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JP2005075654A - 単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーとそれらの製造方法 - Google Patents

単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーとそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 情報機器用ディスプレイ、各種センサー、記録装置等に用いる機能性材料として有用な単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーとそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 0.2Torr以下の圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して15〜25分間保持した後、圧力を10Torr以下として30〜60分間保持することで、外径が150〜350nm、内径が50〜150nmの範囲であって、長さが1μm以上のチューブ形状を有する単結晶酸化タングステンであることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノチューブを、8〜15Torrの圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して50〜80分間保持することで、直径が20〜100nmの範囲であって、長さが1μm以上の線状の単結晶酸化タングステンであることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノワイヤーを製造する。
【選択図】図1

Description

この出願の発明は、単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーとそれらの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、情報機器用ディスプレイ、各種センサー、記録装置等に用いる機能性材料として有用な単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーとそれらの製造方法に関するものである。
酸化タングステンは、エレクトロクロミック特性およびフォトクロミック特性を有することから、情報機器用ディスプレイ、各種センサー、記録装置等に用いる機能性材料としての使用が期待されている材料である。この酸化タングステンについては、酸素中でWS2粉末を加熱することにより、マイクロメートルサイズのチューブ状構造物を製造する方法が既に知られている(例えば、非特許文献1参照。)。そして、この出願の発明者らにより、タングステン線を空気中で酸化しながら同時に蒸発させることで、酸化タングステンのナノロッドやナノベルトを製造する方法が提案されてもいる(例えば、非特許文献2および特許文献1参照。)。しかしながら、酸化タングステンのナノメートルサイズのチューブ状構造物、いわゆるナノチューブとその製造方法については、未だ知られていない。
フー(W.B. Hu)、外9名,「アプライド・フィジックスA(Appl. Phys. A)」,第70巻,2000年,p.231−233 リー(Y. B. Li)、外3名,ケミカル・フィジックス・レターズ(Chem. Phys. Lett.),第367巻,2003年,p.214−218 特願2002−369812号
一般に機能性材料として高効率および高活性を実現するためには、高孔隙率および大表面積という形状を付与することが有効である。そのため、酸化タングステンについても、高孔隙率で大表面積なナノチューブ形状のものとしての製造が望まれている。さらに、酸化タングステンのナノチューブを配列させて薄膜として製造することができれば、より高度で機能的な薄膜デバイスの実現を期待することができる。
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、情報機器用ディスプレイ、各種センサー、記録装置等に用いる機能性材料として有用な単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーとそれらの製造方法を提供することを課題としている。
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、以下の通りの発明を提供する。
すなわち、まず第1には、この出願の発明は、外径が150〜350nm、内径が50〜150nmの範囲であって、長さが1μm以上のチューブ形状を有する単結晶酸化タン
グステンであることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノチューブを提供する。そしてこの出願の発明は、上記の発明について、第2には、組成が、一般式W1849で表されることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノチューブを、第3には、長手方向が[010]方位であることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノチューブを提供する。
一方でこの出願の発明は、第4には、直径が20〜100nmの範囲であって、長さが1μm以上の線状の単結晶酸化タングステンであることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノワイヤーを提供する。さらにこの出願の発明は、上記の発明について、第5には、組成が、一般式W1849で表されることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノワイヤーを、第6には、長手方向が[010]方位であることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノワイヤーを提供する。
