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JP2005054100A - セルロースエステルフィルム、ハードコートフィルム及び反射防止フィルム - Google Patents

セルロースエステルフィルム、ハードコートフィルム及び反射防止フィルム Download PDF

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JP2005054100A
JP2005054100A JP2003287627A JP2003287627A JP2005054100A JP 2005054100 A JP2005054100 A JP 2005054100A JP 2003287627 A JP2003287627 A JP 2003287627A JP 2003287627 A JP2003287627 A JP 2003287627A JP 2005054100 A JP2005054100 A JP 2005054100A
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Konica Minolta Opto Inc
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Abstract

【課題】 ブロッキング発生がなく、クリアハード加工の膜付き、カール、耐傷性に優れたセルロースエステルフィルムを製造する方法及び該方法で製造されたセルロースエステルフィルム及びハードコートフィルム及びその偏光板を提供するものである。
【解決手段】 溶液流延製膜法により製造される、微粒子及び2種以上の可塑剤を含有するセルロースエステルフィルムにおいて、該可塑剤の少なくとも1種が多価アルコールエステル系可塑剤から選ばれ、他がリン酸エステル系可塑剤以外の可塑剤から選ばれ、かつ溶液流延製膜により、支持体から剥離されたフィルムのMD方向の延伸およびTD方向の延伸を残留溶剤量が一定値以上および以下で行うことで作製され、且つ、両面の十点平均表面粗さRzが40nm〜100nmであることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学用途に利用されるセルロースエステルフィルム(以下、単にフィルムともいう)及びその製造方法に関するものであり、特に液晶表示装置等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルム又有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等で使用される各種機能フィルム等にも利用することができるセルロースエステルフィルム及びその製造方法に関するものである。
近年、液晶ディスプレイの薄型軽量化、大型画面化、高精細化の開発が進んでいる。それに伴って、液晶偏光板用の保護フィルムもますます薄膜化、広幅化、高品質化の要求が強くなってきている。偏光板用保護フィルムには、一般的にセルロースエステルフィルムが広く使用されている。
セルロースエステルフィルムは、通常溶液流延法によって作製されている。溶液流延法はベルトやドラムなどの支持体上にセルロースエステルドープを流延し、ある程度乾燥したところで支持体上から剥離し、さらに乾燥させてセルロースエステルフィルムを得る方法である。セルロースエステルには、滑り性を得るために微粒子が添加されている。微粒子はセルロースエステルフィルム表面に凹凸を作り滑り性を発揮する。しかしながら、溶液流延法は支持体上である程度乾燥させてから剥離するため、支持体に接している方のB面は十分な凹凸が得られなかった。
一方、セルロースエステルフィルムには、可塑剤や紫外線吸収剤などの添加剤が添加されている。これらの添加剤は、支持体上でウェブが乾燥するとき、乾燥風に接しているA面側から乾燥が進むため、溶剤濃度の高いB面側へ移行する性質があり、乾燥が終了したセルロースエステルフィルムは可塑剤や紫外線吸収剤がB面側に偏在している。そのためセルロースエステルフィルムはA面側を凸にしてカールしている。
セルロースエステルフィルムにクリアハード加工をする場合、A面側へ塗布する方がカールを低下できる点で好ましい。しかしA面へクリアハード加工をするとA面側の凹凸をクリアハード加工でふさいでしまうため、フィルムの滑り性が悪化し、ブロッキングの問題が発生してしまう。このため、B面へクリアハード加工する場合がほとんどであった。この場合クリアハード加工によってカールがさらに悪化し、偏光板収率を悪化させる原因となっていた。さらに最近の液晶テレビに対応するため、クリアハード加工にはより高い耐傷性が要求されている。その対応として、クリアハード加工の膜厚を増加させる手段があるが、カールの問題によって困難であった。
3層共流延によって表層にのみマット剤を添加した例が特開2001−71418に示されているが、共流延は膜厚制御が困難で実用レベルではなく、B面側の表層にのみマット剤を入れても、ヘイズを下げる効果は少なく、この方法も支持体上である程度乾燥させてから剥離するため、支持体に接している方のB面は十分な凹凸が得られなかった。
また、耐傷性に関しては、セルロースエステルフィルムには、耐久性を付与するために紫外線吸収剤が添加されており、特許文献1には紫外線吸収剤を含有するセルロースエステルフィルム上に紫外線硬化樹脂層(ハードコート層)を設けた例が示されているが、例えば、鉛筆硬度が2H程度しかなく、充分な硬度とはいえなかった。
一般にハードコートフィルムは、上記のような紫外線硬化樹脂層をハードコート塗料としてプラスチックフィルム上に直接、或いは0.1〜1μm程度の下層を介して3〜10μm程度の膜厚の層として形成される。しかしながら、従来のハードコートフィルムは、そのハードコート層の硬度が不十分であったこと、また、下地のプラスチック基材フィルムの変形により、ハードコート層も変形することから、ハードコートフィルム全体としての硬度は低く、十分に満足できるものではなかった。セルロースエステルフィルム上に、紫外線硬化樹脂層を上記の厚みで塗設したハードコートフィルムにおいては、鉛筆硬度で2H程度が一般的であり、4H以上の充分な硬度は得られなかった。
一方で、特許文献2では、ハードコート層の膜厚を厚くすることによって鉛筆硬度を高くする方法が開示されている。確かに、ハードコート層の膜厚を厚くすることは鉛筆硬度を向上するためには効果的である。しかしながら、ハードコート層の膜厚を厚くすると平面性が低下しやすくなるだけでなく、薄型表示装置に用いるための薄膜化を妨げる恐れがあり、特にハードコート層の膜厚を20〜200μmとすることは問題がある。
又、特許文献3には紫外線吸収剤を含有するセルローストリアセテートフィルム上にハードコート層を形成した例が記載されているが、これらも鉛筆硬度で2H程度しかなく、充分なレベルとはいえなかった。
また、紫外線吸収剤を含有するセルロースエステルフィルム基材上に紫外線硬化樹脂層を形成する場合、照射する紫外線をフィルムが吸収することによってフィルム自身も発熱し、基材が変形してしまうという問題があった。特に薄膜のフィルムでは必要な紫外線吸収性をももたせるため、紫外線吸収剤の含有量を増加せざるを得ず、その分その影響が顕著であった。又、基材フィルムの幅が広くなると幅方向に均一に紫外線を照射することが困難となり、やはり基材が変形してしまうという問題があった。基材の変形を恐れて照射量を減らすと端部に近い場所で十分な光量が確保できない場合があり、必要な硬度が得られず、光量を減らして照射時間を長くすると生産性が著しく低下するという問題があった。
特開2001−183528号公報 特開2003−57402号公報 特開2001−91705号公報
従って、本発明は前記の問題点を鑑みてなされたものであり、ブロッキングの発生がなく、クリアハード加工の膜付きに優れ、さらにカールにも優れ、耐傷性にも優れたセルロースエステルフィルムを製造する方法及びその方法で製造されたセルロースエステルフィルム及びクリアハード加工セルロースエステルフィルム及びその偏光板を提供するものである。
我々は鋭意検討の結果、分子量分布が一定範囲内にあるセルロースエステルを使用し、セルロースエステルフィルムが溶剤流延製膜法により製造する際に、支持体上に流延製膜されたフィルム(ウエブ)を、一定の溶剤含有率において支持体から剥離したのち、フィルム(ウエブ)中の残留溶剤量が40質量%以上の時にMD方向に延伸し、残留溶剤量が40質量%未満の時にTD方向へ延伸するという方法をとることで、これまでは困難であったB面側(支持体側)に凹凸をつけ、表面を粗くすることができることをみいだした。これによって、A面、B面の両面とも表面に適度な表面粗さを有するため、どちらの面にクリアハード加工しても膜付きが良く、ブロッキングの問題が発生しないセルロースエステルフィルムが得られる。
さらに、A面側へクリアハード加工するとカールの問題が改良され、クリアハード加工の膜厚を増加させ、液晶テレビにも対応できるより高い耐傷性を得ることができた。
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
1.溶液流延製膜法により製造される、微粒子及び2種以上の可塑剤を含有するセルロースエステルフィルムにおいて、該可塑剤の少なくとも1種が多価アルコールエステル系可塑剤から選ばれ、他がリン酸エステル系可塑剤以外の可塑剤から選ばれ、かつ溶液流延製膜法により支持体上に流延製膜されたのち、支持体から剥離されたフィルムを、フィルム中の残留溶剤量が40質量%以上であるときに、少なくともMD方向(フィルムの搬送方向と同一方向)に延伸し、かつ残留溶剤量が40質量%未満であるときに、少なくともTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に延伸することで作製され、且つ、両面の十点平均表面粗さRzが40nm〜100nmであることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
2.セルロースエステルフィルムのA面とB面の十点平均表面粗さRzが下記式(I)を満たすことを特徴とする前記1記載のセルロースエステルフィルム。
式(I)
B面の十点平均表面粗さRz/A面の十点平均表面粗さRz=0.8〜2.0
3.前記1または2記載のセルロースエステルフィルム上に活性線硬化樹脂を塗設した後、活性線を照射して、該活性線硬化樹脂を硬化させたことを特徴とするハードコートフィルム。
4.前記1または2記載のセルロースエステルフィルムのA面上に活性線硬化樹脂層を塗設した後、活性線を照射して、該活性線硬化樹脂を硬化させたことを特徴とするハードコートフィルム。
5.帯電防止層を有することを特徴とする前記3または4記載のハードコートフィルム。
6.前記3〜5のいずれか1項記載のハードコートフィルムの活性線硬化樹脂層上に低屈折率層が塗設されたことを特徴とする反射防止フィルム。
7.前記1または2記載のセルロースエステルフィルムを有することを特徴とする偏光板。
8.前記3〜5のいずれか1項記載のハードコートフィルムを有することを特徴とする偏光板。
9.前記6記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする偏光板。
本発明により、ブロッキングの発生がなく、クリアハード加工の膜付きに優れ、さらにカールにも優れ、耐傷性にも優れたセルロースエステルフィルム及びクリアハード加工セルロースエステルフィルムが得られる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、分子量分布が一定範囲内にあるセルロースエステルを使用し、セルロースエステルフィルムの溶剤流延製膜法によって作製されるものであり、支持体上に流延製膜されたフィルム(ウエブ)を、一定の溶剤含有率において支持体から剥離したのち、フィルム(ウエブ)中の残留溶剤量が40質量%以上の時にMD方向に延伸し、残留溶剤量が40質量%未満の時にTD方向へ延伸するという方法によって製造されるものである。
通常、セルロースエステルフィルム中には、可塑剤が含有され、また、微粒子が含有されることで表面に適度に表面粗さを付与し、ブロッキング等の問題を回避することが行われているが、本発明に係わる方法により、これまでは困難であったB面側(流延製膜法において用いられるステンレスバンド等の支持体鏡面に接した面;支持体側)に凹凸を付与することができ、B面側の表面を粗くすることができるため、これによって、A面、B面の両面とも表面に適度な粗さを付与することができた。
このようにして作製される、セルロースエステルフィルムのA面またB面の両面は、適度な表面粗さを有しており、JIS−B0601−1994に規定される十点平均表面粗さRzは40nm〜100nmの範囲の値を有している。
従って、A面、B面のどちらの面にクリアハード加工しても膜付きが良く、ブロッキングの問題が発生しないハードコートフィルムまたセルロースエステルフィルムが得られる。
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、可塑剤として、特定の2種以上の可塑剤を含有し、該可塑剤の1種は多価アルコールエステル系可塑剤であり、他の可塑剤はリン酸エステル系可塑剤以外から選ばれる可塑剤であり、該セルロースエステルフィルムに用いられるセルロースエステルとしては、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnが1.8〜3.0のセルロースエステルを用い、これを含有したドープを溶液流延製膜法でベルト支持体上に流延製膜してウェブを形成し、該ウェブ中の残留溶剤量が40質量%以上であるときに、MD方向(ウェブの搬送方向と同一方向)に延伸を開始し、かつ残留溶剤量が40質量%未満であるときに、TD方向(ウェブの搬送方向と直交する方向)に延伸することにより製造される。
このようにして製造される両面に適度な粗さを有するセルロースエステルフィルムについて、本発明においては、前記の通り、両面の十点平均表面粗さRzが40nm〜100nmであることを特徴とする。本発明において十点平均表面粗さRzとは、JIS−B0601−1994に規定される十点平均表面粗さRzに準拠したものであり、十点平均表面粗さRzとは3次元の粗さ曲線から、基準面積を抜き取り、抜き取り部分の最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値の和である。
十点平均表面粗さRzは、50〜80nmがさらに好ましく、60〜70nmが最も好ましい。十点平均表面粗さRzが大きい程、滑り性、ブロッキング性、また、クリアハード加工の膜付きに優れ、十点平均表面粗さRzが小さい程、透明性に優れる。
