JP2005070122A - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性に優れた電子写真感光体および画像形成装置を提供する。
【解決手段】結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、正孔輸送材料が、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体であるとともに、電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とする。
(一般式(1)中、R1、R2、R5およびR6は、独立した炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、またはハロゲン原子、あるいは炭素数15〜20の置換または非置換のアリール基を示す。m、n、pおよびqは独立しており0〜3の整数を示す。R3およびR4は独立しており水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
【選択図】なし
【解決手段】結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、正孔輸送材料が、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体であるとともに、電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とする。
(一般式(1)中、R1、R2、R5およびR6は、独立した炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、またはハロゲン原子、あるいは炭素数15〜20の置換または非置換のアリール基を示す。m、n、pおよびqは独立しており0〜3の整数を示す。R3およびR4は独立しており水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性等に優れた電子写真感光体およびそのような電子写真感光体を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置等の電子写真感光体として、結着樹脂(バインダー樹脂)と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料等の有機感光体材料からなる有機感光体が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
このような有機感光体材料のうち、高い正孔移動度を有する正孔輸送材料として、下記一般式(9)で表されるスチルベン誘導体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【化9】
【0004】
(一般式(9)中、Arはメチレン基または置換されても良い炭素数6〜20のアリーレン基、Ar1は、置換されても良い炭素数6〜20のアリーレン基、R7は5員環の複素環基、置換されても良い低級アルキル基、アラルキル基、または炭素数6〜14のアリーレン基、R8およびR9は、水素原子、低級アルキル基、または置換されても良い炭素数6〜20のアリール基である。)
【0005】
【特許文献1】
特開平8−283708号(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたスチルベン誘導体は、感光体として使用したとき、帯電電位や露光後電位の安定性が不十分であったため、感光体の耐久性が不十分であるという問題がみられた。
【0007】
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、特定のスチルベン誘導体を正孔輸送材料として使用するとともに、特定の分子面積を有する化合物を電子輸送材料として使用することにより、長期間使用した場合であっても、初期と使用後の感光体の帯電電位及び露光後電位の変化が小さく、優れた耐久性を示すという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、上述した技術的な問題を解決し、耐久性等に優れた電子写真感光体およびそのような電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、正孔輸送材料が、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体であるとともに、電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とする電子写真感光体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、正孔輸送材料として、特定のスチルベン誘導体を使用するとともに、電子輸送材料として、特定の分子面積を有する化合物を使用することにより、耐久性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
【0009】
【化10】
【0010】
(一般式(1)中、R1、R2、R5およびR6は、独立した置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数7〜20のアラルキル基、またはハロゲン原子、あるいは炭素数15〜20の置換または非置換のアリール基を示す。m、n、pおよびqは独立しており0〜3の整数を示す。ただしR1およびR2が同一の場合、mおよびnは異なる整数であり、R5およびR6が同一の場合、pおよびqは異なる整数である、さらにR3およびR4は独立しており水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
【0011】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、初期表面電位と、10,000枚連続印刷後における帯電電位との差の絶対値を30V以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、比較的短時間において、電子写真感光体の耐久性を推定することができ、例えば、10万枚の画像形成を実施した場合であっても、優れた画像特性を維持することを推定できる。
【0012】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、初期露光後電位と、10,000枚連続印刷後における露光後電位との差の絶対値を20V以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、比較的短時間において、電子写真感光体の耐久性を推定することができ、例えば、10万枚の画像形成を実施した場合であっても、優れた画像特性を維持することを推定できる。
【0013】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、電子輸送材料が、下記式(2)〜(8)で表される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このように構成することにより、電子写真感光体において優れた耐久性を得ることができる。
【0014】
【化11】
【0015】
【化12】
【0016】
【化13】
【0017】
【化14】
【0018】
【化15】
【0019】
【化16】
【0020】
【化17】
【0021】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、正孔輸送材料(HTM)に対する、電子輸送材料(ETM)の添加割合(ETM/HTM)を0.2〜1.0の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、長期間にわたって、諧調表現に優れ、かつ画像濃度の低下が少ない電子写真感光体を得ることができる。
