JP2005008809A - 再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005008809A JP2005008809A JP2003176295A JP2003176295A JP2005008809A JP 2005008809 A JP2005008809 A JP 2005008809A JP 2003176295 A JP2003176295 A JP 2003176295A JP 2003176295 A JP2003176295 A JP 2003176295A JP 2005008809 A JP2005008809 A JP 2005008809A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyester resin
- resin composition
- phosphorus
- recycled polyester
- cobalt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Abstract
【課題】フィルム、シート、中空容器、繊維などに溶融加工した際やペレットを乾燥する際の着色が少ない再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及び該樹脂組成物を成形して成る成形体を提供する。
【解決手段】メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加する再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法。この製造方法により得られる再生ポリエステル樹脂組成物。再生ポリエステル樹脂組成物を紡糸して得られる繊維。再生ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形体。
【選択図】 無し
【解決手段】メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加する再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法。この製造方法により得られる再生ポリエステル樹脂組成物。再生ポリエステル樹脂組成物を紡糸して得られる繊維。再生ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形体。
【選択図】 無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色調に優れた再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及びそれから得られる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナイロンMXD6等のメタキシリレンジアミンを主たるジアミン成分とするポリアミド樹脂はガスバリア性に優れるうえに、適度な融点及び結晶化速度を有し、熱安定性、リサイクル性に優れる等の特長を生かして、包装用フィルムやボトル等の包装用容器のガスバリア材として広く使用されている。
近年、ナイロンMXD6に少量のコバルト等の遷移金属化合物を加えたポリアミド樹脂組成物や該樹脂組成物に容易に酸化し得る不飽和結合含有化合物や不飽和結合含有ポリマーを加えたポリアミド樹脂組成物が有する酸素吸収機能を活かし、容器や包装材料を構成する酸素バリア材料として利用することにより、容器外部から透過してくる酸素をポリアミド樹脂組成物が遮蔽あるいは吸収すると共に容器内部に残存する酸素をもポリアミド樹脂組成物が吸収し、従来の酸素バリア性熱可塑性樹脂のみを利用した容器や包装材料以上に内容物の保存性を高める方法が実用化されつつある(特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、ナイロンMXD6に少量のコバルト等の遷移金属化合物を加えたポリアミド樹脂組成物や該樹脂組成物に容易に酸化し得る不飽和結合含有化合物や不飽和結合含有ポリマーを加えたポリアミド樹脂組成物は酸素バリア性に優れる反面、空気中で加熱したり、成形機中で溶融する際に着色しやすくなる傾向にある。特に回収、再利用が進んでいる射出延伸ブローボトル用途において、該ポリアミド樹脂組成物をバリア層とするポリエチレンテレフタレートとの多層ボトルが実用化されつつあり、該多層ボトルを再利用してペレットやフィルム、シート、繊維にする際の溶融工程や空気中での乾燥工程において、不適切な条件では着色し再利用製品の商品価値を損なう場合があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−241608号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解消し、フィルム、シート、中空容器、繊維などに溶融加工した際やペレットを乾燥する際の着色が少ない再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及び該樹脂組成物を成形して成る成形体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題の解決方法について鋭意検討した結果、ナイロンMXD6およびコバルト化合物を含有する回収ポリエステル樹脂組成物を溶融混練して再生ポリエステル樹脂組成物を得る製造方法において、溶融混練する前または溶融混練と同時にリン系酸化防止剤を添加することにより、フィルム、シート、中空容器、繊維などに溶融加工した際や再生ポリエステル樹脂組成物ペレットを乾燥する際の着色を低減できる再生ポリエステル樹脂組成物を製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(2)に関するものである。
(1)メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加する再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(2)0.05〜6重量%の該ポリアミド樹脂、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に、リン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤を添加することを特徴とする(1)記載の再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明で得られる再生ポリエステル樹脂組成物は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分および脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加して得た再生ポリエステル樹脂組成物である。
好ましくは、0.05〜6重量%の該ポリアミド樹脂、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に、リン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤を添加することを特徴とする再生ポリエステル樹脂組成物である。
【0009】
