JP2005025996A - 高分子型燃料電池システムおよびその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】起動と停止を繰り返す高分子型燃料電池システムは、連続運転と比較して耐久性が大きく劣化する。
【解決手段】起動の際は燃料電池のカソードへ加湿された空気を十分供給した後、水素ガスをアノードへ供給して発電する。また、運転停止の際は、水素ガスの供給を停止し、排出した後、カソードへの加湿空気の供給を停止する。こうして、水素ガスが燃料電池内に存在する際は、必ず電極中に存在する全ての高分子電解質を湿潤させた状態に維持する。これにより高分子電解質の分解が抑制される。
【選択図】 図1
【解決手段】起動の際は燃料電池のカソードへ加湿された空気を十分供給した後、水素ガスをアノードへ供給して発電する。また、運転停止の際は、水素ガスの供給を停止し、排出した後、カソードへの加湿空気の供給を停止する。こうして、水素ガスが燃料電池内に存在する際は、必ず電極中に存在する全ての高分子電解質を湿潤させた状態に維持する。これにより高分子電解質の分解が抑制される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質を用いる高分子型燃料電池の運転方法に関するものであり、特に燃料電池システムの起動および停止の際に生じる燃料電池の劣化を防ぐための運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜および高分子電解質膜を挟む一対の電極、アノードおよびカソードからなる電解質膜電極接合体(MEA)を具備する。電極は、高分子電解質膜に接する、たとえば、白金族金属触媒を担持したカーボン粒子と高分子電解質とからなる触媒層、および触媒層に接するガス拡散層からなっている。この燃料電池は、さらに、アノードに燃料ガスを、カソードに酸化剤ガスをそれぞれ供給する一対のセパレータ板を具備し、これらセパレータ板によりMEAをその外側から挟持し、ガスリークを防ぐためのシール材と共に一定の圧力により締結されている。この単電池は、所望の出力を得られるよう複数積層してセルスタックが構成される。
【0003】
以上のような燃料電池を発電システムとして利用するには、燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給するためのブロアーなどのガス供給装置、ガスを加湿する加湿装置、ガソリンや天然ガスなどの炭化水素系燃料を改質して水素を取り出すための改質器、または水素供給源としての水素タンクや水素吸蔵合金を含む水素貯蔵装置などを備えることが必要である。
燃料電池の発電のしくみは、次の通りである。アノードへ供給された水素がアノード触媒上で水素イオンと電子になり、水素イオンは高分子電解質膜中をカソード側へ移動し、電子は集電を兼ねたガス拡散層およびセパレータ板を通り外部回路を経由してカソード側へ移動する。一方、カソードへ供給された酸化剤ガスは、高分子電解質膜中を移動してきた水素イオンおよび外部回路を移動してきた電子とカソード触媒上で反応し水となる。
【0004】
この反応の際、水素イオンは高分子電解質膜中を水を介して移動する。そのため、高分子電解質に十分な水が無い状態ではイオン伝導性が低下し、出力電圧が低下する。高分子電解質膜および触媒層中の高分子電解質は、十分な水素イオン伝導性を確保するため、運転中は常時湿潤状態にされる。また、触媒反応は温度が高いほど効率が良い。このため燃料電池の運転は、高分子電解質膜の熱的安定性が確保される範囲での上限温度の近傍で行われる。また、高分子電解質膜の役割は、アノードとカソードを電気的に絶縁するとともに、水素イオンのみを高効率に移動させることである。そのため、高分子電解質膜は、アノードとカソードの絶縁が可能な限り薄くすることが高効率化に欠かせない。一方で、高分子電解質膜は、水素または酸素の対極への透過を完全に防ぐことは不可能である。ピンホールなどは問題外であるが、運転中微量の水素が濃度勾配や差圧によりカソード側へ移動し、カソードおよびアノード触媒上ではともに水素と酸素が反応する燃焼反応を起こしているのが現状である。電解質膜の厚みが薄くなればなるほど水素イオンの移動は容易になるが、リークガスの量も増加する。これら触媒上で起こる水素と酸素の反応による燃焼熱によって、高分子電解質が分解し、性能劣化を招く。また、水素と酸素の溶解度および拡散係数を比較すると水素の方が大きいことからもわかるとおり、特にカソード上へ水素が多く移動し、カソード側で劣化が大きい。
【0005】
高分子型燃料電池は、100℃程度以下の低温で発電が可能であるため、使用に際しては、起動と停止とが頻繁に繰り返される。そのため、性能向上、信頼性向上や安全性確保の他に起動や停止に要する時間の短縮や寒冷地での燃料電池システム停止時のシステム中の水の凍結防止などの取り組みも盛んに行われている。
【0006】
高分子型燃料電池の運転には、燃料の供給の他に水の供給が必要である。しかし、寒冷地等では水が凍ってしまうため、凍結防止策をどうするかが課題になっている。また、燃料電池は、高分子電解質膜を挟んで水素と酸素が反応し、熱と電気を発生する。その際、高分子電解質膜が水素と酸素をきちんと乖離できないならば、システム設計に依存するが、常に同じ場所の触媒上で水素と酸素の反応が激しく起こる。その燃焼熱により高分子電解質は、容易に分解温度に達してしまい、イオン導電性の低下、発熱、高分子電解質の分解を繰り返し、劣化を招く。
【0007】
高分子型燃料電池の商品化に向けては様々な課題があり、起動および停止の点からも様々な取り組みがなされている。たとえば、燃料電池中にかなり高い確率で残存する水により凍結することを防止する策が特許文献1に示されている。この方法は、燃料電池システムを停止する際は、燃料電池に乾燥させた空気を循環させることで水分を除去した状態とする。この方法は、凍結防止にかなり有効である。しかし、運転再開に際して、電解質が乾燥した状態で水素ガスを燃料電池へ供給すると、触媒上で水素と酸素の反応が起こり、高分子電解質の分解が起こる。また、システム起動時は、燃料電池が冷やされているため、高分子電解質膜のイオン伝導性が低下している。そのため出力が定格に達するまでに時間を要するのが現状である。
【0008】
この対策として、たとえば、特許文献2に示されたように、加湿された不活性ガスを燃料電池内に封入した状態で運転を停止し、高分子電解質を濡らすための水は系の中に保管しておき、起動時は結露した水を温めることで、起動に要する時間を短縮させる工夫がなされている。この方法によっても、安全性は確保され、起動時間は短縮される。しかし、系内に水が保存されるために、凍結には弱く、また、リーク水素の燃焼を回避する工夫が施されていない。さらには、たとえば特許文献3に示されるように起動時に高分子電解質膜の加湿を速やかに調整するため配管を閉ループ化する方法等が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−332281号公報
【特許文献2】
特許第3297125号公報
【特許文献3】
特開2001−216989号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の燃料電池の運転方法は、触媒上で水素と酸素の燃焼を伴うため、起動と停止を繰り返すことにより高分子電解質の分解が伴い、高分子電解質の劣化が避けられなかった。
本発明は、以上に鑑み、起動と停止を繰り返しても高分子電解質の劣化が抑制された、信頼性の高い、長寿命な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、燃料電池システムが外部への電気出力を開始する起動状態、すなわち燃料電池へ水素が供給される前、または、外部への電気出力を終了し停止状態に入る際、水素が燃料電池から完全になくなるまで、高分子電解質と触媒が存在する場所、すなわちアノードおよびカソード近傍で水素と酸素が急激に反応を起こし燃焼熱により高分子電解質が分解されないよう、高分子電解質を十分に含水された濡れた状態に保たせようとするものである。これにより多少の燃焼熱が発生しても、湿潤した高分子電解質は熱による分解から逃れられる。そのため燃料電池の劣化を防止することが可能となり、起動と停止を繰り返しても劣化しない信頼性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の高分子型燃料電池システムの運転方法は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、並びに前記空気を加湿する酸化剤加湿装置を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転開始に際しては、カソードへの加湿空気の供給を開始し、前記電解質膜が十分に加湿された後にアノードへの加湿燃料の供給を開始することを特徴とする。
【0013】