【0022】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、複数の電子輸送材料の添加量を7〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、電子写真感光体を長期間使用した場合であっても、使用前後での電位変化の値が小さくなり、感光体の耐久性を向上させることができる。
【0023】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光体層が、結着樹脂と、電荷発生剤と、電子移動度が異なる複数の電子輸送材料と、正孔輸送材料と、を単一層中に含む単層型であって、アルミニウム素管上に形成してあるとともに、正帯電性の感光体層であることが好ましい。
このように構成することにより、構成や製造が容易であるにもかかわらず、使用前後での電位変化の値が小さく、耐久性が向上した単層型の電子写真感光体を得ることができる。
【0024】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置である。
このように構成することにより、使用前後での電位変化の値が小さく、画像濃度が安定した画像形成可能な画像形成装置を提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真感光体および画像形成装置に関する実施の形態を、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0026】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、正孔輸送材料が、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体であるとともに、電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とした電子写真感光体である。
【0027】
ここで、電子写真感光体には、単層型と積層型とがあるが、本発明の電子写真感光体は、いずれにも適用可能である。
ただし、特に正負いずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単で製造が容易であること、層を形成する際の被膜欠陥を抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できること等の理由から、単層型に適用することがより好ましい。
【0028】
1.単層型感光体
(1)基本的構成
単層型感光体は、導電性基体上に単一の感光層を設けたものである。この感光層は、結着樹脂と、電荷発生剤と、電子輸送材料と、正孔輸送材料と、さらに必要に応じて溶媒とを含む塗布液を、アルミニウム素管上に塗布し、乾燥させることにより得ることができる。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単で生産性に優れているという利点がある。
【0029】
(2) 結着樹脂
電荷発生剤等を分散させるための結着樹脂は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
【0030】
ただし、下記式(10)〜(12)で表されるポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性および機械的特性に優れているばかりか、正孔輸送材料との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
【0031】
【化18】
【0032】
(一般式(10)中、R10、R11、R12およびR13は、同一または異なっている、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。R14とR15は、同一または異なっている、水素原子、または置換基を有してもよいフェニル基を示す。)
【0033】
【化19】
【0034】
(一般式(11)中、R16とR17は、同一または異なっている、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0035】
【化20】
(一般式(12)中、X1、X2およびX3は、同一または異なっている−(CH2)n−(nは1〜6の自然数)を示し、R18、R19、R20およびR21は、同一または異なっている、水素原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコシル基を示し、gは0〜200の整数である。)
【0036】
(3) 電荷発生剤
本発明に用いられる電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、半導体レーザ等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば、下記式(13)で表される無金属フタロシアニンや、下記式(14)で表されるオキソチタニルフタロシアニン等が好適に用いられる。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば、ペリレン顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
【0037】
【化21】
【0038】
【化22】
【0039】
(4) 正孔輸送材料
(4)−1 種類
本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送材料として、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を用いることを特徴とする。
この理由は、かかるスチルベン誘導体であれば、電子写真感光体において優れた耐久性が得られるためである。
【0040】
また、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体以外に、従来公知の正孔輸送材料、例えば、スチルベン誘導体、オキサジアゾール系化合物、スチリル系化合物、カルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等の一種単独または二種以上の組み合わせを添加することも好ましい。
【0041】
(4)−2 正孔輸送材料の添加量
また、電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、正孔輸送材料の添加量を10〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送材料の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる正孔輸送材料の添加量が80重量部を超えた値になると、正孔輸送材料が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、かかる正孔輸送材料の添加量を20〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0042】
(5) 電子輸送材料
(5)−1 分子面積
電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる電子輸送材料の分子面積が規制する範囲外になると、電子写真感光体における耐久性が著しく低下したりするためである。
