JP2005024126A - 燃焼制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理物の性状の変動を事前にリアルタイムに予測し、その変動に対応した燃焼制御を行う。
【解決手段】中性子水分計22を用いて、ホッパ2内の被処理物、すなわち、焼却炉1に供給される前段階の被処理物の水分を測定し、この測定結果に基づき被処理物の発熱量を演算する。そして、この発熱量と各種実測データに基づき、被処理物の供給量、燃焼1次空気の供給量、分配比率、空気温度をそれぞれ演算し、その演算結果に基づきプッシャー8および各ストーカ5a、5b、5cの運動速度を調整し、各空気量調整ダンパ17a〜17g、空気温度調整ダンパ18a〜18gを開閉操作する。これによって、被処理物の供給量、燃焼1次空気の分配供給制御、温度制御を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】中性子水分計22を用いて、ホッパ2内の被処理物、すなわち、焼却炉1に供給される前段階の被処理物の水分を測定し、この測定結果に基づき被処理物の発熱量を演算する。そして、この発熱量と各種実測データに基づき、被処理物の供給量、燃焼1次空気の供給量、分配比率、空気温度をそれぞれ演算し、その演算結果に基づきプッシャー8および各ストーカ5a、5b、5cの運動速度を調整し、各空気量調整ダンパ17a〜17g、空気温度調整ダンパ18a〜18gを開閉操作する。これによって、被処理物の供給量、燃焼1次空気の分配供給制御、温度制御を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却炉における燃焼制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物等を燃焼処理する焼却炉においては、炉内に供給される前段階の被処理物の性状を把握することが困難であるため、焼却炉の下流で検知したデータに基づき上流側の各種装置をフィードバック制御するようになっている。このようなフィードバック制御としては、排ガス処理設備−煙突間の煙道に設置される酸素濃度センサを用いて、前記煙道を通過する排ガス中の残存O2濃度を検出し、この残存O2濃度が略一定となるように燃焼用2次空気の供給量を制御するO2制御が挙げられる。また、排熱回収ボイラが付設される焼却炉においては、ボイラに設置される蒸気量検出器を用いて、ボイラにて生じる蒸気量(ボイラ蒸発量という。)を検出し、ボイラ蒸発量が一定になるように、被処理物の供給量と、燃焼1次空気の供給量を制御するボイラ蒸発量制御も併せて実施されている。前記O2制御は、被処理物を完全燃焼させ、ダイオキシン類等の有害物質の発生を抑制するために極めて重要である。また、ボイラ蒸発量制御は、燃焼量を一定に保つとともに、蒸気利用設備への蒸気の安定供給のために、また蒸気タービン発電機による発電を行う場合には、電力の安定供給のために重要である。
【0003】
また、ストーカ式焼却炉の乾燥ストーカにおいて、天井壁に着火開始領域の被処理物の放射温度を検出する赤外線カメラを設け、その赤外線カメラによる検出結果に基づき乾燥ストーカ上の被処理物の性状を判定し、その判定結果に基づき被処理物の搬送速度および燃焼用ガスの供給量を制御する燃焼制御も知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3356946号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、焼却炉の下流側で得られるデータに基づくフィードバック制御による燃焼制御方法においては、データの検出から実際に制御が行われるまでにタイムラグが発生することから、被処理物の性状の変動にリアルタイムに対応することができないため、必要量以下の燃焼空気を供給したり、あるいは過少または過剰な被処理物を炉内に供給したりするという問題点がある。その結果、空気不足による不完全燃焼を引き起こして、CO・ダイオキシン類等の有害物質の発生を招く恐れがある。それに加え、炉内の燃焼状態が不安定になり、ボイラの不安定化による蒸気利用設備への蒸気供給の不安定化や、蒸気タービン発電機を有する場合の発電量の不安定化を招く恐れもある。
【0006】
一方、乾燥ストーカ上の被処理物の温度を検出する方法においては、ヒュームやダストが充満する苛酷な環境での赤外線検知を行うことになることから、センサ類に異常が生じ易く、正確な被処理物の性状の把握および制御を行うことが困難であるという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、炉内に供給される被処理物の性状の変化を事前にリアルタイムで検知し、被処理物の性状に合わせた最適な燃焼条件とする燃焼制御方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために本発明による燃焼制御方法は、
被処理物を焼却炉に供給する給じん手段と、焼却炉内に燃焼空気を供給する空気供給手段と、前記燃焼空気を予熱する空気予熱手段を備える焼却炉において、前記焼却炉に供給される前段階の被処理物の水分を検出し、この検出結果と予め求められる水分と被処理物の発熱量との相関からその発熱量を推定し、この推定される発熱量に基づいて、前記給じん手段により供給される被処理物の供給量、前記空気供給手段により供給される燃焼空気の供給量および、前記空気予熱手段により予熱される燃焼空気の温度のうちの少なくとも一つをフィードフォワード制御することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、焼却炉に供給される前段階の被処理物の水分に基づき、被処理物の発熱量を演算し、この発熱量に基づき、被処理物の供給量、燃焼空気の供給量、燃焼空気の温度のうち少なくとも一つをフィードフォワード制御するように構成されているため、被処理物の性状の変動を事前にリアルタイムに検知することができ、その変動に適確に対応することができる。そのため、被処理物の性状の変動を吸収して被処理物の燃焼の安定化を図ることができ、それによってCO等の未燃物・ダイオキシン類の有害物質の生成を抑制し、ボイラ蒸発量の変動を最小限に抑えてボイラを安定に運転させることができる。
【0010】
本発明において、前記被処理物の水分は中性子水分計にて検出されるのが好ましい。こうすることによって、焼却炉に供給される前段階の被処理物の水分を精度良く測定することができる。
【0011】
前記焼却炉は、空気量を調整するための空気量調整手段がそれぞれ付設される複数の空気供給路を介して、前記燃焼空気を炉内に分配供給するストーカ式焼却炉であり、予め求められた被処理物の発熱量と燃焼空気の各空気供給路への分配比率との相関と、燃焼空気の供給量と、被処理物の発熱量とに基づき、各空気供給路へ供給される各燃焼空気の空気量を演算し、この演算結果を満たすように前記各空気量調整手段がフィードフォワード制御されるのが好ましい。こうすることによって、ストーカ式焼却炉における乾燥ストーカ、燃焼ストーカ等への燃焼空気の分配制御を効果的に行うことができるので、その燃焼制御を良好に行うことができる。
【0012】
