JP2005010197A - 画像読取用レンズおよび画像読取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクト化を図りつつ、色収差をはじめとする諸収差が良好に補正され、画像の読み取りを行うのに適した光学性能を得ることができるようにした画像読取用レンズおよび画像読取装置を提供する。
【解決手段】物体側から順に、物体側に凸面を向けたレンズL1と、像側に凹面を向けたレンズL2とからなる接合レンズを含む第1レンズ群G1と、物体側に凸面を向けたレンズL3を含む第2レンズ群G2と、絞りKと、像側に凸面を向けたレンズL4を含む第3レンズ群G3と、物体側に凹面を向けたレンズL5と、像側に凸面を向けたレンズL6とからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群G4とを配設し、さらに、所定の条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成したので、コンパクト化を達成しつつ、画像の読み取りを行うのに適した光学性能を得ることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】物体側から順に、物体側に凸面を向けたレンズL1と、像側に凹面を向けたレンズL2とからなる接合レンズを含む第1レンズ群G1と、物体側に凸面を向けたレンズL3を含む第2レンズ群G2と、絞りKと、像側に凸面を向けたレンズL4を含む第3レンズ群G3と、物体側に凹面を向けたレンズL5と、像側に凸面を向けたレンズL6とからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群G4とを配設し、さらに、所定の条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成したので、コンパクト化を達成しつつ、画像の読み取りを行うのに適した光学性能を得ることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばイメージスキャナなどの画像読取装置およびそれに搭載される画像読取用レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ネガフィルムまたはポジフィルム等のカラー原稿の画像を、読み取り光学系を介して、例えばCCD(電荷結合素子)のような固体撮像素子上に結像させることにより、その画像情報を読み取るようにした画像読取装置が使用されている。このような画像読取装置の光学系として利用される画像読取レンズとしては、例えば、以下の特許文献1ないし特許文献5に記載のものがある。
【0003】
このような画像読取装置の光学系に利用される画像読取用レンズ(以下、単に読取用レンズと記す。)は、近年、受光素子の高密度化に伴って、より解像力の高いものが求められるようになっている。特に、例えば1つのCCDのみでカラー画像を読み取るようにした画像読取装置に利用される読取用レンズについては、赤(Red =R)、緑(Green =G)および青(Blue=B)の各色の画像の結像位置がCCDの受光面で合致するように、各色に対して良好に色消し処理されている必要があり、各色の解像力が素子上で同程度になるよう保たれていることが望ましい。より具体的には、読取用レンズには、RGB各色の軸上色収差および倍率色収差を小さくし、さらに、原稿の中心から周辺までの像をほぼ光軸と垂直な平面上に一致するように結像可能な結像性能が必要とされる。読取用レンズがこのような結像性能を満足することにより、RGB各色で高コントラストな像を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−121409号公報
【特許文献2】
特開平5−53052号公報
【特許文献3】
特開平6−109971号公報
【特許文献4】
特開平8−286107号公報
【特許文献5】
特開平11−271612号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、読取用レンズにおける軸上色収差の補正量が足りないと、各色の像点がずれてしまう。このため、RGB各色が単独で高コントラストな像を得ていたとしても、結像位置によってはRGB毎のコントラストに差が現れてしまうという問題が生ずる。また、読取用レンズに対しては、高解像力であることのほか、よりコンパクトであることも求められている。コンパクト化を図るには、読取用レンズのサイズ自体を小型化するのに加え、焦点距離を短くし、共役長(共役距離)を短くすることが必要である。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に記載の読取用レンズは、十分に色収差が補正されているとは言い難く、コンパクト化も不十分である。上記特許文献3ないし特許文献5に記載の読取用レンズは、色収差については補正されているものの、コンパクト化については不十分である。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、コンパクト化を図りつつ、色収差をはじめとする諸収差が良好に補正され、画像の読み取りを行うのに適した光学性能を得ることができるようにした画像読取用レンズおよび画像読取装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像読取用レンズは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズと、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズを含む第1レンズ群と、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第2レンズ群と、絞りと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第3レンズ群と、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群とが配設され、さらに、
0.93<n1/n2<1.08 ……(1)
14.0<ν1−ν2 ……(2)
1.05<R1/R3<1.33 ……(3)
0.70<(D35)/(D68)<1.11 ……(4)
−20.0<f4/f<−1.5 ……(5)
0.008<(R5/R7)・M/(Fe)2 <0.025 ……(6)
2.1<R7/R9<2.7 …(7)
で表される条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成したものである。但し、第1レンズ群における正のメニスカスレンズのd線に対する屈折率およびアッベ数をn1,ν1、第1レンズ群における負のメニスカスレンズのd線に対する屈折率およびアッベ数をn2,ν2、第1レンズ群における正のメニスカスレンズの物体側の曲率半径をR1、第1レンズ群における負のメニスカスレンズの像側の曲率半径をR3、第1レンズ群における最も像側の面から絞りまでの面間隔をD35、絞りから第4レンズ群における最も物体側の面までの面間隔をD68、第4レンズ群の焦点距離をf4、全系の焦点距離をf、第2レンズ群における正のメニスカスレンズの像側の曲率半径をR5、第3レンズ群における正のメニスカスレンズの物体側の曲率半径をR7、倍率をM、実効FナンバーをFe、第4レンズ群における負のメニスカスレンズの物体側の曲率半径をR9とする。
【0009】
また、本発明の画像読取装置は、上記画像読取用レンズを備えるようにしたものである。
【0010】
ここで、本発明の画像読取用レンズまたは画像読取用装置は、さらに、第1レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性および第4レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性のうちの少なくとも一方が、
−0.0100<δθg,F <0.0040 ……(8)
で表される条件式(8)を満足するように構成されていることが望ましい。但し、δθg,F は異常分散性である。
【0011】
また、本発明の画像読取用レンズまたは画像読取用装置は、さらに、第1レンズ群の正のメニスカスレンズおよび第4レンズ群の正のメニスカスレンズのうちの少なくとも一方が、
−0.002<δθg,F <0.015 ……(9)
で表される条件式(9)を満足するように構成されていることが望ましい。但し、δθg,F は異常分散性である。この異常分散性δθg,F は、g線、F線およびC線に対する屈折率をそれぞれng,nF,nCとして、