燃料電池システムの運転起動時には、燃料電池の高分子電解質膜は濡れていることもあれば乾いていることもある。場合によっては電極中の水が凍結していることもある。ここで、燃料電池からいきなり負荷をとることは不可能であり、まず燃料電池を約70℃近傍まで昇温する。次いで、燃料および酸化剤を供給する。次に、負荷を接続し発電させる。この際、燃料電池を昇温するタイミングおよび燃料を供給するタイミングは、加湿された酸化剤を供給するタイミングよりも後にすることで、高分子電解質を加湿により湿潤する。これによって、水素と酸素が激しく反応して燃焼した場合でも、その熱により高分子電解質が分解してしまうことを防ぐことが可能となり、劣化の少ない耐久性に優れた燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0014】
本発明による高分子型燃料電池システムの運転方法は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、並びに前記空気を加湿する酸化剤加湿装置を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転停止に際しては、アノードへの加湿燃料の供給を停止した後、燃料電池から燃料ガスが排出された後に、カソードへの加湿空気の供給を停止することを特徴とする。
【0015】
通常、燃料電池の運転を停止する際は、まず負荷を停止させ、出力を止める。次いで、安全性確保のため水素が混入空気と爆発を起こさないよう、置換剤を燃料電池へ供給して水素を完全に排出する。また、水素がなくなるまで徐々に負荷を下げて行き、燃料電池にダメージを与えないよう水素を完全に消費することも可能である。この際、カソードは酸化剤ガスが供給されているため直ぐに止めても安全と思われがちである。しかし、濃度勾配によりアノード側の水素はカソードへ高分子電解質膜中を溶解して通り抜けることは容易であり、カソード触媒層上で燃焼する。このため、出力をとっていない場合でも、燃料電池に水素があるときには酸化剤ガスの供給を止めてはならない。酸化剤ガスを供給することは水分を供給することであり、触媒上で水素と酸素が反応し燃焼した場合にも高分子電解質が湿潤していることで分解を防止することが可能となる。その結果、燃料電池の劣化を防ぐことが可能であり、劣化の少ない耐久性に優れた燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態における高分子型燃料電池システムの運転方法は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、並びにアノードに加湿された置換剤ガスを供給する置換剤供給手段を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転停止する操作は、アノードへの加湿燃料の供給を停止するステップと、次にアノードに加湿された置換剤ガスを供給して燃料電池から水素ガスを排出させるステップと、次にカソードへの加湿空気の供給を停止するステップとからなる。
【0017】
この実施の形態によれば、燃料電池から水素が完全に無くなるまでカソード側には加湿されたガスを送り続けるため、水素と酸素が触媒上で燃焼しても、高分子電解質が水で保護されているから、燃焼による分解、劣化を防止する効果があり、耐久性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0018】
本発明の他の好ましい実施の形態における高分子型燃料電池システムの運転方法は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、並びにアノードに加湿された置換剤ガスを供給する置換剤供給手段を具備する燃料電池システムの運転方法であって、(a)運転開始する操作は、カソードへの加湿空気の供給を開始するステップと、前記電解質膜が十分に加湿された後にアノードへの加湿燃料の供給を開始するステップからなり、(b)運転停止する操作は、アノードへの加湿燃料の供給を停止するステップと、次にアノードに加湿された置換剤ガスを供給して燃料電池から水素ガスを排出させるステップと、次にカソードへの加湿空気の供給を停止するステップとからなる。
【0019】
燃料電池内に水素と酸素が存在している場合には、必ずイオン化されない水素が高分子電解質膜をカソード側へ通り抜け、カソード触媒上で酸素と反応し燃焼する。そのため、水素が燃料電池内にある限り高分子電解質を劣化させないためにこれを湿潤状態にしておくことが重要である。これにより、起動と停止により限りなく劣化の少ない信頼性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0020】
上記の置換剤ガスとしては、不活性ガス、炭化水素系ガス、空気、または水蒸気が用いられる。
水素ガスを燃料電池から追い出す際に、不活性ガスを用いると、アノードでの水素の燃焼が防止できるため有効である。炭化水素系ガスによる水素ガスの追い出しは、不活性ガスと比較すると、耐久性が若干低下する可能性がある。しかし、コストが安く、実用性が高いため有効である。また、水素ガスを空気で追い出す場合、炭化水素系ガスと比較してコストがさらに安くなり有効である。しかし、アノード触媒上で燃焼が起こるため加湿された空気であることが必要である。また、炭化水素系のガスで水素ガスを追い出した後に、空気により炭化水素系のガスをさらに追い出す方法をとると、燃料電池システム中に爆発する可能性のある水素を放置しないという安全性の点で有効である。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態における高分子型燃料電池システムは、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する空気供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御する制御手段、並びに燃料ガスおよび酸化剤ガスの加湿を制御する加湿制御手段を備える。
【0022】
この燃料電池システムは、システムコスト削減のために開閉弁の数、使用ガス種、制御装置などを安易に省略することなく、酸化剤ガスの供給および停止を単独で行える制御装置を備えている。このため水素ガスが燃料電池から完全になくなってから、酸化剤ガス側の加湿および供給を停止することが可能となり、起動と停止を繰り返しても使用可能な耐久性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0023】
上述の燃料電池システムは、燃料電池の電圧を測定する電圧測定手段をさらに具備し、前記燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御する制御手段は、前記測定手段の測定電圧値により燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御するように構成するのが好ましい。
測定された電圧により高分子電解質が濡れているか否かおよびアノードとカソードにどんなガスが入っているかが推測可能である。燃料電池内に水素があるか否かの判断ができるので、より確実に、短時間で加湿した酸化剤ガスの供給停止の信号が送れるので、より使い勝手の良い、信頼性の高い起動および停止を行える燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0024】
アノードに供給される燃料中の水素ガスは、アノード触媒上で水素イオンと電子に解離される。しかし、全ての水素ガスが解離される訳ではなく、アノードに供給される量の約20%程度が未反応のまま燃料電池を通過するだけで排出される。従来の燃料電池システムは、このような考えで設計されていたために、高分子電解質は、起動と停止を繰り返すことにより大きく劣化していた。すなわち、アノードへ供給される水素ガスの約70〜80%がアノード触媒上で水素イオンと電子に解離され、残りの30〜20%は未反応のままアノードの出口配管から排出される。さらに、この他に水素ガスは、ごく少量が高分子電解質膜を形成する高分子同士の隙間を通過してカソード触媒層側へ移動する。また、少量の水素ガスは、水に溶解してカソード触媒側へ移動する。これら、高分子電解質膜を透過した水素ガスは、ほぼ100%カソード触媒層上で酸素と反応し燃焼する。この際、水を保持していない高分子電解質部分は熱により簡単に分解される。この現象を繰り返すことで、燃料電池システムは水素イオン伝導性の低下により出力電圧が徐々に低下し、寿命を迎える。詳細は記していないが、アノードでも同様に酸素が水素と反応し、燃焼していることは同じである。所謂耐久劣化である。
【0025】
現在、水素を全く透過させない高分子電解質膜は開発されていない。そのため、如何に燃焼反応を少なくするか、または起こってしまう燃焼による被害を少なくするかの対策を講じることが要求される。本発明は、燃焼による被害を少なくするために、高分子電解質を湿潤させておくものとした。アノードに供給される水素ガスが、高分子電解質膜を透過して、カソードに達するスピードは、高分子電解質膜の厚みに依存する。また、膜を透過する水素ガスの量は、高分子電解質膜のイオン伝導性および含水量に比例し、分子量および結晶化度に反比例する。高分子電解質膜を乾燥状態に近づけると、高分子電解質膜中に溶解する水素ガス量が減少し、燃焼は抑えられるが、高分子間の隙間を通過する透過量は増大する。また、乾燥状態では、高分子電解質は燃焼熱に耐えられないため確実に分解してしまう。そのため、高分子電解質は湿潤状態で使用するのが望ましい。
