JP2005060322A - 自己免疫性腎障害治療又は予防剤、並びにそのための組換えベクター - Google Patents
自己免疫性腎障害治療又は予防剤、並びにそのための組換えベクター Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005060322A JP2005060322A JP2003293833A JP2003293833A JP2005060322A JP 2005060322 A JP2005060322 A JP 2005060322A JP 2003293833 A JP2003293833 A JP 2003293833A JP 2003293833 A JP2003293833 A JP 2003293833A JP 2005060322 A JP2005060322 A JP 2005060322A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mice
- nzbw
- therapeutic
- autoimmune
- toxoplasma gondii
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
【解決手段】 トキソプラズマ・ゴンディのHSP70タンパクを投与することにより、全身性エリテマトーデスのような自己免疫性腎障害に対して優れた治療及び予防効果を得る。HSP70タンパクを生体内で生産する組換えベクターを投与することによっても自己免疫性腎障害に対して優れた治療及び予防効果が得られる。
【選択図】 図1
Description
マウス及びトキソプラズマ・ゴンディ株
8週齢のメスC57BL/6 (B6, 感受性系統), BALB/c (耐性系統), NZB, NZW, NZBW F1マウスは、SLC社(静岡県浜松市)から購入した。これらのマウスに、トキソプラズマ・ゴンディFukaya株の嚢子(cyst)10個を経口投与してトキソプラズマ・ゴンディに感染させた(非特許文献3、22)。
尿中の蛋白濃度は、アルブミン試薬ストリップ(Hema-Combistix(商品名)バイエル/三共社製)を用いて、半定量的に1ヶ月毎に評価した。尿中蛋白濃度が100 mg/dlを超える場合を陽性とした。
1+:軽度な局所的血管間膜細胞過充実(focal mesangial hypercellularity)のみ;
2+:中程度の血管間膜細胞過充実
3+:時に軽度の梗塞又は壊死を伴う複合毛管内細胞過充実
4+:壊死又は半月体形成を伴う重症毛管内細胞過充実糸球体腎炎
上記の通り、B6, BALB/c, NZB, NZW及びNZBW F1マウスに、月齢2ヶ月の時に、トキソプラズマ・ゴンディの嚢子10個を経口投与してトキソプラズマ・ゴンディに感染させた。月齢9ヶ月の時に、非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染B6, BALB/c, NZB, NZW及びNZBW F1マウスの血清中のIgM及びIgG抗1本鎖DNA抗体及び抗2本鎖DNA抗体を公知の方法(非特許文献21、24)に従ってELISAにより測定した。すなわち、ELISAプレート(住友ベークライト社製)のウェルを仔ウシ胸腺から調製した10μg/mlの1本鎖DNA(米国ミズーリー州セントルイスのSigma Chemical社製)、又は2本鎖DNA (poly(dA-dT)/poly(dA-dT); Sigma社製)で被覆した。プレートを0.05% Tween 20(商品名)含有PBSで洗浄した後、プレートを2% BSA含有PBSでブロッキングした。月齢9ヶ月の非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染B6, BALB/c, NZB, NZW及びNZBW F1マウスの血清の1:200希釈物をウェルに添加し、2時間室温でインキュベートした。プレートをPBS-Tween(商品名)で洗浄後、アリカリホスファターゼ結合抗マウスIgM抗体(米国カリフォルニア州CamarilloのTago社製)又は抗マウスIgG抗体(米国カリフォルニア州TemeculaのChemicon International Inc社製)の1:1000希釈物をウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。波長405nmにおける吸光度を測定した。2本鎖DNAと結合するIgGサブクラスの濃度は、上記の通りウェルを10μg/mlの2本鎖DNA(Sigma社製)で被覆し、アルカリホスファターゼ結合ラット抗マウスIgGサブクラス特異的第2抗体(X56, 抗-IgG1; R19-15, 抗IgG2a; R12-3, 抗IgG2b; R40-82, 抗IgG3; 全てドイツ国Heidelberg のPharMingen社製)を用いて測定した。
