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JP2005036130A - 核効果抑制剤、結晶性樹脂組成物及び結晶性樹脂組成物の結晶化制御法 - Google Patents

核効果抑制剤、結晶性樹脂組成物及び結晶性樹脂組成物の結晶化制御法 Download PDF

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JP2005036130A JP2003275697A JP2003275697A JP2005036130A JP 2005036130 A JP2005036130 A JP 2005036130A JP 2003275697 A JP2003275697 A JP 2003275697A JP 2003275697 A JP2003275697 A JP 2003275697A JP 2005036130 A JP2005036130 A JP 2005036130A
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Hiroshi Takeuchi
浩 竹内
Kazuaki Sugata
一明 須方
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Orient Chemical Industries Ltd
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Abstract

【課題】 結晶性樹脂の結晶化温度及び結晶化速度を低下させる核効果抑制剤を含有させて結晶性樹脂を着色する場合の色の選択を自由に行い得る核効果抑制剤、その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物、その核効果抑制剤を用いる結晶化制御法の提供。
【解決手段】 結晶性樹脂組成物中において結晶性樹脂の結晶化を制御する化合物からなる核効果抑制剤であって、前記化合物が下記式(1)又は(2)で表される基本骨格構造を備えた化合物である核効果抑制剤、その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物、並びにその核効果抑制剤を用いる結晶化制御法。
【化1】
Figure 2005036130

・・・・(1)
【化2】
Figure 2005036130

・・・・(2)
[式(1)及び式(2)中、A、B、R及びRは、互いに独立して、単環又は二つの環からなる縮合環を示す。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、結晶性樹脂組成物中に存在させることにより結晶化温度又は結晶化速度を低下させるための核効果抑制剤、その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物、及び、その核効果抑制剤を用いて結晶性樹脂の結晶化温度及び結晶化速度を低下させる結晶化制御方法に関する。
結晶性樹脂は、機械的及び化学的性質が優れているため、自動車や電気・電子製品の部品などの分野に広く用いられている。その中でも特に、エンジニアリングプラスチックの需要は、様々な分野でますます大きくなってきている。
また、結晶性樹脂に繊維状補強材を配合することにより、耐熱性や耐薬品性を向上させたり、各用途に合わせた機械的強度を与えたりして広範な工業的用途に適合させる試みがなされている。更に最近では、電子部品、自動車部品、電装部品等の分野において、軽量化、工程の合理化及び腐食の問題を解決するために、これまで金属を用いてきた部品を、繊維強化された結晶性樹脂に替える動きが顕著である。
成形材料として用いられる結晶性樹脂は、溶融状態から冷却していくと結晶化が起こる。結晶化の状態は、成形段階での冷却条件や結晶化の核となる微粒子、すなわち核剤の存在等により変化する。結晶性樹脂の物性は、結晶化状態に大きく影響されるので、結晶化をいかに制御するかが樹脂の特性を引き出す鍵となる。例えば前記のような核剤の存在は、結晶性樹脂の結晶化速度を増大させて結晶化温度を上昇させる効果(核効果)を有するため、成形時の冷却時間を短縮することができる。
ところで、結晶性樹脂に対しては、装飾効果、色分け効果、成形品の耐光性向上、並びに内容物の保護及び隠蔽等の目的で着色が行われる。着色剤としては、無機顔料、有機顔料、又は染料等が一般的に用いられ、特にカーボンブラックは黒色着色に広く用いられている。
結晶性樹脂の着色に用いられる無機顔料及び有機顔料等、特にカーボンブラック、並びに繊維状補強材(ガラス繊維、マイカ、タルクなどの無機充填材)は、核剤に類似した挙動を示す。従って、これらの材料の添加は、結晶化速度の増大及び微結晶化を引き起こし、靭性を著しく低下させることがある。また、これらの材料の添加は、結晶化温度の上昇を引き起こすため、射出成形における金型温度を高くすることが要求されることとなり、エネルギーコストの上昇を来たすだけではなく、成形物の冷却による収縮率を大きくすることにより成形精度を低下させることにもなる。
このような問題点を解決するためには、前述のような着色剤や繊維状補強材等の核剤としての働きを抑制すること、すなわち、結晶化速度を低下させて微結晶化を抑えると共に結晶化温度を低下させて金型温度を低くすることができる材料を結晶性樹脂中に共存させて結晶化を制御することが有効であると考えられる。なお、以下、このような効果を核抑制効果(結晶化遅延効果)と記し、このような効果を有する材料を核効果抑制剤(結晶化遅延剤)と記す。
このような考えに沿って、ニグロシン、アニリンブラック(特開昭57−115454号公報)、及び銅フタロシアニン誘導体(特開昭61−181861号公報)の使用が提案された。その後、これらの材料を用いた結晶性樹脂組成物に関する様々な改良が行われた。例えば、1)ポリアミド系車輌用部材(特開昭62−246958号公報)、2)強化良外観黒色ポリアミド樹脂組成物(特開平4−370148号公報)、3)ガラス繊維強化黒色ポリアミド樹脂組成物(特開平6−128479号公報)、4)黒色ポリアミド樹脂組成物(特開平9−255869号公報)、5)耐候性に優れた黒着色ポリアミド樹脂組成物(特開平11−343405号公報、特開平11−343406号公報、特開平11−349807号公報)、6)黒着色強化ポリアミド樹脂組成物(特開2000−53861号公報)等である。
ところが、核効果抑制剤としてこれまでに用いられてきたもののうちニグロシン及びアニリンブラックは黒色であり、銅フタロシアニン誘導体は濃青色である。そのため、着色結晶性樹脂組成物に用いる場合の色の選択幅が非常に狭く、ほとんどの場合、黒色又は黒に近い色の着色樹脂組成物に限られてきた。
しかし、結晶性樹脂を様々な色に着色するという要望は非常に強いので、無色若しくは淡色の又は様々な色を有する核効果抑制剤(結晶性樹脂中に存在することにより、その結晶性樹脂の結晶化温度及び結晶化速度を、その結晶性樹脂が存在しない場合よりも低下させる材料)、すなわちニグロシン、アニリンブラック、又は銅フタロシアニン誘導体のように着色結晶性樹脂の色選択幅を狭めない核効果抑制剤の開発が強く望まれていた。
特開昭57−115454号公報 特開昭61−181861号公報 特開昭62−246958号公報 特開平4−370148号公報 特開平6−128479号公報 特開平9−255869号公報 特開平11−343405号公報 特開平11−343406号公報 特開平11−349807号公報 特開2000−53861号公報
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、結晶性樹脂の結晶化温度及び結晶化速度を低下させる核効果抑制剤を含有させて結晶性樹脂を着色する場合の色の選択を自由に行い得る核効果抑制剤、その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物、及び、その核効果抑制剤を用いて結晶性樹脂の結晶化温度及び結晶化速度を低下させる結晶化制御方法を提供することにある。
本発明者は、結晶性樹脂に対する核効果を抑制し得る新たな物質をその立体構造に着目して研究した結果、特定の構造特性を持つ化合物を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化温度及び結晶化速度がその化合物を含有しない場合に比し低下することを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成する本発明の核効果抑制剤は、