【0026】
燃料電池システムの起動時は、まず、燃料電池を昇温または冷却し、所望の温度に調整する。通常、固体高分子型燃料電池は低温運転が利点のひとつであるため、高分子電解質も含め60℃から80℃程度を想定して設計されている。通常外気温は60℃より低いため、起動時に燃料電池を昇温して使用するのが普通である。また、燃料電池の運転には水を必要とされるため、寒冷地など水が凍結しているところでは、特に昇温作業が第一に行われる。しかし、燃料電池の運転を停止した直後は、燃料電池が雰囲気温度よりも高くなっていることがあるため、必ずしも昇温からスタートするとは限らない。この場合は、冷却からスタートさせることになる。
【0027】
次に、燃料電池に水素を供給する前に、高分子電解質を濡らす。カソード側に加湿された酸化剤ガスを供給し、高分子電解質を湿潤させる。カソード側触媒層上の高分子電解質から濡れていくが、高分子電解質膜もアノード側の高分子電解質もカソード側の高分子電解質と必ず繋がっているため、加湿量が十分であれば直ぐにアノード側の高分子電解質まで湿潤する。起動に要する時間は短い方が発電までの待ち時間が少なく好ましい。水素と酸素の燃焼が起こる部位は、主にカソードであるため、カソード側の高分子電解質が含水をすれば、水素ガスの供給を開始してもよい。しかし、より安全性を向上させるには、アノード触媒層中の高分子電解質が含水するまで、水素ガスを供給しない方が好ましい。高分子電解質を濡らすことが目的であるため、アノード側に水素以外のガスを加湿して循環させると、高分子電解質を含水させる時間が短縮される。
【0028】
カソードへ供給する酸化剤ガスの加湿量は、燃料電池の温度と同等の露点を有するように加湿することが望ましい。酸化剤ガスの露点を燃料電池の温度より高くすると、燃料電池の入口近傍で直ぐにガスが冷やされ、結露する。結露水によりガス流路が閉塞するとシステムダウンを招く。そのため、燃料電池へ供給するガスは、結露しない範囲で高い露点、すなわち、燃料電池の温度と同一の露点を有することが望ましい。起動および停止時に供給される加湿酸化剤ガスは、高分子電解質を含水させることが目的であり、さらには水素と反応しないことが好ましい。このため、起動および停止時には、水素と反応しない不活性ガスを用いる方が好ましい。しかし、不活性ガスはどこにでもあるものではないので、備蓄しておく必要がある。そのため、不活性ガスを使用する場合はランニングコストが高くなるデメリットがある。そこで、安価でどこにでもあり、ランニングコストの安い加湿した空気を用いることが好ましい。
【0029】
高分子電解質が十分に含水されると、アノードおよびカソードの電位が安定するから、各々の電位を測定することが可能となる。アノードとカソードに異種のガスが存在した場合は、この電位により電極内に何のガスが入っているかを判断することができる。たとえば、アノードに窒素ガスが存在し、カソードに空気が存在した場合は、高分子電解質が含水する前は、電位が安定しないため電位の測定ができない。高分子電解質が湿潤すると、電位測定が可能になり、電池の運転に必要なガスとは異なるガス種が存在することがわかる。電池の運転開始および停止の際は、ガス種を切り替えることにより電位が変わる。先に電極内に入っていたガスが、後から来る別のガスに完全に置換されるまでは、電位は徐々に変化するが、あるところで電位は一定になる。このようにして電極内が濡れているか乾いているか、電極に何のガスが入っているか、または別のガスで置換できた否かが判断できる。
【0030】
このようにして高分子電解質を十分加湿してから、水素ガスをアノード側に供給し、発電を開始する。これにより、燃料電池の起動時の高分子電解質の劣化は大幅に低減することができる。燃料電池の発電を停止する時は、基本的に起動時と逆のステップをとる。先ず、負荷を切って出力を停止すると同時に水素の供給を停止する。発電を行わない場合は、水素と酸素が反応しないようにすることが重要であり、そのためには、電池内の水素をなくしてしまうことが最も有効な手段である。このため、水素以外のガス、すなわち不活性ガスや空気、水蒸気などで水素ガスを強制的に排出することが好ましい。
【0031】
まず、水素の供給を停止させると、出力は徐々に下がり、水素を発電で完全に消費して出力が止まる。こうして水素を系から排除する方法も有効である。また、前述のように水素の供給を停止し、残存水素の消費をある程度行わせてから置換ガスを供給して水素を追い出すことは時間短縮と安全性を両方備えているため好ましい。この際、カソード側へ供給している空気は、正常運転時と同程度に加湿する。高分子電解質を含水状態にしておくためである。さらには、アノード側に供給されているガスも加湿されていることが好ましい。加湿という点では、水蒸気でアノードの水素を排出することが最も有効である。水素ガスを燃料電池内に残したまま燃料電池システムの運転を終了した場合は、水素と酸素の燃焼熱により高分子電解質が分解され、劣化が起こるばかりではなく、水素爆発につながる危険性もある。従って、水素を完全に発電に使いきってしまうか排出してしまうことが、劣化を最小限に抑えるために好ましい。
【0032】
次いで、カソード側のガスを停止し、終了する。この状態で放置すると、寒冷地では凍結の心配が生じる。そのため、雰囲気温度が低温になる地域や季節では、加湿されたカソードガスを停止した後、加湿装置の運転を停止し、ドライガスにより燃料電池内および配管内に存在する水分を乾燥させてから、すべてを停止することが好ましい。また、全てを停止する際は、燃料電池はもちろんのこと、配管内で外部とのガスの出入りを遮断できるところの開閉弁は全て閉じる。
このようにして、運転を停止させた燃料電池システムは、高分子電解質の燃焼熱による分解を避けることが可能となり、劣化の少ない耐久性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
《実施例1》
図1は本実施例の燃料電池システムを表すブロック図である。
燃料電池10は、高分子電解質膜11およびこれを挟むアノード12およびカソード13を備えている。燃料電池10は、さらに温度調節装置14を備えている。温度調節装置14は、起動時に燃料電池を所定温度まで加熱するとともに、発電中は冷却する冷却水を流すもので、図示しないが、冷却水を循環させるポンプ、冷却水を加熱または冷却する熱交換機、温度検出器などを有する。水素ボンベからなる燃料供給装置20は、開閉弁21、加湿装置22、および開閉弁23を直列に連結した燃料供給路24によりアノード12に連結されている。アノードからのガス排出路25には開閉弁26が設けられている。
一方、ブロアからなる酸化剤供給装置30は、開閉弁31、加湿装置32、および開閉弁33を直列に連結した酸化剤供給路34によりカソード13に連結されている。カソードからのガス排出路35には開閉弁36を有する。燃料供給路24には、三方弁で構成された開閉弁21に、置換剤供給装置40が置換剤供給路41により連結されている。
【0034】
この燃料電池システムの運転方法を説明する。
まず、温度調節装置14を稼働させ、温水を循環させることにより燃料電池10を昇温させる。燃料電池が運転可能な温度に達した時点で、開閉弁36、開閉弁33、および開閉弁31をその順に開き、酸化剤供給装置30から酸化剤である空気を酸化剤供給路34に供給する。空気は、加湿装置32で燃料電池と同じ温度の露点まで加湿され、カソード13へ供給される。燃料電池内をとおり加湿された空気は、排出路35から外部へ排出される。上記のように、加湿された空気を燃料電池へ供給してから約10分後に、開閉弁26、開閉弁23、および開閉弁21をその順に開き、燃料供給装置20から燃料供給路24へ水素ガスを供給する。水素ガスは、加湿装置22で加湿され、アノード12へ供給される。この際、開閉弁21は、燃料供給装置20側を開き、置換剤供給装置40側は閉じておく。また、アノードを経たガスは、排出路25から外部へ排出される。
【0035】
アノード12に水素ガスが送り込まれてから燃料電池に負荷を接続して発電を開始させる。この際、水素ガスが燃料電池に供給される前に、加湿された空気がカソードへ供給されているため、高分子電解質はカソード側から水分が供給され、湿潤される。電解質がこうして湿潤した状態に到達してから、水素ガスがアノード13に供給される。
しばらく一定の出力のまま発電を継続した後、システム停止の作業を行う。停止作業は、まず、負荷との接続を断って出力を停止する。これと同時に開閉弁21を操作して燃料供給装置20からの水素ガス供給を停止する。同時に、開閉弁21の操作により置換剤供給装置40側を開き、その中の窒素ガスを燃料供給路24へ供給する。加湿装置22は、引き続き稼働しているので、窒素ガスは加湿されてアノードへ供給され、残存する水素ガスを追い出す。