θg,F =(ng−nF)/(nF−nC)
で定義されるg線、F線の部分分散比θg,F の基準線からの偏差を表すものであり、材料固有の値である。ここで、基準線とは、例えば、ショット社の2つの硝材K7およびF2などの基準材料における部分分散比θg,F を縦軸とし、アッベ数νdを横軸としたグラフ上で、2つの硝材K7およびF2の各座標点を結ぶことによって得られる直線である。
【0012】
本発明による画像読取用レンズでは、上記のような構成とすることにより、画像の読取に適した性能が得られる。すなわち、第1および第2レンズ群が集束作用を有する一方で第3および第4レンズ群が発散作用を有するように構成されることにより、全系のペッツバール値が適切な値に補正され、さらに、各構成要素の曲率半径や屈折率、あるいは焦点距離や面間隔に適切な値が与えられるので、諸収差がバランスよく補正されつつ、従来に比べて小型化が図られる。また、本発明の画像読取装置では、このような画像読取用レンズを介して得られた高品質の画像が読み取られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に示した本発明の一実施の形態に係る画像読取装置10は、透過原稿式の画像読取装置であり、例えばネガフィルムまたはポジフィルム等の原稿2が載置される原稿載置台3と、原稿載置台3に向けて照明光を発する光源7と、原稿2の画像を撮像する撮像素子4と、原稿2の画像を撮像素子4の撮像面上に結像させる画像読取用の読取レンズ1とを備えている。撮像素子4は、例えばCCD等からなる。この画像読取装置10において、原稿2と読取レンズ1との間には、必要に応じて、原稿2を原稿載置台3側に押さえ付けるための原稿押さえガラスまたはフィルタ等の光学素子5が配置される。また、画像読取装置10において、読取レンズ1と撮像素子4との間には、必要に応じて、撮像素子4を保護するためのカバーガラス等の光学素子6が配置される。この画像読取装置10では、光源7から原稿2に向けて照明光が照射される。原稿2を透過した光が読取レンズ1によって撮像素子4上に結像される。読取レンズ1を介して得られた原稿2の透過画像が、撮像素子4によって撮像されて読み取られる。
【0015】
図2は、本実施の形態に係る読取レンズ1のレンズ構成の概略を示すものであり、光軸Z1を含む断面における各レンズ要素の断面構造を示している。なお、図2において、符号Zobj で示す側が物体側、すなわち、原稿2が配置され、読み取り用の画像が提供される側である。また、図2において、符号Zimg で示す側が結像側、すなわち、物体側の画像が結像される側である。読取レンズ1の結像面Simg には、撮像素子4の撮像面が配置される。図2において、符号Pは、読取レンズ1の中心結像位置を示す。符号Riは、物体側から第i番目のレンズ面Siの曲率半径を示し、符号Diは、物体側から第i番目のレンズ面と第i+1番目のレンズ面との光軸上の面間隔を示す。但し、図2において、符号S6(R6)を付した部分は、レンズ系の絞りKを表している。
【0016】
読取レンズ1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL1(以下、単にレンズL1と記す。)と、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズL2(以下、単にレンズL2と記す。)とからなる接合レンズを含む第1レンズ群G1と、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL3(以下、単にレンズL3と記す。)を含む第2レンズ群G2と、絞りKと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL4(以下、単にレンズL4と記す。)を含む第3レンズ群G3と、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズL5(以下、単にレンズL5と記す。)と、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL6(以下、単にレンズL6と記す。)とからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群G4とが配設されて構成されている。ここで、絞りKよりも物体側にある第1レンズ群G1および第2レンズ群G2をまとめて前群G12とし、一方の絞りKよりも像側にある第3レンズ群G3および第4レンズ群G4をまとめて後群G34とする。
【0017】
読取レンズ1は、レンズL1のd線に対する屈折率およびアッベ数をそれぞれn1,ν1とし、レンズL2のd線に対する屈折率およびアッベ数をそれぞれn2,ν2としたときに、以下の条件式(1),(2)を満足する。
【0018】
0.93<n1/n2<1.08 ……(1)
14.0<ν1−ν2 ……(2)
【0019】
ここで、条件式(1)および(2)によってもたらされる作用について説明する。条件式(1)および(2)は、色収差を良好に補正しつつ、接合面である面S2における曲率半径R2の自由度を確保するものである。すなわち、上記条件式(1)および(2)を満足することにより、曲率半径R2を自由に変化させた場合であっても、諸収差(特に色収差)の補正を良好に行うことが可能になる。条件式(1)または(2)の数値範囲から外れた場合には、収差補正が充分になされない。
【0020】
さらに、読取レンズ1は、レンズL1の物体側の曲率半径をR1とし、レンズL2の像側の曲率半径をR3としたときに、以下の条件式(3)を満足する。
【0021】
1.05<R1/R3<1.33 ……(3)
【0022】
この条件式(3)は、第1レンズ群G1のペッツバール値が負の大きな値にならないように抑制することにより、全系のペッツバール和を適切な値に保つための条件を示す。条件式(3)の下限より小さい場合には、前群G12の集束性が強くなり過ぎてしまい、後群G34へ入射する軸上同族光線の光束径が小さくなり過ぎる。このため、全系のペッツバール和を適切な値に保つためには後群G34での発散性を強くする必要があり、そのためには後群G34における凹面の曲率半径を過度に小さくしなければならず、結果的に軸外コマ収差の補正が困難となってしまう。一方、条件式(3)の上限より大きい場合には、前群G12の集束性が弱くなり過ぎてしまい、後群G34へ入射する軸上同族光線の光束径が大きくなり過ぎる。このため、全系のペッツバール和を適切な値に保つためには後群G34での発散性を弱くする必要があるが、そのためには後群G34における凹面の曲率半径を過度に大きくしなければならず、やはり、軸外コマ収差の補正が困難となってしまう。
【0023】
さらに、読取レンズ1は、第1レンズ群G1における最も像側の面S3から絞りKまでの面間隔、すなわち面間隔D3〜D5の和をD35、絞りKから第4レンズ群G4における最も物体側の面S9までの面間隔すなわち面間隔D6〜D8の和をD68としたときに、以下の条件式(4)を満足する。
【0024】
0.70<(D35)/(D68)<1.11 ……(4)
【0025】
この条件式(4)は、読取レンズ1における前群G12と後群G34との対称性を規定するものである。すなわち、前群G12と後群G34とが光束に対して互いに反対の作用を持ち、諸収差をバランスよく補正するための条件を示している。条件式(4)の数値範囲を外れると、前群G12と後群G34との対称性が崩れて互いに収差を打ち消しあう効果が小さくなってしまい、良好に収差補正を行うことが困難となる。
【0026】
さらに、読取レンズ1は、第4レンズ群G4の焦点距離をf4、全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(5)を満足する。
【0027】
−20.0<f4/f<−1.5 ……(5)
【0028】
この条件式(5)を満足することにより、前群G12において物体からの入射光束を集束する際に生じた収差が、後群G34において適度に発散することにより良好に補正される。上限を上回ると後群G34による補正が過剰となってしまうので、正の大きな球面収差が発生し、また、像面湾曲が正で増大する。一方、下限を下回ると後群G34による補正が不足し、前群G12によって生じた収差が十分に補正されなくなる。
【0029】
さらに、読取レンズ1は、レンズL3の像側の曲率半径をR5、レンズL4の物体側の曲率半径をR7、倍率をM、実効FナンバーをFeとしたとき、以下の条件式(6)を満足する。