結晶性樹脂組成物中において結晶性樹脂の結晶化を制御する化合物からなる核効果抑制剤であって、
前記化合物が下記式(1)又は(2)で表される化合物であることを特徴とする。
Figure 2005036130
・・・・(1)
Figure 2005036130
・・・・(2)
[式(1)及び式(2)中、A、B、R及びRは、互いに独立して、単環又は二つの環からなる縮合環を示す。]
本発明の核効果抑制剤は、次の要件(A)を満たすものとすることができる。
(A) その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化温度が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化温度よりも低下する
また本発明の核効果抑制剤は、次の要件(B)を満たすものとすることができる。
(B) その核効果抑制剤を結晶性樹脂100重量部に対し 0.1乃至30重量部含有する結晶性樹脂組成物の結晶化温度が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化温度よりも4℃以上低下する
また本発明の核効果抑制剤は、次の要件(C)を満たすものとすることができる。
(C) その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化速度が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化速度よりも低下する
また本発明の核効果抑制剤は、次の要件(D)を満たすものとすることができる。
(D) その核効果抑制剤を結晶性樹脂100重量部に対し0.1乃至30重量部含有する結晶性樹脂組成物の補外結晶化開始温度と補外結晶化終了温度の差が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの補外結晶化開始温度と補外結晶化終了温度の差よりも2℃以上増加する
また本発明の核効果抑制剤は、次の要件(E)を満たすものとすることができる。
(E) その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化物における球晶の大きさが、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける球晶の大きさより大きくなる
また本発明の核効果抑制剤は、次の要件(F)を満たすものとすることができる。
(F) その核効果抑制剤を結晶性樹脂100重量部に対し0.1乃至30重量部含有する結晶性樹脂組成物における球晶の平均径(例えば2軸平均径のメジアン径)が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける球晶の平均径の2倍以上となる
また本発明の核効果抑制剤は、次の要件(G)を満たすものとすることができる。
(G) その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物における所定面積(例えば一定の表面又は断面における所定面積)中の球晶の数が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける前記所定面積中の球晶の数より少なくなる
また本発明の核効果抑制剤は、次の要件(H)を満たすものとすることができる。
(H) その核効果抑制剤を結晶性樹脂100重量部に対し0.1乃至30重量部含有する結晶性樹脂組成物における所定面積中の球晶の数が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける前記所定面積中の球晶の数に対して2/3倍以下に減少する
本発明の結晶性樹脂組成物は、結晶性樹脂中に本発明の何れかの核効果抑制剤を1種以上含有してなるものである。
また本発明の結晶性樹脂組成物の結晶化制御法は、
結晶性樹脂中に本発明の何れかの核効果抑制剤を1種以上含有させることにより、その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化温度及び結晶化速度を、その結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化温度及び結晶化速度よりも低下させるものである。
結晶性樹脂の結晶化における結晶の成長は、まず不純物や溶融状態の高分子の濃度揺らぎ等によって結晶核が生じることにより始まる。結晶が成長し始める大きさをもつ結晶核が臨界核であり、臨界核よりも小さいサイズの核は、生成したり消滅したりする。また、臨界核ができるまでの期間を核生成誘導期という。結晶性樹脂中に核剤又はそれに相当する物質を含有させると、臨界核としての結晶核が予め存在するのと同様になる。そのため核生成誘導期を実質上経ることなく高い温度で結晶が成長し始める。
ところが、本発明における核効果抑制剤を結晶性樹脂中に含有させると、核生成誘導期が長くなり、結晶が成長を始める温度が低下すると共に結晶化速度が低下する。このような核効果抑制現象は、前記本発明の核効果抑制剤を構成する化合物の立体構造が大きく影響している。
本発明の核効果抑制剤における結晶性樹脂の結晶化を制御する化合物が備えることを要する構造は、下記式(1)又は(2)で表される基本骨格構造である。
Figure 2005036130
・・・・(1)
Figure 2005036130
・・・・(2)
[式(1)及び式(2)中、A、B、R及びRは、互いに独立して、単環又は二つの環からなる縮合環を示す。]
それに対し5員環以上の環が2個縮合環化した構造の化合物、並びに、5員環以上の単環と5員環以上の2個の環の縮合環、又はその何れか2個が単結合した構造の化合物は、何れも有効な核抑制効果を示さない。
結晶性樹脂中に本発明の核効果抑制剤を含有させると、結晶性樹脂の核生成誘導期が長くなり、結晶が成長し始める温度が低下すると共に結晶化速度が低下する。そのため、本発明の核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物における球晶の大きさは、その核効果抑制剤を含有しない元の結晶性樹脂における球晶の大きさよりも大きくなる。核抑制効果が大きい場合、そのような球晶の大きさの相違は2倍以上となる。
本発明の核効果抑制剤及び本発明の結晶性樹脂組成物の結晶化制御法によれば、結晶性樹脂の結晶化温度及び結晶化速度を低下させることによって核剤の働きを抑制することができる。結晶化温度の上昇や成形物の表面光沢・外観の低下を招く核剤として作用する着色剤や繊維状補強材又はその他の添加剤を結晶性樹脂組成物に含有させる場合に、本発明の核効果抑制剤又は本発明の結晶性樹脂組成物の結晶化制御法を用いることにより、それらの核剤としての作用を抑制することができるので、結晶性樹脂組成物の設計の許容幅が広くなり、広範囲の用途に対応することが可能となる。また、本発明における核効果抑制剤は、無色若しくは淡色であるか又はその他の様々な色を有するので、結晶性樹脂を着色する場合での色の設計の許容幅が広い。
本発明の結晶性樹脂組成物は、核効果抑制剤を含有しない元の結晶性樹脂樹脂よりも結晶化温度が低下し(例えば4℃以上)、結晶化速度が低下する。そのため、冷却による成形物の収縮量が小さくなって成形の寸法精度が良くなると共に、成形物の強度の異方性が良好に低減して優れた熱時寸法安定性を示すので、寸法精度の要求が厳しい精密な成形物の製造上極めて有効である。また、成形時に、成形用の金型の温度を低くすることができるので、成形物の降温時間を短縮することができると共に金型の温度調整を容易化し、金型の温度調整設備費を低減させることができ、大型成形物の成形も比較的小さな設備で行い得る。また本発明の結晶性樹脂組成物は、含有する核効果抑制剤が無色若しくは淡色であるか又はその他の様々な色を有するものであるから、着色する場合に色の設計の許容幅が広い。
本発明の核効果抑制剤は、下記式(1)又は(2)で表される基本骨格構造を備えた化合物である。
Figure 2005036130
・・・・(1)
Figure 2005036130
・・・・(2)
上記基本骨格構造の一部を構成する部分骨格構造として、下記部分骨格構造Aと部分骨格構造Bを挙げることができる。
Figure 2005036130
部分骨格構造A
Figure 2005036130
部分骨格構造B
上記式(1)、式(2)、部分骨格構造A、及び部分骨格構造B中、A、B、R及びRは、互いに独立して、単環又は二つの環からなる縮合環を示す。好ましくは、5員環以上の単環若しくは5員環以上の二つの環からなる縮合環である。