また、本発明において、B面の十点平均表面粗さRz/A面の十点平均表面粗さRzは0.8〜2.0であることが好ましい。本発明におけるA面、B面とは、溶液流延法でセルロースエステルドープをダイスから支持体上に流延したときに支持体に接していない、空気などの雰囲気と接している面をA面(AIR面)とし、ベルトなどの支持体に接している面をB面(BELT面)としている。B面の十点平均表面粗さRz/A面の十点平均表面粗さRzが0.9〜1.5がさらに好ましく、1.1〜1.3が最も好ましい。A面、B面の十点平均表面粗さは近い方が、ヘイズが低く、滑り性に優れるため好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムにおいては、可塑剤として、多価アルコールエステル系可塑剤と、他に、少なくとも1種のリン酸エステル系可塑剤以外から選ばれる可塑剤を用いることが、1つの特徴であり、これは、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤を実質的に含有しないことを意味する。
本発明でいう「実質的に含有しない」とは、リン酸エステル系可塑剤の含有量が1質量%未満、好ましくは0.1質量%であり、特に好ましいのは添加していないことである。
上記で規定する2種以上の可塑剤を含有させることによって、可塑剤のブリードアウトを少なくすることができる。その理由は明らかではないが、それぞれの可塑剤1種類当たりの添加量を低減することにより、2種の可塑剤間あるいはセルロースエステルとの相互作用によって生じるブリードアウトが抑制されるものと推測している。
本発明に係る2種以上の可塑剤としては、少なくとも1種が多価アルコールエステル系可塑剤で、他の少なくとも1種のリン酸エステル系可塑剤以外から選ばれる可塑剤であれば特に限定されないが、好ましくは、前記多価アルコールエステル系可塑剤の他に、フタル酸エステル、クエン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコレート系可塑剤等から選択される。少なくとも1種が多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
本発明に係る多価アルコールエステル系可塑剤は、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に用いられる多価アルコールは、下記の一般式(1)で表される。
一般式(1)
1−(OH)n
上記一環式(1)において、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明に係る多価アルコールエステル系可塑剤に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると、透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸としては、例えば、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができ、特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は、特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましいため、最適範囲が存在する。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2005054100
Figure 2005054100
Figure 2005054100
Figure 2005054100
グリコレート系可塑剤としては、特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、例えば、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤としては、例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられるが、これらのリン酸エステル系可塑剤は、本発明を構成するセルロースエステルフィルム中には実質的に含有しないものである。
セルロースエステルフィルム中の可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。また、2種の可塑剤の含有量は各々少なくとも1質量%以上であり、好ましくは各々2質量%以上含有することである。
多価アルコールエステル系可塑剤は、1〜12質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。1質量%以上であれば、優れた平面性を維持でき、12質量%以下であれば、ブリードアウトの発生を抑制することができる。多価アルコールエステル系可塑剤とその他の可塑剤との比率は、1:4〜4:1の範囲であることが好ましく、1:3〜3:1であることが更に好ましい。可塑剤の添加量が多すぎても、また少なすぎてもフィルムが変形しやすくなるため好ましくない。
本発明のセルロースエステルフィルムは、前述のように、セルロースエステルの重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布Mw/Mnが1.8〜3.0であり、かつ溶液流延製膜法によりウェブを作製した後、ウェブの幅手方向(TD方向)に延伸するときのウェブ中に含有される残留溶剤量よりも、ウェブの搬送方向(MD方向)に延伸するときの残留溶剤量の方が高い状態で延伸することにより製造したことを特徴としている。
ここで使用するセルロースエステルの分子量分布Mw/Mnを、1.8〜3.0の範囲に限定した理由は、セルロースエステルの分子量分布Mw/Mnが1.8未満であると、延伸によりウェブ表面あるいは内部で、セルロースエステルの結晶化が部分的に発生するため、加工性や寸法安定性において品質にバラツキが生じるので、好ましくなく、これに対し、セルロースエステルの分子量分布Mw/Mnが3.0を超えると、延伸によりウェブ表面に細かな凹凸が発生しやすいので、好ましくないからである。
本発明に用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で90,000〜180,000のものが用いられ、120,000〜180,000のものが更に好ましく、150,000〜180,000が特に好ましい。数平均分子量(Mn)が90,000未満であると、フィルム製膜時にシワが入りやすくなるので好ましくなく、数平均分子量(Mn)が180,000を超えるとドープ粘度が非常に高くなるので生産上好ましくない。
セルロースエステルの平均分子量および分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することができる。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することができる。
測定条件の一例を、以下に示す。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
本発明に係るセルロースエステルは、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独あるいは混合して用いることができる。特に、綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)、木材パルプから合成されたセルロースエステルを単独あるいは混合して用いることが好ましい。
また、これらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、セルロース原料を、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて常法により反応させて得ることができる。
アセチルセルロースの場合、酢化率を上げようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。但し、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解などが生じ、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度を上げ、分解をある程度抑える為には、反応時間はある範囲に設定することが必要である。ただし、反応時間だけで規定することは、反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でなく、その他の諸条件を適宜調整することが好ましい。ポリマーは分解が進むにつれて、分子量分布が広くなっていくため、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは、通常用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比で規定できる。すなわち、セルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長すぎて分解が進みすぎることがなく、かつ酢化に対し充分な酢化反応時間を付与させるための反応度合いのひとつの指標として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値を用いることができる。
また、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢化の成分を濾過で取り除くことも好ましい。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、例えば、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより、不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、地下水や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当であるが、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物、すなわち錯体を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。よって、カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多すぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、完全に乾燥したセルロースエステルを、マイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行うことによって求めることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法においては、溶液流延製膜法によりウェブを製膜した後、残留溶剤量が40%以上であるときに該ウェブをMD方向に延伸を開始し、かつ残留溶剤量が40%未満であるとき、TD方向に延伸することが特徴である。残留溶剤量が40%以上であるときに、該ウェブをMD方向に延伸し、かつ残留溶剤量が40%未満であるとき、TD方向に延伸するのは、剥離後のウェブを高残留溶剤状態でMD方向とTD方向の両方に延伸してしまうと、MD方向に延伸してTACの配向性を高めても、TD方向の延伸によってその配向性が乱れてしまい、弾性率向上の効果が低くなってしまうためである。本発明のセルロースエステルフィルムは、トリアセチルセルロース(以下、TACともいう)の配向性を乱すことなく、弾性率の向上を維持できるものである。残留溶剤量が60〜120%であるときに該ウェブをMD方向に延伸を開始することが更に好ましく、90〜110%が最も好ましい。残留溶剤量が1〜30%未満であるとき、TD方向に延伸することが更に好ましく、5〜20%が最も好ましい。
本発明に係る残留溶剤量は、下記の式で表すことができる。
残留溶剤量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させたときの質量である。
本発明のセルロースエステルフィルムの延伸倍率は、MD方向とTD方向とも1.05〜1.3倍が好ましく、1.05〜1.15倍が更に好ましい。MD方向とTD方向延伸により面積が1.12倍〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15倍〜1.32倍となっていることが更に好ましい。これは、MD方向の延伸倍率×TD方向の延伸倍率で求めることができる。MD方向の延伸倍率が1.05倍未満では、弾性率向上効果が少なく好ましくない。TD方向の延伸倍率が1.05倍未満では、Ro(面内方向のリターデーション)低減効果が少なく好ましくない。また、延伸倍率が1.3倍を超えてもヘイズも増加するため好ましくない。
MD方向に延伸するために、剥離張力を130N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは150〜170N/mである。剥離後のウェブも高残留溶剤状態であるため、剥離張力と同様の張力を維持することで、MD方向への延伸を行うことができる。ウェブが乾燥し、残留溶剤量が減少するに従って、MD方向への延伸率は低下する。
本発明では、セルロースエステルフィルムをMD方向に延伸する延伸ゾーンのロールスパンが1.0m以下であることが好ましい。本発明において、分子量分布を有するセルロースエステルフィルムを、高残留溶剤量の状態でMD方向に延伸する場合、MD方向へのツレが発生しやすく、ロールスパンが1.0m以下であると、ツレを防止することができる。また、MD方向へ延伸しているときのウェブ温度は10〜40℃が好ましく、この範囲にすることで、フィルムの平面性が良くなるからである。
本発明において、MD方向の延伸倍率は、ベルト支持体の回転速度とテンター運転速度から算出することができる。
TD方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号に示されているような乾燥全工程或いは一部の工程を巾方向にクリップまたはピンを用いて、ウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でも、クリップを用いるクリップテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
