JP2005036855A - ベルト式無段変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルト式無段変速機に於けるプーリ対押し合せの2つの作用効果の特殊性と、油圧式アクチュエータと機械式アクチュエータのそれぞれの利点と欠点とに鑑み、ベルト式無段変速機のアクチュエータを油圧式か機械式かの観点から最適化する。
【解決手段】ベルト式無段変速機に於いて、プーリ間に押圧力を作用させるのは油圧式押圧手段によるものとし、変速比変更のためプーリ間距離を変更するのは機械式変位手段によるものとする。
【選択図】 図1
【解決手段】ベルト式無段変速機に於いて、プーリ間に押圧力を作用させるのは油圧式押圧手段によるものとし、変速比変更のためプーリ間距離を変更するのは機械式変位手段によるものとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のプーリ対間に無端ベルトを掛け渡し、各プーリ対に於けるベルト掛け渡し半径の相対的変化により無段変速伝動を行うベルト式無段変速装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
互いに対向して円錐面を呈するプーリ対間にベルトを掛け渡したベルト式無段変速装置に於いて、ベルトを間に挟む一対のプーリの一方を他方に対し変位させることには2つの作用効果がある。その一つは、ベルトとプーリとの間に動力の伝達に必要な強さの摩擦力を生じさせることであり、他の一つは変速比を変更することである。前者はベルトをプーリで挟み込む力(押圧力)で調節し、後者はプーリ対の軸方向距離を調節し、ベルトの掛り径を変更している。つまり、大きな動力伝達が必要とされる場合は、押圧力を大きくし、増速する場合は入力側プーリ対の軸方向距離を小さくし、ベルトの掛り径を大きくする。また、減速する場合は、出力側プーリの軸方向距離を小さくし、ベルトの掛り径を大きくする。従来、上記の2つの作用効果を目的とする一対のプーリ間の押し合わせ力とそれに伴うプーリ間距離の調節は、単一のアクチュエータによって行われている。かかるアクチュエータを油圧式としたものが、例えば下記の特許文献1に示されており、またかかるアクチュエータをボールねじによる機械式としたものが、例えば下記の特許文献2に示されている。
【特許文献1】特開2001−330119
【特許文献2】特公平7−43012
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ベルト式無段変速装置のプーリ対押し合わせ用アクチュエータを油圧式アクチュエータとした場合、押圧力は油圧、変速はプーリ油室の体積変化で実施する。本構造の場合、定常時に於いても動力伝達に必要な押圧力を発生させるため、伝達トルクに応じた油圧が必要となる。また、油圧を発生させる部品、例えばオイルポンプの吐出流量は、低車速から急減速、すなわち、出力側プーリの移動量(プーリ油室の体積変化)により決定される。つまり、低回転で多くの油量をプーリ油室に供給できるよう、オイルポンプの吐出流量が決められるため、高回転時には必要以上の油をオイルポンプはくみ上げることになる。このようにベルト変速部では、オイルポンプ消費動力が大きい。また、機械式アクチュエータとした場合、プーリを移動させ変速を行うことはできるが、トルク伝達に必要な押圧力発生機構が別途必要となり、従来構造ではスプリングやトルクカムが使用されている。しかし、スプリングやトルクカム等メカで押圧力を発生させる機構では、力の微調整には滑らかさや安定性において油圧式に対し劣るという欠点がある。
【0004】
しかし、油圧式アクチュエータと機械式アクチュエータに関する上記の如き利点と欠点とを、ベルト式無段変速機に於けるプーリ対押し合せの2つの作用効果の特殊性に鑑みて考えると、油圧式アクチュエータをベルト締め付け力の調節のみを行う小変位のものとし、変速に必要な大きな変位は機械式アクチュエータにより賄うようにすることにより、油圧式アクチュエータの利点と機械式アクチュエータの利点の両方を生かし、特に変速部で必要とされるオイルポンプ消費動力の低減が可能となり、ベルト式無段変速機の伝達効率の向上が期待される。
【0005】
本発明は、上記の着想に基づき、油圧式アクチュエータと機械式アクチュエータとを相補的に合わせ組み込んだベルト式無段変速装置を提供すること課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、複数のプーリ対間に無端ベルトを掛け渡し、各プーリ対に於けるベルト掛け渡し半径の相対的変化により無段変速伝動を行うベルト式無段変速装置にして、前記複数のプーリ対の少なくとも一つに於いて、前記プーリ対と前記無端ベルトの間に必要な摩擦力を発生させるため該プーリ対のプーリ間に押圧力を作用させる油圧式押圧手段と、変速比変更のため該プーリ対のプーリ間距離を変更する機械式変位手段とを備えていることを特徴とするベルト式無段変速装置を提供するものである。
【0007】
前記油圧式押圧手段は該プーリ対の一方のプーリをシリンダおよびピストンの一方とする油圧シリンダ−ピストン装置であってよい。この場合、前記油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンの他方は前記一方のプーリと共に回転する回転部材であってよいが、或いはまた、前記油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンの他方は非回転部材であり、前記一方のプーリに対し相対的に回転するようになっていてもよい。
