JP2005087336A - ミシン - Google Patents
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Abstract
【課題】 送り機構、送り量調整機構の構造によることなく、被縫製物に所定の縫製パターンを常に的確に施すようにする。
【解決手段】 操作パネル11に、ROM82に記憶された各縫製パターン情報ごとに布送り量に関する補正入力が可能な補正入力部11aを設け、縫製制御プログラム102は、補正入力部11aにおける補正入力に基づいて布送り量を補正して、送り量調整機構を制御する補正制御プログラム103を有するようにした。
【選択図】 図6
【解決手段】 操作パネル11に、ROM82に記憶された各縫製パターン情報ごとに布送り量に関する補正入力が可能な補正入力部11aを設け、縫製制御プログラム102は、補正入力部11aにおける補正入力に基づいて布送り量を補正して、送り量調整機構を制御する補正制御プログラム103を有するようにした。
【選択図】 図6
Description
本発明は、縫製時の被縫製物の送り量と、縫い針の揺動量とを調整して、被縫製物に所定の縫製パターンを形成するミシンに関するものである。
従来からミシンには、所定の縫製作業を行う際に、布等の被縫製物を所定の方向に送る送り機構が設けられている。近年においては、被縫製物を送る送り歯の移動軌跡を変更させる送り量調整機構を備えた送り機構が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。かかる送り量調整機構は、この送り歯を、同周期で上下方向及び左右方向に揺動するようになっている。送り歯には、角駒を介して左右方向の揺動力が伝達されるようになっている。ここで、角駒は揺動方向が調節可能に構成されており、この揺動方向を調節することにより、送り歯の揺動状態が調整される。尚、角駒の揺動方向は、手動の操作レバーやソレノイドにより切り替える構成となっている。そして、角駒の揺動方向が調節されることにより、送り歯の左右方向の揺動振幅や位相が変化し、送り歯による送り量を正方向から逆方向に切り替えることも可能となっている。
これらのミシンは、1針当たりの送り量および針振り量を含む1針ごとの縫い目情報を複数組み合わせて縫製パターン情報を形成し、該縫製パターン情報に基づく縫製を繰り返すことにより縫製物にパターン縫いを形成するようになっている。これらの縫製パターン情報は、予めミシンのROMに記憶されているものや、作業者が一針ごとの縫い目情報を設定して作成するカスタムパターンなどがある。
特開2000−51557号公報
しかしながら、前記ミシンでは、送り量を調整するため角駒等を介在させて送り歯を揺動させるので、機構のバックラッシや滑り等により、制御装置からミシンモータに指示される計算上の被縫製物の送り量と、現実の被縫製物の送り量とで誤差が生じるという問題点があった。これにより、被縫製物に形成される縫製パターンが、想定された縫製パターンと異なる場合があった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送り機構、送り量調整機構の構造によることなく、被縫製物に所定の縫製パターンを常に的確に施すことができるミシンを提供することにある。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、縫い針を上下動させる針上下動機構と、前記針上下動機構と同期して被縫製物の送り動作を行う送り機構と、前記送り機構における前記縫い針の上下動の1周期あたりの送り量を調整可能な送り量調整機構と、前記送り機構による送り方向と略直交する方向への前記縫い針の揺動量を調整可能な針振り機構と、前記縫い針を前記被縫製物へ挿通する1針ごとの前記送り量と前記縫い針の揺動量とを含む縫い目情報を、複数組み合わせて構成した縫製パターン情報が予め記憶される記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記縫製パターン情報に基づき、前記送り量調整機構及び前記針振り機構を制御する縫製制御手段と、を備えたミシンにおいて、前記縫製パターン情報の少なくとも1つの前記縫い目情報を選択する選択手段と、前記送り量に関する補正入力が可能な補正入力手段と、を有する操作手段と、前記縫製制御手段は、前記補正入力部における補正入力に基づいて前記選択手段に選択された縫い目情報の送り量を補正して、前記送り量調整機構を制御する補正制御手段を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、選択手段により縫製パターン情報の少なくとも1つの縫い目情報を選択し、補正入力手段により選択された縫い目情報の送り量に関する補正入力を行うことができる。