加えて、この出願の発明は、第7には、0.2Torr以下の圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して15〜25分間保持した後、圧力を10Torr以下として30〜60分間保持することを特徴とする単結晶酸化タングステンナノチューブの製造方法を、第8には、8〜15Torrの圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して50〜80分間保持することを特徴とする単結晶酸化タングステンナノワイヤーの製造方法を提供する。
以上のとおりのこの出願の発明によって、情報機器用ディスプレイ、各種センサー、記録装置等に用いる機能性材料として有用な単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーとそれらの製造方法が提供される。
この出願の発明は、上記の通りの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
この出願の発明が提供する単結晶酸化タングステンナノチューブは、外径が150〜350nm、内径が50〜150nmの範囲であって、長さが1μm以上のチューブ形状を有する単結晶酸化タングステンであることを特徴としている。酸化タングステンのナノ構造物についてはナノロッドやナノベルトが知られているが、酸化タングステンのナノチューブについてはこの出願の発明により初めて実現されたものである。この出願の発明の単結晶酸化タングステンナノチューブにおいては、マイクロメートルサイズのチューブ状構造物に比べて高孔隙率および大表面積という特徴が得られ、より高効率および高活性な機能性材料が実現される。
そしてこの出願の発明が提供する単結晶酸化タングステンナノチューブは、組成が、一般式W1849で表されることを特徴としている。W1849は格子定数a=18.28Å、b=3.775Å、c=13.98Åを有する単斜晶系の酸化タングステンであって、濃い青色を呈する物質である。またこの出願の発明が提供する単結晶酸化タングステンナノチューブは、長手方向が[010]方位であることを特徴としている。
一方でこの出願の発明が提供する単結晶酸化タングステンナノワイヤーは、直径が20〜100nmの範囲であって、長さが1μm以上の線状の単結晶酸化タングステンであることを特徴としている。これまでに酸化タングステンのナノ構造物についてはナノロッドやナノベルトが知られているが、酸化タングステンのナノワイヤーについてはこの出願の発明により初めて実現されるものである。
そしてこの出願の発明が提供する単結晶酸化タングステンナノワイヤーは、前記の発明
の単結晶酸化タングステンナノチューブと同様に、組成が、一般式W1849で表されることを特徴としている。W1849は格子定数a=18.28Å、b=3.775Å、c=13.98Åを有する単斜晶系の酸化タングステンであって、濃い青色を呈する物質である。そしてまたこの出願の発明が提供する単結晶酸化タングステンナノワイヤーは、長手方向が[010]方位であることを特徴としている。
以上のようなこの出願の発明の単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーは、例えば、以下のこの出願の発明の方法により製造することができる。
すなわち、この出願の発明の単結晶酸化タングステンナノチューブの製造方法は、0.2Torr以下の圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して15〜25分間保持した後、圧力を10Torr以下として30〜60分間保持することを特徴としている。
原料であるタングステン箔は、いわゆる箔状体もしくは板状体と呼ばれるものであってよく、加工形成品、あるいは市販品を用いることができる。このタングステン箔の厚みについては、好適には1mm以下、より好ましくは0.3mm以下のものを用いることが例として示される。
タンタルウエハーは、この出願の発明において、単結晶酸化タングステンナノチューブの成長の基板となるものである。タンタルウエハーは、表面が清浄であれば、形状および切り出し方位等に特に制限はない。加工形成品もしくは市販品を用いることができる。
このタングステン箔およびタンタルウエハーを、タングステン箔は1000〜1050℃に、タンタルウエハーは600〜700℃に加熱するが、この出願の発明においては、加熱の際の圧力を、0.2Torr以下と10Torr以下の2段に制御するようにしている。
この出願の発明において圧力の制御は重要であって、1段目の圧力が0.2Torrよりも低くなるに従って酸素ガスの存在量が減少し反応速度が遅くなることから、実際的には、0.05Torr〜0.2Torr程度の範囲、さらには、0.1〜0.2Torr(測定誤差範囲を含めて)とするのが好ましく、一方、0.2Torrよりも高いとナノチューブが生成されないために好ましくない。また、2段目の圧力は、10Torrよりも低くなるに従ってナノチューブの成長速度が遅くなるため、実際的には、5Torr〜10Torr程度の範囲、さらには、8〜10Torr(測定誤差範囲を含めて)とするのが好ましい。一方、10Torrよりも高い場合は、目的の化学組成を有するナノチューブが得られないため好ましくない。
タングステン箔の加熱温度は1000〜1050℃が好ましく、1050℃を超えるとタングステンの蒸発の速度が速くなりすぎて制御しにくいために好ましくない。また、1000℃以下ではタングステンの蒸発とナノチューブの成長速度が遅くなるために好ましくない。