なお、電子輸送材料の分子面積とは、分子構造における置換基を除いた共役平面部分の面積を意味している。したがって、例えば、式(15)(ET‐8)で表される化合物であれば、図2に示すように、A(上限方向に位置する二つの酸素原子の中心から中心までの距離)と、B(ベンゼン環における左右の炭素原子の中心から中心までの距離)の距離を算出し、それを掛け合わせることにより算出することができる。また、Aと、Bの距離を算出するにあたり、化学式作成ソフト(例えば、ケンブリッジ社製、CS Chem3D Pro)を用いて作図した構造式に対して、得られた構造式を最適化すべく、ソフト上、「Minimum Energy」といった処理を予め実施しておくことが好ましい。
【0043】
【化23】
【0044】
ここで、図1を参照しながら、電子写真感光体における耐久性に及ぼす電子輸送材料の分子面積の影響を説明する。すなわち、図1は、横軸に、電子輸送材料の分子面積(Å2)を採って示してあり、縦軸に、10,000枚連続印刷した後の帯電電位および露光後電位における表面電位変化量(v)を採って示してある。なお、図1中のラインAが、帯電電位における表面電位変化量を示しており、図1中のラインBが、露光後電位における表面電位変化量を示している。
この図から容易に理解できるように、電子輸送材料の分子面積が18〜40Å2の範囲内であれば、表面電位変化量における露光後電位変化について20V以下の低い値であるとともに、帯電電位変化についても30V以下の低い値となっている。
それに対して、電子輸送材料の分子面積が18Å2未満、特に15Å2未満になると、露光後電位に関して20Vを越えて著しく大きくなるとともに、帯電電位変化についても30Vを越えて著しく大きな値となっている。一方、電子輸送材料の分子面積が40Å2を超えた場合には、露光後電位変化は20Vを越えるとともに、帯電電位変化についても30Vを越えた値になっている。
よって、電子写真感光体における長期間使用後の帯電電位変化や露光後電位変化を安定させるためには、特定のスチルベン誘導体とともに、所定の分子面積を有する電子輸送材料を組み合わせて、感光層に使用することが有効であると言える。
【0045】
(5)−2 種類
また、本発明に用いられる電子輸送材料の種類としては、分子面積が所定値である限り特に制限されるものではないが、具体的に、ベンゾキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ただし、より好適には、上述した式(2)〜(8)で表される少なくとも一つの化合物が挙げられる。
【0046】
(5)−3 ETM/HTMの比率
また、正孔輸送材料の全体量(HTM)に対する、電子輸送材料(ETM)の添加割合(ETM/HTM)を0.2〜1.0の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるETM/HTMの比率がかかる範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。
したがって、かかるETM/HTMの比率を0.35〜0.65の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0047】
(5)−4 表面電位変化量
また、電子写真感光体における初期帯電電位と、10,000枚連続印刷後における帯電電位との差の絶対値を30V以下の値とすることが好ましい。
この理由は、このように表面電位変化量を規定することにより、比較的短時間において、電子写真感光体の耐久性を推定することができるためである。すなわち、かかる初期帯電電位と、所定時間使用後の帯電電位との差の絶対値が30Vを超えると、長期間にわたって安定した画像濃度を有する画像形成が困難となる場合があるためである。したがって、表面電位変化量を所定範囲の値に規定することにより、10,000枚連続印刷するだけで、例えば、10万枚もの多量の画像形成において、所定の画像程度を維持することが推定できる。
【0048】
また、電子写真感光体における初期露光後電位と、10,000枚連続印刷後における露光後電位との差の絶対値を20V以下の値とすることが好ましい。
この理由は、露光後電位においてもこのように表面電位変化量を規定することにより、比較的短時間において、電子写真感光体の耐久性を推定することができるためである。すなわち、かかる初期露光後電位と、所定時間使用後の露光後電位との差の絶対値が20Vを超えると、長期間にわたって安定した画像濃度を有する画像形成が困難となる場合があるためである。したがって、10,000枚連続印刷するだけで、例えば、10万枚もの多量の画像形成において、所定の画像程度を維持することが推定できる。
【0049】
(5)−5 電子輸送材料の添加量
また、電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、電子輸送材料の添加量を、7〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる電子輸送材料の添加量が7重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる電子輸送材料の添加量が70重量部を超えた値になると、電子輸送材料が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、かかる電子輸送材料の添加量を10〜60重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜55重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0050】
(6) 添加剤
また、感光層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
【0051】
(7) 配合割合
本発明の電子写真感光体が単層型の感光体である場合、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜30重量部の範囲内の値とすることである。
【0052】
(8) 構造
また、単層型感光体における感光層の厚さは、通常、5〜100μmの範囲内の値であり、好ましくは10〜50μmの範囲内の値である。
そして、このような感光層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、当該金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等が挙げられる。
【0053】
また、導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。前記感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
さらにまた、単層型感光体の構成に関して、導電性基体と感光層との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよい。
【0054】
(9) 製造方法
分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0055】
2.積層型感光体
(1)基本的構造
積層型感光体は、まず導電性基体上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成し、次いでこの電荷発生層上に、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送材料)の少なくとも1種と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することによって作製される。
また、上記とは逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形成し、その上に電荷発生層を形成してもよい。但し、電荷発生層は電荷輸送層に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成するのが好ましい。