【0008】
前記油圧式押圧手段は該プーリ対の一方のプーリと前記機械式変位手段の間に作用するように配置されていてよい。また、油圧式押圧手段は油圧源の油圧が零のときにも所定の最低押圧力を発生するばね手段を含んでいてよい。
【0009】
前記機械式変位手段は前記油圧式押圧手段と該プーリ対を回転式に支持するハウジングの間に作用するように配置されていてよいが、或いはまた、前記油圧式押圧手段と該プーリ対の他方のプーリの軸の間に作用するように配置されていてもよい。
【0010】
前記機械式変位手段は回転変位を軸線方向変位に変換するねじ機構であってよい。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記の如く複数のプーリ対間に無端ベルトを掛け渡し、各プーリ対に於けるベルト掛け渡し半径の相対的変化により無段変速伝動を行うベルト式無段変速装置に於いて、複数のプーリ対の少なくとも一つについて、プーリ対と無端ベルトの間に必要な摩擦力を発生させるため該プーリ対のプーリ間に押圧力を作用させる油圧式押圧手段と、変速比変更のため該プーリ対のプーリ間距離を変更する機械式変位手段とが設けられていれば、トルク伝達に必要なベルトを押圧力は油圧式押圧手段により高精度に行うことができ、一方、変速に必要なプーリ間距離の変更は機械式変位手段により行うようにすることにより、変速比の変更のために必要な油量を低減することができる。
【0012】
この場合、前記油圧式押圧手段が該プーリ対の一方のプーリをシリンダおよびピストンの一方とする油圧シリンダ−ピストン装置とされれば、油圧式押圧手段の構造が簡単になるとともに、油圧によるプーリへのベルト押圧作用はプーリの作動面全体に対し均一に付与され、ベルト式無段変速装置の高度に滑らかな運転が期待される。
【0013】
また、その場合に、油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンが前記一方のプーリと共に回転する回転部材とされれば、油圧シリンダ−ピストン装置はシリンダおよびピストンが例えばスプラインにて嵌合し一体となって回転する構造であれば、シリンダとピストン部に装着されるシール部材に回転による引き摺りのない油圧式押圧手段が得られる。しかし、また、場合によっては、油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンの他方は非回転部材とされ、前記一方のプーリに対し相対的に回転するようになっていてもよい。
【0014】
油圧式押圧手段が該プーリ対の一方のプーリと機械式変位手段の間に作用するように配置されれば、油圧式押圧手段によるプーリの押圧変位と機械式変位手段によるプーリの押圧変位とは加算的に組み合わされ、機械式変位手段により変速比の変更に必要な大きなプーリ間距離の変更を行いつつ、油圧式押圧手段にて押圧力とプーリ変位を微調整することができるという利点が得られる。また、油圧式押圧手段が油圧源の油圧が零のときにも所定の最低押圧力を発生するばね手段を含んでいれば、装置始動時に油圧式押圧手段の油圧源の油圧の立ち上がりに遅れがあってもベルトとプーリの間に大きな滑りが生じることを防止することができる。
【0015】
機械式変位手段が油圧式押圧手段と該プーリ対を回転式に支持するハウジングの間に作用するように配置されていれば、機械式変位手段の作動基準位置を常時変速装置のハウジングにより安定して定めることができる。或は、機械式変位手段が油圧式押圧手段と該プーリ対の他方のプーリの軸の間に作用するように配置され、主軸にて反力を支持されるようになっていれば、ハウジングへの反力の入力を避け、ハウジングの変形を防止することができる。
【0016】
機械式変位手段が回転変位を軸線方向変位に変換するねじ機構とされれば、制御入力変位として回転式電動アクチュエータ等により便利に得られる回転変位を容易且つ高精度にプーリ間の距離の制御に変換することができる。この場合の機械式変位手段の如く、高い軸線方向荷重の作用の下で回転変位を軸線方向変位に変換するねじ機構としては、送りねじが適している。
【0017】
【発明の実施の形態】
添付の図1は本発明によるベルト式無段変速装置の第一の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図である。図に於いて10および12が2組のプーリ対であり、14がその間に掛け渡された無端のベルトである。
【0018】
プーリ対10は中心軸線20の周りに整合したプーリ16と18とを有しており、このうちプーリ16がこれらのプーリ対を回転式に支持する主軸22と一体に構成されている。従って、プーリ16はプーリ幅の調節に関しては固定された固定側プーリである。主軸22はその両端部にて一部が24として示されているプーリ対10のためのハウジング24より軸受26および28を介して回転式に支持されている。プーリ18は主軸22上にそれに沿ってプーリ幅の調節範囲にわたって軸方向のみ摺動可能に装着されており、そのハブ部30と主軸22の間には互いに軸線方向に摺動可能に噛み合ったスプライン32が形成され、両者は一体となって回転するようになっている。尚、軸受28はナット34により主軸22の一端部に固定されている。
【0019】