【0030】
0.008<(R5/R7)・M/(Fe)2 <0.025 ……(6)
【0031】
この条件式(6)は、全系のペッツバール和を適切な値に保ち、軸外のコマ収差を良好に補正するための条件を示す。前群G12の最終面である面S5の曲率半径R5は、前群G12の集束性を保つために適度に大きくなるほうが都合が良く、これと対向する面S7の曲率半径R7は、後群G34に発散性を与えるため、適度に小さくなる方が都合が良いことを示している。また、結像の倍率Mや実効FナンバーFeによって面S5または面S7を通過する光線の高さは変化する。従って、曲率半径R5,R7は、この通過光線の高さの変化を考慮して決めることが望ましい。例えば、比較的明るいレンズの場合、曲率半径R5が大きすぎると軸外光線の下方コマのフレアが大きくなってしまう。これを補正するために、曲率半径R7を小さくすると、逆に上方コマ収差の補正が難しくなる。条件式(6)を満足することにより像面湾曲とコマ収差とをバランスよく補正することができる。条件式(6)の数値範囲を外れると、ペッツバール値が適切な値ではなくなり、像面湾曲の補正が不十分となる。さらに上限を上回る場合には、曲率半径R5が大きくなり過ぎたり、後群G34の凹面の曲率半径が小さくなり過ぎたりするので、高次のコマ収差が発生しやすくなる。
【0032】
さらに、読取レンズ1は、レンズL5の物体側の曲率半径をR9としたとき、以下の条件式(7)を満足する。
【0033】
2.1<R7/R9<2.7 …(7)
【0034】
この条件式(7)を満足することにより、前群G12で発生した諸収差を後群G34においてバランスよく補正することができる。すなわち、前群G12で発生した大きな正のペッツバール値を適切な値に補正できると共に、軸外光線に対しては前群G12で発生したコマ収差を打ち消すように補正しつつ後群G34においてもコマ収差が発生しないよう抑制することが可能になる。条件式(7)の数値範囲を外れる場合には、特に高次のコマ収差が発生するので良好な性能が得られない。
【0035】
また、読取レンズ1は、レンズL2の異常分散性およびレンズL5の異常分散性のうちの少なくとも一方が、下記の条件式(8)を満足するように構成されていることが望ましい。但し、δθg,F は異常分散性であり、g線、F線およびC線に対する屈折率をそれぞれng,nF,nCとして、
θg,F =(ng−nF)/(nF−nC)
で定義されるg線、F線の部分分散比θg,F の基準線からの偏差を表す。ここで、基準線とは、例えば、ショット社の2つの硝材K7およびF2などの基準材料における部分分散比θg,F を縦軸とし、アッベ数νdを横軸としたグラフ上で、2つの硝材K7およびF2の各座標点を結ぶことによって得られる直線である。なお、g線、F線およびC線の波長は、それぞれ約435.8nm,486.1nm,および656.3nmである。
【0036】
−0.0100<δθg,F <0.0040 ……(8)
【0037】
さらに、また、読取レンズ1は、レンズL1における異常分散性およびレンズL6における異常分散性のうちの少なくとも一方が、下記の条件式(9)を満足するように構成されていることが望ましい。
【0038】
−0.002<δθg,F <0.015 ……(9)
【0039】
ここで、条件式(8)および(9)によってもたらされる作用について説明する前に、異常分散性について、より詳細に説明する。一般に、例えば横軸にアッベ数ν、縦軸に部分分散比θをとってν対θのグラフを描くと、多くの硝材はグラフ上で所定の基準線に沿って分布するような特性を持つことが知られている。そして、その所定の基準線から離れた位置に分布している硝材ほど、異常分散性を有しているものとされている。
【0040】
具体的には、例えば、ショット社の2つの硝材K7およびF2を正常な光学ガラスとして基準に選び、νd(d線に対するアッベ数)対θg,F (g−F線に対する部分分散比)のグラフ上における2つの硝材K7およびF2の座標点を結ぶことによって基準線Lとする。この基準線L上におけるアッベ数νdに対応する部分分散比θL を、任意の硝材の部分分散比θg,F から減じたものが部分分散比の偏差、すなわち、上記の任意の硝材における異常分散性を示す値δθg,F とされる。
【0041】
異常分散性δθg,F は、各硝材メーカのカタログ等に記載された数値であり、それぞれの硝材における固有の値である。
【0042】
次に、上述の条件式(8)および(9)について説明する。条件式(8),(9)は、特に色収差を良好に補正するための条件式である。すなわち、前群G12と後群G34とを構成するそれぞれの接合レンズにおける負のレンズL2,L5のうちの少なくとも1つに条件式(8)に示した範囲の異常分散性を有する硝材を使うことにより、適度な屈折力を与えることができるので色収差を良好に補正することができる。一方、前群G12と後群G34とを構成するそれぞれの接合レンズにおける正のレンズL1,L6のうちの少なくとも1つに条件式(9)に示した数値範囲の異常分散性を有する硝材を使うことにより、適度な屈折力を与えることができるので色収差を良好に補正することができる。特に、負のレンズL2,L5は、条件式(8)に示した数値範囲のうちの負の数値範囲において、より小さな値の異常分散性を有することによって色収差の2次スペクトルの補正をも良好に行うことができ、一方の正のレンズL1,L6は、条件式(9)に示した数値範囲のうちの正の数値範囲において、より大きな値の異常分散性を有することによって色収差の2次スペクトルの補正をも良好に行うことができ、より高解像の読取レンズ1を得ることができる。これらは、特に、縮小率の小さな結像倍率域において有効である。
【0043】
条件式(8),(9)の条件を外れると、特に、色収差を良好に補正することが困難となり、高解像の性能を得ることが難しくなる。
【0044】
以上のように構成された本実施の形態の読取レンズ1によれば、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を備えた前群G12と、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4を備えた後群G34とを、絞りKを挟んでほぼ対称となるように配置し、前群G12に集束作用を持たせる一方で後群G34に発散作用を持たせることにより全系のペッツバール値を適切な値となるように補正し、さらに、各構成要素の曲率半径や屈折率、あるいは焦点距離や面間隔に適切な値を与えることによって諸収差をバランスよく補正するようにしたので、コンパクト化を達成しつつ、画像の読み取りを行うのに適した光学性能を得ることができる。
【0045】
【実施例】
次に、上記実施の形態に係る画像読取用レンズの具体的な数値実施例について説明する。
【0046】
<実施例1〜7>
以下、第1〜第7の数値実施例(実施例1〜7)をまとめて説明する。
【0047】
図3は、実施例1に係る画像読取用レンズに関する基本レンズデータを示している。図3には、実施例1に係る画像読取用レンズについての、面S1〜S11のそれぞれの曲率半径R1〜R11、面間隔(厚さ)D1〜D10、屈折率nd1〜nd6、アッベ数νd1〜νd6および異常分散性δθj(j=1〜6)の値を示す。異常分散性δθjは、物体側よりj番目のレンズにおける異常分散性δθg,F を示す。曲率半径および面間隔の数値の単位はミリメートル(mm)である。曲率半径R1〜R11の値が0の部分は、絞りKを示す。同様に、実施例2〜7に係る画像読取用レンズに関する基本レンズデータを図4〜図9に示す。ここで、実施例3が、図2に示した断面構成と対応関係にある。なお、実施例3以外の実施例については、図2に示した断面構成とほぼ同様であるので、ここでは図示を省略する。また、図10は、実施例1〜7に係る画像読取用レンズに関するデータとして、全系の焦点距離f、実効FNo. 、倍率M、第4レンズ群G4の焦点距離f4および共役長(共役距離)をまとめて示したものである。焦点距離f、焦点距離f4および共役長の単位はミリメートル(mm)である。
【0048】
図11は、実施例1〜7に係る画像読取用レンズについて、上述の条件式(1)〜(9)に対応する値を示したものである。ここで、条件式(8)に対応する欄には、レンズL2,L5の異常分散性δθ2,δθ5のうち、条件式(8)を満足しているものを示している。同様に、条件式(9)に対応する欄には、レンズL1,L6の異常分散性δθ1,δθ6のうち、条件式(9)を満足しているものを示している。図11に示したように、各実施例の画像読取用レンズは、いずれも条件式(1)〜(7)を全て満足している。但し、実施例1〜4は、いずれもレンズL5の異常分散性δθ5が条件式(8)を満たしており、特に、実施例3は、レンズL2の異常分散性δθ2も条件式(8)を満たしている。実施例5〜7は、いずれも異常分散性δθ2,δθ5が条件式(8)を満たしているうえ、レンズ6の異常分散性δθ6が条件式(9)を満たしている。特に、実施例5,7は、レンズ1の異常分散性δθ1も条件式(9)を満たしている。
