JP2005047338A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バネ等の弾性力を利用した機械的な反力と、反力モータ等で付与される電気的な反力とを、状況に応じて切り替えることができる車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】車両の操作部材に連結したステアリングシャフト10と、操舵部材の操作に応じて操舵反力をステアリングシャフト10に付与する反力モータと、反力モータの異常を検知する異常検知手段57と、ステアリングシャフト10に弾性による反力を付与する反力付与手段30と、ステアリングシャフト10と機械的に連結されていない車輪操舵手段とを備えた車両用操舵装置において、反力付与手段は、弾性による反力を生じる弾性体43と、弾性による反力を生じないよう弾性体43に係着される係着部材45と、異常検知手段57で反力モータの異常が検知された場合、係着部材45を弾性体43から離脱させる係着部材離脱手段とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】車両の操作部材に連結したステアリングシャフト10と、操舵部材の操作に応じて操舵反力をステアリングシャフト10に付与する反力モータと、反力モータの異常を検知する異常検知手段57と、ステアリングシャフト10に弾性による反力を付与する反力付与手段30と、ステアリングシャフト10と機械的に連結されていない車輪操舵手段とを備えた車両用操舵装置において、反力付与手段は、弾性による反力を生じる弾性体43と、弾性による反力を生じないよう弾性体43に係着される係着部材45と、異常検知手段57で反力モータの異常が検知された場合、係着部材45を弾性体43から離脱させる係着部材離脱手段とを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵輪等の操舵部材が車輪の向きを変える車輪操舵機構に機械的に連結されていない車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車室内部のレイアウトの自由度を大きくし、車室内の空間拡大を図るとともに、操舵輪の突き上げを防止することを目的として、ステアバイワイヤ方式のステアリング装置が用いられる。ステアバイワイヤ方式のステアリング装置は、ステアリングホイール等の操舵部材をステアリングギヤ等の車輪操舵機構に機械的に連結することなく、車輪を操舵することができる車両の操舵装置である。
【0003】
ステアバイワイヤ方式のステアリング装置は、操舵部材をステアリングギヤ等の車輪操舵機構に機械的に連結していないことから、セルフアライニングトルクにより操舵部材を直進操舵位置に復帰させることはできない。したがって、操舵部材を直進操舵位置に復帰させるために、弾性部材により適度な反力を付与する。
【0004】
例えば特許文献1では、電磁クラッチにより、モータの故障時であっても確実に操舵部材の回転トルクを車輪操舵機構に伝達することができるステアリング装置が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献2に開示されているステアバイワイヤ方式のステアリング装置のように、反力モータを車室外に配置し、伝動ケーブルで接続している場合、伝動ケーブルに障害が発生すると反力を付与することができない。そこで、通常は機械的な弾性力による反力付与手段を別途設けることで対応している。
【0006】
例えば特許文献3では、ステアリングホイールの操舵回転角度を検出するセンサ及び車の速度を検出するセンサと、実操舵角度を検出するセンサを備え、ステアリングホイールの操舵回転角度と実操舵角度との偏差を最小にし、ステアリングシャフトの中立位置へ戻す適当な反力トルクを生じるステアリング装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
実開昭61−48870号公報
【特許文献2】
特開2002−225733号公報
【特許文献3】
特開2000−53008号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力と、反力モータ等で付与される電気的な反力との両方が同時に加わると、電気的な反力の大きさを制御する反力モータの制御が困難となる。すなわち、操舵部材の回転トルクはトルクセンサにより容易に検出することはできるが、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力トルクを正確に検出することは困難であるので、反力モータ等で付与される電気的な反力が、ある場合には過剰に、ある場合には過小に付与されるおそれがあり、安全に車を運転するという観点から問題があった。
【0009】
また、反力モータ等に障害が発生した場合、安全に車の運転を継続するために何らかのバックアップシステムを構築しておくことも必要である。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力と、反力モータ等で付与される電気的な反力とを、状況に応じて切り替えることができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1発明に係る車両用操舵装置は、車両の操作部材に連結したステアリングシャフトと、前記操作部材の操作に応じて操舵反力をステアリングシャフトに付与する反力モータと、前記反力モータの異常を検知する異常検知手段と、前記ステアリングシャフトに弾性による反力を付与する反力付与手段と、前記ステアリングシャフトと機械的に連結されていない車輪操舵手段とを備えた車両用操舵装置において、前記反力付与手段は、弾性による反力を生じる弾性体と、弾性による反力を生じないよう前記弾性体に係着される係着部材と、前記異常検知手段で前記反力モータの異常が検知された場合、前記係着部材を前記弾性体から離脱させる係着部材離脱手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第1発明に係る車両用操舵装置では、反力モータに異常が生じたことが検知されると、反力付与手段のバネ等の弾性体に係着された係着部材が離脱され、バネ等の弾性を利用した機械的な反力を付与することができることから、車の走行中に反力モータに異常が生じた場合であっても、安全に走行することが可能となる。
