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JP2005038634A - 電流注入型発光素子 - Google Patents

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JP2005038634A
JP2005038634A JP2003197576A JP2003197576A JP2005038634A JP 2005038634 A JP2005038634 A JP 2005038634A JP 2003197576 A JP2003197576 A JP 2003197576A JP 2003197576 A JP2003197576 A JP 2003197576A JP 2005038634 A JP2005038634 A JP 2005038634A
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JP2003197576A
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English (en)
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Yasuyuki Hanada
康行 花田
Ryuichi Yatsunami
竜一 八浪
Megumi Sakagami
恵 坂上
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】極めて簡素な素子構成でありながら、高輝度、高安定性、長寿命、良演色性を併せ持ち、更に、スピンコートなどの簡易な方法で行うことができ、安価な電流注入型発光素子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の電流注入型発光素子は、無機蛍光材料母体ナノ粒子にドーピングされた1種類もしくは複数元素の発光中心であり、発光層と陽極および発光層と陰極の間に異なる層を備え、それら隣接する層への溶解度が低い溶液を用いて、ディップ法もしくはスピンコート法等の簡便な手法で積層される構成とした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電流注入型発光素子、特に通電によって面状の白色発光を呈する電流注入型発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス素子とは、固体で蛍光を有する物質の電界発光を利用した発光デバイスであり、現在無機系材料を発光体として用いた無機エレクトロルミネッセンス素子が実用化され、液晶ディスプレイのバックライトやフラットディスプレイ等への応用展開が一部で図られている。
【0003】
しかし、無機エレクトロルミネッセンス素子は発光させるために必要な電圧が100V以上と高く、しかも青色発光が難しいため、RGBの三原色によるフルカラー化が困難である。
【0004】
一方、有機材料を用いたエレクトロルミネッセンス素子に関する研究も古くから注目され、様々な検討が行われてきたが、発光効率が非常に悪いことから本格的な実用化研究へは進展しなかった。
【0005】
しかし、1987年にコダック社のC.W.Tangらにより、有機材料を正孔輸送層と発光層の2層に分けた機能分離型の積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子が提案され、10V以下の低電圧にもかかわらず1000cd/m以上の高い発光輝度が得られることが明らかとなった(非特許文献1参照)。
【0006】
これ以降、有機エレクトロルミネッセンス素子が俄然注目され始め、現在も同様な機能分離型の積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子についての研究が盛んに行われている。
【0007】
しかしながら、これら低分子の発光材料を使用する有機エレクトロルミネッセンス素子は、一般に真空蒸着装置を用いて作製されているため、設備のコストが高く安価な方法で作製可能な有機エレクトロルミネッセンス素子が求められていた。
【0008】
この要望に応えるものとして、高分子の発光材料を使用する有機エレクトロルミネッセンス素子がある。この素子については、(非特許文献2)等に記載がある。
【0009】
これらも近年精力的に開発がなされているが、スピンコート法による大面積化には限界があった。またインクジェット法を用いて作製する方法も提案されているが連続発光時の寿命や発光の均一性が問題であった。
【0010】
また、これら低分子または高分子の有機化合物を発光材料に用いた場合の最大の課題は、駆動時の寿命が短いことである。この問題に関しては今までに数多くの研究がなされているが依然として大きな課題であった。さらに、白色発光を得るためには、従来から青、赤、緑や青、黄色の発光材料をドーパントとしてホスト材料と同一層中に複数混合する、またはそれぞれ別層に混合して白色を得る方法が一般的であり、この場合も各種材料の駆動による劣化が異なるため、色度が変化していくという重大な欠点があった。
【0011】
また従来から、無機蛍光体は、CRT、PDP等のディスプレイ用途、照明用途、また無機ELなどに広く用いられている。近年、蛍光体をナノサイズ化すると蛍光の量子収率が向上することが明らかになってきている。
【0012】
無機蛍光材料を発光材料に応用した例は前述の無機ELとして良く知られているが、ホールと電子を注入して発光させる電流注入型発光デバイスに適用した例は少ない。なお、金属錯体を利用した発光材料は広く知られているが(例えば、非特許文献3)、これらは有機材料からなる配位子を持っており、純粋な無機発光材料とは異なるものである。
【0013】
また、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)の超微粒子の湿式法での合成法が報告されているが、それらの蛍光発光についてはなんら言及されておらず、これを電流注入型発光材料に適用することは示唆されていない。窒化ガリウム(GaN)に亜鉛をドーピングした微粒子についてはその粉末としてのフォトルミネッセンスについて報告がある(非特許文献4)。しかしながら、本報告はフィールドエミッションディスプレイ用途の蛍光体として用いること以外の適用については言及されておらず、また、粒子サイズも0.2μから3μと大きいものであった。
【0014】
近年、ユーロピウム(II)化合物(EuSi)及びSiをシリコン基板上にアルゴンガス雰囲気にてスパッタリングし、さらに1000℃にてアニール処理する事によってEuSiO及びEuSiOの薄膜を得、その上にカソードとしてITO薄膜をスパッタすることによって、白色に発光する素子が得られることが報告されている(非特許文献5)。しかしながら本素子は、真空装置が必要であり大面積化は困難であり、かつ1000℃という高温の処理を必要とする欠点があった。
【0015】
超微粒子蛍光材料を用いた発光素子の例として、(非特許文献6)または、(非特許文献7)にCdSeの超微粒子について素子の作製と性能を報告している。同様な例は、(非特許文献8)に記載がある。しかしながらこれらは発光効率が低く、実用に供するものではなかった。また、高分子型発光材料と積層しているため、駆動電圧をあげると高分子発光材料が発光して、発光色が変化するという大きな欠点があった。
【0016】
さらに超微粒子を用いたELデバイスとして(特許文献1)には、発光材料が超微粒子からなり、その表面に発光材料とは異なる物質の生成層または異なる性質を有する生成層を生成してヘテロ結合またはP−N接合を形成したことにより発光材料と生成層の界面に発光機構を導入したことを特徴とする超微粒子蛍光体について開示されている。しかし、その応用例として交流駆動のデバイスが示されるに留まり、電流注入型で発光するという開示はない。
【0017】
また、(特許文献2)には、20nm以下の超微粒子半導体を発光材料として用いホールと電子を注入するエレクトロルミネッセントデバイスを直流で駆動することについての記載があるが、効率、寿命とも実用上満足するレベルではなかった。
【0018】
蛍光性の物質を平面基板上に蒸着や印刷等の方法によって塗布して発光層を形成し、電極で挟み込んで通電する事で発光を得る素子として無機及び有機エレクトロルミネッセンス素子(以下それぞれ無機EL素子、有機EL素子、総括してEL素子と呼ぶ)が知られている。
【0019】
無機EL素子は、時計の文字盤や携帯機器の表示部のバックライトなどとしてすでに実用化されており、有機EL素子も近年の研究の進展によって実用化の時代を迎えつつある。これらの素子は発光ダイオードのような点光源と異なり、発光が面状で得られるために独自の用途が期待されている。
【0020】
特に有機ELに関しては無機ELに比較して発光の効率が高く直流低電圧で高い輝度が得られることから大きな注目を集め、単純な発光パネルはもとよりRGB各色を交互に配置し制御点灯する事で平面ディスプレイを構成する為の研究が広く行われている。
【0021】
このように今後の発展が期待されるEL素子であるが、現状では面積あたりの発光強度(以下、省略して輝度と言うこともある)に限界があり、たとえば屋外でも視認性のよいバックライトへの応用や照明用途への展開は難しいという問題がある。
【0022】