【0049】
図12〜図18は、各実施例についての諸収差、すなわち、球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を順に示している。球面収差はd線、g線およびC線について示し、非点収差およびディストーションはd線について示し、倍率色収差はg線およびC線について示す。さらに、非点収差については、サジタル方向とタンジェンシャル方向とについて示す。また、「ω」は半画角を示す。
【0050】
以上の各レンズデータおよび各収差図から明らかなように、各実施例において、物体側から順に、レンズL1とおよびレンズL2からなる接合レンズと、レンズL3と、絞りKと、レンズL4と、レンズL5およびレンズL6からなる全体として負の屈折力の接合レンズとを配設し、さらに、条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成したので、広い画角に亘って良好に収差補正がなされ、画像の読取を行うのに適した良好な性能を得ることができ、かつ、よりコンパクト化を図ることができた。
【0051】
以上、実施の形態およびいくつかの実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率およびアッベ数の値などは、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
【0052】
また、上記実施の形態および実施例では、光源からの光を画像原稿などに投射し、その透過画像を読み取る透過原稿式の画像読取装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図19に示したような反射原稿式の画像読取装置であってもよい。図19に示した画像読取装置20は、原稿載置台3と撮像素子4との間に読取レンズ1を配置し、原稿載置台3と読取レンズ1との間に照明装置7を設けるようにしたものである。光源7は、図19に示したように、例えば棒状であり、原稿載置台3上を平行移動して原稿2を全面に亘って連続的に照らすようになっている。これにより、原稿2から反射した光が、読取レンズ1によって撮像素子4上に結像される。読取レンズ1を介して得られた原稿2の反射画像が、撮像素子4によって撮像されて読み取られる。また、光路の途中がミラー等で折り曲げられて、コンパクト化がなされるようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像読取用レンズまたは画像読取装置によれば、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズと、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズを含む第1レンズ群と、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第2レンズ群と、絞りと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第3レンズ群と、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群とを配設し、さらに、条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成したので、諸収差をバランスよく補正しつつ、従来に比べてコンパクト化を図ることができる。よって、画像の読み取りを行うのに適した性能を得ることができる。
【0054】
特に、第1レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性および第4レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性のうちの少なくとも一方が、条件式(8)を満足するように構成した場合、あるいは、第1レンズ群の正のメニスカスレンズの異常分散性および第4レンズ群の正のメニスカスレンズの異常分散性のうちの少なくとも一方が、条件式(9)を満足するように構成した場合には、色収差をより良好に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置の概略を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る画像読取用レンズの構成を示すものであり、実施例3に対応するレンズ断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図4】本発明の実施例2に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図5】本発明の実施例3に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図6】本発明の実施例4に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図7】本発明の実施例5に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図8】本発明の実施例6に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図9】本発明の実施例7に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図10】本発明の実施例1〜7に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、他の基本的なデータを示す説明図である。
【図11】本発明の実施例1〜7に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、条件式(1)〜(8)に対応するデータを示す説明図である。
【図12】実施例1の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図13】実施例2の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図14】実施例3の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図15】実施例4の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図16】実施例5の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図17】実施例6の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図18】実施例7の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図19】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
D1〜D10…面間隔、L1〜L6…レンズ、K…絞り、P…中心結像位置、R1〜R11…曲率半径、Simg …結像面、Z1…光軸、1…読取レンズ、2…原稿、3…原稿載置台、4…撮像素子、5,6…光学素子、7…光源、10,20…画像読取装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばイメージスキャナなどの画像読取装置およびそれに搭載される画像読取用レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ネガフィルムまたはポジフィルム等のカラー原稿の画像を、読み取り光学系を介して、例えばCCD(電荷結合素子)のような固体撮像素子上に結像させることにより、その画像情報を読み取るようにした画像読取装置が使用されている。このような画像読取装置の光学系として利用される画像読取レンズとしては、例えば、以下の特許文献1ないし特許文献5に記載のものがある。
【0003】