これにより、縫製作業者は、送り機構、送り量調整機構等における計算上の被縫製物の送り量と、現実の被縫製物の送り量とで誤差が生じた際に、この誤差に応じた送り量の補正を行うことができる。すなわち、例えば、送り機構、送り量調整機構等の動力伝達経路が長い場合や、動力伝達に摩擦を利用した場合など、送り量に誤差が生じやすい場合であっても、所望の縫製状態となるように、的確に送り量を補正することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のミシンにおいて、前記送り量調整機構は、前記被縫製物の定常的な送り方向である正方向と、該正方向と反対方向の逆方向と、に被縫製物の送り方向を変更可能に構成され、前記縫い目選択手段は、送り方向の正逆で縫製パターン内の縫い目情報を一括に選択することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の作用に加え、1針ごとに送り量の補正量を入力することなく、正方向または逆方向の補正の入力を一度で済ますことができ、縫製作業者の負担を軽減することができる。また、正方向と逆方向とで誤差が大きく異なる縫製パターンについては、効果的に補正することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のミシンにおいて、前記補正制御手段は、各縫い目情報の前記送り量が前記正方向の場合と前記逆方向の場合とで、独立的に前記送り量について補正することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の作用に加え、正方向と逆方向とで送り量が独立的に補正される。ここで、正方向と逆方向とで送り量が同じ場合であっても、同様の動力伝達のメカニズムで被縫製物が送出されていない場合や、被縫製物の状態等により、正方向と逆方向とで送り量の誤差は異なる場合がある。また、いずれか一方向のみ精度が要求される縫製パターンである場合もある。このような場合に、誤差の異なる正方向と逆方向とで独立して補正するようにしたので、各方向に対応したきめ細やかな送り量の調整が可能となる。
請求項4に記載の発明では、請求項1から3のいずれか一項に記載のミシンにおいて、前記縫い目選択手段は、縫製パターン内の送り量が共通する縫い目情報を一括に選択することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項の作用に加え、送り量が共通する縫い目情報について一括に選択され、これらの縫い目が一括して補正されることとなる。すなわち、縫製後の仕上がりが特に悪化する送り量のみを選択して補正することができ、補正する必要のない送り量については補正に関する演算処理等を省略して、補正制御を簡単にすることができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1から4のいずれか一項に記載のミシンにおいて、前記補正入力手段は、前記補正制御手段による前記送り量の補正を行うか否かを選択する選択入力部を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から4のいずれか一項の作用に加え、縫製作業者は、選択入力部により、送り量の補正を行うか否かを選択することができ、極めて便利である。
このように、本発明によれば、誤差に応じた送り量の補正を行うことができるようにしたので、例えば、送り機構、送り量調整機構等の動力伝達経路が長い場合や、動力伝達に摩擦を利用した場合など、送り量に誤差が生じやすい場合であっても、所望の縫製状態となるように、的確に送り量を補正することができる。従って、送り機構、送り量調整機構の構造によることなく、被縫製物に所定の縫製パターンを常に的確に施すことができる。
図1から図11は本発明の一実施形態を示すもので、図1はミシンの全体構成を説明するための概略図、図2は図1のII−II部分の断面図、図3は図2のIII−III部分の断面図、
図4は送り量調整機構を説明するための説明図、図5は針振り機構を説明するための説明図、図6はミシンの制御系を示す概略構成ブロック図である。