本発明において、ポリアミド樹脂とはメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分および脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分と重縮合して得られるポリアミド樹脂を主成分とするものを指す。その他のジアミン成分として、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示できる。その他のジカルボン酸成分として、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が例示できる。炭素−炭素二重結合が一部導入されたものでも良い。ここでジアミン成分としては、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むものが好ましい。ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、それから得られるポリアミド樹脂は優れたガスバリア性を発現することができる。また、ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むものが好ましい。ジカルボン酸成分中の脂肪族ジカルボン酸が50モル%以上であると、成形加工温度が過度に高くなることがなく好ましい。特に好ましい脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸である。アジピン酸を使用することによりガスバリア性と成形加工温度のバランスのとれたポリアミド樹脂を得ることができる。特に好ましいポリアミド樹脂はメタキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られるナイロンMXD6である。
【0010】
ポリアミド樹脂の相対粘度(1g/dlの96%硫酸溶液、25℃)は、1.5〜4.2が好ましく、1.8〜4.0がより好ましく、2.0〜3.7が更に好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度が上記範囲内であれば、各種加工が行いやすい利点を有する。ここで言う相対粘度(1g/dlの96%硫酸溶液、25℃)は、樹脂1gを96%硫酸100cc(1dl)に溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて測定した25℃での落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=(t)/(t0)
【0011】
本発明のコバルト化合物は金属単体以外のコバルトの水酸化物、ハロゲン化物、無機酸塩、有機酸塩、錯体等を指し、特に構造は限定されない。
【0012】
本発明において、ポリエステル樹脂とはエチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂を指す。エチレングリコール以外のグリコール成分として、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール等が例示できる。テレフタル酸以外のジカルボン酸成分として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が例示できる。本発明のポリエステル樹脂にはエチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂以外に、少量のポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂やエチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/テレフタル酸グリコール共重合樹脂等が含まれることもある。
【0013】
本発明の回収ポリエステル樹脂組成物とは、エチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂を溶融加工して成るフィルム、シート、中空容器、繊維等を指し、形態は限定されない。また、使用履歴は限定されない。即ち、溶融加工後、製品として実際に使用に供されたものを回収したものでも良いし、溶融加工後、製品として扱われなかったものでも良い。これらの回収ポリエステル樹脂組成物を再生するにあたり、形状によっては切断、粉砕、破砕等の適切な前処理が施されるのが好ましい。
【0014】
回収ポリエステル樹脂組成物を再生するにあたり、原料となる回収ポリエステル樹脂組成物は夾雑物の除去、汚れの除去のため、従来より知られている風力選別、水洗、アルカリ洗浄等、洗浄、精製がなされるのが好ましい。
【0015】
本発明は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分および脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に対して有効であり、該ポリアミド樹脂0.05〜6重量%、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に対して、さらに有効である。ポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂以外に含まれる可能性のあるものを例示すると、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリプロピレン等がある。回収ポリエステル樹脂組成物の各々に0.05〜6重量%のポリアミド樹脂とコバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物が含有されている必要はなく、ポリアミド樹脂とコバルト化合物が含有されていない回収ポリエステル樹脂組成物が混ざってもよい。回収等で集められた組成物全体の平均として0.05〜6重量%のポリアミド樹脂とコバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物が含有されていれば良い。
【0016】
回収ポリエステル樹脂組成物は再生利用のために溶融混練されるが、溶融混練してそのまま繊維、フィルム、シート等の目的とする形状に成形する場合と、いったん溶融混練してペレットとした後、再度、溶融して目的とする形状に成形する場合とがあるが、本発明はどちらの場合にも適用し得る。
【0017】
本発明において、回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加することが必要である。詳しくは、ポリアミド樹脂0.05〜6重量%、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、ポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に対して、回収ポリエステル樹脂組成物を溶融混練する前もしくは溶融混練と同時にリン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤を添加することが必要である。リン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤が添加されることにより、再生ポリエステル樹脂組成物から成る各種成形品の色調を良好に保つことができる。また、ペレットを空気中で乾燥する等の加熱処理の際の着色を低減できる。リン系酸化防止剤の更に好ましい添加量はリン原子換算50〜500ppmである。回収ポリエステル樹脂組成物に予めリン化合物またはリン系酸化防止剤が含まれる場合、添加するリン系酸化防止剤の量は加減される。
【0018】
溶融混練する前にリン系酸化防止剤を添加する方法を具体的に説明する。