前記5員環以上の環は、芳香環又はヘテロ環であることが望ましい。
5員環以上の環のうち5員環としては、シクロペンタジエン環、ピロリン環、ピロリジン環、ピラゾリン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、オキソラン環、ジオキソラン環、チオラン環、、チアゾリン環、チアリジン環、オキサゾリン環などが挙げられる。
また6員環としては、シクロヘキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピラン環、オキサン環、ジオキサン環、オキサジン環、チアン環、ジチアン環、チアジン環、チオキサン環、モルホリン環、チオモルホリン環、シクロヘキサジエン環、トリアジン環、トリチアン環、トリオキサン環等が挙げられる。
本明細書では、上位表現である基本骨格構造を具体化した例として骨格構造を挙げている。基本骨格構造の一部を表す中位表現として部分骨格構造を挙げ、その好ましい具体例として部分構造を挙げている。また、その部分構造を備えた化合物の好適な具体例を化合物例として挙げている。骨格構造においては、骨格を構成するそれぞれの結合は単結合又は二重結合であり、骨格を構成する原子の種類並びに置換基の種類及び位置は特定されない。部分構造においては、置換基の種類及び位置は特定されない。
骨格構造と部分構造と化合物例の具体的関係の例は次の通りである。
Figure 2005036130
骨格構造1
Figure 2005036130
部分構造1A
Figure 2005036130
部分構造1B
Figure 2005036130
化合物例1
Figure 2005036130
化合物例2
Figure 2005036130
化合物例3
上記骨格構造1は、5員環以上の単環同士が二重結合で繋がった構造に属する骨格構造の1つである。部分構造1Aと部分構造1Bは、それぞれ骨格構造1の一部を構成する部分構造の1つである。
また化合物例1及び化合物例2は、何れも部分構造1Aと部分構造1Bからなる骨格を持つ化合物の好適な具体例であって、化合物例2は、3,3'−の位置に置換基としてフェニル基を有するものである。
また化合物例3は、骨格構造6の一部を構成する部分構造である部分構造13Aと部分構造13Bからなる骨格を持つ化合物の好適な具体例である。
本発明の核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化温度の変化及び結晶化速度の変化は、核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物(核効果抑制剤含有試料)と、結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂のみ(核効果抑制剤非含有試料)について示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより次のように知ることができる。
(1)結晶化温度の変化
核効果抑制剤含有試料が示す結晶化温度(TCP)と、核効果抑制剤非含有試料が示す結晶化温度(T CP)の差(結晶化温度低下 ΔTCP=T CP−TCP)でその大きさを表すことができる。ΔTCPが大きいほどその効果が大きいことを示し、ΔTCPが負の値をとるときは核効果が現れていることを示している。
(2)結晶化速度の変化
補外結晶化開始温度(TCIP)と補外結晶化終了温度(TCEP)との差すなわち結晶化温度幅をΔT=TCIP−TCEPで表す。核効果抑制剤を含まない試料が示す補外結晶化開始温度(T CIP)と補外結晶化終了温度(T CEP)との差、すなわち核効果抑制剤を含まない試料の結晶化温度幅をΔT =T CIP−T CEPで表す。
ΔΔT=ΔT−ΔT が大であるほど核効果抑制剤を含まない試料に比し、結晶加速度が遅くなったことを示し、負の値をとるときは速くなったことすなわち核効果が現れていることを示している。
(1)結晶化温度の低下の検討
・ナイロン66(結晶性樹脂のみ)のT CP:232.8℃
・化合物例1添加のナイロン66のTCP:226.1℃
ΔTCP=T CP−TCP=+6.7℃
・化合物例2添加のナイロン66のTCP:221.5℃
ΔTCP=T CP−TCP=+11.3℃
・化合物例3添加のナイロン66のTCP:220.4℃
ΔTCP=T CP−TCP=+12.4℃
5員環以上の単環同士が二重結合で繋がった環集合構造を備えた化合物例1及び化合物例2をナイロン66に添加した各結晶性樹脂組成物では、ナイロン66のみのものに比し結晶化温度が大きく低下している。また、5員環以上の二つの環で構成される縮合環同士が二重結合で繋がった環集合構造を備えた化合物例3をナイロン66に添加した結晶性樹脂組成物では、ナイロン66のみのものに比し結晶化温度がより大きく低下している。
(2)結晶化速度の低下の検討
・ナイロン66(結晶性樹脂のみ)ΔT :9.5℃
・化合物例1添加のナイロン66のΔT:14.1℃
ΔΔT=ΔT−ΔT =+4.6℃
・化合物例2添加のナイロン66のΔT:15.0℃
ΔΔT=ΔT−ΔT =+5.5℃
・化合物例3添加のナイロン66のΔT:16.6℃
ΔΔT=ΔT−ΔT =+7.1℃
5員環以上の単環同士が二重結合で繋がった環集合構造を備えた化合物例1及び化合物例2をナイロン66に添加した各結晶性樹脂組成物では、ΔΔTが大きい。これは、ポリアミド66のみのものよりも結晶化速度が大きく低下していることを示している。また、5員環以上の二つの環で構成される縮合環同士が二重結合で繋がった環集合構造を備えた化合物例3をナイロン66に添加した結晶性樹脂組成物では、ΔΔTが更に大きく、ポリアミド66のみのものよりも結晶化速度が更に低下している。
上記データに示されるように、本発明の基本骨格構造を備えた核効果抑制剤による結晶化温度低下及び結晶化速度低下の効果、すなわち結晶化遅延効果は、基本骨格構造における環の数が増えるに従い大きくなる。また、化合物例1、化合物例2及び化合物例3をそれぞれ含有した結晶性樹脂組成物の補外結晶化開始温度(TCIP)が結晶性樹脂のみのものに比し非常に低くなっており(結晶性樹脂のみ:236.0℃、化合物例1:232.2℃、化合物例2:229.0℃、化合物例3:228.5℃)、核誘導期間が長くなっていることがわかる。
次に、骨格構造及び部分構造の具体例を説明する。
骨格構造
上記式(1)で表される基本骨格構造に属する骨格構造のうち好ましいものを骨格構造1乃至9として例示することができる。また、上記式(2)で表される基本骨格構造に属する骨格構造のうち好ましいものを骨格構造10乃至12として例示することができる。
Figure 2005036130
骨格構造1
Figure 2005036130
骨格構造2
Figure 2005036130
骨格構造3
Figure 2005036130
骨格構造4
Figure 2005036130
骨格構造5
Figure 2005036130
骨格構造6
Figure 2005036130
骨格構造7
Figure 2005036130
骨格構造8
Figure 2005036130
骨格構造9
Figure 2005036130
骨格構造10
Figure 2005036130
骨格構造11
Figure 2005036130
骨格構造12
部分構造
上記部分骨格構造Aに対応する部分構造のうち好ましいものとして、下記部分構造1乃至17を挙げることができ、上記部分骨格構造Bに対応する部分構造のうち好ましいものとして、下記部分構造1乃至20を挙げることができる。
Figure 2005036130
部分構造1
Figure 2005036130
部分構造2
Figure 2005036130
部分構造3
Figure 2005036130
部分構造4
Figure 2005036130
部分構造5
Figure 2005036130
部分構造6
Figure 2005036130
部分構造7
Figure 2005036130
部分構造8
Figure 2005036130
部分構造9
Figure 2005036130
部分構造10
Figure 2005036130
部分構造11
Figure 2005036130
部分構造12
Figure 2005036130
部分構造13
Figure 2005036130
部分構造14
Figure 2005036130
部分構造15
Figure 2005036130
部分構造16
Figure 2005036130
部分構造17
Figure 2005036130