テンターを行う場合の乾燥温度は30〜150℃が好ましく、80〜150℃が更に好ましく、100〜140℃が最も好ましい。乾燥温度は、低い方が紫外線吸収剤、可塑剤などの蒸散が少なく、工程汚染耐性に優れ、乾燥温度の高い方がフィルムの平面性、弾性率に優れる。
本発明のセルロースエステルフィルムにおいては、前述した可塑剤と共に、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤は、一般に、400nm以下の紫外線を吸収することで、フィルムの耐久性を向上させることを目的としており、特に、波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明で用いる紫外線吸収剤としては、20℃で液体である紫外線吸収剤が好ましい。20℃で液体の紫外線吸収剤を使用することにより、ウェブを延伸したときにRt(膜厚方向のリターデーション)の変化が少なく好ましい。
本発明で用いることのできる紫外線吸収剤は、特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤であり、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例として、例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらは何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品であり好ましく使用できる。これらの中で、チヌビン109、チヌビン171は、20℃で液体の紫外線吸収剤であり、更に好ましく使用することができる。
紫外線吸収剤のドープへの添加方法も、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に、紫外線吸収剤を添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、セルロースエステルフィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜4.0質量%が好ましく、0.6g〜2.0質量%が更に好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法においては、ドープが、樹脂及び有機溶媒を含む微粒子分散液を含有することが好ましい。
本発明に使用されるとしては微粒子の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等の無機微粒子を挙げることができる。
微粒子としては、ケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に、二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素微粒子は、一次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。一次粒子の平均粒子径が5〜16nmがより好ましく、5〜12nmが更に好ましい。一次粒子の平均粒子径が小さい方がヘイズが低く好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上が更に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を調製することが可能になり、ヘイズの上昇や、凝集物の発生を低減するため好ましい。
微粒子の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.2gが最も好ましい。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマー微粒子の例としては、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これら微粒子の中で、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、延伸した場合でもセルロースエステルフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
二酸化珪素微粒子を溶剤と混合して分散するときの二酸化珪素の濃度としては、5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は、高い方が添加量に対する液濁度が低くなる傾向にあり、ヘイズ、凝集物の発生を抑制できる点で好ましい。
使用される有機溶媒は、低級アルコール類として、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては、特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤と同種のものを用いることが好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法においては、上記微粒子分散液が、微粒子及び有機溶媒と共に樹脂を含有し、該樹脂が下記式(I)及び式(II)で規定する条件を同時に満たすセルロースエステルであることが好ましい。
式(I)
2.6≦X+Y≦2.9
式(II)
0≦X≦2.5
式(I)及び式(II)において、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基の置換度を表し、特に、1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は、通常水酸基として存在している。これらは従来公知の方法に従って合成することができる。
これらアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
微粒子添加液に含有されるセルロースエステルは、例えば、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることもできる。
微粒子分散液とセルロースエステルドープをインラインで混合する場合、微粒子を単に有機溶媒に分散しただけの粘度の低い分散液を使用すると、セルロースエステルドープ中で、ドープ母液との粘度の違いから相溶性が著しく低下し、その結果、混合がうまくいかない場合が発生する。そこで、微粒子分散液にセルロースエステルドープと同じセルロースエステルを使用することにより、ドープ母液に近い粘度とすることにより均一に混合される。ただし、この様なセルロースエステルを使用する条件とした場合、微粒子同士の凝集が促進されるため、微粒子の分散性、あるいは分散後の安定性(凝集性)が低下する。そのため、本発明のように弾性率を高めようと、ウェブを延伸すると、微粒子の未分散の凝集物がウェブ表面を粗らして、ヘイズが上昇してしまう。
微粒子添加液に含まれるセルロースエステルとして、上記式(I)及び(II)で規定する条件を同時に満たすセルロースエステルを用いることにより、ウェブを延伸してもヘイズの上昇を抑えられ、好ましい。
微粒子分散液中のセルロースエステルの濃度は、2〜5質量%が好ましく、3〜4質量%が更に好ましい。微粒子分散液中の微粒子の濃度は、2〜10質量%が好ましく、5〜7質量%が更に好ましい。微粒子分散液中に紫外線吸収剤を含有させることもできる。その場合の濃度は、5〜15質量%が好ましく、8〜12質量%が更に好ましい。
次いで、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法の詳細について説明する。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法に用いられる好ましい製膜工程の一例は、下記に示す溶解工程、流延工程、溶媒蒸発工程、剥離工程、乾燥工程及び巻き取り工程からなる。
以下、各々の工程について詳細に説明する。
《溶解工程》
本発明において、セルロースエステル溶液のことをセルロースエステルドープまたは単にドープという。溶解工程は、溶解釜にセルロースエステルのフレークと、後述の良溶媒を主とする有機溶媒を添加し、溶解釜中で該フレークを攪拌しながら溶解し、ドープを形成する工程である。
本発明では、ドープ中の固形分濃度は、15質量%以上に調整することが好ましく、特に18〜35質量%のものが好ましく用いられる。
ドープ中の固形分濃度が高すぎるとドープ粘度が高くなりすぎ、流延時にシャークスキンなどの膜面故障が生じ、ウェブ平面性が劣化する場合があるので、35質量%以下であることが望ましい。また、ドープ粘度は10〜50Pa・sの範囲に調整されることが好ましい。
溶解には、常圧で行う方法、好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)の沸点以下で行う方法、上記の良溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、冷却溶解法で行う方法、高圧で行う方法等種々の溶解方法等がある。良溶媒の沸点以上の温度で、かつ沸騰しない圧力をかけて溶解する方法としては、40.4〜120℃の温度で、0.11〜1.50MPaに加圧することで発泡を抑え、かつ、短時間に溶解する方法が挙げられる。
ドープを調製する際に使用される溶媒としては、セルロースエステルを溶解できる溶媒であれば、特に限定はなく、また単独では溶解できない溶媒であっても他の溶媒と混合することにより、溶解できる溶媒であれば使用することができる。一般的には、良溶媒であるメチレンクロライドと、セルロースエステルの貧溶媒からなる混合溶媒を用い、かつ混合溶媒中には貧溶媒を4〜30質量%含有するものが好ましく用いられる。
本発明で用いることのできる良溶媒としては、例えば、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、1,3−ジオキソラン等のジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(良溶媒)として挙げられる。その中でも、酢酸メチルを用いることにより、得られるフィルムのカールが少なくなるため特に好ましい。
セルロースエステルの貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、teRt−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、モノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができ、これらの貧溶媒は単独もしくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法において、セルロースエステルを溶解する際に冷却溶解法を用いることも好ましい。冷却溶解方法としては、例えば、特開平9−95538号、同9−95544号、同9−95557号に記載の方法を使用することができる。また、特開平11−21379号に記載の高圧溶解方法も好ましく使用できる。
溶解後、セルロースエステル溶液(ドープ)を濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送ることが好ましく、また、その際、ドープ中には、上記で説明した本発明に係る可塑剤、酸化防止剤、本発明に係る紫外線吸収剤、染料、本発明に係る微粒子等が添加される。
これらの添加物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
このようにして得られたドープを用い、以下に説明する流延工程を経てセルロースエステルフィルムを得ることができる。
《流延工程》
流延工程とは、上記調製したドープを、加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に移送する無端の金属ベルト或いは回転する金属ドラムの流延用支持体(以降、単に支持体ということもある)上に、加圧ダイからドープを流延する工程である。流延用支持体の表面は、通常鏡面となっている。
その他の流延方法としては、流延されたドープ膜をブレードで膜厚を制御するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで膜厚を調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状の調製のし易さ、あるいは膜厚を均一に制御し易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。
《溶媒蒸発工程》
ウェブ(本発明においては、流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと称し、これに対し、乾燥されたものをフィルムと称す)を、流延用支持体上で加熱して溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法、または支持体の裏面から加熱した液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が、乾燥効率の点で好ましい。また、それらを適宜組み合わせる方法も好ましい。流延後の支持体上のウェブは、40〜100℃の雰囲気下で、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てる方法、あるいは赤外線等の手段により加熱する方法が好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法においては、流延から30〜90秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが望ましい。30秒未満で剥離するとフィルムの面品質が低下するだけでなく、透湿性の点でも好ましくない。一方、90秒を越えて乾燥させると剥離性等の劣化による面品質の低下や、フィルムに強いカールが発生するため好ましくない。
《剥離工程》
支持体上でウェブ中の溶媒を蒸発させてフィルムとした後、剥離位置で支持体から剥離する工程である。剥離されたフィルムは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブ中の残留溶媒量(下記式)があまり多すぎると、剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
支持体上の剥離位置における温度は、好ましくは10〜40℃であり、更に好ましくは11〜30℃である。
