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JP2005044580A - 薄膜状物の湿式凝固における収縮制御方法 - Google Patents

薄膜状物の湿式凝固における収縮制御方法 Download PDF

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JP2005044580A
JP2005044580A JP2003201727A JP2003201727A JP2005044580A JP 2005044580 A JP2005044580 A JP 2005044580A JP 2003201727 A JP2003201727 A JP 2003201727A JP 2003201727 A JP2003201727 A JP 2003201727A JP 2005044580 A JP2005044580 A JP 2005044580A
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Yoichiro Sawada
陽一郎 澤田
Hideji Hidaka
秀二 日高
Kotaro Inuzuka
孝太郎 犬塚
Kiyoshi Taniguchi
清士 谷口
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、薄膜状のポリマーの凝固プロセスにおいて、多孔質化と収縮制御を両立させることができる製造方法および装置を提供することにある。
【解決手段】薄膜状物を基板で支持して、凝固成形させる工程において、同一基板上の表面粗さを変え、表面粗さが大きい部分で薄膜状物の収縮を制御し、かつ、表面粗さの小さい部分で薄膜状物の多孔化を発現させる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜状の複合化材料の基材に適した高分子多孔質材料の湿式凝固成形方法および装置に関するもので、特に高分子固体電解質膜用の基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シート状の高分子多孔質材料の製造法としては、1)熱可塑性高分子に無機塩粉末を練り込み、薄膜状に成形したのち無機塩を溶剤で溶解抽出する方法、2)無機塩等を練り込んで薄膜としたものを延伸することにより物理的に小孔を生じさせる方法、3)溶剤(溶媒)に溶解した高分子溶液を薄膜状とし、溶剤に相溶性を持ち、かつその高分子素材を溶解しない他の溶剤(非溶媒)に接触させ、そして、元の溶剤の抽出・溶剤置換により高分子素材を凝集させて得る方法などが知られている。しかし、前記の方法は無機塩等の粉末のサイズ孔径が規制されるため、微細な孔径を有する多孔質シートを得ることは困難であり、そのような微細な孔径を持つ多孔質シートを得る方法としては、3)の方法が広く用いられている。
【0003】
上記3)の方法による適用例の一つとして、近年、エネルギー効率や環境性に優れた新しい発電技術として注目されている燃料電池、取り分け、高分子固体電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池用途へ期待される。高分子固体電解質膜には通常プロトン伝導性のイオン交換樹脂膜が使用されるが、プロトン伝導性以外にも、燃料の水素等の透過を防ぐ燃料透過抑止性や機械的強度などの特性が必要である。このような高分子固体電解質膜としては例えば米国デュポン社製ナフィオン(商品名)に代表されるようなスルホン酸基を導入したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜が知られている。
【0004】
しかし、固体高分子形燃料電池の高出力化や高効率化の方策の一つとして膜厚の低減の試みがなされているが、上記のような単膜では、膜厚低減に伴い機械的強度も低減し、高分子固体電解質膜と電極との一体化製造工程や、発電時の熱、水分率変動による膜の寸法の変動による、高分子固体電解質膜と電極の剥離による発電特性が低下等の問題点を有していた。さらに、膜厚を低減させることで燃料透過抑止性が低下し、起電力の低下や燃料の利用効率の低下を招くなどの問題点を有していた。
【0005】
