質溶液排出手段として機能する。また、上溶液槽1の底面は膜支持体5となっており、この膜支持体5に形成されている小孔(膜形成用開口部)11で人工脂質二重膜が形成される。
<膜支持体>
上記膜支持体5の具体的な構成は、平板状の部位に膜形成用開口部である小孔11が形成されている構成となっていれば得に限定されるものではない。本実施の形態では、図1に示すように、膜支持体5は、溶液を蓄積可能な上溶液槽1の底部分となっている。
上記膜支持体5は、板状またはフィルム状であれば特に限定されるものではない。したがって、図1に示すような上溶液槽1の底面となっている構成では、当該上溶液槽1の底面そのものに小孔11が形成されている構成となっていてもよいし、上溶液槽1の底面に開口部を設け該開口部に小孔11を形成したフィルムを接着した構成となっていてもよい。
上記膜支持体5の材質は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスティック、フッ素樹脂等が好適に用いられる。また、上記膜支持体5の厚さは0.1mm以上、0.3mm以下であることが好ましい。なお、小孔11周辺のみ他の領域より薄くすることにより、安定な人工脂質二重膜を迅速に形成することができる。上記小孔11は、直径が10μm以上、500μm以下であることが好ましく、50μm以上、200μm以下であることがさらに好ましい。これにより、人工脂質二重膜を良好に形成することができる。
上記小孔11は、例えば、以下に示すような従来公知の方法によって形成することができる。まず、ごく先端まで円錐形に鋭利に削ったステンレス棒をガスバーナー等で熱する。次にこれを上記小孔11を形成する面に強く押し付け、押し付けた面と反対側にわずかに膨らみができるところまで押し付けを続ける。この膨らみを剃刀で切り取ることで小孔11が形成される。なお、小孔11はクロロホルム/メタノールで洗浄することにより不純物等を取り除く。もちろん、小孔11を形成する方法は、これに限定されるものではなく、公知のあらゆる方法を用いることができる。
<上溶液槽>
上記上溶液槽1は、下溶液槽2の上方に設けられ、水溶液を蓄積可能となっており、上記膜支持体5を上溶液槽1の底面とする構成となっていれば特に限定されるものではない。
上記上溶液槽1の形状は特に限定されるものではないが、例えば、円筒形のものが挙げられる。また、上記上溶液槽1の大きさは、小孔11より大きければ特に限定されるものではないが、例えば円筒形である場合、その内径は0.5mm以上、20mm以下であることが好ましく、1.0mm以上、10mm以下であることがより好ましい。さらに、上記上溶液槽1の大きさは、好ましくは上記内径が数十μmまで小型化することができる。また、上溶液槽1の容積は特に限定されるものではないが、0.01cm3以上、1.0cm3以下であることが好ましい。これにより、本発明にかかる人工脂質二重膜の形成装置を、小型のチップ上に作成することが可能となり、より小型のセンサーを製造することが可能となる。
さらに、上記上溶液槽1の上記小孔11を形成する部分以外(膜支持体5以外の部分)の材質も、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス、プラスティック等が挙げられる。
上記上溶液槽1は、水溶液を蓄積可能となっている。そして小孔11に形成される人工脂質二重膜は、上溶液槽1および下溶液槽2に満たされた水溶液に各側面が接している。これは、人工脂質二重膜の下溶液槽2側が支持層3に接触している場合も同様であり、人工脂質二重膜は支持層3を浸透した水溶液に接している。これにより人工脂質二重膜の下方からも小分子のアクセスが可能となる。上記水溶液は、界面活性剤、有機溶媒等を含むものでなければ特に限定されるものではない。上記水溶液の好ましい一例としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の水溶液が挙げられる。
また、上記上溶液槽1は、上下方向に移動することができるものであることが好ましい。上記上溶液槽1の上下移動は、手動で行ってもよいし、移動のための装置を用いてもよい。移動のための装置としては、具体的には、一例として、マイクロマニュピレーター等が挙げられる。
<下溶液槽>