【0013】
また、第2発明に係る車両用操舵装置は、第1発明において、前記係着部材離脱手段は、前記係着部材と前記操作部材とを連結し、前記操作部材の操作に応じて前記係着部材を前記弾性体から離脱させるワイヤであることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る車両用操舵装置では、バネ等による機械的な反力を付与する反力付与手段に係着された係着部材が、操作部材とワイヤで連結されていることから、操作部材を回転操作してワイヤを巻き取ることで、容易に係着部材を反力付与手段から離脱させることができ、確実にバネ等の弾性力を利用した機械的な反力を付与することが可能となる。
【0015】
また、第3発明に係る車両用操舵装置は、第2発明において、前記係着部材離脱手段は、少なくとも電磁クラッチと2つのプーリとを含み、該プーリは前記電磁クラッチの接続面の駆動部材と被駆動部材とにそれぞれ配置され、一方のプーリは前記操作部材と、他方のプーリは前記係着部材と、それぞれ前記ワイヤを介して連結され、前記異常検知手段で前記反力モータの異常が検知された場合、前記電磁クラッチを接続する接続手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る車両用操舵装置では、通常時は電磁クラッチが接続されず、反力モータによる電気的な反力のみが付与され、反力モータに異常が生じたことを検知した場合は、電磁クラッチを接続して、操作部材を回転操作してワイヤを巻き取ることで、係着部材を反力付与手段から離脱し、反力付与手段のバネ等による弾性力を利用した機械的な反力のみを付与することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用操舵装置の全体構成を示す模式図である。図1では、ステアリングホイール(操作部材)1をステアリングギヤ3に機械的に連結せず、ステアリングホイール1の操作に応じて操舵用アクチュエータ2を駆動させる。
【0018】
ステアリングギヤ3は、操舵用アクチュエータ2の出力シャフトの回転運動を、ステアリングロッド7の直線運動に変換する車輪操舵手段としての運動変換機構を有する。ステアリングロッド7の動きは、タイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達される。操舵用アクチュエータ2は、例えばブラシレスモータ等の電動モータを用い、操舵用アクチュエータ2の動きを車輪4の操舵角度に変換できさえすればよい。
【0019】
ステアリングホイール1は、車体側で回転可能に支持されるステアリングシャフト10を有する。ステアリングシャフト10の回転角度の検出センサ11による検出信号と、速度センサ13による車速の検出信号が、コンピュータにより構成される制御装置12に送られる。制御装置12は、検出された回転角度と車速に応じて目標転舵角度を演算する。例えば、検出された回転角度に対して目標転舵角度を比例させると共に、比例定数を車速の増大に応じて減少させる。また、車速以外の走行状態、例えば横加速度等を検出するセンサを設け、検出された横加速度等に応じて目標転舵角度を変化させるようにしてもよい。
【0020】
一方、ステアリングロッド7の作動量を検出するポテンショメータ等の実操舵量センサ14が設けられ、検出された信号が制御装置12に送られる。制御装置12は、検出されたステアリングロッド7の作動量に対応する実操舵角度と目標操舵角度との偏差がなくなるように、駆動回路15を介して操舵用アクチュエータ2を駆動する。
【0021】
また、ステアリングホイール1を操舵するのに要する操舵反力を作用させるため、ステアリングシャフト10にトルクを付加する反力アクチュエータ18が設けられる。反力アクチュエータ18は、ステアリングシャフト10と一体となる出力シャフトを有するブラシレスモータ等の電動モータを反力モータとして用いる。
【0022】
制御装置12は、検出された回転角度と検出された車速に応じて目標反力トルクを演算し、演算された目標反力トルクを反力アクチュエータ18が発生するように、駆動回路16を介して反力アクチュエータ18を駆動する。目標反力トルクと回転角度と車速の関係は、例えば、ステアリングホイール1とステアリングギヤ3とが機械的に連結されていた場合に作用する路面からの操舵抵抗トルクと操舵角度と車速との関係に基づいて求める。また、車速以外の走行状態、例えば横加速度等を検出するセンサを設け、その検出値に応じて目標反力トルクを変化させるようにしてもよい。
【0023】
ステアリングシャフト10により伝達される反力トルクを検出するトルクセンサ17が設けられ、検出された反力トルク値が制御装置12に送られる。制御装置12は、検知された反力トルクに操舵用アクチュエータ2の発生操舵力が対応するように、駆動回路15から出力される操舵用アクチュエータ2の駆動電流を制御する。すなわち、運転者が作用させる操作力に対応する反力トルクが大きくなれば操舵用アクチュエータ2の発生操舵力を大きくし、その反力トルクが小さくなれば操舵用アクチュエータ2の発生操舵力を小さくする。このようにすることで、運転者が操作力を作用させていない状態では操舵用アクチュエータ2は駆動されず、車輪4はセルフアライニングトルクにより直進状態に復帰する。操舵用アクチュエータ2と反力アクチュエータ18の制御系は公知のものを用いればよく、回転操作部材の操作に応じて操舵用アクチュエータ2を駆動することさえできれば特に限定されるものではない。
【0024】