そこで、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜等の強度を高めるために、多孔質材料を基材とする複合化材料の検討が盛んに行われるようになった。複合化材料として考えると、この多孔質基材を工業的に安定して、かつ安価に生産できることが非常に重要である。
【0006】
前記の凝固方法は、溶媒と非溶媒の相互の置換速度により多孔質材料の孔径を制御するが、溶媒と非溶媒の相互の容積的な置換が理想的に行われれば、脱溶媒にともなって生じる薄膜状物内の多孔空隙は、減容なく保たれる。しかしながら、相分離の速度を規制することは、温度、湿度、濃度、同伴物質等の因子およびそれら相互作用等の影響を強く受け、容易でない。そのため、溶媒と非溶媒の相互置換が完了する前に、相分離が進み、多孔質構造を形成すべき高分子の凝集が起こる。その結果的、緻密構造に進むと同時に、その減容により、大きな収縮が発生する。
【0007】
凝固収縮は、当然、膜全体に対して必ずしも均一ではなく、収縮斑となり、結果的に多孔質構造の不均一化となる。その多孔質構造の不均一化は、複合化時の構造斑となり、品質特性が得られない要因にもなり得る。また、凝固収縮斑に起因する膜の形体不良は、イオン伝導性ポリマー等の含浸、乾燥等の複合膜化等の後工程において、トラブルの要因になる。すなわち、搬送中の蛇行、ロール等への挟まれ・巻き込まれ等を引き起こし、結果的に膜の破断につながる。その為、蛇行監視、巻き込まれ検知等の過剰な設備対応が必要となり、結果的に製品のコストアップにつながる。
【0008】
上記収縮制御方法としては、特許文献1に記載されているようにポリマー含有液をガラス板等の平板に付着させ、凝固から乾燥まで薄膜状物を引き剥がさない方法が提案されているが、基板密着面側の膜の多孔性に影響を与え得る表面粗さについての記載がなく、燃料電池用途の高分子固体電解質膜用にふさわしい多孔質構造は、必ずしも得られない。
【0009】
また、特許文献2にガラス板の周縁にテープを貼り付け、キャストされた溶液フィルムの縁端がテープ上に広がり、テープに含浸されることによって、フィルムを固定し、フィルム下面に液体が浸入することを防ぐ記載があるが、例えばポリベンザゾール系ポリマーの溶解に用いられる強酸性溶媒に耐え得る適当なテープがない。ポリテトラフルオロエチレン系のテープでは、その撥水性のため溶液樹脂を固定することが困難である。
【0010】
また、特許文献3には、基板にすりガラスや金属などの堅牢な材質の粗雑面を利用する記載があるが、一般に基板の表面を粗くすればするほど、粗雑面の状態を経時的に保つことは容易で無く、粗雑面の凹凸部へのゴミの付着、あるいは溶液自身の付着残等により基板状態が変わっていくので、連続的、長期的な生産を考えると凝固収縮率を一定にすることができず、一定の多孔質構造を持つ膜を、安定して生産できない。
【0011】
さらに、薄膜状ポリマーをキャストすると同時に、周囲を物理的に把持させる方式として、例えばバッチ式で想定される枠固定方式、連続式で想定されるダブルベルト方式による強制把持が考えられるが、把持により収縮の制御にはなるが、把持部下面の凝固が進まず、把持が外れた瞬間に大きく凝固が進んでしまう。また、不織布に代表される多孔質材料による把持では、空隙にポリマーが染み込み、剥離が困難になるだけでなく、洗浄・再生性が悪い把持材となる。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−126700
【特許文献2】
特開昭49−23183
【特許文献3】
特開昭57−127407
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたもので、基板の表面粗さを部分的に変えることにより、薄膜状のポリマーの収縮が制御できることに着目し、本来平滑面で凝固をさせる必要がある系において、薄膜状ポリマーの多孔質化と収縮制御を両立させることができる製造方法および装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)薄膜状物を基板で支持して、湿式凝固成形させる工程において、基板の表面粗さを変えることで、凝固収縮を抑えることを特徴とする収縮制御方法。
(2)基板の少なくとも一部が、JIS B0601:2001で規定された最大高さが、0.6μm以上10μm以下の表面粗さを持つ基板を用いることを特徴とする収縮制御方法。
(3)下記Aの割合が、Bに対し5%以上50%未満であることを特徴とした収縮制御方法。