プーリ18は上記の油圧式押圧手段を構成する油圧式アクチュエータ36のシリンダ38と一体に構成されている。シリンダ38はハブ部30の周りに環状に形成され、軸線方向に摺動可能な環状のピストン42とともに油室40を形成している。尚、シリンダ38とピストン42の関係は、図示の実施の形態と逆の関係も可能であり、即ち図示のピストン42の周縁部が円筒状に形成されてシリンダとされ、その中に図示のシリンダ38がピストンとなって嵌入する構成も可能である。従って、プーリ対の一方であるプーリ18は、図示の実施の形態の通り油圧式押圧手段を構成する油圧シリンダ−ピストン装置のシリンダを構成する外にピストンを構成することもできる。油室40に対して図には示されていない油圧源からの圧油が主軸22内に軸線方向に形成された油路44、主軸22内に半径方向に形成された油路46、48、プーリ18のハブ部30に形成された油路50を経て圧油の給排がなされるようになっている。ピストン42の内周部にはハブ部52が形成されており、このハブ外周部に軸受54を介して上記の機械式変位手段を構成するボールねじ式アクチュエータ56の一方のねじ部材58一端が係合し、ハブ内周部にはスプラインが形成され、プーリ18のハブ部30のスプライン部31と係合し、シリンダ38とピストン42の相対回転を防止し、上記両部品に間に配置されるシール部材の引き摺りを低減している。
【0020】
ボールねじ式アクチュエータ56は,上記のねじ部材58を外側のねじ部材とし、60を内側のねじ部材とし、それらの対向する円筒面に沿って形成された螺旋溝内にボール62を嵌装させた構造のものであり、内側ねじ部材60がそのフランジ部64にてワッシャ66を介してボルト68によりハウジング24に固定されており、かくしてボールねじ式アクチュエータ56よりなる機械式変位手段は油圧式アクチュエータ36よりなる油圧式押圧手段とプーリ対10を回転式に支持するハウジング24の間に作用するように配置されている。外側ねじ部材58はそのフランジ部70の外周部に沿って形成された歯車部72にてそれに噛み合うピニオン74を経て電動ロータリーアクチュエータ76より回転駆動されることにより、外側ねじ部材58と内側ねじ部材60の間に軸線方向変位を生じさせ、軸受54を介してピストン42を軸線方向に変位させるものである。以上の構成から明らかな通り、油圧式押圧手段である油圧式アクチュエータ36はプーリ対の一方であるプーリ18と機械式変位手段であるボールね式アクチュエータ56の間に作用するよう配置されている。
【0021】
プーリ対12は上に説明したプーリ対10と同じ構造を図で見て左右反対した構造のものである。従ってプーリ対12についての上記と同様の詳細な説明は明細書の冗長化を避けるため省略する。
【0022】
プーリ対10の歯車部72とこれに対応するプーリ対12の歯車部78とは、歯車部72と噛み合うピニオン80、該ピニオンを担持し図には示されていない軸受手段により変速装置のハウジングから回転式に支持された軸82、該軸により担持されてプーリ対12の歯車部78と噛み合うピニオン84よりなる回転変位伝達手段により互いに同期して回転するよう連結されている。
【0023】
かかる構成に於いて、電動ロータリーアクチュエータ76によりピニオン74を経てプーリ対10の歯車部72が回転されると、それと同量の回転がプーリ対12の歯車部78にも生じ、プーリ対10に於いて任意のプーリ間距離の増大または減小が行われると、プーリ対12にはそれに対応して逆にプーリ間距離の減小または増大が生じ、プーリ対10に於けるベルトのプーリ巻き掛け半径の減小または増大とプーリ対12に於けるベルトのプーリ巻き掛け半径の増大または減小が相反的に生じ、これによってプーリ対10と12の間のベルトを介した変速比が変更される。
【0024】
一方、油路44、46、48、50を経て油圧式アクチュエータ36のピストン室40へ供給される圧油によりピストン室40内に加えられる油圧の大きさは、図には示されていない油圧制御弁により、図には示されていないピストン室40内の油圧を検出する油圧センサの検出値、または別途任意の手段により検出されてよいベルトに掛かる伝動負荷の大きさ等に基づいて、プーリによるベルト挾持圧がベルトに滑りを生じない適当な値となるよう制御される。この場合、油圧式アクチュエータ36のピストン42の変位量は、ピストン42の変位によってプーリによるベルト挾持圧が調整される範囲の極小さい値とされてよく、従ってピストン室40に対する圧油の給排量は極小量であり、圧油源、例えばオイルポンプ等の油の吐出流量は極小容量のものであってよく、変速制御を油圧式アクチュエータにより行う場合に比して遥かに少量に留まる。そのため、変速比の変更のために必要な油量を低減することができ、変速部に於けるオイルポンプの消費動力を低減して、ベルト式無段変速装置の動力伝達効率を向上することができる。
【0025】
図2は図1に示した実施の形態の一部を修正した他の一つの実施の形態を示す図1と同様の幾分解図的縦断面図である。図2に於いては、図1に示した構成と同じ部分には図1に於いて付した符号と同じ符号を付し、それらの構成ついての重複する説明は省略する。
【0026】