上記下溶液槽2は、上溶液槽1の下方に配置され、上記水溶液を蓄積可能となっており、膜支持体5を形成するための膜形成溶液槽となっていればよい。下溶液槽2の底面には、人工脂質二重膜を支持する支持層3が設けられており、上溶液槽1の小孔11で形成した人工脂質二重膜を、支持層3上に接触させて支持するようになっている。
下溶液槽2の容積は、支持層3を形成した上に上溶液槽1の底を入れることができれば、特に限定されるものではない。
上記下溶液槽2の材質は特に限定されるものではないが、例えば、ガラス、ポリスチレン等のプラスティック等が挙げられる。
また、上記水溶液は、上溶液槽1の水溶液と同様、界面活性剤、有機溶媒等を含むものでなければ特に限定されるものではない。上記水溶液の好ましい一例としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の水溶液が挙げられる。
<支持層>
上記下溶液槽2の底面に設けられる、支持層3は、上記膜支持体5の小孔11で形成した人工脂質二重膜を接触させ支持する構成であればよい。
上記支持層3は、水溶液が浸透することができ、且つ、人工脂質二重膜2を支持することができるものであれば特に限定されるものではない。上記支持層3としては、具体的には、例えば、高分子ゲル、セルロース膜等の多孔質膜を挙げることができる。中でも、上記支持層3は高分子ゲルからなるものであることがより好ましい。上記高分子ゲルとしては具体的には特に限定されるものではないが、アガロース等の多糖類や、ポリアクリルアミド等の親水性樹脂を好ましく用いることができる。これらを用いることにより、安価かつ信頼性の高い材料を用いて簡単に支持層3を形成することができる。
上記支持層3の厚さは、任意でかまわないが、100nm以上、2mm以下であることが好ましい。支持層3の厚みがこの範囲内であることにより、形成された人工脂質二重膜が上下方向に安定する。
また、支持層3の形成方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いればよい。例えば、具体的な一例としては、支持層3として、高分子ゲルであるアガロースを用いる場合には、アガロースの分散液を調製し、これを加熱してアガロースを溶解させた後、これを下溶液槽2の底面に塗布して、室温で乾燥する方法が挙げられる。
<人工脂質二重膜>
上記人工脂質二重膜は、上記のように、上溶液槽1の底面5に開けられた小孔11に形成される。人工脂質二重膜は、後述するように、小孔11に脂質溶液を添塗した後、下溶液槽2の支持層3と接触させ、吸引部により余分な脂質溶液を吸引することにより形成される。
上記脂質としては、人工脂質二重膜を形成するものであれば特に限定されないが、リン脂質が好適に用いられる。具体的には、例えば、ホスファチジルコリン、ジフィタノイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン等が挙げられる。
これらのリン脂質における2本の炭化水素鎖は、飽和炭化水素であってもよいし、不飽和炭化水素であってもよい。これらの脂質は純粋なものを用いてもよいし、少なくとも2種類の脂質を混合したものであってもよい。
上記脂質溶液とは、上記脂質を有機溶媒に分散したものをいう。用いられる有機溶媒としては、非極性有機溶媒であれば特に限定されるものではない。具体的な一例としては、例えば、デカン、ヘキサデカン、ヘキサン等の飽和炭化水素が好適に用いられる。また、脂質濃度は5〜40mg/mLであることが好ましく、15〜20mg/mLであることがより好ましい。
<吸引部>
上記吸引部は、上記小孔11に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を吸引することで排出できるような構成であればよい。
上記吸引部による薄膜化について、図2を用いて説明する。
膜支持体5の小孔11に脂質溶液13を塗布する。この脂質溶液13を後述するように水溶液と支持層とで挟んで支持層に接触させる。この状態で吸引部12を用いて余剰な脂質溶液13を排出し、小孔11に薄化した人工脂質二重膜14を形成する。
この吸引部12は、小孔11周辺から塗布された脂質溶液13から、脂質二重膜が形成させる以外の余剰の脂質溶液13を吸引できる管状部材であればどのようなものでもかまわない。例えば、注射器に繋いだガラス管、シリコンのスポイト等が挙げられる。