上記のように剥離時の残留溶媒量を調整するには、流延後の流延用支持体の表面温度を制御し、ウェブからの有機溶媒の蒸発を効率的に行えるように、流延用支持体上の剥離位置における温度を上記の温度範囲に設定することが好ましい。支持体温度を制御するには、伝熱効率のよい伝熱方法を使用するのがよく、例えば、液体による裏面伝熱方法が好ましい。これに対し、輻射熱や熱風等による伝熱方法は、支持体温度のコントロールが難しく、好ましい方法とはいえないが、ベルト(支持体)マシンにおいて、移送するベルトが下側に来た所の温度制御には、緩やかな風でベルト温度を調節することができる。
支持体の温度は、加熱手段を分割することによって、部分的に支持体温度を変えることができ、流延用支持体の流延位置、乾燥部、剥離位置等異なる温度とすることができる。
製膜速度を高める方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離するため、製膜速度を上げることができる)として、残留溶媒が多くとも剥離できるゲル流延法(ゲルキャスティング)を挙げることができる。
それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。
支持体上でゲル化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることもできる。
以上のようにして作製したフィルムの面内リターデーションRoは20nm未満であることが好ましく、より好ましくは10nm未満、更に好ましくは5nm未満、最も好ましくは0〜1nmである。
本発明において、面内リターデーションRoは、自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。また、膜厚方向のリターデーション値Rtは、0〜300nmであることが好ましく、更に好ましくは0〜150nm、特に好ましくは0〜70nmであり、用途に応じて好ましく得られ、特に偏光板保護フィルムとして使用する場合には、10〜60nmであることが好ましく、20〜50nmであることが更に好ましく、30〜40nmであることが特に好ましい。
Ro=(nx−ny)×d
Rt=((nx−ny)/2−nz)×d
本発明のセルロースエステルフィルムでは、遅相軸方向と製膜方向とのなす角度θ(ラジアン)と面内方向のレターデーションRoが下記の関係にあることが、特に偏光板用保護フィルム等の光学フィルムとして好ましく用いられる。
P≦1−sin2(2θ)sin2(πRo/λ)
P=0.9999
ここで、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの膜厚(nm)である。θはフィルム面内の遅相軸方向と製膜方向(フィルムの直尺方向)とのなす角度(ラジアン)、λは上記nx、ny、nz、θを求める三次元屈折率測定の際の光の波長590nm、πは円周率である。
流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを作製する際、上記金属支持体より剥離した直後のウェブを、乾燥時、残留溶剤量の多いところで搬送方向に延伸し、さらにウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で更に幅方向に延伸を行うことが特に好ましい。前記のように、縦方向、横方向ともに好ましい延伸倍率は1.05〜1.3倍であり、1.05〜1.15倍が更に好ましい。縦方向及び横方向延伸により面積が1.12倍〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15倍〜1.32倍となっていることが好ましい。
剥離直後に縦方向に延伸するために、剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
このとき、前記のように支持体から剥離されたフィルムを、フィルム中の残留溶剤量が40質量%以上であるときに、少なくともMD方向(フィルムの搬送方向と同一方向)に延伸し、かつ残留溶剤量が40質量%未満であるときに、少なくともTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に延伸するようにする。
《乾燥工程》
ウェブを乾燥させる手段としては、ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、またはクリップまたはピンでウェブの両端を保持して搬送するテンター装置を用いて巾保持しながら、(延伸しつつ)ウェブを乾燥する工程である。
乾燥の手段は、ウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は、出来上がりのフィルムの平面性を損ね易いため、避けることが好ましい。従って、高温による乾燥は、ウェッブの残留溶媒が8質量%以下の領域から行うのがよい。全体を通し、乾燥温度は概ね40〜250℃の範囲で行われる。特に、40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
一般的に、ウェブ乾燥工程では、ロール懸垂方式や、上記のようなピンテンター方式でウェブを搬送しながら乾燥する方式が採られる。ウェブを乾燥させる手段は、特に制限なく、一般に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風を用いた乾燥が好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。
ウェブの乾燥工程においては、残留溶媒量を0.5質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、更に好ましくは0〜0.01質量%以下とすることである。
溶液流延製膜法を通しての流延直後から乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶媒の爆発限界の危険性は、常に考慮されなければならないことは勿論のことである。
《巻き取り工程》
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからセルロースエステルフィルムとして巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
巻き取り方法は、一般に使用されているものであれば特に制限はなく、例えば、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを必要に応じて使いわければよい。
フィルム膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用支持体の速度等を適宜コントロールするのがよい。
また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を、上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりフィルムとして、通常5〜500μmの範囲にあり、更に10〜250μmの範囲が好ましく、特に液晶画像表示装置用フィルムとしては10〜120μmの範囲が用いられる。本発明のセルロースエステルフィルムは、特に10〜60μmの膜厚の薄いフィルムでありながら、透湿性とともに寸法安定にも優れる。
本発明における透湿度とは、JIS Z 0208で規定された方法に従って測定された値と定義する。透湿度は、20〜250g/m2・24時間であることが好ましいが、特に20〜200g/m2・24時間であることが好ましい。透湿性が、250g/m2・24時間を超える場合では、偏光板の耐久性が著しく低下し、逆に20g/m2・24時間未満では、偏光板製造時に用いる接着剤に使われている水等の溶媒が乾燥しにくくなり、乾燥時間が長くなるため好ましくない。より好ましくは25〜200g/m2・24時間である。
また、本発明のセルロースエステルフィルムでは、80℃、90%RHにおける質量変化を少なくすることで、寸法安定性を更に改善することができる。
本発明のセルロースエステルフィルムでは、80℃、90%RHで48時間加熱処理した前後での質量変化率が±2%以内とすることがより好ましく、これによって、透湿度が改善された薄膜フィルムでありながら、寸法安定性にも優れたセルロースエステルフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、80℃、90%RH雰囲気下で48時間加熱処理した際の寸法変化率は、MD方向(フィルムの製膜方向)、TD方向(フィルムの幅手方向)共に±0.5%以内であることが好ましく、±0.3%以内であることがより好ましく、±0.1%以内であることが更に好ましく、±0.05%以内であることが特に好ましい。
本発明でいう寸法変化率とは、温度や湿度等の環境条件が過酷な状況でのフィルム縦方向及び横方向の寸法変化を表す特性値である。具体的には、加熱環境下、加湿環境下、あるいは加熱加湿環境下にフィルムを置いて強制劣化した後の、縦、横の寸法変化を測定する。例えば、測定しようとするフィルム試料について、幅手方向150mm×長手方向120mmサイズに断裁し、該フィルム表面に幅手方向及び長手方向それぞれに100mm間隔で2ケ所、カミソリ等の鋭利な刃物で十文字型の印を付ける。該フィルムを23℃、55%RHの環境下で24時間以上調湿し、工場顕微鏡で処理前の幅手方向及び長手方向のそれぞれの印間距離L1を測定する。次に、該試料を電気恒温槽中で、高温高湿処理(例えば、条件;80℃、90%RHの環境下で48時間放置をする)する。再び、試料を23℃、55%RHの環境下で24時間調湿し、工場顕微鏡で強制劣化処理後の幅手方向及び長手方向のそれぞれの印間距離L2を測定する。この処理前後の変化率を次式によって求める。
寸法変化率(%)={(L2−L1)/L1}×100
式中、L1は処理前の印間距離、L2は処理後の印間距離を表す。
本発明において、105℃で5時間処理したときの寸法変化率としては、MD方向、TD方向共に±0.5%以内であることが好ましく、±0.3%以内であることがより好ましく、±0.1%以内であることが更に好ましく、±0.05%以内であることが特に好ましい。
フィルムの含水率としては0.1〜5.0質量%が好ましく、0.3〜4.0質量%がより好ましく、0.5〜2.0質量%であることが更に好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、透過率が90%以上であることが望ましく、より望ましくは92%以上であり、更に望ましくは93%以上である。
また、ヘイズは1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0%であることが特に好ましいが、本発明のセルロースエステルフィルムを偏光板用保護フィルムとして使用する場合には、特に高い透明性が要求されるため、ヘイズメーターを用いて3枚重ねで測定した時、0〜1.0%であることが好ましく、0〜0.7%であることがより好ましく、0〜0.5%であることがより好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムにおいては、カール値は絶対値が小さい方が好ましく、変形方向は、+方向でも、−方向でもよい。カール値の絶対値は30以下であることが好ましく、更に好ましくは20以下であり、10以下であることが特に好ましい。なお、カール値は、曲率半径をメートルで表し、その逆数(1/m)で表される。
以下、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法である溶液流延製膜法による製造方法の一例について、図を用いて更に説明する。
図1は、本発明のセルロースエステルフィルムの溶液流延製膜法の好ましい一例を示す模式図である。図1(a)は流延後、ロール搬送・乾燥工程で乾燥する場合の模式図である。図1(b)は流延後、ロール搬送・乾燥工程で乾燥し、その後テンター搬送・乾燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。図1(c)は流延後、テンター搬送・乾燥工程で乾燥し、その後ロール搬送・乾燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。図1(d)は流延後、ロール搬送・乾燥工程で乾燥し、その後テンター搬送・乾燥工程で乾燥し、その後ロール搬送・乾燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。
なお、本発明において、テンター搬送・乾燥工程及びロール搬送・乾燥工程を含む工程とは、支持体から剥離されたフィルムを乾燥して巻き取る迄の工程のいずれかの位置で、フィルムの乾燥伸縮率を調整するテンター搬送・乾燥工程及びロール搬送・乾燥工程を有する工程をいう。テンター搬送・乾燥工程とは、テンター搬送装置で搬送しながら同時に乾燥を行い、乾燥伸縮率を調整する工程を言い、ロール搬送・乾燥工程とは、ロール搬送装置で搬送しながら同時に乾燥を行い、乾燥伸縮率を調整する工程をいう。
図1において、1はエンドレスで走行する支持体を示す。支持体としては鏡面帯状金属が使用されている。2はセルロースエステル樹脂を溶媒に溶解したドープを、支持体1に流延するダイスを示す。3は支持体1に流延されたドープが固化したフィルムを剥離する剥離点を示し、4は剥離されたフィルムを示す。5はテンター搬送・乾燥工程を示し、51は排気口を示し、52は乾燥風取り入れ口を示す。なお、排気口51と乾燥風取り入れ口52は逆であっても良い。6は張力カット手段を示す。張力カット手段としてはニップロール、サクションロール等が挙げられる。なお、張力カット手段は、各工程間に設けてもかまわない。
8はロール搬送・乾燥工程を示し、81は乾燥箱を示し、82は排気口を示し、83は乾燥風取り入れ口を示す。なお、排気口82と乾燥風取り入れ口83は逆であっても良い。84は上部搬送用ロールを示し、85は下部搬送用ロールを示す。該搬送用ロール84、85は上下で一対を成し、複数対から構成されている。7は巻き取られたロール状のフィルムを示す。
図1(d)で示される工程において、テンター搬送・乾燥工程5の前のロール搬送・乾燥工程を第1ロール搬送・乾燥工程と呼び、テンター搬送・乾燥工程5の後のロール搬送・乾燥工程を第2ロール搬送・乾燥工程と呼ぶ。なお、図1(a)〜(d)では示されていない冷却工程を、巻き取る前に必要に応じて設けても良い。
このようにして作製された本発明に係るセルロースエステルフィルム原反は、例えば、フィルム幅が1450mmで、100m〜5000m程度の長尺フィルムとして巻芯に巻き取り保存される。そのためこれらの長尺フィルムには、長尺フィルムの幅方向の両端に凹凸を付与(エンボス加工)して端部を嵩高くするいわゆるナーリング加工が施されていてもよい。
《ナーリング加工》