▲1▼回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を加え、タンブラー等で混合する。リン系酸化防止剤が付着しやすくするために液状の展着剤を併用しても良い。
▲2▼回収ポリエステル樹脂組成物に予めリン系酸化防止剤を高濃度に混練したマスターペレットを加え、タンブラー等で混合する。マスターペレットに使用する樹脂に特に制限はないが、エチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂が好ましい。マスターペレット中のリン系酸化防止剤の濃度はリン原子として0.1〜5重量%が好ましい。
▲3▼回収ポリエステル樹脂組成物を構成するエチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂に予めリン系酸化防止剤を添加しておく。エチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂の重縮合時に添加しておくのが好ましい。
【0019】
溶融混練と同時にリン系酸化防止剤を添加する方法を具体的に説明する。
▲1▼回収ポリエステル樹脂組成物を溶融混練する際にフィーダー等を用いてリン系酸化防止剤を添加する。
▲2▼回収ポリエステル樹脂組成物を溶融混練する際にフィーダー等を用いて予めリン系酸化防止剤を高濃度に混練したマスターペレットを添加する。
【0020】
本発明において、リン系酸化防止剤として公知の物質を限定することなく使用できる。例示すると、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜燐酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、次亜燐酸、亜燐酸、次亜燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、亜燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等が挙げられ、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、次亜燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましいものとして挙げられる。例示されたリン系酸化防止剤にヒンダードフェノール等、他の酸化防止作用を有する化合物を併用しても良い。
【0021】
さらに本発明の再生ポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、クレイ、マイカ、ガラス繊維、ゼオライト、層状珪酸塩等の充填剤を加えることもできるが、以上に示したものに限定されることはない。
【0022】
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物より紡糸して得られた繊維より、作業着、制服、ネクタイ等の衣料、作業用手袋、毛布、カーペット等に加工される。
【0023】
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形体には、フィルム・シート、中空容器などがある。
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物より成形されたフィルム・シートはそのまま事務用品に使用されたり、熱成形により卵パック、果物用仕切トレー等に加工される。
【0024】
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物からダイレクトブロー成形や延伸ブロー成形によりボトル等の中空容器が得られ、衣料用洗剤や食器用洗剤等の容器に利用される。
【0025】
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物から射出成形により下水道等の蓋やごみ箱、空容器回収ボックス等が成形される。
【0026】
【実施例】
以下に本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
参考例1 コバルト含有ナイロンMXD6の製造
アジピン酸とメタキシリレンジアミンを溶融重縮合して得たナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製 S6007 相対粘度 2.6)と、コバルト金属濃度が400ppmとなるように秤量したステアリン酸コバルトをタンブラーで混合した後、この混合物をシリンダー径が35mmφの真空ベント付き二軸押出機でシリンダー内を−86658Paの圧力に保ちながら樹脂温度270℃で溶融混練して、ストランドダイからストランドを押し出し、空冷しながらネットベルト移送し、ペレタイザーでペレット化して、2.5mmL×2.5mmφのナイロンMXD6ペレット1を作製した。
【0028】
参考例2 ナイロンMXD6、コバルト含有フレークの製造
2台の押出機が設けられた多層パリソン製造装置を用い、第1の押出機からポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製 RT−543)を、多層パリソン中のバリア層の含有率が6重量%になりように第2の押出機から参考例1で得たナイロンMXD6ペレット1(バリア層)をそれぞれ射出し、PET層/バリア層/PET層の2種3層構成を有する多層パリソンを成形した。次いで、ブロー成形機を用いて上記多層パリソンを二軸延伸ブローして、寸法が全長223mm×外形65mmφ、表面積が0.04m2、内容積が500ml、底部形状がペタロイドタイプのボトル状容器1を得た。酸素透過率は0.001ml/bottle・day・0.021MPaであった。次いで、ボトル状容器1を破砕して約10mm以下のフレーク1を得た。
【0029】
参考例3 ポリエチレンテレフタレートのみから成るフレークの製造
ポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製 RT−543)のみから成る、参考例2と同形状の単層のボトル状容器2を作製し、破砕して約10mm以下のフレーク2を得た。
【0030】
実施例1
参考例2で得たフレーク1に、リン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算300ppmとなるように加え、タンブラーで混合した後、この混合物をシリンダー径が35mmφの真空ベント付き二軸押出機でシリンダー内を−86658Paの圧力に保ちながら樹脂温度270℃で溶融混練して、ストランドダイからストランドを押し出し、空冷しながらネットベルト移送し、ペレタイザーでペレット化して、2.5mmL×2.5mmφのポリエステル樹脂組成物ペレット1を作製した。このペレットの色調を表1に示す。
【0031】
実施例2
参考例2で得たフレーク1を50重量部、参考例3で得たフレーク2を50重量部それぞれ秤り取り、そこへリン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算300ppmとなるように加え、タンブラーで混合した後、この混合物をシリンダー径が35mmφの真空ベント付き二軸押出機でシリンダー内を−86658Paの圧力に保ちながら樹脂温度270℃で溶融混練して、ストランドダイからストランドを押し出し、空冷しながらネットベルト移送し、ペレタイザーでペレット化して、2.5mmL×2.5mmφのポリエステル樹脂組成物ペレット2を作製した。このペレットの色調を表1に示す。
【0032】
実施例3〜7