吸引は、例えば、図3に示すように、ガラス管15を熱伸展して細く引いたものを脂質溶液13につけシリコンチューブ16を繋いだ注射器17を用いて行えばよい。脂質溶液13を吸引するとき、膜を破かずに形成させるために、開口部周辺から吸引するのが好ましく、特にバルク部分から吸引するのが好ましい。なお、吸引の方法は上記に限らない。
(2)人工脂質二重膜の形成方法の一例
本発明にかかる人工脂質二重膜の形成方法として、上記(1)で説明した人工脂質二重膜の形成装置を用いた場合について、図4(a)〜(c)に基づいて説明する。
初めに、脂質溶液塗布工程について説明する。図4(a)に示すように、予め下溶液槽2の底部に支持層3を形成しておき、上溶液槽1および下溶液槽2を上記水溶液で満たす。そして、上溶液槽1の底面となっている膜支持体5に形成された小孔11に上記脂質溶液13を添塗する。
次に、支持層接触工程について説明する。図4(b)に示すように、上溶液槽1の底面を下溶液槽2に入れて支持層3に接触させ、上記脂質溶液塗布工程で小孔11に塗布した脂質溶液13を上溶液槽1中の水溶液と支持層3とで挟む。これにより、塗布した脂質溶液13を支持層3に接触させることができる。
次に、脂質膜薄化工程について説明する。図4(c)に示すように、支持層3に接触させた脂質溶液13に管状部材を有する吸引部12をつけ、上述したように余剰な脂質溶液13を吸引して排出し、小孔11に薄化した人工脂質二重膜14を形成する。。
以上により、水圧を変化させることなく小孔11に塗布した脂質溶液13から余剰な脂質溶液13を排出し、小孔11に人工脂質二重膜を支持層3と接触した状態で形成することができる。また、上溶液槽1が解放系であるのに対し、下溶液槽2の底面は閉じており、解放系ではない。そのため、従来では不安定であった底面に平行な方向で、人工脂質二重膜が安定するので、人工脂質二重膜の耐久性をより一層向上することができる。
(3)本発明の用途
以上のように本発明にかかる人工脂質二重膜の形成装置は、安定で耐久性が高い人工脂質二重膜を短時間で形成することができる。また、本発明にかかる人工脂質二重膜の形成装置を用いて形成された人工脂質二重膜も、本発明に含まれる。
この人工脂質二分子膜の何らかの変化(例えば、膜電位、電気容量、イオン透過性、発光、発熱、吸熱・吸熱などの変化)を利用して、例えば、サンプル液中の溶解物質の有無およびその濃度を検出することができる。このような脂質二分子膜としては、実質的に脂質のみから構成される人工脂質二重膜、および各種のタンパク質や糖などの分子を付着ないし配合した人工脂質二重膜等を例示することができる。脂質や蛋白質、糖の種類や量並びに脂質二分子膜の作製方法などを適宜選択することにより、測定目的ないしサンプル液等の具体的内容に応じた各種のセンサを製造することができる。
上述のように、各種の蛋白質や糖などの分子を付着ないし配合した人工脂質二重膜として、膜タンパク質が組み込まれた人工脂質二重膜でもかまわない。
膜タンパク質として、例えば、イオンチャネルが挙げられる。イオンチャネルを上記人工脂質二重膜に埋め込む方法は、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。具体的には、例えばイオンチャネルを含む膜分画を界面活性剤で可溶化し、膜ベシクルへ再構成し、人工脂質二重膜に融合させる方法が挙げられる。
上記人工脂質二重膜の形成装置を用いて電流測定装置を形成することができ、この電流測定装置も本発明に含まれる。この電流測定装置は、人工脂質二重を介して流れる電流を計測可能となっている構成であれば特に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、本実施形態の電流測定装置は、上述した図1に示す人工脂質二重膜の形成装置の構成に加え、上溶液槽1に電気的に接続される電流測定器(電流計測手段)18と、下溶液槽2に電気的に接続されるアース(アース手段)19とを備えている。なお電流測定装置の構成は上記に限らない。上水溶液槽1には、電極20が投入され、この電極20を介して電流計測器18が設けられている。下水溶液槽には、電極21が投入され、この電極21を介して下水溶液槽2に対してアース19がなされている。