この実施の形態に於いては、プーリ18のハブ部30の軸線方向長さが図1の場合より短くされ、ボールねじ式アクチュエータ56の内側ねじ部材60にハブ部86が形成され、内側ねじ部材60はこのハブ部にてラジアル軸受88を介して主軸22より半径方向に支持されるとともに、スラスト軸受90を介して軸受28の内側部材より軸線方向に支持されている。軸受28の内側部材はナット34を介して主軸22の一端より支持されているので、結局、図1の実施の形態に於いては内側ねじ部材60がハウジング24より軸線方向に支持されているのに対比して、図2の実施の形態は、内側ねじ部材60が主軸22より軸線方向に支持されている点に於いて異なっており、ボールねじ式アクチュエータ56よりなる機械式変位手段は油圧式アクチュエータ36よりなる油圧式押圧手段とプーリ対10の他方の通りであるプーリ16の軸をなす22の間に作用するように配置され、ハウジングに変形を生じさせるような反力を及ぼさないようになっている。
【0027】
上記の如く、図2の実施の形態に於いては、ボールねじ式アクチュエータ56部で発生する軸方向推力の反力を軸受28を介してナット34で受けることができる。そのためハウジング24への反力の入力を避けることができ、ハウジング24の変形防止が可能となる。
【0028】
図3は図2に示した実施の形態の一部の更に構成を追加する修正を行った更に他の一つの実施の形態を示す図2と同様の幾分解図的縦断面図である。図3に於いては、図1および2に示した構成と同じ部分には図1および2に於いて付した符号と同じ符号を付し、それらの構成ついての重複する説明は省略する。
【0029】
この実施の形態に於いては、シリンダ室40内にあってプーリ18とピストン42の間に圧縮ばねとして作用する皿ばね92が設けられている。本発明によれば、油圧式アクチュエータ36のピストン42の変位量は、それによってプーリによるベルト挾持圧が調整される範囲の極小さい値とされてよいので、プーリ18とピストン42の間の距離の変化は極小さい。従って、この部分にばねを装着すれば、図示の実施の形態に於ける如くばねが変位量の小さい皿ばねであっても、プーリ16と18の間に常時ほぼ一定のばね力を作用させることができ、装置始動時に油圧式押圧手段の油圧源の油圧の立ち上がりに遅れがあって圧油源の油圧が零のときにも、ベルトとプーリの間に大きな滑りが生じず、前記両部品の磨耗等による耐久性低下を防止することができる。
【0030】
図4は図1〜3に示した実施の形態とは一部に於いて大きく異なっている更に他の一つの実施の形態を示す図1〜3と同様の幾分解図的縦断面図である。図4に於いても、図1〜3に示した構成と同じ部分には図1〜3に於いて付した符号と同じ符号を付し、それらの構成ついての重複する説明は省略する。
【0031】
この実施の形態に於いては。図1〜3の実施の形態に於けるピストン42に対応するピストン94は、ボールねじ式アクチュエータ56の内側ねじ部材60と一体の部材として構成されている。(尚、ピストン94と内側ねじ部材60とは図4の断面に示す如く完全に一体の構造ではなく、別々の部材として形成され、その後一体に固定されたものであってもよい。)
【0032】
以上に於いては本発明をいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらの実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるベルト式無段変速装置の第一の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図。
【図2】本発明によるベルト式無段変速装置の第二の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図。
【図3】本発明によるベルト式無段変速装置の第三の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図。
【図4】本発明によるベルト式無段変速装置の第四の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図。
【符号の説明】
10,12…プーリ対、14…無端のベルト、16,18…プーリ、20…中心軸線、22…主軸、24…ハウジング、26,28…ラジアル/スラスト軸受、30…ハブ部、31,32…スプライン、34…ナット、36…油圧式アクチュエータ、38…シリンダ、40…シリンダ室、42…ピストン、44,46,48,50…油路、52…ハブ部、54…ラジアル/スラスト軸受、56…ボールねじ式アクチュエータ、58…外側ねじ部材、60…内側ねじ部材、62…ボール、64…フランジ部、66…ワッシャ、68…ボルト、70…フランジ部、72…歯車部、74…ピニオン、76…電動ロータリーアクチュエータ、78…歯車部、80…ピニオン、82…軸、84…ピニオン、86…ハブ部、88…ラジアル軸受、90…スラスト軸受、92…皿ばね、94…ピストン、96…外側シールリング、98…内側シールリング
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のプーリ対間に無端ベルトを掛け渡し、各プーリ対に於けるベルト掛け渡し半径の相対的変化により無段変速伝動を行うベルト式無段変速装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