図4は送り量調整機構を説明するための説明図、図5は針振り機構を説明するための説明図、図6はミシンの制御系を示す概略構成ブロック図である。
図1に示すように、このミシン1は、ミシン脚卓Z上に載置され、上面に針板が設けられたベッド部2と、ベッド部2の上方にてベッド部2と略平行に延在するアーム部3と、ベッド部2の一端部側に立設されてアーム部3の一端側を支持する胴部4と、を有している。
また、このミシン1は、アーム部3の他端部から下方に延出して上下動自在な針棒5と、この針棒5に固定された縫い針6と、アーム部3内に配される上軸12aを回転駆動するミシンモータ7と、上軸12aの回転駆動力により針棒5及び縫い針6を上下動させる針上下動機構と、この針上下動機構と同期し、ベッド部2上に載置される被縫製物としての布CLの送り動作を行う送り機構と、ミシン1全体の動作を統合制御する縫製制御手段としての制御装置8と、を有している。
さらに、このミシン1は、送り機構を操作するための手動操作可能な返し縫い用の操作レバー9と、踏動量によってミシンモータ7の回転速度を調節する操作ペダル10と、送り機構の送り量の上限値・下限値等の設定を行うための各種スイッチを有する操作パネル11と、を有している。
図2に示すように、送り機構は、ミシンモータ7により上軸12aと同期回転する下軸12bの回転運動を、送り歯13に伝達する送り電動機構20を有する。また、ミシン1には、送り機構における縫い針6の上下動の1周期あたりの布送り量を調整可能な送り量調整機構が備えられる。本実施形態においては、送り量調整機構は、図2に示すように、送り歯13の送り量を変更する角駒30、角駒30を嵌め込む送り調節軸40、送り量設定用の駆動モータである送り用ステッピングモータ50等を備えている。以下、これらの機構について詳述する。
図2に示すように、ベッド部2内には、前後方向に延在する下軸12bが配され、リンク機構、ベルト機構等の伝達機構を介してミシンモータ7の出力軸に連結されている。下軸12bの前端部には送り歯13が、布押え足の下方に配され針板に対して出没自在に設けられる。また、下軸12bの後方には送り電動機構20が配される。この送り電動機構20により、下軸12bの回転駆動力が送り歯13へ伝達される。
図3に示すように、この送り電動機構20は、水平送りカム21、水平送りロッド22、水平送り連結桿23、水平送り腕24、水平送り軸25、送り台腕26、送り台27、上下送りリンク28等を備えている。
水平送りカム21は、下軸12bに対して偏心する偏心カムを有し、この偏心カムは、略上下に延びる水平送りロッド22の上端部に、ベアリングを介して回転自在に連結される。水平送りロッド22の下端部は、略左右に延びる水平送り連結桿23の左右中間部に回転自在に連結される。水平送り連結桿23の右端部は、略上下に延びる水平送り腕24の下端部に回転自在に連結される。水平送り腕24の上端部は、略前後に延びる水平送り軸25の後端部に固定される。水平送り軸25は、前後方向を中心として回転自在にベッド部2に取り付けられ、その前端部は略上下に延びる送り台腕26の下端に固定される。この送り台腕26の上端部は、送り台27の右端部に回転自在に連結されている。
送り台27には送り歯13が固定される。送り台27の左端部は、略上下に延びる上下送りリンク28の上端部に回転自在に連結されている。上下送りリンク28の下端部は、下軸12bの前端部に設けられた偏心カム28aを介して回転自在に連結されている。一方、水平送り連結桿23の左端部には角駒30が連結されている。
図3に示すように、角駒30は、送り調節軸40により、前後方向に略直交する方向に沿って往復揺動可能に支持される。すなわち、角駒30の揺動方向を変更することにより、送り歯13の移動軌跡を変更して送り量を変更することができるようになっている。角駒30は、送り調節軸40の前後中間部に形成された溝40aに嵌め込まれており、この溝40aにより角駒30の揺動方向が規定される。この溝40aにおける所定の基準位置から一定範囲の揺動が可能とされている。
図4に示すように、略前後に延びる送り調節軸40は、前後方向を中心として回転自在にベッド部2に取り付けられている。この送り調節軸40の後端部には、略上下に延びる第1送り調節リンク41の上端部が固定されている。第1送り調節リンク41の下端部は、略左右に延びる第2送り調節リンク42の左端部に回転自在に連結されている。第2送り調節リンク42の右端部は、略上下に延びる第3送り調節リンク43の上端部に回転自在に連結されている。第3送り調節リンク43の下端部は、送り用ステッピングモータ50の出力軸50aに固定されている。
