JP2005060686A - ポリ乳酸組成物及びそれから得られる成形物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、速い生分解性速度と高い機械的強度を兼備するポリ乳酸組成物及びそれから得られる成形物に関する。
工業部材から生活雑貨に至る幅広い各種物品には、ポリオレフィン等の合成樹脂が大量に使用されている。しかし、これらの合成樹脂は、高性能と長期安定性を目的に開発されていることから、自然界に放出された後は分解されずにいつまでも原形を保っている。このため、使用済みの各種物品はごみとして収集されて焼却又は埋立により処理されているが、実際には散乱ごみが多量にあり、自然の生態系への悪影響が指摘されている。
このような状況から、土中又は水中の微生物によって炭酸ガスと水に分解される生分解性ポリマーが、最終的には環境中に残存しないため、前記のような環境問題を軽減できるものとして注目されてきている。中でもポリ乳酸は最も期待されているものの一つであるが、生分解性速度が極めて緩慢であることが大きな問題である(非特許文献1)。
ポリ乳酸の生分解性速度を向上させるために、他の生分解性ポリマーをブレンドすることが知られている。例えば、ポリ乳酸にポリヒドロキシアルカノエートをブレンドする方法が報告されている(非特許文献2)。しかしながら、この文献によれば、ポリヒドロキシアルカノエートのブレンドにより、ポリ乳酸が活性汚泥中でも分解するようになって生分解性が改良されたことが示されているが、反面、機械的強度が大きく低下することが指摘されている。
また、ポリ乳酸とポリエチレンオキサレートの組成物も開示されているが(特許文献1)、その機械的強度や生分解性は何ら具体的に開示されていなかった。このように、これまでの技術では、他の生分解性ポリマーをブレンドしてポリ乳酸の機械的強度を損なうことなくその生分解性を改良できるものは知られていなかった。
未来材料,第1巻,第11号,31頁(2001)
工業材料,第51巻,第3号,23頁(2003)
特開平9−316181号公報
本発明は、機械的強度を損なうことなく生分解性速度を向上させたポリ乳酸組成物、及び、それから得られる成形物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリ乳酸にポリオキサレートをブレンドすることによって、ポリ乳酸の機械的強度を損なうことなく生分解性を改良できることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(1)ポリ乳酸100重量部に対して下式で表されるポリオキサレートを1〜100重量部含有させて成るポリ乳酸組成物にある。(式中、Rは、分岐構造或いは脂環式構造を含んでいてもよい、主鎖の炭素数が3〜12であるアルキレン基を表し、nは重合度を表す正の整数である。)
また、本発明の好ましい態様は、(2)ポリ乳酸の数平均分子量が20000〜500000で、ポリオキサレートの数平均分子量が20000〜100000である前記のポリ乳酸組成物、(3)ポリ乳酸の数平均分子量が20000〜500000で、ポリオキサレートの数平均分子量が20000〜70000である前記のポリ乳酸組成物、(4)ポリオキサレートがポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートである前記いずれかのポリ乳酸組成物にある。
更に、本発明は、(5)前記いずれかのポリ乳酸組成物から得られる成形物にもある。
更に、本発明は、(5)前記いずれかのポリ乳酸組成物から得られる成形物にもある。
本発明により、機械的強度を損なうことなく生分解性速度を向上させた(即ち、速い生分解性速度と高い機械的強度を兼備する)ポリ乳酸組成物及びそれから得られる成形物を提供することができる。このポリ乳酸組成物は、フィルム或いはシート、各種成形品、繊維製品など、従来、生分解性プラスチックとしてポリ乳酸が使用されている広範な用途に用いることができる。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明で用いるポリ乳酸は、実用的な強度を示す充分な高分子量のポリ乳酸であればよく、最も一般的にはL−乳酸及びその環状二量体であるラクチドから製造されて容易に入手可能な市販品を使用することができる。ポリ乳酸の製造方法には開環重合法や直接重合法などがあるが、いずれの方法によって製造されたものでもよい。なお、ポリ乳酸の数平均分子量(Mn)は20000〜500000、更には50000〜200000であることが好ましい。
本発明で用いるポリ乳酸は、実用的な強度を示す充分な高分子量のポリ乳酸であればよく、最も一般的にはL−乳酸及びその環状二量体であるラクチドから製造されて容易に入手可能な市販品を使用することができる。ポリ乳酸の製造方法には開環重合法や直接重合法などがあるが、いずれの方法によって製造されたものでもよい。なお、ポリ乳酸の数平均分子量(Mn)は20000〜500000、更には50000〜200000であることが好ましい。