さらに、焼却炉よりも下流側で被処理物の燃焼変動に係るパラメータが検出され、この検出値が、予め設定される設定値に一致するように、前記給じん手段と前記空気供給手段を制御するフィードバック制御が併用されるのが良い。このようにすれば、例えば、ボイラで生じる蒸発量等の焼却炉よりも下流側における燃焼変動に係るパラメータを常に把握することができ、それらパラメータの検出値が許容範囲から逸脱するのを確実に防止することができ、より確実な燃焼制御を実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による燃焼制御方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係る燃焼制御装置の概略構成図が、図2には図1の一部拡大図がそれぞれ示されている。
【0015】
本実施形態において、被処理物を焼却処理するストーカ式焼却炉1には、その上流側に隣接して被処理物貯留用のホッパ2が配されている。また、前記焼却炉1の下流側には、被処理物の焼却処理に伴ない発生する高温の排ガスの熱回収を行う排熱回収ボイラ(以下、単に「ボイラ」という。)3が設けられ、このボイラ3には、ボイラ3の熱回収に伴ない生じる蒸気を利用してボイラ発電を行う発電機(図示せず)が付設されている。さらに、前記ボイラ3の下流には、排ガスの減温処理・清浄化等を行うための排ガス処理設備4が設けられており、この排ガス処理設備4は煙道4’を介して下流の煙突(図示せず)に接続されている。
【0016】
前記ホッパ2の下部であって、ストーカ5の最上流部には給じん装置6が設置されている。ここで、ストーカ5は、被処理物を乾燥させるとともに被処理物の送出手段を兼ねる乾燥ストーカ5aと、被処理物の燃焼を行う燃焼ストーカ5bと、後燃焼ストーカ5cを備えて構成されている。前記給じん装置6はプッシャー式であって、平板状のステップ7の上面に沿って往復運動されるプッシャー8と、このプッシャー8の運動を制御する制御機構9を備えている。また、前記乾燥ストーカ5aおよび燃焼ストーカ5bには、それら両ストーカ5a、5bの運動速度を制御する図示されない制御機構が設けられている。
【0017】
前記乾燥ストーカ5aの下方には、第1の風箱11aおよび第2の風箱11bが設けられており、前記燃焼ストーカ5bの下方には第3〜第6の風箱11c〜11fが上流側から順に設けられている。さらに前記後燃焼ストーカ5cの下方には第7の風箱11gが配されている。
【0018】
前記焼却炉1には、燃焼1次空気を炉内に供給するための第1の送風機12が配されており、この第1の送風機12には第1のダクト13が接続されている。この第1のダクト13は、燃焼1次空気を供給するための燃焼1次空気用ダクト13’と予熱空気用ダクト13”とに分岐されている。そして、この予熱空気用ダクト13”には蒸気式予熱器14が配され、この蒸気式予熱器14が、図示されない蒸気供給源からの熱エネルギによって加熱され、それによって予熱空気用ダクト13”内の空気を加熱するようになっている(加熱された空気用ダクト13”内の空気を予熱空気という。)。
【0019】
前記燃焼1次空気供給用ダクト13’は、第1〜第7の分岐ダクト13a’〜13g’に分岐されており、これら各分岐ダクト13a’〜13g’は前記各第1〜第7の風箱11a〜11gの底部にそれぞれ接続されている。一方、前記予熱空気用ダクト13”は、第1〜第7の予熱空気用分岐ダクト13a”〜13g”に分岐されており、これら各予熱空気用分岐ダクト13a”〜13g”は、前記各分岐ダクト13a’〜13g’にそれぞれ接続されている。これによって、予熱空気を各分岐ダクト13a’〜13g’に供給し、各分岐ダクト13a’〜13g’内の燃焼1次空気を予熱できるようになっている。また、図2に示されるように、前記第1の分岐ダクト13a’の途中で、かつ予熱空気用分岐ダクト13a”との合流点よりも風箱11a側には、第1の分岐ダクト13a’内の燃焼1次空気の空気温度を検出する温度センサ15aと、その空気量を検出する空気流量センサ16aと、第1の分岐ダンパ13a’内の燃焼1次空気の空気量を調整する空気量調整ダンパ17aが、上流側(第1の送風機12側)から順に配されており、第2〜第7の分岐ダクト13b’〜13g’にも、温度センサ15b〜15g、空気流量センサ16b〜16g、空気量調整ダンパ17b〜17gが同様に配されている。一方、前記各予熱空気用分岐ダクト13a”〜13g”には、前記各分岐ダクト13a’〜13g’へ供給される予熱空気の空気量を調整し、それによって燃焼1次空気の空気温度を調整する空気温度調整ダンパ18a〜18gがそれぞれ配されている。また、前記各空気量調整ダンパ17a〜17gおよび、空気温度調整ダンパ18a〜18gは、図示されない制御機構によってその開閉が制御される。
【0020】
前記焼却炉1には、2次燃焼用の燃焼2次空気を炉内に供給するための第2の送風機19が配されており、この第2の送風機19は途中にダンパ20を有する第2のダクト21を介して焼却炉1に接続されている。このダンパ20は図示されない制御機構によってその開閉が制御される。
【0021】
前記ホッパ2の外側面(その取り付け位置は限定されない)には、そのホッパ2内に貯留された被処理物の水分を検出する中性子水分計22が取り付けられている。この中性子水分計22は、放射性物質から照射された高速の中性子が、中性子と同程度の大きさの水素原子と衝突した際、互いに干渉して減衰し、低速の熱中性子になるという現象(図3参照)を利用したそれ自体公知の水分計であり、この中性子水分計22内の放射性物質からホッパ2内の被処理物に中性子線を照射し、その際に生じる熱中性子数を測定し、この測定結果と予め求められる熱中性子線と水分との検量線を比較することによって、実際の被処理物の水分を測定できるようになっている。
【0022】
前記中性子水分計22は発熱量演算器23に接続されている。この発熱量演算器23は、予め実測に基づき求められる被処理物の水分と発熱量との相関データを記録するための記憶部を備えるとともに、前記水分−発熱量の相関データと、中性子水分計にて測定される計測値(水分)とに基づき、ホッパ2内の被処理物の発熱量を演算する。ここで、前記水分−発熱量の相関データは、プラント毎に固有のデータであり、本実施形態においては、右肩下がりの直線として与えられる(図4参照)。
【0023】
また、前記ボイラ3には、ボイラ蒸発量を検出するためのボイラ蒸気流量計24が設けられている。このほか、図示は省略されているが、煙道4’を通過する排ガス中に含まれる残存O2濃度を検出するO2センサ、炉内温度を検出する温度センサ等の各種運転データを検出する各種センサが設けられている。
【0024】
前記焼却炉1には、データの入・出力部、記憶部、後述の演算を行うための演算部等を有する自動燃焼制御装置30が付設されている。この自動燃焼制御装置30の入力部には、前記発熱量演算器23からの演算データ、前記各温度センサ15a〜15g、各空気流量センサ16a〜16g、ボイラ蒸気流量計24等からの各検出データおよび、焼却炉1へ供給される被処理物の供給量等がそれぞれ入力される。ここで、被処理物の供給量は、例えば、被処理物を焼却炉1内に供給した際の、ホッパ2内のレベルの変動を、例えばレベル計、センサ類等を用いて測定する等の手法によって求めることができる。
【0025】