車の運転者がステアリングホイール1を操舵していない場合、安全の観点から、ステアリングホイール1を直進操舵位置に復帰させる弾力を付与することが好ましい。そこで、斯かる反力を付与する弾性部材を有する反力付与機構30を設ける。
【0025】
図2に反力付与機構(反力付与手段)30のステアリングシャフト10の軸方向の断面図を示す。図2に示すように、反力付与機構30は、ボールスクリューシャフト31と、該スクリューシャフト31を覆うと共にステアリングシャフト10を覆うケーシング29と一体の筒状のハウジング32と、該ハウジング32の一端側(図3の上方側)に挿入される第1ストッパー33と、該ハウジング32の他端側(図3の下方側)に挿入される第2ストッパー34とを有する。
【0026】
スクリューシャフト31は、一端側(図3の上方側)でステアリングシャフト10と同軸心になるよう一体化される。両ストッパー33、34は筒状で、径方向内側に向かう内向きフランジ33’、34’を有し、スクリューシャフト31の軸方向の間隔をおいて配置される。ハウジング32は、車体に例えばボルトにより固定され、各ストッパー33、34は、ハウジング32に例えば圧入されることで固定される。スクリューシャフト31は、ケーシング29と第2ストッパー34に嵌合されるベアリング35、36を介して車体側に支持される。
【0027】
スクリューシャフト31に、ボール38を介してボールナット39がねじ合わされる。ボールナット39は、本体39aと、本体39aの外周に圧入されることで一体化される筒状部材39bと、筒状部材39bの両端外周から外方に突出する第1及び第2のフランジ39c、39dと、筒状部材39bの内周に圧入されることで一体化される抜け止め部材39eを有する。筒状部材39bは2部材39b’、39b”を例えばねじ合わせることで構成され、外周に後述のスライダー41、42とバネ43(弾性部材)の嵌合が可能とされている。
【0028】
ボールナット39側の筒状部材39bの外周に、環形状の第1スライダー41と環形状の第2スライダー42が、スクリューシャフト31の軸方向に変位可能かつ径方向変位が規制されるように嵌め合わされる。両スライダー41、42は、スクリューシャフト31の軸方向に沿って互いに間隔をおいて並列する。弾性部材は、両スライダー41、42の間においてナット39側の外周を囲むように配置される圧縮コイルバネ43により構成される。各スライダー41、42に、そのバネ43の内部に向かい延びる筒状部41a、42aが形成されている。両スライダー41、42によりバネ43が挟まれることで、バネ43は、第1スライダー41にスクリューシャフト31の一端に向かう(図3の上方に向かう)弾力を作用させ、第2スライダー42にスクリューシャフト31の他端に向かう(図3の下方に向かう)弾力を作用させる。
【0029】
両スライダー41、42とバネ43は、車体側部材である両ストッパー33、34の間に配置される。第1ストッパー33は、第1スライダー41に対向する第1阻止面33aを有する。第2ストッパー34は、第2スライダー42に対向する第2阻止面34aを有する。両阻止面33a、34aは、その間に両スライダー41、42とバネ43が位置するように配置される。図2は、ステアリングホイール1が直進操舵位置にある時の状態を示し、バネ43の弾力により第1スライダー41は第1阻止面33aに押し付けられ、第2スライダー42は第2阻止面34aに押し付けられる。
【0030】
また、両スライダー41、42とバネ43は、ボールナット39側である両フランジ39c、39dの間に配置される。第1フランジ39cは、第1スライダー41に対向する第1受け面39c’を有する。第2フランジ39dは、第2スライダー42に対向する第2受け面39d’を有する。両受け面39c’、39d’は、その間に両スライダー41、42とバネ43が位置するように配置される。ステアリングホイール1が直進操舵位置にある場合、第1受け面39c’は第1阻止面33aと、第2受け面39d’は第2阻止面34aと、スクリューシャフト31の軸方向において同一位置に配置される。
【0031】
反力モータによる反力が付与されている間に、上述した反力付与機構30による機械的な反力が付与されると、反力モータの回転制御が困難になる。したがって、反力モータによる反力が付与されている間は、上述した反力付与機構30による機械的な反力が付与されないよう規制する必要がある。そこで、本実施の形態では、反力付与機構30のバネ(弾性体)43が機能しないように、ストッパー(係着部材)45をバネ43を挟み込むよう係着する。図3にストッパー45の概略構成の斜視図を示す。
【0032】
図3に示すように、ストッパー45は、反力付与機構30のケーシング29の一部に係着することができ、バネ43を挟み込む楔形部46を両端に備える。楔形部46と反対側の面にはワイヤ47が接続され、該ワイヤ47は、電磁クラッチ機構50に連結されている。
【0033】
図4に、電磁クラッチ機構(係着部材離脱手段)50の概略構成断面図を示す。図4に示すように、ストッパー45に接続されるワイヤ47は、一方のプーリ51に掛け止めされ、第1シャフト(被駆動部材)52と連動する。第1シャフト52と第2シャフト(駆動部材)53とは、コイル56の発生する磁力によって、アーマチュア55が摩擦板54に引きつけられ、または離れることにより、それぞれ接続し、または離脱する。すなわち、コイル56は、電磁クラッチ機構50を接続する手段として機能する。第2シャフト53にも端部に他方のプーリ51が設けられ、ステアリングホイール1等の操舵機構と連結されるワイヤ47が掛け止めされる。
【0034】
電磁クラッチ機構50は、反力用アクチュエータ18の異常が検知されるか否かに応じて、コイル56の発生する磁束を制御する。反力用アクチュエータ18の異常については、反力用アクチュエータ18に異常検出機構(異常検知手段)57を備え、反力モータの回転状態を示す信号を制御装置12が受信し、駆動回路16から駆動電流が供給されたにもかかわらず反力モータの回転状態を示す信号を受信できなかった場合、反力用アクチュエータ18に異常が発生したと判断する。