このような画像読取装置の光学系に利用される画像読取用レンズ(以下、単に読取用レンズと記す。)は、近年、受光素子の高密度化に伴って、より解像力の高いものが求められるようになっている。特に、例えば1つのCCDのみでカラー画像を読み取るようにした画像読取装置に利用される読取用レンズについては、赤(Red =R)、緑(Green =G)および青(Blue=B)の各色の画像の結像位置がCCDの受光面で合致するように、各色に対して良好に色消し処理されている必要があり、各色の解像力が素子上で同程度になるよう保たれていることが望ましい。より具体的には、読取用レンズには、RGB各色の軸上色収差および倍率色収差を小さくし、さらに、原稿の中心から周辺までの像をほぼ光軸と垂直な平面上に一致するように結像可能な結像性能が必要とされる。読取用レンズがこのような結像性能を満足することにより、RGB各色で高コントラストな像を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−121409号公報
【特許文献2】
特開平5−53052号公報
【特許文献3】
特開平6−109971号公報
【特許文献4】
特開平8−286107号公報
【特許文献5】
特開平11−271612号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、読取用レンズにおける軸上色収差の補正量が足りないと、各色の像点がずれてしまう。このため、RGB各色が単独で高コントラストな像を得ていたとしても、結像位置によってはRGB毎のコントラストに差が現れてしまうという問題が生ずる。また、読取用レンズに対しては、高解像力であることのほか、よりコンパクトであることも求められている。コンパクト化を図るには、読取用レンズのサイズ自体を小型化するのに加え、焦点距離を短くし、共役長(共役距離)を短くすることが必要である。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に記載の読取用レンズは、十分に色収差が補正されているとは言い難く、コンパクト化も不十分である。上記特許文献3ないし特許文献5に記載の読取用レンズは、色収差については補正されているものの、コンパクト化については不十分である。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、コンパクト化を図りつつ、色収差をはじめとする諸収差が良好に補正され、画像の読み取りを行うのに適した光学性能を得ることができるようにした画像読取用レンズおよび画像読取装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像読取用レンズは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズと、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズを含む第1レンズ群と、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第2レンズ群と、絞りと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第3レンズ群と、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群とが配設され、さらに、
0.93<n1/n2<1.08 ……(1)
14.0<ν1−ν2 ……(2)
1.05<R1/R3<1.33 ……(3)
0.70<(D35)/(D68)<1.11 ……(4)
−20.0<f4/f<−1.5 ……(5)
0.008<(R5/R7)・M/(Fe)2 <0.025 ……(6)
2.1<R7/R9<2.7 …(7)
で表される条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成したものである。但し、第1レンズ群における正のメニスカスレンズのd線に対する屈折率およびアッベ数をn1,ν1、第1レンズ群における負のメニスカスレンズのd線に対する屈折率およびアッベ数をn2,ν2、第1レンズ群における正のメニスカスレンズの物体側の曲率半径をR1、第1レンズ群における負のメニスカスレンズの像側の曲率半径をR3、第1レンズ群における最も像側の面から絞りまでの面間隔をD35、絞りから第4レンズ群における最も物体側の面までの面間隔をD68、第4レンズ群の焦点距離をf4、全系の焦点距離をf、第2レンズ群における正のメニスカスレンズの像側の曲率半径をR5、第3レンズ群における正のメニスカスレンズの物体側の曲率半径をR7、倍率をM、実効FナンバーをFe、第4レンズ群における負のメニスカスレンズの物体側の曲率半径をR9とする。
【0009】
また、本発明の画像読取装置は、上記画像読取用レンズを備えるようにしたものである。
【0010】
ここで、本発明の画像読取用レンズまたは画像読取用装置は、さらに、第1レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性および第4レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性のうちの少なくとも一方が、
−0.0100<δθg,F <0.0040 ……(8)
で表される条件式(8)を満足するように構成されていることが望ましい。但し、δθg,F は異常分散性である。
【0011】
また、本発明の画像読取用レンズまたは画像読取用装置は、さらに、第1レンズ群の正のメニスカスレンズおよび第4レンズ群の正のメニスカスレンズのうちの少なくとも一方が、
−0.002<δθg,F <0.015 ……(9)
で表される条件式(9)を満足するように構成されていることが望ましい。但し、δθg,F は異常分散性である。この異常分散性δθg,F は、g線、F線およびC線に対する屈折率をそれぞれng,nF,nCとして、
θg,F =(ng−nF)/(nF−nC)
で定義されるg線、F線の部分分散比θg,F の基準線からの偏差を表すものであり、材料固有の値である。ここで、基準線とは、例えば、ショット社の2つの硝材K7およびF2などの基準材料における部分分散比θg,F を縦軸とし、アッベ数νdを横軸としたグラフ上で、2つの硝材K7およびF2の各座標点を結ぶことによって得られる直線である。
【0012】
本発明による画像読取用レンズでは、上記のような構成とすることにより、画像の読取に適した性能が得られる。すなわち、第1および第2レンズ群が集束作用を有する一方で第3および第4レンズ群が発散作用を有するように構成されることにより、全系のペッツバール値が適切な値に補正され、さらに、各構成要素の曲率半径や屈折率、あるいは焦点距離や面間隔に適切な値が与えられるので、諸収差がバランスよく補正されつつ、従来に比べて小型化が図られる。また、本発明の画像読取装置では、このような画像読取用レンズを介して得られた高品質の画像が読み取られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に示した本発明の一実施の形態に係る画像読取装置10は、透過原稿式の画像読取装置であり、例えばネガフィルムまたはポジフィルム等の原稿2が載置される原稿載置台3と、原稿載置台3に向けて照明光を発する光源7と、原稿2の画像を撮像する撮像素子4と、原稿2の画像を撮像素子4の撮像面上に結像させる画像読取用の読取レンズ1とを備えている。撮像素子4は、例えばCCD等からなる。この画像読取装置10において、原稿2と読取レンズ1との間には、必要に応じて、原稿2を原稿載置台3側に押さえ付けるための原稿押さえガラスまたはフィルタ等の光学素子5が配置される。また、画像読取装置10において、読取レンズ1と撮像素子4との間には、必要に応じて、撮像素子4を保護するためのカバーガラス等の光学素子6が配置される。この画像読取装置10では、光源7から原稿2に向けて照明光が照射される。原稿2を透過した光が読取レンズ1によって撮像素子4上に結像される。読取レンズ1を介して得られた原稿2の透過画像が、撮像素子4によって撮像されて読み取られる。
【0015】
図2は、本実施の形態に係る読取レンズ1のレンズ構成の概略を示すものであり、光軸Z1を含む断面における各レンズ要素の断面構造を示している。なお、図2において、符号Zobj で示す側が物体側、すなわち、原稿2が配置され、読み取り用の画像が提供される側である。また、図2において、符号Zimg で示す側が結像側、すなわち、物体側の画像が結像される側である。読取レンズ1の結像面Simg には、撮像素子4の撮像面が配置される。図2において、符号Pは、読取レンズ1の中心結像位置を示す。符号Riは、物体側から第i番目のレンズ面Siの曲率半径を示し、符号Diは、物体側から第i番目のレンズ面と第i+1番目のレンズ面との光軸上の面間隔を示す。但し、図2において、符号S6(R6)を付した部分は、レンズ系の絞りKを表している。