図1に示すように、操作レバー9は、胴部4に所定の範囲内で上下方向へ回動自在に取り付けられている。操作レバー9は、コイルスプリングにより上方へ付勢され、縫製作業者等により下方へ回動移動されるとポテンショメータ70により、操作量が検出されるようになっている。図6に示すように、ポテンショメータ70は制御装置8に接続されており、この操作レバー9の操作量に応じて送り歯13の移動状態を制御して、布送り量を調整するようになっている。
以上のように構成されたミシン1においては、操作ペダル10を踏動してミシンモータ7を駆動させ下軸12bを回転させると、下軸12bの回転運動が水平送りカム21、水平送りロッド22、水平送り連結桿23及び水平送り腕24を介して水平送り軸25に伝達されて、水平送り軸25が往復回転運動を行う。そして、水平送り軸25の往復回転運動が送り台腕26及び送り台27を介して送り歯13に伝達され、送り歯13の左右方向の往復運動が実現することとなる。また、下軸12bの回転運動が上下送りリンク28を介して送り台27に伝達されるので、送り台27上に固定された送り歯13の上方方向の往復運動が実現することとなる。
この結果、送り歯13は、左右方向と上下方向の各往復運動の合成により円ないし楕円運動を行って、布押さ足によって上方から押さえられた布CLを所定の方向に送る布送り運動を行う。すなわち、送り歯13が、針板から上方へ突出している間に図3中にて左から右へ移動するように円ないし楕円運動を行うと、正方向へ布CLが送られることとなる。また、送り歯13が、針板から上方へ突出している間に図3中にて右から左へ移動するように円ないし楕円運動を行うと、逆方向へ布CLが送られることとなる。すなわち、送り量調整機構は、被縫製物の定常的な送り方向である正方向と、正方向と反対方向の逆方向と、に被縫製物の送り方向を変更可能に構成されている。
送り歯13の布送り方向の正方向と逆方向の変換は、下軸12bの回転位相に対する水平送り軸25の回転位相を変更することにより行われる。この変更は、角駒30の傾斜角度(所定の基準位置に対する回転角度)が変更されることで実現される。すなわち、角駒30が往復揺動動作を行う場合に、その揺動の左右方向成分が送り歯13に伝達される。従って、角駒30が図3に示した初期位置からA方向へ回動した場合は、送り歯13が正方向の運動を行い、B方向へ回動した場合は、送り歯13が逆方向の運動を行う。尚、これらの中間位置で角駒30が上下方向に沿って往復揺動を行う場合、左右方向成分はゼロとなるので布送りは行われない。
また、送り歯13が正送りする場合でも逆送りする場合でも、送り歯13の運動軌跡は円形状ないし楕円形状であるが、この左右方向の径を変更することにより、布送り量が変更される。すなわち、下軸12bの一回転あたりの水平送り軸25を支点とした送り台腕26の回動角度の範囲が変更されることで、送り台27および送り歯13の運動軌跡における左右方向の径が変更され、これにより、布送り量が変更される。具体的には、角駒30の回動角度が大きくなるにつれて、下軸12bの一回転あたりの布送り量が大きくなる。
以上のように角駒30の傾斜角度が変更されることによって、送り歯13の送り方向や送り量の変更を行うことができる。この角駒30の傾斜角度の変更は、前述の送り用ステッピングモータ50によって行われる。すなわち、操作レバー9を操作することによって送り用ステッピングモータ50を作動させ、出力軸50aを図4における時計回りに回転させると、各調節リンク41,42,43を介して、送り調節軸40がA方向に回動する。また、出力軸50aが反時計回りに回転すると、各調節リンク41,42,43を介して、送り調節軸40がB方向に回動する。このように、送り用ステッピングモータ50が各調節リンク41,42,43を介して、送り調節軸40を回動させることにより、角駒30の傾斜角度を変更して送り歯13の送り方向や送り量を変更することができる。
縫い針6は、針棒5の下端側に装備され、針棒5は針駆動機構に支持される。針駆動機構は、上軸12aの回転駆動力をクランク機構、カム機構等を用いて上下往復運動に変換して、針棒支持台5aを介して針棒5を上下移動させる。
また、図5に示すように、針振り機構は、針振り用ステッピングモータ60と、針棒支持台5aと針振り用ステッピングモータ60とを連結してモータの回転運動を前後往復運動へ変換する複数の連結部材61と、を有している。この針振り方向は、送り方向と略直交しており、縫い針6の揺動量が調整可能となっている。すなわち、被縫製物送りと針振りとを組み合わせることで縫い方向を任意に設定することができる。