また、自動燃焼制御装置30の記憶部には、ボイラ蒸発量の設定値、遅れ時間等の各パラメータ、予め実測により求められた被処理物の(単位時間当りの)供給量と発熱量とボイラ蒸発量との相関データ、発熱量と理論燃焼空気量(単位質量の被処理物を完全に燃焼させるのに必要な空気量)との相関データ、発熱量と空気比との相関データ、発熱量と燃焼1次空気の分配比率との相関データ、発熱量と各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する燃焼1次空気の温度との相関データ等が予め記憶されている。
【0026】
ここで、前記ボイラ蒸発量の設定値とは、一定性状の被処理物を、一定量前記焼却炉1内に供給して、計画したボイラ効率を得ることができた際に、前記ボイラ3で発生する蒸気量(ボイラ蒸発量という)の値であり、その被処理物の供給量と発熱量とを乗算して被処理物の入熱量を求め、この入熱量に前記ボイラ効率を掛け合わせることで求めることができる。また、前記遅れ時間とは、被処理物のホッパ2内における水分測定から、その被処理物が実際に焼却炉1に供給されるまでにかかる時間のことであり、実測に基づき求めることができる。また、前記各相関データは、被処理物の発熱量毎に予め設定した運転モードのことであり、理論上の計算または実測データに基づき求められる。
【0027】
前記自動燃焼制御装置30の出力信号は、前記乾燥ストーカ5aの制御機構、前記プッシャー8の制御機構9、前記各空気量調整ダンパ17a〜17gの制御機構、空気温度調整ダンパ18a〜18gの制御機構に供給される。こうして、後述のフローによる前記自動燃焼制御装置30における演算結果に基づき、被処理物の供給量制御(プッシャー8および、各ストーカ5a、5b、5cの速度制御)、燃焼1次空気の温度制御(空気温度調整ダンパ18a〜18gの開閉制御)、燃焼1次空気の分配供給制御(各空気量調整ダンパ17a〜17gの開閉制御)を行うようにされている。
【0028】
本実施形態において、前記ホッパ2の上方からに投入され前記ステップ7上に落下した被処理物は、プッシャー8の往復運動および乾燥ストーカ5aの駆動によって順次焼却炉1内に供給され、乾燥ストーカ5a上での乾燥、燃焼ストーカ5b上での燃焼、後燃焼ストーカ5c上でのおき燃焼等の一次燃焼がなされた後、後燃焼ストーカ5cの下方に配される灰排出部より系外に排出される。そして一次燃焼により生じた排ガスは、前記燃焼2次空気の供給を受けて完全燃焼して上昇し、前記ボイラ3による排熱回収がなされ、排ガス処理設備4において減温化・清浄化され、煙道4’および煙突(図示せず)を通って系外に排出される。
【0029】
次に、本実施形態に係る燃焼制御について、図5に示されるフローを参照しつつ説明する。
【0030】
図5には、燃焼制御のフローチャートが示されている。
【0031】
A1:ホッパ2内に貯留される被処理物、すなわち焼却炉1に供給される前段階の被処理物の水分を前記中性子水分計22を用いて測定し、その測定結果を前記発熱量演算器23に送信する。
【0032】
A2:発熱量演算器23の記憶部から、水分と被処理物の発熱量との相関データを呼び出し、この相関データと前のステップA1での測定結果(被処理物の水分)とに基づきホッパ2内の被処理物、すなわち前記焼却炉1に供給される前段階の被処理物の発熱量を推定し、この演算結果を前記自動燃焼制御装置30に送信する。
【0033】
A3:前記自動燃焼制御装置30の記憶部から、ボイラ蒸発量の設定値と、発熱量−供給量−ボイラ蒸発量の相関データとを呼び出し、この相関データと、前記ボイラ蒸発量の設定値と、前のステップA2によって演算された被処理物の発熱量から被処理物の供給量を演算し、この演算結果を被処理物の水分測定(ステップA1参照)を行ってから、設定した遅れ時間が経過した時点における被処理物の供給量の基準目標値(フィードフォワード目標値)とする。
A4:前記自動燃焼制御装置30の記憶部から、発熱量と理論燃焼空気量との相関データを呼び出し、この相関データと被処理物の発熱量とに基づき、被処理物の性状に対応した理論燃焼空気量(1kgの被処理物を完全燃焼させるのに必要な空気量)を演算する。同時に、前記記憶部から発熱量と空気比の相関データを呼び出し、この相関データと前のステップA2で求められる被処理物の発熱量とから、被処理物を燃焼させるのに必要な空気比を求める。そして、被処理物の供給量と、理論燃焼空気と、空気比との乗算を行い燃焼1次空気の総供給量を得る。
A5:次いで、前記自動燃焼制御装置30の記憶部から、発熱量と燃焼1次空気の各分岐ダクト13a’〜13g’への分配比率との相関データを呼び出し、この相関データと前記発熱量から、被処理物の発熱量に応じた分配比率を求め、この分配比率と前のステップA4で演算された燃焼1次空気の総供給量とに基づき、第1〜第7の分岐ダクト13a’〜13g’それぞれを通過する各燃焼1次空気の空気量を演算し、この演算結果を水分測定(ステップA1参照)してから設定した遅れ時間が経過した時の各燃焼1次空気の空気量のフィードフォワード目標値とする。
【0034】
A6:前記自動燃焼制御装置30の記憶部から、被処理物の発熱量と各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する燃焼1次空気の温度との相関データを呼び出し、この相関データと、前のステップA2で演算される被処理物の発熱量とに基づき、前記各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する各燃焼1次空気の温度をそれぞれ演算し、この演算結果を水分測定を行ってから、設定した遅れ時間が経過した時の燃焼1次空気の空気温度のフィードフォワード目標値とする。
【0035】
以上によって求められた各フィードフォワード目標値は、被処理物の燃焼領域(燃焼ストーカ5b)よりも上流側(ホッパ2)で検出された被処理物の水分に基づきフィードフォワード制御を実行するための目標値であるため、被処理物の性状(水分、発熱量)の変動に応じてリアルタイムに変化する(図6のA1、A2、A3参照)。したがって、被処理物の供給量、燃焼1次空気の供給量・空気温度が前記各フィードフォワード目標値となるように調整することで、前記被処理物の性状の変動にリアルタイムにかつ適確に対応した制御を行うことができる。
【0036】
しかし、前記フィードフォワード目標値のみに基づく各種燃焼制御では、被処理物の遅れ時間設定、水分の測定誤差等により、燃焼変動・ボイラ蒸発量の変動を完全に抑制するのは困難である。そのため、燃焼変動に係るパラメータ(ボイラ蒸発量等)を検出し、現在のパラメータに基づき、被処理物の供給量および燃焼1次空気量、燃焼1次空気温度のフィードバック補正量を求め、この補正量を用いて前記フィードフォワード目標値を補正する。
【0037】
A7:前記ボイラ蒸気流量計24で検出されたボイラ蒸発量が、前述のボイラ蒸発量の設定値に一致するような被処理物の供給量の変化量、前記各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する燃焼1次空気の変化量を実測に基づきそれぞれ求め、これら各変化量を、被処理物の供給量のフィードバック補正量、燃焼1次空気の空気量のフィードバック補正量とする。