また、ポリ乳酸としては、ポリオキサレートとの相溶性を高めるためにその分子鎖内にポリオキサレートセグメントを該ポリ乳酸の50モル%以下で導入したものも使用することができ、更に、ポリ乳酸に乳酸−オキサレート共重合体を混合したものも使用することができる。
本発明で使用するポリオキサレートは前記式で表すことができるものである。その分子量は特に制限されないが、後述するようにポリ乳酸との溶融混練時に両者の溶融粘度が大きく異なると均一な組成物を得ることが難しくなるので、ポリ乳酸の分子量との関係で選択されるべきで、一般的に言えば、ポリオキサレートの数平均分子量(Mn)は20000〜100000、更には20000〜70000、特に25000〜70000であることが好ましい。即ち、本発明で使用するポリオキサレートは、繰り返し単位が−O−R−O−CO−CO−で、数平均分子量が好ましくは20000〜100000、更に好ましくは20000〜70000、特に好ましくは25000〜70000のものである。なお、前記式において、「n」は重合度を表す正の整数であり、数平均分子量を満足する数値である。ポリオキサレートの重量平均分子量(Mw)は30000〜200000の範囲であることが好ましく、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で規定される分子量分布は1〜5が好ましい。
ポリオキサレートの脂肪族ジオールユニットは、前記式のアルキレン基Rにより規定される。アルキレン基Rの炭素鎖が短かすぎると、ポリオキサレートが硬くて脆いものとなる。アルキレン基Rの炭素鎖が長すぎると、ポリオキサレートが疎水的になり、生分解性が低下して好ましくない。従って、前記式のアルキレン基Rは主鎖の炭素数が3〜12であるものが好適である。なお、アルキレン基Rは主鎖の炭素数が偶数でも奇数でもよく、直鎖構造に限らず、分岐構造或いは脂環式構造を含んでいてもよい。
前記脂肪族ジオールユニット源としては、アルキレン基Rの主鎖の炭素数が3〜12である脂肪族ジオールが使用される。このような脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、trans(又はcis)−1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これら脂肪族ジオールはポリオキサレート中に2種類以上含有されていてもよい。脂肪族ジオールの中では、ポリ乳酸に近い融点を示すポリオキサレートを与える1,4−シクロヘキサンジメタノールが最も好適である。
前記脂肪族ジオールには、必要に応じて、多価アルコール化合物(前記脂肪族ジオールを除く)を一部含有させてもよい。また、多価アルコール化合物の導入によりポリオキサレートの分子鎖に長鎖分岐構造を導入することもできる。このような多価アルコール化合物としては、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオールなどが挙げられる。但し、多価アルコール化合物の使用割合は脂肪族ジオールの30モル%以下、特に10モル%以下であることが好ましい。多価アルコール化合物が多すぎると、ポリオキサレートの重合時、或いは、本発明の組成物の溶融加工時にゲル化を招く恐れがあって好ましくない。
更に、前記脂肪族ジオールには、ポリオキサレートの耐熱性を上げるなどの所望に応じて、芳香族ジオールを一部含有させてもよい。このような芳香族ジオールとしては、ビスフェノールA、p−キシリレングリコール、ハイドロキノンなどが挙げられる。但し、芳香族ジオールの使用割合は脂肪族ジオールの50モル%未満である。芳香族ジオールが多すぎると、ポリオキサレートの生分解性が悪くなる恐れがあって好ましくない。
ポリオキサレートのシュウ酸源としては、シュウ酸ジアルキル(シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル等)、シュウ酸ジアリール(シュウ酸ジフェニル、シュウ酸ジp−トリル等)、シュウ酸などが挙げられる。その中では、シュウ酸ジアルキル、シュウ酸ジアリールが好ましい。
更に、前記シュウ酸源には、ポリオキサレートの耐熱性を上げるなどの所望に応じて、テレフタル酸ジメチル等の芳香族ジカルボン酸ジエステルや炭酸ジフェニル等の炭酸エステルを一部含有させてもよい。但し、これらエステルの使用割合は前記シュウ酸源の50モル%未満であり、多すぎるとポリオキサレートの生分解性が悪くなる恐れがあって好ましくない。
また、ポリオキサレートには、ポリ乳酸との相溶性を高めるために、その分子鎖内にポリ乳酸セグメントを導入することも可能である。その量は該ポリオキサレートの50モル%以下である。更に、ポリオキサレートにオキサレート−乳酸共重合体を混合したものも使用することができる。