図6に示すように、制御装置8は、演算部としてのCPU81と、不揮発性メモリとしてのROM82と、揮発性メモリとしてのRAM83と、を有する。制御装置8は、図示していない入力インターフェースを介してミシンモータ7、その回転数を検出するエンコーダ32、操作レバー9の操作量を検出するポテンショメータ70、送り機構の送り量の設定動作を行う送り用ステッピングモータ50、針振りを行う針振り用ステッピングモータ60、ミシンモータ7の回転数を調節する操作ペダル10、各種設定の入力を行う操作パネル11等に接続される。
操作ペダル10は、その踏動量に応じた信号を出力し、制御装置8はその信号出力に応じた回転数でミシンモータ7を回転駆動する。尚、ミシンモータ7はその電源出力回路を介して制御装置8と接続され、回路の駆動電流値を制御することで回転数制御が可能となっている。
針振り用ステッピングモータ60は、制御装置8により、エンコーダ32の出力から認識される針落ちタイミングに対する所定のタイミングで同期を図って駆動制御され、針振りにより縫い針6を所定の針落ち位置に位置決めする。
図7に示すように、操作手段としての操作パネル11は、縫製に関する各種の設定データの設定入力スイッチを備えるとともに、布送り量に関する補正入力が可能な補正入力部11aを有する。また、操作パネル11aは、縫製パターン情報101の少なくとも1つの縫い目情報104を選択する選択手段としての縫い目選択部11cを有する。本実施形態においては、縫製パターン内の送り量が共通する縫い目情報104を一括に選択するようになっている。尚、図8に示すように、操作パネル11の補正入力部11aは、後述する補正制御プログラム103による布送り量の補正を行うか否かを選択する選択入力部11bを有する。本実施形態においては、操作パネル11は、いわゆるタッチパネル式であり、各種の入力ボタンが切り替え表示される。本実施形態においては、操作パネル11を利用して、ユーザが所望の縫製パターン情報101を入力することもできるようになっている。
図8に示すように、記憶手段としてのROM82には、縫い針6を布CLの複数の針落ち位置に挿通させて形成される縫製パターンにおける1針ごとの布送り量と、縫い針6の揺動量とを含む縫い目情報104を、複数組み合わせて構成した縫製パターン情報101が予め記憶されている。本実施形態においては、ROM82に記憶される縫製パターン情報101は、図9に示すTステッチの縫製パターン、図10に示す十字状の縫製パターン、ユーザにより任意に設定された縫製パターン等が含まれる。
ここで、Tステッチの縫製パターンは、図9に示すように、針振り量がゼロの状態で所定間隔で一直線状に縫製することを基本とし、所定位置で送り量がゼロの状態で所定量だけ針振りして縫製することによりT字が形成される縫製パターンである。具体的には、針振り量をゼロとして、布CLの第1針落ち位置P1に縫い針6を挿通させた後、正方向に所定量だけ布送りして、布CLの第2針落ち位置P2に縫い針6を挿通させる。この後、布送り量をゼロとして、所定量だけ針振りをして布CLの第3針落ち位置P3に縫い針6を挿通させる。次いで、布送り量をゼロとして、針振り量がゼロとなるように針振りをして布CLの第4針落ち位置P4に縫い針6を挿通させる。すなわち、T字ステッチにおいては、第2針落ち位置P2と第4針落ち位置P4とが、計算上は略一致することとなる。
ここで、十字状の縫製パターンも、Tステッチの場合と同様に、針振り量がゼロの状態で所定間隔で一直線状に縫製することを基本として、第1〜第4針落ち位置P1,P2,P3,P4に縫い針6を挿通させる。そして、十字状の縫製パターンの場合は、図10に示すように、第4針落ち位置P4から、布送り量をゼロとして、第3針落ち位置P3と反対側に針振りをして布CLの第5針落ち位置P5に縫い針6を挿通させる。次いで、布送り量をゼロとして、針振り量がゼロとなるように針振りをして布CLの第6針落ち位置P6に縫い針6を挿通させる。すなわち、十字状の縫製パターンの場合は、第2針落ち位置P2と第4針落ち位置P4と第6針落ち位置P6とが、計算上は略一致することとなる。