A8:設定した遅れ時間が経過した後、前のステップA3で求められた被処理物の供給量のフィードフォワード目標値を、前記被処理物のフィードバック補正量を用いて補正し(図6のΔ1、Δ2、Δ3参照。)、補正後の目標値を被処理物の供給量の最終目標値とする。同様にして、前のステップA5で求められた燃焼1次空気の空気量のフィードフォワード目標値を、燃焼1次空気の空気量のフィードバック補正量を用いて補正し、補正後の目標値を燃焼1次空気の供給量の最終目標値とする。また、本実施形態において、前記燃焼1次空気の空気温度については、前のステップA6で求められた空気温度のフィードフォワード目標値をそのまま燃焼1次空気の空気温度の最終目標値とする。
【0038】
A9:ホッパ2から焼却炉1に供給される被処理物の供給量を検出し、この検出値が前のステップA8で求めら得た被処理物の供給量の最終目標値と一致するように前記給じん装置8および、各ストーカ5a、5b、5cの運動速度を調整して、被処理物の供給制御を行う。
【0039】
同時に、前記空気流量センサ16a〜16gおよび、温度センサ15a〜15gによって検出される、各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する各燃焼1次空気の空気量・空気温度が、燃焼1次空気の空気量・空気温度の最終目標値(ステップA8参照)に一致するように、前記各空気量調整ダンパ17a〜17gおよび空気温度調整ダンパ18a〜18gを開閉操作し、各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する各燃焼1次空気の空気量・空気温度の制御を行う。
【0040】
以上のように本実施形態においては、焼却炉1に供給する前段階の被処理物の水分からフィードフォワード目標値を求め、この目標値を、燃焼変動に係るパラメータ(ボイラ蒸発量)から求められるフィードバック補正量を用いて補正し、補正後の目標値(最終目標値)を用いて、各種燃焼制御を行うようにされている。したがって、ホッパ2内の被処理物の性状の変動を、事前にかつリアルタイムに検知することができ、その変動に適確に対応して、被処理物の性状の変動を吸収することができる。これによって、燃焼状態の安定化を図り、CO・ダイオキシン類等の有害物質の発生を抑制し、ボイラ蒸発量の変動を最小限に抑えてボイラ3を安定化させることができる。また、前記最終目標値は、ストーカ5よりも下流側の情報を含むため、前記各フィードフォワード目標値のもつ遅れ時間の設定値、水分測定の誤差等による燃焼変動・ボイラ蒸発量の変動に確実に対応して、燃焼状態が変動するのを防止することができ、ボイラ蒸発量が許容範囲から逸脱するのを確実に防止することができる。
【0041】
また、前記中性子水分計22は、透過性に優れた中性子および熱中性子を検出媒体として用いるため、ホッパ2の外側壁に取り付けられた状態で、ホッパ2内の被処理物の水分測定を精度良く行うことができる。また、苛酷な環境に曝されることがないので故障も生じにくい。
【0042】
本実施形態においては、被処理物の供給制御および燃焼1次空気の供給・温度制御を行う場合について説明したが、燃焼2次空気の空気量の制御を併せて行うこともできる。このようにするには、理想的な性状の被処理物を焼却炉1で理想的に燃焼させた際の排ガス中の残存O2濃度を、残存O2濃度の設定値として前記自動燃焼制御装置30の記憶部に記憶するとともに、前述のO2センサによって検出される煙道4’内の排ガス中の残存O2濃度を自動燃焼制御装置30に送信するようにする。そして、前記O2センサで検出される排ガス中の残存O2濃度が、前記O2濃度の設定値に一致するように、前記ダンパ20を開閉操作し、燃焼2次空気の空気量のフィードバック制御を行う。こうすることで、より確実に被処理物の焼却に伴い発生する排ガスを確実に完全燃焼させることができ、CO・ダイオキシン類等の有害物質の発生を抑制することができる。
【0043】
本実施形態においては、被処理物の位置にかかわらず、一様に燃焼1次空気の空気量等の制御をおこなうものについて説明したが、図7で示される重み関数を用いて、フィードフォワード目標値の重み付けと、フィードバック補正量の重み付けを位置(前記プッシャー8部、各ストーカ5a、5b、5c部)に応じて変化させて行い、最終目標値を求めるようにするのが好ましい。ここで、前記重み関数は、プッシャー8および乾燥ストーカ5aに近接した位置においてはフィードフォワード制御の重み付けを大にし(図7中の実線参照。)、燃焼ストーカ5bに近接した位置においてはフィードバック制御の重み付けを大にするように設置するのが良い(図7中、破線参照。)。これは、プッシャー8および乾燥ストーカ5aに近接した位置においては、被処理物の性状(水分)の変動に追従して一定時間経過後に必要な被処理物の供給量を確保し、被処理物の状態(乾燥度合)を確保することが優先され、燃焼ストーカ5bに近接した位置においは、現在の燃焼状態を安定させるとともにボイラ蒸発量が許容範囲から逸脱するのを確実に防止することが優先されるためである。このように重み付けされた最終目標値を用いることによって、より精度の高い燃焼制御を行うことが可能となる。
【0044】
本実施形態においては、被処理物の供給制御および燃焼1次空気の供給制御・温度制御を行うようにされているが、被処理物の性状がそれ程大きく変動しない場合には、これら三種の制御のうち、いずれか一種の制御、あるいは、いずれか二種を組み合わせた制御を行うことによっても、被処理物の性状に対応することが可能である。
【0045】
本実施形態においては、ストーカ式焼却炉における燃焼制御方法について説明したが、本発明の考え方は、流動炉等、他の方式の焼却炉においても適用することができる。
【0046】
なお、前記各実施形態における、給じん装置6および乾燥ストーカ5aが本発明の給じん手段に対応し、第1の送風機12、第1のダクト13、各分岐ダクト13a’〜13g’、風箱11a〜11gが本発明の空気供給手段に対応する。また、予熱空気用分岐ダクト13a”〜13g”、蒸気式予熱器14が空気予熱手段に対応し、空気量調整ダンパ17a〜17gが、本発明の空気量調整手段に対応する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る概略構成図である。
【図2】図2は、図1の一部拡大図である。
【図3】図3は、中性子がH原子に衝突した際に生じる現象を説明する説明図である。
【図4】図4は、被処理物の水分と発熱量との相関データの一例である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る燃焼制御のフローチャートである。
【図6】図6は、変化するフィードフォワード目標値と、この目標値の補正を説明する説明図である。
【図7】図7は、重み関数を示す図である。
【符号の説明】
1 ストーカ式焼却炉
2 ホッパ
3 ボイラ
4 排ガス処理設備
5a 乾燥ストーカ
5b 燃焼ストーカ
5c 後燃焼ストーカ
6 給じん装置
8 プッシャー
9 制御機構
12 第1の送風機
13a’〜13g’ 分岐ダクト
14 蒸気式予熱器
17a〜17g 空気量調整ダンパ
18a〜18g 空気温度調整ダンパ
19 第2の送風機
20 ダンパ
22 中性子水分計
23 発熱量演算器
24 ボイラ蒸気流量計