参考例2で得たフレーク1と参考例3で得たフレーク2の混合比を変えた以外は実施例2と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット3〜7を得た。これらのペレットの色調を表1に示す。
【0033】
比較例1〜7
リン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムを加えなかった以外は実施例1〜7と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット8〜14を得た。これらのペレットの色調を表1に示す。
【0034】
実施例8
参考例2で得たフレーク1を10重量部、参考例3で得たフレーク2を90重量部それぞれ秤り取り、そこへリン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算150ppmとなるように加えた以外は、実施例2と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット15を得た。このペレットの色調を表1に示す。
【0035】
実施例9
参考例2で得たフレーク1を5重量部、参考例3で得たフレーク2を95重量部それぞれ秤り取り、そこへリン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算100ppmとなるように加えた以外は、実施例2と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット16を得た。このペレットの色調を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例10
リン系酸化防止剤として次亜燐酸ナトリウムの替わりにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトをリン原子換算300ppmとなるように加えた以外は、実施例6と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット17を得た。ペレットのb値は1.5であった。
【0038】
実施例11
実施例6で得たポリエステル樹脂組成物ペレット6を160℃に調節した熱風乾燥機中にて5時間乾燥した。乾燥後のポリエステル樹脂組成物ペレット6のb値は2.9であった。
【0039】
実施例12
実施例10で得たポリエステル樹脂組成物ペレット17を160℃に調節した熱風乾燥機中にて5時間乾燥した。乾燥後のポリエステル樹脂組成物ペレット6のb値は2.6であった。
【0040】
比較例8
比較例6で得たポリエステル樹脂組成物ペレット13を160℃に調節した熱風乾燥機中にて5時間乾燥した。乾燥後のポリエステル樹脂組成物ペレット13のb値は4.2であった。
【0041】
実施例13
参考例2で得たフレーク1を10重量部、参考例3で得たフレーク2を90重量部それぞれ秤り取り、そこへリン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算300ppmとなるように加え、タンブラーで混合した後、この混合物をシリンダー径が35mmφの真空ベント付き二軸押出機でシリンダー内を−86658Paの圧力に保ちながら樹脂温度270℃で溶融混練して、Tダイから幅300mm、300μm厚のシートを押し出し、ポリエステル樹脂組成物シート1を得た。このシートのb値は0.8であった。
【0042】
比較例9
リン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムを加えなかった以外は実施例11と同様にしてポリエステル樹脂組成物シート2を得た。このシートのb値は1.6であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明により、ナイロンMXD6に少量のコバルト等の遷移金属化合物を加えたポリアミド樹脂組成物や、該組成物に容易に酸化し得る不飽和結合含有化合物や不飽和結合含有ポリマーを加えたポリアミド樹脂組成物を含む再生ポリエステル樹脂組成物をフィルム、シート、中空容器、繊維などに溶融加工する際や再生ポリエステル樹脂組成物ペレットを乾燥する際に着色を抑えることが可能となり、品質に優れた再生ポリエステル樹脂組成物を得る意義は大きい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、色調に優れた再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及びそれから得られる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナイロンMXD6等のメタキシリレンジアミンを主たるジアミン成分とするポリアミド樹脂はガスバリア性に優れるうえに、適度な融点及び結晶化速度を有し、熱安定性、リサイクル性に優れる等の特長を生かして、包装用フィルムやボトル等の包装用容器のガスバリア材として広く使用されている。
近年、ナイロンMXD6に少量のコバルト等の遷移金属化合物を加えたポリアミド樹脂組成物や該樹脂組成物に容易に酸化し得る不飽和結合含有化合物や不飽和結合含有ポリマーを加えたポリアミド樹脂組成物が有する酸素吸収機能を活かし、容器や包装材料を構成する酸素バリア材料として利用することにより、容器外部から透過してくる酸素をポリアミド樹脂組成物が遮蔽あるいは吸収すると共に容器内部に残存する酸素をもポリアミド樹脂組成物が吸収し、従来の酸素バリア性熱可塑性樹脂のみを利用した容器や包装材料以上に内容物の保存性を高める方法が実用化されつつある(特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、ナイロンMXD6に少量のコバルト等の遷移金属化合物を加えたポリアミド樹脂組成物や該樹脂組成物に容易に酸化し得る不飽和結合含有化合物や不飽和結合含有ポリマーを加えたポリアミド樹脂組成物は酸素バリア性に優れる反面、空気中で加熱したり、成形機中で溶融する際に着色しやすくなる傾向にある。特に回収、再利用が進んでいる射出延伸ブローボトル用途において、該ポリアミド樹脂組成物をバリア層とするポリエチレンテレフタレートとの多層ボトルが実用化されつつあり、該多層ボトルを再利用してペレットやフィルム、シート、繊維にする際の溶融工程や空気中での乾燥工程において、不適切な条件では着色し再利用製品の商品価値を損なう場合があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−241608号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解消し、フィルム、シート、中空容器、繊維などに溶融加工した際やペレットを乾燥する際の着色が少ない再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及び該樹脂組成物を成形して成る成形体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題の解決方法について鋭意検討した結果、ナイロンMXD6およびコバルト化合物を含有する回収ポリエステル樹脂組成物を溶融混練して再生ポリエステル樹脂組成物を得る製造方法において、溶融混練する前または溶融混練と同時にリン系酸化防止剤を添加することにより、フィルム、シート、中空容器、繊維などに溶融加工した際や再生ポリエステル樹脂組成物ペレットを乾燥する際の着色を低減できる再生ポリエステル樹脂組成物を製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(2)に関するものである。