【0035】
電磁クラッチ機構50は、異常検出機構57で反力用アクチュエータ18の異常が検知されない場合、コイル56は磁束を発生させず、アーマチュア55は引きつけられない。したがって、ステアリングホイール1を回転させてもストッパー45に接続されるワイヤ47は巻き取られず、操舵用アクチュエータ2による反力のみが付与される。
【0036】
異常検出機構57で反力用アクチュエータ18の異常が検知された場合、コイル56は磁束を発生させ、アーマチュア55を引きつける。したがって、ステアリングホイール1を回転させると、ストッパー45に接続されるワイヤ47は電磁クラッチ機構50のプーリ51に巻き取られ、ストッパー45は反力付与機構30から離脱する。ストッパー45が反力付与機構30から離脱されることで、バネ43の動きは規制されず、操舵用アクチュエータ2による反力が付与されなくても、反力付与機構30から機械的な反力が付与される。
【0037】
以上のように本実施の形態によれば、反力モータに障害が発生していない場合には、反力モータによる電気的な反力のみを付与することができ、他の機構により付与される反力との干渉等を考慮することなく適切に反力の大きさを制御することができる。一方、走行中に反力モータに異常が生じた場合であっても、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力を付与することができることから、操舵機構に確実に反力を付与することができ、より安全に走行することが可能となる。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されない。例えば、操舵機構としてステアリングホイールに限定されるものではなく、例えば二輪車のハンドルと同様の形態であってもよい。また、弾性部材として圧縮コイルバネ以外の形式のバネやゴム等を用いてもよい。また、ボールスクリューシャフトとボールナットに代えて、直接に噛み合う一般的なスクリューシャフトとナットを用いてもよい。スクリューシャフトのリード角は、ナットに作用する弾力によりスクリューシャフトを回転させるのに必要なトルクが発生するように定めることは言うまでもない。
【0039】
また、操舵用アクチュエータ2及び反力アクチュエータ18に用いる電動モータの障害発生の確率を低減する方法も、ステアバイワイヤ方式のステアリング装置の安全性を高める上で有効である。以下、操舵用アクチュエータ2の場合を例に挙げて、電動モータの障害発生の確率を低減する方法について説明する。
【0040】
図5は、電動モータの障害発生の確率を低減する方法として電動モータを複数化した操舵用アクチュエータ2を含む操舵機構の模式図である。図5に示すように、通常用いる電動モータ61の他に、スタンバイ用の電動モータ62をさらに設け、電動モータ61、62と操舵用アクチュエータ2との間に電磁クラッチ63、64を設ける。
【0041】
単に電動モータ61、62を並列して操舵用アクチュエータ2に機械的に接続し、いずれかに障害が発生した場合、他方で代用するという方法では、通常の動力付加時に、電動モータ61、62の互いの慣性が影響しあって、操舵用アクチュエータ2の駆動に用いる電動モータ61に対して適正な回転制御を行うことが困難であるという問題があった。
【0042】
そこで、本実施の形態では、電動モータ61、62と操舵用アクチュエータ2との間に電磁クラッチ63、64を設ける。通常は、電磁クラッチ63を接続し、電磁クラッチ64を開放することで、電動モータ61のみが操舵用アクチュエータ2に接続される。電動モータ61に何らかの障害が発生した場合には、電磁クラッチ63を開放し、電磁クラッチ64を接続することで、スタンバイ用の電動モータ62が操舵用アクチュエータ2に接続される。
【0043】
このようにすることで、操舵用アクチュエータ2の駆動に用いていない電動モータ62の慣性が操舵用アクチュエータ2に与える影響を低減することができ、操舵用アクチュエータ2の駆動に用いている電動モータ61に障害が発生した場合であっても、スタンバイ用の電動モータ62に容易に切り替えることができるので、操舵用アクチュエータ2に含まれる電動モータ駆動回路からモータ用のリレーを省略することができ、より簡単な機構で電動モータの障害発生の確率を低減することが可能となる。
【0044】
上述した例では、操舵用アクチュエータ2の駆動に用いる電動モータを複数化する場合について説明しているが、反力アクチュエータ18に適用する場合であっても、同様の構成により同様の効果が期待できる。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、通常は反力モータによる電気的な反力のみを付与することができ、走行中に反力モータに異常が生じた場合であっても、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力を付与することができることから、操舵機構に確実に反力を付与することができ、より安全に走行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用操舵装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】反力付与機構のステアリングシャフトの軸方向の断面図である。
【図3】ストッパーの概略構成を示す斜視図である。
【図4】電磁クラッチ機構の概略構成断面図である。
【図5】電動モータを複数化した操舵用アクチュエータを含む操舵機構の模式図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール(操作部材)
2 操舵用アクチュエータ
10 ステアリングシャフト
18 反力アクチュエータ(反力モータ)
30 反力付与機構(反力付与手段)
43 ばね(弾性体)
45 ストッパー(係着部材)
47 ワイヤ