30 自動燃焼制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却炉における燃焼制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物等を燃焼処理する焼却炉においては、炉内に供給される前段階の被処理物の性状を把握することが困難であるため、焼却炉の下流で検知したデータに基づき上流側の各種装置をフィードバック制御するようになっている。このようなフィードバック制御としては、排ガス処理設備−煙突間の煙道に設置される酸素濃度センサを用いて、前記煙道を通過する排ガス中の残存O2濃度を検出し、この残存O2濃度が略一定となるように燃焼用2次空気の供給量を制御するO2制御が挙げられる。また、排熱回収ボイラが付設される焼却炉においては、ボイラに設置される蒸気量検出器を用いて、ボイラにて生じる蒸気量(ボイラ蒸発量という。)を検出し、ボイラ蒸発量が一定になるように、被処理物の供給量と、燃焼1次空気の供給量を制御するボイラ蒸発量制御も併せて実施されている。前記O2制御は、被処理物を完全燃焼させ、ダイオキシン類等の有害物質の発生を抑制するために極めて重要である。また、ボイラ蒸発量制御は、燃焼量を一定に保つとともに、蒸気利用設備への蒸気の安定供給のために、また蒸気タービン発電機による発電を行う場合には、電力の安定供給のために重要である。
【0003】
また、ストーカ式焼却炉の乾燥ストーカにおいて、天井壁に着火開始領域の被処理物の放射温度を検出する赤外線カメラを設け、その赤外線カメラによる検出結果に基づき乾燥ストーカ上の被処理物の性状を判定し、その判定結果に基づき被処理物の搬送速度および燃焼用ガスの供給量を制御する燃焼制御も知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3356946号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、焼却炉の下流側で得られるデータに基づくフィードバック制御による燃焼制御方法においては、データの検出から実際に制御が行われるまでにタイムラグが発生することから、被処理物の性状の変動にリアルタイムに対応することができないため、必要量以下の燃焼空気を供給したり、あるいは過少または過剰な被処理物を炉内に供給したりするという問題点がある。その結果、空気不足による不完全燃焼を引き起こして、CO・ダイオキシン類等の有害物質の発生を招く恐れがある。それに加え、炉内の燃焼状態が不安定になり、ボイラの不安定化による蒸気利用設備への蒸気供給の不安定化や、蒸気タービン発電機を有する場合の発電量の不安定化を招く恐れもある。
【0006】
一方、乾燥ストーカ上の被処理物の温度を検出する方法においては、ヒュームやダストが充満する苛酷な環境での赤外線検知を行うことになることから、センサ類に異常が生じ易く、正確な被処理物の性状の把握および制御を行うことが困難であるという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、炉内に供給される被処理物の性状の変化を事前にリアルタイムで検知し、被処理物の性状に合わせた最適な燃焼条件とする燃焼制御方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために本発明による燃焼制御方法は、
被処理物を焼却炉に供給する給じん手段と、焼却炉内に燃焼空気を供給する空気供給手段と、前記燃焼空気を予熱する空気予熱手段を備える焼却炉において、前記焼却炉に供給される前段階の被処理物の水分を検出し、この検出結果と予め求められる水分と被処理物の発熱量との相関からその発熱量を推定し、この推定される発熱量に基づいて、前記給じん手段により供給される被処理物の供給量、前記空気供給手段により供給される燃焼空気の供給量および、前記空気予熱手段により予熱される燃焼空気の温度のうちの少なくとも一つをフィードフォワード制御することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、焼却炉に供給される前段階の被処理物の水分に基づき、被処理物の発熱量を演算し、この発熱量に基づき、被処理物の供給量、燃焼空気の供給量、燃焼空気の温度のうち少なくとも一つをフィードフォワード制御するように構成されているため、被処理物の性状の変動を事前にリアルタイムに検知することができ、その変動に適確に対応することができる。そのため、被処理物の性状の変動を吸収して被処理物の燃焼の安定化を図ることができ、それによってCO等の未燃物・ダイオキシン類の有害物質の生成を抑制し、ボイラ蒸発量の変動を最小限に抑えてボイラを安定に運転させることができる。
【0010】
本発明において、前記被処理物の水分は中性子水分計にて検出されるのが好ましい。こうすることによって、焼却炉に供給される前段階の被処理物の水分を精度良く測定することができる。
【0011】
前記焼却炉は、空気量を調整するための空気量調整手段がそれぞれ付設される複数の空気供給路を介して、前記燃焼空気を炉内に分配供給するストーカ式焼却炉であり、予め求められた被処理物の発熱量と燃焼空気の各空気供給路への分配比率との相関と、燃焼空気の供給量と、被処理物の発熱量とに基づき、各空気供給路へ供給される各燃焼空気の空気量を演算し、この演算結果を満たすように前記各空気量調整手段がフィードフォワード制御されるのが好ましい。こうすることによって、ストーカ式焼却炉における乾燥ストーカ、燃焼ストーカ等への燃焼空気の分配制御を効果的に行うことができるので、その燃焼制御を良好に行うことができる。
【0012】
さらに、焼却炉よりも下流側で被処理物の燃焼変動に係るパラメータが検出され、この検出値が、予め設定される設定値に一致するように、前記給じん手段と前記空気供給手段を制御するフィードバック制御が併用されるのが良い。このようにすれば、例えば、ボイラで生じる蒸発量等の焼却炉よりも下流側における燃焼変動に係るパラメータを常に把握することができ、それらパラメータの検出値が許容範囲から逸脱するのを確実に防止することができ、より確実な燃焼制御を実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による燃焼制御方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係る燃焼制御装置の概略構成図が、図2には図1の一部拡大図がそれぞれ示されている。
【0015】
本実施形態において、被処理物を焼却処理するストーカ式焼却炉1には、その上流側に隣接して被処理物貯留用のホッパ2が配されている。また、前記焼却炉1の下流側には、被処理物の焼却処理に伴ない発生する高温の排ガスの熱回収を行う排熱回収ボイラ(以下、単に「ボイラ」という。)3が設けられ、このボイラ3には、ボイラ3の熱回収に伴ない生じる蒸気を利用してボイラ発電を行う発電機(図示せず)が付設されている。さらに、前記ボイラ3の下流には、排ガスの減温処理・清浄化等を行うための排ガス処理設備4が設けられており、この排ガス処理設備4は煙道4’を介して下流の煙突(図示せず)に接続されている。
【0016】