タンタルウエハーの加熱温度は600〜700℃が好ましく、700℃よりも高い場合には生成したナノチューブが再び蒸発してしまうために好ましくない。また、600℃よりも低い場合にはナノ粒子が生成してしまうために好ましくない。
0.2Torrの圧力下で加熱時間は、15〜25分が好ましい。15分よりも短いと十分にナノチューブが生成されずに収量が低くなってしまい、25分よりも長いとナノチ
ューブが太くなりすぎてしまうために好ましくない。
また、10Torrの圧力下での加熱時間は、30〜60分間が好ましい。30分よりも短いと、アスペクト比の大きなナノチューブが得られず、60分よりも長いと一旦生成したナノチューブ上にさらに別のナノ構造物の成長が始まってしまうために好ましくない。
上記の加熱には、例えば、赤外線照射加熱炉等を用いるのが簡便な例として示される。これにより、タンタルウエハー上に濃い青色の薄膜状堆積物として、この出願の発明の単結晶酸化タングステンナノチューブを得ることができる。
この単結晶酸化タングステンナノチューブは、単斜晶系W1849相のみからなる単結晶酸化タングステンナノチューブであって、その外径は150〜350nm、内径は50〜150nmで、長さは1μm以上、代表的にはおよそ3μmで均一である。そしてこの単結晶酸化タングステンナノチューブは、長手方向が結晶の[010]方位であって、タンタルウエハー上にほぼ垂直に生成される。この単結晶酸化タングステンナノチューブは、タンタルウエハー上に均一かつ非常に密に配列して生成されるため、薄膜としてみることもできるものである。
他方の、この出願の発明の単結晶酸化タングステンナノワイヤーの製造方法は、8〜15Torrの圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して50〜80分間保持することを特徴としている。
タンタルウエハーは、前記の発明と同様に、単結晶酸化タングステンナノチューブの成長の基板となるものであって、表面が清浄であれば、形状および切り出し方位等に特に制限はない。
この出願の発明においては、8〜15Torrの圧力下で、タングステン箔をおよびタンタルウエハーを加熱するようにしている。
加熱の際の圧力は、8〜15Torrが好ましく、15Torrを超えると目的の化学組成を有するナノワイヤーを得ることができず、また8Torrよりも低い場合はナノワイヤーの成長速度が遅くなるため好ましくない。実際的には、10Torr〜15Torr程度の範囲(測定誤差範囲を含めて)とするのが好ましい。
タングステン箔の加熱温度は1000〜1050℃が好ましく、1050℃を超えるとタングステンの蒸発の速度が速くなりすぎて制御しにくいために好ましくない。また、1000℃以下ではタングステンの蒸発とナノチューブの成長速度が遅くなるために好ましくない。
タンタルウエハーの加熱温度は600〜700℃が好ましく、700℃よりも高い場合には生成したナノチューブが再び蒸発してしまうために好ましくない。また、600℃よりも低い場合にはナノ粒子が生成してしまうために好ましくない。
上記の加熱温度での保持時間は50〜80分が好ましい。保持時間が80分よりも長いとタンタルウエハー上でのナノワイヤーの配列が乱れてしまい、50分よりも短いと十分に長いナノワイヤーを得ることができないため好ましくない。
これによって、タンタルウエハー上に濃い青色の薄膜状堆積物として、この出願の発明の単結晶酸化タングステンナノワイヤーを得ることができる。
この単結晶酸化タングステンナノワイヤーは、単斜晶系W1849相のみからなる単結晶酸化タングステンナノワイヤーであって、直径は10〜100nmで、長さは1μm以上、代表的にはおよそ3μmで均一である。そしてこの単結晶酸化タングステンナノワイヤーは、長手方向が結晶の[010]方位であって、タンタルウエハー上にほぼ垂直に生成される。この単結晶酸化タングステンナノワイヤーは、タンタルウエハー上に均一かつ非常に密に配列して生成されるため、薄膜としてみることもできるものである。
以上のこの出願の発明の単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーの製造方法においては、タングステン箔が加熱により表面酸化されてW1849を生じ、連続的に蒸発してタンタルウエハー上に核生成し、引き続いて最密充填[010]方向へ成長してゆく。適切な圧力下でこの気固プロセスが進行することにより、ナノチューブあるいはナノワイヤーが形成されると考えられる。また、この気固プロセスにおける温度勾配、均一核生成および密生が、ナノチューブあるいはナノワイヤーの配列に寄与すると考えられる。ナノチューブとナノワイヤーの形成機構の違いは完全に明らかではないものの、加熱初期の圧力を低くすることで核生成段階におけるW1849蒸気の供給を抑制することが、ナノチューブの形成にとって不可欠であるといえる。
この出願の発明の方法で得られる単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーは、薄膜状として得ることができるため、情報機器用ディスプレイ、各種センサー、記録装置等としての利用が期待される。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
(実施例1)
レアメタリック社製のタングステン箔(15×15×0.1mm)を赤外線照射加熱炉の中に取り付けた。生成物を堆積させるための基板としてレアメタリック社製のタンタルウエハー(10×10mm)を用い、これをタングステン箔の下に3mm離して設置した。炉内を0.2Torrの減圧にした後、タングステン箔を1000〜1050℃に、基板をおよそ650℃に加熱して20分間保持し、その後引き続き同じ温度で、圧力を10Torrにして40分間保持した。その後、加熱炉を室温に冷却した。