さらに、上記下溶液槽2の底面が透光性を有する材料からなっているとともに、該底面の下方には、支持層3上の人工脂質二重膜を観察可能とする光学観察手段18が設けられていてもよい。光学観察手段20が設けられていることにより、人工脂質二重膜に、例えば、膜タンパク質が組み込まれていれば、該膜タンパク質の構造等を観測することができる。
光学観察手段としては、例えば、光学顕微鏡が挙げられる。光学顕微鏡による観察としては、例えば、ゲートの開閉に伴う蛍光標識したイオンチャネルの蛍光強度の変化、イオンチャネルの動き、2つの蛍光染料間のエネルギー転移によるスペクトルの変化等の観察が挙げられる。また、人工脂質二重膜が形成されていることを光学顕微鏡により確認することも可能である。さらに、蛍光標識した脂質を用いた人工脂質二重膜を用いて脂質分子の動きを観察することもできる。もちろん光学測定はこれらに限定されるものではなく、従来公知のあらゆる方法が適用されうる。
本発明の人工脂質二重膜の形成装置は、形成した人工脂質二重膜をより安定化させることができるので、膜タンパク質を人工脂質二重膜に組み込んだ状態でも、十分に安定した状態で膜タンパク質の構造と機能を同時に測定することができる。
本発明にかかる電流測定装置の具体的な用途の一例について説明すると、例えば、疾患に関与するイオンチャネルタンパク質を用いた創薬におけるスクリーニングに用いることができる。
イオンチャネルタンパク質は、種類も多く、殆どすべての細胞に分布している。従って、これらは、疾患の原因にもなりやすいタンパク質であり、創薬のターゲットの30〜40%がイオンチャネルタンパク質であると言われている。一般に薬理実験は、試薬を実験動物に投与して効果をみるものであるが、安定な人工脂質二重膜2ができれば、標的となるイオンチャネルタンパク質に対する効果を直接調べながら、創薬におけるスクリーニングを行うことが可能となる。特に、向精神薬など神経系に作用する薬は、イオンチャネルタンパク質に直接働くものが多く、この分野の創薬に好適に用いることができる。また、農薬の創薬に際しては、逆に、人間のイオンチャネルに作用しないものを選択するために用いることができる。
また、本発明にかかる電流測定装置は、人工脂質二重膜の膜上のタンパク質−タンパク質(薬物)相互作用の可視化解析に用いることができる。さらには、人工脂質二重膜に組み込む分子の種類を変えることにより、様々な物質の検出に応用することができる。
〔実施の形態2〕
本発明における実施の他の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、本実施の形態の記載内容にのみ限定されるものではない。また、上記実施の形態1において説明した部材等と同じ機能や作用を有する部材等については、その説明を省略する。
(1)人工脂質二重膜の形成装置の他の例
本実施の形態にかかる人工脂質二重膜の形成装置は、上記実施の形態1で説明した図1に示す人工脂質二重膜の形成装置と同様の構成を有しているが、吸引部が無く、移動可能な膜支持体によって、水圧を変化させることなく上記開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を排出する。本実施形態ではこの移動可能な膜支持体が、脂質溶液排出手段として機能する。また、支持層が以下で説明するように異なっている。
<移動可能な膜支持体>
上記移動可能な膜支持体は、下溶液槽2に設けられた支持層を押しつける方向に移動可能となっている構成であれば特に限定されるものではない。本実施の形態では、実施の形態1と同様、移動可能な膜支持体は、溶液を蓄積可能な上溶液槽1の底部分となっている。
図6に示すように、移動可能な膜支持体50を脂質溶液排出手段として用い、膜支持体50の小孔11に塗布した脂質溶液13を支持層30に圧着させ脂質溶液13を押し出すことで、水圧を変化させることなく小孔11に塗布した脂質溶液13から余剰な脂質溶液を排出する。脂質溶液13を支持層30に圧着させることで、移動可能な膜支持体50と支持層30との隙間を通って、脂質溶液13が押し出され人工脂質二重膜が薄膜化される。