部分構造18
Figure 2005036130
部分構造19
Figure 2005036130
部分構造20
本発明の核効果抑制剤は、カチオンとアニオンとがイオン結合してなる塩であるものとすることができる。この場合の核効果抑制剤は、上記核効果抑制剤の基本骨格構造の環における、スルホン基、カルボキシル基、又は置換基を有する若しくは非置換のアミノ基がイオン化して形成された塩であるものとすることができる。またこの場合のアニオンは、カルボン酸又はスルホン酸に起因するアニオンであるものとすることができ、このカルボン酸及びスルホン酸は、それぞれ芳香族又は脂肪族のスルホン酸及び芳香族又は脂肪族のカルボン酸であるものとすることができる。
本発明の核効果抑制剤は、前記基本骨格構造おける環に他の置換基等が結合した化合物からなるものであってもよい。このような置換基等は、対象とする結晶性樹脂に重大な悪影響(例えば、ポリマー鎖の切断を起こすなど)を及ぼすものでないことを要するが、対象とする結晶性樹脂に対する相溶性を補うものであることが望ましい。このような置換基の具体例としては、水酸基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホン基、及びカルボキシル基の1種又は2種を例示することができる。好ましくは、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボニル基、メチル基、及びアセチル基の1種又は2種である。
前記ハロゲンの例としては、F、Cl、Br、I等が挙げられる。
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1乃至18のアルキル基が挙げられる。
前記アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1乃至18のアルコキシ基が挙げられる。
前記アラルキル基の例としては、置換基を有する若しくは有しない、ベンジル基、α,α'-ジメチルベンジル基等が挙げられる。
前記アルケニル基の例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル等が挙げられる。
前記アリル基の例としては、−CHCH=CH、−C(CH)=CH等が挙げられる。
前記アリール基の例としては、置換基(例えば炭素数1乃至18のアルキル基又はCl、Br、I、F等のハロゲン原子等)を有する若しくは置換基を有しない、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アシル基の例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基の例としては、置換基を有する若しくは置換基を有しない、フェニルオキシカルボニル基、トルイルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アルキルアミノカルボニル基の例としては、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、イソプロピルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
前記アリールアミノカルボニル基の例としては、置換基を有する若しくは置換基を有しない、フェニルアミノカルボニル基、トルイルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
前記アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ペンチルアミノ基、ドデシルアミノ基等が挙げられる。
前記アリールアミノ基の例としては、置換基を有する若しくは置換基を有しない、フェニルアミノ基、トルイルアミノ基、ナフチルアミノ基等が挙げられる。
本発明の結晶性樹脂組成物における核効果抑制剤の含有量としては、例えば結晶性樹脂100重量部に対し、0.05乃至30重量部とすることができる。好ましくは0.1乃至10重量部である。
本発明に用いる結晶性樹脂としては、前記核効果抑制剤を添加することにより、核効果抑制効果を示す結晶性樹脂の何れをも用いることができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。好ましい結晶性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂を挙げることができ、特にポリアミド樹脂において本発明の効果が顕著である。これらの結晶性樹脂は、単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。
また本発明においては、これらの結晶性樹脂を構成する重合体を主体とする共重合体又は混合物;これらの結晶性樹脂にゴム又はゴム状樹脂などのエストラマーを配合した熱可塑性樹脂;及びこれらの結晶性樹脂を10重量%以上含有するポリマーアロイ等を結晶性樹脂として用いることもできる。これら二種類以上のものの共重合体、例えば、ナイロン(ポリアミド)6/66、ナイロン6/66/610、ナイロン6/66/11/12などでもよい。また本発明に使用する結晶性樹脂は、二種類以上の合成樹脂を混合したアロイであってもよい。そのようなアロイの例としては、ポリアミド/ポリエステルアロイ、ポリアミド/ポリフェニレンオキシドアロイ、ポリアミド/ポリカーボネートアロイ、ポリアミド/ポリオレフィンアロイ、ポリアミド/ポリスチレン/アクリロニトリルアロイ、ポリアミド/アクリル酸エステルアロイ、ポリアミド/シリコンアロイ等を挙げることができる。
上記のポリアミド樹脂の具体例としては、ナイロン6(ポリアミド6樹脂)、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66(ポリアミド66樹脂)、ナイロン69(ポリアミド69樹脂)、ナイロン610(ポリアミド610樹脂)、ナイロン612、ナイロン96、ナイロンMXD6、ナイロンRIM等を挙げることができる。
本発明の結晶性樹脂組成物は、その目的に応じ所望の特性を付与するために、種々の添加剤が配合されてもよい。このような添加剤としては、例えば着色剤、結晶核剤、離型剤、滑剤、分散剤、充填剤、安定剤、可塑剤、改質剤、紫外線吸収剤又は光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、及び耐衝撃性改良用のエラストマー等が挙げられる。
繊維状補強材は、特に限定されず、用途及び目的に応じ従来の合成樹脂の補強材として用い得るものを適宜使用し得る。このような繊維状補強材の例としては、ガラス繊維、炭素繊維、及び各種有機繊維を挙げることができる。例えばガラス繊維の場合、その含有量は、結晶性樹脂100重量部に対し、5乃至120重量部とすることが好ましい。5重量部未満の場合、十分なガラス繊維補強効果が得られ難く、120重量部を超えると成形性が低下することとなり易い。好ましくは10乃至60重量部、特に好ましくは20乃至50重量部である。
前記着色剤としては、無機顔料、有機顔料又は有機染料等を用いることができる。使用し得る着色剤の具体例としては、カーボンブラック、キノフタロン、ハンザイエロー、ローダミン6Gレーキ、キナクリドン、ローズベンガル、銅フタロシアニンブルー、及び銅フタロシアニングリーン等の無機又は有機顔料、アゾ系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、トリフェニルメタン系染料、フタロシアニン系染料等の各種の油溶性染料や分散染料の他、染料や顔料が高級脂肪酸や合成樹脂等で加工されたもの等が挙げられる。本発明の無色又は淡色の核効果抑制剤と種々の有彩色の有機顔料とを組み合わせることにより、フルカラーで、耐光性及び耐熱性が適正で、外観光沢の良好な成形物が得られる。
前記結晶核剤としては、マイカ、タルク、カオリン、ワラスナイト、シリカ、グラファイト等の無機質微粒子、ガラス繊維、カーボン繊維(結晶性樹脂に通常使用されているものを使うことができ、繊維径や長さには特に制限はしない)等の無機質繊維、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物等を例示することができる。