また、ROM82には、操作パネル11にて操作入力されると、複数の縫製パターン情報101に基づき、送り量調整機構及び針振り機構を制御する縫製制御プログラム102が記憶される。すなわち、本実施形態においては、制御装置8が縫製制御手段をなしている。この縫製制御プログラム102は、補正入力部11aにおける補正入力に基づいて布送り量を補正して、送り量調整機構を制御する補正制御プログラム103を有する。すなわち、本実施形態においては、制御装置8が補正制御手段をなしている。本実施形態においては、この補正制御プログラム103は、各縫製パターンにおける複数の1針ごとの布送り量のうち、補正入力部11aで指定された布送り量について補正する。
以上のように構成されたミシン1による縫製状態について説明する。操作パネル11の選択入力部11bで、送り量の補正を行わないようにした場合の縫製状態を図9(a)と、図10(a)に示す。図9(a)に示すように、T字ステッチの場合は、第2針落ち位置P2から第4針落ち位置P4までの間、送り量がゼロとなるように、送り機構、送り量調整機構が制御されているにもかかわらず、実際には正方向に布CLが送られた状態となっている。図10(a)に示すように、十字状に縫製する場合も、第2針落ち位置P2から第6針落ち位置P6までの間、布送り量がゼロとなるように、送り機構、送り量調整機構が制御されているにもかかわらず、実際には正方向に布CLが送られた状態となっている。すなわち、視覚的には、T字や十字に縫製が施されている状態となっていない。
このように、本実施形態のミシン1においては、布送り量等を調整することができて便利な反面、送り機構、送り量調整機構等の動力伝達経路が長くて、動力伝達に摩擦を利用しているので、各機構のバックラッシや滑り等により、現実の布送り量が計算上の布送り量と異なることとなる。
次に、操作パネル11の選択入力部11bで、布送り量の補正を行うようにした場合の縫製状態を図9(b)と、図10(b)に示す。尚、布送り量の補正量については、作業者が視認と入力と試し縫いを繰り返して、操作パネル11の補正入力部11aで、送り量がゼロの縫い目情報104を指定して誤差分だけ誤差が生じた方向と逆方向へ補正するように、縫製作業者により入力される。これにより、図9(b)、図10(b)に示すように、縫製後の糸形状が、視覚的に、所期の状態と略等しくなる。また、上記Tステッチや十字ステッチのように、予めROM82に記憶されていて、且つ、補正の必要が生じる箇所が想定できる縫製パターンについては、補正の開始を選択すると、縫い目選択部11cが自動的に当該箇所を補正を行う縫い目として選択するようににしてもよい。
図11には、布送り量をユーザが任意に設定したものの縫製パターンを示す。この縫製パターンは、1針ごとの布送り量が、0.5mm,1.0mm,1.5mm,2.0mm,2.5mmのいずれかとなっている。本実施形態においては、ユーザが補正する布送り量を指定することができる。すなわち、例えば、図11に示すように、縫製パターンにおいて2.0mmの布送り量のときのみ、任意の補正量を増減するようにすることができる。ここで、補正入力部11aで、2.0mmを指定すれば、縫製パターン中の送り量2.0mmを有した縫い目情報104が一括して選択して補正をかけることができるようになっている。
このように、本実施形態のミシン1によれば、操作パネル11の補正入力部12aから各縫製パターン情報101ごとに、布送り量に関する補正入力を行うことができる。これにより、縫製作業者は、送り機構、送り量調整機構等における計算上の布CLの送り量と、現実の布CLの送り量とで誤差が生じた際に、この誤差に応じた布送り量の補正を行うことができる。すなわち、本実施形態のように、送り機構、送り量調整機構等の動力伝達経路が長くて、動力伝達に摩擦を利用した場合など、送り量に誤差が生じやすい場合であっても、所望の縫製状態となるように、的確に送り量を補正することができる。
また、本実施形態のミシン1によれば、送り量が共通する縫い目情報104について一括に選択され、これらの縫い目が一括して補正されることとなる。これにより、縫製後の仕上がりが特に悪化する布送り量の縫い目のみを選択して補正することができ、補正する必要のない布送り量については補正に関する演算処理等を省略して、補正制御を簡単にすることができる。すなわち、T字状や十字状に縫製する場合のように、送り量がゼロの縫い目のみを選択して補正すればよい場合には、極めて有利である。
尚、前記実施形態においては、各縫製パターンで布送り方向が基本的に正方向となるものを示したが、布送り方向として正方向と逆方向とが混在する縫製パターンであってもよいことは勿論である。この場合、補正制御プログラム103は、布送り量が同一であっても、正方向の場合と逆方向の場合とで、布送り量を独立的に補正するようにするとよい。