【0036】
このようにしてシステムの停止作業を行い、電池の電圧を計測すると、水素ガスがアノードに満たされている状態を100%として表すと、水素ガスの供給停止後、電圧は一旦約80%程度まで低下し、次いで徐々に10%程度の値へ収束する。アノード側が窒素ガス、カソード側が空気で満たされている状態における理論電圧になったことを確認してから、アノード側の加湿装置22を停止し、開閉弁21により置換剤供給装置40からの窒素ガス供給を停止し、開閉弁23も閉じる。この時点では、依然としてカソード13には加湿された空気が供給され、高分子電解質は加湿され続けている。次いで、カソード側の加湿装置32を停止させ、酸化剤供給装置30を停止し、開閉弁31および開閉弁33を閉じる。また、最後に温度調整装置14の運転を終了し、開閉弁26および開閉弁36を閉じてシステム運転を終了させる。
【0037】
《実施例2》
本実施例のシステムは、置換剤供給装置40から窒素ガスの代わりに空気を供給する他は実施例1と同様である。システムの停止に際しては、アノードへの水素ガスの供給を停止してから、電池電圧が一旦約80%程度まで低下し、次いで徐々に0%程度の値へ収束する。計測される電池電圧値が0%になったことを確認してから、アノード側加湿装置22を停止し、置換剤供給装置40からの空気供給を停止し、開閉弁23も閉じる。この後、カソード13への加湿空気の供給を続けてから、カソード側加湿装置32を停止させ、酸化剤供給装置30を停止し、開閉弁31および開閉弁33を閉じる。最後に温度調整装置14を終了し、開閉弁26および開閉弁36を閉じてシステム運転を終了させる。
【0038】
《実施例3》
図2は本実施例の燃料電池システムを表すブロック図である。
燃料供給装置20は、開閉弁28、加湿装置22、および開閉弁29を直列に接続した燃料供給路27によりアノード12に連結されている。三方弁で構成された開閉弁29には、置換剤供給装置50が置換剤供給路51により連結されている。この他の構成は実施例1と同様である。
燃料電池システムを起動するには、実施例1と同様に、まず温度調節器14を稼働させ、燃料電池を昇温させる。燃料電池が運転可能な温度に達した時点で、開閉弁36、開閉弁33、および開閉弁31をその順に開き、酸化剤供給装置30から酸化剤である空気を加湿装置32をとおしてカソード13へ供給する。カソードへ供給される空気は、加湿装置32により燃料電池と同じ温度の露点まで加湿される。
【0039】
加湿された空気を燃料電池へ供給してから約10分後に、開閉弁26、開閉弁29、および開閉弁28をその順で開き、燃料供給装置20から水素ガスを加湿装置22を通してアノード12へ供給する。この際、開閉弁29は燃料供給装置20側を開き、置換剤供給装置50側は閉じておく。アノード12に水素ガスが送り込まれてから燃料電池に負荷を接続して、発電を開始させる。この水素ガスが燃料電池に供給される際には、既にカソード側に供給された加湿空気により高分子電解質は湿潤した状態になっている。
【0040】
しばらく一定の出力で発電を続けた後、システム停止の作業を行った。
まず、負荷との接続を切り出力を停止させる。これと同時に燃料供給装置20からの水素ガスの供給、および加湿装置22を停止させ、開閉弁28を閉じる。同時に切り替えを兼ねた開閉弁29を加湿装置22側を閉じ、置換剤供給装置50側を開く。これにより置換剤供給装置50から水蒸気が燃料電池のアノードに供給される。この水蒸気により、アノード側の水素ガスが追い出される。計測される電池電圧は、一旦約80%程度まで低下し、次いで徐々に0%程度の値へ収束する。開閉弁29を切り替えて水蒸気が燃料電池へ送り込まれてから約30分後に、置換剤供給装置50を停止させ、開閉弁29を閉じる。この時点では依然としてカソード13には、加湿された空気が供給され、高分子電解質は加湿され続けている。次いで、カソード側の加湿装置32を停止させ、酸化剤供給装置30を停止し、開閉弁31および開閉弁33を閉じる。最後に温度調整装置14を終了し、開閉弁26および開閉弁36を閉じてシステム運転を終了させる。
【0041】
《比較例1》
燃料電池システムの起動は、温度調節器を稼働させて燃料電池を70℃まで昇温させ、次いで、加湿された水素ガスと加湿された空気を同時に燃料電池に供給し、直ぐ負荷に接続して発電を開始する。しばらく一定の出力のまま発電を続けた後、システム停止の作業を行う。停止作業は、まず、出力を停止する。これと同時に水素ガスの供給を停止し、置換剤供給装置の窒素ガスを加湿してアノードに供給し、水素ガスを追い出す。計測される電池電圧が窒素と酸素の理論電位になったことを確認して、アノード側加湿装置を停止し、窒素ガスの供給を停止する。この時点では、カソードには加湿された空気が供給されているため、高分子電解質は含水した状態を維持している。次いで、空気の供給も停止し、最後に温度調整装置と燃料電池に接続しておいた全ての開閉弁を閉じて、システム運転を終了させる。
【0042】
《比較例2》
温度調節器を稼働させて燃料電池を昇温させ、燃料電池が運転可能な温度70℃に達した時点で、まず燃料電池と同じ温度の露点まで加湿された空気を燃料電池のカソードへ供給する。加湿された空気を燃料電池へ供給してから約10分後に、水素ガスを加湿装置を通してアノードへ送り込む。アノードに水素ガスが送り込まれてから燃料電池に負荷を接続して、発電を開始させる。
しばらく一定の出力のまま発電を継続させた後、システム停止の作業を行う。停止作業は、まず、加湿された水素ガスおよび空気の供給を停止する。次いで、窒素ガスをアノードに送り込み、水素を燃料電池から排出させる。計測される電池電圧が窒素と酸素の理論電圧になったことを確認して、窒素ガスの供給を停止する。ついで、温度調節器を停止し、燃料電池へ出入りする全ての配管を閉じ、システム運転を終了させる。
【0043】
実施例1〜3および比較例1、2で示した運転方法を、環境雰囲気が10℃から30℃まで変化している場所で100回繰り返し実施した。発電時間は1回につき2時間、停止から起動の間隔は4時間とした。初期出力の値を100%としたとき、100回繰り返し後の出力は、実施例1が99%、実施例2が98%、実施例3が98%であった。これに対して、比較例1は80%、比較例2は83%であった。
【0044】
このように、起動および停止の際に、高分子電解質を湿潤状態で保護すると、水素が酸素と反応し燃焼しても、高分子電解質は水により守られ、分解されることなく、システムの耐久性に劣化が見られなかった。一方、起動時に高分子電解質を湿潤させずに運転した比較例1のシステム、および、停止時に高分子電解質を湿潤させずに起動と停止とを繰り返した比較例2のシステムは、大きく耐久性の劣化が見られた。比較例1は、比較例2よりもさらに高分子電解質が乾燥気味にさらされるため、出力低下が大きかったものと思われる。起動と停止を頻繁に繰り返すと、運転条件および運転環境にも依存するが、高分子電解質が乾燥する前に再起動がかかるため、燃焼熱によるダメージは少ない。
このように本発明に従えば、水素ガスが燃料電池内に存在する際は、必ず電極中に存在する全ての高分子電解質を湿潤させた状態に維持するので、水素と酸素の反応に基づく燃焼熱による被害を最小限に抑え、高分子電解質の分解を防止することが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、起動と停止を繰り返し行っても劣化の起こらない信頼性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における燃料電池システムのブロック図である。
【図2】本発明の他の実施例における燃料電池システムのブロック図である。
【符号の説明】
10 燃料電池
11 高分子電解質膜
12 アノード
13 カソード
20 燃料供給装置
21、23、26、28、29、31、33、36 開閉弁
22、32 加湿装置
24、27 燃料供給路
30 酸化剤供給装置
34 酸化剤供給路
40、50 置換剤供給装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質を用いる高分子型燃料電池の運転方法に関するものであり、特に燃料電池システムの起動および停止の際に生じる燃料電池の劣化を防ぐための運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜および高分子電解質膜を挟む一対の電極、アノードおよびカソードからなる電解質膜電極接合体(MEA)を具備する。電極は、高分子電解質膜に接する、たとえば、白金族金属触媒を担持したカーボン粒子と高分子電解質とからなる触媒層、および触媒層に接するガス拡散層からなっている。この燃料電池は、さらに、アノードに燃料ガスを、カソードに酸化剤ガスをそれぞれ供給する一対のセパレータ板を具備し、これらセパレータ板によりMEAをその外側から挟持し、ガスリークを防ぐためのシール材と共に一定の圧力により締結されている。この単電池は、所望の出力を得られるよう複数積層してセルスタックが構成される。
【0003】