また、照明用途に用いる際には演色性に優れた白色発光であることが求められる。現状の有機ELではRGBそれぞれ異なる発光色素を用いる必要があるが、そのため個々の色素に最適化された電極や積層状態を用意する問題がある。また個々の色素の劣化が異なり、使用中に色度が変動する問題があった。
【0023】
このような問題に対し、(非特許文献9)にあるようなポリビニルカルバゾールにR・Gの色素をドーパントしたRGB発光素子を提案した。提案された素子はポリビニルカルバゾールをエネルギー移動のホスト分子として、R・Gのゲスト色素へエネルギー移動した後に発光するEL素子であった。この構造はキャリアである電子と正孔をホスト分子であるポリビニルカルバゾールで注入すれば、あとはR・G色素へエネルギー移動して各々発光するので、R・G色素のドーピング濃度をコントロールすれば適正な白色発光する事が期待できる。しかしながら発光中心における発光機構が有機分子の励起状態から遷移に伴うものであり、実用的な発光デバイスとしての安定性に疑問を持つものであった。
【0024】
【非特許文献1】
タン(C.W.Tang)、ヴァンスリク(S.A.Vanslyke),「アプライドフィジックスレター(Appl.Phys.Lett)」(米国),第51巻,1987年,p.913
【非特許文献2】
ブルーフスら(J.H.Burroughes)、「ネイチャー(Nature)」(英国),第347巻,1990年,p.539
【非特許文献3】
ミヤタら(Ed.,Miyata Seizou and Hari Singh Nalwa),「オーガニックエレクトロルミネッセンスマテリアルズアンド デバイス(Organic Electroluminescence Materials and Devices)」,第9章
【非特許文献4】
カニエら(Kanie) 、「第2回青色レーザーと発光ダイオード国際シンポジウム(2nd Intern.Symp. On Blue Laserand Light Emitting Diodes)」 1998年,p.552
【非特許文献5】
バーバガら(Bharbagara)、「アプライドフィジックスレター(Appl.Phys.Lett)」(米国),第74巻,1999年,p.3203
【非特許文献6】
アリビザトスら(Alivisatos),「ネイチャー(Nature)」(英国),第370巻,1994年,p.354
【非特許文献7】
アリビザトスら(Alivisatos),「ジャーナルオブアプライドフィジックス(J.Appl.Phy.)」,第82巻,1997年,p.5837
【非特許文献8】
バウェンディら(Bawendi),アプライドフィジックスレター(Appl.Phys.Lett)」(米国),第66巻,1995年,p.1316
【特許文献1】
特公平1−18117号公報
【特許文献2】
米国特許第5537000号公報
【非特許文献9】
山形大学の城戸らの研究グループ、「第51回高分子討論会(2002年)予稿集No11 2925ページ :希土類金属錯体分散ポリ(N−ビニルカルバゾール)のEL特性」
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように従来のEL素子で白色発光を得ようとしても、100V以上の高電圧が必要であるか、高額な真空設備が必要であるか、R・G・B色素の耐久性がそれぞれ異なり、実用的な使用時間中において白色発光の色度が変動してしまうという問題があった。
【0026】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するもので、極めて簡素な素子構成でありながら、高輝度、高安定性、長寿命、良演色性を併せ持ち、更に、スピンコートなどの簡易な方法で行うことができ、安価である電流注入型発光素子を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために、本発明の電流注入型発光素子は、無機蛍光材料母体ナノ粒子にドーピングされた1種類もしくは複数元素の発光中心であり、発光層と陽極および発光層と陰極の間に異なる層を備え、それら隣接する層への溶解度が低い溶液を用いて、ディップ法もしくはスピンコート法等の簡便な手法で積層される構成としたものである。
【0028】
そして、この構成によって、本発明では、発光源にナノ構造の無機蛍光体とそれを保護する有機無機ハイブリッド構造を用いることで、長寿命・高輝度・色度安定性の良い発光を行うことが可能な白色発光素子を、簡便な作成法で実現することが出来る。
【0029】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた電流注入型発光素子であって、発光層が、発光中心となる元素をドープした平均粒子サイズ100nm以下の無機蛍光材料母体粒子と、無機蛍光材料母体粒子を分散するための少なくとも1種の媒体とを含有し、かつ発光層と陽極との間に、イオン化ポテンシャルの絶対値が無機蛍光材料母体粒子よりも大きく正孔を支配的に輸送する正孔輸送層を備える事を特徴とする。
【0030】
請求項2に記載の発明は、最低非占有軌道準位の絶対値が前記無機蛍光材料母体粒子より大きく、電子を支配的に輸送する電子輸送物質が、無機蛍光材料母体粒子を分散するための媒体に共に分散されるか、もしくは発光層と陰極との間に、単独でもしくは媒体に分散された電子輸送層として備えられる事を特徴とする。
【0031】
請求項3に記載の発明は、正孔輸送層の最低非占有軌道準位の絶対値が、無機蛍光材料母体粒子よりも小さい事を特徴とする。
【0032】
請求項4に記載の発明は、電子輸送物質および電子輸送層のイオン化ポテンシャルの絶対値が、無機蛍光材料母体粒子よりも大きい事を特徴とする。
【0033】
請求項5に記載の発明は、無機蛍光材料母体粒子にドープされるドーパント元素の種類が複数であり、かつドーパント元素からの380〜780nmにおける発光波長が少なくとも2種類以上である事を特徴とする。
【0034】
請求項6に記載の発明は、正孔輸送層と発光層、発光層と電子輸送層の少なくとも1方を積層する際に、隣接する層への溶解度が低い溶媒を用いた溶液から積層される事を特徴とする。
【0035】
請求項7に記載の発明は、正孔輸送層と発光層、発光層と電子輸送層の少なくとも1方を積層する際に、隣接する層へ溶解しない温度以下で積層される事を特徴とする。
【0036】
請求項8に記載の発明は、発光層と陽極との間に電子の移動を妨げるための層を備えるか、もしくは発光層と陰極との間に正孔の移動を妨げるための層を備える事を特徴とする。
【0037】
請求項9に記載の発明は、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた電流注入型発光素子であって、発光層が、発光中心となる元素をドープした平均粒子サイズ100nm以下のII−VI族半導体粒子と、II−VI族半導体粒子を分散するための少なくとも1種の媒体とを含有し、かつ前記発光層と前記陽極との間に、イオン化ポテンシャルの絶対値がII−VI族半導体粒子よりも大きく正孔を支配的に輸送する正孔輸送層を備え、かつII−VI族半導体粒子が沈殿する事なく溶液中への分散状態を保ったまま製造される事を特徴とする。
【0038】
請求項10に記載の発明は、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備え、電流注入型発光素子であって、発光層が、発光中心となる元素をドープした平均粒子サイズ100nm以下の無機蛍光材料母体粒子と、無機蛍光材料母体粒子を分散するための少なくとも1種の媒体とを含有し、無機蛍光材料母体粒子にドープされるドーパント元素の種類が複数であり、かつドーパント元素からの380〜780nmにおける発光波長が少なくとも2種類以上である事を特徴とする。
【0039】
請求項11に記載の発明は、発光層と陽極との間に、イオン化ポテンシャルの絶対値が無機蛍光材料母体粒子よりも大きく正孔を支配的に輸送する正孔輸送層を備える事を特徴とする。
【0040】
請求項12に記載の発明は、最低非占有軌道準位の絶対値が前記無機蛍光材料母体粒子より大きく、電子を支配的に輸送する電子輸送物質が、無機蛍光材料母体粒子を分散するための媒体に共に分散されるか、もしくは発光層と陰極との間に、単独でもしくは媒体に分散された電子輸送層として備えられる事を特徴とする。
【0041】
請求項13に記載の発明は、正孔輸送層の最低非占有軌道準位の絶対値が、無機蛍光材料母体粒子よりも小さい事を特徴とする。
【0042】
請求項14に記載の発明は、電子輸送物質および電子輸送層のイオン化ポテンシャルの絶対値が、無機蛍光材料母体粒子よりも大きい事を特徴とする。
【0043】
請求項15に記載の発明は、正孔輸送層と発光層、発光層と電子輸送層の少なくとも1方を積層する際に、隣接する層への溶解度が低い溶媒を用いた溶液から積層される事を特徴とする。
【0044】
請求項16に記載の発明は、正孔輸送層と発光層、発光層と電子輸送層の少なくとも1方を積層する際に、隣接する層へ溶解しない温度以下で積層される事を特徴とする。
【0045】
請求項17に記載の発明は、発光層と陽極との間に電子の移動を妨げるための層を備えるか、もしくは発光層と陰極との間に正孔の移動を妨げるための層を備える事を特徴とする。
【0046】
なお、本文中においてイオン化ポテンシャルの絶対値から、バンドギャップの絶対値を引いた値を、本文中で「最低非占有軌道準位の絶対値」として定義しており、電子が伝導するエネルギー準位として考えている。