(1)メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加する再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(2)0.05〜6重量%の該ポリアミド樹脂、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に、リン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤を添加することを特徴とする(1)記載の再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明で得られる再生ポリエステル樹脂組成物は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分および脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加して得た再生ポリエステル樹脂組成物である。
好ましくは、0.05〜6重量%の該ポリアミド樹脂、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に、リン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤を添加することを特徴とする再生ポリエステル樹脂組成物である。
【0009】
本発明において、ポリアミド樹脂とはメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分および脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分と重縮合して得られるポリアミド樹脂を主成分とするものを指す。その他のジアミン成分として、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示できる。その他のジカルボン酸成分として、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が例示できる。炭素−炭素二重結合が一部導入されたものでも良い。ここでジアミン成分としては、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むものが好ましい。ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、それから得られるポリアミド樹脂は優れたガスバリア性を発現することができる。また、ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むものが好ましい。ジカルボン酸成分中の脂肪族ジカルボン酸が50モル%以上であると、成形加工温度が過度に高くなることがなく好ましい。特に好ましい脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸である。アジピン酸を使用することによりガスバリア性と成形加工温度のバランスのとれたポリアミド樹脂を得ることができる。特に好ましいポリアミド樹脂はメタキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られるナイロンMXD6である。
【0010】
ポリアミド樹脂の相対粘度(1g/dlの96%硫酸溶液、25℃)は、1.5〜4.2が好ましく、1.8〜4.0がより好ましく、2.0〜3.7が更に好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度が上記範囲内であれば、各種加工が行いやすい利点を有する。ここで言う相対粘度(1g/dlの96%硫酸溶液、25℃)は、樹脂1gを96%硫酸100cc(1dl)に溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて測定した25℃での落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=(t)/(t0)
【0011】
本発明のコバルト化合物は金属単体以外のコバルトの水酸化物、ハロゲン化物、無機酸塩、有機酸塩、錯体等を指し、特に構造は限定されない。
【0012】
本発明において、ポリエステル樹脂とはエチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂を指す。エチレングリコール以外のグリコール成分として、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール等が例示できる。テレフタル酸以外のジカルボン酸成分として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が例示できる。本発明のポリエステル樹脂にはエチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂以外に、少量のポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂やエチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/テレフタル酸グリコール共重合樹脂等が含まれることもある。
【0013】
本発明の回収ポリエステル樹脂組成物とは、エチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂を溶融加工して成るフィルム、シート、中空容器、繊維等を指し、形態は限定されない。また、使用履歴は限定されない。即ち、溶融加工後、製品として実際に使用に供されたものを回収したものでも良いし、溶融加工後、製品として扱われなかったものでも良い。これらの回収ポリエステル樹脂組成物を再生するにあたり、形状によっては切断、粉砕、破砕等の適切な前処理が施されるのが好ましい。
【0014】
回収ポリエステル樹脂組成物を再生するにあたり、原料となる回収ポリエステル樹脂組成物は夾雑物の除去、汚れの除去のため、従来より知られている風力選別、水洗、アルカリ洗浄等、洗浄、精製がなされるのが好ましい。
【0015】
本発明は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分および脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に対して有効であり、該ポリアミド樹脂0.05〜6重量%、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に対して、さらに有効である。ポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂以外に含まれる可能性のあるものを例示すると、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリプロピレン等がある。回収ポリエステル樹脂組成物の各々に0.05〜6重量%のポリアミド樹脂とコバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物が含有されている必要はなく、ポリアミド樹脂とコバルト化合物が含有されていない回収ポリエステル樹脂組成物が混ざってもよい。回収等で集められた組成物全体の平均として0.05〜6重量%のポリアミド樹脂とコバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物が含有されていれば良い。
【0016】