移動可能な膜支持体50は、上下方向に移動することができるものであることが好ましい。本実施形態では、上溶液槽1の底面となっているため、上溶液槽1と共に移動することこなる。この上記上溶液槽1の移動は、手動で行ってもよいし、移動のための装置を用いてもよい。移動のための装置としては、具体的には、一例として、マイクロマニュピレーター等が挙げられる。
<支持層>
支持層30は、実施の形態1と同様、上記下溶液槽2の底面に設けられ、上記膜支持体50の小孔11で形成した人工脂質二重膜を接触させ支持する構成であればよい。支持層30は、移動可能な膜支持体50を通して加圧されるため、弾力性があるものが好ましい。
支持層30として、例えば、実施の形態1と同様に高分子ゲル層が挙げられるが、当該高分子ゲル層の厚さは、0.5mm以上2.0mm以下であれば好ましい。この厚さであると、支持層30と、膜支持体50の小孔11に塗布した脂質溶液13とを圧着させたとき、好適に余剰な脂質溶液13を押し出すことができる。
なお、脂質溶液を塗布した移動可能な膜支持体50を支持層30に圧着させたとき、支持層30が例えば高分子ゲル層であった場合、支持層30の形状が変形し、図7(a)のように小孔11に入り込んでいることもある。よって、予め、上記支持層30を、図7(b)に示すように、小孔11に接する領域で、他の領域よりも、50μm以上200μm以下高くしておいてもよい。このように、高くなっていることで、支持層30を小孔11に押し込むことができる。そのため、支持層30が良好に脂質二重膜と接することができ、安定した人工脂質二重膜を形成することができる。
(2)人工脂質二重膜の形成方法の他の例
本発明にかかる人工脂質二重膜の他の形成方法として、上記(1)で説明した人工脂質二重膜の形成装置を用いた場合について、図8(a)〜(c)に基づいて説明する。
初めに、脂質溶液塗布工程について説明する。図8(a)に示すように、予め下溶液槽2の底部に支持層30を形成しておき、上溶液槽1および下溶液槽2を上記水溶液で満たす。そして、上溶液槽1の底面となっている膜支持体50に形成された小孔11に上記脂質溶液13を添塗する。
次に、支持層接触工程について説明する。図8(b)に示すように、上溶液槽1の底面を下溶液槽2に入れて支持層30に接触させ、上記脂質溶液塗布工程で小孔11に塗布した脂質溶液13を上溶液槽1中の水溶液と支持層30とで挟む。これにより、塗布した脂質溶液13を支持層30に接触させることができる。
次に、脂質膜薄化工程について説明する。図8(c)に示すように、移動可能な膜支持体50を支持層30に押しつけることで、脂質溶液13を支持層30圧着させ脂質溶液13を排出させる。脂質溶液13を支持層30に圧着させることで、膜支持体50と支持層30との隙間を通って、脂質溶液13が押し出され人工脂質二重膜が薄膜化される。
以上により、水圧を変化させることなく小孔11に塗布した脂質溶液13から余剰な脂質溶液13を排出し、小孔11に人工脂質二重膜を支持層30と接触した状態で形成することができる。また、本実施の形態でも上溶液槽1が解放系であるのに対し、下溶液槽2の底面は閉じており、解放系ではない。そのため、従来では不安定であった底面に平行な方向で、人工脂質二重膜が安定するので、人工脂質二重膜の耐久性をより一層向上することができる。
以下、実施例及び9図ないし13図により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例においては、上記実施の形態1で説明した図5に示す人工脂質二重膜の形成装置を用いてなる電流測定装置を用いた。図5に基づいて説明すると、上溶液槽1として、容積が0.1cm3で、底面が厚さ0.2mm−0.3mmのポリプロピレンで、直径0.15mmの小孔11の開いているものを用いた。下浴槽2の底には、150nmの厚さのアガロースゲル層を形成し、支持層3とした。電極としては、AgホイルをAgメッキしたAg−AgCl電極を用いた。また、脂質を薄化させるための吸引部としてシリコンチューブに繋いだガラス管を用いた。電流の測定には、パッチクランプアンプリファイア(CEZ−2400、日本光電製)を用い、DATレコーダーを用いてDATテープに記録した。
〔実施例1:平滑筋Ca2+依存性K−チャネルの単一チャネル電流記録〕