A:JIS B0601:2001で規定された最大高さが、0.6μm以上10μm以下の表面粗さを持つ基板部分のうち、薄膜状物が接している部分の面積。
B:基板上にある、薄膜状物の全面積。
(4)基板中央部がJIS B0601:2001で規定された最大高さが0.01μm以上0.5μm以下の表面粗さを持ち、且つ基板縁部分がJIS B0601:2001で規定された最大高さが0.6μm以上10μm以下の表面粗さを持つ事を特徴とする収縮制御方法。
(5)巻物状の薄膜状物の凝固成形において、JIS B0601:2001で規定された最大高さが0.6μm以上10μm以下の表面粗さを持ち且つ薄膜状物が接している連続支持基板の両縁の幅が、基板全体の幅に対して、それぞれ2%以上45%以下であることを特徴とした収縮制御方法。
(6)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の収縮制御方法を用いた、バッチ式の凝固成形装置。
(7)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の収縮制御方法を用いた、連続式の凝固成形装置。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる薄膜状物の形態としては、溶液状にしたポリマーを基板上にキャストして、成形可能なものであれば、種類は問わないが、例えば酢酸セルロール、ポリスルホン、ポリカーボネイト、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、それらの前駆体、および、それらの混合物などがあり、固体高分子形燃料電池用の高分子固体電解質膜としての複合膜用基材に適した材料としては、ポリベンザゾール系ポリマーである。ポリマーを溶液にするために用いる溶媒は、湿式凝固にて、除去できるものなら何でもよいが、例えばメタンスルホン酸、ジメチル硫酸、ポリ燐酸、硫酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられ、あるいはこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることもできる。中でも特にメタンスルホン酸、ポリ燐酸が好ましい。
【0016】
本発明における等方性のポリベンザゾール系ポリマー溶液の凝固においては、水蒸気、メタンスルホン酸水溶液、リン酸水溶液、グリセリン水溶液の他、塩化マグネシウム水溶液などの無機塩水溶液などの中から非溶媒(貧溶媒)と凝固条件を選択することにより支持体膜表面および内部の構造を制御するに至った。特に好ましい凝固の手段は水蒸気と接触させて凝固する方法や、凝固の初期において水蒸気に短時間接触させた後に水に接触させて凝固する方法、メタンスルホン酸水溶液に接触させて凝固する方法などである。
【0017】
薄膜状物の成形方法としては、ドクターブレード等を用いてポリマー溶液を基板上に延展する流延法と呼ばれる製膜方法の他にも、直線状スリットダイから押し出す方法や円周状スリットダイからブロー押し出しする方法、二枚の基板に挟んだポリマー溶液をローラーでプレスするサンドイッチ法、回転基板にドープを投下し、基板の回転によって薄膜化するスピンコート法など、溶液を膜状に成型するあらゆる方法が使用できる。本発明の目的に適した好ましい製膜方法は流延法、サンドイッチ法である。流延法の基板やサンドイッチ法の基板にはガラス板や金属板、樹脂フィルム等の他、凝固時の支持体膜の空隙構造を制御する等の目的で種々の多孔質材料を基板として好ましく用いることができる。また、上記基板を、ワンパスあるいは、エンドレス化により、容易に連続プロセスに適用することが可能である。
【0018】
本発明においては、上記基板の表面状態としては、膜厚斑を抑えるために平行平面度が10μm以下、好ましくは、8μm以下のものを用いた。また、表面粗さとしては、JIS B0601:2001で規定された最大高さが、0.5μm以下、好ましくは、0.4μm以下、特に好ましくは0.3μm以下において良好に多孔質を発現させることができる。しかしながら、上記表面粗さを持つ基板上で凝固を進めると約25%程度の収縮を生じる。検討の結果、基板の一部を表面粗さを0.6μm以上、好ましくは、0.8μm以上、特に好ましくは0.9μm以上であり、表面粗さの上限として10μm以下、好ましくは8μm以下、特に好ましくは6μm以下とした場合に、凝固での収縮を適切に制御することができることを見いだした。