ナーリング加工は長尺状フィルムを巻き取り前に、巻き取られたフィルム同士の裏面と表面が完全に面同士密着するのを防止するために、フィルム加工幅の端部から0〜50mmの部分に(エンボス加工により)微小の連続した凹凸からなる一定の幅(5〜40mm、より好ましくは7〜15mm)に文様をつけるもので、これにより巻き取ったフィルム同士が完全に接着して、或いは、部分的に接着してフィルムの表面の状態に影響を与え、故障を引き起こすのを防ぐ役割を果たす。
エンボスの形態は問わないが、一ヶ所に加工するエンボスの条数は、一条でも二条でもそれ以上であってもかまわない。また、エンボス高さは、
エンボス高さ(a:μm)のフィルム膜厚(d:μm)に対する比率X(%)=(a/d)×100
のように定義され、X=1〜25%の範囲であることが好ましく、5%〜20%が更に好ましく、10%〜15%が特に好ましい。
具体的には、エンボス加工の凹凸の高さは1〜40μm、更には2〜35μm、特に7〜30μmであることが好ましい。
エンボス加工は高すぎると巻き乱れや、ロール端部の盛り上がりなど、フィルム端部にひずみを与えてしまうため好ましくないが、樹脂フィルム厚みの1〜25%の範囲で高さを調節することが好ましい。
エンボス加工の各条の突起として観察される部分のエンボス加工部全体に対する面積の割合が、15〜50%程度が好ましく、これらの各条に含まれる突起が不連続なものである場合にはその数は1cm2あたり10〜30個程度であるのが好ましい。
エンボス加工は、前記フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい。エンボス加工は、通常、金属やゴムなどのバックロール上でフィルムに刻印の刻まれたエンボスリングを押し当てることで、加工できる。加工は常温でも可能であるが、Tg+20℃以上、融点(Tm)+30℃以下で加工するのが好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、両面の適度な表面粗さ、良好な透湿性、寸法安定性等を有するが、活性線硬化樹脂を塗設した後、活性線を照射して、該活性線硬化樹脂を硬化させることで、ハードコート層を形成することができ、ハードコートフィルムとすることができる。
〈活性線硬化樹脂層〉
本発明のハードコートフィルムの活性線硬化樹脂層の製造方法について述べる。
本発明のハードコートフィルムにおいては、ハードコート層として活性線硬化樹脂層が好ましく用いられる。
活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させてハードコート層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることが出来る。
例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭59−151112号に記載のものを用いることが出来る。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることが出来、特開平1−105738号に記載のものを用いることが出来る。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
これら紫外線硬化性樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光反応開始剤又光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上もつモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用出来る。
また、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
これらの活性線硬化樹脂層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することが出来る。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は好ましくは、5〜100mJ/cm2であり、特に好ましくは20〜80mJ/cm2である。
従来のハードコートフィルムではこのような低い照射量では4H以上の鉛筆硬度でかつ平面性に優れるハードコートフィルムは得られなかった。硬度がそれほど要求されないハードコートフィルムの場合は、照射量を更に少なくできるため、紫外線照射部の能力によって制限されていた塗布速度をはるかに上回る速度でハードコートフィルムを製造することができ、生産性が著しく改善される。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、若しくは2軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性が優れたフィルムを得ることが出来る。
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用出来る。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
又、紫外線硬化樹脂層組成物塗布液には、特にシリコン化合物を添加することが好ましい。例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは、2000〜50000が適当であり、数平均分子量が1000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
シリコン化合物の市販品としては、DKQ8−779(ダウコーニング社製商品名)、SF3771、SF8410、SF8411、SF8419、SF8421、SF8428、SH200、SH510、SH1107、SH3749、SH3771、BX16−034、SH3746、SH3749、SH8400、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、BY−16−837、BY−16−839、BY−16−869、BY−16−870、BY−16−004、BY−16−891、BY−16−872、BY−16−874、BY22−008M、BY22−012M、FS−1265(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製商品名)、KF−101、KF−100T、KF351、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、シリコーンX−22−945、X22−160AS(以上、信越化学工業社製商品名)、XF3940、XF3949(以上、東芝シリコーン社製商品名)、ディスパロンLS−009(楠本化成社製)、グラノール410(共栄社油脂化学工業(株)製)、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(GE東芝シリコーン製)、BYK−306、BYK−330、BYK−307、BYK−341、BYK−344、BYK−361(ビックケミ−ジャパン社製)日本ユニカー(株)製のLシリーズ(例えばL7001、L−7006、L−7604、L−9000)、Yシリーズ、FZシリーズ(FZ−2203、FZ−2206、FZ−2207)等が挙げられ、好ましく用いられる。
これらの成分は基材や下層への塗布性を高める。積層体最表面層に添加した場合には、塗膜の撥水、撥油性、防汚性を高めるばかりでなく、表面の耐擦り傷性にも効果を発揮する。これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、前述のものを用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚として0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。また、ドライ膜厚としては0.1〜10μm、好ましくは1〜10μmである。
より好ましくは、セルロースエステルフィルムの膜厚が10〜70μmであり、層の膜厚(H)とセルロースエステルフィルムの膜厚(d)の比率(d/H)が4〜10であるとき、平面性と同時に硬度、耐傷性にも優れる。これはセルロースエステルの膜厚に比べハードコート層が薄い場合、硬度、耐傷性に劣り、セルロースエステルの膜厚に比べ、ハードコート層が厚い場合、平面性が劣化することによる。
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、前記の5〜100mJ/cm2という活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜5分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。
また、これら活性線照射部の照度は50〜150mW/m2であることが好ましい。
〈帯電防止層〉
また、本発明に係わるハードコートフィルムには、前記ハードコート層の他、帯電防止層を有することが好ましい。帯電防止層の設けられる位置としては、ハードコート層が塗設された面と反対側の、例えば、バックコート層側でもよいが、通常ハードコート層の下層として設けられるのが好ましい。
例えば、本発明に係わる光学フィルムには、下記の例等があげられるが、特にこれらに限定されるものではない。
クリアハード層(上層)/帯電防止層(下層)/透明樹脂フィルム/バックコート層
クリアハード層(上層)/下引き層(下層)/透明樹脂フィルム/バックコート層
クリアハード層/透明樹脂フィルム/帯電防止層(下層)/易接着層(上層)
上記において、透明樹脂フィルムとしては本発明においては、セルロースエステルフィルムである。本発明について、セルロースエステルフィルム上に帯電防止層とその上にクリアハードコート層を設ける場合で説明する。
帯電防止加工とは、透明樹脂フィルムの取扱の際に、この樹脂フィルムが帯電するのを防ぐ機能を付与するものであり、具体的には、イオン導電性物質や導電性微粒子を含有する層を設けることによって行う。ここでイオン導電性物質とは電気伝導性を示し、電気を運ぶ担体であるイオンを含有する物質のことであるが、例としてはイオン性高分子化合物を挙げることができる。
イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、同49−23827号、同47−28937号にみられるようなアニオン性高分子化合物、特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、同57−18175号、同57−18176号、同57−56059号などにみられるような、主鎖中に解離基をもつアイオネン型ポリマー、特公昭53−13223号、同57−15376号、特公昭53−45231号、同55−145783号、同55−65950号、同55−67746号、同57−11342号、同57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、同62−9346号にみられるような、側鎖中にカチオン性解離基をもつカチオン性ペンダント型ポリマー等を挙げることができる。また、導電性微粒子の例としては導電性を有する金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、或いはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加、又SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01mol%〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1mol%〜15mol%の範囲が特に好ましい。
また、これらの導電性を有する金属酸化物粉体の体積抵抗率は107Ωcm以下特に105Ωcm以下であって、1次粒子径が100Å以上0.2μm以下で、高次構造の長径が300Å以上6μm以下である特定の構造を有する粉体を導電層に体積分率で0.01%以上20%以下含んでいることが好ましい。
特に好ましくは、特開平9−203810号に記載されているアイオネン導電性ポリマーあるいは分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオン導電性ポリマーなどを含有することが望ましい。
架橋型カチオン性導電性ポリマーの特徴は、得られる分散性粒状ポリマーにあり、粒子内のカチオン成分を高濃度、高密度に持たせることができるため、優れた導電性を有しているばかりでなく、低相対湿度下においても導電性の劣化は見られず、粒子同志も分散状態ではよく分散されているにもかかわらず、塗布後造膜過程において粒子同志の接着性もよいため膜強度も強く、また他の物質例えば支持体にも優れた接着性を有し、耐薬品性に優れている。
帯電防止層に用いられる架橋型のカチオン性導電性ポリマーである分散性粒状ポリマーは一般に約0.01μm〜0.5μmの粒子サイズ範囲にあり、好ましくは0.05μm〜0.08μmの範囲の粒子サイズが用いられる。ここで用いている分散性粒状性ポリマーの語は、視覚的観察によって透明またはわずかに濁った溶液に見えるが、電子顕微鏡の下では粒状分散物として見えるポリマーである。下層塗布組成物に上層の膜厚に相当する粒子径よりも大きなゴミ(異物)が実質的に含まれない塗布組成物を用いることによって、上層の異物故障を防止することができる。
該微粒子とバインダーの比率は微粒子1質量部に対して、バインダーが0.5〜4質量部が密着性の点で好ましく、特に紫外線照射後の密着性では微粒子1質量部に対して、バインダーが1〜2質量部であることが好ましい。
帯電防止層に用いられる透明樹脂バインダーとしては、重量平均分子量が2万〜40万である樹脂が好ましく用いることができる。特にここで使用する樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましく、ガラス転移点が110℃以下、更に好ましくは90℃以下の樹脂が用いられる。ここで使用される樹脂は、例えばセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、又はセルロースナイトレート等のセルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、又はコポリブチレン−テレ/イソフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、又はポリビニルベンザール等のポリビニルアルコール誘導体、ノルボルネン化合物を含有するノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体等のポリ(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル樹脂もしくはアクリル樹脂とその他樹脂との共重合体を用いることが出来るが特にこれらに限定されるものではない。この中でセルロース誘導体あるいはアクリル樹脂が好ましく、更にアクリル樹脂が最も好ましく用いられる。