以上のような燃料電池を発電システムとして利用するには、燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給するためのブロアーなどのガス供給装置、ガスを加湿する加湿装置、ガソリンや天然ガスなどの炭化水素系燃料を改質して水素を取り出すための改質器、または水素供給源としての水素タンクや水素吸蔵合金を含む水素貯蔵装置などを備えることが必要である。
燃料電池の発電のしくみは、次の通りである。アノードへ供給された水素がアノード触媒上で水素イオンと電子になり、水素イオンは高分子電解質膜中をカソード側へ移動し、電子は集電を兼ねたガス拡散層およびセパレータ板を通り外部回路を経由してカソード側へ移動する。一方、カソードへ供給された酸化剤ガスは、高分子電解質膜中を移動してきた水素イオンおよび外部回路を移動してきた電子とカソード触媒上で反応し水となる。
【0004】
この反応の際、水素イオンは高分子電解質膜中を水を介して移動する。そのため、高分子電解質に十分な水が無い状態ではイオン伝導性が低下し、出力電圧が低下する。高分子電解質膜および触媒層中の高分子電解質は、十分な水素イオン伝導性を確保するため、運転中は常時湿潤状態にされる。また、触媒反応は温度が高いほど効率が良い。このため燃料電池の運転は、高分子電解質膜の熱的安定性が確保される範囲での上限温度の近傍で行われる。また、高分子電解質膜の役割は、アノードとカソードを電気的に絶縁するとともに、水素イオンのみを高効率に移動させることである。そのため、高分子電解質膜は、アノードとカソードの絶縁が可能な限り薄くすることが高効率化に欠かせない。一方で、高分子電解質膜は、水素または酸素の対極への透過を完全に防ぐことは不可能である。ピンホールなどは問題外であるが、運転中微量の水素が濃度勾配や差圧によりカソード側へ移動し、カソードおよびアノード触媒上ではともに水素と酸素が反応する燃焼反応を起こしているのが現状である。電解質膜の厚みが薄くなればなるほど水素イオンの移動は容易になるが、リークガスの量も増加する。これら触媒上で起こる水素と酸素の反応による燃焼熱によって、高分子電解質が分解し、性能劣化を招く。また、水素と酸素の溶解度および拡散係数を比較すると水素の方が大きいことからもわかるとおり、特にカソード上へ水素が多く移動し、カソード側で劣化が大きい。
【0005】
高分子型燃料電池は、100℃程度以下の低温で発電が可能であるため、使用に際しては、起動と停止とが頻繁に繰り返される。そのため、性能向上、信頼性向上や安全性確保の他に起動や停止に要する時間の短縮や寒冷地での燃料電池システム停止時のシステム中の水の凍結防止などの取り組みも盛んに行われている。
【0006】
高分子型燃料電池の運転には、燃料の供給の他に水の供給が必要である。しかし、寒冷地等では水が凍ってしまうため、凍結防止策をどうするかが課題になっている。また、燃料電池は、高分子電解質膜を挟んで水素と酸素が反応し、熱と電気を発生する。その際、高分子電解質膜が水素と酸素をきちんと乖離できないならば、システム設計に依存するが、常に同じ場所の触媒上で水素と酸素の反応が激しく起こる。その燃焼熱により高分子電解質は、容易に分解温度に達してしまい、イオン導電性の低下、発熱、高分子電解質の分解を繰り返し、劣化を招く。
【0007】
高分子型燃料電池の商品化に向けては様々な課題があり、起動および停止の点からも様々な取り組みがなされている。たとえば、燃料電池中にかなり高い確率で残存する水により凍結することを防止する策が特許文献1に示されている。この方法は、燃料電池システムを停止する際は、燃料電池に乾燥させた空気を循環させることで水分を除去した状態とする。この方法は、凍結防止にかなり有効である。しかし、運転再開に際して、電解質が乾燥した状態で水素ガスを燃料電池へ供給すると、触媒上で水素と酸素の反応が起こり、高分子電解質の分解が起こる。また、システム起動時は、燃料電池が冷やされているため、高分子電解質膜のイオン伝導性が低下している。そのため出力が定格に達するまでに時間を要するのが現状である。
【0008】
この対策として、たとえば、特許文献2に示されたように、加湿された不活性ガスを燃料電池内に封入した状態で運転を停止し、高分子電解質を濡らすための水は系の中に保管しておき、起動時は結露した水を温めることで、起動に要する時間を短縮させる工夫がなされている。この方法によっても、安全性は確保され、起動時間は短縮される。しかし、系内に水が保存されるために、凍結には弱く、また、リーク水素の燃焼を回避する工夫が施されていない。さらには、たとえば特許文献3に示されるように起動時に高分子電解質膜の加湿を速やかに調整するため配管を閉ループ化する方法等が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−332281号公報
【特許文献2】
特許第3297125号公報
【特許文献3】
特開2001−216989号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の燃料電池の運転方法は、触媒上で水素と酸素の燃焼を伴うため、起動と停止を繰り返すことにより高分子電解質の分解が伴い、高分子電解質の劣化が避けられなかった。
本発明は、以上に鑑み、起動と停止を繰り返しても高分子電解質の劣化が抑制された、信頼性の高い、長寿命な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、燃料電池システムが外部への電気出力を開始する起動状態、すなわち燃料電池へ水素が供給される前、または、外部への電気出力を終了し停止状態に入る際、水素が燃料電池から完全になくなるまで、高分子電解質と触媒が存在する場所、すなわちアノードおよびカソード近傍で水素と酸素が急激に反応を起こし燃焼熱により高分子電解質が分解されないよう、高分子電解質を十分に含水された濡れた状態に保たせようとするものである。これにより多少の燃焼熱が発生しても、湿潤した高分子電解質は熱による分解から逃れられる。そのため燃料電池の劣化を防止することが可能となり、起動と停止を繰り返しても劣化しない信頼性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の高分子型燃料電池システムの運転方法は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、並びに前記空気を加湿する酸化剤加湿装置を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転開始に際しては、カソードへの加湿空気の供給を開始し、前記電解質膜が十分に加湿された後にアノードへの加湿燃料の供給を開始することを特徴とする。
【0013】
燃料電池システムの運転起動時には、燃料電池の高分子電解質膜は濡れていることもあれば乾いていることもある。場合によっては電極中の水が凍結していることもある。ここで、燃料電池からいきなり負荷をとることは不可能であり、まず燃料電池を約70℃近傍まで昇温する。次いで、燃料および酸化剤を供給する。次に、負荷を接続し発電させる。この際、燃料電池を昇温するタイミングおよび燃料を供給するタイミングは、加湿された酸化剤を供給するタイミングよりも後にすることで、高分子電解質を加湿により湿潤する。これによって、水素と酸素が激しく反応して燃焼した場合でも、その熱により高分子電解質が分解してしまうことを防ぐことが可能となり、劣化の少ない耐久性に優れた燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0014】
本発明による高分子型燃料電池システムの運転方法は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、並びに前記空気を加湿する酸化剤加湿装置を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転停止に際しては、アノードへの加湿燃料の供給を停止した後、燃料電池から燃料ガスが排出された後に、カソードへの加湿空気の供給を停止することを特徴とする。
【0015】
通常、燃料電池の運転を停止する際は、まず負荷を停止させ、出力を止める。次いで、安全性確保のため水素が混入空気と爆発を起こさないよう、置換剤を燃料電池へ供給して水素を完全に排出する。また、水素がなくなるまで徐々に負荷を下げて行き、燃料電池にダメージを与えないよう水素を完全に消費することも可能である。この際、カソードは酸化剤ガスが供給されているため直ぐに止めても安全と思われがちである。しかし、濃度勾配によりアノード側の水素はカソードへ高分子電解質膜中を溶解して通り抜けることは容易であり、カソード触媒層上で燃焼する。このため、出力をとっていない場合でも、燃料電池に水素があるときには酸化剤ガスの供給を止めてはならない。酸化剤ガスを供給することは水分を供給することであり、触媒上で水素と酸素が反応し燃焼した場合にも高分子電解質が湿潤していることで分解を防止することが可能となる。その結果、燃料電池の劣化を防ぐことが可能であり、劣化の少ない耐久性に優れた燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態における高分子型燃料電池システムの運転方法は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、並びにアノードに加湿された置換剤ガスを供給する置換剤供給手段を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転停止する操作は、アノードへの加湿燃料の供給を停止するステップと、次にアノードに加湿された置換剤ガスを供給して燃料電池から水素ガスを排出させるステップと、次にカソードへの加湿空気の供給を停止するステップとからなる。