回収ポリエステル樹脂組成物は再生利用のために溶融混練されるが、溶融混練してそのまま繊維、フィルム、シート等の目的とする形状に成形する場合と、いったん溶融混練してペレットとした後、再度、溶融して目的とする形状に成形する場合とがあるが、本発明はどちらの場合にも適用し得る。
【0017】
本発明において、回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加することが必要である。詳しくは、ポリアミド樹脂0.05〜6重量%、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、ポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に対して、回収ポリエステル樹脂組成物を溶融混練する前もしくは溶融混練と同時にリン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤を添加することが必要である。リン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤が添加されることにより、再生ポリエステル樹脂組成物から成る各種成形品の色調を良好に保つことができる。また、ペレットを空気中で乾燥する等の加熱処理の際の着色を低減できる。リン系酸化防止剤の更に好ましい添加量はリン原子換算50〜500ppmである。回収ポリエステル樹脂組成物に予めリン化合物またはリン系酸化防止剤が含まれる場合、添加するリン系酸化防止剤の量は加減される。
【0018】
溶融混練する前にリン系酸化防止剤を添加する方法を具体的に説明する。
▲1▼回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を加え、タンブラー等で混合する。リン系酸化防止剤が付着しやすくするために液状の展着剤を併用しても良い。
▲2▼回収ポリエステル樹脂組成物に予めリン系酸化防止剤を高濃度に混練したマスターペレットを加え、タンブラー等で混合する。マスターペレットに使用する樹脂に特に制限はないが、エチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂が好ましい。マスターペレット中のリン系酸化防止剤の濃度はリン原子として0.1〜5重量%が好ましい。
▲3▼回収ポリエステル樹脂組成物を構成するエチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂に予めリン系酸化防止剤を添加しておく。エチレンテレフタレート結合を主たる結合単位とするポリエステル樹脂の重縮合時に添加しておくのが好ましい。
【0019】
溶融混練と同時にリン系酸化防止剤を添加する方法を具体的に説明する。
▲1▼回収ポリエステル樹脂組成物を溶融混練する際にフィーダー等を用いてリン系酸化防止剤を添加する。
▲2▼回収ポリエステル樹脂組成物を溶融混練する際にフィーダー等を用いて予めリン系酸化防止剤を高濃度に混練したマスターペレットを添加する。
【0020】
本発明において、リン系酸化防止剤として公知の物質を限定することなく使用できる。例示すると、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜燐酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、次亜燐酸、亜燐酸、次亜燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、亜燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等が挙げられ、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、次亜燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましいものとして挙げられる。例示されたリン系酸化防止剤にヒンダードフェノール等、他の酸化防止作用を有する化合物を併用しても良い。
【0021】
さらに本発明の再生ポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、クレイ、マイカ、ガラス繊維、ゼオライト、層状珪酸塩等の充填剤を加えることもできるが、以上に示したものに限定されることはない。
【0022】
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物より紡糸して得られた繊維より、作業着、制服、ネクタイ等の衣料、作業用手袋、毛布、カーペット等に加工される。
【0023】
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形体には、フィルム・シート、中空容器などがある。
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物より成形されたフィルム・シートはそのまま事務用品に使用されたり、熱成形により卵パック、果物用仕切トレー等に加工される。
【0024】
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物からダイレクトブロー成形や延伸ブロー成形によりボトル等の中空容器が得られ、衣料用洗剤や食器用洗剤等の容器に利用される。
【0025】
本発明の再生ポリエステル樹脂組成物から射出成形により下水道等の蓋やごみ箱、空容器回収ボックス等が成形される。
【0026】
【実施例】
以下に本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
参考例1 コバルト含有ナイロンMXD6の製造
アジピン酸とメタキシリレンジアミンを溶融重縮合して得たナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製 S6007 相対粘度 2.6)と、コバルト金属濃度が400ppmとなるように秤量したステアリン酸コバルトをタンブラーで混合した後、この混合物をシリンダー径が35mmφの真空ベント付き二軸押出機でシリンダー内を−86658Paの圧力に保ちながら樹脂温度270℃で溶融混練して、ストランドダイからストランドを押し出し、空冷しながらネットベルト移送し、ペレタイザーでペレット化して、2.5mmL×2.5mmφのナイロンMXD6ペレット1を作製した。
【0028】
参考例2 ナイロンMXD6、コバルト含有フレークの製造
2台の押出機が設けられた多層パリソン製造装置を用い、第1の押出機からポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製 RT−543)を、多層パリソン中のバリア層の含有率が6重量%になりように第2の押出機から参考例1で得たナイロンMXD6ペレット1(バリア層)をそれぞれ射出し、PET層/バリア層/PET層の2種3層構成を有する多層パリソンを成形した。次いで、ブロー成形機を用いて上記多層パリソンを二軸延伸ブローして、寸法が全長223mm×外形65mmφ、表面積が0.04m2、内容積が500ml、底部形状がペタロイドタイプのボトル状容器1を得た。酸素透過率は0.001ml/bottle・day・0.021MPaであった。次いで、ボトル状容器1を破砕して約10mm以下のフレーク1を得た。
【0029】
参考例3 ポリエチレンテレフタレートのみから成るフレークの製造
ポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製 RT−543)のみから成る、参考例2と同形状の単層のボトル状容器2を作製し、破砕して約10mm以下のフレーク2を得た。