【0016】
読取レンズ1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL1(以下、単にレンズL1と記す。)と、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズL2(以下、単にレンズL2と記す。)とからなる接合レンズを含む第1レンズ群G1と、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL3(以下、単にレンズL3と記す。)を含む第2レンズ群G2と、絞りKと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL4(以下、単にレンズL4と記す。)を含む第3レンズ群G3と、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズL5(以下、単にレンズL5と記す。)と、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL6(以下、単にレンズL6と記す。)とからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群G4とが配設されて構成されている。ここで、絞りKよりも物体側にある第1レンズ群G1および第2レンズ群G2をまとめて前群G12とし、一方の絞りKよりも像側にある第3レンズ群G3および第4レンズ群G4をまとめて後群G34とする。
【0017】
読取レンズ1は、レンズL1のd線に対する屈折率およびアッベ数をそれぞれn1,ν1とし、レンズL2のd線に対する屈折率およびアッベ数をそれぞれn2,ν2としたときに、以下の条件式(1),(2)を満足する。
【0018】
0.93<n1/n2<1.08 ……(1)
14.0<ν1−ν2 ……(2)
【0019】
ここで、条件式(1)および(2)によってもたらされる作用について説明する。条件式(1)および(2)は、色収差を良好に補正しつつ、接合面である面S2における曲率半径R2の自由度を確保するものである。すなわち、上記条件式(1)および(2)を満足することにより、曲率半径R2を自由に変化させた場合であっても、諸収差(特に色収差)の補正を良好に行うことが可能になる。条件式(1)または(2)の数値範囲から外れた場合には、収差補正が充分になされない。
【0020】
さらに、読取レンズ1は、レンズL1の物体側の曲率半径をR1とし、レンズL2の像側の曲率半径をR3としたときに、以下の条件式(3)を満足する。
【0021】
1.05<R1/R3<1.33 ……(3)
【0022】
この条件式(3)は、第1レンズ群G1のペッツバール値が負の大きな値にならないように抑制することにより、全系のペッツバール和を適切な値に保つための条件を示す。条件式(3)の下限より小さい場合には、前群G12の集束性が強くなり過ぎてしまい、後群G34へ入射する軸上同族光線の光束径が小さくなり過ぎる。このため、全系のペッツバール和を適切な値に保つためには後群G34での発散性を強くする必要があり、そのためには後群G34における凹面の曲率半径を過度に小さくしなければならず、結果的に軸外コマ収差の補正が困難となってしまう。一方、条件式(3)の上限より大きい場合には、前群G12の集束性が弱くなり過ぎてしまい、後群G34へ入射する軸上同族光線の光束径が大きくなり過ぎる。このため、全系のペッツバール和を適切な値に保つためには後群G34での発散性を弱くする必要があるが、そのためには後群G34における凹面の曲率半径を過度に大きくしなければならず、やはり、軸外コマ収差の補正が困難となってしまう。
【0023】
さらに、読取レンズ1は、第1レンズ群G1における最も像側の面S3から絞りKまでの面間隔、すなわち面間隔D3〜D5の和をD35、絞りKから第4レンズ群G4における最も物体側の面S9までの面間隔すなわち面間隔D6〜D8の和をD68としたときに、以下の条件式(4)を満足する。
【0024】
0.70<(D35)/(D68)<1.11 ……(4)
【0025】
この条件式(4)は、読取レンズ1における前群G12と後群G34との対称性を規定するものである。すなわち、前群G12と後群G34とが光束に対して互いに反対の作用を持ち、諸収差をバランスよく補正するための条件を示している。条件式(4)の数値範囲を外れると、前群G12と後群G34との対称性が崩れて互いに収差を打ち消しあう効果が小さくなってしまい、良好に収差補正を行うことが困難となる。
【0026】
さらに、読取レンズ1は、第4レンズ群G4の焦点距離をf4、全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(5)を満足する。
【0027】
−20.0<f4/f<−1.5 ……(5)
【0028】
この条件式(5)を満足することにより、前群G12において物体からの入射光束を集束する際に生じた収差が、後群G34において適度に発散することにより良好に補正される。上限を上回ると後群G34による補正が過剰となってしまうので、正の大きな球面収差が発生し、また、像面湾曲が正で増大する。一方、下限を下回ると後群G34による補正が不足し、前群G12によって生じた収差が十分に補正されなくなる。
【0029】
さらに、読取レンズ1は、レンズL3の像側の曲率半径をR5、レンズL4の物体側の曲率半径をR7、倍率をM、実効FナンバーをFeとしたとき、以下の条件式(6)を満足する。
【0030】
0.008<(R5/R7)・M/(Fe)2 <0.025 ……(6)
【0031】
この条件式(6)は、全系のペッツバール和を適切な値に保ち、軸外のコマ収差を良好に補正するための条件を示す。前群G12の最終面である面S5の曲率半径R5は、前群G12の集束性を保つために適度に大きくなるほうが都合が良く、これと対向する面S7の曲率半径R7は、後群G34に発散性を与えるため、適度に小さくなる方が都合が良いことを示している。また、結像の倍率Mや実効FナンバーFeによって面S5または面S7を通過する光線の高さは変化する。従って、曲率半径R5,R7は、この通過光線の高さの変化を考慮して決めることが望ましい。例えば、比較的明るいレンズの場合、曲率半径R5が大きすぎると軸外光線の下方コマのフレアが大きくなってしまう。これを補正するために、曲率半径R7を小さくすると、逆に上方コマ収差の補正が難しくなる。条件式(6)を満足することにより像面湾曲とコマ収差とをバランスよく補正することができる。条件式(6)の数値範囲を外れると、ペッツバール値が適切な値ではなくなり、像面湾曲の補正が不十分となる。さらに上限を上回る場合には、曲率半径R5が大きくなり過ぎたり、後群G34の凹面の曲率半径が小さくなり過ぎたりするので、高次のコマ収差が発生しやすくなる。
【0032】
さらに、読取レンズ1は、レンズL5の物体側の曲率半径をR9としたとき、以下の条件式(7)を満足する。
【0033】
2.1<R7/R9<2.7 …(7)
【0034】
この条件式(7)を満足することにより、前群G12で発生した諸収差を後群G34においてバランスよく補正することができる。すなわち、前群G12で発生した大きな正のペッツバール値を適切な値に補正できると共に、軸外光線に対しては前群G12で発生したコマ収差を打ち消すように補正しつつ後群G34においてもコマ収差が発生しないよう抑制することが可能になる。条件式(7)の数値範囲を外れる場合には、特に高次のコマ収差が発生するので良好な性能が得られない。
【0035】
また、読取レンズ1は、レンズL2の異常分散性およびレンズL5の異常分散性のうちの少なくとも一方が、下記の条件式(8)を満足するように構成されていることが望ましい。但し、δθg,F は異常分散性であり、g線、F線およびC線に対する屈折率をそれぞれng,nF,nCとして、
θg,F =(ng−nF)/(nF−nC)
で定義されるg線、F線の部分分散比θg,F の基準線からの偏差を表す。ここで、基準線とは、例えば、ショット社の2つの硝材K7およびF2などの基準材料における部分分散比θg,F を縦軸とし、アッベ数νdを横軸としたグラフ上で、2つの硝材K7およびF2の各座標点を結ぶことによって得られる直線である。なお、g線、F線およびC線の波長は、それぞれ約435.8nm,486.1nm,および656.3nmである。