【0017】
この実施の形態によれば、燃料電池から水素が完全に無くなるまでカソード側には加湿されたガスを送り続けるため、水素と酸素が触媒上で燃焼しても、高分子電解質が水で保護されているから、燃焼による分解、劣化を防止する効果があり、耐久性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0018】
本発明の他の好ましい実施の形態における高分子型燃料電池システムの運転方法は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、並びにアノードに加湿された置換剤ガスを供給する置換剤供給手段を具備する燃料電池システムの運転方法であって、(a)運転開始する操作は、カソードへの加湿空気の供給を開始するステップと、前記電解質膜が十分に加湿された後にアノードへの加湿燃料の供給を開始するステップからなり、(b)運転停止する操作は、アノードへの加湿燃料の供給を停止するステップと、次にアノードに加湿された置換剤ガスを供給して燃料電池から水素ガスを排出させるステップと、次にカソードへの加湿空気の供給を停止するステップとからなる。
【0019】
燃料電池内に水素と酸素が存在している場合には、必ずイオン化されない水素が高分子電解質膜をカソード側へ通り抜け、カソード触媒上で酸素と反応し燃焼する。そのため、水素が燃料電池内にある限り高分子電解質を劣化させないためにこれを湿潤状態にしておくことが重要である。これにより、起動と停止により限りなく劣化の少ない信頼性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0020】
上記の置換剤ガスとしては、不活性ガス、炭化水素系ガス、空気、または水蒸気が用いられる。
水素ガスを燃料電池から追い出す際に、不活性ガスを用いると、アノードでの水素の燃焼が防止できるため有効である。炭化水素系ガスによる水素ガスの追い出しは、不活性ガスと比較すると、耐久性が若干低下する可能性がある。しかし、コストが安く、実用性が高いため有効である。また、水素ガスを空気で追い出す場合、炭化水素系ガスと比較してコストがさらに安くなり有効である。しかし、アノード触媒上で燃焼が起こるため加湿された空気であることが必要である。また、炭化水素系のガスで水素ガスを追い出した後に、空気により炭化水素系のガスをさらに追い出す方法をとると、燃料電池システム中に爆発する可能性のある水素を放置しないという安全性の点で有効である。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態における高分子型燃料電池システムは、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する空気供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御する制御手段、並びに燃料ガスおよび酸化剤ガスの加湿を制御する加湿制御手段を備える。
【0022】
この燃料電池システムは、システムコスト削減のために開閉弁の数、使用ガス種、制御装置などを安易に省略することなく、酸化剤ガスの供給および停止を単独で行える制御装置を備えている。このため水素ガスが燃料電池から完全になくなってから、酸化剤ガス側の加湿および供給を停止することが可能となり、起動と停止を繰り返しても使用可能な耐久性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0023】
上述の燃料電池システムは、燃料電池の電圧を測定する電圧測定手段をさらに具備し、前記燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御する制御手段は、前記測定手段の測定電圧値により燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御するように構成するのが好ましい。
測定された電圧により高分子電解質が濡れているか否かおよびアノードとカソードにどんなガスが入っているかが推測可能である。燃料電池内に水素があるか否かの判断ができるので、より確実に、短時間で加湿した酸化剤ガスの供給停止の信号が送れるので、より使い勝手の良い、信頼性の高い起動および停止を行える燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0024】
アノードに供給される燃料中の水素ガスは、アノード触媒上で水素イオンと電子に解離される。しかし、全ての水素ガスが解離される訳ではなく、アノードに供給される量の約20%程度が未反応のまま燃料電池を通過するだけで排出される。従来の燃料電池システムは、このような考えで設計されていたために、高分子電解質は、起動と停止を繰り返すことにより大きく劣化していた。すなわち、アノードへ供給される水素ガスの約70〜80%がアノード触媒上で水素イオンと電子に解離され、残りの30〜20%は未反応のままアノードの出口配管から排出される。さらに、この他に水素ガスは、ごく少量が高分子電解質膜を形成する高分子同士の隙間を通過してカソード触媒層側へ移動する。また、少量の水素ガスは、水に溶解してカソード触媒側へ移動する。これら、高分子電解質膜を透過した水素ガスは、ほぼ100%カソード触媒層上で酸素と反応し燃焼する。この際、水を保持していない高分子電解質部分は熱により簡単に分解される。この現象を繰り返すことで、燃料電池システムは水素イオン伝導性の低下により出力電圧が徐々に低下し、寿命を迎える。詳細は記していないが、アノードでも同様に酸素が水素と反応し、燃焼していることは同じである。所謂耐久劣化である。
【0025】
現在、水素を全く透過させない高分子電解質膜は開発されていない。そのため、如何に燃焼反応を少なくするか、または起こってしまう燃焼による被害を少なくするかの対策を講じることが要求される。本発明は、燃焼による被害を少なくするために、高分子電解質を湿潤させておくものとした。アノードに供給される水素ガスが、高分子電解質膜を透過して、カソードに達するスピードは、高分子電解質膜の厚みに依存する。また、膜を透過する水素ガスの量は、高分子電解質膜のイオン伝導性および含水量に比例し、分子量および結晶化度に反比例する。高分子電解質膜を乾燥状態に近づけると、高分子電解質膜中に溶解する水素ガス量が減少し、燃焼は抑えられるが、高分子間の隙間を通過する透過量は増大する。また、乾燥状態では、高分子電解質は燃焼熱に耐えられないため確実に分解してしまう。そのため、高分子電解質は湿潤状態で使用するのが望ましい。
【0026】
燃料電池システムの起動時は、まず、燃料電池を昇温または冷却し、所望の温度に調整する。通常、固体高分子型燃料電池は低温運転が利点のひとつであるため、高分子電解質も含め60℃から80℃程度を想定して設計されている。通常外気温は60℃より低いため、起動時に燃料電池を昇温して使用するのが普通である。また、燃料電池の運転には水を必要とされるため、寒冷地など水が凍結しているところでは、特に昇温作業が第一に行われる。しかし、燃料電池の運転を停止した直後は、燃料電池が雰囲気温度よりも高くなっていることがあるため、必ずしも昇温からスタートするとは限らない。この場合は、冷却からスタートさせることになる。
【0027】
次に、燃料電池に水素を供給する前に、高分子電解質を濡らす。カソード側に加湿された酸化剤ガスを供給し、高分子電解質を湿潤させる。カソード側触媒層上の高分子電解質から濡れていくが、高分子電解質膜もアノード側の高分子電解質もカソード側の高分子電解質と必ず繋がっているため、加湿量が十分であれば直ぐにアノード側の高分子電解質まで湿潤する。起動に要する時間は短い方が発電までの待ち時間が少なく好ましい。水素と酸素の燃焼が起こる部位は、主にカソードであるため、カソード側の高分子電解質が含水をすれば、水素ガスの供給を開始してもよい。しかし、より安全性を向上させるには、アノード触媒層中の高分子電解質が含水するまで、水素ガスを供給しない方が好ましい。高分子電解質を濡らすことが目的であるため、アノード側に水素以外のガスを加湿して循環させると、高分子電解質を含水させる時間が短縮される。
【0028】