月齢2ヶ月のNZBW F1マウスにトキソプラズマ・ゴンディFukaya株の嚢子(cyst)10個を経口投与してトキソプラズマ・ゴンディに感染させた。月齢9ヶ月の非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスから、脾細胞及び腹腔滲出細胞(PECs)を回収した。次いで、Cytofix/Cytoperm kit (商品名、米国カリフォルニア州San Diego のPharMingen社製)を用いて細胞を固定及び浸透化し、0.1μgのFITC-結合ラット抗マウスIL-4 mAb(BVD-24G2(商品名)、フランスのIMMUNOTECH社製)、FITC-結合ラット抗マウスIFN-γ mAb(XMG1.2(商品名、PharMingen社製)及びPE-結合ラット抗マウスIL-12(p40/p70) mAb (C15.6; PharMingen社製)でそれぞれ染色した。最後に細胞を浸透化緩衝液で洗浄し、IL-10, IL-4, IFN-γ及びIL-12の発現をFACScan (商品名、米国カリフォルニア州Mountain ViewのDecton Dickinson社製)で解析した。
特開平11-225783号公報に記載の方法により行った。すなわち、以下の方法により行った。
(1) トキソプラズマ・ゴンディのHSP70蛋白質をコードする遺伝子のクローニング
MOSEI cDNAライブラリー(Amersham LIFE SCIENCE社より市販)はトキソプラズマ・ゴンディRH株のtachyzoiteから分離したpoly(A)+RNAから構成されている。これらのcDNAライブラリーに対してヒトのHSP70DNAを放射性核種である(32P)で標識したプローブ(ATCC受託番号57494ヒトgDNA由来)を用いてクロスハイブリダイゼーション法によってヒトHSP70遺伝子領域と特異的に反応するトキソプラズマ・ゴンディ遺伝子のスクリーニングを行った。ハイブリダイゼーション時に使用したハイブリダイゼーションバッファー、洗浄バッファーの各組成及び反応温度は次の通りであった。すなわち、3×SSC、5×デンハート液、50mMトリスベース(pH7.5)、1mM EDTA、0.5% SDS及び60℃で変性した20μg/μlのサケ精子を各々添加してハイブリダイゼーションに用いた。また、0.1×SSC、0.1%SDSを各々添加し、各々60℃で反応及び洗浄を行った。この方法によって1×105個のcDNAクローンからヒトHSP70DNAプローブに対して特異的に反応する15クローンを取得した。
塩基配列の決定は、ジェネティックアナライザー310(パーキンエルマー社製)を使用して行った。この際、シークエンスプライマーの標識には、サイクルシークエンスキットFS(パーキンエルマー社製)を使用しダイターミネーター法により実施した。また、シークエンシングに際しては、合計12個のプライマーを合成し(パーキンエルマー社 ABI DNAシンセサイザー 391型)プライマーウォーキングによるシークエンシングに供試した。決定された塩基配列を、これがコードする推定アミノ酸配列とともに配列番号1に示す。
遺伝子塩基配列及びアミノ酸配列の解析は、Genetyx-Mac software(
Software development)を用いて行った。
(i)発現ベクターの構築
発現ベクターを構築する際には、pTH14クローンを鋳型としてPCR法を用いてトキソプラズマ・ゴンディHSP70を増幅し、発現ベクターpET15b(米国Novagen社より市販)の制限酵素サイトXhoI−BamHI内に再クローニングした。この際、5’末端の転写開始コドンを設定プライマー内から除外する事で削除した。この際目的領域を増幅する為に使用したプライマーを以下に示す。
T7: 5'-catctcgagctggagacagctggtggt-3'
トキソプラズマ・ゴンディHSP70蛋白質をコードする遺伝子を含む発現ベクター pET15bで形質転換した宿主細胞 Escherichia coli BL21を培養して目的遺伝子の発現を行った。その際、培養液としてLB培地(BIO 101社製)を使用し、抗生物質アンピシリンを50μg/μlになる様に添加した。また、培養温度は37℃で実施した。更に、蛋白質の発現は終濃度1mMのIPTG(ナカライ タスク社製)を添加し、3時間誘導した。
5mMイミダゾール、0.5M NaCl、20mM Tris(pH8.0)10mlに発現抗原を浮遊させ、超音波破砕装置(オリンパス社製)によって200W、5分、0℃の条件で細胞を破砕した。次に、これらの細胞破砕物を除外する為に12000rpm、10分、4℃の条件で遠心沈殿した。
1μg、10μg若しくは100μgのrTgHSP70又は100μgのベクター対照タンパクをNZBW F1マウスに月齢2ヶ月から2週間毎に腹腔内注射した。注射液の溶媒は、生理食塩水であり、1回当りの注射液の体積は、0.2mlであった。
平均値間の差は、独立スチューデントt検定により解析した。P値が0.05未満の場合に有意差ありとした。
NZBW F1マウスにおける生存率及び蛋白尿に対するトキソプラズマ・ゴンディ感染の効果