すなわち、正方向と逆方向とで布送り量が同じ場合であっても、同様の動力伝達のメカニズムで布が送出されていない場合や、布の状態等により、正方向と逆方向とで布送り量の誤差は異なる場合がある。また、いずれか一方向のみ精度が要求される縫製パターンである場合もある。このような場合に、誤差の異なる正方向と逆方向とで独立して補正するようにしたので、各方向に対応したきめ細やかな送り量の調整が可能となる。
さらに、縫い目選択部11cにより、送り方向の正逆で縫製パターン内の縫い目情報104を一括に選択するようにしてもよい。これにより、1針ごとに送り量の補正量を入力することなく、正方向または逆方向の補正の入力を一度で済ますことができ、縫製作業者の負担を軽減することができる。また、正方向と逆方向とで誤差が大きく異なる縫製パターンについては、効果的に補正することができる。
すなわち、正方向と逆方向とで布送り量が同じ場合であっても、同様の動力伝達のメカニズムで布が送出されていない場合や、布の状態等により、正方向と逆方向とで布送り量の誤差は異なる場合がある。また、いずれか一方向のみ精度が要求される縫製パターンである場合もある。このような場合に、誤差の異なる正方向と逆方向とで独立して補正するようにしたので、各方向に対応したきめ細やかな送り量の調整が可能となる。
さらに、縫い目選択部11cにより、送り方向の正逆で縫製パターン内の縫い目情報104を一括に選択するようにしてもよい。これにより、1針ごとに送り量の補正量を入力することなく、正方向または逆方向の補正の入力を一度で済ますことができ、縫製作業者の負担を軽減することができる。また、正方向と逆方向とで誤差が大きく異なる縫製パターンについては、効果的に補正することができる。
また、前記実施形態においては、各縫製パターンごとに布送り量を指定して補正するものを示したが、補正制御プログラム103が、各縫製パターン情報101の少なくとも1つについて、一括して1針ごとの各布送り量を補正する一括補正プログラムを有するものであってもよい。この場合、CPU81及びROM82が一括補正手段をなすこととなる。さらには、ROM82に記憶された縫製パターン情報101の全てについて、布送り量を一括して補正するようにしてもよい。
また、前記実施形態における送り機構、送り量調整機構は、従来公知の他の構成であっても前記実施形態と同様の作用効果を得ることができるし、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
1 ミシン
6 縫い針
7 ミシンモータ
8 制御装置
11 操作パネル
11a 補正入力部
11b 選択入力部
11c 縫い目選択部
12a 上軸
12b 下軸
13 送り歯
20 送り電動機構
50 送り用ステッピングモータ
60 針振り用ステッピングモータ
81 CPU
82 ROM
83 RAM
101 縫製パターン情報
102 縫製制御プログラム
103 補正制御プログラム
104 縫い目情報
CL 布
P1 第1針落ち位置
P2 第2針落ち位置
P3 第3針落ち位置
P4 第4針落ち位置
P5 第5針落ち位置
P6 第6針落ち位置
6 縫い針
7 ミシンモータ
8 制御装置
11 操作パネル
11a 補正入力部
11b 選択入力部
11c 縫い目選択部
12a 上軸
12b 下軸
13 送り歯
20 送り電動機構
50 送り用ステッピングモータ
60 針振り用ステッピングモータ
81 CPU
82 ROM
83 RAM
101 縫製パターン情報
102 縫製制御プログラム
103 補正制御プログラム
104 縫い目情報
CL 布
P1 第1針落ち位置
P2 第2針落ち位置
P3 第3針落ち位置
P4 第4針落ち位置
P5 第5針落ち位置
P6 第6針落ち位置
Claims (5)
- 縫い針を上下動させる針上下動機構と、
前記針上下動機構と同期して被縫製物の送り動作を行う送り機構と、
前記送り機構における前記縫い針の上下動の1周期あたりの送り量を調整可能な送り量調整機構と、
前記送り機構による送り方向と略直交する方向への前記縫い針の揺動量を調整可能な針振り機構と、
前記縫い針を前記被縫製物へ挿通する1針ごとの前記送り量と前記縫い針の揺動量とを含む縫い目情報を、複数組み合わせて構成した縫製パターン情報が予め記憶される記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記縫製パターン情報に基づき、前記送り量調整機構及び前記針振り機構を制御する縫製制御手段と、を備えたミシンにおいて、