離型剤、滑剤としては、カルボン酸系のステアリン酸、パルチミン酸、モンタン酸等、アミド系のエチレンビスステアリルアミド、メチレンビスステアリルアミド等、カルボン酸エステル系のステアリン酸オクチル、ステアリン酸グリセリド、モンタン酸エステル等、カルボン酸金属塩系の、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸エステルの部分ケン化カルシウム塩等、アルコール系のステアリルアルコール等、ワックス系のポリエチレンワックス、ポリエチレンオキシド等を例示することができる。
紫外線吸収剤又は光安定剤の例としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾエート系化合物、オギザアリド系化合物、ヒンダードアミン系化合物及びニッケル錯塩等が挙げられる。
難燃剤の例としては、テトラブロモビスフェノールA誘導体、ヘキサブロモジフェニルエーテル、及びテトラブロモ無水フタル酸等のハロゲン含有化合物;トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスファイト、赤リン及びポリリン酸アンモニウム等のリン含有化合物;尿素及びグアニジン等の窒素含有化合物;シリコンオイル、有機シラン、及びケイ酸アルミニウム等のケイ素含有化合物;三酸化アンチモン及びリン酸アンチモン等のアンチモン化合物等が挙げられる。
本発明の結晶性樹脂組成物は、原材料を任意の配合方法を用いて配合することにより得ることができる。これらの配合成分は、通常、できるだけ均質化させることが好ましい。具体的には、例えば、全ての原材料をブレンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、押出機等の混合機で混合し均質化させることにより、結晶性樹脂組成物を得たり、又は、一部の原材料を混合機で混合した後、残りの成分を加えて更に混合して均質化させることにより結晶性樹脂組成物を得ることもできる。また、予めドライブレンドされた原材料を、加熱した押出機で溶融混練して均質化した後、針金状に押出し、次いで所望の長さに切断して着色粒状物(着色ペレット)として得ることもできる。また、本発明の結晶性樹脂組成物を用いて、任意の方法により所望のマスターバッチを得ることができる。
本発明の結晶性樹脂組成物の成形は、通常行われる種々の手順により行い得る。例えば、結晶性樹脂組成物のペレットを、押出機、射出成形機、ロールミル等の加工機を用いて成形することができる。また、結晶性樹脂のペレット又は粉末、粉砕された着色剤、及び必要に応じ各種の添加物を、適当なミキサー中で混合し、この混合物を加工機を用いて成形することもできる。また例えば、適当な重合触媒を含有するモノマーに着色剤を加え、この混合物を重合により所望の結晶性樹脂とし、これを適当な方法で成形することもできる。成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、発泡成形、ブロー成形、真空成形、インジェクションブロー成形、回転成形、カレンダー成形、溶液流延等、一般に行われる何れの成形方法を採用することも可能である。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の記述においては、「重量部」を「部」と略す。
測定試料作製並びに対照試料(ナイロン66のみの試料)のΔT の測定
ナイロン66(デュポン社製 商品名:Zytel 101L)150gを、2,2,2−トリフルオロエタノール1160gと混合し、加熱により溶解させた(約70℃)。この溶解液を桐山濾紙NO.5Aで熱時濾過した。その濾液をクロロホルム3リットル中に投入した後、これにメタノール1リットルを加えてゲル状とした。このゲル状物を桐山濾紙NO.5Aで熱時濾過した後、メタノール3リットルに分散させた。この分散液を濾過することにより得られた粉体を、エバポレーターで溶媒を除去した後、70℃にて15時間以上真空乾燥させることにより、精製ナイロン66を得た。
精製したナイロン66(結晶性樹脂)100部及び本発明の核効果抑制剤(下記の各表に示された化合物例)10部を2,2,2−トリフルオロエタノールに加えて加熱溶解させた。これをシャーレに入れて室温にて静置し、2,2,2−トリフルオロエタノールを蒸発させた後、真空乾燥機を用いて70℃で15時間以上乾燥させることにより測定試料を得た。2,2,2−トリフルオロエタノールに加熱溶解しない化合物例の場合には次のようにして測定用試料を作製した。精製した100部のナイロン66及び化合物例10部を2,2,2−トリフルオロエタノールに加えて加熱し、ナイロン66を溶解させた。超音波を用いて該化合物を分散させ、次いでこれにテトラヒドロフランを加えてゲル状の分散状態としたものをシャーレに入れて室温にて静置し、2,2,2−トリフルオロエタノール及びテトラヒドロフランを蒸発させた。真空乾燥機を用いて70℃で15時間以上乾燥させることにより測定試料を得た。
対照として、精製したナイロン66のみを2,2,2−トリフルオロエタノールに加熱溶解させた後、シャーレに入れて室温にて静置した。2,2,2−トリフルオロエタノールを蒸発させた後、真空乾燥機を用い、70℃で15時間以上乾燥させることにより対照試料を得た。
本明細書では、上記の試料作製処理をキャスト法処理と言うものとし、下記の実施例及び比較例においては、この処理方法により試料を作製した。
各測定試料及び対照試料について、示差走査熱量計(SEIKO INSTRUMENTS INC.社製 商品名:DSC6200 COOLING CONTROLLER)を用いて結晶化温度(TCP)、補外結晶化開始温度(TCIP)、及び補外結晶化終了温度(TCEP)を測定した。この熱分析においては、20℃から300℃まで20℃/minで昇温し、300℃を3分間保持し、次いで300℃から20℃まで10℃/minで降温するというサイクルを5回繰り返した。各測定試料について得られた補外結晶化開始温度(TCIP)と補外結晶化終了温度(TCEP)の測定データから、結晶化温度幅(ΔT)[補外結晶化終了温度と補外結晶化開始温度の差]を算出した。表1乃至表4に測定結果(数値の単位は全て℃)を示す。表1乃至表4に示す各化合物例に関するTCP、TCIP、TCEP、ΔTの測定値は以上のようにして得た。
同様に、対照試料についても結晶化温度(T CP)、補外結晶化開始温度(T CIP)、及び補外結晶化終了温度(T CEP)を測定し、結晶化温度幅(ΔT )を算出した。
結晶化温度の低下は、ΔTCP(ΔTCP=T CP−TCP)によって判断し、結晶化速度の低下は、ΔTとΔT を比較すること(ΔΔT=ΔT−ΔT )によって判断した。
結晶化温度(TCP)の測定値は、示差走査熱量計により昇温・降温を繰り返して得られた測定値のうち2乃至5回目の4回のものの平均値を用いた。補外結晶化開始温度(TCIP)及び補外結晶化終了温度(TCEP)の測定値は、前記2乃至5回目の各降温測定時の測定値の平均値を用いた。
対照試料についても結晶化温度(T CP)、補外結晶化開始温度(T CIP)、及び補外結晶化終了温度(T CEP)の測定値を前記と同様の方法により、以下のように得た。
CP=232.8℃
CIP=236.0℃
CEP=226.5℃
ΔT =9.5℃
実施例1乃至18は、化合物例1乃至18に関するものであり、これらの化合物例と対照試料について結晶化温度及び結晶化速度の低下を対比することにより、本発明の核効果抑制剤の有効性が示される。
実施例1、実施例2及び実施例4の考察
実施例1、2及び実施例4は、二つの単環(5員環)が二重結合で繋がった骨格構造にテトラチアフルバレン構造を含んだ化合物例に関する。各化合物例の構造は下記の通りである。
Figure 2005036130
単位:℃
Figure 2005036130
(化合物例1)
Figure 2005036130
(化合物例2)
Figure 2005036130
(化合物例4)
ナイロン66(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度(T CP)は232.8℃、実施例1、実施例2及び実施例4における結晶化温度低下(ΔTCP)は+11.3乃至+6.3℃であり、大きな結晶化温度の低下が認められる。
また、実施例1、実施例2及び実施例4の結晶化温度幅(ΔT)は、ナイロン66(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度幅(ΔT )9.5℃よりも+4.9乃至+9.9℃拡大しており、結晶化速度が低下していることを示している。同時に、補外結晶化開始温度(TCIP)が元の結晶性樹脂より低く、核誘導期間が非常に長くなっていることを示している。従って、実施例1、実施例2及び実施例4の化合物は核効果抑制剤としての顕著な機能を有している。
実施例3、実施例5及び実施例6