図1Aに示すように、非感染NZBW F1マウスは、月齢7ヶ月の時から死亡し始め、月齢10ヶ月以内に100%のマウスが死亡した。逆に、トキソプラズマ・ゴンディに感染したNZBW F1マウスは、月齢9ヶ月時に100%生存しており、月齢10ヶ月以内に5%が死亡した。トキソプラズマ・ゴンディ非感染のNZBW F1マウスでは、蛋白尿の発病率が月齢5ヶ月から徐々に増大し(図1B)、月齢7ヶ月から急に増大した。トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスでは、月齢7ヶ月時に蛋白尿は検出されなかったが、月齢7.5ヶ月から低い発病率がわずかに増大した。なお、図1において、Aは、非感染NZBW F1マウス(○)及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウス(●)における累積死亡率を示す。Bは、非感染NZBW F1マウス(○)及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウス(●)における蛋白尿の発生率を示す。
光学顕微鏡による観察の結果、非感染NZBW F1マウスでは、月齢9ヶ月時に糸球体における顕著な血管間膜細胞の増殖及び血管間膜マトリックスの増大が起きた。いくつかの症例では、ループ状病変、梗塞、半月体形成及び糸球体小房(glomerular tuft)のボーマン嚢への接着が観察された(グレード4+)。これに対し、トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスでは、これらの変化は、より顕著ではなかった(グレード2)。非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスにおけるループス腎炎の発症を検証するために、IgM、IgG及びC3の糸球体中の沈着を調べた。トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスでは、月齢9ヶ月の時点で、糸球体におけるIgM、IgG及びC3の沈着が、非感染マウスに比べて抑制されていた。これらの知見により、トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスでは、月齢9ヶ月時において、糸球体腎炎の緩和されていることが確認された。
NZBマウスはトキソプラズマ・ゴンディ感染3週間後に100%死亡し、NZWマウスはトキソプラズマ・ゴンディ感染後10ヶ月を超えても100%生存したが、ループス腎炎に罹りやすい(lupus-prone)NZBW F1マウスは、トキソプラズマ・ゴンディ感染10ヵ月後に95%生存していた。非感染NZB, NZW及びNZBW F1マウスでは、月齢9ヶ月時に血清中に高濃度のIgM(図2A)、IgG(図2B)抗1本鎖DNA抗体が観察された。この月齢において、トキソプラズマ・ゴンディ感染NZW及びNZBW F1マウスにおけるこれらの血清濃度は、非感染NZW及びNZBW F1マウスに比較して有意に低かった。同様に、非感染NZB, NZW及びNZBW F1マウスでは、血清中のIgM(図2C)及びIgG(図2D)抗2本鎖DNA抗体の濃度が高く、一方、トキソプラズマ・ゴンディ感染後のNZW及びNZBW F1マウスでは、血清中でのこれらの形成は阻害されていた。
トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスにおいて、抗2本鎖DNA抗体のIgGサブクラスパターンが変化するか否かを確かめるために、月齢2ヶ月の時にトキソプラズマ・ゴンディに感染させたNZBW F1マウス及び非感染NZBW F1マウスから月齢9ヶ月の時に血清を採取して調べた。IgG2b抗2本鎖抗体の血清濃度は非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウス間で同様な範囲にあったが(図3C)、IgG1(図3A)、IgG2a(図3B)及びIgG3(図3D)の濃度は、トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスの方が低く、特にIgG2a及びIgG3の形成は、有意に低かった。
B6, BALB/c, NZW及びNZBW F1マウスにおける、トキソプラズマ・ゴンディ感染9週間後の抗TgHSP70 IgM抗体の濃度は、有意に増加していた(図4A)。同様に、B6, BALB/c, NZW及びNZBW F1マウスにおける、トキソプラズマ・ゴンディ感染9週間後の抗TgHSP70 IgG抗体の濃度は、有意に増加していた。トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスの血清中の抗TgHSP70 IgG抗体の濃度は、トキソプラズマ・ゴンディ感染B6, BALB/c, NZWマウスにおける濃度よりも有意に高かった(図4B)。B6, BALB/c, NZB, NZW及びNZBW F1マウスの血清中の抗HSP70 IgM(図4C)及び抗HSP70 IgG(図4D)自己抗体の濃度を、トキソプラズマ・ゴンディ感染9週間後に測定した。抗HSP70 IgM自己抗体及び抗HSP70 IgG自己抗体の血清濃度は、感染後、NZBW F1マウス及び対照系統において増加していた。NZBW F1マウスの血清中の抗HSP70 IgG自己抗体の濃度は、トキソプラズマ・ゴンディ感染9週間後の対照マウスにおける濃度よりも有意に高かった。