更にガラス転移点が110℃以下、更に好ましくは30〜90℃の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
ポリメチルメタクリレートの場合、例えば、分子量数万以下〜数十万以上、ガラス転移点20〜105℃の各種のタイプが市販されており、好ましいものを選択することができる。
例えば、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが市販されており、この中から好ましい樹脂を適宜選択することもできる。
ガラス転移点はJIS−K7121に記載の方法にて求めることができる。
ここで使用する樹脂には必要に応じて活性線硬化樹脂あるいは熱硬化樹脂を添加することもできる。これらの樹脂はバインダーとして適当な溶剤に溶解した状態で塗設される。
帯電防止層の塗布組成物として使用できる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酪酸エチルなどのエステル類、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル(具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等)、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート))、その他の溶媒などがあげられる。特にこれらに限定されるものではないが、これらを適宜混合した溶媒が好ましく用いられる。
塗布組成物を塗布する方法は、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ロールコート、グラビアコート、ワイヤバーコート、リバースコート、カーテンコート、押し出しコートあるいは米国特許2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート方法等により通常0.1〜1μmの乾燥膜厚となるように塗布することが出来る。更に好ましくは0.1〜0.5μmの乾燥膜厚であり、特に好ましくは0.1〜0.3の乾燥膜厚である。
〈バックコート層〉
本発明のハードコートフィルムのハードコート層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、塗布などによって、ハードコート層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。すなわち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質をもたせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能をもたせるために微粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられるハードコートフィルムは、ハードコート層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層によるアンチカール機能の付与は、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いる透明樹脂フィルムを溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒の混合物の他さらに溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。このような混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解又は膨潤させる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノールなどがある。
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、押し出しコーター等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μm塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであると良い。ここで用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体あるいは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸および/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することもできる。
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
バックコート層を塗設する順番は透明樹脂フィルムの反対側の層(例えば帯電防止層あるいはクリアハードコート層等)を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。
本発明に係わるハードコートフィルム上には、更に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層等の金属酸化物層を含有する層が例えば、以下の構成で積層され、反射防止フィルムが形成される。
〈反射防止フィルムの層構成〉
反射防止フィルムは、光学干渉層を積層した低反射積層体であり、光学干渉層を積層した低反射積層体とは、支持体の少なくとも一方の面に、支持体側から高屈折率層、低屈折率層を順に積層した光学干渉層の積層体(後述のように他の層を追加することもある)であり、波長λの光に対して高屈折率層及び低屈折率層の光学膜厚がλ/4以上になるように設定される。
光学膜厚とは、層の屈折率nと膜厚dとの積により定義される量である。屈折率の高低はそこに含まれる金属または化合物によってほぼ決まり、例えばTiは高く、Siは低く、Fを含有する化合物は更に低く、このような組み合わせによって屈折率が設定される。屈折率と膜厚は、後述する分光反射率の測定データを用いて算出し得る。
反射防止フィルムの層構成としては、例えば、透明な支持体(基材、基材フィルム、基板等ともいう)上に、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されている。
本発明のセルロースエステルフィルム(ハードコートフィルム)のハードコート層面に、反射防止層としては、支持体(セルロースエステル)の屈折率よりも高い屈折率を示す高屈折率層及び、前記支持体の屈折率よりも低い屈折率を示す低屈折率層をこの順に有する。
反射防止層の構成例としては、ハードコート層上側から、高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材、ハードコート層、低屈折率層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの、また、ハードコート層を高屈折率層とし、低屈折率層を積層したもの等があり、さらに多くの反射防止層を積層するものも提案されている。
中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する支持体上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい。
〈反射防止層〉
本発明では反射防止層を設ける方法は特に限定されず、塗布、スパッタ、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、またはこれらを組み合わせて形成することができる。
反射防止層を塗布により形成する方法としては、溶剤に溶解したバインダ樹脂中に金属酸化物の粉末を分散し、塗布乾燥する方法、架橋構造を有するポリマーをバインダー樹脂として用いる方法、エチレン性不飽和モノマーと光重合開始剤を含有させ、活性光線を照射することにより層を形成する方法等の方法を挙げることができる。
本発明においては、ハードコート層を付与したハードコートフィルムの上に反射防止層を設けることができる。ハードコートフィルムの最上層に低屈折率の金属酸化物層を形成し、その間に高屈折率層の金属酸化物層を形成したり、更にはハードコートフィルムと高屈折率層との間に更に中屈折率層(金属酸化物の含有量或いは樹脂バインダーとの比率、金属の種類を変更して屈折率を調整した金属酸化物層)を設けることは、反射率の低減のために、好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、基材であるセルロースエステルフィルムの屈折率(約1.5)と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。各層の厚さは、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。金属酸化物層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。金属酸化物層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で3H以上であることが好ましく、4H以上であることが最も好ましい。金属酸化物層を塗布により形成する場合は、無機微粒子とバインダーポリマーとを含むことが好ましい。
中屈折率層或いは高屈折率層などの金属酸化物層に用いる無機微粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることがさらに好ましい。無機微粒子の一次粒子の重量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。層中での無機微粒子の重量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。無機微粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であれば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。無機微粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
無機微粒子は、金属の酸化物から形成された粒子である。金属の酸化物または硫化物の例として、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられる。なかでも、二酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSが挙げられる。
無機微粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄が挙げられる。なかでもアルミナおよびシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が挙げられる。なかでも、シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて処理されていても構わない。
無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、層状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。二種類以上の無機微粒子を金属酸化物層に併用してもよい。
金属酸化物層中の無機微粒子の割合は、5〜90体積%であることが好ましく、より好ましくは10〜65体積%であり、さらに好ましくは20〜55体積%である。
無機微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、金属酸化物層を形成するための塗布液に供される。無機微粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。なかでも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
無機微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが挙げられる。
金属酸化物層は、架橋構造を有するポリマー(以下、「架橋ポリマー」ともいう)をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素鎖を有するポリマー(以下「ポリオレフィン」と総称する)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂等の架橋物が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン、ポリエーテルおよびポリウレタンの架橋物が好ましく、ポリオレフィンおよびポリエーテルの架橋物がさらに好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。また、架橋ポリマーが、アニオン性基を有することは、更に好ましい。アニオン性基は、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して皮膜を強化する機能を有する。上記アニオン性基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、連結基を介してポリマー鎖に結合していてもよいが、連結基を介して側鎖として主鎖に結合していることが好ましい。
本発明の反射防止層に用いられる低屈折率層の屈折率は1.46以下が好ましく、特に1.3〜1.45であることが望ましい、塗布組成物として珪素アルコキシドを用いてゾルゲル法によって低屈折率層を形成することが出来る。或いは、フッ素樹脂を用いて低屈折率層とすることが出来る。特に、熱硬化性または電離放射線硬化型の含フッ素樹脂の硬化物から該硬化物と珪素の酸化物超微粒子から構成されることが好ましい。