【0047】
また、本発明の実施の形態では、電流注入型発光素子として、EL素子、特に有機物質を発光層の主たる構成物質とする有機EL素子を想定して説明する。また、有機EL素子の動作原理、基本的な素子構成についてはすでに多くの著書、論文等が公知技術として存在するのでここでは詳細な説明を割愛し本実施の形態を説明するに必要な部分のみにとどめる。基本的な事項に関しては、例えば、”Organic Electroluminescent Materialsand Devices” 、Seizo Miyata and HariSingh Nalwa:Golden and Breach Science Publishers を参考にすることを推奨する。
【0048】
以下、図1〜図7を用いて、本発明における実施の形態の例を挙げて詳細に説明する。
【0049】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の要部断面図であり、図1において、1は基板、2は素子に電力を供給するための一方の電極(以下、本実施の形態においては特に陽極と呼ぶ)、3は発光層、4は発光層3を構成するマトリックス材料(以下、マトリックスと呼ぶ)、5は発光層3を構成する粒子(以下、粒子と呼ぶ)、6は素子に電力を供給するためのもう一方の電極(以下、実施の形態においては陰極と呼ぶ)、7は正孔輸送層、8は電子輸送層である。
【0050】
図1(a)は上記要素を全て備えた構造を示し、図1(b)は発光のために最低限必要な、基板1と、陽極2と、マトリックス4と粒子5とで構成される発光層3と、陰極6とを備えた構造を示している。なお、他の形態としては、図1(b)の構成において、正孔輸送層7もしくは電子輸送層8のいずれか一方のみが積層される構造であってもよい。
【0051】
本発明の電流注入型発光素子は、二つの電極間2,6に直流電流、またはパルス電流を流すことにより、陽極2から正孔が発光層3に注入され、一方、陰極6からは電子が発光層3に注入される。発光層3の導電性高分子材料はホール及び/または電子を輸送し、超微粒子である無機蛍光体に正孔または電子を注入する。
【0052】
その結果、超微粒子無機蛍光体中で励起子が生じ、これらが再結合する際に光を放出することになっていると思われるが、発光メカニズムは明らかになっていない。
【0053】
電流注入型発光素子の構成としては図1に示した他に、基板1上に陰極6を設け、発光層3の上部に陽極2を設けた構成でも良い。更に、基板1上にホール注入を容易にし、基板1の平滑性を向上させ界面の特性を良化させるために、正孔輸送層7を設けることが好ましい。正孔輸送層7は、イオン化ポテンシャルの値が発光層3と陽極2との間に近い値をもつ材料を使用することが、注入効率を上げるために特に好ましい。
【0054】
発光層3と陰極6の間には電子輸送層8を設けることもできる。電子輸送層8としては、Alq,Gaq,Bphen,PBD,TAZ,シロール化合物及びこれらの誘導体が代表的な材料としてあげられる。さらに、陰極6からの電子注入の効率を向上させるために電子注入層を設けることも好ましい。
【0055】
ここで、本発明の電流注入型発光素子の各構成について更に詳しく説明する。
【0056】
まず、基板1は素子全体を保持する事をその主たる働きとする。基板1は機械的強度の他に、平坦性、絶縁性、素子劣化の原因となる水分や酸素ガス等の物質透過の遮断性、等の性質が要求され、また基板方向に光を取り出す場合には発光波長における透明性も要求される。これらの要求を満たす物として一般に用いたれる基板としてガラスがある。本実施の形態においてもガラスを基板として用いた例について説明する。もちろん本発明における基板はガラスに限られる物ではなく、上記の要求性能を満たす物であればどのような物でもかまわない。基板として使用できる物の例として、透明または半透明のソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミナケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英ガラス等の無機酸化物ガラス、無機フッ化物ガラス、等の無機ガラス、あるいは、透明または半透明のポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリフッ化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、非晶質ポリオレフィン、フッ素系樹脂等の高分子フィルム等が用いることができ、透明または半透明のAs、As4010、S40Ge10等のカルコゲノイドガラス、ZnO、Nb、Ta、SiO、Si、HfO、TiO等の金属酸化物および窒化物等の材料から適宜選択して用いることができ、複数の基板材料を積層した積層基板を用いることもできる。
【0057】
更に、不透明のSi(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウム砒素)、InAs(インジウム砒素)、GaSb(ガリウムアンチモン)、InSb(インジウムアンチモン)等の無機半導体基板、あるいは、不透明のFe(鉄)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Ag(銀)等の金属または合金、金属化合物基板等、或いは、不透明のプラスチック、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の高分子基板等が用いられる。更にこれら複数の基板材料を積層した積層基板を用いることもできる。
【0058】
なお、この基板1の表面あるいは内部には、電流注入型発光素子を駆動するためのトランジスタ、ダイオード、抵抗・コンデンサ・インダクタ等からなる回路を形成していても良い。
【0059】
また、ここで言う平坦性とは陽極や発光層などのマイクロメートルあるいはそれ以下のレベルの薄い膜(以下薄膜とする)に対する平坦性のことであって、巨視的な意味ではない。巨視的には基板は平坦である必要はなく、屈曲していたり球面や円筒面を基板として素子が構成されていてもかまわない。さらに、後述する陽極と基板を兼ねる構成をとることも出来、その場合には基板は導電性の物質で構成されていてもよい。
【0060】
次に、陽極2について説明する。陽極2は、ホールを注入する電極であり、ホールを効率良く発光層3に注入することが必要である。陽極2としては、透明電極を用いることができる。透明電極は透光性の導電膜であり、その材料として、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、あるいは、SnO:Sb(アンチモン)、ZnO:Al(アルミニウム)といった混合物からなる透明導電膜や、あるいは、透明度を損なわない程度の厚さのAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Ti(チタン)、Ag(銀)といった金属薄膜や、これら金属の混合薄膜、積層薄膜といった金属薄膜や、あるいは、ポリピロール等の導電性高分子等を用いる事ができる。また、これら複数の透明電極材料を積層することで透明電極とすることも可能であり、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ法または電界重合法、化学重合法等により形成する。また、透明電極は、十分な導電性を持たせるため、または、基板表面の凹凸による不均一発光を防ぐために、1nm以上の厚さにすることが望ましい。また、十分な透明性を持たせるために500nm以下の厚さにすることが望ましい。
【0061】
更に、陽極2としては、透明電極以外にも、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Sn(錫)、W(タングステン)、Au(金)等の仕事関数の大きな金属、あるいはその合金、酸化物等を用いることができ、これら陽極材料を用いた複数の材料による積層構造も用いることができる。なお、陽極2として透明電極を用いない場合には、陰極6が透明電極であればよい。この場合、陽極2は光を反射する材料で形成することが好ましい。
【0062】
また、陽極2に非晶質炭素膜を設けても良い。この場合には、共に正孔注入電極としての機能を有する。即ち、陽極から非晶質炭素膜を介して発光層或いは正孔輸送層に正孔が注入される。また、非晶質炭素膜は、陽極と発光層或いは正孔輸送層との間にスパッタ法により形成されてなる。スパッタリングによるカーボンターゲットとしては、等方性グラファイト、異方性グラファイト、ガラス状カーボン等があり、特に限定するものではないが、純度の高い等方性グラファイトが適している。非晶質炭素膜が優れている点を具体的に示すと、理研計器製の表面分析装置AC−1を使って、非晶質炭素膜の仕事関数を測定すると、非晶質炭素膜の仕事関数は、Wc=5.40eVである。ここで、一般に陽極としてよく用いられているITOの仕事関数は、WITO=5.05eVであるので、非晶質炭素膜を用いた方が発光層或いは正孔輸送層に効率よく正孔を注入できる。また、非晶質炭素膜をスパッタリング法にて形成する際、非晶質炭素膜の電気抵抗値を制御するために、窒素あるいは水素とアルゴンの混合ガス雰囲気下で反応性スパッタリングする。さらに、スパッタリング法などによる薄膜形成技術では、膜厚を5nm以下にすると膜が島状構造となり均質な膜が得られない。そのため、非晶質炭素膜の膜厚が5nm以下では電気抵抗が高くなり過ぎ、その結果、電流が流れず、効率の良い発光が得られない。また、非晶質炭素膜の膜厚を100nm以上とすると、膜の色が黒味を帯び、電流注入型発光素子の発光が十分に透過しなくなる。本実施の形態では陽極にITOを用いた素子を例として説明する。