なお、電荷発生剤、正孔輸送材料、電子輸送材料、結着剤等については、単層型感光体と同様の内容とすることができる。
【0056】
また、積層型感光体は、上記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、上記のように、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、スチルベン誘導体のような正孔輸送材料を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。この場合、電荷発生層には電子輸送材料を含有させてもよい。
【0057】
そして、本発明の積層型電子写真感光体は、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。
なお、積層型感光体における感光層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
【0058】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の電子写真感光体を含む画像形成装置である。
なお、この画像形成装置の例では、電子写真感光体として、単層型感光体を用いた場合を想定して、説明する。
【0059】
(1)構成
第2の実施形態の画像形成方法を実施するにあたり、図3に示すような画像形成装置である複写機1を好適に使用することができる。かかる複写機1は、画像形成ユニット11、排紙ユニット12、画像読取ユニット13、及び原稿給送ユニット14を備えている。また、画像形成ユニット11には、画像形成部11a及び給紙部11bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット14は、原稿載置トレイ14a、原稿給送機構14b、及び原稿排出トレイ14cを有しており、原稿載置トレイ14a上に載置された原稿は、原稿給送機構14bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ14cに排出される。
【0060】
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット13において、光源13aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子13bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部11bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部11aに送られる。この画像形成部11aには、像担持体である感光体ドラム21が備えられており、さらに、この感光体ドラム21の周囲には、帯電器22、露光器23、現像器24、及び転写ローラ25、並びにクリーニング装置26が、感光体ドラム21の回転方向に沿って配置されている。
【0061】
これらの構成部品のうち、感光体ドラム21は、図中、実線矢印で示す方向に回転駆動されて、帯電器22により、その表面が均一に帯電される。その後、前述の画像信号に基づいて、露光器23により感光体ドラム21に対して露光プロセスが実施され、この感光体ドラム21の表面において静電潜像が形成される。この静電潜像に基づき、現像器24によりトナーを付着させて現像し、感光体ドラム21の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、感光体ドラム21と転写ローラ25とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット27に搬送されて、定着プロセスが行われる。
【0062】
ここで、定着後の用紙Sは、排紙ユニット12に送られることになるが、後処理(例えば、ステイプル処理等)を行う際には、用紙Sは中間トレイ12aに送られた後、後処理が実施される。その後、用紙Sは、画像形成装置の側面に設けられた排出トレイ部(図示せず)に排出される。一方、後処理を行わない場合には、用紙Sは中間トレイ12aの下側に設けられた排紙トレイ12bに排紙される。
なお、中間トレイ12a及び排紙トレイ12bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。
上述のようにして、転写が行われた後、感光体ドラム21に残留する残留トナー(及び紙粉)については、クリーニング装置26で除去される。すなわち、感光体ドラム21がクリーニングされる一方、残留トナーについては、廃トナーコンテナ(図示せず)に回収されることになる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0064】
[実施例1]
(1)電子写真感光体の作成
電子輸送性材料として、式(2)で表されるET−1を30重量部と、正孔輸送材料として、式(16)で表されるスチルベン誘導体を50重量部と、電荷発生剤として、式(13)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−1)を3重量部と、結着樹脂として、式(17)で表されるポリカーボネート樹脂100重量部と、を溶媒としてのテトラヒドロフラン800重量部に対して添加した。
次いで、ボールミルを用いて50時間混合分散して、単層型感光層用の塗布液を作成した。得られた塗布液を、導電性基材(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布した後、100℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を得た。
【0065】
【化24】
【0066】
【化25】
【0067】
【化26】
【0068】
[実施例2〜6および比較例1〜3]
式(2)で表されるET−1のかわりに、式(3)〜(8)、(15)、(18)および(19)で表される電子輸送材料(ET−2〜ET−10)を使用したほかは、実施例1と同様に、単層型の電子写真感光体を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0069】
【化27】
【0070】
【化28】
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、特定のスチルベン誘導体を正孔輸送材料として使用するとともに、特定の分子面積を有する化合物を電子輸送材料として使用することにより、長期間使用した場合であっても、使用前後における帯電電位および露光後電位のそれぞれの差が小さくなり、優れた耐久性を示す電子写真感光体および画像形成装置が得られるようになった。
したがって、本発明の電子写真感光体は、静電式複写機やレーザービームプリンタ等の各種画像形成装置における低コスト化、高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
【0073】
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真感光体における耐久性に及ぼす電子輸送材料の分子面積の影響を説明するために供する図である。
【図2】電子輸送材料の分子面積を算出する方法を説明するために供する図である。
【図3】電子写真感光体を備えた画像形成装置を説明するために供する図である。
【0074】
【符号の説明】
1:複写機
11:画像形成ユニット
11a:画像形成部
11b:給紙部
12:排紙ユニット
13:画像読取ユニット
13a:光源
13b:光学素子
14:原稿給送ユニット
14a:原稿載置トレイ
14b:原稿給送機構
14c:原稿排出トレイ
21:感光体ドラム
22:帯電器
23:露光源
24:現像器
25:転写ローラ