実施例3、実施例5及び実施例6は、二つの環(5員環同士又は5員環と6員環)からなる縮合環が二重結合を介して繋がった骨格構造にテトラチアフルバレン構造を含んだ化合物に関する。各化合物例の構造は下記の通りである。
Figure 2005036130
単位:℃
Figure 2005036130
(化合物例3)
Figure 2005036130
(化合物例5)
Figure 2005036130
(化合物例6)
ナイロン66(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度(T CP)は232.8℃であり、実施例3及び実施例5における結晶化温度低下(ΔTCP)は+12.4及び+8.8℃であり、大きく結晶化温度が低下している。
また、実施例3、実施例5及び実施例6の結晶化温度幅(ΔT)は、ナイロン66(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度幅(ΔT )9.5℃よりも+7.1及び+5.4℃(ΔΔT)拡大しており、結晶化速度が低下していることを示している。同時に、補外結晶化開始温度(TCIP)が元の結晶性樹脂より低く、核誘導期間が非常に長くなっていることを示している。従って、実施例3、実施例5及び実施例6の化合物は核効果抑制剤としての顕著な機能を有している。
実施例7乃至実施例16
実施例7乃至実施例16は、何れも骨格構造内にテトラチアフルバレン構造を含んでいない化合物例についてのものであり、実施例7乃至実施例10は、単環(5員環)同士が二重結合で繋がった骨格構造の化合物に関し、実施例11乃至実施例13は、二つの環(5員環と6員環)からなる縮合環が二重結合で繋がった骨格構造の化合物に関し、実施例14は、二つの環(5員環と6員環)で構成される縮合環と単環(5員環)が二重結合で繋がった骨格構造の化合物に関する。また実施例15は、6員環に、それぞれ二重結合により5員環が二つ繋がった構造の化合物(すなわち二つの単環が二重結合で繋がった骨格構造を含む化合物)に関し、実施例16は、二重結合の片側は単環で他方は単環2つが繋がった炭素原子である骨格構造の化合物に関する。
Figure 2005036130
単位:℃
Figure 2005036130
(化合物例7)
Figure 2005036130
(化合物例8)
Figure 2005036130
(化合物例9)
Figure 2005036130
(化合物例10)
Figure 2005036130
(化合物例11)
Figure 2005036130
(化合物例12)
Figure 2005036130
(化合物例13)
Figure 2005036130
(化合物例14)
Figure 2005036130
(化合物例15)
Figure 2005036130
(化合物例16)
ナイロン66(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度(T CP)は232.8℃であり、実施例7乃至実施例16における結晶化温度低下(ΔTCP)は+9.8及び+5.2℃であり、大きく結晶化温度が低下している。
また、実施例7乃至実施例16の結晶化温度幅(ΔT)は、ナイロン66(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度幅(ΔT )9.5℃よりも+3.0及び+2.0℃(ΔΔT)拡大しており、結晶化速度が低下していることを示している。同時に、補外結晶化開始温度(TCIP)が元の結晶性樹脂より低く、核誘導期間が非常に長くなっていることを示している。従って、実施例7乃至実施例16の化合物は核効果抑制剤としての顕著な機能を有している。
以上の種々の環集合構造を備えた化合物、及びこれに置換基を導入した化合物の示差走査熱量計による評価から、上記式(1)又は(2)で表される基本骨格構造を備えた化合物は、結晶性樹脂の結晶化温度及び結晶化速度を有効に下げることができると共に、核生成誘導期を長くすることができ、核効果を抑制する材料として有効に働く。
一方、単環の化合物や、単環同士が単結合若しくは脂肪族を介して繋がった構造、又は二つの環で構成される縮合環が単環若しくは二つの環で構成される縮合環と単結合若しくは脂肪族を介して結合した化合物は、結晶性樹脂の結晶化温度及び結晶化速度の低下に有効ではない。
実施例17及び18
実施例17及び18は、二つの単環が二重結合で繋がった骨格構造の化合物とスルホン酸又はカルボン酸との塩の構造を有する化合物例17及び18(式中のMeはメチル基)に関する。各化合物例の構造は下記の通りである。
Figure 2005036130
単位:℃
Figure 2005036130
(化合物例17)
Figure 2005036130
(化合物例18)
ナイロン66(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度(T CP)は232.8℃であり、実施例17及び18における結晶化温度低下(ΔTCP)は+8.4及び+7.4℃であり、大きく結晶化温度が低下している。
また、実施例17及び18の結晶化温度幅(ΔT)は、ナイロン66(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度幅(ΔT )9.5℃よりも+3.1及び3.4℃(ΔΔT)拡大しており、結晶化速度が大きく低下していることを示している。従って、これらの化合物は核効果抑制剤としての顕著な機能を有している。
実施例19乃至22
実施例19乃至22では、結晶性樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹脂を用い、核効果抑制剤として、二つの単環が二重結合で繋がった骨格構造又は二つの環からなる縮合環が二重結合を介して繋がった骨格構造を備えた上記化合物例1乃至4を用いたものである。
精製したPBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂[結晶性樹脂])[デュポン社製 商品名:CRASTIN(6130NC)]100部及び本発明の核効果抑制剤(表5に示された各化合物例)10部を1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに加えて加熱溶解させた。これをシャーレに入れて室温にて静置し、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを蒸発させた後、真空乾燥機を用いて70℃で15時間以上乾燥させることにより測定試料を得た。対照として、前記の精製したPBTのみを1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに加熱溶解させた後、シャーレに入れて室温にて静置した。1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを蒸発させた後、真空乾燥機を用い、70℃で15時間以上乾燥させることにより対照試料を得た(キャスト法)。
各測定試料及び対照試料について、示差走査熱量計(SEIKO INSTRUMENTS INC.社製 商品名:DSC6200 COOLING CONTROLLER)を用いて結晶化温度(TCP)、結晶化開始温度(TCIP)、及び結晶化終了温度(TCEP)を測定する熱分析を行った。この熱分析においては、20℃から245℃まで20℃/minで昇温し、245℃を3分間保持し、次いで245℃から20℃まで10℃/minで降温するというサイクルを5回繰り返した。各測定試料について得られた補外結晶化開始温度(TCIP)と補外結晶化終了温度(TCEP)の測定データから、結晶化温度幅(ΔT)[補外結晶化終了温度と補外結晶化開始温度の差]を算出した。同様に、対照試料についても結晶化温度(T CP)、補外結晶化開始温度(T CIP)、及び補外結晶化終了温度(T CEP)を測定し、結晶化温度幅(ΔT )を算出した。
結晶化温度の低下は、ΔTCP(ΔTCP=T CP−TCP)によって判断し、結晶化速度の低下は、ΔTとΔT を比較すること(ΔΔT=T−T )によって判断した。
Figure 2005036130
単位:℃
PBT(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度(T CP)は183.6℃であり、実施例19乃至22における結晶化温度低下(ΔTCP)は+4.7乃至+4.0℃であり、十分な結晶化温度の低下が認められる。