まず、上溶液槽1及び下溶液槽2に、100mM KCl、1mM CaCl(又は10−9M CaCl2)、10mM Hepes(pH7.4)水溶液を満たした。
その後、上溶液槽1の膜支持体5に形成された小孔11に、ホスファチジルコリン(Sigma製)を20mg/mLとなるようにデカンに溶解した脂質溶液を添塗した。添塗後、上溶液槽1の底面と下溶液槽2のアガロースゲル(支持層3)とを接触させた。そして、ガラス管を小孔11に塗布した脂質溶液につけ、余剰なホスファチジルコリンデカン溶液を吸引し、人工脂質二重膜を形成した。人工脂質二重膜2が形成されていることを顕微鏡観察により確認した。その結果が図9である。図9に示すように、人工脂質二重膜(図中「二重膜」と表記)とその周囲を囲む環状バルク相(図中「バルク相」と表記)との境界が視認できることにより、薄化が完了したことがわかった。
次に、ウシ気管平滑筋より調整した細胞膜ベシクルを上記人工脂質二重膜と融合させ、ベシクル膜上のKチャネルを人工脂質二重膜に組み込んだ。この電流測定装置を用いて経時的に電流を測定した。
次に、上溶液槽1および下溶液槽2に満たす水溶液のCaCl濃度のみを1mMに変えて、上記と同様に電流の測定を行った。
図10に、得られた電流のトレースを、図11に膜電位−電流特性を示す。図10(a)は、水溶液が100mM KCl、10−9M CaClを含む場合、図10(b)は、水溶液が100mM KCl、1mM CaClを含む場合の電流のトレースを示す。CaClが10−9Mであるときはイオンチャネルが閉じられた状態であるのに対し、CaClが1mMであるときはイオンチャネルが開く割合が増大することが確認された。得られた電流のトレースのパターンは、従来の実験結果より明らかとなっているパターンと同一であった。このことより、本発明の人工脂質二重膜の形成装置を用いてなる電流測定装置を用いることにより、安定した人工脂質二重膜を迅速且つ簡単に形成でき、信頼性のある電流の測定結果が得られることが判る。また、図11より、単一チャンネル電流の大きさ(単一チャンネルのインダクタンス)は、従来の方法により明らかになっている値と一致した。このことより、本発明の電流測定装置は、人工脂質二重膜の真下のアガロースゲル層がチャネルの性質に影響を与えることなく、電流を測定することが可能であることが判る。
〔実施例2:抗生物質アラメチシン(alamethicin)による、チャネルポアの形成(光学計測)と単一チャネル電流の同時計測〕
上記実施例1のベシクルの代わりに、Cy3(アマンシャム・ファルマシア製)で蛍光標識したアラメチシン(Sigma製)のメタノール溶液を、最終濃度が10−8M程度になるように上溶液槽1の水溶液に添加した。アラメチシンの蛍光標識は、アラメチシンのC末端にグリシンを付加し、このグリシンのアミノ基にCy3をCy3 mono functional dye kit(アマンシャム・ファルマシア製)を用いて固定し、結合させることで行った。アラメチシンは両親媒性ペプチドであり、液相から人工脂質二重膜に自然に移行しイオンチャネルを形成する。なお、上下溶液槽に満たす水溶液としては、100mM KCl、10mM Hepes(pH7.4)水溶液を用いた。
本発明の電流測定装置を用いてその蛍光像とアラメチシンによるイオン電流を同時に観察、測定した。なお、蛍光像は、対物レンズ型全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)を用いて測定した。
図12(a)に得られた蛍光性アラメチシンの蛍光像と膜中でのブラウン運動の軌跡を、図12(b)に電流トレースを示す。このように、本発明の人工脂質二重膜の形成装置を用いてなる電流測定装置を用いることにより、イオン電流の測定とイオンチャネルの光学観察を同時に行うことができる。
以上の実施例の結果から、本発明の脂質二重膜の形成装置によって、脂質二重膜を安定に迅速に形成できることが示された。
以上のように、本発明の脂質二重膜の形成装置を用いれば、安定で耐久性が高い人工脂質二重膜を短時間で形成することができる。また、上記の人工脂質の形成装置を用いて形成される本発明の脂質二重膜は、安定で耐久性が高い。また、本発明の電流測定装置を用いれば、安定な人工脂質二重膜に組み込まれた分子によって、様々な物質の検出に用いることができる。