【0063】
次に、発光層3に含まれる無機蛍光体(粒子5)としては、一般に用いられている無機蛍光材料を広く用いることができる。無機蛍光体は、一般に母体の結晶の中に発光中心となる特定のイオンあるいは格子欠陥が分散されている。これらの発光中心は数atomic%以下存在する。これらを含んだ無機蛍光物質の例としては、例えばイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)として知られている母体にセリウムを発光中心として添加した蛍光体や、II−VI族半導体の代表的な物質としてZnS(硫化亜鉛)、代表的なドープ金属イオンとしてMn(マンガン)、鉄(Fe)、Cu(銅)、Ag(銀) 等、 応用物理学会、有機分子・バイオエレクトロニクス研究会、Vol.10, No.3 (1999)及びその引用文献に記載されているディスプレイ用蛍光体を用いることが出来る。その他にGaNの微結晶からなる超微粒子蛍光体、Eu(II)xSiyOz(x,y,z,はそれぞれ任意の値を取りうる)、例えば、EuSiO,EuSiO,EuSiO,EuSiO,EuAl,EuAlのようなEu2+の誘導体、ユーロピウムメタシリケート、ユーロピウムで活性化されたカルシウムメタシリケート、ストロンチウムメタシリケートなどが好ましく用いることができる。しかしながら、これらに限定されるものではない。
【0064】
本発明に用いられる無機蛍光体はいわゆる超微粒子であり、本発明に用いられる無機蛍光体の平均粒子サイズは100nm以下のものが好ましく用いられるが、50nm以下のものが特に好ましい。最も好ましくは30nm以下のものである。平均粒子サイズが小さくなると、より均一な薄膜を得ることが可能となり、より均一な発光デバイスが得られ、発光効率が上昇する。また、粒子サイズが小さくなるといわゆる量子サイズ効果により発光が短波長化する。
【0065】
粒子サイズ分布は、多分散のものから単分散の粒子まで用いることが可能であるが、多分散粒子より、より単分散に近い粒子を用いた方が発光の均一性、寿命特性などに優れている。
【0066】
これらの超微粒子の平均粒子サイズ及び粒子サイズ分布は、市販されている粒度分布測定装置で測定することが出来る。例えば、動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所製LB−500型)で3nm以上の粒子は測定する事が可能である。さらに小粒径のものは透過型電子顕微鏡写真を撮影することによって評価することが出来る。
【0067】
本発明に用いられる超微粒子の作製方法としては、種々の方法が知られている。例えば、従来から知られているゾルーゲル法、噴霧熱分解法、超臨界水反応晶析法や共沈殿法(Hongzhi Wangら、Material Science and Engineerring,A288,p1(2000))によるYAG超微粒子の合成などの報告がある。また、高分子媒体中で結晶を形成させコア・シェル構造の超微粒子を作製する方法も知られている(F.Caruso,Adv.Mater.,vol.13,p14(2001)。本発明に用いられる超微粒子は作製方法を問わないが、真空装置を用いずに湿式法で作製することが、コスト上は最も好ましい。
【0068】
そして、発光層3に含有される媒体(マトリックス4)として、超微粒子を分散するために高分子化合物を用いることが好ましい。本発明で用いることができる高分子化合物は発光を司る超微粒子のイオン化ポテンシャル(Ip)より大きなイオン化ポテンシャルを持つ化合物であれば任意の化合物を使用することができる。また、超微粒子蛍光体のバンドギャップよりそれを分散する高分子化合物のバンドギャップの方が大きいと発光効率がより向上し好ましい。
【0069】
更に、発光層3に含有されるマトリックス4としては導電性高分子化合物を用いることが好ましく、それらの高分子化合物のホール移動度、電子移動度は大きいほうが効率良くホール及び電子を注入することができるため駆動電圧の低減および耐久性の点から望ましい。ホール、電子移動度はTOF法(タイム・オブ・フライト法)によって測定することができる。
【0070】
具体的に用いられる高分子化合物の代表例としては、π共役系の高分子化合物およびσ共役系ポリマーが用いられる。π共役系の具体的な例としてポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン、ポリ(2,5−ジアルコキシーp−フェニレンビニレン、ポリ(2−メトキシー5−(2‘−エチルヘキシル)p−フェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン、アルキルチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド及びその誘導体、ポリカーボネート及びその誘導体などを用いることができる。σ共役系ポリマーはポリシラン及びその誘導体が具体的な例としてあげられる。しかしながらこれらに限定されるものではない。
【0071】
これらの高分子化合物のガラス転移温度は100℃以上であることがデバイスの安定性の向上につながり好ましい、特に120℃以上のガラス転移温度を持つものが実用上好ましい。
【0072】
本発明の電流注入型発光素子の作製は従来用いられている方法によって可能である。すなわち、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、交互積層法などが用いられる。例えば、城戸淳二監修、シーエムシー社、有機EL材料とディスプレイ(2001年)に記載がある。
【0073】
一般に有機EL素子の場合はキャリア注入の際、発光層3と電極の間には電気的な障壁が存在する事が知られている。障壁の詳細についてここで説明するのはあまりに煩雑であるので、たとえば「有機EL材料とディスプレイ(シーエムシー出版)」等に譲りここでは割愛する。障壁は、簡単には発光層3(マトリックス4と言い換えてもよい)に電極から正負のキャリアを注入するための抵抗のようなものである。この抵抗が大きいと当然の事ながら素子を点灯するために必要な電圧である駆動電圧が上昇する。抵抗の大小を決定するのは電極の仕事関数とマトリックス4材料のイオン化ポテンシャルや電子親和力との差異である。つまるところ、マトリックス4の材料と電極の間には最適な組み合わせが存在するということである。この組み合わせを最適化するためにも粒子5の仕事関数を考慮して素子の設計を行うことは重要である。
【0074】
さて、前述したような様々なマトリックス材料に対して最適な組み合わせを提供できる電極の仕事関数の範囲はおおむね1.25eV以上6.0eV以下である。特に陰極側への採用を考える際には電極の仕事関数は小さいことが望ましいが、物質の仕事関数は理論的に0には出来ず、自然下限が存在する。従来電極材料として知られている物質の仕事関数の下限はほぼ1.25eVである。また一方大きい側もマトリックス材料として用いられる物質の物性によってある程度制限され、5.5eV以上の仕事関数をもつ電極の採用はマトリックス4との障壁の増大を考慮すると望ましいものではない。
【0075】
さらに、粒子5は互いに異なる特性を持った複数の粒子の混合物であってもよい。ここで言う混合物とはたとえば異なる特性の粒子状物質をマトリックス4内に同時に混合する、または異なる特性を持った粒子が互いに付着しているものを混合する、あるいは互いに異なる物質の一方が一方を不完全に覆っているような粒子を混合する、平板状で表裏で特性が異なる粒子を混合する、一方が粒子で他方がその表面に吸着した分子種である、結晶の異方性により結晶の向きによって特性が異なる等幅広い意味合いで記載している。粒子5をここで言う混合物の状態でマトリックス4内に導入することにより一層の素子特性の向上が期待できる。詳細は後述する。
【0076】
さて、その他に粒子5が持つべき特性として大きさがある。粒子5の少なくとも1つの軸方向の大きさは発光層3の厚みよりも小さいことが必要である。粒子5が発光層3よりも大きいと陽極2と陰極6が短絡してしまい当然のことであるが発光素子として機能しない。それ以外の特性、たとえば形状や構成材料については先に説明した電気伝導度と仕事関数を除けば特に制限はない。粒子という名称を与えているが、平板状、あるいは針状・棒状であってもかまわない。また、素子形成以前には明確な形状を持ち合わせず、素子を作成する過程でたとえば相分離のような過程を経て形成される領域のようなものであってもかまわない。
【0077】
実施の形態においては粒子5の一例として、マンガンもしくは銅もしくは銀ドープ硫化亜鉛、すなわちZnS:MnもしくはZnS:CuもしくはZnS:Agの粒子またはそれらの混合物を使用している。ZnS自体は可視域で透明であり、半導体的性質を持つ材料である。そのバンドギャップは可視域の発光波長に相当するバンドギャップよりも大きく約3.7eVである。これは大抵の有機分子よりは小さく、粒子5を保護する有機分子からキャリアがZnSを通じてドーパントであるMnやCuやAgへと移動するのに都合が良い。また異なるドーパントでも、キャリア注入の障壁が1種類の母体(ここではZnS)によって決まる。このため異なる色の発光が、同一のエネルギーレベルでのキャリア注入で得られる。