26:クリーニング装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性等に優れた電子写真感光体およびそのような電子写真感光体を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置等の電子写真感光体として、結着樹脂(バインダー樹脂)と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料等の有機感光体材料からなる有機感光体が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
このような有機感光体材料のうち、高い正孔移動度を有する正孔輸送材料として、下記一般式(9)で表されるスチルベン誘導体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【化9】
【0004】
(一般式(9)中、Arはメチレン基または置換されても良い炭素数6〜20のアリーレン基、Ar1は、置換されても良い炭素数6〜20のアリーレン基、R7は5員環の複素環基、置換されても良い低級アルキル基、アラルキル基、または炭素数6〜14のアリーレン基、R8およびR9は、水素原子、低級アルキル基、または置換されても良い炭素数6〜20のアリール基である。)
【0005】
【特許文献1】
特開平8−283708号(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたスチルベン誘導体は、感光体として使用したとき、帯電電位や露光後電位の安定性が不十分であったため、感光体の耐久性が不十分であるという問題がみられた。
【0007】
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、特定のスチルベン誘導体を正孔輸送材料として使用するとともに、特定の分子面積を有する化合物を電子輸送材料として使用することにより、長期間使用した場合であっても、初期と使用後の感光体の帯電電位及び露光後電位の変化が小さく、優れた耐久性を示すという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、上述した技術的な問題を解決し、耐久性等に優れた電子写真感光体およびそのような電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、正孔輸送材料が、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体であるとともに、電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とする電子写真感光体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、正孔輸送材料として、特定のスチルベン誘導体を使用するとともに、電子輸送材料として、特定の分子面積を有する化合物を使用することにより、耐久性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
【0009】
【化10】
【0010】
(一般式(1)中、R1、R2、R5およびR6は、独立した置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数7〜20のアラルキル基、またはハロゲン原子、あるいは炭素数15〜20の置換または非置換のアリール基を示す。m、n、pおよびqは独立しており0〜3の整数を示す。ただしR1およびR2が同一の場合、mおよびnは異なる整数であり、R5およびR6が同一の場合、pおよびqは異なる整数である、さらにR3およびR4は独立しており水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
【0011】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、初期表面電位と、10,000枚連続印刷後における帯電電位との差の絶対値を30V以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、比較的短時間において、電子写真感光体の耐久性を推定することができ、例えば、10万枚の画像形成を実施した場合であっても、優れた画像特性を維持することを推定できる。
【0012】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、初期露光後電位と、10,000枚連続印刷後における露光後電位との差の絶対値を20V以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、比較的短時間において、電子写真感光体の耐久性を推定することができ、例えば、10万枚の画像形成を実施した場合であっても、優れた画像特性を維持することを推定できる。
【0013】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、電子輸送材料が、下記式(2)〜(8)で表される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このように構成することにより、電子写真感光体において優れた耐久性を得ることができる。
【0014】
【化11】
【0015】
【化12】
【0016】
【化13】
【0017】
【化14】
【0018】
【化15】
【0019】
【化16】
【0020】
【化17】
【0021】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、正孔輸送材料(HTM)に対する、電子輸送材料(ETM)の添加割合(ETM/HTM)を0.2〜1.0の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、長期間にわたって、諧調表現に優れ、かつ画像濃度の低下が少ない電子写真感光体を得ることができる。
【0022】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、複数の電子輸送材料の添加量を7〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、電子写真感光体を長期間使用した場合であっても、使用前後での電位変化の値が小さくなり、感光体の耐久性を向上させることができる。
【0023】
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光体層が、結着樹脂と、電荷発生剤と、電子移動度が異なる複数の電子輸送材料と、正孔輸送材料と、を単一層中に含む単層型であって、アルミニウム素管上に形成してあるとともに、正帯電性の感光体層であることが好ましい。
このように構成することにより、構成や製造が容易であるにもかかわらず、使用前後での電位変化の値が小さく、耐久性が向上した単層型の電子写真感光体を得ることができる。
【0024】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置である。
このように構成することにより、使用前後での電位変化の値が小さく、画像濃度が安定した画像形成可能な画像形成装置を提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真感光体および画像形成装置に関する実施の形態を、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0026】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、正孔輸送材料が、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体であるとともに、電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とした電子写真感光体である。