互いに対向して円錐面を呈するプーリ対間にベルトを掛け渡したベルト式無段変速装置に於いて、ベルトを間に挟む一対のプーリの一方を他方に対し変位させることには2つの作用効果がある。その一つは、ベルトとプーリとの間に動力の伝達に必要な強さの摩擦力を生じさせることであり、他の一つは変速比を変更することである。前者はベルトをプーリで挟み込む力(押圧力)で調節し、後者はプーリ対の軸方向距離を調節し、ベルトの掛り径を変更している。つまり、大きな動力伝達が必要とされる場合は、押圧力を大きくし、増速する場合は入力側プーリ対の軸方向距離を小さくし、ベルトの掛り径を大きくする。また、減速する場合は、出力側プーリの軸方向距離を小さくし、ベルトの掛り径を大きくする。従来、上記の2つの作用効果を目的とする一対のプーリ間の押し合わせ力とそれに伴うプーリ間距離の調節は、単一のアクチュエータによって行われている。かかるアクチュエータを油圧式としたものが、例えば下記の特許文献1に示されており、またかかるアクチュエータをボールねじによる機械式としたものが、例えば下記の特許文献2に示されている。
【特許文献1】特開2001−330119
【特許文献2】特公平7−43012
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ベルト式無段変速装置のプーリ対押し合わせ用アクチュエータを油圧式アクチュエータとした場合、押圧力は油圧、変速はプーリ油室の体積変化で実施する。本構造の場合、定常時に於いても動力伝達に必要な押圧力を発生させるため、伝達トルクに応じた油圧が必要となる。また、油圧を発生させる部品、例えばオイルポンプの吐出流量は、低車速から急減速、すなわち、出力側プーリの移動量(プーリ油室の体積変化)により決定される。つまり、低回転で多くの油量をプーリ油室に供給できるよう、オイルポンプの吐出流量が決められるため、高回転時には必要以上の油をオイルポンプはくみ上げることになる。このようにベルト変速部では、オイルポンプ消費動力が大きい。また、機械式アクチュエータとした場合、プーリを移動させ変速を行うことはできるが、トルク伝達に必要な押圧力発生機構が別途必要となり、従来構造ではスプリングやトルクカムが使用されている。しかし、スプリングやトルクカム等メカで押圧力を発生させる機構では、力の微調整には滑らかさや安定性において油圧式に対し劣るという欠点がある。
【0004】
しかし、油圧式アクチュエータと機械式アクチュエータに関する上記の如き利点と欠点とを、ベルト式無段変速機に於けるプーリ対押し合せの2つの作用効果の特殊性に鑑みて考えると、油圧式アクチュエータをベルト締め付け力の調節のみを行う小変位のものとし、変速に必要な大きな変位は機械式アクチュエータにより賄うようにすることにより、油圧式アクチュエータの利点と機械式アクチュエータの利点の両方を生かし、特に変速部で必要とされるオイルポンプ消費動力の低減が可能となり、ベルト式無段変速機の伝達効率の向上が期待される。
【0005】
本発明は、上記の着想に基づき、油圧式アクチュエータと機械式アクチュエータとを相補的に合わせ組み込んだベルト式無段変速装置を提供すること課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、複数のプーリ対間に無端ベルトを掛け渡し、各プーリ対に於けるベルト掛け渡し半径の相対的変化により無段変速伝動を行うベルト式無段変速装置にして、前記複数のプーリ対の少なくとも一つに於いて、前記プーリ対と前記無端ベルトの間に必要な摩擦力を発生させるため該プーリ対のプーリ間に押圧力を作用させる油圧式押圧手段と、変速比変更のため該プーリ対のプーリ間距離を変更する機械式変位手段とを備えていることを特徴とするベルト式無段変速装置を提供するものである。
【0007】
前記油圧式押圧手段は該プーリ対の一方のプーリをシリンダおよびピストンの一方とする油圧シリンダ−ピストン装置であってよい。この場合、前記油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンの他方は前記一方のプーリと共に回転する回転部材であってよいが、或いはまた、前記油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンの他方は非回転部材であり、前記一方のプーリに対し相対的に回転するようになっていてもよい。
【0008】
前記油圧式押圧手段は該プーリ対の一方のプーリと前記機械式変位手段の間に作用するように配置されていてよい。また、油圧式押圧手段は油圧源の油圧が零のときにも所定の最低押圧力を発生するばね手段を含んでいてよい。
【0009】
前記機械式変位手段は前記油圧式押圧手段と該プーリ対を回転式に支持するハウジングの間に作用するように配置されていてよいが、或いはまた、前記油圧式押圧手段と該プーリ対の他方のプーリの軸の間に作用するように配置されていてもよい。
【0010】
前記機械式変位手段は回転変位を軸線方向変位に変換するねじ機構であってよい。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記の如く複数のプーリ対間に無端ベルトを掛け渡し、各プーリ対に於けるベルト掛け渡し半径の相対的変化により無段変速伝動を行うベルト式無段変速装置に於いて、複数のプーリ対の少なくとも一つについて、プーリ対と無端ベルトの間に必要な摩擦力を発生させるため該プーリ対のプーリ間に押圧力を作用させる油圧式押圧手段と、変速比変更のため該プーリ対のプーリ間距離を変更する機械式変位手段とが設けられていれば、トルク伝達に必要なベルトを押圧力は油圧式押圧手段により高精度に行うことができ、一方、変速に必要なプーリ間距離の変更は機械式変位手段により行うようにすることにより、変速比の変更のために必要な油量を低減することができる。
【0012】