前記ホッパ2の下部であって、ストーカ5の最上流部には給じん装置6が設置されている。ここで、ストーカ5は、被処理物を乾燥させるとともに被処理物の送出手段を兼ねる乾燥ストーカ5aと、被処理物の燃焼を行う燃焼ストーカ5bと、後燃焼ストーカ5cを備えて構成されている。前記給じん装置6はプッシャー式であって、平板状のステップ7の上面に沿って往復運動されるプッシャー8と、このプッシャー8の運動を制御する制御機構9を備えている。また、前記乾燥ストーカ5aおよび燃焼ストーカ5bには、それら両ストーカ5a、5bの運動速度を制御する図示されない制御機構が設けられている。
【0017】
前記乾燥ストーカ5aの下方には、第1の風箱11aおよび第2の風箱11bが設けられており、前記燃焼ストーカ5bの下方には第3〜第6の風箱11c〜11fが上流側から順に設けられている。さらに前記後燃焼ストーカ5cの下方には第7の風箱11gが配されている。
【0018】
前記焼却炉1には、燃焼1次空気を炉内に供給するための第1の送風機12が配されており、この第1の送風機12には第1のダクト13が接続されている。この第1のダクト13は、燃焼1次空気を供給するための燃焼1次空気用ダクト13’と予熱空気用ダクト13”とに分岐されている。そして、この予熱空気用ダクト13”には蒸気式予熱器14が配され、この蒸気式予熱器14が、図示されない蒸気供給源からの熱エネルギによって加熱され、それによって予熱空気用ダクト13”内の空気を加熱するようになっている(加熱された空気用ダクト13”内の空気を予熱空気という。)。
【0019】
前記燃焼1次空気供給用ダクト13’は、第1〜第7の分岐ダクト13a’〜13g’に分岐されており、これら各分岐ダクト13a’〜13g’は前記各第1〜第7の風箱11a〜11gの底部にそれぞれ接続されている。一方、前記予熱空気用ダクト13”は、第1〜第7の予熱空気用分岐ダクト13a”〜13g”に分岐されており、これら各予熱空気用分岐ダクト13a”〜13g”は、前記各分岐ダクト13a’〜13g’にそれぞれ接続されている。これによって、予熱空気を各分岐ダクト13a’〜13g’に供給し、各分岐ダクト13a’〜13g’内の燃焼1次空気を予熱できるようになっている。また、図2に示されるように、前記第1の分岐ダクト13a’の途中で、かつ予熱空気用分岐ダクト13a”との合流点よりも風箱11a側には、第1の分岐ダクト13a’内の燃焼1次空気の空気温度を検出する温度センサ15aと、その空気量を検出する空気流量センサ16aと、第1の分岐ダンパ13a’内の燃焼1次空気の空気量を調整する空気量調整ダンパ17aが、上流側(第1の送風機12側)から順に配されており、第2〜第7の分岐ダクト13b’〜13g’にも、温度センサ15b〜15g、空気流量センサ16b〜16g、空気量調整ダンパ17b〜17gが同様に配されている。一方、前記各予熱空気用分岐ダクト13a”〜13g”には、前記各分岐ダクト13a’〜13g’へ供給される予熱空気の空気量を調整し、それによって燃焼1次空気の空気温度を調整する空気温度調整ダンパ18a〜18gがそれぞれ配されている。また、前記各空気量調整ダンパ17a〜17gおよび、空気温度調整ダンパ18a〜18gは、図示されない制御機構によってその開閉が制御される。
【0020】
前記焼却炉1には、2次燃焼用の燃焼2次空気を炉内に供給するための第2の送風機19が配されており、この第2の送風機19は途中にダンパ20を有する第2のダクト21を介して焼却炉1に接続されている。このダンパ20は図示されない制御機構によってその開閉が制御される。
【0021】
前記ホッパ2の外側面(その取り付け位置は限定されない)には、そのホッパ2内に貯留された被処理物の水分を検出する中性子水分計22が取り付けられている。この中性子水分計22は、放射性物質から照射された高速の中性子が、中性子と同程度の大きさの水素原子と衝突した際、互いに干渉して減衰し、低速の熱中性子になるという現象(図3参照)を利用したそれ自体公知の水分計であり、この中性子水分計22内の放射性物質からホッパ2内の被処理物に中性子線を照射し、その際に生じる熱中性子数を測定し、この測定結果と予め求められる熱中性子線と水分との検量線を比較することによって、実際の被処理物の水分を測定できるようになっている。
【0022】
前記中性子水分計22は発熱量演算器23に接続されている。この発熱量演算器23は、予め実測に基づき求められる被処理物の水分と発熱量との相関データを記録するための記憶部を備えるとともに、前記水分−発熱量の相関データと、中性子水分計にて測定される計測値(水分)とに基づき、ホッパ2内の被処理物の発熱量を演算する。ここで、前記水分−発熱量の相関データは、プラント毎に固有のデータであり、本実施形態においては、右肩下がりの直線として与えられる(図4参照)。
【0023】
また、前記ボイラ3には、ボイラ蒸発量を検出するためのボイラ蒸気流量計24が設けられている。このほか、図示は省略されているが、煙道4’を通過する排ガス中に含まれる残存O2濃度を検出するO2センサ、炉内温度を検出する温度センサ等の各種運転データを検出する各種センサが設けられている。
【0024】
前記焼却炉1には、データの入・出力部、記憶部、後述の演算を行うための演算部等を有する自動燃焼制御装置30が付設されている。この自動燃焼制御装置30の入力部には、前記発熱量演算器23からの演算データ、前記各温度センサ15a〜15g、各空気流量センサ16a〜16g、ボイラ蒸気流量計24等からの各検出データおよび、焼却炉1へ供給される被処理物の供給量等がそれぞれ入力される。ここで、被処理物の供給量は、例えば、被処理物を焼却炉1内に供給した際の、ホッパ2内のレベルの変動を、例えばレベル計、センサ類等を用いて測定する等の手法によって求めることができる。
【0025】
また、自動燃焼制御装置30の記憶部には、ボイラ蒸発量の設定値、遅れ時間等の各パラメータ、予め実測により求められた被処理物の(単位時間当りの)供給量と発熱量とボイラ蒸発量との相関データ、発熱量と理論燃焼空気量(単位質量の被処理物を完全に燃焼させるのに必要な空気量)との相関データ、発熱量と空気比との相関データ、発熱量と燃焼1次空気の分配比率との相関データ、発熱量と各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する燃焼1次空気の温度との相関データ等が予め記憶されている。
【0026】
ここで、前記ボイラ蒸発量の設定値とは、一定性状の被処理物を、一定量前記焼却炉1内に供給して、計画したボイラ効率を得ることができた際に、前記ボイラ3で発生する蒸気量(ボイラ蒸発量という)の値であり、その被処理物の供給量と発熱量とを乗算して被処理物の入熱量を求め、この入熱量に前記ボイラ効率を掛け合わせることで求めることができる。また、前記遅れ時間とは、被処理物のホッパ2内における水分測定から、その被処理物が実際に焼却炉1に供給されるまでにかかる時間のことであり、実測に基づき求めることができる。また、前記各相関データは、被処理物の発熱量毎に予め設定した運転モードのことであり、理論上の計算または実測データに基づき求められる。
【0027】
前記自動燃焼制御装置30の出力信号は、前記乾燥ストーカ5aの制御機構、前記プッシャー8の制御機構9、前記各空気量調整ダンパ17a〜17gの制御機構、空気温度調整ダンパ18a〜18gの制御機構に供給される。こうして、後述のフローによる前記自動燃焼制御装置30における演算結果に基づき、被処理物の供給量制御(プッシャー8および、各ストーカ5a、5b、5cの速度制御)、燃焼1次空気の温度制御(空気温度調整ダンパ18a〜18gの開閉制御)、燃焼1次空気の分配供給制御(各空気量調整ダンパ17a〜17gの開閉制御)を行うようにされている。