NZBW F1マウスのTh1及びTh2サブセットにおけるトキソプラズマ・ゴンディ感染の影響を調べるために、月齢2ヶ月のNZBW F1マウストキソプラズマ・ゴンディを経口感染させた。月齢9ヶ月の非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスからの脾細胞及びPECs中におけるIL-10, IL-4, IFN-γ及びIL-12の発現を観察した(図5)。非感染NZBW F1マウスの脾臓中では、IL-10及びIFN-γの高レベルの発現が観察されたが、トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウス中のそれらの発現は有意に減少していた。非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスの脾細胞中のIL-4の発現は、それぞれ低い及び変化なしであった。非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスのPECs中ではIL-10及びIL-4の低い発現が観察された。非感染NZBW F1マウスのPECs中では、IFN-γが高レベルに発現していたが、トキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスのPECs中では顕著に低下していた。この研究において、月齢9ヶ月の非感染及びトキソプラズマ・ゴンディ感染NZBW F1マウスのPECsのいずれにおいてもIL-12の発現は検出されなかった。
図6.1に示すように、ベクター注射NZBW F1マウス(比較例)は、月齢8ヶ月で死亡し始め、月齢10ヶ月で100%死亡した。一方、100μgのTgHSP70を注射したNZBW F1マウスでは、100%のマウスが月齢13ヶ月を超えて生存した。1μgのTgHSP70を注射したNZBW F1マウスは月齢12ヶ月までに100%死亡し、10μgのTgHSP70を死亡したマウスでは、40%が月齢10ヶ月までに死亡した。
光学顕微鏡による観察の結果、ベクターを注射したNZBW F1マウスでは、月齢9ヶ月において、糸球体毛細管壁の肥厚を伴う顕著な血管間膜細胞の増殖及び糸球体中の血管間膜マトリックスの増大が起き、その結果、毛細管腔の閉塞が起きた。いくつかの症例では、ループ状病変、梗塞、半月体形成及び糸球体小房(glomerular tuft)のボーマン嚢への接着が観察された(グレード4+)。これに対し、100μgのTgHSP70を注射したNZBW F1マウスでは、これらの変化は、より顕著ではなかった(グレード2)。ベクター及びTgHSP70注射NZBW F1マウスにおけるループス腎炎の発症を検証するために、IgM、IgG及びC3の糸球体中の沈着を調べた。TgHSP70を注射したNZBW F1マウスでは、月齢9ヶ月の時点で、糸球体におけるIgM、IgG及びC3の沈着が、ベクター注射マウスに比べて抑制されていた。これらの知見により、TgHSP70注射NZBW F1マウスでは、月齢9ヶ月時において、糸球体腎炎の緩和されていることが確認された。
100μgのTgHSP70を隔週注射したNZBW F1マウスは、注射後10ヶ月を超えても100%生存した。図7に示すように、ベクターを注射したNZBW F1マウスでは、月齢9ヶ月時に、血清中に、無処理のNZBW F1マウスと同等の高濃度のIgM及びIgG抗1本鎖DNA抗体が観察された。この月齢において、rTgHSP70を注射したNZBW F1マウスにおけるこれらの血清濃度は、ベクター注射NZBW F1マウスに比較して有意に低かった。同様に、ベクター注射NZBW F1マウスでは、血清中のIgM及びIgG抗2本鎖DNA抗体の濃度が高く、一方、TgHSP70注射後のNZBW F1マウスでは、血清中でのこれらの形成は阻害されていた。
TgHSP70注射NZBW F1マウスにおいて、抗2本鎖DNA抗体のIgGサブクラスパターンが変化するか否かを確かめるために、月齢2ヶ月の時にベクター又はTgHSP70を注射したNZBW F1マウスから月齢9ヶ月の時に血清を採取して調べた(図8)。IgG2b抗2本鎖抗体の血清濃度はベクター注射及びTgHSP70注射NZBW F1マウス間で同様な範囲にあったが、IgG1、IgG2a及びIgG3の濃度は、TgHSP70注射NZBW F1マウスの方が低く、特にIgG2a及びIgG3の形成は、有意に低かった。
トキソプラズマ・ゴンディRH株から常法によりDNAを抽出し、これを鋳型とし、一組のプライマーを用いて、PCRを行い、配列番号2に示す塩基配列を含む核酸断片を増幅した。なお、鋳型となるTgHSP70遺伝子の全長(上流及び下流の非翻訳領域を含む)は、配列番号5に示す通りである。用いたプライマーは、フォワード側がggactagtatggcggactctcctgct、リバース側がggtctagacatcccgccgggcataccである。フォワード側プライマー中、5’末端のggは、フォワード側の融解温度とリバース側の融解温度を合わせるために導入した無関係な配列であり、その下流のactagtがSpeI部位であり、その下流が配列番号1のアミノ酸配列の第1番目〜第6番目のアミノ酸をコードする領域である。リバース側プライマー中、5’末端のggは、フォワード側の融解温度とリバース側の融解温度を合わせるために導入した無関係な配列であり、その下流のtctagaがXbaI部位であり、その下流が配列番号1のアミノ酸配列の第647番目〜第642番目のアミノ酸をコードする領域に対応する領域である。