【0030】
実施例1
参考例2で得たフレーク1に、リン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算300ppmとなるように加え、タンブラーで混合した後、この混合物をシリンダー径が35mmφの真空ベント付き二軸押出機でシリンダー内を−86658Paの圧力に保ちながら樹脂温度270℃で溶融混練して、ストランドダイからストランドを押し出し、空冷しながらネットベルト移送し、ペレタイザーでペレット化して、2.5mmL×2.5mmφのポリエステル樹脂組成物ペレット1を作製した。このペレットの色調を表1に示す。
【0031】
実施例2
参考例2で得たフレーク1を50重量部、参考例3で得たフレーク2を50重量部それぞれ秤り取り、そこへリン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算300ppmとなるように加え、タンブラーで混合した後、この混合物をシリンダー径が35mmφの真空ベント付き二軸押出機でシリンダー内を−86658Paの圧力に保ちながら樹脂温度270℃で溶融混練して、ストランドダイからストランドを押し出し、空冷しながらネットベルト移送し、ペレタイザーでペレット化して、2.5mmL×2.5mmφのポリエステル樹脂組成物ペレット2を作製した。このペレットの色調を表1に示す。
【0032】
実施例3〜7
参考例2で得たフレーク1と参考例3で得たフレーク2の混合比を変えた以外は実施例2と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット3〜7を得た。これらのペレットの色調を表1に示す。
【0033】
比較例1〜7
リン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムを加えなかった以外は実施例1〜7と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット8〜14を得た。これらのペレットの色調を表1に示す。
【0034】
実施例8
参考例2で得たフレーク1を10重量部、参考例3で得たフレーク2を90重量部それぞれ秤り取り、そこへリン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算150ppmとなるように加えた以外は、実施例2と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット15を得た。このペレットの色調を表1に示す。
【0035】
実施例9
参考例2で得たフレーク1を5重量部、参考例3で得たフレーク2を95重量部それぞれ秤り取り、そこへリン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算100ppmとなるように加えた以外は、実施例2と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット16を得た。このペレットの色調を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例10
リン系酸化防止剤として次亜燐酸ナトリウムの替わりにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトをリン原子換算300ppmとなるように加えた以外は、実施例6と同様にしてポリエステル樹脂組成物ペレット17を得た。ペレットのb値は1.5であった。
【0038】
実施例11
実施例6で得たポリエステル樹脂組成物ペレット6を160℃に調節した熱風乾燥機中にて5時間乾燥した。乾燥後のポリエステル樹脂組成物ペレット6のb値は2.9であった。
【0039】
実施例12
実施例10で得たポリエステル樹脂組成物ペレット17を160℃に調節した熱風乾燥機中にて5時間乾燥した。乾燥後のポリエステル樹脂組成物ペレット6のb値は2.6であった。
【0040】
比較例8
比較例6で得たポリエステル樹脂組成物ペレット13を160℃に調節した熱風乾燥機中にて5時間乾燥した。乾燥後のポリエステル樹脂組成物ペレット13のb値は4.2であった。
【0041】
実施例13
参考例2で得たフレーク1を10重量部、参考例3で得たフレーク2を90重量部それぞれ秤り取り、そこへリン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムをリン原子換算300ppmとなるように加え、タンブラーで混合した後、この混合物をシリンダー径が35mmφの真空ベント付き二軸押出機でシリンダー内を−86658Paの圧力に保ちながら樹脂温度270℃で溶融混練して、Tダイから幅300mm、300μm厚のシートを押し出し、ポリエステル樹脂組成物シート1を得た。このシートのb値は0.8であった。
【0042】
比較例9
リン系酸化防止剤次亜燐酸ナトリウムを加えなかった以外は実施例11と同様にしてポリエステル樹脂組成物シート2を得た。このシートのb値は1.6であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明により、ナイロンMXD6に少量のコバルト等の遷移金属化合物を加えたポリアミド樹脂組成物や、該組成物に容易に酸化し得る不飽和結合含有化合物や不飽和結合含有ポリマーを加えたポリアミド樹脂組成物を含む再生ポリエステル樹脂組成物をフィルム、シート、中空容器、繊維などに溶融加工する際や再生ポリエステル樹脂組成物ペレットを乾燥する際に着色を抑えることが可能となり、品質に優れた再生ポリエステル樹脂組成物を得る意義は大きい。
Claims (5)
- メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミド樹脂、コバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物にリン系酸化防止剤を添加する再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 0.05〜6重量%の該ポリアミド樹脂、コバルトとして0.2〜25ppmのコバルト化合物、およびポリエステル樹脂からなる回収ポリエステル樹脂組成物に、リン原子換算10〜1000ppmのリン系酸化防止剤を添加することを特徴とする請求項1記載の再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜2記載の製造方法により得られる再生ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項3記載の再生ポリエステル樹脂組成物を紡糸して得られる繊維。
- 請求項3記載の再生ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003176295A JP2005008809A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003176295A JP2005008809A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005008809A true JP2005008809A (ja) | 2005-01-13 |
Family
ID=34099219