【0027】
ここで、電子写真感光体には、単層型と積層型とがあるが、本発明の電子写真感光体は、いずれにも適用可能である。
ただし、特に正負いずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単で製造が容易であること、層を形成する際の被膜欠陥を抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できること等の理由から、単層型に適用することがより好ましい。
【0028】
1.単層型感光体
(1)基本的構成
単層型感光体は、導電性基体上に単一の感光層を設けたものである。この感光層は、結着樹脂と、電荷発生剤と、電子輸送材料と、正孔輸送材料と、さらに必要に応じて溶媒とを含む塗布液を、アルミニウム素管上に塗布し、乾燥させることにより得ることができる。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単で生産性に優れているという利点がある。
【0029】
(2) 結着樹脂
電荷発生剤等を分散させるための結着樹脂は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
【0030】
ただし、下記式(10)〜(12)で表されるポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性および機械的特性に優れているばかりか、正孔輸送材料との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
【0031】
【化18】
【0032】
(一般式(10)中、R10、R11、R12およびR13は、同一または異なっている、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。R14とR15は、同一または異なっている、水素原子、または置換基を有してもよいフェニル基を示す。)
【0033】
【化19】
【0034】
(一般式(11)中、R16とR17は、同一または異なっている、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0035】
【化20】
(一般式(12)中、X1、X2およびX3は、同一または異なっている−(CH2)n−(nは1〜6の自然数)を示し、R18、R19、R20およびR21は、同一または異なっている、水素原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコシル基を示し、gは0〜200の整数である。)
【0036】
(3) 電荷発生剤
本発明に用いられる電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、半導体レーザ等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば、下記式(13)で表される無金属フタロシアニンや、下記式(14)で表されるオキソチタニルフタロシアニン等が好適に用いられる。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば、ペリレン顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
【0037】
【化21】
【0038】
【化22】
【0039】
(4) 正孔輸送材料
(4)−1 種類
本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送材料として、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を用いることを特徴とする。
この理由は、かかるスチルベン誘導体であれば、電子写真感光体において優れた耐久性が得られるためである。
【0040】
また、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体以外に、従来公知の正孔輸送材料、例えば、スチルベン誘導体、オキサジアゾール系化合物、スチリル系化合物、カルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等の一種単独または二種以上の組み合わせを添加することも好ましい。
【0041】
(4)−2 正孔輸送材料の添加量
また、電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、正孔輸送材料の添加量を10〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送材料の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる正孔輸送材料の添加量が80重量部を超えた値になると、正孔輸送材料が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、かかる正孔輸送材料の添加量を20〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0042】
(5) 電子輸送材料
(5)−1 分子面積
電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる電子輸送材料の分子面積が規制する範囲外になると、電子写真感光体における耐久性が著しく低下したりするためである。
なお、電子輸送材料の分子面積とは、分子構造における置換基を除いた共役平面部分の面積を意味している。したがって、例えば、式(15)(ET‐8)で表される化合物であれば、図2に示すように、A(上限方向に位置する二つの酸素原子の中心から中心までの距離)と、B(ベンゼン環における左右の炭素原子の中心から中心までの距離)の距離を算出し、それを掛け合わせることにより算出することができる。また、Aと、Bの距離を算出するにあたり、化学式作成ソフト(例えば、ケンブリッジ社製、CS Chem3D Pro)を用いて作図した構造式に対して、得られた構造式を最適化すべく、ソフト上、「Minimum Energy」といった処理を予め実施しておくことが好ましい。
【0043】
【化23】
【0044】
ここで、図1を参照しながら、電子写真感光体における耐久性に及ぼす電子輸送材料の分子面積の影響を説明する。すなわち、図1は、横軸に、電子輸送材料の分子面積(Å2)を採って示してあり、縦軸に、10,000枚連続印刷した後の帯電電位および露光後電位における表面電位変化量(v)を採って示してある。なお、図1中のラインAが、帯電電位における表面電位変化量を示しており、図1中のラインBが、露光後電位における表面電位変化量を示している。
この図から容易に理解できるように、電子輸送材料の分子面積が18〜40Å2の範囲内であれば、表面電位変化量における露光後電位変化について20V以下の低い値であるとともに、帯電電位変化についても30V以下の低い値となっている。
それに対して、電子輸送材料の分子面積が18Å2未満、特に15Å2未満になると、露光後電位に関して20Vを越えて著しく大きくなるとともに、帯電電位変化についても30Vを越えて著しく大きな値となっている。一方、電子輸送材料の分子面積が40Å2を超えた場合には、露光後電位変化は20Vを越えるとともに、帯電電位変化についても30Vを越えた値になっている。
よって、電子写真感光体における長期間使用後の帯電電位変化や露光後電位変化を安定させるためには、特定のスチルベン誘導体とともに、所定の分子面積を有する電子輸送材料を組み合わせて、感光層に使用することが有効であると言える。