また、実施例19乃至22の結晶化温度幅(ΔT)は、PBT(対照:元の結晶性樹脂)の結晶化温度幅(ΔT )13.0℃よりも+1.9乃至+2.3℃(ΔΔT)拡大しており、結晶化速度が低下していることを示している。従って、これらの化合物は核効果抑制剤としての有効な機能を有している。
実施例23乃至25
実施例23乃至25では、結晶性樹脂としてガラス繊維強化ナイロン66(ポリアミド樹脂:ガラス繊維=67:33の重量混合比の繊維強化ポリアミド樹脂[デュポン社製 商品名:70G33L])を用い、これに核効果抑制剤として上記化合物例1乃至3を添加し、射出成形により成形板を得た。この成形板と、ガラス繊維強化ナイロン66(元の結晶性樹脂)のみを用いて射出成形により得た成形板との間で、外観及び光沢を比較検討した。
射出成形は次のように行った。500gの前記ガラス強化ナイロン66に化合物例1乃至3の何れかを5g加え、ステンレス製タンブラーで20分間撹拌混合して得た混合物を、ノズル温度300℃、金型温度80℃(他は通常の成形条件)で射出成形機(川口鐵工社製 商品名:KM−50C)を用いて射出成形した。得られた試験片[49×79×3mm]について光沢度を測定すると共に外観を評価して表6に示した。
光沢度試験と評価
光沢度は、光沢度計(スガ試験機社製 商品名:HG−268)を用いて、試験片に対し60度入射角での光沢値を測定した。試験片における測定部位は成形物の中央部分とした。
一般に、光沢値の高いものが、表面の平滑性が高くて表面光沢が豊富であると判断される。また、この試験により、試験片の平滑性のみならず、繊維強化結晶性樹脂におけるガラス繊維などの繊維状補強材が浮き出る現象を把握することもできる。
Figure 2005036130
実施例23乃至25においては、元のガラス繊維強化ナイロン66より光沢度がかなり向上した。本発明の核効果抑制剤による結晶化温度の低下により、同一金型温度(80℃)において結晶性樹脂が溶融している期間が長くなるため、表面光沢が向上するものと考えられる。
実施例26乃至実施例28
ナイロン66及び上記化合物例2、3及び6の何れかを用いて前記キャスト法によって得たフィルム状測定試料と、ナイロン66のみを用いてキャスト法によって得たフィルム状対照試料について球晶の数を比較した。
球晶の数は次のように計数した。すなわち、前記キャスト法によって得たフィルム状測定試料及び対照試料を、それぞれスライドガラスとカバーガラスの間に挟み、ホットプレートの上で加熱した。各フィルム状試料が融解したところで、上から押し、次いで室温で放冷した。十分に冷えた後、光学顕微鏡で偏光板を用いて観察した。この結果を表7に示す。図1乃至図4は、それぞれ実施例26乃至28並びに比較例1における150563μmの顕微鏡写真である。なお、各写真の右下の目盛りは、1目盛りが20μm、全長5目盛りで100μmである。これにより核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物における球晶の大きさは、その核効果抑制剤を含有しない元の結晶性樹脂における球晶の大きさよりも大きくなることが確認された。
Figure 2005036130
実施例26の顕微鏡写真である。 実施例27の顕微鏡写真である。 実施例28の顕微鏡写真である。 比較例1の顕微鏡写真である。

Claims (36)

  1. 結晶性樹脂組成物中において結晶性樹脂の結晶化を制御する化合物からなる核効果抑制剤であって、
    前記化合物が下記式(1)又は(2)で表される基本骨格構造を備えた化合物であることを特徴とする核効果抑制剤。
    Figure 2005036130
    ・・・・(1)
    Figure 2005036130
    ・・・・(2)
    [式(1)及び式(2)中、A、B、R及びRは、互いに独立して、単環又は二つの環からなる縮合環を示す。]
  2. 上記核効果抑制剤が次の要件(A)を満たすものである請求項1記載の核効果抑制剤。
    (A) その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化温度が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化温度よりも低下する
  3. 上記核効果抑制剤が次の要件(B)を満たすものである請求項1記載の核効果抑制剤。
    (B) その核効果抑制剤を結晶性樹脂100重量部に対し0.1乃至30重量部含有する結晶性樹脂組成物の結晶化温度が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化温度よりも4℃以上低下する
  4. 上記核効果抑制剤が次の要件(C)を満たすものである請求項1記載の核効果抑制剤。
    (C) その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化速度が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化速度よりも低下する
  5. 上記核効果抑制剤が次の要件(D)を満たすものである請求項1記載の核効果抑制剤。
    (D) その核効果抑制剤を結晶性樹脂100重量部に対し0.1乃至30重量部含有する結晶性樹脂組成物の補外結晶化開始温度と補外結晶化終了温度の差が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの補外結晶化開始温度と補外結晶化終了温度の差よりも2℃以上増加する
  6. 上記核効果抑制剤が次の要件(E)を満たすものである請求項1記載の核効果抑制剤。
    (E) その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物における球晶の大きさが、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける球晶の大きさより大きくなる
  7. 上記核効果抑制剤が次の要件(F)を満たすものである請求項1記載の核効果抑制剤。
    (F) その核効果抑制剤を結晶性樹脂100重量部に対し0.1乃至30
    重量部含有する結晶性樹脂組成物における球晶の平均径が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける球晶の平均径の2倍以上となる
  8. 上記核効果抑制剤が次の要件(G)を満たすものである請求項1記載の核効果抑制剤。
    (G) その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物における所定面積中の球晶の数が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける前記所定面積中の球晶の数より少なくなる
  9. 上記核効果抑制剤が次の要件(H)を満たすものである請求項1記載の核効果抑制剤。
    (H) その核効果抑制剤を結晶性樹脂100重量部に対し0.1乃至30重量部含有する結晶性樹脂組成物における所定面積中の球晶の数が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化物における前記所定面積中の球晶の数に対して2/3倍以下に減少する
  10. 上記式(1)及び式(2)中のA、B、R及びRが、互いに独立して、5員環以上の単環若しくは5員環以上の二つの環からなる縮合環を示す請求項1記載の核効果抑制剤。
  11. 上記化合物が、下記骨格構造1乃至12から選ばれる少なくとも1つの骨格構造を備えた化合物である請求項1記載の核効果抑制剤。
    Figure 2005036130
    骨格構造1
    Figure 2005036130
    骨格構造2
    Figure 2005036130
    骨格構造3
    Figure 2005036130
    骨格構造4
    Figure 2005036130
    骨格構造5
    Figure 2005036130
    骨格構造6
    Figure 2005036130
    骨格構造7
    Figure 2005036130
    骨格構造8
    Figure 2005036130
    骨格構造9
    Figure 2005036130
    骨格構造10
    Figure 2005036130
    骨格構造11
    Figure 2005036130
    骨格構造12