前記縫製パターン情報の少なくとも1つの前記縫い目情報を選択する選択手段と、前記送り量に関する補正入力が可能な補正入力手段と、を有する操作手段と、
前記縫製制御手段は、前記補正入力部における補正入力に基づいて前記選択手段に選択された縫い目情報の送り量を補正して、前記送り量調整機構を制御する補正制御手段を有することを特徴とするミシン。 - 前記送り量調整機構は、前記被縫製物の定常的な送り方向である正方向と、該正方向と反対方向の逆方向と、に被縫製物の送り方向を変更可能に構成され、
前記縫い目選択手段は、送り方向の正逆で縫製パターン内の縫い目情報を一括に選択することを特徴とする請求項1に記載のミシン。 - 前記補正制御手段は、各縫い目情報の前記送り量が前記正方向の場合と前記逆方向の場合とで、独立的に前記送り量について補正することを特徴とする請求項2に記載のミシン。
- 前記縫い目選択手段は、縫製パターン内の送り量が共通する縫い目情報を一括に選択することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。
- 前記補正入力手段は、前記補正制御手段による前記送り量の補正を行うか否かを選択する選択入力部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003322144A JP2005087336A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | ミシン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003322144A JP2005087336A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | ミシン |
Publications (1)
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---|---|
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---|---|---|---|
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005087336A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006296930A (ja) * | 2005-04-25 | 2006-11-02 | Juki Corp | ミシン |
JP2007215594A (ja) * | 2006-02-14 | 2007-08-30 | Juki Corp | ミシン |
DE102016105113A1 (de) | 2015-03-31 | 2016-10-06 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Nähmaschine |
-
2003
- 2003-09-12 JP JP2003322144A patent/JP2005087336A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006296930A (ja) * | 2005-04-25 | 2006-11-02 | Juki Corp | ミシン |
JP2007215594A (ja) * | 2006-02-14 | 2007-08-30 | Juki Corp | ミシン |
DE102016105113A1 (de) | 2015-03-31 | 2016-10-06 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Nähmaschine |
CN106012317A (zh) * | 2015-03-31 | 2016-10-12 | 兄弟工业株式会社 | 缝纫机 |
DE102016105113B4 (de) | 2015-03-31 | 2019-05-09 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Nähmaschine |
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