【0078】
次に、陰極6は、電子を注入する電極であり、電子を効率良く発光層3(或いは電子輸送層や電子注入層)に注入することが必要であり、仕事関数の小さいAl(アルミニウム)、In(インジウム)、Mg(マグネシウム)、Ti(チタン)、Ag(銀)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)等の金属、あるいは、これらの金属の酸化物やフッ化物およびその合金、積層体等が一般に用いられる。また、発光層3(或いは電子輸送層や電子注入層)と接する界面に、仕事関数の小さい金属を用いた光透過性の高い超薄膜を形成し、その上部に透明電極を積層することで、透明陰極を形成することも可能である。特に仕事関数の小さなMg、Mg−Ag合金、特開平5−121172号公報記載のAl−Li合金やSr−Mg合金あるいはAl−Sr合金、Al−Ba合金等あるいはLiO/AlやLiF/Al等の積層構造は陰極材料として好適である。成膜方法としては抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ法が用いられる。
【0079】
なお、陽極2及び陰極6は少なくとも一方が透明電極であればよい。更に、共に透明電極であってもよいが、光の取り出し効率を向上させるためには、一方が透明電極であれば、他方が光を反射する材料で形成することが好ましい。
【0080】
更に、電流注入型発光素子を外気から遮断し、長時間安定性を保証するために必要に応じて、陰極6の上に保護膜を形成し、陽極2〜陰極6の積層体を基板1上で包み込むように保護してもよい。即ち、材料の酸化や水分との反応を抑えるために保護膜を設けることが長期信頼性のためには必要である。
【0081】
その保護膜の材料としては、SiON、SiO、SiN、SiO、Al、LiF等の無機酸化物、無機窒化物、無機フッ化物からなる薄膜、あるいは、無機酸化物、無機窒化物、無機フッ化物等からなるガラス膜、あるいは、熱硬化性、光硬化性の樹脂や封止効果のあるシラン系の高分子材料等が挙げられ蒸着やスパッタリング等もしくは塗布法により形成される。
【0082】
ここで、イオン化ポテンシャル、バンドギャップの測定法について説明する。イオン化ポテンシャルは、紫外線を資料に照射し、光電子が放出される閾値の励起エネルギーを測定することで見積もることができる。簡便な方法として市販の装置(理研計器製、光電子分光装置AC−1)を用いて、大気中で測定することができる。またバンドギャップは、試料の分光吸収特性を分光光度計で測定し、その吸収端のエネルギーを求めることでバンドギャップとみなすことで評価できる。
【0083】
本実施の形態における陰極6は蒸着されたアルミニウム薄膜である。本実施の形態における陰極6は陽極2と同様通常の素子駆動状態において素子に対してマイナスの電位を与える極として説明する。陰極6も陽極2と同様発光面に対して均一な電圧を印加できる物であることが最も重要である。いわゆるトップエミッションと呼ばれる素子構成をとる際には光取り出しのためにITO等の透明電極が用いられるが、本実施の形態では陽極2が透明電極であり、光取り出しは基板方向に行うことが出来るので不透明なアルミニウムを用いている。
【0084】
さらに発光層3と陽極2との間には、正孔注入の役目を果たす正孔輸送層7が存在する。正孔輸送層7がその機能を発するには、正孔輸送層7のイオン化ポテンシャル準位が、陽極2と発光層3のイオン化ポテンシャル準位の間に位置することが望ましい。
【0085】
また、正孔輸送層7の最低非占有軌道準位の絶対値が発光層3の最低非占有軌道準位の絶対値よりも小さければ、電子ブロック層としての機能を発現して、発光層3内でのキャリア再結合を高効率化する事ができる。
【0086】
さらに、発光層3と陰極6の間には電子注入の役目を果たす電子輸送層8が存在する。電子輸送層8がその機能を発するには、電子輸送層8の最低非占有軌道準位が陽極と発光層の最低非占有軌道準位の間に位置することが望ましい。
【0087】
また、電子輸送層8のイオン化ポテンシャルの絶対値が発光層3のイオン化ポテンシャルの絶対値よりも大きいならば、正孔ブロック層としての機能を発現して、発光層内でのキャリア再結合を高効率化する事ができる。
【0088】
正孔輸送層7と発光層3と電子輸送層8は各々個別に溶液からスピンコート等の手法で積層されるが、その際に、互いに隣接する層への溶解度が小さい溶液を用いて、すなわち、隣接する層とは極性の異なる溶媒である事が望ましい。もしくは溶液を展開して積層する際の、基板および溶液の温度を、隣接する層が溶出しない温度以下に冷却しておく事が望ましい。
【0089】
正孔輸送層7を積層する際の溶媒が極性であるならば、発光層3を積層する際の溶媒は非極性であり、かつ電子輸送層8を積層する際の溶媒は極性である事が望ましい。また正孔輸送層7を積層する際の溶媒が非極性であるならば、発光層3を積層する際の溶媒は極性であり、かつ電子輸送層8を積層する際の溶媒は非極性である事が望ましい。
【0090】
正孔輸送層7と電子輸送層8は各々単独で存在しても、同時に存在していても、もしくはどちらも存在しない構造であっても良い。
【0091】
正孔輸送層7としてPEDOT−PSS水溶液を用いたならば、発光層3は例えば非極性なトルエン等溶媒とするZnS:Mn,Cu,Agの溶液から積層され、電子輸送層8は極性の高い水もしくはメタノール等を溶媒とするバソクプロイン(BCP)分子含有ポリマー溶液から積層される。
【0092】
実施の形態における素子構成は以上のような物であるが、これらは本発明を説明するにあたり最低限必要な構成要素のみを取り出して説明しているにすぎない。素子を実用的に機能させるためには、たとえば素子を空気中の酸素や水分などによる劣化から守るための封止や、効率向上のためのキャリア輸送層の採用等いくつかの構成要素の追加が考えられる。これらの工夫は本発明の本質とは直接の関係がないので実施の形態には含めていない。もちろんこのような構成を付加することにより一層の素子特性の向上を図ることが出来るのは言うまでもない。本説明においては極力簡潔な説明を行うためにそれらを一切廃し、単純化していることを付記する。
【0093】
さて、従来の技術において簡便な記載を行ったが、ここで改めて本発明が解決しようとするところの有機EL素子の輝度及びその色度の劣化について詳細に説明を行う。
【0094】
前述したように、素子の輝度を向上させる方法の一つとして発光層材料の発光効率を改善するという方法がある。これはすなわち、電極から注入された正負両キャリアが再結合してエネルギーを解放する際にそのエネルギーが100%光エネルギーに変換されるような材料系を用いるということである。
【0095】
素子に注入された正負キャリアが再結合すると、発光層を構成する材料中の分子が励起される。励起された分子は一般に何らかの緩和過程を経て基底状態に戻るが、その緩和過程の一つとして発光による緩和がある。ある分子が励起された際に発光によって緩和するか、または熱的に緩和するかはその分子構造に依存するところが大きい。すなわち分子種によって発光しやすい物としにくいものがある。よって、発光層の発光効率を向上させるためには発光によって緩和する傾向がより強い分子種を選択して採用することが必要である。ある量のキャリアが発光層に注入された際に、どの程度の割合で光に変換されるかの割合を発光の量子収率と呼んでいる。発光の量子収率が100%であれば注入された電気エネルギーは完全に光に変換される。
【0096】
さて、先に述べた輝度向上の限界の一つにこの変換効率がある。すなわち、近年の研究の進展により、発光層に採用される材料の発光の量子収率は高いものではほぼ100%に達しており、これが先に述べた理論的な上限に来ているということである。よって、このような高性能の材料を発光層に用いる限り、効率向上による輝度改善は限界であるといえる。
【0097】
次にもう一つの輝度向上の方法として印加電圧を高くする方法について説明する。
【0098】
印加電圧を高くしても輝度向上には限界があることはすでに述べたが、その原因は2つある。それはキャリア結合効率の低下と界面の破壊である。この2つの原因についてそれぞれ説明する。
【0099】
まず、キャリア結合効率について。前述したような発光の量子収率が100%近い材料であっても、その発光エネルギーの源は注入される正負のキャリアであるので、キャリアの量が少ないと発光することが出来ないし、逆にキャリアが増大すると次第に強く光るようになる。素子において、正負のキャリアが電極から発光層に注入されると、印加された電界によって対極へ向かって移動していくが、このとき正負キャリアは反対の電荷を持っているので互いにすれ違うように動く。このとき、発光層の通過過程で反対電荷のキャリアと出会ったものだけが結合によってエネルギーを解放出来るが、あまりに印加される電圧が高いと多量のキャリア注入が達成されることもさることながら、結合してエネルギーを解放することなく対極に到達してしまうキャリアの数も増大していく。互いに結合出来なかったキャリアは素子中を通過したのみであり、電気的には単に抵抗内を流れたにすぎない。この場合、エネルギーは熱として損失される。よって、注入されたキャリアのうち光に変換される割合が低下する。さらに電圧を上げると、それに従って非結合性のキャリア数が増え発光の効率は次第に低下していく。電圧を上げれば単純に注入されるキャリア数は増大していくので、効率は悪いながら輝度は向上していく。しかしながら実使用という観点から考えても、また後述する界面破壊の点からも電圧の過度の上昇は得策ではないことは明らかである。このようにキャリア結合効率の低下という原因から印加電圧を増大させることによる輝度改善には問題がある。