【0019】
上記の特徴を活かした、薄膜状ポリマーの多孔化と収縮制御を両立させる基板としては、薄膜状物の周囲部にあたる基板面の表面粗さを粗くすることでアンカー効果を発現させ、収縮を制御することができる。収縮を制御するために基板表面を粗くした部分の全基板面積に対する割合は、大きいほど収縮制御の効果も大きくなるが、製品の生産を考えると、その割合は極力小さい方が望ましい。シート状の薄膜状物については、表面粗さを変えた部分の面積が、薄膜状物が接する基板の面積に対し、5%以上50%未満、好ましくは、10%以上40%以下である基板がよい。巻物状の薄膜状物については、表面粗さを変えた、該薄膜状物が接する連続支持基板の両縁の幅が、基板幅の長さに対して2%以上45%以下、好ましくは5%以上30%以下の幅を持つ基板がよい。
【0020】
収縮制御を目的とする表面粗さを変えた部分の基板に対する適用としては、図1、図2、及び図3のように薄膜状物の周縁部に適用する方法があり、製品形状に合わせて任意の形状を選ぶことができる。しかしながら、固体高分子形燃料電池用の高分子固体電解質膜の基材等の生産を考えると、図1、図2のような形状が、材料のロス低減の上では望ましい。また、図4、図5のように間欠的に基板周縁部の表面粗さを変える方法も考えられるが、間欠部で少なからずの収縮が発生し、全体として波状の収縮斑となり、品質斑を引き起こすと共に、トリミングをする際においても、把持部の幅以上のトリム幅が必要となり、結果的に製品ロスにつながる。
【0021】
生産プロセスとしては、バッチ式では、例えば周縁の表面粗さを変えたガラス基板上でポリマーをドクターブレードにて延展させた後、恒温恒湿槽にガラス基板と共に投入し、加湿雰囲気で凝固させる方法がある。
【0022】
連続化式では、例えば基板の幅方向両縁の表面粗さを変えたスチール製のエンドレスベルト基板上にポリマーを連続的あるいは間欠的にキャストし、そのまま、加湿雰囲気あるいは、凝固液槽にベルトと共に投入させ、連続凝固させる方法がある。
【0023】
以下、本発明を図面に従って、具体的に説明する。なお、図面により本発明が特に制限されるものではない。
【0024】
図6はバッチ式、図7は連続式の本発明に関わる装置の概略図である。
【0025】
以下各部について詳細に説明する。まず、図6は、バッチプロセスの一例である。移動式の成形用基板1の上に投下されたポリマー2が、一定のクリアランスを持つ静止したドクターブレード3で掻き出されることによって、一定の厚みに成形される。なお、移動式の基板1およびドクターブレード3は、どちらが移動してもよい。成形後、基板と共に一定に加湿された恒温恒湿槽5に投入し、凝固を行った後、洗浄槽6により洗浄され、薄膜状の多孔質膜を得る。
【0026】
図7は、連続プロセスの一例である。スチールベルト8とドラム9、10によって構成される連続基板上にポリマー12を連続的に供給し、ドクターブレード13を介して、一定厚みに成形薄膜化される。移動するスチールベルト上に設けた加湿ゾーン14を通過させることによって、凝固を完了させた後、洗浄槽15にて洗浄を行う。あるいは、凝固の初期において、短時間のみ加湿ゾーン14で凝固を進めたのち、洗浄槽にて凝固を完成させてもよい。さらには、成形直後に調整した凝固液に投入させ、凝固を行ってもよい。加湿ゾーンの条件としては、高温高湿条件ほど凝固速度早くなるが、50℃×相対湿度90%以上(絶対湿度0.0766kg/kg−DA)では、結露の影響を抑えるための設備コストが上がり、管理の点からも現実的ではない。また、ポリマー自身の熱劣化の影響も無視できなくなる。望ましい条件は、20℃×相対湿度100%(絶対湿度0.0147kg/kg−DA)〜40℃×相対湿度80%(絶対湿度0.0385kg/kg−DA)である。
【0027】
実施例
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に本発明を実施するに当たり用いた評価法および解析法を示す。
【0028】
<走査型電子顕微鏡による構造観察>
走査型電子顕微鏡(SEM)による構造観察は以下の方法で行った。まず、洗浄した支持体膜内部の水をエタノールに置換、さらに酢酸イソアミルに十分置換した後、日立製臨界点乾燥装置(HCP−1)を用いて、CO2臨界点乾燥を施した。このようにして臨界点乾燥した支持体膜に厚さ150オングストロームの白金コートを施し、日立製SEM(S−800)を用いて加速電圧10kV、試料傾斜角度30度で観察を行った。