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003176295A Pending JP2005008809A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005008809A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008531353A (ja) * | 2005-03-02 | 2008-08-14 | イーストマン ケミカル カンパニー | 多層透明物品及びそれらの製造方法 |
JP2008531827A (ja) * | 2005-03-02 | 2008-08-14 | イーストマン ケミカル カンパニー | 透明な造形品の製造方法 |
JP2008531354A (ja) * | 2005-03-02 | 2008-08-14 | イーストマン ケミカル カンパニー | ポリエステル及び均質ポリアミドブレンドからの多層透明物品の製造 |
JP2008543610A (ja) * | 2005-06-17 | 2008-12-04 | イーストマン ケミカル カンパニー | シクロブタンジオールと均一ポリアミド配合品を含むポリエステルを含有する多層透明製品の製造法 |
JP2009215510A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-09-24 | Mitsubishi Plastics Inc | ポリエステルフィルムの製造方法 |
JP2010195961A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Mitsubishi Plastics Inc | 再生ポリエステルペレットの製造方法 |
JP2010254811A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | 樹脂組成物および包装材料 |
KR101274908B1 (ko) * | 2005-06-17 | 2013-06-14 | 이스트만 케미칼 컴파니 | 고유 점도와 중간 유리 전이 온도와의 특정 조합을 갖는사이클로부탄다이올 함유 폴리에스터 조성물 및 이로부터제조된 제품 |
WO2018043457A1 (ja) * | 2016-08-30 | 2018-03-08 | 東レ株式会社 | 再生ポリエステル繊維 |
-
2003
- 2003-06-20 JP JP2003176295A patent/JP2005008809A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008531353A (ja) * | 2005-03-02 | 2008-08-14 | イーストマン ケミカル カンパニー | 多層透明物品及びそれらの製造方法 |
JP2008531827A (ja) * | 2005-03-02 | 2008-08-14 | イーストマン ケミカル カンパニー | 透明な造形品の製造方法 |
JP2008531354A (ja) * | 2005-03-02 | 2008-08-14 | イーストマン ケミカル カンパニー | ポリエステル及び均質ポリアミドブレンドからの多層透明物品の製造 |
JP2008543610A (ja) * | 2005-06-17 | 2008-12-04 | イーストマン ケミカル カンパニー | シクロブタンジオールと均一ポリアミド配合品を含むポリエステルを含有する多層透明製品の製造法 |
KR101274908B1 (ko) * | 2005-06-17 | 2013-06-14 | 이스트만 케미칼 컴파니 | 고유 점도와 중간 유리 전이 온도와의 특정 조합을 갖는사이클로부탄다이올 함유 폴리에스터 조성물 및 이로부터제조된 제품 |
JP2009215510A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-09-24 | Mitsubishi Plastics Inc | ポリエステルフィルムの製造方法 |
JP2010195961A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Mitsubishi Plastics Inc | 再生ポリエステルペレットの製造方法 |
JP2010254811A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | 樹脂組成物および包装材料 |
WO2018043457A1 (ja) * | 2016-08-30 | 2018-03-08 | 東レ株式会社 | 再生ポリエステル繊維 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU2007268544B2 (en) | Polyamide resin composition | |
JP5648683B2 (ja) | ポリアミド化合物 | |
JP6028343B2 (ja) | ポリエステル系樹脂組成物 | |
EP4116090B1 (en) | Multilayer container, method for manufacturing same, and method for manufacturing reclaimed polyester | |
JP2000302952A (ja) | ポリエステル樹脂組成物 | |
JP2005008809A (ja) | 再生ポリエステル樹脂組成物の製造方法 | |
JP2011037989A (ja) | ポリエステル系容器 | |
JP4164653B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物の製造方法、および該樹脂成形体 | |
JP2004002557A (ja) | ポリエステル組成物及び成形体 | |
CN107075167A (zh) | 用于塑料材料的氧气清除组合物 | |
EP4201829B1 (en) | Multi-layer container, method for producing same, and method for producing reclaimed polyester | |
JP2005015791A (ja) | ポリエステル組成物及びそれからなるポリエステル成形体 | |
JP4857982B2 (ja) | 多層構造物 | |
AU2012216788B2 (en) | Polyamide resin composition | |
JP4929615B2 (ja) | ポリエステル組成物及びそれからなるポリエステル成形体 | |
JP2010280754A (ja) | ポリアミド樹脂組成物 | |
JP2003342456A (ja) | ポリエステル組成物及びそれからなる成形体 | |
JP2003082206A (ja) | ポリエステル組成物及びそれからなる成形体 | |
JP4929616B2 (ja) | ポリエステル組成物及びそれからなるポリエステル成形体 | |
JP4711040B2 (ja) | 多層容器 | |
JP2003012907A (ja) | ポリエステル組成物及びそれからなる成形体 | |
JP2003342455A (ja) | ポリエステル組成物及びそれからなる成形体 | |
JP2021138126A (ja) | 多層容器、その製造方法、及び再生ポリエステルの製造方法 | |
JP2006096040A (ja) | ポリエステル予備成形体の製造方法およびポリエステル延伸成形体の製造方法 | |
JP2003096282A (ja) | ポリエステル組成物及びそれからなる成形体 |