  12. 上記基本骨格構造中の下記部分骨格構造Aに対応する部分構造が、下記部分構造1乃至17から選ばれるものであり、上記基本骨格構造中の下記部分骨格構造Bに対応する部分構造が、下記部分構造1乃至20から選ばれるものである請求項10記載の核効果抑制剤。
    Figure 2005036130
    部分骨格構造A
    Figure 2005036130
    部分骨格構造B
    Figure 2005036130
    部分構造1
    Figure 2005036130
    部分構造2
    Figure 2005036130
    部分構造3
    Figure 2005036130
    部分構造4
    Figure 2005036130
    部分構造5
    Figure 2005036130
    部分構造6
    Figure 2005036130
    部分構造7
    Figure 2005036130
    部分構造8
    Figure 2005036130
    部分構造9
    Figure 2005036130
    部分構造10
    Figure 2005036130
    部分構造11
    Figure 2005036130
    部分構造12
    Figure 2005036130
    部分構造13
    Figure 2005036130
    部分構造14
    Figure 2005036130
    部分構造15
    Figure 2005036130
    部分構造16
    Figure 2005036130
    部分構造17
    Figure 2005036130
    部分構造18
    Figure 2005036130
    部分構造19
    Figure 2005036130
    部分構造20
  13. 上記基本骨格構造における環が、水酸基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホン基、及びカルボキシル基から選ばれる1種又は2種以上を置換基として有する請求項1乃至12の何れかに記載の核効果抑制剤。
  14. 上記部分骨格構造Aおよび/または部分骨格構造Bにおける少なくとも1つの環に、フェニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボニル基、メチル基、及びアセチル基から選ばれる1種又は2種以上を置換基として有する請求項12記載の核効果抑制剤。
  15. 上記核効果抑制剤が、カチオンとアニオンとがイオン結合してなる塩である請求項1乃至14の何れかに記載の核効果抑制剤。
  16. 上記塩が、上記核効果抑制剤の基本骨格構造の環における、スルホン基、カルボキシル基、又は置換基を有する若しくは非置換のアミノ基がイオン化して形成された塩である請求項15記載の核効果抑制剤。
  17. 上記アニオンが、カルボン酸又はスルホン酸に起因するアニオンである請求項15記載の核効果抑制剤。
  18. 上記カルボン酸及びスルホン酸が、それぞれ芳香族又は脂肪族のスルホン酸及び芳香族又は脂肪族のカルボン酸である請求項17記載の核効果抑制剤。
  19. 色相が無色又は淡色である請求項1乃至18の何れかに記載の核効果抑制剤。
  20. 結晶性樹脂中に請求項1乃至19の何れかに記載の核効果抑制剤を1種以上含有してなる結晶性樹脂組成物。
  21. 結晶性樹脂100重量部に対し0.1乃至30重量部の上記核効果抑制剤を含有する請求項20記載の結晶性樹脂組成物。
  22. 上記結晶性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる1つ又は2つ以上の混合物である請求項20又は21記載の結晶性樹脂組成物。
  23. 上記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド69樹脂、ポリアミド610樹脂、又はポリアミド樹脂と他の合成樹脂とのアロイである請求項22記載の結晶性樹脂組成物。
  24. 上記結晶性樹脂組成物の結晶化温度が、その結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって上記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化温度よりも4℃以上低い請求項20乃至23の何れかに記載の結晶性樹脂組成物。
  25. 結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂がポリアミド樹脂であり、その結晶性樹脂組成物の結晶化温度が、その結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって上記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化温度よりも5℃以上低い請求項24記載の結晶性樹脂組成物。
  26. 上記結晶性樹脂組成物の補外結晶化開始温度と補外結晶化終了温度の差が、その結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって上記核効果抑制剤を含有しないものの補外結晶化開始温度と補外結晶化終了温度の差よりも2℃以上増加するものである請求項20乃至23の何れかに記載の結晶性樹脂組成物。
  27. 上記結晶性樹脂組成物における球晶の平均径が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって上記核効果抑制剤を含有しないものにおける球晶の平均径の2倍以上となる請求項20乃至23の何れかに記載の結晶性樹脂組成物。
  28. 上記結晶性樹脂組成物における所定面積中の球晶の数が、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって上記核効果抑制剤を含有しないものにおける前記所定面積中の球晶の数より少なくなるものである請求項20乃至23の何れかに記載の結晶性樹脂組成物。
  29. 着色剤を含有する請求項20乃至28の何れかに記載の結晶性樹脂組成物。
  30. 上記着色剤が有彩色の有機顔料である請求項29記載の結晶性樹脂組成物。
  31. 核剤を含有する請求項20乃至30の何れかに記載の結晶性樹脂組成物。
  32. 繊維状補強材を含有する請求項21乃至31の何れかに記載の結晶性樹脂組成物。
  33. 結晶性樹脂中に請求項1乃至19の何れかに記載の核効果抑制剤を1種以上含有させることにより、その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物の結晶化温度及び結晶化速度を、その結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものの結晶化温度及び結晶化速度よりも低下させる結晶性樹脂組成物の結晶化制御法。
  34. 上記結晶化温度の低下が4℃以上である請求項33記載の結晶性樹脂組成物の結晶化制御法。
  35. 結晶性樹脂中に請求項1乃至19の何れかに記載の核効果抑制剤を1種以上含有させることにより、その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物における球晶の平均径を、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける球晶の平均径の2倍以上とする請求項33又は34記載の結晶性樹脂組成物の結晶化制御法。
  36. 結晶性樹脂中に請求項1乃至19の何れかに記載の核効果抑制剤を1種以上含有させることにより、その核効果抑制剤を含有する結晶性樹脂組成物における所定面積中の球晶の数を、前記結晶性樹脂組成物における結晶性樹脂であって前記核効果抑制剤を含有しないものにおける前記所定面積中の球晶の数より少なくする請求項33又は34記載の結晶性樹脂組成物の結晶化制御法。
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JP2013211143A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Yazaki Corp コネクタハウジング
JP2017014387A (ja) * 2015-07-01 2017-01-19 旭化成株式会社 ポリアミド樹脂組成物および成形品

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