50 電磁クラッチ機構(係着部材離脱手段)
51 プーリ
52 第1シャフト(被駆動部材)
53 第2シャフト(駆動部材)
56 コイル
57 異常検出機構(異常検知手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵輪等の操舵部材が車輪の向きを変える車輪操舵機構に機械的に連結されていない車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車室内部のレイアウトの自由度を大きくし、車室内の空間拡大を図るとともに、操舵輪の突き上げを防止することを目的として、ステアバイワイヤ方式のステアリング装置が用いられる。ステアバイワイヤ方式のステアリング装置は、ステアリングホイール等の操舵部材をステアリングギヤ等の車輪操舵機構に機械的に連結することなく、車輪を操舵することができる車両の操舵装置である。
【0003】
ステアバイワイヤ方式のステアリング装置は、操舵部材をステアリングギヤ等の車輪操舵機構に機械的に連結していないことから、セルフアライニングトルクにより操舵部材を直進操舵位置に復帰させることはできない。したがって、操舵部材を直進操舵位置に復帰させるために、弾性部材により適度な反力を付与する。
【0004】
例えば特許文献1では、電磁クラッチにより、モータの故障時であっても確実に操舵部材の回転トルクを車輪操舵機構に伝達することができるステアリング装置が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献2に開示されているステアバイワイヤ方式のステアリング装置のように、反力モータを車室外に配置し、伝動ケーブルで接続している場合、伝動ケーブルに障害が発生すると反力を付与することができない。そこで、通常は機械的な弾性力による反力付与手段を別途設けることで対応している。
【0006】
例えば特許文献3では、ステアリングホイールの操舵回転角度を検出するセンサ及び車の速度を検出するセンサと、実操舵角度を検出するセンサを備え、ステアリングホイールの操舵回転角度と実操舵角度との偏差を最小にし、ステアリングシャフトの中立位置へ戻す適当な反力トルクを生じるステアリング装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
実開昭61−48870号公報
【特許文献2】
特開2002−225733号公報
【特許文献3】
特開2000−53008号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力と、反力モータ等で付与される電気的な反力との両方が同時に加わると、電気的な反力の大きさを制御する反力モータの制御が困難となる。すなわち、操舵部材の回転トルクはトルクセンサにより容易に検出することはできるが、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力トルクを正確に検出することは困難であるので、反力モータ等で付与される電気的な反力が、ある場合には過剰に、ある場合には過小に付与されるおそれがあり、安全に車を運転するという観点から問題があった。
【0009】
また、反力モータ等に障害が発生した場合、安全に車の運転を継続するために何らかのバックアップシステムを構築しておくことも必要である。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力と、反力モータ等で付与される電気的な反力とを、状況に応じて切り替えることができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1発明に係る車両用操舵装置は、車両の操作部材に連結したステアリングシャフトと、前記操作部材の操作に応じて操舵反力をステアリングシャフトに付与する反力モータと、前記反力モータの異常を検知する異常検知手段と、前記ステアリングシャフトに弾性による反力を付与する反力付与手段と、前記ステアリングシャフトと機械的に連結されていない車輪操舵手段とを備えた車両用操舵装置において、前記反力付与手段は、弾性による反力を生じる弾性体と、弾性による反力を生じないよう前記弾性体に係着される係着部材と、前記異常検知手段で前記反力モータの異常が検知された場合、前記係着部材を前記弾性体から離脱させる係着部材離脱手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第1発明に係る車両用操舵装置では、反力モータに異常が生じたことが検知されると、反力付与手段のバネ等の弾性体に係着された係着部材が離脱され、バネ等の弾性を利用した機械的な反力を付与することができることから、車の走行中に反力モータに異常が生じた場合であっても、安全に走行することが可能となる。
【0013】
また、第2発明に係る車両用操舵装置は、第1発明において、前記係着部材離脱手段は、前記係着部材と前記操作部材とを連結し、前記操作部材の操作に応じて前記係着部材を前記弾性体から離脱させるワイヤであることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る車両用操舵装置では、バネ等による機械的な反力を付与する反力付与手段に係着された係着部材が、操作部材とワイヤで連結されていることから、操作部材を回転操作してワイヤを巻き取ることで、容易に係着部材を反力付与手段から離脱させることができ、確実にバネ等の弾性力を利用した機械的な反力を付与することが可能となる。
【0015】