【0036】
−0.0100<δθg,F <0.0040 ……(8)
【0037】
さらに、また、読取レンズ1は、レンズL1における異常分散性およびレンズL6における異常分散性のうちの少なくとも一方が、下記の条件式(9)を満足するように構成されていることが望ましい。
【0038】
−0.002<δθg,F <0.015 ……(9)
【0039】
ここで、条件式(8)および(9)によってもたらされる作用について説明する前に、異常分散性について、より詳細に説明する。一般に、例えば横軸にアッベ数ν、縦軸に部分分散比θをとってν対θのグラフを描くと、多くの硝材はグラフ上で所定の基準線に沿って分布するような特性を持つことが知られている。そして、その所定の基準線から離れた位置に分布している硝材ほど、異常分散性を有しているものとされている。
【0040】
具体的には、例えば、ショット社の2つの硝材K7およびF2を正常な光学ガラスとして基準に選び、νd(d線に対するアッベ数)対θg,F (g−F線に対する部分分散比)のグラフ上における2つの硝材K7およびF2の座標点を結ぶことによって基準線Lとする。この基準線L上におけるアッベ数νdに対応する部分分散比θL を、任意の硝材の部分分散比θg,F から減じたものが部分分散比の偏差、すなわち、上記の任意の硝材における異常分散性を示す値δθg,F とされる。
【0041】
異常分散性δθg,F は、各硝材メーカのカタログ等に記載された数値であり、それぞれの硝材における固有の値である。
【0042】
次に、上述の条件式(8)および(9)について説明する。条件式(8),(9)は、特に色収差を良好に補正するための条件式である。すなわち、前群G12と後群G34とを構成するそれぞれの接合レンズにおける負のレンズL2,L5のうちの少なくとも1つに条件式(8)に示した範囲の異常分散性を有する硝材を使うことにより、適度な屈折力を与えることができるので色収差を良好に補正することができる。一方、前群G12と後群G34とを構成するそれぞれの接合レンズにおける正のレンズL1,L6のうちの少なくとも1つに条件式(9)に示した数値範囲の異常分散性を有する硝材を使うことにより、適度な屈折力を与えることができるので色収差を良好に補正することができる。特に、負のレンズL2,L5は、条件式(8)に示した数値範囲のうちの負の数値範囲において、より小さな値の異常分散性を有することによって色収差の2次スペクトルの補正をも良好に行うことができ、一方の正のレンズL1,L6は、条件式(9)に示した数値範囲のうちの正の数値範囲において、より大きな値の異常分散性を有することによって色収差の2次スペクトルの補正をも良好に行うことができ、より高解像の読取レンズ1を得ることができる。これらは、特に、縮小率の小さな結像倍率域において有効である。
【0043】
条件式(8),(9)の条件を外れると、特に、色収差を良好に補正することが困難となり、高解像の性能を得ることが難しくなる。
【0044】
以上のように構成された本実施の形態の読取レンズ1によれば、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を備えた前群G12と、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4を備えた後群G34とを、絞りKを挟んでほぼ対称となるように配置し、前群G12に集束作用を持たせる一方で後群G34に発散作用を持たせることにより全系のペッツバール値を適切な値となるように補正し、さらに、各構成要素の曲率半径や屈折率、あるいは焦点距離や面間隔に適切な値を与えることによって諸収差をバランスよく補正するようにしたので、コンパクト化を達成しつつ、画像の読み取りを行うのに適した光学性能を得ることができる。
【0045】
【実施例】
次に、上記実施の形態に係る画像読取用レンズの具体的な数値実施例について説明する。
【0046】
<実施例1〜7>
以下、第1〜第7の数値実施例(実施例1〜7)をまとめて説明する。
【0047】
図3は、実施例1に係る画像読取用レンズに関する基本レンズデータを示している。図3には、実施例1に係る画像読取用レンズについての、面S1〜S11のそれぞれの曲率半径R1〜R11、面間隔(厚さ)D1〜D10、屈折率nd1〜nd6、アッベ数νd1〜νd6および異常分散性δθj(j=1〜6)の値を示す。異常分散性δθjは、物体側よりj番目のレンズにおける異常分散性δθg,F を示す。曲率半径および面間隔の数値の単位はミリメートル(mm)である。曲率半径R1〜R11の値が0の部分は、絞りKを示す。同様に、実施例2〜7に係る画像読取用レンズに関する基本レンズデータを図4〜図9に示す。ここで、実施例3が、図2に示した断面構成と対応関係にある。なお、実施例3以外の実施例については、図2に示した断面構成とほぼ同様であるので、ここでは図示を省略する。また、図10は、実施例1〜7に係る画像読取用レンズに関するデータとして、全系の焦点距離f、実効FNo. 、倍率M、第4レンズ群G4の焦点距離f4および共役長(共役距離)をまとめて示したものである。焦点距離f、焦点距離f4および共役長の単位はミリメートル(mm)である。
【0048】
図11は、実施例1〜7に係る画像読取用レンズについて、上述の条件式(1)〜(9)に対応する値を示したものである。ここで、条件式(8)に対応する欄には、レンズL2,L5の異常分散性δθ2,δθ5のうち、条件式(8)を満足しているものを示している。同様に、条件式(9)に対応する欄には、レンズL1,L6の異常分散性δθ1,δθ6のうち、条件式(9)を満足しているものを示している。図11に示したように、各実施例の画像読取用レンズは、いずれも条件式(1)〜(7)を全て満足している。但し、実施例1〜4は、いずれもレンズL5の異常分散性δθ5が条件式(8)を満たしており、特に、実施例3は、レンズL2の異常分散性δθ2も条件式(8)を満たしている。実施例5〜7は、いずれも異常分散性δθ2,δθ5が条件式(8)を満たしているうえ、レンズ6の異常分散性δθ6が条件式(9)を満たしている。特に、実施例5,7は、レンズ1の異常分散性δθ1も条件式(9)を満たしている。
【0049】
図12〜図18は、各実施例についての諸収差、すなわち、球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を順に示している。球面収差はd線、g線およびC線について示し、非点収差およびディストーションはd線について示し、倍率色収差はg線およびC線について示す。さらに、非点収差については、サジタル方向とタンジェンシャル方向とについて示す。また、「ω」は半画角を示す。
【0050】
以上の各レンズデータおよび各収差図から明らかなように、各実施例において、物体側から順に、レンズL1とおよびレンズL2からなる接合レンズと、レンズL3と、絞りKと、レンズL4と、レンズL5およびレンズL6からなる全体として負の屈折力の接合レンズとを配設し、さらに、条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成したので、広い画角に亘って良好に収差補正がなされ、画像の読取を行うのに適した良好な性能を得ることができ、かつ、よりコンパクト化を図ることができた。
【0051】
以上、実施の形態およびいくつかの実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率およびアッベ数の値などは、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
【0052】