従って、本発明は、生体膜モデルを用いるバイオ、医療、医薬等の生命科学の分野、生体膜モデルをデバイスとして適用するエレクトロニクスの分野等の広い範囲で利用が可能である。例えば、生体膜モデルを用いた各種センサの開発、膜タンパク質をターゲットとする薬剤開発におけるスクリーニングや薬理試験等において利用することができる。
本発明にかかる一実施形態の人工脂質二重膜の形成装置の構成を表す断面図である。 (a)は、図1に示す人工脂質二重膜の形成装置において、脂質溶液を上溶液槽の小孔に塗布し、余剰な脂質溶液を吸引部で吸引する様子を表す部分断面図であり、(b)は、余剰な脂質溶液を吸引して人工脂質二重膜が形成された様子を表す部分断面図である。 図1に示す人工脂質二重膜の形成装置における、吸引部の構成の一例を表す断面図である。 (a)〜(c)は、本発明にかかる一実施形態の人工脂質二重膜の形成方法の工程を表す断面図である。 本発明にかかる一実施形態の電流測定装置を表す断面図である。 本発明にかかる他の実施形態の人工脂質二重膜の形成装置における小孔と支持層の部分断面図であり、(a)は、脂質溶液を上溶液槽の小孔に塗布した様子を表し、(b)は、脂質溶液と支持層とを接触させた状態を表し、(c)は、人工脂質二重膜が形成された様子を表している。 (a)は、脂質溶液を塗布した膜支持体を高分子ゲルに押しつけて、高分子ゲルが小孔に入り込で、人工脂質二重膜が形成された様子を表す部分断面図であり、(b)は、小孔に接するの部分を予め他の部分より高く形成した高分子ゲルに人工脂質二重膜が形成された様子を表す部分断面図である。 (a)〜(c)は、本発明にかかる他の実施形態の人工脂質二重膜の形成方法の工程を表す断面図である。 〔実施例1〕において、人工脂質二重膜の薄化が完了した状態を撮影した図である。 〔実施例1〕において得られた電流のトレースを示す図である。 〔実施例1〕において得られた電位−電流特性を示す図である。 (a)は、〔実施例2〕において観察された蛍光標識したアラメチシンの蛍光像を示す図であり、(b)は、〔実施例2〕において測定された電流トレースを示す図である。 従来の脂質平面膜法を示す模式図である。 従来の垂直型ペインティング法を示す図である。 従来の垂直型貼り合わせ法を示す図である。 従来の水平型の人工脂質二重膜形成方法を示す図である。 従来の電流測定装置を示す図である。 従来の高分子ゲル層上に形成された人工脂質二重膜を示す図である。
符号の説明
1 上溶液槽
2 下溶液槽(膜形成溶液槽)
3 支持層
5 膜支持体
11 小孔(膜形成用開口部)
12 吸引部(脂質溶液除去手段、吸引手段)

Claims (20)

  1. 平板状の部位に膜形成用開口部が形成されている膜支持体と、水溶液を蓄積可能となっている膜形成溶液槽とを備えているとともに、該膜形成溶液槽には、人工脂質二重膜を支持する支持層が設けられており、上記膜支持体の膜形成用開口部で形成した人工脂質二重膜を支持層上に接触させて支持する人工脂質二重膜の形成装置において、
    さらに、水圧を変化させることなく上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を排出する脂質溶液排出手段を備えており、
    上記膜形成用開口部の少なくとも一方の面を水溶液に接する状態となるように、膜支持体を膜形成溶液槽に投入した上で、該膜形成用開口部に脂質溶液を塗布し、該脂質溶液を上記水溶液と支持層とで挟んで該支持層に接触させるとともに、
    この状態で上記脂質溶液除去手段により余剰な脂質溶液を排出することにより、上記膜形成用開口部に人工脂質二重膜を形成することを特徴とする人工脂質二重膜の形成装置。
  2. さらに、上記膜形成溶液槽を下溶液槽とした場合に、該下溶液槽の上方に設けられる水溶液を蓄積可能となっている上溶液槽を備え、上記支持層は、該下溶液槽の底面に設けられており、上記膜支持体は、上溶液槽の底面となっていることを特徴とする請求項1に記載の人工脂質二重膜の形成装置。
  3. 上記脂質溶液排出手段は、上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液を管状部材により吸引する吸引手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の人工脂質二重膜の形成装置。