また、第3発明に係る車両用操舵装置は、第2発明において、前記係着部材離脱手段は、少なくとも電磁クラッチと2つのプーリとを含み、該プーリは前記電磁クラッチの接続面の駆動部材と被駆動部材とにそれぞれ配置され、一方のプーリは前記操作部材と、他方のプーリは前記係着部材と、それぞれ前記ワイヤを介して連結され、前記異常検知手段で前記反力モータの異常が検知された場合、前記電磁クラッチを接続する接続手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る車両用操舵装置では、通常時は電磁クラッチが接続されず、反力モータによる電気的な反力のみが付与され、反力モータに異常が生じたことを検知した場合は、電磁クラッチを接続して、操作部材を回転操作してワイヤを巻き取ることで、係着部材を反力付与手段から離脱し、反力付与手段のバネ等による弾性力を利用した機械的な反力のみを付与することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用操舵装置の全体構成を示す模式図である。図1では、ステアリングホイール(操作部材)1をステアリングギヤ3に機械的に連結せず、ステアリングホイール1の操作に応じて操舵用アクチュエータ2を駆動させる。
【0018】
ステアリングギヤ3は、操舵用アクチュエータ2の出力シャフトの回転運動を、ステアリングロッド7の直線運動に変換する車輪操舵手段としての運動変換機構を有する。ステアリングロッド7の動きは、タイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達される。操舵用アクチュエータ2は、例えばブラシレスモータ等の電動モータを用い、操舵用アクチュエータ2の動きを車輪4の操舵角度に変換できさえすればよい。
【0019】
ステアリングホイール1は、車体側で回転可能に支持されるステアリングシャフト10を有する。ステアリングシャフト10の回転角度の検出センサ11による検出信号と、速度センサ13による車速の検出信号が、コンピュータにより構成される制御装置12に送られる。制御装置12は、検出された回転角度と車速に応じて目標転舵角度を演算する。例えば、検出された回転角度に対して目標転舵角度を比例させると共に、比例定数を車速の増大に応じて減少させる。また、車速以外の走行状態、例えば横加速度等を検出するセンサを設け、検出された横加速度等に応じて目標転舵角度を変化させるようにしてもよい。
【0020】
一方、ステアリングロッド7の作動量を検出するポテンショメータ等の実操舵量センサ14が設けられ、検出された信号が制御装置12に送られる。制御装置12は、検出されたステアリングロッド7の作動量に対応する実操舵角度と目標操舵角度との偏差がなくなるように、駆動回路15を介して操舵用アクチュエータ2を駆動する。
【0021】
また、ステアリングホイール1を操舵するのに要する操舵反力を作用させるため、ステアリングシャフト10にトルクを付加する反力アクチュエータ18が設けられる。反力アクチュエータ18は、ステアリングシャフト10と一体となる出力シャフトを有するブラシレスモータ等の電動モータを反力モータとして用いる。
【0022】
制御装置12は、検出された回転角度と検出された車速に応じて目標反力トルクを演算し、演算された目標反力トルクを反力アクチュエータ18が発生するように、駆動回路16を介して反力アクチュエータ18を駆動する。目標反力トルクと回転角度と車速の関係は、例えば、ステアリングホイール1とステアリングギヤ3とが機械的に連結されていた場合に作用する路面からの操舵抵抗トルクと操舵角度と車速との関係に基づいて求める。また、車速以外の走行状態、例えば横加速度等を検出するセンサを設け、その検出値に応じて目標反力トルクを変化させるようにしてもよい。
【0023】
ステアリングシャフト10により伝達される反力トルクを検出するトルクセンサ17が設けられ、検出された反力トルク値が制御装置12に送られる。制御装置12は、検知された反力トルクに操舵用アクチュエータ2の発生操舵力が対応するように、駆動回路15から出力される操舵用アクチュエータ2の駆動電流を制御する。すなわち、運転者が作用させる操作力に対応する反力トルクが大きくなれば操舵用アクチュエータ2の発生操舵力を大きくし、その反力トルクが小さくなれば操舵用アクチュエータ2の発生操舵力を小さくする。このようにすることで、運転者が操作力を作用させていない状態では操舵用アクチュエータ2は駆動されず、車輪4はセルフアライニングトルクにより直進状態に復帰する。操舵用アクチュエータ2と反力アクチュエータ18の制御系は公知のものを用いればよく、回転操作部材の操作に応じて操舵用アクチュエータ2を駆動することさえできれば特に限定されるものではない。
【0024】
車の運転者がステアリングホイール1を操舵していない場合、安全の観点から、ステアリングホイール1を直進操舵位置に復帰させる弾力を付与することが好ましい。そこで、斯かる反力を付与する弾性部材を有する反力付与機構30を設ける。
【0025】
図2に反力付与機構(反力付与手段)30のステアリングシャフト10の軸方向の断面図を示す。図2に示すように、反力付与機構30は、ボールスクリューシャフト31と、該スクリューシャフト31を覆うと共にステアリングシャフト10を覆うケーシング29と一体の筒状のハウジング32と、該ハウジング32の一端側(図3の上方側)に挿入される第1ストッパー33と、該ハウジング32の他端側(図3の下方側)に挿入される第2ストッパー34とを有する。
【0026】
スクリューシャフト31は、一端側(図3の上方側)でステアリングシャフト10と同軸心になるよう一体化される。両ストッパー33、34は筒状で、径方向内側に向かう内向きフランジ33’、34’を有し、スクリューシャフト31の軸方向の間隔をおいて配置される。ハウジング32は、車体に例えばボルトにより固定され、各ストッパー33、34は、ハウジング32に例えば圧入されることで固定される。スクリューシャフト31は、ケーシング29と第2ストッパー34に嵌合されるベアリング35、36を介して車体側に支持される。
【0027】
スクリューシャフト31に、ボール38を介してボールナット39がねじ合わされる。ボールナット39は、本体39aと、本体39aの外周に圧入されることで一体化される筒状部材39bと、筒状部材39bの両端外周から外方に突出する第1及び第2のフランジ39c、39dと、筒状部材39bの内周に圧入されることで一体化される抜け止め部材39eを有する。筒状部材39bは2部材39b’、39b”を例えばねじ合わせることで構成され、外周に後述のスライダー41、42とバネ43(弾性部材)の嵌合が可能とされている。