【0100】
次に界面の問題について述べる。素子に電圧が印加されると電圧は素子内の各界面(陽極−発光層界面、陰極−発光層界面)と発光層に分配される。このとき発光層と電極の界面は異種材料の接合面であるために望ましくない吸着物質や局所的に接合が弱い部分等が存在していること。また電気的にも障壁が存在すること、さらに化学的にも反応性が高い金属と有機物が接していることなど不安定な要因が多く集中しており、過度の電圧印加がなされると電位差によって破壊される。一旦破壊された部位は発光に寄与しないことはもとより、不安定な物質の生成等により周辺部分に破壊領域を広げていき、結果的に素子全体を破壊する。この界面破壊は印加電圧の上昇と共に急激にその危険性を増すので過度の電圧印加はさけるべきである。このように印加可能な電圧は界面の問題からも上限があり、電圧上昇による輝度向上を制限する。
【0101】
次に色度の問題について述べる。有機EL素子において白色の発光を行う際には、RGB異なる発光色素を組み合わせる方法か、もしくは最も短波長である青色をEL発光させ、それを励起光源として緑色発光と赤色発光を蛍光として取り出す手法等が挙げられる。いずれにしろRGB各色の発光強度の寿命は異なっており、最も短寿命な色素の劣化が白色発光としての色度寿命を決めてしまうことになる。有機EL素子においてRGB各色単独で1万時間の寿命を保証はしているが、RGB各色どれかが1/16階調の減衰をしただけでも白色色度の変動は目視で確認できてしまう。このため白色発光の色度の寿命としては、実質数百〜千時間程度という結果になっていた。
【0102】
以下、本発明における電流注入型発光素子の作製法、構造並びに動作を詳細に説明する。
【0103】
素子の作製手順を図2に示す。なお、図2は、本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の作製手順を説明する図である。
【0104】
実施の形態の素子作製に使われた粒子5はZnS:Mn、ZnS:Cu、ZnS:Agの混合物であって、その形状はほぼ球形、粒径は約10〜20nmである。本発明を実施するには原理的に粒子の大きさの制限はないが、本発明が対象としている技術分野における発光素子の厚みは通常数百nmから数ミクロンであり、説明の一般性を損なわないために10nmの粒子の大きさを選択している。
【0105】
ここで、図3は、本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子のエネルギーダイアグラムである。図3中の数字の単位はeVである。PEDOT、ZnS、BCPの上段の数値は最低非占有軌道準位、下段の数値はイオン化ポテンシャル準位を示す。具体的に作製された素子については後述し、まずは本発明の原理を説明することを行う。
【0106】
図1の形態の素子に電圧を印加した場合を説明する。以降の素子動作については説明を簡便にするためにいくつかの仮定を行う。すなわち、素子には適正な電圧が印加され、マトリックス4に対して適切な電極が使われており、注入されたキャリアはすべて発光層3内で結合するものとし、またそれによって解放されるエネルギーはすべて光に変換されるものとする。この仮定は説明を簡易にするのみで、本発明の本質的な内容に対して何らの影響も与えるものではない。
【0107】
さて、正孔は陽極2とから正孔輸送層7を通じて発光層3内に注入され、電子は陰極6から電子輸送層8を通じて発光層3に注入される。この正負それぞれのキャリアは、発光層3を構成する分子上をホッピングしながら正電荷は発光層内の電位勾配によって生じる電界に従って、そして負電荷はその逆方向に移動していく。そして発光層3内で出会った正負の電荷は対消滅してエネルギーを分子に渡し、分子は励起される。励起された分子は発光しながら緩和する。こうして素子から光が放出される。このとき素子にかかる電圧は発光層3内において図4に示したように分布する。発光層3内において図4に示したような電位勾配が発生する。 この勾配が注入されたキャリアを移動させる。なお発光層3での電位勾配をシンプルにする為に図4では、正孔輸送層7と電子輸送層8は省略してある。なお、図4は、本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子内の電界分布を説明するための図である。
【0108】
ここでより詳細に図3のエネルギーレベルダイアグラムに着目する。陽極2より正孔輸送層7を通じて発光層3にまで正孔が注入される。これを効率良く行うために正孔輸送層7のイオン化ポテンシャル準位は、陽極2の準位と発光層3のイオン化ポテンシャル準位の中間に位置するのが望ましい。また陰極6からは、電子が電子輸送層8を通じて、発光層3にまで注入される。これを効率良く行うために電子輸送層8の最低非占有軌道準位は、陰極6の準位と発光層3の最低非占有軌道準位の間に位置するのが望ましい。この時、発光層3内で再結合した電子と正孔の対は発光へとそのエネルギーを変換する事ができるが、再結合せずに対極までたどり着く電子と正孔のエネルギーは熱エネルギーにしか変換できない。図3の電子輸送層であるバソクプロイン(BCP)は、発光層よりも大きいイオン化ポテンシャル準位の絶対値を持つので、発光層3内で再結合できずに陰極6へ向かう正孔をブロックする事ができる。この正孔ブロック効果により、発光層内での電子正孔対の再結合頻度が大きくなり、より高効率な発光を実現する事ができる。
【0109】
また正孔輸送層7であるPEDOTの代替としてポリビニルカルバゾール(PVK)等を用いる事もできる。PVKは発光層3のZnSよりも小さい最低非占有軌道準位の絶対値を有するので、発光層3内で再結合せずに陽極2へ向かう電子をブロックする事が出来る。
【0110】
隣接する層への溶解度が低い溶液を用いて積層を行う事で、先に積層された層を侵す事無く、これらキャリアブロック層が明確な界面を有して発光層3に積層できる。これにより発光層内での電子正孔対の再結合頻度を高め発光効率を高める事が出来る。
【0111】
次に、図5における発光スペクトルと色度について説明する。図5は、本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の発光スペクトルを示すグラフである。発光層3内の粒子5として、ZnSを例として挙げる。ZnSを母体としてドーパント金属の種類が異なると発光色が異なる。ドープ系蛍光体においては、電子と正孔の対はそれぞれZnSの導電体とイオン化ポテンシャル準位を通じてZnSへと注入される。この電子正孔対の再結合が、ZnS結晶内のドーパント金属においてなされると、ドーパントのバンドギャップエネルギーに応じた波長の発光を生じる。このためMnドーパントでは580nm,の橙色、Cuドーパントでは530nmの緑色、Agドーパントでは460nmの青色発光を生じる。これら3種類のドーパントの濃度を適切に設定する事により、RGB各発光色が適切になされる。またRGB各色発光を行う際のエネルギー障壁は、一律にZnS母体に起因するものである。このため一色だけが早い劣化を生じて、白色の色度が短寿命であるといった弊害がない。
【0112】
本実施の形態では粒子としてZnS:Mnを用いた説明を行ったが、もちろん混合する粒子5はZnS:Mnに制限されるものではない。たとえばCdSeやZnSeなどをはじめとするII−VI族半導体粒子等であり、またドーパント金属原子もMn、Ag、Cuに限らずSb、Eu等、380〜780nmの範囲で発光を生じる元素であればよい。このように、粒子5は、発光中心となる元素をドープした平均粒子サイズ100nm以下の無機蛍光材料母体粒子であれば何でもよい。
【0113】
次に、前述した手続きを経て実際に作製された素子の特性について説明を行う。
【0114】
図6は、本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の印加電圧と電流密度の関係を表したグラフであり、図7は、本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の電流密度と発光輝度の関係を表したグラフである。図6から、素子に順方向電圧をかけた際に5〜6V付近から閾値を得て電流が流れ始める事が判る。また図7より、電流が流れ始めてから電流密度と輝度とほぼ一次の相関関係を有する事がわかる。
【0115】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における電流注入型発光素子の要部断面図であり、4は発光層3を構成するマトリックス材料(以下マトリックスと呼ぶ)である。
【0116】
実施の形態2においては、発光層3のマトリックス4中に、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔ブロック材料、電子ブロック材料が混合された構造である以外には、実施の形態1に準じる構造と特性を有する。
【0117】
図8(a)において、マトリックス4中に、陽極2と発光層3のイオン化ポテンシャル準位の間にイオン化ポテンシャル準位が位置するところの、正孔輸送材料が混合され分散される。また、正孔輸送材料の最低非占有軌道準位の絶対値が発光層3の最低非占有軌道準位の絶対値よりも小さければ、電子ブロック材料としての機能を発現して、発光層3内でのキャリア再結合を高効率化する事ができる。