  4. 上記膜支持体は、上記膜形成溶液槽に設けられた支持層を押しつける方向に移動可能となっており、
    当該移動可能な膜支持体を上記脂質溶液排出手段として用い、上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液を上記支持層に圧着させ脂質溶液を押し出すことで、余剰な脂質溶液を排出することを特徴とする請求項1または2に記載の人工脂質二重膜の形成装置。
  5. 上記支持層は、高分子ゲルからなっていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の人工脂質二重膜の形成装置。
  6. 上記高分子ゲルとして、アガロースまたはポリアクリルアミドが用いられることを特徴とする請求項5に記載の人工脂質二重膜の形成装置。
  7. 上記高分子ゲル層の厚さは、上記脂質溶液排出手段が、吸引部材である場合には100nm以上2mm以下、移動可能な膜支持体である場合には0.5mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の人工脂質二重膜の形成装置。
  8. 上記高分子ゲルは、上記膜形成用開口部に接する領域で、他の領域よりも50μm以上200μm以下高くなっていることを特徴とする請求項5または6に記載の人工脂質二重膜の形成装置。
  9. 上記膜形成用開口部の直径は、10μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の人工脂質二重膜の形成装置。
  10. 平板状の部位に膜形成用開口部が形成されている膜支持体を用い、この膜形成用開口部の少なくとも一方の面を水溶液に接した状態とした上で、該膜形成用開口部に、脂質溶液を塗布する脂質溶液塗布工程と、
    上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液を上記水溶液と表面が親水性である支持層とで挟んで、上記塗布した脂質溶液を該支持層に接触させる支持層接触工程と、
    水圧を変化させることなく上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液から余剰な脂質溶液を排出することにより、上記膜形成用開口部に薄化した人工脂質二重膜を形成する脂質膜薄化工程とを含むことを特徴とする人工脂質二重膜の形成方法。
  11. 上記脂質膜薄化工程では、管状部材により脂質溶液を吸引することで、余剰な脂質溶液を排出することを特徴とする請求項10に記載の人工脂質二重膜の形成方法。
  12. 上記脂質膜薄化工程では、上記膜形成用開口部に塗布した脂質溶液を上記支持層に圧着させ脂質溶液を押し出すことで、余剰な脂質溶液を排出することを特徴とする請求項10に記載の人工脂質二重膜の形成方法。
  13. 請求項1ないし9の何れか1項に記載の人工脂質二重膜の形成装置を用いて、形成された人工脂質二重膜。
  14. 上記人工脂質二重膜には、膜タンパク質が組み込まれていることを特徴とする請求項13に記載の人工脂質二重膜。
  15. 上記膜タンパク質はイオンチャネルであることを特徴とする請求項14に記載の人工脂質二重膜。
  16. 請求項1ないし9の何れか1項に記載の人工脂質二重膜の形成装置を用いてなる電流測定装置。
  17. 上記膜形成溶液槽の支持層が設けられる側面が透光性を有する材料からなっているとともに、該側面の外側には、支持層上の人工脂質二重膜を観察可能とする光学観察手段が設けられていることを特徴とする請求項16に記載の電流測定装置。
  18. 上記上溶液槽に電気的に接続される電流計測手段と、上記下溶液槽に電気的に接続されるアース手段とを備えていることを特徴とする請求項16または17に記載の電流測定装置。
  19. 上記人工脂質二重膜には、膜タンパク質が組み込まれていることを特徴とする請求項16ないし18の何れか1項に記載の電流測定装置。
  20. 上記膜タンパク質がイオンチャネルであることを特徴とする請求項19に記載の電流測定装置。
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