カソードへ供給する酸化剤ガスの加湿量は、燃料電池の温度と同等の露点を有するように加湿することが望ましい。酸化剤ガスの露点を燃料電池の温度より高くすると、燃料電池の入口近傍で直ぐにガスが冷やされ、結露する。結露水によりガス流路が閉塞するとシステムダウンを招く。そのため、燃料電池へ供給するガスは、結露しない範囲で高い露点、すなわち、燃料電池の温度と同一の露点を有することが望ましい。起動および停止時に供給される加湿酸化剤ガスは、高分子電解質を含水させることが目的であり、さらには水素と反応しないことが好ましい。このため、起動および停止時には、水素と反応しない不活性ガスを用いる方が好ましい。しかし、不活性ガスはどこにでもあるものではないので、備蓄しておく必要がある。そのため、不活性ガスを使用する場合はランニングコストが高くなるデメリットがある。そこで、安価でどこにでもあり、ランニングコストの安い加湿した空気を用いることが好ましい。
【0029】
高分子電解質が十分に含水されると、アノードおよびカソードの電位が安定するから、各々の電位を測定することが可能となる。アノードとカソードに異種のガスが存在した場合は、この電位により電極内に何のガスが入っているかを判断することができる。たとえば、アノードに窒素ガスが存在し、カソードに空気が存在した場合は、高分子電解質が含水する前は、電位が安定しないため電位の測定ができない。高分子電解質が湿潤すると、電位測定が可能になり、電池の運転に必要なガスとは異なるガス種が存在することがわかる。電池の運転開始および停止の際は、ガス種を切り替えることにより電位が変わる。先に電極内に入っていたガスが、後から来る別のガスに完全に置換されるまでは、電位は徐々に変化するが、あるところで電位は一定になる。このようにして電極内が濡れているか乾いているか、電極に何のガスが入っているか、または別のガスで置換できた否かが判断できる。
【0030】
このようにして高分子電解質を十分加湿してから、水素ガスをアノード側に供給し、発電を開始する。これにより、燃料電池の起動時の高分子電解質の劣化は大幅に低減することができる。燃料電池の発電を停止する時は、基本的に起動時と逆のステップをとる。先ず、負荷を切って出力を停止すると同時に水素の供給を停止する。発電を行わない場合は、水素と酸素が反応しないようにすることが重要であり、そのためには、電池内の水素をなくしてしまうことが最も有効な手段である。このため、水素以外のガス、すなわち不活性ガスや空気、水蒸気などで水素ガスを強制的に排出することが好ましい。
【0031】
まず、水素の供給を停止させると、出力は徐々に下がり、水素を発電で完全に消費して出力が止まる。こうして水素を系から排除する方法も有効である。また、前述のように水素の供給を停止し、残存水素の消費をある程度行わせてから置換ガスを供給して水素を追い出すことは時間短縮と安全性を両方備えているため好ましい。この際、カソード側へ供給している空気は、正常運転時と同程度に加湿する。高分子電解質を含水状態にしておくためである。さらには、アノード側に供給されているガスも加湿されていることが好ましい。加湿という点では、水蒸気でアノードの水素を排出することが最も有効である。水素ガスを燃料電池内に残したまま燃料電池システムの運転を終了した場合は、水素と酸素の燃焼熱により高分子電解質が分解され、劣化が起こるばかりではなく、水素爆発につながる危険性もある。従って、水素を完全に発電に使いきってしまうか排出してしまうことが、劣化を最小限に抑えるために好ましい。
【0032】
次いで、カソード側のガスを停止し、終了する。この状態で放置すると、寒冷地では凍結の心配が生じる。そのため、雰囲気温度が低温になる地域や季節では、加湿されたカソードガスを停止した後、加湿装置の運転を停止し、ドライガスにより燃料電池内および配管内に存在する水分を乾燥させてから、すべてを停止することが好ましい。また、全てを停止する際は、燃料電池はもちろんのこと、配管内で外部とのガスの出入りを遮断できるところの開閉弁は全て閉じる。
このようにして、運転を停止させた燃料電池システムは、高分子電解質の燃焼熱による分解を避けることが可能となり、劣化の少ない耐久性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
《実施例1》
図1は本実施例の燃料電池システムを表すブロック図である。
燃料電池10は、高分子電解質膜11およびこれを挟むアノード12およびカソード13を備えている。燃料電池10は、さらに温度調節装置14を備えている。温度調節装置14は、起動時に燃料電池を所定温度まで加熱するとともに、発電中は冷却する冷却水を流すもので、図示しないが、冷却水を循環させるポンプ、冷却水を加熱または冷却する熱交換機、温度検出器などを有する。水素ボンベからなる燃料供給装置20は、開閉弁21、加湿装置22、および開閉弁23を直列に連結した燃料供給路24によりアノード12に連結されている。アノードからのガス排出路25には開閉弁26が設けられている。
一方、ブロアからなる酸化剤供給装置30は、開閉弁31、加湿装置32、および開閉弁33を直列に連結した酸化剤供給路34によりカソード13に連結されている。カソードからのガス排出路35には開閉弁36を有する。燃料供給路24には、三方弁で構成された開閉弁21に、置換剤供給装置40が置換剤供給路41により連結されている。
【0034】
この燃料電池システムの運転方法を説明する。
まず、温度調節装置14を稼働させ、温水を循環させることにより燃料電池10を昇温させる。燃料電池が運転可能な温度に達した時点で、開閉弁36、開閉弁33、および開閉弁31をその順に開き、酸化剤供給装置30から酸化剤である空気を酸化剤供給路34に供給する。空気は、加湿装置32で燃料電池と同じ温度の露点まで加湿され、カソード13へ供給される。燃料電池内をとおり加湿された空気は、排出路35から外部へ排出される。上記のように、加湿された空気を燃料電池へ供給してから約10分後に、開閉弁26、開閉弁23、および開閉弁21をその順に開き、燃料供給装置20から燃料供給路24へ水素ガスを供給する。水素ガスは、加湿装置22で加湿され、アノード12へ供給される。この際、開閉弁21は、燃料供給装置20側を開き、置換剤供給装置40側は閉じておく。また、アノードを経たガスは、排出路25から外部へ排出される。
【0035】
アノード12に水素ガスが送り込まれてから燃料電池に負荷を接続して発電を開始させる。この際、水素ガスが燃料電池に供給される前に、加湿された空気がカソードへ供給されているため、高分子電解質はカソード側から水分が供給され、湿潤される。電解質がこうして湿潤した状態に到達してから、水素ガスがアノード13に供給される。
しばらく一定の出力のまま発電を継続した後、システム停止の作業を行う。停止作業は、まず、負荷との接続を断って出力を停止する。これと同時に開閉弁21を操作して燃料供給装置20からの水素ガス供給を停止する。同時に、開閉弁21の操作により置換剤供給装置40側を開き、その中の窒素ガスを燃料供給路24へ供給する。加湿装置22は、引き続き稼働しているので、窒素ガスは加湿されてアノードへ供給され、残存する水素ガスを追い出す。
【0036】
このようにしてシステムの停止作業を行い、電池の電圧を計測すると、水素ガスがアノードに満たされている状態を100%として表すと、水素ガスの供給停止後、電圧は一旦約80%程度まで低下し、次いで徐々に10%程度の値へ収束する。アノード側が窒素ガス、カソード側が空気で満たされている状態における理論電圧になったことを確認してから、アノード側の加湿装置22を停止し、開閉弁21により置換剤供給装置40からの窒素ガス供給を停止し、開閉弁23も閉じる。この時点では、依然としてカソード13には加湿された空気が供給され、高分子電解質は加湿され続けている。次いで、カソード側の加湿装置32を停止させ、酸化剤供給装置30を停止し、開閉弁31および開閉弁33を閉じる。また、最後に温度調整装置14の運転を終了し、開閉弁26および開閉弁36を閉じてシステム運転を終了させる。
【0037】
《実施例2》
本実施例のシステムは、置換剤供給装置40から窒素ガスの代わりに空気を供給する他は実施例1と同様である。システムの停止に際しては、アノードへの水素ガスの供給を停止してから、電池電圧が一旦約80%程度まで低下し、次いで徐々に0%程度の値へ収束する。計測される電池電圧値が0%になったことを確認してから、アノード側加湿装置22を停止し、置換剤供給装置40からの空気供給を停止し、開閉弁23も閉じる。この後、カソード13への加湿空気の供給を続けてから、カソード側加湿装置32を停止させ、酸化剤供給装置30を停止し、開閉弁31および開閉弁33を閉じる。最後に温度調整装置14を終了し、開閉弁26および開閉弁36を閉じてシステム運転を終了させる。
【0038】
《実施例3》
図2は本実施例の燃料電池システムを表すブロック図である。
燃料供給装置20は、開閉弁28、加湿装置22、および開閉弁29を直列に接続した燃料供給路27によりアノード12に連結されている。三方弁で構成された開閉弁29には、置換剤供給装置50が置換剤供給路51により連結されている。この他の構成は実施例1と同様である。
燃料電池システムを起動するには、実施例1と同様に、まず温度調節器14を稼働させ、燃料電池を昇温させる。燃料電池が運転可能な温度に達した時点で、開閉弁36、開閉弁33、および開閉弁31をその順に開き、酸化剤供給装置30から酸化剤である空気を加湿装置32をとおしてカソード13へ供給する。カソードへ供給される空気は、加湿装置32により燃料電池と同じ温度の露点まで加湿される。