【0118】
もしくは、マトリックス4中に、陰極6と発光層3の最低非占有軌道準位の間に最低非占有軌道準位が位置するところの、電子輸送材料が混合され分散される。また、電子輸送材料のイオン化ポテンシャル準位の絶対値が発光層3のイオン化ポテンシャル準位の絶対値よりも大きければ、正孔ブロック材料としての機能を発現して、発光層3内でのキャリア再結合を高効率化する事ができる。
【0119】
マトリックス4中に混合分散されるところの、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔ブロック材料、電子ブロック材料は、単独であっても各種混合されたものであっても良い。
【0120】
図8(b)においては、マトリックス4中に、陰極6と発光層3の最低非占有軌道準位の間に最低非占有軌道準位が位置するところの、電子輸送材料が混合され分散される。また、電子輸送材料のイオン化ポテンシャル準位の絶対値が発光層のイオン化ポテンシャル準位の絶対値よりも大きければ、正孔ブロック材料としての機能を発現して、発光層3内でのキャリア再結合を高効率化する事ができる。
【0121】
マトリックス4中に混合分散される、電子輸送材料および正孔ブロック材料は、単独であっても各種混合されたものであっても良い。
【0122】
また、図8(b)の形態に示すところの、正孔輸送層7が備えられる構造であってもよい。前記正孔輸送層7がない構造であってもよい。
正孔輸送層7が備えられる構造であるならば、実施の形態1で記述した様に、正孔輸送層7と発光層3は、各々個別に溶液からスピンコート等の手法で積層される。その際に隣接する層への溶解度が小さい溶液を用いて、すなわち隣接する層とは極性の異なる溶媒である事が望ましい。もしくは溶液を展開して積層する際の、基板および溶液の温度を、隣接する層が溶出しない温度以下に冷却しておく事が望ましい。
【0123】
正孔輸送層7を積層する際の溶媒が極性であるならば、発光層3を積層する際の溶媒は非極性である事が望ましい。また正孔輸送層7を積層する際の溶媒が非極性であるならば、発光層3を積層する際の溶媒は極性である事が望ましい。
【0124】
図8(c)においては、マトリックス4中に、陽極2と発光層3のイオン化ポテンシャル準位の間にイオン化ポテンシャル準位が位置するところの、正孔輸送材料が混合され分散される。また、正孔輸送材料の最低非占有軌道準位の絶対値が発光層3の最低非占有軌道準位の絶対値よりも小さければ、電子ブロック材料としての機能を発現して、発光層3内でのキャリア再結合を高効率化する事ができる。
【0125】
マトリックス4中に混合分散される、正孔輸送材料と電子ブロック材料は単独であっても各種混合されたものであっても良い。
【0126】
また、図8(c)の形態に示すところの、電子輸送層8が備えられる構造であってもよい。電子輸送層8がない構造であってもよい。
【0127】
電子輸送層8が備えられる構造であるならば、実施の形態1で記述した様に、発光層3と電子輸送層8は、各々個別に溶液からスピンコート等の手法で積層されるが、その際に隣接する層への溶解度が小さい溶液を用いて、すなわち隣接する層とは極性の異なる溶媒である事が望ましい。もしくは溶液を展開して積層する際の、基板1および溶液の温度を、隣接する層が溶出しない温度以下に冷却しておく事が望ましい。
【0128】
発光層3を積層する際の溶媒が極性であるならば、電子輸送層8を積層する際の溶媒は非極性である事が望ましい。また発光層3を積層する際の溶媒が非極性であるならば、電子輸送層8を積層する際の溶媒は極性である事が望ましい。
【0129】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における電流注入型発光素子の要部断面図であり、図9において、9は電子ブロック層、10は正孔ブロック層である。
【0130】
電子ブロック層9としては、ポリピリジンやポリアニリン等の最低非占有軌道準位の絶対値が小さい導電性高分子を用いる事が望ましい。電子ブロック層9の伝導帯準位の絶対値が、発光層3中の蛍光体母体の最低非占有軌道準位の絶対値よりも著しく小さい事により、発光層3中で発光に寄与する事無く対極である陽極2に達しようとする電子を妨げ、発光層3中での存在確率を高め、電子正孔対の再結合をより促し、発光を高効率化する。
【0131】
正孔ブロック層10としては、ポリパラフェニレンスルフィドやポリメタフェニレン等のイオン化ポテンシャル準位の絶対値が大きい導電性高分子を用いる事が望ましい。正孔ブロック層10の最低非占有軌道準位の絶対値が、発光層3中の蛍光体母体の最低非占有軌道準位の絶対値よりも著しく大きい事により、発光層3中で発光に寄与する事無く対極である陰極6に達しようとする正孔を妨げ、発光層3中での存在確率を高め、電子正孔対の再結合をより促し、発光を高効率化する。
【0132】
電子ブロック層9と正孔ブロック層10は、それぞれ単独で備えられる構造であっても、またどちらも備えられる構造であっても良い。
【0133】
なお、本実施の形態3においては、発光層3と陽極2との間に電子の移動を妨げるための電子ブロック層9を備えるか、もしくは発光層3と陰極6との間に正孔の移動を妨げるための正孔ブロック層10を備える構造である以外には、実施の形態1に準じる構造と特性を有する。
【0134】
【実施例】
(実施例1)
<ZnS:Mn,Cu,Ag超微粒子蛍光体およびその溶液の合成>
基本的にIsobeらによる文献に従って合成した(Journal of Luminescence、93、(2001)p.1−8参照)。
【0135】
即ち、酢酸亜鉛、及び酢酸マンガン、酢酸銅、酢酸銀(和光純薬工業製)の所定量混合の水溶液と、ニ硫化ナトリウムの水溶液を、ビス(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(AOT逆ミセル)イソオクタン溶液へそれぞれ混合し超音波分散した。この2つの逆ミセル溶液を徐々に攪拌しながら混合した。攪拌はマグネチックスターラーで行った。その後、トリオクチルホスフィン(TOPO)を過剰に添加して、AOTの逆ミセル構造を解離させ、TOPO保護のZnSナノクリスタル溶液を得た。トルエン/水の二相系にて溶媒抽出を行いAOTを水相へ抽出して、TOPO保護のZnSナノクリスタルのトルエン溶液を得た。
【0136】
<素子の作製>
十分に洗浄したITO付ガラス基板(透過率85%以上)に、PEDOT/PSS水溶液を窒素雰囲気下でスピンコートして厚さ50nmの薄膜を得た。得られた薄膜を窒素中で110℃で10分間乾燥させた。
【0137】
さらに得られた薄膜の上に上述のTOPO保護のZnSナノクリスタルのトルエン溶液を、窒素雰囲気下でスピンコートして厚さ50nmの薄膜を積層した。得られた薄膜を窒素中で100℃で1時間乾燥させた。次に、バソクプロインポリマーの水溶液を窒素雰囲気下でスピンコートして厚さ50nmの薄膜に積層を重ねた。これも窒素中で120℃で1時間乾燥させた。
【0138】
得られた本素子を真空蒸着装置にセットし、電子注入層として弗化リチウムを10nm蒸着した。続けて、陰極としてアルミニウムを1000nm蒸着した。その後、窒素置換したグローブボックスに素子を移し、ガラス基板の周辺に有機EL封止用のUV硬化樹脂(スリーボンド製30Y296G)を塗布し、ガラス板を陰極側から接着して封止をおこなった。
【0139】
なお、PEDOT/PSSのイオン化ポテンシャルは5.5eV、吸収端から見積もったバンドギャップは2.6eVであった。
【0140】
<素子の評価>
完成した発光素子にITOを陽極、Alを陰極として直流駆動を行った。発光開始電圧は7Vであった。電圧を10Vかけた時の輝度は100cd/mであった。なお、輝度はトプコン社製のBM−8ルミネセントメーターにより測定した。また浜松フォトニクス社製のマルチチャンネルアナライザで発光スペクトルを測定し、発光ピークが450、530、580nm付近にあることを確認した。発光色は白色であった。
【0141】
次に本素子を初期輝度100cd/mにて連続点灯試験を行った。1000時間経過後の輝度は95cd/mであった。この結果から本発明の実施例1の素子の寿命はきわめて優れていることがわかる。
【0142】
(実施例2)
<ZnS:Mn,Cu,Ag超微粒子蛍光体およびその溶液の合成>
実施例1で合成されたTOPO保護のZnSナノクリスタルのトルエン溶液において、保護基をメルカプトエタノールに置換し、溶媒を水に置換した、メルカプトエタノール保護のZnSナノクリスタル水溶液を得た。
【0143】
<素子の作製>
十分に洗浄したITO付ガラス基板(透過率85%以上)に、ポリビニルカルバゾール(PVK)のトルエン溶液を窒素雰囲気下でスピンコートして厚さ50nmの薄膜を得た。得られた薄膜を窒素中で110℃で10分間乾燥させた。
さらに得られた薄膜の上に上述のメルカプトエタノール保護のZnSナノクリスタル水溶液を、窒素雰囲気下でスピンコートして厚さ50nmの薄膜を積層した。得られた薄膜を窒素中で100℃で1時間乾燥させた。次に、バソクプロインのポリメチルメタクリレートのトルエン溶液を窒素雰囲気下でスピンコートして厚さ50nmの薄膜に積層を重ねた。これも窒素中で120℃で1時間乾燥させた。
【0144】