【0029】
<支持体膜の表面開孔率>
支持体膜の表面開孔率は次の方法により測定した。すなわち、上述した方法で撮影した支持体膜の表面の撮影倍率1万倍の走査型電子顕微鏡写真上で5μm角に相当する視野を選び、膜の最外表面に相当するポリマー部分を白、それ以外の部分を黒に色分けした後、イメージスキャナーを用いて画像をコンピューターに取り込み、米国Scion社製の画像解析ソフトScion Imageを用いて画像のヒストグラムから画像中の黒部分が占める比率を測定した。この操作を一つのサンプルに対して重複しない3視野について行い、その平均を表面開孔率とした。
【0030】
<収縮率>
ガラス基板(あるいはドクターブレード)の移動方向、あるいは基板幅方向の支持体膜の収縮率で、以下で定義した。
(縦方向収縮率)=(B−D)/B×100・・・(式1)
(横方向収縮率)=(A−C)/A×100・・・(式2)
A:凝固前の幅(=ドクターブレードの幅)[mm]
B:凝固前の長さ(=ガラス基板あるいは、ドクターブレードの移動距離)[mm]
C:凝固後の幅A
D:凝固後の幅B
【0031】
実施例1
ポリ燐酸中にIV=24dL/gのポリパラフェニレンシスベンゾビスオキサゾールポリマーを14重量%含んだドープにメタンスルホン酸(純度99.5重量%)を加えて希釈し、ポリパラフェニレンシスベンゾビスオキサゾール濃度1重量%の等方性溶液を調製した。この溶液を、90℃に加熱したガラス板上に成形幅480mm、クリアランス300μmのアプリケータを用いて製膜速度5mm/秒で製膜した。このようにしてガラス板上に製膜したドープ膜をそのまま温度25℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽中に置いて1時間凝固し、生成した膜を洗液がpH7±0.5を示すまで洗浄を行って支持体膜を作成した。作成した支持体膜は両面に開口部を持つ連続した空孔を有する多孔質の膜であることを原子間力顕微鏡(Seiko Instruments社製AFM:SPA300)による表面形態観察および、透過型電子顕微鏡(JEOL製TEM:JEM−2010)による断面形態観察により確認した。凝固、洗浄における収縮率は、表1記載の数値を示した。なお、使用したガラス板は、縦500mm×横500mm×厚み10mmのパイレックス(R)ガラス製で、三次元測定器(カールツァイス製:ECLIPSE CNC ST 1400×2000)で測定した平行平面度が5μm以下、中央部□440mm×440mm内部の算術平均粗さ(JIS B0601:2001に規定)が0.05μm、最大高さが0.45μm、外周幅30mmの算術平均粗さが0.1μm、最大高さが0.85μmであった。なお、表面粗さは、表面粗さ計(テーラボブソン製:タリサーフ6型)にて測定した。
【0032】
実施例2
基板にステンレス(SUS301)製で、表面粗さが中央部□440mm×440mm内部の算術平均粗さが0.03μm、最大高さが0.2μmで、外周幅30mmの算術平均粗さが0.15μm、最大高さが0.8μmのものとした以外は、実施例1と同じ方法とした。
【0033】
実施例3
基板にステンレス(SUS304)製で、幅400mm、周長7000mm、厚み0.5mmのエンドレスベルトを用い、成形幅300mm、クリアランス300μmのアプリケータで成形後、連続的に温度25℃、相対湿度80%の加湿ゾーンを滞留時間3minで通過させた以外は、実施例1と同じ方法とした。なお、基板の表面粗さは、幅方向中央部250mmは、算術平均粗さが0.05μm、最大高さが0.25μmで、両縁75mmの算術平均粗さが0.25μm、最大高さが1.0μmであった。
【0034】
比較例1
ガラス基板の表面粗さを全面に、算術平均粗さが0.1μm、最大高さが0.85μmとした以外は、実施例1と同じ方法とした。
【0035】
比較例2
ガラス基板の表面粗さを全面に、算術平均粗さが0.05μm、最大高さが0.45μmとした以外は、実施例1と同じ方法とした。
【0036】
比較例3
ステンレス基板の表面粗さを一様に算術平均粗さが0.05μm、最大高さが0.25μmとした以外は、実施例3と同じ方法をした。
【0037】
なお、表面粗さとしては、算術平均粗さと最大高さを併記しているが、収縮抑制は、絶対的な高さがアンカー効果を決めるため、「最大高さ」が本発明においてはより重要な指標となる。