【0028】
本実施形態において、前記ホッパ2の上方からに投入され前記ステップ7上に落下した被処理物は、プッシャー8の往復運動および乾燥ストーカ5aの駆動によって順次焼却炉1内に供給され、乾燥ストーカ5a上での乾燥、燃焼ストーカ5b上での燃焼、後燃焼ストーカ5c上でのおき燃焼等の一次燃焼がなされた後、後燃焼ストーカ5cの下方に配される灰排出部より系外に排出される。そして一次燃焼により生じた排ガスは、前記燃焼2次空気の供給を受けて完全燃焼して上昇し、前記ボイラ3による排熱回収がなされ、排ガス処理設備4において減温化・清浄化され、煙道4’および煙突(図示せず)を通って系外に排出される。
【0029】
次に、本実施形態に係る燃焼制御について、図5に示されるフローを参照しつつ説明する。
【0030】
図5には、燃焼制御のフローチャートが示されている。
【0031】
A1:ホッパ2内に貯留される被処理物、すなわち焼却炉1に供給される前段階の被処理物の水分を前記中性子水分計22を用いて測定し、その測定結果を前記発熱量演算器23に送信する。
【0032】
A2:発熱量演算器23の記憶部から、水分と被処理物の発熱量との相関データを呼び出し、この相関データと前のステップA1での測定結果(被処理物の水分)とに基づきホッパ2内の被処理物、すなわち前記焼却炉1に供給される前段階の被処理物の発熱量を推定し、この演算結果を前記自動燃焼制御装置30に送信する。
【0033】
A3:前記自動燃焼制御装置30の記憶部から、ボイラ蒸発量の設定値と、発熱量−供給量−ボイラ蒸発量の相関データとを呼び出し、この相関データと、前記ボイラ蒸発量の設定値と、前のステップA2によって演算された被処理物の発熱量から被処理物の供給量を演算し、この演算結果を被処理物の水分測定(ステップA1参照)を行ってから、設定した遅れ時間が経過した時点における被処理物の供給量の基準目標値(フィードフォワード目標値)とする。
A4:前記自動燃焼制御装置30の記憶部から、発熱量と理論燃焼空気量との相関データを呼び出し、この相関データと被処理物の発熱量とに基づき、被処理物の性状に対応した理論燃焼空気量(1kgの被処理物を完全燃焼させるのに必要な空気量)を演算する。同時に、前記記憶部から発熱量と空気比の相関データを呼び出し、この相関データと前のステップA2で求められる被処理物の発熱量とから、被処理物を燃焼させるのに必要な空気比を求める。そして、被処理物の供給量と、理論燃焼空気と、空気比との乗算を行い燃焼1次空気の総供給量を得る。
A5:次いで、前記自動燃焼制御装置30の記憶部から、発熱量と燃焼1次空気の各分岐ダクト13a’〜13g’への分配比率との相関データを呼び出し、この相関データと前記発熱量から、被処理物の発熱量に応じた分配比率を求め、この分配比率と前のステップA4で演算された燃焼1次空気の総供給量とに基づき、第1〜第7の分岐ダクト13a’〜13g’それぞれを通過する各燃焼1次空気の空気量を演算し、この演算結果を水分測定(ステップA1参照)してから設定した遅れ時間が経過した時の各燃焼1次空気の空気量のフィードフォワード目標値とする。
【0034】
A6:前記自動燃焼制御装置30の記憶部から、被処理物の発熱量と各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する燃焼1次空気の温度との相関データを呼び出し、この相関データと、前のステップA2で演算される被処理物の発熱量とに基づき、前記各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する各燃焼1次空気の温度をそれぞれ演算し、この演算結果を水分測定を行ってから、設定した遅れ時間が経過した時の燃焼1次空気の空気温度のフィードフォワード目標値とする。
【0035】
以上によって求められた各フィードフォワード目標値は、被処理物の燃焼領域(燃焼ストーカ5b)よりも上流側(ホッパ2)で検出された被処理物の水分に基づきフィードフォワード制御を実行するための目標値であるため、被処理物の性状(水分、発熱量)の変動に応じてリアルタイムに変化する(図6のA1、A2、A3参照)。したがって、被処理物の供給量、燃焼1次空気の供給量・空気温度が前記各フィードフォワード目標値となるように調整することで、前記被処理物の性状の変動にリアルタイムにかつ適確に対応した制御を行うことができる。
【0036】
しかし、前記フィードフォワード目標値のみに基づく各種燃焼制御では、被処理物の遅れ時間設定、水分の測定誤差等により、燃焼変動・ボイラ蒸発量の変動を完全に抑制するのは困難である。そのため、燃焼変動に係るパラメータ(ボイラ蒸発量等)を検出し、現在のパラメータに基づき、被処理物の供給量および燃焼1次空気量、燃焼1次空気温度のフィードバック補正量を求め、この補正量を用いて前記フィードフォワード目標値を補正する。
【0037】
A7:前記ボイラ蒸気流量計24で検出されたボイラ蒸発量が、前述のボイラ蒸発量の設定値に一致するような被処理物の供給量の変化量、前記各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する燃焼1次空気の変化量を実測に基づきそれぞれ求め、これら各変化量を、被処理物の供給量のフィードバック補正量、燃焼1次空気の空気量のフィードバック補正量とする。
A8:設定した遅れ時間が経過した後、前のステップA3で求められた被処理物の供給量のフィードフォワード目標値を、前記被処理物のフィードバック補正量を用いて補正し(図6のΔ1、Δ2、Δ3参照。)、補正後の目標値を被処理物の供給量の最終目標値とする。同様にして、前のステップA5で求められた燃焼1次空気の空気量のフィードフォワード目標値を、燃焼1次空気の空気量のフィードバック補正量を用いて補正し、補正後の目標値を燃焼1次空気の供給量の最終目標値とする。また、本実施形態において、前記燃焼1次空気の空気温度については、前のステップA6で求められた空気温度のフィードフォワード目標値をそのまま燃焼1次空気の空気温度の最終目標値とする。
【0038】
A9:ホッパ2から焼却炉1に供給される被処理物の供給量を検出し、この検出値が前のステップA8で求めら得た被処理物の供給量の最終目標値と一致するように前記給じん装置8および、各ストーカ5a、5b、5cの運動速度を調整して、被処理物の供給制御を行う。
【0039】
同時に、前記空気流量センサ16a〜16gおよび、温度センサ15a〜15gによって検出される、各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する各燃焼1次空気の空気量・空気温度が、燃焼1次空気の空気量・空気温度の最終目標値(ステップA8参照)に一致するように、前記各空気量調整ダンパ17a〜17gおよび空気温度調整ダンパ18a〜18gを開閉操作し、各分岐ダクト13a’〜13g’を通過する各燃焼1次空気の空気量・空気温度の制御を行う。
【0040】