また、上記実施の形態および実施例では、光源からの光を画像原稿などに投射し、その透過画像を読み取る透過原稿式の画像読取装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図19に示したような反射原稿式の画像読取装置であってもよい。図19に示した画像読取装置20は、原稿載置台3と撮像素子4との間に読取レンズ1を配置し、原稿載置台3と読取レンズ1との間に照明装置7を設けるようにしたものである。光源7は、図19に示したように、例えば棒状であり、原稿載置台3上を平行移動して原稿2を全面に亘って連続的に照らすようになっている。これにより、原稿2から反射した光が、読取レンズ1によって撮像素子4上に結像される。読取レンズ1を介して得られた原稿2の反射画像が、撮像素子4によって撮像されて読み取られる。また、光路の途中がミラー等で折り曲げられて、コンパクト化がなされるようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像読取用レンズまたは画像読取装置によれば、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズと、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズを含む第1レンズ群と、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第2レンズ群と、絞りと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第3レンズ群と、物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群とを配設し、さらに、条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成したので、諸収差をバランスよく補正しつつ、従来に比べてコンパクト化を図ることができる。よって、画像の読み取りを行うのに適した性能を得ることができる。
【0054】
特に、第1レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性および第4レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性のうちの少なくとも一方が、条件式(8)を満足するように構成した場合、あるいは、第1レンズ群の正のメニスカスレンズの異常分散性および第4レンズ群の正のメニスカスレンズの異常分散性のうちの少なくとも一方が、条件式(9)を満足するように構成した場合には、色収差をより良好に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置の概略を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る画像読取用レンズの構成を示すものであり、実施例3に対応するレンズ断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図4】本発明の実施例2に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図5】本発明の実施例3に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図6】本発明の実施例4に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図7】本発明の実施例5に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図8】本発明の実施例6に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図9】本発明の実施例7に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、基本的なデータを示す説明図である。
【図10】本発明の実施例1〜7に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、他の基本的なデータを示す説明図である。
【図11】本発明の実施例1〜7に係る画像読取用レンズのレンズデータのうち、条件式(1)〜(8)に対応するデータを示す説明図である。
【図12】実施例1の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図13】実施例2の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図14】実施例3の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図15】実施例4の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図16】実施例5の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図17】実施例6の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図18】実施例7の画像読取用レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す図である。
【図19】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
D1〜D10…面間隔、L1〜L6…レンズ、K…絞り、P…中心結像位置、R1〜R11…曲率半径、Simg …結像面、Z1…光軸、1…読取レンズ、2…原稿、3…原稿載置台、4…撮像素子、5,6…光学素子、7…光源、10,20…画像読取装置。
Claims (4)
- 物体側から順に、
物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズと、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズを含む第1レンズ群と、
物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第2レンズ群と、
絞りと、
像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを含む第3レンズ群と、
物体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズと、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとからなる全体として負の屈折力の接合レンズを含む第4レンズ群と
が配設され、さらに、下記の条件式(1)ないし条件式(7)を満足するように構成されている
ことを特徴とする画像読取用レンズ。
0.93<n1/n2<1.08 ……(1)
14.0<ν1−ν2 ……(2)
1.05<R1/R3<1.33 ……(3)
0.70<(D35)/(D68)<1.11 ……(4)
−20.0<f4/f<−1.5 ……(5)
0.008<(R5/R7)・M/(Fe)2 <0.025 ……(6)
2.1<R7/R9<2.7 …(7)
但し、
n1:第1レンズ群における正のメニスカスレンズのd線に対する屈折率
n2:第1レンズ群における負のメニスカスレンズのd線に対する屈折率
ν1:第1レンズ群における正のメニスカスレンズのアッベ数
ν2:第1レンズ群における負のメニスカスレンズのアッベ数
R1:第1レンズ群における正のメニスカスレンズの物体側の曲率半径
R3:第1レンズ群における負のメニスカスレンズの像側の曲率半径
D35:第1レンズ群における最も像側の面から絞りまでの面間隔
D68:絞りから第4レンズ群における最も物体側の面までの面間隔
f4:第4レンズ群の焦点距離
f:全系の焦点距離
R5:第2レンズ群における正のメニスカスレンズの像側の曲率半径
R7:第3レンズ群における正のメニスカスレンズの物体側の曲率半径
M:倍率
Fe:実効Fナンバー
R9:第4レンズ群における負のメニスカスレンズの物体側の曲率半径
とする。 - さらに、前記第1レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性および前記第4レンズ群の負のメニスカスレンズの異常分散性のうちの少なくとも一方が、下記の条件式(8)を満足するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取用レンズ。
−0.0100<δθg,F <0.0040 ……(8)
但し、δθg,F は異常分散性である。 - さらに、前記第1レンズ群の正のメニスカスレンズにおける異常分散性および前記第4レンズ群の正のメニスカスレンズにおける異常分散性のうちの少なくとも一方が、下記の条件式(9)を満足するように構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取用レンズ。
−0.002<δθg,F <0.015 ……(9)
但し、δθg,F は異常分散性である。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像読取用レンズを備えたことを特徴とする画像読取装置。
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