【0028】
ボールナット39側の筒状部材39bの外周に、環形状の第1スライダー41と環形状の第2スライダー42が、スクリューシャフト31の軸方向に変位可能かつ径方向変位が規制されるように嵌め合わされる。両スライダー41、42は、スクリューシャフト31の軸方向に沿って互いに間隔をおいて並列する。弾性部材は、両スライダー41、42の間においてナット39側の外周を囲むように配置される圧縮コイルバネ43により構成される。各スライダー41、42に、そのバネ43の内部に向かい延びる筒状部41a、42aが形成されている。両スライダー41、42によりバネ43が挟まれることで、バネ43は、第1スライダー41にスクリューシャフト31の一端に向かう(図3の上方に向かう)弾力を作用させ、第2スライダー42にスクリューシャフト31の他端に向かう(図3の下方に向かう)弾力を作用させる。
【0029】
両スライダー41、42とバネ43は、車体側部材である両ストッパー33、34の間に配置される。第1ストッパー33は、第1スライダー41に対向する第1阻止面33aを有する。第2ストッパー34は、第2スライダー42に対向する第2阻止面34aを有する。両阻止面33a、34aは、その間に両スライダー41、42とバネ43が位置するように配置される。図2は、ステアリングホイール1が直進操舵位置にある時の状態を示し、バネ43の弾力により第1スライダー41は第1阻止面33aに押し付けられ、第2スライダー42は第2阻止面34aに押し付けられる。
【0030】
また、両スライダー41、42とバネ43は、ボールナット39側である両フランジ39c、39dの間に配置される。第1フランジ39cは、第1スライダー41に対向する第1受け面39c’を有する。第2フランジ39dは、第2スライダー42に対向する第2受け面39d’を有する。両受け面39c’、39d’は、その間に両スライダー41、42とバネ43が位置するように配置される。ステアリングホイール1が直進操舵位置にある場合、第1受け面39c’は第1阻止面33aと、第2受け面39d’は第2阻止面34aと、スクリューシャフト31の軸方向において同一位置に配置される。
【0031】
反力モータによる反力が付与されている間に、上述した反力付与機構30による機械的な反力が付与されると、反力モータの回転制御が困難になる。したがって、反力モータによる反力が付与されている間は、上述した反力付与機構30による機械的な反力が付与されないよう規制する必要がある。そこで、本実施の形態では、反力付与機構30のバネ(弾性体)43が機能しないように、ストッパー(係着部材)45をバネ43を挟み込むよう係着する。図3にストッパー45の概略構成の斜視図を示す。
【0032】
図3に示すように、ストッパー45は、反力付与機構30のケーシング29の一部に係着することができ、バネ43を挟み込む楔形部46を両端に備える。楔形部46と反対側の面にはワイヤ47が接続され、該ワイヤ47は、電磁クラッチ機構50に連結されている。
【0033】
図4に、電磁クラッチ機構(係着部材離脱手段)50の概略構成断面図を示す。図4に示すように、ストッパー45に接続されるワイヤ47は、一方のプーリ51に掛け止めされ、第1シャフト(被駆動部材)52と連動する。第1シャフト52と第2シャフト(駆動部材)53とは、コイル56の発生する磁力によって、アーマチュア55が摩擦板54に引きつけられ、または離れることにより、それぞれ接続し、または離脱する。すなわち、コイル56は、電磁クラッチ機構50を接続する手段として機能する。第2シャフト53にも端部に他方のプーリ51が設けられ、ステアリングホイール1等の操舵機構と連結されるワイヤ47が掛け止めされる。
【0034】
電磁クラッチ機構50は、反力用アクチュエータ18の異常が検知されるか否かに応じて、コイル56の発生する磁束を制御する。反力用アクチュエータ18の異常については、反力用アクチュエータ18に異常検出機構(異常検知手段)57を備え、反力モータの回転状態を示す信号を制御装置12が受信し、駆動回路16から駆動電流が供給されたにもかかわらず反力モータの回転状態を示す信号を受信できなかった場合、反力用アクチュエータ18に異常が発生したと判断する。
【0035】
電磁クラッチ機構50は、異常検出機構57で反力用アクチュエータ18の異常が検知されない場合、コイル56は磁束を発生させず、アーマチュア55は引きつけられない。したがって、ステアリングホイール1を回転させてもストッパー45に接続されるワイヤ47は巻き取られず、操舵用アクチュエータ2による反力のみが付与される。
【0036】
異常検出機構57で反力用アクチュエータ18の異常が検知された場合、コイル56は磁束を発生させ、アーマチュア55を引きつける。したがって、ステアリングホイール1を回転させると、ストッパー45に接続されるワイヤ47は電磁クラッチ機構50のプーリ51に巻き取られ、ストッパー45は反力付与機構30から離脱する。ストッパー45が反力付与機構30から離脱されることで、バネ43の動きは規制されず、操舵用アクチュエータ2による反力が付与されなくても、反力付与機構30から機械的な反力が付与される。
【0037】