該硬化物の動摩擦係数は、0.02〜0.2であることが好ましく、純水接触角は90〜130°であることが好ましい。該硬化性の含フッ素樹脂としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)や、含フッ素共重合体(架橋性基を有するモノマーと含フッ素モノマーを構成単位とする)が挙げられる。含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、フルオロオレフィン類(例えばビニリデンフルオライドパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール、フルオロエチレン等)、(メタ)アクリル酸のフッ素化アルキルエステル誘導体(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、フッ素化ビニルエーテル類等である。架橋性基を有するモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やアミノ基、ヒドロキシル基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。これらは共重合の後から、架橋構造を導入出来ることが特開平10−25388号公報及び特開平10−147739号公報に記載されている。
また、上記含フッ素モノマーを構成単位とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いることが出来る。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばアクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等、オレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)を挙げることが出来る。
低屈折率層の形成に用いる含フッ素樹脂には、耐傷性を改善するために酸化珪素微粒子を添加して用いるのが好ましい。添加量は、屈折率と耐傷性との兼ね合いで調整される。酸化珪素微粒子は、市販の有機溶剤に分散されたシリカゾルをそのまま塗布組成物に添加することが出来、或いは市販の各種シリカ紛体を有機溶剤に分散して使用することも出来る。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層形成用の塗布組成物は、主に低沸点の溶媒を含むことが好ましい。具体的には、沸点が100℃以下の溶媒が全溶媒の50質量%以上であることが好ましい。これによって、防眩層のように凹凸を有する基材表面に塗布した場合でも、速やかに乾燥させることが出来、塗布液の流動による微細な膜厚むらが低減され、反射率の増加が抑制される。また、沸点が100℃以上の溶媒が含まれていると乾燥むらや白濁むらが抑制されるため好ましく、沸点が100℃以上の溶媒が0.1〜50質量%含有していることが好ましい。
低屈折率層用の塗布組成物に用いられる低沸点の溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、メチルセロソルブ等のエーテルアルコール類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等の中から、塗布組成物中に含まれる固形分の溶解性の高いものが好ましく用いられる。沸点が100℃を越える塗布溶媒としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−イソブチルケトン等のケトン類、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類等が用いられる。
反射防止膜の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法により、塗布により形成することが出来る。
また、前記反射防止膜構成する金属酸化物層は、特開2003−201568等に記載されたようにプラズマ放電処理によって形成してもよい。
低屈折率層としては、含フッ素有機化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された含フッ素化合物層、あるいはアルコキシシラン等の有機珪素化合物を用いてプラズマ放電処理により形成された主に酸化ケイ素を有する層が好ましく、高屈折率層としては、有機金属化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された金属酸化物層、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウムを有する層が好ましい。形成の詳細は前記特開2003−201568に記載されている。
本発明のセルロースエステルフィルムは、平面性に優れており、表面の適度な表面粗さを有し、ハードコート層他、光学フィルムを形成する各種の層との密着性がよく、良好な透湿性、寸法安定性等から、反射防止フィルム、防眩フィルム等、各種の光学フィルム用途に用いられるのが好ましく、液晶表示用部材、詳しくは偏光板等に用いられるのが好ましい。特に、透湿度と寸法安定性に対し共に厳しい要求のある偏光板用保護フィルムにおいて、本発明のセルロースエステルフィルムは好ましく用いられる。
本発明のセルロースエステルフィルムを用いた本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。
例えば、セルロースエステルフィルムにアルカリケン化処理を施した後、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬、延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリケン化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に漬ける処理のことをいう。
本発明のセルロースエステルフィルムは、前記活性線硬化樹脂層を塗設してハードコートフィルムとするほか、必要に応じて、防眩層、反射防止層、防汚層、帯電防止層、導電層、光学異方層、液晶層、配向層、粘着層、接着層、下引き層等の各種機能層を付与した光学フィルムとすることができる。これらの機能層は、塗布方式、蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法、大気圧プラズマ処理法等で設けることができる。
例えば、このようにして得られた偏光板は、液晶セルの片面または両面に設けられ、これを用いて、液晶表示装置が得られる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(実施例1)
〈セルロースエステルフィルム1〜19〉
(酸化珪素分散液A)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散後の液濁度は120ppmであった。酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、酸化珪素分散希釈液Aを作製した。

(酸化珪素分散液B)
アエロジル200V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(一次粒子の平均径12nm、見掛け比重100g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散後の液濁度は135ppmであった。酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、酸化珪素分散希釈液Bを作製した。
(インライン添加液Aの作製)
チヌビン109 11質量部
チヌビン171 5質量部
メチレンクロライド 100質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
これに酸化珪素分散希釈液Aを36質量部、撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、セルロースアセテートプロピオネート(置換度2.65、アセチル基1.90、プロピオニル基0.75)6質量部を撹拌しながら加えて、さらに60分間撹拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、添加液を調製した。
(ドープ液Aの調製)
リンター綿から合成されたセルローストリアセテート 100質量部
(Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1)
化合物例16(脂肪族多価アルコールエステル 可塑剤) 5.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5.5質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液Aを調製した。
製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液Aを濾過した。インライン添加液ライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液Aを濾過した。濾過したドープ液Aを100質量部に対し、濾過したインライン添加液Aを3.1質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度22℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162Newton/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルローストリアセテートのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1650mm幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に1.05倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で、乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は20%であった。
その後、110℃、120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1430mm幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻き取り初期張力220N/m、テーパー40%で巻芯に巻き取り、セルローストリアセテートフィルム試料1を得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向(フィルムの搬送方向と同一方向)の延伸倍率は1.07倍であった。セルローストリアセテートフィルム試料1の残留溶剤量は0.004%であり、膜厚は80μm、巻数は4000mであった。
セルロースエステルフィルム2〜19を、表1に記載するドープ液、インライン添加液にかえるほか、MD方向、TD方向の延伸開始残留溶剤量(MD残溶、TD残溶として示した)、延伸倍率を表1記載になるように調節した以外は同様にして作製した。
尚、ドープ液B、C、インライン添加液Bの処方を下記に示す。
ドープ組成をかえた以外はドープ液Aと同様にしてドープ液Bを調製した。
(ドープ液Bの調製)
リンター綿から合成されたセルローストリアセテート 100質量部
(Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1)
トリフェニルフォスフェート 8.5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2.0質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
ドープ組成をかえた以外はドープ液Aと同様にしてドープ液Cを調製した。
(ドープ液Cの調製)
リンター綿から合成されたセルローストリアセテート 100質量部
(Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1)
化合物例16(脂肪族多価アルコールエステル 可塑剤) 5.0質量部
トリフェニルフォスフェート 0.5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5.5質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
(インライン添加液Bの作製)
インライン添加液Aの酸化珪素分散希釈液Aを酸化珪素分散希釈液Bにかえた以外は同様にしてインライン添加Bを作製した。
作製したセルロースエステルフィルム1〜19について下記に示す測定方法に従って評価した。結果を表1に示す。
〔評価〕
《十点平均表面粗さRz》
JIS−B0601−1994に規定される十点平均表面粗さRzに準拠し、松下テクノトレーディング株式会社製 表面形状非接触三次元微小表面形状測定システム NT1100で測定した。
(測定条件)
中間レンズ:0.5倍
対物レンズ:50倍
モード:PSI
フィルター:Cylinder&Tilt
尚、測定はA面(支持体の反対側の面)およびB面(支持体面)についてそれぞれ行い比率(B/A)を表1に示した。
《ヘイズの測定》
各試料を3枚積層して、ASTM−D1003−52に従って、東京電色工業(株)社製のT−2600DAを使用して測定した。
《動摩擦係数》
フィルム表面と裏面間の動摩擦係数は、JIS−K−7125−ISO8295に準じ、フィルムの表裏面が接触するように切り出し、200gのおもりを載せ、サンプル移動速度100mm/分、接触面積80mm×200mmの条件で重りを水平に引っ張り、重りが移動中の平均荷重(F)を測定し、下記式より動摩擦係数(μ)を求めた。
動摩擦係数=F(gf)/おもりの重さ(gf)
《凸状故障》
外径165mm、長さ1550mmの繊維強化樹脂製のFWPコアを巻芯母材として、巻き取ったフィルム原反試料20をポリエチレンシートで2重に包み、図2(a)に示すように、支え板17を有する架台18の上に載置して、40℃、80%RHの条件下で14日間保存した。その後、取り出し、ポリエチレンシートを開け、フィルム試料を2000m繰り出したところでのフィルム原反試料ひと巻き分の表面において観察される凸状故障の数を目視で数えた。
尚、このような架台上に、フィルム面を接地させず、保管することで、フィルム原反の変形を防ぐことが出来る。図2(b)は架台上に載置されたフィルム原反の上面からみた図を示している。
《リターデーション値(Rt)及び遅相軸角度の測定》