この場合、前記油圧式押圧手段が該プーリ対の一方のプーリをシリンダおよびピストンの一方とする油圧シリンダ−ピストン装置とされれば、油圧式押圧手段の構造が簡単になるとともに、油圧によるプーリへのベルト押圧作用はプーリの作動面全体に対し均一に付与され、ベルト式無段変速装置の高度に滑らかな運転が期待される。
【0013】
また、その場合に、油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンが前記一方のプーリと共に回転する回転部材とされれば、油圧シリンダ−ピストン装置はシリンダおよびピストンが例えばスプラインにて嵌合し一体となって回転する構造であれば、シリンダとピストン部に装着されるシール部材に回転による引き摺りのない油圧式押圧手段が得られる。しかし、また、場合によっては、油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンの他方は非回転部材とされ、前記一方のプーリに対し相対的に回転するようになっていてもよい。
【0014】
油圧式押圧手段が該プーリ対の一方のプーリと機械式変位手段の間に作用するように配置されれば、油圧式押圧手段によるプーリの押圧変位と機械式変位手段によるプーリの押圧変位とは加算的に組み合わされ、機械式変位手段により変速比の変更に必要な大きなプーリ間距離の変更を行いつつ、油圧式押圧手段にて押圧力とプーリ変位を微調整することができるという利点が得られる。また、油圧式押圧手段が油圧源の油圧が零のときにも所定の最低押圧力を発生するばね手段を含んでいれば、装置始動時に油圧式押圧手段の油圧源の油圧の立ち上がりに遅れがあってもベルトとプーリの間に大きな滑りが生じることを防止することができる。
【0015】
機械式変位手段が油圧式押圧手段と該プーリ対を回転式に支持するハウジングの間に作用するように配置されていれば、機械式変位手段の作動基準位置を常時変速装置のハウジングにより安定して定めることができる。或は、機械式変位手段が油圧式押圧手段と該プーリ対の他方のプーリの軸の間に作用するように配置され、主軸にて反力を支持されるようになっていれば、ハウジングへの反力の入力を避け、ハウジングの変形を防止することができる。
【0016】
機械式変位手段が回転変位を軸線方向変位に変換するねじ機構とされれば、制御入力変位として回転式電動アクチュエータ等により便利に得られる回転変位を容易且つ高精度にプーリ間の距離の制御に変換することができる。この場合の機械式変位手段の如く、高い軸線方向荷重の作用の下で回転変位を軸線方向変位に変換するねじ機構としては、送りねじが適している。
【0017】
【発明の実施の形態】
添付の図1は本発明によるベルト式無段変速装置の第一の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図である。図に於いて10および12が2組のプーリ対であり、14がその間に掛け渡された無端のベルトである。
【0018】
プーリ対10は中心軸線20の周りに整合したプーリ16と18とを有しており、このうちプーリ16がこれらのプーリ対を回転式に支持する主軸22と一体に構成されている。従って、プーリ16はプーリ幅の調節に関しては固定された固定側プーリである。主軸22はその両端部にて一部が24として示されているプーリ対10のためのハウジング24より軸受26および28を介して回転式に支持されている。プーリ18は主軸22上にそれに沿ってプーリ幅の調節範囲にわたって軸方向のみ摺動可能に装着されており、そのハブ部30と主軸22の間には互いに軸線方向に摺動可能に噛み合ったスプライン32が形成され、両者は一体となって回転するようになっている。尚、軸受28はナット34により主軸22の一端部に固定されている。
【0019】
プーリ18は上記の油圧式押圧手段を構成する油圧式アクチュエータ36のシリンダ38と一体に構成されている。シリンダ38はハブ部30の周りに環状に形成され、軸線方向に摺動可能な環状のピストン42とともに油室40を形成している。尚、シリンダ38とピストン42の関係は、図示の実施の形態と逆の関係も可能であり、即ち図示のピストン42の周縁部が円筒状に形成されてシリンダとされ、その中に図示のシリンダ38がピストンとなって嵌入する構成も可能である。従って、プーリ対の一方であるプーリ18は、図示の実施の形態の通り油圧式押圧手段を構成する油圧シリンダ−ピストン装置のシリンダを構成する外にピストンを構成することもできる。油室40に対して図には示されていない油圧源からの圧油が主軸22内に軸線方向に形成された油路44、主軸22内に半径方向に形成された油路46、48、プーリ18のハブ部30に形成された油路50を経て圧油の給排がなされるようになっている。ピストン42の内周部にはハブ部52が形成されており、このハブ外周部に軸受54を介して上記の機械式変位手段を構成するボールねじ式アクチュエータ56の一方のねじ部材58一端が係合し、ハブ内周部にはスプラインが形成され、プーリ18のハブ部30のスプライン部31と係合し、シリンダ38とピストン42の相対回転を防止し、上記両部品に間に配置されるシール部材の引き摺りを低減している。
【0020】