【0039】
加湿された空気を燃料電池へ供給してから約10分後に、開閉弁26、開閉弁29、および開閉弁28をその順で開き、燃料供給装置20から水素ガスを加湿装置22を通してアノード12へ供給する。この際、開閉弁29は燃料供給装置20側を開き、置換剤供給装置50側は閉じておく。アノード12に水素ガスが送り込まれてから燃料電池に負荷を接続して、発電を開始させる。この水素ガスが燃料電池に供給される際には、既にカソード側に供給された加湿空気により高分子電解質は湿潤した状態になっている。
【0040】
しばらく一定の出力で発電を続けた後、システム停止の作業を行った。
まず、負荷との接続を切り出力を停止させる。これと同時に燃料供給装置20からの水素ガスの供給、および加湿装置22を停止させ、開閉弁28を閉じる。同時に切り替えを兼ねた開閉弁29を加湿装置22側を閉じ、置換剤供給装置50側を開く。これにより置換剤供給装置50から水蒸気が燃料電池のアノードに供給される。この水蒸気により、アノード側の水素ガスが追い出される。計測される電池電圧は、一旦約80%程度まで低下し、次いで徐々に0%程度の値へ収束する。開閉弁29を切り替えて水蒸気が燃料電池へ送り込まれてから約30分後に、置換剤供給装置50を停止させ、開閉弁29を閉じる。この時点では依然としてカソード13には、加湿された空気が供給され、高分子電解質は加湿され続けている。次いで、カソード側の加湿装置32を停止させ、酸化剤供給装置30を停止し、開閉弁31および開閉弁33を閉じる。最後に温度調整装置14を終了し、開閉弁26および開閉弁36を閉じてシステム運転を終了させる。
【0041】
《比較例1》
燃料電池システムの起動は、温度調節器を稼働させて燃料電池を70℃まで昇温させ、次いで、加湿された水素ガスと加湿された空気を同時に燃料電池に供給し、直ぐ負荷に接続して発電を開始する。しばらく一定の出力のまま発電を続けた後、システム停止の作業を行う。停止作業は、まず、出力を停止する。これと同時に水素ガスの供給を停止し、置換剤供給装置の窒素ガスを加湿してアノードに供給し、水素ガスを追い出す。計測される電池電圧が窒素と酸素の理論電位になったことを確認して、アノード側加湿装置を停止し、窒素ガスの供給を停止する。この時点では、カソードには加湿された空気が供給されているため、高分子電解質は含水した状態を維持している。次いで、空気の供給も停止し、最後に温度調整装置と燃料電池に接続しておいた全ての開閉弁を閉じて、システム運転を終了させる。
【0042】
《比較例2》
温度調節器を稼働させて燃料電池を昇温させ、燃料電池が運転可能な温度70℃に達した時点で、まず燃料電池と同じ温度の露点まで加湿された空気を燃料電池のカソードへ供給する。加湿された空気を燃料電池へ供給してから約10分後に、水素ガスを加湿装置を通してアノードへ送り込む。アノードに水素ガスが送り込まれてから燃料電池に負荷を接続して、発電を開始させる。
しばらく一定の出力のまま発電を継続させた後、システム停止の作業を行う。停止作業は、まず、加湿された水素ガスおよび空気の供給を停止する。次いで、窒素ガスをアノードに送り込み、水素を燃料電池から排出させる。計測される電池電圧が窒素と酸素の理論電圧になったことを確認して、窒素ガスの供給を停止する。ついで、温度調節器を停止し、燃料電池へ出入りする全ての配管を閉じ、システム運転を終了させる。
【0043】
実施例1〜3および比較例1、2で示した運転方法を、環境雰囲気が10℃から30℃まで変化している場所で100回繰り返し実施した。発電時間は1回につき2時間、停止から起動の間隔は4時間とした。初期出力の値を100%としたとき、100回繰り返し後の出力は、実施例1が99%、実施例2が98%、実施例3が98%であった。これに対して、比較例1は80%、比較例2は83%であった。
【0044】
このように、起動および停止の際に、高分子電解質を湿潤状態で保護すると、水素が酸素と反応し燃焼しても、高分子電解質は水により守られ、分解されることなく、システムの耐久性に劣化が見られなかった。一方、起動時に高分子電解質を湿潤させずに運転した比較例1のシステム、および、停止時に高分子電解質を湿潤させずに起動と停止とを繰り返した比較例2のシステムは、大きく耐久性の劣化が見られた。比較例1は、比較例2よりもさらに高分子電解質が乾燥気味にさらされるため、出力低下が大きかったものと思われる。起動と停止を頻繁に繰り返すと、運転条件および運転環境にも依存するが、高分子電解質が乾燥する前に再起動がかかるため、燃焼熱によるダメージは少ない。
このように本発明に従えば、水素ガスが燃料電池内に存在する際は、必ず電極中に存在する全ての高分子電解質を湿潤させた状態に維持するので、水素と酸素の反応に基づく燃焼熱による被害を最小限に抑え、高分子電解質の分解を防止することが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、起動と停止を繰り返し行っても劣化の起こらない信頼性の高い燃料電池システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における燃料電池システムのブロック図である。
【図2】本発明の他の実施例における燃料電池システムのブロック図である。
【符号の説明】
10 燃料電池
11 高分子電解質膜
12 アノード
13 カソード
20 燃料供給装置
21、23、26、28、29、31、33、36 開閉弁
22、32 加湿装置
24、27 燃料供給路
30 酸化剤供給装置
34 酸化剤供給路
40、50 置換剤供給装置
Claims (7)
- 高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、並びに前記空気を加湿する酸化剤加湿装置を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転開始に際しては、カソードへの加湿空気の供給を開始し、次にアノードへの加湿燃料の供給を開始することを特徴とする高分子型燃料電池システムの運転方法。
- 高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、並びに前記空気を加湿する酸化剤加湿装置を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転停止に際しては、アノードへの加湿燃料の供給を停止した後、燃料電池から燃料ガスが排出された後に、カソードへの加湿空気の供給を停止することを特徴とする高分子型燃料電池システムの運転方法。
- 高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、並びにアノードに加湿された置換剤ガスを供給する置換剤供給手段を具備する燃料電池システムの運転方法であって、運転停止する操作は、アノードへの加湿燃料の供給を停止するステップと、次にアノードに加湿された置換剤ガスを供給して燃料電池から水素ガスを排出させるステップと、次にカソードへの加湿空気の供給を停止するステップとからなる高分子型燃料電池システムの運転方法。
- 高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、並びにアノードに加湿された置換剤ガスを供給する置換剤供給手段を具備する燃料電池システムの運転方法であって、(a)運転開始する操作は、カソードへの加湿空気の供給を開始するステップと、前記電解質膜が十分に加湿された後にアノードへの加湿燃料の供給を開始するステップからなり、(b)運転停止する操作は、アノードへの加湿燃料の供給を停止するステップと、次にアノードに加湿された置換剤ガスを供給して燃料電池から水素ガスを排出させるステップと、次にカソードへの加湿空気の供給を停止するステップとからなる高分子型燃料電池システムの運転方法。
- 置換剤供給手段が供給する置換剤ガスが、不活性ガス、炭化水素系ガス、空気、または水蒸気である請求項3または4記載の燃料電池システムの運転方法。
- 高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段、前記カソードに酸化剤ガスとして空気を供給する酸化剤供給手段、前記燃料ガスを加湿する燃料加湿装置、前記空気を加湿する酸化剤加湿装置、燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御する制御手段、並びに燃料ガスおよび酸化剤ガスの加湿を制御する加湿制御手段を備えた高分子型燃料電池システム。
- 燃料電池の電圧を測定する電圧測定手段を具備し、前記燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御する制御手段は、前記測定手段の測定電圧値により燃料および酸化剤ガスの供給および停止を制御する請求項6記載の高分子型燃料電池システム。
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