得られた本素子を真空蒸着装置にセットし、電子注入層として弗化リチウムを10nm蒸着した。続けて、陰極としてアルミニウムを1000nm蒸着した。その後、窒素置換したグローブボックスに素子を移し、ガラス基板の周辺に有機EL封止用のUV硬化樹脂(スリーボンド製30Y296G)を塗布し、ガラス板を陰極側から接着して封止をおこなった。
【0145】
なお、PVKのイオン化ポテンシャルの絶対値は5.8eV、吸収端から見積もったバンドギャップは3.5eVであった。
【0146】
<素子の評価>
完成した発光素子にITOを陽極、Alを陰極として直流駆動を行った。発光開始電圧は7Vであった。電圧を10Vかけた時の輝度は100cd/mであった。なお、輝度はトプコン社製のBM−8ルミネセントメーターにより測定した。また浜松フォトニクス社製のマルチチャンネルアナライザで発光スペクトルを測定し、発光ピークが450、530、580nm付近にあることを確認した。発光色は白色であった。
【0147】
次に本素子を初期輝度100cd/mにて連続点灯試験を行った。1000時間経過後の輝度は90cd/mであった。この結果から本発明の実施例2の素子の寿命はきわめて優れていることがわかる。
【0148】
【発明の効果】
以上説明した様に本発明では、極めて簡素な素子構成でありながら、高輝度、高安定性、長寿命、良演色性を併せ持つ白色面状発光素子を実現している。素子の作製はたとえば実施の形態に示したようなスピンコートなどの簡易な方法で行うことができ、その場合はプロセスもシンプルであり高価な真空装置を多用する事もないため安価な素子を提供することが可能である。本発明が提供する素子は、今までになかった白色面状高輝度発光デバイスとして、屋内照明など固定式の光源用途をはじめとした幅広い応用を期待することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の作製手順を説明する図
【図3】本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子のエネルギーダイアグラムを示す図
【図4】本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の電界分布を説明するための図
【図5】本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の発光スペクトルを示すグラフ
【図6】本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の印加電圧と電流密度の関係を表したグラフ
【図7】本発明の実施の形態1における電流注入型発光素子の電流密度と発光輝度の関係を表したグラフ
【図8】本発明の実施の形態2における電流注入型発光素子の要部断面図
【図9】本発明の実施の形態3における電流注入型発光素子の要部断面図
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 マトリックス
5 粒子
6 陰極
7 正孔輸送層
8 電子輸送層
9 電子ブロック層
10 正孔ブロック層

Claims (17)

  1. 少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた電流注入型発光素子であって、
    前記発光層が、発光中心となる元素をドープした平均粒子サイズ100nm以下の無機蛍光材料母体粒子と、前記無機蛍光材料母体粒子を分散するための少なくとも1種の媒体とを含有し、かつ前記発光層と前記陽極との間に、イオン化ポテンシャルの絶対値が前記無機蛍光材料母体粒子よりも大きく正孔を支配的に輸送する正孔輸送層を備える事を特徴とする電流注入型発光素子。
  2. 最低非占有軌道準位の絶対値が前記無機蛍光材料母体粒子より大きく、電子を支配的に輸送する電子輸送物質が、前記無機蛍光材料母体粒子を分散するための媒体に共に分散されるか、もしくは前記発光層と前記陰極との間に、単独でもしくは媒体に分散された電子輸送層として備えられる事を特徴とする請求項1に記載の電流注入型発光素子。
  3. 前記正孔輸送層の最低非占有軌道準位の絶対値が、前記無機蛍光材料母体粒子よりも小さい事を特徴とする請求項1,2の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  4. 前記電子輸送物質および前記電子輸送層のイオン化ポテンシャルの絶対値が、前記無機蛍光材料母体粒子よりも大きい事を特徴とする請求項1〜3の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  5. 前記無機蛍光材料母体粒子にドープされるドーパント元素の種類が複数であり、かつ前記ドーパント元素からの380〜780nmにおける発光波長が少なくとも2種類以上である事を特徴とする請求項1〜4の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  6. 前記正孔輸送層と前記発光層、前記発光層と前記電子輸送層の少なくとも1方を積層する際に、隣接する層への溶解度が低い溶媒を用いた溶液から積層される事を特徴とする請求項1〜5の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  7. 前記正孔輸送層と前記発光層、前記発光層と前記電子輸送層の少なくとも1方を積層する際に、隣接する層へ溶解しない温度以下で積層される事を特徴とする請求項1〜6の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  8. 前記発光層と前記陽極との間に電子の移動を妨げるための層を備えるか、もしくは前記発光層と陰極との間に正孔の移動を妨げるための層を備える事を特徴とする請求項1〜7の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  9. 少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた電流注入型発光素子であって、前記発光層が、発光中心となる元素をドープした平均粒子サイズ100nm以下のII−VI族半導体粒子と、前記II−VI族半導体粒子を分散するための少なくとも1種の媒体とを含有し、かつ前記発光層と前記陽極との間に、イオン化ポテンシャルが前記II−VI族半導体粒子よりも小さく正孔を支配的に輸送する正孔輸送層を備え、かつ前記II−VI族半導体粒子が沈殿する事なく溶液中への分散状態を保ったまま製造される事を特徴とする電流注入型発光素子。
  10. 少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備え、電流注入型発光素子であって、
    前記発光層が、発光中心となる元素をドープした平均粒子サイズ100nm以下の無機蛍光材料母体粒子と、前記無機蛍光材料母体粒子を分散するための少なくとも1種の媒体とを含有し、前記無機蛍光材料母体粒子にドープされるドーパント元素の種類が複数であり、かつ前記ドーパント元素からの380〜780nmにおける発光波長が少なくとも2種類以上である事を特徴とする電流注入型発光素子。
  11. 前記発光層と前記陽極との間に、イオン化ポテンシャルの絶対値が前記無機蛍光材料母体粒子よりも大きく正孔を支配的に輸送する正孔輸送層を備える事を特徴とする請求項10に記載の電流注入型発光素子。
  12. 最低非占有軌道準位の絶対値が前記無機蛍光材料母体粒子より大きく、電子を支配的に輸送する電子輸送物質が、前記無機蛍光材料母体粒子を分散するための媒体に共に分散されるか、もしくは前記発光層と前記陰極との間に、単独でもしくは媒体に分散された電子輸送層として備えられる事を特徴とする請求項10,11の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  13. 前記正孔輸送層の最低非占有軌道の絶対値が、前記無機蛍光材料母体粒子よりも小さい事を特徴とする請求項10〜12の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  14. 前記電子輸送物質および前記電子輸送層のイオン化ポテンシャルの絶対値が、前記無機蛍光材料母体粒子よりも大きい事を特徴とする請求項10〜13の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  15. 前記正孔輸送層と前記発光層、前記発光層と前記電子輸送層の少なくとも1方を積層する際に、隣接する層への溶解度が低い溶媒を用いた溶液から積層される事を特徴とする請求項10〜14の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  16. 前記正孔輸送層と前記発光層、前記発光層と前記電子輸送層の少なくとも1方を積層する際に、隣接する層へ溶解しない温度以下で積層される事を特徴とする請求項10〜15の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
  17. 前記発光層と前記陽極との間に電子の移動を妨げるための層を備えるか、もしくは前記発光層と陰極との間に正孔の移動を妨げるための層を備える事を特徴とする請求項10〜16の内いずれか1項に記載の電流注入型発光素子。
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