ボールねじ式アクチュエータ56は,上記のねじ部材58を外側のねじ部材とし、60を内側のねじ部材とし、それらの対向する円筒面に沿って形成された螺旋溝内にボール62を嵌装させた構造のものであり、内側ねじ部材60がそのフランジ部64にてワッシャ66を介してボルト68によりハウジング24に固定されており、かくしてボールねじ式アクチュエータ56よりなる機械式変位手段は油圧式アクチュエータ36よりなる油圧式押圧手段とプーリ対10を回転式に支持するハウジング24の間に作用するように配置されている。外側ねじ部材58はそのフランジ部70の外周部に沿って形成された歯車部72にてそれに噛み合うピニオン74を経て電動ロータリーアクチュエータ76より回転駆動されることにより、外側ねじ部材58と内側ねじ部材60の間に軸線方向変位を生じさせ、軸受54を介してピストン42を軸線方向に変位させるものである。以上の構成から明らかな通り、油圧式押圧手段である油圧式アクチュエータ36はプーリ対の一方であるプーリ18と機械式変位手段であるボールね式アクチュエータ56の間に作用するよう配置されている。
【0021】
プーリ対12は上に説明したプーリ対10と同じ構造を図で見て左右反対した構造のものである。従ってプーリ対12についての上記と同様の詳細な説明は明細書の冗長化を避けるため省略する。
【0022】
プーリ対10の歯車部72とこれに対応するプーリ対12の歯車部78とは、歯車部72と噛み合うピニオン80、該ピニオンを担持し図には示されていない軸受手段により変速装置のハウジングから回転式に支持された軸82、該軸により担持されてプーリ対12の歯車部78と噛み合うピニオン84よりなる回転変位伝達手段により互いに同期して回転するよう連結されている。
【0023】
かかる構成に於いて、電動ロータリーアクチュエータ76によりピニオン74を経てプーリ対10の歯車部72が回転されると、それと同量の回転がプーリ対12の歯車部78にも生じ、プーリ対10に於いて任意のプーリ間距離の増大または減小が行われると、プーリ対12にはそれに対応して逆にプーリ間距離の減小または増大が生じ、プーリ対10に於けるベルトのプーリ巻き掛け半径の減小または増大とプーリ対12に於けるベルトのプーリ巻き掛け半径の増大または減小が相反的に生じ、これによってプーリ対10と12の間のベルトを介した変速比が変更される。
【0024】
一方、油路44、46、48、50を経て油圧式アクチュエータ36のピストン室40へ供給される圧油によりピストン室40内に加えられる油圧の大きさは、図には示されていない油圧制御弁により、図には示されていないピストン室40内の油圧を検出する油圧センサの検出値、または別途任意の手段により検出されてよいベルトに掛かる伝動負荷の大きさ等に基づいて、プーリによるベルト挾持圧がベルトに滑りを生じない適当な値となるよう制御される。この場合、油圧式アクチュエータ36のピストン42の変位量は、ピストン42の変位によってプーリによるベルト挾持圧が調整される範囲の極小さい値とされてよく、従ってピストン室40に対する圧油の給排量は極小量であり、圧油源、例えばオイルポンプ等の油の吐出流量は極小容量のものであってよく、変速制御を油圧式アクチュエータにより行う場合に比して遥かに少量に留まる。そのため、変速比の変更のために必要な油量を低減することができ、変速部に於けるオイルポンプの消費動力を低減して、ベルト式無段変速装置の動力伝達効率を向上することができる。
【0025】
図2は図1に示した実施の形態の一部を修正した他の一つの実施の形態を示す図1と同様の幾分解図的縦断面図である。図2に於いては、図1に示した構成と同じ部分には図1に於いて付した符号と同じ符号を付し、それらの構成ついての重複する説明は省略する。
【0026】
この実施の形態に於いては、プーリ18のハブ部30の軸線方向長さが図1の場合より短くされ、ボールねじ式アクチュエータ56の内側ねじ部材60にハブ部86が形成され、内側ねじ部材60はこのハブ部にてラジアル軸受88を介して主軸22より半径方向に支持されるとともに、スラスト軸受90を介して軸受28の内側部材より軸線方向に支持されている。軸受28の内側部材はナット34を介して主軸22の一端より支持されているので、結局、図1の実施の形態に於いては内側ねじ部材60がハウジング24より軸線方向に支持されているのに対比して、図2の実施の形態は、内側ねじ部材60が主軸22より軸線方向に支持されている点に於いて異なっており、ボールねじ式アクチュエータ56よりなる機械式変位手段は油圧式アクチュエータ36よりなる油圧式押圧手段とプーリ対10の他方の通りであるプーリ16の軸をなす22の間に作用するように配置され、ハウジングに変形を生じさせるような反力を及ぼさないようになっている。
【0027】
上記の如く、図2の実施の形態に於いては、ボールねじ式アクチュエータ56部で発生する軸方向推力の反力を軸受28を介してナット34で受けることができる。そのためハウジング24への反力の入力を避けることができ、ハウジング24の変形防止が可能となる。
【0028】
図3は図2に示した実施の形態の一部の更に構成を追加する修正を行った更に他の一つの実施の形態を示す図2と同様の幾分解図的縦断面図である。図3に於いては、図1および2に示した構成と同じ部分には図1および2に於いて付した符号と同じ符号を付し、それらの構成ついての重複する説明は省略する。
【0029】
この実施の形態に於いては、シリンダ室40内にあってプーリ18とピストン42の間に圧縮ばねとして作用する皿ばね92が設けられている。本発明によれば、油圧式アクチュエータ36のピストン42の変位量は、それによってプーリによるベルト挾持圧が調整される範囲の極小さい値とされてよいので、プーリ18とピストン42の間の距離の変化は極小さい。従って、この部分にばねを装着すれば、図示の実施の形態に於ける如くばねが変位量の小さい皿ばねであっても、プーリ16と18の間に常時ほぼ一定のばね力を作用させることができ、装置始動時に油圧式押圧手段の油圧源の油圧の立ち上がりに遅れがあって圧油源の油圧が零のときにも、ベルトとプーリの間に大きな滑りが生じず、前記両部品の磨耗等による耐久性低下を防止することができる。