以上のように本実施の形態によれば、反力モータに障害が発生していない場合には、反力モータによる電気的な反力のみを付与することができ、他の機構により付与される反力との干渉等を考慮することなく適切に反力の大きさを制御することができる。一方、走行中に反力モータに異常が生じた場合であっても、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力を付与することができることから、操舵機構に確実に反力を付与することができ、より安全に走行することが可能となる。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されない。例えば、操舵機構としてステアリングホイールに限定されるものではなく、例えば二輪車のハンドルと同様の形態であってもよい。また、弾性部材として圧縮コイルバネ以外の形式のバネやゴム等を用いてもよい。また、ボールスクリューシャフトとボールナットに代えて、直接に噛み合う一般的なスクリューシャフトとナットを用いてもよい。スクリューシャフトのリード角は、ナットに作用する弾力によりスクリューシャフトを回転させるのに必要なトルクが発生するように定めることは言うまでもない。
【0039】
また、操舵用アクチュエータ2及び反力アクチュエータ18に用いる電動モータの障害発生の確率を低減する方法も、ステアバイワイヤ方式のステアリング装置の安全性を高める上で有効である。以下、操舵用アクチュエータ2の場合を例に挙げて、電動モータの障害発生の確率を低減する方法について説明する。
【0040】
図5は、電動モータの障害発生の確率を低減する方法として電動モータを複数化した操舵用アクチュエータ2を含む操舵機構の模式図である。図5に示すように、通常用いる電動モータ61の他に、スタンバイ用の電動モータ62をさらに設け、電動モータ61、62と操舵用アクチュエータ2との間に電磁クラッチ63、64を設ける。
【0041】
単に電動モータ61、62を並列して操舵用アクチュエータ2に機械的に接続し、いずれかに障害が発生した場合、他方で代用するという方法では、通常の動力付加時に、電動モータ61、62の互いの慣性が影響しあって、操舵用アクチュエータ2の駆動に用いる電動モータ61に対して適正な回転制御を行うことが困難であるという問題があった。
【0042】
そこで、本実施の形態では、電動モータ61、62と操舵用アクチュエータ2との間に電磁クラッチ63、64を設ける。通常は、電磁クラッチ63を接続し、電磁クラッチ64を開放することで、電動モータ61のみが操舵用アクチュエータ2に接続される。電動モータ61に何らかの障害が発生した場合には、電磁クラッチ63を開放し、電磁クラッチ64を接続することで、スタンバイ用の電動モータ62が操舵用アクチュエータ2に接続される。
【0043】
このようにすることで、操舵用アクチュエータ2の駆動に用いていない電動モータ62の慣性が操舵用アクチュエータ2に与える影響を低減することができ、操舵用アクチュエータ2の駆動に用いている電動モータ61に障害が発生した場合であっても、スタンバイ用の電動モータ62に容易に切り替えることができるので、操舵用アクチュエータ2に含まれる電動モータ駆動回路からモータ用のリレーを省略することができ、より簡単な機構で電動モータの障害発生の確率を低減することが可能となる。
【0044】
上述した例では、操舵用アクチュエータ2の駆動に用いる電動モータを複数化する場合について説明しているが、反力アクチュエータ18に適用する場合であっても、同様の構成により同様の効果が期待できる。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、通常は反力モータによる電気的な反力のみを付与することができ、走行中に反力モータに異常が生じた場合であっても、バネ等の弾性力を利用した機械的な反力を付与することができることから、操舵機構に確実に反力を付与することができ、より安全に走行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用操舵装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】反力付与機構のステアリングシャフトの軸方向の断面図である。
【図3】ストッパーの概略構成を示す斜視図である。
【図4】電磁クラッチ機構の概略構成断面図である。
【図5】電動モータを複数化した操舵用アクチュエータを含む操舵機構の模式図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール(操作部材)
2 操舵用アクチュエータ
10 ステアリングシャフト
18 反力アクチュエータ(反力モータ)
30 反力付与機構(反力付与手段)
43 ばね(弾性体)
45 ストッパー(係着部材)
47 ワイヤ
50 電磁クラッチ機構(係着部材離脱手段)
51 プーリ
52 第1シャフト(被駆動部材)
53 第2シャフト(駆動部材)
56 コイル
57 異常検出機構(異常検知手段)
Claims (3)
- 車両の操作部材に連結したステアリングシャフトと、
前記操作部材の操作に応じて操舵反力をステアリングシャフトに付与する反力モータと、
前記反力モータの異常を検知する異常検知手段と、
前記ステアリングシャフトに弾性による反力を付与する反力付与手段と、
前記ステアリングシャフトと機械的に連結されていない車輪操舵手段とを備えた車両用操舵装置において、
前記反力付与手段は、
弾性による反力を生じる弾性体と、
弾性による反力を生じないよう前記弾性体に係着される係着部材と、
前記異常検知手段で前記反力モータの異常が検知された場合、前記係着部材を前記弾性体から離脱させる係着部材離脱手段とを備えることを特徴とする車両用操舵装置。 - 前記係着部材離脱手段は、前記係着部材と前記操作部材とを連結し、前記操作部材の操作に応じて前記係着部材を前記弾性体から離脱させるワイヤであることを特徴とする請求項1記載の車両用操舵装置。
- 前記係着部材離脱手段は、少なくとも電磁クラッチと2つのプーリとを含み、該プーリは前記電磁クラッチの駆動部材と被駆動部材とにそれぞれ配置され、
一方のプーリは前記操作部材と、他方のプーリは前記係着部材と、それぞれ前記ワイヤを介して連結され、
前記異常検知手段で前記反力モータの異常が検知された場合、前記電磁クラッチを接続する接続手段を備えることを特徴とする請求項2記載の車両用操舵装置。
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