したがって、これらのプライマーを用いてPCRを行うと、配列番号2で示される塩基配列の全長の両端に、それぞれ、上記したggと制限酵素部位(5’側がSpeI部位、3’側がXbaI)が連結された核酸断片が増幅される。なお、PCRは、市販のキット及び装置を用いてマニュアル通りに行い、熱的条件は、94℃、2.5分間の変性工程、60℃、5分間のアニーリング工程、72℃、2分間の伸長工程から成るサイクルを38回繰り返すことにより行った。増幅断片を、制限酵素SpeI及びXbaIでNEバッファー中で消化し、一方、上記した公知の哺乳動物用ベクターであるpME18-FL3も制限酵素SpeI及びXbaIで消化し、これらを市販のDNAライゲーションキット(TaKaRa DNAライゲーションキットVer 1. Code No. 6021)を用いて連結することにより、pME18-FL3のSpeI-XbaI間に、制限酵素処理後の上記増幅断片を挿入し、本発明の組換えベクターの好ましい1例のである環状プラスミドを得た。この環状プラスミド中のTgHSP70の塩基配列を、Taq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing kit (米国カリフォルニア州Foster CityのApplied Biosystems社から市販)を用いて確認した。また、比較のため、トキソプラズマ・ゴンディ由来の遺伝子を含まないpME18-FL3も後述の実験に供した。
50μg/マウスの組換えベクターを含む100μlの蒸留水を、NZBW F1マウスに腹腔内注射した。月齢2ヶ月のマウスに最初の腹腔内注射を行い、その後1ヶ月毎に同じ注射液を腹腔内注射した。マウスは1群10匹であった。
実施例1と同様にして、生存率及び蛋白尿の発病率を経時的に調べた。結果をそれぞれ図10.1及び図10.2に示す。図10.1及び図10.2中、●は、本発明の組換えベクターを投与した群、白丸は対照としてTgHSP70遺伝子を含まないpME18-FL3ベクターを投与した群についての結果を示す。
Claims (7)
- 配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド又は該アミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸が置換し、欠失し若しくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、自己免疫性腎障害に対する治療又は予防効果を発揮するポリペプチドを有効成分として含有する自己免疫性腎障害治療又は予防剤。
- 配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド又は該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するポリペプチドであって、自己免疫性腎障害に対する治療又は予防効果を発揮するポリペプチドを有効成分として含有する自己免疫性腎障害治療又は予防剤。
- 配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを有効成分として含有する請求項1記載の自己免疫性腎障害治療又は予防剤。
- 前記自己免疫性腎障害が全身性エリテマトーデスである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の治療又は予防剤。
- 請求項1ないし3のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする核酸を含み、治療又は予防処置を受ける哺乳動物体内において前記ポリペプチドを生産することができる哺乳動物用組換えベクターから成る自己免疫性腎障害治療又は予防用組換えベクター。
- 配列表の配列番号1で示される塩基配列又は該塩基配列から成る核酸断片とストリンジェント条件下においてハイブリダイズする核酸断片であって、哺乳動物体内で発現されることにより該哺乳動物に自己免疫性腎障害に対する治療又は予防効果を付与することができる核酸断片を含む請求項5記載の組み換えベクター。
- 前記自己免疫性腎障害が全身性エリテマトーデスである請求項5又は6記載の組換えベクター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003293833A JP2005060322A (ja) | 2003-08-15 | 2003-08-15 | 自己免疫性腎障害治療又は予防剤、並びにそのための組換えベクター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003293833A JP2005060322A (ja) | 2003-08-15 | 2003-08-15 | 自己免疫性腎障害治療又は予防剤、並びにそのための組換えベクター |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005060322A true JP2005060322A (ja) | 2005-03-10 |
Family