以上のように本実施形態においては、焼却炉1に供給する前段階の被処理物の水分からフィードフォワード目標値を求め、この目標値を、燃焼変動に係るパラメータ(ボイラ蒸発量)から求められるフィードバック補正量を用いて補正し、補正後の目標値(最終目標値)を用いて、各種燃焼制御を行うようにされている。したがって、ホッパ2内の被処理物の性状の変動を、事前にかつリアルタイムに検知することができ、その変動に適確に対応して、被処理物の性状の変動を吸収することができる。これによって、燃焼状態の安定化を図り、CO・ダイオキシン類等の有害物質の発生を抑制し、ボイラ蒸発量の変動を最小限に抑えてボイラ3を安定化させることができる。また、前記最終目標値は、ストーカ5よりも下流側の情報を含むため、前記各フィードフォワード目標値のもつ遅れ時間の設定値、水分測定の誤差等による燃焼変動・ボイラ蒸発量の変動に確実に対応して、燃焼状態が変動するのを防止することができ、ボイラ蒸発量が許容範囲から逸脱するのを確実に防止することができる。
【0041】
また、前記中性子水分計22は、透過性に優れた中性子および熱中性子を検出媒体として用いるため、ホッパ2の外側壁に取り付けられた状態で、ホッパ2内の被処理物の水分測定を精度良く行うことができる。また、苛酷な環境に曝されることがないので故障も生じにくい。
【0042】
本実施形態においては、被処理物の供給制御および燃焼1次空気の供給・温度制御を行う場合について説明したが、燃焼2次空気の空気量の制御を併せて行うこともできる。このようにするには、理想的な性状の被処理物を焼却炉1で理想的に燃焼させた際の排ガス中の残存O2濃度を、残存O2濃度の設定値として前記自動燃焼制御装置30の記憶部に記憶するとともに、前述のO2センサによって検出される煙道4’内の排ガス中の残存O2濃度を自動燃焼制御装置30に送信するようにする。そして、前記O2センサで検出される排ガス中の残存O2濃度が、前記O2濃度の設定値に一致するように、前記ダンパ20を開閉操作し、燃焼2次空気の空気量のフィードバック制御を行う。こうすることで、より確実に被処理物の焼却に伴い発生する排ガスを確実に完全燃焼させることができ、CO・ダイオキシン類等の有害物質の発生を抑制することができる。
【0043】
本実施形態においては、被処理物の位置にかかわらず、一様に燃焼1次空気の空気量等の制御をおこなうものについて説明したが、図7で示される重み関数を用いて、フィードフォワード目標値の重み付けと、フィードバック補正量の重み付けを位置(前記プッシャー8部、各ストーカ5a、5b、5c部)に応じて変化させて行い、最終目標値を求めるようにするのが好ましい。ここで、前記重み関数は、プッシャー8および乾燥ストーカ5aに近接した位置においてはフィードフォワード制御の重み付けを大にし(図7中の実線参照。)、燃焼ストーカ5bに近接した位置においてはフィードバック制御の重み付けを大にするように設置するのが良い(図7中、破線参照。)。これは、プッシャー8および乾燥ストーカ5aに近接した位置においては、被処理物の性状(水分)の変動に追従して一定時間経過後に必要な被処理物の供給量を確保し、被処理物の状態(乾燥度合)を確保することが優先され、燃焼ストーカ5bに近接した位置においは、現在の燃焼状態を安定させるとともにボイラ蒸発量が許容範囲から逸脱するのを確実に防止することが優先されるためである。このように重み付けされた最終目標値を用いることによって、より精度の高い燃焼制御を行うことが可能となる。
【0044】
本実施形態においては、被処理物の供給制御および燃焼1次空気の供給制御・温度制御を行うようにされているが、被処理物の性状がそれ程大きく変動しない場合には、これら三種の制御のうち、いずれか一種の制御、あるいは、いずれか二種を組み合わせた制御を行うことによっても、被処理物の性状に対応することが可能である。
【0045】
本実施形態においては、ストーカ式焼却炉における燃焼制御方法について説明したが、本発明の考え方は、流動炉等、他の方式の焼却炉においても適用することができる。
【0046】
なお、前記各実施形態における、給じん装置6および乾燥ストーカ5aが本発明の給じん手段に対応し、第1の送風機12、第1のダクト13、各分岐ダクト13a’〜13g’、風箱11a〜11gが本発明の空気供給手段に対応する。また、予熱空気用分岐ダクト13a”〜13g”、蒸気式予熱器14が空気予熱手段に対応し、空気量調整ダンパ17a〜17gが、本発明の空気量調整手段に対応する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る概略構成図である。
【図2】図2は、図1の一部拡大図である。
【図3】図3は、中性子がH原子に衝突した際に生じる現象を説明する説明図である。
【図4】図4は、被処理物の水分と発熱量との相関データの一例である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る燃焼制御のフローチャートである。
【図6】図6は、変化するフィードフォワード目標値と、この目標値の補正を説明する説明図である。
【図7】図7は、重み関数を示す図である。
【符号の説明】
1 ストーカ式焼却炉
2 ホッパ
3 ボイラ
4 排ガス処理設備
5a 乾燥ストーカ
5b 燃焼ストーカ
5c 後燃焼ストーカ
6 給じん装置
8 プッシャー
9 制御機構
12 第1の送風機
13a’〜13g’ 分岐ダクト
14 蒸気式予熱器
17a〜17g 空気量調整ダンパ
18a〜18g 空気温度調整ダンパ
19 第2の送風機
20 ダンパ
22 中性子水分計
23 発熱量演算器
24 ボイラ蒸気流量計
30 自動燃焼制御装置
Claims (4)
- 被処理物を焼却炉に供給する給じん手段と、焼却炉内に燃焼空気を供給する空気供給手段と、前記燃焼空気を予熱する空気予熱手段を備える焼却炉において、前記焼却炉に供給される前段階の被処理物の水分を検出し、この検出結果と予め求められる水分と被処理物の発熱量との相関からその発熱量を推定し、この推定される発熱量に基づいて、前記給じん手段により供給される被処理物の供給量、前記空気供給手段により供給される燃焼空気の供給量および、前記空気予熱手段により予熱される燃焼空気の温度のうちの少なくとも一つをフィードフォワード制御することを特徴とする燃焼制御方法。
- 前記被処理物の水分は中性子水分計にて検出される請求項1に記載の燃焼制御方法。
- 前記焼却炉は、空気量を調整するための空気量調整手段がそれぞれ付設される複数の空気供給路を介して、前記燃焼空気を炉内に分配供給するストーカ式焼却炉であり、予め求められた被処理物の発熱量と燃焼空気の各空気供給路への分配比率との相関と、燃焼空気の供給量と、被処理物の発熱量とに基づき、各空気供給路へ供給される各燃焼空気の空気量を演算し、この演算結果を満たすように前記各空気量調整手段がフィードフォワード制御される請求項1または2に記載の燃焼制御方法。
- さらに、焼却炉よりも下流側で被処理物の燃焼変動に係るパラメータが検出され、この検出値が、予め設定される設定値に一致するように、前記給じん手段と前記空気供給手段を制御するフィードバック制御が併用される請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼制御方法。
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