ポリオキサレートは、一般的によく知られている重縮合反応(好ましくは溶融重合)により、シュウ酸源と脂肪族ジオールから製造することができる。例えば、シュウ酸源と脂肪族ジオールを触媒と共に反応器に充填して適切な重合条件下で重縮合することにより製造できる。触媒としては、P、Ti、Ge、Zn、Fe、Sn、Mn、Co、Zr、V、Ir、La、Ce、Li、Ca、Hfなどの化合物が好ましい。特に、有機チタン化合物、有機スズ化合物が好ましく、例えば、チタンアルコキシド(チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド等)、ジスタノキサン化合物(1−ヒドロキシ−3−イソチオシアネート−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン等)、酢酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレートなどが高活性で好適である。なお、重縮合反応においては、熱劣化防止のため、必要であれば耐熱剤を添加しておいてもよい。
前記重縮合反応において、シュウ酸源としてシュウ酸ジアルキルを用いる場合は、ポリオキサレートを高分子量化するため、シュウ酸ジアルキルを脂肪族ジオールに対して過剰に使用して、原料中の水分濃度(重量基準)を2000ppm未満に制御することが必要である。即ち、シュウ酸ジアルキルと脂肪族ジオールの使用割合(仕込みモル比)は、OXをシュウ酸ジアルキルのモル数、OLを脂肪族ジオールのモル数とすれば、0.5≦OL/OX<1の範囲であるが、中でも0.6≦OL/OX<1、更には0.7≦OL/OX<1、特に0.8≦OL/OX<1の範囲であることが好ましい。そして、反応原料中の水分濃度は2000ppm未満、好ましくは10〜2000ppmに制御される。
また、シュウ酸源としてシュウ酸ジアリールを用いる場合は、脂肪族ジオールをシュウ酸ジアリールに対して0.95〜1.05倍モル使用することが好ましく、反応原料中の水分濃度(重量基準)を1000ppm未満に制御することが必要である。なお、反応原料には、シュウ酸ジアルキル又はシュウ酸ジアリールと脂肪族ジオール以外に触媒が含まれ、シュウ酸ジアルキル、シュウ酸ジアリールにはそれに含有させてもよいもの(芳香族カルボン酸エステル、炭酸エステル)、脂肪族ジオールにはそれに含有させてもよいもの(多価アルコール化合物、芳香族ジオール)も含まれる。
本発明のポリ乳酸組成物は、前記ポリ乳酸100重量部に対して、前記ポリオキサレートを1〜100重量部、好ましくは3〜70重量部、更に好ましくは5〜50重量部含んで成るものである。ポリオキサレートの含量が1重量部未満であると生分解性速度の向上効果が充分ではなく、逆に100重量部より多いと機械的強度が大きく低下して好ましくない。
このポリ乳酸組成物には、ポリ乳酸及びポリオキサレートの他に、必要に応じて他の成分(添加剤、他の重合体等)を単独又は複数で配合することもできる。添加剤としては、加水分解抑制剤、結晶核剤、顔料、染料、耐熱剤、着色防止剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、発泡剤、安定剤、充填剤(タルク、クレイ、モンモリロナイト、マイカ、ゼオライト、ゾノトライト、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末等)、強化材(ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、セルロース繊維等)、難燃剤、可塑剤、防水剤(ワックス、シリコンオイル、高級アルコール、ラノリン等)などが挙げられ、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
また、他の重合体としては、天然又は合成高分子が挙げられる。天然高分子としては、澱粉、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、キトサン、アルギン酸、天然ゴムなどが挙げることができ、合成高分子としては、ポリカプロラクトン又はその共重合体、ポリグリコール酸、ポリコハク酸エステル、コハク酸/アジピン酸コポリエステル、コハク酸/テレフタル酸コポリエステル、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸)、(3−ヒドロキシブタン酸/4−ヒドロキシブタン酸)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリグルタミン酸エステル、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添SBS等のゴム又はエラストマーなどを挙げることができる。
本発明のポリ乳酸組成物は、前記のポリ乳酸及びポリオキサレートを前記割合で(必要に応じて前記の他の成分も配合して)公知の方法で混合することによって製造される。例えば、タンブラー等の固体混合機を使用してドライブレンドすることもできるが、最も一般的な方法は、一軸押出機、二軸押出機、二軸ローター混練機等の連続式混練装置、オープンロール、ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式混練装置を使用して溶融混練するもので、混練方法や条件等について特に制限はない。その他に、溶剤を用いて溶液ブレンドする方法でもよい。
また、本発明のポリ乳酸組成物は、各種の成形方法によって、フィルム或いはシート、各種成形品、繊維製品などの成形物にすることが可能である。