【0045】
(5)−2 種類
また、本発明に用いられる電子輸送材料の種類としては、分子面積が所定値である限り特に制限されるものではないが、具体的に、ベンゾキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ただし、より好適には、上述した式(2)〜(8)で表される少なくとも一つの化合物が挙げられる。
【0046】
(5)−3 ETM/HTMの比率
また、正孔輸送材料の全体量(HTM)に対する、電子輸送材料(ETM)の添加割合(ETM/HTM)を0.2〜1.0の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるETM/HTMの比率がかかる範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。
したがって、かかるETM/HTMの比率を0.35〜0.65の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0047】
(5)−4 表面電位変化量
また、電子写真感光体における初期帯電電位と、10,000枚連続印刷後における帯電電位との差の絶対値を30V以下の値とすることが好ましい。
この理由は、このように表面電位変化量を規定することにより、比較的短時間において、電子写真感光体の耐久性を推定することができるためである。すなわち、かかる初期帯電電位と、所定時間使用後の帯電電位との差の絶対値が30Vを超えると、長期間にわたって安定した画像濃度を有する画像形成が困難となる場合があるためである。したがって、表面電位変化量を所定範囲の値に規定することにより、10,000枚連続印刷するだけで、例えば、10万枚もの多量の画像形成において、所定の画像程度を維持することが推定できる。
【0048】
また、電子写真感光体における初期露光後電位と、10,000枚連続印刷後における露光後電位との差の絶対値を20V以下の値とすることが好ましい。
この理由は、露光後電位においてもこのように表面電位変化量を規定することにより、比較的短時間において、電子写真感光体の耐久性を推定することができるためである。すなわち、かかる初期露光後電位と、所定時間使用後の露光後電位との差の絶対値が20Vを超えると、長期間にわたって安定した画像濃度を有する画像形成が困難となる場合があるためである。したがって、10,000枚連続印刷するだけで、例えば、10万枚もの多量の画像形成において、所定の画像程度を維持することが推定できる。
【0049】
(5)−5 電子輸送材料の添加量
また、電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、電子輸送材料の添加量を、7〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる電子輸送材料の添加量が7重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる電子輸送材料の添加量が70重量部を超えた値になると、電子輸送材料が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、かかる電子輸送材料の添加量を10〜60重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜55重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0050】
(6) 添加剤
また、感光層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
【0051】
(7) 配合割合
本発明の電子写真感光体が単層型の感光体である場合、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜30重量部の範囲内の値とすることである。
【0052】
(8) 構造
また、単層型感光体における感光層の厚さは、通常、5〜100μmの範囲内の値であり、好ましくは10〜50μmの範囲内の値である。
そして、このような感光層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、当該金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等が挙げられる。
【0053】
また、導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。前記感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
さらにまた、単層型感光体の構成に関して、導電性基体と感光層との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよい。
【0054】
(9) 製造方法
分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0055】
2.積層型感光体
(1)基本的構造
積層型感光体は、まず導電性基体上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成し、次いでこの電荷発生層上に、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送材料)の少なくとも1種と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することによって作製される。
また、上記とは逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形成し、その上に電荷発生層を形成してもよい。但し、電荷発生層は電荷輸送層に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成するのが好ましい。
なお、電荷発生剤、正孔輸送材料、電子輸送材料、結着剤等については、単層型感光体と同様の内容とすることができる。
【0056】
また、積層型感光体は、上記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、上記のように、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、スチルベン誘導体のような正孔輸送材料を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。この場合、電荷発生層には電子輸送材料を含有させてもよい。
【0057】
そして、本発明の積層型電子写真感光体は、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。
なお、積層型感光体における感光層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
【0058】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の電子写真感光体を含む画像形成装置である。
なお、この画像形成装置の例では、電子写真感光体として、単層型感光体を用いた場合を想定して、説明する。
【0059】
(1)構成
第2の実施形態の画像形成方法を実施するにあたり、図3に示すような画像形成装置である複写機1を好適に使用することができる。かかる複写機1は、画像形成ユニット11、排紙ユニット12、画像読取ユニット13、及び原稿給送ユニット14を備えている。また、画像形成ユニット11には、画像形成部11a及び給紙部11bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット14は、原稿載置トレイ14a、原稿給送機構14b、及び原稿排出トレイ14cを有しており、原稿載置トレイ14a上に載置された原稿は、原稿給送機構14bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ14cに排出される。