ID=34370603
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003293833A Pending JP2005060322A (ja) | 2003-08-15 | 2003-08-15 | 自己免疫性腎障害治療又は予防剤、並びにそのための組換えベクター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005060322A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010035469A (ja) * | 2008-08-04 | 2010-02-18 | Toyobo Co Ltd | フルクトシルバリルヒスチジン測定用酵素、およびその利用法 |
-
2003
- 2003-08-15 JP JP2003293833A patent/JP2005060322A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010035469A (ja) * | 2008-08-04 | 2010-02-18 | Toyobo Co Ltd | フルクトシルバリルヒスチジン測定用酵素、およびその利用法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5904985B2 (ja) | 免疫調節因子であるbaffレセプター(bcma) | |
US7332168B2 (en) | Composition for the elimination of autoreactive B-cells | |
JP4638876B2 (ja) | Gitrリガンド及びgitrリガンド関連分子及び抗体及びその使用 | |
RU2281118C2 (ru) | Средства для лечения воспалительных кишечных заболеваний | |
JP6041842B2 (ja) | 制御性t細胞活性を抑制するための、ヒトcd39に対する抗体およびその使用 | |
JP6097690B2 (ja) | 抗cxcl13抗体およびそれを用いる方法 | |
EP0617126A2 (en) | Polypeptide capable of inhibiting the binding bewteen human IL-6 and its receptor | |
KR20080080503A (ko) | 인간 모노클로날 항체 인간 cd134(ox40) 및이의 제조 및 사용 방법 | |
JP6193275B2 (ja) | B細胞媒介炎症性疾患を治療するための方法 | |
KR102176962B1 (ko) | 면역글로불린 a 수준을 증가시키기 위한 방법 | |
CN1404400A (zh) | Il-18抑制剂的应用 | |
JP2022537780A (ja) | ポリペプチド | |
JPWO2012026309A1 (ja) | 抗pad4抗体医薬の創成 | |
US9067989B2 (en) | Eotaxin-2 (CCL24) inhibitors in inflammatory, autoimmune, and cardiovascular disorders | |
KR100277769B1 (ko) | 항-파스 재조합 항체 및 이에 대한 디엔에이 | |
JP2005060322A (ja) | 自己免疫性腎障害治療又は予防剤、並びにそのための組換えベクター | |
Araga et al. | A complementary peptide vaccine that induces T cell anergy and prevents experimental allergic neuritis in Lewis rats | |
JP2005206478A (ja) | 樹状細胞膜分子−IgFc融合ポリペプチドまたはそれに対する抗体を含む医薬組成物 | |
McINTYRE | The VH repertoire and clonal diversification of B cells in myositis and vasculitis | |
JPH11171900A (ja) | 抗Fas抗体 | |
JP2004000228A (ja) | 抗Fas抗体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20060726 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20060726 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060801 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20060727 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090929 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100209 |