フィルム或いはシートは、押出成形法(Tダイ法、インフレーション法等)、プレス法、カレンダーロール法など公知の方法によって得ることができる。得られるフィルム或いはシートは延伸加工(一軸延伸、二軸延伸)が可能であり、他のポリマー、金属、紙等との積層品を製造することもできる。
フィルム或いはシートは、押出成形法(Tダイ法、インフレーション法等)、プレス法、カレンダーロール法など公知の方法によって得ることができる。得られるフィルム或いはシートは延伸加工(一軸延伸、二軸延伸)が可能であり、他のポリマー、金属、紙等との積層品を製造することもできる。
各種成形品としては、射出成形品、中空成形品、熱成形品(真空成形品、圧空成形品等)、発泡成形品、プレス成形品などが挙げられる。また、繊維製品としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、チョップ、不織布などが挙げられ、その他、ロープ、網、フェルト、織物などの加工品も挙げられる。
本発明のポリ乳酸組成物から得られる成形物は、公知の広範な用途に使用することができる。フィルム或いはシートの用途としては、農業資材(農業・園芸用のマルチフィルム、シードテープ、農薬袋等)、食品廃棄物用袋(堆肥用ゴミ袋、生ゴミ袋等)、事務用品(紙資源回収用コーティング紙、プリントラミ、カードカバー、窓枠封筒、印刷紙用カバーフィルム等)、一般包装用途(紙おむつパックシート、ランドリーバッグ、発泡シート、雑貨用収縮フィルム、レトルト食品用パック、食品包装用フィルム、ラップフィルム等)、ショッピングバッグ、使い捨て手袋などが挙げられる。
各種成形品の用途としては、食品関係(食品トレー、食品容器、食品又は飲料ボトル、生鮮食品用箱、食器等)、日用雑貨関係(化粧品容器、洗剤容器、シャンプー容器、トイレタリー用品等)、農業・園芸関係(育苗資材、鉢、プランター等)、事務用品、スポーツ・レジャー用品、医療器具、電気・電子部品、コンピューター・情報機器部品、自動車部材などが挙げられる。
また、繊維製品の用途としては、各種網(魚網、防虫網等)、各種ロープ(農業用ロープ、育木用ロープ等)、各種糸(釣り糸、縫合糸等)、各種不織布製品(紙オムツ、生理・衛生用品等)、フィルター、衣服などが挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、ポリオキサレートの物性測定、ポリ乳酸組成物の製造、成形及び物性評価は以下のように行った。
1.ポリオキサレートの分子量測定:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件を以下に示す。
・使用機種:東ソー製HLC−8020
・カラム:Shodex K−80M(2本)
・溶媒:クロロホルム
・試料濃度:0.3mg/ml
・カラム温度:38℃
・標準試料:ポリスチレン
・使用機種:東ソー製HLC−8020
・カラム:Shodex K−80M(2本)
・溶媒:クロロホルム
・試料濃度:0.3mg/ml
・カラム温度:38℃
・標準試料:ポリスチレン
2.ポリオキサレートの融点:融点は、示差走査熱量測定(DSC)における第2昇温過程の吸熱ピーク温度とした。測定条件を以下に示す。
・使用機種:パーキンエルマー製DSC−7
・第1昇温過程:−100℃〜融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分、保持5分
・第一降温過程:融点以上(試料により設定)〜−100℃、降温速度10℃/分、保持5分
・第二昇温過程:−100℃から融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分
・使用機種:パーキンエルマー製DSC−7
・第1昇温過程:−100℃〜融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分、保持5分
・第一降温過程:融点以上(試料により設定)〜−100℃、降温速度10℃/分、保持5分
・第二昇温過程:−100℃から融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分
3.ポリ乳酸組成物の作製:200℃に設定したニーダータイプのバッチ式混練装置に所定量のポリ乳酸を投入して可塑化させた後、所定量のポリオキサレートを添加して溶融混練した。操作は窒素中で行った。
4.ポリ乳酸組成物のシート成形:神籐金属工業所製圧縮成形機を使用した。前記溶融混練物をプラスチックカッターでペレット大に切ったものを200℃で3分間予熱して2.9MPaで3分間加圧した後、20℃に急冷してほぼ190ミクロン厚みのプレスシートを作製した。
5.ポリ乳酸組成物成形シートの引張特性:前記プレスシートから打ち抜いたダンベル型試験片を用いて、ヤング率と引張強度を以下の条件で測定した。
・使用機種:オリエンテック製テンシロン
・使用試料:JIS2号引張試験片
・引張速度:100mm/分
・測定温度:23℃
・測定湿度:50%RH
・使用機種:オリエンテック製テンシロン
・使用試料:JIS2号引張試験片
・引張速度:100mm/分
・測定温度:23℃
・測定湿度:50%RH