【0038】
表1に記載された実施例1、2、3および比較例1における膜の収縮率は、比較例2、3に対して著しく小さく約1/5に抑えられている。しかし、比較例1の様に基板全体の表面粗さを大きくするとポリマー全体が基板に密着し、凝固が基板面まで到達しない。その結果、表面開孔率が低くなり、イオン交換ポリマーの含浸に適さない構造となっている。一方、実施例1、2、及び3の方は、表面粗さが大きい周縁部が、収縮抑制の役割を担い、表面粗さの小さい中央部は、多孔質構造形成の役割を担い、凝固収縮の制御と多孔化を両立させている。このことは、複合イオン交換膜を製造するにあたり、充填するイオン交換ポリマーの含有量を十分確保できることになり、燃料電池としての発電性能を十分引き出すための要因になる。また収縮の制御により、凝固収縮斑に起因する膜の形体不良が抑制でき、後工程において、蛇行監視、巻き込まれ検知等の過剰な設備対応を必要とせず、設備コストを抑えられる。結果的に、製品コストダウンにつなげられる。
実施例に説明したが、本発明はもとより上記例に限定されるものではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0039】
【表1】
Figure 2005044580
【0040】
【発明の効果】
本発明に関わる収縮制御方法の実施および装置を用いることによって、薄膜状ポリマーの多孔質化と収縮制御を両立させることができる。さらに、後工程において、機械的に扱いやすい膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる凝固収縮制御のための基板の一例
【図2】本発明に関わる凝固収縮制御のための基板の一例
【図3】本発明に関わる凝固収縮制御のための基板の一例
【図4】本発明に関わる凝固収縮制御のための基板の一例
【図5】本発明に関わる凝固収縮制御のための基板の一例
【図6】本発明に関わる薄膜状物のバッチ式成形設備の概略図の一例
【図7】本発明に関わる薄膜状物の連続式成形設備の概略図の一例
【符号の説明】
1. 移動式の成形用基板、
2. ポリマー
3. ドクターブレード、
4. 基板移動用モータ
5. 恒温恒湿槽、
6. 水洗槽、
7. pH計
8. スチールベルト、
9. 第1ドラム、
10. 第2ドラム、
11. ベルト駆動用モータ
12. ポリマー
13. ドクターブレード、
14. 加湿ゾーン、
15. 洗浄槽
16. ガイドロール
17. 巻取ロール
18. pH計

Claims (7)

  1. 薄膜状物を基板で支持して、湿式凝固成形させる工程において、基板の表面粗さを変えることで、凝固収縮を抑えることを特徴とする収縮制御方法。
  2. 基板の少なくとも一部が、JIS B0601:2001で規定された最大高さが、0.6μm以上10μm以下の表面粗さを持つことを特徴とする、請求項1に記載の収縮制御方法。
  3. 下記Aの割合が、Bに対し5%以上50%未満であることを特徴とした請求項1に記載の収縮制御方法。
    A:JIS B0601:2001で規定された最大高さが、0.6μm以上10μm以下の表面粗さを持つ基板部分のうち、薄膜状物が接している部分の面積。
    B:基板上にある、薄膜状物の全面積。
  4. 基板中央部がJIS B0601:2001で規定された最大高さが0.01μm以上0.5μm以下の表面粗さを持ち、且つ基板縁部分がJIS B0601:2001で規定された最大高さが0.6μm以上10μm以下の表面粗さを持つ事を特徴とする、請求項2乃至3いずれかに記載の収縮制御方法。
  5. 巻物状の薄膜状物の凝固成形において、JIS B0601:2001で規定された最大高さが0.6μm以上10μm以下の表面粗さを持ち且つ薄膜状物が接している連続支持基板の両縁の幅が、基板全体の幅に対して、それぞれ2%以上45%以下であることを特徴とした請求項2に記載の収縮制御方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の収縮制御方法を用いた、バッチ式の凝固成形装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の収縮制御方法を用いた、連続式の凝固成形装置。
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