炉内を観察したところ、基板の上面に、厚さ2〜3μmの濃い青色の薄膜が堆積しているのが確認された。この薄膜を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した結果を図1(a)に示した。薄膜は多数のナノチューブから構成されており、このナノチューブは基板上にほぼ均一に立った状態で配列していることがわかった。ナノチューブの先端部を観察した結果を図1(b)に示した。得られたナノチューブの外径は150〜350nm、内径は50〜100nmの範囲にあった。また、基板上には、ナノチューブに混じってやや細いナノワイヤーが少量存在しているのが認められた。
得られたナノチューブのX線回折スペクトルを調べた結果を図2に示した。ナノチューブは、格子定数a=18.28Å、b=3.775Å、c=13.98Åを有する単斜晶系の酸化タングステンW1849相のみに帰属された。
この酸化タングステンナノチューブを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、チューブの両端は全て開口していることが分かった。また、X線エネルギー拡散スペクトルを調べた結果、酸化タングステンナノチューブの化学組成はタングステンと酸素のみから成ることが分かった。さらに、電子線回析の結果からは、酸化タングステンナノチューブ
は、長手方向が[010]方位で単斜晶系単結晶構造のW1849であることが確認された。このような<010>方向への選択的な成長は、図2のX線回折スペクトルにおいて(010)面のピーク強度が最も高くなったこととも符合している。
(実施例2)
実施例1と同様に、タングステン箔とタンタルウエハー基板を赤外線照射加熱炉に設置し、系内の圧力を10Torrの減圧にした後、タングステン箔を1000〜1050℃に、基板をおよそ650℃に加熱して、1時間加熱を継続した。反応終了後、加熱炉を室温に冷却した。
炉内を観察したところ、基板の上面に厚さ2〜3μmの濃い青色の薄膜が生成しているのが確認された。
生成した薄膜を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図3に示した。この図から、得られた薄膜は多数のナノワイヤーで形成されており、このナノワイヤーは基板上にほぼ均一に立った状態で配列されているのが確認された。ナノワイヤーの直径は、実施例1で得られたナノチューブよりも細い20〜100nmであった。
X線回折と透過型電子顕微鏡による観察の結果から、このナノワイヤーはW1849の化学組成を有する単斜晶系の単結晶酸化タングステンであることが確認された。
このナノワイヤーの電界発光特性を測定し、その結果を電流密度と印加電圧の関係として図4に示した。なお、測定は、陽極として断面積1mm2のアルミニウム棒を、陰極として得られた単結晶酸化タングステンナノワイヤーの薄膜を用い、1.0×10-7Torrの真空中で両極間に0〜1000Vの直流電圧を印加することで行った。両極の間隔は250μmと150μmの2通りとした。
10μA/cm2および10mA/cm2の電流が発生するのに要する電界をそれぞれ開始電界および閾値電界と定義すると、単結晶酸化タングステンナノワイヤーについて、開始電界2.6±0.1V/μm、閾値電界6.2V/μmが得られた。この値は、開口カーボンナノチューブについて報告された値(5V/μm)に近く、またSiCナノロッドについての値(〜8.5V/μm)およびMoS2ナノフラワーについての値(7.6〜8.6V/μm)よりも小さいことから、この出願の発明の単結晶酸化タングステンナノワイヤーが優れた電界発光特性を示すことが確認された。
もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
以上詳しく説明した通り、この出願の発明によって、情報機器用ディスプレイ、各種センサー、記録装置等に用いる機能性材料として有用な単結晶酸化タングステンナノチューブおよび単結晶酸化タングステンナノワイヤーとそれらの製造方法が提供される。
実施例で得られた薄膜状の酸化タングステンナノチューブをSEM観察した結果を例示した(a)斜視図と(b)上面図である。 実施例で得られた酸化タングステンナノチューブのX線回折スペクトルを例示した図である。 実施例で得られた薄膜状の酸化タングステンナノワイヤーをSEM観察した結果を例示した斜視図である。 実施例で得られた薄膜状の酸化タングステンナノワイヤーの電界発光特性を例示した図である。

Claims (8)

  1. 外径が150〜350nm、内径が50〜150nmの範囲であって、長さが1μm以上のチューブ形状を有する単結晶酸化タングステンであることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノチューブ。
  2. 組成が、一般式W1849で表されることを特徴とする請求項1記載の単結晶酸化タングステンナノチューブ。
  3. 長手方向が[010]方位であることを特徴とする請求項1または2記載の単結晶酸化タングステンナノチューブ。
  4. 直径が20〜100nmの範囲であって、長さが1μm以上の線状の単結晶酸化タングステンであることを特徴とする単結晶酸化タングステンナノワイヤー。
  5. 組成が、一般式W1849で表されることを特徴とする請求項4記載の単結晶酸化タングステンナノワイヤー。
  6. 長手方向が[010]方位であることを特徴とする請求項4または5記載の単結晶酸化タングステンナノワイヤー。
  7. 0.2Torr以下の圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して15〜25分間保持した後、圧力を10Torr以下として30〜60分間保持することを特徴とする単結晶酸化タングステンナノチューブの製造方法。
  8. 8〜15Torrの圧力下で、タングステン箔を1000〜1050℃に、タンタルウエハーを600〜700℃に加熱して50〜80分間保持することを特徴とする単結晶酸化タングステンナノワイヤーの製造方法。

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