【0060】
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット13において、光源13aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子13bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部11bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部11aに送られる。この画像形成部11aには、像担持体である感光体ドラム21が備えられており、さらに、この感光体ドラム21の周囲には、帯電器22、露光器23、現像器24、及び転写ローラ25、並びにクリーニング装置26が、感光体ドラム21の回転方向に沿って配置されている。
【0061】
これらの構成部品のうち、感光体ドラム21は、図中、実線矢印で示す方向に回転駆動されて、帯電器22により、その表面が均一に帯電される。その後、前述の画像信号に基づいて、露光器23により感光体ドラム21に対して露光プロセスが実施され、この感光体ドラム21の表面において静電潜像が形成される。この静電潜像に基づき、現像器24によりトナーを付着させて現像し、感光体ドラム21の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、感光体ドラム21と転写ローラ25とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット27に搬送されて、定着プロセスが行われる。
【0062】
ここで、定着後の用紙Sは、排紙ユニット12に送られることになるが、後処理(例えば、ステイプル処理等)を行う際には、用紙Sは中間トレイ12aに送られた後、後処理が実施される。その後、用紙Sは、画像形成装置の側面に設けられた排出トレイ部(図示せず)に排出される。一方、後処理を行わない場合には、用紙Sは中間トレイ12aの下側に設けられた排紙トレイ12bに排紙される。
なお、中間トレイ12a及び排紙トレイ12bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。
上述のようにして、転写が行われた後、感光体ドラム21に残留する残留トナー(及び紙粉)については、クリーニング装置26で除去される。すなわち、感光体ドラム21がクリーニングされる一方、残留トナーについては、廃トナーコンテナ(図示せず)に回収されることになる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0064】
[実施例1]
(1)電子写真感光体の作成
電子輸送性材料として、式(2)で表されるET−1を30重量部と、正孔輸送材料として、式(16)で表されるスチルベン誘導体を50重量部と、電荷発生剤として、式(13)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−1)を3重量部と、結着樹脂として、式(17)で表されるポリカーボネート樹脂100重量部と、を溶媒としてのテトラヒドロフラン800重量部に対して添加した。
次いで、ボールミルを用いて50時間混合分散して、単層型感光層用の塗布液を作成した。得られた塗布液を、導電性基材(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布した後、100℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を得た。
【0065】
【化24】
【0066】
【化25】
【0067】
【化26】
【0068】
[実施例2〜6および比較例1〜3]
式(2)で表されるET−1のかわりに、式(3)〜(8)、(15)、(18)および(19)で表される電子輸送材料(ET−2〜ET−10)を使用したほかは、実施例1と同様に、単層型の電子写真感光体を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0069】
【化27】
【0070】
【化28】
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、特定のスチルベン誘導体を正孔輸送材料として使用するとともに、特定の分子面積を有する化合物を電子輸送材料として使用することにより、長期間使用した場合であっても、使用前後における帯電電位および露光後電位のそれぞれの差が小さくなり、優れた耐久性を示す電子写真感光体および画像形成装置が得られるようになった。
したがって、本発明の電子写真感光体は、静電式複写機やレーザービームプリンタ等の各種画像形成装置における低コスト化、高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
【0073】
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真感光体における耐久性に及ぼす電子輸送材料の分子面積の影響を説明するために供する図である。
【図2】電子輸送材料の分子面積を算出する方法を説明するために供する図である。
【図3】電子写真感光体を備えた画像形成装置を説明するために供する図である。
【0074】
【符号の説明】
1:複写機
11:画像形成ユニット
11a:画像形成部
11b:給紙部
12:排紙ユニット
13:画像読取ユニット
13a:光源
13b:光学素子
14:原稿給送ユニット
14a:原稿載置トレイ
14b:原稿給送機構
14c:原稿排出トレイ
21:感光体ドラム
22:帯電器
23:露光源
24:現像器
25:転写ローラ
26:クリーニング装置
Claims (8)
- 結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、
前記正孔輸送材料が、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体であるとともに、
前記電子輸送材料の分子面積を18〜40Å2の範囲内の値とすることを特徴とする電子写真感光体。
- 初期表面電位と、10,000枚連続印刷後における帯電電位との差の絶対値を30V以下の値とすることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 初期露光後電位と、10,000枚連続印刷後における露光後電位との差の絶対値を20V以下の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記正孔輸送材料(HTM)に対する、前記電子輸送材料(ETM)の添加割合(ETM/HTM)を0.2〜1.0の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記結着樹脂100重量部に対して、前記電子輸送材料の添加量を7〜70重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記感光体層が、前記結着樹脂と、電荷発生剤と、電子移動度が異なる複数の電子輸送材料と、正孔輸送材料と、を単一層中に含む単層型であって、アルミニウム素管上に形成してあるとともに、正帯電性の感光体層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
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-
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