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて23℃、55%RHの環境下で、590nmの波長において3次元屈折率測定を行い、屈折率Nx、Ny、Nzを求め、下記一般式(1)に従って厚み方向のレターデーション値Rtを算出した。
一般式(1)
Rt値=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
式中、Nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、Nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、Nzは厚み方向におけるフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
Figure 2005054100
(実施例2)
〈ハードコートフィルム101〜124〉
実施例1で作製したセルロースエステルフィルム試料に下記に示すハードコート層(紫外線硬化樹脂層)用塗布液を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を50mJ/cm2として塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成した。用いたセルロースエステルフィルム試料(1〜19)、塗布面(A面、B面)、硬化後のハードコート層の膜厚(μm)と評価結果を表2に示した。
〈ハードコート層用塗布液〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
光反応開始剤 4質量部
(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
酢酸エチル 75質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
シリコン化合物 0.5質量部
(BYK−307(ビックケミージャパン社製))
得られたハードコートフィルム101〜124について、以下の評価を行った。結果を表2に示した。
《ヘイズの測定》
実施例1と同様に、各試料を3枚積層して、ASTM−D1003−52に従って、東京電色工業(株)社製のT−2600DAを使用して測定した。
《ブロッキング性の測定》
直径50mmのコアに1kgの荷重をかけて、試料(巾35mm、長さ950mm)を6周巻き付ける。次にコアから試料を抜き取る。このとき試料が緩まないように試料の両端を両面テープで(巾30mm、長さ5mm)でそれぞれ張り付けておく。23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後、電子天秤上に試料を載せ、重量をリセットした後、約1分間の時間を掛けて10mm押し込み、そのときの電子天秤にかかる応力を測定する。次に試料を解いて1周巻にして、同じように応力を測定する。
測定の模式図を図3に示す。101は円筒形に巻かれた試料を示す。102は10mm押し込むための圧力であり、103はそのときの応力を測定する電子天秤を示す。
下記の式からブロッキングの値を求める。ブロッキングの値が100gを越えると巻乱れ等の問題が発生する。
式)
ブロッキング(g)=6周巻いた時の応力(g)−1周巻いた時の応力(g)×6
《鉛筆硬度》
JISK5400を準用し、荷重1kgにて測定した。
《剥離試験》
試料に紫外線強度100mW/cm2で100時間照射した後、23℃、55%RHの室内に24時間放置した。その硬化皮膜層の表面に片刃のカミソリの刃を面に対して90°の角度で切り込みを幅30mm、深さは透明なプラスチックフィルムの表面に僅か達する程度に入れ、市販の25mm幅のセロファンテープを切れ込み部分をまたいでテープの一端を残して貼り、曲面の有るプラスチックあるいは金属でその上を擦ってよく接着させ、貼られてないテープのその一端を手で持ってなるべく水平に力強く引張って剥がし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対する硬化皮膜層が剥がされた面積の割合を下記の如く評価した。
A:全く剥離されなかった
B:剥離された面積割合が10%未満であった
C:剥離された面積割合が10〜30%未満であった
D:剥離された面積割合が30%以上であった。
《平面性》
幅90cm、長さ100cmの大きさに各試料を切り出し、50W蛍光灯を5本並べて試料台に45°の角度から照らせるように高さ1.5mの高さに固定し、試料台の上に各フィルム試料を置き、フィルム表面に反射して見える凹凸を目で見て、次のように判定した。この方法によって「つれ」および「しわ」の判定が出来る。
◎:蛍光灯が5本とも真っすぐに見えた
○:蛍光灯が少し曲がって見えるところがある
△:蛍光灯が全体的に少し曲がって見える
×:蛍光灯が大きくうねって見える
《カール値》
フィルム試料をTD方向に35mm、MD方向に2mmのサイズでサンプルを切り出し、23℃、55%RHの条件で1日調湿した後、サンプルのTD方向のカールの曲率半径をメートルで求め、その逆数でカール値を示す。
《干渉ムラ》
フィルム試料のハードコート層が形成された反対の面を、サンドペーパーで擦り、その後、艶消しの黒色塗料を塗布し、ハードコート層形成側から光学フィルムを観察し、干渉ムラを以下のレベルにランクわけした。
◎:干渉ムラが全くみえない
○:よく見ると、かすかに干渉ムラがみえる
△:よく見ると、干渉ムラがみえる
×:明らかに干渉ムラがみえる
Figure 2005054100
本発明に係わるセルロースエステルフィルムを用いたものは、A面へクリアハード加工したものも滑り性が悪化することなく、ハードコート加工の膜付きにも優れ、良好なブロッキング性を有し、またヘイズも少なく、その他の特性も良好であった。
(実施例3)
実施例2のハードコート層を塗布する前に、各セルロースエステルフィルムのハードコート層塗設面に、下記に示す帯電防止層を塗設した以外は同様に、帯電防止層付きハードコートフィルム101〜124を作製した。
(帯電防止層塗布組成物)
ポリメチルメタクリレート 0.2質量部
(重量平均分子量 6万、ガラス転移点 60℃)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 65質量部
メチルエチルケトン 20質量部
乳酸エチル 5質量部
メタノール 10質量部
導電性ポリマー樹脂(1)(平均粒径0.1μm粒子) 0.5質量部
Figure 2005054100
作製したフィルムは、すべてゴミ付着が少なく、良好な帯電防止性能を有していた。
(実施例4)
〈反射防止フィルムの作製〉
前記で作製した帯電防止層付きハードコートフィルム上に反射防止層を形成した。
帯電防止層付きハードコートフィルム101〜124の上に、下記中屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、70℃で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.72、膜厚85nm)を形成した。その上に、下記高屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、70℃で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.9、膜厚68nm)を形成した。更にその上に、下記低屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、70℃で乾燥させ、熱処理により硬化して低屈折率層(屈折率1.42、膜厚100nm)を形成し、可視光の反射率が0.5%以下の反射防止フィルムNo.1〜35を作製した。
〈中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の作製〉
(二酸化チタン分散物の調製)
二酸化チタン(一次粒子質量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30質量部、アニオン性ジアクリレートモノマー(PM21、日本化薬(株)製)4.5質量部、カチオン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)製)0.3質量部及びメチルエチルケトン65.2質量部を、サンドグラインダーにより分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
(中屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン151.9g及びメチルエチルケトン37.0gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.14g及び光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04gを溶解した。更に、上記の二酸化チタン分散物6.1g及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.4gを加え、室温で30分間攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、中屈折率層用塗布液を調製した。この塗布液をセルロースエステルフィルムに塗布乾燥し紫外線硬化後の屈折率を測定したところ、屈折率1.72の中屈折率層が得られた。
(高屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン1152.8g及びメチルエチルケトン37.2gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.06g及び光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを溶解した。更に、上記の二酸化チタン分散物及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)の二酸化チタン分散物の比率を増加させ、高屈折率層の屈折率となるように量を調節して、室温で30分間攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、高屈折率層用塗布液を調製した。この塗布液を、セルロースエステルフィルムに塗布、乾燥し紫外線硬化後の屈折率を測定したところ、屈折率1.9の高屈折率層が得られた。
(低屈折率層用塗布液の調製)
下記の混合物を20分間室温で攪拌し、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層用塗布液を調製した。これを、バーコーターを用いて乾燥膜厚が0.1μm(屈折率n=1.42)になるように塗工し、120℃の熱風式乾燥機中で30分間加熱処理を行い屈折率1.42の低屈折率層を形成した。
〈低屈折率層用塗布液〉
含フッ素系共重合体(ポリジメチルシロキサンユニットを有するフルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体)を含む塗料(固形分3%)(JSR(株)製、JN−7215) 30質量部
コロイダルシリカ分散液(平均一次粒径50nm、固形分15%、イソプロピルアルコール分散液) 1.5質量部
1−メトキシ−2−プロパノール 6質量部
本発明に係わるセルロースエステルフィルム、また、ハードコートフィルムを用いて作製した各々の反射防止フィルムは、反射防止性能において優れていると同時に、平面性が高く、耐久性に優れた反射防止フィルムであった。
本発明のセルロースエステルフィルムの溶液流延製膜法の好ましい一例を示す模式図である。 架台上に載置されたフィルム原反を示す図である。 ブロッキング性測定の模式図である。
符号の説明
1 鏡面帯状金属流延支持体
2 ダイス
3 フィルム剥離点
4 剥離されたフィルム
5 テンター搬送・乾燥工程
6 張力カット手段
7 巻き取られたロール状のフィルム
8 ロール搬送・乾燥工程
51,82 排気口
52,83 乾燥風取入れ口
81 乾燥箱
84 上部搬送用ロール
85 下部搬送用ロール

Claims (9)

  1. 溶液流延製膜法により製造される、微粒子及び2種以上の可塑剤を含有するセルロースエステルフィルムにおいて、該可塑剤の少なくとも1種が多価アルコールエステル系可塑剤から選ばれ、他がリン酸エステル系可塑剤以外の可塑剤から選ばれ、かつ溶液流延製膜法により支持体上に流延製膜されたのち、支持体から剥離されたフィルムを、フィルム中の残留溶剤量が40質量%以上であるときに、少なくともMD方向(フィルムの搬送方向と同一方向)に延伸し、かつ残留溶剤量が40質量%未満であるときに、少なくともTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に延伸することで作製され、且つ、両面の十点平均表面粗さRzが40nm〜100nmであることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
  2. セルロースエステルフィルムのA面とB面の十点平均表面粗さRzが下記式(I)を満たすことを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
    式(I)
    B面の十点平均表面粗さRz/A面の十点平均表面粗さRz=0.8〜2.0
  3. 請求項1または2記載のセルロースエステルフィルム上に活性線硬化樹脂を塗設した後、活性線を照射して、該活性線硬化樹脂を硬化させたことを特徴とするハードコートフィルム。
  4. 請求項1または2記載のセルロースエステルフィルムのA面上に活性線硬化樹脂層を塗設した後、活性線を照射して、該活性線硬化樹脂を硬化させたことを特徴とするハードコートフィルム。
  5. 帯電防止層を有することを特徴とする請求項3または4記載のハードコートフィルム。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項記載のハードコートフィルムの活性線硬化樹脂層上に低屈折率層が塗設されたことを特徴とする反射防止フィルム。
  7. 請求項1または2記載のセルロースエステルフィルムを有することを特徴とする偏光板。
  8. 請求項3〜5のいずれか1項記載のハードコートフィルムを有することを特徴とする偏光板。
  9. 請求項6記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする偏光板。
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