【0030】
図4は図1〜3に示した実施の形態とは一部に於いて大きく異なっている更に他の一つの実施の形態を示す図1〜3と同様の幾分解図的縦断面図である。図4に於いても、図1〜3に示した構成と同じ部分には図1〜3に於いて付した符号と同じ符号を付し、それらの構成ついての重複する説明は省略する。
【0031】
この実施の形態に於いては。図1〜3の実施の形態に於けるピストン42に対応するピストン94は、ボールねじ式アクチュエータ56の内側ねじ部材60と一体の部材として構成されている。(尚、ピストン94と内側ねじ部材60とは図4の断面に示す如く完全に一体の構造ではなく、別々の部材として形成され、その後一体に固定されたものであってもよい。)
【0032】
以上に於いては本発明をいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらの実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるベルト式無段変速装置の第一の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図。
【図2】本発明によるベルト式無段変速装置の第二の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図。
【図3】本発明によるベルト式無段変速装置の第三の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図。
【図4】本発明によるベルト式無段変速装置の第四の実施の形態を示す幾分解図的縦断面図。
【符号の説明】
10,12…プーリ対、14…無端のベルト、16,18…プーリ、20…中心軸線、22…主軸、24…ハウジング、26,28…ラジアル/スラスト軸受、30…ハブ部、31,32…スプライン、34…ナット、36…油圧式アクチュエータ、38…シリンダ、40…シリンダ室、42…ピストン、44,46,48,50…油路、52…ハブ部、54…ラジアル/スラスト軸受、56…ボールねじ式アクチュエータ、58…外側ねじ部材、60…内側ねじ部材、62…ボール、64…フランジ部、66…ワッシャ、68…ボルト、70…フランジ部、72…歯車部、74…ピニオン、76…電動ロータリーアクチュエータ、78…歯車部、80…ピニオン、82…軸、84…ピニオン、86…ハブ部、88…ラジアル軸受、90…スラスト軸受、92…皿ばね、94…ピストン、96…外側シールリング、98…内側シールリング
Claims (9)
- 複数のプーリ対間に無端ベルトを掛け渡し、各プーリ対に於けるベルト掛け渡し半径の相対的変化により無段変速伝動を行うベルト式無段変速装置にして、前記複数のプーリ対の少なくとも一つに於いて、前記プーリ対と前記無端ベルトの間に必要な摩擦力を発生させるため該プーリ対のプーリ間に押圧力を作用させる油圧式押圧手段と、変速比変更のため該プーリ対のプーリ間距離を変更する機械式変位手段とを備えていることを特徴とするベルト式無段変速装置。
- 前記油圧式押圧手段は該プーリ対の一方のプーリをシリンダおよびピストンの一方とする油圧シリンダ−ピストン装置であることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速装置。
- 前記油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンの他方は前記一方のプーリと共に回転する回転部材であることを特徴とする請求項2に記載のベルト式無段変速装置。
- 前記油圧シリンダ−ピストン装置を構成するシリンダおよびピストンの他方は非回転部材であり、前記一方のプーリに対し相対的に回転することを特徴とする請求項2に記載のベルト式無段変速装置。
- 前記油圧式押圧手段は該プーリ対の一方のプーリと前記機械式変位手段の間に作用するように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のベルト式無段変速装置。
- 前記油圧式押圧手段は油圧源の油圧が零のときにも所定の最低押圧力を発生するばね手段を含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のベルト式無段変速装置。
- 前記機械式変位手段は前記油圧式押圧手段と該プーリ対を回転式に支持するハウジングの間に作用するように配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のベルト式無段変速装置。
- 前記機械式変位手段は前記油圧式押圧手段と該プーリ対の他方のプーリの軸の間に作用するように配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のベルト式無段変速装置。
- 前記機械式変位手段は回転変位を軸線方向変位に変換するねじ機構であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のベルト式無段変速装置。
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