6.ポリ乳酸組成物成形シートのコンポスト中での生分解性:前記プレスシートから1cm×2cm程度の大きさの小片を切り出してポリエチレン製ネットに入れ、植物破砕物や鶏糞等を混合したコンポスト中にネットごと埋設した。そして、このコンポストを58℃恒温槽でコンポスト下部から水飽和空気を流通させながら所定時間静置した。所定時間経過後、ネットごと取り出して、外観と重量測定による重量残存率(%)によって生分解性を評価した。計算は以下の式によった。
重量残存率(%)=W/W0×100
(Wは埋設処理後の小片重量(mg)、W0は埋設処理前の小片重量(mg)を表す。)
重量残存率(%)=W/W0×100
(Wは埋設処理後の小片重量(mg)、W0は埋設処理前の小片重量(mg)を表す。)
7.ポリ乳酸組成物成形シートの屋外土壌中での生分解性:前記プレスシートから1cm×2cm程度の大きさの小片を切り出してポリエチレン製ネットに入れ、屋外畑地土壌中に深さ5cmでネットごと埋設した。そのまま所定時間放置した後、ネットごと取り出して、上記と同様に外観と重量測定による重量残存率(%)によって生分解性を評価した。
〔参考例1〕
1Lセパラブルフラスコに、シクロヘキンサンジメタノール180.02g、シュウ酸ジフェニル302.39g、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート26.1mgを仕込んで(反応原料中の水分濃度は20ppmであった)、常圧下、160℃まで1時間で昇温し、更に190℃に昇温して1時間反応させた。次いで、13.3KPa(100mmHg)まで1時間で減圧した後、210℃に昇温すると共に133Pa(1mmHg)まで減圧して1時間反応させた。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートは、Mn:45900、融点:174℃であった。なお、反応は窒素雰気下で行った。
1Lセパラブルフラスコに、シクロヘキンサンジメタノール180.02g、シュウ酸ジフェニル302.39g、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート26.1mgを仕込んで(反応原料中の水分濃度は20ppmであった)、常圧下、160℃まで1時間で昇温し、更に190℃に昇温して1時間反応させた。次いで、13.3KPa(100mmHg)まで1時間で減圧した後、210℃に昇温すると共に133Pa(1mmHg)まで減圧して1時間反応させた。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートは、Mn:45900、融点:174℃であった。なお、反応は窒素雰気下で行った。
〔実施例1〕
Mn:90000、融点:167℃のポリ乳酸(レイシアH−100PL;三井化学製)100重量部と前記ポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレート10重量部とからなるポリ乳酸組成物を作製してシート成形した。この成形シートの物性評価結果を表1及び2に示す。但し、生分解性は、表1にコンポスト中、表2に屋外土壌中の結果を示す。
Mn:90000、融点:167℃のポリ乳酸(レイシアH−100PL;三井化学製)100重量部と前記ポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレート10重量部とからなるポリ乳酸組成物を作製してシート成形した。この成形シートの物性評価結果を表1及び2に示す。但し、生分解性は、表1にコンポスト中、表2に屋外土壌中の結果を示す。
〔実施例2〜6〕
ポリ乳酸とポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートとの配合割合を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果を表1及び2に示す。
ポリ乳酸とポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートとの配合割合を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果を表1及び2に示す。
〔比較例1〕
ポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを使用せず、ポリ乳酸のみを使用したほかは、実施例1と同様に行った。その結果を表1及び2に示す。
ポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを使用せず、ポリ乳酸のみを使用したほかは、実施例1と同様に行った。その結果を表1及び2に示す。
〔参考例2〕
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5Lの圧力容器に、シュウ酸ジメチル(2025.0g(17.148mol)、シクロヘキサンジメタノール2312.0g(16.032mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート3.6g(シュウ酸ジメチルの0.100mol%)及び耐熱剤イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)21.6g(原料の5000ppm)を仕込んで、内部を窒素で置換した。次いで、以下のように重縮合反応を行った。なお、OL/OX=0.935で、シュウ酸ジメチル中の水分濃度は478ppm、シクロヘキサンジメタノール中の水分濃度は200ppmであった。
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5Lの圧力容器に、シュウ酸ジメチル(2025.0g(17.148mol)、シクロヘキサンジメタノール2312.0g(16.032mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート3.6g(シュウ酸ジメチルの0.100mol%)及び耐熱剤イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)21.6g(原料の5000ppm)を仕込んで、内部を窒素で置換した。次いで、以下のように重縮合反応を行った。なお、OL/OX=0.935で、シュウ酸ジメチル中の水分濃度は478ppm、シクロヘキサンジメタノール中の水分濃度は200ppmであった。
(I)前重縮合工程:前記圧力容器内の温度を室温から100℃まで1.25時間かけて昇温した。均一の溶融液になったことを確認した後、150℃まで2時間かけて昇温しながら反応させた。この昇温の過程におけるメタノールの留出量は394.5gであった。次いで、190℃まで2時間かけて昇温しながら更に反応させた。トータルのメタノール留出量は434.5gであった。
(II)後重縮合工程:圧力容器内の温度を190℃に保ったままで減圧を開始して、0.75時間で300mmHg(39.9kPa)に減圧し、更に1時間で100mmHg(13.3kPa)にまで減圧して反応させた。この間のトータルのメタノール留出量は484.5gであった。次いで、圧力容器内の温度を207℃へ1.5時間かけて上げると共に、圧力を徐々に下げながら1.25時間後に5mmHg(665Pa)まで低下させ、更に4時間後に0.8mmHg(106Pa)まで到達させて反応を行った。その後、撹拌を停止し、重合物取出し口から溶融状態の内容物をひも状で抜き出して水冷し、ペレット化した。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレート(2430g)は、Mn:35100、融点:174℃であった。
次いで、二軸押出機を使用し、190℃において、このペレットに、加水分解抑制剤カルボジライトLA−1(日清紡製)を1重量%、同HMV−8CA(日清紡製)を0.1重量%、耐熱剤イルガフォス168を0.32重量%、酸化防止剤イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.25重量%配合した。配合割合はいずれもペレットに対する割合である。
〔実施例7〜10〕
参考例2で得られたポリオキサレートのペレットとポリ乳酸(レイシアH−100PL;三井化学製)のペレットをタンブラーを用いて表3に示す割合でドライブレンドし、得られたドライブレンド物をT−ダイスを装着した押出機により厚み約100μmのフィルムに成形した。各フィルムの物性評価結果を表3に示す。但し、生分解性はコンポスト中で評価した。
参考例2で得られたポリオキサレートのペレットとポリ乳酸(レイシアH−100PL;三井化学製)のペレットをタンブラーを用いて表3に示す割合でドライブレンドし、得られたドライブレンド物をT−ダイスを装着した押出機により厚み約100μmのフィルムに成形した。各フィルムの物性評価結果を表3に示す。但し、生分解性はコンポスト中で評価した。
〔比較例2〕
ポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを使用せず、ポリ乳酸のみを使用したほかは、実施例7と同様に行った。その結果を表3に示す。
ポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを使用せず、ポリ乳酸のみを使用したほかは、実施例7と同様に行った。その結果を表3に示す。
本発明の組成物は、フィルム或いはシート、各種成形品、繊維製品など、生分解性プラスチックとしてポリ乳酸が使用されている広範な用途に用いることができる。
Claims (5)
- ポリ乳酸の数平均分子量が20000〜500000で、ポリオキサレートの数平均分子量が20000〜100000である、請求項1記載のポリ乳酸組成物。
- ポリ乳酸の数平均分子量が20000〜500000で、ポリオキサレートの数平均分子量が20000〜70000である、請求項1記載のポリ乳酸組成物。
- ポリオキサレートがポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートである、請求項1〜3のいずれか記載のポリ乳酸組成物。
- 請求項1〜4のいずれか記載のポリ乳酸組成物から得られる成形物。
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